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JP2017190303A - 冷却水系の微生物抑制方法、及び塗布剤の塗布方法 - Google Patents

冷却水系の微生物抑制方法、及び塗布剤の塗布方法 Download PDF

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JP2017190303A JP2016080838A JP2016080838A JP2017190303A JP 2017190303 A JP2017190303 A JP 2017190303A JP 2016080838 A JP2016080838 A JP 2016080838A JP 2016080838 A JP2016080838 A JP 2016080838A JP 2017190303 A JP2017190303 A JP 2017190303A
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則夫 槙田
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Tomoko Nishi
智子 西
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Kojiro Yanagisawa
浩次郎 柳澤
弘文 白馬
Hirofumi Hakuba
弘文 白馬
久人 小林
Hisato Kobayashi
久人 小林
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Abstract

【課題】冷却水系での微生物の繁殖を抑制する方法及びそれに用いる塗布剤の塗布方法を提供する。
【解決手段】本発明は、冷却塔10を有する冷却水系4の、冷却水と接触する接液部での微生物の繁殖を抑制する方法であって、ポリカルボン酸とカチオン性殺菌剤とから形成される難水溶性のポリカルボン酸イオンコンプレックスを少なくとも含有する塗布剤を、カチオン性殺菌剤の塗布量が1cm当たり0.05nmol以上10nmol以下になるよう、接液部に塗布し、当該接液部上に殺菌剤被膜を形成する。これにより、接液部の腐食が防止可能なだけではなく、冷却水系での微生物を長期間抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷却塔を含む冷却水系での微生物抑制方法と、微生物の抑制に用いる塗布剤の塗布方法に関する。
各種工場設備の冷却水系では、系内に微生物スライムが発生すると、熱交換器の熱効率低下、冷却水配管の閉塞、配管金属材料の腐食などのスライム障害が発生する。そのため、原因となる微生物の繁殖を抑制する薬剤が、いわゆるスライムコントロール剤として提案されており、これらの薬剤としては有機臭素系、チオシアネート系、ジチオール系、環状窒素硫黄系、イソチアゾリン系、第四級アンモニウム塩系などが公知である。
例えば、特許文献1(特開2003−292405)には、四フッ化硼素酸の第四級アンモニウム塩からなる水性分散体もしくはブロック状固形体のスライムコントロール剤が提案されている。特許文献1には、ポリカルボン酸を含有する組成物についても開示があるが、このポリカルボン酸はスケール分散剤として使用されているにすぎない。
特許文献2(特開2003−286112)には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの第四級アンモニウム塩を含む徐放性抗菌剤が開示されている。しかし、この徐放性抗菌剤は、第四級アンモニウム塩の内層を、水溶性物質と合成樹脂とを含む外層で保護することで、第四級アンモニウム塩の溶出速度を制御したにすぎない。
このような構造の徐放性抗菌剤は塗装工程が複雑な上、第四級アンモニウム塩自体は水溶性で水中への溶出量が一定ではなく、設置当初は高濃度でも短期間で放出濃度が低下し、徐放性抗菌剤の煩雑な交換が必要になる。
その他の抗菌剤としては、例えば、特許文献3(2014−122203号公報)には、ポリ−γ−グルタミン酸と第四級アンモニウムなどのカチオン性殺菌剤から形成されるポリグルタミン酸イオンコンプレックスと、これを用いた抗真菌剤並びにコーティング剤が開示されている。また、特許文献4(特開2015−163686)には、ポリアクリル酸と第四級アンモニウムイオンから形成されるポリアクリル酸イオンコンプレックスと、これを用いた抗菌性プラスチック材料が開示されている。しかしながら、これらの特許文献3、4では、冷却水系などにおけるスライム抑制に関する記載はない。
特開2003−292405号公報 特開2003−286112号公報 特開2014−122203号公報 特開2015−163686号公報
