JP2018108962A - 2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を、効率よく、工業的規模で製造する方法を提供する。
【解決手段】
気相中、フッ素化触媒の存在下、2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルにフッ化水素を反応させることで、基質の分解を抑制しながら、効率的に2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を得ることが可能である。
【選択図】なし
2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を、効率よく、工業的規模で製造する方法を提供する。
【解決手段】
気相中、フッ素化触媒の存在下、2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルにフッ化水素を反応させることで、基質の分解を抑制しながら、効率的に2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を得ることが可能である。
【選択図】なし
Description
本発明は、気相フッ素化反応による2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法に関する。
2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテルは、「デスフルラン」として知られている重要な吸入麻酔薬である。該吸入麻酔薬は、極めて低い生体内代謝率を有しており、生体に優しく安全性の高い薬剤として広く使用されている。デスフルランに関する製造例は、出発物質として2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエチルジフルオロメチルエーテル(イソフルラン)、2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル及び2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルを用いてそれぞれフッ素化することで製造する例が知られている。
イソフルランに対するフッ素化反応は、アルカリ金属フッ化物を使用する方法(特許文献1)、三フッ化臭素を使用する方法(特許文献2、特許文献3)、フッ化水素を使用する方法(特許文献4、特許文献5、特許文献6及び特許文献7)が知られている。中でもフッ化水素を用いたフッ素化反応は、液相法と気相法の2つの製造例が報告されている。
2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテルに対するフッ素化反応は、フッ素ガスを使用する方法(特許文献8)、高次金属フッ素化合物を使用する方法(特許文献9、特許文献10)が知られている。
2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテルに対するフッ素化反応は、フッ素ガスを使用する方法(特許文献8)、高次金属フッ素化合物を使用する方法(特許文献9、特許文献10)が知られている。
2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに対するフッ素化反応は、フッ化水素を使用する方法(特許文献11、特許文献12、特許文献13)、三フッ化臭素を使用する方法(特許文献13)が知られている。
なお、本発明にて開示する、2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに対する気相フッ素化によるデスフルランの製造方法は知られていない。
デスフルランの製造方法については、デスフルラン等のエーテル部位(「−O−」)を持つ化合物の物性上、過酷な条件下にてフッ素化反応を行った場合、エーテル部位の開裂に伴った分解物の副生が問題となってくる。
イソフルランの製造方法についても、特許文献1に記載の方法は、高温かつ高圧の条件下のフッ素化反応である為、工業的に採用しにくく、また低収率である。特許文献2や特許文献3に記載の方法についても、毒性と腐食性の強い試薬であり、取り扱いが困難な点が挙げられる。特許文献4や特許文献5に記載の方法は、五塩化アンチモン触媒の存在下、室温付近の条件下、フッ化水素を用いた液相フッ素化を行うことにより、中程度の収率で目的とするデスフルランを得ている。しかし、フッ化水素自身、酸性物質でもあり、また、一般的に反応活性が高いとされる五塩化アンチモンを使用しているため、原料であるイソフルランや目的物であるデスフルランのエーテル部位の開裂に由来した不純物の副生が多く生じていた。特許文献6に記載の方法は、クロミア触媒の存在下での気相フッ素化反応を行っているが、変換率は中程度であり、満足な結果を得ていない。特許文献7に記載の方法は、活性炭に担持したアンチモン触媒の存在下での気相フッ素化反応を行っているが、こちらも変換率は必ずしも高いとは言えなかった。
一方、特許文献8に記載の方法は、爆発の危険もあり、工業的な製造としては採用しにくい。特許文献9や特許文献10に記載の方法は、反応を円滑に行うためには、大過剰の高次金属フッ素化合物が必要であり、経済的な観点から好ましくない。
また、特許文献11、12及び13に記載の方法は、何れも低収率〜中程度の収率であり、吸入麻酔剤としての製造方法としては採用しにくく、何れの方法も課題が残されたままと言える。
以上のように、取り扱いの容易なフッ素化剤を用いてデスフルランを効率良く製造する方法が強く望まれていた。
本発明者らは、上記の問題点を鑑み、鋭意検討を行った。その結果、式[1]:
で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに、気相中、フッ化水素を反応させることにより、高い変換率で反応が進行し、式[2]:
