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JP2017517643A - フルフェイス型オートバイ用ヘルメットのための拡大された視界 - Google Patents

フルフェイス型オートバイ用ヘルメットのための拡大された視界 Download PDF

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JP2017517643A JP2016566892A JP2016566892A JP2017517643A JP 2017517643 A JP2017517643 A JP 2017517643A JP 2016566892 A JP2016566892 A JP 2016566892A JP 2016566892 A JP2016566892 A JP 2016566892A JP 2017517643 A JP2017517643 A JP 2017517643A
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マイケル ダブリュー. ロー,
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Abstract

提供されるのは、フェイスポート開口部を含み得るフルフェイス型オートバイ用ヘルメットであって、そのフェイスポート開口部が、上側縁部、下側縁部、及びフェイスポートの上側縁部とフェイスポートの下側縁部との間に延びるAピラーを含むものである。顎バーは、Aピラーに直接隣接して始まる凹部を含み得るが、顎バーは、凹部内に、60ミリメートル(mm)以上の顎バー高さHc1を有し、凹部外で、凹部に直接隣接して、70mm以上の顎バー高さHc2を有する。凹部は、15〜60mmの範囲内の距離にわたり5mm以上の高さHrを有し得る。凹部は、凹部最下部と、凹部最上部との間に、35mm以下の長さを有する階段面を更に含み得る。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示全体が本参照により本明細書に援用される、「フルフェイス型ヘルメットのための拡大された視界(Expanded Field of View for Full−Face Helmet)」と題する、2015年5月8日出願の米国特許仮出願第61/990,633号の利益を主張する。
(発明の分野)
本開示は、フルフェイス型ヘルメットのための拡大された視界を有するヘルメットと、そのようなヘルメットを製造し使用する方法に関する。
保護用ヘッドギア及びヘルメットは、ユーザーの頭部と脳に加わるダメージから保護するために、様々な用途において、また、例えば、スポーツ、アスレチック、土木建設業、鉱業、軍隊などを含む多くの産業分野にわたって使用されてきた。硬い物体又は鋭利な物体が頭部に直接接触することを防ぐヘルメットを着用すると、ユーザーは、ダメージを受けたり怪我をしたりするのを未然に防いだり、減らしたりすることが可能である。衝撃のエネルギーを吸収、分配、又はその他の方法で管理するヘルメットを着用しても、ユーザーはダメージを受けたり怪我をしたりするのを未然に防いだり、減らしたりすることが可能である。
図1は、先行技術において周知の、従来のヘルメット又はフルフェイス型オートバイ用ヘルメット10を示す。ヘルメット10は、典型的には保護パッド又はエネルギー吸収材料の1つ以上の層を含むヘルメット本体12を備えるが、そのような層には、硬質の外側帽体及び内側の発泡体ライナーが含まれる。光学的フェイスシールド又はバイザー14は、1つ以上のヒンジ又はピボット15を用いて回動可能にヘルメット本体12に結合されるが、そのヒンジ又はピボット15により、バイザー14は、開放又はアップ位置と、閉鎖又はダウン位置との間を回動することが可能になっている。図1は、フェイスシールド14の下側縁部16が、顎バー17の一部、例えば顎バー17の上側縁部に接する又はその上に乗る状態になるようになっているような、閉鎖又はダウン位置のバイザー14を示す。フルフェイス型ヘルメット10の顎バー17は、ユーザーの顎部、顔、頭部下側への保護を含む、顔全面の保護を提供する。顎バー17は、特に、前方からの衝撃に対して、顎バーのないヘルメットが保護やエネルギー吸収をあまり提供できないような場所に、保護とエネルギー吸収とを提供することが可能である。ヘルメット10を貫通するフェイスポート又は開口部18は、ユーザーにフェイスポート18を通じた視界を提供し、また場合により、フェイスシールド14を通じた視界を提供するが、この視界は、ヘルメットユーザーの視界(FOV)とも呼ばれ得るものである。
例えばヘルメット10のようなヘルメットは、従来、その安全性とFOVについてテストをされている。安全性を高めるために衝撃中エネルギー管理を向上する保護用のヘルメット材料を追加することと、保護用のヘルメット材料を追加することによりFOVが狭くなる可能性があることの間には、トレードオフの関係がある。適切な安全性とFOVとを確保するために、当局は、適切なバランスが確実に維持されるようにするためのガイドラインを採用している。例えば、欧州では、FOVを検査するための欧州経済委員会試験規格を採用している。ヘルメットの着用者、ユーザー、ライダーが、適切な又は望ましい、ユーザーにとっての安全性とFOVを確保するように、FOVが測定される。
改良されたフルフェイス型オートバイ用ヘルメットへの需要が存在する。したがって、1つの態様においては、フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、硬質の外側帽体と、硬質の外側帽体内に配設されるエネルギー吸収材料と、を備え得る。フルフェイス型オートバイ用ヘルメットはまた、硬質の外側帽体を貫通して、ヘルメットの内側の空間に延びるフェイスポート開口部を備え得るが、そのフェイスポートは、上側縁部と、取り外し不可能な顎バーの上側縁部により画定される下側縁部とを有し、フェイスポートは、第1のサイドをフェイスポートの上側縁部とフェイスポートの下側縁部との間に延びるAピラーにより更に画定され、フェイスポートは高さHaを有する。顎バーは、Aピラーに直接隣接して始まる凹部を備え得るが、顎バーは、凹部内に60ミリメータ(mm)以上の顎バー高さHc1と、凹部外側に直接隣接して70mm以上の顎バー高さHc2とを有する。凹部は、15〜60mmの範囲内の距離にわたり5mm以上の、凹部の最下部と凹部の最上部との間の高さHrを有し得るが、凹部は、35mm以下の長さを有する、凹部の最下部と凹部の最上部との間の階段面を更に備え得る。
フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、凹部内に、最小顎バー高さである顎バー高さHc1を更に有し得る。フェイスポートは、80mm以下の最大高さ(Ha max)を有し得る。フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、Aピラー高さHaの下半分内に配設される、フェイスポートの最後方点を更に有し得る。Aピラーと凹部の最下部との間の最大曲率半径は、50mm以下であり得る。フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、フェイスポートの上方で、フルフェイス型ヘルメットに進退可能に結合されるフェイスシールドを更に備え得る。
