JP2017161735A - 光学デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】室内から室外の景色を見ることを可能としつつ、偏光方向が異なる複数の偏光のいずれについても配光することができる光学デバイスを提供する。
【解決手段】透光性を有する第1基板10と、第1基板10に対向し、透光性を有する第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間に配置され、入射した光を配光する配光層30とを備え、配光層30は、複屈折材料を含む光媒体部31と、複数の凸部32aによって構成された凹凸構造部32とを有し、複数の凸部32aの各々の一方の側面32a1には、入射した光を反射する反射層33が形成されている。
【選択図】図3A
【解決手段】透光性を有する第1基板10と、第1基板10に対向し、透光性を有する第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間に配置され、入射した光を配光する配光層30とを備え、配光層30は、複屈折材料を含む光媒体部31と、複数の凸部32aによって構成された凹凸構造部32とを有し、複数の凸部32aの各々の一方の側面32a1には、入射した光を反射する反射層33が形成されている。
【選択図】図3A
Description
本発明は、光学デバイスに関する。
室外から入射する太陽光等の外光の進行方向を変更して当該外光を室内に導入することができる光学デバイスが提案されている。
例えば、特許文献1には、窓に貼り付けることによって入射する太陽光の進行方向を変更して室内に導くことができる採光フィルムが開示されている。特許文献1に開示された採光フィルムは、第1基材と、複数の採光部と、空隙部と、第1接着層と、第2基材と、第2接着層と、光散乱層とを備えており、採光部に入射した光を採光部の下側面で全反射させて斜め上方に進行させたり光散乱層で散乱させたりすることでグレアを抑制した光を室内の天井面等に照射させている。
従来の光学デバイスでは、太陽光等の外光を曲げて室内の天井面に照射させることができるので室内照度を向上させることができる。これにより、室内の照明器具を消灯させたり照明器具の光出力を抑えたりできるので、省電力化を図ることができる。
しかしながら、従来の光学デバイスでは、外光を天井面に照射させている場合、つまり、外光を曲げるように配光制御している場合には、室内から室外の景色が見ることができないという課題がある。特に、特許文献1に記載された光学デバイスでは、空気層である空隙部と樹脂からなる複数の採光部との凹凸界面での全反射を利用しているので、光散乱層によって常に光の散乱が発生して白濁している。このため、室内を明るくすることができるものの、室内の中から外の景色を見ることができないので、窓本来の外が見えるという機能を失わせてしまう。さらに、外の景色を見ることができないと、室内にいる人は閉塞感を感じてしまう。
そこで、空気層の代わりに複屈折材料である液晶が充填された層とこれに接する凹凸層とを備える光学デバイスが検討されている。複屈折材料は、複屈折性(2つの屈折率)を有しているので、一方の屈折率を凹凸層の屈折率と一致させておくことでP偏光は透過し、もう一方の屈折率が凹凸層の屈折率と異なるためにS偏光は凹凸層によって天井面に向けて配光される。
この場合、外の景色からの反射光(景色光)のうちのP偏光は光学デバイスを透過して室内にいる人の目に入るため、光学デバイスを介して室内の中から外の景色を見ることができる。このため、窓本来の外が見えるという機能が失われない。
しかしながら、このような光学デバイスを用いて入射角が大きい太陽光を配光させて室内に入射させると、太陽光のS偏光は天井面に向けて配光させることができるが、太陽光のP偏光については天井面に向けて配光させることができない。このため、太陽光のP偏光は床面に向かって直進透過することになる。この結果、室内の窓際にいる人に眩しさを感じさせてしまったり、天井面に配光する光の光量を十分確保できなかったりする。
このように、これまでの光学デバイスでは、室内から室外の景色を見ることを可能にすることができるが、外光には偏光方向が異なる複数の偏光が含まれているので、複数の偏光のいずれかを適切に配光することができないという課題がある。特に、太陽光等の入射角が比較的に大きい外光については、折り曲げるように配光することができない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、室内から室外の景色を見ることを可能としつつ、偏光方向が異なる複数の偏光のいずれについても配光することができる光学デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る光学デバイスの一態様は、透光性を有する第1基板と、前記第1基板に対向し、透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、入射した光を配光する配光層とを備え、前記配光層は、複屈折材料を含む光媒体部と、複数の凸部によって構成された凹凸構造部とを有し、前記複数の凸部の各々の一方の側面には、入射した光を反射する反射層が形成されている。
