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JP2017139109A - 電池システム - Google Patents

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JP2017139109A JP2016018654A JP2016018654A JP2017139109A JP 2017139109 A JP2017139109 A JP 2017139109A JP 2016018654 A JP2016018654 A JP 2016018654A JP 2016018654 A JP2016018654 A JP 2016018654A JP 2017139109 A JP2017139109 A JP 2017139109A
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Kosuke Iwase
康資 岩瀬
政裕 吉岡
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政裕 吉岡
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Abstract

【課題】負極に形成される被膜の状態を精度よく予測することが可能な電池システムを提供する。【解決手段】本発明により提供される電池システム1は、正極30と負極40と非水電解質とを備える二次電池20と、正極30と負極40との間に配置され、負極40に被膜が形成されたときに被膜が二次電池20の劣化に与える影響を示す物性値を取得するセンサ10と、を備える。このセンサ10は、例えば、正極30と同じ材料からなる対極12と、負極40と同じ材料からなる作用極14と、対極12と作用極14との間に介在されるセパレータ16とから構成されていることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、二次電池の電極に形成される被膜の状態を予測する電池システムに関する。
リチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、従来よりパソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源、住宅用蓄電装置等として用いられている。近年では、非水電解質二次電池は、大容量でかつハイレートでの充放電を行う、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として特に好ましく用いられている。
この種の非水電解質二次電池は、正極活物質層を備える正極と、負極活物質層を備える負極とが、セパレータを介して対向配置され、電解質を含む非水電解液と共に電池ケースに収容されている。非水電解液は、一般に、正極活物質層、負極活物質層およびセパレータに含浸されている。そして正負の活物質層の間で電解質イオンを往き来させ、正負の活物質が電解質イオンを吸蔵および放出することにより、充放電が実現され得る。
特開2015−219980号公報
この種の二次電池においては、二次電池の使用(劣化)とともに、例えば電池容量が減少することが知られている。そこで、二次電池の劣化を予測することで、劣化が発生し難い条件で充放電を制御して電池の長寿命化を測ったり、電池の安全性を確保したりしている。例えば、特許文献1には、二次電池の電極表面に形成される被膜の成長と、電解質中の被膜前駆体成分の減少との関係から導出された予測関数と、二次電池の使用状態とから、電池容量の経時変化を予測する二次電池監視装置が開示されている。
特許文献1の予測関数は、特定の容量劣化モデルを採用したものであり、電池の使用時間の平方根に比例して劣化要因である被膜が成長するとの仮定に基づいている。ここで、実際に電極に形成される被膜は、電池の使用形態によって被膜の形態等が異なり、電池の劣化状態に影響を与え得る。例えば、ハイレートでの充放電を行う場合と、ローレートでの充放電を行う場合とでは、形成される被膜の組織等の状態が異なり得る。しかしながら、特許文献1の手法では、被膜量のみに基づき容量劣化を予測するため、劣化予測値と実際の電池の劣化状態とが乖離する虞があった。
本発明は、上記の従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、負極に形成される被膜の状態(例えば、電気化学的特性)を精度よく予測することが可能な電池システムを提供することである。
ここに開示される発明は、正極と負極と電解質とを備える二次電池と、上記正極と上記負極との間に配置され、上記負極に被膜が形成されたときに上記被膜が上記二次電池の劣化に与える影響を示す物性値を取得するセンサと、を備える、電池システムを提供する。
上記の構成によると、二次電池内にはセンサが配置され、このセンサにより負極に形成される被膜が二次電池の劣化に与える影響を示す物性値(例えば電解質のイオン伝導度,被膜抵抗など)を取得できる。これにより、例えば、実際の電池の使用履歴を精度よく反映した、被膜状態を予測することができる。このことは、例えば、実際の電池の使用履歴をより精密に反映して電池の劣化を予測するために有用となり得る。