「冷却水系」とは、冷却塔を有する水冷式の冷却設備であって、冷却塔以外にも、冷凍機、循環ポンプ、配管等の関連装置(部品)をも有する設備である。冷却塔(クーリングタワー)では、冷却水を蒸発させるため大気と接触させるが、その際には、水が霧状(エアロゾル)となって飛散するため、冷却水と直接接触する部分のみならず、その周囲の部分まで冷却水で濡れた状態になる。
これら冷却水で濡れる部分(接液部)には、藻類、細菌類、真菌類などの微生物が繁殖し、スライム(バイオフィルム)が形成されやすく、熱交換器の熱効率低下や、冷却水配管の閉塞などのスライム障害の原因となる。また、接液部が金属製の場合は、錆、割れ(亀裂)、孔食等の腐食障害も起こる。
しかも、スライムにはレジオネラ菌のような有害微生物が繁殖(共生)することもあるため、安全面でも冷却水系の微生物抑制は重要である。
上記特許文献2以外にも、冷却水にスライムコントロール剤を添加する方法は公知であるが、繁殖抑制の有効濃度を維持するためには、スライムコントロール剤を連続して又は定期的に添加する必要があり、コスト高になる上、常に微生物が薬剤に曝されるため、微生物が薬剤耐性を獲得することもある。
また、既存のスライムコントロール剤の大部分は塩素、臭素などのハロゲンイオンを対イオンとするため、このスライムコントロール剤自体が、金属製機器、配管などの腐食発生の要因となることがある。しかも、第四級アンモニウム塩は発泡し易いため、その使用用途なども限定されるという課題もあった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、金属などの腐食を防止しつつ、微生物抑制効果を長時間維持可能な冷却水系の微生物抑制方法、並びにそれに関連する塗布剤の塗布方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成とすることができる。
(1)本発明は冷却塔を有する冷却水系での微生物の繁殖を抑制する方法に関し、特に、冷却水系のうち、冷却塔で使用する冷却水と接触する部分(接液部)での微生物抑制を対象とし、ポリカルボン酸とカチオン性殺菌剤とから形成される難水溶性のポリカルボン酸イオンコンプレックスを少なくとも含有する塗布剤を、カチオン性殺菌剤量が接液部1cm当たり0.05nmol以上10nmol以下になるよう、接液部に塗布し、当該接液部上に殺菌剤被膜を形成することを特徴とする。
(2)上記ポリカルボン酸は、ポリ‐γ‐グルタミン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸とアクリル酸の共重合体からなる群より選択することができる。
(3)上記カチオン性殺菌剤は、第四級アンモニウム塩とビグアニド系殺菌剤のいずれか一方又は両方から選択することができる。
(4)第四級アンモニウム塩としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化ラウリルピリジニウムからなる群より選択されるいずれか1種以上を選択することができる。
(5)ビグアニド系殺菌剤としては、塩酸クロルヘキシジンとグルコン酸クロルヘキシジンのいずれか一方又は両方を選択することができる。
(6)塗布剤は、ポリカルボン酸イオンコンプレックスの含有量が0.1w/v%以上30w/v%以下になるよう調整することが好ましい。
更に、本発明は、以下の塗布方法をも含む。
(7)本発明の塗布方法は、冷却塔を有する冷却水系の、冷却水と接触する接液部での微生物の繁殖抑制に使用される冷却水用殺菌剤(塗布剤)であって、ポリカルボン酸とカチオン性殺菌剤とから形成される難水溶性のポリカルボン酸イオンコンプレックスを、0.1w/v%以上30w/v%以下含有する塗布剤を、接液部に1回以上塗布し、前記カチオン性殺菌剤を1cm当たり0.05nmol以上10nmol以下含む殺菌剤被膜を形成する方法である。
なお、w/v%は質量/容量%、すなわち、g/100mlを意味する。
本発明は、ポリカルボン酸とカチオン性殺菌剤から形成される難水溶性のポリカルボン酸イオンコンプレックスを塗布剤に使用するため、接液部の腐食や殺菌剤の発泡が著しく少なくなる上、微生物の繁殖抑制効果を長期間保持することが可能となる。
図1は本発明の概略を説明するフロー図である。 図2は冷却塔の一例を説明する模式図である。 図3は冷却水系の一例を説明する模式図である。 図4(a)は洗浄後のルーバー部分に実施例1の塗布剤を塗布した直後の写真であり、図4(b)は通水6ヶ月後の写真である。 図5(a)は洗浄後のルーバー部分に実施例2の塗布剤を塗布した直後の写真であり、図5(b)は通水6ヶ月後の写真である。 図6(a)はルーバー部分の洗浄直後の写真であり、図6(b)は殺菌剤被膜なしで6月通水後の写真である。 図7は、実験に使用した模擬冷却塔を説明する写真である。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