別の態様においては、フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、硬質の外側帽体と、硬質の外側帽体内に配設されるエネルギー吸収材料と、を備え得る。フェイスポート開口部は、硬質の外側帽体を貫通して、ヘルメットの内側の空間に延び得るが、そのフェイスポートは上側縁部と、顎バーの上側縁部により画定される下側縁部とを有し、フェイスポートは、第1のサイドをフェイスポートの上側縁部とフェイスポートの下側縁部との間に延びるAピラーにより更に画定され、フェイスポートは高さHaを有する。顎バーは、Aピラーの近隣で始まり、10〜60mmの範囲内の距離にわたり3mm以上の、凹部の最下部と凹部の最上部との間の高さHrを有する凹部を備え得る。顎バーは、40mm以下の長さを有する、凹部の最下部と凹部の最上部との間の階段面を備え得る。
フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、凹部内かつAピラーの近隣で、凹部内の最小顎バー高さである顎バー高さHc1を更に有し得る。フェイスポートは、95mm以下の最大高さ(Ha max)を有し得る。フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、Aピラーの高さHaの下半分内に配設される、フェイスポートの最後方点を更に有し得る。Aピラーと凹部の最下部との間の最大曲率半径は、50mm以下であり得る。フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、フェイスポートの上方で、フルフェイス型ヘルメットに進退可能に結合されるフェイスシールドを更に備え得る。顎バーは、凹部内に60mm以上の顎バー高さHc1と、凹部の外側かつ近隣に65mm以上の顎バー高さHc2とを更に有し得る。
別の態様においては、フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、硬質の外側帽体と、硬質の外側帽体内に配設されるエネルギー吸収材料と、を備え得る。フェイスポート開口部は、硬質の外側帽体を貫通して、ヘルメットの内側の空間に延び得るが、そのフェイスポートは上側縁部と、顎バーの上側縁部により画定される下側縁部とを有し、フェイスポートは、第1のサイドをフェイスポートの上側縁部とフェイスポートの下側縁部との間に延びるAピラーにより更に画定され、フェイスポートは高さHaを有する。顎バーは、Aピラーの近隣で始まり、3mm以上の、凹部の最下部と凹部の最上部との間の高さHrを有する凹部を備え得る。顎バーは、40mm以下の長さを有する、凹部の最下部と凹部の最上部との間の階段面を備え得る。
フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、凹部内に、最小顎バー高さである顎バー高さHc1を更に有し得る。フェイスポートは、95mm以下の最大高さ(Ha max)を有し得る。フェイスポートの最後方点は、Aピラーの高さHaの下半分内に配設され得る。フルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、50mm以下の、Aピラーと凹部の最下部との間の最大曲率半径を更に有し得る。フェイスシールドが、フェイスポートの上方で、フルフェイス型ヘルメットに進退可能に結合され得る。顎バーは、凹部内に60mm以上の顎バー高さHc1と、凹部の外側の近隣に65mm以上の顎バー高さHc2とを更に有し得る。
先行技術において周知の保護用フルフェイス型オートバイ用ヘルメットの1つの実施形態を示す。 保護用フルフェイス型オートバイ用ヘルメットを、試験線と視界(FOV)基準とともに示す。 改善されたFOVを有するフルフェイス型オートバイ用ヘルメットの側面図を示す。 改善されたFOVを有するフルフェイス型オートバイ用ヘルメットの側面図を示す。 ヘルメットフェイスポートの部位と、FOV又はFOV要件との間の関係を示す。 ヘルメットフェイスポートの部位と、FOV又はFOV要件との間の関係を示す。 ヘルメットフェイスポートの部位と、FOV又はFOV要件との間の関係を示す。 オートバイ用ヘルメットのFOVへの改善の様々な射影を示す。 オートバイ用ヘルメットのFOVへの改善の様々な射影を示す。 オートバイ用ヘルメットのFOVを測定するための装置を示す。 オートバイ用ヘルメットのFOVを測定するための装置を示す。
本開示、その態様、及びその実施例は、具体的ヘルメット若しくは材料のタイプ、又はその他のシステム構成要素例、又は、本明細書に開示される方法に限られない。ヘルメット製造にふさわしい当該技術分野において既知の多くの追加の構成要素、製造、及び組み立て手順は、本開示の特定の実現例と共に使用することが想到される。したがって、例えば、特定の実現例が開示されるが、このような実現例及び実施構成要素は、意図される動作にふさわしい、このようなシステム及び実施構成要素のための、当該技術分野において既知の任意の構成要素、モデル、種類、材料、バージョン、数量などを含み得る。
用語「代表的な」「実施例」、又はこれらの様々な変形は、実施例、例、又は例示として機能することを意味している。本明細書において「代表的」又は「実施例」として記載される態様又は設計は、他の態様又は設計よりも好ましいか、又は有利であるものと解釈される必要はかならずしもない。更に、実施例は、明瞭性及び理解の目的のためだけに提示されるのであって、開示される主題、又は本開示の関連部分を制限又は制約することを意図するものでは決してない。範囲の異なる多数の追加的又は代替的な実施例を提示することもできるが、簡潔性のために省略されていることを理解すべきである。
本開示は、多くの異なる形態の多数の実施形態を含むが、特定の実施形態が詳細に、図面に示され本明細書に記載され、本開示は、開示される方法及びシステムの原理の具体例としてみなされるべきであり、本開示の概念の広範な態様を、例示される実施形態に限定することは意図されないものと理解される。
本開示は、取り外し不可能な顎バー及びフェイスシールドを任意追加的に含むか又は必要とし得るフルフェイス型オートバイ用ヘルメットを提供するための、装置、器具、システム、及び方法を提供する。一部の実施形態においては、本明細書に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメットは、例えば、従来はフェイスシールドを含むが、ヘルメットとは別体の、又は一体形成されていないアイゴーグル又はアイプロテクションと組み合わせて用いられるモトクロスヘルメット又はエンデューロヘルメットの場合のように、フェイスシールドなしで形成され得る。これらの例では、視界(「FOV」)の改善は、アイゴーグルではなく、ヘルメットのフェイスポートが、使用者のFOVを制限している限りにおいて、適用可能である。アイゴーグルがFOVを制限している例においては、ヘルメットフェイスポートに対してなされた調整と類似の調整を、アイゴーグルに施して、類似の結果を得ることが可能である。
