JP2017221943A - 酸素吸収材料および包装材料 - Google Patents
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Abstract
Description
このような酸素吸収材料としては、鉄を主原料とする鉄系酸素吸収材料が知られている。また、鉄系酸素吸収材料は、小袋に封入した上で、食品等の内容物とともに包装体の内部に入れて使用されるのが一般的である。
また、酸素吸収剤としては、酸素吸収性の有機材料を用いた有機系酸素吸収剤が知られている。有機系酸素吸収剤は、例えば、特許文献1に記載するように、包装体を構成する積層体のいずれかの層に含有する方法が知られている。
また、誤飲等の防止の観点から、包装体を構成するいずれかの層に添加することも考えられる。しかしながら、鉄系酸素吸収材料は、通常、透明性が低い。このため、鉄系酸素吸収材料が添加された包装体は、内容物の視認性が低くなるといった問題がある。
一方、有機系酸素吸収材料は、比較的透明性が高い。このため、有機系酸素吸収材料が添加された包装体は、内容物の視認性を保つことができるといった利点がある。しかしながら、有機系酸素吸収材料は、酸素の吸収に伴い分解生成物としてアルデヒドやケトンを生成するため、異臭が発生するといった問題がある。また、特許文献1に記載される異臭を抑制するための層を酸素吸収層以外に別途形成することも考えられるが、包装体の形成が煩雑になるといった問題がある。
また、上記酸素吸収粒子が酸素吸収性を有する金属または金属酸化物の粒子であることにより、本発明の酸素吸収材料は、臭気発生が低減されたものとなる。
以上より、本発明の酸素吸収材料は、透明性が高く、臭気発生が低減されたものとなる。
以下、本発明の酸素吸収材料および包装材料について詳細に説明する。
本発明の酸素吸収材料は、担体粒子と、上記担体粒子の表面に担持され、ナノオーダーサイズである酸素吸収粒子と、を有し、上記担体粒子が、金属およびケイ素の少なくとも1種の酸化物、窒化物または酸窒化物の粒子であり、上記酸素吸収粒子が、酸素吸収性を有する金属または金属酸化物の粒子であることを特徴とするものである。
また、平均一次粒径がナノオーダーサイズであっても、酸素吸収粒子同士が凝集し、見かけ上粒子サイズが大きい酸素吸収粒子凝集体が形成された場合には、透明性が低下する。
しかしながら、上記酸素吸収粒子が担体粒子の表面に担持されることにより、酸素吸収粒子は、担体粒子の表面に分散された状態で保持され、凝集等による透明性の低下を抑制できる。
さらに、酸素吸収粒子が担持される担体粒子の構成材料が上述の光透過性の高い材料であることにより、例えば、担体粒子の粒径が酸素吸収粒子の粒径より大きい場合であっても、担体粒子は、透明性が高いものとなる。
このようなことから、上述の光透過性の低い材料により構成され、ナノオーダーサイズである酸素吸収粒子が、上述の光透過性の高い材料により構成された担体粒子の表面に担持されている構成を有することにより、本発明の酸素吸収材料は、透明性が高いものとなるのである。
以下、本発明の酸素吸収材料の各構成について説明する。
本発明における担体粒子は、金属およびケイ素の少なくとも1種の酸化物、窒化物または酸窒化物の粒子である。
また、上記担体粒子は、その表面に酸素吸収粒子を担持するものである。
なお、上記構成材料が、金属およびケイ素の少なくとも1種の酸化物、窒化物または酸窒化物であるとは、金属およびケイ素の少なくとも1種の酸化物、窒化物または酸窒化物(以下、単に酸化物等と称する場合がある。)が、上記構成材料の主成分として含まれることをいうものである。
また、主成分として含まれるとは、上述の酸化物等の含有量が構成材料の80質量%より高いものとすることができる。
例えば、構成材料がケイ素の酸化物である場合、酸化ケイ素の含有量が構成材料の80質量%以上であるものとすることができる。また、構成材料がケイ素の酸化物および窒化物である場合、酸化ケイ素および窒化ケイ素の合計の含有量が80質量%以上であるものとすることができる。
本発明においては、上述の酸化物等の含有量が、構成材料の90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが好ましく、100質量%、すなわち、上記構成材料が上記酸化物等のみを含むものであることが好ましい。担体粒子との機能を効果的に発揮できるからである。
また、酸化ケイ素は水分吸収性を有するため、酸化ケイ素を用いて担体粒子を構成することで、担体粒子は、空気中の水分等を吸収し、酸素吸収粒子に対して酸素吸収能の発現に必要な水を容易に供給可能となる。このため、本発明の酸素吸収材料は、酸素吸収粒子の酸素吸収能の発現が容易なものとなるからである。
また、2種類以上である場合には、担体粒子として、ケイ素の酸化物および酸窒化物の両者の混合物により形成された担体粒子を用いるものであってもよい。
本発明においては、なかでも、酸化物、窒化物および酸窒化物を構成する酸素および窒素の金属およびケイ素に対する結合数が化学量論数を満たすものに近いことが好ましく、化学量論数を満たすことが好ましい。担体粒子は、粒子構造中での光吸収が小さくなり、また、その屈折率も、酸素吸収層において酸素吸収材料の分散に用いられるバインダ樹脂等に近いものとなるため、透明性の高いものとなるからである。
ここで、化学量論数を満たすものに近いものとしては、例えば、化学量論数の90%以上のものとすることができる。
例えば、上記構成材料が酸化ケイ素(SiOx)である場合、xは1.8以上であることが好ましく、なかでも、1.9以上であることが好ましく、特に、2.0であること、すなわち、化学量論数を満たすものであることが好ましい。
このような担体粒子の平均一次粒径としては、例えば、包装材料に用いられる場合には、バインダ樹脂中に良好に分散可能なものであればよく、100μm以下とすることができ、ナノオーダーサイズであることが好ましい。上記担体粒子がナノオーダーサイズであることにより、本発明の酸素吸収材料は、その粒径が小さいものとなり、透明性がより高いものとなるからである。
ここで、ナノオーダーサイズであるものとしては、例えば、上記平均一次粒径が1000nm以下であるものとすることができ、500nm以下であることが好ましく、なかでも、0.1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。上記平均一次粒径が上述の範囲内であることにより、本発明の酸素吸収材料は、透明性がより高いものとなるからである。