本発明は、微生物の繁殖を抑制する方法と、それに用いる塗布剤の塗布方法に関し、塗布剤を塗布して殺菌剤被膜を形成し、その殺菌剤被膜を微生物の抑制に利用する(図1)。
先ず、塗布剤の具体例を説明する。
[塗布剤]
塗布剤は、必須成分としてポリカルボン酸イオンコンプレックスを含有する。ポリカルボン酸イオンコンプレックスは、ポリカルボン酸とカチオン性殺菌剤とを溶媒中などで混合して形成される難水溶性又は不水溶性の物質である。なお、難水溶性(不水溶性)とは、25℃の蒸留水への溶解度が10g/L未満、好ましくは1g/L未満であることを意味する。
(ポリカルボン酸)
ポリカルボン酸は、分子内にカルボキシル基を2個またはそれ以上を有する有機化合物である。本発明に使用するポリカルボン酸の種類は特に限定するものではないが、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸が好適である。また、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体であってもよい。
使用するポリカルボン酸の分子サイズも、特に限定されないが、ポリ−γ−グルタミン酸の場合は平均分子量で10kDa以上のものが好ましく、100kDa以上のものがさらに好ましい。一般的に、分子サイズが大きいほど強度などの性能が高くなる。一方、分子サイズが過剰に大きなポリカルボン酸は製造コストが大きく、また、製造が技術的に難しい場合もあるので、通常は1,000kDa以下とする。なお、ポリ‐γ‐グルタミン酸の平均分子量はゲルろ過クロマトグラフィーなどによる測定値の他、市販品を使用する場合はカタログ値を参照可能である。
ポリグルタミン酸の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開2014−122203号に開示された方法を採用することができる。
ポリアクリル酸(アクリル酸の単独重合体又は共重合体)、ポリメタクリル酸(メタクリル酸の単独重合体又は共重合体)、およびアクリル酸とメタクリル酸の共重合体をポリカルボン酸として使用する場合は、粘度平均分子量が100,000以上かつ1,000,000以下のものが好適である。
粘度平均分子量が100,000未満であると、形成されたイオンコンプレックスの強度が低くなってしまい加熱成形などイオンコンプレックス単独での成形が困難になる。一方、粘度平均分子量が1,000,000を超えると、溶解性が無くなりスプレーや塗布(コーティング)ができなくなる他、ゲル化するなどして成形性(塗布膜の均一性)も悪化する。
粘度平均分子量は、150,000以上がより好ましく、200,000以上がさらに好ましく、300,000以上がよりさらに好ましく、400,000以上が特に好ましく、また、900,000以下がより好ましく、800,000以下がさらに好ましく、700,000以下がよりさらに好ましく、600,000以下がさらにより好ましく、500,000以下が特に好ましい。
粘度平均分子量は、ポリマーの粘度より求められる平均分子量であり、通常、ポリマーの粘度平均分子量は、分子量が分かっている標準試料の固有粘度〔η〕と、分子量を求めたい試料の固有粘度を測定して求めるものである。本発明ではポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびポリアクリル酸とポリメタクリル酸の共重合体の分子量の基準として用いる。
これらポリ(メタ)アクリル酸としては、例えば、特開2015-163686号に記載のポリ(メタ)アクリル酸又はその塩を使用することができる。
上記いずれのポリカルボン酸を使用する場合も、下記カチオン性殺菌剤と混合後に得た難水溶性イオンコンプレックスを用いる。ポリカルボン酸イオンコンプレックスは公知の方法で製造することが可能であるが、例えば、特開2014-122203号、特開2015-163686号に記載の方法で製造することができる。より具体的には、ポリカルボン酸の水溶液又は水分散液を作成し、この溶液に必要であれば中和等の前処理を行い、カチオン性殺菌剤水溶液と混合して難溶性ポリカルボン酸イオンコンプレックスを析出させる。また、製造後に低分子カルボン酸(水溶性)等の水溶性材料が混入している可能性が高いときは、例えば、水分散液から難水溶性材料を濾別などで分離して使用することもできる。
(カチオン性殺菌剤)
本発明に使用されるカチオン性殺菌剤は、ポリカルボン酸のカルボキシル基とイオン結合し、コンプレックスを形成する。その種類は特に限定されないが、第四級アンモニウム塩と、ビグアニド系殺菌剤のいずれか一方又は両方の使用が好ましい。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムが挙げられる。ビグアニド系殺菌剤としては、塩酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アレキシジン、酢酸アレキシジン、グルコン酸アレキシジンが挙げられる。
