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JP2017218339A - ハイドレート製造装置、および、ハイドレート製造方法 - Google Patents

ハイドレート製造装置、および、ハイドレート製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】未反応のゲスト物質を再利用する。【解決手段】ハイドレート製造装置100は、原料水冷却部140と、冷却された原料水と、原料ガスとを混合する気液混合部150と、気液混合部において生じる混合物から未反応ガスを分離する分離部160と、分離部によって分離された未反応ガスからゲスト物質を回収する第1回収ユニット200と、を備え、気液混合部150は、第1回収ユニット200によって回収されたゲスト物質を、原料ガスとして用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、ゲスト物質を包接したガスハイドレートを生成するハイドレート製造装置、および、ハイドレート製造方法に関する。
ハイドレートは、水分子同士の水素結合によって形成されるクラスレート構造(籠状構造)の内部に、水分子以外の分子が包接された結晶である。ハイドレートにおける籠状構造を形成する水分子は、ホスト分子と称され、包接される(包み込まれる)分子はゲスト物質(ゲスト分子)と称される。このようなクラスレートハイドレートのうち、ゲスト物質としてガスを包接したものは、ガスハイドレートと呼ばれ、例えば、メタンハイドレート、二酸化炭素ハイドレート、オゾンハイドレート等が知られている。ガスハイドレートは、自体の体積の120倍以上のゲスト物質を包蔵することができるため、ガス包蔵性が高い物質として注目されている。
このようなガスハイドレートの製造技術として、ゲスト物質を含む原料ガスと水とを所定の圧力に昇圧した後に混合して、原料ガス中のゲスト物質を水に溶解させ、ゲスト物質が溶解された水を所定の温度に冷却してガスハイドレートを生成する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
特開2002−356685号公報
しかし、原料ガス中のゲスト物質の濃度を100%とすることは現実的に困難であり、実際には、原料ガス中に少なからずゲスト物質以外のガス(以下、「不純物」と称する)が含まれる。また、ゲスト物質以外に、ハイドレートの生成反応を促進する促進物質を原料ガスに含ませることもある。そうすると、不純物や促進物質の分圧分、ゲスト物質がガスハイドレートとならず、未反応ガスとして廃棄されてしまっていた。
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、ガスハイドレートの生成過程で生じる未反応のゲスト物質を再利用することで、ガスハイドレートを低コストで製造することが可能なハイドレート製造装置およびハイドレート製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のハイドレート製造装置は、原料水を冷却する原料水冷却部と、冷却された原料水と、原料ガスとを混合する気液混合部と、気液混合部において生じる、原料ガスのうち少なくとも一種類のガスをゲスト物質として包接したガスハイドレートと、未反応ガスと、原料水とを含む混合物から、未反応ガスを分離する分離部と、分離部によって分離された未反応ガスからゲスト物質を回収する第1回収ユニットと、を備え、気液混合部は、第1回収ユニットによって回収されたゲスト物質を、原料ガスとして用いることを特徴とする。
また、第1回収ユニットは、所定の圧力および所定の温度環境下でゲスト物質を選択的に吸着する第1吸着剤が充填された第1吸着塔を含んで構成されるとしてもよい。
また、第1回収ユニットは、ゲスト物質を選択的に分離させる第1分離膜を含んで構成されるとしてもよい。
また、ゲスト物質は、オゾンであるとしてもよい。
また、原料ガスには、ゲスト物質に加えて、ガスハイドレートの生成を促進させるガスである促進物質が含まれており、未反応ガスから促進物質を回収する第2回収ユニットを備え、気液混合部は、第1回収ユニットによって回収されたゲスト物質、および、第2回収ユニットによって回収された促進物質を、原料ガスとして用いるとしてもよい。
また、第2回収ユニットは、所定の圧力および所定の温度環境下で促進物質を選択的に吸着する第2吸着剤が充填された第2吸着塔を含んで構成されるとしてもよい。
また、第2回収ユニットは、促進物質を選択的に分離させる第2分離膜を含んで構成されるとしてもよい。
また、促進物質は、二酸化炭素であるとしてもよい。
また、ゲスト物質の前駆体からゲスト物質を生成するゲスト物質生成部と、未反応ガスからゲスト物質の前駆体を回収する第3回収ユニットと、を備え、ゲスト物質生成部は、第3回収ユニットによって回収されたゲスト物質の前駆体からゲスト物質を生成し、気液混合部は、第1回収ユニットによって回収されたゲスト物質、および、ゲスト物質生成部によって生成されたゲスト物質を、原料ガスとして用いるとしてもよい。
また、第3回収ユニットは、所定の圧力および所定の温度環境下で前駆体を選択的に吸着する第3吸着剤が充填された第3吸着塔を含んで構成されるとしてもよい。
また、第3回収ユニットは、前駆体を選択的に分離させる第3分離膜を含んで構成されるとしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明のハイドレート製造方法は、原料水を冷却する工程と、冷却された原料水と、原料ガスとを混合して、原料ガスのうち少なくとも一種類のガスをゲスト物質として包接したガスハイドレートを生成する工程と、ガスハイドレートを生成する工程においてガスハイドレートを生成した結果生じる、ガスハイドレートと、未反応ガスと、原料水とを含む混合物から、未反応ガスを分離する工程と、未反応ガスからゲスト物質を回収する工程と、を有し、ガスハイドレートを生成する工程において、回収されたゲスト物質を、原料ガスとして用いることを特徴とする。
本発明によれば、ガスハイドレートの生成過程で生じる未反応のゲスト物質を再利用することで、ガスハイドレートを低コストで製造することが可能となる。
