先ず、一実施形態の距離測定装置1の説明に先立って、比較例の距離測定装置1´について説明する。
《比較例》
距離測定装置1´は、一例として、移動体としての車両の前端部のナンバープレート近傍に取り付けられている。
図1には、比較例の距離測定装置1´の構成が概略的に示されている。距離測定装置1´は、投光系10と、受光系20と、タイミング制御部31と、距離演算部32と、を備えている。
投光系10は、2つの光源1、2と、光源1、2をそれぞれ駆動する2つの駆動回路1、2と、各光源からの光を車両前方に向けて投射する投射光学系(不図示)と、を有する。各光源としては、例えば半導体レーザや発光ダイオードが用いられる。
駆動回路1、2は、タイミング制御部31からの変調信号(パルス信号)が入力されると該変調信号に応じた変調電流をそれぞれ光源1、2に印加する。この結果、光源1、2から変調電流に応じた変調光が射出され投射光学系を介して照射光パルスLeとして投光される。このとき、投光系10の投光範囲(投射光学系の投射範囲)の射程圏内(光源1、2の光出力の和で検出可能な範囲内)に測定対象の物体(測定対象物)があれば、投光された光(照射光パルスLe)が該物体に照射される。
受光系20は、複数の画素に個別に対応する2次元配列された複数の受光素子(例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ等)を含むエリアセンサ21と、物体からの反射光をエリアセンサ21に導く、集光素子を含む受光光学系(不図示)と、を有する。
エリアセンサ21の各受光素子は、2つの電荷蓄積部A、Bを有している。各受光素子は、物体に照射され該物体で反射された変調された光(反射光パルスLr)を受光し、タイミング制御部31からのタイミング信号A、Bに従って、受光した光によって発生する電荷の蓄積を行う。
具体的には、各受光素子は、タイミング信号Aが“H”のときは電荷蓄積部Aに、タイミング信号Bが“H”のときは電荷蓄積部Bに蓄積を行う。
タイミング制御部31は、変調信号、タイミング信号A、タイミング信号Bを繰り返し出力し、これにより電荷がどんどん蓄積されていく。そして、電荷の蓄積を所定回数繰り返した後、変調信号、タイミング信号A、タイミング信号Bの出力をストップさせ、受光データ出力指示信号をエリアセンサ21に出力する。
エリアセンサ21は、各受光素子の電荷蓄積部A、Bに蓄積された電荷量を受光データA、受光データBとして順次出力する。
距離演算部32は、タイミング制御部31からの距離演算指示信号を受け、エリアセンサ21から送られてくる受光データA、Bを用いて各画素における距離データを算出し、距離画像を生成する。生成された距離画像は、車両のECU(エレクトロニック コントロール ユニット)に送られ、オートブレーキ等の制動制御やオートステアリング等の操舵制御に用いられる。なお、「距離画像」とは、複数の画素それぞれのデータが測定対象物までの距離を表している画像を意味する。
タイミング制御部31は、変調信号、タイミング信号A、Bを所定回数繰り返し生成し、駆動回路1、2、エリアセンサ21に出力し、その後、受光データ出力指示信号をエリアセンサ21に出力し、距離演算指示信号を距離演算部32に出力する。
図2には、変調信号、タイミング信号A、B、照射光パルスLe、反射光パルスLrのタイムチャートが示されている。
図2(a)に示される変調信号は、パルス幅Tw(パルス時間幅)のパルス信号である。
図2(b)に示される照射光パルスLeは、投光系10から投光される光であり、変調信号の入力タイミングから各駆動回路による遅延時間tdを伴って出力される。
図2(c)に示される反射光パルスLrは、照射光パルスLeが物体で反射されエリアセンサ21で受光される光である。この光の波形は、照射光パルスLeの波形と略同一であり、照射光パルスLeの立ち上がりタイミング(光源の発光タイミング)から時間τ遅れてエリアセンサ21に入射される。
この時間τは、投光系10から照射光パルスLeが投光されてから物体で反射されエリアセンサ21に入射するまでの時間であり、物体までの距離によって変わる。つまり、時間τが分かれば、光の速度Cを用いて、次の(1)式によって、物体までの距離Dを求めることができる。
D=τ×C/2・・・(1)
図2(d)、図2(e)には、タイミング制御部31からエリアセンサ21に出力される、電荷蓄積タイミングを示す信号であるタイミング信号A、Bがそれぞれ示されている。
タイミング信号Aは、照射光パルスLeと同じタイミングで“H”とされ、パルス幅Tw後に“L”とされる。そして、タイミング信号Bは、タイミング信号Aが“L”になると同時に“H”とされ、パルス幅Tw後に“L”とされる。タイミング信号Aが“H”の期間には電荷蓄積部Aへ電荷の蓄積が行われるので、図2(d)のAの部分に相当する電荷が蓄積される。タイミング信号Bが“H”の期間には電荷蓄積部Bへ電荷の蓄積が行われるので、図2(e)のBの部分に相当する電荷が蓄積される。ここで、時間τが0≦τ≦Twの範囲であれば、次の(2)式が成立する。
τ/Tw=B/(A+B)・・・(2)
そこで、距離Dを、上記(1)式、(2)式を用いて、次式によって求めることができる。
D=B/(A+B)×Tw×C/2
図3には、光源1、2をそれぞれ光源とするパルス幅が同一(Tw)の照射光パルスLe1、Le2の少なくとも一部が重なった照射光パルスLeの波形が示されている。
図3(a)は、投光系10における駆動回路1、2において変調信号に対する遅延が同じ場合を示しており、光源1のみによる照射光パルスLe1と光源2のみによる照射光パルスLe2の立ち上がり、立ち下りのタイミングは同じであり、照射光パルスLe1、Le2の略全部が重なった照射光パルスLeは、強度(パルス振幅)が照射光パルスLe1、Le2の強度を加算した大きさであり、パルス幅がTwである。
図3(b)は、投光系10における駆動回路1、2をそれぞれ構成する回路素子や配線の性能ばらつきにより、駆動回路間で変調信号に対する遅延が異なる場合を示している。ここでは駆動回路1の遅延よりも駆動回路2の遅延の方が小さく、照射光パルスLe2が照射光パルスLe1よりもteだけ早く立ち上がり、teだけ早く立ち下がる様子が示されている。このように立ち上り、立ち下がりのタイミングがずれた照射光パルスLe1、Le2が重なってできる照射光パルスLeの波形は、図3(b)に示されるように、パルス幅Tw+teの波形となってしまい、測定対象物で反射されエリアセンサ21に入射される光も同じパルス幅Tw+teの波形となってしまう。
図4には、上記パルス幅Tw+teの波形がエリアセンサ21に入射されたときの電荷蓄積部A、Bにおける電荷蓄積の様子が示されている。
図4に示されるように、電荷蓄積部Aの電荷蓄積量はA+αとなり、図2の電荷蓄積量と比較してαだけ増えてしまう。一方、電荷蓄積部Bの電荷蓄積量はB−αとなり、図2の電荷蓄積量と比較してαだけ少なくなってしまう。
このように、比較例では、電荷蓄積部Aと電荷蓄積部Bの電荷蓄積量が変わってしまうので距離測定に誤差が生じてしまう。
そこで、発明者らは、このような誤差を低減するために、本実施形態の距離測定装置1を開発した。
《実施形態》
以下に、本実施形態の距離測定装置1について説明する。図5には、本実施形態の距離測定装置1の構成が概略的に示されている。
距離測定装置1は、一例として、移動体としての車両の前端部のナンバープレート近傍に取り付けられている。なお、距離測定装置1が搭載される移動体としては、車両の他に、航空機、船舶、ロボット等が挙げられる。
距離測定装置1は、投光系10と、受光系20と、タイミング制御手段41(調整手段)及び距離演算部42(演算手段)を含む制御装置40と、を備えている。
