JP2018144577A - 運転支援装置 - Google Patents
運転支援装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018144577A JP2018144577A JP2017040039A JP2017040039A JP2018144577A JP 2018144577 A JP2018144577 A JP 2018144577A JP 2017040039 A JP2017040039 A JP 2017040039A JP 2017040039 A JP2017040039 A JP 2017040039A JP 2018144577 A JP2018144577 A JP 2018144577A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lane
- lateral deviation
- vehicle
- host vehicle
- target
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
- Closed-Circuit Television Systems (AREA)
Abstract
【課題】車線変更支援制御を精度良く行う。【解決手段】運転支援ECU10は、車線変更支援制御を実行している場合、横偏差と前回横偏差との差分の大きさが、所定の閾値より大きいとの特定条件が成立した場合、前回フィルタ処理後横偏差を、車線変更前に自車両が走行していた車線の基準位置と車線変更後に自車両が走行する車線の基準位置との距離に応じた量だけ、車線変更の方向に応じて補正した補正後前回フィルタ処理後横偏差を演算し、前回フィルタ処理後横偏差に代えて当該補正後前回フィルタ処理後横偏差を用いてノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、自車両が走行中の車線である自車線から当該自車線に隣接する車線である隣接目標車線へと車線変更するための走行を支援する機能を備えた運転支援装置に関する。
従来から、運転者が自車両の車線変更を行う場合、運転者の操舵操作を支援するように転舵輪の転舵角度を自動的に変更する制御(即ち、車線変更支援制御)を実行する運転支援装置(以下、「従来装置」と称呼される場合がある。)が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
従来装置は、自車両が走行している車線(以下、「自車線」と称呼される場合がある。)に隣接する隣接目標車線(即ち、車線変更する先の車線)の両側の「白線及び黄色線等」の一対の区画線(以下、単に「白線」と称呼される場合がある。)を検出する。更に、従来装置は、隣接目標車線の中央位置を基準位置として認識して、その基準位置からの車線幅方向のずれ量である横変位(以下、「横偏差」と称呼される場合がある。)を検出する。従来装置は、検出した横偏差等を用いて、操舵輪の転蛇角度を制御している。従来装置は、検出した横偏差に対して、ノイズ除去フィルタ処理(例えば、一次遅れフィルタ等のローパスフィルタ処理)を施して、ノイズ成分を除去した後の横偏差を、当該制御に用いている。
従来装置において、白線認識(白線検出)に用いるカメラの画角(視野角)は、限られているため、隣接目標車線の車線変更方向側の白線を精度良く検出することが難しい。更に、隣接目標車線に車両が存在することによって、隣接目標車線の車線変更方向側の白線を検出できない場合もある。これらのため、隣接目標車線の一対の白線を安定して精度良く検出できない可能性がある。この場合、隣接目標車線の基準位置を精度良く特定できない。
そこで、隣接目標車線の横偏差を使用しないで、車線変更支援制御を行うことが検討されている。即ち、自車両が車線変更を行う前にはその車線変更前の自車線の左端及び右端の白線から定まる基準位置に基づく横偏差を使用して車線変更支援制御を行い、自車両が車線変更した後にはその車線変更後の自車線の左端及び右端の白線から定まる基準位置に基づく横偏差を使用して車線変更支援制御を行うことが検討されている。
この場合、例えば、自車線の中央を横偏差の基準位置として、当該基準位置に対して左方向を正の方向とし、当該基準位置に対して右方向を負の方向とする。そして、当該基準位置を基準とした道路幅方向のずれ量を表した正の値又は負の値を、横偏差として、取得することが検討されている。
しかしながら、この場合、次のような問題が生じることがあり得る。例えば、自車両が、左側車線から右側車線に車線変更を行うための車線変更支援制御を従来装置が行うと仮定する。
この場合、自車両が左側車線を走行しているときには、左側車線と右側車線との間の境界線(白線(破線))の位置は、横偏差の基準位置である左側車線の中央位置から車線幅方向の右方向(負の方向)に車線幅Lの半分の距離L/2離れているので、境界線の横偏差は−L/2となる。一方、自車両の車線が右側車線へと移行して自車両が右側車線を走行しているときには、境界線の位置は、横偏差の基準位置である右側車線の中央位置から道路幅方向の左方向(正の方向)に車線幅Lの半分の距離L/2離れているので、境界線の横偏差は+L/2となる。
従って、車線変更支援制御を行った場合、図3に示したように、自車両が左側車線内をその基準位置から右方向(負の方向)に向かって徐々に移動しているときには、その移動に伴い横偏差は、0から−L/2に向かって徐々に減少していく。
その後、自車両が、左側車線と右側車線との境界線に達した後、当該境界線を跨いで左側車線から右側車線に移動すると、自車線が左側車線から右側車線に変わる。
すると、横偏差の基準位置が、自車両が境界線を跨いだ時点にて、左側車線の中央位置から右側車線の中央位置に変わるので、この時点の横偏差(境界線の位置の横偏差)は、−L/2から+L/2に変化する。尚、自車両が右側車線から左側車線に車線変更を行うときには、横偏差の基準位置が、自車両が境界線を跨いだ時点にて、右側車線の中央位置から左側車線の中央位置に変わるので、この時点の横偏差(境界線の位置の横偏差)は+L/2から−L/2に変化する。
このように、車線変更支援制御を行っている場合、自車両が自車線から隣接目標車線に車線変更するときには、横偏差の基準位置が変わることによって、自車両の位置が同じ位置であっても、その横偏差には、車線幅L分の違い(差)が必然的に生じてしまう。
一方、横偏差に対するノイズ除去のためのフィルタ処理は、一般に、現時点から所定時間前に得たフィルタ後横偏差(前回フィルタ処理後横偏差)と、現時点で得た横偏差(今回横偏差)と、を用いて実施される。そのため、自車線が左側車線から右側車線に変更された直後の時点(自車両が境界線を跨いだタイミング)でフィルタ処理を行う場合、当該フィルタ処理に用いる今回横偏差は右側車線の基準位置に基づいて演算された横編差であるのに対し、当該フィルタ処理に用いる前回フィルタ処理後横偏差は左側車線の基準位置に基づいて演算した横偏差をフィルタ処理した横偏差である。従って、自車線が左側車線から右側車線に変更された直後の時点において演算されるフィルタ処理後の横偏差は、右側車線の基準位置からの真の横偏差から大きく乖離してしまう。この結果、車線変更支援制御が精度良く行えなくなるという問題がある。
本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、運転支援装置が車線変更支援制御を実行しているときに、フィルタ処理後の横偏差の精度が悪くなってしまう可能性を低くすることができ、以て、車線変更支援制御が精度良く行えなくなる可能性を低くすることができる運転支援装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)を提供することにある。
本発明装置は、自車両(C)が走行中の車線である自車線を区画する左右の一対の区画線を認識する区画線認識部(16b)と、
前記認識した一対の区画線に基づいて決定される前記自車線の幅方向における基準位置からの当該自車両の当該幅方向の変位量である横偏差を所定時間が経過する毎に演算する演算部(10)と、
前記演算した横偏差(Dy(n))に対して前記所定時間が経過する毎にノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行なうフィルタ部(10)と、
フィルタ処理が施された横偏差(Dfy(n))を用いて、前記自車両が車線変更するための走行を支援するように当該自車両の舵角を制御する車線変更支援制御を実行する制御部(10)と、
を備え、
前記フィルタ部は、前記横偏差が新たに演算されたとき、当該新たに演算された横偏差(Dy(n))と、前記所定時間だけ前の時点にて演算された前記フィルタ処理後の横偏差である前回フィルタ処理後横偏差(Dfy(n−1))と、を用いて前記ノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行うことにより今回フィルタ処理後横偏差(Dfy(n))を演算するように構成され、
前記制御部は、前記自車線の基準位置に対して定められた目標横位置(y(t))と前記今回フィルタ処理後横偏差とを用いて前記車線変更支援制御を実行する(図4のステップ440)ように構成された、
運転支援装置において、
前記フィルタ部は、
前記新たに演算された横偏差と前記所定時間だけ前の時点にて演算された横偏差との差分の大きさが所定の閾値より大きいとの特定条件が成立したか否か判定し(図4のステップ415)、
