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JP2017134923A - リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池およびそれらの製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高容量負極材料を使用しても、優れた充放電サイクル特性を発揮し得るリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極、およびこれらの製造方法を提供する。【解決手段】 本発明の負極の製造方法は、活物質、水溶性バインダー、および平均粒子径が5μm以下の架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を形成した後に、ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランを0.5〜6質量%含有する処理液に浸漬する工程を有している。本発明のリチウム二次電池の製造方法は、前記製造方法により得られた負極を使用するか、または、平均粒子径が5μm以下の架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を有する負極と、ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランを0.5〜6質量%含有する非水電解液とを使用する。【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極、およびそれらの製造方法に関するものである。
リチウム二次電池は、パーソナルコンピューターや携帯電話などのポータブル機器用に普及しており、これらの各種機器に合わせた要求特性を備えている。特に今後も更に市場が伸びると予測される携帯電話については、その高機能化が進むことに伴って、その電源に使用されるリチウム二次電池にも、それに応じた高容量化が要求されると考えられる。
現在市販されているリチウム二次電池は、一部を除いて正極活物質としてLiCoOが使用され、負極活物質として黒鉛が使用されているが、特に黒鉛に関しては既に理論容量である372mAh/gに極めて近い利用率での電池設計がなされており、更なる高容量化には、これに代わる負極材料(高容量負極材料)が必要となる。
このような高容量負極材料として、Sn合金、Si合金、Si酸化物、Li窒化物、Li金属などが検討されているが、現時点では、いずれも電池に用いたときの充放電サイクル特性が、黒鉛に比して劣っている。この原因は、黒鉛が層状構造を有しており、電池の充放電時にリチウムイオンがこの層間にドープまたはアンドープされる際の膨張量が、層間距離の10%程度であるのに対し、前記の高容量負極材料では、充放電時のLi含有量が多いことから膨張量が非常に大きくなるために、結果として負極材料の膨張収縮が繰り返されることになる電池の充放電サイクルでは、負極材料を含む負極合剤層の強度や負極合剤層内の電子伝導性が低下してしまうからであり、高容量負極材料を用いた電池では、このような理由から、充放電サイクル特性、すなわち初期容量に対する充放電サイクル後の容量維持率が、黒鉛を用いた電池に比して悪くなってしまう。
こうした事情の下、高容量負極材料を使用することによるリチウム二次電池の充放電サイクル特性の低下を抑える技術の提案もある。例えば、特許文献1には、負極活物質に、SiOで表される高容量負極材料と黒鉛とを特定比率で併用することで、高容量負極材料の使用量を抑えて電池の充放電時の負極合剤層の体積変化を抑えつつ、高容量負極材料の使用量の低減に伴う容量低下を黒鉛で補って、電池の高容量化と充放電サイクル特性の低下抑制とを達成し得た技術が開示されている。
また、高容量負極材料を含む負極合剤層の機械的強度を向上させることで、負極合剤層内の電子伝導性の低下を抑制する技術も提案されている。
リチウム二次電池の負極合剤層に係るバインダーには、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用したり、スチレンブタジエンゴム(SBR)などのゴム系バインダーとカルボキシメチルセルロース(CMC)とを併用したりすることが一般的であるが、特許文献2には、Siなどと黒鉛とを含む負極合剤層のバインダーにポリアクリル酸を使用することで、電池の充放電サイクル特性を高め得ることが開示されている。
また、ポリアクリル酸についてはリチウム塩の存在が知られており、非特許文献1には、Siを負極活物質とする負極合剤層において、ポリアクリル酸のリチウム塩をバインダーに使用することで、電池の充放電サイクル特性を高め得ることが報告されている。
この他、高容量負極材料を用いた電池の充放電サイクル特性の向上が目的ではないが、特許文献3には、ポリアクリル酸のリチウム塩とCMCのナトリウム塩とを併用することで、電極の合剤層を形成するためのスラリーの、集電体への塗布性が向上することが報告されている。
特開2010−212228号公報 特開2007−95670号公報 特開2002−50360号公報
第50回電池討論会講演要旨集 p.333
特許文献1に記載の技術によれば、高容量負極材料を使用することによるリチウム二次電池の高容量化効果を確保しつつ、その充放電サイクル特性も良好にできる。しかしながら、その一方で、高容量負極材料を使用したリチウム二次電池における充放電サイクル特性に要求されるレベルは、今後益々高まることも予想され、これに対応し得る技術の開発も求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量負極材料を使用しても、優れた充放電サイクル特性を発揮し得るリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極、およびそれらの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウム二次電池用負極は、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質、水溶性バインダー、および架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有することを特徴とするものである。
また、本発明のリチウム二次電池は、リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有する正極と、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質を含有する負極と、セパレータと、非水電解液とを有しており、前記負極として、本発明のリチウム二次電池用負極を有することを特徴とするものである。
本発明のリチウム二次電池は、本発明のリチウム二次電池用負極の製造方法により得られた負極を用いる本発明の第1の製造方法によって製造することができる。本発明のリチウム二次電池用負極の製造方法は、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質、水溶性バインダー、および架橋点を持つ平均粒子径が5μm以下の粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に形成した後に、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランのうちの少なくとも一方を0.5〜6質量%含有する処理液に浸漬する工程を有することを特徴とする。
