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JP2017226510A - 巻取装置および巻取方法 - Google Patents

巻取装置および巻取方法 Download PDF

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JP2017226510A JP2016123215A JP2016123215A JP2017226510A JP 2017226510 A JP2017226510 A JP 2017226510A JP 2016123215 A JP2016123215 A JP 2016123215A JP 2016123215 A JP2016123215 A JP 2016123215A JP 2017226510 A JP2017226510 A JP 2017226510A
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拓人 川上
Takuto Kawakami
拓人 川上
岡田 広司
Koji Okada
広司 岡田
高木 善則
Yoshinori Takagi
善則 高木
允規 早川
Masanori Hayakawa
允規 早川
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Abstract

【課題】長尺帯状の基材を巻き取る巻取装置において、搬送される基材に生じる脈動現象を抑え、基材を安定的に搬送させて巻き取ることができる技術を提供すること。
【解決手段】この巻取装置2は、長尺帯状の基材90を巻き取る装置である。巻取装置2は、軸心211を中心に回転し、基材90を巻き取る円筒状の巻取ローラと、巻取ローラ21を回転させる駆動部22と、基材90に張力を付与しつつ回転し、基材90を巻取ローラ21に向けて搬送するテンションローラ31と、テンションローラ31における基材の張力を計測する張力検出部32と、張力検出部32の計測結果に基づいて駆動部22を制御することで、基材に掛かる張力を変更する張力変更部33と、巻取ローラ21の回転運動の加速度を抑える抑制部35とを有する。これにより、搬送される基材90に生じる脈動現象を抑制でき、基材90を安定的に巻き取ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、長尺帯状の基材を巻き取る巻取装置および巻取方法に関する。
近年、自動車や携帯電話などの駆動電源として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、燃料に含まれる水素(H2)と空気中の酸素(O2)との電気化学反応によって電力を作り出す発電システムである。燃料電池は、他の電池と比べて、発電効率が高く環境への負荷が小さいという特長を有する。
燃料電池には、使用する電解質によって幾つかの種類が存在する。そのうちの1つが、電解質としてイオン交換膜(電解質膜)を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer electrolyte fuel cell)である。固体高分子形燃料電池は、常温での動作および小型軽量化が可能であるため、自動車や携帯機器への適用が期待されている。
固体高分子形燃料電池は、一般的には複数のセルが積層された構造を有する。1つのセルは、膜・電極接合体(MEA:Membrane-Electrode-Assembly)の両側を一対のセパレータで挟み込むことにより構成される。膜・電極接合体は、電解質の薄膜(高分子電解質膜)の両面に触媒層を形成した膜・触媒層接合体(CCM:Catalyst-coated membrane)の両側に、さらにガス拡散層を配置したものである。高分子電解質膜を挟んで両側に配置された触媒層とガス拡散層とで、一対の電極層が構成される。一対の電極層の一方はアノード電極であり、他方がカソード電極である。アノード電極に水素を含む燃料ガスが接触するとともに、カソード電極に空気が接触すると、電気化学反応によって電力が作り出される。
上記の膜・触媒層接合体は、典型的には、電解質膜の表面に、白金(Pt)を含む触媒粒子をアルコールなどの溶媒中に分散させた触媒インク(電極ペースト)を塗工し、その触媒インクを乾燥させることによって作成される。ただし、固体高分子形燃料電池に用いられる電解質膜は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。このため、膜・触媒層接合体の製造時には、電解質膜が、シート状の支持フィルムに張り合わされた状態で供給される。