前記特定条件が成立したと判定した場合(図4のステップ415にて「Yes」との判定)、前記前回フィルタ処理後横偏差を、車線変更前に前記自車両が走行していた車線の前記基準位置と車線変更後に前記自車両が走行する車線の前記基準位置との距離に応じた量(L)だけ、前記車線変更の方向に応じて補正した補正後前回フィルタ処理後横偏差を演算し(図4のステップ425又はステップ430)、前記前回フィルタ処理後横偏差に代えて当該補正後前回フィルタ処理後横偏差を用いて前記ノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行う(ステップ435)ように構成されている。
前記認識した一対の区画線に基づいて決定される前記自車線の幅方向における基準位置からの当該自車両の当該幅方向の変位量である横偏差を所定時間が経過する毎に演算する演算部(10)と、
前記演算した横偏差(Dy(n))に対して前記所定時間が経過する毎にノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行なうフィルタ部(10)と、
フィルタ処理が施された横偏差(Dfy(n))を用いて、前記自車両が車線変更するための走行を支援するように当該自車両の舵角を制御する車線変更支援制御を実行する制御部(10)と、
を備え、
前記フィルタ部は、前記横偏差が新たに演算されたとき、当該新たに演算された横偏差(Dy(n))と、前記所定時間だけ前の時点にて演算された前記フィルタ処理後の横偏差である前回フィルタ処理後横偏差(Dfy(n−1))と、を用いて前記ノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行うことにより今回フィルタ処理後横偏差(Dfy(n))を演算するように構成され、
前記制御部は、前記自車線の基準位置に対して定められた目標横位置(y(t))と前記今回フィルタ処理後横偏差とを用いて前記車線変更支援制御を実行する(図4のステップ440)ように構成された、
運転支援装置において、
前記フィルタ部は、
前記新たに演算された横偏差と前記所定時間だけ前の時点にて演算された横偏差との差分の大きさが所定の閾値より大きいとの特定条件が成立したか否か判定し(図4のステップ415)、
前記特定条件が成立したと判定した場合(図4のステップ415にて「Yes」との判定)、前記前回フィルタ処理後横偏差を、車線変更前に前記自車両が走行していた車線の前記基準位置と車線変更後に前記自車両が走行する車線の前記基準位置との距離に応じた量(L)だけ、前記車線変更の方向に応じて補正した補正後前回フィルタ処理後横偏差を演算し(図4のステップ425又はステップ430)、前記前回フィルタ処理後横偏差に代えて当該補正後前回フィルタ処理後横偏差を用いて前記ノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行う(ステップ435)ように構成されている。
本発明装置によれば、自車両が車線変更支援制御を実行している場合であって、自車両が車線変更した直後において、前回フィルタ処理後横偏差を、車線変更前に自車両が走行していた車線の基準位置と車線変更後に自車両が走行する車線の基準位置との距離に応じた量だけ、車線変更の方向に応じて補正した補正後前回フィルタ処理後横偏差が演算され、前回フィルタ処理後横偏差に代えて当該補正後前回フィルタ処理後横偏差を用いてノイズ除去フィルタ処理を施すための演算が行われる。
これによって、自車両が車線変更した後において、フィルタ処理後の横偏差が真の横偏差から大きく乖離することがないので、自車両を目標軌道に精度よく沿うように走行させることができる。即ち、車線変更支援を適切に行うことができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、上記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
以下、本発明の実施形態に係る運転支援装置(以下、「本実施装置」とも称呼される。)について図面を参照しながら説明する。本実施装置は、車両走行制御装置でもあり、運転支援制御装置でもある。
(構成)
本実施装置は、図1に示したように、車両(以下において、他の車両と区別するために、「自車両」と称呼される。)に適用され、運転支援ECU10、エンジンECU30、ブレーキECU40、ステアリングECU50、メータECU60及び表示ECU70を備えている。
本実施装置は、図1に示したように、車両(以下において、他の車両と区別するために、「自車両」と称呼される。)に適用され、運転支援ECU10、エンジンECU30、ブレーキECU40、ステアリングECU50、メータECU60及び表示ECU70を備えている。
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。
運転支援ECU10は、以下に列挙するセンサ(スイッチを含む。)と接続されていて、それらのセンサの検出信号又は出力信号を受信するようになっている。尚、各センサは、運転支援ECU10以外のECUに接続されていてもよい。その場合、運転支援ECU10は、センサが接続されたECUからCANを介してそのセンサの検出信号又は出力信号を受信する。
アクセルペダル操作量センサ11は、自車両のアクセルペダル11aの操作量(アクセル開度)を検出し、アクセルペダル操作量APを表す信号を出力するようになっている。 ブレーキペダル操作量センサ12は、自車両のブレーキペダル12aの操作量を検出し、ブレーキペダル操作量BPを表す信号を出力するようになっている。
操舵角センサ13は、自車両の操舵角を検出し、操舵角θを表す信号を出力するようになっている。
操舵トルクセンサ14は、操舵ハンドルSWの操作により自車両のステアリングシャフトUSに加わる操舵トルクを検出し、操舵トルクTraを表す信号を出力するようになっている。
車速センサ15は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速Vsxを表す信号を出力するようになっている。即ち、車速Vsxは、車両の前後方向(自車両の前後方向に伸びる中心軸線に沿う方向)の速度(即ち、縦速度)である。
操舵トルクセンサ14は、操舵ハンドルSWの操作により自車両のステアリングシャフトUSに加わる操舵トルクを検出し、操舵トルクTraを表す信号を出力するようになっている。
車速センサ15は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速Vsxを表す信号を出力するようになっている。即ち、車速Vsxは、車両の前後方向(自車両の前後方向に伸びる中心軸線に沿う方向)の速度(即ち、縦速度)である。
周辺センサ16は、周辺レーダセンサ16a及びカメラセンサ16bを備えている。周辺センサ16は、少なくとも自車両の前方の道路、及び、自車両の周囲の道路に存在する立体物に関する情報を取得するようになっている。
周辺レーダセンサ16aは、レーダ送受信部と信号処理部(図示略)とを備えている。レーダ送受信部は、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を放射し、更に、放射範囲内に存在する立体物(例えば、他車両、歩行者、自転車及び建造物等)によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、それらの周波数差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、自車両と立体物との距離、自車両と立体物との相対速度、及び、自車両に対する立体物の方位等を表す周辺情報を所定時間が経過する毎に取得して運転支援ECU10に供給する。
運転支援ECU10は、自車両と立体物との距離及び自車両に対する立体物の方位から、自車両に対する立体物の位置を特定する。更に、運転支援ECU10は、この周辺情報によって、自車両と立体物との距離における前後方向成分(縦距離)及び横方向成分(横距離)、並びに、自車両と立体物との相対速度における前後方向成分(縦相対速度)及び横方向成分(横相対速度)、を検出することができる。尚、単に相対速度というとき、その相対速度は縦相対速度を意味する。
例えば、周辺レーダセンサ16aは、自車両からの距離が100メートル程度の範囲に入る立体物を検出する。以下、周辺レーダセンサ16aによって検出される立体物は「物標」と称呼される場合がある。更に、周辺レーダセンサ16aによって検出される物標の「自車両に対する位置(即ち、相対位置)及び速度(即ち、相対速度)」を表す情報は「物標情報」とも称呼される。尚、周辺レーダセンサ16aはミリ波帯以外の周波数帯の電波を用いるレーダセンサであってもよい。
カメラセンサ16bは、ステレオカメラであるカメラ部、及び、カメラ部によって撮影して得られた画像データを解析して道路の白線を認識するレーン認識部を備えている。カメラセンサ16b(カメラ部)は、自車両の前方の風景を撮影する。カメラセンサ16b(レーン認識部)は、所定の角度範囲(自車両前方に広がる範囲)を有する画像処理領域の画像データを解析して、自車両の前方の道路に形成された白線(区画線)を認識(検出)する。カメラセンサ16bは、認識した白線に関する情報を運転支援ECU10に送信する。
