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JP2018163248A - 画像取得方法および画像取得装置 - Google Patents

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JP2018163248A JP2017059951A JP2017059951A JP2018163248A JP 2018163248 A JP2018163248 A JP 2018163248A JP 2017059951 A JP2017059951 A JP 2017059951A JP 2017059951 A JP2017059951 A JP 2017059951A JP 2018163248 A JP2018163248 A JP 2018163248A
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恭子 伊東
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Abstract

【課題】細胞等の生体試料を明視野で撮影し、生体試料の観察に適した観察用画像を取得することができる画像取得方法および画像取得装置を提供する。【解決手段】まず、生体試料に照明光を照射しつつ、中心波長の異なる複数の波長帯域において生体試料を撮影する(ステップS1)。次に、取得した複数の撮影画像について、画素毎に、波長帯域の変化に対する輝度の変化を表す波長プロファイルを得る(ステップS2)。そして、波長プロファイルに応じて、各画素を複数のクラスターに分類する(ステップS3)。その後、各画素に、分類されたクラスターに対応する階調値を割り当てることにより、観察用画像を生成する(ステップS4)。これにより、生体試料の観察に適した観察用画像を生成できる。【選択図】図3

Description

本発明は、画像取得方法および画像取得装置に関する。
医療や生物化学の分野では、観察対象である細胞の撮像を行う。観察用の容器内に収容された細胞を観察する際、透明な細胞はその特徴を観察するのが困難な場合がある。そこで、従来、細胞の視認性を高めるため、染料を用いた細胞の染色が行われている。しかしながら、染色を行うと細胞がダメージを負うという問題がある。このため、無染色で細胞の視認性を高める必要がある。従来の明視野における細胞の撮像方法は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の撮像方法では、撮像系の焦点距離を合焦点からずらすことにより、コントラストの向上を図っている。
特開2008−20498号公報
しかしながら、特許文献1に記載の撮像方法では、視野内に形状の異なる複数種類の細胞がある場合、細胞同士が重なり合っている場合、または細胞が密集して配置される場合などでは、観察に十分なコントラストを得ることが難しい場合がある。
また、視認性の高い細胞の画像を得るために、例えば、位相差顕微鏡を用いることも考えられる。しかしながら、位相差顕微鏡には、位相差観察用の対物レンズ、位相板、コンデンサ等の多くの部品が必要であり、装置構成が複雑となる。また、位相差顕微鏡では、比較的大きな細胞塊を撮影する際に、細胞塊と背景との間にハローと呼ばれる光の輪郭が生じる。このため、輪郭付近の構造を詳細に観察したい場合には、位相差顕微鏡は不向きである。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、細胞等の生体試料を明視野で撮影し、生体試料の観察に適した観察用画像を取得することができる画像取得方法および画像取得装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、生体試料を撮影して観察用画像を生成する画像取得方法であって、a)前記生体試料に照明光を照射しつつ、中心波長の異なる複数の波長帯域において前記生体試料を撮影する工程と、b)前記工程a)で取得した複数の前記撮影画像について、画素毎に、前記波長帯域の変化に対する輝度の変化を表す波長プロファイルを得る工程と、c)前記波長プロファイルに応じて、各画素を複数のクラスターに分類する工程と、d)各画素に、分類された前記クラスターに対応する階調値を割り当てることにより、前記観察用画像を生成する工程と、を有する。
本願の第2発明は、第1発明の画像取得方法であって、前記工程c)では、前記波長プロファイルの特徴が近い画素を同一のクラスターに分類する。
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の画像取得方法であって、前記工程c)では、k−means法を用いて、各画素を複数のクラスターに分類する。
