JP2017206688A - 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、成形体及び成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性に優れ、成形体の曲げ特性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)及び炭素繊維(D)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、炭素繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、30質量部〜100質量部である熱可塑性樹脂組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、成形体及び成形体の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性に優れることから、機械機構部品、電気電子部品、自動車部品等、様々な分野で幅広く用いられている。
更に、ポリエステル樹脂とアロイ化したポリカーボネート・ポリエステルアロイ樹脂は、ポリカーボネート樹脂の性能に加え、耐薬品性に優れることから、自動車内外装部品等に用いられている。例えば、特許文献1には、ポリカーボネート・ポリエステルアロイ樹脂に耐衝撃性改良剤や炭素繊維を配合した熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1で開示されている方法は、炭素繊維の配合量が少なく、成形体の曲げ弾性率に劣る。
一方、炭素繊維の配合量を多くし過ぎると、熱可塑性樹脂組成物の溶融流動性に劣り、成形が困難となる。
そこで、本発明は、これらの課題を解決し、成形性に優れ、成形体の曲げ特性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
一方、炭素繊維の配合量を多くし過ぎると、熱可塑性樹脂組成物の溶融流動性に劣り、成形が困難となる。
そこで、本発明は、これらの課題を解決し、成形性に優れ、成形体の曲げ特性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)及び炭素繊維(D)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、炭素繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、30質量部〜100質量部である、熱可塑性樹脂組成物。
[2]炭素繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、40質量部〜70質量部である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]更に、酸化防止剤(E)を含む、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]酸化防止剤(E)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、0.05質量部〜5質量部である、[3]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]ポリカーボネート樹脂(A)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、60質量%〜90質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、5質量%〜35質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]耐衝撃性改良剤(C)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、0.5質量%〜25質量%である、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]耐衝撃性改良剤(C)が、シリコーンゴムを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を押出機のメインフィーダーから供給し、炭素繊維(D)を押出機のサイドフィーダーから供給する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
[11]ISO178に準じて23℃で測定した成形体の繊維配向方向の曲げ弾性率が、15GPa以上である、[10]に記載の成形体。
[12]ISO178に準じて80℃で測定した成形体の繊維配向方向の曲げ弾性率が、15GPa以上である、[10]又は[11]に記載の成形体。
[13][9]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法で熱可塑性樹脂組成物を得た後、射出成形する、成形体の製造方法。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)及び炭素繊維(D)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、炭素繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、30質量部〜100質量部である、熱可塑性樹脂組成物。
[2]炭素繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、40質量部〜70質量部である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]更に、酸化防止剤(E)を含む、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]酸化防止剤(E)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、0.05質量部〜5質量部である、[3]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]ポリカーボネート樹脂(A)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、60質量%〜90質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、5質量%〜35質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]耐衝撃性改良剤(C)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、0.5質量%〜25質量%である、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]耐衝撃性改良剤(C)が、シリコーンゴムを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を押出機のメインフィーダーから供給し、炭素繊維(D)を押出機のサイドフィーダーから供給する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
[11]ISO178に準じて23℃で測定した成形体の繊維配向方向の曲げ弾性率が、15GPa以上である、[10]に記載の成形体。
[12]ISO178に準じて80℃で測定した成形体の繊維配向方向の曲げ弾性率が、15GPa以上である、[10]又は[11]に記載の成形体。
[13][9]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法で熱可塑性樹脂組成物を得た後、射出成形する、成形体の製造方法。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形性に優れ、成形体の曲げ特性に優れる。