従来の膜・触媒層接合体の製造技術については、例えば、特許文献1(段落0071参照)および特許文献2に記載されている。
特開2015−58372号公報 特開2014−229370号公報
膜・触媒層接合体の製造装置では、ロール状に巻かれた長尺帯状体の基材が複数の搬送ローラにより搬送され、巻取装置の巻取ローラにより巻き取られていく。そして、巻取装置には、搬送される基材に張力を掛ける張力付与機構が備えられる。張力付与機構は、巻取ローラの回転速度を変更することで、基材に掛かる張力の変動を抑え、基材に一定の張力を付与する。これにより、搬送される基材に生じる撓みや皺の発生が抑えられる。
しかしながら、基材に掛かる張力に急な変動が生じた場合、張力付与機構は、基材の張力を一定に保つために、巻取ローラの回転速度を大きく変更させることとなる。このとき、基材の搬送状態が、まるで脈動するかのように不安定となる現象(以下では、脈動現象と記載する)が生じる。搬送される基材に脈動現象が生じると、基材の塗工不良、巻取不良等を引き起こす虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、長尺帯状の基材を巻き取る巻取装置において、搬送される基材に生じる脈動現象を抑え、基材を安定的に搬送させて巻き取ることができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、長尺帯状の基材を巻き取る巻取装置であって、軸心を中心に回転し、前記基材を巻き取る円筒状の巻取ローラと、前記巻取ローラを回転させる駆動部と、前記基材に張力を付与しつつ回転し、前記基材を巻取ローラに向けて搬送するテンションローラと、前記テンションローラにおける前記基材の張力を計測する張力検出部と、前記張力検出部の計測結果に基づいて前記駆動部を制御することで、前記基材に掛かる張力を変更する張力変更部と、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える抑制部と、を有する。
本願の第2発明は、第1発明の巻取装置であって、前記基材を前記巻取ローラに向けて押圧するニップローラをさらに有し、前記抑制部は、前記ニップローラを介して、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える。
本願の第3発明は、第2発明の巻取装置であって、前記ニップローラの位置を、前記巻取ローラに巻き取られた基材の厚みに応じて移動させる移動機構を、さらに有する。
本願の第4発明は、第2発明または第3発明の巻取装置であって、前記抑制部は、前記ニップローラの回転に、負荷をかけることで、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える。
本願の第5発明は、第1発明の巻取装置であって、請求項1に記載の巻取装置であって、前記抑制部は、前記巻取ローラの回転に負荷をかけることで、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える。
本願の第6発明は、第4発明または第5発明の巻取装置であって、前記負荷を調整する負荷調整機構を、さらに有する。
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1つの巻取装置であって、前記基材は、長尺帯状の電解質膜の表面または裏面のうち、少なくとも一方に、触媒層が形成された、膜・電極接合体である。
本願の第8発明は、軸心を中心に回転する円筒状の巻取ローラにより、長尺帯状の基材を巻き取る巻取方法であって、a)前記基材に張力を付与しつつ回転するテンションローラにより、前記基材を前記巻取ローラに向けて搬送する工程と、b)前記テンションローラにおける前記基材の張力を計測する工程と、c)前記工程b)の計測結果に基づいて前記巻取ローラの回転速度を変更することで、前記基材に掛かる張力を変更する工程と、を有し、少なくとも前記工程c)において、前記巻取りローラの回転に負荷をかける。
本願の第9発明は、第8発明の巻取方法であって、前記基材を前記巻取ローラに向けて押圧するニップローラの回転に負荷をかけることで、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える。