本願の第4発明は、第1発明ないし第3発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程d)では、前記クラスターに属する前記波長プロファイルの所定の波長帯域における輝度値の平均値に基づいて、前記階調値を割り当てる。
本願の第5発明は、第1発明ないし第4発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程d)では、特定のクラスターに属する画素を、強調表示する。
本願の第6発明は、第1発明ないし第5発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程c)において分類されるクラスターの数を変更する工程をさらに有する。
本願の第7発明は、第1発明ないし第6発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程a)では、中心波長の異なる4つ以上の波長帯域において前記生体試料を撮影する。
本願の第8発明は、第1発明ないし第7発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程a)において、前記複数の波長帯域は、それぞれ、その半値幅が150ナノメートル以下である。
本願の第9発明は、第1発明ないし第8発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程a)では、合焦点位置から光軸に沿って所定の距離ずれた位置を焦点位置として、前記生体試料を撮影する。
本願の第10発明は、第1発明ないし第9発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程a)では、通過帯域が可変のバンドパスフィルタを介して、前記生体試料を撮影する。
本願の第11発明は、第1発明ないし第10発明のいずれかの画像取得方法であって、前記工程a)では、開口数NAが0.3以下の照明光学系を介して、前記生体試料に前記照明光を照射する。
本願の第12発明は、第1発明ないし第11発明のいずれかの画像取得方法であって、前記照明光学系の前記開口数NAと撮像光学系の開口数NAとの比であるコヒーレンスファクターσが、0.6以下である。
本願の第13発明は、第1発明ないし第12発明のいずれかの画像取得方法であって、前記生体試料は細胞である。
本願の第14発明は、生体試料を撮影して観察用画像を生成する画像取得装置であって、前記生体試料に照明光を照射する照明部と、前記照明光が照射された前記生体試料を撮影する撮像部と、前記撮像部により取得された撮影画像を加工する画像処理部と、を備え、前記撮像部は、中心波長の異なる複数の波長帯域において前記生体試料を撮影し、前記画像処理部は、複数の前記撮影画像について、画素毎に、前記波長帯域の変化に対する輝度の変化を表す波長プロファイルを生成し、前記波長プロファイルに応じて、各画素を複数のクラスターに分類する。
本願の第1発明から第14発明によれば、波長プロファイルに応じて、各画素を複数のクラスターに分類する。これにより、生体試料の観察に適した観察用画像を生成できる。
特に、本願の第4発明によれば、未処理画像の輝度値分布を反映した観察用画像を生成できる。これにより、より自然な観察用画像を得ることができる。
特に、本願の第6発明によれば、例えば、画像中の背景に相当する部分が多くのクラスターに分類され、生体試料に相当する部分のクラスター数が少ない場合に、クラスターの数を増加させて、生体試料に相当する部分を十分なクラスター数に分類できる。
特に、本願の第8発明によれば、撮影に用いる複数の波長帯域を、それぞれ狭帯域とする。これにより、工程b)において、変化の大きい波長プロファイルを得ることができる。その結果、工程c)において、各画素をより適切に分類できる。
特に、本願の第9発明によれば、合焦点位置から少し離れた位置に焦点位置をずらすことにより、透明な生体試料の明瞭な画像を得ることができる。
特に、本願の第12発明によれば、よりコントラストの高い画像が得られる。
細胞観察装置の概略図である。 培養容器の斜視図である。 細胞観察装置の動作の流れを示したフローチャートである。 撮影処理の流れを示したフローチャートである。 複数の撮影画像を概念的に示した図である。 波長プロファイルの例を示したグラフである。 撮影画像の例を示した図である。 観察用画像の例を示した図である。 コヒーレンスファクターによる撮影画像の変化を示した図である。 波長帯域の半値幅による撮影画像の変化を示した図である。 焦点位置と細胞の見え方との関係を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.細胞観察装置の構成>