ここに開示される電池システムの好ましい態様では、上記物性値は、上記被膜における前記電解質のイオン伝導度とすることが好ましい。上記センサは、上記正極と同じ材料からなる対極と、上記負極と同じ材料からなる作用極と、上記対極と上記作用極との間に介在されるセパレータとから構成されていることが好ましい。上記負極は炭素系材料であって、上記作用極は高配向熱分解黒鉛であることが好ましい。上記センサは、上記対極または上記作用極の面積が、上記正極または上記負極の面積の1/100以下であることが好ましい。例えば、センサは、少なくとも一方の上記電極の寸法が10mm×10mmよりも小さいことが好ましい。また、上記センサは、上記二次電池の使用状態において最も高温となる部位に配置されることが好ましい。
一実施形態に係る電池システムの構成を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るセンサの構成を説明する模式図である。 一実施形態に係る電池システムの製造方法を示すフロー図である。 一実施形態に係るセンサ被膜の抵抗増加率と、Li析出を抑制する限界電流レートと、を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明に係る電池システムについて、好適な実施形態に基づき説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない二次電池構造等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、下記に示す図面における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。さらに、範囲を示す「T〜Y」との表現は、「T以上Y以下」の意である。
本明細書において「非水電解質二次電池」とは、電荷担体として電解質イオン(リチウムイオン電池の場合はリチウムイオン)を利用し、正負極間においてこの電荷担体の移動に伴い繰り返し充放電が実現される二次電池を包含する。一般にリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等と称される二次電池は、本明細書における非水電解質二次電池に包含される典型例である。また、本明細書において「活物質」とは、電荷担体となる化学種(例えばリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る材料をいう。そこで、ここに開示される非水電解質二次電池がリチウムイオン電池である場合を例にして、以下に詳細に説明をする。
[電池システム]
図1は、好適な一実施形態としての電池システム1の構成を示す断面模式図である。この電池システム1は、二次電池20と、センサ10と、を備えている。図2は、センサ10の構成と、その配置について説明する概念図である。図3は、電池システム1の製造方法を示すフロー図である。以下、電池システム1の製造方法と併せて、電池システム1の各部について詳細に説明する。
[二次電池]
二次電池20は、本質的に、正極30と負極40と電解質(図示せず)とを備えている。典型的には、正極30と負極40との間に、両者を絶縁するセパレータ50が介在されていてもよい。そしてこれら正極30、負極40およびセパレータ50は、電解質とともに電池ケース60に収容されている。後述するが、電解質は、典型的には非水溶媒に溶解又は分散されて非水電解液を構成している。非水電解液は、正極30、負極40およびセパレータ50に含浸されている。そして電解質は、典型的には電解質イオンの形態で、非水溶媒中で正極30と負極40との間を行き来する。これにより二次電池20の充放電が実現される。
[正極]
正極30は、典型的には、長尺(帯状であり得る)の正極集電体32と、この正極集電体32の表面に保持された正極活物質層34とを備えている。正極集電体32には、典型的には、長手方向に沿う一方の端部に沿って帯状に集電体露出部36が設けられており、この集電体露出部36以外の部分に帯状に正極活物質層34が備えられている。正極活物質層34は、正極集電体32の両面に設けられてもよいし、いずれか一方の面にのみ設けられてもよい。正極集電体32としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル等)からなる導電性材料が好適である。この正極活物質層34は、少なくとも正極活物質を含み、非水電解液の含浸が可能なように多孔質構造を有している。
正極活物質としては特に制限されないが、電解質イオンであるリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、例えば、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属複合酸化物)を好適に用いることができる。このリチウム遷移金属酸化物は、例えば、粉末状の、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn)、或いは、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)のような三元系リチウム含有複合酸化物であり得る。これらの活物質には、所望の電池性能を実現するために、各種の金属元素が添加されていても良い。
