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JP2018172975A - 内燃機関 - Google Patents

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JP2018172975A
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徳之 竹形
Noriyuki Takegata
徳之 竹形
啓太朗 中西
Keitaro Nakanishi
啓太朗 中西
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Abstract

【課題】 副室を備えた内燃機関において、副室を換気するための掃気通路から吸気ポートへの火炎ジェットの流入を防止する。【解決手段】 内燃機関1は、シリンダヘッド3の下端面に形成され、ピストン11と協働して主燃焼室12を形成する燃焼室壁面7と、燃焼室壁面に設けられ、主燃焼室と区画された副室24を画定する隔壁部材23と、隔壁部材を貫通し、主燃焼室と副室とを連通する連通孔34と、燃焼室壁面に開口し、開口端に弁座54を備えた吸気ポート15と、弁座に着座可能な傘部52を有する吸気バルブ17と、隔壁部材及びシリンダヘッドの少なくとも一方に形成され、主燃焼室に接続した一端と、副室に接続した他端とを備えた掃気通路63とを有し、掃気通路の一端は、傘部が弁座に着座した状態において傘部の外周縁部52Cに対向する位置に形成されている。【選択図】 図5

Description

本発明は、副室を備えた内燃機関に関する。
主燃焼室及び副室に区画された燃焼室を有する副室式内燃機関が公知である。副室式内燃機関は、副室において混合気を点火し、副室から連通孔を介して主燃焼室に噴出するトーチ状の火炎によって主燃焼室内の混合気を点火させる。このような副室式内燃機関において、副室に開口すると共に吸気ポートに設けられた吸気バルブの弁座に開口した掃気通路が設けられたものがある(例えば、特許文献1)。掃気通路は吸気バルブによって弁座側の端部が開閉され、副室内に滞留した既燃焼ガスが掃気通路を介して主燃焼室に排出される。
実開平5−83327号公報
しかしながら、吸気バルブと弁座との接触面積は比較的狭いため、弁座に開口した掃気通路の開口端を吸気バルブによって完全に閉じることは難しい。そのため、副室で発生した火炎ジェットが掃気通路を介して吸気ポート内に吹き込む虞がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、副室を備えた内燃機関において、掃気通路から吸気ポートへの火炎ジェットの流入を防止することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の一態様は、シリンダヘッド(3)の下端面に形成され、ピストン(11)と協働して主燃焼室(12)を形成する燃焼室壁面(7)と、前記燃焼室壁面に設けられ、前記主燃焼室と区画された副室(24)を画定する隔壁部材(23)と、前記隔壁部材を貫通し、前記主燃焼室と前記副室とを連通する連通孔(34)と、前記燃焼室壁面に開口し、開口端に弁座(54)を備えた吸気ポート(15)と、前記弁座に着座可能な傘部(52)を有する吸気バルブ(17)と、前記隔壁部材及び前記シリンダヘッドの少なくとも一方に形成され、前記主燃焼室に接続した一端と、前記副室に接続した他端とを備えた掃気通路(63)とを有し、前記掃気通路の前記一端は、前記傘部が前記弁座に着座した状態において前記傘部の外周縁部(52C)に対向する位置に形成されていることを特徴とする内燃機関(1)を提供する。
この態様によれば、掃気通路が吸気バルブの閉弁時に吸気バルブの傘部の外周縁部に対向しているため、傘部が抵抗となって火炎ジェットが掃気通路を流れることが抑制される。また、掃気通路が弁座よりも主燃焼側に開口しているため、掃気通路から火炎ジェットが流出したとしても、火炎ジェットは主燃焼室側に流れて吸気ポートに流入することはない。
また、上記の態様において、前記掃気通路の前記一端は、前記傘部が前記弁座に着座した状態において前記傘部の外周縁部に微小な隙間を介して対向しているとよい。