で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を、反応基質の分解を抑制しながら高い選択率で得られるという知見を得た。
具体的には、気相中、連続的にフッ素化反応を行うことにより、短時間にて目的物のデスフルランを合成し、得られたデスフルランを連続的に反応系外へ除去するといった、効率的な製造条件を見出すに至った。この条件を採用することで、熱履歴に起因した反応基質のエーテル部位の開裂による不純物の副生を最小限に抑え、高い変換率にてデスフルランを得ることが可能になった。
また、詳細は後述するが、フッ素化反応において、好ましい温度範囲、好ましい圧力条件等、特定の条件に付すことにより、更に収率が向上すると言う知見も得た。
本発明は、出発原料として、2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエチルジフルオロメチルエーテル(イソフルラン)を用いたフッ素化反応を採用するよりも、式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルを用いた方が、出発原料が持つ基質特異性と、本発明のフッ素化反応の条件との組み合わせが、デスフルランを製造する上で有利である(後述の比較例1〜4参照)ことも考慮すると、本発明は、非常に優位性のある製造方法と言える。
すなわち、本発明は、以下の[発明1]〜[発明5]に記載する、2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法を提供する。
[発明1]
気相中、フッ素化触媒存在下、式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルにフッ化水素を反応させることにより、式[2]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を製造する方法。
[発明2]
フッ素化触媒が、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム、及びアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を金属酸化物もしくは活性炭に担持した金属化合物担持触媒である、発明1に記載の方法。
[発明3]
前記金属化合物が、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及びオキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属ハロゲン化物もしくは金属オキシハロゲン化物である、発明2に記載の方法。
[発明4]
前記金属酸化物が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びマグネシアからなる群より選ばれる少なくとも1種である、発明2に記載の方法。
[発明5]
反応温度として100〜400℃の範囲で反応を行う、発明1乃至4の何れかに記載の方法。
[発明1]
気相中、フッ素化触媒存在下、式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルにフッ化水素を反応させることにより、式[2]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を製造する方法。
[発明2]
フッ素化触媒が、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム、及びアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を金属酸化物もしくは活性炭に担持した金属化合物担持触媒である、発明1に記載の方法。
[発明3]
前記金属化合物が、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及びオキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属ハロゲン化物もしくは金属オキシハロゲン化物である、発明2に記載の方法。
[発明4]
前記金属酸化物が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びマグネシアからなる群より選ばれる少なくとも1種である、発明2に記載の方法。
[発明5]
反応温度として100〜400℃の範囲で反応を行う、発明1乃至4の何れかに記載の方法。
本発明によれば、2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を効率的に製造できるという効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜実施することができる。
出発原料の式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは、特許文献12や特許文献13に記載の方法等により合成可能である。
本発明は、フッ化水素に対して実質的に不活性な材質で造られた反応容器を用い、温度の調節下、触媒の充填された反応容器へ式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルを導入することで行われる。
本発明は、気相中、フッ化水素を流通させることでフッ素化反応を進行させるが、このような流通形式では、触媒の保持方法は固定床、流動床、移動床等、いずれの形式でもかまわないが、固定床で行うのが簡便であり、好ましい。