図1は、本発明の画像取得装置の一実施形態に係る細胞観察装置1の構成を示した概略図である。本実施形態の細胞観察装置1は、撮影位置Pに配置された培養容器9内に保持された生体試料である細胞92を撮影して、観察用画像Ioを生成する装置である。図2は、培養容器9の斜視図である。
培養容器9は、複数の窪部900を有するウェルプレートである。複数の窪部900は、二次元的に規則的に配列されている。また、各窪部900は、光透過性の底部を有する。培養容器9は、各窪部900内に、培養液91を収容するとともに、観察対象である細胞92を培養液91内に保持する。各窪部900の内部において細胞92を培養することにより、窪部900の底部に沿って細胞92が培養される。以下では、培養容器9と、培養容器9内の培養液91および細胞92を併せて試料90と称する。なお、培養容器9は、ウェルプレートに代えて、ガラスや樹脂等で形成された光透過性のシャーレであってもよい。
図1に示すように、細胞観察装置1は、照明部20と、撮像光学系30と、撮像部40と、コンピュータ60とを有する。照明部20、撮像光学系30および撮像部40は、装置本体(図示せず)に支持される。
照明部20は、光源21と、照明光学系22とを含む。照明部20は、撮影位置Pの上方に配置される。照明部20は、細胞92の撮影時に、撮影対象となる試料90に対して上側から照明光を照射する。
本実施形態の光源21は、ハロゲンランプである。このため、光源21は、多数の波長の光が混在する白色光を出射する。
照明光学系22は、バンドパスフィルタ50と、コレクタレンズ221、視野絞り222、開口絞り223、およびコンデンサレンズ224とを有する。光源21から出射された照明光は、コレクタレンズ221、視野絞り222、バンドパスフィルタ50、開口絞り223およびコンデンサレンズ224を順に通過した後、試料90に照射される。
バンドパスフィルタ50は、特定の狭波長帯域を通過帯域とする光学フィルタである。バンドパスフィルタ50は、光源21から出射された、広い波長帯を有する白色光のうち、狭波長帯の光(単色光)のみを通過させる。照明光学系22がバンドパスフィルタ50を含むことにより、照明部20は、試料90に対して、狭波長帯の照明光を照射する。また、本実施形態のバンドパスフィルタ50には、通過帯域を変化させることが可能なフィルタ(例えば、液晶チューナブルフィルタ)が用いられる。
コレクタレンズ221は、光源21から出射された照明光の向きを調整するレンズである。視野絞り222は、撮影位置Pにおける照明領域を調節する。開口絞り223は、照明光学系22の開口数NAを調整する。コンデンサレンズ224は、照明光を集光させる。照明光学系22の開口数NAは、例えば、0.3以下とすることが好ましい。
撮像光学系30は、撮影位置Pと撮像部40との間に配置される。撮像光学系30は、対物レンズ31、開口絞り32、結像レンズ33、ビームスプリッター34および接眼レンズ35を有する。対物レンズ31は、観察対象を拡大して像を映し出すためのレンズである。開口絞り32は、撮像光学系30の開口数NAを調整する。結像レンズ33は、撮像部40の受光面および接眼レンズ35に撮像対象物の像を結像させる。ビームスプリッター34は、結像レンズ33を通過した光を撮像部40側と接眼レンズ35側とに分岐させる。
照明部20により照射され、試料90を透過した光は、対物レンズ31、開口絞り32および結像レンズ33を介して進む。そして、ビームスプリッター34において接眼レンズ35へと向かう光と、撮像部40へと向かう光とに分かれる。ビームスプリッター34は、接眼レンズ35へ向かう光と撮像部40へ向かう光との比率を、切り替え可能であってもよい。接眼レンズ35は、結像位置350よりもビームスプリッター34から離れた位置に配置される。接眼レンズ35は、観察者が観察を行う際に覗くレンズである。対物レンズ31で拡大した像を接眼レンズ35でさらに拡大して観察できる。
なお、図1において、照明光学系22および撮像光学系30を構成する各部は、光軸に沿って一列に配列されている。しかしながら、照明光学系22および撮像光学系30における光路は、反射鏡等によって折り返されてもよい。
撮像部40は、受光面に結像した試料90の二次元画像を、デジタル画像データとして取得する。すなわち、撮像部40は、撮影位置Pに配置された細胞92を撮像する。撮像部40には、例えば、CCDカメラや、CMOSカメラが用いられる。