本発明の成形体は、曲げ特性に優れる。
本発明の成形体は、曲げ特性に優れる。
(ポリカーボネート樹脂(A))
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)を含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)を含む。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、例えば、芳香族二価フェノール化合物とホスゲン又は炭酸ジエステルとを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらのポリカーボネート樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリカーボネート樹脂(A)の中でも、成形体の機械特性に優れることから、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の対数粘度は、0.2dl/g〜3.0dl/gが好ましく、0.3dl/g〜1.5dl/gがより好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)の対数粘度が0.2dl/g以上であると、成形体の耐衝撃性に優れる。また、ポリカーボネート樹脂(A)の対数粘度が3.0dl/g以下であると、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。
ポリカーボネート樹脂(A)の対数粘度は、溶媒メチレンクロライド、濃度1.0g/dl、温度20℃の条件で測定した値とする。
ポリカーボネート樹脂(A)の対数粘度は、溶媒メチレンクロライド、濃度1.0g/dl、温度20℃の条件で測定した値とする。
芳香族二価フェノール化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。これらの芳香族二価フェノール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの芳香族二価フェノール化合物の中でも、成形体の機械特性に優れることから、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)のフェノール性末端基(EP)と非フェノール性末端基(EN)の当量比(EP)/(EN)は、ポリカーボネート樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル樹脂(B)とのエステル交換反応を抑制することができ、結晶性低下による剛性低下を抑制することができることから、1/20以下が好ましく、1/40以下がより好ましく、1/70以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の末端基の当量比(EP)/(EN)を1/20以下にするためには、ポリカーボネート樹脂(A)をホスゲン法により製造することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の末端基は、ポリカーボネート樹脂(A)を酢酸酸性メチレンクロライドに溶解し、四塩化チタンを加え、生成する赤色錯体を546nmで測光定量した値とする。
ポリカーボネート樹脂(A)の末端基の当量比(EP)/(EN)を1/20以下にするためには、ポリカーボネート樹脂(A)をホスゲン法により製造することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の末端基は、ポリカーボネート樹脂(A)を酢酸酸性メチレンクロライドに溶解し、四塩化チタンを加え、生成する赤色錯体を546nmで測光定量した値とする。
ポリカーボネート樹脂(A)の含有率は、高温での機械特性に優れることから、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、60質量%〜90質量%が好ましく、65質量%〜85質量%がより好ましい。
(熱可塑性ポリエステル樹脂(B))
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)を含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)を含む。
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート等が挙げられる。これらの熱可塑性ポリエステル樹脂(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の中でも、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/アジペートが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく、ポリブチレンテレフタレートが更に好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)は、公知の製造方法で得ることができ、例えば、ジカルボン酸(又はそのエステル形成性誘導体)とジオール(又はそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらのジカルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのジカルボン酸の中でも、成形体の機械特性に優れることから、テレフタル酸、テレフタル酸のエステル形成性誘導体が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の炭素数2〜20の脂肪族グリコール;ポリメチレングリコール、ポリ−1、3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の分子量400〜6000の長鎖グリコール;これらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらのジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのジオールの中でも、成形体の機械特性に優れることから、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
熱可塑性ポリエステル(B)の固有粘度は、0.36dl/g〜1.60dl/gが好ましく、0.52dl/g〜1.35dl/gがより好ましい。熱可塑性ポリエステル(B)の固有粘度が0.36dl/g以上であると、成形体の機械特性に優れる。また、熱可塑性ポリエステル(B)の固有粘度が1.60dl/g以下であると、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。
熱可塑性ポリエステル(B)の固有粘度は、溶媒o−クロロフェノール、濃度0.5g/dl、温度25℃の条件で測定した値とする。
熱可塑性ポリエステル(B)の固有粘度は、溶媒o−クロロフェノール、濃度0.5g/dl、温度25℃の条件で測定した値とする。
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の含有率は、成形体の耐薬品性に優れることから、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、5質量%〜35質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。
(耐衝撃性改良剤(C))
