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JP2017226422A - 蓋材 - Google Patents

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JP2017226422A
JP2017226422A JP2016121507A JP2016121507A JP2017226422A JP 2017226422 A JP2017226422 A JP 2017226422A JP 2016121507 A JP2016121507 A JP 2016121507A JP 2016121507 A JP2016121507 A JP 2016121507A JP 2017226422 A JP2017226422 A JP 2017226422A
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盧 和敬
Kazuyoshi Ro
和敬 盧
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Abstract

【課題】良好な熱シール性を保ちながら優れた撥水性を有し、蓋材として利用すると内容物の残量低減や付着防止効果を有し、また、高い撥水性、撥乳性が付与され、低残存容器や内容物付着による汚染を防止する蓋材を提供することが求められていた。
【解決手段】順に、基材、全部または部分領域に熱硬化性樹脂に、架橋ポリマーなどからなり平均粒子径1μm以上100μm未満の弾性粒子が分散しているアンカー層、ヒートシール層、疎水化表面処理された金属酸化物微粒子などからなる内容物付着防止層からなる蓋材を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品、飲料、医薬品、化粧品、化学品等を包装する蓋材に関する。
具体的にはヨーグルト、ゼリー、プリン、シロップなどの容器の蓋材や、お粥、スープなどのレトルト食品用包装材、化学品や医薬品等の液体、半固体、ゲル状物質などの保存容器用蓋材に用いられる。
従来より蓋材などで内容物が付着しにくいように付着防止性能を有する構成が考えられていた。
すなわち、フイルム等の基材上に微粒子を塗布した凹凸を付与し、熱シール性樹脂を塗布した構造とすることが行われていた。
例えば特許文献1は、内容物付着防止性を有する包装容器用熱封線性蓋材およびその製造方法であって、内容物付着防止層の組成物が、ワックスと微粒子からなる構成である。しかし、これでは凹凸は微粒子の大きさに依存するために、凹凸が不十分になり、撥水性が不足する。
特許文献2は、非付着性容器及びその製造方法である。この発明では、単に内容物と接触する面に一次粒子平均径3〜100nmの疎水性酸化物粒子が付着している構成とするものである。しかしこれでは、熱で固着させないと膜凝集力が上がらない。(120〜200℃)高温にすると、シーラン下層が熱溶解しやすく、形状も変化しやすい。
特許文献3は、積層体及び包装材料である。この発明では、熱可塑性樹脂を含有する層の表面に一次粒子平均径3〜100nmの疎水性酸化物粒子が付着している構成とするものである。しかしこれでは、凹凸付与に用いる球形粒子が熱可塑性樹脂で埋まっており、その上に疎水性酸化物微粒子が付着している構造で、シールヒーター等で表面が加熱されると疎水性微粒子が熱可塑性樹脂内に埋包されて撥水機能が低下する恐れがある。また、充填粒子の密着強度が不十分で、加工工程において充填粒子脱落の危険性がある。
特開2009−73523号公報 特開2010−254377号公報 特開2011−93315号公報
蓋材に内容物が付着するのを防ぐとともに、開封する容器の蓋材において、易開封性と十分なシール強度を保持し、開封時に蓋材が破れて異物混入や開封口の一部閉塞による内容物の取り出し不良が起こるのを防ぐことを目的とする。
具体的には、通常のシーラント材を用いた蓋材は、内容物が付着して取りづらく、内容物の無駄や汚れの原因となることが多かった。また、フッ素材やシリコーンのみでは、撥水性や付着防止効果はあるものの、シール性に乏しく、蓋材に使用することが困難であった。
また、安全衛生上の観点から、表面エネルギーの小さいハロゲン系の撥水剤は、C8系の主鎖を持つ撥水剤が体内残存率が高い可能性があるため、やや撥水性の劣ると思われるC6系やシリコーン系が良く使われているが、その分、撥水性もやや劣るという欠点があった。