本願の第10発明は、第8発明または第9発明の巻取方法であって、前記負荷を調整する工程を、さらに有する。
第1発明〜第10発明によれば、搬送される基材に生じる撓みや皺を抑えることができる。また、搬送される基材に生じる脈動現象を抑制できる。これにより、基材を安定的に搬送しつつ、巻取ローラにより巻き取ることができる。
特に、本願の第2発明または第8発明によれば、搬送される基材に生じる撓みや皺をより抑えることができる。
特に、本願の第3発明によれば、基材が巻取ローラに巻き取られ、巻取ローラの厚みが増加した場合であっても、巻取ローラに巻き取られる基材の皺を抑えることができる。
塗工装置の構成を示した図である。 塗工装置における制御ブロック図である。 巻取装置付近の拡大図である。 巻取ローラの正面図である。 張力付与処理の手順を示すフロー図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.塗工装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る巻取装置2を含む塗工装置1の構成を示した図である。この塗工装置1は、固体高分子形燃料電池用の膜・触媒層接合体の製造工程において、長尺帯状の基材90を長手方向に搬送しつつ、基材90の一方の面に、電極となる触媒層9を形成する装置である。図1中に拡大して示したように、基材90は、支持フィルム91および電解質膜92の2層が積層された構造を有する。塗工装置1は、電解質膜92の支持フィルム91に覆われていない面(以下、「表面」と称する)に、触媒インクを塗工し、当該触媒インクを乾燥させることによって、触媒層9を形成する。
電解質膜92には、例えば、フッ素系または炭化水素系の高分子電解質膜が用いられる。電解質膜92の具体例としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を含む高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ゴア(Gore)社製のGoreselect(登録商標))を挙げることができる。電解質膜92の膜厚は、例えば、5μm〜30μmとされる。電解質膜92は、大気中の湿気によって膨潤する一方、湿度が低くなると収縮する。すなわち、電解質膜92は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。
支持フィルム91は、電解質膜92の変形を抑制するためのフィルムである。支持フィルム91の材料には、電解質膜92よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。支持フィルム91の具体例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを挙げることができる。支持フィルム91の膜厚は、例えば25μm〜100μmとされる。
図1に示すように、塗工装置1は、搬送機構11、塗工部12、乾燥部13、巻取装置2および制御部14を備えている。
搬送機構11は、基材90をその長手方向に沿う搬送方向に搬送する機構である。本実施形態の搬送機構11は、基材巻出ローラ111、複数の搬送ローラ112および後述する巻取装置2の巻取ローラ21により構成される。基材90は、基材巻出ローラ111から繰り出され、複数の搬送ローラ112により規定される搬送経路に沿って搬送される。各搬送ローラ112は、水平軸を中心として回転することによって、基材90を搬送経路の下流側である巻取装置2へ案内する。なお、搬送ローラ112の位置や数は、必ずしも図1の通りでなくてもよい。
塗工部12は、搬送機構11により搬送される基材90の表面に、触媒インクを塗工するための機構である。
触媒インクには、触媒材料(例えば、白金(Pt))を含む粒子をアルコールなどの溶媒中に分散させた電極ペーストが用いられる。触媒材料には、高分子形燃料電池のアノードまたはカソードにおいて燃料電池反応を起こす材料が用いられる。具体的には、白金(Pt)、白金合金、白金化合物等を、触媒材料として用いることができる。白金合金の例としては、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)等からなる群から選択された少なくとも1種の金属と白金との合金を挙げることができる。一般的には、カソード用の触媒材料には白金が用いられ、アノード用の触媒材料には白金合金が用いられる。