投光系10は、2つの光源1、2と、光源1、2をそれぞれ駆動する2つの駆動回路1、2と、各光源からの光を車両前方に向けて投射する投射光学系(不図示)と、を有する。各光源としては、例えば半導体レーザ(端面発光レーザ(LD)や面発光レーザ(VCSEL))、発光ダイオード等の発光素子が好適であるが、他の発光素子を用いても良い。
駆動回路1は、タイミング制御手段41からの駆動回路ON信号1が“H”レベルのときに変調信号1に応じた変調電流1を光源1に印加し、駆動回路ON信号1が“L”レベルのときは常に駆動電流をOFFとする。
駆動回路2は、タイミング制御手段41からの駆動回路ON信号2が“H”レベルのときに変調信号2に応じた変調電流2を光源2に印加し、駆動回路ON信号2が“L”レベルのときは常に駆動電流をOFFとする。
光源1は変調電流1に応じた変調光を射出し、該変調光は投射光学系によって照射光パルスLe1として投光される。
光源2は変調電流2に応じた変調光を射出し、該変調光は投射光学系によって照射光パルスLe2として投光される。
すなわち、投光系10から投光される照射光パルスLeは、照射光パルスLe1と照射光パルスLe2が重なった光である。
この際、投光系10の投光範囲(投射光学系の投射範囲)の射程圏内(光源1、2の光出力の和で検出可能な範囲内)に測定対象の物体(測定対象物)があれば、投光された光(照射光パルスLe)が該物体に照射される。
投射光学系は、例えば光偏向器を含む走査型及び例えば拡散板を含む非走査型のいずれであっても良いが、車両前方のセンシング(物体検出)に必要な水平方向及び垂直方向の投射範囲を確保できるものが好ましい。
走査型の投射光学系は、コリメートした光を投射するので、測定対象物上での照射パワー密度は比較的大きくなり、光学的SN比を大きくすることができる。一方、非走査型の投射光学系は、広がりのある光を投射するので、一度の投射で測定対象物の多点の距離を同時に測定することができ、高解像度の空間分布を高速に得ることができる。
受光系20は、複数の画素に個別に対応する2次元配列された複数の受光素子(例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ等)を含むエリアセンサ21と、物体からの反射光をエリアセンサ21に導く、集光素子を含む受光光学系(不図示)と、を有する。
エリアセンサ21の各受光素子は、2つの電荷蓄積部A、Bを有している。各受光素子は、物体に照射され該物体で反射された変調された光(反射光パルスLr)を受光し、タイミング制御手段41からのタイミング信号A、Bに従って、受光した光によって発生する電荷の蓄積を行う。
具体的には、各受光素子は、タイミング信号Aが“H”のときは電荷蓄積部Aに電荷の蓄積を行い、タイミング信号Bが“H”のときは電荷蓄積部Bに電荷の積を行う。
タイミング制御手段41は、変調信号1、2、タイミング信号A、Bを繰り返し出力し、これにより電荷がどんどん蓄積されていく。そして、電荷の蓄積を所定回数繰り返した後、変調信号1、2、タイミング信号A、Bの出力をストップさせ、受光データ出力指示信号をエリアセンサ21に出力する。
エリアセンサ21は、各受光素子の電荷蓄積部A、Bに蓄積された電荷量を受光データA、Bとして順次出力する。
距離演算部42は、タイミング制御手段41からの距離演算指示信号を受け、エリアセンサ21から送られてくる受光データA、Bを用いて各画素における距離データを算出し、距離画像を生成する。受光データA、Bから距離データを算出する方法は、前述した通りである。
タイミング制御手段41は、遅延素子1、2、調整制御部41a、信号生成部41bを含んで構成されている。
遅延素子1は、調整制御部41aからの遅延調整信号1のレベルに従って、信号生成部で生成された変調信号Xを遅延させて変調信号1として出力する。
遅延素子2は、調整制御部41aからの遅延調整信号2のレベルに従って、信号生成部で生成された変調信号Xを遅延させて変調信号2として出力する。
以上のように遅延調整信号1、2により、光源1、2の点灯タイミング(照射光パルスLe1、Le2の立ち上りタイミング)を変えることができる。
信号生成部41bは、パルス状又は正弦波の変調信号Xを生成し、遅延素子1、2に所定回数繰り返し出力する。また、信号生成部41bは、変調信号Xと同じ波形のタイミング信号A、Bを、後述する調整制御部41aからの遅延情報を基に生成し、エリアセンサ21に所定回数繰り返し出力する。
ここで、タイミング信号Aの出力タイミングを、図2に示されるように、照射光パルスLeの立ち上がりタイミング(光源1の発光タイミング)と合わせる必要がある。上記遅延情報は変調信号Xの出力タイミングから照射光パルスLeが立ち上がるまでの遅延時間であり、これを基にタイミング信号Aの出力タイミングを光源1の発光タイミングと合わせることができる。このようにしてタイミング信号Aを照射光パルスLeと同じタイミングで“H”とし、パルス幅Tw後に“L”とする。そして、タイミング信号Bは、タイミング信号Aが“L”になると同時に“H”にし、パルス幅Tw後に“L”とする。
さらに、信号生成部41bは、変調信号X、タイミング信号A、Bを所定回数繰り返し生成、出力した後、受光データ出力指示信号をエリアセンサ21に出力し、距離演算指示信号を距離演算部42に出力する。
調整制御部41aは、遅延素子1、2の遅延量を制御する遅延調整信号1、2を、距離演算部42からの距離データを基に生成する。また、調整制御部41aは、投光系10の駆動回路1、2のオンオフを制御する駆動回路ON信号1、駆動回路ON信号2を生成する。そして、調整制御部41aは、これらの信号を制御して光源1、2の発光タイミングのずれを補正する。
以下に、本実施形態の距離測定装置1における光源1と光源2の発光タイミングのずれを補正する方法(発光タイミングずれ補正処理)について、図6を参照して説明する。図6のフローチャートは、制御装置40によって実行される処理アルゴリズムに基づいている。ここでは、発光タイミングずれ補正処理は、駆動回路1、2を構成する回路素子や配線の製造時や経時の性能ばらつきを考慮して定期的に行われるが、不定期(例えば装置起動時)に行っても良い。
ここで、発光タイミングずれ補正処理を実行するにあたって、所定の反射率を有する基準反射体を測定対象物として、投光系10の投光範囲における参照基準となる基準距離Drefの位置に配置する。「基準距離Dref」は、光源1のみを点灯して基準反射体を検出可能な距離である。基準距離Drefは、光源1の光出力(発光光量)と基準反射体の反射率によって概ね決まる。
なお、光は距離の2乗に反比例して減衰するので、距離が離れるほど光が弱くなる。遠くの距離でも距離測定できるように光源1と光源2の2つの光源を使って遠くの場所での照射光量を確保できるが、測定対象物が近くにあれば光源1だけでも照射光量が確保でき距離測定が可能となる
最初のステップS1では、光源1のみを点灯させて距離測定を行う。
具体的には、調整制御部41aが駆動回路ON信号1を“H”レベルに、駆動回路ON信号2を“L”レベルに設定する。
次いで、調整制御部41aが遅延調整信号1を所定の値に設定し、遅延調整信号1の値及び駆動回路1の遅延量の代表値を考慮して、遅延情報を生成し、信号生成部41bに出力する。
信号生成部41bでは、変調信号Xを生成するとともに、該変調信号X及び上記遅延情報に基づいてタイミング信号A、Bを生成する。このとき、駆動回路ON信号1のみが“H”レベルなので、変調信号Xから遅延調整信号1に従った遅延を伴って出力される変調信号1に従って光源1のみが発光する。
この結果、光源1のみによる照射光パルスLe1が基準反射体に照射され、該基準反射体からの反射光パルスLrがエリアセンサ21で受光され、タイミング信号A、Bに従って電荷蓄積部A、Bにそれぞれ電荷が蓄積される。
電荷蓄積部A、Bの電荷蓄積データを受光データA、Bとして距離演算部32に出力し、距離演算を行い、測定距離1を算出する。