運転支援ECU10は、カメラセンサ16bから供給された情報に基づいて、図2に示されたように、自車両Cの走行している車線(以下、「自車線」とも称呼する。)における左右の白線WLの幅方向の中心位置となる車線中心ラインを特定する。図2において、自車線が左側の車線である場合、運転支援ECU10は、左側の車線の左右の白線WLの幅方向の中心位置となる車線中心ラインCL1を特定する。自車線が右側の車線である場合、運転支援ECU10は、右側の車線の左右の白線WLの幅方向の中心位置となる車線中心ラインCL2を特定する。この車線中心ラインCL1又は車線中心ラインCL2は、後述する車線維持制御における目標走行ラインとして利用される。以下、車線中心ラインCL1又は車線中心ラインCL2を区別する必要がない場合、車線中心ラインCLと称呼される。更に、運転支援ECU10は、自車線の車線中心ラインCLのカーブの曲率Cuを演算する。
加えて、運転支援ECU10は、左白線及び右白線で区画される車線における自車両Cの位置及び向きを所定の演算周期毎に演算する。例えば、運転支援ECU10は、自車両Cの基準点P(例えば、重心位置)と、自車線の車線中心ラインCLとの道路幅方向の距離Dyを所定の演算周期毎に演算する。距離Dyは、自車両Cが自車線の車線中心ラインCLに対して道路幅方向に偏移している量を示す長さである。この距離Dyは以下において「横偏差Dy」とも称呼される。更に、運転支援ECU10は、演算した横偏差Dyに対して、所定の演算周期毎にフィルタ処理を行うようになっている。当該フィルタ処理の詳細については、後述する。更に、運転支援ECU10は、カメラセンサ16bから供給された情報に基づいて、自車両Cが走行している車線幅Lを演算するようになっている。
運転支援ECU10は、自車線の車線中心ラインCLの方向と自車両Cの向いている方向とのなす角度θyを演算する。この角度θyは以下において「ヨー角θy」とも称呼される。以下、曲率Cu、横偏差Dy、及び、ヨー角θyを表す情報(Cu、Dy、θy)は「車線関連車両情報」と称呼される場合がある。
カメラセンサ16bは、自車線の左白線及び右白線の種類(例えば、実線であるか破線であるか等)及び白線の形状等についての情報を運転支援ECU10に供給する。更に、カメラセンサ16bは、自車線に隣接する車線の左白線及び右白線の種類及び白線の形状等についても運転支援ECU10に供給する。即ち、カメラセンサ16bは、「白線に関する情報」についても運転支援ECU10に供給する。白線が実線である場合、車両がその白線を跨いで車線変更することは禁止されている。一方、白線が破線(一定の間隔で断続的に形成されている白線)の場合、車両がその白線を跨いで車線変更することは許可されている。車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)、及び、白線に関する情報は、「車線情報」と称呼される場合がある。
尚、本実施形態においては、運転支援ECU10が車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)を演算するが、それに代えて、カメラセンサ16bが車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)を演算して、その演算結果を運転支援ECU10に供給してもよい。
再び図1を参照すると、操作スイッチ17は、何れも後述する「車線変更支援制御、車線維持制御、及び、追従車間距離制御」のそれぞれを実行するか否かについての選択を行うために運転者により操作される操作器である。従って、操作スイッチ17は、運転者の操作に応じて、上記の各制御の実行が選択されたか否かを示す信号を出力する。加えて、操作スイッチ17は、上記の各制御を実行する際の運転者の好みを反映するためのパラメータ(例えば、後述する車間時間)を運転者に入力又は選択させる機能も備えている。
運転支援ECU10は、操作スイッチ17から供給される信号に基づいて追従車間距離制御の実行が選択されているか否かを判定し、追従車間距離制御の実行が選択されていない場合、車線変更支援制御及び車線維持制御を実行しないようになっている。更に、運転支援ECU10は、操作スイッチ17から供給される信号に基づいて車線維持制御の実行が選択されているか否かを判定し、車線維持制御の実行が選択されていない場合、車線変更支援制御を実行しないようになっている。
ヨーレートセンサ18は、自車両CのヨーレートYRtを検出し、実ヨーレートYRtを出力するようになっている。尚、実ヨーレートYRtは、自車両Cが前進しながら左旋回している場合に正の値となり、自車両Cが前進しながら右旋回している場合に負の値となる。
前後加速度センサ19は、自車両Cの前後方向の加速度Gxを検出し、実前後加速度Gxを出力するようになっている。尚、実前後加速度Gxは、自車両Cが前方に加速しているときに正の値となり、減速しているときに負の値となる。
横加速度センサ20は、自車両Cの横(車幅)方向(自車両Cの中心軸線に直交する方向)の加速度Gyを検出し、実横加速度Gyを出力するようになっている。尚、実横加速度Gyは、自車両Cが前進しながら左旋回している場合に(即ち、車両右方向の加速度に対して)正の値となり、自車両Cが前進しながら右旋回している場合に(即ち、車両左方向の加速度に対して)負の値となる。
前後加速度センサ19は、自車両Cの前後方向の加速度Gxを検出し、実前後加速度Gxを出力するようになっている。尚、実前後加速度Gxは、自車両Cが前方に加速しているときに正の値となり、減速しているときに負の値となる。
横加速度センサ20は、自車両Cの横(車幅)方向(自車両Cの中心軸線に直交する方向)の加速度Gyを検出し、実横加速度Gyを出力するようになっている。尚、実横加速度Gyは、自車両Cが前進しながら左旋回している場合に(即ち、車両右方向の加速度に対して)正の値となり、自車両Cが前進しながら右旋回している場合に(即ち、車両左方向の加速度に対して)負の値となる。
前述したように、運転支援ECU10は、追従車間距離制御、車線維持制御及び車線変更支援制御を実行できるようになっている。
エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31と接続されている。エンジンアクチュエータ31は内燃機関32の運転状態を変更するためのアクチュエータである。本例において、内燃機関32はガソリン燃料噴射・火花点火式・多気筒エンジンであり、吸入空気量を調整するためのスロットル弁を備えている。エンジンアクチュエータ31は、少なくとも、スロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31を駆動することによって、内燃機関32が発生するトルクを変更することができる。内燃機関32が発生するトルクは図示しない変速機を介して図示しない駆動輪に伝達される。従って、エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31を制御することによって、自車両Cの駆動力を制御し加速状態(加速度)を変更することができる。
ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41に接続されている。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧する図示しないマスタシリンダと、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構42との間の油圧回路に設けられる。摩擦ブレーキ機構42は、車輪に固定されるブレーキディスク42aと、車体に固定されるブレーキキャリパ42bとを備える。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキECU40からの指示に応じてブレーキキャリパ42bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を調整し、その油圧によりホイールシリンダを作動させることによりブレーキパッドをブレーキディスク42aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。従って、ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41を制御することによって、自車両Cの制動力を制御することができる。
ステアリングECU50は、周知の電動パワーステアリングシステムの制御装置であって、モータドライバ51に接続されている。モータドライバ51は、転舵用モータ52に接続されている。転舵用モータ52は、車両の「操舵ハンドル、操舵ハンドルに連結されたステアリングシャフト及び操舵用ギア機構等を含むステアリング機構」に組み込まれている。転舵用モータ52は、モータドライバ51から供給される電力によってトルクを発生し、このトルクによって操舵アシストトルクを加えたり、左右の操舵輪を転舵したりすることができる。即ち、転舵用モータ52は、自車両Cの舵角(転舵輪の転舵角度)を変更することができる。
ステアリングECU50は、ウインカーレバースイッチ53と接続されている。ウインカーレバースイッチ53は、後述するターンシグナルランプ61を作動(点滅)させるために運転者によって操作されるウインカーレバーの操作位置を検出する検出スイッチである。
ウインカーレバーはステアリングコラムに設けられている。ウインカーレバーは、初期位置から右回り操作方向に所定角度回転された第1段階位置と、第1段階位置よりも更に所定回転角度だけ右回り操作方向に回転された第2段階位置と、の2つの位置に操作できるようになっている。ウインカーレバーは、右回り操作方向の第1段階位置に運転者によって維持されている限りその位置を維持するが、運転者がウインカーレバーから手を離すと初期位置に自動的に戻るようになっている。ウインカーレバースイッチ53は、ウインカーレバーが右回り操作方向の第1段階位置にあるとき、ウインカーレバーが右回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をステアリングECU50に出力する。