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性改良剤(C)を含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性改良剤(C)を含む。
耐衝撃性改良剤(C)は、成形体の耐衝撃性、曲げ弾性率に優れることから、ゴム存在下でビニル単量体を重合して得られる耐衝撃性改良剤が好ましい。
ゴムとしては、例えば、オルガノシロキサン等を原料とするシリコーンゴム;アルキルアクリレートやアルキルメタクリレート等を原料とするアクリルゴム;ブタジエンやイソプレン等を原料とする共役ジエンゴム;これらの複合ゴム等が挙げられる。これらのゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのゴムの中でも、成形体の耐熱性に優れることから、アクリルゴム、シリコーンゴムが好ましく、成形体の低温での耐衝撃性に優れることから、シリコーンゴムを含むことがより好ましく、シリコーン−アクリル複合ゴムが更に好ましい。
ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリレート;アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。これらのビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのビニル単量体の中でも、耐衝撃性改良剤(C)の取り扱い性に優れることから、スチレン、メチルメタクリレートを主成分とすることが好ましく、メチルメタクリレートを主成分とすることがより好ましい。
耐衝撃性改良剤(C)は、ポリカーボネート樹脂(A)や熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の耐熱分解性を抑制することから、実質的にアルミニウムイオンを含まないことが好ましい。
耐衝撃性改良剤(C)は、市販品を用いてもよい。
シリコーン−アクリル複合ゴム系耐衝撃性改良剤の市販品としては、例えば、S−2001、S−2006、S−2030、S−2100、SRK200A、SX−006、SX−005等のメタブレン(商品名、三菱レイヨン(株)製)Sタイプ等が挙げられる。
アクリルゴム系耐衝撃性改良剤の市販品としては、例えば、W−450A、W−300A、W−600A等のメタブレン(商品名、三菱レイヨン(株)製)Wタイプ等が挙げられる。
共役ジエンゴム系耐衝撃性改良剤の市販品としては、例えば、C−223A、C−215A、C−201A、C−140A等のメタブレン(商品名、三菱レイヨン(株)製)Cタイプ等が挙げられる。
シリコーン−アクリル複合ゴム系耐衝撃性改良剤の市販品としては、例えば、S−2001、S−2006、S−2030、S−2100、SRK200A、SX−006、SX−005等のメタブレン(商品名、三菱レイヨン(株)製)Sタイプ等が挙げられる。
アクリルゴム系耐衝撃性改良剤の市販品としては、例えば、W−450A、W−300A、W−600A等のメタブレン(商品名、三菱レイヨン(株)製)Wタイプ等が挙げられる。
共役ジエンゴム系耐衝撃性改良剤の市販品としては、例えば、C−223A、C−215A、C−201A、C−140A等のメタブレン(商品名、三菱レイヨン(株)製)Cタイプ等が挙げられる。
耐衝撃性改良剤(C)の含有率は、成形体の耐衝撃性、曲げ弾性率に優れることから、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、0.5質量%〜25質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましい。
(炭素繊維(D))
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、炭素繊維(D)を含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、炭素繊維(D)を含む。
炭素繊維(D)の種類としては、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が挙げられる。これらの炭素繊維(D)の種類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの炭素繊維(D)の種類の中でも、成形体の機械特性に優れることから、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維(D)の形態は、例えば、長繊維、チョップドファイバー、ミルドファイバー等が挙げられる。これらの炭素繊維(D)の形態は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの炭素繊維(D)の形態の中でも、取り扱い性に優れ、質量平均繊維長を容易に制御することができることから、チョップドファイバーが好ましい。
チョップドファイバーの市販品としては、例えば、TR066、TR066A、TR068、TR06U、TR06NE、TR06G、TR06UL、TR06NL等のパイロフィル(商品名、三菱レイヨン(株)製)のチョップドファイバーシリーズ;HTA−C6−S、HTA−C6−SR、HTA−C6−SRS、HTA−C6−N、HTA−C6−NR、HTA−C6−NRS、HTA−C6−US、HTA−C6−UEL1、HTA−C6−UH、HTAC6−OW、HTA−C6−E、MCHTA−C6−US等のベスファイト(商品名、東邦テナックス(株)製)のチョップドファイバーシリーズ;HTA−W05K、HTA−W1K、HTA−3K、HTA−6K、HTA−12K、HTA−24K、UT500−6K、UT500−12K、UT−500−24K、UT800−24K、IM400−3K、IM400−6K、IM400−12K、IM600−6K、IM600−12K、IM600−24K、LM16−12K、HM35−12K、TM35−6K、UM40−12K、UM40−24K、UM46−12K、UM55−12K、UM63−12K、UM68−12K等のベスファイト(商品名、東邦テナックス(株)製)のフィラメントシリーズ;T008A−003、T010−003等のトレカ(商品名、東レ(株)製)のチョップドファイバーシリーズ等が挙げられる。
炭素繊維(D)は、表面処理、特に、電解処理されたものが好ましい。炭素繊維(D)を表面処理することにより、成形体の曲げ強度、引張強度がより向上する。
表面処理剤としては、例えば、エポキシ系サイジング剤、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤、オレフィン系サイジング剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの表面処理剤の中でも、取り扱い性に優れることから、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤が好ましく、ウレタン系サイジング剤がより好ましい。
表面処理剤としては、例えば、エポキシ系サイジング剤、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤、オレフィン系サイジング剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの表面処理剤の中でも、取り扱い性に優れることから、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤が好ましく、ウレタン系サイジング剤がより好ましい。
ウレタン系サイジング剤で表面処理された炭素繊維(D)の市販品としては、例えば、TR06U、TR06UL等のパイロフィル(商品名、三菱レイヨン(株)製)のチョップドファイバーシリーズ;HTA−C6−US、HTA−C6−UEL1、HTA−C6−UH、MCHTA−C6−US等のベスファイト(商品名、東邦テナックス(株)製)のチョップドファイバーシリーズ等が挙げられる。