ここで、駆動回路1の遅延量は、回路素子や配線の性能ばらつきにより代表値と異なっている場合がある。この場合、光源1の発光タイミングと、該代表値に基づくタイミング信号Aの出力タイミングとにずれが生じ、測定距離1が基準距離Drefと一致しなくなる。逆に言うと、測定距離1と基準距離Drefが一致していない場合には、光源1の発光タイミング(照射光パルスLe1の立ち上りタイミング)とタイミング信号Aの出力タイミングとにずれが生じていることになる。
そこで、次のステップS2では、測定距離と基準距離Drefが一致しているか否かを判断する。ここでの判断が否定されるとステップS3に移行し、肯定されるとステップS4に移行する。
ステップS3では、光源1の発光タイミングを調整する。具体的には、測定距離と基準距離Drefの差に基づいて遅延調整信号1を生成し遅延素子1に出力する。そして、遅延素子1で変調信号Xを遅延調整信号1に従って遅延させた変調信号1を駆動回路1に出力する。駆動回路1から光源1に変調信号1に応じた変調電流1が印加され、光源1から変調電流1に応じた変調光である照射光パルスLe1が射出される。
ステップS3が実行されると、ステップS1に戻る。そして、ステップS1で光源1のみを点灯させて距離測定を再度行い、ステップS2で測定距離1が基準距離Drefと一致しているかを確認する。
ステップS4では、光源1、2を点灯させて距離測定を行う。
具体的には、調整制御部41aが、駆動信号ON信号1に加えて駆動回路ON信号2も“H”レベルに設定する。ここでは、遅延調整信号2の値を光源1のみを点灯させて距離測定を行ったときに(ステップS1で)用いた遅延調整信号1の値とする。
この後、信号生成部41bから変調信号X、タイミング信号A、Bを出力し、ステップS1と同様に距離演算を行い、測定距離2を算出する。
ここで、駆動回路2の遅延量が駆動回路1の遅延量と異なると、図3を用いて説明したように、光源1、2の発光タイミングがずれ、光源1、2からの照射光パルスLe1、Le2が重なった照射光パルスLeの波形が所望の波形(図3では矩形)と異なってしまい、測定距離に誤差が生じてしまう。
そこで、次のステップS5では、測定距離2と基準距離Drefが一致しているか否かを判断する。ここでの判断が否定されるとステップS6に移行し、肯定されるとフローは終了する。ステップS5での判断が肯定される場合は、光源1、2の発光タイミングが一致している場合である。
ステップS6では、光源2の発光タイミングを調整する。具体的には、調整制御部41aが、測定距離2と基準距離Drefの差に基づいて遅延調整信号2を生成し遅延素子2に出力する。そして、遅延素子2で変調信号Xを遅延調整信号2に従って遅延させた変調信号2を駆動回路2に出力する。駆動回路2から光源2に変調信号2に応じた変調電流2が印加され、光源2から変調電流2に応じた変調光である照射光パルスLe2が射出される。
ステップS6が実行されると、ステップS4に戻る。そして、ステップS4で光源1、2を点灯させて距離測定を再度行い、ステップS5で測定距離2が基準距離Drefと一致しているかを確認する。
以上のようにして光源1、2の発光タイミングを調整することにより、光源1、2の発光タイミングのずれを補正することができ、該補正後に光源1、2を点灯させて距離測定を行うことにより、測定距離の誤差を低減でき、ひいては距離の測定精度を向上させることが可能となる。
以上説明した本実施形態の距離測定装置1は、複数の光源(例えば2つの光源1、2)及び該複数の光源をそれぞれ駆動する複数の駆動回路(例えば2つの駆動回路1、2)を含む投光系10と、該投光系10から投光され物体で反射された光を受光する受光系20と、複数の光源の発光タイミングのずれを補正する補正系と、を備えている。
この場合、複数の光源の発光タイミングのずれが補正された状態で、投光系10から投光され物体で反射された光を受光系20で受光することにより、検出誤差を低減できる。
この結果、物体までの距離の測定精度を向上できる。
また、補正系は、受光系20での受光結果に基づいて、複数の光源の発光タイミングのずれを補正する制御装置40を含む。
この場合、受光系20での受光結果を用いて、物体までの距離を測定できるとともに複数の光源の発光タイミングのずれを補正することができる。
また、複数の光源を一緒に点灯させて投光される光を重ね合わせることにより、投光される光の光量を大きくすることができ、物体を検出可能な最大検出距離を長くすることができる。
また、駆動回路1、2には、光源1、2をそれぞれ発光させるための複数の変調信号(例えば2つの変調信号1、2)がそれぞれ入力され、制御装置40は、受光系20での受光結果に基づいて、物体までの距離を算出する演算手段(距離演算部42)と、該演算手段での算出結果に基づいて、変調信号1、2の駆動回路1、2への入力タイミングを調整する調整手段(タイミング制御手段41)と、を含む。
この場合、簡易な構成により、物体までの距離の測定精度を向上できる。
また、調整手段は、光源1を点灯させたときの距離演算部42での算出結果である第1の距離(測定距離1)と、光源1、2を点灯させたときの距離演算部42での算出結果である第2の距離(測定距離2)の差に応じて、変調信号1、2の駆動回路1、2への入力タイミングを調整することが好ましい。具体的には、第1及び第2の距離の差が小さく(0も含む)なるように変調信号1、2の駆動回路1、2への入力タイミングを調整することが好ましい。
この場合、変調信号1、2の元となる共通の(単一の)変調信号Xを生成し、該変調信号Xの駆動回路1、2への出力タイミングを調整するだけの簡易な手法により、光源1、2の発光タイミングのずれを補正することができる。
また、距離測定装置1が、投光系10の投光範囲に配置され、光源1の光出力で距離が測定可能な基準反射体を更に備える場合には、光源1、2の発光タイミングの補正(発光タイミング補正処理)を随時行うことができる。
また、調整手段は、第1及び第2の距離に基づいて、変調信号1、2の入力タイミングを調整するための調整信号(遅延調整信号1、2)を生成する調整制御部41aと、調整信号に応じて変調信号1、2の入力タイミングを調整する調整素子(遅延素子1、2)と、を有することが好ましい。
また、受光系20が、複数の画素に対応する受光部を有するエリアセンサ21を含む場合には、物体の部位毎(画素毎)の距離情報を表す距離画像を生成することができる。この場合には、物体の大きさや形状等を検出することができ、より詳細な物体情報を得ることができる。
また、エリアセンサ21が画素毎に2つの電荷蓄積部A、Bを有する場合には、光源1、2の発光タイミングを基準とした所定の時間帯に反射光の電荷を2つの電荷蓄積部A、Bに蓄積することができる。
また、本実施形態の距離測定装置1と、該距離測定装置1が搭載された移動体と、を備える移動体装置によれば、高精度な測定距離に基づいて、移動体の制御(例えば制動制御や操舵制御等)を精度良く行うことができる。
また、本実施形態の距離測定方法は、物体までの距離を測定する距離測定方法であって、複数の光源(光源1、2)のうち一の光源(光源1)を点灯させて基準反射体に光を照射する第1の照射工程と、第1の照射工程で照射され基準反射体で反射された光を受光して該基準反射体までの距離を測定する第1の測定工程と、複数の光源のうち一の光源(光源1)と他の光源(光源2)を点灯させて基準反射体に光を照射する第2の照射工程と、第2の照射工程で照射され基準反射体で反射された光を受光して該基準反射体までの距離を測定する第2の測定工程と、第1及び第2の測定工程での測定結果(測定距離1、2)に基づいて、一及び他の光源の点灯タイミング(発光タイミング)のずれを補正する工程と、一及び他の光源を点灯させて投光し、物体で反射された光を受光して該物体までの距離を算出する工程と、を含む。
この場合、複数の光源の点灯タイミングのずれが補正された状態で、投光され物体で反射された光を受光系20で受光することにより、検出誤差を低減できる。