本発明によれば、室内から室外の景色を見ることを可能としつつ、偏光方向が異なる複数の偏光のいずれについても配光することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表しており、本実施の形態では、Z軸方向を鉛直方向とし、Z軸に垂直な方向(XY平面に平行な方向)を水平方向としている。X軸及びY軸は、互いに直交し、かつ、いずれもZ軸に直交する軸である。なお、Z軸方向のプラス方向を鉛直下方としている。また、本明細書において、「厚み方向」とは、光学デバイスの厚み方向を意味し、第1基板及び第2基板の主面に垂直な方向のことであり、「平面視」とは、第1基板10又は第2基板20の主面に対して垂直な方向から見たときのことをいう。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る光学デバイス1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る光学デバイス1の断面図である。図2は、同光学デバイス1の拡大断面図であり、図1の破線で囲まれる領域IIの拡大断面図を示している。
まず、実施の形態1に係る光学デバイス1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る光学デバイス1の断面図である。図2は、同光学デバイス1の拡大断面図であり、図1の破線で囲まれる領域IIの拡大断面図を示している。
光学デバイス1は、光学デバイス1に入射する光を制御する光制御デバイスである。具体的には、光学デバイス1は、光学デバイス1に入射する光の進行方向を変更して(つまり配光して)出射させることができる配光素子である。
図1及び図2に示すように、光学デバイス1は、入射する光を透過するように構成されており、第1基板10と、第2基板20と、配光層30と、第1電極40と、第2電極50とを備える。なお、第1電極40の配光層30側の面には、第1電極40と配光層30の凹凸構造部32とを密着させるための密着層60が設けられているが、密着層60は設けなくてもよい。
光学デバイス1は、一対の第1基板10及び第2基板20の間に、第1電極40、密着層60、配光層30、第2電極50がこの順で厚み方向に沿って配置された構成である。
以下、光学デバイス1の各構成部材について、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
[第1基板、第2基板]
図1及び図2に示される第1基板10及び第2基板20は、透光性を有する透光性基板である。第1基板10及び第2基板20としては、例えばガラス基板又は樹脂基板を用いることができる。ガラス基板の材料としては、ソーダガラス、無アルカリガラス又は高屈折率ガラス等が挙げられる。樹脂基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)又はエポキシ等の樹脂材料が挙げられる。ガラス基板は、光透過率が高く、かつ、水分の透過性が低いという利点がある。一方、樹脂基板は、破壊時の飛散が少ないという利点がある。第1基板10と第2基板20とは、同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよいが、同じ材料で構成されている方がよい。また、第1基板10及び第2基板20は、リジッド基板に限るものではなく、可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。本実施の形態において、第1基板10及び第2基板20は、PET樹脂からなる透明樹脂基板である。
図1及び図2に示される第1基板10及び第2基板20は、透光性を有する透光性基板である。第1基板10及び第2基板20としては、例えばガラス基板又は樹脂基板を用いることができる。ガラス基板の材料としては、ソーダガラス、無アルカリガラス又は高屈折率ガラス等が挙げられる。樹脂基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)又はエポキシ等の樹脂材料が挙げられる。ガラス基板は、光透過率が高く、かつ、水分の透過性が低いという利点がある。一方、樹脂基板は、破壊時の飛散が少ないという利点がある。第1基板10と第2基板20とは、同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよいが、同じ材料で構成されている方がよい。また、第1基板10及び第2基板20は、リジッド基板に限るものではなく、可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。本実施の形態において、第1基板10及び第2基板20は、PET樹脂からなる透明樹脂基板である。