なお、正極活物質層34には、上記正極活物質に加えて、正極活物質層34に導電性を付与する導電材と、これらの正極活物質層の構成材料を互いにまた集電体32に結合するバインダと、一般的なリチウムイオン電池において正極活物質層の構成成分として必要に応じて使用され得る任意の添加材を含有し得る。導電材としては、例えば、一次粒子径が3〜500nm程度の、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等)、活性炭、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料を好適に用いることができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイドを好適に用いることができる。
正極活物質層34全体に占める正極活物質の割合は、高エネルギー密度を実現する観点から、およそ60質量%以上とすることが適当であり、通常はおよそ70質量%以上であることが好ましく、85質量%以上が特に好ましい。正極活物質の割合は、必要な導電材やバインダ量を考慮して決定することができ、例えば95質量%以下とすることができる。導電材を使用する場合、出力特性とエネルギー密度とを高いレベルで両立する観点から、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えばおよそ1質量%以上とすることができ、通常は約2質量%以上、例えば、4質量%以上とすることが好ましい。過剰な導電材は活物質の量を低減するため好ましくなく、導電材は、例えば20質量%以下とすることができ、通常は約15質量%以下、例えば、10質量%以下とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、機械的強度や形状を好適に保持する観点から、例えば約0.5質量%以上、通常はおよそ1質量%以上とすることができ、例えば10質量%以下、通常は5質量%以下とすることが好ましい。
また、正極活物質層34の平均厚み(片面当たり)は特に限定されないが、例えば20μm以上、典型的には50μm以上であって、200μm以下、典型的には100μm以下とすることができる。正極集電体32の単位面積当たりに設けられる正極活物質層34の質量(目付量)は、高エネルギー密度を実現する観点から、正極集電体32の片面当たり3mg/cm以上(例えば5mg/cm以上、典型的には7mg/cm以上)とするとよい。優れた出力特性を実現する観点からは、正極集電体32の片面当たり100mg/cm以下(例えば70mg/cm以下、典型的には50mg/cm以下)とするとよい。また、正極活物質層34の密度は、例えば1.0g/cm以上(典型的には2.0g/cm以上)であって、4.5g/cm以下(例えば4.0g/cm以下)とするとよい。
[負極]
長尺の負極40は、典型的には、長尺の負極集電体42の長手方向に沿う一方の端部に集電体露出部46が設けられ、この集電体露出部46以外の部分に負極活物質層44が備えられている。この負極集電体露出部46は、典型的には、負極集電体42の幅方向の一方の端部に沿って長尺に設けられる。負極活物質層44は、負極集電体42の両面に設けられてもよいし、いずれか一方の面にのみ設けられてもよい。負極集電体42としては、導電性の良好な金属(例えば銅、ニッケル等)からなる導電性材料で構成することが好適である。この負極活物質層44は、少なくとも負極活物質を備えており、非水電解液の含浸が可能なように多孔質構造を有している。
なおここで、負極活物質としては特に制限されないが、リチウムイオン電池の負極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料を1種または2種以上を採用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素系材料、チタン酸リチウム(LTO)等の酸化物材料、SixC等のSi系合金材料、或いは、これらを組み合わせた材料が挙げられる。なかでも、エネルギー密度の観点から、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等の黒鉛系材料を好ましく用いることができる。これらの負極活物質は粉末状であってもよいし、例えば膜状であっても良い。かかる黒鉛系材料は、少なくとも一部の表面に非晶質炭素が配置されているものを好ましく用いることができる。より好ましくは、粒状炭素の表面のほぼ全てを非晶質炭素の膜で被覆された形態である。
なお、負極活物質層44には、上記負極活物質に加えて、一般的なリチウムイオン電池において負極活物質層44の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、バインダや、各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、一般的なリチウムイオン電池の負極に使用されるバインダと同様のものを適宜採用することができる。例えば、正極30におけるのと同様のバインダを用いることができる。なお好ましい形態として、負極活物質層44を形成するために上記の水性溶媒を用いる場合には、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類、ポリエチレンオキサイド(PEO)、酢酸ビニル共重合体等の水溶性のポリマー材料または水分散性のポリマー材料を好ましく採用し得る。その他、導電材、増粘剤、分散剤等の各種添加剤を適宜使用することもできる。導電材を使用する構成では、導電材として、上記正極30におけるのと同様のものを用いることができる。また、増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)等のセルロース系ポリマーが挙げられる。
