以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
なお本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合に、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態では、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂:100質量部、(B)可塑剤:(A)樹脂100質量部を基準として0.1〜50質量部、(C)感光剤:(A)樹脂100質量部を基準として1〜50質量部を必須成分とする。
<感光性樹脂組成物>
また、別の実施形態は、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂:100質量部、(B−1)ナノ粒子:(A)樹脂100質量部を基準として0.01〜10質量部、(C)感光剤:(A)樹脂100質量部を基準として1〜50質量部を必須成分とする。
<感光性樹脂組成物>
また、別の実施形態は、ネガ型感光性樹脂組成物で、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、及びポリアミド酸塩、から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂:100質量部、(B−2)熱架橋剤:(A)樹脂100質量部を基準として0.01〜10質量部、(C)感光剤:(A)樹脂100質量部を基準として1〜50質量部を必須成分とする。
<感光性樹脂組成物>
また、別の実施形態は、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステルポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂:100質量部、(B−3)フッ素含有疎水性化合物を前記(A)樹脂100質量部を基準として0.01〜50質量部、(C)感光剤:(A)樹脂100質量部を基準として1〜50質量部を必須成分とする。
(A)樹脂
本発明に用いられる(A)樹脂について説明する。本発明の(A)樹脂は、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を主成分とする。ここで、主成分とは、これらの樹脂を全樹脂の60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
これらの樹脂の重量平均分子量は、熱処理後の耐熱性、機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で、200以上であることが好ましく、5,00以上がより好ましい。1,000以上であることが好ましく、1,000以上がより好ましい。上限は500,000以下であることが好ましく、感光性樹脂組成物とする場合は、現像液に対する溶解性の観点から、20,000以下がより好ましい。
本発明において(A)樹脂は、レリーフパターンを形成させるために、感光性樹脂であることが望ましい。感光性樹脂は、後述の(C)感光剤とともに使用して感光性樹脂組成物となり、その後の現像工程において溶解又は未溶解の現象を引き起こす樹脂である。
感光性樹脂としてはポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、並びにノボラック、ポリヒドロキシスチレンを含むフェノール樹脂、中でも、熱処理後の樹脂が耐熱性、機械特性に優れることから、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩)、ポリアミド、ポリヒドロキシアミド、ポリイミド及びフェノール樹脂が好ましく用いられる。
また、これらの感光性樹脂は、後述の(C)感光剤とともに、ネガ型又はポジ型の何れの感光性樹脂組成物を調製するか等、所望の用途に応じて選択できる。
[(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩]
本発明の感光性樹脂組成物において、耐熱性及び感光特性の観点から最も好ましい(A)樹脂の1つの例は、前記一般式(1):
{式中、X
1は、4価の有機基であり、Y
1は、2価の有機基であり、n
1は、2〜150の整数であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の飽和脂肪族基、又は前記一般式(2):
(式中、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm
1は、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。}で表される一価の有機基;又は、
下記一般式(3):
(式中、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてm
2は、2〜10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである。}、で表されるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル又はポリアミド酸塩である。
ポリイミド前駆体は、加熱(例えば200℃以上)環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。ポリイミド前駆体はネガ型感光性樹脂組成物用として好適である。
上記一般式(1)中、X
1で表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、−COOR
1基及び−COOR
2基と−CONH−基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。X
1で表される4価の有機基として、好ましくは芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、下記式(30):
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数、mは0〜3から選ばれる整数、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、X
1の構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式で表される構造を有するX
1基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(1)中、Y
1で表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式(31):
{式中、R25は水素原子、フッ素原子、C1〜C10の炭化水素基、C1〜C10の含フッ素炭化水素基から選ばれる1価の基であり、nは0〜4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Y
1の構造は1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。上記式(31)で表される構造を有するY
1基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(2)中のR3は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R4及びR5は、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、m1は、感光特性の観点から2以上10以下の整数、好ましくは2以上4以下の整数である。
(A)樹脂としてポリイミド前駆体を用いる場合に、感光性樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖にエステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法であり、後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とをイオン結合を介して結合させて、光重合性基を付与する方法である。
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、まず、前述の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Y1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(30)に示される構造を有するテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
上記アルコール類に、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を一部混合して用いることもできる。
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中、温度20〜50℃で4〜10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する溶剤中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。もしくは、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類としては、上記一般式(31)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等を、好ましくはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等、並びにその混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される樹脂層と各種基板との密着性の向上を目的に、ポリイミド前駆体の調製に際して、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶剤で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
一方、上記イオン結合型のポリイミド前駆体は、典型的には、テトラカルボン酸二無水物にジアミンを反応させて得られる。この場合、上記一般式(1)中のR1及びR2のうち少なくともいずれかはヒドロキシル基である。
テトラカルボン酸二無水物としては、上記式(30)の構造を含むテトラカルボン酸の無水物が好ましく、ジアミンとしては、上記式(31)の構造を含むジアミンが好ましい。得られたポリアミド前駆体に、後述する、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を添加することで、カルボキシル基とアミノ基とのイオン結合により光重合性基が付与される。
アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物として、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜20質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(C)感光剤として、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
上記エステル結合型及び上記イオン結合型のポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[(A)ポリアミド]
本発明の感光性樹脂組成物における好ましい(A)樹脂のさらに1つの例は、下記一般式(4):
{式中、X
2は、炭素数6〜15の3価の有機基であり、Y
2は、炭素数6〜35の2価の有機基であり、かつ同一の構造であるか、又は複数の構造を有してもよく、R
9は、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基であり、そしてn
2は、1〜1000の整数である。}
で表される構造を有するポリアミドである。このポリアミドはネガ型感光性樹脂組成物用として好適である。
上記一般式(4)中、R
9で示される基としては、感光特性と耐薬品性とを両立するという点で、下記一般式(32)、
{式中、R
32は、炭素数2〜19のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する有機基である。}
で表される基であることが好ましい。
上記一般式(4)中、X
2で示される3価の有機基としては、炭素数が6〜15の3価の有機基であることが好ましく、例えば下記式(33):
で表される基の中から選ばれる芳香族基であることが好ましく、そしてアミノ基置換イソフタル酸構造からカルボキシル基及びアミノ基を除いた芳香族基であることがより好ましい。
上記一般式(4)中、Y
2で示される2価の有機基としては、炭素数が6〜35の有機基であることが好ましく、そして置換されていてもよい芳香族環又は脂肪族環を1〜4個有する環状有機基、または環状構造を持たない脂肪族基またはシロキサン基であることが更に好ましい。Y
2で示される2価の有機基としては、下記一般式(I)及び下記一般式(34)、(35):
{式中、R
33及びR
34は、それぞれ独立に、水酸基、メチル基(−CH
3)、エチル基(−C
2H
5)、プロピル基(−C
3H
7)又はブチル基(−C
4H
9)から成る群から選ばれる一つの基であり、そして該プロピル基及びブチル基は、各種異性体を含む。}
{式中、m
7は、0〜8の整数であり、m
8及びm
9は、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、m
10及びm
11は、それぞれ独立に、0〜10の整数であり、そしてR
35及びR
36は、メチル基(−CH
3)、エチル基(−C
2H
5)、プロピル基(−C
3H
7)、ブチル基(−C
4H
9)又はこれらの異性体である。}が挙げられる。
環状構造を持たない脂肪族基またはシロキサン基としては、下記一般式(36):
{式中、m
12は、2〜12の整数であり、m
13は、1〜3の整数であり、m
14は、1〜20の整数であり、そしてR
37、R
38、R
39及びR
40は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基である。}が好ましいものとして挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂は、例えば、以下のように合成することができる。
(フタル酸化合物封止体の合成)
第一に、3価の芳香族基X2を有する化合物、例えばアミノ基で置換されたフタル酸、アミノ基で置換されたイソフタル酸、及び、アミノ基で置換されたテレフタル酸からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の化合物(以下、「フタル酸化合物」という)1モルと、アミノ基と反応する化合物1モルとを反応させて、該フタル酸化合物のアミノ基を後述のラジカル重合性の不飽和結合を含む基で修飾、封止した化合物(以下、「フタル酸化合物封止体」という)を合成する。これらは単独でもよいし、混合して用いてもよい。
フタル酸化合物を上記ラジカル重合性の不飽和結合を含む基で封止した構造とすると、ポリアミド樹脂にネガ型の感光性(光硬化性)を付与することができる。
ラジカル重合性の不飽和結合を含む基としては、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を有する有機基であることが好ましく、メタクリロイル基又はアクリロイル基を含む基が特に好ましい。
上述のフタル酸化合物封止体は、フタル酸化合物のアミノ基と、炭素数3〜20のラジカル重合性の不飽和結合基を少なくとも一つ有する酸クロライド、イソシアネート又はエポキシ化合物等とを反応させることで得ることができる。
好適な酸クロライドとしては、(メタ)アクリロイルクロリド、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]アセチルクロリド、3―[(メタ)アクリロイルオキシ]プロピオニルクロリド、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチルクロロホルメート、3−[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]クロロホルメートなどが挙げられる。好適なイソシアネートとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、2−[2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]エチルイソシアネートなどが挙げられる。好適なエポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよいが、メタクリロイルクロリドおよび/又は2−(メタクリロイルオキシ)エチルイソシアネートを用いるのが特に好ましい。
更に、これらのフタル酸化合物封止体としては、フタル酸化合物が5−アミノイソフタル酸であるものが、感光特性に優れると同時に、加熱硬化後の膜特性に優れたポリアミドを得ることができるために好ましい。
上記封止反応は、ピリジンなどの塩基性触媒又はジ−n−ブチルスズジラウレートなどのスズ系触媒の存在下、フタル酸化合物と封止剤とを、必要に応じて後述するような溶剤中で撹拌溶解、混合することにより進行させることができる。
酸クロライドなど、封止剤の種類によっては、封止反応の過程で塩化水素が副生するものがある。この場合は、以降の工程の汚染を防止する意味からも、一旦水再沈して水洗乾燥したり、イオン交換樹脂を充填したカラムを通してイオン成分を除去軽減するなど、適宜精製を行うことが好ましい。
(ポリアミドの合成)
上記フタル酸化合物封止体と2価の有機基Y2を有するジアミン化合物を、ピリジン又はトリエチルアミンなどの塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中で混合し、アミド重縮合させることにより、本発明のポリアミドを得ることができる。
アミド重縮合方法としては、フタル酸化合物封止体を、脱水縮合剤を用いて対称ポリ酸無水物とした後にジアミン化合物と混合する方法、又はフタル酸化合物封止体を既知の方法により酸クロライド化した後にジアミン化合物と混合する方法、ジカルボン酸成分と活性エステル化剤を脱水縮合剤の存在下で反応させて活性エステル化させた後にジアミン化合物と混合する方法などが挙げられる。
脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1’−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートなどが好ましいものとして挙げられる。
クロロ化剤としては、塩化チオニルなどが挙げられる。
活性エステル化剤としては、N−ヒドロキシスクシンイミド又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミドなどが挙げられる。
有機基Y2を有するジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、芳香族ビスアミノフェノール化合物、脂環式ジアミン化合物、直鎖脂肪族ジアミン化合物、シロキサンジアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1つのジアミン化合物であることが好ましく、所望に応じて複数を併用することも可能である。
芳香族ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、
3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、並びにこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及びハロゲン原子から成る群から選択される1つ以上の基で置換されたジアミン化合物が挙げられる。
このベンゼン環上の水素原子が置換されたジアミン化合物の例としては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルなどが挙げられる。
芳香族ビスアミノフェノール化合物としては、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジアミノベンゼン、4,6−ジアミノレゾルシノール、1,1−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4−(α−メチルベンジリデン)−ビス(2−アミノフェノール)などが挙げられる。
脂環式ジアミン化合物としては、1,3−ジアミノシクロペンタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、3,5−ジアミノ−1,1−ジメチルシクロヘキサン、1,5−ジアミノ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジアミノ−1−メチル−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,2−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2,5−ジエチルシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2−(3−アミノシクロペンチル)−2−プロピルアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1−シクロヘプテン−3,7−ジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカンなどが挙げられる。
直鎖脂肪族ジアミン化合物としては、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの炭化水素型ジアミン、又は2−(2−アミノエトキシ)エチルアミン、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテルなどのアルキレンオキサイド型ジアミンなどが挙げられる。
シロキサンジアミン化合物としては、ジメチル(ポリ)シロキサンジアミン、例えば、信越化学工業製、商標名PAM−E、KF−8010、X−22−161Aなどが挙げられる。
アミド重縮合反応終了後、反応液中に析出してきた脱水縮合剤由来の析出物等を必要に応じて濾別する。次いで、反応液中に、水若しくは脂肪族低級アルコール又はその混合液などのポリアミドの貧溶媒を投入してポリアミドを析出させる。更に、析出したポリアミドを溶剤に再溶解させ、再沈析出操作を繰り返すことによって精製し、真空乾燥を行い、目的のポリアミドを単離する。なお、精製度を更に向上させるために、このポリアミドの溶液を、イオン交換樹脂を充填したカラムに通してイオン性不純物を除去してもよい。
ポリアミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、7,000〜70,000であることが好ましく、そして10,000〜50,000であることがより好ましい。ポリスチレン換算重量平均分子量が7,000以上であれば、硬化レリーフパターンの基本的な物性が確保される。また、ポリスチレン換算重量平均分子量が70,000以下であれば、レリーフパターンを形成する際の現像溶解性が確保される。
GPCの溶離液としては、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また、重量平均分子量値は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求められる。標準単分散ポリスチレンとしては昭和電工製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[(A)ポリヒドロキシアミド]
本発明の感光性樹脂組成物における好ましい(A)樹脂のさらに1つの例は、下記一般式(5):
{式中、Y
3は、炭素原子を有する4価の有機基であり、好ましくは2個以上の炭素原子を有する4価の有機基であり、Y
4、X
3及びX
4は、それぞれ独立に、2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、n
3は、1〜1000の整数であり、n
4は、0〜500の整数であり、n
3/(n
3+n
4)>0.5であり、そしてX
3及びY
3を含むn
3個のジヒドロキシジアミド単位並びにX
4及びY
4を含むn
4個のジアミド単位の配列順序は問わない。}で表される構造を有するポリヒドロキシアミド(ポリオキサゾール前駆体(以下、上記一般式(5)で表されるポリヒドロキシアミドを単に「ポリオキサゾール前駆体」という場合がある。))である。
ポリオキサゾール前駆体は、上記一般式(5)中のn3個のジヒドロキシジアミド単位(以下、単にジヒドロキシジアミド単位という場合がある。)を有するポリマーであり、上記一般式(5)中のn4個のジアミド単位(以下、単にジアミド単位という場合がある。)を有してもよい。
X3の炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましく、X4の炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましく、Y3の炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましく、そしてY4の炭素原子数は、感光特性を得る目的で2個以上40個以下であることが好ましい。
該ジヒドロキシジアミド単位は、Y3(NH2)2(OH)2の構造を有するジアミノジヒドロキシ化合物(好ましくはビスアミノフェノール)及びX3(COOH)2の構造を有するジカルボン酸からの合成により形成できる。以下、上記ジアミノジヒドロキシ化合物がビスアミノフェノールである場合を例に典型的な態様を説明する。該ビスアミノフェノールの2組のアミノ基とヒドロキシ基とはそれぞれ互いにオルト位にあるものであり、該ジヒドロキシジアミド単位は、約250〜400℃での加熱によって閉環して、耐熱性のポリオキサゾール構造に変化する。一般式(5)中のn3は、感光特性を得る目的で1以上、感光特性を得る目的で1000以下である。n3は2〜1000の範囲が好ましく、3〜50の範囲がより好ましく、3〜20の範囲であることが最も好ましい。
ポリオキサゾール前駆体には、必要に応じて上記ジアミド単位n4個が縮合されていてもよい。該ジアミド単位は、Y4(NH2)2の構造を有するジアミン及びX4(COOH)2の構造を有するジカルボン酸からの合成により形成できる。一般式(5)中のn4は、0〜500の範囲であり、n4が500以下であることにより良好な感光特性が得られる。n4は0〜10の範囲がより好ましい。ジヒドロキシジアミド単位に対するジアミド単位の割合が高すぎると現像液として使用するアルカリ性水溶液への溶解性が低下するので、一般式(5)中のn3/(n3+n4)の値は0.5超であり、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが最も好ましい。
Y
3(NH
2)
2(OH)
2の構造を有するジアミノジヒドロキシ化合物としてのビスアミノフェノールとしては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。これらのビスアミノフェノールは単独又は2種以上を組合せて使用できる。該ビスアミノフェノールにおけるY
3基としては、下記式(37):
{式中、Rs1とRs2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基を表す} で表されるものが、感光特性の点で好ましい。
また、Y4(NH2)2の構造を有するジアミンとしては、芳香族ジアミン、シリコンジアミン等が挙げられる。このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン、
4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、5(又は6)−アミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(α,α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等、並びに、これら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基及びフェニル基から成る群より選ばれる少なくとも1種の基又は原子によって置換された化合物が挙げられる。
また、上記ジアミンとして、基材との接着性を高めるためにシリコンジアミンを選択することができる。シリコンジアミンの例としては、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
また、X
3(COOH)
2又はX
4(COOH)
2の構造を有する好ましいジカルボン酸としては、X
3及びX
4が、それぞれ、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する脂肪族基又は芳香族基であるものが挙げられる。中でも、芳香族環又は脂肪族環を含有していても良い炭素原子数2個以上40個以下の有機基が好ましく、X
3及びX
4は、それぞれ、下記式(38):
{式中、R
41は、−CH
2−、−O−、−S−、−SO