この中でも、好ましくは塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンが挙げられる。これらのカチオン性殺菌剤は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
(塗布剤の調整)
本発明に用いる塗布剤としては、ポリカルボン酸イオンコンプレックスを有機溶媒に溶解又は分散した溶液を使用することができる。
有機溶媒としてはアルコール類、炭化水素類、ケトン類、エステル類からなる群の1つ以上を使用することができるが、取り扱い上の安全性や環境中への配慮から、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコール類が好ましく、エチルアルコールがより好ましい。また、エチルアルコールと水の混合溶液を使用してもよい。
塗布剤中のポリカルボン酸イオンコンプレックスの含有濃度としては、0.1w/v%(質量/体積%)以上30w/v%以下が好ましく、0.5w/v%以上20w/v%以下がより好ましい。
ポリカルボン酸イオンコンプレックスの含有濃度が0.1w/v%未満の場合、所定濃度に達するまで塗布・乾燥工程を繰り返す必要があり、作業時間が長くなるため好ましくない。一方、30w/v%を超える場合、塗布剤の粘性が高くなり被膜にむらが生じるため好ましくない。
塗布剤には、染料、顔料、他の防腐剤、粘度調整剤、カップリング剤、pH調整剤(酸、アルカリ)等の1種以上の添加剤を添加しもよい。
次に、上記塗布剤を塗布対象について説明する。
本発明での微生物抑制の対象は、冷却塔を有する冷却水系、特に、冷却塔で使用する冷却水と接触する部材(部品、装置)である。
[冷却塔]
冷却塔10の種類は特に限定されず、密閉型、開放型、直交流型、向流型等特に限定されないが、以下にその一例を説明する。
図2の符号10は冷却塔を示す模式図であって、冷却塔10は、本体11と、本体11に取り付けられた送風機21とを有している。本体11側壁には開口(通気口)が形成されており、送風機21を運転させると、本体11から空気が排出されて内部圧力が負に傾き、通気口から外気が引き込まれる。
通気口にはルーバー19のような遮蔽部材が設置されており、雨水や粉塵等はルーバー19により遮られるが、外気はルーバー19間の隙間を通って本体11内部に流入する。
本体11内部には充填材25が配置されており、流入した外気は充填材25を通り、送風機21から再び外部に排出される。すなわち、本体11の内部には充填材25を通る空気の流れが生じる。
本体11には散水手段30が設置されている。散水手段30は、本体11の天井に設置された散水皿31と、散水皿31に冷却水を供給する給水手段とを有する。給水手段は特に限定されないが、例えば、散水皿31の仕切部材32(散水バー)などに埋設された配管33を有し、この配管33から冷却水が散水皿31に供給される。散水皿31には複数の貫通孔が形成されており、冷却水はこの貫通孔を通って本体11内部に落下し、充填材25に冷却水が散水され、充填材25を通って冷却水が落下する。
直交流型(クロスフロー型)の冷却塔の場合、本体11の側壁から横方向、すなわち、冷却水の落下方向と略直交して空気が流れる。他方、向流型(カウンターフロー型)の冷却塔の場合、本体11下部から上部へ、すなわち、落下する冷却水と対向して空気が流れる。いずれの場合も、冷却水は空気と接触し、少なくとも一部が蒸発する。
密閉型冷却塔の場合は、充填材25に配管が埋設されている。この配管には冷却水とは別の被冷却水が流れ、冷却水が蒸発するときの気化熱により被冷却水が冷却される。
他方、開放型冷却塔の場合は、蒸発されずに充填材25を通過する過剰な冷却水自身が被冷却水となって、蒸発時の気化熱により冷却される。
充填材25を通過して落下した冷却水は、開放型冷却塔の場合は、被冷却水として後述する冷却装置へ送られた後、再び冷却塔10に戻って充填材25に散水される。他方、密閉型冷却塔の場合は、冷却水は散水手段30により再度充填材25に散水される一方で、被冷却水は冷却装置へ送られた後、再び冷却塔10に戻って充填材25内で冷却される。
即ち、密閉型、開放型いずれの冷却塔でも、被冷却水は、冷却塔10と冷却装置との間を循環する。
次に、冷却塔10を含む冷却水系全体について説明する。
[冷却水系(冷却設備)]
冷却水系4は特に限定されないが、例えば、冷却塔10の他には、冷却装置50と、被冷却水を冷却塔10と冷却装置50の間で循環させる冷却水循環系40とを有する。
冷却水循環系40は、配管などの流路41と、ポンプなどの送液手段42とを有し、被冷却水は流路41を通り、送液手段42により冷却装置50へ送液後、再び冷却塔10へ戻る。