なお、上記平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、透過型電子顕微鏡写真(TEM)(例えば、日立ハイテク製 H−7650)にて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個以上の一次粒子の最長部の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
本発明においては、上記担体粒子の平均一次粒径が、例えば、可視光領域の波長より大きい場合、例えば、800nmより大きい場合には、2%〜50%の範囲内であることが好ましく、特に、2%〜30%の範囲内であることが好ましい。上記被覆割合が上述の範囲内であることにより、酸素吸収材料は、透明性が高いものとなるからである。
なお、被覆割合の測定方法としては、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で決定できる。
また、走査型電子顕微鏡としては日立製作所製S−4500を用いることができ、透過型電子顕微鏡としては、日立製作所製H−9000を用いることができる。
なお、上記担体粒子の光の透過率の上限は高いほど好ましいが、材料選択の自由度の観点等から、通常、95%以下である。
また、担体粒子の光の透過率は、担体粒子の含有量が30質量%となるように透明熱可塑性樹脂中に分散された測定用フィルムでの全光線透過率をいうものである。
さらに、全光線透過率については、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
また、混合方法としては、例えば、東芝機械社製TEM二軸近連押出機等の押出機等を用いて、透明熱可塑性樹脂を加熱溶融しながら撹拌する方法等を用いることができる。
さらに、製膜方法としては、例えば、住友重機械モダン社製Co−RIインフレーション製造装置等のインフレーション製膜機や、押出製膜機、溶融製膜機等の公知の製膜方法を用いることができる。
上記透明熱可塑性樹脂としては、担体粒子を添加しなかった以外は、測定用フィルムの形成方法と同様の方法により形成した透明熱可塑性樹脂のみのフィルムの全光線透過率およびヘーズが、例えば、90%および0となるものを用いることができる。
具体的には、透明熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE樹脂、プライムポリマー(株)社、商品名:エボリュー SP2020)を用いることができる。
上記酸素吸収粒子は、上記担体粒子の表面に担持され、ナノオーダーサイズのものである。
上記酸素吸収粒子は、酸素吸収性を有する金属または金属酸化物の粒子である。
本発明においては、上記酸素吸収粒子の平均一次粒径が、500nm以下であることが好ましく、なかでも、0.1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、特に0.1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、なかでも特に0.1nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。上記平均一次粒径であることにより、酸素吸収材料は透明性の高いものとなるからである。
なお、上記平均一次粒径の測定方法は、上記「1.担体粒子」の項に記載のものと同様とすることができる。
本発明においては、上記構成材料が、酸素吸収性を有する金属であることが好ましい。
上記酸素吸収粒子の構成材料が金属であることにより、酸素吸収粒子は、酸素吸収性に優れたものとなる場合が多いからである。また、金属は光透過性が低いため、担体粒子に担持された構成とすることで透明性が高い酸素吸収材料を得られるとの効果をより効果的に発揮できるからである。
ここで、酸素吸収性を有するものとしては、酸素と結合可能であるものとすることができる。
このような酸素吸収性を有する金属としては、例えば、鉄、マンガン、白金、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、クロム、珪素、セリウム、チタン、銅等を挙げることができ、なかでも、鉄、アルミニウムであることが好ましく、特に、鉄であることが好ましい。上記金属であることにより、酸素吸収性に優れた酸素吸収粒子を形成可能だからである。
なお、金属の粒子としては、表面が酸化されている粒子も含むものである。
また金属の粒子としては、上記金属を2つ以上含む混合物、合金や、それら酸化物の混合物を含んでいてもよい。
具体的には、金属酸化物として酸化鉄(III)(Fe2Oy)を用いる場合、化学量論数を満たすyは3であり、yの値としては、2.4以下であることが好ましく、なかでも2,1以下であることが好ましく、特に、1.5以下であることが好ましい。
また、2種類以上である場合には、酸素吸収粒子として、酸素および酸化鉄の両者の混合物により形成された酸素吸収粒子を用いるものであってもよい。
本発明の酸素吸収材料の光の透過率としては、例えば、透明性が高い包装材料を形成可能なものであればよく、70%以上であるものとすることができ、なかでも80%以上であることが好ましい。上記透過率が上述の範囲内であることにより、酸素吸収材料は、透明性が高いものとなるからである。
なお、上記酸素吸収材料の光の透過率の上限は高いほど好ましいが、材料選択の自由度の観点等から、通常、95%以下である。
また、酸素吸収材料の光の透過率は、担体粒子の光の透過率と同様に酸素吸収材料の含有量が30質量%となるように透明熱可塑性樹脂中に分散された測定用フィルムでの全光線透過率をいうものである。
なお、測定用フィルムの形成方法としては、上記「1.担体粒子」の項に記載の方法と同様の方法を用いることができ、担体粒子の代わりに酸素吸収材料を用いて測定用フィルムを形成する方法を用いることができる。
上記その他の構成としては、例えば、上記担体粒子および酸素吸粒粒子の少なくとも一方の表面に担持され、酸素吸収粒子の酸素吸収性能の発現を触媒する酸素吸収触媒を挙げることができる。
上記酸素吸収触媒としては、後述する「B.包装材料」の項に記載のハロゲン化金属等を挙げることができる。
なお、酸素吸収触媒を担体粒子表面、酸素吸粒粒子表面等への担持方法としては、まず、酸素吸収粒子が担体粒子表面に担持した粒子を調製し、次いで、ハロゲン化金属等の水溶液を噴霧する方法を挙げることができる。