この結果、物体までの距離の測定精度を向上できる。
なお、他の光源が複数ある場合、第2の照射工程と第2の測定工程と補正する工程を含むサイクルを他の光源毎に行うことが好ましい。この場合、一の光源と全ての他の光源との間での点灯タイミングのずれを補正することができる。
《変形例1》
図7には、変形例1の距離測定装置の制御装置が有するタイミング制御手段51のブロック図が示されている。
変形例1のタイミング制御手段51では、図7に示されるように、駆動回路1、2にそれぞれ入力される変調信号1、2をクロック信号(「クロック」とも呼ぶ)に基づいて生成し、変調信号1、変調信号2の遅延制御を、調整データ1、調整データ2に基づいて、クロック単位で制御している。
詳述すると、タイミング制御手段51は、基準クロックを生成するクロック生成部51aと、駆動回路1、2のオンオフ制御を行うための駆動回路ON信号1、2及び距離画像(距離データ)に基づいて調整データ1、2及び遅延情報を生成する調整制御部51bと、クロック信号、調整データ1、2、スタート信号、遅延情報に基づいて変調信号1、2を生成し、さらにクロック信号、スタート信号、遅延情報に基づいてタイミング信号A、B、受光データ出力指示信号、距離演算指示信号を生成する信号生成部51cと、を含んで構成されている。
図8には、変形例1において、クロック信号に基づいて変調信号1、2を生成する様子がタイムチャートで示されている。
ここでは、調整データ1が“8”、調整データ2が“10”の場合を、各変調信号のパルス幅が“8”の場合を示している。
信号生成部51cは、スタート信号が入力されると内蔵するスタートカウンタがクロック生成部51aからのクロックのカウントを始める。信号生成部51cは、スタートカウンタの値が調整データ1の値と同じ“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化させる。その後、信号生成部51cは、パルス幅カウンタ1でカウントを始め、パルス幅の”8“になった時点で変調信号1を”L“レベルに変化させる。パルス幅カウンタ1は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号1を生成する。
一方、信号生成部51cは、スタートカウンタのカウント値が調整データ2の値と同じ“10”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化させる。その後、信号生成部51cは、パルス幅カウンタ2でカウントを始め、パルス幅の”8“になった時点で変調信号2を”L”レベルに変化させる。パルス幅カウンタ2は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号2を生成する。
このように調整データ1、2の値に従って、変調信号1、2が出力されるので、調整データ1、2を調整することで変調信号1、2の出力タイミングを調整することができ、光源1、2の発光タイミングを合わせることが可能となる。
以上のように変形例1では、変調信号1、2を、クロック信号を用いてロジック回路で生成しているので、小規模な回路構成で変調信号1、2を生成することができる。
変形例1の距離測定装置でも、タイミング制御手段51(調整手段)は、複数の光源(例えば2つの光源1、2)のうち一の光源(光源1)を点灯させたときの距離演算部での算出結果である第1の距離と、一の光源と複数の光源のうち他の光源(光源2)を点灯させたときの距離演算部での算出結果である第2の距離の差に応じて、変調信号1、2の駆動回路1、2への入力タイミングを調整する。
そして、タイミング制御手段51及び距離演算部を含む制御装置は、クロック信号を生成するクロック生成部51aと、該クロック信号をカウントするカウンタと、を更に含み、タイミング制御手段51は、カウンタのカウント値と、第1及び第2の距離に基づいて、変調信号1、2を生成する(変調信号1、2の駆動回路1、2への入力タイミングを調整する)。
《変形例2》
図9には、変形例2の距離測定装置の制御装置が有するタイミング制御手段61のブロック図が示されている。
変形例2では、図9に示されるように、調整制御部61bで生成された調整データ1、2がクロック生成部61aに入力され、クロック生成部61aでクロック信号1、2が生成され、信号生成部61cに出力される構成となっている。クロック信号1、2は、調整データ1、2に従って、位相が変化され、信号生成部61cに出力される。
図10には、変形例2におけるクロック信号1、2及び調整データ1、調整データ2に基づいて変調信号1、2を生成する様子がタイムチャートで示されている。
ここでは、調整データ1が“8”、調整データ2が”10.5”の場合を、各変調信号のパルス幅が“8”の場合を示している。
信号生成部61cでは、スタート信号が入力されると内蔵するスタートカウンタ1がクロック信号1でカウントを始め、スタートカウンタ1の値が調整データ1の値と同じ“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化させる。その後、信号生成部61cでは、パルス幅カウンタ1でカウントを始めパルス幅の”8“になった時点で変調信号1を”L“レベルに変化させる。パルス幅カウンタ1は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号1を生成する。
一方、信号生成部61cは、変調信号2をクロック信号2に基づいて生成するが、“10.5”という調整データ2がクロック生成部61aに入力されると小数部の“0.5”、つまり1/2クロック分位相が遅れてクロック信号2が生成されて出力される。すなわち、図10に示されるようにクロック信号2はクロック信号1に対して1/2クロック分位相が遅れている。変調信号2は、このクロック信号2を用いて生成される。
詳述すると、信号生成部61cでは、スタート信号が入力されるとスタートカウンタ2がクロック信号2でカウントを始め、スタートカウンタ2のカウント値が調整データ2の整数値“10”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化させる。その後、信号生成部61cでは、パルス幅カウンタ2でカウントを始め、パルス幅の”8“になった時点で変調信号2を”L“レベルに変化させる。パルス幅カウンタ2は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号2を生成する。
以上のように、変形例2では、クロック生成部61aから位相が調整されたクロック信号1、クロック信号2を生成し、クロック信号1で変調信号1を生成し、クロック信号2で変調信号2を生成することにより、クロック信号1のクロック幅よりも短い時間の精度で制御(調整)することができ、光源1、2の発光タイミングをより精度よく合わせることができ、ひいては測定距離の誤差をより小さくすることができる。
変形例2の距離測定装置でも、タイミング制御手段61(調整手段)は、複数の光源(例えば2つの光源1、2)のうち一の光源(光源1)を点灯させたときの距離演算部での算出結果である第1の距離と、一の光源と複数の光源のうち他の光源(光源2)を点灯させたときの距離演算部での算出結果である第2の距離の差に応じて、変調信号1、2の駆動回路1、2への入力タイミングを調整する。
タイミング制御手段61及び距離演算部含む制御装置は、第1及び第2の距離に基づいて、位相が異なる複数のクロック信号を生成するクロック生成部61aと、複数のクロック信号をそれぞれカウントする複数のカウンタと、を更に含み、複数のカウンタのカウント値と、第1及び第2の距離に基づいて、変調信号1、2の駆動回路1、2への入力タイミングを調整する。
変形例2では、クロック信号2は、クロック信号1に比べて1/2クロック分位相が遅れているが、これに代えて、例えばNを3以上の整数として1/Nクロック分位相が遅れていても良い。
