JP2018035265A - インク及びその製造方法、並びにインク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]水、色材、及び、共重合体を含有するインクであって、
前記共重合体が、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を含むことを特徴とするインク。
[2]前記一般式(2)で表される構造単位が、下記一般式(3)で表される構造単位である前記[1]に記載のインク。
[3]前記一般式(1)で表される構造単位の、前記共重合体における含有率が40質量%以上70質量%以下である前記[1]または[2]に記載のインク。
[4]前記共重合体の重量平均分子量が、15,000〜40,000である前記[1]から[3]のいずれかに記載のインク。
[5]前記色材が、顔料である前記[1]から[4]のいずれかに記載のインク。
[6]有機溶剤、及び界面活性剤の少なくともいずれかを更に含有する前記[1]から[5]のいずれかに記載のインク。
[7]前記インクがインクジェット用インクである前記[1]から[6]のいずれかに記載のインク。
[8]水、色材、及び共重合体を含有するインクの製造方法であって、
前記共重合体が、下記一般式(4)で表されるモノマー、及び下記一般式(5)で表されるモノマーを含む重合性材料からラジカル重合により合成される工程を含むインクの製造方法。
[9]インクを収容するインク収容部を備えたインク収容容器であって、前記インク収容部に収容されたインクが、前記[1]から[7]のいずれかに記載のインクであるインク収容容器。
[10]前記[1]から[7]のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを吐出させて画像を記録するインク吐出工程を含むインクジェット記録方法。
[11]前記[1]から[7]のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを吐出させて画像を記録するインク吐出手段を有するインクジェット記録装置。
[12]記録媒体上に記録層を有する記録物であって、
前記記録層が、色材、及び、共重合体を含み、
前記共重合体が、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を含む記録物。
本発明のインクは、水、色材、及び、下記共重合体を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明のインクは、従来のグラフトポリマーを顔料分散剤として用いた場合には、長期間の保存安定性が不十分であるとの知見に基づくものである。
本発明のインクに用いる共重合体は、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を含み、更に必要に応じてその他の構造単位を含んでなる。
n及びmは、エチレンオキサイド(C2H4O)及びプロピレンオキサイド(C3H6O)の平均付加モル数を表す。
インクの保存安定性及び画像濃度の点から、前記一般式(2)において、n=4〜50、m=0がより好ましく、n=8〜30、m=0がさらに好ましい。
例えば、分枝構造を生成する副次的ラジカル重合反応を完全に排除するのが困難であることはよく知られている事実である。
また、顔料を水に分散した顔料分散体を調製する際に、本発明で用いられる前記共重合体を用いると、前記共重合体の側鎖の末端にナフチル基が存在するため、顔料表面に吸着し易く、顔料との吸着力が高いため、分散性の高い長期間安定な顔料分散体が得られる。
前記その他の重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性の親水性モノマー、重合性界面活性剤などが挙げられるが、重合性の親水性モノマーのうち、イオン性モノマーを含まないことが好ましい。イオン性モノマーを含まないことにより、インクの保存性や画像濃度が良好となる傾向がある。メカニズムは定かでないが、前記一般式(1)で表される構造単位、前記一般式(2)で表される構造単位以外に、さらにイオン性モノマーを含むと、前記一般式(2)で表される構造単位とイオン性モノマーの相互作用により、インクの保存性や画像濃度に影響を及ぼす場合がある。
前記重合性の疎水性モノマーと重合性の親水性モノマーは、1種又は2種以上を混合することができる。
前記重合性の疎水性モノマーと重合性の親水性モノマーの含有量は、前記一般式(1)で表される構造単位、及び前記一般式(2)で表される構造単位を形成するモノマーの合計量に対して、5質量%以上100質量%以下が好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、硫酸アンモニウム塩基(−SO3 -NH4 +)などの硫酸塩基とアリル基(−CH2−CH=CH2)とを有する炭化水素化合物、硫酸アンモニウム塩基(−SO3 -NH4 +)などの硫酸塩基とメタクリル基〔−CO−C(CH3)=CH2〕とを有する炭化水素化合物、又は硫酸アンモニウム塩基(−SO3 -NH4 +)などの硫酸塩基と1−プロペニル基(−CH=CH2CH3)とを有する芳香族炭化水素化合物が挙げられる。前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、三洋化成工業株式会社製のエレミノールJS−20、及びRS−300、第一工業製薬株式会社製のアクアロンKH−10、アクアロンKH−1025、アクアロンKH−05、アクアロンHS−10、アクアロンHS−1025、アクアロンBC−0515、アクアロンBC−10、アクアロンBC−1025、アクアロンBC−20、及びアクアロンBC−2020などが挙げられる。
前記重合性界面活性剤の含有量は、前記一般式(1)で表される構造単位、及び前記一般式(2)で表される構造単位を形成するモノマーの合計量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
また、前記共重合体を構成する前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位とのモル比は、共重合体を合成する際に用いたモノマーのモル比により求めることができる。また、共重合体から、NMRにより求めることができる。
本発明における前記一般式(1)で表される構造単位及び前記一般式(2)で表される構造単位を含む共重合体は、下記一般式(4)で表される化合物及び下記一般式(5)で表される化合物を含む重合性材料(出発物質)からラジカル重合により合成されたものであることが好ましい。
前記一般式(5)で表される化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ブレンマーPE―90、PE−200、PE−350、AE―90U、AE−200、AE−400、PME−100、PME―200、PME−400、PME−1000、PME−4000、AME−200、AME−400、50PEP−300、70PEP−350B(いずれも、日油株式会社製)などが挙げられる。
前記溶液重合法でラジカル重合を行う際に好ましい溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、イソプロパノール、エタノール、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びヘキサメチルホスホアミド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、及びアルコール系溶剤が好ましい。