撥水性の性能を向上させるために、比較的大きな凹凸構造とナノレベルの微細凹凸構造を組み合わせたフラクタル構造を持つものが良いとされている。この構造を再現するために粒子により凹凸を形成させ、その上に疎水性微粒子で微細凹凸を作る構造が提唱されている。大きな凹凸を形成する粒子は耐熱性の樹脂が使用されることが多く、シール剤と混合して塗布されるとシール剤が混合粒子の間に沈みこみ、シール阻害になりやすい。
また、蓋材として使用する場合に基材側へ熱シールすると充填粒子が熱で融解した基材に埋没して蓋材と基材を強固に密着させる。このとき密着強度が強くなりすぎて、基材強度よりピール強度の方が強くなり、開封時に基材が破けてしまうというように、蓋材の易開封性が損なわれる場合があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、請求項1に記載の発明は、順に、基材、全部または部分領域に熱硬化性樹脂に平均粒子径1μm以上100μm未満の弾性粒子が分散しているアンカー層、ヒートシール層、内容物付着防止層からなる蓋材を提供するものである。
請求項2に記載の発明は、弾性粒子が架橋ポリマーからなり、ポリマーがアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂の中から少なくとも1種以上である請求項1記載の蓋材を提供するものである。
請求項3に記載の発明は、アンカー層の表面粗さがRz>5μmである請求項1または2記載の蓋材を提供するものである。
請求項4に記載の発明は、ピール強度より基材強度の方が高い請求項1から3何れか記載の蓋材を提供するものである。
請求項5に記載の発明は、内容物付着防止層に、ジメチルシリル、トリメチルシリル、ジメチルポリシロキサン、アミノアルキルシリル、アルキルシリル、メタクリルシリルのいずれかの官能基で疎水化表面処理された、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシアのいずれか1種を含む金属酸化物微粒子を含んでいる請求項1から4何れか記載の蓋材を提供するものである。
本発明の蓋材は、良好な熱シール性を保ちながら優れた撥水性を有し、蓋材として利用すると内容物の残量低減や付着防止効果を有する。
また、高い撥水性、撥乳性が付与され、低残存容器や内容物付着による汚染を防止する蓋材を提供することが可能となる。蓋材としての易開封性を有し、シール阻害も発生しない。
熱硬化性樹脂により覆われて弾性粒子、例えば固着されたゴム弾性をもつ混合粒子により表面粗さを付与でき、さらにその上にヒートシール層と内容物付着防止層を設けることで、フラットな基材の上に内容物付着防止層を設けた蓋材よりも内容物付着防止性の向上
が確認できた。
また、弾性粒子が熱硬化性樹脂に含まれているため、基材に対して強固に密着し、弾性があることでシール時にフラットになりやすくシールムラや易剥離性の阻害をしにくいとともに、シール部をキッカケとした開封時の蓋材の破れが起こりづらい。弾性粒子自体は十分な表面粗さを得ることができるとともに、脱落や剥離がなく安定した構造撥水層を得るための構造を保持できる。また、熱シール時で圧着させる場合、弾性粒子がつぶれやすくシール面がフラットになるため、部分的なシール不良や浮きが発生しにくい。
本発明にかかる蓋材の部分拡大概念断面図である。 図1の本発明にかかる蓋材の容器本体のフランジに接着する態様を示す部分拡大概念断面図である。 図1の本発明にかかる蓋材の容器本体のフランジに接着した状態を示す部分拡大概念断面図である。
以下、本発明の詳細な形態について説明する。
本発明は、順に、基材11、全部または部分領域に熱硬化性樹脂13に平均粒子径1μm以上100μm未満の弾性粒子12が分散しているからなるアンカー層、ヒートシール層14、内容物付着防止層15からなる蓋材である。
特に、弾性粒子が架橋ポリマーからなり、ポリマーがアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂の中から少なくとも1種以上であるのが好ましい。
また、アンカー層の表面粗さがRz>5μmであるのが好ましい。
また、ピール強度より基材強度の方が高いのが好ましい。
また、内容物付着防止層に、ジメチルシリル、トリメチルシリル、ジメチルポリシロキサン、アミノアルキルシリル、アルキルシリル、メタクリルシリルのいずれかの官能基で疎水化表面処理された、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシアのいずれか1種を含む金属酸化物微粒子を含んでいるのが好ましい。
このような蓋材は、図2のように基材21、全部または部分領域に熱硬化性樹脂23に平均粒子径1μm以上100μm未満の弾性粒子22が分散しているからなるアンカー層、ヒートシール層24、内容物付着防止層25からなる蓋材を、内容物付着防止層25側を容器本体28のフランジ29にヒートシールすることで使用する。