この細胞観察装置1では、照明部20が、上述したバンドパスフィルタ50によって、白色光よりも波長帯域が小さい狭波長帯の照明光を試料90へ照射する。また、この細胞観察装置1は、バンドパスフィルタ50の通過帯域を変化させることができる。このため、撮像部40は、中心波長の異なる複数の波長帯域において、細胞92の画像を取得することが可能である。
なお、本実施形態では、照明部20が試料90の上方から照明光を照射し、撮像部40が試料90の下方からの映像を撮像する。しかしながら、本発明の細胞観察装置は、このような構造に限られない。照明部20が試料90の下方から照明光を照射し、撮像部40が試料90の上方からの映像を撮像してもよい。
コンピュータ60は、細胞観察装置1内の各部を動作制御する制御部としての機能と、撮像部40により取得された撮影画像I1〜Inを加工する画像処理部としての機能と、を有する。図1中に概念的に示したように、コンピュータ60は、CPU等のプロセッサ601、RAM等のメモリ602、およびハードディスクドライブ等の記憶部603を有する。記憶部603には、動作制御プログラムP1と画像処理プログラムP2とが、記憶されている。また、コンピュータ60は、上述した光源21、バンドパスフィルタ50、および撮像部40と、電気的に接続されている。
コンピュータ60は、動作制御プログラムP1に従って動作することにより、上述した光源21、バンドパスフィルタ50、および撮像部40を動作制御する。これにより、細胞観察装置1における細胞92の撮影処理が進行する。後述の通り、この細胞観察装置1では、バンドパスフィルタ50の通過帯域を変化させつつ、複数回の撮影を行う。これにより、コンピュータ60は、撮像部40から、複数の撮影画像I1〜Inを取得する。また、コンピュータ60は、複数の撮影画像I1〜Inに、画像処理プログラムP2に基づく画像処理を行う。これにより、複数の撮影画像I1〜Inが、細胞92の観察に適した1つの観察用画像Ioに変換される。
<2.細胞観察装置の動作>
続いて、上述した細胞観察装置1の動作について、より詳細に説明する。図3は、細胞観察装置1の動作の流れを示したフローチャートである。
細胞観察装置1において細胞92の観察を行うときには、まず、細胞92が保持された培養容器9を、細胞観察装置1の撮影位置Pにセットする。そして、コンピュータ60に撮影開始の指示を入力する。すると、コンピュータ60は、光源21を点灯させて、細胞92に照明光を照射する。そして、コンピュータ60は、バンドパスフィルタ50と撮像部40とを動作させて、細胞92のマルチスペクトル撮影(多波長撮影)を行う(ステップS1)。すなわち、バンドパスフィルタ50の通過帯域を変化させつつ、撮像部40による細胞92の撮影を、複数回行う。
図4は、ステップS1における撮影処理の流れを、より詳細に示したフローチャートである。図4に示すように、ステップS1では、撮像部40による1回の細胞92の撮影(ステップS11)を実行した後、撮影すべき次の波長帯域があるか否かが、コンピュータ60によって判断される(ステップS12)。撮影すべき波長帯域の数は、例えば、4つ以上とすればよい。撮影すべき次の波長帯域がある場合には(ステップS12においてyes)、バンドパスフィルタ50の通過帯域を、その波長帯域に切り替えて(ステップS13)、再び細胞92の撮影を行う(ステップS11)。そして、予め設定された全ての波長帯域の撮影画像が取得されるまで、ステップS11〜S13の処理を繰り返す。やがて、撮影すべき波長帯域が無くなると(ステップS12においてno)、細胞観察装置1は、細胞92の撮影を終了する。これにより、中心波長の異なる複数の波長帯域において撮影された、複数の撮影画像I1〜In(n:2以上の整数)が得られる。
なお、図4は、培養容器9内の1つの撮影領域(視野)についての撮影手順である。培養容器9内の複数の撮影領域において、細胞92の画像を取得したい場合には、細胞観察装置1は、撮影領域ごとに、図4の処理を実行すればよい。
図3に戻る。ステップS1の撮影処理が終了すると、コンピュータ60は、取得した複数の撮影画像I1〜Inから、1つの観察用画像Ioを生成する処理を行う(ステップS2〜S4)。
図5は、ステップS1で取得された複数の撮影画像I1〜Inを、概念的に示した図である。複数の撮影画像I1〜Inは、それぞれ、複数の画素pにより構成される。コンピュータ60は、まず、複数の撮影画像I1〜Inについて、同一の座標に位置する画素p同士(例えば、図5中に示した画素p同士)を比較する。そして、画素pが存在する座標(以下、「画素座標C」と称する)ごとに、波長プロファイルWを作成する(ステップS2)。具体的には、同一の画素座標Cに位置する画素p同士を比較して、輝度の変化を表す波長プロファイルWを作成する。そして、このような波長プロファイルWを、全ての画素座標Cについて作成する。