2−、−CO−、−NHCO−及び−C(CF
3)
2−から成る群から選択される2価の基を表す。}
で表される芳香族基から好ましく選択でき、これらは感光特性の点で好ましい。
ポリオキサゾール前駆体は、末端基が特定の有機基で封止されたものでもよい。封止基で封止されたポリオキサゾール前駆体を用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物の加熱硬化後の塗膜の機械物性(特に伸度)及び硬化レリーフパターン形状が良好となることが期待される。このような封止基の好適な例としては、下記式(39):
で表されるものが挙げられる。
ポリオキサゾール前駆体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量は、3,000〜70,000であることが好ましく、6,000〜50,000であることがより好ましい。この重量平均分子量は、硬化レリーフパターンの物性の観点から3,000以上が好ましい。また、解像性の観点から、70,000以下が好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
[(A)ポリイミド]
本発明の感光性樹脂組成物における好ましい(A)樹脂のさらに1つの例は、前記一般式(6):
{式中、X
5は、4〜14価の有機基、Y
5は、2〜12価の有機基、R
10及びR
11は、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はチオール基から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機基を示し、かつ同一であるか、又は異なっていてよく、n
5は、3〜200の整数であり、そしてm
3及びm
4は、0〜10の整数である。}
で表される構造を有するポリイミドである。ここで、一般式(6)で表される樹脂は、十分な膜特性を発現する上で熱処理の工程で化学変化を要さないので、より低温での処理に好適である点で特に好ましい。
上記一般式(6)にて示される構造単位中のX
5は、炭素数4〜40の4価〜14価の有機基であることが好ましく、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、芳香族環又は脂肪族環を含有する炭素原子数5〜40の有機基であることがさらに好ましい。
上記一般式(6)で表されるポリイミドは、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどとジアミン、対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンを反応させて得ることができる。ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド前駆体の1つであるポリアミド酸を、加熱又は酸若しくは塩基などによる化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
好適なテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、
9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、又はブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物及び下記一般式(40):
{式中、R
42は、酸素原子、C(CF
3)
2、C(CH
3)
2又はSO
2から選ばれる基を示し、そしてR
43及びR
44は、同一であるか、又は異なっていてもよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}で表される化合物が挙げられる。
これらのうち、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物及び下記一般式(41)
{式中、R
45は、酸素原子、C(CF
3)
2、C(CH
3)
2又はSO
2から選ばれる基を示し、そしてR
46及びR
47は、同一であるか、又は異なっていてもよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}で表される構造の酸二無水物が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記一般式(6)のY5は、ジアミンの構造成分を表しており、このジアミンとしては、芳香族環又は脂肪族環を含有する2〜12価の有機基を表し、中でも炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン又はこれらの芳香族環にアルキル基若しくはハロゲン原子で置換した化合物、或いは脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン及び、下記一般式(42):
{式中、R
48は、酸素原子、C(CF
3)
2、C(CH
3)
2又はSO
2から選ばれる基を示し、そしてR
49〜R
52は、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}で表される構造のジアミンなどが挙げられる。
これらのうち、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、m−フェニレンジアミン、P−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン及び、下記一般式(43):
{式中、R
53は、酸素原子、C(CF
3)
2、C(CH
3)
2又はSO
2から選ばれる基を示し、そしてR
54〜R
57は、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}
で表される構造のジアミンが好ましい。
これらのうち、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、および下記一般式(44):
{式中、R
58は、酸素原子、C(CF
3)
2、C(CH
3)
2又はSO
2から選ばれる基を示し、そしてR
59及びR
60は、同一であるか、又は異なっていてよく、かつ水素原子、水酸基又はチオール基から選ばれる基を示す。}
で表される構造のジアミンが特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
一般式(6)のR10及びR11は、フェノール性水酸基、スルホン酸基、又はチオール基を表している。本発明においては、R10及びR11としてフェノール性水酸基、スルホン酸基及び/又はチオール基を混在させることができる。
R10及びR11のアルカリ可溶性基の量を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂組成物を得ることができる。
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲でX5、Y5としてシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
上記ポリイミドは、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物またはモノ酸クロリド化合物又はモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得、これを、既知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法、または、途中でイミド化反応を停止し、一部イミド構造を導入する(この場合はポリアミドイミド)方法、さらには、完全イミド化したポリマーと、そのポリイミド前駆体をブレンドする事によって、一部イミド構造を導入する方法を利用して合成することができる。
上記ポリイミドは、感光性樹脂組成物を構成する樹脂全体に対し、イミド化率が15%以上になるように、ポリイミドを有していることが好ましい。さらに好ましくは20%以上である。ここでイミド化率とは、感光性樹脂組成物を構成する樹脂全体に存在するイミド化の割合を指す。イミド化率が15%を下回ると熱硬化時の収縮量が大きくなり、厚膜作製には適さない。
イミド化率は、以下の方法で容易に算出できる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理し、熱処理後の赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm−1付近のピーク強度を熱処理前の強度と比較することによって、熱処理前ポリマー中のイミド化率を算出する。
上記ポリイミドの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、3,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が3,000以上である場合機械物性が良好であり、50,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
さらに本発明においては、フェノール樹脂も好適に使用することができる。
[(A)フェノール樹脂]
本実施形態におけるフェノール樹脂とは、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有する樹脂を意味する。(A)フェノール樹脂は、熱硬化時にポリイミド前駆体が環化(イミド化)するような構造変化がおこらないため、低温(例えば250℃以下)での硬化が可能であるという利点を有する。
本実施形態では、(A)フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
本開示における重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により算出することができる。
(A)フェノール樹脂は、アルカリ水溶液への溶解性、レジストパターンを形成する際の感度と解像性、及び硬化膜の残留応力の観点から、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、下記一般式(7):
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R
26は、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR
12は、互いに同一でも又は異なっていてもよく、Xは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(8):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}
で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、及び炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂であることが好ましい。
(ノボラック)
本開示で、ノボラックとは、フェノール類とホルムアルデヒドとを触媒の存在下で縮合させることにより得られるポリマー全般を意味する。一般に、ノボラックは、フェノール類1モルに対し、ホルムアルデヒド1モル未満を縮合させて得ることができる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。具体的なノボラックとしては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラックの重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
(ポリヒドロキシスチレン)
本開示で、ポリヒドロキシスチレンとは、ヒドロキシスチレンを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。ポリヒドロキシスチレンの好ましい例としては、ポリパラビニルフェノールが挙げられる。ポリパラビニルフェノールは、パラビニルフェノールを重合単位として含有するポリマー全般を意味する。従って、本発明の目的に反しない限りは、ポリヒドロキシスチレン(例えばポリパラビニルフェノール)を構成するために、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を使用することができる。ポリヒドロキシスチレンにおいて、全重合単位のモル数基準でのヒドロキシスチレン単位のモル数の割合は、好ましくは10モル%〜99モル%、より好ましくは20〜97モル%、更に好ましくは30〜95モル%である。上記割合が10モル%以上である場合、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点で有利であり、99モル%以下である場合、後述の共重合成分を含有する組成物を硬化した硬化膜のリフロー適用性の観点から有利である。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位は、ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)と共重合可能な任意の重合単位であることができる。ヒドロキシスチレン(例えばパラビニルフェノール)以外の重合単位を与える共重合成分としては、限定されるものではないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルアクリレート、2−エトキシエチルメタアクリレート、t−ブチルアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、デカメチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−2−2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート及び1,4−ベンゼンジオールジメタクリレートのようなアクリル酸のエステル;スチレン並びに、例えば、2−メチルスチレン及びビニルトルエンのような置換スチレン;例えば、ビニルアクリレート及びビニルメタクリレートのようなビニルエステルモノマー;並びにo−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール等が挙げられる。
また、上記で説明されたノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、それぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
ポリヒドロキシスチレンの重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
(一般式(7)で表されるフェノール樹脂)
本実施形態では、(A)フェノール樹脂が、下記一般式(7):
{式中、aは、1〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、R
12は、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基を表し、bが2又は3である場合には、複数のR
12は、互いに同一でも又は異なっていてよく、Xは、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、下記一般式(8):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基を表す。}で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を含むこともまた好ましい。上記の繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、例えば従来使用されてきたポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂と比べて低温での硬化が可能であり、かつ良好な伸度を有する硬化膜の形成を可能にする点で特に有利である。フェノール樹脂分子中に存在する上記繰り返し単位は、1種又は2種以上の組合せであることができる。
上記一般式(7)において、R
12は、一般式(7)にかかる樹脂を合成する際の反応性の観点から、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価の置換基である。R
12は、アルカリ溶解性の観点から、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、及び下記一般式(45):
{式中、R
61、R
62及びR
63は、各々独立に、水素原子、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、又は炭素数6〜20の芳香族基を表し、そしてR
64は、不飽和結合を有していてもよい炭素数1〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族基を表す。}で表される4つの基からなる群から選択される1価の置換基であることが好ましい。
本実施形態では、上記一般式(7)において、aは、1〜3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から2が好ましい。また、aが2である場合には、水酸基同士の置換位置は、オルト、メタ及びパラ位のいずれであってもよい。そしてaが3である場合には、水酸基同士の置換位置は、1,2,3−位、1,2,4−位及び1,3,5−位等、いずれであってもよい。
本実施形態では、上記一般式(7)において、aが1の場合は、アルカリ溶解性を向上するために、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂(以下、(a1)樹脂ともいう)にさらにノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下(a2)樹脂ともいう)を混合することができる。
(a1)樹脂と(a2)樹脂との混合比は、質量比で(a1)/(a2)=10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。この混合比は、アルカリ水溶液中での溶解性、及び硬化膜の伸度の観点から、(a1)/(a2)=10/90〜90/10が好ましく、(a1)/(a2)=20/80〜80/20であることがより好ましく、(a1)/(a2)=30/70〜70/30であることがさらに好ましい。
上記(a2)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
本実施形態では、上記一般式(7)において、bは、0〜3の整数であるが、アルカリ溶解性及び伸度の観点から、0又は1であることが好ましい。また、bが2又は3である場合には、複数のR12は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。
さらに、本実施形態では、上記一般式(7)において、a及びbは、1≦(a+b)≦4の関係を満たす。
本実施形態では、上記一般式(7)において、Xは、硬化レリーフパターン形状及び、硬化膜の伸度の観点から、不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜10の2価の脂肪族基、炭素数3〜20の2価の脂環式基、上記一般式(8)で表されるアルキレンオキシド基、及び炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基からなる群から選択される2価の有機基である。これらの2価の有機基の中で、硬化後の膜の強靭性の観点から、Xは、下記一般式(9):
{式中、R
13、R
14、R
15及びR
16は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、n
6は0〜4の整数であって、n
6が1〜4の整数である場合のR
17は、ハロゲン原子、水酸基、又は炭素数1〜12の1価の有機基であり、少なくとも1つのR
17は水酸基であり、n
6が2〜4の整数である場合の複数のR
17は互いに同一でも又は異なっていてもよい。}で表される2価の基、及び下記一般式(10):
{式中、R
18、R
19、R
20及びR
21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されてなる炭素数1〜10の1価の脂肪族基を表し、Wは、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環式基、下記一般式(8):
(式中、pは、1〜10の整数である。)で表される2価のアルキレンオキシド基、及び下記式(11):
で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基である。}で表される2価の基からなる群から選択される2価の有機基であることが好ましい。上記炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基Xの炭素数は、好ましくは8〜75、より好ましくは8〜40である。なお上記炭素数6〜12の芳香族環を有する2価の有機基Xの構造は、一般的には、上記一般式(7)中、OH基及び任意のR
12基が芳香環に結合している構造とは異なる。
更に、上記一般式(10)で表される2価の有機基は、樹脂組成物のパターン形成性、及び硬化後の硬化膜の伸度が良好である観点から、下記式(12):
で表される2価の有機基であることがより好ましく、さらに下記式(13):
で表される2価の有機基であることが特に好ましい。
一般式(7)で表される構造中、Xは、前記式(12)又は(13)で表される構造が特に好ましく、Xにおける式(12)又は(13)で表される構造で表される部位の割合は、伸度の観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。上記割合は、組成物のアルカリ溶解性の観点から、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
また、上記一般式(7)で表される構造を有するフェノール樹脂の中で、下記一般式(14)で表される構造及び下記一般式(15)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する構造は、組成物のアルカリ溶解性及び、硬化膜の伸度の観点から特に好ましい。
{式中、R
21は炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1〜10の1価の基であり、n
7は2又は3であり、n
8は0〜2の整数であり、m
5は1〜500の整数であり、2≦(n
7+n
8)≦4であり、n
8が2の場合には、複数のR
21は互いに同一でも又は異なっていてもよい。}
{式中、R
22及びR
23は各々独立に炭化水素基及びアルコキシ基からなる群から選択される炭素数1〜10の1価の基であり、n
9は1〜3の整数であり、n
10は0〜2の整数であり、n
11は0〜3の整数であり、m
6は1〜500の整数であり、2≦(n
9+n
10)≦4であり、n
10が2の場合には、複数のR
22は互いに同一でも又は異なっていてもよく、n
11が2又は3の場合には、複数のR
23は互いに同一でも又は異なっていてもよい。}
上記一般式(14)のm5及び上記一般式(15)のm6は、フェノール樹脂の主鎖におけるそれぞれの繰り返し単位の総数を表す。すなわち、(A)フェノール樹脂において、例えば、上記一般式(14)で表される構造における括弧内の繰り返し単位と上記一般式(15)で表される構造における括弧内の繰り返し単位とは、ランダム、ブロック又はこれらの組合せで配列されていることができる。m5及びm6は各々独立に1〜500の整数であり、下限値は、好ましくは2、より好ましくは3であり、上限値は、好ましくは450、より好ましくは400、さらに好ましくは350である。m5及びm6は、各々独立に、硬化後の膜の強靭性の観点から、2以上であることが好ましく、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、450以下であることが好ましい。m5及びm6の合計は、硬化後の膜の強靭性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは175以下、更に好ましくは150以下である。
上記一般式(14)で表される構造及び上記一般式(15)で表される構造の両方を同一樹脂骨格内に有する(A)フェノール樹脂において、上記一般式(14)で表される構造のモル比率が高いほど、硬化後の膜物性が良好であり、耐熱性にも優れ、一方、上記一般式(15)で表される構造のモル比率が高いほど、アルカリ溶解性が良好であり、硬化後のパターン形状に優れる。従って、上記一般式(14)で表される構造の上記一般式(15)で表される構造に対する比率m5/m6は、硬化後の膜物性の観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、特に好ましくは50/50以上であり、アルカリ溶解性及び硬化レリーフパターン形状の観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、さらに好ましくは70/30以下である。
一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂は、典型的には、フェノール化合物と、共重合成分(具体的には、アルデヒド基を有する化合物(トリオキサンのように分解してアルデヒド化合物を生成する化合物も含む)、ケトン基を有する化合物、メチロール基を分子内に2個有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個有する化合物、及びハロアルキル基を分子内に2個有する化合物からなる群から選択される1種類以上の化合物)とを含み、より典型的にはこれらからなるモノマー成分を、重合反応させることによって合成できる。例えば、下記に示すようなフェノール及び/又はフェノール誘導体(以下、総称して「フェノール化合物」ともいう。)に対し、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物、又はハロアルキル化合物等の共重合成分を重合させて(A)フェノール樹脂を得ることができる。この場合、上記一般式(7)中、OH基及び任意のR12基が芳香環に結合している構造で表される部分は上記フェノール化合物に由来し、Xで表される部分は上記共重合成分に由来することになる。反応制御、並びに得られた(A)フェノール樹脂及び感光性樹脂組成物の安定性の観点から、フェノール化合物と上記共重合成分との仕込みモル比 (フェノール化合物):(共重合成分)は、5:1〜1.01:1であることが好ましく、2.5:1〜1.1:1であることがより好ましい。
一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは700〜100,000であり、より好ましくは1,500〜80,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量は、硬化膜のリフロー処理適用性の観点から、700以上であることが好ましく、一方で、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂を得るために使用できるフェノール化合物としては、例えば、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ヒドロキシビフェニル、ベンジルフェノール、ニトロベンジルフェノール、シアノベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、ニトロフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、トリフルオロメチルフェノール、N−(ヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、トリフルオロメチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシベンズアミド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾニトリル、レゾルシノール、キシレノール、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、ヘキシルカテコール、ベンジルカテコール、ニトロベンジルカテコール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、ニトロベンジルレゾルシノール、ハイドロキノン、カフェイン酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸メチル、ジヒドロキシ安息香酸エチル、ジヒドロキシ安息香酸ブチル、ジヒドロキシ安息香酸プロピル、ジヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾニトリル、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、ニトロカテコール、フルオロカテコール、クロロカテコール、ブロモカテコール、トリフルオロメチルカテコール、ニトロレゾルシノール、フルオロレゾルシノール、クロロレゾルシノール、ブロモレゾルシノール、トリフルオロメチルレゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸メチル、トリヒドロキシ安息香酸エチル、トリヒドロキシ安息香酸ブチル、トリヒドロキシ安息香酸プロピル、トリヒドロキシ安息香酸ベンジル、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾニトリル等が挙げられる。