上記形成方法としては、粉砕法、気相合成法、液相合成法、エアロゾル加熱法、ゾルゲル法などがある。また、気相成長法として、PVD(物理気相成長)法、CVD法(化学気相成長法)を挙げることができる。また、液相成長法として、噴霧熱分解法、ホットソープ法、逆ミセル法、超音波照射法、液相還元法、ゾルゲル法、高温高圧(超臨界)水熱合成法など、従来公知の微粒子形成方法を用いることができる。
また、本工程において準備される担体粒子および酸素吸収粒子の平均一次粒径については、例えば、上記「1.担体粒子」および「2.酸素吸収粒子」の項に記載の平均一次粒径、すなわち、酸素吸収材料を構成する各粒子の平均一次粒径と同様とすることができる。
上記混合物の調製方法としては、例えば、両粒子を分散させる際には、粒子を適切な分散剤や樹脂材料を含む溶液中に入れて、振とう、ビーズミル等を用いて均一な分散液を得る方法を用いることができる。
なお、上記分散剤、樹脂材料については、焼成による粒子同士の固着に用いられる一般的な分散剤や樹脂材料を用いることができる。
上記焼成工程における両粒子の混合物の焼成温度および焼成時間としては、両粒子の表面が部分的に溶融し、両粒子の界面で両粒子の構成材料が混ざり合った中間層を形成することで、両粒子が固着可能なものであればよい。
具体的には、両粒子が、担体粒子の構成材料が酸化ケイ素(SiO2)であり、酸素吸収粒子の構成材料が鉄(Fe)である場合、上記焼成温度としては、400℃〜1200℃の範囲内とすることができ、焼成時間としては0.5時間〜48時間の範囲内とすることができる。
上記粉砕方法としては、適当な溶媒中に焼成物を分散させ、機械的分散または界面化学的分散を行う方法を挙げることができる。
上記機械的分散方法としては、超音波分散法、剪断場を用いる方法、焼成物同士が高速で衝突して分散する方法、ビーズ等を用いて、高速で運動する媒体間の接触点で焼成物に衝撃や摩擦力を作用させ分散する方法等を挙げることができる。
上記界面科学的分散方法としては、帯電、pH調整を利用する方法、界面活性剤による分散方法、表面にシランカップリング処理を行う化学的表面改質方法、高分子被覆を用いる方法等を挙げることができる。
さらに、上記製造方法としては、担体粒子を準備した後、水熱反応または超臨界反応等を用いて、担体粒子表面に直接、酸素吸収粒子を形成する方法を用いるものであってもよい。
本発明の酸素吸収材料の用途としては、酸素の吸収が要求される用途であればよく、例えば、酸素バリア性が要求される包装材料の酸素バリア層の内層に配置される酸素吸収層、包装容器内の残存酸素除去のための酸素吸収層、好気性微生物や昆虫の成育阻止のための酸素吸収材料、繊維に残った皮脂の酸化による黄ばみ、カビ・雑菌の繁殖虫食い抑制のための酸素吸収材料、金属の酸化(腐食)用の部材等を挙げることができる。
次に、本発明の包装材料について説明する。
本発明の包装材料は、バリア層と、上記バリア層の一方の面に配置され、酸素吸収材料を含有する酸素吸収層と、を有し、上記酸素吸収材料が、担体粒子と、上記担体粒子の表面に担持され、ナノオーダーサイズである酸素吸収粒子と、を有し、上記担体粒子が、金属およびケイ素の少なくとも1種の酸化物、窒化物または酸窒化物の粒子であり、上記酸素吸収粒子が、酸素吸収性を有する金属または金属酸化物の粒子であることを特徴とするものである。
なお、この例は、上記包装材料が、バリア層1、接着剤層3およびシーラント層4を有し、上記酸素吸収層2が接着剤層3である例を示すものである。
以下、本発明の包装材料の各構成について詳細に説明する。
本発明の包装材料は、少なくとも、バリア層および酸素吸収層を有するものである。
このような包装材料の層構成としては、バリア層および酸素吸収層以外に、後述する「4.内面層」に記載するバリア層の一方の面に配置される内面層を有するものであってもよい。
ここで、上記層構成が、内面層を含むものである場合、酸素吸収層は、酸素吸収機能のみを有する酸素吸収性コーティング層として配置されるものであってもよいが、内面層と一体として配置されるもの、すなわち、酸素吸収層が上記内面層として配置されるものであってもよい。
本発明においては、なかでも、酸素吸収層が内面層として配置されることが好ましい。
酸素吸収層が内面層として配置されることにより、包装材料は、構成層数を少ないものとすることができ、形成容易なものとなるからである。
なお、既に説明した図1は、酸素吸収層2が内面層として配置される例を示すものである。
例えば、上記包装材料の層構成が、バリア層の一方の面側に内面層として接着剤層およびシーラント層をこの順で有する層構成、バリア層を支持する支持基材、接着剤層およびシーラント層をこの順で有する層構成等である場合、酸素吸収層は、内面層のいずれの層としても配置することができるが、なかでも、接着剤層として配置されることが好ましい。
接着剤層は、出荷オーダー後、すなわち、包装材料の製造直前に形成することが容易である。例えば、本発明の包装材料の製造方法として、バリア層およびシーラント層を予め準備し、出荷オーダー後に、この予め準備された2つの層の間に、酸素と接しない状態で保管された接着剤を塗工し、両層を接着する接着剤層を形成する製造方法等を用いることができる。したがって、酸素吸収層が接着剤層として配置されるものとすることで、包装材料が内容物を包装する前に酸素吸収層が酸素を吸収することを抑制できるからである。
なお、既に説明した図1は、内面層として、接着剤層3およびシーラント層4を有し、酸素吸収層2が接着剤層3として配置される例を示すものである。
また、図2(a)は、内面層として、シーラント層4のみを有し、酸素吸収層2がシーラント層4として配置される例を、図2(b)は、内面層として、支持基材5、接着層3およびシーラント層4を有し、酸素吸収層2が接着剤層3として配置される例を示すものである。
ここで、図3は、包装材料10が、内面層として支持基材5、接着剤層3およびシーラント層4と、酸素吸収性コーティング層としての酸素吸収層2と、を有し、酸素吸収層2が接着層3およびシーラント層4間に配置される例を示すものである。
本発明における酸素吸収層は、上記バリア層の一方の面に配置され、酸素吸収材料を含有する層である。
ここで、バリア層の一方の面とは、包装材料を用いて包装体を形成した際に、バリア層の内容物が封入される側の面をいうものである。
上記酸素吸収層は、酸素吸収材料を含有するものである。
このような酸素吸収材料としては、上記「A.酸素吸収材料」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
このようなバインダ樹脂としては、酸素吸収層が内面層として配置される場合には、後述する「4.内面層」の項に記載のそれぞれの内面層の構成材料を用いることができる。