前記連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロールなどが挙げられる。
重合温度については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。重合時間については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3時間以上48時間以下が好ましい。
本発明で用いられる前記共重合体の含有量は、顔料分散剤として使用する場合には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記顔料100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上80質量部以下がより好ましい。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、画像濃度と保存安定性とが良好となる点で有利である。また、共重合体の分散剤としての効果を損なわない範囲で、他の分散剤を併用してもよい。
前記含有量が、0.05質量%以上から分散性及び保存性の向上効果が認められ、10質量%以下であると、インクをヘッドから吐出する際に適した粘度範囲とすることが可能となる。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は高純水を用いることができる。
前記水の前記インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
前記色材としては、顔料や染料を用いることができる。前記共重合体の色材への吸着能は染料よりも顔料の方が優れている点や、耐水性と耐光性の点から顔料が好ましい。
黒色用の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)等の金属類、酸化チタン等の金属酸化物類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15nm以上40nm以下、BET法による比表面積が50m2/g以上300m2/g以下、DBP吸油量が40mL/100g以上150mL/100g以下、揮発分が0.5%以上10%以下、pHが2以上9以下を有するものが好ましい。
これらの顔料のうち、特に、水と親和性のよいものが好ましく用いられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
また、得られる画像の発色性の点から、自己分散顔料を用いてもよく、アニオン性自己分散顔料が好ましい。前記アニオン性自己分散顔料とは、顔料表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性官能基を導入することにより分散安定化させた顔料をいう。
分散安定化させる前の顔料としては、例えば、国際公開第2009/014242号パンフレットに列挙されているような、従来公知の様々な顔料を用いることができる。
なお、アニオン性官能基とは、pH7.0において半数以上の水素イオンが解離する官能基をいう。アニオン性官能基の具体例としては、カルボキシル基、スルホ基、及びホスホン酸基等を挙げることができる。中でも、得られる画像の光学濃度を高める点から、カルボキシル基又はホスホン酸基が好ましい。
顔料の表面にアニオン性官能基を導入する方法としては、例えば、カーボンブラックを酸化処理する方法が挙げられる。
酸化処理方法の具体例としては、次亜塩素酸塩、オゾン水、過酸化水素、亜塩素酸塩、又は硝酸等により処理する方法や、特許第3808504号公報、特表2009−515007号公報、及び特表2009−506196号公報に記載されているようなジアゾニウム塩を用いる表面処理方法が挙げられる。
また、表面に親水性の官能基が導入された市販の顔料としては、例えば、CW−1、CW−2、CW−3(以上、オリヱント化学工業社製);CAB−O−JET200、CAB−O−JET300、CAB−O−JET400(以上、キャボット社製)等が挙げられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッドブラツク1、2、7、24、26、94、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドブルー9、29、45、92、249、C.I.アシッドレッド1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289、C.I.フードブラック1、2、C.I.フードイエロー3、4、C.I.フードレッド7、9、14などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、(168)、171、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、26、33、44、50、86、120、132、142、144、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227、C.I.ダイレクトオレンジ26、29、62、102などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシックブラック2、8、C.I.ベーシックイエロー1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、64、65、67、70、73、77、87、91、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155、C.I.ベーシックレッド2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック3、4、7、11、12、17、C.I.リアクティブイエロー1、5、11、13、14、20、21、22、25、40、47、51、55、65、67、C.I.リアクティブブルー1、2、7、14、15、23、32、35、38、41、63、80、95、C.I.リアクティブレッド1、14、17、25、26、32、37、44、46、55、60、66、74、79、96、97などが挙げられる。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明のインクの製造方法は、水、色材、及び共重合体を含有するインクの製造方法であって、
共重合体の合成工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記共重合体の合成工程は、前記共重合体の合成方法と同様である。
前記混合工程は、前記水、前記色材、前記共重合体、及び前記その他の成分を分散乃至溶解し、撹拌混合する工程である。
前記共重合体は、顔料分散体作製の際の顔料分散樹脂として用いてもよい。
前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散等により行うことができる。前記撹拌混合は、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等により行うことができる。
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
前記共重合体としては、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位を含む。