ハイドレート製造装置の概略的な構成を説明するための図である。 圧縮ユニットの具体的な構成を説明するための図である。 第1回収ユニットの具体的な構成を説明するための図である。 第2回収ユニットの具体的な構成を説明するための図である。 ハイドレート製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第1回収工程の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第1吸着工程の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第1脱着工程の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第2回収工程の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第2吸着工程の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第2脱着工程の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(ハイドレート製造装置100)
図1は、ハイドレート製造装置100の概略的な構成を説明するための図である。図1に示すように、ハイドレート製造装置100は、酸素供給源110と、オゾナイザ112と、圧縮ユニット120と、二酸化炭素供給源130と、原料水冷却部140と、気液混合部150と、分離部160と、循環水供給部170と、ハイドレートポンプ180と、ハイドレート冷却部182と、貯蔵部184と、補給水供給部190と、第1回収ユニット200と、第2回収ユニット210と、中央制御部220と、デオゾナイザ230とを含んで構成される。なお、本実施形態において、ハイドレート製造装置100が、ガスハイドレートとしてオゾンハイドレートを製造する構成を例に挙げて説明する。
酸素供給源110は、例えば、酸素ボンベで構成され、流量調整弁110aを介して、オゾナイザ112(ゲスト物質生成部)に酸素(前駆体)を供給する(例えば、0.4MPa程度)。そして、オゾナイザ112において、放電環境下に酸素が曝されることにより、オゾンを含むガス(例えば、10体積%以上)が生成されることとなる。オゾナイザ112において生成されたオゾンを含むガス(以下、単に「オゾン」と称する)は、圧縮ユニット120に導入される。
圧縮ユニット120は、オゾンを圧縮して、オゾンハイドレートの生成圧力(例えば、2.1MPa〜3.5MPa)まで昇圧する。
ここで、オゾナイザ112で生成された常温のオゾンをそのまま圧縮すると、圧縮に伴って生じる熱によってオゾンが分解(減衰)してしまうという問題がある。そこで、本実施形態の圧縮ユニット120は、オゾンを冷却した後、圧縮して昇圧する。
図2は、圧縮ユニット120の具体的な構成を説明するための図である。図2に示すように、圧縮ユニット120は、第1ガス冷却部122aと、第1圧縮部124aと、第2ガス冷却部122bと、第2圧縮部124bと、第3ガス冷却部122cと、第3圧縮部124cとを含んで構成される。第1ガス冷却部122aは、第1圧縮部124aによる圧縮後(第1圧縮部124aの吐出温度)のオゾンの温度が−10℃以下になるようにオゾンを冷却する。同様に、第2ガス冷却部122bは、第2圧縮部124bによる圧縮後のオゾンの温度が−10℃以下になるように、第1圧縮部124aによって圧縮(昇圧)されたオゾンを冷却する。また、第3ガス冷却部122cは、第3圧縮部124cによる圧縮後のオゾンの温度が−10℃以下になるように、第2圧縮部124bによって圧縮(昇圧)されたオゾンを冷却する。
例えば、流量が0.2kg/h、第1圧縮部124a、第2圧縮部124b、第3圧縮部124cの各段の圧縮比が1.6程度である場合であって、第1圧縮部124aの吸入圧力が0.5MPa程度(5kg/cmA程度)、吐出圧力が8.3kg/cmA程度、第2圧縮部124bの吸入圧力が8.1kg/cmA程度、吐出圧力が13.3kg/cmA程度、第3圧縮部124cの吸入圧力が13.1kg/cmA程度、吐出圧力が21.4kg/cmA程度であるとする。この場合、第1ガス冷却部122aは、−47℃程度までオゾンを冷却すれば、つまり、第1圧縮部124aの吸入温度を−47℃程度とすれば、吐出温度を−16℃程度とすることができる。また、第2ガス冷却部122bは、−47℃程度までオゾンを冷却すれば、つまり、第2圧縮部124bの吸入温度を−47℃程度とすれば、吐出温度を−16℃程度とすることができる。同様に、第3ガス冷却部122cは、−47℃程度までオゾンを冷却すれば、つまり、第3圧縮部124cの吸入温度を−47℃程度とすれば、吐出温度を−16℃程度とすることができる。
−10℃以下の温度環境下では、オゾンの減衰率が極めて小さくなることが知られている。したがって、第1圧縮部124a、第2圧縮部124b、第3圧縮部124cによる圧縮の際に、オゾンの温度を−10℃以下に維持することで、オゾンの分解を抑制しつつ、オゾンを圧縮(昇圧)することが可能となる。また、本実施形態において、第1圧縮部124a、第2圧縮部124b、第3圧縮部124cは、無給油式容積型圧縮機で構成される。これにより、オゾンの分解をさらに低減することができる。
なお、第1ガス冷却部122a、第2ガス冷却部122b、第3ガス冷却部122cは、例えば、熱交換器であり、R−404A等の冷却媒体によってオゾンを冷却する。なお、中央制御部220は、上記温度までオゾンを冷却するように、第1ガス冷却部122a、第2ガス冷却部122b、第3ガス冷却部122cの冷却能(例えば、第1ガス冷却部122a、第2ガス冷却部122b、第3ガス冷却部122cを循環する冷却媒体の流量)を調整する。
こうして、圧縮ユニット120によって昇圧されたオゾンは、気液混合部150に供給されることとなる。
図1に戻って説明すると、二酸化炭素供給源130は、例えば、二酸化炭素ボンベで構成され、二酸化炭素は、二酸化炭素供給源130から、流量調整弁130aを介して、気液混合部150に導入される。
流量調整弁110a、130aは、後述する中央制御部220の制御指令に応じて、気液混合部150に導入される原料ガス中のオゾンと二酸化炭素とが、所定の割合(例えば、二酸化炭素が30体積%〜70体積%、すなわち、オゾンが70体積%〜30体積%)となるように、開度を調整する。二酸化炭素を気液混合部150に導入することによる効果については、後に詳述する。