また、本発明のリチウム二次電池は、前記負極として、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質、水溶性バインダー、および架橋点を持つ平均粒子径が5μm以下の粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有するものを使用し、前記非水電解液として、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランのうちの少なくとも一方を0.5〜6質量%含有するものを使用する本発明の第2の製造方法によっても製造することができる。
本発明によれば、高容量負極材料を使用しても、優れた充放電サイクル特性を発揮し得るリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極、およびそれらの製造方法を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に表す平面図である。 図1のリチウム二次電池のI−I線断面図である。
本発明のリチウム二次電池に係る負極は、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質を含有する負極合剤層を、集電体の片面または有している。
そして、本発明のリチウム二次電池の第1の製造方法では、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質、水溶性バインダー、および架橋点を持つ平均粒子径が5μm以下の粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に形成した後に、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランのうちの少なくとも一方を0.5〜6質量%含有する処理液に浸漬する処理する工程を経て得られた負極(すなわち、本発明のリチウム二次電池用負極の製造方法により得られた負極)を使用する。
負極合剤層は、通常、負極活物質およびバインダーなどを溶媒に分散させて調製した負極合剤含有組成物を、集電体表面に塗布し乾燥する工程を経て形成されるが、この負極合剤含有組成物の溶媒に水を用いる場合には、スチレンブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)とを併用することが一般的である。このうち、特にCMCは、負極活物質粒子間の接着や集電体として用いられている銅箔と負極合剤層(負極活物質粒子)との接着を担っており、電池の充電に伴って生じる負極活物質粒子の膨張に起因する負極合剤層の膨張を抑制している。そして、SBRはCMCマトリックス中に分散して存在していると考えられ、SBR自体は負極活物質粒子の膨張に起因する負極合剤層の膨張抑制には関与していないと考えられる。
ここで、リチウム二次電池の負極活物質として一般的な黒鉛を用いる場合には、リチウムイオンの吸蔵時の膨張は10体積%程度と見積もられ、SBRとCMCとの使用比率を調整することで、こうした黒鉛の膨張による負極合剤層の膨張を抑制している。
ところが、リチウムイオンの吸蔵時の膨張量がより大きい高容量負極材料を使用する場合に、黒鉛を負極活物質として用いたときと同程度の量のCMCを負極合剤層に含有させても、CMCが負極活物質粒子間に局所的に存在するに留まることから、電池の充電に伴う負極合剤層の膨張を良好に抑制し得ない。その一方で、負極合剤層中のCMCの量を多くして、高容量負極材料を使用した場合の負極合剤層の膨張を抑制しようとすると、CMCが絶縁性物質であることから、例えば電池の負荷特性が低下してしまう。
負極合剤層のバインダーには、CMC以外にも水溶性のアルギン酸やポリアクリル酸(またはその塩)などの使用が試みられているが、こうした水溶性バインダーでは、CMCと同様の問題が生じ得る。
そこで、本発明のリチウム二次電池の第1の製造方法では、負極活物質および水溶性バインダーと共に、架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有させた負極合剤層を有する負極を、ジメトキシエタン(DME)およびテトラヒドロフラン(THF)のうちの少なくとも一方を0.5〜6質量%含有する処理液に浸漬する処理して使用することとした。
ポリアクリル酸エステルやポリメタクリル酸エステルは、DMEやTHFに溶解し得るが、架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを負極活物質や水溶性バインダーと共に含有する負極合剤層を、DMEやTHFの濃度が前記のように小さい処理液に浸漬すると、水溶性バインダーで接着されている負極活物質粒子間の接着力が向上する。そのため、負極活物質に、電池の充電に伴う膨張量が大きい高容量負極材料を使用していても、負極合剤層の膨張を良好に抑制できる。これにより、電池の充放電に伴って負極合剤層の体積変化量が大きい場合に、充放電を繰り返すことで負極活物質粒子同士の密着性や負極合剤層と負極集電体と密着性が損なわれて負極合剤層内や負極合剤層と負極集電体との間の導電性が低下することによる電池容量の低下を抑制することができ、電池の充放電サイクル特性を高めることが可能となる。
架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを負極活物質や水溶性バインダーと共に含有する負極合剤層を、DMEやTHFの濃度が前記のように小さい処理液に浸漬した場合に、水溶性バインダーで接着されている負極活物質粒子間や負極合剤層と負極集電体との間の接着力が向上する理由は定かではないが、負極合剤層中に粒子状で存在している架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルが、DMEやTHFと接触することで部分的に溶解し、負極活物質粒子間や負極合剤層と負極集電体との間に存在している水溶性バインダーの表面に広がって、この水溶性バインダーを補強しているためではないかと考えている。
前述のような効果を得るためには、架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルは、全体の構造単位(繰り返し単位)に対して架橋点の割合(他の分子鎖との架橋鎖が結合している構造単位の割合)が1〜50モル%であることが望ましい。
また、本発明のリチウム二次電池の第2の製造方法では、架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを負極活物質や水溶性バインダーと共に含有する負極合剤層を有する負極を使用すると共に、DMEおよびTHFのうちの少なくとも一方を0.5〜6質量%含有する非水電解液を使用する。この場合には、リチウム二次電池内において、負極合剤層中の架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが、非水電解液中のDMEやTHFの作用によって、第1の製造方法の場合と同様に負極活物質粒子間や負極合剤層と負極集電体との間の接着力を高めるため、負極活物質に高容量負極材料を使用していても、優れた充放電サイクル特性を確保することができる。
負極合剤層に含有させる架橋点を持つポリアクリル酸エステルの具体例としては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシルなどの各種ポリアクリル酸エステルの架橋体が挙げられる。また、負極合剤層に含有させる架橋点を持つポリメタクリル酸エステルの具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチルなどの各種ポリメタクリル酸エステルの架橋体が挙げられる。負極合剤層には、前記例示の架橋点を持つポリアクリル酸エステルのうちの1種または2種以上を含有させてもよく、前記例示の架橋点を持つポリメタクリル酸エステルのうちの1種または2種以上を含有させてもよく、前記例示の架橋点を持つポリアクリル酸エステルのうちの1種以上と前記例示の架橋点を持つポリメタクリル酸エステルの1種以上とを含有させてもよい。