ナイロン系サイジング剤で表面処理された炭素繊維(D)の市販品としては、例えば、TR06NE、TR06NL等のパイロフィル(商品名、三菱レイヨン(株)製)のチョップドファイバーシリーズ;HTAC6−N、HTA−C6−NR、HTA−C6−NRS等のベスファイト(商品名、東邦テナックス(株)製)のチョップドファイバーシリーズ等が挙げられる。
炭素繊維(D)の直径は、5μm〜20μmであり、6μm〜10μmが好ましく、7μm〜9μmがより好ましい。炭素繊維(D)の直径が5μm以上であると、炭素繊維(D)の比表面積を小さくすることができ、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。また、炭素繊維(D)の直径が20μm以下であると、取り扱い性に優れ、炭素繊維(D)のアスペクト比を大きくすることができ、成形体の機械特性に優れる。
炭素繊維(D)の直径は、熱可塑性樹脂組成物を空気雰囲気下で3時間600℃に加熱してポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(D)10本の直径を電子顕微鏡にて測定し、その平均値とする。炭素繊維(D)の直径は、炭素繊維(D)を構成するフィラメント繊維の最大フェレ径とする。
炭素繊維(D)の直径は、熱可塑性樹脂組成物を空気雰囲気下で3時間600℃に加熱してポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(D)10本の直径を電子顕微鏡にて測定し、その平均値とする。炭素繊維(D)の直径は、炭素繊維(D)を構成するフィラメント繊維の最大フェレ径とする。
熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(D)の質量平均繊維長は、0.08mm〜0.9mmが好ましく、0.11mm〜0.49mmがより好ましい。熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(D)の質量平均繊維長が0.08mm以上であると、成形体の機械特性に優れる。また、熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(D)の質量平均繊維長が0.9mm以下であると、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れ、成形体の外観に優れる。
熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(D)の質量平均繊維長は、熱可塑性樹脂組成物を空気雰囲気下で3時間600℃に加熱してポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(D)100本の繊維長を光学顕微鏡にて測定し、その平均値とする。質量平均繊維長は、繊維長をLとしたとき、下式(1)で算出される。
質量平均繊維長=ΣL2/ΣL (1)
熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(D)の質量平均繊維長は、熱可塑性樹脂組成物を空気雰囲気下で3時間600℃に加熱してポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(D)100本の繊維長を光学顕微鏡にて測定し、その平均値とする。質量平均繊維長は、繊維長をLとしたとき、下式(1)で算出される。
質量平均繊維長=ΣL2/ΣL (1)
炭素繊維(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、30質量部〜100質量部であり、40質量部〜70質量部が好ましい。炭素繊維(D)の含有量が30質量部以上であると、成形体の曲げ弾性率に優れる。また、炭素繊維(D)の含有量が100質量部以下であると、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。
(酸化防止剤(E))
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐熱分解性に優れることから、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)、炭素繊維(D)以外に、酸化防止剤(E)を含むことが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐熱分解性に優れることから、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)、炭素繊維(D)以外に、酸化防止剤(E)を含むことが好ましい。
酸化防止剤(E)としては、例えば、3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオン酸−n−オクタデシル、ペンタエリトリトール=テトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等のフェノール系酸化防止剤;3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤;2,2−ビス({[3−(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)−1,3−プロパンジイル=ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジ(トリデシル)3,3’−チオジプロピオネート等のチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの酸化防止剤(E)の中でも、熱可塑性樹脂組成物の耐熱分解性に優れることから、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤との併用がより好ましい。
酸化防止剤(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、0.05質量部〜5質量部が好ましく、0.1質量部〜2質量部がより好ましい。酸化防止剤(E)の含有量が0.05質量部以上であると、熱可塑性樹脂組成物の耐熱分解性に優れる。また、酸化防止剤(E)の含有量が5質量部以下であると、成形体の機械特性に優れる。
(他の添加剤(F))
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)、炭素繊維(D)、酸化防止剤(E)以外に、必要に応じて、他の添加剤(F)を含んでもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)、炭素繊維(D)、酸化防止剤(E)以外に、必要に応じて、他の添加剤(F)を含んでもよい。
他の添加剤(F)としては、例えば、着色剤、エステル交換防止剤、金属不活性剤、導電性カーボンブラック、造核剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、無機フィラー、溶融張力向上剤、難燃剤、可塑剤等が挙げられる。これらの他の添加剤(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形体の意匠性に優れることから、着色剤を含むことが好ましい。
着色剤としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄等の顔料;アントラキノン系染料、アゾ系染料等の染料等が挙げられる。これらの着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの着色剤の中でも、成形体の耐候性に優れることから、顔料が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
