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JP2018160379A - リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】集電体と、負極活物質を有する負極活物質層とを有する負極であって、前記負極活物質層は、Liと、Si、Sn、Fe、Ni、Al、Ge、Tiから成る少なくとも1種以上の元素を含有し、前記負極活物質層内におけるLiの濃度が濃度勾配を有するリチウムイオン二次電池用負極。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比べ、軽量、高容量であるため、携帯電子機器用電源として広く応用されている。また、近年ではハイブリッド自動車や、電気自動車用に搭載される電源として使用されている。そして、近年の携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、これらの電源となるリチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。
現在、リチウムイオン二次電池の負極活物質として、黒鉛等の炭素材料が多く使用されている。近年では黒鉛よりも放電容量の大きいシリコン(Si)やSiO等の合金系負極活物質が数多く検討されている。しかしこれら合金系負極活物質は、黒鉛よりも放電容量が大きいことに加えて、充放電反応に伴う体積膨張も大きく、黒鉛に比べて粒子の割れや、孤立化が起こりやすいことからサイクル特性の低下が顕著であった。
特許文献1、2には、合金負極に金属元素を添加し電子伝導性を向上させることで、電極断面内において均一に充放電反応させることが可能となりサイクル特性が向上することが開示されている。
特開2007−27102号公報 国際公開公報第2007/046327
しかし上記の先行技術に開示される方法では十分なサイクル特性は得られておらず、更なる改善が求められている。
本発明は、このような実情のもとに創案されたものであって、サイクル特性の高いリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係るリチウムイオンの次電池用負極は、集電体と、負極活物質を有する負極活物質層とを有する負極であって、前記負極活物質層は、Liと、Si、Sn、Fe、Ni、Al、Ge、Tiから成る少なくとも1種以上の元素を含有し、前記負極活物質層内におけるLiの濃度が濃度勾配を有することを特徴とする。
これは負極活物質層内で反応主であるLiが濃度勾配を有することにより、充放電に伴う体積膨張がLiの濃度勾配に沿って起こるため、活物質層全体の急激な膨張を抑制することにより、サイクル特性が向上する。
前記負極活物質層におけるLiの濃度勾配は、前記集電体側に向けて前記Liの濃度が漸次又は段階的に低下する濃度勾配を有することが好ましい。
これにより、Liの濃度勾配に沿って活物質層が集電体側に向かって漸次又は段階的に膨張するため、活物質層と集電体との間に係る応力が低下することにより、活物質層と集電体との剥離が抑制され、サイクル特性がより向上すると考えられる。
前記負極活物質は、Liと、Si、Sn、Fe、Tiから選ばれる少なくとも一種の金属、酸化物及びその混合物のいずれかを含有することが好ましい。
これらの金属、酸化物及びその混合物において特に優れたサイクル特性を得ることができる。
前記負極活物質は、更に炭素系材料を含有することが好ましい。
第二の負極活物質を含有することにより、優れたサイクル特性を得ることができる。
前記負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50をL1とし、前記炭素系材料の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50をL2とした時、L1とL2の比率であるL2/L1が、0.04≦L2/L1≦200であることが好ましい。(数値分からんので要確認)
これにより、第一の負極活物質と、第二の負極活物質とのパッキング密度が高まり、第一の負極活物質と第二の負極活物質間においても導電パスとLiイオンの移動経路が形成されるため優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明によれば、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
(リチウムイオン二次電池)
図1に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構成断面図を示す。リチウムイオン二次電池100は、外装体50と外装体の内部に設けられた正極10および負極20と、これらの間に配置されたセパレータ18を介して積層されることで形成される電極体30と電解質を含む非水電解液から構成され、上記セパレータ18は充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である上記非水電解液を保持する。さらに、負極20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部が外装体の外部に突出される負極リード62と、正極10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部が外装体の外部に突出される正極リード60とを備える。
リチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限はなく、例えば、円筒型、角型、コイン型、偏平型、ラミネートフィルム型など、いずれであってもよい。以下に示す実施例では、アルミラミネートフィルム型電池を作製し評価する。