その結果、例えば、図6のように、波長帯域の変化に対する輝度の変化を表す波長プロファイルWが、画素座標Cごとに得られる。図6の横軸は、撮影時の波長帯域の中心波長を示す。図6の縦軸は、輝度を示す。
図3に戻る。複数の波長プロファイルWが得られると、続いて、コンピュータ60は、各画素座標Cを、複数のクラスターに分類する(ステップS3)。ここでは、画素座標Cごとに、ステップS2で得られた波長プロファイルWを参照する。そして、各画素座標Cを、波長プロファイルWの特徴に応じて、予め用意された複数のクラスターの1つに分類する。このとき、コンピュータ60は、波長プロファイルWの特徴が近い画素座標Cを、同一のクラスターに分類する。例えば、波長プロファイルWの傾き、変曲点の数、変曲点の位置、輝度の平均値、輝度の最大値、輝度の最小値等の複数の要素を考慮して、画素座標Cを、複数のクラスターに分類する。
また、ステップS3のクラスターの分類には、k−means法を用いてもよい。k−means法を用いる場合には、まず、複数の画素座標Cを、予め決められた数のクラスターに、ランダムまたは所定の法則に従って分類する。次に、各クラスターに属する波長プロファイルWの中心を求める。その後、複数の画素座標Cを、波長プロファイルWの中心が最も近いクラスターに分類し直す。コンピュータ60は、このような処理を、各画素座標Cの分類結果が変動しなくなるまで、あるいは、所定の停止条件を満たすまで繰り返す。このようなk−means法を用いれば、各画素座標Cを、波長プロファイルWに応じて、複数のクラスターに適切かつ自動的に分類できる。
その後、コンピュータ60は、ステップS3の分類結果に基づいて、観察用画像Ioを生成する(ステップS4)。ここでは、観察用画像Ioの各画素に(すなわち各画素座標Cに)、分類されたクラスターに対応する階調値を割り当てる。これにより、細胞92の観察に適した観察用画像Ioが得られる。
図7は、ステップS1において取得される撮影画像I1〜Inの例を示した図である。図8は、ステップS4において生成される観察用画像Ioの例を示した図である。図7と図8とを比較すると、図7の撮影画像よりも、図8の観察用画像Ioの方が、細胞92の位置や形を明瞭に把握できる。すなわち、上述した波長プロファイルWに基づくクラスター分けによって、撮影画像I1〜Inよりも細胞92の観察に適した観察用画像Ioが生成されていることが分かる。
なお、上述した階調値には、例えば、クラスターに属する複数の画素座標Cの波長プロファイルWから算出される輝度値を用いるとよい。具体的には、クラスターに属する複数の画素座標Cの波長プロファイルWの、所定の波長帯域における輝度値の平均値を、そのクラスターに対応する階調値とすればよい。上述した「所定の波長帯域」は、マルチスペクトル撮影に用いた全波長帯域であってもよいし、一部の波長帯域であってもよい。
このように、観察用画像Ioの各画素の階調値は、撮影画像I1〜Inがもつ輝度値を使って算出されることが好ましい。これにより、撮影画像I1〜Inの輝度値分布を反映した、より自然な観察用画像Ioを得ることができる。
<3.撮影条件について>
続いて、上述したステップS1における、好ましい撮影条件について、説明する。この細胞観察装置1では、無染色の細胞92を観察することを想定している。一般的に細胞92は無色透明に近いため、無染色状態の細胞92を明視野下で観察しようとすると、その構成要素の輪郭を特定しにくい。このため、ステップS1のマルチスペクトル撮影においては、コヒーレンスファクターσ、照明光の波長帯域の半値幅、および焦点位置を、適切に設定して、撮影画像I1〜Inのコントラストを高めることが好ましい。
<3−1.コヒーレンスファクターについて>
初めに、コヒーレンスファクターσの条件について、図9を参照しつつ説明する。図9は、コヒーレンスファクターσの値を変化させて撮像部40が取得した撮影画像を示した図である。
コヒーレンスファクターσは、照明光学系22の開口数NAと、撮像光学系30の開口数NAとの比である。具体的には、コヒーレンスファクターσは、照明光学系22の開口数NAを撮像光学系30の開口数NAで割った値である。コヒーレンスファクターσを小さくすることにより、撮像部40で取得できる画像のコントラストを向上できる。
図9には、コヒーレンスファクターσの値をσ=1.00、σ=0.83、σ=0.58、σ=0.36、σ=0.26、およびσ=0.14とした場合の細胞92の撮影画像の例が示されている。図9の例の細胞92は、細胞体921と、細胞体921から突出した突起922と、細胞体921の内部の微細構造923とを有する。なお、このときのバンドパスフィルタ50の中心波長は550nmであり、半値幅は39nmである。したがって、細胞92に照射される狭波長帯の照明光の中心波長は550nm、半値幅は39nmである。