基材90は、乾燥部13よりも搬送経路の上流側において、複数の搬送ローラ112の1つであるバックアップローラ114に支持される。バックアップローラ114は、円柱状または円筒状のローラであり、基材90の支持フィルム91に接触しながら、水平軸を中心として回転する。塗工部12は、バックアップローラ114に支持された基材90の表面に対向する塗工ノズル121を有する。塗工ノズル121には、例えば、幅方向(基材の長手方向に直交する水平方向)に沿って延びるスリット状の吐出口を有する、いわゆるスリットノズルが用いられる。
塗工ノズル121は、給液配管122を介して、触媒インク供給源123と流路接続されている。また、給液配管122には、開閉弁124が介挿されている。このため、開閉弁124を開放すると、触媒インク供給源123から給液配管122を通って塗工ノズル121に触媒インクが供給される。そして、塗工ノズル121の吐出口から、バックアップローラ114に支持された基材90の電解質膜92へ向けて、触媒インクが吐出される。これにより、電解質膜92の表面に、触媒インクが塗工される。
本実施形態では、開閉弁124を一定の周期で開閉することによって、塗工ノズル121の吐出口から、触媒インクを断続的に吐出する。これにより、電解質膜92の表面に、触媒インクを搬送方向に一定の間隔で間欠塗工する。ただし、開閉弁124を連続的に開放して、電解質膜92の表面に、搬送方向に切れ目無く触媒インクを塗工してもよい。
なお、塗工ノズル121は、必ずしもバックアップローラ114に支持された基材90の表面に対して、塗工液を吐出するものでなくてもよい。例えば、隣り合うローラの間に掛け渡された基材90の表面に対して、塗工液を吐出するものであってもよい。
乾燥部13は、塗工ノズル121よりも搬送経路の下流側に配置されている。乾燥部13は、触媒インクを乾燥させるための乾燥炉131を有する。乾燥炉131内では、搬送機構11により搬送される基材90の電解質膜92に、加熱された気体(熱風)が吹き付けられる。そうすると、電解質膜92の表面に塗工された触媒インクが加熱され、触媒インク中の溶剤が気化する。これにより、触媒インクが乾燥して、電解質膜92の表面に触媒層9が形成される。ただし、触媒インクを乾燥させるための方法は、必ずしも熱風の供給でなくてもよい。乾燥部13は、光照射や減圧などの他の方法で、触媒インクを乾燥させるものであってもよい。
このように、塗工装置1では、基材巻出ローラ111からの基材90の繰り出し、電解質膜92の表面への触媒インクの塗工、乾燥炉131による乾燥、の各工程が、順次に実行される。これにより、固体高分子形燃料電池に用いられる膜・触媒層接合体の一方の触媒層9が、電解質膜92の表面に形成される。なお、この塗工装置1では、電解質膜92は、支持フィルム91に常に保持されている。これにより、電解質膜92の膨潤・収縮等の変形が抑制される。
制御部14は、塗工装置1内の各部を動作制御するための手段である。図2は、制御部14と、塗工装置1内の各部との接続を示したブロック図である。図2中に概念的に示したように、制御部14は、CPU等の演算処理部141、RAM等のメモリ142およびハードディスクドライブ等の記憶部143を有するコンピュータにより構成されている。記憶部143内には、塗工・乾燥処理を実行するためのコンピュータプログラムP1が、インストールされている。また、図2に示すように、制御部14は、搬送機構11、開閉弁124および乾燥炉131と、それぞれ通信可能に接続されている。また、制御部14は、後述する巻取装置2の、巻取ローラ21の駆動部22、張力変更部33、移動機構36のエアシリンダおよび負荷調整機構37のエアシリンダとも、通信可能に接続されている。
制御部14は、記憶部143に記憶されたコンピュータプログラムP1やデータを、メモリ142に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムP1およびデータに基づいて、演算処理部141が演算処理を行うことにより、塗工装置1内の各部を動作制御する。これにより、塗工装置1における塗工・乾燥処理が進行する。
<2.巻取装置について>
次に、本実施形態に係る巻取装置2の構成について説明する。巻取装置2は、塗工装置1の搬送機構11により搬送された基材90を、巻取ローラ21により巻き取る装置である。図3は、塗工装置1の巻取装置2付近の構造を示す拡大図である。本実施形態の巻取装置2は、巻取ローラ21、駆動部22および張力付与機構30を有する。巻取ローラ21は、基材90を巻き取る円筒状のローラである。巻取ローラ21は、駆動部22による駆動力によって、幅方向に延びる軸心211を中心に回転する。駆動部22には、例えば、モータが用いられる。これにより、塗工装置1の搬送機構11により搬送された基材90は、巻取ローラ21へ回収される。