一般に、上に示すフルフェイス型オートバイ用ヘルメットを含む保護用ヘルメットは、硬質の外側帽体、衝撃ライナー、及び装着感改善用ライナーを備え得る。硬質の外側帽体は、カーボンファイバーにより、射出成形により形成することが可能で、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)プラスチック、又は他の同様の若しくは好適な材料、又は任意の他の好適な材料を含み得る。外側帽体は、衝撃及び穿刺に対して抗し、かつ関連する安全性試験の規格に適合するのに十分に硬質であり得る。一部の例においては、外側帽体は、変形によりエネルギーを吸収するため、衝撃が加わっている間にわずかに変形し、それによりエネルギーの管理に貢献するのに十分なほどの弾力性があり得る。
図2は、ユーザー22により装着されている状態の、ヘルメット10と同様の従来型ヘルメット又はフルフェイス型オートバイ用ヘルメット20の側断面図である。図2は、ユーザー22のFOV 24を示すエリアの追加的な詳細を更に含む。前方FOV 24は、フェイスポート21の下側縁部28の上方に留まり、同縁部28と交差しない、下側境界線、面、又は縁部26を含む。同様に、前方FOV 24は、ユーザー22の目の上方に留まり、フェイスポート開口部21の上側縁部32の下方に留まり、同縁部32と交差しない上側境界線、面、又は縁部30を含む。
図2はまた、ヘルメット20とユーザー22との間の意図される又は適切なフィット感を定義し、配置する方法として、ユーザー22の頭部上、又は試験用頭部形状上の線又は平面が、ヘルメット20上の線又は平面に対していかに位置決めされ得るかをも示す。例えば、図2は、破壊試験にかけ得るヘルメット20の部分を示すスネルJ試験線又は試験平面のような試験線又は試験平面34を示す。例えば、衝撃試験用に、試験線の位置又は場所がヘルメット上に形成されるか又はヘルメットと関連付けられるように、試験線34を試験用頭型からヘルメット20の外面に転写することによって、試験線34は、ヘルメットの安全性規格の一部として用いることが可能である。一例として、衝撃試験は、試験線34の上又は上方で、ヘルメット20に衝撃を加えることによって実施可能である。
試験用頭型又はユーザー22の頭部と、ヘルメット20の外面との間の相対的位置を、ユーザー22の頭部の基本平面、フランクフルト平面、又は眼耳平面と同一の広がりを持つ基準平面又は基準線36を用いることにより、及び、例えばヘルメット20の前側におけるフェイスポート18の上側縁部32のようなヘルメットの点又は平面に対する頭部位置インデックス(HPI)を用いることにより、定めることができる。基準平面36は、ユーザー22の頭部又は頭型の、例えば、左眼窩点(又は、左眼窩(頭蓋骨の眼球孔)下縁)と、左右のポリオン又は外耳道(外聴道)上縁とを通る平面により定義されるように、解剖学的特徴により定義可能である。HPIは、試験用頭型又はユーザー22の頭部の基準平面36と、例えば試験線34により指示又は画定されるヘルメット20の一部位のようなヘルメット20の一部位との間の距離を定義するが、その一部位は、ヘルメット20のフェイスポート18の上側縁部32の前側部位であり得る。HPIは、特定のカスタマの顔立ち及び必要に基づいた、任意の好適な距離を含み得るが、そうした距離には35〜65mmの範囲内の距離、40〜55mmの範囲内の距離、又は約47mmの距離を含む。図2においては、HPIは、基準平面36とフェイスポート18の上側縁部32との間の距離として示されている。
図3A及び3Bは、本開示によるフルフェイス型オートバイ用ヘルメット50の側面図を示す。ヘルメット50は、本体51及び顎バー58を含み、それらは、硬質の外側帽体52及び内側の発泡体ライナーを含む保護パッド又はエネルギー吸収材料の、1つ以上の層を有し得る。光学的フェイスシールド又はバイザー54は、ヘルメット本体51に回動可能に結合され、本体51と顎バー58との間に位置し得る。フェイスシールド54は、1つ以上のヒンジ又はピボット55を用いて本体51に結合され得るが、そのヒンジ又はピボット55により、フェイスシールド54は、開放又はアップ位置と閉鎖又はダウン位置との間を回動することが可能になる。図3A及び3Bは、フェイスシールド54の下側縁部56が、例えば顎バー58の最上部のような顎バー58の一部位に接する又はその上に乗るように、閉鎖位置にあるフェイスシールド54を示す。図3A及び3Bにおいては、参照を容易にするため、フェイスポート70の境界線は、フェイスシールド54を通して見ることが可能になっている。顎バー58は、本体51と一体成形することにより、又は、恒久的又は取り外し可能に本体51に結合された別体のピースであることにより、ヘルメット50の本体51に結合され得る。フルフェイス型ヘルメット50の顎バー58は、ユーザーの顎、顔、頭部下側への保護を含む顔全面の保護を提供し得る。特に、顎バーのないヘルメットの場合には、特にユーザーの顔面と、頭部前側に対して、より少ない保護とエネルギー吸収しか提供しないような前方からの衝撃に対して、顎バー58は、保護とエネルギー吸収とを提供し得る。
言い換えると、フェイスポート70は、ヘルメット50を貫通する開口部として形成され得るが、本体51と顎バー58との間を分離し、又はそれらの間に配設されるものである。ユーザーがフェイスポート70を通して見る場合、及び場合によっては、フェイスシールド54を通して見る場合に、フェイスポート70はユーザーに、視界又はFOVを提供し得る。図3Aは、フルフェイス型ストリートスタイルヘルメットとして描かれ、フェイスシールド54を備える、ヘルメット50の1つの実施形態を示すが、別の実施形態においては、フルフェイス型ヘルメット50は、フェイスシールド54のないモトクロススタイルヘルメット、又はその他の好適なヘルメットとして形成され得る。
図3A及び3Bはまた、フェイスポート70が、下側縁部、面、又は境界線72と、上側縁部、面、又は境界線80と、フェイスポート70の後方又は背部で、下側縁部70と上側縁部80との間を接続するか、その間を延びるAピラー81と、を含んでいることも示す。当該技術分野で周知のように、Aピラー81が配設されるのは、顎バー58が、ヘルメット50の本体51に取り付けられる位置であり、その位置は典型的には、ユーザーがヘルメット50を着用した際に、ユーザーの耳の位置の近隣である。
Aピラー81又はAピラー81の近隣のフェイスポート70は、フェイスポート70の上側縁部80から、フェイスポート70の下側縁部72へと延びる高さHaを有する。高さHaは、フェイスポート70の上側縁部80、フェイスポート70の下側縁部72、又は基準線36に対して直交する方向又は、それらから90°の相対角を含む方向に測定し得る。別の例においては、Aピラー81の高さは、面取りの端部で測定することも、又は、Aピラー81が、フェイスポートの上縁部80とフェイスポートの下縁部72とそれぞれ交差するところにそれぞれ位置する、フェイスポート70の上隅及び下隅の半径の端部で測定することも可能である。Aピラーと凹部の最下部との間の最大曲率半径は、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下であり得るが、一部の例においては、例えば6〜11mmの範囲内のように約10mmであり得る。あるいは、交差点93は、Aピラー81の線と、フェイスポート下縁部72とを、互いに交わるまで延長することにより決定でき、Aピラー81の高さHaは、フェイスポート80の上側縁部と交差点93との間を測定することが可能である。交差点93に基づいて高さHaを計測する場合には、高さHaは、基準線36に直交する方向に測定可能であり、交差点93から、基準線36又はフェイスポートの上縁部80までの距離として測定可能である。このように、一部の例においては、高さHaは、Aピラー81に平行な方向に測定される。
