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JP2018049883A - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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JP2018049883A JP2016183318A JP2016183318A JP2018049883A JP 2018049883 A JP2018049883 A JP 2018049883A JP 2016183318 A JP2016183318 A JP 2016183318A JP 2016183318 A JP2016183318 A JP 2016183318A JP 2018049883 A JP2018049883 A JP 2018049883A
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Nobuyasu HAMAMORI
信康 濱森
浅野 敬史
Takashi Asano
敬史 浅野
善行 野村
Yoshiyuki Nomura
善行 野村
幸嗣 松下
Yukitsugu Matsushita
幸嗣 松下
一太朗 岡村
Ichitaro Okamura
一太朗 岡村
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Abstract

【課題】基板に実装された状態において、熱衝撃等によって基板に撓みが生じても、撓みに基づく応力が積層体に伝わることを抑制し、クラックを防止し得る積層セラミック電子部品を提供する。【解決手段】第1めっき層123の先端部は、第1有機層140に接触しており、且つ第2めっき層133の先端部は、第2有機層150に接触しており、第1主面101または第2主面102上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140または第2下地電極層132上に配置される第2有機層150を有機層主面側部、第1端面105または第2端面106上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140または第2下地電極層132上に配置される第2有機層150を有機層端面側部としたとき、有機層主面側部の表面粗さよりも前記有機層端面側部の表面粗さの方が大きい。【選択図】図2

Description

本発明は、コンデンサ、インダクタおよびレジスタなどの積層セラミック電子部品に関する。
従来より、種々の電子装置に、コンデンサ、インダクタおよびレジスタなどの積層セラミック電子部品が用いられている。
一般的に、これらの電子部品は、積層方向に相対する2つの主面と、積層方向に直交する幅方向に相対する2つの側面と、積層方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する2つの端面とを有する積層体を備えている。
積層体の外面には、2つ以上の外部電極が設けられている。外部電極は、端面および主面の一部、端面および側面の一部、又は、端面および側面と主面との一部に形成されている。外部電極の積層方向に沿う断面形状は、略コ字形状または略L字形状を有している。
このような積層セラミック電子部品は、各外部電極の主として主面もしくは側面上に形成される部分を、はんだ等の接合材を介して基板のランドに電気的に接続することによって基板に実装される。
しかしながら、この実装構造は熱衝撃等によって基板に撓みが生じると、撓みに基づく応力が、ランド、接合材及び外部電極を通じて積層体に伝わり、積層体のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等を発生させる。その結果、積層セラミック電子部品の性能低下や信頼性低下が引き起こされる心配がある。
そこで、特許文献1には、前記応力によってセラミック素体にクラックが発生することを防止するため、外部端子電極の回り込み部及び外部端子電極の回り込み部に、それぞれ、セラミック素体の主面と離間した先端離間部及び主面と離間した先端離間部を設けたものが開示されている。
特開2010−109238号公報
しかしながら、特許文献1の外部端子電極の回り込み部及び外部端子電極の回り込み部は、それぞれ、セラミック素体の主面と接合した基端側接合部及び主面と接合した基端側接合部を有している。従って、前記応力が、基端側接合部及び基端側接合部、並びに、外部端子電極及び外部端子電極を通じて、セラミック素体に伝わることが懸念され、クラックを十分に抑制することは困難であった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、基板に実装された状態において、熱衝撃等によって基板に撓みが生じても、撓みに基づく応力が積層体に伝わることを抑制し、クラックを防止し得る積層セラミック電子部品を提供することである。
この発明にかかる積層セラミック電子部品は、積層された複数の誘電体層と積層された複数の内部電極とを含み、積層方向に相対する第1主面および第2主面と、積層方向に直交する幅方向に相対する第1側面および第2側面と、積層方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1端面および第2端面と、を有している積層体と、内部電極に接続され、第1端面上に配置されて、端部が第1主面、第2主面、第1側面および第2側面に延在している第1外部電極と、内部電極に接続され、第2端面上に配置されて、端部が第1主面、第2主面、第1側面および第2側面に延在している第2外部電極と、を備え、第1外部電極は、導電性金属およびガラス成分を含む第1下地電極層と、第1下地電極層を覆うように配置される有機ケイ素化合物を含む第1有機層と、第1有機層上に配置される第1めっき層と、を有し、第2外部電極は、導電性金属およびガラス成分を含む第2下地電極層と、第2下地電極層を覆うように配置される有機ケイ素化合物を含む第2有機層と、第2有機層上に配置される第2めっき層と、を有し、第1有機層は、第1下地電極層上から積層体の少なくとも一部の表面を覆うように配置されており、且つ第2有機層は、第2下地電極層上から積層体の少なくとも一部の表面を覆うように配置されており、第1めっき層の先端部は、第1有機層に接触しており、且つ第2めっき層の先端部は、第2有機層に接触しており、第1主面または第2主面上に位置する第1下地電極層上に配置される第1有機層または第2下地電極層上に配置される第2有機層を有機層主面側部、第1端面または第2端面上に位置する第1下地電極上に配置される第1有機層または第2下地電極層上に配置される第2有機層を有機層端面側部としたとき、有機層主面側部の表面粗さよりも有機層端面側部の表面粗さの方が大きいこと、を特徴とする積層セラミック電子部品である。
また、この発明にかかる積層セラミック電子部品では、有機層主面側部の表面粗さRaは、0.1μm以上0.5μm以下であり、有機層端面側部の表面粗さRaは、0.6μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
さらに、この発明にかかる積層セラミック電子部品では、積層体と第1下地電極層との密着強度が、第1有機層と第1めっき層との密着強度よりも大きく、且つ積層体と第2下地電極層との密着強度が、第2有機層と第2めっき層との密着強度よりも大きいことが好ましい。
また、この発明にかかる積層セラミック電子部品では、積層体と第1有機層との密着強度が、第1有機層と第1めっき層との密着強度よりも大きく、且つ積層体と第2有機層との密着強度が、第2有機層と第2めっき層との密着強度よりも大きいことが好ましい。