図9に示すように、コヒーレンスファクターσの値が小さくなるにつれ、細胞92の撮影画像のコントラストが向上する。特に、σ=0.83の場合にはぼやけていた細胞体921の輪郭が、σ=0.58の場合にははっきりと視認できる。また、σ=0.83の場合には視認が困難な突起922の輪郭や、細胞体921の微細構造923の輪郭の存在を、σ=0.58の場合には視認できる。このように、コヒーレンスファクターσの値をσ=0.6以下とすることにより、明視野において透明な細胞92の各部を視認できる程度まで、撮影画像のコントラストを向上できる。
また、σ=0.58の場合にはぼやけていた突起922の輪郭や、細胞体921の微細構造923の輪郭を、σ=0.36の場合には視認できる。このように、コヒーレンスファクターσの値をσ=0.4以下とすることにより、明視野において透明な細胞92の各部をより鮮明に視認できる程度まで、撮影画像のコントラストをより向上できる。
σ=0.26の場合には、σ=0.36の場合と同様、細胞体921の輪郭を鮮明に視認できる。また、σ=0.26の場合には、σ=0.36の場合よりもさらに撮影画像のコントラストが向上する。一方、σ=0.14の場合では、σ=0.26の場合と比べて明らかな視認性およびコントラストの向上は見られなかった。
以上の結果より、上述したステップS1においては、コヒーレンスファクターσが0.6以下となるように、照明光学系22および撮像光学系30を調整して、マルチスペクトル撮影を行うことが好ましいと言える。また、コヒーレンスファクターσを0.4以下とすれば、より好ましいと言える。また、コヒーレンスファクターσを0.3以下とすれば、さらに好ましいと言える。
<3−2.照明光の波長帯域の半値幅について>
次に、照明光の波長帯域の半値幅について、説明する。照明部20から照射される照明光は、細胞92の表面において屈折する。このとき、照明光が、白色光よりも波長帯域が小さい狭波長帯の光である場合には、白色光の場合よりも、屈折箇所における光の拡がりが少ない。すなわち、狭波長帯の照明光は、屈折後もほぼ同一方向へ進行する。このため、狭波長帯の照明光を用いれば、視認性の高い撮影画像を得ることができる。
図10には、バンドパスフィルタ50を使用しない場合と、バンドパスフィルタ50の半値幅を153nm、124nm、および10nmとした場合との細胞92の撮影画像の例が示されている。バンドパスフィルタ50の半値幅が小さいほど、バンドパスフィルタ50を通過した照明光の波長帯域は小さくなる。図10の例の細胞92は、細胞体921と、細胞体921から突出した突起922とを有する。なお、このときのコヒーレンスファクターσの値はσ=0.26であり、バンドパスフィルタ50の中心波長は550nmである。
図10に示すように、バンドパスフィルタ50を使用しない白色光における撮影画像と比べて、バンドパスフィルタ50を使用した狭波長帯における3つの撮影画像では、細胞92の各部を視認しやすい。特に、白色光における撮影画像では、細胞体921から延びる突起922を視認するのが困難であるのに対し、狭波長帯における3つの撮影画像では、突起922を視認できる。このように、狭波長帯における細胞92の像を撮像することにより、コントラストが高い撮影画像を得ることができる。このように、バンドパスフィルタ50が介在することにより、細胞92による拡がりが生じにくい狭波長帯の光のみを撮像部40が撮像する。したがって、コントラストの高い撮影画像を取得できる。
また、図10に示すように、狭波長帯における3つの撮影画像を比較すると、狭波長帯の半値幅が小さくなるにつれ、画像のコントラストが向上する。特に、半値幅が124nmの場合には、半値幅が153nmの場合と比べて、突起922の輪郭の視認性が大きく向上している。このように、狭波長帯の半値幅は、150nm以下であることが好ましい。一方、半値幅が10nmの場合には、半値幅124nmの場合と比べて、突起922の輪郭の視認性がさらに向上する。したがって、狭波長帯の半値幅は、100nm以下であることがより好ましい。すなわち、狭波長帯の半値幅を150nm以下や、100nm以下とすることにより、よりコントラストの高い細胞画像を取得できる。
以上の結果より、上述したステップS1においては、マルチスペクトル撮影に用いられる各波長帯域の半値幅を、150nm以下とすることが好ましいと言える。また、マルチスペクトル撮影に用いられる各波長帯域の半値幅を、100nm以下とすれば、より好ましいと言える。これにより、上述したステップS2において、変化の大きい波長プロファイルWを得ることができる。その結果、上述したステップS3において、各画素をより適切に分類できる。