同様に、ウインカーレバーは、初期位置から左回り操作方向に所定角度回転された第1段階位置と、第1段階位置よりも更に所定回転角度だけ左回り操作方向に回転された第2段階位置と、の2つの位置に操作できるようになっている。ウインカーレバーは、左回り操作方向の第1段階位置に運転者によって維持されている限りその位置を維持するが、運転者がウインカーレバーから手を離すと初期位置に自動的に戻るようになっている。ウインカーレバースイッチ53は、ウインカーレバーが左回り操作方向の第1段階位置にあるとき、ウインカーレバーが左回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をステアリングECU50に出力する。尚、このようなウインカーレバーについては、例えば、特開2005−138647号公報に開示されている。
運転支援ECU10は、ウインカーレバースイッチ53からの信号に基づいて、ウインカーレバーが右回り操作方向の第1段階位置に保持されている継続時間を計測するようになっている。更に、運転支援ECU10は、その計測した継続時間が予め設定した支援要求確定時間(例えば、0.8秒)以上であると判定したとき、運転者が右側車線への車線変更を行うために車線変更支援を受けたいという要求(以下、「車線変更支援要求」とも称呼される。)を発していると判定するようになっている。
更に、運転支援ECU10は、ウインカーレバースイッチ53からの信号に基づいて、ウインカーレバーが左回り操作方向の第1段階位置に保持されている継続時間を計測するようになっている。更に、運転支援ECU10は、その計測した継続時間が予め設定した支援要求確定時間以上であると判定したとき、運転者が左側車線への車線変更を行うために車線変更支援要求を発していると判定するようになっている。
メータECU60は、左右のターンシグナルランプ61(ウインカーランプ)及び情報ディスプレイ62と接続されている。
メータECU60は、図示しないウインカー駆動回路を介して、ウインカーレバースイッチ53からの信号及び運転支援ECU10からの指示等に応じて左又は右のターンシグナルランプ61を点滅させるようになっている。例えば、メータECU60は、ウインカーレバーが左回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をウインカーレバースイッチ53が出力しているとき、左のターンシグナルランプ61を点滅させる。更に、メータECU60は、ウインカーレバーが右回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をウインカーレバースイッチ53が出力しているとき、右のターンシグナルランプ61を点滅させる。
情報ディスプレイ62は、運転席の正面に設けられたマルチインフォメーションディスプレイである。情報ディスプレイ62は、車速及びエンジン回転速度等の計測値に加えて、各種の情報を表示する。例えば、メータECU60は、運転支援ECU10からの運転支援状態に応じた表示指令を受信すると、その表示指令により指定された画面を情報ディスプレイ62に表示させる。
表示ECU70は、ブザー71及び表示器72に接続されている。表示ECU70は、運転支援ECU10からの指示に応じ、ブザー71を鳴動させて運転者への注意喚起を行うことができる。更に、表示ECU70は、運転支援ECU10からの指示に応じ、表示器72に注意喚起用のマーク(例えば、ウォーニングランプ)を点灯させたり、警報画像を表示したり、警告メッセージを表示したり、運転支援制御の作動状況を表示したりすることができる。尚、表示器72はヘッドアップディスプレイであるが、他のタイプのディスプレイであってもよい。
(基本的な運転支援制御の概要)
前述したように、運転支援ECU10は、追従車間距離制御、車線維持制御及び車線変更支援制御を実行できるようになっている。以下、各制御についての概要を説明する。
前述したように、運転支援ECU10は、追従車間距離制御、車線維持制御及び車線変更支援制御を実行できるようになっている。以下、各制御についての概要を説明する。
尚、運転支援ECU10は、これらの制御を実行するために、X−Y座標を規定している(図2を参照。)。X軸は、自車両Cの前後方向に沿って自車両Cの前端部の幅方向中心位置を通るように伸び、前方を正の値として有する座標軸である。Y軸は、X軸と直交し、自車両Cの左方向を正の値として有する座標軸である。X軸の原点及びY軸の原点は、自車両Cの前端部の幅方向中心位置である。
更に、運転支援ECU10は、検出した各物標(n)に対する、車間距離Dfx(n)、相対速度Vfx(n)、及び、方位H(n)等を所定時間の経過毎に周辺センサ16から取得する。
車間距離Dfx(n)は、自車両Cと物標(n)(例えば、先行車両)と間のX軸方向に沿った距離であり、縦距離とも称呼される。
相対速度Vfx(n)は、物標(n)(例えば、先行車両)の速度Vtxと自車両Cの速度Vsxとの差(=Vt−Vsx)である。物標(n)の速度VtxはX軸方向に沿った物標(n)の速度である。
方位H(n)は、物標(n)と自車両Cの前端部の幅方向中心位置とを結んだ直線と、自車両Cの中心軸線と、のなす角度である。方位H(n)は、物標(n)が自車両Cの中心軸線の左側にあるとき正の値となり、物標(n)が自車両Cの中心軸線の右側にあるとき負の値となるように定められている。
相対速度Vfx(n)は、物標(n)(例えば、先行車両)の速度Vtxと自車両Cの速度Vsxとの差(=Vt−Vsx)である。物標(n)の速度VtxはX軸方向に沿った物標(n)の速度である。
方位H(n)は、物標(n)と自車両Cの前端部の幅方向中心位置とを結んだ直線と、自車両Cの中心軸線と、のなす角度である。方位H(n)は、物標(n)が自車両Cの中心軸線の左側にあるとき正の値となり、物標(n)が自車両Cの中心軸線の右側にあるとき負の値となるように定められている。
<追従車間距離制御(ACC)>
追従車間距離制御は、物標情報に基づいて、自車両Cの直前を走行している先行車と自車両Cとの車間距離を所定の距離に維持しながら、自車両Cを先行車に追従させる制御である。追従車間距離制御自体は周知である(例えば、特開2014−148293号公報、特開2006−315491号公報、特許第4172434号明細書、及び、特許第4929777号明細書等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。尚、追従車間距離制御は、アダプティブ・クルーズ・コントロールと称呼される場合がある。
追従車間距離制御は、物標情報に基づいて、自車両Cの直前を走行している先行車と自車両Cとの車間距離を所定の距離に維持しながら、自車両Cを先行車に追従させる制御である。追従車間距離制御自体は周知である(例えば、特開2014−148293号公報、特開2006−315491号公報、特許第4172434号明細書、及び、特許第4929777号明細書等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。尚、追従車間距離制御は、アダプティブ・クルーズ・コントロールと称呼される場合がある。
運転支援ECU10は、操作スイッチ17の操作によって追従車間距離制御の実行が選択されている場合、追従車間距離制御を実行する。
より具体的に述べると、運転支援ECU10は、追従車間距離制御の実行が選択されている場合(実際には、その場合に自車両Cの車速Vsxが所定範囲内の車速であると)、周辺センサ16により取得した物標情報に基づいて追従対象車両を選択する。例えば、運転支援ECU10は、検出した物標(n)の方位H(n)と車間距離Dfx(n)とから特定される物標(n)の相対位置が、車間距離Dfx(n)が長くなるほど方位H(n)の絶対値が小さくなるように予め定められた追従対象車両エリア内に存在するか否かを判定する。そして、その物標の相対位置が追従対象車両エリア内に所定時間以上に渡って存在する場合、その物標(n)を追従対象車両として選択する。尚、追従対象車両エリア内に所定時間以上に渡って存在する物標が複数ある場合、自車両Cに最も近い物標(車間距離Dfx(n)が最小の物標)が追従対象車両として選択される。
更に、運転支援ECU10は、目標加速度Gtgtを下記(1)式及び(2)式の何れかに従って算出する。(1)式及び(2)式において、Vfx(a)は追従対象車両(a)の相対速度であり、k1及びk2は所定の正のゲイン(係数)であり、ΔD1は「追従対象車両(a)の車間距離Dfx(a)から目標車間距離Dtgt」を減じることにより得られる車間偏差(=Dfx(a)−Dtgt)である。尚、目標車間距離Dtgtは、運転者により操作スイッチ17を用いて設定される目標車間時間Ttgtに自車両Cの車速Vsxを乗じることにより算出される(即ち、Dtgt=Ttgt・Vsx)。
運転支援ECU10は、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が正又は「0」の場合に下記(1)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。ka1は、加速用の正のゲイン(係数)であり、「1」以下の値に設定されている。