負極を製造する際に、負極合剤層に含有させる架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルは、粒子状のもので、その平均粒子径が5μm以下、好ましくは3μm以下である。このように平均粒子径の小さな架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルを使用することで、負極合剤層内にこれらの樹脂をより均一に分散させ得ることから、負極活物質粒子同士の間の接着力や負極合剤層と負極集電体との間の接着力を、良好に高めることができる。ただし、平均粒子径が非常に小さいポリアクリル酸エステルやポリメタクリル酸エステルは入手(合成)が困難であることから、これらの粒子の平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
本明細書でいう架橋点を持つポリアクリル酸エステルおよび架橋点を持つポリメタクリル酸エステルの平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置、例えば、日機装社製の「マイクロトラックHRA」などにより測定される数平均粒子径である。
負極合剤層における架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルの含有量(架橋点を持つポリアクリル酸エステルおよび架橋点を持つポリメタクリル酸エステルのうちの1種のみを使用する場合はその含有量であり、複数種を使用する場合はそれらの合計量を意味している。以下、同じ。)は、これらの使用による前記の効果(負極合剤層の膨張を抑制することによるリチウム二次電池の充放電サイクル特性を向上させる効果)をより良好に確保する観点からは、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、負極合剤層中の架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルの量が多すぎると、負極合剤層中の絶縁性材料が増加することになって電極抵抗が大きくなるために、電池の充放電サイクル特性の向上効果が小さくなったり、負荷特性が低下したりする虞がある。よって、負極合剤層における架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
負極合剤層に係る負極活物質の具体例としては、黒鉛〔鱗片状黒鉛などの天然黒鉛;熱分解炭素類、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;など〕、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料;リチウムと合金化可能な金属(Si、Snなど)またはその合金、酸化物;Li窒化物;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの負極活物質の中でも、組成式SiOで表される材料(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である。以下、単に「SiO」と記載する。)、SiまたはSi合金を使用することが好ましい。これらの負極活物質は、所謂高容量負極材料に該当するものであり、容量が大きい一方で充電時の膨張量も大きいものであるが、本発明のリチウム二次電池では、このような負極活物質を使用しても、前記の通り、負極合剤層の膨張を抑制して、優れた充放電サイクル特性を確保できる(以下に記載する「高容量負極材料」は、特に断らない限り、SiO、SiまたはSi合金を意味している。)
Si合金としては、例えば、SiSn、SiCu、SiCr、SiTiなどが挙げられる。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
SiOは、炭素材料と複合化した複合体として使用することができ、例えば、SiOの表面が炭素材料で被覆されていることが好ましい。SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと炭素材料などの導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
負極にSiOと炭素材料との複合体を使用する場合、SiOと炭素材料との比率は、炭素材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、SiO:100質量部に対して、炭素材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、前記複合体において、SiOと複合化する炭素材料の比率が多すぎると、負極合剤層中のSiO量の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、SiO:100質量部に対して、炭素材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
また、負極活物質にSiO、SiまたはSi合金といった高容量負極材料を使用する場合には、黒鉛(前記例示の各種黒鉛)を共に使用することが好ましい。負極活物質に前記高容量負極材料と共に黒鉛を使用することで、高容量負極材料の使用量を低減による容量低下を可及的に抑制しつつ、高容量負極材料の使用による電池の充電時の負極合剤層の膨張をより抑制できるため、電池の充放電サイクル特性をより高めることができる。
負極活物質に前記高容量負極材料と黒鉛とを使用する場合、全負極活物質中における前記高容量負極材料の含有量(SiO、SiおよびSi合金のうちのいずれか1種のみを用いる場合には、その量であり、これらのうちの2種以上を使用する場合には、それらの合計量である。全負極活物質中における前記高容量負極材料の含有量について、以下同じ。)は、前記高容量負極材料を使用することによる高容量化の効果を良好に確保する観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。
また、充電に伴う前記高容量負極材料の膨張による問題をより良好に回避する観点から、全負極活物質中における前記高容量負極材料の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。なお、前記高容量負極材料は、電池の充放電に伴う膨張収縮量が非常に大きいため、従来のリチウム二次電池では、全負極活物質中の前記高容量負極材料の含有量を高めることは困難であったが、本発明においては、前記高容量負極材料の膨張収縮に伴う負極合剤層の体積変化を良好に抑制し得るため、全負極活物質中の前記高容量負極材料の含有量を、このように高く設定することも可能であり、また、負極活物質に前記高容量負極材料のみを使用する(全負極活物質中の前記高容量負極材料の含有量を100質量%とする)ことも可能である。
負極合剤層における負極活物質の含有量は、80〜99質量%であることが好ましい。
負極合剤層のバインダーには水溶性バインダーを使用する。負極合剤層の形成には、通常、負極活物質やバインダーなどを含有する負極合剤を、溶媒に分散(バインダーは溶媒に溶解させててもよい)させた負極合剤含有組成物を使用し、例えば、これを集電体上に塗布し、乾燥する方法が採用されるが、本発明で負極の製造時に負極合剤層に含有させる架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルは有機溶媒に部分的に溶解し得るため、負極合剤層の形成時に粒子形状を維持できない。この場合には、負極合剤層の形成後にDMEやTHFによる処理を行っても、架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルが負極活物質粒子同士の間の接着力向上や、負極合剤層と負極集電体との間の接着力向上に寄与し得なくなる。