さらに、この発明にかかる積層セラミック電子部品では、第1有機層および第2有機層は、多官能アルコキシシランSi−(Cn2n+13の構造を有し、且つN元素を含有する有機ケイ素化合物であることが好ましい。
また、この発明にかかる積層セラミック電子部品では、第1有機層および第2有機層の表面のCu濃度およびSi濃度において、Cuに対するSiの原子濃度比が1%以上5%以下であることが好ましい。
さらに、この発明にかかる積層セラミック電子部品では、積層セラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサであることが好ましい。
この発明にかかる積層セラミック電子部品によれば、第1有機層は、第1下地電極層上から積層体の少なくとも一部の表面を覆うように配置されており、且つ第2有機層は、第2下地電極層上から積層体の少なくとも一部の表面を覆うように配置されており、第1めっき層の先端部は、第1有機層に接触しており、且つ第2めっき層の先端部は、第2有機層に接触しており、第1主面または第2主面上に位置する第1下地電極層上に配置される第1有機層または第2下地電極層上に配置される第2有機層を有機層主面側部、第1端面または第2端面上に位置する第1下地電極上に配置される第1有機層または第2下地電極層上に配置される第2有機層を有機層端面側部としたとき、有機層主面側部の表面粗さよりも有機層端面側部の表面粗さの方が大きいので、第1下地電極層の先端から積層体の主面上に形成される第1下地電極層付近では、第1有機層との剥離が起こりやすく、第1外部電極の第1端面側においては、アンカー効果により第1下地電極層と第1有機層との密着力を高めることができる。同様に、第2下地電極層の先端から積層体の主面上に形成される第2下地電極層付近では、第2有機層との剥離が起こりやすく、第2外部電極の第2端面側においては、アンカー効果により第2下地電極層と第2有機層との密着力を高めることができる。よって、端面上では、第1下地電極層と第1有機層および第2下地電極層と第2有機層とを剥離しにくい状態にすることができる。その結果、第1外部電極および第2外部電極の固着強度を確保することができ、実装後の積層セラミックコンデンサの脱落を防ぐことが可能となる。
また、この発明にかかる積層セラミック電子部品によれば、有機層主面側部の表面粗さRaは、0.1μm以上0.5μm以下であり、有機層端面側部の表面粗さRaは、0.6μm以上2.0μm以下であると、より確実に、積層体の主面上に形成される第1下地電極層と第1めっき層および第2下地電極層と第2めっき層の密着性を下げつつ、積層体の端面側に形成される第1外部電極および第2外部電極の固着強度の確保が可能となり、より信頼性の向上と積層セラミックコンデンサの脱落防止の効果を得ることができる。
さらに、この発明にかかる積層セラミック電子部品によれば、積層体と第1下地電極層との密着強度が、第1有機層と第1めっき層との密着強度よりも大きく、且つ積層体と第2下地電極層との密着強度が、第2有機層と第2めっき層との密着強度よりも大きくすると、積層セラミック電子部品の信頼性などの不具合がより一層抑制される。
また、この発明にかかる積層セラミック電子部品によれば、積層体と第1有機層との密着強度が、第1有機層と第1めっき層との密着強度よりも大きく、且つ積層体と第2有機層との密着強度が、第2有機層と第2めっき層との密着強度よりも大きくすると、積層セラミック電子部品が基板に実装された状態において、仮に、熱衝撃等により基板に撓みが生じれば、この撓みに基づく応力によって第1外部電極の第1下地電極層と第1めっき層との間を剥離させたり、同様に、第2外部電極の第2下地電極層と第2めっき層との間を剥離させたりすることをより一層合理的に行うことができる。そのため、前記応力がより一層分散され、積層セラミック電子部品のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することをより一層抑制することができる。その結果、積層セラミック電子部品の信頼性をより一層向上させることができる。
さらに、この発明にかかる積層セラミック電子部品によれば、第1有機層および第2有機層は、多官能アルコキシシランSi−(Cn2n+13の構造を有し、且つN元素を含有する有機ケイ素化合物とすると、積層体や第1外部電極の第1下地電極層などの表面に確実に形成されるため、信頼性が向上する。
また、この発明にかかる積層セラミック電子部品によれば、第1有機層および第2有機層の表面のCu濃度およびSi濃度において、Cuに対するSiの原子濃度比が1%以上5%以下であると、積層セラミック電子部品のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することを抑制することができるだけでなく、めっき不良や積層セラミック電子部品の外れを抑制することができる。
この発明によれば、積層体のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することを抑制することができ、積層セラミック電子部品の性能や信頼性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る積層セラミック電子部品の外観を示す斜視図である。 一実施の形態に係る積層セラミック電子部品の断面図であって、図1のII−II線矢印方向から見た図である。 一実施の形態に係る積層セラミック電子部品の断面図であって、図2の外部電極の一部拡大図である。 第1の実施の形態に係る積層セラミック電子部品の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の一実施の形態に係る積層セラミック電子部品について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態においては、積層セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサを例にして説明する。なお、同一のまたは相当する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(積層セラミックコンデンサ)
図1は、本発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの外観を示す斜視図である。図2は、一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図であって、図1のII−II線矢印方向から見た図である。図3は、一実施の形態に係る積層セラミック電子部品の断面図であって、図2の外部電極の一部拡大図である。
本発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、直方体形状を有し、後述する長さ方向Lの寸法が後述する幅方向Wの寸法より大きい。直方体形状には、積層セラミックコンデンサ100の角部および稜線部に丸みが付けられたもの、並びに積層セラミックコンデンサ100の表面に段差または凹凸が設けられたものなどが含まれる。
積層セラミックコンデンサ100は、積層体110と、第1外部電極120と、第2外部電極130とを備えている。
積層体110は、複数の誘電体層の積層方向Hに相対する第1主面101および第2主面102と、積層方向Hに直交する幅方向Wに相対する第1側面103および第2側面104と、積層方向Hおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1端面105および第2端面106とを有している。