冷却装置50は、冷媒の循環経路51と、循環経路51にそれぞれ設置された凝集器52及び蒸発器53とを有し、冷却塔10からの被冷却水は凝集器52で冷媒と熱交換し、冷媒を冷却すると同時に自身は加熱されて冷却塔10へ戻る。
冷却された冷媒は、蒸発器53に送られ、冷却対象(室内空気等)と熱交換して蒸発し、凝集器へ戻る。
このように、蒸発器53と凝集器52との間の冷媒の循環と、冷却装置50と冷却塔10との間の被冷却水との循環により、冷却対象の温度調整が可能になる。
一般に、冷却水には、上水(水道水)とブライン液(塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩含有水)のいずれか一方又は両方が使用されるが、いずれも主成分、例えば90質量%以上は水であり、微生物が繁殖するおそれがある。
特に、水道水(上水)を使用する場合や、開放型冷却塔を使用する場合、微生物が繁殖する危険性が高くなる。
そこで、本発明では、冷却塔10を含む冷却水系4のうち、冷却水と接触する部分(接液部)に、上述した塗布剤を塗布する。
[塗布対象]
塗布対象となる接液部は特に限定されない。例えば、散水皿31、散水皿カバー34、配管33、充填材25、本体11底壁、流路41、その他部材(スプリンクラー、ストレーナー、下部水槽、各種配管)など、冷却水と直接接触する部材でもよいし、ルーバー19、送風機21、仕切部材32、本体11天井(内側壁面及び外側壁面)、本体11側壁(内側側面及び外側側面)など冷却水の液滴(ミスト)が付着する可能性が高い部材でもよい。
これら接液部の中でも、散水皿31、ルーバー19、本体11天井外側壁面、送風機21のカバーなど、太陽光等の光で照射される部分への塗布が、光合成に関与する微生物(藻類等)の繁殖抑制に好ましい。
接液部の材質は特に限定されないが、例えば、プラスチック、繊維、木材、コンクリート、煉瓦、金属、金属酸化物、合金、セラミック、ガラスからなる群から選択される1以上の材質で形成されたものを用いる。
本発明に用いる塗布剤は、材質を限定することなく、冷却塔設備を構成する各部位の素材に適用できるが、微生物による金属腐食を防止する観点から、特に金属、合金、金属酸化物(金属酸化皮膜)からなる群より選択されるいずれか1種以上の金属系材料が表面に露出する部分への適用が効果的である。
本発明に用いる塗布剤は、カチオン性殺菌剤がポリカルボン酸と複合体(コンプレックス)を形成しているため、殺菌剤による発泡が起こり難いだけではなく、金属系材料が露出する接液部の表面に直接塗布しても、カチオン性殺菌剤由来のイオン(塩素等)の影響が生じ難い。従って、多様な材質の接液部に対し、塗布剤を塗布することができる。
塗布対象は金属系材料に限定されず、多様な材質の接液部に塗布可能であるが、繊維など表面に空隙(細孔)が露出する接液部は、塗布量が制御困難という点で不適切である。
なお、塗布対象は、未使用の部品(装置)であってもよいし、使用済の部品(装置)であってもよい。
未使用の部品(装置)としては、例えば、使用開始前の冷却水系4(冷却塔10)、使用済の冷却水系4(冷却塔10)との部品交換に用いる未使用の部品(装置)がある。
使用済の部品(装置)としては、使用済の冷却水系4(冷却塔10)に装着された状態の部品、使用済の冷却水系4(冷却塔10)から取り外した部品(装置)などがある。
未使用の部品(装置)、使用済の部品(装置)のいずれも塗布剤の塗布施工前に、洗浄することが好ましく、特に、使用済の部品(装置)では洗浄処理が必須である。
以下、洗浄処理を含む前処理工程について説明する。
[前処理工程]
洗浄は、スライム、スケール、錆、その他汚れを除去可能であれば特に限定されず、例えば、圧力をかけた水を噴霧する高圧洗浄、薬液(洗剤)を使用した化学洗浄、ブラシや研磨装置を用いた機械洗浄(ケレンも含む)などがあり、これら洗浄処理を1以上組み合わせることも可能である。
必要であれば、洗浄後、接液部を乾燥させて、必要であれば更なる前処理を施し、塗布工程に用いる。
洗浄以外の前処理は特に限定されないが、使用済の部品(装置)に着色用、防錆用の塗膜が形成されている場合は、必要に応じて塗膜の塗り直し等補修作業を行ってもよい。
その他の前処理としては、塗布剤との固着性を向上させるため、粗面化処理、下地剤処理等の表面処理があり、2以上の表面処理を組み合わせてもよい。下地剤は、ポリカルボン酸の官能基(カルボキシル基等)と反応性の高い官能基を有するものが好ましく、接液部の材質(金属、ガラス等)とも結合可能という点で、例えばシランカップリング剤を用いることができる。
ただし、本発明に用いる塗布剤は、上述したように金属系材料に対して腐食等が生じ難いので、塗布剤を接液部の表面に直接塗布することも可能である。
[塗布工程]
塗布剤は、上記のような部品(装置)の全表面に塗布してもよいし、一部にのみ塗布してもよいが、少なくとも冷却水と接触する、又は、接触する可能性のある部分に塗布することが好ましい。