ヒートシールした結果、図3の様に蓋材が容器本体38のフランジ39にシールされるが、この場合、フランジ39のある部分だけヒートシールされ、その他の部分ではヒートシールされず、内容物等が蓋材の内容物付着防止層35と触れる構造になるが、この内容物付着防止層35の存在により内容物が蓋材の内容物付着防止層35に付着しないか、付着しても容易に剥落できるようになっている。
また、ヒートシールのときに弾性粒子32が、その弾性により変形することができて、変形した弾性粒子36となる。これにより、蓋材の基材31とフランジ39の間の距離を弾性粒子32の粒径に規定されることがなく、弾性粒子32がある部分でもそれが変形し
た弾性粒子36となることにより基材31を平坦とすることができ、弾性粒子32の凹凸によりできる基材31の凹凸による基材31の劣化を防止することができるとともに、ヒートシールの際に、均等に圧力を加えることができるため、弾性粒子32の凹凸によるヒートシールムラを抑えることができ、部分的なシール不良や浮きを発生することを抑えることが可能になった。
以下、このような蓋材の構成につき説明する。
基材はPET、PE、PP、ポリアミド等のプラスチックフィルムや紙、セロファンなどが考えられるが、凹凸付与のための混合粒子を固着する熱硬化性樹脂と強固に密着するものであれば限定はしない。
基材表面は、表面凹凸構造を付与するものとして、弾性粒子と熱硬化性樹脂からなる表面凹凸付与剤が全体に固着していることによりアンカー層を構成している。この弾性粒子によって表面粗さRz(JIS B0601:’94)が5μm以上の凹凸を持つ表面を形成している。弾性粒子の粒径はバインダーとして作用する熱硬化性樹脂の層厚より大きいものが多く、その大部分を熱硬化性樹脂に覆われていることにより弾性粒子の脱落が起こりづらく、安定した形状の表面を保持することが可能である。
また、このようなアンカー層を用いることにより、ヒートシール層および内容物付着防止層を塗布等の手段で形成した後の表面形状が擬似的にフラクタル状になり、これにより撥水効果が向上する。
弾性粒子の平均粒径は、弾性変形がない状態においての粒径において1〜100μmとし、より好ましくは10〜50μmが良い。平均粒径が1μmより小さいと、凹凸の上にヒートシール層や内容物付着防止層を設けた際に、内容物付着防止効果としての撥水機能を向上させるために十分な大きさ(Rz>5μm)の凹凸を付与することが困難である。また、平均粒径が100μmより大きいと、高密度で凹凸を付与させることが困難になり、撥水機能を向上させることができない上に、大きく突出した弾性粒子が、摩擦などの外部応力によって脱落しやすくなる。弾性粒子の固着には熱硬化性樹脂を使用し、外部応力によって容易に離脱しないように樹脂に覆われた状態で強固に固定されているアンカー層とする。
このようにアンカー層が熱硬化性樹脂によって固定することで、弾性粒子の脱落を防ぎ、熱に対しても軟化しにくいために脱落や移動を防止し、安定した表面凹凸形状を保持することができる。また、弾性粒子が弾性を有するため、ヒートシール層および内容物付着防止層を付与した基材を熱圧着により他の基材フイルムやカップ等からなる容器本体シールする時、弾性粒子がつぶれてシール面がフラットに近くなり、表面凹凸によるシール強度のムラやシール不良が起こりづらい。また、シール強度が強くなりすぎて剥すときのピール強度が増して投錨効果も少なくなるため、易剥離性を損なうようなことがない。さらに、ヒートシール部をキッカケとして発生しやすい開封時のフイルム破れも、ピール強度より基材強度の方が高くなり、起こりづらい。
上記熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。一液硬化型でも、二液硬化型(主剤+硬化剤)でも構わない。
弾性粒子の形状は問わないが、球形粒子が扱いやすく、表面に配置したときに急峻な立ち上がり形状を持つ凹凸を形成しやすい。弾性粒子の構成材料としてはゴム弾性等の弾性を有する架橋ポリマーからなり、ポリマーとしてアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
アミド樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂の中から少なくとも1種以上を使用した熱硬化性樹脂からなる。