負極活物質層44全体に占める負極活物質の割合は、およそ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%以上、例えば95質量%以上とすることが好ましく、上限は例えば99質量%以下とすることができる。これにより、高エネルギー密度を実現することができる。バインダを使用する場合、負極活物質層44全体に占めるバインダの割合は、例えば約0.5質量%以上とすることができ、通常は約0.5質量%以上とすることが好ましい。バインダの上限は、10質量%以下とすることができ、通常は約0.5質量%以下とすることが好ましい。また、導電材を使用する場合、出力特性とエネルギー密度とを高いレベルで両立する観点から、負極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば約0.5質量%以上とすることができ、通常は約1質量%以上、例えば、2質量%以上とすることが好ましい。導電材の上限は、例えば、99質量%以下とすることが好ましい。導電材は、負極活物質の導電性がさほど良好ではない場合に使用されることが多い。したがって、この導電材は、例えば、上記負極活物質の割合の一部として(負極活物質と置き換えて)含むようにしてもよい。これにより、負極活物質層44の機械的強度(形状保持性)を好適に確保することができ、良好な耐久性を実現することができる。増粘剤を使用する場合、負極活物質層44全体に占める増粘剤の割合は、例えばおよそ1質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
負極集電体42の単位面積当たりに設けられる負極活物質層44の質量(目付量)は、高エネルギー密度と出力密度とを実現する観点から、負極集電体42の片面当たり5mg/cm以上(典型的には7mg/cm以上)であって、20mg/cm以下(典型的には15mg/cm以下)程度とするとよい。また、負極活物質層44の片面当たりの厚みは、例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とするとよい。また、負極活物質層44の密度は、例えば0.5g/cm以上(典型的には1.0g/cm以上)であって、2.0g/cm以下(典型的には1.5g/cm以下)とするとよい。
[セパレータ]
セパレータ50は、正極30と負極40とを絶縁するとともに、非水電解液を保持し、非水電解液およびこれに含まれる電荷担体の通過を可能とする構成部材である。このようなセパレータ50は、各種の材料からなる微多孔質樹脂シートや不織布等により好適に構成することができる。このセパレータ50は、電池20が所定の温度となったときに軟化溶融し、電荷担体の通過を遮断すするシャットダウン機能を備えるように構成してもよい。例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)に代表されるポリオレフィン樹脂からなる微多孔質シートは、シャットダウン温度を80℃〜140℃(典型的には110℃〜140℃、例えば120℃〜135℃)の範囲で好適に設定できるためにセパレータ50として好ましい。
また、セパレータ50は、上記の微多孔質樹脂シート等を基材として、その片面または両面に、耐熱性および絶縁性を有する耐熱性粒子からなる耐熱層(Heat Resistant Layer:HRL、図示せず)を備えることができる。耐熱性粒子としては特に制限されないが、例えば、耐熱性粒子としては、例えば、アルミナ(Al)、アルミナ水和物(例えばベーマイト(Al・HO))、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、イットリア(Y)、ムライト(Al13Si)、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸マグネシウム(MgCO)等の無機金属化合物等からなる平均粒子径がおよそ0.1μm以上3μmの微粉末を好適に用いることができる。これらの無機化合物は、1種を単独で含んでも良いし、2種以上を組み合わせて含んでいても良い。これにより、たとえば、扁平型捲回電極体の温度がセパレータ50の融点よりも高い温度となりセパレータ50が縮んだり破断したりしても、正極30および負極40が短絡するのを防止することができる。
[電極体]