塗布剤の塗布方法としては、刷毛塗り法、ローラー塗り法、スプレー噴霧法、浸漬法、コーティング法、プリント法を含む各種塗布方法を選択することができる。
塗布を繰返す場合は、塗布後乾燥させ、施工部にポリカルボン酸イオンコンプレックスの被膜を固着させてから、次の塗布を実施することが好ましい。塗布の繰り返し回数については使用すると塗布剤の濃度により異なるが、該ポリカルボン酸イオンコンプレックスを構成するカチオン性殺菌剤として、接液部の1平方cm(cm)当たり0.05nmoL以上10nmoL以下、好ましくは0.1nmoL以上5nmoL以下、より好ましくは0.15nmoL以上2nmoL以下になるよう、塗布、乾燥、被膜固着の一連の工程を1回以上繰返す。
カチオン性殺菌剤の量が0.05nmol未満であると殺菌剤被膜中の殺菌剤分布にむらができ易く、微生物抑制効果が低下する可能性が高くなる。一方、10nmolを超える場合は、被膜固着に要する作業時間および処理コスト上の制約から現実的ではない。
なお、塗布、乾燥、被膜固着の各工程は、接液部を有する部品(装置)を冷却水系4(冷却塔10)に装着した状態で行ってもよく、接液部を有する部品(装置)を冷却水系(冷却塔10)から取り外した状態で行ってもよい。
いずれも、所定量のカチオン剤殺菌剤の塗布が終了し、接液部の表面に殺菌剤被膜を形成した後に、上述した冷却水系4(冷却塔10)での使用を開始する。
上述したように、本発明に用いる塗布剤は、難水溶性のポリカルボン酸イオンコンプレックスを含有するので、接液部上の殺菌剤被膜に冷却水が接触しても、殺菌剤被膜が溶解除去されずに残る。また、冷却水や大気中の微生物類が殺菌剤被膜に接触すると、カチオン性剤殺菌剤により殺菌されるので、スライム(バイオフィルム)の形成が防止される。
このように、本発明によれば、殺菌剤被膜が長時間維持されるので、冷却水系4でのスライム(バイオフィルム)の形成を従来よりも長時間抑制することができるが、冷却水系4のメンテナンス時等に、殺菌剤被膜を再形成することもできる。
再形成の時期は特に限定されないが、例えば、予め設定した期間が終了した時、予め設定した冷却水系4の運転時間(通算)が経過した時、予め設定した水量の冷却水の散水が終了した時、冷却水系4の冷却能力(kW)が低下したとき、冷却水の水質検査結果(菌体数、温度等)、部材の観察結果(藻類の付着確認等)、長時間の運転休止後に運転を再開するとき、異音、水もれ、変形等の異常が発生したときなどであり、これらの判断基準のうち、設定した1以上の基準に達したときに、上記前処理工程(洗浄)等を施し、塗布剤を再度塗布する。
殺菌剤被膜が残留している場合は、その上に塗布剤を塗布してもよいが、カチオン性殺菌剤の塗布量(nmol/cm)をコントロールするためには、残留殺菌剤被膜を洗浄工程で除去してから、再度塗布剤を塗布することが好ましい。
難水溶性ポリカルボン酸イオンコンプレックスは冷却水には溶解しないものの、酸化皮膜等と異なり、機械洗浄、化学洗浄、高圧洗浄等の通常の洗浄処理で除去可能なので、接液部を構成する部品(装置)を損傷することなく、除去可能である。
本発明で抑制対象となる微生物は特に限定されないが、以下に一例を説明する。
[微生物]
抑制対象の微生物は特に限定されないが、一例を挙げると、藻類、細菌類、原生動物、真菌類、酵母類等がある。これらの中でも、藻類、細菌類、原生動物、特に、冷却水系4での有機性スライム発生の原因となる、藻類、細菌類が抑制対象となる。
藻類は特に限定されず、藍色植物門(藍藻類)、緑色植物門(緑藻類)、紅色植物門(紅藻類)、黄色植物門(褐藻類、ケイ藻類等)、ユーグレナ植物門、渦鞭毛植物門、原核緑色植物門、灰色植物門、クリプト植物門、クロララクニオン植物門、ハプト植物門等多様な藻類が対象となる。
原生動物は特に限定されず、アメーバ類、ゾウリムシなどがあり、特にアメーバ類である。
細菌類も特に限定されず、グラム陰性菌、グラム陽性菌、好気性菌、嫌気性菌等多様な細菌類が抑制可能であり、また、上記藻類や原生動物と共生(寄生)関係にあってもよく、非共生(非寄生)関係にあってもよい。本発明で特に抑制対象となる細菌類は、上記藻類と原生動物のいずれか一方又は両方と共生又は寄生関係にある細菌類、特に、上記藻類と共生関係にある細菌類であって、例えば、好気性菌(通性嫌気性菌を含む)、特に好気性グラム陰性菌、例えばレジオネラ菌である。
[微生物の抑制方法]
本発明は、上記工程で形成した殺菌剤被膜により、接液部を保護する。
本発明により形成した殺菌剤被膜は、接液部1平方センチメートル当たり0.05nmoL以上10nmoL以下であり、好ましくは0.1nmoL以上5nmoL以下、より好ましくは0.15nmoL以上2nmoL以下のカチオン性殺菌剤を含むため、上記微生物類に対して十分は繁殖抑制効果を持つ。しかも、殺菌剤被膜に含まれるポリカルボン酸イオンコンプレックスは難水溶性なので、冷却水と接触する接液部でも長時間残留し、微生物類の繁殖抑制効果が長時間持続する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