ここで、積層体110の誘電体層の積み重ね方向を積層方向Hとして定義し、当該積層方向Hと直交する方向のうち、積層セラミックコンデンサ100の第1外部電極120と第2外部電極130とを結ぶ方向を積層体110の長さ方向Lとして定義し、上記積層方向Hおよび上記長さ方向Lのいずれにも直交する方向を積層体110の幅方向Wとして定義し、以下の説明においては、これら用語を使用する。
積層体110は、交互に積層された複数の誘電体層200および複数の内部電極にて構成されている。積層体110は、直方体形状を有している。複数の誘電体層200および複数の内部電極の積層方向Hは、高さ方向に合致している。
積層体110は、異なる層に交互に配置されている複数の第1内部電極211と複数の第2内部電極212とを含む。
第1内部電極211は、積層方向Hから見て、矩形状の第1対向部211aと、第1対向部211aから積層体110の第1端面105に引出された第1引出し部211bとを有している。第1引出し部211bの端面は第1端面105に露出している。
第2内部電極212は、積層方向Hから見て、矩形状の第2対向部212aと、第2対向部212aから積層体110の第2端面106に引出された第2引出し部212bとを有している。第2引出し部212bの端面は第2端面106に露出している。
図2に示すように、第1内部電極211の第1対向部211aと第2内部電極212の第2対向部212aとは、誘電体層200を挟んで対向することにより静電容量が形成されている。
誘電体層200は、たとえばBaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3、PbTiO3又はPb(Zr、Ti)O3などを主成分とする誘電体セラミック材料にて形成されている。また、誘電体層200は、副成分として、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物又はNi化合物などを含んでいてもよい。誘電体層200の厚みは0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
第1内部電極211および第2内部電極212は、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd又はAuなどの金属や、これらの金属のうち少なくとも1種を含む合金(例えば、Ag−Pd合金)など、適宜の導電材料により構成することができる。第1内部電極211および第2内部電極212の各々の厚みは、0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
第1外部電極120は、積層体110の第1端面105上に配置されて、端部が第1主面101および第2主面102および第1側面103および第2側面104に延在している。第1外部電極120は、第1内部電極211と電気的に接続されている。
第2外部電極130は、積層体110の第2端面106上に配置されて、端部が第1主面101および第2主面102および第1側面103および第2側面104に延在している。第2外部電極130は、第2内部電極212と電気的に接続されている。第1外部電極120および第2外部電極130は、積層体110の長さ方向Lにおいて互いに離隔している。
第1外部電極120は、導電性金属およびガラス成分を含む第1下地電極層122と、第1下地電極層122を覆うように配置される有機ケイ素化合物を含む第1有機層140と、第1有機層140上に配置される第1めっき層123とを有している。同様に、第2外部電極130は、導電性金属およびガラス成分を含む第2下地電極層132と、第2下地電極層132を覆うように配置される有機ケイ素化合物を含む第2有機層150と、第2有機層150上に配置される第2めっき層133とを有している。
第1下地電極層122は、積層体110の第1端面105上に配置されて、端部が第1主面101および第2主面102および第1側面103および第2側面104に延在して形成されている。
第2下地電極層132は、積層体110の第2端面106上に配置されて、端部が第1主面101および第2主面102および第1側面103および第2側面104に延在して形成されている。
第1下地電極層122および第2下地電極層132は、例えば、導電性金属とガラス成分とを含む導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより形成される。第1下地電極層122および第2下地電極層132の導電性金属としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金又はAuなどが用いられる。第1下地電極層122および第2下地電極層132のガラス成分としては、例えば、B、Si、Ba、Mg、Al又はLiなどを含むガラスが用いられる。
第1下地電極層122および第2下地電極層132は、内部電極と同時焼成したものや、焼成後の積層体110の表面に導電性ペーストを塗布して焼き付けたものである。第1下地電極層122および第2下地電極層132のそれぞれの厚みは、最も厚い部分で10μm以上50μm以下であることが好ましい。
第1めっき層123は、第1下地電極層122上に配置される第1有機層140を覆うように形成される。具体的には、第1めっき層123は、積層体110の第1端面105上に配置される第1有機層140上に配置され、そこから延長されて、積層体110の第1主面101、第2主面102、第1側面103および第2側面104上に配置される第1有機層140上にも至るように配置されることが好ましい。
第2めっき層133は、第2下地電極層132上に配置される第2有機層150を覆うように形成される。具体的には、第2めっき層133は、積層体110の第2端面106上に配置される第2有機層150上に配置され、そこから延長されて、積層体110の第1主面101、第2主面102、第1側面103および第2側面104上に配置される第2有機層150上にも至るように配置されることが好ましい。
第1めっき層123および第2めっき層133は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au又はSnなどから選択される少なくとも1つにて形成されている。第1めっき層123は、複数層により形成されていてもよく、好ましくは、Niめっき層124とSnめっき層126との2層構造である。第2めっき層133は、複数層により形成されていてもよく、好ましくは、Niめっき層134とSnめっき層136との2層構造である。めっき層一層あたりの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
第1めっき層123のNiめっき層124は、第1外部電極120の第1下地電極層122の表面を覆う第1有機層140を覆うように設けられる。これにより、第1有機層140や第1下地電極層122が、積層セラミックコンデンサ100を実装する際のはんだによって侵食されることを防止することができる。
第2めっき層133のNiめっき層134は、第2外部電極130の第2下地電極層132の表面を覆う第2有機層150を覆うように設けられる。これにより、第2有機層150や第2下地電極層132が、積層セラミックコンデンサ100を実装する際のはんだによって侵食されることを防止することができる。
また、第1外部電極120のNiめっき層124の上に、さらにSnめっき層126を形成することにより、第1外部電極120のはんだ濡れ性が向上する。同様に、第2外部電極130のNiめっき層134の上に、さらにSnめっき層136を形成することにより、第2外部電極130のはんだ濡れ性が向上する。その結果、積層セラミックコンデンサ100の実装が容易になる。