一方、水溶性バインダーを使用する場合には、負極合剤含有組成物の溶媒に水を使用することが可能であるため、負極合剤含有組成物中において、架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルが溶解せず、負極合剤層を形成した段階では粒子形状を維持できる。また、理由は定かではないが、水溶性バインダーによって負極活物質粒子同士や負極合剤層と負極集電体とを接着した場合、その接着態様との相性が良好であるためか、架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルによる接着力向上効果がより良好に発現する。
水溶性バインダーの具体例としては、CMC、アルギン酸、ポリアクリル酸またはその塩(ナトリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩などのアルカリ塩など)、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの水溶性バインダーの中でも、架橋点を持つポリアクリル酸エステルや架橋点を持つポリメタクリル酸エステルによる接着力向上効果が特に良好となることから、CMCやアルギン酸がより好ましい。
負極合剤層における水溶性バインダーの含有量は、1〜20質量%であることが好ましい。
また、負極合剤層には、水溶性バインダーと共に、非水溶性バインダーを含有させてもよい。ただし、前記の通り、負極合剤層を形成するための負極合剤含有組成物は、溶媒に水を使用することから、非水溶性バインダーには、水分散体とすることが可能なものが使用され、具体例としては、SBRなどが挙げられる。
負極合剤層に非水溶性バインダーを含有させる場合には、その含有量は、5質量%以下とすることが好ましい。
負極合剤層には、必要に応じて導電助剤を含有させることもできる。負極合剤層に使用可能な導電助剤としては、後述する正極合剤層に係る導電助剤と同じものが挙げられる。負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、導電助剤の使用量は、負極活物質の含有量および水溶性バインダーの含有量が、前記の好適値を満足する範囲内とすることが好ましい。
負極は、例えば、前述した負極活物質、水溶性バインダー、および架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステル、更には必要に応じて使用する導電助剤を、水に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダーは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、10〜100μmであることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池の第1の態様では、負極合剤層を負極集電体上に形成した後の負極を、DMEまたはTHFを含有する処理液で処理して本発明の負極とした後に、電池の組み立て(電極体の形成)に使用する。他方、本発明のリチウム二次電池の第2の態様では、負極合剤層を負極集電体上に形成した後の負極(架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルを粒子状のままで負極合剤層が含有している負極)を、電池の組み立て(電極体の形成)に使用する。
架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを負極合剤層に含有する負極を、DMEまたはTHFを含有する処理液に浸漬して負極とする場合、この処理液はDMEおよびTHFのうちのいずれか一方を含有していてもよく、両方を含有していてもよい。
負極を処理するための前記処理液におけるDMEまたはTHFの含有量(DMEおよびTHFのいずれか一方のみを使用する場合は、その量であり、両方を使用する場合は、それらの合計量を意味している。以下、同じ。)は、架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルによる水溶性バインダーの接着力向上効果を良好に確保する観点から、0.5質量%以上とする。ただし、前記処理液中のDMEやTHFの量が多すぎると、却って架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルによる水溶性バインダーの接着力向上効果が小さくなる虞がある。よって、前記処理液におけるDMEまたはTHFの含有量は、6質量%以下とする。
前記処理液におけるDMEおよびTHF以外の成分としては、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒を使用することができる。
本発明のリチウム二次電池に係る正極は、第1の製造方法で製造する場合および第2の製造方法で製造する場合のいずれにおいても、同じものが使用できる。すなわち、リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有しており、例えば、前記活物質、バインダーおよび導電助剤を含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造の正極が使用できる。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な、リチウムを含む遷移金属複合酸化物(リチウム含有遷移金属複合酸化物)が使用される。リチウム含有遷移金属複合酸化物としては、従来から知られているリチウム二次電池に使用されているもの、具体的には、LiCoO(ただし、0≦y≦1.1である。)、LiNiO(ただし、0≦z≦1.1である。)、LiMnO(ただし、0≦e≦1.1である。)、LiCo 1-b(ただし、Mは、Mg、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Al、Ti、GeおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、0≦a≦1.1、0<b<1.0である。)、LiNi1−d (ただし、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Ti、GeおよびCrよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、0≦c≦1.1、0<d<1.0である。)、LiMnNiCo1−g−h(ただし、0≦f≦1.1、0<g<1.0、0<h<1.0である。)などの層状構造を有するリチウム含有遷移金属複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
正極合剤層に係るバインダーとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、CMC、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、SBR、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどのゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;アルミニウム粉、ニッケル粉、銅粉、銀粉などの金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウムなどからなる導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)などの有機導電性材料;などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