電池システム1の構築においては、図3のS1に示したように、まず、上記で用意した正極30および負極40を、セパレータ50を介して対向させることで、二次電池20の電極体を構築する。このとき、図2に示すように、あらかじめ、正極30と負極40との間にセンサ10を配置する。例えば、ハイレートで大容量の充放電を行う用途の二次電池20については、図1に示すような捲回電極体を構成することが好ましい。すなわち、長尺の正極30と長尺の負極40と、二枚の長尺のセパレータ50とを、下からセパレータ50、負極40、セパレータ50、正極30の順に積層し、長手方向に直交する幅方向を倦回軸として軸周りに捲回する。このとき、例えば、捲回軸に直交する断面の形状が長円形となるように成形すると、図1に例示したような、扁平角型の電池ケース60に対応した扁平形状の捲回電極体を構築することができる。このような断面が長円形の捲回電極体は、円筒状に捲回した捲回電極体を捲回軸に直交する一の方向で押しつぶして拉げさせることによって形成してもよい。あるいは、板状の捲回軸を中心にして扁平形状に捲回して扁平型捲回電極体を形成してもよい。扁平型捲回電極体の詳細な形状は、使用する電池ケース60の形状に合わせて適切に整形することができる。なお、長円形とは、長方形の短辺部分を、当該短辺を直径とする半円にそれぞれ置き換えた形状を意味し、トラック型,小判型,俵型等として表現され得る形状を包含し得る。
また、正極30、負極40およびセパレータ50の積層の際には、正極30の正極集電体露出部36と、負極40の負極集電体露出部46とが、セパレータ50の幅方向の両側からそれぞれ互いに異なる側にはみ出すように、正極30と負極40とを幅方向でややずらして重ね合わせる。その結果、扁平型捲回電極体の捲回軸方向では、正極集電体露出部36と負極集電体露出部46とが、それぞれ捲回コア部分(すなわち正負の活物質層34,44が積み重なった部分)から外方にはみ出すこととなる。図1に示すように、この正極集電体露出部36と負極集電体露出部46とを、上記長円形の短径方向で寄せ集めて集電部を形成することで、高効率な集電を行うことができる。
なお、二次電池20の劣化を安全側で予測する場合、センサ10は、電極体のうちでより劣化が進行しやすい部位に配置されることが好ましい。かかる観点から、例えば、センサ10は二次電池20の使用に伴い最も高温となる部位に配置されることが好ましい。例えば、電極体の中心付近に配置されることが好ましい。電極体が捲回電極体である場合、長尺の正極30と負極40の捲き始め側であって、図1に示すように捲回電極体の扁平面の中心に位置するように、センサ10を配置することが好ましい。また、電極体が扁平型捲回電極体である場合、図1に示すように電極体の扁平面の中心であって、厚み方向の中央に、センサ10を配置することが好ましい。
[センサ]
センサ10は、負極40に被膜(図示せず)が形成されたときに、この被膜が二次電池20の劣化に与える影響を示す物性値を取得することができる各種のセンサとすることができる。かかる物性値とは、例えば、被膜についての電気伝導度、イオン伝導度等の電気化学的特性や、被膜形成量および被膜厚み等の被膜物性値等や、これらの組み合わせ等であってよい。特に好ましい物性値は、被膜の厚み方向についての、当該二次電池の電解質のイオン伝導度(ここではリチウムイオン伝導度)や抵抗特性である。
なお、二次電池20の充放電に際しては、負極40の表面にSEI被膜(Solid-Electrolyte Interface,固体−電解液界面膜)が形成されることが知られている。例えば、リチウムイオン二次電池20の負極活物質が炭素系材料の場合、負極表面には、炭素系材料の表面を不活性化および安定化させ、更なる電解液の分解を抑制する非水電解液由来の被膜が形成される。この被膜は、過剰に形成されると、例えば、電池容量の低下や、抵抗成分の増大を招き、二次電池20の劣化の原因となり得る。したがって、この被膜の形成状態を適切に予測することができれば、かかる被膜形成に基づく電池の劣化をより高精度に予測することができる。そこで、ここに開示される技術においては、負極40と正極30とにそれぞれ対応する作用極14と対極12とを用意し、二次電池20内に、この作用極14と対極12とからなる、センサ10(つまりセル)を配置する。作用極14と対極12とは、実際の二次電池20の正極30と負極40との間に極板が平行となるように配置するとよい。作用極14と対極12とは、セパレータ16により絶縁することができる。これにより、二次電池20の充放電(使用)に伴って、セルの作用極14の表面に、実際の負極40に形成される被膜に対応したセンサ被膜を形成することができる。このセンサ被膜の形成状態は、実際の負極40に形成される被膜の性状を反映し得る。したがって、このセンサ被膜の形成状態を上記物性値により把握することで、実際の負極40に形成される被膜の状態を高精度に予測することができる。
センサ10の対極12と作用極14とは、実際の二次電池20の正極30と負極40と同種の材料(典型的には同組成の材料)によりそれぞれ構成することが好ましい。これにより、センサ10に形成されるセンサ被膜が、実際の二次電池20の負極40に形成される被膜の形態をより忠実に反映し得る。対極12は、例えば、上記の正極集電体と、この集電体の片面に備えられた正極活物質層とから構成することができる。また、作用極14は、例えば、上記の負極集電体と、この集電体の片面に備えられた負極活物質層とから構成することができる。対極−作用極間の物性値を取得するためなどに、対極12と作用極14とにそれぞれ導線12a,14aを接続することができる。この導線としては、特に限定されないものの、例えば、フッ素樹脂で被覆した銀線等を用いることができる。セパレータ16は、例えば上記のセパレータ50と同種の材料により構成することができる。これら対極12と作用極14とは、上記の正極30および負極40と同様にして作製することができる。