この態様によれば、傘部が抵抗となって火炎ジェットが掃気通路を流れることが抑制される。また、傘部の外周縁部と燃焼室壁面とが接触しないため、摩擦損失が発生することがない。また、傘部の外周縁部と燃焼室壁面と接触しないため、これらの加工が容易である。
また、上記の態様において、前記燃焼室壁面は、前記吸気ポートの前記主燃焼室側の開口端の周囲に、前記傘部の少なくとも一部を受容可能な傘部受容凹部(56)を有し、前記掃気通路の前記一端は、前記傘部受容凹部に開口しているとよい。
この態様によれば、吸気バルブの開弁初期において、掃気通路が開いたときに傘部の一部が傘部受容凹部内にあるため、傘部によって傘部受容凹部を介した吸気ポートと主燃焼室との接続が阻害される。そのため、ピストンの下降によって主燃焼室が負圧になると、吸気は掃気通路、副室、及び連通孔を順に介して主燃焼室に流れる。これにより、副室の換気が行われる。
また、上記の態様において、前記傘部受容凹部は、前記傘部の外周縁部と微小な隙間を介して対向する円周面状の側壁面(56B)を有し、前記掃気通路の前記一端は、前記側壁面に開口しているとよい。
この態様によれば、傘部が抵抗となって火炎ジェットが掃気通路を流れることが抑制される。
また、上記の態様において、前記隔壁部材の外側面は、前記傘部受容凹部に露出して前記傘部受容凹部の前記側壁面の一部を形成し、前記掃気通路は、前記隔壁部材の前記外側面の前記傘部受容凹部に露出した部分に開口しているとよい。
この態様によれば、隔壁部材に掃気通路が形成され、シリンダヘッドに掃気通路を形成する必要がないため、シリンダヘッドの構造を簡素にすることができる。
また、上記の態様において、前記隔壁部材の前記外側面には、前記側壁面と協働して連続した円周面を形成する切欠面(61)が形成され、前記掃気通路は前記切欠面に開口しているとよい。
この態様によれば、切欠面が側壁面と協働して円周面を形成するため、側壁面及び切欠面と傘部との間に一定の幅の隙間を形成することができる。これにより、傘部と隔壁部材との接触を避けることができる。
以上の構成によれば、副室を備えた内燃機関において、掃気通路から吸気ポートへの火炎ジェットの流入を防止することができる。
実施形態に係る内燃機関の断面図(図2のI−I断面図) 実施形態に係る燃焼室壁面を示すシリンダヘッドの底面図 実施形態に係る隔壁部材の斜視図 吸気バルブ及び排気バルブを省略した燃焼室壁面の斜視図 吸気バルブの閉弁状態における内燃機関の断面図(図2のV−V断面図) 吸気バルブの低リフト状態における内燃機関の断面図 吸気バルブの高リフト状態における内燃機関の断面図
以下、図面を参照して、本発明を内燃機関に適用した実施形態について説明する。
内燃機関1は、4ストローク機関であり、図1に示すように、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の上端面に締結されたシリンダヘッド3とを含むエンジン本体4を有する。シリンダブロック2には、シリンダブロック2の上端面に開口する断面円形のシリンダ5が形成されている。シリンダ5の軸線をシリンダ軸線Aとする。シリンダヘッド3の下端面においてシリンダ5の上端と対向する部分は、上方に向けて凹み、シリンダ5の上端をなす燃焼室壁面7を形成している。燃焼室壁面7は、いわゆるペントルーフ形に形成されている。
シリンダ5には、ピストン11がシリンダ軸線Aに沿って往復動可能に受容されている。燃焼室壁面7と、ピストン11の冠面とは協働して主燃焼室12を形成する。ピストン11は、コンロッドを介してクランクシャフト(不図示)に接続されている。クランクシャフトの延在方向をクランク軸線方向とする。
図1及び図2に示すように、燃焼室壁面7には、2つの吸気ポート15と、2つの排気ポート16とが開口している。クランク軸線及びシリンダ軸線Aに直交する方向を吸排気方向とすると、燃焼室壁面7において、吸排気方向の一側である吸気側に2つの吸気ポート15が配置され、他側である排気側に2つの排気ポート16が配置されている。吸気ポート15及び排気ポート16の燃焼室壁面7側の開口端は、ポペットバルブである吸気バルブ17及び排気バルブ18によって開閉される。
燃焼室壁面7の中央には、上方に向けて凹んだ受容孔20が凹設されている。受容孔20は、シリンダ軸線Aと同軸に配置され、内周面に雌ねじ20Aを有する。受容孔20は、上端に底面20Bを有し、下端において開口している。