運転支援ECU10は、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が負の場合に下記(2)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。kd1は、減速用の正のゲイン(係数)であり、本例においては「1」に設定されている。
Gtgt(加速用)=ka1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(1)
Gtgt(減速用)=kd1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(2)
運転支援ECU10は、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が負の場合に下記(2)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。kd1は、減速用の正のゲイン(係数)であり、本例においては「1」に設定されている。
Gtgt(加速用)=ka1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(1)
Gtgt(減速用)=kd1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(2)
尚、追従対象車両エリアに物標が存在しない場合、運転支援ECU10は、自車両Cの車速Vsxが「目標車間時間Ttgtに応じて設定される目標速度」に一致するように、目標速度と車速Vsxに基づいて目標加速度Gtgtを決定する。
運転支援ECU10は、実前後加速度Gxが目標加速度Gtgtに一致するように、エンジンECU30を用いてエンジンアクチュエータ31を制御するとともに、必要に応じてブレーキECU40を用いてブレーキアクチュエータ41を制御する。
<車線維持制御(LKA又はLTC)>
車線維持制御は、自車両Cの位置が自車線(即ち、自車両Cが走行しているレーン(車線))内の目標走行ライン付近に維持されるように、操舵トルクをステアリング機構に付与して自車両Cの舵角を変更し、以て、運転者の操舵操作を支援する制御である。車線維持制御自体は周知である(例えば、特開2008−195402号公報、特開2009−190464号公報、特開2010−6279号公報、及び、特許第4349210号明細書、等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。尚、車線維持制御は、レーン・キーピング・アシスト(LKA)又はレーン・トレース・コントロール(LTC)等と称呼される場合がある。
車線維持制御は、自車両Cの位置が自車線(即ち、自車両Cが走行しているレーン(車線))内の目標走行ライン付近に維持されるように、操舵トルクをステアリング機構に付与して自車両Cの舵角を変更し、以て、運転者の操舵操作を支援する制御である。車線維持制御自体は周知である(例えば、特開2008−195402号公報、特開2009−190464号公報、特開2010−6279号公報、及び、特許第4349210号明細書、等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。尚、車線維持制御は、レーン・キーピング・アシスト(LKA)又はレーン・トレース・コントロール(LTC)等と称呼される場合がある。
運転支援ECU10は、追従車間距離制御の実行中に操作スイッチ17の操作によって車線維持制御の実行が選択されている場合、車線維持制御を実行する。より具体的に述べると、運転支援ECU10は、自車線の車線中心ラインCLを目標走行ラインLdとして決定する。加えて、運転支援ECU10は、目標走行ラインLd(即ち、車線中心ラインCL)の曲率Cuと、横偏差Dy及びヨー角θyを演算により取得する。
運転支援ECU10は、横偏差Dyとヨー角θyと目標走行ラインLdの曲率Cuとに基づいて、下記の(3)式により、目標ヨーレートYRc*を所定の演算周期にて演算する。(3)式において、K1、K2及びK3は制御ゲインである。目標ヨーレートYRc*は、自車両Cが目標走行ラインLdに沿って走行できるように設定されるヨーレートである。
YRc*=K1×Dy+K2×θy+K3×Cu …(3)
YRc*=K1×Dy+K2×θy+K3×Cu …(3)
運転支援ECU10は、目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRtとに基づいて、目標ヨーレートYRc*を得るための目標操舵トルクTr*を所定の演算周期にて演算する。より具体的に述べると、運転支援ECU10は、目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRtとの偏差と目標操舵トルクTr*との関係を規定したルックアップテーブルを予め記憶しており、このテーブルに目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRtとの偏差を適用することにより目標操舵トルクTr*を演算する。そして、運転支援ECU10は、実際の操舵トルクTraが目標操舵トルクTr*に一致するように、ステアリングECU50を用いて転舵用モータ52を制御する。
このようにして、運転支援ECU10は、目標走行ラインLdに沿って自車両Cを走行させるように自車両Cの舵角(転舵角、操舵角)を制御する車線維持制御を実行する。尚、運転支援ECU10は、車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)と目標走行ラインLdとに基づいて、自車両Cが目標走行ラインLdに沿って走行するのに必要な目標操舵角を直接求め、実際の操舵角θがその目標操舵角と一致するように転舵用モータ52を制御してもよい。
<車線変更支援制御(LCS)>
車線変更支援制御は、自車両Cが自車線(即ち、元車線)から運転者が希望する隣接する車線(即ち、隣接目標車線)に移動するように操舵トルクをステアリング機構に付与することにより自車両Cの舵角を変更し、以て、運転者の操舵操作(車線変更のためのハンドル操作)を支援する制御である。尚、車線変更支援制御は「LCS(レーン・チェンジ・サポート)」と称呼される場合がある。
車線変更支援制御は、自車両Cが自車線(即ち、元車線)から運転者が希望する隣接する車線(即ち、隣接目標車線)に移動するように操舵トルクをステアリング機構に付与することにより自車両Cの舵角を変更し、以て、運転者の操舵操作(車線変更のためのハンドル操作)を支援する制御である。尚、車線変更支援制御は「LCS(レーン・チェンジ・サポート)」と称呼される場合がある。
車線変更支援制御は、車線維持制御と同様に自車両Cの車線に対する横位置(道路の幅方向の位置)を調整する制御である。車線変更支援制御は、追従車間距離制御及び車線維持制御の実行中に「車線変更支援要求」が受け付けられた場合に車線維持制御に代わって実行される。
運転支援ECU10は、車線変更支援要求を受け付けると、ブザー71を短時間だけ鳴動させることにより、運転者に車線変更支援要求を受け付けたことを報知する。このとき、運転支援ECU10は、ウインカーレバーの操作によって開始されたターンシグナルランプ61の点滅を継続させる。
1.目標軌道の演算
運転支援ECU10は、車線変更支援制御を実行する際、カメラセンサ16bから供給される現時点の車線情報、及び、現時点の自車両Cの車両状態(例えば、横偏差Dy及び車速Vsx等)に基づいて、自車両Cの車線変更のための目標軌道を演算する。目標軌道は、目標車線変更時間に基づいて、目標車線変更時間をかけて、自車両Cを、現在走行している自車線(即ち、元車線)から、元車線に隣接する車線変更支援要求により指定された方向の車線(即ち、隣接目標車線)の幅方向中心位置にまで移動させる軌道である。目標車線の幅方向中心位置は「最終目標横位置」とも称呼される。目標軌道は、元車線の車線中心ラインCL1(図2を参照)を基準として、車線変更支援制御の開始時点からの経過時間tに対する自車両Cの目標横位置y(t)により表される。
運転支援ECU10は、車線変更支援制御を実行する際、カメラセンサ16bから供給される現時点の車線情報、及び、現時点の自車両Cの車両状態(例えば、横偏差Dy及び車速Vsx等)に基づいて、自車両Cの車線変更のための目標軌道を演算する。目標軌道は、目標車線変更時間に基づいて、目標車線変更時間をかけて、自車両Cを、現在走行している自車線(即ち、元車線)から、元車線に隣接する車線変更支援要求により指定された方向の車線(即ち、隣接目標車線)の幅方向中心位置にまで移動させる軌道である。目標車線の幅方向中心位置は「最終目標横位置」とも称呼される。目標軌道は、元車線の車線中心ラインCL1(図2を参照)を基準として、車線変更支援制御の開始時点からの経過時間tに対する自車両Cの目標横位置y(t)により表される。
上述の目標車線変更時間は、自車両Cを最終目標横位置にまで横方向に移動させる距離(以下、「必要横距離」と称呼される。)に比例するように設定される。例えば、車線幅が一般的な3.5mである場合には目標車線変更時間は8.0秒に設定され、車線幅が4.0mである場合には目標車線変更時間は9.1秒(=8.0×4.0/3.5)に設定される。