対極12および作用極14の寸法は、取扱いが容易である範囲において、実際の二次電池20の正極30および負極40の寸法よりも縮小することができる。対極12と作用極14の面積は、例えば、実際の二次電池20の正極30と負極40の容量比を反映するように設定することができる。また例えば、対極12または作用極14は、面積が実際の正極30または負極40の面積の1/100以下とすることができ、1/1000以下であることが好ましく、1/10000以下であることがより好ましい。より具体的には、センサ10は、例えば、負極の寸法が10mm×10mm以下あるいはこれに相当する面積以下の大きさ(以下同じ。)であってよく、8mm×8mm以下とすることが好ましく、5mm×5mm以下とすることがより好ましい。なお、セルの形状は、この正方形の例に限定されず、長方形や円形、不定形などの任意の形状であってよい。
なお、負極活物質が炭素系材料である場合、作用極14(作用極14の活物質層)も炭素系材料を用いて構成することができる。このとき、作用極14の活物質層は、特に高配向熱分解黒鉛(Highly Oriented Pyrolytic Graphite:HOPG)を用いて構成することがより好ましい。より詳細には、作用極14の表面を、HOPGの劈開面で構成することが特に好ましい。一般的な黒鉛(例えば天然黒鉛)は、炭素六員環構造からなるベーサル面が積層した結晶構造を有するが、ベーサル面の配向性はさほど高くない。これに対し、高配向熱分解黒鉛は、このベーサル面の平面性が高められ、結晶子の大きさが大きく配向度の高い結晶構造を有している。そのため、高配向熱分解黒鉛の劈開面は、極めて平面性の高いベーサル面(すなわちグラフェンシート)により構成され、ベーサル面内の電子伝導度が著しく高められている。なお、電極反応は、電極と溶液(ここでは非水電解液)の界面における電子移行反応であるため、その電子挙動は電極の表面状態に極めて敏感となり得る。したがって、作用極14の表面をHOPGの劈開面で構成することで、平滑で電子伝導性が著しく高く、高度に制御された電極表面を実現できるために好ましい。
なお、上述のように、作用極14の表面をHOPGの劈開面で構成すると、その平坦性から作用極14の表面積を著しく小さくすることができる。そして相対的に、対極12の表面積が十分に大きくなる。したがって、この対極12と作用極14とから構成されるセル(センサ10)にセンサ被膜が形成されたときに、対極12と作用極14との間の抵抗を測定すると、抵抗全体に占める対極抵抗の割合が十分に小さくなる。つまり、対極12と作用極14とから構成されるセルの抵抗を測定したときに、対極12に起因する抵抗成分が十分に抑制され、センサ被膜による抵抗成分を抽出することができる。したがって、電解質としてリチウム塩を使用する系においては、センサ被膜についてのリチウムイオン伝導度に係る成分を抽出することができる。さらに、対極−作用極間の抵抗を経時的に測定することで、センサ被膜による抵抗変化率を取得することが可能となる。これは、センサ被膜についてのリチウムイオン伝導度の変化率であり得る。このことから、ここに開示される技術により、延いては、二次電池20の負極の表面に形成された被膜についてのリチウムイオン伝導度の変化率(抵抗増加率)を代替的に取得することができる。
なお、対極−作用極間の抵抗測定条件は特に制限されない。例えば、対極−作用極間に所定の電圧を印加した際の電流応答を取得することにより、IV抵抗を測定することが好適例として挙げられる。印加電圧の条件としては、一例として、下記の条件を挙げることができる。
測定温度:25℃
電圧振幅:±150mV
周波数:100Hz
HOPGとしては、配向性が高められた黒鉛を用いることができる。このHOPGは、市販のものを入手してもよいし、公知のHOPGの製造方法に基づき作製して用意してもよい。HOPGは、例えば、モザイクスプレッド値(MS値)が5°以下程度のものであってよく、1°以下程度のものが好ましく、0.5°以下程度のものがより好ましい。そして例えば導電性粘着テープ等をHOPGのベーサル面に貼付けたのち、ゆっくりと剥がすことで、1層〜数層のHOPGをベーサル面に沿って劈開剥離することができる。これにより、劈開面を備える1層〜数層のHOPGを導電性粘着テープの表面に固定することができる。このことにより、導電性粘着テープを集電体(基材)とし、HOPGを活物質層とした作用極14を得ることができる。このとき、導電性粘着テープ上のHOPG層の厚みは特に制限されないが、例えば、10〜40μm程度(例えば約30μm)とすることができる。また、導電性粘着テープの厚みは特に制限されないが、例えば、50〜150μm程度(例えば約100μm)のものを好適に用いることができる。
なお、対極12の厚み方向の寸法は特に制限されないが、例えば、正極集電体としてのアルミニウム箔と正極活物質層とを足し合せた厚みを20〜80μm程度(例えば約50μm)程度とすることができる。
センサ10は、このように微小サイズで且つ簡便な構成とすることができる。したがって、作用極14にHOPGを用いた場合でも、例えば100円以下の低コストで用意することができる。
[非水電解液]
非水電解液としては、典型的には、非水溶媒中に支持塩(例えば、リチウムイオン電池ではリチウム塩)を溶解または分散させたものを採用し得る。