上記正極10は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む正極活物質層14を正極集電体12の少なくとも一方の主面に備えて構成されており、上記負極20は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む負極活物質層24を負極集電体22の少なくとも一方の主面に備えて構成されている。
(負極)
本実施形態の負極20に形成される負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、導電助剤を含有している。
この負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を負極集電体22上に塗布し、負極集電体22上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
(負極活物質)
本実施形態に係るリチウムイオンの次電池用負極は、集電体と、負極活物質を有する負極活物質層とを有する負極であって、前記負極活物質層は、Liと、Si、Sn、Fe、Ni、Al、Ge、Tiから成る少なくとも1種以上の元素を含有し、前記負極活物質層内におけるLiの濃度が濃度勾配を有する。
これにより負極活物質層内で反応主であるLiが濃度勾配を有することにより、充放電に伴う体積膨張がLiの濃度勾配に沿って起こるため、活物質層全体の急激な膨張を抑制することにより、サイクル特性が向上する。
また、本実施形態に係る負極活物質層は、負極活物質層におけるLiの濃度勾配は、前記集電体側に向けて前記Liの濃度が低下する濃度勾配を有することが好ましい。
すなわち、本実施形態に係る負極活物質層のLi濃度は、集電体側から表面側に向かって、少なくとも等しいか、増加する構造を有することが好ましい。
本実施形態に係る負極活物質層層のLiの濃度は、漸次的、又は段階的のいずれかの形態を持って変化していればよく、特に漸次的に変化していることが好ましい。
これにより、Liの濃度勾配に沿って負極活物質層が集電体側に向かって漸次又は段階的に膨張するため、活物質層と集電体との間に係る応力が低下することにより、活物質層と集電体との剥離が抑制され、サイクル特性がより向上すると考えられる。
本実施形態に係る負極活物質層のLiの濃度は、負極活物質層の断面を電子エネルギー損失分光法(EELS)にて観察することや、負極活物質層の表面から深さ方向における含有元素の割合をX線光電分光法(XPS)にて分析することで測定することができる。
本実施形態に係る負極活物質は、Liと、Si、Sn、Fe、Tiから選ばれる少なくとも一種の金属、酸化物及びその混合物のいずれかを含有することが好ましい。
これらの金属、酸化物及びその混合物において特に優れたサイクル特性を得ることができる
本実施形態に係る負極活物質としては、SiまたはSn、FeとLiが合金化した化合物、SiO(0<x≦2)、SnO(0<y≦2)、FeO、Fe、Fe、FeOOH、TiO等の酸化物等が挙げられ、これらを複数混合して使っても良い。
本実施形態に係る負極活物質は、上記化合物にLiを含有させたものを用いてもよい。Liを含有したものとしては、LiSi合金、LiSn合金、LiFe合金等の合金化化合物、LiSiO(0<x≦2)、LiFeO、LiTi12等の酸化物が挙げられ、これらを複数混合して用いてもよい。
また、本実施形態に係る負極活物質は、上記に例示した複数種の化合物を混合して用いても良い。
本実施形態に係る負極活物質は、SiO(0<x≦2)で表される酸化シリコンを有することが好ましい。
本実施形態に係る負極活物質は、更に炭素系材料を含有することが好ましい。
炭素材料としては、リチウムイオン二次電池に用いることが出来る公知の炭素材料を用いることができ、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等が挙げられる。これらの炭素材料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る炭素材料の混合量は、負極活物質の重量比d1と炭素材料の重量比d2とした時、0.4≦d1/d2≦2.3の範囲であることが好ましい。
本実施形態に係る負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50をL1とし、炭素系材料の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50をL2とした時、L1とL2の比率であるL2/L1が、0.04≦L2/L1≦200であることが好ましく、L2/L1が、1≦L2/L1≦5であることがより好ましい。
また、本実施形態に係る負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL1に対する、炭素材料一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径のD50であるL2は、L2>L1であることがより好ましい。
本実施形態に係る負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL1は、0.1≦L1≦24の範囲であることが好ましく、1≦L1≦10の範囲であることがより好ましい。
本実施形態に係る炭素材料の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL2は、1≦L2≦20の範囲であることが好ましく、3≦L2≦15の範囲であることがより好ましい。
さらに、本実施形態に係る負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL1と、炭素材料の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL2は、上記の範囲を満たし、かつL2>L1であることがより好ましい。