尚、目標車線変更時間は、車線変更支援制御の開始時における自車両Cの横位置が元車線の車線中心ラインCL1よりも隣接目標車線側に偏移している場合、その変位量(横偏差Dyの大きさ)が大きいほど減少するように設定される。逆に、車線変更支援制御の開始時における自車両Cの横位置が元車線の車線中心ラインCL1よりも隣接目標車線とは反対側に偏移している場合、目標車線変更時間はその変位量(横偏差Dyの大きさ)が大きいほど増加するように設定される。運転支援ECU10は、目標車線変更時間の基準値である基準車線変更時間(例えば、8.0秒)を、車線幅、及び、元車線の車線中心ラインCL1からの変位量等に応じて補正することにより、目標車線変更時間を決定する。
運転支援ECU10は、目標横位置yを下記の(4)式に示す目標横位置関数y(t)によって表す。この横位置関数y(t)は、経過時間tを用いた5次関数である。
y(t)=a・t5+b・t4+c・t3+d・t2+e・t+f …(4)
y(t)=a・t5+b・t4+c・t3+d・t2+e・t+f …(4)
(4)式における「定数a,b,c,d,e及びf」は、目標軌道の演算時点における、自車両Cの走行状態、車線情報、及び、目標車線変更時間等に基づいて決定される。運転支援ECU10は、自車両Cの走行状態、車線情報、及び、目標車線変更時間を予めROM内に記憶された車両モデルに入力することによって、滑らかな目標軌道が得られるように、上記係数a,b,c,d,e及びfを算出する。目標横位置関数y(t)に、算出された「係数a,b,c,d,e及びf」及び車線変更支援制御の開示時刻からの経過時間tを代入することにより、時点tにおける目標横位置が求められる。尚、上記(4)式の値fは、t=0(即ち、車線変更支援制御開始時点)での自車両Cの横位置を表すため、横偏差Dyと等しい値に設定される。
尚、目標横位置yは、上記の手法に限らず、任意の手法により設定することができる。例えば、目標横位置yは、上記(4)式のような5次の関数を用いて演算される必要は無く、任意に設定した関数を用いて求めることができる。
2.舵角の制御
運転支援ECU10は、車線変更支援制御を開始するまでは車線維持制御を実行している。車線維持制御においては、上述したように目標操舵トルクTr*(又は目標舵角)が演算され、その目標操舵トルクTr*(又は目標舵角)が得られるように転舵用モータ52が制御される。運転支援ECU10は、車線変更支援制御においても車線維持制御と同様な制御を行う。
運転支援ECU10は、車線変更支援制御を開始するまでは車線維持制御を実行している。車線維持制御においては、上述したように目標操舵トルクTr*(又は目標舵角)が演算され、その目標操舵トルクTr*(又は目標舵角)が得られるように転舵用モータ52が制御される。運転支援ECU10は、車線変更支援制御においても車線維持制御と同様な制御を行う。
即ち、運転支援ECU10は、車線維持制御において元車線の車線中心ラインCL1に一致するように設定されていた目標走行ラインLdを、上記の(4)式の目標横位置関数y(t)によって表されるラインに変更することによって、車線変更支援制御を行う。尚、運転支援ECU10は、下記の(5)式に従って目標舵角を求め、その目標舵角が得られるように転舵用モータ52を駆動してもよい。
θlcs*=Klcs1・Cu*+Klcs2・(θy*−θy)+Klcs3・(Dy*−Dy)
…(5)
θlcs*=Klcs1・Cu*+Klcs2・(θy*−θy)+Klcs3・(Dy*−Dy)
…(5)
(5)式において、θy及びDyは、現時点(演算時)tにおける車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)により表される値である。Klcs1,Klcs2及びKlcs3は制御ゲインである。Cu*は、現時点tにおける目標軌道の曲率であり、θy*は、現時点tにおける自車線の車線中心ラインCLに対する目標軌道のヨー角であり、Dy*は、現時点tにおける目標軌道の横偏差(Dy*=y(t))である。
尚、Dy*は、車線変更前(自車両Cが自車線と隣接目標車線との間の境界線を跨ぐ前)はy(t)である。一方、車線変更後(自車両Cが元車線と隣接目標車線との間の境界線(白線(破線)WL)を跨いだ後)は、Dy*は、車線変更後の自車線(隣接目標車線)の車線中心ラインに対する「y(t)により表される目標軌道」の横偏差として演算される。より具体的には、車線変更後のDy*は、車線変更方向が右方向である場合、y(t)に車線幅Lを加算した値(y(t)+L)として演算され、車線変更方向が左方向である場合、y(t)から車線幅Lを減算した値(y(t)−L)として演算される。
<作動の概要>
次に、本実施装置の運転支援ECU10の作動の概要について説明する。運転支援ECU10は、図2に示された、自車両Cの走行状態が車線変更支援制御を実行している時刻t1から時刻t3までの期間、所定の演算周期毎に、白線認識結果に基づいて、自車両Cの横偏差Dy(n)を演算する。更に、運転支援ECU10は、横偏差Dy(n)に対して、所定の演算周期毎にフィルタ処理を行って、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)を用いて(即ち、Dfy(n)を(5)式のDyとして用いて)、車線変更支援制御を行う。
次に、本実施装置の運転支援ECU10の作動の概要について説明する。運転支援ECU10は、図2に示された、自車両Cの走行状態が車線変更支援制御を実行している時刻t1から時刻t3までの期間、所定の演算周期毎に、白線認識結果に基づいて、自車両Cの横偏差Dy(n)を演算する。更に、運転支援ECU10は、横偏差Dy(n)に対して、所定の演算周期毎にフィルタ処理を行って、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)を用いて(即ち、Dfy(n)を(5)式のDyとして用いて)、車線変更支援制御を行う。
具体的に述べると、運転支援ECU10は、演算した横偏差Dy(n)に含まれるノイズ成分を除去するため下記(6)式に従うフィルタ処理を行う。
Dfy(n)=αDfy(n−1)+(1−α)Dy(n)
…(6)
(6)式において、Dy(n)は今回の演算時点において運転支援ECU10が演算した横偏差Dyである。Dfy(n)は、今回の演算時点の横偏差Dy(n)に対して、運転支援ECU10がフィルタ処理を行った後の横偏差である。Dfy(n−1)は、一演算周期前に演算した前回の横偏差Dy(Dy(n−1))に対して、運転支援ECU10がフィルタ処理を行った後の横偏差(「前回フィルタ処理後の横偏差」と称呼される場合がある。)である。αは、0より大きく1より小さい係数である。αが小さくなるほど、ノイズ成分をより多く除去できる。このため、典型的には、右式の第2項の横偏差Dy(n)より、右式の第1項の前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)の方が、今回のフィルタ処理後の横偏差Dfy(n)に反映されるように、係数α(例えば、0.8)が設定される。
図2に示されたように、時刻t0から時刻t1までの期間において、自車両Cが左側の車線を走行している場合、運転支援ECU10は横偏差Dyの基準位置を、自車両Cが走行している自車線の中心付近の位置である車線中心ラインCL1に設定する。
横偏差Dyは、当該基準位置に対して左方向を正の方向とし、当該基準位置に対して右方向を負の方向として、当該基準位置からの道路幅方向のずれ量(変位量)を正の値又は負の値で表している。従って、時刻t0から時刻t1までの期間の横偏差Dy(t0-t1)は、図3の線a1に示したように変化する。
時刻t1から時刻t2の間の時点で、自車両Cが元車線と隣接目標車線との境界である白線WL(破線)を跨いだことが検出されると、運転支援ECU10は、横偏差Dyの基準位置を、現時点の自車線(即ち、図2の右側の車線)の中央位置である車線中心ラインCL2に設定する。従って、自車両Cが白線WL(破線)を跨いだ直後の時刻t2においては、横偏差Dyの基準位置が、車線中心ラインCL1から車線中心ラインCL2に変更される。これにより、自車両Cが白線を跨いだ直後の時刻t2の横偏差Dy(t2)は、自車両Cが白線を跨ぐ直前の時刻t1の横偏差Dy(t1)から急激に変化して、横偏差Dy(t2)及び横偏差Dy(t1)には、車線幅L分の差が生じる。
具体的に述べると、図3に示されたように、自車両Cが白線を跨ぐ直前の時刻t1において、自車両Cは、基準位置から道路幅方向の右方向(負の方向)に車線幅Lの半分の距離(=L/2)離れた位置にいる。従って、時刻t1の横偏差Dy(t1)は「−L/2」となる。
自車両Cが白線を跨いだ時刻t1から時刻t2の間の時点において、横偏差Dyの基準位置が車線中心ラインCL1から車線中心ラインCL2に変更される。自車両Cが白線を跨いだ後の直後の時刻t2において、自車両Cは、変更された後の基準位置(車線中心ラインCL2)から道路幅方向の左方向(正の方向)に車線幅Lの半分の距離(=L/2)離れた位置にいる。従って、時刻t2の横偏差D(t2)は、時刻t1の横偏差Dy(t1)(=「−L/2」)から急激に変化した「+L/2」となって、横偏差Dy(t2)及び横偏差Dy(t1)には、車線幅L分の差が生じる。尚、時刻t2の直後から時刻t3までの期間の横偏差Dy(t2−t3)は、図3の線a2に示したように変化する。
このように、車線変更支援制御を実行している場合、横偏差Dyは、自車両Cが白線を跨ぐことにより、横偏差Dyの基準位置が変わることによって、横偏差Dy(t2)及び横偏差Dy(t1)には、車線幅L分の差が生じる。横偏差D(t1)は、その基準位置からの正確なずれ量を表しているのに対して、基準位置が変わった後においては、変わった後の基準位置からの正確なずれ量を表していない。