第2基板20は、第1基板10に対向する対向基板であり、第1基板10に対向する位置に配置される。第1基板10と第2基板20とは、互いの端部外周に額縁状に形成された接着剤等のシール樹脂によって接着されている。
なお、第1基板10及び第2基板20の平面視形状は、例えば、正方形や長方形の矩形状であるが、これに限るものではなく、円形又は四角形以外の多角形であってもよく、任意の形状が採用され得る。
[配光層]
図1及び図2に示すように、配光層30は、第1基板10と第2基板20との間に配置される。配光層30は、透光性を有しており、入射した光を透過させる。また、配光層30は、入射した光を配光する。つまり、配光層30は、配光層30を通過する際の光の進行方向を変更する。
図1及び図2に示すように、配光層30は、第1基板10と第2基板20との間に配置される。配光層30は、透光性を有しており、入射した光を透過させる。また、配光層30は、入射した光を配光する。つまり、配光層30は、配光層30を通過する際の光の進行方向を変更する。
配光層30は、複屈折材料を含む光媒体部31(光媒体層)と、凹凸構造部32(凹凸層)とを有する。光媒体部31の複屈折材料は、例えば、複屈折性を有する液晶分子31aを含む液晶である。このような液晶としては、例えば、液晶分子31aが棒状分子からなるネマティック液晶又はコレステリック液晶等を用いることができる。また、複屈折性を有する液晶分子31aは、例えば、常光屈折率(no)が1.5で、異常光屈折率(ne)が1.7である。本実施の形態において、光媒体部31は、液晶分子31aを含む液晶によって構成された液晶層である。
凹凸構造部32は、マイクロオーダサイズ又はナノオーダサイズの複数の凸部32aによって構成された凹凸構造体である。各凸部32aの高さは、例えば100nm〜100μmであるが、これに限るものではない。また、隣り合う凸部32aの間隔は、例えば0〜100μmである。つまり、隣り合う2つの凸部32aは、接触することなく所定の間隔をあけて配置されていてもよいし、接触して配置されていてもよい。なお、隣り合う凸部32aの間隔は、0〜100μmに限定されるものではない。
複数の凸部32aの各々は、一対の側面32a1を有する。本実施の形態において、各凸部32aの断面形状は、第1基板10から第2基板20に向かう方向(厚み方向)に沿って先細りのテーパ形状である。したがって、一対の側面32a1の各々は、厚み方向に対して所定の傾斜角で傾斜する傾斜面であり、一対の側面32a1の間隔(凸部32aの幅)は、第1基板10から第2基板20に向かって漸次小さくなっている。
複数の凸部32aの各々の一方の側面32a1には、入射した光を反射する反射層33が形成されている。本実施の形態において、各凸部32aにおける一方の側面32a1は、一対の側面32a1のうちの鉛直上方側の側面32a1(上側面)であり、各凸部32aにおいて、反射層33は、鉛直上方側の側面32a1に接するように形成されている。反射層33は、例えばアルミニウム等の金属材料によって構成された金属反射膜である。反射層33は、例えば表面が鏡面である金属めっき膜であり、例えば無電解めっき法によって形成することができる。なお、反射層33の形成方法は、無電解めっき法に限るものではない。
一方、複数の凸部32aの各々の他方の側面32a1は、各凸部32aの一対の側面32a1のうちの鉛直下方側の側面32a1(下側面)である。鉛直下方側の側面32a1には反射層33は形成されておらず、鉛直下方側の側面32a1(傾斜面)は、凸部32aと光媒体部31との界面となっている。第1基板10側から凸部32aに入射した光は、凸部32aの鉛直下方側の側面32a1において、凸部32aと光媒体部31との屈折率差に応じて屈折したり屈折せずにそのまま透過したりする。
本実施の形態において、複数の凸部32aは、ストライプ状に形成されている。具体的には、複数の凸部32aの各々は、断面形状が台形でX軸方向に延在する長尺状の略四角柱形状であり、Z軸方向に沿って等間隔に配列されている。各凸部32aは、同じ形状であるが、これに限るものではない。
凸部32aの材料としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等の光透過性を有する樹脂材料を用いることができる。凸部32aは、例えばモールド成形又はナノインプリント等によって形成することができる。一例として、凸部32aは、屈折率が1.5のアクリル樹脂である。