正極は、例えば、正極活物質や、バインダー、導電助剤などを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダーは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造される。ただし、正極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
正極集電体としては、従来から知られているリチウム二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、正極集電体の材質は、構成されたリチウム二次電池において化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素、導電性樹脂などの他に、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレス鋼の表面に炭素層またはチタン層を形成した複合材などを用いることができる。これらの中でも、アルミニウムまたはアルミニウム合金が特に好ましい。これらは、軽量で電子伝導性が高いからである。正極集電体には、例えば、前記材質からなるフォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが使用される。また、正極集電体の表面に、表面処理を施して凹凸を付けることもできる。正極集電体の厚みは特に限定されないが、通常1〜500μmである。
正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質の量が60〜98質量%であることが好ましく、バインダーの量が1〜15質量%であることが好ましく、導電助剤の量が1〜25質量%であることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、例えば、正極集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池の第1の製造方法においては、本発明の製造方法によって得られた負極(DMEまたはTHFを含有する処理液によって処理した後の負極)と前記の正極とを、セパレータを介して積層した電極体(積層電極体)や、更にこの積層体を渦巻状に巻回した電極体(巻回電極体)として使用する。また、本発明のリチウム二次電池の第2の製造方法においては、架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを負極合剤層に含有する前記の負極と、前記の正極とを、セパレータを介して積層した電極体(積層電極体)や、更にこの積層体を渦巻状に巻回した電極体(巻回電極体)として使用する。
本発明のリチウム二次電池に係るセパレータとしては、強度が十分で、かつ非水電解液を多く保持できるものがよく、例えば、厚みが5〜50μmで開口率が30〜70%の、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、エチレン−プロピレン共重合体を含んでいてもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
更に、セパレータには、融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層と、融点が150℃以上の樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層とから構成された積層型のセパレータを使用することができる。ここで、「融点」とは日本工業規格(JIS) K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味し、「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
セパレータ(ポリオレフィン製の微多孔膜からなるセパレータや、前記積層型のセパレータ)の厚みは、10〜30μmであることがより好ましい。
本発明のリチウム二次電池に係る非水電解液には、有機溶媒にリチウム塩(無機リチウム塩もしくは有機リチウム塩またはその両者)を溶解させることによって調製した電解液を使用することができる。
非水電解液に係る有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC),ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、アミンイミド系有機溶媒や、含イオウまたは含フッ素系有機溶媒なども用いることができる。これらの中でも、ECとMECとDECとの混合溶媒が好ましく、この場合、混合溶媒の全容量に対して、DECを15体積%以上80体積%以下の量で含むことがより好ましい。このような混合溶媒であれば、電池の低温特性や充放電サイクル特性を高く維持しつつ、高電圧充電時における溶媒の安定性を高めることができるからである。
非水電解液を構成するための無機リチウム塩としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸Li、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランLi、四フェニルホウ酸Liなどが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
非水電解液を構成するための有機リチウム塩としては、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(2≦n≦7)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基を示す。〕などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
これらの非水電解液の中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびメチルエチルカーボネートより選ばれる少なくとも1種の鎖状カーボネートと、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートより選ばれる少なくとも1種の環状カーボネートとを含む溶媒に、LiPFを溶解した電解液が好ましい。
非水電解液中のリチウム塩の濃度は、例えば、0.2〜3.0mol/Lであることが適当であり、0.8〜2.0mol/Lであることが好ましく、0.9〜1.6mol/Lであることがより好ましい。
また、リチウム二次電池の充放電サイクル特性の更なる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、前記の非水電解液に、例えば、無水酸、スルホン酸エステル、ジニトリル、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビニレンカーボネート(VC)、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼン、環状フッ素化カーボネート〔トリフルオロプロピレンカーボネート(TFPC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)など〕、または、鎖状フッ素化カーボネート〔トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)、トリフルオロジエチルカーボネート(TFDEC)、トリフルオロエチルメチルカーボネート(TFEMC)など〕など(前記の各化合物の誘導体も含む)を適宜含有させることもできる。なお、前記環状フッ素化カーボネートおよび鎖状フッ素化カーボネートは、エチレンカーボネートなどのように、溶媒として用いることもできる。