第1有機層140は、第1下地電極層122を覆うように配置され、そこから延長されて、積層体110の表面を覆うように配置される。すなわち、第1有機層140は、第1下地電極層122の端部220を覆うように配置される。第1有機層140は、積層体110に接触する部分が、積層体110の第1端面105寄りの位置にあって、積層体110の表面を周回するように、第1主面101、第2主面102、第1側面103および第2側面104に配置されている。第1有機層140のうち、積層体110に接触する部分の一方の端部140aは、第1外部電極120の第1下地電極層122の端部220を覆うように接触している。第1有機層140のうち、積層体110に接触する部分は、第1下地電極層122の端部220から積層体110の少なくとも一部の表面にまで延在するように配置されて、その他方の端部140bは、第1めっき層123の端部230よりも第2端面106側に位置して露出している。さらに、第1外部電極120の第1めっき層123の端部230は、第1有機層140のうち、積層体110に接触する部分の一方の端部140aの表面に接触していることが好ましい。
第2有機層150は、第2下地電極層132を覆うように配置され、そこから延長されて、積層体110の表面を覆うように配置される。すなわち、第2有機層150は、第2下地電極層132の端部320を覆うように配置される。第2有機層150は、積層体110に接触する部分が、積層体110の第2端面106寄りの位置にあって、積層体110の表面を周回するように、第1主面101、第2主面102、第1側面103および第2側面104に配置されている。第2有機層150のうち、積層体110に接触する部分の一方の端部150aは、第2外部電極130の第2下地電極層132の端部320を覆うように接触している。第2有機層150のうち、積層体110に接触する部分は、第2下地電極層132の端部320から積層体110の少なくとも一部の表面にまで延在するように配置されて、その他方の端部150bは、第2めっき層133の端部330よりも第1端面105側に位置して露出している。さらに、第2外部電極130の第2めっき層133の端部330は、第2有機層150のうち、積層体110に接触する部分の一方の端部150aの表面に接触していることが好ましい。
以上の構成により、積層セラミックコンデンサ100が基板に実装された状態において、仮に、熱衝撃等により基板に撓みが生じれば、この撓みに基づく応力によって第1外部電極120の第1下地電極層122と第1めっき層123との間を剥離させたり、第2外部電極130の第2下地電極層132と第2めっき層133との間を剥離させたりすることができる。そのため、前記応力が分散され、積層セラミックコンデンサ100のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することを抑制することができる。その結果、積層セラミックコンデンサ100の信頼性を向上させることができる。ここで、クラックとは、外部電極端部を起点として、外層部から内部電極層部に向かって進展する亀裂と定義する。
図3に示すように、第1有機層140のうち、積層体110に接触した部分の長さ方向Lにおける寸法d1(すなわち、第1下地電極層122の先端222から、第1有機層140の第2端面106側の先端142までの長さ方向Lにおける寸法)は、5μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、第2有機層150の場合も同様である。これにより、はんだ付き性不良などの不具合が生じることなく、下地電極層とめっき層との間を確実に剥離させることができる。
第1主面101上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140を有機層主面側部144とし、第1端面105上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140を有機層端面側部146としたとき、有機層主面側部144の表面粗さよりも有機層端面側部146の表面粗さの方が大きい。なお、第2有機層150の場合も同様である。
また、第1有機層140において、有機層主面側部144の表面粗さRaは、0.1μm以上0.5μm以下であり、有機層端面側部146の表面粗さRaは、0.6μm以上2.0μm以下であることが好ましい。なお、第2有機層150の場合も同様である。
なお、有機層主面側部および有機層端面側部の表面粗さの測定方法は以下の通りである。
(1)めっき層を形成する前に表面粗さを測定する場合
有機層主面側部は、積層体110の両主面または両側面に位置する第1有機層または第2有機層の中央部において、レーザー顕微鏡を用いて形状測定を行う。基準長さ(測定範囲)は50μmとして、算術平均粗さRaが算出される。
有機層端面側部は、積層体110の両端面に位置する第1有機層または第2有機層の中央部において、レーザー顕微鏡を用いて形状測定を行う。基準長さ(測定範囲)は50μmとして、算術平均粗さRaが算出される。
(2)めっき層を形成した積層セラミックコンデンサにおいて表面粗さを測定する場合
基板実装面と直交する方向の面、即ち、第1側面または第2側面から積層セラミックコンデンサの中央部(幅Wの半分の位置)まで断面研磨が行われ、研磨された断面の画像が、SEM(電子顕微鏡)によって取得される。その後、取得された画像より、有機層とめっき層間の形状の曲線を抜き出し、基準長さ(測定範囲)50μmとして算術平均粗さRaが算出される。
積層体110上に配置される部分の第1有機層140の厚みは、第1下地電極層122上に配置される部分の第1有機層140の厚みよりも厚いことが好ましい。これにより、第1下地電極層122と第1めっき層123とを確実に剥離させることができる。同様に、積層体110上に配置される部分の第2有機層150の厚みは、第2下地電極層132上に配置される部分の第2有機層150の厚みよりも厚いことが好ましい。これにより、第2下地電極層132と第2めっき層133とを確実に剥離させることができる。第1有機層140および第2有機層150のうち、積層体110の第1主面101および第2主面102上に配置される部分の厚みは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。また、第1有機層140のうちの第1下地電極層122の端部220(先端位置における部分)の厚み、および第2有機層150のうちの第2下地電極層132の端部320(先端位置における部分)の厚みは、5nm以上500nm以下であることが好ましい。これにより、積層体110のクラックが効果的に抑制されるだけでなく、めっき不良や積層セラミックコンデンサ100の外れが抑制される。
第1有機層140および第2有機層150は、有機ケイ素化合物を含む。有機ケイ素化合物としては、例えば、デシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が用いられる。特に、第1有機層140および第2有機層150として、単官能アルコキシシラン構造と多官能アルコキシシランSi−(Cn2n+13の構造の2種類を用いることで、第1下地電極層122の先端位置における部分の第1有機層140の厚みおよび第2下地電極層132の先端位置における部分の第2有機層150の厚みと、第1下地電極層122の先端位置における部分以外の部分および第2下地電極層132の先端位置における部分以外の部分の厚みを変えることができる。なお、第1有機層140および第2有機層150は、多官能アルコキシシランSi−(Cn2n+13の構造を有し、かつ、N元素を含有する有機ケイ素化合物を用いてもよい。