本実施形態に係る負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL1および、炭素材料の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL2は、レーザー散乱法などの手法により求めることができる。
負極活物質層24中の負極活物質の含有量は、負極活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、50〜95質量%であることが好ましく、75〜93質量%であることがより好ましい。上記の範囲であれば、大きな容量をもつ負極を得られる。
(バインダー)
バインダーは、負極活物質同士を結合すると共に、負極活物質と集電体22とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアルギン酸等を用いることができる。
負極活物質層24中のバインダーの含有量は、負極活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。上記の範囲であれば大きな容量をもつ負極を得られる。
(導電助剤)
導電助剤としては負極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ等の炭素繊維、およびグラファイトなどの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
負極活物質層24中の導電助剤の含有量も特に限定されないが、添加する場合には通常、負極活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、1〜10質量%であることが好ましい。
(溶媒)
溶媒としては、前述の負極活物質、導電助剤、バインダーを塗料化できる物であれば特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
(負極集電体)
負極集電体22は、導電性の板材で厚みの薄いものであることが好ましく、厚みが8〜30μmの金属箔であることが好ましい。負極集電体22は、リチウムと合金化しない材料から形成されていることが好ましく、特に好ましい材料としては、銅が挙げられる。このような銅箔としては電解銅箔が挙げられる。電解銅箔は、例えば、銅イオンが溶解された電解液中に金属製のドラムを浸漬し、これを回転させながら電流を流すことにより、ドラムの表面に銅を析出させ、これを剥離して得られる銅箔である。
また、鋳造した銅塊を所望の厚さに圧延することによって製造される圧延銅箔であってもよく、圧延銅箔の表面に電解法により銅を析出させ表面を粗面化した銅箔であっても良い。
このように、上述した負極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を塗布する塗布方法としては、特に制限はなく、通常、電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
(負極活物質層)
本実施形態に係る、Liの濃度が濃度勾配を有する負極活物質層は、Li含有量の異なる負極活物質を用いて作製した塗料を複数塗布する重層塗布の手法等を用いて作製することができる。また、負極活物質層の一部にLiをドープすることでも負極活物質層中のLiの濃度を調整することができる。
負極集電体22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する方法は特に限定されず、塗料が塗布された負極集電体22を、例えば80℃〜150℃で乾燥させればよい。
本実施形態に係る負極活物質層を作製する際、複数の塗料を重層塗布する場合、第一の塗料を負極集電体上に塗布した後に、塗料を一度乾燥し、その上にLi含有量の異なる負極活物質を用いて作製した第二の塗料を塗布した後、再度乾燥する。これら工程を複数繰り返すことで負極活物質を作製することができる
また、第二の塗料を塗布する際、第一の塗料が未乾燥の状態で、その上にその上に第二の塗料を塗布した後、乾燥することで負極活物質層を作製してもよい。
Li含有量が異なる第一の塗料と第二の塗料を未乾燥状態で塗布し、その後に乾燥することで、第一の塗料と第二の塗料間において混合領域が形成されるため、Liの濃度を漸次的に変化させることができる。
そして、このようにして負極活物質層24が形成された負極20を、その後、必要に応じて、例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、100〜5000kgf/cmとすることができる。
(非水電解液)
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものであれば特に限定されず、公知の環状カーボネートを使用できる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートとしては、環状カーボネートの粘性を低下させることができるものであれば特に限定されず、公知の鎖状カーボネートを使用できる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCF、CFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、導電性の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液の導電性を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
(正極)