反応容器は通常、ステンレス鋼、モネルTM、ハステロイTM、ニッケルなどの金属製容器や、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ポリプロピレン樹脂、そしてポリエチレン樹脂などを内部にライニングしたもの等、常圧又は加圧下で十分反応を行うことができる反応器を使用することができる。
本発明で用いるフッ素化触媒としては、気相中で反応を行う為、金属化合物を担体に担持させるか、または金属酸化物を用いて使用される。担体としては金属酸化物もしくは活性炭が挙げられる。
本発明における好ましいフッ素化触媒としては、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム及びアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を金属酸化物もしくは活性炭に担持した金属化合物担持触媒である。
また、前記金属化合物については、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及びオキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属ハロゲン化物もしくは金属オキシハロゲン化物である。
更に、前記金属酸化物が、アルミナ、ジルコニア、チタニア及びマグネシアからなる群より選ばれる少なくとも1種である。なお、本発明において、前記担体をフッ素化したもの(例えば、フッ素化アルミナ等)についてもフッ素化触媒として使用できる。
前記金属化合物を担体に担持したものを触媒として用いる場合、担持する金属化合物は担体100質量部に対し0.1から100質量部であり、1から50質量部がより好ましい。
なお、後述の調製例で詳細に述べるが、金属酸化物として用いるアルミナは、一般的にアルミニウム塩水溶液からアンモニアなどを用いて生じさせた沈殿を成型・脱水させて得られるアルミナである。通常、触媒担体用あるいは乾燥用として市販されているγ−アルミナが好ましく用いられる。
フッ素化触媒(金属化合物担持触媒)を調製する方法は限定されないが、先のγ−アルミナなどのアルミニウム酸化物にクロム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄の中から選ばれる少なくとも1種の金属の可溶性化合物を溶解した溶液を含浸する、もしくはスプレーをした後、次いで乾燥させる。その後、フッ化水素などのフッ素化剤により、部分的にまたは完全に担体をフッ素化させ、フッ素化アルミナとすることでフッ素化触媒は調製される。フッ素化触媒の調製の最終段階では、フッ素化反応の反応温度以上の温度でフッ化水素を流通させることが好ましい。従って、通常は200から500℃、中でも300から400℃で好適に処理される。
可溶性化合物としては、水、エタノール、アセトンなどの溶媒に溶解する該当金属の酸化物または塩であれば特に限定されないが、例えば硝酸塩、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩などが挙げられる。具体的には、硝酸クロム、三塩化クロム、三酸化クロム、重クロム酸カリウム、硝酸マンガン、塩化マンガン、二酸化マンガン、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸コバルト、塩化コバルト、硝酸鉄、塩化鉄などを用いるのが好ましい。これらの化合物は水和物であっても良く、その金属の価数は任意の価数であって良い。何れの方法で調製した触媒も、使用の前に所定の反応温度以上の温度で予めフッ化水素などのフッ素化剤で処理し、反応中の触媒の組成変化を防止することが有効である。
担体として用いる活性炭は、木材、木炭、椰子殻炭、パーム核炭、素灰等を原料とする植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等を原料とする石炭系、石油残滓、オイルカーボン等を原料とする石油系または炭化ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂系がある。これら市販の活性炭から選択し使用することができ、例えば、瀝青炭から製造された活性炭(三菱化学カルゴン製BPL粒状活性炭)、椰子殻炭(日本エンバイロケミカルズ製G2c、G2x、GS3c、GS3x、C2c、C2x、X2M、三菱化学カルゴン製PCB)等が挙げられるが、これらに限定されない。形状、大きさも通常粒状で用いられるが、球状、繊維状、粉体状、ハニカム状等反応器に適合すれば通常の知識範囲の中で使用することができる。本発明において使用する活性炭は比表面積の大きな活性炭が好ましい。活性炭の比表面積ならびに細孔容積は、市販品の規格の範囲で十分であるが、それぞれ400m2/gより大きく、0.1cm3/gより大きいことが望ましい。またそれぞれ800〜3000m2/g、0.2〜1.0cm3/gであればよい。さらに活性炭を担体に用いる場合、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液に常温付近で10時間程度またはそれ以上の時間浸漬するか、活性炭を触媒担体に使用する際に慣用的に行われる硝酸、塩酸、フッ酸等の酸による前処理を施し、予め担体表面の活性化ならびに灰分の除去を行うことが好ましい。
また、反応中に酸素、塩素、フッ素化または塩素化炭化水素などを反応器中に供給することは触媒寿命の延長、反応率、反応収率の向上に有効である。本発明にかかるフッ素化触媒が、反応により活性を失った際には、再び活性化させることが可能である。すなわち、失活した触媒は、高められた温度で酸化性物質、例えば、酸素、空気、塩素などと接触させることで再活性化することができる。その時の処理温度は、200から550℃であり、中でも300から500℃が好ましい。200℃未満では未活性化の状態のままであり、550℃を超えると触媒が変性して活性を得ることができない場合がある。