張力付与機構30は、搬送される基材90に張力を付与する機構である。本実施形態の張力付与機構30は、テンションローラ31、張力検出部32、張力変更部33および抑制部35を有する。
テンションローラ31は、塗工装置1の搬送機構11に含まれる複数の搬送ローラ112の1つとなる円筒状のローラである。テンションローラ31は、基材90に張力を付与しつつ、幅方向に延びる軸心311を中心に回転する。テンションローラ31は、基材90の裏面から表面に向けて基材90を加圧しつつ回転する。基材90は、テンションローラ31により、張力を付与されつつ搬送方向下流側に向けて搬送される。これにより、搬送される基材90に撓みや皺が発生することを抑制できる。なお、本実施形態のテンションローラ31は、基材90との摩擦により、基材90の搬送に伴い従動回転する。しかしながら、テンションローラ31を回転させるための駆動部を別途設けてもよい。
張力検出部32は、搬送される基材90に掛かる張力を検出する。本実施形態の張力検出部32は、テンションローラ31に接続されたロードセルよって構成される。張力検出部32は、搬送される基材90によりテンションローラ31に加えられる荷重を、基材90に掛かる張力として検出する。張力検出部32により検出された張力は、電気信号に変換され、張力変更部33に送られる。なお、張力検出部32は、ロードセル以外のセンサによって構成されてもよい。
張力変更部33は、張力検出部32により検出された張力に基づいて、基材90に掛かる張力を変更する制御機構である。張力変更部33は、例えば、電子回路やマイクロコントローラにより実現される。張力変更部33は、基材90の張力に基づいて、巻取ローラ21の駆動部22を制御する。図3中に破線で示すように、本実施形態の張力変更部33は、張力検出部32および巻取ローラ21の駆動部22と電気的に接続されている。
搬送される基材90に伸び、撓み、皺等が生じると、基材90に掛かる張力が変化する。このとき、張力変更部33は、張力検出部32の検出結果に基づいて、巻取ローラ21の駆動部22を制御して、巻取ローラ21の回転速度を変更する。これにより、基材90に掛かる張力が規定値へと戻される。例えば、基材90に掛かる張力が、規定値よりも弱まった場合、張力変更部33は巻取ローラ21の回転速度を速くする。これにより、搬送される基材90に張力が付与され、基材90の撓みや皺の発生が抑えられる。また、基材90の張力値が、規定値よりも強まった場合、張力変更部33は巻取ローラ21の回転速度を遅くする。これにより、基材90に掛かる張力が弱まり、基材90の伸びが抑えられる。
ニップローラ34は、基材90に張力を付与しつつ、幅方向に延びる軸心341を中心に回転する。また、ニップローラ34は、基材90の表面から基材90を加圧しつつ、基材90を巻取ローラ21との間で押圧する。これにより、巻取ローラ21に巻き取られる基材90に撓みや皺が生じることを抑えることができる。また、本実施形態のニップローラ34は、巻取ローラ21と基材90を介して接触し、巻取ローラ21の回転に伴い従動回転する。ただし、ニップローラ34を回転させるための駆動源を別途設けてもよい。
図3に示すように、本実施形態の張力付与機構30は、移動機構36をさらに有する。移動機構36は、ニップローラ34を巻取ローラ21側に向けて押圧する機構である。移動機構36は、例えば、エアシリンダにより構成される。巻取ローラ21に基材90が巻き取られていくと、巻取ローラ21の外周面に、巻き取られた基材93の厚みが増していく。そこで、移動機構36が、ニップローラ34の巻取ローラ21に対する位置を変化させつつ基材90を、巻き取られた基材93に対して押圧することで、基材90に安定的な押圧力を掛けることができる。これにより、基材90の皺を効果的に抑えることができおる。
図4は、巻取ローラ21を正面から見た図である。抑制部35は、巻取ローラ21に負荷を掛け、巻取ローラ21の回転運動の加速度を抑えるための機構である。なお、本発明における加速度とは、回転運動が減速するときのマイナスの加速度を含むものとする。図4に示すように、本実施形態の抑制部35は、巻取ローラ21の軸心211に設けられる。そして、抑制部35は、軸心211に負荷をかけることで巻取ローラ21の回転運動の加速度を抑える。本実施形態の抑制部35には摩擦ブレーキが用いられる。巻取ローラ21の軸心211に摩擦ブレーキを接触させて摩擦を加えると、巻取ローラ21に負荷が掛かる。これにより、搬送される基材90に掛かる張力に大きな変化が生じたときに、張力変更部33が巻取ローラ21の回転速度を変更する場合であっても、巻取ローラ21の回転速度を緩やかに変更することができる。