受容孔20には隔壁部材23が受容されている。隔壁部材23は受容孔20と協働して主燃焼室12と区画された副室24を画定する。図1〜図3に示すように、隔壁部材23は、円筒形の筒部23Aと、筒部23Aの下端を閉塞する下壁部23Bとを有し、上方に向けて開口した凹部23Cを形成する。筒部23Aの外周面には、受容孔20の雌ねじ20Aと螺合する雄ねじ23Dが形成されている。
下壁部23Bは、中央部が下方に向けて凸となるように湾曲している。下壁部23Bの主燃焼室12側に露出した外面の外周部には、隔壁部材23の軸線を中心とした環状の工具係合部26が形成されている。工具係合部26は、隔壁部材23の外周面から径方向内方に凹んだ複数の凹部27を含む。各凹部27は、隔壁部材23の軸線を中心とした回転対称形に形成され、周方向に連続して配列されている。なお、凹部27の数は任意に設定することでき、例えば12個や6個等であってよい。工具係合部26に対応した工具を係合させ、工具を回転させることによって隔壁部材23に締め付けトルクを与えることができる。
下壁部23Bには、厚み方向に貫通し、主燃焼室12と副室24とを連通する複数の連通孔34が形成されている。各連通孔34は、直線状に延び、それぞれの軸線が副室24内における1つの交点において互いに交差している。すなわち、各連通孔34は、連通孔34の軸線の交点を中心とした放射状に延びている。各連通孔34は、隔壁部材23の軸線を中心として回転対称形に形成され、それぞれの交点はシリンダ軸線Aと一致する隔壁部材23の軸線上に位置している。本実施形態では、連通孔34は10個設けられ、隔壁部材23の軸線を中心として周方向に等間隔に配置されている。各連通孔34の主燃焼室12側の開口端は下壁部23Bの下面における工具係合部26の内側に開口している。
図1に示すように、シリンダヘッド3には、受容孔20の底面20Bの中央から上方に延びる接続通路35と、接続通路35に接続したインジェクタ孔36及び点火プラグ孔37とが形成されている。接続通路35は、下端において隔壁部材23の凹部23Cと接続し、副室24の一部を形成する。インジェクタ孔36及び点火プラグ孔37は、上端においてシリンダヘッド3の上面に開口しており、下端において接続通路35の上端に接続している。インジェクタ孔36は、クランク軸線と直交する平面上に配置され、上方に向けて吸気側に傾斜している。シリンダ軸線Aに沿った方向から見てインジェクタ孔36は、隣り合う吸気ポート15の間に配置されている。点火プラグ孔37は、クランク軸線と直交する平面上に配置され、上方に向けて排気側に傾斜している。シリンダ軸線Aに沿った方向から見てインジェクタ孔36は、隣り合う排気ポート16の間に配置されている。
インジェクタ孔36にはインジェクタ41が挿入されている。インジェクタ41は、先端に燃料を噴射する噴孔を備えたノズル41Aを有する。インジェクタ41は、噴孔を備えたノズル41Aの先端が接続通路35に位置するように配置されている。
点火プラグ孔37には、スパークプラグである点火プラグ42が挿入されている。点火プラグ42は、軸状に延びる本体部42Aと、本体部42Aの先端中央に設けられた中心電極42Bと、本体部42Aの先端周縁から突出した接地電極42Cとを有する。本体部42Aの外周面には、雄ねじが形成されており、点火プラグ孔37の下部に形成された雌ねじに螺合している。中心電極42Bと接地電極42Cの先端部との間は、発火部となり、点火時に中心電極42Bに電圧が印加されることによって火花が発生する。中心電極42B及び接地電極42Cは、接続通路35に配置されている。
燃焼室壁面7における2つの吸気ポート15の間の部分には上方に凹んだ凹部45が形成されている。シリンダヘッド3には、吸気側の外側面から凹部45の側面に延びる第2インジェクタ孔46が形成されている。第2インジェクタ孔46には、第2インジェクタ47が挿入されている。第2インジェクタ47は、先端の噴孔が主燃焼室12に配置され、主燃焼室12に向けて燃料を噴射する。