これら弾性粒子と熱硬化性樹脂からなるアンカー層が設けられている凹凸基材の上に、容器本体とのヒートシール性を付与するための熱可塑性樹脂層が配置されている。熱可塑性樹脂としては、ヒートシールニスが用いられるのが好ましく、その材質は使用される容器本体の材質によって適宜選定することができる。容器本体がポリスチレンの場合、ヒートシール剤は主成分がポリアクリレート樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチレン樹脂から選定する。容器本体がポリプロピレンの場合、ポリアクリレート樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂から選定する。容器本体がポリエチレンの場合、ポリアクリレート樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチレン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂から選定する。変性ポリオレフィンの変性が酸変性であり、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたオレフィンであることが望ましい。また、オレフィンがポリプロピレン、あるいはポリエチレンであることが望ましい。
また、内容物や充填方法により、容器にはチルド仕様、アセプティック仕様、ボイル仕様、レトルト仕様など分けられ、用途に応じて容器本体の材質を選定するとともに、蓋材のヒートシールニス材質を選定する。
さらに熱可塑性樹脂からなるヒートシール層の上に、疎水性微粒子を含む撥水機能層を塗布する等により内容物付着防止層を形成する。内容物付着防止層は、例えば、疎水性微粒子と無機酸化物などの無機バインダーから構成されており、弾性粒子と熱硬化性樹脂および熱シール性付与のためのヒートシール層からなる基材の上に全面に付与されている。
この場合の疎水性微粒子としては、無機酸化物であることが望ましく、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタンなどの無機酸化物であれば特に限定されないが、無機バインダーとの密着性を上げるためにはシリカが好ましい。酸化物微粒子は燃焼法、アーク法などの乾式製法や沈殿法、ゲル法などの湿式製法から得られる合成シリカ、または天然シリカでも構わない。微粒子の表面に疎水化処理を行うことで撥水機能を付与する。
疎水化処理方法は乾式法、湿式法など特定しなくて良いが、疎水性官能基がジメチルシリル(CHSi(O−R)、トリメチルシリル(CHSiO−R、ジメチルポリシロキサン(CH−Si−O−Si(O−R)、ジメチルシロキサン、アミノアルキルシリル、アルキルシリル、メタクリルシリルの何れかであれば良い。これらの官能基を生成することで、臨界表面張力、すなわち表面エネルギーを小さくして撥水性が良くなる。
疎水処理は微粒子の凝集体の表面を処理していればよく、凝集体の内部が親水性であっても構わない。つまり、凝集体の表面に存在しない凝集体内部の個々一次粒子は、表面が疎水処理されていいなく、親水性であっても良い。
平均粒径は5nm〜10μmであれば表面により均一に塗布しやすい。平均粒径のバラツキは特に制約しないが、大小様々な粒径が存在することで、擬似的なフラクタル構造を形成しやすい。平均粒径は、疎水性微粒子が凝集した状態の粒径を言い、コールタ一法、動的散乱、レーザー散乱方にて測定できる。
この場合に用いる無機バインダーとして金属アルコキシドを用いることが良い。金属アルコキシドとは、テトラエチルオルソシリケート(Si(OC)、トリイソプロピルアルミニウム(Al(OC)、など一般式M(OR)n(MはSi,T
i,Al,Zrなどの金属、RはCH,Cなどのアルキル基)で表せるものである。その中でもMがSi,Al、Tiである金属アルコキシドの特性が優れている。また、金属アルコキシドの中に、密着向上や表面改質などの目的で、シランカップリング剤を混合しても良い。シランカップリング剤は、官能基としてビニル、エポキシ、スチリル、メタクリル、アクリル、アミノ、ウレイド、メルカプト、スルフイド、イソシアネートのうちのいずれか一つを持つものが良い。
内容物付着防止層は、内容物によって各種成分を用いりうるが、例えば内容物が水性の場合、撥水機能を持たせるのが好ましく、その場合、金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドとシランカップリング剤の混合物を直接あるいはあらかじめ加水分解反応させたものを疎水性微粒子と混合して複合物溶液を作成し、疎水性微粒子と、金属アルコキシドまたは金属アルコキシドとシランカップリング剤の混合物あるいは金属アルコキシドの加水分解物を金属酸化物に換算したときの金属酸化物との重量比率が、5:95〜95:5であることが好ましい。さらに好ましくは、20:80〜60:40が良い。これにより、撥水性が良くなる。