また、酸素吸収層が酸素吸収性コーティング層として含まれる場合、上記バインダ樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、光または電子線硬化性樹脂の硬化物、熱硬化性樹脂の硬化物、ゾルゲル材料硬化物等を用いることができる。本発明においては、なかでも、上記バインダ樹脂が熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記バインダ樹脂であることにより、酸素吸収層は、形成容易となるからである。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂は、1種類のみを用いるものであってもよいが、2種類以上を併用してもよい。本発明においては、なかでも、上記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
上記光または電子線硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物や、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂化合物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、光または電子線硬化性樹脂は、1種類のみを用いるものであってもよいが、2種類以上を併用してもよい。
上記熱硬化性樹脂の硬化物としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、メチルフタレート単独重合体または共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリルおよびスチレン共重合体の混合物、ポリ(−4−メチルペンテン−1)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、これらをポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、多官能性アクリレート化合物等で変性したものや、架橋ポリエチレン樹脂、架橋ポリエチレンおよびエポキシ樹脂の混合物、架橋ポリエチレンおよびシアナート樹脂の混合物、ポリフェニレンエーテルおよびエポキシ樹脂の混合物、ポリフェニレンエーテルおよびシアナート樹脂の混合物等の熱可塑性樹脂で変性した熱硬化性樹脂等を挙げることができる。また、上記熱硬化性樹脂は、1種類のみを用いるものであってもよいが、2種類以上を併用してもよい。
上記ゾルゲル材料の硬化物としては、例えば、特許第2556940号に開示されているように、アルコキシシラン、シランカップリング剤、ポリビニルアルコールを含有する組成物を、ゾルゲル法によって重縮合して形成することができる。また、特許第3387814号に開示されているように、アルコキシシランとアミノ基含有有機化合物または(メタ)アクリル系重合物を用い、加水分解縮合により形成することができる。
上記バインダ樹脂の上記担体粒子との屈折率差としては、例えば、0.5以下であることが好ましく、なかでも、0.2以下であることが好ましい。上記屈折率差が上述の範囲であることにより、光の界面反射が低減され、酸素吸収層は、透明性が高いものとなるからである。
なお、バインダ樹脂の屈折率測定には、アッベ屈折率計(JIS K 7142:2009(プラスチック−屈折率の求め方))や分光エリプソメーター、反射率測定法などを用い測定することができる。また、担体粒子の屈折率測定には、アッべ屈折率計や屈折液(接触液)を用いたVブロックプリズムを用いた方法(カルニュー精密屈折計;島津製作所)などにより測定することができる。
上記酸素吸収触媒としては、例えば、酸素吸収粒子の構成材料が、鉄、アルミ、チタン、セリウム、亜鉛等である場合には、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化ナトリウム(NaF)、臭化ナトリウム(NaBr)、塩化カリウム(KCl)、フッ化カリウム(KF)、臭化カリウム(KBr)等のハロゲン化金属を挙げることができる。
また、上記酸素吸収触媒の含有量としては、酸素吸収層の用途等に応じて適宜設定することができるが、例えば、酸素吸収材料100質量部に対して、3質量部〜50質量部の範囲内とすることができる。
上記添加剤としては、可塑剤、帯電防止剤、着色材等の包装材料に用いられる公知の添加剤を挙げることができる。
また、上記添加剤の含有量については、添加剤の種類等に応じて適宜設定することができる。
上記酸素吸収層の厚みとしては、所望の酸素吸収性を有する酸素吸収層を形成可能であればよく、1μm〜120μmの範囲内とすることができ、なかでも、3μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上述の範囲内であることにより、酸素吸収層は、酸素吸収性に優れたものとなるからである。
なお、上記酸素吸収層の光の透過率は、酸素吸収層の全光線透過率をいうものである。
なお、上記酸素吸収層のヘーズは、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料のヘーズの求め方)により測定することができる。
上記形成方法としては、例えば、上記バインダ樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、上記構成材料を加熱溶融して所望の形状に製膜する方法を挙げることができる。
上記製膜方法としては、例えば、Tダイ等の押出し成型法、インフレーション法等を挙げることができる。
また、上記形成方法としては、酸素吸収層形成用組成物として、上記構成材料を分散または溶解可能な溶剤を含むものを用い、酸素吸収層形成用組成物を塗布して酸素吸収層を形成する方法を挙げることができる。また、上記形成方法は、必要に応じて上記酸素吸収層形成用組成物の塗膜から溶剤を乾燥除去する処理、硬化処理等を行うものとすることができる。
なお、上記塗布方法としては、ロールコート、グラビアコート、キスコート等の公知の塗布法を挙げることができる。上記硬化処理としては、上記バインダ樹脂に応じて異なるものであり、バインダ樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、加熱する方法を挙げることができる。
本発明におけるバリア層は、酸素バリア性を有するものである。