一部の実施形態においては、高さHaの方向は、図3A及び3Bにも記載されているy軸又は垂直軸に対して、平行又は位置揃えされ得る。y軸は、ユーザーの矢状面又はヘルメット50の矢状面に対して位置揃えされ若しくは平行となり、又はそれらの面に含まれ得るが、ヘルメット50の最上部64と、ヘルメット50の最下部66との間を結ぶ方向に延びている。x軸又は水平軸も、図3A及び3Bに示されているが、図全体にわたり、x軸又は水平軸は、完全に又は実質的にy軸と直交するか又は垂直に交わり、ユーザーの矢状面又はヘルメット50の矢状面内に含まれ得るが、ヘルメット50の前方又は前部60から、ヘルメット50の後方又は後部に延びている。
FOVのために、フェイスポート70の上側縁部80から高さHaを測定するのは、便利な測定方法であり得るが、それは、フェイスポート上側縁部は、通常、ヘルメットをユーザーの頭部、目、又はその両方に対して位置決めするために用いられるからである。ヘルメットのフェイスポートの上側縁部は、試験線と視野要件を特定するために多くの認証機関により用いられる特徴部である。認証機関の例としては、国際標準化機構(ISO)、欧州経済委員会試験規格(欧州で通常適用されるもの)、米国運輸局(DOT)、及びスネル記念財団(ヘルメットの安全性規格の研究、教育、試験、及び開発を専門とする非営利団体)が挙げられる。認証機関は、既に図2に関して論じたように、高さ又は頭部位置インデックス(HPI)を、試験用頭型上の基準面に基づいて、ヘルメットに対して特定することが可能である。例えば、欧州経済委員会は、上側視野面と、ヘルメットのフェイスポートの上側縁部とを、頭型上の位置を特定するために用いている。ヘルメット50のフェイスポート70の高さHaは、60mm以上、65mm以上、70mm以上、75mm以上、又はその他の同様の測定値であり得る。
顎バー58は、フェイスポート70の下側縁部72から、ヘルメット50のネックポート又は最下部66まで延び得る1つ以上の高さHcを有していてよい。顎バーの高さHcは、例えば、ネックポート開口部に沿った、ヘルメットの最下部66で、フェイスポート70の下側縁部72に直交するように、又は顎バー58の下側縁部に直交するように測定する。したがって、Hc1は、凹部71内の、フェイスポート70の下側縁部75に直交するように測定することが可能である。高さHc1は、60mm以上、61mm以上、62mm以上、63mm以上、64mm以上、65mm以上、70mm以上、75mm以上、80mm以上、85mm以上、又はその他の類似の測定値であってよい。同様に、Hc2は、凹部71外で、フェイスポート70の凹部71に直接隣接している下側縁部73に直交するように測定することが可能である。高さHc2は、Hc1よりも大きい高さを有し得るが、例えば、高さHc2は、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、又は高さHc1よりも大きいその他の類似の測定値であり得る。一部の実施形態においては、Aピラー81の近隣又はAピラー81と直接隣接する位置で測定した高さHc1は、顎バー58の全長に沿うあらゆる高さ、及び凹部71内で測定されるあらゆる顎バー高さと比較して、最小高さ(Hc min)である。
図3A及び3Bは、ヘルメット50が、凹部、凹形部、又は窪み71を含む、フェイスポート70の下側縁部72を有して形成され得ることを示す。凹部71は、Aピラー81に直接隣接して、フェイスポート70の高さHaと、顎バー58の高さHcとが交差する又は出会う点に形成され、フェイスポート70の下側縁部72が、例えば、図1に示すヘルメット10のフェイスポート18の下側縁部19、又はフェイスシールド14の下側縁部16のように、従来のヘルメットのまっすぐな縁部、又は連続曲線、又は弓形を有するのを防ぐ。その代わりに、下側縁部72は、下側縁部72の前側部73と、1つ以上の後側部75とを有し、その後側部75は、下側縁部72の前側部73と後側部75との間に延びる階段面形状又は部位76により、垂直方向にオフセットされ得る。点線74は、凹部71内の下側縁部72の後側部75に延びる階段面76及び凹部71が存在せず、下側縁部72がAピラー81まで延長された場合の延長線を示す。
それゆえ、凹部71の高さHrは、点線74と下側縁部72の後側部73との間で測定可能である。言い換えると、あくまでも例示のためであり、限定するものではないが、凹部71は、凹部71の最下部と凹部71の最上部との間に延び、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、又は7mm以上、8mm以上、9mm以上、10mm以上、12mm以上、15mm以上、17mm以上、又は20mm以上、及び5〜60mmの範囲内、又は10〜50mmの範囲内、又は15〜45mmの範囲内の長さである、高さHrを有し得る。非限定的な例として、一部の実施例においては、高さHrは、15mm以下であり得る。
凹部71の長さLrは、Aピラー81から、前側部73と階段面76との接合部に延びることが可能である。凹部の最下部と凹部の最上部との間の階段面76は、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、15mm以下、10mm以下、又は5mm以下の長さを有する。階段面形状76は、凸状、凹状、又は凸状と凹状と両方の部位を含む形状であるかにかかわらず、任意の好適な傾斜、角度、曲線、半径、パターン、テーパー、又は面取りを有し得る。階段面形状76は、1つ以上のステップから形成され得るが、垂直な構成要素を有し得る。その垂直な構成要素は、フェイスポート70の下側縁部72に直交し、凹部71の1つ以上の最下部75に直交し、凹部71に直接隣接する又は凹部71の縁部の最上部73に直交し、又は点線74に直交し得るが、同点線74は、凹部73の最上部の射影又はフェイスポート70の下側縁部72の延長線であり得る。階段面76の垂直な構成要素は、完全に垂直であることも可能であるが、又は、垂直成分を含み、かつ図3A及び3Bに示すように、凹部71の最下部75と凹部71の最上部73との間で傾斜するか又は角度がついているベクトルの一部であることも可能である。
Aピラー81に沿ったフェイスポートの最後方点は、ヘルメット50又は任意のその他のフルフェイス型オートバイ用ヘルメットをISO−57頭型の上に配置し、ECE規格にしたがってヘルメットをISO−57頭型上に、ヘルメット60の前側に位置するフェイスポート70の上側縁部80が必要とされるFOVの上側境界線30又は83にちょうど触れている状態で位置決めすることによって決定可能である。垂直レーザーを、ISO−57頭型の中央から、Aピラー81の部位に最初に接触するまで前方に動かして、それによって、Aピラーの最後方点を決定することが可能である。ヘルメット50の場合、Aピラー81の最後方点は、Aピラー81の高さの下側半分若しくは下半分に、又はAピラー81の高さの下側3分の1若しくは下3分の1に、又は、交差点93から又はフェイスポート70の下側縁部75から0〜30mm以内、0〜20mm以内、若しくは0〜10mm以内に位置するであろう。