また、本実施形態の張力付与機構30は、抑制部35が巻取ローラ21に掛ける負荷を調整する、負荷調整機構37をさらに有する。負荷調整機構37は、例えば、抑制部35である摩擦ブレーキを、巻取ローラ21の軸心211に向けて押圧する、エアシリンダによって構成される。エアシリンダに供給される空気圧を調節することにより、軸心211に対する抑制部35の押圧力を調節できる。これにより、基材90に掛かる張力の変化や基材90の種類に応じて、抑制部35による負荷を適宜調整することができる。
図5は、巻取装置2による基材90の巻き取り時における張力の制御手順を示すフローチャートである。基材90が巻取ローラ21に巻き取られるときは、テンションローラ31により基材90に張力が掛けられる(ステップS1)。これにより、搬送時の基材90に生じる撓みや皺を抑えることができる。次に、張力検出部32が、テンションローラ31において基材90に掛かる張力を検出する(ステップS2)。そして、基材90に掛かる張力と、規定値との間に差異がある場合、張力変更部33は巻取ローラ21の回転速度を変更する(ステップS3)。これにより、搬送時の基材90に掛かる張力の変動が抑えられ、基材90の撓み、皺および伸びが抑えられる。また、上記のステップS3では、抑制部35は、巻取ローラ21の軸心211に負荷を掛ける。これにより、巻取ローラ21の回転運動の加速度が抑えられる。
搬送される基材90に掛かる張力変動が大きい場合、ステップS3により、巻取ローラ21の回転速度は大きく変動する。このとき、巻取ローラ21の回転運動の加速度が大きくなる。このため、もし抑制部35が無ければ、搬送される基材90に脈動現象が生じる。しかしながら、本実施形態の巻取装置2では、抑制部35により、巻取ローラ21の回転運動の加速度が抑えられる。その結果、搬送される基材90に生じる脈動現象を抑えることができる。
特に、脈動現象は、基材90の厚みが、例えば、50μm以下のような薄膜フィルムや、テフロン(登録商標)フィルムのような伸縮性のフィルムで顕著に起きる。しかしながら、本実施形態の巻取装置2では、搬送される基材90に生じる脈動現象を効果的に抑えることができる。したがって、基材90が、例えば、薄膜フィルムや、テフロン(登録商標)フィルムであっても、当該基材90を安定的に搬送しつつ、巻取ローラ21により巻き取ることができる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態では、塗工装置は、電解質膜の表面に触媒層を形成する装置であった。しかしながら、本発明の塗工装置は、電解質膜の裏面に触媒層を形成する装置であってもよく、また、電解質膜の表面および裏面の両面に電解質膜を形成する装置であってもよい。
また、上記の実施形態では、抑制部は、巻取ローラの軸心に負荷を掛けることで、巻取ローラの回転運動の加速度を抑えていた。しかしながら、抑制部は、巻取ローラの軸心以外の例えば、側面部や表面部に負荷を掛けることで、巻取ローラの回転運動の加速度を抑えるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、抑制部は、巻取ローラに設置され、巻取ローラの回転運動の加速度を抑えていた。しかしながら、抑制部は、ニップローラの回転運動の加速度を抑えるものであってもよい。具体的には、抑制部は、ニップローラの回転に負荷をかけることで、ニップローラと基材を介して接触する巻取ローラの回転運動の加速度を抑えるものであってもよい。また、抑制部は、巻取ローラまたはニップローラに少なくとも一つ設置されていてもよく、巻取ローラおよびニップローラの両方に設置されていてもよい。
また、上記実施形態では、抑制部に、摩擦ブレーキが用いられていた。しかしながら、抑制部は、巻取ローラの回転運動の加速度を抑えることができるものであればよく、例えば、軸心に、電磁ブレーキ、パウダークラッチを接続することで実現されてもよい。その場合、負荷調整機構は、電磁ブレーキ、パウダークラッチが巻取ローラの軸心に掛ける負荷を調整するものであればよい。