また、前記の非水電解液に公知のポリマーなどのゲル化剤を添加してゲル状としたもの(ゲル状電解質)を、本発明のリチウム二次電池に使用してもよい。
なお、本発明のリチウム二次電池の第2の製造方法においては、前記のような非水電解液に、DMEおよびTHFのうちの少なくとも一方を含有させる。本発明のリチウム二次電池の第2の製造方法では、前記の通り、架橋点を持つ粒子状のポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を有する負極を使用し、電池内において、非水電解液中のDMEまたはTHFの作用によって、架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルが負極活物質粒子同士の間の接着力や負極合剤層と負極集電体との間の接着力を高め得るようにして、電池の充放電サイクル特性を向上させる。
本発明のリチウム二次電池の第2の製造方法で使用する非水電解液は、DMEおよびTHFのうちのいずれか一方のみを含有していてもよく、両方を含有していてもよい。この非水電解液におけるDMEまたはTHFの含有量(DMEおよびTHFのいずれか一方のみを使用する場合は、その量であり、両方を使用する場合は、それらの合計量を意味している。以下、同じ。)は、架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルによる水溶性バインダーの接着力向上効果をより良好に確保する観点から、0.5質量%以上とする。ただし、非水電解液中のDMEやTHFの量が多すぎると、却って架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたは架橋点を持つポリメタクリル酸エステルによる水溶性バインダーの接着力向上効果が小さくなる虞がある。よって、非水電解液におけるDMEまたはTHFの含有量は、6質量%以下とする。
本発明のリチウム二次電池の形態については、特に制限はない。例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、扁平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。
本発明のリチウム二次電池は、高容量の負極材料を使用しても優れた充放電サイクル特性を発揮し得ることから、これらの特性を生かして、小型で多機能な携帯機器の電源を始めとして、従来から知られているリチウム二次電池が適用されている各種用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:93質量部、導電助剤であるカーボンブラック:3質量部、およびバインダーであるPVDF:4質量部を、溶媒であるNMPを用いて均一になるように混合して正極合剤含有スラリーを調製した。この正極合剤含有スラリーを、厚みが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に塗布し、乾燥した後、ローラープレス機により加圧成形することにより、正極集電体の片面に厚みが70μmの正極合剤層を形成した。その後、これを25mm×35mmに切断して短冊状の正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質として、黒鉛とSiO(非晶質のSiOマトリックス中にSiが分散した構造で、SiOとSiとのモル比が1:1である材料)とを、4:1の質量比で含む混合物を用意した。この負極活物質と、導電助剤であるカーボンブラックとを、PMMA(全体の構造単位に対して架橋点の割合が30モル%)の水分散体(PMMAの含有量が30質量%、PMMAの平均粒子径0.6μm)と、CMCの2質量%濃度の水溶液とを加え、純水で全体の粘度を調整して負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーにおいて、負極活物質とカーボンブラックとPMMAとCMCとの組成比(質量比)は、94:1:2:3とした。
前記の負極合剤含有スラリーを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の片面に塗布し、乾燥した後、ローラープレス機により加圧成形することにより、負極集電体の片面に厚みが50μmの負極合剤層を形成した。その後、これを30mm×35mmに切断して短冊状の負極を得た。
<電池の組み立て>
前記の正極と前記の負極とを、PE製微多孔膜セパレータ(厚み25μm、空孔率45%)を介在させつつ重ね合わせて積層電極体とした。この積層電極体を10cm×20cmのアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体内に挿入した。次に、ECとDECとMECとを1:1:1の体積比で混合した溶液にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた後、更にVCを1質量%となる量で溶解させ、DMEを2質量%となる量で加えて調製した非水電解液を外装体内に注入した。その後、外装体の開口部を封口して、図1に示す外観で、図2に示す断面構造のリチウム二次電池を作製した。なお、このリチウム二次電池では、正極容量に対する負極容量の比を0.9とすることで正極容量によって電池容量を規制している(電池容量30mAh。以下の各実施例および比較例のリチウム二次電池も同様である。)。
ここで、図1および図2について説明すると、図1はリチウム二次電池を模式的に表す平面図であり、図2は、図1のI−I線断面図である。リチウム二次電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成した外装体2内に、正極5と負極6とをセパレータ7を介して積層して構成した積層電極体と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、外装体2は、その外周部において、上下のラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、図2では、図面が煩雑になることを避けるために、外装体2を構成している各層、並びに正極5および負極6の各層を区別して示していない。
正極5は、電池1内でリード体を介して正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、負極6も、電池1内でリード体を介して負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側がラミネートフィルム外装体2の外側に引き出されている。
実施例2
負極活物質とカーボンブラックとPMMAとCMCとの組成比(質量比)を、92:1:4:3に変更した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例3
DMEの量を1質量%に変更した以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例4
DMEの量を5質量%に変更した以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例5