原料水冷却部140は、循環水供給部170を介して、分離部160に接続されている。原料水冷却部140には、分離部160で分離された水(原料水)が導入され、原料水冷却部140は、上記生成圧力条件下でオゾンハイドレートの生成温度条件(例えば、272K(−1℃)〜275K(2℃)程度)まで原料水を冷却する。なお、ハイドレート製造装置100の起動時においては、補給水供給部190から循環水供給部170を通じて原料水冷却部140に原料水が導入される。原料水冷却部140は、例えば、シェル&チューブ型の熱交換器であり、R−404A等の冷却媒体によって原料水を冷却する。なお、中央制御部220は、気液混合部150の入口の温度がオゾンハイドレートの生成温度条件となるように、原料水冷却部140の冷却能(例えば、原料水冷却部140を循環する冷却媒体の流量)を調整する。
気液混合部150は、圧縮ユニット120から供給されたオゾンおよび、二酸化炭素供給源130から供給された二酸化炭素(以下、気液混合部150に供給されるオゾンおよび二酸化炭素を原料ガスと呼ぶ場合もある。)と、原料水冷却部140によって冷却された原料水とを混合する。気液混合部150は、例えば、液相(原料水)において原料ガスの気泡(マイクロバブル)が実質的に均等に分布するようなミキサーで構成される。
上述したように、気液混合部150に導入される原料ガスの圧力は、オゾンハイドレートの生成圧力条件を満たし、かつ、原料ガスの濃度は、オゾンハイドレートの生成濃度条件を満たしている。また、気液混合部150に導入される原料ガスの温度および原料水の温度は、原料水冷却部140によって上述したオゾンハイドレートの生成温度条件を満たすようにしている。このため、気液混合部150において原料ガスと原料水とを混合(接触)するだけで、オゾンハイドレートを生成することができる。
なお、オゾンハイドレートを生成する際には、反応熱が生じる。本実施形態では、冷却された原料水を原料ガスに直接接触させているため、反応熱を原料水の顕熱および原料水中の氷の潜熱によって直接吸収(熱交換)させることができる。したがって、外部から冷却する構成等の間接的に熱交換させる場合と比較して、効率よく反応熱を除去することが可能となる。
また、反応に適した径の気泡径の状態でオゾンと水とを接触させることができるために、極小バブルによるバブル内の異常昇圧を回避することが可能となる。したがって、異常昇圧に伴う温度上昇によるオゾンの減衰を防止することができる。さらに、オゾンハイドレートの微細化を防止できるので、後述の分離部160において分離し易いオゾンハイドレートを生成することが可能となる。
また、後述するように、原料水冷却部140に供給される水は、分離部160およびハイドレートポンプ180によってオゾンハイドレートから分離された水であるため、水中にはオゾンおよび二酸化炭素(ハイドレート化成分)が略飽和している。この分離された水が原料水冷却部140で冷却されるとオゾンおよび二酸化炭素が過飽和状態になるため、オゾンハイドレートの結晶が生成されることとなる。このために後続の気液混合部150において原料ガスが混合された場合に、この結晶が結晶核となるので、ハイドレート反応を促進することができる。
このように、本実施形態では、オゾンハイドレートの生成反応を促進することができ、気液混合部150において効率よくオゾンハイドレートを生成することが可能となる。
また、上述したように、本実施形態では、原料ガスに二酸化炭素が含まれている。二酸化炭素は、オゾンハイドレートの生成反応を促進する促進物質として機能する。二酸化炭素を原料ガスに含ませてオゾンハイドレートを生成することにより、オゾンハイドレートの生成圧を低減させたり、生成温度を高くしたりすることが可能となる。これにより、気液混合部150、後続の機器および配管等の設計圧力を低減したりすることができ、原料ガスの昇圧や気液混合部150、後続の機器および配管等に要するコストを削減することが可能となる。
こうして、気液混合部150において生成されたオゾンハイドレートは、分離部160へ送出されることとなる。なお、オゾンハイドレートの生成反応は、原料水と気泡(マイクロバブル)との混合接触によって行われるため、反応時間は、気泡の表面積と水との混合状態によって異なるが、例えば、気泡径が100μm〜200μmでは、約80%の収率で5〜15秒程度であるため、気液混合部150のみならず、気液混合部150から分離部160へ送出される間にもオゾンハイドレートが生成されることとなる。
また、気液混合部150におけるガス中のオゾン濃度が、オゾンハイドレートの生成濃度条件未満となると、オゾンハイドレートの生成反応は進行しなくなる。このため、オゾンハイドレートの生成濃度条件未満となった未反応ガスは、オゾンハイドレート、原料水とともに、混合物となって分離部160に送出される。
分離部160は、例えば、断熱材で被覆された円筒形状の容器で構成され、オゾンハイドレートの生成をさらに行うとともに、混合物を、オゾンハイドレート、未反応ガス、原料水に分離する。具体的に説明すると、オゾンハイドレートの比重は1.12程度であり、原料水の比重1.0程度よりも大きい。したがって、比重差によって、オゾンハイドレートは、分離部160の底部に沈降し、ガスである未反応ガスは、分離部160の上部の気相部に滞留することとなる。つまり、混合物を分離部160に導入して静置するだけで、比重差によってオゾンハイドレート、未反応ガス、原料水に分離することができる。
なお、本実施形態では、混合物が分離部160の接線方向に噴射されて導入される。これにより、混合物を分離部160内で旋回させて、オゾンハイドレートの結晶を凝集させて分離し易くし、分離効率を向上させることができる。また、未反応ガスの気泡と水との接触効率を向上させることができ、分離部160におけるオゾンハイドレートの生成効率を向上させることが可能となる。
このようにして、分離部160によって分離されたオゾンハイドレートは、ハイドレートポンプ180により、ハイドレート冷却部182に送出される。そして、ハイドレート冷却部182において、オゾンハイドレートは、長期間保存したときの減衰率を低減するために、−25℃程度まで冷却される。ハイドレート冷却部182によって冷却されたオゾンハイドレートは、貯蔵部184において、貯蔵されることとなる。
また、ハイドレートポンプ180に導入されるオゾンハイドレートに随伴される原料水は、約60質量%〜約90質量%であり、オゾンハイドレートは、ハイドレートポンプ180によって、例えば30質量%程度まで減水される。こうして、ハイドレートポンプ180によって分離された分離水は、バルブ180a、循環水供給部170を介して原料水冷却部140に導入される。