本発明のインクを用い、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
本発明のインク収容容器は、インクを収容するインク収容部を備えたインク収容容器であって、前記インク収容部に収容されたインクが、本発明のインクである。前記インクを容器中に収容し、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有する。
前記容器には特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例として、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク収容部などを少なくとも有するもの、例えば、インク収容部を有するメインタンク、インクカートリッジなどが好適である。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、実施例及び比較例で用いた共重合体の平均分子量は、以下のようにして求めた。
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分間
濃度0.5質量%の共重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した共重合体の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して共重合体の数平均分子量Mn、及び重量平均分子量Mwを算出した。
−モノマーM−1の合成−
150.0g(2.41mol)のエチレングリコール(和光純薬工業社製)、50.0g(0.268mol)の1−ナフタレン酢酸(東京化成工業社製)を反応容器に入れ、撹拌しながら70℃に加熱し、溶解させた。1.10gの濃硫酸を加え、70℃で3時間撹拌した。室温まで冷却した後、1.80gの水酸化ナトリウムを500mlの水に溶解させた溶液を250ml投入した。酢酸エチル200mlを投入し、水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比3/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、38.7gの下記構造式(A−1)で表される反応中間体を得た。
−モノマーM−2〜4の合成−
前記モノマーM−1の合成におけるエチレングリコール、または、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートに代えて、M−2〜4を合成するため、下記の各ジオール、または、イソシアネートを用いた点以外は同様にして[モノマーM−2〜4]を得た。
M−2用:1,4−ブタンジオール(東京化成工業社製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
M−3用:1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業社製)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズAOI)
M−4用:1,10−デカンジオール(東京化成工業社製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
−共重合体CP−1の合成−
52.3g(47.0mmol)のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPEM−1000、日油株式会社製)、47.7g(123.8mmol)のモノマーM−1を、200mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10質量%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に4.00gの2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、東京化成工業株式会社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出物した共重合体をろ別し、減圧乾燥して、98.2gの[共重合体CP−1](重量平均分子量(Mw):21,300)を得た。
−共重合体CP−2〜12の合成−
共重合体の合成例1において、表1に示す含有量(質量部)で前記一般式(4)及び前記一般式(5)で表されるモノマー、およびそれ以外のモノマーを使用し、表1に示す含有量(質量部)の重合開始剤(AIBN)、連鎖移動調整剤(チオグリセロール)を使用した以外は、共重合体の合成例1と同様にして、[共重合体CP−2〜12]を得た。
得られた共重合体CP−2〜12それぞれの重量平均分子量Mwは、表1に示すとおりである。
−顔料分散体PD−1の調製−
共重合体CP−1の10質量%水溶液40.0質量部に対して、16.0質量部のカーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)とイオン交換水44.0質量部を加えて12時間攪拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、97.0質量部の[顔料分散体PD−1](顔料固形分濃度:16質量%)を得た。
−顔料分散体PD−2〜17の調製−
顔料分散体の調製例1において、表2に示す含有量(質量部)で共重合体CP−2〜12を用い、表2に示す顔料を使用した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、顔料分散体PD−2〜17を得た。
・ピグメントブルー15:3
(クロモファインブルーA−220JC、大日精化株式会社製)
・ピグメントレッド122(トナーマゼンタEO02、クラリアント社製)
・ピグメントイエロー74(ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)
−インクGJ−1の作製−
40.0質量部の顔料分散体PD−1、10.0質量部のグリセリン、20.0質量部の1,3−ブタンジオール、10.0質量部の3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、1.0質量部の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1.0質量部の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1.0質量部のユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)、及び17.0質量部のイオン交換水を混合し、1時間攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、実施例1のインクGJ−1を作製した。
−インクGJ−2〜17の作製−
実施例1において、表3に示すインク処方に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜17のインクGJ−2〜17を作製した。
表3において、水溶性有機溶剤、界面活性剤、イオン交換水の欄の数値は質量部を示す。
−インクRGJ−1の作製−