本実施形態の正極10は、正極集電体12の片面または両面に、正極活物質を含む正極活物質層14が形成された構造を有している。正極活物質層14は、負極製造方法と同様の工程にて、正極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を正極集電体12上に塗布し、正極集電体12上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質材料を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、FeまたはVOを示す)が挙げられる。
また、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な酸化物、硫化物も正極活物質として使用できる。
更に、正極活物質材料以外の各構成要素(導電助剤、バインダー)は、負極20で使用されるものと同様の物質を使用することができる。
正極集電体12は、リチウムイオン二次電池用の集電体に使用されている各種公知の金属箔を用いることができる。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などの金属箔を用いることができ、特にアルミニウム箔が好ましい。
(セパレータ)
セパレータ18は絶縁性の多孔体から形成されていれば、材料、製法等は特に限定されず、リチウムイオン二次電池に用いられている公知のセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、公知のポリオレフィン樹脂、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの単独重合体または共重合体は、1種を単独で使用することができるが、2種以上のものを混合して用いてもよい。また、単層であっても複層であってもよい。
外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されず、金属缶、アルミラミネートフィルムなどが使用できる。アルミラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されている物が挙げられる。
負極リード62、正極リード60はアルミニウムやニッケルなどの導電材料から形成されていればよい。
以上、実施の形態により本発明の例を詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。
作製したリチウムイオン二次電池について、以下の方法によって、サイクル特性を評価した。
(充放電サイクル特性の測定)
サイクル特性は、二次電池充放電試験装置を用いて、電圧範囲を3.0Vから0.01Vまでとし、負極活物質重量当たり1C=1600mAh/gとしたときの0.5Cでの電流値で充電、0.5Cでの電流値で放電する条件において、充放電サイクル特性としての評価を行えばよい。なお、充放電サイクル特性は容量維持率(%)として評価し、容量維持率(%)は、1サイクル目の放電容量を初期放電容量とし、初期放電容量に対する各サイクル数における放電容量の割合であり以下の数式(1)で表される。なお1Cとは公称容量値の容量を有する電池セルを定電流充電、または定電流放電して、ちょうど1時間で充放電が終了となる電流値のことである。
Figure 2018160379
この容量維持率が高いほど、充放電サイクル特性が良好であることを意味する。実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池は、上記の条件によって充放電を繰り返し、100サイクル後の容量維持率を充放電サイクル特性として評価した。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
(正極の作製)
正極活物質としてLiNi0.85Co0.10Al0.05を96重量%と、導電助剤としてカーボンブラックを2重量%と、グラファイトを0.5重量%と、バインダーとしてPVDFを1.5重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。
得られた正極スラリーを、コンマロールコーターを用いて、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に、活物質の塗布量が22.0mg/cmとなるように均一に塗布した。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で上記正極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させることで正極活物質層を形成した。
なお、上記アルミニウム箔の両面に塗布された正極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。上記正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、正極活物質層の密度が3.6g/cmなるように正極を作製した。以上により正極シートを得た。
(負極の作製)
負極活物質としてD50が3μmの酸化シリコンを87.9重量%と、アセチレンブラック2.1重量%と、ポリアミドイミド樹脂10重量%と、LiPF6を3.0重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させることで、活物質層形成用の第一の塗料を調製した。次いで、LiPF6の混合量を1.5重量%としたことを除いて、第一の塗料と同様にして活物質層形成用の第二の塗料を調製した。
得られた第二の塗料を、厚さ10μmの銅箔の一面に、活物質の塗布量が1.5mg/cmとなるように塗布し、この層が未乾燥状態で第一の塗料を活物質の塗布量が1.5mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することですることで負極活物質層を形成した。その後、負極集電体のもう一面にも同様にして負極活物質層を形成した。