本発明における反応温度は特に限定されないが、100〜400℃であり、120〜350℃が好ましく、140〜330℃がさらに好ましい。なお、反応温度が400℃を超えた場合、特に反応率の大幅な向上は見られず、分解生成物が副生して、式[2]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の選択率が低下することがある。この温度を採用することは、エネルギーの面でも、設備の面でも本発明におけるメリットは少ない。一方、本発明では、後述の実施例で示すように、反応温度として140〜330℃の範囲で反応を行うことは、デスフルランを良好な変換率かつ選択率で製造する上で特に好ましい態様の一つである。
本工程における反応圧力としては、通常0.1〜6.0MPa(絶対圧。以下、本明細書で同じ)の範囲であるが、本工程における好ましい圧力範囲については、好ましくは0.1〜3.0MPa、より好ましくは0.1〜1.5MPaの範囲である。
本発明において、反応領域へ供給する式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル/フッ化水素のモル比は、反応温度により変わりうるが、通常1/2から1/50であり、1/4から1/20が好ましく、1/5から1/15がより好ましい。フッ化水素が過剰であると、有機物処理量の減少ならびに反応系から排出された未反応フッ化水素と生成物との混合物の分離に支障をきたす。一方、フッ化水素が少ないと反応の変換率は低下し、目的物の収率が低下することがある。しかし、通常生成物に伴われる反応中間体、未反応物そしてフッ化水素は生成物と分離され、リサイクルされるので、フッ化水素の過大または過小と言った事象は、大規模な製造において、致命的ではない。
本発明において、反応領域へ供給する式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは、反応に関与しない窒素、ヘリウム、アルゴンなどのガスと共に供給することができる。また、同様にフッ化水素を共存させることもできる。このようなガスは、式[1]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルまたはそれを含む混合物からなる原料1モル当たり100モル以下の比率とし、10モル以下が好ましい。また、反応に関与しないガス類は、使用しなくても構わない。
本発明における接触時間は、標準状態において、通常0.1から200秒、好ましくは5から100秒である。接触時間が短いと反応率が低下し、接触時間が長すぎると副反応が起こるので好ましくない。
本発明の方法により、反応容器より流出する、式[2]で表される2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を主成分とする生成物は、公知の方法で精製して製品とすることができる。
精製方法は特に限定されないが、例えば、生成物を最初に水または/およびアルカリ性溶液で洗浄してフッ化水素などの酸性物質を除去し、乾燥の後、蒸留に付してデスフルランを得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施態様に限られない。ここで、組成分析値の「%」は、原料または生成物をガスクロマトグラフィー(特に記述のない場合、検出器はFID)によって測定して得られた組成の「面積%」を表す。
[調製例]
896gの特級試薬CrCl3・6H2Oを純水に溶かして3.0Lとした。この溶液に粒状アルミナ400gを浸漬し、一昼夜放置した。次に濾過してアルミナを取り出し、熱風循環式乾燥器中で100℃に保ち、さらに一昼夜乾燥した。得られたクロム担持アルミナは、電気炉を備えた直径4.2cm長さ60cmの円筒形SUS316L製反応管に充填し、窒素ガスを約20mL/分の流量で流しながら300℃まで昇温し、水の流出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素を同伴させ、その濃度を徐々に高めた。充填されたクロム担持アルミナのフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで反応器温度を350℃に上げ、その状態を5時間保ち触媒の調製を行った。
[実施例1−3]
[調製例]
896gの特級試薬CrCl3・6H2Oを純水に溶かして3.0Lとした。この溶液に粒状アルミナ400gを浸漬し、一昼夜放置した。次に濾過してアルミナを取り出し、熱風循環式乾燥器中で100℃に保ち、さらに一昼夜乾燥した。得られたクロム担持アルミナは、電気炉を備えた直径4.2cm長さ60cmの円筒形SUS316L製反応管に充填し、窒素ガスを約20mL/分の流量で流しながら300℃まで昇温し、水の流出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素を同伴させ、その濃度を徐々に高めた。充填されたクロム担持アルミナのフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで反応器温度を350℃に上げ、その状態を5時間保ち触媒の調製を行った。
[実施例1−3]
電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316L製、直径2.5cm・長さ40cm)に触媒として調製例で調製した触媒を100mL充填した。約10mL/分の流量で窒素ガスを流しながら、反応管の温度を180℃に上げ、フッ化水素を約0.1g/分の速度で1時間にわたり導入した。次いで、原料である2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル(91.9GC%)を約0.1g/分(接触時間25秒)の速度で反応管へ供給開始した。反応開始1時間後には反応は安定したので、反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去した後、生成物をガスクロマトグラフィーにて分析した。結果を表1に示す。