着色剤の配合は、着色剤そのものを用いてもよく、マスターバッチを用いてもよいが、取り扱い性に優れることから、マスターバッチが好ましい。
着色剤としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄等の顔料;アントラキノン系染料、アゾ系染料等の染料等が挙げられる。これらの着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの着色剤の中でも、成形体の耐候性に優れることから、顔料が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
着色剤の配合は、着色剤そのものを用いてもよく、マスターバッチを用いてもよいが、取り扱い性に優れることから、マスターバッチが好ましい。
カーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸収量は、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れることから、200cm3/100g以下が好ましく、150cm3/100g以下がより好ましく、100cm3/100g以下が更に好ましい。
カーボンブラックのDBP吸収量は、ISO4656に準拠して測定した値とする。
カーボンブラックのDBP吸収量は、ISO4656に準拠して測定した値とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル樹脂(B)とのエステル交換反応を抑制することができ、成形体の耐熱分解性に優れることから、エステル交換防止剤を含むことが好ましい。
エステル交換防止剤としては、オクタデシルホスフェート、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらのエステル交換防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのエステル交換防止剤の中でも、熱可塑性樹脂組成物中の分散性に優れることから、オクタデシルホスフェートが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、離型剤として例えば脂肪酸エステル系離型剤を用いることができる。
エステル交換防止剤としては、オクタデシルホスフェート、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらのエステル交換防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのエステル交換防止剤の中でも、熱可塑性樹脂組成物中の分散性に優れることから、オクタデシルホスフェートが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、離型剤として例えば脂肪酸エステル系離型剤を用いることができる。
熱可塑性樹脂組成物中の他の添加剤(F)の含有率は、前記添加剤による効果を得るために熱可塑性樹脂組成物100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。また熱可塑性樹脂組成物や成形体の本来の性能を損なわないことから、熱可塑性樹脂組成物100質量%中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイト(MVR)は、2cm3/10分〜15cm3/10分が好ましく、4cm3/10分〜10cm3/10分がより好ましい。熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイトが2cm3/10分以上であると、熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。また、熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイトが15cm3/10分以下であると、熱可塑性樹脂組成物の成形安定性に優れる。
熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイト(MVR)は、ISO1133−1に準拠し、温度270℃、荷重21Nの条件で測定した値とする。
熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイト(MVR)は、ISO1133−1に準拠し、温度270℃、荷重21Nの条件で測定した値とする。
(熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)及び炭素繊維(D)をドライブレンドした後に溶融混練する方法;溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の混合物に炭素繊維(D)を供給して混練する方法等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂組成物の製造方法の中でも、炭素繊維(D)の折損を抑制し質量平均繊維長を制御でき、炭素繊維(D)の分散性に優れることから、溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の混合物に炭素繊維(D)を供給して混練する方法が好ましい。具体的には、押出機の上流に設置したメインフィーダーからポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を供給して溶融状態にさせた後に、押出機の下流に設置したサイドフィーダーから炭素繊維(D)を供給すればよい。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)及び炭素繊維(D)をドライブレンドした後に溶融混練する方法;溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の混合物に炭素繊維(D)を供給して混練する方法等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂組成物の製造方法の中でも、炭素繊維(D)の折損を抑制し質量平均繊維長を制御でき、炭素繊維(D)の分散性に優れることから、溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の混合物に炭素繊維(D)を供給して混練する方法が好ましい。具体的には、押出機の上流に設置したメインフィーダーからポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を供給して溶融状態にさせた後に、押出機の下流に設置したサイドフィーダーから炭素繊維(D)を供給すればよい。
熱可塑性樹脂組成物の製造に用いる炭素繊維(D)の繊維長は、定量供給が容易で、炭素繊維(D)の分散性に優れることから、2mm〜20mmが好ましく、3mm〜10mmがより好ましく、5mm〜8mmが更に好ましい。
前述した熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(D)の質量平均繊維長は、炭素繊維(D)のフィード方法、スクリュー回転数、押出量等の溶融混練条件を制御することにより調整することができる。
前述した熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(D)の質量平均繊維長は、炭素繊維(D)のフィード方法、スクリュー回転数、押出量等の溶融混練条件を制御することにより調整することができる。
熱可塑性樹脂組成物を製造するための溶融混練は、押出機を用いればよい。
押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等が挙げられ、二軸押出機が好ましい。