なお、上記銅箔の両面に塗布された負極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。上記負極活物質が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を負極集電体の両面に圧着させ、負極活物質層の密度が1.5g/cmなるように負極を作製した。以上により負極シートを得た。
得られた負極活物質層の断面を、EELSを用いて観察した結果、負極活物質層のLi濃度が、集電体に接する面から漸近的に増加していることを確認した。
(実施例2)
負極活物質を形成する際、第一の塗料を塗布した後に、第二の塗料を塗布したことを除いて実施例1と同様にして実施例2の負極活物質層を形成し、負極を得た。
得られた負極活物質層の断面を、EELSを用いて観察した結果、負極活物質層のLi濃度が、集電体に接する面から漸近的に減少していることを確認した。
(実施例3)
負極活物質層を形成する際、第二の塗料を塗布した後、100℃で乾燥し、溶媒を除去した後に、第一の塗料を塗布したことを除いて、実施例1と同様にして実施例3の負極活物質層を形成し、負極を得た。
得られた負極活物質層の断面を、EELSを用いて観察した結果、負極活物質層のLi濃度が、第一の塗料を塗布して作成した領域と、第二の塗料を塗布して作製した領域とが異なり、集電体に接する領域のLi濃度が低いことを確認した。
(実施例4)
負極活物質層を形成する際、第一の塗料を塗布した後、100℃で乾燥し、溶媒を除去した後に、第二の塗料を塗布したことを除いて、実施例2と同用にして実施例4の負極活物質層を形成し、負極を得た。
得られた負極活物質層の断面を、EELSを用いて観察した結果、負極活物質層のLi濃度が、第一の塗料を塗布して作成した領域と、第二の塗料を塗布して作製した領域とが異なり、集電体に接する領域のLi濃度が高いことを確認した。
(実施例5)
負極活物質として酸化シリコンを63.1重量%、D50が5μmの黒鉛を24.8質量%混合したものを用いたことを除いて、実施例1と同様にして実施例5の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例6)
負極活物質として酸化シリコンを62.4重量%、黒鉛を25.5質量%混合したものを用いたことを除いて、実施例5と同様にして実施例6の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例7)
負極活物質として酸化シリコンを42.9重量%、黒鉛を45.0質量%混合したものを用いたことを除いて、実施例5と同様にして実施例7の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例8)
負極活物質として酸化シリコンを26.8重量%、黒鉛を61.1質量%混合したものを用いたことを除いて、実施例5と同様にして実施例8の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例9)
負極活物質として酸化シリコンを26.4重量%、黒鉛を61.5質量%混合したものを用いたことを除いて、実施例5と同様にして実施例9の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例10)
負極活物質としてD50が24.0μmの酸化シリコンと、D50が1.0μmの黒鉛を用いたことを除いて、実施例7と同様にして実施例10の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例11)
負極活物質としてD50が10.0μmの酸化シリコンと、D50が9.0μmの黒鉛を用いたことを除いて、実施例7と同様にして実施例11の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例12)
負極活物質としてD50が5.0μmの酸化シリコンと、D50が6.0μmの黒鉛を用いたことを除いて、実施例7と同様にして実施例12の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例13)
負極活物質としてD50が3.0μmの酸化シリコンと、D50が14.4μmの黒鉛を用いたことを除いて、実施例7と同様にして実施例13の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例14)
負極活物質としてD50が2.5μmの酸化シリコンと、D50が12.8μmの黒鉛を用いたことを除いて、実施例7と同様にして実施例14の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例15)
負極活物質としてD50が0.1μmの酸化シリコンと、D50が19.9μmの黒鉛を用いたことを除いて、実施例7と同様にして実施例15の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(比較例1)
塗料1のみを用いて、活物質の塗布量が3・0mg/cmとなるように塗布したことを除いて、実施例1と同様にして比較例1の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例16)
負極活物質として、酸化シリコンの代わりに酸化スズを用い、第一の塗料の活物質の塗布量が5.0mg/cm、第二の塗料の活物質の塗布量が5.0mg/cmとしたことを除いて、実施例1と同様にして実施例16の負極活物質層を形成し、負極を得た。
得られた負極活物質層の断面を、EELSを用いて観察した結果、負極活物質層のLi濃度が、集電体に接する面から漸近的に増加していることを確認した。