上述の凹部71の特徴とは対照的に、従来型のモトクロス用ヘルメットのフェイスポート開口部の下側縁部は、凹部71に関して本明細書内に述べたように、Aピラーに直接隣接して位置する局所的な下方向への切込み又は凹形部を含まない。その代わりに、エンデューロ用又はモトクロス用ヘルメットにおける従来型フェイスポートの下側縁部は、従来から、凹部71に関して本明細書において述べた階段面のデザイン、位置、及び場所がない、直線的な又は連続的に傾斜した下側縁部を有するものであった。
フェイスポート70の下側縁部72と同様に、フェイスシールド54の下側縁部56は、ヘルメット10のフェイスシールド54の下側縁部16がそうであるような直線的な縁部又は連続的な曲線又は弓形を有する必要はない。その代わりに、下側縁部56は、フェイスポート開口部70の下側縁部72の輪郭に沿う、忠実に写す、又は一致することが可能である。下側縁部56及び下側縁部72の形状は、1段のみの階段面76、又は2段以上の階段面76(例えば、2、3、又は任意の所望の段数の階段面76)を有し得る。凹部71を含むことにより、Aピラー81の位置を調整したり、顎バー58の強度又はエネルギー管理を犠牲にしたりすることがなく、ヘルメット50及びユーザーのFOVを広げることが可能になる。このように、フェイスポート70の下側縁部72を沈み込ませることにより、ユーザー又はヘルメットの死角を減らしつつ、ユーザー及びヘルメット50のFOVを広げることが可能である。
図3A及び3Bに示すように、フェイスポート70の上側縁部80は、フェイスポート70の下側縁部72に一致する必要又は忠実に写す必要はない。その代わりに、フェイスポート70の上側縁部80は、階段面形状又は凹部を含まず、まっすぐな、平坦な、又は連続した形態を含む線又は曲線として形成され得る。フェイスポート70の上側縁部80は、ヘルメット50のx軸と平行であり得るか、又は、図3A及び3Bに示すようにAピラー81からヘルメット50の前側部60に上方向に傾斜し得るが、それにより、ヘルメット50の前方向及び上方向の視界又はFOVが拡大される。
図3A及び3Bから引き続いて、図4Aは、ユーザーにとって及びヘルメットにとってのFOVの改善を図によって表現したものを示し、このヘルメットには、ヘルメット50に関して上に論じた改善が含まれている。より具体的には、図4Aは、凹部71と類似又は同一の凹部98(点線で示されている)を含むようにフェイスポート96の下側縁部94を調整することにより、ヘルメット92を装着しているライダー又はヘルメットの装着者90にとってのFOVが、どのように改善され得るかを示す。図4Aは、ヘルメット装着者90の頭部が、ヘルメットの内側の空間内にあることを示しており、また、凹部98の空間が不透明であることも示し、凹部98のエリア内に、透明な又は開放状態のエリア又は凹部がない場合には、ライダー90の背後のエリア又はライダーの冠状面92の後方のエリアが、どのように妨げられ得るかを図示している。ライダー90にとって拡大されたFOVは、ライダー90がオートバイの上でどんなポジションをとっていても存在しているが、ライダー90にとっての拡大されたFOVは、特に、例えば乗車中に車線変更をしようとする間に、横方向に移動する前に、ライダー90が「死角をチェックする」ために振り返っている際のライダー90に対して図示されている。図4Aに示すように、凹部98の最下部で凹んでいない下側縁部94を用いることにより、下側縁部94は、ライダーにとっての機能的FOVを、悪しきことに減少させ得るだけでなく、ヘルメットの、及びライダー90の死角を増加させ得る。この、予想外の結果を見出したこと、又は凹部71又は98により占有されているエリアを見出したことは、ヘルメット50及び92それぞれの内に、顕著な構造的特徴部又は凹部を含めることが可能になり、上記の予想外の結果を活用することが可能になる。
図4Aに図示されているように、ライダー90及びヘルメット92のFOVの増加は、ライダー90のオートバイの側方だけではなく、むしろ、ライダー90が、直立位置又は立位で、オートバイに着座している際の、ライダー90の背後のエリアを含む。ライダー90の背後、又はオートバイの後方で広がるFOVは、従来の見解とは対照的に、ヘルメット92のAピラー100の形態又は場所を調整することなく実現され得る。
更に、凹部71又は98を設けることを通じて改善されるFOVという予想外の結果の発見はまた、部分的には、自転車又はオートバイのライダーのバイオメカニクス的な動作パターンの発見又は認識の結果でもある。そのバイオメカニクス的なパターンに含まれるものとしては、ライダーが自身の頭部を左右に回動させている間に、頭部を下方にかしげる又は傾ける(顎を身体の体幹部に向ける)場合、ライダーが単に自身の頭部を左右に回動させて、頭部を下方にかしげる又は傾けることをしない場合と比べて、ライダーは、自身の背後及び自身の左右により多くのものを見るであろうという事実が挙げられる。上述のバイオメカニクス的パターンから改善されたFOVは、以下のステップを踏むことにより、実際に体験することが可能である。まず、1つ以上の物体を自分の背後に置いて、立つ又は座る。第2に、頭部を完全に立てたまま、頭部を左右にできる限り回し、物体がどのくらい見えるかをメモする。次に、頭部を下に傾けて(顎を胴体の方に引く)、頭部を左右にできる限り回すのを繰り返し、物体がどのくらい見えるのかの違いをメモする。上に言及したバイオメカニクスにより、頭部を下に傾けて回した場合に、頭部を立てて回した場合より、より多く背後の物体を見るのが可能になるか、又は背後のより遠くに位置する物体が見えるようになる。
したがって、凹部71及び98を上記のバイオメカニクス的動作パターンに適合させること、及びライダーの頭部の傾いた及び回した位置とマッチ又は一致するようにヘルメットのFOVを改善することにより、ライダー90は、ヘルメット92を装着している間であっても、改善されたFOVを体験するであろう。したがって、ストリート、オフロード、又はその他のタイプの乗車を含む、多くの又は全てのタイプの二輪車又はオートバイ乗車に対して、ライダーが前傾姿勢であるか又は直立姿勢であるかに関わらず、FOVの改善が広く実現可能である。ライダー90の死角を減らすことにより、他の車両又は物体と接触し、事故を起こすリスクが減少する。凹部98を有するヘルメット92(又は、凹部71を有するヘルメット50)を装着したオートバイのライダーは、従来のストリートタイプのフルフェイス型オートバイ用ヘルメットを装着した場合よりも死角が狭くなり、広くなったFOVにより、他の車両や物体を検知しやすくなり、その一方で、より太い顎バーが維持されて、より大きな保護が提供され続ける。