疎水性微粒子の重量比が5%より低いと、疎水性表面が最表層を覆う面積が小さくなり、十分な撥水性能が出せない。また、95%以上だと疎水性微粒子がバインダーと結合することなく最表面に出てくるために、摩擦や振動などの外部応力によって疎水性微粒子が欠落し、撥水性能が損なわれる。
内容物付着防止層は、その材質により各種形成方法を用いりうるが、上述の様に撥水機能を持たせる場合は、コーティングにて形成させるのが好ましい。その場合の膜厚は0.1〜10μmの範囲内であることが望ましい。0.1μm以下だと疎水性微粒子が最表面に現れる量が少なくなり、撥水性が低下する。また、10μm以上だと撥水機能層が厚くなりすぎて熱シール時にシール阻害を起こしやすく、十分に密閉ができない。また、粒子による基材凹凸を相殺してしまい、十分な撥水機能を発現できない可能性がある。
撥水剤の配置された表面は疎水性微粒子がヒートシール層表面上に、ほぼ全面を覆う様に被覆されているのが好ましいが、全体の30%以上、好ましくは70%以上覆われていることが良い。被覆面積比が30%未満だと、内容物が非撥水表面と接触する面積が大きくなり、十分な撥水性能を発揮することができない。
内容物付着防止層を撥水コート剤の塗布方法により設ける場合は、ロールコート、ダイレクトグラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、キスリバースコート、ダイコート、ドクターブレードコート、刷毛塗り、ディップコート、スプレーコート、スピンコートなどの公知の方法を採用することができる。
<実施例1>
ドライラミネートで作製したコート紙/ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)基材のPET側に、2液硬化型ポリエステル系アンカーコート剤(DIC A970)とゴム弾性を持つ架橋ポリウレタン樹脂からなる平均粒径15μmの弾性粒子である弾性粒子を分散して30wt%の固形分(アンカーコート:15%、アクリルからなる弾性粒子:15%)に調整した分散液を、ウェット塗布量4.0g/mでダイレクトグラビアコートにより塗布し、粒子による凹凸を付与したフイルム基材を作成した。さらに、この基材の上にグラビアコートによってアクリル系ヒートシールニス剤をウェット塗布量で10.0g/mコートした。
さらにその上にジメチルポリシロキサン処理を行った平均一次粒子径7nmの疎水性シ
リカ微粒子(日本アエロジル RY200S)をメタノールに分散した溶液と、テトラエトキシシラン(以下、TEOSと称する)と酸を混合して、加水分解反応させて作製したシリカゾル溶液からなるシリカゾルバインダーを1:2で混合し、固形分10wt%に希釈した撥水コート剤を、ウェット塗布量1.5g/mでグラビアコートにより全面塗布し、蓋材を作製した。
<実施例2>
ドライラミネートで作製したコート紙/PET基材のPET側に、2液硬化型アクリル系アンカーコート剤と弾性粒子として平均粒径16μmのポリアミド粒子を使用して凹凸付与層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて蓋材を作製した。
<実施例3>
ドライラミネートで作製したコート紙/PET基材のPET側に、2液硬化型ポリエステル系アンカーコート剤と弾性粒子として低架橋アクリル樹脂からなる平均粒径15μmの粒子を分散したコート剤で凹凸付与層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて蓋材を作製した。
<実施例4>
ドライラミネートで作製したポリアミド/PET基材のPET側に、二液硬化型ポリエステル系アンカーコート剤と架橋ウレタン樹脂からなる平均粒径5μmの粒子を分散した以外は、実施例1と同様の方法にて内容物非付着性包材を作製した。
<比較例1>
ドライラミネートで作製したコート紙/PET基材のPET側に、二液硬化型ポリエステル系アンカーコート剤(DIC A970)を20wt%の固形分に調整した液を、ウェット塗布量2.0g/mでダイレクトグラビアコートにより塗布し、平滑なフイルム基材を作成した。さらに、この基材の上に実施例1と同様にグラビアコートによってアクリル系ヒートシールニス剤をコートし、疎水性微粒子とシリカゾルバインダーからなる撥水機能層をコートした。
<比較例2>