図5に示すように、各吸気バルブ17は、軸部51と、軸部51の一端に設けられた傘部52とを有する。傘部52は、略円板状に形成され、軸部51と同軸に配置されている。傘部52は、主燃焼室12側に設けられた傘表部52Aと、吸気ポート15側に設けられた傘裏部52Bと、傘表部52Aと傘裏部52Bとの境界に沿って設けられた外周縁部52Cとを有する。外周縁部52Cは、軸部51の軸線を中心とした円周面状に形成されている。傘裏部52Bは、中央部が軸部51側に突出した略円錐面に形成されている。傘裏部52Bの外周縁には、軸部51の軸線を中心とした円環状のバルブフェース52Dが形成されている。傘表部52A及び外周縁部52Cの表面には断熱コーティングが施されていることが好ましい。
図4及び図5に示すように、吸気ポート15の開口端には、傘部52が着座可能な弁座54が設けられている。弁座54は、環状をなし、吸気ポート15の開口端に沿って配置されている。吸気バルブ17は、バルブフェース52Dにおいて弁座54に当接し、吸気ポート15を閉じる。
燃焼室壁面7における各吸気ポート15の開口端の周囲には、吸気ポート15を囲むように、環状の傘部受容凹部56が形成されている。傘部受容凹部56は、吸気ポート15の開口端の軸線に対して略垂直となる底面56Aと、吸気ポート15の開口端の軸線を中心とした円周面状の側壁面56Bとを有する。弁座54は、傘部受容凹部56の底面56Aに配置されている。傘部受容凹部56は、吸気ポート15を主燃焼室12側に延長し、かつ直径を拡大した通路をなす。傘部受容凹部56は、傘部52の少なくとも一部を受容可能であり、本実施形態では傘部52の全てを受容可能となっている。
傘部受容凹部56の側壁面56Bは、傘部52の直径よりも若干大きく形成されている。これにより、径方向において互いに対向する傘部受容凹部56の側壁面56Bと傘部52の外周縁部52Cとの間に微小な隙間が形成され、両者の接触が避けられる。傘部受容凹部56の側壁面56Bと傘部52の外周縁部52Cとの間に形成される隙間は、側壁面56B及び外周縁部52Cの接触を避けうる範囲で可能な限り小さいことが好ましい。
傘部受容凹部56の深さは、吸気バルブ17が弁座54に着座した閉弁時において傘表部52Aが傘部受容凹部56内に位置することができる程度に設定されていることが好ましい。吸気ポート15の開口端の軸線方向において、傘部受容凹部56の側壁面56Bの長さは、傘部52の外周縁部52Cの長さよりも長く設定されている。吸気バルブ17の開弁時には、傘部52の外周縁部52Cの全域が傘部受容凹部56の外方、すなわち主燃焼室12内に位置する。
受容孔20と傘部受容凹部56とは、それぞれの周縁部の一部において互いに接続している。すなわち、受容孔20と傘部受容凹部56とは重なりを有する。隔壁部材23の筒部23Aの外周面には、各傘部受容凹部56内への突出を避けるために、外周面の一部を切り欠いた2つの切欠面61が形成されている。切欠面61は、隔壁部材23の成形時に形成されてもよく、或は隔壁部材23の成形後に切削等の機械加工によって形成されてもよい。切欠面61のそれぞれは、対応する傘部受容凹部56に露出し、側壁面56Bと滑らかに接続し、円周面をなす側壁面56Bの一部を構成する。各切欠面61は、吸気バルブ17が閉弁状態にあるときに、微小な隙間を介して傘部52の外周縁部52Cに対向する。
隔壁部材23には、筒部23Aを径方向に貫通し、筒部23Aの内周面に開口した内端及び切欠面61に開口した外端を備えた2つの掃気通路63が形成されている。各掃気通路63は、内端において副室24に接続し、外端において傘部受容凹部56を介して主燃焼室12に接続している。掃気通路63の外端は、吸気バルブ17が弁座54に着座した状態において、微小な隙間を介して傘部52の外周縁部52Cに対向する位置に配置されている。
次に、内燃機関1の作用及び効果について説明する。吸気バルブ17は、軸部51の延在方向に往復動し、バルブフェース52Dにおいて弁座54に当接して吸気ポート15を閉じる閉弁状態と、弁座54から離れて吸気ポート15を開く開弁状態とを取ることができる。吸気バルブ17は、概ね内燃機関1の吸気行程において開弁状態となり、圧縮行程、膨張行程、及び排気行程において閉弁状態となる。