本実施の形態において、光媒体部31は、電界が与えられることによって可視光領域での屈折率が調整可能な屈折率調整層として機能する。具体的には、光媒体部31は、電界応答性を有する液晶分子31aを有する液晶によって構成されているので、配光層30に電界が与えられることで液晶分子31aの配向状態が変化して光媒体部31の屈折率が変化する。
配光層30には、第1電極40及び第2電極50に電圧が印加されることによって電界が与えられる。したがって、第1電極40及び第2電極50に印加する電圧を制御することによって配光層30に与えられる電界が変化し、これにより、液晶分子31aの配向状態が変化して光媒体部31の屈折率が変化する。つまり、光媒体部31は、第1電極40及び第2電極50に電圧が印加されることで屈折率が変化する。
このとき、凸部32aの屈折率が1.5である場合、光媒体部31の材料としては、常光屈折率が1.5で、異常光屈折率が1.7のポジ型の液晶を用いることができる。
なお、光媒体部31は、交流電力によって電界が与えられてもよいし、直流電力によって電界が与えられてもよい。交流電力の場合には、電圧波形は、正弦波でもよいし矩形波でもよい。
[第1電極、第2電極]
図1及び図2に示すように、第1電極40及び第2電極50は、電気的に対となっており、配光層30に電界を与えることができるように構成されている。なお、第1電極40と第2電極50とは、電気的だけではなく配置的にも対になっており、対向するように配置されている。具体的には、第1電極40及び第2電極50は、配光層30を挟むように配置されている。
図1及び図2に示すように、第1電極40及び第2電極50は、電気的に対となっており、配光層30に電界を与えることができるように構成されている。なお、第1電極40と第2電極50とは、電気的だけではなく配置的にも対になっており、対向するように配置されている。具体的には、第1電極40及び第2電極50は、配光層30を挟むように配置されている。
第1電極40及び第2電極50は、光透過性を有し、入射した光を透過する。第1電極40及び第2電極50は、例えば透明導電層である。透明導電層の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明金属酸化物、銀ナノワイヤや導電性粒子等の導電体を含有する樹脂からなる導電体含有樹脂、又は、銀薄膜等の金属薄膜等を用いることができる。なお、第1電極40及び第2電極50は、これらの単層構造であってもよし、これらの積層構造(例えば透明金属酸化物と金属薄膜との積層構造)であってもよい。
第1電極40は、第1基板10と配光層30との間に配置されている。具体的には、第1電極40は、第1基板10の配光層30側の面に形成されている。
一方、第2電極50は、配光層30と第2基板20との間に配置されている。具体的には、第2電極50は、第2基板20の配光層30側の面に形成されている。
なお、第1電極40及び第2電極50は、外部電源との電気接続が可能となるように構成されているとよい。例えば、外部電源に接続するための電極パッド等が、第1電極40及び第2電極50の各々から引き出されて第1基板10及び第2基板20に形成されていてもよい。
[光学デバイスの光学作用]
次に、実施の形態1に係る光学デバイス1の光学作用について、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3Aは、実施の形態1に係る光学デバイス1の第1光学作用を説明するための図であり、図3Bは、同光学デバイス1の第2光学作用を説明するための図である。
次に、実施の形態1に係る光学デバイス1の光学作用について、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3Aは、実施の形態1に係る光学デバイス1の第1光学作用を説明するための図であり、図3Bは、同光学デバイス1の第2光学作用を説明するための図である。
光学デバイス1は、光を透過させることができる。本実施の形態では、第1基板10を光入射側の基板としているので、光学デバイス1は、第1基板10から入射した光を透過して第2基板20から出射させることができる。
光学デバイス1に入射した光は、配光層30を透過する際に光学デバイス1から光学作用を受ける。光学デバイス1は、光媒体部31の屈折率の変化によって光学作用が変化する。このため、光学デバイス1に入射した光は、配光層30の光媒体部31の屈折率に応じて異なる光学作用を受けることになる。