上記アルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、トリオキサン、グリオキザール、シクロヘキシルアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキシル酸、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ナフトアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
上記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジシクロヘキシルケトン、ジベンジルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ビシクロヘキサノン、シクロヘキサンジオン、3−ブチン−2−オン、2−ノルボルナノン、アダマンタノン、2,2−ビス(4−オキソシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
上記メチロール化合物としては、例えば、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−プロピルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−プロポキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−n−ブトキシフェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブトキシフェノール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、リビトール、アラビトール、アリトール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2−ベンジルオキシ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、モノアセチン、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール、ペンタエリスリトール、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3,6−ビス(ヒドロキシメチル)デュレン、2−ニトロ−p−キシリレングリコール、1,10−ジヒドロキシデカン、1,12−ジヒドロキシドデカン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルフェニル、4−ヒドロキシメチル安息香酸−4’−ヒドロキシメチルアニリド、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
上記アルコキシメチル化合物としては、例えば、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−エチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−プロピルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−エトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−プロポキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−n−ブトキシフェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブトキシフェノール、1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、2,2−ビス(メトキシメチル)酪酸、2,2−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、2,3−ビス(メトキシメチル)―5−ノルボルネン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキセン、1,6−ビス(メトキシメチル)アダマンタン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(メトキシメチル)−1,4−ジメトキシベンゼン、2,3−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、2,6−ビス(メトキシメチル)ナフタレン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、2,2’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ジフェニルチオエーテル、4,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルフェニル、4−メトキシメチル安息香酸−4’−メトキシメチルアニリド、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレア、4,4’−ビス(メトキシメチル)フェニルウレタン、1,8−ビス(メトキシメチル)アントラセン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−メトキシメチルフェニル)プロパン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
上記ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、3−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ブタンジオール−ジメタクリラート、2,4−ヘキサジエン−1−オール、メチルシクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、1−ヒドロキシジシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジアリルスルフィド、アジピン酸ジアリル、2,5−ノルボルナジエン、テトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸ジアリルプロピル等が挙げられる。
上記ハロアルキル化合物としては、例えば、キシレンジクロライド、ビスクロロメチルジメトキシベンゼン、ビスクロロメチルデュレン、ビスクロロメチルビフェニル、ビスクロロメチル−ビフェニルカルボン酸、ビスクロロメチル−ビフェニルジカルボン酸、ビスクロロメチル−メチルビフェニル、ビスクロロメチル−ジメチルビフェニル、ビスクロロメチルアントラセン、エチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(クロロエチル)エーテル等が挙げられる。
上述のフェノール化合物と共重合成分とを、脱水、脱ハロゲン化水素、若しくは脱アルコールにより縮合させるか、又は不飽和結合を開裂させながら重合させることにより、(A)フェノール樹脂を得ることができるが、重合時に触媒を用いてもよい。酸性の触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、酢酸、シュウ酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、酢酸亜鉛、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・エーテル錯体等が挙げられる。一方で、アルカリ性の触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
一般式(7)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂を得るために使用される触媒の量は、共重合成分(すなわちフェノール化合物以外の成分)の合計モル数、好ましくは、アルデヒド化合物、ケトン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物、ジエン化合物及びハロアルキル化合物の合計モル数100モル%に対して、0.01モル%〜100モル%の範囲であることが好ましい。
(A)フェノール樹脂の合成反応において、反応温度は、通常40℃〜250℃であることが好ましく、100℃〜200℃の範囲であることがより好ましく、そして反応時間は、概ね1時間〜10時間であることが好ましい。
必要に応じて、該樹脂を十分に溶解できる溶剤を使用することができる。
なお、一般式(7)で表される繰り返し構造を有するフェノール樹脂は、上記一般式(7)の構造の原料とはならないフェノール化合物を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに重合させたものであってもよい。本発明の効果を損なわない範囲とは、例えば(A)フェノール樹脂の原料となるフェノール化合物全モル数の30%以下である。
(炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂)
炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体と炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」ともいう。)と、アルデヒド類との縮重合生成物、又は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応生成物である。
フェノール誘導体は、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂の原料として上述したものと同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物の不飽和炭化水素基は、硬化膜の残留応力及びリフロー処理適用性の観点から、2以上の不飽和基を含むことが好ましい。また、樹脂組成物としたときの相溶性及び硬化膜の残留応力の観点からは、不飽和炭化水素基は好ましくは炭素数4〜100、より好ましくは炭素数8〜80、さらに好ましくは炭素数10〜60である。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4〜100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブダジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、不飽和脂肪酸エステルである植物油が、硬化膜の伸度及び、硬化膜の可撓性の観点から特に好ましい。
植物油は、通常、グリセリンと不飽和脂肪酸とのエステルを含み、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油である。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
上記植物油の中で、フェノール若しくはその誘導体又はフェノール樹脂と植物油との反応において、過度の反応の進行に伴うゲル化を防ぎ、歩留まりが向上する観点から、不乾性油を用いることが好ましい。一方、レジストパターンの密着性、機械特性及び耐熱衝撃性が向上する観点では乾性油を用いることが好ましい。乾性油の中でも、本発明による効果をより有効かつ確実に発揮できることから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油が好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。これら植物油は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜の残留応力を低下させる観点から、フェノール又はその誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向があり、100質量部を超えると、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。上記反応においては、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
上記反応により生成する不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを重縮合させることにより、不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が生成する。アルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチル、ピルビン酸、レプリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸及び3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸から選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体を用いてもよい。これらのアルデヒド類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記アルデヒド類と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。反応は酸又は塩基等の触媒の存在下で行うことが好ましく、樹脂の重合度(分子量)の観点から酸触媒を用いることがより好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、ぎ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸及びシュウ酸が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応は、通常反応温度100〜120℃で行うことが好ましい。また、反応時間は使用する触媒の種類や量により異なるが、通常1〜50時間である。反応終了後、反応生成物を200℃以下の温度で減圧脱水することで不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が得られる。なお、反応には、トルエン、キシレン、メタノール等の溶剤を用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂は、上述の不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。この場合、フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物に対するフェノール以外の化合物の仕込みモル比は、0.5未満であると好ましい。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。この場合に用いるフェノール樹脂は、フェノール化合物(すなわちフェノール及び/又はフェノール誘導体)とアルデヒド類の重縮合生成物である。この場合、フェノール誘導体及びアルデヒド類としては、上述したフェノール誘導体及びアルデヒド類と同様のものを用いることができ、上述したような従来公知の条件でフェノール樹脂を合成することができる。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂を形成するために用いるのに好適な、フェノール化合物とアルデヒド類とから得られるフェノール樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシリレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂と反応させる不飽和炭化水素基含有化合物は、アルデヒド類と反応させる不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体の製造に関して上述した不飽和炭化水素基含有化合物と同様のものを使用することができる。
フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。また、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜(レジストパターン)の可とう性を向上させる観点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、2〜70質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることが更に好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向にあり、100質量部を超えると、反応中にゲル化する可能性が高くなる傾向、及び、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応の際、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応には後述にて詳しく説明するが、例えばトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン等の溶剤を用いることができる。
以上のような方法により生成する不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂中に残ったフェノール性水酸基に、更に多塩基酸無水物を反応させることにより酸変性したフェノール樹脂を用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、アルカリ水溶液(現像液として使用するもの)に対する溶解性がより一層向上する。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、さらに良好な形状を有するレジストパターンを形成できるという利点がある。
フェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応は、50〜130℃で行うことができる。この反応において、フェノール性水酸基1モルに対して、0.10〜0.80モルの多塩基酸無水物を反応させることが好ましく、0.15〜0.60モル反応させることがより好ましく、0.20〜0.40モル反応させることが更に好ましい。多塩基酸無水物が0.10モル未満では、現像性が低下する傾向にあり、0.80モルを超えると、未露光部の耐アルカリ性が低下する傾向にある。
なお、上記反応には、反応を迅速に行う観点から、必要に応じて、触媒を含有させてもよい。触媒としては、トリエチルアミン等の3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物が挙げられる。
多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、40〜170mgKOH/gであることがより好ましく、50〜150mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、アルカリ現像に長時間を要する傾向にあり、200mgKOH/gを超えると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、未露光部の耐現像液性が低下する傾向にある。
不飽和炭化水素基含有化合物で変性されたフェノール樹脂の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性や、感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮すると、重量平均分子量で1000〜100000が好ましく、2000〜100000がより好ましい。
本実施形態の(A)フェノール樹脂としては、上記一般式(7)で表される繰り返し単位を有するフェノール樹脂、及び上記炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂から選択される少なくとも1種のフェノール樹脂(以下、(a3)樹脂ともいう)と、ノボラック及びポリヒドロキシスチレンから選択されるフェノール樹脂(以下、(a4)樹脂ともいう)との混合物も好ましい。(a3)樹脂と(a4)樹脂との混合比は、質量比で(a3)/(a4)=5/95〜95/5の範囲である。この混合比は、アルカリ水溶液への溶解性、レジストパターンを形成する際の感度と解像性、及び硬化膜の残留応力、リフロー処理適用性の観点から、(a3)/(a4)=5/95〜95/5が好ましく、(a3)/(a4)=10/90〜90/10であることがより好ましく、(a3)/(a4)=15/85〜85/15であることがさらに好ましい。上記(a4)樹脂としてのノボラック及びポリヒドロキシスチレンとしては、上記(ノボラック)及び(ポリヒドロキシスチレン)の項に示したものと同様の樹脂を使用できる。
(B)可塑剤
本実施形態における(B)可塑剤について以下詳細に説明する。(B)可塑剤は、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂の流動性を向上させ、(A)樹脂のポリマーのパッキング性を向上させる化合物である。パッキング性が向上することにより、高温保存試験中、ボイドの発生を抑制することが出来、Cu層と樹脂層との界面での密着性の低下を抑制することができる。(B)可塑剤は上記条件に該当するものであれば特に限定されない。
(B)可塑剤として機能する化合物としては、下記一般式(7):
{式中、Xは炭素数が1以上15以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素もしくは芳香族炭化水素を含む構造であって、nは1〜4の整数であって、nが2以上の場合、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数が2以上15以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素もしくは芳香族炭化水素である。)で表わされる化合物が特に好ましく用いられる。
中でも下記一般式(8):
{式中、mは1〜4の整数であって、mが2以上の場合、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数が2以上15以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素もしくは芳香族炭化水素で表される。}で表され、又は、
下記一般式(9):
{式中、Yは炭素数が1以上10以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素もしくは芳香族炭化水素を含む構造であって、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数が2以上15以下の飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素もしくは芳香族炭化水素で表される。}からなる群から選択される少なくとも一種が、本発明の可塑剤として好ましい。
前記一般式(7)で表わされる可塑剤としては、安息香酸エステル、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステルおよび脂肪族酸テトラヒドロフルフリルなどが挙げられる。安息香酸エステルの具体的な化合物例としては安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ペンチル、安息香酸へプチル、安息香酸ノルマルオクチル、安息香酸ノニル、安息香酸イソノニル、安息香酸イソデシル、安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸イソデシル、安息香酸ブチルベンジル、安息香酸シクロプロピル、安息香酸シクロブチル、安息香酸シクロペンチチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸シクロヘプチル、安息香酸アリル、安息香酸ブチルベンジル、安息香酸フェニルが挙げられる。中でも特に、安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニルが好適に用いられる。
フタル酸エステルの具体的な化合物例としてはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジへプチル、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロプロピル、フタル酸ジシクロブチル、フタル酸ジシクロペンチチル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジシクロヘプチル、フタル酸ジアリル、フタル酸ビスブチルベンジル、フタル酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニルが好適に用いられる。
イソフタル酸エステルの具体的な化合物例としてはイソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジプロピル、イソフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジペンチル、イソフタル酸ジへプチル、イソフタル酸ジノルマルオクチル、イソフタル酸ジノニル、イソフタル酸ジイソノニル、イソフタル酸ジイソデシル、イソフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジイソデシル、イソフタル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジシクロプロピル、イソフタル酸ジシクロブチル、イソフタル酸ジシクロペンチチル、イソフタル酸ジシクロヘキシル、イソフタル酸ジシクロヘプチル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ビスブチルベンジル、イソフタル酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、イソフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジシクロヘキシル、イソフタル酸ジフェニルが好適に用いられる。
テレフタル酸エステルの具体的な化合物例としてはテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジペンチル、テレフタル酸ジへプチル、テレフタル酸ジノルマルオクチル、テレフタル酸ジノニル、テレフタル酸ジイソノニル、テレフタル酸ジイソデシル、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、テレフタル酸ジイソデシル、テレフタル酸ブチルベンジル、テレフタル酸ジシクロプロピル、テレフタル酸ジシクロブチル、テレフタル酸ジシクロペンチチル、テレフタル酸ジシクロヘキシル、テレフタル酸ジシクロヘプチル、テレフタル酸ジアリル、テレフタル酸ビスブチルベンジル、テレフタル酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、テレフタル酸ジシクロヘキシル、テレフタル酸ジフェニルが好適に用いられる。
トリメリット酸エステルの具体的な化合物例としては、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリプロピル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリペンチル、トリメリット酸トリへプチル、トリメリット酸トリノルマルオクチル、トリメリット酸トリノニル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリスブチルベンジル、トリメリット酸トリシクロプロピル、トリメリット酸トリシクロブチル、トリメリット酸トリシクロペンチチル、トリメリット酸トリシクロヘキシル、トリメリット酸トリシクロヘプチル、トリメリット酸トリアリル、トリメリット酸トリスブチルベンジル、トリメリット酸トリフェニルが挙げられる。中でも特に、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリシクロヘキシル、トリメリット酸トリフェニルが好適に用いられる。
ピロメリット酸エステルの具体的な化合物例としては、ピロメリット酸テトラメチル、ピロメリット酸テトラエチル、ピロメリット酸テトラプロピル、ピロメリット酸テトラブチル、ピロメリット酸テトラペンチル、ピロメリット酸テトラへプチル、ピロメリット酸テトラノルマルオクチル、ピロメリット酸テトラノニル、ピロメリット酸テトライソノニル、ピロメリット酸テトライソデシル、ピロメリット酸テトラキス(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトライソデシル、ピロメリット酸テトラキスブチルベンジル、ピロメリット酸テトラシクロプロピル、ピロメリット酸テトラシクロブチル、ピロメリット酸テトラシクロペンチチル、ピロメリット酸テトラシクロヘキシル、ピロメリット酸テトラシクロヘプチル、ピロメリット酸テトラアリル、ピロメリット酸テトラキスブチルベンジル、ピロメリット酸テトラフェニルが挙げられる。中でも特に、ピロメリット酸テトラキス(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラシクロヘキシル、ピロメリット酸テトラフェニルが好適に用いられる。