純水で全体の粘度を調整する前にSBRを30質量%含有する水分散体を投入した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーにおいて、負極活物質とカーボンブラックとPMMAとCMCとSBRとの組成比(質量比)は、93:1:2:3:1とした。
そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例6
CMCの水溶液に代えて、全カルボキシル基のうちの60%をNa置換したポリアクリル酸の5質量%濃度の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーにおいて、負極活物質とカーボンブラックとPMMAとポリアクリル酸との組成比(質量比)は、94:1:2:3とした。
そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例7
CMCの水溶液に代えて、アルギン酸の2質量%濃度の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーにおいて、負極活物質とカーボンブラックとPMMAとアルギン酸との組成比(質量比)は、94:1:2:3とした。
そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例8
DMEに代えてTHFを3質量%となる量で加えた以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例9
実施例1と同様にして作製した負極を、DMEの濃度が3質量%となるようにアセトンと混合して調製した処理液に10時間浸漬した後、100℃で24時間真空乾燥した。
この負極を用い、更にECとDECとMECとを1:1:1の体積比で混合した溶液にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた後、更にVCを1質量%となる量で溶解させた非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして、リチウム二次電池を作製した。
比較例1
PMMAの水分散液を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製し、この負極合剤含有スラリーを用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。前記負極合剤含有スラリーにおいて、負極活物質とカーボンブラックとCMCとの組成比(質量比)は、94:1:3とした。また、DMEを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製した。
そして、前記の負極と前記の非水電解液とを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例2
比較例1で作製したものと同じ負極(負極合剤層中にPMMA粒子を含有しない負極)を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例3
DMEを添加しなかった以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例4
DMEの量を0.3質量%に変更した以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例5
DMEの量を10質量%に変更した以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例6
PMMAの水分散体に含まれるPMMAの平均粒子径を10μmに変更した以外は、実施例1と同様にして負極合剤含有スラリーを調製し、この負極合剤含有スラリーを用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例7
実施例1で用いたものと同じ負極活物質および導電助剤と、PMMA粒子(平均粒子径2μm)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の10質量%濃度のNMP溶液とを用いて、負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーにおいて、負極活物質とカーボンブラックとPMMAとPVDFとの組成比(質量比)は、94:1:2:3とした。
そして、前記の負極合剤含有スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例および比較例の各リチウム二次電池、およびこれらの電池に使用した負極について、以下の各評価を行った。
<充放電サイクル特性評価>
実施例および比較例の各リチウム二次電池を、10mAの定電流で4.2Vまで充電し、続いて4.2Vの定電圧で充電した。定電流充電と定電圧充電との総充電時間は5時間とした。そして、充電後の各電池を、10mAの定電流で2.5Vになるまで放電させた。前記の定電流−定電圧充電と、その後の定電流放電とを行う一連の操作を1サイクルとして、これらを200サイクル行った。そして、各電池について、200サイクル目の放電容量を初回放電容量で除した値を百分率で表して、容量維持率を求めた。
<負極合剤層と集電体との間の接着強度評価>
実施例および比較例の各リチウム二次電池に使用した負極と同じ負極を用意し、それぞれの負極合剤層に、1マスが2mm×2mmの碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、その部分に粘着テープを押し付けて剥がすことにより、負極合剤層が集電体から剥離する程度を調べて、負極合剤層と集電体との間の剥離強度を判断した。
負極合剤層と集電体との間の剥離強度が大きいものは、粘着テープを剥がしたときの集電体の露出部分が小さくなる。よって、本評価では、碁盤目状のマス目での集電体の剥離面積が30%未満の場合を◎、同剥離面積が30%以上50%未満の場合を○、同剥離面積が50%以上の場合を×として分類した。
<リチウム二次電池の充放電による負極の厚み変化量の測定>
実施例および比較例の各リチウム二次電池について、前記の充放電サイクル特性評価時と同じ条件で3サイクルの充放電を行った。その後、各電池を分解して負極を取り出し、表面に付着している非水電解液を除去してから、ノギスを用いて負極の厚み(充放電後の負極の厚み)を測定した。そして、リチウム二次電池の組み立て前に予めノギスを用いて測定しておいた負極の厚みと、充放電後の負極の厚みとの差から、電池の充放電による負極の厚み変化量を求めた。
前記の各評価結果を表1に示す。
Figure 2017134923
表1における「接着強度」は、負極合剤層と集電体との間の接着強度を意味しており、「充放電による負極の厚みの変化量」は、リチウム二次電池の充放電による負極の厚み変化量を意味している。
表1に示す通り、架橋点を持ち、適正な平均粒子径のPMMA粒子を負極合剤層に含有する負極と、適正な量のDMEまたはTHFを含有する非水電解液とを用いた実施例1〜8のリチウム二次電池(本発明の第2の態様に該当するリチウム二次電池)、および架橋点を持ち、適正な平均粒子径のPMMA粒子を負極合剤層に含有する負極を、適正な組成の処理液で処理した後に用いた実施例9のリチウム二次電池(本発明の第1の態様に該当するリチウム二次電池)は、200サイクル目の容量維持率が高く、良好な充放電サイクル特性を有していた。これらのリチウム二次電池に用いた負極は、負極合剤層と集電体との間の接着強度が大きくなっており、また、充放電による負極の厚みの変化量が小さく、充電に伴う負極合剤層の膨張が抑制されており、これらの作用によって、リチウム二次電池の充放電サイクル特性が向上したといえる。