(比較例2)
塗料1のみを用いて、活物質の塗布量が10・0mg/cmとなるように塗布したことを除いて、実施例1と同様にして比較例2の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例17)
負極活物質として、酸化シリコンの代わりに酸化第二鉄を用い、第一の塗料の活物質の塗布量が5.0mg/cm、第二の塗料の活物質の塗布量が5.0mg/cmとしたことを除いて、実施例1と同様にして実施例17の負極活物質層を形成し、負極を得た。
得られた負極活物質層の断面を、EELSを用いて観察した結果、負極活物質層のLi濃度が、集電体に接する面から漸近的に増加していることを確認した。
(比較例3)
塗料1のみを用いて、活物質の塗布量が10・0mg/cmとなるように塗布したことを除いて、実施例1と同様にして比較例3の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(実施例18)
負極活物質として、酸化シリコンの代わりに二酸化チタンを用い、第一の塗料の活物質の塗布量が12.5mg/cm、第二の塗料の活物質の塗布量が12.5mg/cmとしたことを除いて、実施例1と同様にして実施例18の負極活物質層を形成し、負極を得た。
得られた負極活物質層の断面を、EELSを用いて観察した結果、負極活物質層のLi濃度が、集電体に接する面から漸近的に増加していることを確認した。
(比較例4)
塗料1のみを用いて、活物質の塗布量が25・0mg/cmとなるように塗布したことを除いて、実施例1と同様にして比較例4の負極活物質層を形成し、負極を得た。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
上記で作製した正極、負極を用いて、これらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで、アルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解液として1MのLiPF溶液(溶媒:EC/DEC=3/7(体積比))を注液した後に真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
これら実施例1〜13、比較例1〜4において作製したリチウムイオン二次電池についてサイクル特性の評価を行った。各比較例の放電容量維持率を100%とした時、各比較例の放電容量維持率に対する各実施例の放電容量維持率の相対値を、容量保持率として比較を行った。用いた負極活物質毎のサイクル特性の値を表1〜4に示す。
Figure 2018160379
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Figure 2018160379
Figure 2018160379
表1〜4に示される結果より本発明の効果は明らかである。すなわち負極活物質層内におけるLiの濃度が濃度勾配を有することにより、高い容量保持率を示すことから、サイクル特性に優れることが確認された。また、Liの濃度が負極活物質層の表面側に向かって高くなる場合、特にサイクル特性に優れることが確認された。
さらに、表1の結果から、負極活物質層に黒鉛を混合することで更にサイクル特性が向上することが確認され、負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL1と、黒鉛の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50であるL2が0.04≦L2/L1≦200である場合に特にサイクル特性に優れることが確認された。
本発明によれば、サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
10…正極、12…正極集電体、14…正極活物質層、18…セパレータ、20…負極、22…負極集電体、24…負極活物質層、30…積層体、50…外装体、60…正極リード、62…負極リード、100…リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. 集電体と、負極活物質を有する負極活物質層とを有する負極であって、前記負極活物質層は、Liと、Si、Sn、Fe、Ni、Al、Ge、Tiから成る少なくとも1種以上の元素を含有し、前記負極活物質層内におけるLiの濃度が濃度勾配を有するリチウムイオン二次電池用負極。
  2. 前記負極活物質層におけるLiの濃度勾配は、前記集電体側に向けて前記Liの濃度が漸次又は段階的に低下する濃度勾配を有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記負極活物質は、Liと、Si、Sn、Fe、Tiから選ばれる少なくとも一種の金属、酸化物及びその混合物のいずれかを含有する請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 前記負極活物質層は、炭素系材料を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 前記負極活物質の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50をL1とし、前記炭素系材料の一次粒径が小さい側からの体積累積率が50%である一次粒径D50をL2とした時、L1とL2の比率であるL2/L1が、0.04≦L2/L1≦200である請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、セパレータと、非水電解質とを有するリチウムイオン二次電池。

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