これにより、積層セラミックコンデンサ100が基板に実装された状態において、仮に、熱衝撃等により基板に撓みが生じれば、この撓みに基づく応力によって第1外部電極120の第1下地電極層122と第1めっき層123との間を剥離させたり、同様に、第2外部電極130の第2下地電極層132と第2めっき層133との間を剥離させたりすることができる。そのため、前記応力が分散され、積層セラミックコンデンサ100のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することを抑制することができる。その結果、積層セラミックコンデンサ100の信頼性を向上させることができる。
また、積層セラミックコンデンサ100の第1外部電極120と第2外部電極130との間には、有機層が存在していない部分がある。これにより、積層体110の表面が露出するため、実装時に用いられる導電性接着剤との固着力が向上し、実装信頼性の低下を抑制することができる。
また、第1外部電極120の第1下地電極層122と積層体110との間の密着強度が、第1有機層140と第1外部電極120の第1めっき層123との間の密着強度より大きいことが好ましい。同様に、第2外部電極130の第2下地電極層132と積層体110との間の密着強度が、第2有機層150と第2外部電極130の第2めっき層133との間の密着強度より大きいことが好ましい。
また、積層体110と第1有機層140と間の密着強度が、第1有機層140と第1めっき層123との間の密着強度より大きいことが好ましい。同様に、積層体110と第2有機層150との間の密着強度が、第2有機層150と第2めっき層133と間の密着強度より大きいことが好ましい。
また、第1有機層140および第2有機層150の表面のCuに対するSiの原子濃度比が1%以上5%以下であることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ100のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することを抑制することができるだけでなく、めっき不良や積層セラミックコンデンサ100の外れを抑制することができる。
また、第1端面105上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140のCuに対するSiの原子濃度比をBとし、第1主面101上及び第2主面102上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140のCuに対するSiの原子濃度比をAとし、並びに、第1主面101上及び第2主面102上に直接に位置される第1有機層140のCuに対するSiの原子濃度比をAとしたとき、関係式A>Bが満たされることが好ましい。同様に、第2端面106上に位置する第2下地電極層132上に配置される第2有機層150のCuに対するSiの原子濃度比をBとし、第1主面101上及び第2主面102上に位置する第2下地電極層132上に配置される第2有機層150のCuに対するSiの原子濃度比をAとし、並びに、第1主面101上及び第2主面102上に直接に位置される第2有機層150のCuに対するSiの原子濃度比をAとしたとき、関係式A>Bが満たされることが好ましい。これにより、第1有機層140および第2有機層150の剥離は、第1側面103および第2側面104で止められ、信頼性の低下を回避することができる。
なお、第1側面103上及び第2側面104上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140のCuに対するSiの原子濃度比、並びに、第1側面103上及び第2側面104上に直接に位置される第1有機層140のCuに対するSiの原子濃度比においても、Aと同じ値であることが好ましく、関係式A>Bが満たされることが好ましい。
上記の原子濃度比の測定は、XPS(X線光電子分光)で測定される。より具体的には、上記の原子濃度比は、チップ側面部および端面部の中央部に150μm角程度の切り溝を入れ、この部分の第1めっき層123又は第2めっき層133を剥がしてその表面をXPS(X線光電子分光)分析し、Cu2p、Si2pの各ピーク面積および測定装置の感度係数に基づいてその原子濃度比を算出することにより求めることができる。また、XPSによる詳細な測定条件は以下の通りである。
・装置名:ULVAC−PHI製VersaProbe
・X線:単色化Al−Kα線
・X線径:ビーム半値幅で100μm
・光電子の取り出し角:45°
・測定したスペクトル:Si2p、Cu2p
・測定時の帯電の補償方法:電子線とイオンビームを照射
この発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、第1主面101上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140を有機層主面側部144とし、第1端面105上に位置する第1下地電極層122上に配置される第1有機層140を有機層端面側部146としたとき、有機層主面側部144の表面粗さよりも有機層端面側部146の表面粗さの方が大きい。これにより、第1下地電極層122の先端222から積層体110の主面上に形成される第1下地電極層122付近では、第1有機層140との剥離が起こりやすく、第1外部電極120の第1端面105側においては、アンカー効果により第1下地電極層122と第1有機層140との密着力を高めることができる。なお、第2有機層150の場合も同様である。よって、端面上では、第1下地電極層122と第1有機層140および第2下地電極層132と第2有機層150とを剥離しにくい状態にすることができる。その結果、第1外部電極120および第2外部電極130の固着強度を確保することができ、実装後の積層セラミックコンデンサの脱落を防ぐことが可能となる。
また、この発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、第1有機層140において、有機層主面側部144の表面粗さRaが、0.1μm以上0.5μm以下であり、有機層端面側部146の表面粗さRaが、0.6μm以上2.0μm以下であることが好ましい。なお、第2有機層150の場合も同様である。これにより、より確実に、積層体110の主面上に形成される第1下地電極層122と第1めっき層123および第2下地電極層132と第2めっき層133の密着性を下げつつ、積層体110の端面側に形成される第1外部電極120および第2外部電極130の固着強度の確保が可能となり、より信頼性の向上と積層セラミックコンデンサの脱落防止の効果を得ることができる。
さらに、この発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、第1外部電極120の第1下地電極層122と積層体110との間の密着強度が、第1有機層140と第1外部電極120の第1めっき層123との間の密着強度より大きいことが好ましい。同様に、第2外部電極130の第2下地電極層132と積層体110との間の密着強度が、第2有機層150と第2外部電極130の第2めっき層133との間の密着強度より大きいことが好ましい。これにより、第1有機層140および第2有機層150と第1めっき層123および第2めっき層133との間で剥離させることができ、一方で、積層体110と第1有機層140および第2有機層150との間では密着を維持することができるため、水分等の浸入を確実に抑制することができる。よって、積層セラミックコンデンサ100の信頼性などの不具合がより一層抑制される。