具体的には、図3Aに示すように、光学デバイス1は、配光層30における凸部32aと光媒体部31との屈折率差が大きい場合には第1光学モードとなり、入射した光に対して第1光学作用を与える。本実施の形態における光学デバイス1は、第1電極40及び第2電極50に電圧が印加されていない状態(電圧無印加状態)の場合に第1光学モードとなる。本実施の形態において、凸部32aの屈折率が1.5であり、光媒体部31(液晶)は異常光屈折率が1.7で、常光屈折率が1.5である。
この場合、図3Aに示すように、第1光学モードでは、光学デバイス1に対して斜め方向から入射する光L1(例えば太陽光等の入射角30度以上で入射する光)のうちS偏光については、異常光屈折率(1.7)を感じるため、凸部32aと光媒質部31との間に屈折率差が生じ、凸部32aの鉛直下方側の側面32a1と光媒体部31との界面で屈折して進行方向が変化する。この屈折したS偏光は、1つ下隣りの凸部32aの鉛直上方側の側面32a1に形成された反射層33で反射し、跳ね返る方向に進行方向が曲げられて光学デバイス1から外部に出射する。
一方、光L1のP偏光については、常光屈折率(1.5)を感じるため、凸部32aと光媒体部31との間に屈折率差がなくなり、凸部32aの鉛直下方側の側面32a1と光媒体部31との界面では屈折しない。このため、第1光学モードにおいて、光L1のP偏光は、凸部32aから光媒体部31を直進して反射層33で反射し、跳ね返る方向に進行方向が曲げられて光学デバイス1から外部に出射する。
このように、光学デバイス1が第1光学モードの場合、光学デバイス1に対して斜め方向から入射する光L1については、S偏光だけではなく、凸部32aと光媒体部31との屈折率差では制御できないP偏光についても反射層33で反射させて、跳ね返る方向に進行方向を曲げることができる。つまり、S偏光もP偏光も跳ね返る方向に配光することができる。
この場合、光L1については、S偏光は屈折されるが、P偏光は屈折されないので、同一の光路で光学デバイス1に入射した光については、S偏光とP偏光とが異なる方向に配光されることになる。
また、図3Aに示すように、光学デバイス1に対して垂直に又は浅い角度で入射する光L2(例えば景色からの反射光等)についても同様に、光学デバイス1が第1光学モードの場合、凸部32aに入射した光L2のS偏光の一部は凸部32aと光媒体部31との界面で屈折して進行方向が変化するが、凸部32aに入射した光L2のP偏光の一部は凸部32aと光媒体部31との界面では屈折されないので進行方向が変わらない。
ただし、光L2は入射角が浅いので、凸部32aに入射した光L2のS偏光については、屈折しても反射層33で反射されることなく光学デバイス1から外部に出射する。また、凸部32aに入射した光L2のP偏光についても、反射層33で反射されることなく光学デバイス1から外部に出射する。具体的には、光L2のS偏光は、光学デバイス1から浅い角度で出射して斜め下方に向かって進行し、光L2のP偏光は、光学デバイス1を直進透過する。
なお、光媒体部31には複屈折性を有する材料が用いられているため、第1光学モードにおいて、光学デバイス1に入射する光の光透過率は、約50%になる。
また、隣り合う2つの凸部32aの間に入射する光については、光L1のS偏光及びP偏光は、光媒体部31を通って反射層33で反射して光学デバイス1から出射し、光L2のS偏光及びP偏光は、光媒体部31を通って光学デバイス1から出射する。
次に、光学デバイス1が第2光学モードである場合について説明する。図3Bに示すように、光学デバイス1は、第1電極40及び第2電極50に電圧が印加されている状態(電圧印加状態)の場合に第2光学モードとなり、入射した光に対して第2光学作用を与える。
この場合、図3Bに示すように、光学デバイス1に対して斜め方向から入射する光L1(例えば太陽光等の入射角30度以上で入射する光)については、S偏光もP偏光も常光光屈折率(1.5)を感じるため、凸部32aと光媒体部31との間に屈折率差がなくなり、凸部32aと光媒体部31との界面で屈折されずに進行方向が変わらない。したがって、第2光学モードにおいて、凸部32aに入射した光L1のS偏光及びP偏光は、同じ光路を通って凸部32aから光媒体部31を直進して反射層33で反射し、跳ね返る方向に進行方向が曲げられて光学デバイス1から外部に出射する。
また、光学デバイス1に対して垂直に又は浅い角度で入射する光L2についても同様に、S偏光及びP偏光の両方とも、凸部32aと光媒体部31との界面では屈折されずに進行方向が変わらない。この場合、光L2は入射角が浅いので、凸部32aに入射した光L2のS偏光及びP偏光の一部は、いずれも反射層33で反射されることなく光学デバイス1から外部に出射する。つまり、凸部32aに入射した光L2のS偏光及びP偏光は、いずれも光学デバイス1を直進透過する。