図4B及び4Cは、本明細書において開示されたような規格をはじめとする、関連するヘルメットの安全性規格により制約を受けることなく、なぜ凹部エリア71及び98が、上述のライダーのバイオメカニクス的動作にしたがうとFOVを改善し得るかについて、追加的詳細を提供する。図4Bは、ヘルメット50内の、複数のFOV視覚標準82〜85を示す。より具体的には、図4Bは、スネル及び欧州経済委員会の視界標準用の後方FOV境界線82と、スネル及び欧州経済委員会の視界標準により共有され得る上方FOV境界線83と、欧州経済委員会の視界標準用の下側FOV境界線84と、スネル視界標準用となり得る下側FOV境界線85を示す。
図4Cは、図4Bに示されているフェイスポートの図と類似の2次元の側面図を示す。図4Cは、ヘルメットのフェイスポート70及び、ヘルメットの上側縁部80と下側縁部72との間のエリアを示す。フェイスポート70の拡大されたエリアは、フェイスポート前側の調整されたフェイスポート開口部87と、フェイスポート開口部の調整された上側縁部88とにより少なくとも部分的に画定され得る、調整されたFOVエリア86が、フェイスポート70内に存在することを示す。図4Cはまた、調整されたFOVエリア86に近接しかつその下側にある、調整されていないFOVエリア89をも示している。調整されていないFOVエリア89は、少なくとも部分的には、フェイスポート81の、調整されていない高さHaの結果である。このように、調整されていないFOVエリア89は、凹部71を含めることによって、改善されたFOVを可能とする一方で、ストリートスタイルのフルフェイス型オートバイ用ヘルメットの従来の顎バーの太さと匹敵する、大きな又は増大した顎バーの太さを可能とする。
反対に、図1に示されているヘルメット10のような従来のフルフェイス型ストリートスタイルヘルメットは、適切な視界を提供しつつ、強固で取り外し不可能な顎バーを含めることにより強固な保護を与えることを狙いとして設計され製造されてきた。しかしながら、強固な保護と良好な視界という目的は、従来緊張関係にあり、互いにトレードオフの関係にあり、保護を高めれば視界が狭く、視界を広げれば保護が低下するものであった。その結果、従来のフルフェイス型ストリートスタイルヘルメットの設計は、トレードオフとして、より大きな保護とエネルギー吸収力とを提供し、狭い視野又はFOVを提供してきた。
凹部71を含めると、凹部71という構造的特徴部を更に有する太い又はより太い顎バーを提供することにより、保護が改善されたこと、保護が改善されたことの知覚、又はその両方が可能となり、ユーザーのFOVに、例えば図5A及び5Bに示されるFOVの改善のような、具体的なかつ目標とする利益を提供できる。ライダー及びヘルメット製造業者の間に従来からある知恵では、凹部71のような凹部を通じて得られる利益を認識することがこれまでできず、Aピラー81の上側部に、後方視界が狭くなることの原因を見出すという過ちを犯してきた。言い換えると、一部の例においては、Aピラー81の上側部と、ヘルメット内でのユーザーの目の位置との間の間隔又は距離、又はAピラー81と、ヘルメット50の前側部60との間の間隔又は距離の結果としてFOVが制限されることはこれまで許容されてきた。しかしながら、例えば図4Cに示すもののような、フェイスポート70の上側及び前側部位に関連する現在の試験規格のゆえに、凹部71をフェイスポートの最下部後側部に組み込むことが可能となり、視界の改善とともに、太く、強固な顎バーの実現という予想外の結果を得られることとなった。上に論じた、例えばヘルメット50及び92のような、改善されたFOVのヘルメットとは対照的に、従来の取り外し可能な顎バーを備えたヘルメット(例えばストリートスタイルの、取り外し可能顎バーを備えたヘルメット及び最小の顎バーのデザインのヘルメットを含む)は、より小さい保護、より小さい保護の知覚、より狭いFOV、及び後方視野のためのより狭い目標FOVを1つ以上もたらしてしまう。
図5A及び5Bは、フェイスポート70に加える変化(例えば、凹部71又は98を含むようにフェイスポート70の下側縁部72を調整すること)が、どのようにライダー90のFOVと、体系的に相関するかの例を示す。例えばヘルメット試験線、ユーザーの基本平面、及びHPIのような、標準化されたヘルメットの位置決めと試験とにより、フェイスポート70又は96の形状、大きさ、及び位置と、ライダー90のFOVとの相関関係が計算され得る。
図5A及び5Bは、ヘルメット92を装着したライダー90を、広くなったライダー90のFOV 102とともに図示する斜視図を示すが、そのFOV 102は、ヘルメット92の下側縁部94沿いの、Aピラー100の近隣に、凹部98を設けた結果として広くなったものである。図5A及び5Bに示すFOV 102は、凹部98を有したヘルメット92、及び凹部98を有しないヘルメット92をそれぞれ装着したライダー90にとっての、FOVの一部位の空間的射影である。FOV 102の部位に対して用いられる符号は、ヘルメット92に対して用いられる符号に対応しているが、ダッシュ(’)記号が含まれる。このように、図5A及び5B中、第1の上面94’及び第2下面98’は、凹部98がヘルメット90の下側縁部94の一部として含まれない場合及び含まれる場合に、ヘルメット92及びユーザー90に対して、FOV 102の下限がどうなるかを射影したものである。フェイスポートの下側縁部が直線的又は一定に傾斜して、凹部98を含まない、従来の設計のヘルメットを装着したライダー90の場合に、FOV 102の下側又は外側限界がどのようなものになるかを第1面94’は表す。第2の平面98’は、凹部98を含む場合のライダー90にとって、FOV 102の下側又は外側限界がどのようなものになるかを表すものである。したがって、第1面94’と第2面98’との間の体積、エリア、距離、又は空間106は、フェイスポート96の下側縁部94が凹部98を含む場合に着用者90が体験する、広がったFOV 102を表す又は示すものである。言い換えると、第1面94’と第2面98’との間の体積106は、フェイスポート96の下側縁部94が凹部98を含まない場合に、着用者90が体験する死角を表す。
図5A及び5Bは、ライダー90及びヘルメット92の相対的角度又は位置によって互いに異なる。図5Aは、ライダー90が通常の直立姿勢である場合にライダー90が得る、FOV 102における相対的な増加を示す。図5Bは、ライダー90がその頭部を回し、下向きにした姿勢にした場合にライダー90が得る、FOV 102における相対的な増加を示す。すなわち、図5Aは、その目を前方に向けて、視線を自身の身体の基本平面又は横断面に平行にして、直立姿勢で座っているライダー90を示す。なお、ライダー90の自身の身体の横断面とは、ライダー90の身体を上部と下部とに分割する平面であり、冠状面及び矢状面と直交する面である。すなわち、図5Aに示す図は、その目を、自身の下の道路の平らな又は水平な面と平行な方向に向けて直立姿勢で座っているライダー90のFOV 102を示す。言い換えると、ライダー90の頭部の横断面は、ユーザーのオートバイの横断面に平行(又は実質的に平行)であり、かつオートバイが置かれている表面に平行(又は実質的に平行)である。そのような状況では、追加的な又は広がったFOV 102の体積106は、ライダー90の、外側方向下及び左、並びに外側方向下及び右にある。程度としてはより少ないものの、FOV 102の増加した体積106はまた、ライダーの冠状面の背後又は後方にも存在し得る。なお、冠状面とは、ライダーの身体を、背中側部分と腹側部分とに分割する面である。