さらに、分離部160によって分離された原料水は、上記分離水とともに循環水供給部170を介して原料水冷却部140に導入されることとなる。
循環水供給部170は、例えば、ポンプで構成され、分離部160で分離された原料水およびハイドレートポンプ180で分離された分離水を原料水冷却部140に導入する。したがって、原料水は、原料水冷却部140、気液混合部150、分離部160を循環することとなる。
また、分離部160によって分離された未反応ガスは、圧力調整弁164を介して第1回収ユニット200に導入される。なお、分離部160には、混合物(オゾンハイドレート、原料水、未反応ガス)が順次導入されるため、第1回収ユニット200を構成する第1吸着塔310(図3参照)よりも高圧になる。したがって、なんらの移送手段を備えずとも、分離部160と第1吸着塔310との圧力差によって、分離部160から第1吸着塔310へ未反応ガスが導入されることとなる。また、圧力調整弁164は、自力圧力調整弁で構成されるか、あるいは、中央制御部220によって、分離部160内の圧力が所定範囲となるように、開度が制御される。
補給水供給部190は、オゾンハイドレートの生成によって減少した分(結晶水分)の水(補給水)を分離部160の上部に供給する。これにより、未反応ガス中のオゾンおよび二酸化炭素を吸収して回収することができる。
第1回収ユニット200は、圧力スイング吸着(PSA:Pressure Swing Adsorption)法によって、分離部160によって分離された未反応ガスからオゾンを回収する。図3は、第1回収ユニット200の具体的な構成を説明するための図である。図3に示すように、第1回収ユニット200は、第1吸着塔310(図3中、310a、310bで示す)と、未反応ガス供給部312(図3中、312a、312bで示す)と、残渣ガス排出部314(図3中、314a、314bで示す)、ゲスト物質脱着部316(図3中、316a、316bで示す)とを含んで構成される。本実施形態において、第1吸着塔310、未反応ガス供給部312、残渣ガス排出部314、ゲスト物質脱着部316は、2つずつ設けられており、一方の第1吸着塔310においてオゾンを吸着している間、他方の第1吸着塔310においてオゾンを脱着している。したがって、未反応ガスから効率よくオゾンを回収することができる。
第1吸着塔310には、所定の圧力(例えば、1.9MPa程度)および所定の温度環境下(例えば、2〜3℃程度)でオゾンを選択的に吸着する第1吸着剤が充填されている。第1吸着剤は、例えば、ゼオライト系の吸着剤で構成される。なお、第1吸着塔310には、未反応ガスに含まれるオゾンの吸着に必要な量以上(例えば、1.2倍〜1.5倍程度)の第1吸着剤が充填される。
未反応ガス供給部312は、自動切替バルブで構成され、分離部160で分離された未反応ガスを、第1吸着塔310に供給する。
残渣ガス排出部314は、自動切替バルブで構成され、第1吸着剤にオゾンが吸着することで未反応ガスからオゾンが取り除かれた残渣ガス(酸素、二酸化炭素、窒素等)を、第1吸着塔310から排出する。残渣ガス排出部314によって排出された残渣ガスは、後述する第2回収ユニット210に送出される。
ゲスト物質脱着部316は、自動切替バルブで構成され、開弁することで、第1吸着塔310内をオゾナイザ112によるオゾンの生成圧(0.4MPa程度)まで減圧して、第1吸着剤からオゾンを脱着させる。
そして、ゲスト物質脱着部316によって第1吸着塔310から脱着されたオゾンは、圧縮ユニット120で圧縮された後、気液混合部150に供給されることとなる。つまり、気液混合部150では、前回のオゾンハイドレートの生成反応において反応に寄与しなかったオゾンを用いて、オゾンハイドレートを生成することになる。したがって、オゾンハイドレートの生成過程で生じる未反応のオゾンを再利用することができ、オゾンハイドレートを低コストで製造することが可能となる。
また、オゾンは、複数分子が結合することで分解が生じるが、第1吸着剤は、オゾンを単分子で吸着するため、吸着処理においてオゾンの減衰(分解)を防止することができる。したがって、第1回収ユニット200は、オゾンを減衰させることなく回収することができるため、回収分のオゾンを補給する必要がなくなり、オゾナイザ112のランニングコストやメンテナンスコストを低減することが可能となる。
第2回収ユニット210は、PSA法によって、残渣ガス排出部314によって排出された残渣ガスから二酸化炭素および酸素を回収する。図4は、第2回収ユニット210の具体的な構成を説明するための図である。図4に示すように、第2回収ユニット210は、第2吸着塔350(図4中、350a、350bで示す)と、残渣ガス供給部352(図4中、352a、352bで示す)と、排気ガス排出部354(図4中、354a、354bで示す)、促進物質脱着部356(図4中、356a、356bで示す)とを含んで構成される。本実施形態において、第2吸着塔350、残渣ガス供給部352、排気ガス排出部354、促進物質脱着部356は、2つずつ設けられており、一方の第2吸着塔350において二酸化炭素および酸素を吸着している間、他方の第2吸着塔350において二酸化炭素および酸素を脱着している。したがって、未反応ガスから効率よく二酸化炭素および酸素を回収することができる。つまり、本実施形態において、第2回収ユニット210は、第3回収ユニットとしても機能し、第2吸着塔350は第3吸着塔としても機能し、残渣ガス供給部352は、第2残渣ガス供給部および第3残渣ガス供給部として機能し、排気ガス排出部354は、第2排気ガス排出部および第3排気ガス排出部として機能し、促進物質脱着部356は前駆体脱着部としても機能することとなる。
第2吸着塔350には、所定の圧力(例えば、1.9MPa程度)および所定の温度環境下(例えば、3℃程度)で二酸化炭素を選択的に吸着する第2吸着剤と、所定の圧力(例えば、1.9MPa程度)および所定の温度環境下(例えば、3℃程度)で酸素を選択的に吸着する第3吸着剤とが充填されている。第2吸着剤は、例えば、活性炭で構成され、第3吸着剤は、例えば、ゼオライト系の吸着剤で構成される。なお、第2吸着塔350には、残渣ガスに含まれる二酸化炭素の吸着に必要な量以上(例えば、1.2倍〜1.5倍程度)の第2吸着剤が充填されるとともに、残渣ガスに含まれる酸素の吸着に必要な量以上(例えば、1.2倍〜1.5倍程度)の第3吸着剤が充填される。
残渣ガス供給部352は、自動切替バルブで構成され、第1回収ユニット200から送出された残渣ガスを、第2吸着塔350に供給する。