従って、自車両Cが自車線と隣接目標車線とを区切る白線を跨ぐ前までに算出されていたフィルタ処理後の横偏差Dfy(t1)=Dfy(n−1)と、自車両Cが当該白線を跨いだ直後の横偏差Dfy(t2)と、を(6)式にそのまま適用してフィルタ処理を行なうと、以下に述べるように、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)は正しい値から大きく乖離する。
即ち、時刻t2の横偏差Dy(t2)のフィルタ処理後の横偏差Dfy(t2)を、(6)式に従って演算する場合、右辺第1項のDfy(n−1)には、基準位置がDy(t2)とは異なる横偏差Dy(t1)のフィルタ処理後の値が使用される。
これにより、フィルタ処理後の横偏差Dfy(t2)は、点b1で示された横偏差Dy(b1)になってしまい、時刻t2時点の実際の横偏差Dy(t2)(横偏差Dy(t2)の基準位置からの正確なずれ量)から大きく乖離してしまう。
更に、その後のフィルタ処理後の横偏差Dfyも、破線bで示されたように、しばらくの間、線a2で示された車線変更後(白線を跨いだ後)の実際の横偏差から大きく乖離してしまう。この場合、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)が実際の横偏差に近い値になるまで、目標軌道に沿うための適切な操舵制御が行われ得ない。
そこで、本実施装置の運転支援ECU10は、自車両Cが自車線から隣接目標車線に移動したか否かを判定する。更に、運転支援ECU10は、現時点が、自車両Cが自車線から隣接目標車線に移動した直後の時点(自車両Cが自車線と隣接目標車線との間の白線を跨いだ直後の時点)である場合、次のように(6)式に従うフィルタ処理を行う。
即ち、運転支援ECU10は、自車両Cが自車線の右側の隣接目標車線へ移動しようとしている場合(即ち、車線変更方向が右方向である場合)であって、自車両Cが自車線と隣接目標車線との間の白線を跨いだ直後の時点において、上記(6)式の右辺第1項のDfy(n)に「前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)に車線幅Lを加算した第1補正偏差(=Dfy(n−1)+L)」を代入し、(6)式の右辺第2項のDy(n)に現時点の横偏差Dy(n)を代入する。
これに対し、運転支援ECU10は、自車両Cが自車線の左側の隣接目標車線へ移動しようとしている場合(即ち、車線変更方向が左方向である場合)であって、自車両Cが自車線と隣接目標車線との間の白線を跨いだ直後の時点において、上記(6)式の右辺第1項のDfy(n)に「前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)から車線幅Lを減算した第2補正偏差(=Dfy(n−1)―L)」を代入し、(6)式の右辺第2項のDy(n)に現時点の横偏差Dy(n)を代入する。
これによって、自車両Cが車線変更した後において、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)は、「隣接目標車線の車線中心ラインを基準位置とした横偏差」に対してフィルタ処理した値となる。その結果、自車両Cが車線変更した後において、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)が真の横偏差から大きく乖離することがないので、自車両Cを目標軌道に精度よく沿うように走行させることができる。即ち、車線変更支援を適切に行うことができる。
<具体的作動>
次に、本実施装置の具体的な作動について説明する。運転支援ECU10のCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、前述した車線変更支援要求を受け付けると、所定時間(所定演算周期)が経過する毎に図4に示したルーチンを実行するようになっている。
次に、本実施装置の具体的な作動について説明する。運転支援ECU10のCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、前述した車線変更支援要求を受け付けると、所定時間(所定演算周期)が経過する毎に図4に示したルーチンを実行するようになっている。
従って、CPUは所定のタイミングになると図4のステップ400から処理を開始してステップ410に進み、白線認識結果に基づいて、現時点の自車両Cの横偏差Dy(n)を演算する。横偏差Dy(n)は、白線認識に基づいて特定した自車線の車線中心ラインを横偏差Dy(n)の基準位置として、演算する。
従って、図2に示す例において、自車両Cが、車線変更前の自車線(左側の車線)と隣接目標車線(右側の車線)との間の白線(破線)を跨ぐ前は、自車線(車線変更前の自車線)の車線中心ラインC1を基準位置として横偏差Dy(n)を演算する。自車両Cが変更前の自車線と隣接目標車線との間の白線(破線)を跨いた後は、隣接目標車線(車線変更後の自車線)の車線中心ラインC2を基準位置として横偏差Dy(n)を演算する。
尚、CPUは、自車両Cの基準点Pが、元車線及び隣接目標車線の何れに存在しているかを判定し、基準点Pが元車線に存在している場合には元車線の車線中心ラインを横偏差Dy(n)の基準位置に設定し、基準点Pが隣接目標車線に存在している場合には隣接目標車線の車線中心ラインを横偏差Dy(n)の基準位置に設定する。
その後、CPUはステップ415に進み、自車両Cが車線変更を行った後であるか否かを判定する。この判定は、現時点の横偏差Dy(n)と前回の横偏差Dy(n−1)(一演算周期前に演算した横偏差)の差分の大きさDdiff(=|Dy(n)−Dy(n−1)|)が所定の閾値Dythより大きいか否かを判定することによって行う。尚、所定の閾値Dythは、当該判定に適切な任意の値(例えば、車線幅Lより若干小さい値等)が設定される。
自車両Cが白線を跨ぐことによって横偏差Dyの基準位置が変わった場合、横偏差の基準位置が変わることによって車線幅L分の横偏差Dyの変化が生じる。この横偏差Dyの変化量の大きさは、基準位置が変わる前の横偏差Dyの変化量の大きさに比べて大きな値(閾値Dythより大きい変化)である。
従って、差分の大きさDdiffが所定の閾値Dyth以下である場合、車線変更が行われていない(横偏差Dyの基準位置が変更されていない。)。この場合、CPUはステップ415にて「No」と判定してステップ435に直接進んで、ステップ410にて取得した横偏差Dy(n)と「前回の横偏差Dy(n−1)をフィルタ処理した後の横偏差Dfy(n−1)」とを用いて、(6)式に従うフィルタ処理を行う。次いで、CPUはステップ440に進み、横偏差Dfy(n−1)を(5)式に適用して目標舵角を求め、その目標舵角が得られるように転舵用モータ52を駆動することにより、車線変更支援制御を実行する。その後、CPUはステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対して、差分の大きさDdiffが所定の閾値Dythより大きい場合、車線変更が行われた後(横偏差Dyの基準位置が変更された後)である。この場合、CPUはステップ415にて「Yes」と判定してステップ420に進み、車線変更方向が右方向であるか否かを判定する。
車線変更方向(車線変更前の自車線から隣接目標車線に向かう方向)が、右方向である場合、CPUはステップ420にて「Yes」と判定してステップ425に進み、前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)に車線幅Lを加算することによって、第1補正横偏差Dfy1(n−1)を演算した後、ステップ435に進む。
これに対して、車線変更方向が、右方向ではない場合(即ち、車線変更方向が、左方向である場合)、CPUはステップ420にて「No」と判定してステップ430に進み、前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)から車線幅Lを減算することによって、第2補正横偏差Dfy2(n−1)を演算した後、ステップ435に進む。
CPUはステップ435に進むと、現時点の横偏差Dy(n)と、前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)に代えて、ステップ425又はステップ430にて演算した第1補正横偏差Dfy1(n−1)又は第2補正横偏差Dfy2(n−1)と、を用いて、(6)式に従うフィルタ処理を行う。その後、CPUはステップ440にて車線支援制御を実行し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上説明した本実施装置によれば、次のような効果を奏する。本実施装置は、自車両が車線変更支援制御を実行している場合であって、自車両Cが車線変更した直後において、前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)が、車線変更前に自車両が走行していた車線の基準位置と車線変更後に自車両が走行する車線の基準位置との距離に応じた量だけ、補正される。そして、前回フィルタ処理後の横偏差Dfy(n−1)に代えて当該補正後の前回フィルタ処理後横偏差(第1補正横偏差Dfy1(n−1)又は第2補正横偏差Dfy2(n−1))を用いてノイズ除去フィルタ処理を施すための演算が行われる。