非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン電池において電解液として用いられるカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の各種の有機溶媒を特に制限なく用いることができる。例えば、具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。また、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F−DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)、メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(MTFEC)等の環状または鎖状のフッ素化カーボネートからなる非水溶媒を用いるようにしても良い。このような非水溶媒は、いずれか1種を単独で、あるいは2種以上を混合溶媒として用いることができる。
支持塩としては、一般的なリチウムイオン電池に用いられる各種のものを適宜選択して採用することができる。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等のリチウム塩を用いることが例示される。このような支持塩は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。かかる支持塩は、非水電解液における濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
この非水電解液は、二次電池20の特性を損なわない限り、各種の添加剤等を含んでいても良い。かかる添加剤としては、被膜形成剤、過充電添加剤等として、電池の入出力特性の向上、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上、安全性の向上等のうち、1または2以上の目的で使用され得る。かかる添加剤としては、具体的には、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の被膜形成剤;ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の芳香族化合物に代表される過充電時にガスを発生させ得る化合物からなる過充電添加剤;界面活性剤;分散剤;増粘剤;凍結防止剤等が挙げられる。非水電解液全体に対するこれらの添加剤の濃度は、添加剤の種類にもよって異なるものの、被膜形成剤で通常0.1mol/L程度以下(典型的には0.005mol/L〜0.05mol/L)、過充電添加剤で通常6質量%程度以下(典型的には0.5質量%〜4質量%)とすることが例示される。
電池システム1は、図3のS2に示すように、センサ10が配置された電極体を、非水電解液とともに電池ケース60に収容することで組み立てられる。正極30および負極40は、上記のとおり捲回電極体を構成していても良い。なお、図1の例で、電池ケース60は、扁平型捲回電極体を挿入するための開口を備える角型のケース本体と、ケース本体の開口を封止している封口体と、を含んでいる。これらは、例えば、アルミニウムおよびその合金、鉄およびその合金などからなる金属製、ポリアミド等の樹脂製、ラミネートフィルム製等の各種のものを好適に用いることができる。ケース本体(外装ケース)は、アルミニウム合金製の薄い角型であって、上面が開放された有底の扁平な箱型形状(典型的には直方体形状)である。封口体には、上記捲回電極体の正極30と電気的に接続する正極端子61と、捲回電極体の負極40と電気的に接続する負極端子62とが設けられている。捲回電極体は、集電部材を介して封口体に固定された状態で、ケース本体内に収容される。このような構成によると、捲回電極体の収容位置が安定すると共に、破損等の虞が低減されて好ましい。
電解質は、図3のS3に示すように、封口体とケース本体とを密閉したのち、例えば、封口体に設けられた注液口(図示せず)から電池ケース内に非水電解液を注液することにより収容してもよい。非水電解液の注液は、電池ケース内を減圧しながら、或いは減圧後に、行っても良い。非水電解液の注液後に、電池ケース60の注液口を蓋等により封止することで、非水電解質二次電池を用意することができる。非水電解液の注液後、非水電解液が捲回電極体に十分に浸透するように、例えば、5時間〜50時間程度静置することが好ましい。その後、適切な初期充電処理を施すことで、電池としての機能が備えられる。
センサ10が上記の作用極14および対極12から構成されるセルである場合、初期充電処理は、図3のS4〜S5に示すように、例えば、最初にセンサ10の電位を調整するためのセンサ初期充電を行った後に、二次電池20の電位を調整するための電池初期充電を行うことが好ましい。
センサ初期充電を行うことで、作用極14の表面に電解液由来の被膜を好適に形成することができる。センサ初期充電の条件は、センサの構成にもよるが、例えば、次の条件:温度25℃,電圧走査速度1mV/sec,走査電圧OCV(開路電圧)から3.7Vまで);とすることが例示される。