排気ガス排出部354は、自動切替バルブで構成され、第2吸着剤に二酸化炭素が吸着するとともに、第3吸着剤に酸素が吸着することで、残渣ガスから二酸化炭素および酸素が取り除かれた排気ガス(N等)を、第2吸着塔350から排出する。排気ガス排出部354によって排出された排気ガスは、デオゾナイザ230に送出される。そして、デオゾナイザ230において、オゾンの濃度が0.5ppm以下とされた後、大気に放出される。
促進物質脱着部356は、自動切替バルブで構成され、開弁することで、第2吸着塔350内をオゾナイザ112によるオゾンの生成圧(0.4MPa程度)まで減圧して、第2吸着剤から二酸化炭素を脱着させるとともに、第3吸着剤から酸素を脱着させる。
そして、促進物質脱着部356によって脱着された二酸化炭素および酸素は、オゾナイザ112に送出され、オゾナイザ112において酸素がオゾンに変換された後、気液混合部150に供給されることとなる。つまり、気液混合部150では、前回のオゾンハイドレートの生成反応において反応に寄与しなかった二酸化炭素および酸素を用いて、オゾンハイドレートを生成することになる。したがって、オゾンハイドレートの生成過程で生じる未反応の二酸化炭素および酸素を再利用することができ、オゾンハイドレートを低コストで製造することが可能となる。
また、第2吸着剤および第3吸着剤に吸着しない窒素等のガスを、オゾナイザ112に返送することなく廃棄する構成により、オゾンハイドレートの生成の阻害要因となる窒素等の不活性ガスがシステム内に蓄積してしまう事態を防止でき、気液混合部150に不活性ガスが供給される事態を回避することができる。
図1に戻って説明すると、中央制御部220は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)からCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory:読み書き可能なメモリ)や他の電子回路と協働してハイドレート製造装置100全体を管理および制御する。本実施形態において、中央制御部220は流量調整弁110a、130aを制御して、気液混合部150に導入される原料ガス中のオゾンの濃度および二酸化炭素の濃度を、予め定められた濃度範囲に調整する。
これにより、気液混合部150に導入される原料ガス中のオゾンの濃度および二酸化炭素の濃度をオゾンハイドレートの生成濃度条件とすることができ、オゾンハイドレートの生成圧力を効率よく低下させるとともに、オゾンハイドレートを効率よく生成することができる濃度とすることが可能となる。
また、中央制御部220は、未反応ガス供給部312a、312b、残渣ガス排出部314a、314b、ゲスト物質脱着部316a、316bを制御して、一方の第1吸着塔310においてオゾンを吸着している間、他方の第1吸着塔310においてオゾンを脱着する。同様に、中央制御部220は、残渣ガス供給部352a、352b、排気ガス排出部354a、354b、促進物質脱着部356a、356bを制御して、一方の第2吸着塔350において二酸化炭素および酸素を吸着している間、他方の第2吸着塔350において二酸化炭素および酸素を脱着する。
(ハイドレート製造方法)
続いて、ハイドレート製造装置100を用いたハイドレート製造方法について説明する。図5は、ハイドレート製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここでは、ハイドレート製造方法における各工程がバッチ処理で遂行される構成について説明するが、当該各工程が連続処理で遂行されるとしてもよい。なお、バルブ180aは開弁されているものとする。
まず、中央制御部220は、循環水供給部170を駆動して分離部160から原料水を原料水冷却部140に導入する(原料水導入工程S110)。そして、原料水冷却部140は、循環水供給部170からの原料水を、オゾンハイドレートの生成温度条件まで冷却する(原料水冷却工程S120)。
一方、中央制御部220は、流量調整弁110a、オゾナイザ112、圧縮ユニット120を制御して、オゾンを冷却し(オゾン冷却工程S130)、冷却されたオゾンを圧縮して、所定の圧力まで昇圧する(昇圧工程S140)。
そして、原料水冷却部140によって冷却された原料水と、圧縮ユニット120から供給されたオゾンおよび二酸化炭素供給源130から供給された二酸化炭素とが気液混合部150に導入され、気液混合部150は、原料水と、原料ガス(オゾンおよび二酸化炭素)とを混合して、オゾンハイドレートを生成する(オゾンハイドレート生成工程S150)。
分離部160は、オゾンハイドレート生成工程S150において生成された混合物を、オゾンハイドレートと、未反応ガスと、原料水とに分離する(分離工程S160)。そして、中央制御部220は、ハイドレートポンプ180を駆動制御して、分離したオゾンハイドレートをハイドレート冷却部182に送出する。また、中央制御部220は、補給水供給部190を制御して、不足分の原料水を分離部160に補給する。さらに、中央制御部220は、圧力調整弁164の開度を制御して、分離した未反応ガスを第1回収ユニット200に送出する。
中央制御部220は、第1回収ユニット200を制御して、未反応ガスからオゾンを回収する(第1回収工程S170)。回収されたオゾンは、圧縮ユニット120に送出され、次回の昇圧工程S140で再利用されることとなる。
また、中央制御部220は、第2回収ユニット210を制御して、残渣ガスから二酸化炭素および酸素を回収する(第2回収工程S180)。回収された二酸化炭素および酸素は、オゾナイザ112に送出され、次回のオゾン冷却工程S130で再利用されることとなる。
続いて、第1回収工程S170および第2回収工程S180の具体的な処理について説明する。
(第1回収工程S170)
図6は、第1回収工程S170の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図6に示すように、第1吸着塔310において、第1吸着工程S210と、第1脱着(再生)工程S220とを交互に一定時間ごとに繰り返す一定時間切替制御が為される。なお、初期状態において、中央制御部220は、未反応ガス供給部312a、312b、残渣ガス排出部314a、314b、ゲスト物質脱着部316a、316bを閉弁しておく。ここで、一定時間切替制御は、予め設計された吸着物質量から算出された必要吸着剤量が飽和に到達する時間に基づいて決定された時間で、各弁を所定時間間隔で開閉操作する制御である。