図5に示すように、吸気バルブ17が閉弁状態のとき、掃気通路63の外端の正面には微小な隙間を介して傘部52の外周縁部52Cが配置される。そのため、掃気通路63の外端は、外周縁部52Cによって概ね閉じられた状態となる。そのため、副室24内で混合気が着火し、副室24内の圧力が上昇するときにも、副室24内の火炎ジェット(既燃ガス噴流)は掃気通路63を通過せずに主に複数の連通孔34を通過して主燃焼室12に流れる。また、掃気通路63に火炎ジェットの一部が流れたとしても、掃気通路63の外端は傘部受容凹部56の側壁面56Bと傘部52の外周縁部52Cとの間に形成された微小な隙間を通過して主燃焼室12に流れる(図中の黒色矢印)。
吸気バルブ17が、閉弁状態から軸部51の延在方向に沿って主燃焼室12側に移動すると、バルブフェース52Dが弁座54から離れ、吸気ポート15が開かれる。しかし、開弁初期の吸気バルブ17の低リフト時には傘部52の少なくとも一部が傘部受容凹部56内に位置するため、傘部52が抵抗となって、吸気ポート15から傘部受容凹部56を通過して主燃焼室12に流れる吸気量は制限される。吸気バルブ17の低リフト時には、傘部52の外周縁部52Cと傘部受容凹部56の側壁面56Bとが互いに対向する部分を有し、吸気はそれらの間に形成される微小な隙間を通過して主燃焼室12に流入する。
図6に示すように、吸気バルブ17の低リフト時において、吸気バルブ17のリフト量が大きくなると、傘部52の外周縁部52Cが掃気通路63の外端よりも下位に位置し、掃気通路63の外端が傘部受容凹部56における傘裏部52B側の空間に接続する。すなわち、吸気バルブ17の下降によって、掃気通路63が開かれる。この状態では、吸気ポート15は、傘部受容凹部56の傘裏部52B側の空間、掃気通路63、副室24、及び連通孔34を介して主燃焼室12に接続する。吸気行程では、ピストン11の下降によって主燃焼室12が負圧になるため、吸気は吸気ポート15から、傘部受容凹部56の傘裏部52B側の空間、掃気通路63、副室24、連通孔34を順に通過して主燃焼室12に流れる(図中の黒色矢印)。これにより、副室24内に滞留した既燃焼ガスは吸気と共に主燃焼室12に流れ、副室24が換気される。
図7に示すように、掃気通路63が開いた後、吸気バルブ17のリフト量が更に大きくなると、傘部52が傘部受容凹部56から離脱し、傘部52の外周縁部52Cの吸気通路側の端部(上端)と傘部受容凹部56の側壁面56Bの主燃焼室12側の端部(下端)との間に隙間が形成され、吸気は主にこの隙間を通過して吸気ポート15から主燃焼室12に流れる。この状態を吸気バルブ17の高リフト状態という。なお、吸気の一部は、掃気通路63、副室24、及び連通孔34を順に通過して主燃焼室12に流れる。
本実施形態の内燃機関1によれば、掃気通路63は、図5に示すように吸気バルブ17の閉弁時に吸気バルブ17の傘部52の外周縁部52Cに対向しているため、傘部52が抵抗となって火炎ジェットが掃気通路63を流れることが抑制される。また、掃気通路63が弁座54よりも主燃焼側に位置する切欠面61に開口しているため、掃気通路63を火炎ジェットが流れたとしても、火炎ジェットは傘部52の外周縁部52Cと傘部受容凹部56の側壁部との間の隙間を通過して主燃焼室12側に流れるため、火炎ジェットが吸気ポート15に流入することはない。
傘部52の外周縁部52Cが隙間を介して掃気通路63の外端に対向し、かつ傘部52の外周縁部52Cと傘部受容凹部56の側壁部との間に隙間が形成されているため、火炎ジェットによって掃気通路63の外端に生じる圧力の上昇が抑制され、火炎ジェットが吸気ポート15側に流れることが抑制される。また、傘部52の外周縁部52Cと傘部受容凹部56の側壁部との間に隙間が形成されているため、吸気バルブ17が開閉するときに、傘部52と傘部受容凹部56との接触が避けられ、摩擦損失が生じることが防がれる。
図6に示すように開弁初期の低リフト時に傘部52が傘部受容凹部56から離脱する前に掃気通路63が開かれるため、吸気ポート15から傘部受容凹部56における傘裏部52B側の空間、掃気通路63、副室24、及び連通孔34を順に通過して主燃焼室12に到る吸気の経路が形成され、副室24内を吸気が通過することによって副室24の換気が確実に行われる。また、主燃焼室12に到る前の比較的温度が低い吸気が副室24に供給されるため、副室24及び隔壁部材23の冷却が促進され、隔壁部材23を起点としたプレイグニッションが抑制される。