ドライラミネートで作製したコート紙/PET基材のPET側に、ポリエステル系熱硬化性樹脂からなるアンカーコート層をグラビアコート法によって塗布し、その上に熱可塑性のアクリル系ヒートシールニス剤(DIC A450)とアクリル樹脂からなる平均粒径1μmの粒子を分散して25wt%の固形分(ヒートシールニス:15%、アクリル粒子:10%)に調整した分散液を、ウェット塗布量15.0g/mでダイレクトグラビアコートにより塗布し、粒子による凹凸を付与した熱シール性基材とした。さらに、この基材の上に実施例1と同様に、アクリル系ヒートシールニス剤と、疎水性微粒子とシリカゾルバインダーからなる撥水機能層をコートした。
<比較例3>
ドライラミネートで作製したコート紙/PET基材のPET側に、2液硬化型ポリエステル系アンカーコート剤(DIC A970)とアクリル樹脂からなる平均粒径20μmの混合粒子を分散して30wt%の固形分(アンカーコート:15%、アクリル粒子:15%)に調整した分散液を、ウェット塗布量4.0g/mでダイレクトグラビアコートにより塗布し、粒子による凹凸を付与したフイルム基材を作成した。さらに、この基材の上にグラビアコートによってアクリル系ヒートシールニス剤(DIC A450)および疎水性微粒子とシリカゾルバインダーからなる撥水機能層をコートした。
評価:
<1>開封試験
蓋材をカップシーラーにてポリスチレン製カップに熱シールし(シール温度210℃、圧力0.2MPa、1.0秒)、冷蔵条件下(5℃)にて1日保存する。
冷蔵条件下に置いたまま、フォースゲージで蓋材端部をつかんで開封し、強度および蓋材の破れ有無を評価した(n=20)。
<2>はじき性能試験
各実施例、比較例の包材に水滴およびヨーグルト(ダノンBIOヨーグルト/プレーン加糖)(ダノン社製:製品名)を滴下し、各包材を傾けながらはじき性ならびに転落角(目視)を評価した。
ヨーグルトは包材を傾けて液滴が付着せず転落すれば〇、付着したまま垂れた場合は×、とした。
<3>シール強度
熱シールバーによって、撥水機能性を付与した各包材をポリスチレン製シートに200℃、0.2MPa、1.0secの条件で圧着させ、JIS Z0238準拠の方法にて、テンシロンでシール強度を測定した。
結果を表1に示す。
実施例1〜5の包材は、混合粒子の脱落がなく、はじき性も良好であった。開封時の蓋材破れは発生せず、開封強度も6N前後で強すぎず、良好であった。
比較例1の包材は、表面粗さが小さく、はじき性が落ちる。また、シール後にアクリルが残りやすくポリスチレンとPETの層間から蓋材が破れやすかった。
比較例2の包材は、摩擦によって混合粒子が脱落しやすく、かつシール時に隙間ができて不良箇所が見られた。また、充填粒子がシール基材に埋まりシール強度が高くなった。
比較例3の包材は、シール強度が比較例2に比べて強度が低下したものの、開封時の紙破れが発生しやすく、充填粒子がポリスチレンカップに埋まって取れやすかった。
Figure 2017226422
11、21、31 …基材
12、22、32 …弾性粒子
13、23、33 …熱硬化性樹脂
14、24、34 …ヒートシール層
15、25、35 …内容物付着防止層
28、38 …容器本体
29、39 …フランジ
36 …変形した弾性粒子

Claims (5)

  1. 順に、基材、全部または部分領域に熱硬化性樹脂に平均粒子径1μm以上100μm未満の弾性粒子が分散しているアンカー層、ヒートシール層、内容物付着防止層からなる蓋材。
  2. 弾性粒子が架橋ポリマーからなり、ポリマーがアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂の中から少なくとも1種以上である請求項1記載の蓋材。
  3. アンカー層の表面粗さがRz>5μmである請求項1または2記載の蓋材。
  4. ピール強度より基材強度の方が高い請求項1から3何れか記載の蓋材。
  5. 内容物付着防止層に、ジメチルシリル、トリメチルシリル、ジメチルポリシロキサン、アミノアルキルシリル、アルキルシリル、メタクリルシリルのいずれかの官能基で疎水化表面処理された、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシアのいずれか1種を含む金属酸化物微粒子を含んでいる請求項1から4何れか記載の蓋材。
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JP7489520B2 (ja) 2018-09-07 2024-05-23 株式会社レゾナック・パッケージング 油脂含有食品用包材

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JP7489520B2 (ja) 2018-09-07 2024-05-23 株式会社レゾナック・パッケージング 油脂含有食品用包材

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