同方向二軸押出機の場合、押出機のスクリュー回転数は、100rpm〜300rpmが好ましい。押出機のスクリュー回転数が100rpm以上であると、炭素繊維(D)の分散性に優れる。また、押出機のスクリュー回転数が300rpm以下であると、炭素繊維(D)の折損を抑制することができる。
押出機のスクリューは、炭素繊維(D)の供給前後に、それぞれ1箇所以上のニーディングゾーンを設けたものが好ましい。即ち、炭素繊維(D)の供給前のニーディングゾーンによりポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を十分に溶融状態にし、炭素繊維(D)の供給後のニーディングゾーンにより溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の混合物と炭素繊維(D)とを混練する。このようにすることで、炭素繊維(D)の折損を抑制し質量平均繊維長を制御でき、炭素繊維(D)の分散性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等が挙げられ、二軸押出機が好ましい。
同方向二軸押出機の場合、押出機のスクリュー回転数は、100rpm〜300rpmが好ましい。押出機のスクリュー回転数が100rpm以上であると、炭素繊維(D)の分散性に優れる。また、押出機のスクリュー回転数が300rpm以下であると、炭素繊維(D)の折損を抑制することができる。
押出機のスクリューは、炭素繊維(D)の供給前後に、それぞれ1箇所以上のニーディングゾーンを設けたものが好ましい。即ち、炭素繊維(D)の供給前のニーディングゾーンによりポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を十分に溶融状態にし、炭素繊維(D)の供給後のニーディングゾーンにより溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の混合物と炭素繊維(D)とを混練する。このようにすることで、炭素繊維(D)の折損を抑制し質量平均繊維長を制御でき、炭素繊維(D)の分散性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を溶融状態にする温度は、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度以上かつ熱可塑性ポリエステル樹脂(B)以上であればよく、220℃〜320℃が好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の混合物と炭素繊維(D)との混練温度は、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度以上かつ熱可塑性ポリエステル樹脂(B)以上であればよく、220℃〜320℃が好ましい。
(成形体)
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられる。これらの成形方法の中でも、成形体の生産性に優れることから、射出成形が好ましい。
23℃で測定した成形体の曲げ強度は、割れにくい成形体が得られることから、200MPa以上が好ましく、250MPa以上がより好ましく、270MPa以上が更に好ましい。
23℃で測定した成形体の曲げ弾性率は、剛性設計をする場合に成形体の薄肉化が可能であることから、15000MPa以上が好ましく、17000MPa以上がより好ましく、18000MPa以上が更に好ましい。
23℃で測定した成形体の曲げ弾性率は、剛性設計をする場合に成形体の薄肉化が可能であることから、15000MPa以上が好ましく、17000MPa以上がより好ましく、18000MPa以上が更に好ましい。
80℃で測定した成形体の曲げ強度は、割れにくい成形体が得られることから、100MPa以上が好ましく、170MPa以上がより好ましく、190MPa以上が更に好ましい。
80℃で測定した成形体の曲げ弾性率は、剛性設計をする場合に成形体の薄肉化が可能であることから、15000MPa以上が好ましく、16500MPa以上がより好ましく、17000MPa以上が更に好ましい。
80℃で測定した成形体の曲げ弾性率は、剛性設計をする場合に成形体の薄肉化が可能であることから、15000MPa以上が好ましく、16500MPa以上がより好ましく、17000MPa以上が更に好ましい。
成形体の曲げ強度、成形体の曲げ弾性率は、いずれもISO178に準拠して測定した値とする。
曲げ強度や曲げ弾性率の測定に用いる試験片は、射出成形によりISO20753に記載のダンベル形引張試験片タイプA1を成形し、その平行部から短冊形試験片タイプB2に切り出したものを用いることとする。このようにして得られた短冊形試験片タイプB2は、試験片の長さ方向に流動して射出成形されるため、炭素繊維(D)は、主に試験片の長さ方向に配向する。曲げ弾性率や曲げ強度は、炭素繊維(D)の配向方向に強く依存するため、成形体の形状が異なる場合は、その成形体の原料である熱可塑性樹脂組成物を用いて成形して得た短冊形試験片タイプB2を測定した値とする。
曲げ強度や曲げ弾性率の測定に用いる試験片は、射出成形によりISO20753に記載のダンベル形引張試験片タイプA1を成形し、その平行部から短冊形試験片タイプB2に切り出したものを用いることとする。このようにして得られた短冊形試験片タイプB2は、試験片の長さ方向に流動して射出成形されるため、炭素繊維(D)は、主に試験片の長さ方向に配向する。曲げ弾性率や曲げ強度は、炭素繊維(D)の配向方向に強く依存するため、成形体の形状が異なる場合は、その成形体の原料である熱可塑性樹脂組成物を用いて成形して得た短冊形試験片タイプB2を測定した値とする。
曲げ強度の曲げ保持率は、割れに対する温度依存性が少ないことから、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましい。
曲げ弾性率の曲げ保持率は、剛性に対する温度依存性が少ないことから、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
曲げ弾性率の曲げ保持率は、剛性に対する温度依存性が少ないことから、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
成形体の曲げ保持率は、下記式(2)及び式(3)で算出した値とする。
曲げ強度の曲げ保持率(%)=[80℃で測定した成形体の曲げ強度]÷[23℃で測定した成形体の曲げ強度]×100 (2)
曲げ弾性率の曲げ保持率(%)=[80℃で測定した成形体の曲げ弾性率]÷[23℃で測定した成形体の曲げ弾性率]×100 (3)
曲げ強度の曲げ保持率(%)=[80℃で測定した成形体の曲げ強度]÷[23℃で測定した成形体の曲げ強度]×100 (2)
曲げ弾性率の曲げ保持率(%)=[80℃で測定した成形体の曲げ弾性率]÷[23℃で測定した成形体の曲げ弾性率]×100 (3)
本発明の成形体は、曲げ特性に優れることから、機械機構部品、電気電子部品、自動車部品等に好適に用いることができ、曲げ保持率に優れることから、自動車部品に特に好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(メルトボリュームレイト(MVR)測定)
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイト(MVR)を、メルトフローインデックステスター(機種名「LABO−MI」、(株)安田精機製作所製)を用い、ISO1133−1に準拠し、温度270℃、荷重21Nの条件で測定した。
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイト(MVR)を、メルトフローインデックステスター(機種名「LABO−MI」、(株)安田精機製作所製)を用い、ISO1133−1に準拠し、温度270℃、荷重21Nの条件で測定した。