本実施形態において、第1吸着塔310aにおいて第1吸着工程S210を遂行しているときには、第1吸着塔310bにおいて第1脱着工程S220を並行して遂行し、第1吸着塔310aにおいて第1脱着工程S220を遂行しているときには、第1吸着塔310bにおいて第1吸着工程S210を並行して遂行する。第1吸着工程S210では残渣ガスが回収され、第1脱着工程S220では、オゾンが回収される。したがって、第1吸着塔310aと第1吸着塔310bとが吸着工程と脱着工程とを一定時間間隔で交互に切り替えて繰り返すことにより、オゾンおよび残渣ガスの回収を連続的に行うことが可能となる。
以下、第1吸着塔310aを例に挙げて、第1吸着工程S210、第1脱着工程S220の処理について詳述し、実質的に処理が等しい第1吸着塔310bにおける第1吸着工程S210、第1脱着工程S220の処理についての説明を省略する。
図7は、第1吸着工程S210の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図7に示すように、中央制御部220からの一定時間切替制御により、未反応ガス供給部312aを開弁して、第1吸着塔310a内へ未反応ガスを供給する(供給工程S210−1)。そして、中央制御部220は、第1吸着塔310aに充填された第1吸着剤の量に基づいて決定される所定の第1供給時間(第1吸着剤によるオゾンの吸着が飽和に達する時間)が経過したか否かを判定する(判定工程S210−2)。中央制御部220は、第1供給時間が経過するまで(S210−2におけるNO)、供給工程S210−1を遂行する。中央制御部220が供給工程S210−1を遂行している間に、未反応ガス中のオゾンを第1吸着剤に吸着させる。一方、第1供給時間が経過すると(S210−2におけるYES)、中央制御部220は、未反応ガス供給部312aを閉弁する。
第1供給時間が経過すると(S210−2におけるYES)、中央制御部220は、残渣ガス排出部314aを開弁する(残渣ガス排出工程S210−3)。これにより、未反応ガスからオゾンが取り除かれた残渣ガスが、第1吸着塔310aから排出されて、第2回収ユニット210に送出されることとなる。
中央制御部220は、第1吸着剤からオゾンが脱着(もしくは減衰)することなく、残渣ガスが排出される所定の第1排出時間が経過したか否かを判定する(残渣ガス排出判定工程S210−4)。中央制御部220は、第1排出時間が経過するまで(S210−4におけるNO)、残渣ガス排出工程S210−3を遂行する。一方、第1排出時間が経過すると(S210−4におけるYES)、後述する第1脱着工程S220へと処理を移行する。
図8は、第1脱着工程S220の処理の流れを説明するためのフローチャートである。上述した残渣ガス排出判定工程S210−4において、第1排出時間が経過すると(S210−4におけるYES)、中央制御部220は、残渣ガス排出部314aを閉弁し、ゲスト物質脱着部316aを開弁する。これにより、第1吸着塔310a内が減圧されて、第1吸着剤に吸着したオゾンが第1吸着剤から脱着し、第1吸着塔310aからオゾンが排出される(ゲスト物質排出工程S220−1)。そして、第1吸着塔310aから排出されたオゾンは、圧縮ユニット120に送出されることとなる。
そして、中央制御部220は、所定量の第1吸着剤からオゾンが脱着されるまでの所定の第1脱着時間が経過したか否かを判定する。中央制御部220は、第1脱着時間が経過するまで(S220−2におけるNO)、ゲスト物質排出工程S220−1を遂行する。一方、第1脱着時間が経過すると(S220−2におけるYES)、中央制御部220は、ゲスト物質脱着部316aを閉弁する。
(第2回収工程S180)
図9は、第2回収工程S180の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図9に示すように、第2吸着塔350において、第2吸着工程S310と、第2脱着(再生)工程S320とを交互に一定時間ごとに繰り返す一定時間切替制御が為される。なお、初期状態において、中央制御部220は、残渣ガス供給部352a、352b、排気ガス排出部354a、354b、促進物質脱着部356a、356bを閉弁しておく。
本実施形態において、第2吸着塔350aにおいて第2吸着工程S310を遂行しているときには、第2吸着塔350bにおいて第2脱着工程S320を並行して遂行し、第2吸着塔350aにおいて第2脱着工程S320を遂行しているときには、第2吸着塔350bにおいて第2吸着工程S310を並行して遂行する。第2吸着工程S310では排気ガスが回収され、第2脱着工程S320では、二酸化炭素および酸素が回収される。したがって、第2吸着塔350aと第2吸着塔350bとが吸着工程と脱着工程とを一定時間間隔で交互に切り替えて繰り返すことにより、二酸化炭素および酸素の回収を連続的に行うことが可能となる。
以下、第2吸着塔350aを例に挙げて、第2吸着工程S310、第2脱着工程S320の処理について詳述し、実質的に処理が等しい第2吸着塔350bにおける第2吸着工程S310、第2脱着工程S320の処理についての説明を省略する。
図10は、第2吸着工程S310の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図10に示すように、中央制御部220からの一定時間切替制御により、残渣ガス供給部352aを開弁して、第2吸着塔350a内へ残渣ガスを供給する(供給工程S310−1)。そして、中央制御部220は、第2吸着塔350aに充填された第2吸着剤の量および第3吸着剤の量に基づいて決定される所定の第2供給時間(第2吸着剤による二酸化炭素の吸着が飽和に達し、かつ、第3吸着剤による酸素の吸着が飽和に達する時間)が経過したか否かを判定する(判定工程S310−2)。中央制御部220は、第2供給時間が経過するまで(S310−2におけるNO)、供給工程S310−1を遂行する。中央制御部220が供給工程S310−1を遂行している間に、残渣ガス中の二酸化炭素を第2吸着剤に吸着させるとともに、残渣ガス中の酸素を第3吸着剤に吸着させる。一方、第2供給時間が経過すると(S310−2におけるYES)、中央制御部220は、残渣ガス供給部352aを閉弁する。
第2供給時間が経過すると(S310−2におけるYES)、中央制御部220は、排気ガス排出部354aを開弁する(排気ガス排出工程S310−3)。これにより、残渣ガスから二酸化炭素および酸素が取り除かれた排気ガスが、第2吸着塔350aから排出されることとなる。