なお、酸素透過率は、JIS K 7126に準拠して得ることができる。
本発明においては、包装材料を透明性が高いものとする観点からは、上記種類が、樹脂層または金属酸化物の蒸着層であることが好ましい。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、所望の酸素バリア性を付与できるものであればよく、例えば、国際公開第2015/046485号等に記載のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を挙げることができる。
上記蒸着層を構成する金属酸化物としては、所望の酸素バリア性を付与できるものであればよく、例えば、国際公開第2015/046485号等に記載の酸化ケイ素、酸化アルミニウム等を挙げることができる。
上記蒸着層を構成する金属としては、所望の酸素バリア性を付与できるものであればよく、例えば、特開2015−208867号公報に記載のケイ素、アルミニウム等を挙げることができる。
上記金属箔層を構成する金属としては、例えば、国際公開第2015/046485号等に記載のアルミニウムを挙げることができる。
また、上記酸素バリア層としては、上記蒸着層上に、さらに、ガスバリア性塗布膜が設けられたものを使用することができる。なお、ガスバリア性塗布膜としては、例えば、特開2012−35516号公報、国際公開第2015/046485号等に記載のものを用いることができる。
このような厚みとしては、上記酸素バリア層の種類に応じて異なるものであり、例えば、上記種類が樹脂層である場合には、10μm〜30μmの範囲内とすることができる。
また、上記種類が蒸着層である場合には、50Å〜4000Åの範囲内等とすることができる。
さらに、上記種類が金属箔層である場合には、5μm〜20μmの範囲内等とすることができる。
本発明の包装材料は、バリア層および酸素吸収層を少なくとも有するものであるが、必要に応じて、バリア層の一方の面に配置される内面層を有するものであってもよい。
このような内面層としては、バリア層の一方の面に配置され、包装体の形成時に包装体に含まれるものであればよく、例えば、包装体の形成に用いられるシーラント層、バリア層を支持する支持基材、2つの層を接着する接着剤層等を挙げることができる。
本発明においては、通常、上記内面層がシーラント層を含むものである。上記内面層としてシーラント層が含まれることにより、本発明の包装材料は、包装体の製造が容易なものとなるからである。
また、本発明においては、上記内面層が、接着剤層を有するものであることが好ましい。接着剤層を有することにより、予め接着剤層以外の他の層を準備しておいて出荷オーダー内容に応じて層構成等をフレキシブルに調整可能なものとなるからである。
例えば、バリア層およびシーラント層を予め準備し、出荷オーダー後に、この予め準備された2つの層の間に接着剤を塗工し、両層を接着する接着剤層を形成することで、所望の出荷オーダー内容の包装材料を容易に製造できるからである。
上記シーラント層は、包装体の形成に用いられるものである。
ここで、包装体の形成に用いられるものとしては、例えば、2枚の包装材料をシーラント層同士が対向するように配置して重ね合わせ、周辺端部を加熱して対向配置されたシーラント層同士を相互に溶融し融着させてシール部の形成に用いられるものを挙げることができる。
また、包装体の形成に用いられることから、シーラント層は、通常、内面層の最表面に配置されるものである。
具体的には、上記形成方法は、上記「2.酸素吸収層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
上記接着剤層は、2つの層を接着するものである。
このような接着剤層により接着される2つの層としては、接着剤層以外のいずれの層であってもよく、例えば、酸素吸収性コーティング層としての酸素吸収層と、バリア層、支持基材またはシーラント層との間、バリア層と、支持基材またはシーラント層との間、支持基材とシーラント層との間等を挙げることができる。
また、通常、接着剤層は、予め準備された2つの層同士の接着に用いられるものである。
また、上記接着剤としては、ホットメルト型接着剤の固化物、感圧型接着剤等も用いることができる。
上記熱可塑性樹脂は、必要に応じて2種類以上を混合して用いてもよい。
上記感圧型接着剤は、必要に応じて2種類以上を混合して用いてもよい。
具体的には、上記形成方法は、上記「2.酸素吸収層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
上記支持基材は、バリア層を支持するものであり、特に、バリア層として蒸着層を用いる場合に使用されるものである。
また、バリア層の支持に用いられることから、支持基材は、通常、バリア層と接するように配置されるものである。
上記支持基材が酸素吸収層として用いられない場合、支持基材の厚みとしては、バリア層を安定的に支持できるものであればよく、例えば、6μm〜100μmの範囲内とすることができる。
本発明の包装材料は、バリア層、酸素吸収層および内面層以外に、その他の層を有するものであってもよい。
このようなその他の層としては、例えば、シーラント層のバリア層とは反対側の面に配置され、包装体の形成時に剥離除去されるガスバリア性剥離層等を挙げることができる。
上記ガスバリア性剥離層としては、例えば、国際公開第2015/046485号等に記載のものを挙げることができる。
本発明の包装材料の光透過性としては、所望の透明性を示すものであればよく、例えば、70%以上とすることができ、なかでも80%以上であることが好ましく、特に、85%以上であることが好ましい。上記光の透過率が上述の範囲であることにより、本発明の包装材料は透明性の高いものとなるからである。
なお、上記光の透過率は、包装材料の全光線透過率をいうものである。
より具体的には、包装材料の層構成が、バリア層、支持基材、接着剤層としての酸素吸収層およびシーラント層がこの順で積層した層構成である場合には、支持基材および支持基材上に形成されたバリア層を含むバリア性積層体と、シーラント層と、を準備し、出荷オーダー後に、バリア性積層体およびシーラント層の間に酸素吸収層形成用組成物を塗工することで接着剤層としての酸素吸収層を配置する方法を挙げることができる。
また、上記層構成が、バリア層、支持基材およびシーラント層としての酸素吸収層がこの順で積層した層構成である場合には、バリア性積層体を準備し、出荷オーダー後に、バリア性積層体に含まれる支持基材の表面上に酸素吸収層形成用組成物を塗工することでシーラント層としての酸素吸収層を配置する方法を挙げることができる。