前記一般式(8)で表わされる可塑剤としてはマロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル、ピメリン酸エステル、スベリン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステルなどが好適に用いられる。マロン酸エステルの具体的な化合物例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジペンチル、マロン酸ジへプチル、マロン酸ジノルマルオクチル、マロン酸ジノニル、マロン酸ジイソノニル、マロン酸ジイソデシル、マロン酸ビス(2−エチルヘキシル)、マロン酸ジイソデシル、マロン酸ブチルベンジル、マロン酸ジシクロプロピル、マロン酸ジシクロブチル、マロン酸ジシクロペンチチル、マロン酸ジシクロヘキシル、マロン酸ジシクロヘプチル、マロン酸ジアリル、マロン酸ビスブチルベンジル、マロン酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、マロン酸ビス(2−エチルヘキシル)、マロン酸ジシクロヘキシル、マロン酸ジフェニルが好適に用いられる。
コハク酸エステルの具体的な化合物例としては、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジペンチル、コハク酸ジへプチル、コハク酸ジノルマルオクチル、コハク酸ジノニル、コハク酸ジイソノニル、コハク酸ジイソデシル、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジイソデシル、コハク酸ブチルベンジル、コハク酸ジシクロプロピル、コハク酸ジシクロブチル、コハク酸ジシクロペンチチル、コハク酸ジシクロヘキシル、コハク酸ジシクロヘプチル、コハク酸ジアリル、コハク酸ビスブチルベンジル、コハク酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジシクロヘキシル、コハク酸ジフェニルが好適に用いられる。
グルタル酸エステルの具体的な化合物例としては、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジプロピル、グルタル酸ジブチル、グルタル酸ジペンチル、グルタル酸ジへプチル、グルタル酸ジノルマルオクチル、グルタル酸ジノニル、グルタル酸ジイソノニル、グルタル酸ジイソデシル、グルタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、グルタル酸ジイソデシル、グルタル酸ブチルベンジル、グルタル酸ジシクロプロピル、グルタル酸ジシクロブチル、グルタル酸ジシクロペンチチル、グルタル酸ジシクロヘキシル、グルタル酸ジシクロヘプチル、グルタル酸ジアリル、グルタル酸ビスブチルベンジル、グルタル酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、グルタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、グルタル酸ジシクロヘキシル、グルタル酸ジフェニルが好適に用いられる。
アジピン酸エステルの具体的な化合物例としては、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジペンチル、アジピン酸ジへプチル、アジピン酸ジノルマルオクチル、アジピン酸ジノニル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ブチルベンジル、アジピン酸ジシクロプロピル、アジピン酸ジシクロブチル、アジピン酸ジシクロペンチチル、アジピン酸ジシクロヘキシル、アジピン酸ジシクロヘプチル、アジピン酸ジアリル、アジピン酸ビスブチルベンジル、アジピン酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジシクロヘキシル、アジピン酸ジフェニルが好適に用いられる。
ピメリン酸エステルの具体的な化合物例としては、ピメリン酸ジメチル、ピメリン酸ジエチル、ピメリン酸ジプロピル、ピメリン酸ジブチル、ピメリン酸ジペンチル、ピメリン酸ジへプチル、ピメリン酸ジノルマルオクチル、ピメリン酸ジノニル、ピメリン酸ジイソノニル、ピメリン酸ジイソデシル、ピメリン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ピメリン酸ジイソデシル、ピメリン酸ブチルベンジル、ピメリン酸ジシクロプロピル、ピメリン酸ジシクロブチル、ピメリン酸ジシクロペンチチル、ピメリン酸ジシクロヘキシル、ピメリン酸ジシクロヘプチル、ピメリン酸ジアリル、ピメリン酸ビスブチルベンジル、ピメリン酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、ピメリン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ピメリン酸ジシクロヘキシル、ピメリン酸ジフェニルが好適に用いられる。
スベリン酸エステルの具体的な化合物例としては、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、スベリン酸ジプロピル、スベリン酸ジブチル、スベリン酸ジペンチル、スベリン酸ジへプチル、スベリン酸ジノルマルオクチル、スベリン酸ジノニル、スベリン酸ジイソノニル、スベリン酸ジイソデシル、スベリン酸ビス(2−エチルヘキシル)、スベリン酸ジイソデシル、スベリン酸ブチルベンジル、スベリン酸ジシクロプロピル、スベリン酸ジシクロブチル、スベリン酸ジシクロペンチチル、スベリン酸ジシクロヘキシル、スベリン酸ジシクロヘプチル、スベリン酸ジアリル、スベリン酸ビスブチルベンジル、スベリン酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、スベリン酸ビス(2−エチルヘキシル)、スベリン酸ジシクロヘキシル、スベリン酸ジフェニルが好適に用いられる。
アゼライン酸エステルの具体的な化合物例としては、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジプロピル、アゼライン酸ジブチル、アゼライン酸ジペンチル、アゼライン酸ジへプチル、アゼライン酸ジノルマルオクチル、アゼライン酸ジノニル、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジイソデシル、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソデシル、アゼライン酸ブチルベンジル、アゼライン酸ジシクロプロピル、アゼライン酸ジシクロブチル、アゼライン酸ジシクロペンチチル、アゼライン酸ジシクロヘキシル、アゼライン酸ジシクロヘプチル、アゼライン酸ジアリル、アゼライン酸ビスブチルベンジル、アゼライン酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジシクロヘキシル、アゼライン酸ジフェニルが好適に用いられる。
セバシン酸エステルの具体的な化合物例としては、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジペンチル、セバシン酸ジへプチル、セバシン酸ジノルマルオクチル、セバシン酸ジノニル、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ブチルベンジル、セバシン酸ジシクロプロピル、セバシン酸ジシクロブチル、セバシン酸ジシクロペンチチル、セバシン酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジシクロヘプチル、セバシン酸ジアリル、セバシン酸ビスブチルベンジル、セバシン酸ジフェニルが挙げられる。中でも特に、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジフェニルが好適に用いられる。
脂肪族酸テトラヒドロフルフリルの具体的な化合物例としては、ギ酸テトラヒドロフルフリル、酢酸テトラヒドロフルフリル、プロピオン酸テトラヒドロフルフリル、酪酸テトラヒドロフルフリル、イソ酪酸テトラヒドロフルフリル、吉草酸テトラヒドロフルフリル、イソ吉草酸テトラヒドロフルフリル、カプロン酸テトラヒドロフルフリルなどが挙げられる。中でも特に、プロピオン酸テトラヒドロフルフリル、酪酸テトラヒドロフルフリル、イソ酪酸テトラヒドロフルフリルが好適に用いられる。
可塑剤(B)の含有量としては、樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましく、1〜30質量部であることがさらに好ましい。当該範囲よりも含有量が多いとガラス転移温度が減少するため好ましくなく、当該範囲よりも含有量が少ないと、可塑性が十分に得られず、銅表面との間にボイドが発生しやすくなる。
本実施形態における可塑剤(B)の役割は、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂の流動性を向上させ、(A)樹脂のポリマーのパッキング性を向上させることである。これにより頑強な硬化膜が得られ、高温保存試験においてボイドの発生を抑制することが出来、Cu層と樹脂層との界面での密着性の低下を抑制することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述した(B)可塑剤の代わりに、あるいは併用して、(B−1)ナノ粒子、(B−2)熱架橋剤、および(B−3)フッ素含有疎水性化合物のいずれかを含有することができる。
感光性樹脂と、特定の(B−1)ナノ粒子、(B−2)熱架橋剤、または(B−3)フッ素含有疎水性化合物とを組み合わせることにより、高温保存(high temperature storage)試験後、Cu層と樹脂層との界面でボイドが発生せず、密着性が高い感光性樹脂が得られる感光性樹脂組成物、及び該感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの形成方法を提供することができる。
(B−1)ナノ粒子
(B−1)ナノ粒子は、室温で固体状であり、光透過性の観点から、平均1次粒径が1μm以下、好ましくは300nm以下の粒子である。1次粒径はSEM観察もしくはレーザー回折から求めることができる。また、HTS時のCu耐マイグレーション性の観点から、アスペクト比が5以上の板状、鱗片状、針状もしくは繊維状の粒子が好ましく、(A)樹脂との相溶性の観点から、シランカップリング剤等で表面処理されていることが好ましい。更に、耐水性の観点から、これらナノ粒子は、酸化物、複合酸化物、ドープ型酸化物、オキソ酸、オキソ酸塩、窒化物、炭化物もしくは硫化物を含むことが好ましい。
本発明において用いることができる(B−1)ナノ粒子としては、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、HfO2、V2O5、WO3、In2O3、SnO2、Sb2O3、Nb2O5、MoO3、Fe2O3、CuO、ZnO、CaO、MgO、アエロジル、シリカアルミナ、マイカ、モンモリロナイト、タルク、クレー、ベーマイト、カオリン、(ポリ)リン酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、(ポリ)タングステン酸ジルコニウム、PZT、ガラス、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、もしくはこれらの混合物等を挙げることができる。
ナノ粒子の添加により、感光性樹脂の熱膨張係数を低下させることができる。熱膨張係数の低下により、高温保存試験時の樹脂の熱膨張が抑えられ、銅のマイグレーションが抑えられる。このとき、ナノ粒子としては、アスペクト比が高い形状の方が、より少量の添加で熱膨張係数を低下させることができるので、好ましい。また、アスペクト比が高い形状の方が銅表面上のボイド数が少なくなり、現像性や耐薬品性が良好になる傾向にありより好ましい。
ナノ粒子のアスペクト比は1より大きいことが、銅表面上のボイド数、現像性や耐薬品性の観点から好ましく、アスペクト比は2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることがより好ましい。また、アスペクト比が5以上であることがより好ましく、8以上であることがより好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることがより好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることが特に好ましい。
アスペクト比はナノ粒子の長軸の長さ/短軸の長さで表される値とする。ナノ粒子が完全な球体の場合は、アスペクト比は1となる。ナノ粒子が完全な球体や完全な楕円体ではない場合は、ナノ粒子を完全に内部に含むことが可能な大きさの球体のうち、最小の球体の直径をナノ粒子の長軸とし、ナノ粒子の内部に完全に含まれることが可能な大きさの球体のうち、最大の球体の直径をナノ粒子の短軸とする。
(B−1)ナノ粒子の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部である。耐マイグレーション性の観点から0.1質量部以上、溶解性の観点から50質量部未満が望ましい。
(B−2)熱架橋剤
本発明に用いられる(B−2)熱架橋剤について説明する。(B−2)熱架橋剤は、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂と架橋しうるか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成する化合物を指す。(B)熱架橋剤は上記条件に該当するものであれば特に限定されないが、下記(B−2−1)〜(B−2−12)に示すいずれかであることが好ましい。
(B−2−1)メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物
メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物とは、下記一般式(TS2):
{式中、Rs3は1価の有機基又は水素原子である。}で表される有機基を分子内に含有している化合物である。
具体的には、下記一般式(TS1):
{式中、Rs1は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選ばれる一価の基であり、Rs2は水酸基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜10のエステル基、およびウレタン基からなる群より選ばれる基であり、mm1は1〜5の整数であり、mm2は0〜4の整数である。ここで、1≦(mm1+mm2)≦5であり、nn1は1〜4の整数であり、V
1はnn1=1のときCH
2ORs1であり、nn1=2〜4のとき、単結合また2〜4価の有機基である。CH
2ORs1およびR
10が複数存在する場合、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。}、並びに、
一般式(TS3)及び(TS4):
{式中、Rs3及びRs4は、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素原子数1〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1価の有機基である。}で表され、
{式中、Rs5は、それぞれ独立に水素原子、及び炭素原子数1〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1価の有機基である。}で表される構造を有するN−メチロール化合物及びN−アルコキシメチル化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい具体的な例としては、サイメル(登録商標)300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300、マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラック(登録商標)MX−270、−280、−290、ニカラックMS―11、ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAFMF、TM−BIP−A、HMOM―TP−HAP(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル、ノボラックのメチロール化体等が挙げられる。
この中でも、上記一般式(12)で表わされる構造を有するものがより好ましく、具体的にはDML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAFMF、TM−BIP−A、HMOM―TP−HAP(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニルおよびノボラックのメチロール化体が挙げられる。
これらのうち、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAFMF、TM−BIP−A、HMOM―TP−HAPが特に好ましい。
(B−2−2)オキシラン化合物
オキシラン(エポキシ)化合物としては、エポキシ基を分子内に含有している化合物であれば特に制限されないが、具体的にはフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、鎖状脂肪族エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、YDB −340、YDB−412、YDF−2001、YDF−2004(商品名、新日鐵化学(株)製)、GAN、GOT、NC−3000−H、EPPN−501H、EPPN−502H、EOCN−1020、NC−6000、NC−7000L、EPPN−201L、XD−1000、EOCN−4600(商品名、日本化薬(株)製)、エピコート(登録商標)1001、エピコート1007、エピコート1009、エピコート5050、エピコート5051、エピコート1031S、エピコート180S65、エピコート157H70、YX−315−75(商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150、プラクセルG402、PUE101、PUE105(商品名、ダイセル化学工業(株)製)、エピクロン(登録商標)830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−850CRP、860、EXA−4701、EXA−4850−1000(商品名、DIC社製)、
デナコール(登録商標)EX−201、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−251、EX−203、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−711、EX−731、EX−810、EX−850L、EX−911、EM−150(商品名、ナガセケムテックス社製)、エポライト(登録商標)70P、40E、100E、100MF、200E、400E、200P、400P、1500NP、80MF、4000、3002(商品名、共栄社化学製)、jER(登録商標)828、834、1001、1002、1003、1004、1005、1007、1010、1100
L、630、ESCN−220L、220F、220H、220HH、180H65、1032H60、YX4000H、152、157S70、1031(三菱化学製)、アデカレジン(登録商標)EP−4000s、EP−4003s(アデカ製)等が挙げられる。
これらの中でもHTS試験後の信頼性の観点から、イソシアヌル酸トリグリシジル、エピクロン830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000、デナコールEX−201、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−731、EX−810、EX−911、及びEM−150のエポキシ化合物が特に好ましい。
(B−2−3)イソシアネート基含有化合物
イソシアネート基含有化合物としては、イソシアネート基を分子内に含有している化合物であれば特に制限されないが、HTS試験後の信頼性の観点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート(登録商標)500、600、コスモネート(登録商標)NBDI、ND(商品名、三井化学社製)デュラネート(登録商標)17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が好ましい。
(B−2−4)ビスマレイミド化合物
ビスマレイミド化合物としては、マレイミド基を分子内に含有している化合物であれば特に制限されないが、HTS試験後の信頼性の観点から、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、BMI−1000、BMI−1100、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMH、BMI−6000、BMI−8000(商品名、大和化成工業(株)製)等が好ましい。
(B−2−5)アルデヒド基含有化合物
アルデヒド基含有化合物としては、アルデヒド基を分子内に含有している化合物であれば特に制限されず、HTS試験後の信頼性の観点から、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、フルフラール、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド等が好ましい。
(B−2−6)オキセタン環含有化合物
オキセタン環含有化合物とは、下記式:
で表される2価の基を含有する化合物である。
オキセタン環含有化合物としては、オキセタニル基を分子内に含有していれば特に制限されず、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4’−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン―イル)メトキシ]メチル}オキセタン、東亜合成(株)製の3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101)、2−エチルヘキシシルオキセタン(OXT−212)、キシリレンビスオキセタン(OXT−121)、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(OXT−221)、OX−SQ−H、OXT−191、PNOX−1009、RSOX、
以下の:
、宇部興産(株)社のエタナコールEHO、OXBP、OXMA、OXIPA、HBOX、OXTP等が挙げられる。
中でも、現像液への溶解性及び得られた硬化膜の伸度の観点から、OXBP、OXIPA、OXT−121、及びOXT−221が好ましい。
(B−2−7)ベンゾオキサジン環含有化合物
ベンゾオキサジン環含有化合物としては、ベンゾオキサジン環を分子内に含有している化合物であれば特に制限されないが、HTS試験後の信頼性の観点から、特開2006−335671号公報に開示されている化合物、並びにビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF−BXZ、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA−BXZ、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS−BXZ(商品名、小西化学工業製)等が好ましい。
(B−2−8)オキサゾリン環含有化合物
オキサゾリン環含有化合物としては、オキサゾリン環を分子内に含有している化合物であれば特に制限されず、2−オキサゾリン、2−アミノ−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,2’−(2,6−ピリジンジイル)ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−(2,6−ピリジンジイル)ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2−フェニル(2−オキサゾリン)、4,4−ジメチル−2−オキサゾリン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニ
ル−2−オキサゾリン)、2−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−t−ブチル−2−オキサゾリン)、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、4−メトキシメチル−2−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン、日本触媒社製エポクロスシリーズ K−1010E、K−2010E、K−1020E、K−2020E、K−1030E、K−2030E、WS−500、WS−700、RPS−1005、RAS−1005等が挙げられる。
HTS試験後の信頼性の観点から、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2−フェニル(2−オキサゾリン)、エポクロス WS−500等が好ましい。
また、オキサゾリン環含有化合物が下記一般式(TS5):
{式中、Rs6は炭素数1〜10の有機基であり、nn2は0〜4の整数である。}
で表される化合物であることがより好ましく、最も好ましいのは、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、及び1,3,5−トリス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンである。
(B−2−9)カルボジイミド基含有化合物
カルボジイミド基含有化合物としては、カルボジイミド基を分子内に含有する化合物であれば特に限定されないが、HTS試験後の信頼性の観点から、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、カルボジライトSV−02、V−01、V−02、V−03、V−04、V−05、V−07、V−09、E−01、E−02、LA−1(商品名、日清紡ケミカル社製)等が好ましい。
(B−2−10)アリル化合物
アリル化合物としては、アリル基を分子内に含有していれば特に制限されず、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリルエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、NKエステル1G、2G、3G、4G、9G、14G、NPG、BPE−100、BPE−200、BPE−500、BPE−1400、A−200、A−400、A−600、TMPT、A−TMM−3(商品名、新中村化学工業社製)、BANI−M、BANI−X(商品名、丸善石油化学株式会社製)等が挙げられる。
これらの中でも、HTS試験後の信頼性の観点から、酢酸ビニル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリルエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、BANIM、及びBANI−Xが特に好ましい。
(B−2−11)トリアジンチオール化合物
トリアジンチオール化合物としては、チオシアヌル酸基を分子内に含有していれば特に制限されないが、得HTS試験後の信頼性の観点から、2,4,6―トリチオール−1,3,5−トリアジン、2−ジメチルアミノ−4,6−ジチオール−1,3,5−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジチオール−1,3,5−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジチオール−1,3,5−トリアジン等が好ましい。
(B−2−12)金属キレート化合物
金属キレート化合物としては、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、クロムキレート化合物、マグネシウムキレート化合物、ニッケルキレート化合物、等が挙げられるが、HTS試験後の信頼性の観点から、アセチルアセトンアルミニウム(III)塩、アセチルアセトンチタン(IV)塩、アセチルアセトンクロム(III)塩、アセチルアセトンマグネシウム(II)塩、アセチルアセトンニッケル(II)塩、アセチルアセトンジルコニウム(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンアルミニウム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンチタン(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンクロム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンマグネシウム(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンニッケル(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンジルコニウム(IV)塩、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等が好ましい。