8.20gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n≒23)、及び7.03gの下記構造式(6)で表される構造を有するモノマーを、30mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10質量%を、アルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に0.556gの2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投入した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して14.11gの共重合体(重量平均分子量(Mw):12,500)を得た。得られた共重合体を比較共重合体RCP−1とした。
次に、実施例1の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の10質量%水溶液の代わりに、比較共重合体RCP−1の10質量%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較顔料分散体RPD−1を得た。
次に、実施例1のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、比較顔料分散体RPD−1を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較インクRGJ−1を得た。
−インクRGJ−2の作製−
実施例15の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の10質量%水溶液の代わりに、比較共重合体RCP−1の10質量%水溶液を用いた以外は、実施例15と同様にして、比較顔料分散体RPD−2を得た。
次に、実施例15のインクの作製における顔料分散体PD−15の代わりに、比較顔料分散体RPD−2を用いた以外は、実施例15と同様にして、比較インクRGJ−2を得た。
−インクRGJ−3の作製−
実施例16の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の10質量%水溶液の代わりに、比較共重合体RCP−1の10質量%水溶液を用いた以外は、実施例16と同様にして、比較顔料分散体RPD−3を得た。
次に、実施例16のインクの作製における顔料分散体PD−16の代わりに、比較顔料分散体RPD−3を用いた以外は、実施例16と同様にして、比較インクRGJ−3を得た。
−インクRGJ−4の作製−
実施例17の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の10質量%水溶液の代わりに、比較共重合体RCP−1の10質量%水溶液を用いた以外は、実施例17と同様にして、比較顔料分散体RPD−4を得た。
次に、実施例17のインク作製における顔料分散体PD−17の代わりに、比較顔料分散体RPD−4を用いた以外は、実施例17と同様にして、比較インクRGJ−4を得た。
−インクRGJ−5の作製−
モノマーとして80gの2−フェノキシエチルメタクリレート、連鎖移動剤として3.7gの3−メルカプト−1−プロパノール、開始剤として0.3gの2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をテトラヒドロフラン(THF)160mLに溶解し、窒素雰囲気下、65℃に加熱して7時間反応させた。得られた溶液を放冷し、80mgのジラウリン酸ジブチルすず(IV)と触媒量のヒドロキノンを加え、10.0gの2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下した。50℃に昇温し、2.5時間反応させた後、メタノールと水の混合溶媒で再沈殿を行って精製し、71gのマクロモノマーMM−1(重量平均分子量(Mw):4,000、数平均分子量(Mn):1,900)を得た。
次に、20gのメチルエチルケトンを窒素雰囲気下で75℃に加熱した後、1.16gのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、上記で得られた9gのマクロモノマーMM−1、1.8gのp-スチレンスルホン酸、49.2gのメタクリル酸メチルを40gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応した後、0.6gのメチルエチルケトンに0.2gのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを溶解した溶液を加え、80℃に昇温し、4時間加熱攪拌した。更に0.6gのメチルエチルケトンに0.2gのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを溶解した溶液を加え、6時間加熱攪拌した。冷却した後、得られた反応溶液をヘキサンに投下し、析出したグラフトポリマーをろ別し、乾燥して、比較共重合体RCP−2(重量平均分子量(Mw):22,000)を得た。
次いで、実施例1の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の10質量%水溶液の代わりに、比較共重合体RCP−2の10質量%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較顔料分散体RPD−5を得た。
次に、実施例1のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、比較顔料分散体RPD−5を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較インクRGJ−5を得た。
<インクRGJ−6の作製>
−共重合体RCP−3の合成−
72.0g(500mmol)の2−ナフトール(東京化成工業株式会社製)、125.0g(1,000mmol)のエチレングリコールモノ−2−クロロエチルエーテル(東京化成工業株式会社製)を、500mLのN−メチル−2−ピロリジノン(関東化学株式会社製)に溶解し、室温で1時間撹拌した。更に、110℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、得られた反応溶液に純水2,500mLを加え、室温で1時間撹拌した。析出した固体をろ別し、減圧乾燥した。
上記反応で得られた固体70.0g、45.0g(450mmol)のトリエチルアミン(東京化成工業株式会社製)を250mLのテトラヒドロフランに溶解させ、氷浴下で30分間撹拌した。ここに、36.6g(350mmol)の塩化メタクリロイル(和光純薬工業株式会社製)をゆっくり滴下し、更に氷浴下で3時間撹拌した。得られた溶液に、酢酸エチル250mL、純水100mLを加えて、水洗した。次に、酢酸エチル層を単離し、飽和食塩水溶液で洗浄した。酢酸エチル層を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、以下の構造式(7)のモノマー80.5gを得た。
4.0質量部の共重合体RCP−3を、1.9質量部のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド35質量%水溶液(東京化成工業株式会社製)、50.0質量部の3−メトキシ−N,N’−ジメチルプロピオンアミド、及び28.1質量部のイオン交換水に溶解させた。