その後、反応管の温度を表1に示すように変更して(実施例2、実施例3)、反応が安定した後、反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去し、生成物をガスクロマトグラフィーにて分析した。結果を表1に示す。
その後、反応管の温度を表1に示すように変更して(実施例2、実施例3)、反応が安定した後、反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去し、生成物をガスクロマトグラフィーにて分析した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1−3と同一の気相反応装置を用い、反応管の温度を180℃に設定し、フッ化水素を約0.1g/分の速度で1時間にわたり導入した。次いで、原料である2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル(94.6GC%)を0.1から0.2g/分(接触時間20から25秒)の速度で反応管への供給を4.5時間かけて行った。反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去した後、すり抜けた有機物をドライアイストラップにて回収しところ、有機物を23.3g得た。この有機物をGC分析に供すると、デスフルランが96.8%にて生成していた。また、得られた有機物の収率は91%(供給原料2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルのモル数基準)であった。
[比較例1−4]
実施例1−3と同一の気相反応装置を用い、反応管の温度を180℃に設定し、フッ化水素を約0.1g/分の速度で1時間にわたり導入した。次いで、原料である2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル(94.6GC%)を0.1から0.2g/分(接触時間20から25秒)の速度で反応管への供給を4.5時間かけて行った。反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去した後、すり抜けた有機物をドライアイストラップにて回収しところ、有機物を23.3g得た。この有機物をGC分析に供すると、デスフルランが96.8%にて生成していた。また、得られた有機物の収率は91%(供給原料2,2,2,1−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルのモル数基準)であった。
[比較例1−4]
電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316L製、直径2.5cm・長さ40cm)に触媒として調製例で調製した触媒を100mL充填した。約10mL/分の流量で窒素ガスを流しながら、反応管の温度を180℃に上げ、フッ化水素を約0.1g/分の速度で1時間にわたり導入した。次いで、原料である2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエチルジフルオロメチルエーテル(イソフルラン、99.9GC%)を約0.1g/分(接触時間25秒)の速度で反応管へ供給開始した。反応開始1時間後には反応は安定したので、反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去した後、生成物をガスクロマトグラフィーにて分析した。結果を表2に示す。
その後、反応管の温度を表1に示すように変更して(比較例2、比較例3、比較例4)、反応が安定した後、反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去し、生成物をガスクロマトグラフィーにて分析した。結果を表2に示す。
その後、反応管の温度を表1に示すように変更して(比較例2、比較例3、比較例4)、反応が安定した後、反応器から流出するガスを水中に吹き込んで酸性ガスを除去し、生成物をガスクロマトグラフィーにて分析した。結果を表2に示す。
本発明で対象とする2,2,2,1−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)は、吸入麻酔剤として利用できる。
Claims (5)
- フッ素化触媒が、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム、及びアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を金属酸化物もしくは活性炭に担持した金属化合物担持触媒である、請求項1に記載の方法。
- 前記金属化合物が、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及びオキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属ハロゲン化物もしくは金属オキシハロゲン化物である、請求項2に記載の方法。
- 前記金属酸化物が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びマグネシアからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の方法。
- 反応温度として100〜400℃の範囲で反応を行う、請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
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