同様に、図5Bは、ライダー90が、自身の頭部をわずかに下向きにして、すなわち、顎を引くようにして、自身の首を胴体の方に曲げて、前傾姿勢をとっている場合の、FOV 102の増加としての体積106を示す。図5Bに示されるライダー90の姿勢は、頭部を回して下向きに傾けて乗車すると、ライダーの基本平面と横断面との間に、又は基本平面とヘルメット着用者のオートバイが乗っている面との間に、鋭角がいかにして形成され得るかを図示している。更に、ライダー90が前傾姿勢で頭部を回した状態のFOV 102の体積106は、周囲の交通又は障害物に対する視界及びFOVの改善をもたらすが、そのような視界及びFOVの改善は、車線変更のような基本的運転操作に改善をもたらす。
ここで図6A及び6Bに、所与のヘルメットに対する、FOV 102の拡大を可視化又は表現する別の方法を示し、図を参照しながら説明する。図6Aは、スクリーン112に対して一定の距離に設置された試験用頭型110を示す。スクリーン112は、不透明、透明、又は半透明であり得る。試験用頭型110は、ベース又はスタンド114に、結合され得るが、そのベース又はスタンド114は、機械的締結具116又はその他の好適なデバイスにより、スクリーン112に結合されている。頭型110は、一般的な形態として図示されているが、例えばヘルメット50又はヘルメット92のようなヘルメット内に配設されるように構成された、好適なサイズと形状とを有し得る。スクリーン112は、任意の所望の形状であり得るが、1つ以上の光照射野118をキャプチャしても一定の形状でありつづけられるようになっている。それにより、試験用頭型110上に異なるヘルメットを配置して比較をする際に、終始一貫したベースラインを提供可能である。一部の実施形態においては、スクリーン112は、頭型110内に配設され、ヘルメット着用者の目を表す照明111との間に、一定の又は固定された距離を提供するため、曲面又は円弧状面を有する。
所与のヘルメットに対するFOVは、頭型110の上にヘルメットを配置し、ヘルメット着用者の目の位置にある照明111から光を投射することにより、近似することが可能である。ヘルメットの中に入りユーザーの目に至る方向から、照明111を出てヘルメットのフェイスポートを通りスクリーン112に至る方向に、光の方向を逆転させることにより、光照射野118には、ヘルメット着用者のFOVを表すエリアが投影され、ユーザーが見ることが可能なものが表示される。
図6Bは、図6Aに示されるスクリーン112の図と同様の、スクリーン112の図を示す。図6Bは、試験用頭型110が、それを通して見えないようになっている不透明な種類のスクリーン112を示すという点で、図6Aとは異なっている。図6Bは、第1のマーク又は輪郭線120を含む、スクリーン112を示すが、その第1のマーク又は輪郭線120は、例えば図1の従来型ヘルメット10のような、従来型ヘルメットから結果として得られ得る、従来のFOVの非限定的な例を示す。スクリーン112はまた、第2のマーク又は輪郭線122をも含むが、その第2のマーク又は輪郭線122は、例えばヘルメット50又は90のような、改善されたFOVを有するヘルメットから結果として得られ得る改善されたFOVの非限定的な例を示す。
第1のマーク120及び第2のマーク122は、例えば、光照射野118をトレースすること、又は感光性材料からスクリーン112を作製することのような任意の好適な方法によりキャプチャすることができる。どのようにして第1のマーク120及び第2のマーク122をキャプチャしても、第1のマーク120及び第2のマーク122は、その所与のヘルメットに特定の、フェイスポートの幾何的形状に基づいて、そのヘルメットに対するFOVのサイズ及び形状に対応し、又はそれらをキャプチャすることが可能である。第1のマーク120及び第2のマーク122の下側又は外側のエリアには、例えば図6Bに斜線で示した死角124のような、視認不可能なエリアを表し得る。
死角124に関して、第1のマーク120と第2のマーク122との差を比較すると、オフセット126が、体積106と同様に、ある特定のヘルメット又はフェイスポートの場合に、FOVがどのように改善されるかに対応して示される。第1のマーク120及び第2のマーク122をキャプチャした後で、曲面のスクリーン112を、機械的締結具116から取り外し、平らに配置する又は一つの平面上にことが可能である。スクリーン112からの第1のマーク120及び第2のマーク122の平坦化又は2次元(2D)版は、例えばアドビイラストレーターのような、図面、製図、又は画像ソフトウェアに取り込んで測定し、測定されたヘルメットの広がったFOVを数量化し、寸法を計算し、更に、異なる設計のヘルメットどうしで、FOVを比較することが可能である。
したがって、ヘルメットの設計により、以下の条件でエネルギー管理及びFOVが改善されるならば望ましい。着用された状態で、その設計上の位置からヘルメットの調整をすることを必要とせず、ヘルメットのAピラーの位置を調整することがなく、かつ固定の顎バーの強度及びサイズを犠牲にする必要がなく、かつ例えばストリートスタイルのフルフェイス型ヘルメットの場合のように、ヘルメットバイザーがヘルメットの一部をなし続けることが可能である。有利なことに、FOVの改善は、フェイスポートの、Aピラーの近隣の高さHaを制御することと、60mmより大きい高さHcを有する顎バーを含むこと(高さHcは、高さHaと位置合わせさせており、Ha:Hcの比率は、0.85以上である)と、Aピラーの近隣の顎バーの下側縁部に凹部を形成することとにより実現され得る。
上記の実施例、実施形態、及び実現例は、例を示しているが、意図された動作に矛盾しない、方法、システム、又は実現例の事実上あらゆる構成要素も使用可能であるため、当業者であれば、他のヘルメット及び製造装置、及び実施例が、提示される他のものと組み合わされるか、又は代替され得ることを理解するべきである。したがって、例えば、特定の構成要素の実施例が開示され得るが、かかる構成要素は、実現例の意図される目的、方法、及び/又はシステムと一貫性のある、任意の形状、サイズ、スタイル、タイプ、モデル、バージョン、クラス、グレード、測定値、濃度、材料、重量、数量などを含み得る。上記の記述が、ヘルメット用一体式防滑ストラップアジャスターの特定の実施形態を指す場合には、その趣旨から逸脱することなく、多くの修正がなされ得ること、これらの実施形態及び実現例は、他の装備類及び装備技術にも適用され得るということが容易に明らかになるはずである。したがって、開示される主題は、本開示の趣旨及び範囲内である全てのそのような変更、修正、及びバリエーション、並びに当業者の知識を包含することを意図する。したがって、本開示の実施形態は、全ての点において、例解であり、制限ではないと見なされるものとする。

Claims (20)

  1. フルフェイス型オートバイ用ヘルメットであって、
    硬質の外側帽体、
    前記硬質の外側帽体内に配設される、エネルギー吸収材料、及び
    前記硬質の外側帽体を貫通して、前記ヘルメット内側の空間に延びるフェイスポート開口部であって、前記フェイスポートは、上側縁部と、取り外し不可能な顎バーの上側縁部により画定される下側縁部とを有し、前記フェイスポートは、第1のサイドを、前記フェイスポートの前記上側縁部と前記フェイスポートの前記下側縁部との間に延びるAピラーにより更に画定され、前記フェイスポートは高さHaを有する、フェイスポート開口部、を備え、