《変形例3》
図11には、変形例3の距離測定装置1Aの構成が概略的に示されている。
距離測定装置1Aは、投光系10と、受光系20と、検出手段30と、タイミング制御手段41A(調整手段)及び距離演算部42(演算手段)を含む制御装置40Aと、を備えている。
投光系10は、2つの光源1、2と、光源1、2をそれぞれ駆動する2つの駆動回路1、2と、各光源からの光を車両前方に向けて投射する投射光学系(不図示)と、を有する。各光源としては、例えば半導体レーザ、発光ダイオード等の発光素子が好適であるが、他の発光素子を用いても良い。
駆動回路1は、タイミング制御手段41Aからの駆動回路ON信号1が“H”レベルのときに変調信号1に応じた変調電流1を光源1に印加し、駆動回路ON信号1が“L”レベルのときは常に駆動電流をOFFとする。
駆動回路2は、タイミング制御手段41Aからの駆動回路ON信号2が“H”レベルのときに変調信号2に応じた変調電流2を光源2に印加し、駆動回路ON信号2が“L”レベルのときは常に駆動電流をOFFとする。
光源1は変調電流1に応じた変調光を射出し、該変調光は投射光学系によって照射光パルスLe1として投光される。
光源2は変調電流2に応じた変調光を射出し、該変調光は投射光学系によって照射光パルスLe2として投光される。
すなわち、投光系10から投光される照射光パルスLeは、照射光パルスLe1と照射光パルスLe2が重なった光である。
この際、投光系10の投光範囲(投射光学系の投射範囲)の射程圏内(光源1、2の光出力の和で検出可能な範囲内)に測定対象の物体(測定対象物)があれば、投光された光(照射光パルスLe)が該物体に照射される。
投射光学系は、例えば光偏向器を含む走査型及び例えば拡散板を含む非走査型のいずれであっても良いが、車両前方のセンシング(物体検出)に必要な水平方向及び垂直方向の投射範囲を確保できるものが好ましい。
受光系20は、複数の画素に個別に対応する2次元配列された複数の受光素子(例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ等)を含むエリアセンサ21と、物体からの反射光をエリアセンサ21に導く、集光素子を含む受光光学系(不図示)と、を有する。
エリアセンサ21の各受光素子は、2つの電荷蓄積部A、Bを有している。各受光素子は、物体に照射され該物体で反射された変調された光(反射光パルスLr)を受光し、タイミング制御手段41からのタイミング信号A、Bに従って、受光した光によって発生する電荷の蓄積を行う。
具体的には、各受光素子は、タイミング信号Aが“H”のときは電荷蓄積部Aに電荷の蓄積を行い、タイミング信号Bが“H”のときは電荷蓄積部Bに電荷の積を行う。
タイミング制御手段41Aは、変調信号1、2、タイミング信号A、Bを繰り返し出力し、これにより電荷がどんどん蓄積されていく。そして、電荷の蓄積を所定回数繰り返した後、変調信号1、2、タイミング信号A、Bの出力をストップさせ、受光データ出力指示信号をエリアセンサ21に出力する。
エリアセンサ21は、各受光素子の電荷蓄積部A、Bに蓄積された電荷量を受光データA、Bとして順次出力する。
距離演算部42は、タイミング制御手段41Aからの距離演算指示信号を受け、エリアセンサ21から送られてくる受光データA、Bを用いて各画素における距離データを算出し、距離画像を生成する。受光データA、Bから距離データを算出する方法は、前述した通りである。
タイミング制御手段41Aは、遅延素子1、2、調整制御部41Aa、信号生成部41Ab、時間計測部1、2を含んで構成されている。
遅延素子1は、調整制御部41Aaからの遅延調整信号1のレベルに従って、信号生成部で生成された変調信号Xを遅延させて変調信号1として出力する。
遅延素子2は、調整制御部41Aaからの遅延調整信号2のレベルに従って、信号生成部で生成された変調信号Xを遅延させて変調信号2として出力する。
以上のように遅延調整信号1、2により、光源1、2の点灯タイミング(照射光パルスLe1、Le2の立ち上りタイミング)を変えることができる。
信号生成部41Abは、パルス状又は正弦波の変調信号Xを生成し、遅延素子1、2に所定回数繰り返し出力する。また、信号生成部41Abは、変調信号Xと同じ波形のタイミング信号A、Bを、後述する調整制御部41Aaからの遅延情報を基に生成し、エリアセンサ21に所定回数繰り返し出力する。
ここで、タイミング信号Aの出力タイミングを、図2に示されるように、照射光パルスLeの立ち上がりタイミング(光源1の発光タイミング)と合わせる必要がある。上記遅延情報は変調信号Xの出力タイミングから照射光パルスLeが立ち上がるまでの遅延時間であり、これを基にタイミング信号Aの出力タイミングを光源1の発光タイミングと合わせることができる。このようにしてタイミング信号Aを照射光パルスLeと同じタイミングで“H”とし、パルス幅Tw後に“L”とする。そして、タイミング信号Bは、タイミング信号Aが“L”になると同時に“H”にし、パルス幅Tw後に“L”とする。
さらに、信号生成部41Abは、変調信号X、タイミング信号A、Bを所定回数繰り返し生成、出力した後、受光データ出力指示信号をエリアセンサ21に出力し、距離演算指示信号を距離演算部42に出力する。
調整制御部41Aaは、遅延素子1、2の遅延量を制御する遅延調整信号1、2を、時間計測部1、2からの遅延値1、2を基に生成する。
具体的には、遅延値1と遅延値2を比較し、遅延値2が遅延値1と同じになるように遅延調整信号2を生成、または遅延値1が遅延値2と同じになるように遅延調整信号1を生成する。あるいは、予め設定した所定の遅延値になるように遅延調整信号1、遅延調整信号2を生成しても良い。なお、遅延調整信号は、必ずしも遅延値1と遅延値2が一致するように生成される必要はなく、要は、遅延値1と遅延値2の差が小さくなるように生成されれば良い。
また、調整制御部41Aaは、投光系10の駆動回路1、駆動回路2のオンオフ制御する駆動回路ON信号1、駆動回路ON信号2を生成する。そして、調整制御部41Aaは、これらの信号を制御して光源1、2の発光タイミングのずれを補正する。
検出手段30は、光源1から射出された光の一部が入射されるミラー1と、光源2から射出された光の一部が入射されるミラー2と、ミラー1で反射された光を受光するPD1(フォトダイオード)、ミラー2で反射された光を受光するPD2(フォトダイオード)と、を有している。
すなわち、ミラー1は、光源1からの光の一部をPD1に向けて反射させるように配置されている。ミラー2は、光源2からの光の一部をPD2に向けて反射させるように配置されている。なお、光源1から射出された光の残部(大半)及び光源2から射出された光の残部(大半)は、それぞれ投射光学系(不図示)を介して照射光パルスLe1、Le2として投光される。
PD1は、ミラー1で反射された光を受光し電気信号に変換しPD信号1として時間計測部1に出力する。PD2は、ミラー2で反射された光を受光し電気信号に変換しPD信号2として時間計測部2に出力する。
時間計測部1は、変調信号XとPD信号1の立ち上がりタイミングの時間差を測定し、該時間差を遅延値1として出力する。時間計測部2は、変調信号XとPD信号2との立ち上がりタイミングの時間差を測定し、該時間差を遅延値2として出力する。各時間計測部は、TDC(Time to Digital Converter)回路と言われる回路で実現することができる。
ここで、変調信号Xが信号生成部41Abから出力されると、遅延素子、駆動回路の遅延を伴って光源が点灯し、該光源からの光がPDで受光され、該PDからPD信号が変調信号Xから遅延して出力される。