具体的には、包装材料としてシーラント層を有する場合には、上記形成方法は、2枚の包装材料を、それぞれの包装材料のシーラント層同士が対向するように配置して重ね合わせ、周辺端部を加熱して対向配置されたシーラント層同士を相互に溶融し融着させてシール部を形成する方法を用いることができる。
また、包装材料としてシーラント層を有しない場合には、上記形成方法は、別途用意した接着剤を用いて2枚の包装材料の周辺端部を接着する方法を用いることができる。
本発明の包装材料の用途としては、透明性および酸素バリア層の内層に酸素吸収性が要求される包装体の形成に用いられるものであればよい。
このような包装体の用途としては、例えば、食品、医薬品、産業用資材、リチウムイオン電池等の電池、電子機器、電子部品等の酸素の存在により品質劣化等を生じる内容物の包装用途を挙げることができる。
(1)酸素吸収材料の調製
担体粒子として、球状シリカ粒子(東亞合成社 HPS-3500(平均粒径3.5μm))を用意した。
次に、酸素吸収粒子として、酸素吸収性を有する鉄粒子を直接還元法により作製した。
具体的には、最初に塩化鉄(II)四水和物(FeCl2・4H2O;和光純薬工業社製)0.92mmol、水酸化ナトリウム(NaOH;和光純薬工業社製)0.92mmolを450mLのイオン交換水に溶かした。その溶液を三口フラスコに移し、N2ガスをフローしながら攪拌し、氷浴で冷却して溶液の温度を5℃とした。
その後、NaOH 0.5mmolと水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4;和光純薬工業)17.6mmolをイオン交換水50mlに溶解し、その液を攪拌中の三口フラスコに投入することで鉄粒子沈殿物を得た。
この沈殿物についてイオン交換水およびエタノール洗浄を行い、鉄粒子を得た。この粒子の粒径をSEM測定したところ、100個平均の平均一次粒径は52nmであった。
次いで、担体粒子としての球状シリカ粒子を65質量部と、酸素吸収粒子としての鉄粒子を35質量部と、を均一に混合し、窒素雰囲気下で600℃3時間加熱処理を行なったのち、酢酸エチル(和光純薬工業社)およびPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル;昭和電工社製)8:2の混合溶液に溶解させた。
その後、ジルコニアビーズ2mmφで1時間振とうさせ、更にその後0.1mmφのジルコニアビーズで2時間振とうさせることで、均一に分散した酸素吸収材料(シリカ担持鉄粒子)溶液を作製した。
接着剤組成物は、以下の配合で調製した。
・酸素吸収材料:上述の酸素吸収材料(シリカ担持鉄粒子)43質量部
・接着剤(主剤):ポリエステル樹脂(ロックペイント社製、商品名:RU−004)54質量部
・接着剤(硬化剤):脂肪族系ポリイソシアネート(ロックペイント社製、商品名:H−1)3質量部
・分散剤:アルキルアンモニウム塩ポリマー21.5質量部(酸素吸収材料100質量部に対して50質量部)
・酸素吸収開始触媒:塩化ナトリウム4.3質量部(酸素吸収材料100質量部に対して10質量部)
・溶剤:酢酸エチル(溶剤以外の全ての固形分の割合が25質量%となる量)
上述の接着剤組成物を、支持基材としてのPETフィルムの表面にケイ素系バリア層が形成された透明バリアPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ12μm、大日本印刷社製、商品名IB−PET−PIR)のPET基材側表面にマイヤーバーを用いて乾燥塗布量が9g±1g/m2になるよう塗工した。70℃で30秒間乾燥させることで接着剤組成物の塗膜を作製した。
この接着剤組成物を塗工したフィルムを直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(厚さ50μm、フタムラ化学社製、XMTN)とローラーを用いて80℃で加熱圧着するラミネートを行い、次いで、40℃3日間大気中で熱エージング処理を行うことにより、透明バリアPETフィルム(バリア層および支持基材(PET))、接着剤層(上記接着剤組成物の硬化物層)、LLDPEがこの順で積層した、厚み70μmの酸素吸収性バリアフィルムを得た。
得られた酸素吸収性バリアフィルムについて、全光線透過率、ヘーズ、酸素吸収性、包材形態適性の評価を行った。
酸素吸収性バリアフィルムの全光線透過率およびヘーズを、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、商品名:HM−150)にて測定した。
この結果、全光線透過率は85%、ヘーズは3と良好な透明性を示した。
酸素吸収性バリアフィルムを100cm2に切り出し、蒸留水15ccと共に蓋付きガラス瓶(容積106cc)に密閉封入した。この際、ガラス瓶内のガラス瓶壁面に、酸素濃度測定用のセンサーチップ(PreSens社、SP−PSt3−NAU−D5)を、ガラス瓶外側からセンサーで測定可能な向きに、接着剤を用いて固定した。
そして、720時間経過後のガラス瓶中の酸素濃度を、酸素濃度計(PreSens社、Fixbox3)を用いて測定し、ガラス瓶実容積で換算することで残留酸素量を算出し、初期酸素濃度からの酸素吸収量を求めた。密閉後720時間後の酸素吸収量は15cc/100cm2と十分な酸素吸収量であることがわかった。
なお、酸素吸収性能は10cc/100cm2以上であれば十分と判断した。
2枚の酸素吸収性バリアフィルムを用いて、内容物に切り餅(サトウ食品社製、サトウの切り餅50g/個)充填し、60mm×110mm×23mmサイズに3方ヒートシールを行い、残りの1辺をヒートシールすることでパウチを作製、常温下での保存テストを実施した(N=5個)。この結果、30日保管後も、全てのサンプルで、切り餅に色味やカビ等の発生などの外観変化がなく、また食感の変化もないこと、パウチ自体の変色や剥離等の外観変化がなく、包材保存適性があることが確認できた。
実施例1で調製した酸素吸収粒子(鉄粒子)の代わりにシグマアルドリッチ社ナノパウダー(品番:746835、平均粒径25nm)を用いた以外は実施例1と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し評価を実施した。
その結果、全光線透過率は91%、ヘーズは0と良好な透明性を示した。
また、酸素吸収量は30cc/100cm2と、良好な酸素吸収性を示すことが確認された。