これによって、自車両Cが車線変更した後において、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)は、「隣接目標車線の車線中心ラインを基準位置とした横偏差」に対してフィルタ処理した値となる。その結果、自車両Cが車線変更した後において、フィルタ処理後の横偏差Dfy(n)が真の横偏差から大きく乖離することがないので、自車両Cを目標軌道に精度よく沿うように走行させることができる。即ち、車線変更支援を適切に行うことができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づく各種の変形例を採用し得る。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づく各種の変形例を採用し得る。
例えば、上述の実施形態においては、追従車間距離制御及び車線維持制御の実行中であることが、車線変更支援制御を実行するための前提となっているが、必ずしも、そのような前提は必要としない。
10…運転支援ECU、15…車速センサ、16…周辺センサ、16a…周辺レーダセンサ、16b…カメラセンサ、17…操作スイッチ、52…転舵用モータ、53…ウインカーレバースイッチ
Claims (1)
- 自車両が走行中の車線である自車線を区画する左右の一対の区画線を認識する区画線認識部と、
前記認識した一対の区画線に基づいて決定される前記自車線の幅方向における基準位置からの当該自車両の当該幅方向の変位量である横偏差を所定時間が経過する毎に演算する演算部と、
前記演算した横偏差に対して前記所定時間が経過する毎にノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行なうフィルタ部と、
前記自車両が車線変更するための走行を支援するように当該自車両の舵角を制御する車線変更支援制御を実行する制御部と、
を備え、
前記フィルタ部は、前記横偏差が新たに演算されたとき、当該新たに演算された横偏差と、前記所定時間だけ前の時点にて演算された前記フィルタ処理後の横偏差である前回フィルタ処理後横偏差と、を用いて前記ノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行うことにより今回フィルタ処理後横偏差を演算するように構成され、
前記制御部は、前記自車線の基準位置に対して定められた目標横位置と前記今回フィルタ処理後横偏差とを用いて前記車線変更支援制御を実行するように構成された、
運転支援装置において、
前記フィルタ部は、
前記新たに演算された横偏差と前記所定時間だけ前の時点にて演算された横偏差との差分の大きさが所定の閾値より大きいとの特定条件が成立したか否か判定し、
前記特定条件が成立したと判定した場合、前記前回フィルタ処理後横偏差を、車線変更前に前記自車両が走行していた車線の前記基準位置と車線変更後に前記自車両が走行する車線の前記基準位置との距離に応じた量だけ、前記車線変更の方向に応じて補正した補正後前回フィルタ処理後横偏差を演算し、前記前回フィルタ処理後横偏差に代えて当該補正後前回フィルタ処理後横偏差を用いて前記ノイズ除去フィルタ処理を施すための演算を行うように構成された、
運転支援装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017040039A JP2018144577A (ja) | 2017-03-03 | 2017-03-03 | 運転支援装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017040039A JP2018144577A (ja) | 2017-03-03 | 2017-03-03 | 運転支援装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018144577A true JP2018144577A (ja) | 2018-09-20 |
Family
ID=63590556
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017040039A Pending JP2018144577A (ja) | 2017-03-03 | 2017-03-03 | 運転支援装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018144577A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022030250A1 (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-10 | 日立Astemo株式会社 | 車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御システム |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10297516A (ja) * | 1997-04-28 | 1998-11-10 | Nissan Motor Co Ltd | 車両の自動操舵装置 |
JP2015140114A (ja) * | 2014-01-29 | 2015-08-03 | いすゞ自動車株式会社 | 横変位算出装置 |
-
2017
- 2017-03-03 JP JP2017040039A patent/JP2018144577A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10297516A (ja) * | 1997-04-28 | 1998-11-10 | Nissan Motor Co Ltd | 車両の自動操舵装置 |
JP2015140114A (ja) * | 2014-01-29 | 2015-08-03 | いすゞ自動車株式会社 | 横変位算出装置 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022030250A1 (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-10 | 日立Astemo株式会社 | 車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御システム |
JPWO2022030250A1 (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-10 | ||
JP7377367B2 (ja) | 2020-08-05 | 2023-11-09 | 日立Astemo株式会社 | 車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御システム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10515278B2 (en) | Driving assistance device | |
JP6572880B2 (ja) | 運転支援装置 | |
JP6939334B2 (ja) | 運転支援装置 | |
US10479363B2 (en) | Driving assist apparatus | |
US10494022B2 (en) | Driving assistance device | |
US11008039B2 (en) | Lane change assist apparatus for vehicle | |
CN108995652B (zh) | 转向操纵辅助装置 | |
US10515552B2 (en) | Driving assist apparatus | |
US11897540B2 (en) | Vehicle traveling support apparatus | |
JP7371756B2 (ja) | 車線変更支援装置 | |
JP7074600B2 (ja) | 運転支援装置 | |
JP6787270B2 (ja) | 車両走行制御装置 | |
JP2019002691A (ja) | 物標情報取得装置 | |
JP2019018694A (ja) | 運転支援装置 | |
JP2020040451A (ja) | 車両の車線変更支援装置 | |
JP6825527B2 (ja) | 車両運転支援装置 | |
JP2020040452A (ja) | 車両の車線変更支援装置 | |
JP2018144577A (ja) | 運転支援装置 | |
JP7339203B2 (ja) | 車両制御装置 | |
JP2018177180A (ja) | 操舵支援装置 | |
US20230099932A1 (en) | Traveling control apparatus | |
US20230096882A1 (en) | Traveling control apparatus | |
JP2020155007A (ja) | 衝突前制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190806 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200619 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200630 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210526 |