これらの化合物の中で、HTS試験後の信頼性の観点から、アセチルアセトンアルミニウム(III)塩、アセチルアセトンチタン(IV)塩、アセチルアセトンジルコニウム(IV)塩、アセチルアセトンニッケル(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンアルミニウム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンチタン(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンニッケル(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンジルコニウム(IV)塩、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、及びチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)が好ましく、シリコンウエハー上の密着性の観点からアセチルアセトンアルミニウム(III)塩、アセチルアセトンチタン(IV)塩、アセチルアセトンジルコニウム(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンアルミニウム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンチタン(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンジルコニウム(IV)塩、及びチタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)が好ましい。
これらの(B−2−1)〜(B−2−12)記載の架橋剤の中で、HTS試験後の信頼性の観点から、(B−2−1)メチロール基及び/又はアルコキシメチル基含有化合物、(B−2−2)オキシラン化合物、(B−2−3)イソシアネート基含有化合物、(B−2−4)ビスマレイミド基含有化合物、(B−2−5)アルデヒド基含有化合物、(B−2−6)オキセタン環含有化合物、(B−2−7)ベンゾオキサジン環含有化合物、(B−2−8)オキサゾリン環含有化合物、(B−2−10)アリル化合物が好ましく、(B−2−1)メチロール基及び/又はアルコキシメチル基含有化合物、(B−2−3)イソシアネート基含有化合物、(B−2−4)ビスマレイミド基含有化合物、(B−2−6)オキセタン環含有化合物、(B−2−7)ベンゾオキサジン環含有化合物、(B−2−10)アリル化合物がより好ましく、(B−2−1)メチロール基及び/又はアルコキシメチル基含有化合物であることが最も好ましい。
これらの架橋剤(B−2)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
以上の(B−2)架橋剤の中で、本発明において好ましく用いられるのは(B−2−1)メチロール基及び/又はアルコキシメチル基含有化合物であり、より好ましく用いられるのは、下記一般式(12):
{式中、Rs1は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選ばれる一価の基であり、Rs2は水酸基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜10のエステル基、およびウレタン基からなる群より選ばれる基であり、mm1は1〜5の整数であり、mm2は0〜4の整数である。ここで、1≦(mm1+mm2)≦5であり、nn1は1〜4の整数であり、V
1はnn1=1のときCH
2ORs1であり、nn1=2〜4のとき、単結合また2〜4価の有機基である。CH
2ORs1およびR
10が複数存在する場合、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。}で表されるメチロール化合物及びアルコキシメチル化合物である。
架橋剤を添加することにより、同じキュア温度での樹脂のガラス転移温度を向上させることができる。樹脂のガラス転移温度が上がることにより、銅の樹脂中へのマイグレーションが抑えられる。
架橋剤(B−2)の配合量としては、樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部であることがさらに好ましい。
(B−3)フッ素含有疎水性化合物
本実施形態における(B−3)フッ素含有疎水性化合物について以下詳細に説明する。(B)フッ素含有疎水性化合物は、分子中にフッ素原子を含有し、疎水性を有する化合物であれば特に限定されない。
本実施形態の(B−3)フッ素含有疎水性化合物として好適に用いることが出来る化合物は、フッ素化アシッド、フッ素化アクリレート、フッ素化メタクリレート、フッ素化アルコール、フッ素化アルカン、フッ素化エステル及びフッ素化エーテルなどである。
<フッ素化アシッド>
(B−3)フッ素含有疎水性化合物であるフッ素化アシッドの具体的な化合物例として、パーフルオロペンタノイルフロリド、パーフルオロヘキサノイルフロリド、パーフルオロヘプタノイルフロリド、パーフルオロオクタノイルフロリド、パーフルオロスクシノイルフロリド、ヘキサフルオログルタリルフロリド、オクタフルオロアジポイルフロリド、パーフルオロメトキシプロピオノイルフロリド、パーフルオロブトキシエトキシアセチルフロリド、パーフルオロポリエーテルジアクリルフロリド(n=1)、パーフルオロポリエーテルジアクリルフロリド(n=2)、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロウンデカン酸、パーフルオロドデカン酸、パーフルオロテトラデカン酸、パーフルオロヘキサデカン酸、パーフルオロ−3,5,5−トリメチルヘキサン酸、パーフルオロ−3,7−ジメチルオクタン酸、パーフルオロスクシン酸、パーフルオログルタル酸、パーフルオロアジピン酸、パーフルオロスベリン酸、パーフルオロアゼライン酸、パーフルオロセバシン酸、パーフルオロドデカンジオン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサヘプタン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサデカン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサデカン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジオン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジオン酸などが好ましく用いられる。
<フッ素化アクリレート>
(B−3)フッ素含有疎水性化合物であるフッ素化アクリレートの具体的な化合物例として、1H,1H−パーフルオロ−n−ブチルアクリレート、1H,1H−パーフルオロ−n−オクチルアクリレート、1H,1H−パーフルオロ−n−デシルアクリレート、1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1H,1H,8H,8H−パーフルオロテトラエチレングリコールジアクリレート、1H,1H,6H,6H−パーフルオロトリエチレングリコールジアクリレート、1H,1H,4H,4H−パーフルオロジエチレングリコールジアクリレート、1H,1H,10H,10H−ペンタエチレングリコールジアクリレート、1H,1H,18H,18H−ノナエチレングリコールジアクリレート、パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、パーフルオロテトラエチレングリコールジアクリレート、パーフルオロトリエチレングリコールジアクリレート、パーフルオロジエチレングリコールジアクリレート、ペンタエチレングリコールジアクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレートなどが好ましく用いられる。中でもが特に1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレートおよび1H,1H,8H,8H−パーフルオロテトラエチレングリコールジアクリレートが好ましく用いられ、それぞれExfluor社製、製品名C6DIACRYおよび製品名DA−F4EOとして入手可能である。
<フッ素化メタクリレート>
(B−3)フッ素含有疎水性化合物であるフッ素化メタクリレートの具体的な化合物例として、1H,1H−パーフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1H,1H−パーフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1H,1H−パーフルオロ−n−デシルメタクリレート、1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1H,1H,8H,8H−パーフルオロテトラエチレングリコールジメタクリレート、1H,1H,6H,6H−パーフルオロトリエチレングリコールジメタクリレート、1H,1H,4H,4H−パーフルオロジエチレングリコールジメタクリレート、1H,1H,10H,10H−ペンタエチレングリコールジメタクリレート、1H,1H,18H,18H−ノナエチレングリコールジメタクリレート、パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロテトラエチレングリコールジメタクリレート、パーフルオロトリエチレングリコールジメタクリレート、パーフルオロジエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレートなどが好ましく用いられる。
<フッ素化アルコール>
(B−3)フッ素含有疎水性化合物であるフッ素化アルコールの具体的な化合物例として、1H,1H−パーフルオロ−1−ヘキサノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ヘプタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロ−1−デカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ウンデカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ドデカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−テトラデカノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ヘキサデカノール、パーフルオロ−3,5,5−トリメチルヘキサン−1−オール、パーフルオロ−3,7−ジメチルオクタン−1−オール、1H,1H,4H,4H−パーフルオロ−1,4−ブタンジオール、1H,1H,5H,5H−パーフルオロ−1,5−ペンタンジオール、1H,1H,5H,5H−パーフルオロ−1,5−ペンタンジオール、1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、1H,1H,8H,8H−パーフルオロ−1,8−オクタンジオール、1H,1H,9H,9H−パーフルオロ−1,9−ノナンジオール、1H,1H,10H,10H−パーフルオロ−1,10−デカンジオール、1H,1H,12H,12H−パーフルオロ−1,12−ドデカンジオール、パーフルオロ−tert−ブタノール、フッ素化ジエチレングリコールモノメチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコールモノメチルエーテル、フッ素化ジエチレングリコールモノブチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコールモノブチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコール、フッ素化テトラエチレングリコールなどが好ましく用いられる。
<フッ素化アルカン>
(B−3)フッ素含有疎水性化合物であるフッ素化アルカンの具体的な化合物例として、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロトリデカン、パーフルオロペンタデカン、1H−パーフルオロペンタン、1H−パーフルオロヘキサン、1H−パーフルオロヘプタン、1H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロノナン、1H−パーフルオロデカン、1H−パーフルオロウンデカン、1H−パーフルオロトリデカン、1H−パーフルオロペンタデカン、1H−パーフルオロ−2,4,4−トリメチルペンタン、1H−パーフルオロ−2,6−ジメチルヘプタン、1H,4H−パーフルオロブタン、1H,6H−パーフルオロヘキサン1H,7H−パーフルオロヘプタン、1H,8H−パーフルオロオクタン、1H,10H−パーフルオロデカンなどが好ましく用いられる。
<フッ素化エステル>
(B−3)フッ素含有疎水性化合物であるフッ素化エステルの具体的な化合物例として、パーフルオロペンタン酸メチル、パーフルオロヘキサン酸メチル、パーフルオロヘプタン酸メチル、パーフルオロオクタン酸メチル、パーフルオロノナン酸メチル、パーフルオロデカン酸メチル、パーフルオロウンデカン酸メチル、パーフルオロドデカン酸メチル、パーフルオロテトラデカン酸メチル、パーフルオロヘキサデカン酸メチル、パーフルオロスクシン酸ジメチル、パーフルオログルタル酸ジメチル、パーフルオロアジピン酸ジメチル、パーフルオロスベリン酸ジメチル、パーフルオロアゼライン酸ジメチル、パーフルオロセバシン酸ジメチル、パーフルオロ−1,12−デカンジオン酸ジメチル、パーフルオロ−3,6−ジオキサヘプタン酸メチル、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサデカン酸メチル、パーフルオロ−3,6−ジオキサデカン酸メチル、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカン酸メチル、パーフルオロ−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジオン酸ジメチル、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジオン酸ジメチルなどが好ましく用いられる。
<フッ素化エーテル>
(B−3)フッ素含有疎水性化合物であるフッ素化エーテルの具体的な化合物例として、パーフルオロ(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、パーフルオロ(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、パーフルオロ(トリエチレングリコールジメチルエーテル)などが好ましく用いられる。
(B−3)フッ素含有疎水性化合物の分子中のフッ素原子の重量割合が30質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。当該範囲よりもフッ素の重量割合が低いと疎水性が十分に得られない。また当該範囲よりもフッ素が多いと、溶媒との相溶性が低下し、表面平坦性が均一な塗布膜が得られにくくなるため好ましくない。より好ましいフッ素重量含有割合の範囲は35質量%以上、75質量%以内である。
本実施形態における(B−3)フッ素含有疎水性化合物は、分子内に分子内に不飽和二重結合を少なくとも1つ以上有すると好適である。不飽和二重結合を有すると、露光工程において、(B−3)フッ素含有疎水性化合物同士の分子間、及び、(A)樹脂との分子間で架橋反応が進行する。それにより加熱処理時に(B−3)フッ素含有疎水性化合物が揮発しにくくなり、十分に疎水性効果を発現することができる。好適な不飽和二重結合の例としては、アクリレートおよびメタクリレートなどである。
(B−3)フッ素含有疎水性化合物の含有量としては、樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.02〜30質量部がより好ましく、0.05〜20質量部であることがさらに好ましい。当該範囲よりも含有量が多いと溶媒との相溶性が低下し、表面平坦性が均一な塗布膜が得られにくくなるため好ましくなく、当該範囲よりも含有量が少ないと、疎水性効果が十分に得られず銅表面との間にボイドが発生しやすくなる。
(C)感光剤
本発明に用いられる(C)感光剤について説明する。(C)感光剤は、本発明の感光性樹脂組成物が、(A)樹脂として例えば主にポリイミド前駆体および/又はポリアミドを用いるネガ型であるか、(A)樹脂として例えば主にポリオキサゾール前駆体、可溶性ポリイミド、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン及びフェノール樹脂の少なくとも一種類を用いるポジ型であるか等により異なる。
(C)感光剤の、感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)感光性樹脂100質量部に対して、1〜50質量部である。上記配合量は、光感度又はパターニング性の観点で1質量部以上であり、感光性樹脂組成物の硬化性又は硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から50質量部以下である。
[(C)ネガ型感光剤:重合開始剤、光酸発生剤]
まずネガ型を所望する場合について説明する。この場合(C)感光剤としては光重合開始剤および/又は光酸発生剤が用いられ、光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α−(n−オクタンスルフォニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
ネガ型の感光性樹脂組成物に(C)感光剤として光酸発生剤を用いる場合は、紫外線の如き活性光線の照射によって酸性を呈すると共に、その作用により、後述する架橋剤を(A)成分である樹脂と架橋せしめる、又は架橋剤同士を重合せしめる作用を有する。この光酸発生剤の例としては、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルなどが用いられる。このような化合物は必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組合せて使用することができる。上記の光酸発生剤の中では、特に光感度の点で、芳香族オキシムスルホン酸エステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネートがより好ましい。
ネガ型の場合の、これらの感光剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(C)感光剤を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、50質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
更に、上述した通り、一般式(1)で表される(A)樹脂がイオン結合型の場合、(A)樹脂の側鎖にイオン結合を介して光重合性基を付与するために、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が用いられる。この場合には、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物が(C)感光剤として使用され、前述したように、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、ジエチルアミノブチルアクリレート、ジエチルアミノブチルメタクリレート、等のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましく、中でも感光特性の観点から、アミノ基上のアルキル基が炭素数1〜10、アルキル鎖が炭素数1〜10のジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートが好ましい。
これらのアミノ基を有する(メタ)アクリル化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜20質量部であり、光感度特性の観点から2〜15質量部が好ましい。(C)感光剤として、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物を(A)樹脂100質量部に対し1質量部以上配合することで光感度に優れ、20質量部以下配合することで厚膜硬化性に優れる。
次にポジ型を所望する場合について説明する。この場合(C)感光剤としては光酸発生剤が用いられ、具体的には、ジアゾキノン化合物、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、等を用いることができるが、溶剤溶解性及び保存安定性の観点から、ジアゾキノン構造を有する化合物が好ましい。
[(C)ポジ型感光剤:キノンジアジド基を有する化合物]
(C)キノンジアジド基を有する化合物(以下、「(C)キノンジアジド化合物」とも言う)としては、1,2−ベンゾキノンジアジド構造を有する化合物、及び1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を例示でき、米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、及び米国特許第3,669,658号明細書等により公知の物質である。該(C)キノンジアジド化合物は、以降に詳述する特定構造を有するポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(以下、「NQD化合物」ともいう。)であることが好ましい。
該NQD化合物は、常法に従って、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物をクロルスルホン酸又は塩化チオニルでスルホニルクロライドとし、得られたナフトキノンジアジドスルホニルクロライドと、ポリヒドロキシ化合物とを縮合反応させることにより得られる。例えば、ポリヒドロキシ化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリドの所定量をジオキサン、アセトン、又はテトラヒドロフラン等の溶剤中において、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下反応させてエステル化を行い、得られた生成物を水洗、乾燥することにより得ることができる。
本実施形態では、(C)キノンジアジド基を有する化合物は、下記一般式(70)〜(74)で表されるヒドロキシ化合物の、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル及び/又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルであることが、レジストパターンを形成する際の感度と解像性の観点から好ましい。
一般式(70)は、
{式中、X
11及びX
12は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜60(好ましくは、炭素数1〜30)の1価の有機基を表し、X
13及びX
14は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜60(好ましくは、炭素数1〜30)の1価の有機基を表し、r1、r2、r3及びr4は、各々独立に、0〜5の整数であり、r3及びr4の少なくとも1つは、1〜5の整数であり、(r1+r3)≦5であり、そして(r2+r4)≦5である。}で表される。
一般式(71)は、
{式中、Zは、炭素数1〜20の4価の有機基を表し、X
15、X
16、X
17及びX
18は、各々独立に、炭素数1〜30の1価の有機基を表し、r6は、0又は1の整数であり、r5、r7、r8及びr9は、各々独立に、0〜3の整数であり、r10、r11、r12及びr13は、各々独立に、0〜2の整数であり、そしてr10、r11、r12及びr13の全てが0になることはない。}で表される。
並びに、一般式(72)は、
{式中、r14は、1〜5の整数を表し、r15は、3〜8の整数を表し、(r14×r15)個のLは、各々独立に、炭素数1〜20の1価の有機基を表し、(r15)個のT
1及び(r15)個のT
2は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。}で表される。
並びに、一般式(73)は、
{式中、Aは、脂肪族の3級又は4級炭素を含む2価の有機基を表し、そしてMは、2価の有機基を表し、好ましくは下記化学式:
で表される3つの基から選択される2価の基を表す。}で表される。
さらに、一般式(74)は、
{式中、r17、r18、r19及びr20は、各々独立に、0〜2の整数であり、r17、r18、r19及びr20の少なくとも1つは、1又は2であり、X
20〜X
29は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリル基及びアシル基からなる群から選択される1価の基を表し、そしてY
10、Y
11及びY
12は、各々独立に、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CO−、−CO
2−、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、フェニレン、及び炭素数1〜20の2価の有機基からなる群から選択される2価の基を表す。}で表される。
さらなる実施の形態では、上記一般式(74)において、Y
10〜Y
12は、各々独立に、下記一般式:
{式中、X
30及びX
31は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及び置換アリール基から成る群から選択される少なくとも1つの1価の基を表し、X
32、X
33、X
34及びX
35は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、r21は、1〜5の整数であり、そしてX
36、X
37、X
38及びX
39は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。}
で表される3つの2価の有機基から選択されることが好ましい。
上記一般式(70)で表される化合物としては、下記式(75)〜(79)で表されるヒドロキシ化合物が挙げられる。
ここで一般式(75)は、
{式中、r16は、各々独立に、0〜2の整数であり、そしてX
40は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表し、X
40が複数で存在する場合には複数のX
40は、互いに同一でも又は異なっていてもよく、そしてX
40は、下記一般式:
(式中、r18は、0〜2の整数であり、X
41は、水素原子、アルキル基、及びシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表し、そしてr18が2である場合には、2つのX
41は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)
で表される1価の有機基であることが好ましい。}であり、
一般式(76)は、
{式中、X
42は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数1〜20のシクロアルキル基からなる群から選択される1価の有機基を表す。}で表される。
また、一般式(77)は、
{式中、r19は、各々独立に、0〜2の整数であり、X
43は、各々独立に、水素原子又は下記一般式:
(式中、r20は、0〜2の整数であり、X
45は、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群から選択され、そしてr20が2である場合には、2つのX
45は、互いに同一でも又は異なっていてもよい。)で表される1価の有機基を表し、そしてX
44は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数1〜20のシクロアルキル基からなる群から選択される。}であり、式(78)及び(79)は、下記のごとく構造である。
上記一般式(70)で表される化合物としては、下記式(80)〜(82)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(76)で表される化合物としては、下記式(83):
で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(77)で表される化合物としては、下記式(84)〜(86)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(84)〜(86)の構造は以下のごとくである。