<3−3.焦点位置について>
最後に、焦点位置の条件について、図11を参照しつつ説明する。図11は、焦点位置と細胞92の見え方との関係を模式的に示した図である。図11中に模式的に示したように、細胞92は透明であるため、撮像光学系30の焦点位置を細胞92に合わせた合焦点位置とすると、撮像部40により取得された画像において、細胞内部と細胞外部との輝度は近似する。このため、合焦点位置では、細胞92が視認しにくくなる。
撮像光学系30の焦点位置を合焦点位置から近距離方向(撮像部40側)へとずらすと、細胞内部が細胞外部よりも白く見える。そして、撮像光学系30の焦点位置を合焦点位置から一定距離近距離方向へずらした第1位置において、エッジの強さが極大値をとる。このため、第1位置において、細胞92および細胞92の各部の視認性が高くなる。撮像光学系30の焦点位置を第1位置よりもさらに近距離方向へずらすと、画像がぼけて、エッジが弱くなり、細胞92の視認性が低下する。
一方、撮像光学系30の焦点距離を合焦点位置から遠距離方向(照明部20側)へとずらすと、細胞内部が細胞外部よりも黒く見える。そして、撮像光学系30の焦点位置を合焦点位置から一定距離遠距離方向へずらした第2位置において、エッジの強さが極大値をとる。このため、第2位置において、細胞92および細胞92の各部の視認性が高くなる。撮像光学系30の焦点位置を第2位置よりもさらに遠距離方向へずらすと、画像がぼけて、エッジが弱くなり、細胞92の視認性が低下する。
したがって、上述したステップS1においては、撮像光学系30の焦点位置を、合焦点位置から一定距離ずらした第1位置または第2位置として、マルチスペクトル撮影を行うことが好ましい。これにより、より高いコントラストの撮影画像I1〜Inを取得できる。なお、合焦点位置から第1位置または第2位置までの距離は、細胞92の種類毎に予め決めた所定の距離であってもよい。また、合焦点位置から第1位置または第2位置までの距離は、観察しながら調整して決定してもよい。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、図3のステップS1〜S4を行った後、得られた観察用画像Ioに基づいて、画像処理の条件を変更する工程を、さらに設けてもよい。例えば、ステップS3の分類先として用意するクラスターの数を変更する工程を、設けてもよい。このようにすれば、背景に相当する画素座標Cが多くのクラスターに分類され、細胞92に相当する画素座標Cのクラスター数が少ない場合に、分類先となるクラスターの数を増加させることができる。したがって、観察対象となる細胞92も、十分な数のクラスターに分類できる。
また、ステップS4において、特定のクラスターに属する画素を、強調表示してもよい。例えば、観察用画像Io中の、特定のクラスターに属する画素に特定の色を割り当て、他の画素をグレースケールで表示してもよい。このようにすれば、特定のクラスターに属する画素のみを、視覚的に把握しやすくなる。したがって、細胞92の輪郭などの特定の部位のみを、視覚的に把握しやすくなる。
また、照明光学系22および撮像光学系30の構成は、上記の実施形態と異なっていてもよい。例えば、照明光学系22および撮像光学系30が、他の要素を有していてもよいし、上記の実施形態に含まれる要素が省略されていてもよい。また、照明光学系22または撮像光学系30におけるバンドパスフィルタ50の位置は、上記の実施形態と異なっていてもよい。
上記の実施形態では、照明光学系22にバンドパスフィルタ50が設けられていた。しかしながら、撮像光学系30にバンドパスフィルタ50を設けてもよい。その場合、細胞92には、照明光として白色光が照射されるが、撮像光学系30のバンドパスフィルタ50によって、撮像部40に到達する光の波長帯域を変更することができる。したがって、撮像部40において、複数の波長帯域における撮影画像I1〜Inを取得することができる。
また、上記の実施形態では、光源21としてハロゲンランプを用い、バンドパスフィルタ50によって、照明光の波長帯域を変化させていた。しかしながら、光源21として、波長変調が可能なレーザ発振器またはLEDを用いてもよい。そうすれば、光源21からの出射光自体の波長帯域を変化させることができるため、バンドパスフィルタ50を省略することができる。
また、上記の実施形態の細胞観察装置1は、観察者が直接観察を行うための接眼レンズ35を有していた。しかしながら、接眼レンズ35は省略されてもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 細胞観察装置