なお、第2光学モードにおいて、光学デバイス1に入射する光の光透過率は、約50%には落ち込まずに、高い透過率を確保できる。
また、隣り合う2つの凸部32aの間に入射する光については、第2光学モードにおいても、光L1のS偏光及びP偏光は、光媒体部31を通って反射層33で反射して光学デバイス1から出射し、光L2のS偏光及びP偏光は、光媒体部31を通って光学デバイス1から出射する。
このように、光学デバイス1は、凸部32a(凹凸構造部32)と光媒体部31との屈折率マッチングを電界によって制御することで光学作用を変化させることができるアクティブ型の光学制御デバイスである。つまり、第1電極40及び第2電極50に印加する電圧を制御することによって、光学デバイス1を第1光学モード(図3A)と第2光学モード(図3B)とに切り替えることができる。
[光学デバイスの使用例と作用効果]
次に、実施の形態1に係る光学デバイス1の使用例と作用効果について、図3A及び図3Bを参照しながら、図4A及び図4Bを用いて説明する。図4A及び図4Bは、実施の形態1に係る光学デバイス1を窓に設置した場合の使用例を示す図である。図4Aは、同光学デバイス1が第1光学モードである場合を示しており、図4Bは、同光学デバイス1が第2光学モードである場合を示している。
次に、実施の形態1に係る光学デバイス1の使用例と作用効果について、図3A及び図3Bを参照しながら、図4A及び図4Bを用いて説明する。図4A及び図4Bは、実施の形態1に係る光学デバイス1を窓に設置した場合の使用例を示す図である。図4Aは、同光学デバイス1が第1光学モードである場合を示しており、図4Bは、同光学デバイス1が第2光学モードである場合を示している。
図4A及び図4Bに示すように、光学デバイス1は、建物100の窓110に設置することで、配光機能付き窓として実現することができる。光学デバイス1は、例えば、粘着層を介して窓110に貼り合わされる。この場合、光学デバイス1は、第1基板10及び第2基板20の主面が鉛直方向(Z軸方向)と平行となるような姿勢(つまり立設する姿勢)で窓110に設置される。
また、図4A及び図4Bでは光学デバイス1の詳細な構造が図示されていないが、光学デバイス1は、第1基板10が室外側で第2基板20が室内側となるように配置されている。つまり、図4A及び図4Bにおいて、光学デバイス1は、第1基板10が光入射側で、第2基板20が光出射側となるように配置されている。
図4Aに示すように、光学デバイス1が第1光学モードの場合、凸部32aと光媒体部31との間に屈折率差が生じる。
したがって、光学デバイス1に対して斜め方向から入射する太陽光のS偏光(S偏光成分)については、図3Aに示すように、凸部32aと光媒体部31との界面で屈折してから反射層33で反射し、跳ね返る方向に進行方向が曲げられて光学デバイス1から外部に出射する。これにより、図4Aに示すように、太陽光のS偏光は、室内の天井に照射される。
一方、太陽光のP偏光(P偏光成分)については、図3Aに示すように、凸部32aと光媒体部31との界面では屈折されずに進行方向が変わることなく反射層33で反射し、S偏光と同様に跳ね返る方向に進行方向が曲げられて光学デバイス1から外部に出射する。これにより、図4Aに示すように、太陽光のP偏光も、室内の天井に照射される。
このように、光学デバイス1が第1光学モードの場合、太陽光のS偏光もP偏光も反射層33で反射して室内の天井に照射させることができる。これにより、天井面に配光する光の光量を十分確保できるので、室内照度を向上させることができる。したがって、室内の照明器具を消灯させたり照明器具の光出力を抑えたりできるので、省電力化を図ることができる。
さらに、光学デバイス1では、凸部32aと光媒体部31との屈折率差では制御できない太陽光のP偏光についても反射層33で反射させて天井面に向けて配光させることができる。これにより、太陽光のP偏光が床面に向かって直進透過することを抑制できるので、室内の窓際にいる人が眩しく感じることを抑制することができる。
しかも、光学デバイス1では、反射層33で反射した太陽光のS偏光の進行方向を光媒体部31(液晶)の屈折率で制御することができるので、太陽光のS偏光については光学デバイス1から出射する際の仰角を調整することができる。これにより、季節や時間によって太陽高度が異なる場合でも太陽高度に応じて出射光の仰角を調整することで、室内の広い範囲にムラなく太陽光を室内に取り入れることができる。なお、光媒体部31(液晶)の屈折率は、第1電極40及び第2電極50に印加する電圧を制御することで段階的に調整することができる。つまり、出射光の仰角は、電圧によって調整することができる。