中央制御部220は、第2吸着剤から二酸化炭素が脱着することなく、また、第3吸着剤から酸素が脱着することなく、排気ガスのみが排出される所定の第2排出時間が経過したか否かを判定する(排気ガス排出判定工程S310−4)。中央制御部220は、第2排出時間が経過するまで(S310−4におけるNO)、排気ガス排出工程S310−3を遂行する。一方、第2排出時間が経過すると(S310−4におけるYES)、後述する第2脱着工程S320へと処理を移行する。
図11は、第2脱着工程S320の処理の流れを説明するためのフローチャートである。上述した排気ガス排出判定工程S310−4において、第2排出時間が経過すると(S310−4におけるYES)、中央制御部220は、排気ガス排出部354aを閉弁し、促進物質脱着部356aを開弁する。これにより、第2吸着塔350a内が減圧されて第2吸着剤に吸着した二酸化炭素が第2吸着剤から脱着するとともに、第3吸着剤に吸着した酸素が第3吸着剤から脱着し、第2吸着塔350aから二酸化炭素および酸素が排出される(促進物質排出工程S320−1)。そして、第2吸着塔350aから排出された二酸化炭素および酸素は、オゾナイザ112に送出されることとなる。
そして、中央制御部220は、所定量の第2吸着剤から二酸化炭素が脱着されるとともに、所定量の第3吸着剤から酸素が脱着されるまでの所定の第2脱着時間が経過したか否かを判定する。中央制御部220は、第2脱着時間が経過するまで(S320−2におけるNO)、促進物質排出工程S320−1を遂行する。一方、第2脱着時間が経過すると(S320−2におけるYES)、中央制御部220は、促進物質脱着部356aを閉弁する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態において、ハイドレート製造装置100が製造するガスハイドレートとして、オゾンハイドレートを例に挙げて説明した。しかし、ハイドレート製造装置100は、オゾンハイドレートに限らず、少なくとも一種類のガスをゲスト物質として包接したガスハイドレートを製造してもよい。例えば、二酸化炭素をゲスト物質として包接したガスハイドレートを製造してもよい。
また、上記実施形態において、促進物質として二酸化炭素を例に挙げて説明した。しかし、促進物質は、ガスハイドレートの生成を促進させるガスであれば、種類に限定はない。例えば、促進物質としてキセノンを原料ガスに含ませてもよい。
また、上記実施形態において、ハイドレート製造装置100が第2回収ユニット210を備える構成を例に挙げて説明したが、第2回収ユニット210は必須の構成ではない。
また、上記実施形態において、第2回収ユニット210が第3回収ユニットとしても機能する構成を例に挙げて説明した。しかし、第2回収ユニットと第3回収ユニットとは別体であってもよい。
また、上記実施形態において、第1回収ユニット200および第2回収ユニット210が一定時間制御される構成を例に挙げて説明した。しかし、第1回収ユニット200および第2回収ユニット210は圧力制御によって吸着工程と脱着工程とが為されてもよい。
また、上記実施形態において、3つのガス冷却部(第1ガス冷却部122a、第2ガス冷却部122b、第3ガス冷却部122c)と3つの圧縮部(第1圧縮部124a、第2圧縮部124b、第3圧縮部124c)を含んで構成される圧縮ユニット120を例に挙げて説明した。しかし、ガス冷却部および圧縮部の数に限定はない。例えば、ガス冷却部および圧縮部の数を増加させると、ガス冷却部によるオゾンの冷却温度を高くすることができるため、冷却に要するエネルギーを低減することが可能となる。また、ガス冷却部および圧縮部の数を低減させると、ガス冷却部および圧縮部の数を削減することができ、装置に要するコストを低減することが可能となる。
また、吸入圧力の変動に応じた負荷変動による、圧縮機の運転の安定性低下を抑制するために、第1回収ユニット200と圧縮ユニット120とを接続するガス排出ラインや、第2回収ユニット210とオゾナイザ112とを接続するガス排出ラインにオリフィス等の抵抗を入れ、第1回収ユニット200や第2回収ユニット210から排出されたガス(オゾン、二酸化炭素、酸素)が徐々に減圧されるように構成してもよい。
また、上記実施形態において、第1吸着塔310が2つ設けられた第1回収ユニット200を例に挙げて説明した。しかし、第1吸着塔310の数に限定はない。ただし、オゾンが第1吸着剤に吸着される際に吸着熱が生じ、オゾンの温度が上昇してしまい、オゾンが分解するおそれがある。PSA法では、吸着剤および吸着剤を収容する容器の顕熱によって吸着熱の吸収が為されるため、顕熱が大きい程、オゾンの温度上昇が小さくなる。また、オゾンは、吸着剤に吸着してる間に減衰するおそれもある。このため、容器を小さくすることで、顕熱を大きくして吸着熱による温度上昇を低下させるとともに、脱着時間を短くして減衰を抑制するとよい。また、未反応ガスの通過距離を長くすることで、吸着熱を分散させて、温度上昇を防止してもよい。
また、上記実施形態において、第2吸着塔350が2つ設けられた第2回収ユニット210を例に挙げて説明した。しかし、第2吸着塔350の数に限定はない。
また、上記実施形態において、第1回収ユニット200が圧力スイング吸着法によって、未反応ガスからオゾン(ゲスト物質)を回収する構成、すなわち、第1吸着塔310を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、第1回収ユニットは、膜分離法によって、未反応ガスからオゾン(ゲスト物質)を回収してもよい。この場合、第1回収ユニットは、ゲスト物質(オゾン)を選択的に分離させる第1分離膜(例えば、ナノメタカーボン分離膜)を含んで構成されるとよい。
また、上記実施形態において、第2回収ユニット210が圧力スイング吸着法によって、未反応ガスから二酸化炭素(促進物質)を回収する構成、すなわち、第2吸着塔350を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、第2回収ユニットは、膜分離法によって、未反応ガスから二酸化炭素(促進物質)を回収してもよい。この場合、第2回収ユニットは、二酸化炭素(促進物質)を選択的に分離させる第2分離膜(例えば、ナノメタカーボン分離膜)を含んで構成されるとよい。