さらに、30日保管後のサンプルでは、切り餅に色味やカビ等の発生などの外観変化がなく、また食感の変化もないこと、パウチ自体の変色や剥離等の外観変化がなく、包材保存適性があることが確認できた。
実施例1で調製した酸素吸収材料を添加せずに、以下の配合割合の接着剤組成物を用いた以外は実施例1と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し評価を実施した。
その結果、全光線透過率は91%、ヘーズは0と良好な透明性を示した。
また、酸素吸収量は0cc/100cm2と、酸素吸収がないことが確認された。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面にカビの発生が確認され、包材保存適性が十分でないことがわかった。
・接着剤(主剤):ポリエステル樹脂(ロックペイント社製、商品名:RU−004)89質量部
・接着剤(硬化剤):脂肪族系ポリイソシアネート(ロックペイント社製、商品名:H−1)11質量部
・溶剤:酢酸メチル(溶剤以外の全ての固形分の割合が16質量%となる量)
酸素吸収粒子として、粉砕法により調製した平均粒径1μmのマイクロオーダーの鉄粒子を用いた以外は、実施例1と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し評価を実施した。
その結果、全光線透過率は50%、ヘーズは15と透明性は得られなかった。
また、酸素吸収量は10cc/100cm2と十分な酸素吸収量であることがわかった。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分は十分であった。
酸素吸収粒子(鉄粒子)として、シグマアルドリッチ社ナノ粒子(品番:746878、平均粒径70nm)を用いた以外は実施例1と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し評価を実施した。
その結果、全光線透過率は90%、ヘーズは1と良好な透明性を示した。
また、20cc/100cm2と、良好な酸素吸収性を示すことが確認された。
さらに、30日保管後のサンプルでは、切り餅に色味やカビ等の発生などの外観変化がなく、また食感の変化もないこと、パウチ自体の変色や剥離等の外観変化がなく、包材保存適性があることが確認できた。
担体粒子(球状シリカ粒子)として、東亞合成社 HPS−0500(平均粒径0.75μm)を用いた以外は、実施例1と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し評価を実施した。
その結果、全光線透過率は90%、ヘーズは1と良好な透明性を示した。
また、酸素吸収量は20cc/100cm2と十分な酸素吸収量であることがわかった。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分であった。
担体粒子(球状シリカ粒子)として、宇部エクシモ社 ハイプレシカFR(品番N2N、平均粒径0.2μm)を用いた以外は実施例1と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し評価を実施した。
その結果、全光線透過率は91%、ヘーズは0と良好な透明性を示した。
また、酸素吸収量は23cc/100cm2と十分な酸素吸収量であることがわかった。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分であった。
担体粒子として、デンカ社 球状アルミナ(品番DAM03、平均粒径6.0μm)を用いた以外は実施例1と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し、評価を実施した。
その結果、全光線透過率は87%、ヘーズは2と良好な透明性を示した。
また酸素吸収量14cc/100cm2と十分な酸素吸収量であることがわかった。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分であった。
担体粒子として、石原産業社酸化チタン材料 (品番TTO−S−1、平均粒径0.08μm)を用いた以外は実施例2と同様に酸素吸収性バリアフィルムを作製し、評価を実施した。
その結果、全光線透過率は90%、ヘーズは0と良好な透明性を示した。
また酸素吸収量22cc/100cm2と十分な酸素吸収量であることがわかった。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分であった。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE樹脂、プライムポリマー(株)社、商品名:エボリュー SP2020)を70質量部と、実施例1で作製した酸素吸収粒子(鉄粒子)を30質量部と、を均一に混合させたマスターバッチを作製し、ラボインフレーション製膜機で厚さ100μmの酸素吸収材料添加シーラントフィルムを作製した。
次いで、以下の配合割合の接着剤組成物を、透明バリアPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ12μm、大日本印刷社製、商品名IB−PET−PIR)のPET基材側表面にマイヤーバーを用いて乾燥塗布量が9g±1g/m2になるよう塗工した。次いで、70℃で30秒間乾燥させることで接着剤組成物の塗膜を作製した。
この接着剤組成物を塗工したフィルムを、上述の酸素吸収材料添加シーラントフィルムとローラーを用いて80℃で加熱圧着するラミネートを行い、次いで、40℃3日間大気中で熱エージング処理を行うことにより、透明バリアPETフィルム(バリア層および支持基材(PET))、接着剤層および酸素吸収材料添加シーラントフィルムがこの順で積層した酸素吸収性バリアフィルムを得た。
・接着剤(主剤):ポリエステル樹脂(ロックペイント社製、商品名:RU−004)89質量部
・接着剤(硬化剤):脂肪族系ポリイソシアネート(ロックペイント社製、商品名:H−1)11質量部
・溶剤:酢酸メチル(溶剤以外の全ての固形分の割合が16質量%となる量)
また、酸素吸収量は13cc/100cm2と、十分な酸素吸収性能があることがわかった。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分であった。
酸素吸収材料を添加せず、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE樹脂、プライムポリマー(株)社、商品名:エボリュー SP2020)のみを用いて、ラボインフレーション製膜機で厚さ100μmのシーラントフィルムを成膜した以外は実施例8と同様にサンプル作製、評価を実施した。