上記一般式(71)において、Zは、炭素数1〜20の4価の有機基であればよく、特に限定されないが、感度の観点から、下記式:
で表される構造を有する4価の基であることが好ましい。
上記一般式(71)で表される化合物の中で、下記式(87)〜(90)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(87)〜(90)の構造は以下のごとくである。
上記一般式(72)で表される化合物としては、下記式(91):
{式中、r40は、各々独立に、0〜9の整数である。}で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
上記一般式(73)で表される化合物としては、下記式(92)及び(93)で表されるヒドロキシ化合物が、NQD化物としたときの感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
式(92)及び(93)の構造は以下のごとくである。
上記一般式(74)で表される化合物としては、具体的には、下記式(94):
で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、かつ感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
(C)キノンジアジド基を有する化合物が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する場合、この基は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基のいずれであってもよい。1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基は、水銀灯のi線領域を吸収することができるので、i線による露光に適している。一方で、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基は、水銀灯のg線領域さえも吸収することができるので、g線による露光に適している。
本実施形態では、露光する波長に応じて、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化合物の一方又は双方を選択することが好ましい。また、同一分子中に1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基を有する1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を用いることもできるし、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化合物とを混合して使用することもできる。
(C)キノンジアジド基を有する化合物において、ヒドロキシ化合物のナフトキノンジアジドスルホニルエステルの平均エステル化率は、現像コントラストの観点から、10%〜100%であることが好ましく、20%〜100%であることがさらに好ましい。
感度及び伸度等の硬化膜物性の観点から好ましいNQD化合物の例としては、例えば、下記一般式群で表されるものが挙げられる。
{式中、Qは、水素原子、又は下記式群:
のいずれかで表されるナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であるが、全てのQが同時に水素原子であることはない。}で表されるものが挙げられる。
この場合、NQD化合物として、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基及び5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
上記、段落[0243]に記載されているナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基の中でも、下記一般式(95):
で表されるものが特に好ましい。
上記オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホシホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、及びジアゾニウム塩等が挙げられ、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、及びトリアルキルスルホニウム塩から成る群から選ばれるオニウム塩が好ましい。
上記ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等が挙げられ、トリクロロメチルトリアジンが好ましい。
ポジ型の場合の、これら光酸発生剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であり、5〜30質量部が好ましい。(C)感光剤としての光酸発生剤の配合量が1質量部以上であれば感光性樹脂組成物によるパターニング性が良好であり、50質量部以下であれば感光性樹脂組成物の硬化後の膜の引張り伸び率が良好で、かつ露光部の現像残さ(スカム)が少ない。
上記NQD化合物は、単独で使用しても2種類以上混合して使用してもよい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の(C)キノンジアジド基を有する化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜70質量部であり、好ましくは1質量部〜40質量部、より好ましくは3質量部〜30質量部、さらに好ましくは5質量部〜30質量部である。この配合量が0.1質量部以上であれば良好な感度が得られ、一方で、70質量部以下であれば硬化膜の機械物性が良好である。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分以外の成分をさらに含有しても
良い。その成分の好ましいものは、(A)樹脂として例えばポリイミド前駆体及びポリアミド等を用いるネガ型か、ポリオキサゾール前駆体、可溶性ポリイミド及びフェノール樹脂等を用いるポジ型か等によって異なる。
本実施形態におけるネガ型樹脂組成物である前述のポリイミド前駆体樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物、又、ポジ型感光性樹脂組成物である、ポリオキサゾール樹脂組成物、可溶性ポリイミド樹脂組成物及びフェノール樹脂組成物には、これらの樹脂を溶解するための溶剤を含むことができる。
<溶剤>
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
このような溶剤の中でとりわけ、生成ポリマーを完全に溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
上記のフェノール樹脂に好適な溶剤としては、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、γ―ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の感光性樹脂組成物において、溶剤の使用量は、(A)樹脂100質量部に対して、好ましくは100〜1000質量部であり、より好ましくは120〜700質量部であり、さらに好ましくは125〜500質量部の範囲である。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分以外の成分をさらに含有してもよい。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するためにアゾール化合物、プリン誘導体等の含窒素複素環化合物を任意に配合することができる。
アゾール化合物としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ‐8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部である事が好ましく、光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本発明の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
また、銅表面上の変色を抑制するためにヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、
1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5‐エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)樹脂100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
本発明の感光性樹脂組成物には、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤であることができる。架橋剤は、感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
架橋剤としては、例えば、メチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物である、サイメル(登録商標)300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174;UFR65、300;マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラック(登録商標)MX−270、−280、−290;ニカラックMS―11;ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。
また、オキシラン化合物であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、YDB−340、YDB−412、YDF−2001、YDF−2004(以上商品名、新日鐵化学(株)製)、NC−3000−H、EPPN−501H、EOCN−1020、NC−7000L、EPPN−201L 、XD−1000、EOCN−4600(以上商品名、日本化薬(株)製)、エピコート(登録商標)1001、エピコート1007、エピコート1009、エピコート5050、エピコート5051、エピコート1031S 、エピコート180S65、エピコート157H70、YX−315−75(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EHPE3150 、プラクセルG402、PUE101、PUE105(以上商品名、ダイセル化学工業(株)製)、エピクロン(登録商標)830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(以上商品名、DIC社製)、デナコール(登録商標)EX−201、EX−251、EX−203、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−711、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(以上商品名、ナガセケムテックス社製)、エポライト(登録商標)70P、エポライト100MF(以上商品名、共栄社化学製)等が挙げられる。
また、イソシアネート基含有化合物である、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート(登録商標)500、600、コスモネート(登録商標)NBDI、ND(以上商品名、三井化学社製)、デュラネート(登録商標)17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(以上商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、ビスマレイミド化合物である、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、BMI−1000、BMI−1100、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMH、BMI−6000、BMI−8000(以上商品名、大和化成工業(株)製)等が挙げられるが、上述した様に熱架橋する化合物であれば、これらに限定されない。
架橋剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方、20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
本発明の感光性樹脂組成物には、有機チタン化合物を含有させてもよい。有機チタン化合物を含有することにより、約250℃という低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。また、特に(B)化合物と有機チタン化合物との双方を感光性樹脂組成物中に含有させることにより、キュア後の樹脂層が基板接着性に加えて耐薬品性に優れるという効果を奏する。
また、特に(B−1)ナノ粒子と有機チタン化合物との双方を感光性樹脂組成物中に含有させることにより、キュア後の樹脂層が基板接着性に加えて耐薬品性に優れるという効果を奏する。
また、特に(B−2)熱架橋剤と有機チタン化合物との双方を感光性樹脂組成物中に含有させることにより、キュア後の樹脂層が基板接着性に加えて耐薬品性に優れるという効果を奏する。
また、特に(B−3)化合物と有機チタン化合物との双方を感光性樹脂組成物中に含有させることにより、キュア後の樹脂層が基板接着性に加えて耐薬品性に優れるという効果を奏する。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物が、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、及びビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合保存安定性に優れる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ−n−プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、ジ−i−ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ビス(ペンタジオネート)チタン−O,O’−ビス(オキシエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造で表されるシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記成分以外の成分をさらに含有してもよい。その成分の好ましいものは、(A)樹脂として例えばポリイミド前駆体及びポリアミド等を用いるネガ型かポリオキサゾール前駆体、可溶性ポリイミド及びフェノール樹脂等を用いるポジ型か等によって異なる。
(A)樹脂としてポリイミド前駆体又はポリアミド等を用いるネガ型の場合には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜25質量部であることが好ましい。
また、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
また、(A)樹脂としてポリイミド前駆体又はポリアミド等を用いるネガ型の場合には、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時の感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.005〜12質量部の範囲が好ましい。
一方、本発明の感光樹脂組成物において、(A)樹脂としてポリオキサゾール前駆体、可溶性ポリイミド又はフェノール樹脂等を用いるポジ型の場合には、必要に応じて、従来から感光性樹脂組成物の添加剤として用いられている染料、界面活性剤はじめ熱酸発生剤、溶解促進剤、基材との密着性を高めるための接着助剤等を適宜添加することができる。
上記添加剤について更に具体的に述べると、染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類又はその誘導体から成る非イオン系界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M社製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業社製)又はルミフロン(商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、及び各種シランカップリング剤が挙げられる。
上記の染料及び界面活性剤の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
又、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、熱酸発生剤を任意に配合することができる。
熱酸発生剤は、硬化温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、配合することが好ましい。
熱酸発生剤としては、熱により酸を生成する機能を有するオニウム塩等の強酸と塩基とから形成される塩や、イミドスルホナートが挙げられる。
オニウム塩としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩等のジアリールヨードニウム塩;ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩等のジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩;トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩;ジメチルフェニルスルホニウム塩等のジアルキルモノアリールスルホニウム塩;ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールモノアルキルヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
これらの中で、パラトルエンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩等が好ましい。
また、強酸と塩基とから形成される塩としては、上述のオニウム塩の他、次のような強酸と塩基とから形成される塩、例えば、ピリジニウム塩を用いることもできる。強酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が挙げられる。塩基としては、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が挙げられる。
イミドスルホナートとしては、例えば、ナフトイルイミドスルホナート、フタルイミドスルホナート等を用いることができるが、熱により酸が発生する化合物であれば限定されない。
熱酸発生剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。
ポジ型の感光性樹脂組成物の場合、感光後に不要となった樹脂の除去を促進するために、溶解促進剤を使用することができる。たとえば水酸基又はカルボキシル基を有する化合物が好ましい。水酸基を有する化合物の例としては、前述のナフトキノンジアジド化合物に使用しているバラスト剤、並びにパラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、及びMtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA等の非直鎖状フェノール化合物(全て本州化学工業社製)、ジフェニルメタンの2〜5個のフェノール置換体、3,3−ジフェニルプロパンの1〜5個のフェノール置換体、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド等が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の例としては、3−フェニル乳酸、4−ヒドロキシフェニル乳酸、4−ヒドロキシマンデル酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸、2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオン酸、マンデル酸、アトロラクチン酸、α−メトキシフェニル酢酸、O−アセチルマンデル酸、イタコン酸等を挙げることができる。
溶解促進剤を使用する場合の配合量としては、(A)樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
<硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置>
また、本発明は、(1)上述した本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程と、(2)該樹脂層を露光する工程と、(3)該露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、(4)該レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供する。以下、各工程の典型的な態様について説明する。
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いてレリーフパターンを形成する方法として、該感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂層を該基板上に形成するだけでなく、該感光性樹脂組成物をフィルムの形態にして感光性樹脂組成物の層を基板上に積層することによって樹脂層を形成してもよい。また、支持基材上に本発明に係る感光性樹脂組成物のフィルムを形成し、該フィルムを使用する際に積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に樹脂層を形成できる。
(2)樹脂層を露光する工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃であり、そして時間は10秒〜240秒であることが好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)露光後の樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程においては、露光後の感光性樹脂層の露光部又は未露光部を現像除去する。ネガ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)樹脂としてポリイミド前駆体またはポリアミドを用いる場合)には、未露光部が現像除去され、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いる場合(例えば(A)樹脂としてポリオキサゾール前駆体または可溶性ポリイミドを用いる場合)には、露光部が現像除去される。現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。例えばアルカリ水溶液に溶解しない感光性樹脂組成物の場合、良溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
一方、アルカリ水溶液に溶解する感光性樹脂組成物の場合、現像に使用される現像液は、アルカリ水溶液可溶性重合体を溶解除去するものであり、典型的にはアルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液である。現像液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物、又は有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。
該無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。
また、該有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
更に、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、又はエチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。以上のようにしてレリーフパターンを形成できる。
(4)レリーフパターンを加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱することによって、硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば180℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
<半導体装置>
本発明はまた、上述した本発明の硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを含む、半導体装置を提供する。本発明は、半導体素子である基材と、前記基材上に上述した硬化レリーフパターン製造方法により形成された樹脂の硬化レリーフパターンとを含む半導体装置も提供する。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例及び製造例においては、感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは昭和電工(株)製の商標名「Shodex 805M/806M直列」であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製の商標名「Shodex STANDARD SM−105」を選択し、展開溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであり、検出器は昭和電工(株)製の商標名「Shodex RI−930」を使用した。
(2)Cu上の硬化レリーフパターンの作成
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した(第2実施例では、6〜10μm厚の塗膜を形成した)。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、平行光マスクアライナー(PLA−501FA型、キヤノン社製)により300mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてネガ型の場合はシクロペンタノンを、ポジ型の場合は2.38%TMAHを用いてコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、ネガ型の場合はプロピレングリコールメチルエーテルアセテートで、ポジ型の場合は純水でリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、各実施例に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約6〜7μm厚の樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。
(3)Cu上の硬化レリーフパターンの高温保存(high temperature storage)試験とその後の評価
Cu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、空気中、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上の樹脂層を全てプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O2:40ml/分 + CF4:1ml/分
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
樹脂層を全て除去したCu表面を、FE−SEM(S−4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察し、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cu層の表面に占めるボイドの面積比率を算出した。
<第1実施例>
第1実施例として、以下の実験を行った。
<製造例1>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマー(A)−1の合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2l容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマー(A)−1)を得た。ポリマー(A)−1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
なお各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l LiBr/NMP
流速:1ml/min.