受容孔20と傘部受容凹部56とが接続し、隔壁部材23が傘部受容凹部56に露出しているため、掃気通路63を隔壁部材23のみに形成することができる。これにより、掃気通路63をシリンダヘッド3に形成する必要がなくなり、シリンダヘッド3の構造が簡素になる。隔壁部材23は、筒部23Aの外面に形成された切欠面61において傘部52に対向するため、簡単な構成で傘部52との接触を避けることができる。また、切欠面61は傘部受容凹部56の側壁面56Bと協働して円周面を形成するため、傘部52と側壁面56B及び切欠面61との間の隙間の幅が一定になり、隔壁部材23と傘部52との接触を一層確実に避けることができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、他の実施形態では、受容孔20と傘部受容凹部56とが互いに離れて形成されてもよい。この場合、副室24の内部と傘部受容凹部56とを接続する掃気通路63は、隔壁部材23及びシリンダヘッド3の両方に形成されてもよい。また、掃気通路63は、隔壁部材23を通過せずに、シリンダヘッド3のみに形成されてもよい。この場合、掃気通路63の副室24側の開口端は受容孔20又は接続通路35に開口しているとよい。また、本実施形態では、掃気通路63が2つ設けられ、吸気ポート15のそれぞれに接続した構成であるが、他の実施形態では掃気通路63の数は任意に設定してよく、吸気ポート15のいずれか1つに接続する構成にしてもよい。
1 :内燃機関
3 :シリンダヘッド
7 :燃焼室壁面
11 :ピストン
12 :主燃焼室
15 :吸気ポート
17 :吸気バルブ
20 :受容孔
23 :隔壁部材
24 :副室
34 :連通孔
51 :軸部
52 :傘部
52A :傘表部
52B :傘裏部
52C :外周縁部
54 :弁座
56 :傘部受容凹部
56A :底面
56B :側壁面
61 :切欠面
63 :掃気通路

Claims (6)

  1. シリンダヘッドの下端面に形成され、ピストンと協働して主燃焼室を形成する燃焼室壁面と、
    前記燃焼室壁面に設けられ、前記主燃焼室と区画された副室を画定する隔壁部材と、
    前記隔壁部材を貫通し、前記主燃焼室と前記副室とを連通する連通孔と、
    前記燃焼室壁面に開口し、開口端に弁座を備えた吸気ポートと、
    前記弁座に着座可能な傘部を有する吸気バルブと、
    前記隔壁部材及び前記シリンダヘッドの少なくとも一方に形成され、前記主燃焼室に接続した一端と、前記副室に接続した他端とを備えた掃気通路とを有し、
    前記掃気通路の前記一端は、前記傘部が前記弁座に着座した状態において前記傘部の外周縁部に対向する位置に形成されていることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記掃気通路の前記一端は、前記傘部が前記弁座に着座した状態において前記傘部の外周縁部に微小な隙間を介して対向していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記燃焼室壁面は、前記吸気ポートの前記主燃焼室側の開口端の周囲に、前記傘部の少なくとも一部を受容可能な傘部受容凹部を有し、
    前記掃気通路の前記一端は、前記傘部受容凹部に開口していることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記傘部受容凹部は、前記傘部の外周縁部と微小な隙間を介して対向する円周面状の側壁面を有し、
    前記掃気通路の前記一端は、前記側壁面に開口していることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関。
  5. 前記隔壁部材の外側面は、前記傘部受容凹部に露出して前記傘部受容凹部の前記側壁面の一部を形成し、
    前記掃気通路は、前記隔壁部材の前記外側面の前記傘部受容凹部に露出した部分に開口していることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関。
  6. 前記隔壁部材の前記外側面には、前記側壁面と協働して連続した円周面を形成する切欠面が形成され、
    前記掃気通路は前記切欠面に開口していることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関。
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