84.0質量部の共重合体RCP−3の水溶液に、16.0質量部のカーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)を加えて12時間撹拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、95.0質量部の比較顔料分散体RPD−6(顔料固形分濃度:16質量%)を得た。
40.0質量部の比較顔料分散体RPD−6、10.0質量部の1,3−ブタンジオール、10.0質量部のグリセリン、1.0質量部の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1.0質量部の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1.0質量部のユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製、固形分100質量%)、及び37.0質量部のイオン交換水を混合し、1時間撹拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、比較例6の水性インクRGJ−6を得た。
<インクRGJ−7の作製>
−共重合体RCP−4の合成−
32.5g(525mmol)のエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)を700mLの塩化メチレンに溶解し、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。この溶液に、50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成工業社製)を100mLの塩化メチレンに溶解した溶液を、2時間かけて撹拌しながら滴下した後、室温で6時間撹拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比97/3)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、39.6gの下記構造式(8)の反応中間体を得た。
次に、実施例1の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の10質量%水溶液の代わりに、比較共重合体RCP−4の10質量%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較顔料分散体RPD−7を得た。
次に、実施例1のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、比較顔料分散体RPD−7を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較インクRGJ−7を得た。
各顔料分散体を、容量30mLのガラス容器に15mL充填して70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。なお、C以上が、実用可能である。
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±3%を超え、±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
各インクをインク収容容器に充填して、70℃で1週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。なお、C以上が、実用可能である。
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±3%を超え、±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX5000)に各インクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)で作成した64pointのJIS X 0208(1997),2223の一般記号が記載されているチャートを、普通紙1(XEROX4200、XEROX社製)、及び普通紙2(MyPaper、株式会社リコー製)に打ち出し、印字面の前記記号部を、X−Rite938(エックスライト社製)により測色し、下記の基準で評価した。なお、C以上が、実用可能である。
前記印字モードは、プリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。
前記JIS X 0208(1997)、2223の一般記号は、外形が正四方形であって、記号全面がインクにより塗りつぶされている記号である。
〔評価基準〕
A:1.25以上1.27未満
B:1.20以上1.25未満
C:1.10以上1.20未満
D:1.10未満
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない
即ち、実施例1〜17の一般式(1)で表される側鎖の末端にナフチル基を有する構造単位と、一般式(2)で表される構造単位とを含む共重合体を用いて作製した顔料分散体は、比較例1〜5の側鎖の末端にナフチル基のない共重合体を用いて作製した顔料分散体に比べ、優れた保存安定性および画像濃度を有していた。これは、共重合体のナフチル基と顔料とのπ−π相互作用により顔料への吸着性が高まったためと考えられる。
また、比較例6のように、側鎖の末端にナフチル基を有していても、一般式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位を含む場合、インクの保存性や画像濃度が低く、実用的な品質を得ることは難しいことがわかった。
また、比較例7のように、側鎖の末端にナフチル基を有する構造単位を有し、かつ、一般式(2)で表される構造単位を有する場合も、側鎖の末端にナフチル基を有する構造単位が一般式(1)で表される構造単位とは異なり、ポリマー主鎖から近い位置にナフチル基が存在する場合は、インクの保存性、画像濃度が不十分であった。これは、ポリマー主鎖から近い位置にナフチル基が存在すると、共重合された親水基がナフチル基の近くに存在せざるを得なくなり、ナフチル基の顔料吸着が阻害されるためではないかと推察される。
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
Claims (12)
- 前記一般式(1)で表される構造単位の、前記共重合体における含有率が40質量%以上70質量%以下である請求項1または2に記載のインク。
- 前記共重合体の重量平均分子量が、15,000〜40,000である請求項1から3のいずれかに記載のインク。
- 前記色材が、顔料である請求項1から4のいずれかに記載のインク。
- 有機溶剤、及び界面活性剤の少なくともいずれかを更に含有する請求項1から5のいずれかに記載のインク。
- 前記インクがインクジェット用インクである請求項1から6のいずれかに記載のインク。
- インクを収容するインク収容部を備えたインク収容容器であって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1から7のいずれかに記載のインクであるインク収容容器。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを吐出させて画像を記録するインク吐出工程を含むインクジェット記録方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを吐出させて画像を記録するインク吐出手段を有するインクジェット記録装置。
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