また、この発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、積層体110と第1有機層140と間の密着強度が、第1有機層140と第1めっき層123との間の密着強度より大きいことが好ましい。同様に、積層体110と第2有機層150との間の密着強度が、第2有機層150と第2めっき層133と間の密着強度より大きいことが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ100が基板に実装された状態において、仮に、熱衝撃等により基板に撓みが生じれば、この撓みに基づく応力によって第1外部電極120の第1下地電極層122と第1めっき層123との間を剥離させたり、同様に、第2外部電極130の第2下地電極層132と第2めっき層133との間を剥離させたりすることをより一層合理的に行うことができる。そのため、前記応力がより一層分散され、積層セラミックコンデンサ100のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することをより一層抑制することができる。その結果、積層セラミックコンデンサ100の信頼性をより一層向上させることができる。
さらに、この発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、第1有機層140および第2有機層150として、多官能アルコキシシランSi−(Cn2n+13の構造を有し、かつ、N元素を含有する有機ケイ素化合物が用いられることが好ましい。これにより、積層体110や第1外部電極120の第1下地電極層122などの表面に確実に形成されるため、第1有機層140および第2有機層150の作用によって積層体110のクラックが効果的に抑制され、信頼性が向上する。
(製造方法)
次に、本発明の一実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ100の製造方法について説明する。
先ず、第1内部電極211および第2内部電極212を有する積層体110が準備される。具体的には、セラミック粉末を含むセラミックペーストが、例えばスクリーン印刷法などによりシート状に塗布され、乾燥させることにより、マザーセラミックグリーンシートが作製される。
次に、マザーセラミックグリーンシート上に、例えば、スクリーン印刷などにより所定のパターンで内部電極形成用導電性ペーストが印刷され、第1内部電極211の内部電極形成用導電パターンが形成される。同様に、別のマザーセラミックグリーンシート上に、例えば、スクリーン印刷などにより所定のパターンで内部電極形成用導電性ペーストが印刷され、第2内部電極212の内部電極形成用導電パターンが形成される。
こうして、第1内部電極211の内部電極形成用導電パターンが形成されたマザーセラミックグリーンシートと、第2内部電極212の内部電極形成用導電パターンが形成されたマザーセラミックグリーンシートと、内部電極形成用導電パターンが形成されていないマザーセラミックグリーンシートとが用意される。なお、セラミックペーストや、内部電極形成用導電性ペーストには、例えば周知のバインダーや溶媒が含まれていてもよい。
次に、マザー積層体が作製される。マザー積層体は、下記のように作製される。内部電極形成用導電パターンが印刷されていない外層用マザーセラミックグリーンシートが所定枚数積層され、その上に第1内部電極211の内部電極形成用導電パターンが印刷されたマザーセラミックグリーンシートと第2内部電極212の内部電極形成用導電パターンが印刷されたマザーセラミックグリーンシートとが交互に順次積層される。さらにその上に、内部電極形成用導電パターンが印刷されていない外層用マザーセラミックグリーンシートが所定枚数積層され、マザー積層体が作製される。マザー積層体は、必要に応じて、静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスされてもよい。
次に、マザー積層体が所定の位置でカットされ、所定サイズの生の積層体110が複数個切り出される。このとき、バレル研磨などによって生の積層体110の角部や稜線部に丸みがつけられてもよい。
次に、生の積層体110が焼成されることにより、第1内部電極211および第2内部電極212が内部に配設され、かつ、第1内部電極211の第1引出し部211bが第1端面105に露出し、第2内部電極212の第2引出し部212bが第2端面106に露出した積層体110が得られる。焼成温度は、セラミック材料および導電材料の種類に応じて適宜設定され、たとえば、900℃以上1300℃以下の範囲内で設定される。
次に、焼成後の積層体110の両端部に外部電極の下地電極層が形成される。焼成後の積層体110の両端部に外部電極用導電性ペーストが塗布され、焼き付けられて、第1外部電極120の第1下地電極層122と第2外部電極130の第2下地電極層132とが形成される。焼き付け温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
次に、有機層主面側部144の表面粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下の範囲となるように、第1外部電極120の第1下地電極層122の有機層主面側部144に対応する第1下地電極層122の表面を研磨する。また、有機層端面側部146の表面粗さが0.6μm以上2.0μm以下の範囲となるように、第1外部電極120の第1下地電極層122の有機層端面側部146に対応する第1下地電極層123の表面を研磨する。同様に、第2外部電極130の第2下地電極層132に対しても行う。
研磨にはブラストを使用し、狙いの表面粗さを得るためにブラスト材の粒径・吐出圧・ブラスト時間などを調整する。なお、有機層主面側部のみを研磨する方法としては、下地電極層が形成された積層体を主面または側面が上面になるように並べ、上面側よりブラスト研磨を行う。研磨後にチップの向きを変え、主面および側面の4面すべて研磨できるようにする。また、有機層端面側部をマスキングしたうえで、研磨する方法で行ってもよい。また、有機層端面側部のみを研磨する方法としては、下地電極層が形成された積層体の端面が上面となるように並べ、上面側よりブラスト研磨を行う。また、有機層主面側部をマスキングしたうえで、研磨する方法で行ってもよい。
また、研磨方法は、ブラスト以外にレーザー照射、バレル研磨、研磨紙,研磨剤,砥石,バフなどによる研磨、化学研磨でもよい。
以上のように、有機層主面側部および有機層端面側部の表面粗さは、それぞれの有機層が配置される第1下地電極層122および第2下地電極層132の表面を粗らすことで、有機層主面側部および有機層端面側部の表面粗さを制御している。
次に、第1有機層140および第2有機層150が形成される。第1有機層140および第2有機層150は、下記のように作製される。
第1外部電極120の第1下地電極層122、第2外部電極130の第2下地電極層132および積層体110の所定の表面を覆うように、有機処理液が塗布または浸漬されて、第1有機層140および第2有機層150が形成される。第1有機層140および第2有機層150が形成される工程は、2回に分けて有機処理液が塗布される。