また、酸素吸収量はまた、酸素吸収量は0cc/100cm2と、酸素吸収がないことが確認された。さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面にカビの発生が確認され、包材保存適性が十分でないことがわかった。
実施例1と同様に、酸素吸収材料(シリカ担持鉄粒子)溶液を作製した。
次いで、テトラエトキシシラン20質量部、硝酸1質量部、純水9質量部、エタノール10質量部、酸素吸収材料15質量部となるように調合した溶液を5時間攪拌した溶液100gに、2.5重量%に調整したポリビニルアルコール水溶液100mlを添加して3時間攪拌し、酸素吸収性コーティング層を形成するためのコーティング用塗工液としてゾル溶液を作製した。
この接着剤組成物を塗工したフィルムを直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(厚さ50μm、フタムラ化学社製、XMTN)とローラーを用いて80℃で加熱圧着するラミネートを行い、次いで、40℃3日間大気中で熱エージング処理を行うことにより、透明バリアPET(バリア層および支持基材(PET))、酸素吸収性コーティング層、接着剤層およびシーラント層(LLDPE)がこの順で積層した酸素吸収性バリアフィルムを作製した。
・接着剤(主剤):ポリエステル樹脂(ロックペイント社製、商品名:RU−004)89質量部
・接着剤(硬化剤):脂肪族系ポリイソシアネート(ロックペイント社製、商品名:H−1)11質量部
・溶剤:酢酸メチル(溶剤以外の全ての固形分の割合が16質量%となる量)
また、酸素吸収量は12cc/100cm2と、十分な酸素吸収性能があることがわかった。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分であった。
実施例9において、透明酸素吸収性バリアフィルムバリア面にコーティング用塗工液としてのゾル溶液を用いて塗膜を形成して得られた積層体の酸素吸収性コーティング層と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(厚さ50μm、フタムラ化学社製、XMTN)との間に接着剤層を形成した以外は、実施例9と同様にサンプルを作製した。
これにより、透明バリアPET(支持基材(PET)およびバリア層)、酸素吸収性コーティング層、接着剤層およびシーラント層(LLDPE)がこの順で積層し、最表面に支持基材が配置された酸素吸収性バリアフィルムを作製した。
また、酸素吸収量は14cc/100cm2と、十分な酸素吸収性能があることがわかった。
さらに30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面の外観変化、カビの発生は確認されず、包材保存適性が十分であった。
コーティング用塗工液としてのゾル溶液に、酸素吸収材料を入れなかった以外は、実施例9と同様にサンプル作製、評価を実施した。
この結果、酸素吸収性バリアフィルムの全光線透過率は90%、ヘーズは0と良好な透明性をした。
また、酸素吸収量は0cc/100cm2と、酸素吸収がないことが確認された。
さらに、30日保管後のサンプルでは、全ての餅の表面にカビの発生が確認され、包材保存適性が十分でないことがわかった。
酸素吸収材料の担体粒子として用いた球状シリカ粒子の代わりに、窒化珪素粒子(日本セラテック社、HM−5MF、平均粒径0.65μm)を用いた以外は実施例1と同様にサンプル作製、評価を行った。
この結果、フィルムの全光線透過率は85%、ヘーズは3と良好な透明性を示した。
また酸素吸収量は22cc/100cm2と、良好な酸素吸収性を示すことが確認された。
さらに、30日保管後のサンプルでは、切り餅に色味やカビ等の発生などの外観変化がなく、また食感の変化もないこと、パウチ自体の変色や剥離等の外観変化がなく、包材保存適性があることが確認できた。
酸素吸収材料の担体粒子として用いた球状シリカ粒子の代わりに、酸窒化珪素アルミニウム(サイアロン、SiAlON)粒子(念治鐵工株式会社製、平均粒径1μm)を用いた以外は実施例1と同様にサンプル作製、評価を行った。
この結果、フィルムの全光線透過率は88%、ヘーズは2と良好な透明性を示した。
また酸素吸収量は20cc/100cm2と良好な酸素吸収性を示すことが確認された。
さらに、30日保管後のサンプルでは、切り餅に色味やカビ等の発生などの外観変化がなく、また食感の変化もないこと、パウチ自体の変色や剥離等の外観変化がなく、包材保存適性があることが確認できた。
2 … 酸素吸収層
3 … 接着剤層
4 … シーラント層
5 … 支持基材
10 … 包装材料
Claims (5)
- 担体粒子と、
前記担体粒子の表面に担持され、ナノオーダーサイズである酸素吸収粒子と、
を有し、
前記担体粒子が、金属およびケイ素の少なくとも1種の酸化物、窒化物または酸窒化物の粒子であり、
前記酸素吸収粒子が、酸素吸収性を有する金属または金属酸化物の粒子であることを特徴とする酸素吸収材料。 - 前記酸素吸収粒子が、前記酸素吸収性を有する金属の粒子であることを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収材料。
- 前記酸素吸収性を有する金属が、鉄、マンガン、白金、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、クロム、珪素、セリウム、チタンおよび銅の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2に記載の酸素吸収材料。
- 前記担体粒子が、ナノオーダーサイズであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の酸素吸収材料。
- バリア層と、
前記バリア層の一方の面に配置され、酸素吸収材料を含有する酸素吸収層と、
を有し、
前記酸素吸収材料が、
担体粒子と、
前記担体粒子の表面に担持され、ナノオーダーサイズである酸素吸収粒子と、
を有し、
前記担体粒子が、金属およびケイ素の少なくとも1種の酸化物、窒化物または酸窒化物の粒子であり、
前記酸素吸収粒子が、酸素吸収性を有する金属または金属酸化物の粒子であることを特徴とする包装材料。
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