また、上記実施形態において、第2回収ユニット210が第3回収ユニットとしても機能し、圧力スイング吸着法によって、未反応ガスから酸素(ゲスト物質の前駆体)を回収する構成、すなわち、第2吸着塔350を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、第3回収ユニットは、膜分離法によって、未反応ガスから酸素(ゲスト物質の前駆体)を回収してもよい。この場合、第3回収ユニットは、ゲスト物質の前駆体(酸素)を選択的に分離させる第3分離膜(例えば、ナノメタカーボン分離膜)を含んで構成されるとよい。
このように、第1〜第3回収ユニットを分離膜で構成することにより、圧力損失を低減することができるとともに、運転に要する消費エネルギー(コスト)を削減することが可能となる。
なお、本明細書のハイドレート製造方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的による処理を含んでもよい。例えば、ハイドレート製造方法における上記各工程は、連続処理として遂行されてもよいし、バッチ処理として遂行されてもよい。
本発明は、ゲスト物質を包接したガスハイドレートを生成するハイドレート製造装置、および、ハイドレート製造方法に利用することができる。
100 ハイドレート製造装置
112 オゾナイザ(ゲスト物質生成部)
122a 第1ガス冷却部(ガス冷却部)
122b 第2ガス冷却部(ガス冷却部)
122c 第3ガス冷却部(ガス冷却部)
124a 第1圧縮部(圧縮部)
124b 第2圧縮部(圧縮部)
124c 第3圧縮部(圧縮部)
140 原料水冷却部
150 気液混合部
160 分離部
200 第1回収ユニット
210 第2回収ユニット(第3回収ユニット)
310 第1吸着塔
312 未反応ガス供給部
314 残渣ガス排出部
316 ゲスト物質脱着部
350 第2吸着塔(第3吸着塔)
352 残渣ガス供給部(第2残渣ガス供給部、第3残渣ガス供給部)
354 排気ガス排出部(第2排気ガス排出部、第3排気ガス排出部)
356 促進物質脱着部(前駆体脱着部)

Claims (12)

  1. 原料水を冷却する原料水冷却部と、
    冷却された前記原料水と、原料ガスとを混合する気液混合部と、
    前記気液混合部において生じる、前記原料ガスのうち少なくとも一種類のガスをゲスト物質として包接したガスハイドレートと、未反応ガスと、前記原料水とを含む混合物から、該未反応ガスを分離する分離部と、
    前記分離部によって分離された前記未反応ガスから前記ゲスト物質を回収する第1回収ユニットと、
    を備え、
    前記気液混合部は、前記第1回収ユニットによって回収されたゲスト物質を、原料ガスとして用いることを特徴とするハイドレート製造装置。
  2. 前記第1回収ユニットは、所定の圧力および所定の温度環境下で前記ゲスト物質を選択的に吸着する第1吸着剤が充填された第1吸着塔を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のハイドレート製造装置。
  3. 前記第1回収ユニットは、前記ゲスト物質を選択的に分離させる第1分離膜を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のハイドレート製造装置。
  4. 前記ゲスト物質は、オゾンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のハイドレート製造装置。
  5. 前記原料ガスには、前記ゲスト物質に加えて、前記ガスハイドレートの生成を促進させるガスである促進物質が含まれており、
    前記未反応ガスから前記促進物質を回収する第2回収ユニットを備え、
    前記気液混合部は、前記第1回収ユニットによって回収されたゲスト物質、および、前記第2回収ユニットによって回収された促進物質を、原料ガスとして用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のハイドレート製造装置。
  6. 前記第2回収ユニットは、所定の圧力および所定の温度環境下で前記促進物質を選択的に吸着する第2吸着剤が充填された第2吸着塔を含んで構成されることを特徴とする請求項5に記載のハイドレート製造装置。
  7. 前記第2回収ユニットは、前記促進物質を選択的に分離させる第2分離膜を含んで構成されることを特徴とする請求項5に記載のハイドレート製造装置。
  8. 前記促進物質は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のハイドレート製造装置。
  9. 前記ゲスト物質の前駆体から該ゲスト物質を生成するゲスト物質生成部と、
    前記未反応ガスから前記ゲスト物質の前駆体を回収する第3回収ユニットと、
    を備え、
    前記ゲスト物質生成部は、前記第3回収ユニットによって回収された前記ゲスト物質の前駆体から該ゲスト物質を生成し、
    前記気液混合部は、前記第1回収ユニットによって回収されたゲスト物質、および、前記ゲスト物質生成部によって生成されたゲスト物質を、原料ガスとして用いることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のハイドレート製造装置。
  10. 前記第3回収ユニットは、所定の圧力および所定の温度環境下で前記前駆体を選択的に吸着する第3吸着剤が充填された第3吸着塔を含んで構成されることを特徴とする請求項9に記載のハイドレート製造装置。
  11. 前記第3回収ユニットは、前記前駆体を選択的に分離させる第3分離膜を含んで構成されることを特徴とする請求項9に記載のハイドレート製造装置。
  12. 原料水を冷却する工程と、
    冷却された前記原料水と、原料ガスとを混合して、該原料ガスのうち少なくとも一種類のガスをゲスト物質として包接したガスハイドレートを生成する工程と、
    前記ガスハイドレートを生成する工程において該ガスハイドレートを生成した結果生じる、該ガスハイドレートと、未反応ガスと、前記原料水とを含む混合物から、該未反応ガスを分離する工程と、
    前記未反応ガスから前記ゲスト物質を回収する工程と、
    を有し、
    前記ガスハイドレートを生成する工程において、回収された前記ゲスト物質を、原料ガスとして用いることを特徴とするハイドレート製造方法。
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