<製造例2>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマー(A)−2の合成)
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−2を得た。ポリマー(A)−2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマー(A)−3の合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−3を得た。ポリマー(A)−3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4>((A)ポリアミドとしてのポリマー(A)−4の合成)
(フタル酸化合物封止体AIPA−MOの合成)
容量5lのセパラブルフラスコに、5−アミノイソフタル酸{以下、AIPAと略す。}543.5g、N−メチル−2−ピロリドン1700gを投入、混合撹拌し、ウォーターバスで50℃まで加温した。これに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート512.0g(3.3mol)をγ−ブチロラクトン500gで希釈したものを滴下ロートで滴下投入し、そのまま50℃で2時間ほど撹拌した。
反応の完了(5−アミノイソフタル酸の消失)を低分子量ゲルパーミエーションクロマトグラフィー{以下、低分子量GPCと記す。}で確認した後、この反応液を15リットルのイオン交換水に投入、撹拌、静置し、反応生成物の結晶化沈殿を待って濾別し、適宜水洗の後、40℃で48時間真空乾燥することにより、5−アミノイソフタル酸のアミノ基と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基が作用したAIPA−MOを得た。得られたAIPA−MOの低分子量GPC純度は約100%であった。
(ポリマー(A)−4の合成)
容量2lのセパラブルフラスコに、得られたAIPA−MOを100.89g(0.3mol)、ピリジンを71.2g(0.9mol)、GBLを400g投入、混合し、氷浴で5℃まで冷却した。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)125.0g(0.606mol)をGBL125gに溶解希釈したものを、氷冷下、20分ほどかけて滴下し、続いて4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル{以下、BAPBと記す。}103.16g(0.28mol)をNMP168gに溶解させたものを、20分ほどかけて滴下し、氷浴で5℃未満を維持しつつ3時間、次いで氷浴を外して室温で5時間撹拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液に水840gとイソプロパノール560gの混合液を滴下し、析出する重合体を分離し、NMP650gに再溶解した。得られた粗ポリマー溶液を5lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマー(A)−4)を得た。ポリマー(A)−4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は34,700であった。
<製造例5>((A)ポリオキサゾール前駆体としてのポリマー(A)−5の合成)
容量3lのセパラブルフラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン183.1g、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)640.9g、ピリジン63.3gを室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボニルクロリド118.0gをジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)354gに溶解したものを滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
滴下終了から3時間後反応液に1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物30.8g(0.2mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をカルボキシシクロヘキシルアミド基で封止した。この際の反応率は投入した1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物の残量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量9,000(ポリスチレン換算)の粗ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。
上記で得られた粗ポリベンゾオキサゾール前駆体をγ−ブチロラクトン(GBL)に再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマー(A)−5)を得た。
<製造例6>((A)ポリイミドとしてのポリマー(A)−6の合成)
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、ガラス製のセパラブル4つ口フラスコに、ディーンスタークトラップ付き冷却管を取り付けた。窒素ガスを通じながら、上記フラスコをシリコンオイル浴につけて攪拌した。
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(クラリアントジャパン社製)(以後BAPという)72.28g(280ミリモル)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)(以後MCTCという)を70.29g(266ミリモル)、γ−ブチロラクトン254.6g、トルエン60gを加えて、室温で100rpmで4時間攪拌後、5−ノルボルネン−2,3―ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)4.6g(28ミリモル)を加えて、窒素ガスを通じながらシリコン浴温度50℃で、100rpmで8時間加熱攪拌した。その後、シリコン浴温度180℃に加温し、100rpmで2時間加熱攪拌した。反応中トルエン、水の留出分を除去した。イミド化反応終了後、室温に戻した。
その後上記反応液を3Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量23,000(ポリスチレン換算)の粗ポリイミド(ポリマー(A)−6)を得た。
<製造例7>((A)フェノール樹脂としてのポリマー(A)−8の合成)
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシノール81.3g(0.738mol)、BMMB84.8g(0.35mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEとも言う)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
次に、別の容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール24.9g(0.150mol)、PGME249gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
反応終了後は製造例7と同様の処理を行い、レゾルシノール/BMMB/2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールからなる共重合体(ポリマーH)を収率77%で得た。このポリマーHのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は9,900であった。
<実施例1>
ポリマー(A)−1、(A)−2を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリイミド前駆体であるポリマー(A)−1を50gと(A)−2を50g((A)樹脂に該当)を、フタル酸ジシクロヘキシル(東京化成工業株式会社製、(B)−1に該当)4g、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(表1には「PDO」と記載する)((C)感光剤に該当)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.1%という結果を得た。
<実施例2>
上記実施例1において、(B)成分をフタル酸ジフェニル(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.9%という結果を得た。
<実施例3>
上記実施例1において、(B)成分をフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.2%という結果を得た。
<実施例4>
上記実施例1において、(B)成分をトリメリット酸ジシクロヘキシル(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.3%という結果を得た。
<実施例5>
上記実施例1において、(B)成分をピロメリット酸ジシクロヘキシル(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.2%という結果を得た。
<実施例6>
上記実施例1において、(B)成分をアジピン酸ジシクロヘキシル(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.9%という結果を得た。
<実施例7>
上記実施例1において、(B)成分をセバシン酸ジシクロヘキシル(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.8%という結果を得た。
<実施例8>
上記実施例1において、(B)成分を酪酸テトラヒドロフルフリル(東京化成工業株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.8%という結果を得た。
<実施例9>
上記実施例1において、(B)−1成分の添加量を2gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、7.6%という結果を得た。
<実施例10>
上記実施例1において、(B)−1成分の添加量を8gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.8%という結果を得た。
<実施例11>
上記実施例1において、(B)−1成分の添加量を16gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、10.5%という結果を得た。
<実施例12>
上記実施例1において、キュア温度を230℃から350℃に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.5%という結果を得た。
<実施例13>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−1、50gとポリマー(A)−2、50gを、ポリマー(A)−1、100gに、(C)成分をPDOから1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.5gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.3%という結果を得た。
<実施例14>
上記実施例12において、溶媒をγ−ブチロラクトン85gとジメチルスルホキシド15gに変更した以外は、実施例12と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.5%という結果を得た。
<実施例15>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−1、50gとポリマー(A)−2、50gを、ポリマー(A)−3、100gに変え、キュア温度を230℃から350℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.8%という結果を得た。
<実施例16>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−1、50gとポリマー(A)−2、50gを、ポリマー(A)−4、100gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.9%という結果を得た。
<実施例17>
ポリマー(A)−5を用いて以下の方法でポジ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリオキサゾール前駆体であるポリマー(A)−5、100g((A)樹脂に該当)を、下記式(96):
で表される、フェノール性水酸基の77%をナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化した感光性ジアゾキノン化合物(東洋合成社製、(C)成分に該当)(C1)15g、γ−ブチロラクトン(溶媒として)100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のγ−ブチロラクトンを更に加えることによって約20ポイズ(poise)に調整し、ポジ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.1%という結果を得た。
<実施例18>
上記実施例17において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−5、100gをポリマー(A)−6、100gに変えたこと以外は、実施例17と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、6.2%という結果を得た。
<実施例19>
上記実施例17において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−6、100gをポリマー(A)−7(ノボラック樹脂、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)=10,600(旭有機材社製、製品名EP−4080G)、100gに変えたこと以外は、実施例17と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.2%という結果を得た。
<実施例20>
上記実施例17において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−6、100gをポリマー(A)−7(ノボラック樹脂、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)=10,600(旭有機材社製、製品名EP−4080G)、100gに変え、(B)成分を酪酸テトラヒドロフルフリル(東京化成工業株式会社製)に変えたこと以外は、実施例17と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.6%という結果を得た。
<実施例21>
上記実施例17において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−6、100gをポリマー(A)−8、100gに変えたこと以外は、実施例17と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.6%という結果を得た。
<実施例22>
上記実施例17において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−6、100gをポリマー(A)−8、100gに変え、(B)成分を酪酸テトラヒドロフルフリル(東京化成工業株式会社製)に変えたこと以外は、実施例17と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.3%という結果を得た。
<比較例1>
実施例1の組成に、(B)−1成分を添加しない他は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)可塑剤を含まないため15.2%であった。
<比較例2>
実施例16の組成に、(B)−1成分を添加しない他は、実施例15と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例15と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)可塑剤を含まないため14.3%であった。
<比較例3>
実施例14の組成に、(B)−1成分を添加しない他は、実施例13と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例13と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)可塑剤を含まないため15.7%であった。
<比較例4>
実施例18の組成に、(B)−1成分を添加しない他は、実施例17と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例17と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)可塑剤を含まないため16.3%であった。
<比較例5>
実施例1の組成に、(B)−1成分の添加量を0.05gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、13.1%であった。
<比較例6>
実施例1の組成に、(B)−1成分の添加量を60gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、15.2%であった。
これら実施例1〜22、比較例1〜6の結果を表1にまとめて示す。
)
<第2実施例>
第2実施例として、以下の実験を行った。
<製造例1>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーAの合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2l容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA)を得た。ポリマーAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
なお各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l LiBr/NMP
流速:1ml/min.
<製造例2>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーBの合成)
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーBを得た。ポリマーBの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーCの合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーCを得た。ポリマーCの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4>((A)ポリアミドとしてのポリマーDの合成)
(フタル酸化合物封止体AIPA−MOの合成)
容量5lのセパラブルフラスコに、5−アミノイソフタル酸{以下、AIPAと略す。}543.5g、N−メチル−2−ピロリドン1700gを投入、混合撹拌し、ウォーターバスで50℃まで加温した。これに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート512.0g(3.3mol)をγ−ブチロラクトン500gで希釈したものを滴下ロートで滴下投入し、そのまま50℃で2時間ほど撹拌した。
反応の完了(5−アミノイソフタル酸の消失)を低分子量ゲルパーミエーションクロマトグラフィー{以下、低分子量GPCと記す。}で確認した後、この反応液を15リットルのイオン交換水に投入、撹拌、静置し、反応生成物の結晶化沈殿を待って濾別し、適宜水洗の後、40℃で48時間真空乾燥することにより、5−アミノイソフタル酸のアミノ基と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基が作用したAIPA−MOを得た。得られたAIPA−MOの低分子量GPC純度は約100%であった。
(ポリマーDの合成)
容量2lのセパラブルフラスコに、得られたAIPA−MOを100.89g(0.3mol)、ピリジンを71.2g(0.9mol)、GBLを400g投入、混合し、氷浴で5℃まで冷却した。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)125.0g(0.606mol)をGBL125gに溶解希釈したものを、氷冷下、20分ほどかけて滴下し、続いて4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル{以下、BAPBと記す。}103.16g(0.28mol)をNMP168gに溶解させたものを、20分ほどかけて滴下し、氷浴で5℃未満を維持しつつ3時間、次いで氷浴を外して室温で5時間撹拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液に水840gとイソプロパノール560gの混合液を滴下し、析出する重合体を分離し、NMP650gに再溶解した。得られた粗ポリマー溶液を5lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーE)を得た。ポリマーDの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は34,700であった。
<製造例5>((A)ポリオキサゾール前駆体としてのポリマーEの合成)
容量3lのセパラブルフラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン183.1g、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)640.9g、ピリジン63.3gを室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボニルクロリド118.0gをジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)354gに溶解したものを滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
滴下終了から3時間後反応液に1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物30.8g(0.2mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をカルボキシシクロヘキシルアミド基で封止した。この際の反応率は投入した1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物の残量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量9,000(ポリスチレン換算)の粗ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。
上記で得られた粗ポリベンゾオキサゾール前駆体をγ−ブチロラクトン(GBL)に再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーE)を得た。
<製造例6>((A)ポリイミドとしてのポリマーFの合成)
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、ガラス製のセパラブル4つ口フラスコに、ディーンスタークトラップ付き冷却管を取り付けた。窒素ガスを通じながら、上記フラスコをシリコンオイル浴につけて攪拌した。
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(クラリアントジャパン社製)(以後BAPという)72.28g(280ミリモル)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)(以後MCTCという)を70.29g(266ミリモル)、γ−ブチロラクトン254.6g、トルエン60gを加えて、室温で100rpmで4時間攪拌後、5−ノルボルネン−2,3―ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)4.6g(28ミリモル)を加えて、窒素ガスを通じながらシリコン浴温度50℃で、100rpmで8時間加熱攪拌した。その後、シリコン浴温度180℃に加温し、100rpmで2時間加熱攪拌した。反応中トルエン、水の留出分を除去した。イミド化反応終了後、室温に戻した。
その後上記反応液を3Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量23,000(ポリスチレン換算)の粗ポリイミド(ポリマーF)を得た。
<製造例7>((A)フェノール樹脂としてのポリマーGの合成)
容量0.5リットルのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスラスコ中で、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル128.3g(0.76mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(以下「BMMB」ともいう。)121.2g(0.5mol)、ジエチル硫酸3.9g(0.025mol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル140gを70℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより140℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま140℃で反応液を2時間攪拌した。
次に反応容器を大気中で冷却し、これに別途100gのテトラヒドロフランを加えて攪拌した。上記反応希釈液を4Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル/BMMBからなる共重合体(ポリマーG)を収率70%で得た。このポリマーGのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は21,000であった。
<製造例8>((A)フェノール樹脂としてのポリマーHの合成)
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシノール81.3g(0.738mol)、BMMB84.8g(0.35mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEとも言う)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
次に、別の容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール24.9g(0.150mol)、PGME249gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
反応終了後は製造例7と同様の処理を行い、レゾルシノール/BMMB/2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールからなる共重合体(ポリマーH)を収率77%で得た。このポリマーHのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は9,900であった。
<実施例1>
ポリマーA、Bを用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリイミド前駆体であるポリマーA50gとB50g((A)樹脂に該当)を、リン酸ジルコニウム(長軸100nm、短軸5nmの板状粒子、アスペクト比20の(B−1)ナノ粒子に該当)5g、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(表1には「PDO」と記載する)((C)感光剤に該当)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.5%という結果を得た。
<実施例2>
上記実施例1において、(B−1)成分として、リン酸ジルコニウムの添加量を1gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、6.6%という結果を得た。
<実施例3>
上記実施例1において、(B−1)成分として、リン酸ジルコニウムの代わりにモンモリロナイト(長軸100nm、短軸10nm、アスペクト比10の板状粒子)を用いた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.8%という結果を得た。
<実施例4>
上記実施例1において、(B−1)成分として、リン酸ジルコニウム5gの代わりにアエロジル(粒径12nmの球状粒子、アスペクト比1)1gを用いた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.4%という結果を得た。
<実施例5>
上記実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製し、この組成物について、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.5%という結果を得た。
<実施例6>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに変え、(C)成分として、PDO4gを、1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.5gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.3%という結果を得た。
<実施例7>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに、(C)成分として、PDO4gを、1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.5gに変え、更に溶媒をγ−ブチロラクトン85gとジメチスルホキシド15gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.3%という結果を得た。
<実施例8>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーC100gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.8%という結果を得た。
<実施例9>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーD100gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.6%という結果を得た。
<実施例10>
ポリマーEを用いて以下の方法でポジ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリオキサゾール前駆体であるポリマーE100g((A)樹脂に該当)を、下記式(96):
で表される、フェノール性水酸基の77%をナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化した感光性ジアゾキノン化合物(東洋合成社製、(C)感光剤に該当)(C1)15g、リン酸ジルコニウム(長径100nm、厚さ5nmの板状粒子、(B)ナノ粒子に該当)5g、3−t−ブトキシカルボニルアミノプロピルトリエトキシシラン6gと共に、γ−ブチロラクトン(溶媒として)100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のγ−ブチロラクトンを更に加えることによって約20ポイズ(poise)に調整し、ポジ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.7%という結果を得た。
<実施例11>
上記実施例10において、(A)樹脂として、ポリマーE100gをポリマーF100gに変えた以外は、実施例10と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.7%という結果を得た。
<実施例12>
上記実施例10において、(A)樹脂として、ポリマーE100gをポリマーG100gに変えた以外は、実施例10と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により220℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.4%という結果を得た。
<実施例13>
上記実施例10において、(A)樹脂として、ポリマーE100gをポリマーH100gに変えた以外は、実施例10と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により220℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.5%という結果を得た。
<比較例1>
実施例1の組成に、リン酸ジルコニウムを添加しない他は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)化合物を含まないため14.3%であった。
<比較例2>
実施例8の組成に、リン酸ジルコニウムを添加しない他は、実施例8と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)化合物を含まないため14.9%であった。
<比較例3>
実施例10の組成に、リン酸ジルコニウムを添加しない他は、実施例10と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)化合物を含まないため14.6%であった。
これらの結果をまとめて表1に示す。
<第3実施例>
第3実施例として、以下の実験を行った。
<製造例1>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーAの合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2l容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA)を得た。ポリマーAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
なお各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l LiBr/NMP
流速:1ml/min.