図12には、変調信号XとPD信号1、PD信号2と測定される遅延値1、遅延値2が示されている。図12では、光源1が変調信号Xに対してtd1の遅延を伴って点灯しPD1信号がtd1の遅延を伴って時間計測部1に出力され、光源2が変調信号Xに対してtd2の遅延を伴って点灯しPD2信号がtd2の遅延を伴って時間計測部2に出力される。時間計測部1はtd1を計測し遅延値1として調整制御部41Aaに出力し、時間計測部2はtd2を計測し遅延値2として調整制御部41Aaに出力する。
以下に、変形例3の距離測定装置1Aにおける光源1と光源2の発光タイミングのずれを補正する方法(発光タイミングずれ補正処理)について、図13を参照して説明する。図13のフローチャートは、制御装置40Aによって実行される処理アルゴリズムに基づいている。ここでは、発光タイミングずれ補正処理は、駆動回路1、2を構成する回路素子や配線の製造時や経時の性能ばらつきを考慮して定期的に行われるが、不定期(例えば装置起動時)に行っても良い。
最初のステップS11では、調整制御部41Aaが、最小遅延となるように、遅延調整信号1、遅延調整信号2を出力する。
次のステップS12では、光源1、2をパルス点灯する。具体的には、信号生成部41Abが、図12に示されるようなパルス波形の変調信号Xを生成し出力する。変調信号Xは遅延素子1、2に入力され、遅延調整信号1、2に基づいた遅延を伴って変調信号1、2として駆動回路1、2へ出力される。また、変調信号Xは時間計測部1、2へも出力され、時間計測部1、2は時間計測を開始する。
そして駆動回路1、2は、変調信号1、2に基づいて光源1、2を点灯させるための駆動電流1、2を生成し、各光源からの光の一部が投射光学系を介して照射光パルスとして投光される。この際、光源1からの光の残部がミラー1で反射され、PD1に入射される。同様に光源2からの光の残部がミラー2で反射され、PD2に入射される。
このとき、PD1、2は、入射された光に基づいて図12に示されるPD信号1、2を時間計測部1、2へ出力する。
ここで、駆動回路1、2において駆動電流1、2を生成する際に回路遅延を伴うが、回路素子のばらつきにより駆動回路1、2の回路遅延は異なることがある。そのためPD信号1、2は、図12に示されるように、互いに異なるタイミングで時間計測部1、2に入力される。
次のステップS13では、遅延値1、2を計測する。具体的には、時間計測部1では、PD信号1が入力されると時間計測をストップし、変調信号Xの入力からPD信号1の入力までの時間を遅延値1として調整制御部41Aaへ出力する。遅延値1は図12のtd1となる。時間計測部2では、PD信号2が入力されると時間計測をストップし、変調信号Xの入力からPD信号2の入力までの時間を遅延値2として調整制御部41Aaへ出力する。遅延値2は図12のtd2となる。
次のステップS14では、調整制御部41Aaが、遅延値1、2が等しいか否かを判断する。具体的には、遅延値1、2が等しいときには計測された遅延値を遅延情報として信号生成部41Abへ出力し、発光タイミングずれ補正処理を終了する。一方、遅延値1、2が異なる場合はS15に移行する。
次のステップS15では、光源の発光タイミングを調整する。具体的には、調整制御部41Aaが、遅延値1、2の差に基づいて、遅延調整信号1、2の少なくとも一方の調整を行う。
例えば遅延値1が遅延値2よりも大きい場合は遅延調整信号2を大きくし、変調信号2の出力遅延が大きくなるように調整し、遅延値2が遅延値1より大きい場合は遅延調整信号1を大きくし、変調信号1の出力遅延が大きくなるように調整する。また、予め設定された遅延値に遅延値1、2が近づくように(好ましくは一致するように)遅延調整信号1、2を調整しても良い。要は、遅延値1、2の差が小さくなるように遅延調整信号1、2の少なくとも一方を調整すれば良い。
このようにして、光源1、2の発光タイミングのずれを補正する(抑制する)ことができる。ステップS15が実行されると、ステップS12に戻る。
すなわち、光源1、2の発光タイミングのずれが抑制されるため、光源1、2からの光を重ねて投光する変形例3の距離測定装置1Aにおいても、距離誤差を低減し正確な距離測定を行うことが可能となる。
《変形例4》
図14には、実施例4の距離測定装置1Bの構成が概略的に示されている。距離測定装置1Bでは、図14に示されるように、検出手段30Aは単一のPD(フォトダイオード)を有し、タイミング制御手段41Bは単一の時間計測部を有し、調整制御部41Baは遅延値保持部を有している。
また、ここでは、ミラー1は光源1からの光の一部をPDに導き、ミラー2は光源2からの光の一部をPDに導く構成となっている。つまり、光源1からの一部の光も光源2からの一部の光も同一のPDに入射されるようになっている。なお、図14では、2つのミラー1、2が設けられているが、これに代えて、ミラー1、2の機能を兼備する単一のミラーを設けても良い。
以下に、変形例4の距離測定装置1Bにおける光源1と光源2の発光タイミングのずれを補正する方法(発光タイミングずれ補正処理)について、図15を参照して説明する。図15のフローチャートは、制御装置40Bによって実行される処理アルゴリズムに基づいている。ここでは、発光タイミングずれ補正処理は、駆動回路1、2を構成する回路素子や配線の製造時や経時の性能ばらつきを考慮して定期的に行われるが、不定期(例えば装置起動時)に行っても良い。
最初のステップS21では、制御装置40Bの調整制御部41Baが、最小遅延となるように遅延調整信号1、遅延調整信号2を出力する。
次のステップS22では、光源1をパルス点灯する。具体的には、調整制御部41Baが、駆動回路ON信号1を“H”、駆動回路ON信号2を“L”にして光源1のみを点灯可能に設定する。
信号生成部41Bbにおいて、図12に示されるようなパルス波形の変調信号Xを生成し出力する。変調信号Xは遅延素子1、2に入力されて遅延調整信号1、2に基づいた遅延を伴って変調信号1、2として駆動回路1、2へ出力される。また、変調信号Xは、時間計測部へも出力され、時間計測部は時間計測を開始する。
そして、駆動回路1は駆動回路ON信号1が“H”になっていることから変調信号1に基づいて光源1を点灯させるための駆動電流1を生成し、光源1から照射光パルスLe1が射出される。一方、駆動回路2は駆動回路ON信号2が“L”になっていることから駆動電流2の生成を行わず光源2は消灯したままである。光源1からの光は、一部が投射光学系(不図示)を介して投光され、残部がミラー1で反射されPDに入射される。このとき、PDから、入射された光に基づいてPD信号が時間計測部へ出力される。
次のステップS23では、遅延値1を計測する。具体的には、時間計測部は、PD信号が入力されると時間計測をストップし、変調信号Xの入力からPD信号の入力までの時間を遅延値として調整制御部41Baに出力する。調整制御部41Baは、この遅延値を遅延値保持部で保持する。ここで、遅延値保持部で保持されている遅延値を遅延値1とする。
次のステップS24では、光源2をパルス点灯する。具体的には、調整制御部41Baが、駆動回路ON信号1を“L”、駆動回路ON信号2を“H”にして光源2のみを点灯可能に設定する。信号生成部41Bbは、図12に示されるパルス波形の変調信号Xを生成し出力する。変調信号Xは、遅延素子1、2に入力されて遅延調整信号1、2に基づいた遅延を伴って変調信号1、2として駆動回路1、2へ出力される。また、変調信号Xは時間計測部へも出力され、時間計測部は時間計測を開始する。
そして、駆動回路2は駆動回路ON信号2が“H”になっていることから変調信号2に基づいて光源2を点灯させるための駆動電流2を生成し、光源2から照射光パルスLe2が射出される。一方、駆動回路1は駆動回路ON信号1が“L”になっていることから駆動電流1の生成を行わず光源1は消灯したままである。光源2からの光は、一部が投射光学系を介して投光され、残部がミラー2で反射されPDに入射される。このとき、PDから、入射された光に基づいてPD信号が時間計測部に出力される。