また、電池初期充電を行うことで、二次電池20の負極40の表面に電解液由来の被膜を好適に形成することができる。電池初期充電の条件は、二次電池20の構成にもよるが、例えば、次の条件:温度25℃,電圧走査速度1Cで4.1Vまで定電流(CC)充電した後に5分間休止し、1Cで3.0Vまで定電流(CC)放電した後に5分間休止する;とすることが例示される。
初期充電処理(S4〜S5)後の二次電池20に対しては、必ずしも必要ではないが、図3のS6に示すようにエージングを行うことができる。これにより、自己放電による電圧低下の大きなセル(微小短絡セル)を検出することができ、品質のばらつきや組電池にした場合の早期容量低下の問題を回避することができる。
以下、具体的な実施例として、ここに開示される電池システムとその利用を確認する例を示す。正極活物質としてLi1.0(Ni1/3Co1/3Mn1/3)Oを、負極活物質として天然黒鉛(平均粒子径10μm)を用い、捲回電極体を備える角型二次電池を構築した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。なお、この角型二次電池の正極と負極の間には、センサをセパレータで絶縁した状態で配置した。センサは、対極に二次電池同じ正極活物質を用い、作用極にHOPGを用い、対極−作用極間をセパレータで絶縁した構成とした。対極の寸法は3mm角、作用極の寸法は4mm角の正方形とした。対極および作用極には、センサ初期充電およびIV抵抗測定のための配線(フッ素樹脂で被覆したAgワイヤ)を接続し、二次電池の電池ケースの外部に延出した。
この電池システムに対し、所定のセンサ初期充電、電池初期充電を施した後、60℃の環境下で、二次電池に対して1.8A(0.5C相当)のレートで3.0Vまで定電流(CC)放電した後に5分間休止し、36A(10C相当)のレートで4.1Vまで定電流(CC)充電した後に5分間休止するハイレート充放電を1サイクルとし、これを1000サイクル行った。なお、1Cとは、定格容量を1時間で定電流充電(あるいは放電)するときの電流値である。このとき、サイクル前と、サイクル途中および終了後のセンサの対極−作用極間のIV抵抗を測定した。そして、サイクル前のIV抵抗を初期抵抗とし、サイクル途中および終了後のIV抵抗を耐久後抵抗として、次式:(耐久後抵抗)÷(初期抵抗);により、センサの作用極表面に形成されたセンサ被膜による抵抗増加率を算出した。その結果を図4のグラフの下側に示した。この抵抗増加率は、二次電池の負極の抵抗増加率をも表し、また、負極に形成された被膜のリチウムイオン伝導度の低下率にも対応する。このように、ここに開示される技術によると、センサを通して代替的に、負極表面に形成される被膜について、その皮膜性状を反映させた状態で、電池性能に影響を与える物性値を取得することができる。
なお、センサの作用極表面に形成されたセンサ被膜の電気抵抗が増加するということは、二次電池における負極の表面に形成された被膜においてリチウムイオン伝導度が低下することを意味する。つまり、負極の表面にリチウムイオンが凝集しやすくなり、負極の抵抗が増大して、金属Liの析出に繋がり得る。したがって、計測したリチウムイオン伝導度の増加率から、負極に金属Liの析出が生じない限界電流レートを算出することができる。そこで、限界電流レートを算出した結果を図4のグラフの上側に示した。このように、ここに開示される技術に基づいて、二次電池の負極表面に形成される被膜の状態を予測した結果から、負極での金属Liの析出を抑制するための制御を行うようにしてもよい。このとき、二次電池の耐久末期の性能に合わせて電流レートを制御する必要はなく、二次電池の使用レベルに応じた適切な電流レートを採用することが可能となる。
以上の構成は、例えば、ハイレートでの充放電を行う比較的大容量(例えば電池容量が20Ah以上の、典型的には25Ah以上の、例えば30Ah以上)の二次電池についての電池システムに好ましく適用することができる。したがって、このような特徴を活かして、ここに開示される技術は、高エネルギー密度,高入出力密度およびサイクル特性等が要求される用途ならびに高い信頼性を要求される用途の二次電池を含む電池システムに、特に好ましく適用することができる。かかる用途としては、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。この二次電池は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態であってもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。例えば、電荷担体はリチウムイオンに限定されず、例えば、ナトリウムイオンや他の成分であってもよい。本出願の請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 電池システム
10 センサ
12 対極
14 作用極
20 二次電池
30 正極
40 負極
50 セパレータ

Claims (1)

  1. 正極と負極と非水電解質とを備える二次電池と、
    前記正極と前記負極との間に配置され、前記負極に被膜が形成されたときに前記被膜が前記二次電池の劣化に与える影響を示す物性値を取得するセンサと、
    を備える、電池システム。
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