具体的には、第1外部電極120の第1下地電極層122および第2外部電極130の第2下地電極層132を焼き付けた積層体110は、長手方向に並べられ、第1有機層140が覆う端部220および第2有機層150が覆う端部320を残して第1外部電極120および第2外部電極130の表面が1回目の有機処理液に浸漬される。その後、積層体110は、100℃以上200℃以下の温度で乾燥され、第1外部電極120および第2外部電極130の表面に、第1有機層140が覆う端部220および第2有機層150が覆う端部320を残して、第1有機層140のうち第1下地電極層122上を覆う部分が形成され、且つ第2有機層150のうち第2下地電極層132上を覆う部分が形成される。1回目の有機処理液は、単官能のシランカップリング材からなり、具体的には、デシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が用いられ、アルコール溶媒に有機処理液が3重量%以下に希釈されたものである。
次に、積層体110は、第1外部電極120の第1下地電極層122、第2外部電極130の第2下地電極層132、および積層体110の所定の表面が2回目の有機処理液に浸漬される。このとき、2回目の有機処理液によって形成される有機膜は、1回目の有機処理液によって形成された有機膜の上には形成され難いため、第1下地電極層122の端部220と第2下地電極層132の端部320と積層体110の所定の表面とに形成される。その後、積層体110は、100℃以上200℃以下の温度で乾燥され、第1下地電極層122の端部220および第2下地電極層132の端部320を覆うように第1有機層140および第2有機層150が形成される。2回目の有機処理液は、多官能アルコキシシランSi−(Cn2n+13が用いられ、アルコール溶媒に有機処理液が1重量%以上10%以下に希釈されたものである。1回目の有機処理液と2回目の有機処理液とは、有機ケイ素化合物であることが好ましい。
1回目の有機処理液と2回目の有機処理液が異なることにより、1回目は端部220および端部320を残して第1下地電極層122および第2下地電極層132の表面に第1有機層140および第2有機層150が形成される。そして、2回目は、1回目に形成された第1有機層140および第2有機層150上に付着し難く、第1有機層140および第2有機層150の厚みが厚くなるように形成することが可能となる。その結果、クラックの起点となる第1外部電極120の第1下地電極層122の端部220に第1有機層140を十分に形成することが可能となり、同様に、クラックの起点となる第2外部電極130の第2下地電極層132の端部320に第2有機層150を十分に形成することが可能となるため、本発明のクラック抑制の効果をより顕著なものとすることができる。
次に、積層体110の両端部の外部電極のめっき層が形成される。第1外部電極120の第1めっき層123は、第1外部電極120の第1下地電極層122の表面を殆んど覆い、かつ、第1めっき層123の端部230の端面は、第1有機層140の一方の端部140aの表面を覆うように形成される。同様に、第2外部電極130の第2めっき層133は、第2外部電極130の第2下地電極層132の表面を殆んど覆い、かつ、第2めっき層133の端部330の端面は、第2有機層150の一方の端部150aの表面を覆うように形成される。
次に、形成された第1有機層140の一部および第2有機層150の一部は、必要に応じて除去してもよい。
以上の方法によって、積層体110のセラミック部や内部電極部にクラックや変形等が発生することを抑制することができ、性能や信頼性を向上させることができる積層セラミックコンデンサ100を容易に製造できる。
(実験例)
以下、この発明の効果を確認するために発明者らが行った実験例について説明する。
本実験例では、前記一実施の形態の製造方法によって、積層セラミックコンデンサ100が作製され、熱ストレス後のクラックの発生率、固着強度、積層セラミックコンデンサの外れの発生数、はんだ付き不良の発生数が確認された。
本実験例は、有機層端面側部の表面粗さRaを一定とし、有機層主面側部の表面粗さRaを変化させた場合と、有機層主面側部の表面粗さRaを一定とし、有機層端面側部の表面粗さRaを変化させた場合とで行った。
積層セラミックコンデンサ100の仕様は以下の通りである。
・サイズ:長さLが1.0mm、幅Wが0.5mm、高さHが0.5mm
・セラミック材料:BaTiO3
・容量:100nF
・定格電圧:16V
第1外部電極120および第2外部電極130の仕様は以下の通りである。
・下地電極層材料:導電性金属(Cu)とガラス成分を含む材料
・下地電極層の厚み:端面中央部で30μm
・有機層
下地電極層の表面に形成される部分:デシルトリメトキシシランからなる単官能シランカップリング膜、厚み30nm
下地電極層の端部および積層体の表面に形成される部分:トリス−(トリメトキシシルプロピル)イソシアヌレートからなる多官能アルコキシシランSi−(CnH2n+13
・有機層主面側部の表面粗さRa:表1および表2を参照
・有機層端面側部の表面粗さRa:表1および表2を参照
・めっき層:Niめっき層(3μm)+Snめっき層(3μm)の2層
本実験例において、有機層主面側部および有機層端面側部の表面粗さの測定方法は以下の通りとした。
めっき層を形成した積層セラミックコンデンサにおいて表面粗さを測定した。基板実装面と直交する方向の面、即ち、第1側面または第2側面から積層セラミックコンデンサの中央部(幅Wの半分の位置)まで断面研磨が行われ、研磨された断面の画像が、SEM(電子顕微鏡)によって取得された。その後、取得された画像より、有機層とめっき層間の形状の曲線を抜き出し、基準長さ(測定範囲)50μmとして算術粗さを算出した。なお、有機層主面側部の表面粗さRaの測定場所は、積層体110の両主面または両側面に位置する第1有機層または第2有機層の中央部とし、有機層端面側部の表面粗さRaの測定場所は、積層体110の両端面に位置する第1有機層または第2有機層の中央部とした。
有機層主面側部および有機層単面側部の表面粗さRaは、ブラスト材の中心粒子径、サンドブラストの加工時間のそれぞれを表1および表2に示すように変化させることにより変化させた。
試験方法は以下の通りである。
LFソルダーペーストが1.6mm厚みのJEITAランドFR4基板に厚さ150μmで塗布された後、積層セラミックコンデンサ100が載置され、240℃のリフロー炉を5回通すことにより、積層セラミックコンデンサ100が実装された。このとき、基板からの積層セラミックコンデンサに対する脱落の有無の確認を行った。実装した積層セラミックコンデンサは種類毎に100個である。
クラック発生率の測定方法は以下の通りである。
実装後の積層セラミックコンデンサが240℃のホットプレートに載せられてはんだが溶かされ、積層セラミックコンデンサが基板から取り外された。次に、断面研磨が、基板の実装面と直行する方向の面、即ち、第1側面または第2側面から積層セラミックコンデンサの中央部(幅Wの半分の位置)まで行われ、その後、研磨された断面が、SEM(電子顕微鏡)によって、外部電極端部を起点として外層部から内部電極層部に向かって進展するクラックに着目して観察された。
固着強度の評価方法は以下の通りである。
LFソルダーペーストを用いて、1.6mm厚みのJEITAランドFR4基板に積層セラミックコンデンサを実装後、基板を固定した状態で積層セラミックコンデンサの側面中央部に加工治具を押し当て、基板に対して水平となるように両側面を結ぶ方向に向かって荷重を加え、破壊に至るまでの最大荷重値を取得して評価した。
なお、積層セラミックコンデンサの固着強度も種類毎に100個である。
はんだ付き不良の評価方法は以下の通りである。
245℃に加熱したLFはんだのはんだ槽にフラックスを塗布した積層セラミックコンデンサを2秒浸漬して引き上げた。引き上げた後、積層セラミックコンデンサの端面側を実体顕微鏡で観察を行い、下地電極層が露出しているものは不良を判定し、露出していない積層セラミックコンデンサに関しては、95%がはんだで下地電極層が覆われている積層セラミックコンデンサを良品と判定し、95%未満の積層セラミックコンデンサを不良と判定した。