次のステップS25では、遅延値2を計測する。具体的には、時間計測部は、PD信号が入力されると時間計測をストップし、変調信号Xの入力からPD信号の入力までの時間を遅延値として調整制御部41Baに出力する。ここでの遅延値を遅延値2とする。
次のステップS26では、遅延値1、2が等しいか否かを判断する。具体的には、調整制御部41Baは、遅延値保持部に保持されている遅延値1とステップS25で計測された遅延値2の比較を行う。比較の結果、遅延値1、2が等しいときには計測された遅延値を遅延情報として信号生成部41Bbへ出力し、発光タイミングずれ補正処理を終了する。一方、比較の結果、遅延値1、2が異なる場合はステップS27に移行する。
ステップS27では、光源の発光タイミングを調整する。具体的には、調整制御部41Baが、遅延値1、2の差に基づいて、遅延調整信号1、2の少なくとも一方の調整を行う。
例えば遅延値1が遅延値2よりも大きい場合は遅延調整信号2を大きくし、変調信号2の出力遅延が大きくなるように調整し、遅延値2が遅延値1より大きい場合は遅延調整信号1を大きくし、変調信号1の出力遅延が大きくなるように調整する。また、予め設定された遅延値に遅延値1、2が近づくように(好ましくは一致するように)遅延調整信号1、2を調整しても良い。要は、遅延値1、2の差が小さくなるように遅延調整信号1、2の少なくとも一方を調整すれば良い。
このようにして、光源1、2の発光タイミングのずれを補正する(抑制する)ことができる。ステップS27が実行されると、ステップS22に戻る。
すなわち、光源1、2の発光タイミングのずれが抑制されるため、光源1、2からの光を重ねて投光する距離測定装置1Bにおいて、距離誤差を低減し正確な距離測定を行うことが可能となる。
以上のように、変形例4の距離測定装置1Bでは、光源数より少ない数のPD、時間計測部の構成により、すなわち低コストで高精度の距離測定を実現することができる。
以上説明した変形例3、4の距離測定装置1A、1Bは、複数の光源(例えば2つの光源1、2)及び該複数の光源をそれぞれ駆動する複数の駆動回路(例えば2つの駆動回路1、2)を含む投光系10と、該投光系10から投光され物体で反射された光を受光する受光系20と、複数の光源の発光タイミング(点灯タイミング)のずれを補正する補正系と、を備えている。
この場合、複数の光源の発光タイミングのずれが補正された状態で、投光系10から投光され物体で反射された光を受光系20で受光することにより、検出誤差を低減できる。
この結果、物体までの距離の測定精度を向上できる。
また、補正系は、複数の光源それぞれからの光の一部を検出する検出手段と、該検出手段での検出結果に基づいてずれを補正する制御装置と、を含む。
この場合、各光源からの光の一部を検出する検出手段を用いて、複数の光源の発光タイミングのずれを直接的に精度良く補正できる。
また、複数の駆動回路には、複数の光源をそれぞれ駆動するための複数の変調信号(例えば変調信号1、2)がそれぞれ入力され、制御装置は、複数の光源それぞれの点灯タイミングと、該光源が点灯されたときの検出手段での検出タイミングに基づいて、変調信号の駆動回路への入力タイミングを調整する調整手段(タイミング制御手段)を含む。
この場合、簡易な構成により、物体までの距離の測定精度を向上できる。
また、調整手段は、点灯タイミングと検出タイミングの時間差が光源間で小さくなるように、変調信号の駆動回路への入力タイミングを調整する。
この場合、変調信号1、2の元となる共通の(単一の)変調信号Xを生成し、該変調信号Xの駆動回路1、2への出力タイミングを調整するだけの簡易な手法により、光源1、2の発光タイミングのずれを補正することができる。
また、調整手段は、点灯タイミングと検出タイミングの時間差に基づいて、変調信号の駆動回路への入力タイミングを調整するための調整信号を生成する調整制御部と、調整信号に応じて変調信号の駆動回路への入力タイミングを調整する調整素子(遅延素子1、2)と、を有することが好ましい。
また、検出手段は、複数の光源(例えば光源1、2)それぞれからの光を導光する、光源の数以下の光学部材(例えばミラー1、2)を有する導光部と、該導光部によって導光された光を受光する、光源の数以下の受光素子(例えばフォトダイオードやフォトトランジスタ)を有する受光部と、を含むことが好ましい。
なお、受光部が光源よりも少ない数の受光素子を有する場合には、制御装置は、光源への変調信号の入力/非入力を光源毎に切り換え可能であることが好ましい。
また、導光部の光学部材として、ミラーに代えて、光源からの光を透過光と反射光に分岐する分岐素子を用いても良い。この場合、例えば、分岐素子からの透過光を投光し、反射光をPDに入射させることができる。
また、導光部は、光学部材(例えばミラーや分岐素子)と受光素子との間の光路上に集光素子(例えば集光レンズや集光ミラー)を有していても良い。
また、導光部を設けずに、光源からの光を直接受光素子に入射させても良い。
また、変形例3、4の距離測定方法は、物体までの距離を測定する距離測定方法であって、複数の光源(例えば光源1、2)のうち一の光源(光源1)を点灯させて該一の光源からの光を検出する第1の検出工程と、一の光源の点灯タイミングと第1の検出工程での検出タイミングの時間差である第1の時間差を算出する第1の算出工程と、複数の光源のうち他の光源(光源2)を点灯させて該他の光源からの光を検出する第2の検出工程と、他の光源の点灯タイミングと第2の検出工程での検出タイミングの時間差である第2の時間差を算出する第2の算出工程と、第1及び第2の時間差に基づいて、一及び他の光源の点灯タイミングのずれを補正する工程と、一及び他の光源を点灯させて投光し、物体で反射された光を受光して該物体までの距離を算出する工程と、を含む。
この場合、複数の光源の点灯タイミング(発光タイミング)のずれが補正された状態で、投光系10から投光され物体で反射された光を受光系20で受光することにより、検出誤差を低減できる。
この結果、物体までの距離の測定精度を向上できる。
また、他の光源が複数ある場合、第2の検出工程と第2の算出工程と補正する工程を含むサイクルを他の光源毎に行うことが好ましい。この場合、一の光源と全ての他の光源との間での発光タイミングのずれを補正することができる。
《変形例5》
図16には、変形例5の距離測定装置の制御装置が有するタイミング制御手段51Aのブロック図が示されている。
変形例5のタイミング制御手段51Aでは、図16に示されるように、変調信号1、2をクロック信号に基づいて生成し、変調信号1、2の遅延制御を調整データ1、2に基づいて、クロック単位で制御している。
詳述すると、タイミング制御手段51Aは、基準クロック信号を生成するクロック生成部51Aaと、駆動回路1、2のオンオフ制御をする駆動回路ON信号1、2と、遅延値1、2に基づいて調整データ1、2を生成する調整制御部51Abと、クロック信号、調整データ1、2、スタート信号に基づいて変調信号1、2を生成し、さらにクロック信号、スタート信号に基づいてタイミング信号A、B、受光データ出力指示信号、距離演算指示信号を生成する信号生成部51Acを含んで構成されている。
図17には、信号生成部51Acが、クロック信号、調整データ1、2に基づいて変調信号1、2を生成する方法が示されている。
ここでは、調整データ1が“8”、調整データ2が”10”の場合を、パルス幅が“8”の場合を示している。信号生成部51Acでは、例えばECUからスタート信号が入力されると内臓するスタートカウンタがカウントを始める。カウンタの値が調整データ1の値と同じ“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化させる。その後は別のパルス幅カウンタ1でカウントを始めパルス幅の”8“になった時点で”L”レベルに変化させる。パルス幅カウンタ1は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号1を生成する。