9 培養容器
20 照明部
21 光源
22 照明光学系
30 撮像光学系
31 対物レンズ
32 開口絞り
33 結像レンズ
34 ビームスプリッター
35 接眼レンズ
40 撮像部
50 バンドパスフィルタ
60 コンピュータ
90 試料
91 培養液
92 細胞
221 コレクタレンズ
222 視野絞り
223 開口絞り
224 コンデンサレンズ
900 窪部
C 画素座標
I1 撮影画像
Io 観察用画像
W 波長プロファイル

Claims (14)

  1. 生体試料を撮影して観察用画像を生成する画像取得方法であって、
    a)前記生体試料に照明光を照射しつつ、中心波長の異なる複数の波長帯域において前記生体試料を撮影する工程と、
    b)前記工程a)で取得した複数の前記撮影画像について、画素毎に、前記波長帯域の変化に対する輝度の変化を表す波長プロファイルを得る工程と、
    c)前記波長プロファイルに応じて、各画素を複数のクラスターに分類する工程と、
    d)各画素に、分類された前記クラスターに対応する階調値を割り当てることにより、前記観察用画像を生成する工程と、
    を有する画像取得方法。
  2. 請求項1に記載の画像取得方法であって、
    前記工程c)では、前記波長プロファイルの特徴が近い画素を同一のクラスターに分類する画像取得方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像取得方法であって、
    前記工程c)では、k−means法を用いて、各画素を複数のクラスターに分類する画像取得方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程d)では、前記クラスターに属する前記波長プロファイルの所定の波長帯域における輝度値の平均値に基づいて、前記階調値を割り当てる画像取得方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程d)では、特定のクラスターに属する画素を、強調表示する画像取得方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程c)において分類されるクラスターの数を変更する工程
    をさらに有する画像取得方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程a)では、中心波長の異なる4つ以上の波長帯域において前記生体試料を撮影する画像取得方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程a)において、前記複数の波長帯域は、それぞれ、その半値幅が150ナノメートル以下である画像取得方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程a)では、合焦点位置から光軸に沿って所定の距離ずれた位置を焦点位置として、前記生体試料を撮影する画像取得方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程a)では、通過帯域が可変のバンドパスフィルタを介して、前記生体試料を撮影する画像取得方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記工程a)では、開口数NAが0.3以下の照明光学系を介して、前記生体試料に前記照明光を照射する画像取得方法。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記照明光学系の前記開口数NAと撮像光学系の開口数NAとの比であるコヒーレンスファクターσが、0.6以下である画像取得方法。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の画像取得方法であって、
    前記生体試料は細胞である画像取得方法。
  14. 生体試料を撮影して観察用画像を生成する画像取得装置であって、
    前記生体試料に照明光を照射する照明部と、
    前記照明光が照射された前記生体試料を撮影する撮像部と、
    前記撮像部により取得された撮影画像を加工する画像処理部と、
    を備え、
    前記撮像部は、中心波長の異なる複数の波長帯域において前記生体試料を撮影し、
    前記画像処理部は、複数の前記撮影画像について、画素毎に、前記波長帯域の変化に対する輝度の変化を表す波長プロファイルを生成し、前記波長プロファイルに応じて、各画素を複数のクラスターに分類する画像取得装置。
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