<製造例2>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーBの合成)
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーBを得た。ポリマーBの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーCの合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーCを得た。ポリマーCの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4>((A)ポリアミドとしてのポリマーDの合成)
(フタル酸化合物封止体AIPA−MOの合成)
容量5lのセパラブルフラスコに、5−アミノイソフタル酸{以下、AIPAと略す。}543.5g、N−メチル−2−ピロリドン1700gを投入、混合撹拌し、ウォーターバスで50℃まで加温した。これに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート512.0g(3.3mol)をγ−ブチロラクトン500gで希釈したものを滴下ロートで滴下投入し、そのまま50℃で2時間ほど撹拌した。
反応の完了(5−アミノイソフタル酸の消失)を低分子量ゲルパーミエーションクロマトグラフィー{以下、低分子量GPCと記す。}で確認した後、この反応液を15リットルのイオン交換水に投入、撹拌、静置し、反応生成物の結晶化沈殿を待って濾別し、適宜水洗の後、40℃で48時間真空乾燥することにより、5−アミノイソフタル酸のアミノ基と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基が作用したAIPA−MOを得た。得られたAIPA−MOの低分子量GPC純度は約100%であった。
(ポリマーDの合成)
容量2lのセパラブルフラスコに、得られたAIPA−MOを100.89g(0.3mol)、ピリジンを71.2g(0.9mol)、GBLを400g投入、混合し、氷浴で5℃まで冷却した。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)125.0g(0.606mol)をGBL125gに溶解希釈したものを、氷冷下、20分ほどかけて滴下し、続いて4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル{以下、BAPBと記す。}103.16g(0.28mol)をNMP168gに溶解させたものを、20分ほどかけて滴下し、氷浴で5℃未満を維持しつつ3時間、次いで氷浴を外して室温で5時間撹拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液に水840gとイソプロパノール560gの混合液を滴下し、析出する重合体を分離し、NMP650gに再溶解した。得られた粗ポリマー溶液を5lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーE)を得た。ポリマーDの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は34,700であった。
<実施例1>
ポリマーA、Bを用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリイミド前駆体であるポリマーA50gとB50g((A)樹脂に該当)を、TMOM−BP(商品名、本州化学、(B−2)熱架橋剤に該当)10g、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(表1には「PDO」と記載する)((C)感光剤に該当)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.7%という結果を得た。
<実施例2>
上記実施例1において、(B−2)成分として、TMOM−BPの添加量を20gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、3.8%という結果を得た。
<実施例3>
上記実施例1において、(B−2)成分として、TMOM−BPの添加量を5gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、9.3%という結果を得た。
<実施例4>
上記実施例1において、(B−2)成分として、TMOM−BPの代わりにTM−BIP−A(商品名、本州化学)を用いた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.2%という結果を得た。
<実施例5>
上記実施例1において、(B−2)成分として、TMOM−BPの代わりにHMOM−TP−HAP(商品名、本州化学)を用いた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.8%という結果を得た。
<実施例6>
上記実施例1において、(B−2)成分として、TMOM−BPの代わりにニカラックMW−390(商品名、三和ケミカル)を用いた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、10.3%という結果を得た。
<実施例7>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.3%という結果を得た。
<実施例8>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーA100gに、(C)成分として、PDO4gを、1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.0gに変え、更に溶媒をγ−ブチロラクトン80gとジメチスルホキシド20gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.8%という結果を得た。
<実施例9>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーC100gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.0%という結果を得た。
<実施例10>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマーA50gとポリマーB50gを、ポリマーD100gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、6.9%という結果を得た。
<比較例1>
実施例1の組成に、TMOM−BPを添加しない他は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)化合物を含まないため14.3%であった。
<比較例2>
実施例10の組成に、TMOM−BPを添加しない他は、実施例10と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例11と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)化合物を含まないため15.5%であった。
これら実施例1〜10、比較例1〜2の結果を表1にまとめて示す。
<第4実施例>
第4実施例として、以下の実験を行った。
<製造例1>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマー(A)−1の合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2l容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマー(A)−1)を得た。ポリマー(A)−1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
なお各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.1mol/l LiBr/NMP
流速:1ml/min.
<製造例2>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマー(A)−2の合成)
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−2を得た。ポリマー(A)−2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマー(A)−3の合成)
製造例1の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)147.8gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A)−3を得た。ポリマー(A)−3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4>((A)ポリアミドとしてのポリマー(A)−4の合成)
(フタル酸化合物封止体AIPA−MOの合成)
容量5lのセパラブルフラスコに、5−アミノイソフタル酸{以下、AIPAと略す。}543.5g、N−メチル−2−ピロリドン1700gを投入、混合撹拌し、ウォーターバスで50℃まで加温した。これに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート512.0g(3.3mol)をγ−ブチロラクトン500gで希釈したものを滴下ロートで滴下投入し、そのまま50℃で2時間ほど撹拌した。
反応の完了(5−アミノイソフタル酸の消失)を低分子量ゲルパーミエーションクロマトグラフィー{以下、低分子量GPCと記す。}で確認した後、この反応液を15リットルのイオン交換水に投入、撹拌、静置し、反応生成物の結晶化沈殿を待って濾別し、適宜水洗の後、40℃で48時間真空乾燥することにより、5−アミノイソフタル酸のアミノ基と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのイソシアネート基が作用したAIPA−MOを得た。得られたAIPA−MOの低分子量GPC純度は約100%であった。
(ポリマー(A)−4の合成)
容量2lのセパラブルフラスコに、得られたAIPA−MOを100.89g(0.3mol)、ピリジンを71.2g(0.9mol)、GBLを400g投入、混合し、氷浴で5℃まで冷却した。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)125.0g(0.606mol)をGBL125gに溶解希釈したものを、氷冷下、20分ほどかけて滴下し、続いて4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル{以下、BAPBと記す。}103.16g(0.28mol)をNMP168gに溶解させたものを、20分ほどかけて滴下し、氷浴で5℃未満を維持しつつ3時間、次いで氷浴を外して室温で5時間撹拌した。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液に水840gとイソプロパノール560gの混合液を滴下し、析出する重合体を分離し、NMP650gに再溶解した。得られた粗ポリマー溶液を5lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマー(A)−4)を得た。ポリマー(A)−4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は34,700であった。
<製造例5>((A)ポリオキサゾール前駆体としてのポリマー(A)−5の合成)
容量3lのセパラブルフラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン183.1g、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)640.9g、ピリジン63.3gを室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボニルクロリド118.0gをジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)354gに溶解したものを滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
滴下終了から3時間後反応液に1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物30.8g(0.2mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をカルボキシシクロヘキシルアミド基で封止した。この際の反応率は投入した1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物の残量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量9,000(ポリスチレン換算)の粗ぽ前駆体を得た。
上記で得られた粗ポリベンゾオキサゾール前駆体をγ−ブチロラクトン(GBL)に再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマー(A)−5)を得た。
<製造例6>((A)ポリイミドとしてのポリマー(A)−6の合成)
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、ガラス製のセパラブル4つ口フラスコに、ディーンスタークトラップ付き冷却管を取り付けた。窒素ガスを通じながら、上記フラスコをシリコンオイル浴につけて攪拌した。
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(クラリアントジャパン社製)(以後BAPという)72.28g(280ミリモル)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)(以後MCTCという)を70.29g(266ミリモル)、γ−ブチロラクトン254.6g、トルエン60gを加えて、室温で100rpmで4時間攪拌後、5−ノルボルネン−2,3―ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)4.6g(28ミリモル)を加えて、窒素ガスを通じながらシリコン浴温度50℃で、100rpmで8時間加熱攪拌した。その後、シリコン浴温度180℃に加温し、100rpmで2時間加熱攪拌した。反応中トルエン、水の留出分を除去した。イミド化反応終了後、室温に戻した。
その後上記反応液を3Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した重量平均分子量23,000(ポリスチレン換算)の粗ポリイミド(ポリマー(A)−6)を得た。
<製造例7>((A)フェノール樹脂としてのポリマー(A)−8の合成)
容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシノール81.3g(0.738mol)、BMMB84.8g(0.35mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEとも言う)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
次に、別の容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール24.9g(0.150mol)、PGME249gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
反応終了後は製造例7と同様の処理を行い、レゾルシノール/BMMB/2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールからなる共重合体(ポリマーH)を収率77%で得た。このポリマーHのGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は9,900であった。
<実施例1>
ポリマー(A)−1、(A)−2を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリイミド前駆体であるポリマー(A)−1を50gと(A)−2を50g((A)樹脂に該当)を、1H,1H,8H,8H−パーフルオロテトラエチレングリコールジアクリレート(下記式(B−3−1)で表され、Exfluor社製)8g、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)−オキシム(表1には「PDO」と記載する)((C)感光剤に該当)4g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸1.5gと共に、N−メチル−2−ピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gからなる混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の前記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズ(poise)に調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、3.1%という結果を得た。なお(B−3)−1化合物(下記式(B−3−1)の化合物を表わす。以下下記式(B−3−X)(Xは1〜9)で表わされる化合物を(B−3)−Xとする。)の分子中のフッ素原子の重量割合は44質量%である。
<実施例2>
上記実施例1において、(B−3)成分を1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレート((下記式(B−2)で表され、Exfluor社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、3.3%という結果を得た。なお(B−3)−2化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は41質量%である。
<実施例3>
上記実施例1において、(B−3)成分を1H,1H−パーフルオロ−n−デシルメタクリレート(下記式(B−3−3)で表され、Exfluor社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、3.4%という結果を得た。なお(B−3)−3化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は64質量%である。
<実施例4>
上記実施例1において、(B−3)成分をパーフルオロデカン酸((下記式(B−3−4)で表され、Exfluor社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、6.2%という結果を得た。なお(B−3)−4化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は70質量%である。
<実施例5>
上記実施例1において、(B−3)成分を1H,1H−パーフルオロ−1−デカノール(下記式(B−3−5)で表され、Exfluor社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、6.9%という結果を得た。なお(B−3)−5化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は72質量%である。
<実施例6>
上記実施例1において、(B−3)成分をパーフルオロトリデカン(下記式(B−3−6)で表され、Exfluor社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、7.7%という結果を得た。なお(B−3)−6化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は77質量%である。
<実施例7>
上記実施例1において、(B−3)成分をパーフルオロデカン酸メチル(下記式(B−7)で表され、Exfluor社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、6.9%という結果を得た。なお(B−3)−7化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は68質量%である。
<実施例8>
上記実施例1において、(B−3)成分をパーフルオロテトラグライム(下記式(B−3−8)で表され、Exfluor社製)に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、6.8%という結果を得た。なお(B−3)−8化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は68質量%である。
<実施例9>
上記実施例1において、(B−3)−1成分の添加量を2gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.5%という結果を得た。
<実施例10>
上記実施例1において、(B−3)−1成分の添加量を20gに変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により230℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、3.8%という結果を得た。
<実施例11>
上記実施例1において、キュア温度を230℃から350℃に変えた以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.2%という結果を得た。
<実施例12>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−1、50gとポリマー(A)−2、50gを、ポリマー(A)−1、100gに、(C)成分をPDOから1,2−オクタンジオン、1−{4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)}(イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名))2.5gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.6%という結果を得た。
<実施例13>
上記実施例12において、溶媒をγ−ブチロラクトン85gとジメチルスルホキシド15gに変更した以外は、実施例12と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.8%という結果を得た。
<実施例14>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−1、50gとポリマー(A)−2、50gを、ポリマー(A)−3、100gに変え、キュア温度を230℃から350℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.7%という結果を得た。
<実施例15>
上記実施例1において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−1、50gとポリマー(A)−2、50gを、ポリマー(A)−4、100gに変え、キュア温度を230℃から250℃に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物についてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.4%という結果を得た。
<実施例16>
ポリマー(A)−5を用いて以下の方法でポジ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した感光性樹脂組成物の評価を行なった。ポリオキサゾール前駆体であるポリマー(A)−5、100g((A)樹脂に該当)を、下記式(96):
で表される、フェノール性水酸基の77%をナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化した感光性ジアゾキノン化合物(東洋合成社製、(C)成分に該当)(C1)15g、γ−ブチロラクトン(溶媒として)100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のγ−ブチロラクトンを更に加えることによって約20ポイズ(poise)に調整し、ポジ型感光性樹脂組成物とした。
この組成物について、上述の方法により350℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.2%という結果を得た。
<実施例17>
上記実施例16において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−5、100gをポリマー(A)−6、100gに変えたこと以外は、実施例11と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.5%という結果を得た。
<実施例18>
上記実施例16において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−5、100gをポリマー(A)−7、(ノボラック樹脂、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)=10,600(旭有機材社製、製品名EP−4080G)100gに変えたこと以外は、実施例11と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、4.8%という結果を得た。
<実施例19>
上記実施例16において、(A)樹脂として、ポリマー(A)−5、100gをポリマー(A)−8、100gに変えたこと以外は、実施例11と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、上述の方法により250℃キュアしてCu層上に硬化レリーフパターンを作製し、高温保存試験を行なった後、Cu層の表面に占めるボイドの面積割合を評価し、5.1%という結果を得た。
<比較例1>
実施例1の組成に、(B)−1成分を添加しない他は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)フッ素含有疎水性化合物を含まないため15.2%であった。
<比較例2>
実施例1の(B)−1成分の変わりにテトラエチレングリコールジメタクリレート(下記式(B−9)で表され、東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)フッ素含有疎水性化合物を含まないため15.5%であった。なお(B)−9化合物の分子中のフッ素原子の重量割合は0質量%である。
<比較例3>
実施例15の(B)−1成分の変わりにテトラエチレングリコールジメタクリレート((B)−9、東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例15と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例15と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)フッ素含有疎水性化合物を含まないため14.3%であった。
<比較例4>
実施例12の(B)−1成分の変わりにテトラエチレングリコールジメタクリレート((B)−9、東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例12と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例12と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)フッ素含有疎水性化合物を含まないため15.7%であった。
<比較例5>
実施例17の(B)−1成分の変わりにテトラエチレングリコールジメタクリレート((B)−9、東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例17と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例17と同様の評価を行なった。評価結果は、本発明の(B)フッ素含有疎水性化合物を含まないため16.3%であった。
以下、(B)−1から(B)−9化合物の分子中のフッ素原子の重量割合を表1にまとめて示す。
実施例1〜19、比較例1〜5の結果を表2にまとめて示す。