なお、負極合剤層中の架橋点を持つPMMA粒子の含有量を変更した実施例1、2のリチウム二次電池を比較すると、架橋点を持つPMMA粒子の含有量を多くした実施例2の電池では、相対的に負極活物質の量が減少したために初期容量は低下したものの、200サイクル目の容量維持率はより向上した。また、非水電解液中のDMEの含有量を適正範囲内で変えた実施例1、3、4のリチウム二次電池を比較すると、DMEの含有量を多くすることで初期容量は僅かに低下したものの、負極の膨張はより抑制されており、これによって200サイクル目の容量維持率がより向上した。
これに対し、架橋点を持つPMMA粒子を含有しない負極合剤層を有する負極を用いた比較例1、2の電池、DMEやTHFを含有しないか、これらの量が少ない非水電解液を用いた比較例3、4の電池、および粒径の大きい架橋点を持つPMMA粒子を含有する負極合剤層を有する負極を用いた比較例6の電池は、充放電による負極の厚みの変化量が大きく充電に伴う負極合剤層の膨張が抑制されていないため、200サイクル目の容量維持率が低く、充放電サイクル特性が劣っていた。また、DMEの量が多い非水電解液を用いた比較例5の電池、およびバインダーを非水溶性のPVDFに代え、これに合わせて負極合剤含有スラリーの溶媒を有機溶媒(NMP)に代えて作製した負極を用いた比較例7の電池は、負極合剤層と集電体との間の接着強度が小さく、かつ充放電による負極の厚みの変化量が大きく充電に伴う負極合剤層の膨張が抑制されていないため、やはり200サイクル目の容量維持率が低く、充放電サイクル特性が劣っていた。
1 リチウム二次電池
2 外装体
5 正極
6 負極
7 セパレータ

Claims (14)

  1. リチウム二次電池に使用される負極であって、
    リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質、水溶性バインダー、および架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有することを特徴とするリチウム二次電池用負極。
  2. 前記水溶性バインダーとして、カルボキシメチルセルロースまたはアルギン酸を含有している請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
  3. 前記活物質として、組成式SiOで表される材料(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である)、SiまたはSi合金を含有している請求項1または2に記載のリチウム二次電池用負極。
  4. 前記活物質として、黒鉛と、組成式SiOで表される材料(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である)、SiまたはSi合金とを含有している請求項3に記載のリチウム二次電池用負極。
  5. リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有する正極と、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質を含有する負極と、セパレータと、非水電解液とを有するリチウム二次電池であって、
    前記負極として、請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極を有することを特徴とするリチウム二次電池。
  6. リチウム二次電池に使用される負極を製造する方法であって、
    リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質、水溶性バインダー、および平均粒子径が5μm以下の粒子状の架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に形成した後に、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランのうちの少なくとも一方を0.5〜6質量%含有する処理液に浸漬する工程を有することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
  7. 前記水溶性バインダーとして、カルボキシメチルセルロースまたはアルギン酸を使用する請求項6に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  8. 前記活物質として、組成式SiOで表される材料(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である)、SiまたはSi合金を使用する請求項6または7に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  9. 前記活物質として、黒鉛と、組成式SiOで表される材料(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である)、SiまたはSi合金とを使用する請求項8に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  10. リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有する正極と、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質を含有する負極と、セパレータと、非水電解液とを有するリチウム二次電池を製造する方法であって、
    前記負極として、請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法により得られたリチウム二次電池用負極を用いることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  11. リチウムを含む遷移金属複合酸化物を活物質として含有する正極と、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質を含有する負極と、セパレータと、非水電解液とを有するリチウム二次電池の製造方法であって、
    前記負極として、リチウムイオンを吸蔵および脱離可能な活物質、水溶性バインダー、および平均粒子径が5μm以下の粒子状の架橋点を持つポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有するものを使用し、
    前記非水電解液として、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランのうちの少なくとも一方を0.5〜6質量%含有するものを使用することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  12. 前記負極の水溶性バインダーとして、カルボキシメチルセルロースまたはアルギン酸を使用する請求項11に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  13. 前記負極の活物質として、組成式SiOで表される材料(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である)、SiまたはSi合金を使用する請求項11または12に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  14. 前記負極の活物質として、黒鉛と、組成式SiOで表される材料(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である)、SiまたはSi合金とを使用する請求項13に記載のリチウム二次電池の製造方法。
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