一方、変調信号2はスタートカウンタのカウント値が調整データ2の値と同じ“10”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化させる。その後は別のパルス幅カウンタ2でカウントを始めパルス幅の”8“になった時点で”L”レベルに変化させる。パルス幅カウンタ2は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号2を生成する。
このように調整データ1、2の値に従って、変調信号1、2が出力されるので、調整データ1、2を調整することで変調信号1、2の出力タイミングを調整することができ、光源1、2の発光タイミングのずれを補正することが可能となる。
以上のように、変調信号1、2をクロック信号を用いてロジック回路で生成しているので、小規模な回路構成で変調信号1、2を生成することができる。
以上説明した変形例5の距離測定装置では、制御装置は、クロックを生成するクロック生成部51Aaと、クロックをカウントするカウンタと、を更に含み、調整手段(タイミング制御手段51A)は、カウンタのカウント値と、複数の光源それぞれの発光タイミングと、該光源が点灯されたときの検出手段での検出タイミングの時間差(各遅延値)に基づいて、変調信号の駆動回路への入力タイミングを調整する。
《変形例6》
図18は、変形例6の距離測定装置の制御装置が有するタイミング制御手段61Aのブロック図が示されている。変形例6では、図18に示されるように、クロック生成部61Aaに調整データ1、2が入力され、クロック生成部61Aaでクロック1、2が生成され出力されるようになっている。クロック1、2は、調整データ1、2に従って、位相が変化して出力される。
図19には、信号生成部61Acが、クロック信号1、2、調整データ1、2に基づいて変調信号1、変調信号2を生成する方法が示されている。
ここでは調整データ1が“8”、調整データ2が”10.5”の場合を、パルス幅が“8”の場合を示している。信号生成部61Acでは、例えばECUからスタート信号が入力されると内臓するスタートカウンタ1がクロック1(クロック信号1)でカウントを始める。スタートカウンタ1の値が調整データ1の値と同じ“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化させる。その後は別のパルス幅カウンタ1でカウントを始めパルス幅の”8“になった時点で”L”レベルに変化させる。パルス幅カウンタ1は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号1を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号1を生成する。
一方、変調信号2はクロック2(クロック信号2)に基づいて生成されるが、“10.5”という調整データ2がクロック生成部61Aaに入力されると小数部の“0.5”、つまり1/2クロック分位相が遅れてクロック2が生成されて出力される。これにより図19に示されるようにクロック1とは1/2クロック位相が遅れている。変調信号2はこのクロック2を用いて生成する。信号生成部61Acでは、例えばECUからスタート信号が入力されると内臓するスタートカウンタ2がクロック2でカウントを始める。スタートカウンタ2のカウント値が調整データ2の整数値“10”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化させる。その後は別のパルス幅カウンタ2でカウントを始めパルス幅の”8“になった時点で”L”レベルに変化させる。パルス幅カウンタ2は“1”にリセットされ再びカウントを始めて、“8”になった時点で変調信号2を“H”レベルに変化をさせる。これを繰り返して変調信号2を生成する。
以上のように、クロック生成部61Aaで位相が調整されたクロック1、2を生成し、クロック1で変調信号1を生成し、クロック2で変調信号2を生成することにより、変調信号1、2の出力タイミングをクロック幅の時間より短い精度で合わせることができ、光源1、2の発光タイミングをより精度よく合わせることができるので、ひいては距離測定誤差をより小さくすることができる。
以上説明した変形例6の距離測定装置では、制御装置は、複数の光源それぞれの発光タイミングと、該光源が点灯されたときの検出手段での検出タイミングの時間差(各遅延値)に基づいて、位相が異なる複数のクロックを生成するクロック生成部61Acと、複数のクロックをそれぞれカウントする複数のカウンタと、を更に含み、調整手段(タイミング制御手段61A)は、複数のカウンタのカウント値と、上記時間差に基づいて、変調信号の駆動回路への入力タイミングを調整する。
なお、上記実施形態及び各変形例では、受光系の光検出器として、エリアセンサを用いているが、これに限られず、例えば1次元配列された複数の受光素子(例えばフォトダイオードやフォトトランジスタ)を含むラインセンサや、単一の受光素子を用いても良い。この場合には、例えば、走査型の投射光学系を用いて、発光タイミングのずれが補正された複数の光源を同時に発光させたときの受光素子の出力信号(波形が略一致)を閾値を基準に二値化して、出力信号が閾値に一致するタイミングに基づいて受光素子での受光タイミングを求め、該受光タイミングと光源の発光タイミングとから物体までの距離を求めても良い。この場合も、検出誤差を低減でき、ひいては物体までの距離の測定精度を向上できる。
また、上記実施形態及び各変形例において、投光系は投射光学系を有さなくても良い。すなわち、光源からの光を直接投光しても良い。
すなわち、本発明の距離測定装置及び距離測定方法は、TOF(タイム オブ フライト)を利用した距離測定技術全般に広く適用することが可能である。
また、本発明の距離測定装置及び距離測定方法は、物体の2次元形状や3次元形状を認識する物体認識や、物体の有無を検出する物体検出にも用いることができる。
また、本発明の距離測定装置は、移動体に搭載される用途に限らず、静止物体に搭載される用途や、装置単独でも用いることができる。
また、上記実施形態の説明で用いた数値、形状等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、発明者らが上記実施形態及び各変形例を発案するに至った思考プロセスを説明する。
従来、変調光を対象空間に照射し、該対象空間に存在する対象物から反射してくる光と照射光との位相差から対象物までの距離を求め、各画素の値が距離を表す2次元の距離画像を生成するための距離画像センサ(エリアセンサ)を用いた距離測定装置が知られている。
この距離測定装置では対象空間に照射する光が強いほど、反射してくる光も強いので距離画像センサの受光信号のSN比が上がり測定精度が良くなる。そのため、対象空間への照射手段として複数の光源を用い、光を重ね合わせることで光強度を強くする方法が知られている。
例えば、特許文献1(特開2015‐108629号公報)には、複数の光源(レーザダイオード)と複数の駆動回路を用いて、パルス光を照射するレーザレンジファインダを有する光学式測距装置が開示されている。
この光学式測距装置では、複数の光源は対応する複数の駆動回路に接続されており、複数の駆動回路に共通の点灯信号(変調信号)をあたえることにより、複数の光源に電流が流れて点灯する。
しかしながら、各駆動回路を構成する回路素子や配線の性能ばらつきにより各駆動回路がスイッチングする(電流を流す)タイミングが異なると、各光源の点灯タイミングが異なってしまう。その結果、重ね合った複数の光の発光時間幅が所望の時間幅より長くなってしまい測定誤差が生じるという課題を発見した。
そこで、発明者らは、この課題を解決するために、上記実施形態及び各変形例を発案するに至った。