    前記顎バーは、前記Aピラーに直接隣接して始まる凹部を備え、かつ前記凹部内に、60ミリメートル(mm)以上の顎バー高さHc1と、前記凹部の外側に直接隣接して、70mm以上の顎バー高さHc2と、を有し、
    前記凹部は、15〜60mmの範囲の距離にわたり5mm以上の、前記凹部の最下部と前記凹部の最上部との間の高さHrを有し、前記凹部は、前記凹部の前記最下部と前記凹部の前記最上部との間に、35mm以下の長さを有する階段面を更に備え得る、フルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  2. 前記顎バー高さHc1は、前記凹部内の最小顎バー高さである、請求項1に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  3. 前記フェイスポートは、80mm以下の最大高さ(Ha max)を有する、請求項1に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  4. 前記Aピラーの前記高さHaの下半分内に配設される、前記フェイスポートの最後方点を更に有する、請求項1に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  5. 前記Aピラーと前記凹部の前記最下部との間に、50mm以下の最大曲率半径を更に有する、請求項1に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  6. 前記フェイスポートの上方に、前記フルフェイス型ヘルメットに進退可能に結合されるフェイスシールドを更に備える、請求項1に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  7. フルフェイス型オートバイ用ヘルメットであって、
    硬質の外側帽体、
    前記硬質の外側帽体内に配設される、エネルギー吸収材料、及び
    前記硬質の外側帽体を貫通して、前記ヘルメット内側の空間に延びるフェイスポート開口部であって、前記フェイスポートは、上側縁部と、顎バーの上側縁部により画定される下側縁部とを有し、前記フェイスポートは、第1のサイドを、前記フェイスポートの前記上側縁部と前記フェイスポートの前記下側縁部との間に延びるAピラーにより更に画定され、前記フェイスポートは高さHaを有する、フェイスポート開口部、を備え、
    前記顎バーは、前記Aピラーの近隣で始まる凹部を備え、かつ10〜60mmの範囲内の距離にわたり3ミリメートル(mm)以上の、前記凹部の最下部と前記凹部の最上部との間の高さHrを有し、
    前記顎バーは、前記凹部の前記最下部と前記凹部の前記最上部との間に、40mm以下の長さを有する階段面を備える、フルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  8. 前記凹部内かつ前記Aピラー近隣の顎バー高さHc1が、前記凹部内の最小顎バー高さである、請求項7に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  9. 前記フェイスポートが、95mm以下の最大高さ(Ha max)を有する、請求項7に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  10. 前記Aピラーの前記高さHaの下半分内に配設される、前記フェイスポート最後方点を更に有する、請求項7に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  11. 前記Aピラーと前記凹部の前記最下部との間に、50mm以下の最大曲率半径を更に有する、請求項7に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  12. 前記フェイスポートの上方に、前記フルフェイス型ヘルメットに進退可能に結合されるフェイスシールドを更に備える、請求項7に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  13. 前記顎バーが、前記凹部内に60mm以上の顎バー高さHc1と、前記凹部の外側の近隣に65mm以上の顎バー高さHc2とを更に有する、請求項7に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  14. フルフェイス型オートバイ用ヘルメットであって、
    硬質の外側帽体、
    前記硬質の外側帽体内に配設される、エネルギー吸収材料、及び
    前記硬質の外側帽体を貫通して、前記ヘルメット内側の空間に延びるフェイスポート開口部であって、前記フェイスポートは、上側縁部と、顎バーの上側縁部により画定される下側縁部とを有し、前記フェイスポートは、第1のサイドを、前記フェイスポートの前記上側縁部と前記フェイスポートの前記下側縁部との間に延びるAピラーにより更に画定され、前記フェイスポートは高さHaを有する、フェイスポート開口部、を備え、
    前記顎バーは、前記Aピラーの近隣で始まる凹部を備え、かつ3ミリメートル(mm)以上の、前記凹部の最下部と前記凹部の最上部との間の高さHrを有し、
    前記顎バーは、前記凹部の前記最下部と前記凹部の前記最上部との間に、40mm以下の長さを有する階段面を備える、フルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  15. 前記顎バー高さHc1は、前記凹部内の最小顎バー高さである、請求項14に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  16. 前記フェイスポートが、95mm以下の最大高さ(Ha max)を有する、請求項14に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  17. 前記Aピラーの前記高さHaの下半分内に配設される、前記フェイスポート最後方点を更に有する、請求項14に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  18. 前記Aピラーと前記凹部の前記最下部との間に、50mm以下の最大曲率半径を更に有する、請求項14に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  19. 前記フェイスポートの上方に、前記フルフェイス型ヘルメットに進退可能に結合されるフェイスシールドを更に備える、請求項14に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
  20. 前記顎バーが、前記凹部内に60mm以上の顎バー高さHc1と、前記凹部の外側の近隣に65mm以上の顎バー高さHc2とを更に有する、請求項14に記載のフルフェイス型オートバイ用ヘルメット。
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