また、上記実施形態では、張力変更部が巻取ローラの回転速度を変更するステップS3において、抑制部が、巻取ローラの軸心に負荷を掛け、巻取ローラの回転運動の加速度を抑えていた。しかしながら、抑制部は、常に巻取ローラの回転に負荷を掛けるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、巻取装置は、膜・触媒層接合体を製造する塗工装置に用いられていた。しかしながら、巻取装置は、長尺帯状体の基材を巻き取る装置であればよく、塗工装置に用いられるものに限定されない。
また、巻取装置の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 塗工装置
2 巻取装置
9 触媒層
11 搬送機構
12 塗工部
14 制御部
21 巻取ローラ
22 駆動部
30 張力付与機構
31 テンションローラ
32 張力検出部
33 張力変更部
34 ニップローラ
35 抑制部
36 移動機構
37 負荷調整機構
90 基材
91 支持フィルム
92 電解質膜
112 搬送ローラ
211,311,341軸心

Claims (10)

  1. 長尺帯状の基材を巻き取る巻取装置であって、
    軸心を中心に回転し、前記基材を巻き取る円筒状の巻取ローラと、
    前記巻取ローラを回転させる駆動部と、
    前記基材に張力を付与しつつ回転し、前記基材を巻取ローラに向けて搬送するテンションローラと、
    前記テンションローラにおける前記基材の張力を計測する張力検出部と、
    前記張力検出部の計測結果に基づいて前記駆動部を制御することで、前記基材に掛かる張力を変更する張力変更部と、
    前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える抑制部と、
    を有する巻取装置。
  2. 請求項1に記載の巻取装置であって、
    前記基材を前記巻取ローラに向けて押圧するニップローラをさらに有し、
    前記抑制部は、前記ニップローラを介して、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える巻取装置。
  3. 請求項2に記載の巻取装置であって、
    前記ニップローラの位置を、前記巻取ローラに巻き取られた基材の厚みに応じて移動させる移動機構を、さらに有する巻取装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の巻取装置であって、
    前記抑制部は、前記ニップローラの回転に、負荷をかけることで、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える巻取装置。
  5. 請求項1に記載の巻取装置であって、
    前記抑制部は、前記巻取ローラの回転に負荷をかけることで、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える巻取り装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の巻取装置であって、
    前記負荷を調整する負荷調整機構を、さらに有する巻取装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の巻取装置であって、
    前記基材は、長尺帯状の電解質膜の表面または裏面のうち、少なくとも一方に、触媒層が形成された、膜・電極接合体である巻取装置。
  8. 軸心を中心に回転する円筒状の巻取ローラにより、長尺帯状の基材を巻き取る巻取方法であって、
    a)前記基材に張力を付与しつつ回転するテンションローラにより、前記基材を前記巻取ローラに向けて搬送する工程と、
    b)前記テンションローラにおける前記基材の張力を計測する工程と、
    c)前記工程b)の計測結果に基づいて前記巻取ローラの回転速度を変更することで、前記基材に掛かる張力を変更する工程と、
    を有し、
    少なくとも前記工程c)において、前記巻取りローラの回転運動の加速度を抑える巻取方法。
  9. 請求項8に記載の巻取方法であって、
    前記基材を前記巻取ローラに向けて押圧するニップローラの回転に負荷をかけることで、前記巻取ローラの回転運動の加速度を抑える巻取方法。
  10. 請求項8または請求項9に記載の巻取方法であって、
    前記負荷を調整する工程を、さらに有する巻取方法。
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