(曲げ特性測定)
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機械(株)製)を用い、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。
得られた成形体を23℃の恒温室に24時間静置させた後、ISO178に準拠し、23℃の環境下で3点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
また、得られた成形体を80℃の温水中に24時間静置させた後、ISO178に準拠し、80℃の環境下で3点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
成形体の曲げ保持率は、前述した式(2)及び式(3)で算出した。
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機械(株)製)を用い、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。
得られた成形体を23℃の恒温室に24時間静置させた後、ISO178に準拠し、23℃の環境下で3点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
また、得られた成形体を80℃の温水中に24時間静置させた後、ISO178に準拠し、80℃の環境下で3点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
成形体の曲げ保持率は、前述した式(2)及び式(3)で算出した。
(ガラス転移温度測定)
実施例1、6、9で得られた熱可塑性樹脂組成物をニッパーで切断し、約10mgをアルミニウム容器に精秤し、示差走査熱量計(機種名「DSC7020」、SII社製)を用い、50℃から300℃まで、10℃/分の昇温条件で、ガラス転移温度を測定した。
実施例1、6、9で得られた熱可塑性樹脂組成物をニッパーで切断し、約10mgをアルミニウム容器に精秤し、示差走査熱量計(機種名「DSC7020」、SII社製)を用い、50℃から300℃まで、10℃/分の昇温条件で、ガラス転移温度を測定した。
(熱重量減少測定)
実施例1、6、9で得られた熱可塑性樹脂組成物をニッパーで切断し、約10mgをアルミニウム容器に精秤し、示差熱・熱重量同時測定装置(機種名「TG/DTA6200」、SII社製)を用い、40℃から300℃まで、20℃/分の昇温条件で、300℃で60分保持した後の重量減少を測定した。
実施例1、6、9で得られた熱可塑性樹脂組成物をニッパーで切断し、約10mgをアルミニウム容器に精秤し、示差熱・熱重量同時測定装置(機種名「TG/DTA6200」、SII社製)を用い、40℃から300℃まで、20℃/分の昇温条件で、300℃で60分保持した後の重量減少を測定した。
(原料)
ポリカーボネート樹脂(A−1):ポリカーボネート樹脂(商品名「ノバレックス7020IR」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
ポリカーボネート樹脂(A−2):ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンH−4000」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
熱可塑性ポリエステル樹脂(B−1):ポリブチレンテレフタレート樹脂(商品名「ノバデュラン5008」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
耐衝撃性改良剤(C−1):シリコーン−アクリル複合ゴム系耐衝撃性改良剤(商品名「メタブレン S−2006」、三菱レイヨン(株)製)
耐衝撃性改良剤(C−2):シリコーン−アクリル複合ゴム系耐衝撃性改良剤(商品名「メタブレン S−2001」、三菱レイヨン(株)製)
炭素繊維(D−1):PAN系炭素繊維(商品名「パイロフィル TR06UL」、三菱レイヨン(株)製、繊維長6mm、チョップドファイバー)
酸化防止剤(E−1):フェノール系酸化防止剤(商品名「アデカスタブAO−50」、(株)ADEKA製)
酸化防止剤(E−2):ホスファイト系酸化防止剤(商品名「アデカスタブ2112」、(株)ADEKA製)
他の添加剤(F−1):着色剤(熱可塑性ポリエステル樹脂にカーボンブラックを45質量%配合させたマスターバッチ)
他の添加剤(F−2):エステル交換防止剤(商品名「アデカスタブAX−71」、(株)ADEKA製、オクタデシルホスフェート)
他の添加剤(F−3):脂肪酸エステル系離型剤
他の添加剤(F−4):溶融張力向上剤(商品名「メタブレンA−3750」、三菱レイヨン(株)製、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン)
ポリカーボネート樹脂(A−1):ポリカーボネート樹脂(商品名「ノバレックス7020IR」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
ポリカーボネート樹脂(A−2):ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンH−4000」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
熱可塑性ポリエステル樹脂(B−1):ポリブチレンテレフタレート樹脂(商品名「ノバデュラン5008」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
耐衝撃性改良剤(C−1):シリコーン−アクリル複合ゴム系耐衝撃性改良剤(商品名「メタブレン S−2006」、三菱レイヨン(株)製)
耐衝撃性改良剤(C−2):シリコーン−アクリル複合ゴム系耐衝撃性改良剤(商品名「メタブレン S−2001」、三菱レイヨン(株)製)
炭素繊維(D−1):PAN系炭素繊維(商品名「パイロフィル TR06UL」、三菱レイヨン(株)製、繊維長6mm、チョップドファイバー)
酸化防止剤(E−1):フェノール系酸化防止剤(商品名「アデカスタブAO−50」、(株)ADEKA製)
酸化防止剤(E−2):ホスファイト系酸化防止剤(商品名「アデカスタブ2112」、(株)ADEKA製)
他の添加剤(F−1):着色剤(熱可塑性ポリエステル樹脂にカーボンブラックを45質量%配合させたマスターバッチ)
他の添加剤(F−2):エステル交換防止剤(商品名「アデカスタブAX−71」、(株)ADEKA製、オクタデシルホスフェート)
他の添加剤(F−3):脂肪酸エステル系離型剤
他の添加剤(F−4):溶融張力向上剤(商品名「メタブレンA−3750」、三菱レイヨン(株)製、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン)
[実施例1]
熱可塑性樹脂組成物を製造する押出機として、同方向二軸押出機(機種名「PCM−30」、(株)池貝製)を準備した。押出機のフィーダーは、上流から、メインフィーダー、サイドフィーダーと設置した。押出機のニーディングゾーンは、メインフィーダーとサイドフィーダーとの間に1箇所、サイドフィーダーとダイスとの間に1箇所、合計2箇所配置した。スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、シリンダー温度270℃の条件で、ポリカーボネート樹脂(A−1)76質量部、熱可塑性ポリエステル樹脂(B−1)19質量部、耐衝撃性改良剤(C−1)5質量部、酸化防止剤(E−1)0.2質量部及び酸化防止剤(E−2)0.2質量部をメインフィーダーから供給し、炭素繊維(D−1)43質量部をサイドフィーダーから供給し、ダイスから出たストランドを水冷した後にストランドカッターでカットし、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2、表3に示す。