有機層端面側部の表面粗さRaを一定とし、有機層主面側部の表面粗さRaを変化させた場合を表1に示し、有機層主面側部の表面粗さRaを一定とし、有機層端面側部の表面粗さRaを変化させた場合を表2に示した。
Figure 2018049883

Figure 2018049883

表1は、有機層端面側部の表面粗さRaを0.65μmで一定とし、有機層主面側部の表面粗さRaを0.05μm、0.1μm、0.3μm、0.5μmおよび0.65μmと変化させた場合についての結果である。この場合、有機層主面側部の表面粗さRaが0.65μmのときは、クラックの発生が72%認められ、0.5μm以下では、クラックの発生は認められなかった。ただし、有機層主面側部の表面粗さRaが0.05μmのときは、実装後に、積層セラミックコンデンサの脱落が生じた。以上より、有機層主面側部の表面粗さRaは、0.1μm以上0.5μm以下とした積層セラミックコンデンサが良好であることが確認された。なお、固着強度は、有機層主面側部の表面粗さRaが大きくなるほど強くなることが確認された。
表2は、有機層主面部の表面粗さRaを0.3μmで一定とし、有機層端面側部の表面粗さRaを0.5μm、0.6μm、1.0μm、1.5μm、2.0μmおよび2.5μmと変化させた場合についての結果である。この場合、いずれの条件でもクラック発生は認められなかった。しかし、有機層端面側部の表面粗さRaが0.5μmのときは、実装後に、積層セラミックコンデンサの脱落が発生した。また、有機層端面側部の表面粗さRaが2.5μmのときは、はんだ付き不良が発生した。以上より、有機層端面側部の表面粗さRaは、0.6μm以上2.0μm以下とした積層セラミックコンデンサが良好であることが確認された。なお、固着強度は、有機層端面側部の表面粗さRaを変化させても大きく変化することは認められなかった。
以上の結果から、本発明が奏する効果を確認することができた。
上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、一実施の形態の場合において、積層セラミックコンデンサ100の第1外部電極120と第2外部電極130との間には、有機層が存在していない部分がある。しかし、図4に示すように、第1有機層140の他方の端部140bが積層体110の中央部まで延在し、かつ、第2有機層150の他方の端部150bが積層体110の中央部まで延在して、両者が中央部で接し、第1外部電極120と第2外部電極130との間の積層体110の露出面全体に有機層が配置されるように構成されていてもよい。
100 積層セラミックコンデンサ
101 第1主面
102 第2主面
103 第1側面
104 第2側面
105 第1端面
106 第2端面
110 積層体
120 第1外部電極
130 第2外部電極
122 第1下地電極層
123 第1めっき層
124,134 Niめっき層
126,136 Snめっき層
132 第2下地電極層
133 第2めっき層
140 第1有機層
142 第1有機層の延長端部
144 有機層主面側部
146 有機層端面側部
150 第2有機層
200 誘電体層
211 第1内部電極
211a 第1対向部
211b 第1引出し部
212 第2内部電極
212a 第2対向部
212b 第2引出し部
220 第1下地電極層の端部
222 第1下地電極層の先端
230 第1めっき層の端部
320 第2下地電極層の端部
330 第2めっき層の端部
H 積層方向
L 長さ方向
W 幅方向

Claims (7)

  1. 積層された複数の誘電体層と積層された複数の内部電極とを含み、積層方向に相対する第1主面および第2主面と、前記積層方向に直交する幅方向に相対する第1側面および第2側面と、前記積層方向および前記幅方向に直交する長さ方向に相対する第1端面および第2端面と、を有している積層体と、
    前記内部電極に接続され、前記第1端面上に配置されて、端部が前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面および前記第2側面に延在している第1外部電極と、
    前記内部電極に接続され、前記第2端面上に配置されて、端部が前記第1主面、前記第2主面、前記第1側面および前記第2側面に延在している第2外部電極と、を備え、
    前記第1外部電極は、導電性金属およびガラス成分を含む第1下地電極層と、前記第1下地電極層を覆うように配置される有機ケイ素化合物を含む第1有機層と、前記第1有機層上に配置される第1めっき層と、を有し、
    前記第2外部電極は、導電性金属およびガラス成分を含む第2下地電極層と、前記第2下地電極層を覆うように配置される有機ケイ素化合物を含む第2有機層と、前記第2有機層上に配置される第2めっき層と、を有し、
    前記第1有機層は、前記第1下地電極層上から前記積層体の少なくとも一部の表面を覆うように配置されており、且つ前記第2有機層は、前記第2下地電極層上から前記積層体の少なくとも一部の表面を覆うように配置されており、
    前記第1めっき層の先端部は、前記第1有機層に接触しており、且つ前記第2めっき層の先端部は、前記第2有機層に接触しており、
    前記第1主面または前記第2主面上に位置する前記第1下地電極層上に配置される前記第1有機層または前記第2下地電極層上に配置される前記第2有機層を有機層主面側部、前記第1端面または前記第2端面上に位置する前記第1下地電極層上に配置される第1有機層または前記第2下地電極層上に配置される前記第2有機層を有機層端面側部としたとき、前記有機層主面側部の表面粗さよりも前記有機層端面側部の表面粗さの方が大きいこと、
    を特徴とする積層セラミック電子部品。
  2. 前記有機層主面側部の表面粗さRaは、0.1μm以上0.5μm以下であり、前記有機層端面側部の表面粗さRaは、0.6μm以上2.0μm以下である、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 前記積層体と前記第1下地電極層との密着強度が、前記第1有機層と前記第1めっき層との密着強度よりも大きく、且つ前記積層体と前記第2下地電極層との密着強度が、前記第2有機層と前記第2めっき層との密着強度よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
  4. 前記積層体と前記第1有機層との密着強度が、前記第1有機層と前記第1めっき層との密着強度よりも大きく、且つ前記積層体と前記第2有機層との密着強度が、前記第2有機層と前記第2めっき層との密着強度よりも大きい、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  5. 前記第1有機層および前記第2有機層は、多官能アルコキシシランSi−(Cn2n+13の構造を有し、且つN元素を含有する有機ケイ素化合物である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  6. 前記第1有機層および前記第2有機層の表面のCu濃度およびSi濃度において、Cuに対するSiの原子濃度比が1%以上5%以下である、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  7. 前記積層セラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
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