ポリ−γ−グルタミン酸と塩化ベンザルコニウムからなる難水溶性ポリカルボン酸イオンコンプレックス0.5gを、70%エタノール水溶液100mLに溶解させ、0.5(w/v%)の塗布剤を製造した。なお、当該ポリ−γ−L−グルタミン酸イオンコンプレックスは、下記の通り製造した。
超好塩古細菌ナトリアルバ・エジプチアキア(N.aegyptiaca)由来の平均分子量1000kDのポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩(1.0g)を精製水に溶解し、2w/v%の溶液とした。当該溶液へ60℃に保温した塩化ベンザルコニウム(2.4g)の8w/v%水溶液を加えた。原料であるポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩の水溶液から、塩化ベンザルコニウム添加直後に水不溶性材料が形成されることを確認した後、さらに25℃で2時間攪拌した。得られた水不溶性材料を濾別回収した後、100 mLの精製水で計3回洗浄した。真空乾燥し、ポリ−γ−グルタミン酸イオンコンプレックス(3.0g)を回収した。得られたポリ−γ−グルタミン酸イオンコンプレックスのH−NMRの結果から、ポリ−γ−L−グルタミン酸とベンザルコニウムが100:100のモル比で結合していることが確認された。
冷却塔10のルーバー19に事前に高圧水洗機にて塗布面の汚れを落とし、乾燥後に塗布剤を霧吹きにて噴霧後、風乾し、殺菌剤被膜を形成させた(図4(a))。
この時の塗布量は、塩化ベンザルコニウムとして、ルーバー19の表面1cm当り0.2nmoLとした。
この後、スライムコントロール剤無添加の冷却水(水道水)を使用し、冷却塔を運転したところ、2週間経過後でも藻類の付着は観察されなかった。6ヶ月経過後では、藻類および微生物の付着が若干見られたものの、その付着程度は比較例1に比べ極めて軽微であった(図4(b))。
[実施例2]
ポリ−γ−グルタミン酸と塩化セチルピリジニウムからなる難水溶性ポリカルボン酸イオンコンプレックス0.5gを、70%エタノール水溶液100mLに溶解し、0.5w/v%の塗布剤を製造した。なお、当該ポリ−γ−L−グルタミン酸イオンコンプレックスは、下記の通り実施した。
超好塩古細菌ナトリアルバ・エジプチアキア(N.aegyptiaca)由来の平均分子量1000kDのポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩(1.0g)を精製水に溶解し、2w/v%の溶液とした。当該溶液へ60℃に保温した塩化セチルピリジニウム(2.4g)を加えた。原料であるポリ−γ−L−グルタミン酸ナトリウム塩の水溶液から、塩化セチルピリジニウム添加直後に水不溶性材料が形成されることを確認した後、さらに60℃で4時間保温した。得られた水不溶性材料を濾別回収した後、100mLの精製水で計3回洗浄した。真空乾燥し、粉末としてポリ−γ−L−グルタミン酸イオンコンプレックス(3.0g)を回収した。得られたポリ−γ−L−グルタミン酸イオンコンプレックスのH−NMRの結果から、ポリ−γ−L−グルタミン酸とセチルピリジニウムが100:100のモル比で結合していることが確認された。
この塗布剤を用いて、実施例1と同じ条件で、ルーバー19表面に殺菌剤被膜を形成し(図5(a))、実施例1と同じ条件で冷却塔10を運転したところ、2週間経過後でも藻類の付着は観察されず、6ヶ月経過後では、藻類および微生物の付着が若干見られたものの、比較例1に比べ極めて軽微であった(図5(b))。
[比較例1]
冷却塔のルーバー部分に事前に高圧水洗機にて塗布面の汚れを落とし(図6(a))、乾燥後、塗布剤を塗布せずに、実施例1と同じ条件で冷却塔10を運転した。比較例1では、2週間経過後には藻類の付着が観察され、6ケ月経過後では、大量の藻類および微生物の付着が認められた(図6(b))。
[実施例3〜14]
表1の条件で塗布剤を製造した以外は、実施例1と同じ条件で殺菌剤被膜を形成し、冷却塔10を運転したところ、いずれの実施例も、2週間経過後でも藻類の付着は観察されず、1ヶ月経過後も藻類および微生物の付着は軽微であった。