熱可塑性樹脂組成物を製造する押出機として、同方向二軸押出機(機種名「PCM−30」、(株)池貝製)を準備した。押出機のフィーダーは、上流から、メインフィーダー、サイドフィーダーと設置した。押出機のニーディングゾーンは、メインフィーダーとサイドフィーダーとの間に1箇所、サイドフィーダーとダイスとの間に1箇所、合計2箇所配置した。スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、シリンダー温度270℃の条件で、ポリカーボネート樹脂(A−1)76質量部、熱可塑性ポリエステル樹脂(B−1)19質量部、耐衝撃性改良剤(C−1)5質量部、酸化防止剤(E−1)0.2質量部及び酸化防止剤(E−2)0.2質量部をメインフィーダーから供給し、炭素繊維(D−1)43質量部をサイドフィーダーから供給し、ダイスから出たストランドを水冷した後にストランドカッターでカットし、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2、表3に示す。
[実施例2〜17、比較例1〜3]
原料の種類と量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
他の添加剤(F−1)〜(F−4)は、メインフィーダーから供給した。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2、表3に示す。
原料の種類と量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
他の添加剤(F−1)〜(F−4)は、メインフィーダーから供給した。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2、表3に示す。
[比較例4]
原料の種類と量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、ストランドの伸びが極めて小さく、ストランドが切れやすいため、ストランドをストランドカッターに導くことができず、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得ることができなかった。
原料の種類と量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、ストランドの伸びが極めて小さく、ストランドが切れやすいため、ストランドをストランドカッターに導くことができず、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得ることができなかった。
表2から分かるように、実施例1〜17で得られた熱可塑性樹脂組成物は、特定の含有量の炭素繊維を配合しているため、成形性に優れ、成形体の曲げ特性に優れた。
一方、比較例1〜3で得られた熱可塑性樹脂組成物は、炭素繊維の配合量が少ないため、23℃で測定した成形体の曲げ弾性率や80℃で測定した成形体の曲げ弾性率に劣った。
また、比較例4は、炭素繊維の配合量が多いため、ストランドの伸びが極めて小さく、ストランドが切れやすく、ストランドをストランドカッターに導くことができず、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得ることができなかった。
一方、比較例1〜3で得られた熱可塑性樹脂組成物は、炭素繊維の配合量が少ないため、23℃で測定した成形体の曲げ弾性率や80℃で測定した成形体の曲げ弾性率に劣った。
また、比較例4は、炭素繊維の配合量が多いため、ストランドの伸びが極めて小さく、ストランドが切れやすく、ストランドをストランドカッターに導くことができず、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得ることができなかった。
表3から分かるように、実施例1、6で得られた熱可塑性樹脂組成物は、酸化防止剤を配合しているため、実施例9で得られた熱可塑性樹脂組成物よりも、耐熱性、耐熱分解性に優れた。
また、実施例6で得られた熱可塑性樹脂組成物は、他の添加剤としてエステル交換防止剤を配合しているため、実施例1、9で得られた熱可塑性樹脂組成物よりも、耐熱性、耐熱分解性に優れた。
また、実施例6で得られた熱可塑性樹脂組成物は、他の添加剤としてエステル交換防止剤を配合しているため、実施例1、9で得られた熱可塑性樹脂組成物よりも、耐熱性、耐熱分解性に優れた。
Claims (13)
- ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、耐衝撃性改良剤(C)及び炭素繊維(D)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
炭素繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、30質量部〜100質量部である、
熱可塑性樹脂組成物。 - 炭素繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、40質量部〜70質量部である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、酸化防止剤(E)を含む、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 酸化防止剤(E)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量部に対して、0.05質量部〜5質量部である、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂(A)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、60質量%〜90質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、5質量%〜35質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 耐衝撃性改良剤(C)の含有率が、ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)の合計100質量%中、0.5質量%〜25質量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 耐衝撃性改良剤(C)が、シリコーンゴムを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
ポリカーボネート樹脂(A)、熱可塑性ポリエステル樹脂(B)及び耐衝撃性改良剤(C)を押出機のメインフィーダーから供給し、炭素繊維(D)を押出機のサイドフィーダーから供給する、
熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
- ISO178に準じて23℃で測定した成形体の曲げ弾性率が、15000MPa以上である、請求項10に記載の成形体。
- ISO178に準じて80℃で測定した成形体の曲げ弾性率が、15000MPa以上である、請求項10又は11に記載の成形体。
- 請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法で熱可塑性樹脂組成物を得た後、射出成形する、成形体の製造方法。
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-
2017
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