なお、表1中、実施例7、8の塗布量は、2種類のカチオン性殺菌剤を合計量である。また、実施例3〜8のイオンコンプレックスはカチオン性殺菌剤の種類を変えた以外は実施例1と同じ条件で製造し、実施例9のポリカルボン酸イオンコンプレックスは実施例2と同じものであり、実施例10、11のポリカルボン酸イオンコンプレックスはHDPB(臭化ヘキサデシルピリジニウム)を表1の物質に変えた以外は特開2015-163686号の段落0076記載の方法で製造したものであり、実施例12、13のポリカルボン酸イオンコンプレックスはポリアクリル酸をポリメタクリル酸(アルドリッチ社製、重量平均分子量〜9500)に変えた以外は実施例10、11とそれぞれ同じ方法で製造したものであり、実施例14は実施例1で使用したポリ−γ−グルタミン酸と実施例10で使用したポリアクリル酸をカチオン性殺菌剤に対し、それぞれ0.5当量(質量)用いた以外は実施例2と同じ製造方法で製造したものである。
[比較例2]
図7に示す模擬冷却塔の充填材槽に、塗布剤無処理のPVC製メッシュ板(幅145mm×高さ195mm×厚み3mm)を挿入し、藻類培養液を添加した水道水を塔上部散水目皿より循環散水するとともに塔側面より直交通気運転し、2週間後に挿入メッシュ板を確認したところ、メッシュ穴部に藻類付着が確認された。
[比較例3]
比較例2で用いたPVC製メッシュ板に、表1の比較例3に記載の塗布剤を塗布し、殺菌剤被膜を形成した。このPVC製メッシュ板を用いた以外は、比較例2と同じ条件で模擬冷却塔の直交通気運転を行ったところ、2週間後には、メッシュ穴部に藻類付着が確認された。
[比較例4]
塗布剤の組成を表1、比較例4の欄に記載のように変えた以外は比較例3と同じ条件で模擬冷却塔の直交通気運転を行ったところ、比較例3と同様、2週間後にはメッシュ穴部に藻類付着が確認された(写真5右)。
[実施例15]
塗布剤の組成及び塗布量を表1、実施例15の欄に記載のように変えた以外は、比較例3と同じ条件で模擬冷却塔の直交通気運転を行ったところ、2週間後のメッシュ穴部は、比較例2〜4と比較して藻類付着が極めて軽微であった。
[実施例16]
塗布剤の組成を表1、実施例16の欄に記載のように変えた以外は、実施例15と同じ条件で模擬冷却塔の直交通気運転を行ったところ、2週間後のメッシュ穴部は、比較例2〜4と比較して藻類付着が極めて軽微であった。
[実施例17]
塗布剤の塗布量を表1、実施例17の欄に記載のように変えた以外は、実施例16と同じ条件で模擬冷却塔の直交通気運転を行ったところ、2週間後のメッシュ穴部は、比較例2〜4と比較して藻類付着が極めて軽微であった。
なお、比較例3、実施例15では実施例1と同じポリカルボン酸イオンコンプレックスを使用し、比較例4、実施例16、17では実施例2と同じポリカルボン酸イオンコンプレックスを使用した。
Figure 2017190303
4 冷却水系
10 冷却塔
11 冷却塔の本体
19 ルーバー
21 送風機
25 充填材
31 散水皿
32 仕切部材
33 配管
40 冷却水循環系
41 冷却水循環系の流路(配管)
50 冷却装置
52 凝集器

Claims (7)

  1. 冷却塔を有する冷却水系の、冷却水と接触する接液部での微生物の繁殖を抑制する方法であって、
    ポリカルボン酸とカチオン性殺菌剤とから形成される難水溶性のポリカルボン酸イオンコンプレックスを少なくとも含有する塗布剤を、前記カチオン性殺菌剤の塗布量が、1cm当たり0.05nmol以上10nmol以下になるよう、前記接液部に塗布し、当該接液部上に殺菌剤被膜を形成することを特徴とする冷却水系の微生物抑制方法。
  2. 前記ポリカルボン酸が、ポリ‐γ‐グルタミン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸とアクリル酸の共重合体からなる群より選択される請求項1に記載の微生物抑制方法。
  3. 前記カチオン性殺菌剤が、第四級アンモニウム塩とビグアニド系殺菌剤のいずれか一方又は両方である請求項1又は2に記載の微生物抑制方法。
  4. 前記第四級アンモニウム塩が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化ラウリルピリジニウムからなる群より選択されるいずれか1種以上からなる請求項3に記載の微生物抑制方法。
  5. 前記ビグアニド系殺菌剤が、塩酸クロルヘキシジンとグルコン酸クロルヘキシジンのいずれか一方又は両方である請求項3に記載の微生物抑制方法。
  6. 前記塗布剤が、前記ポリカルボン酸イオンコンプレックスを0.1w/v%以上30w/v%以下含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の微生物抑制方法。
  7. 冷却塔を有する冷却水系の、冷却水と接触する接液部での微生物の繁殖抑制に使用される塗布剤であって、ポリカルボン酸とカチオン性殺菌剤とから形成される難水溶性のポリカルボン酸イオンコンプレックスを0.1w/v%以上30w/v%以下含有する塗布剤を、前記接液部に1回以上塗布し、前記カチオン性殺菌剤を1cm当たり0.05nmol以上10nmol以下含む殺菌剤被膜を形成する塗布剤の塗布方法。
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