さらに、光学デバイス1が第1光学モードの場合、S偏光もP偏光も反射層33によって配光されるが、S偏光は屈折され、P偏光は屈折されない。このため、図3Aに示すように、同一の光路で光学デバイス1に入射した光については、S偏光とP偏光とが異なる方向に配光されることになる。したがって、天井面の広い範囲を照らすことができる。これにより、机上の照度分布を均一化することもできる。
また、図4Aに示すように、光学デバイス1に対して垂直に又は浅い角度で入射する景色からの反射光(景色光)のS偏光については、図3Aに示すように、凸部32aと光媒体部31との界面で屈折するが、反射層33で反射されることなく光学デバイス1から外部に出射する。
一方、景色からの反射光のP偏光についても、反射層33で反射されることなく光学デバイス1から外部に出射するが、S偏光と異なり、凸部32aと光媒体部31との界面で屈折しないので、光学デバイス1を直進透過する。
第1光学モードでは、光学デバイス1に入射する光の光透過率は約50%になるものの、室内のユーザはP偏光成分を介して室外の景色を見ることができる。つまり、光学デバイス1は透明性を有するので、窓本来の外が見えるという機能を確保することができる。また、外の景色を見ることができるので、室内にいる人が閉塞感を感じることを抑制できる。
また、本実施の形態における光学デバイス1は、図4Bに示されるように、第2光学モードを有する。
光学デバイス1が第2光学モードの場合、凸部32aと光媒体部31との間には屈折率差が生じない。このため、太陽光のS偏光及びP偏光はいずれも、図3Bに示すように、凸部32aと光媒体部31との界面で屈折されずに反射層33で反射し、跳ね返る方向に進行方向が曲げられて光学デバイス1から外部に出射する。これにより、図4Bに示すように、太陽光のS偏光及びP偏光は、室内の天井に照射される。
このように、光学デバイス1が第2光学モードの場合も、太陽光のS偏光及びP偏光を反射層33で反射して室内の天井に照射させることができる。これにより、天井面に配光する光の光量を十分確保できるので、室内照度を向上させることができる。したがって、室内の照明器具を消灯させたり照明器具の光出力を抑えたりできるので、省電力化を図ることができる。
さらに、光学デバイス1が第1光学モードの場合と同様に、太陽光のS偏光だけではなく、凸部32aと光媒体部31との屈折率差では制御できない太陽光のP偏光についても、反射層33で反射させて天井面に向けて配光させることができる。これにより、太陽光のP偏光が床面に向かって直進透過しないので、室内の窓際にいる人が眩しく感じることを抑制できる。
ただし、光学デバイス1が第2光学モードの場合は、同一の光路で光学デバイス1に入射した光については、S偏光もP偏光も同じ光路で同一方向に進行することになる。したがって、光学デバイス1が第2光学モードの場合(図4B)は、光学デバイス1が第1光学モードの場合(図4A)よりも、天井面の照射範囲は小さくなる。言い換えると、光学デバイス1は、第1光学モードのときの方が第2光学モードのときよりも、天井面の広い領域を照射することができる。
また、図4Bに示すように、景色からの反射光については、図3Bに示すように、S偏光及びP偏光の両方が、凸部32aと光媒体部31との界面では屈折されずに進行方向が変わらずに光学デバイス1から外部に出射する。このため、第1光学モードでの光透過率は約50%であったが、第2光学モードでは、それ以上の高い光透過率を確保できる。これにより、第2光学モードの場合は第1光学モードと比べて光学デバイス1の透明性を高くすることができるので、窓本来の外が見えるという機能を向上させることができる。
[光学デバイスの実施例]
ここで、実施例として本実施の形態における光学デバイス1を実際に作製したので、これについて説明する。
ここで、実施例として本実施の形態における光学デバイス1を実際に作製したので、これについて説明する。
本実施例では、第1基板10としてPETからなる透明な樹脂基板を用いて、この樹脂基板上に第1電極40として膜厚が100nmを形成した。この第1電極40が形成された樹脂基板上に、アクリル樹脂(屈折率1.5)によって各々の高さが10μmの断面台形状の複数の凸部32aを隙間2μmで等間隔に形成された凹凸構造部32をモールド型押しにより形成することで第1透明基板を作製した。なお、凸部32aはストライプ状とした。その後、斜方蒸着によって複数の凸部32aの一方の側面32a1のみに反射層33を形成した。なお、メッキ又は蒸着により凹凸構造部32の表面全面に反射膜を形成した後、各凸部32a他方の側面32a1をドライエッチングすることで、各凸部32aの一方の側面32a1のみに反射層33を形成してもよい。
次に、第2電極50が形成された第2基板20を第2透明基板(対向基板)として用いて、第1透明基板と第2透明基板との間にシール樹脂を形成して第1透明基板と第2透明基板とを封止し、この封止した状態で第1透明基板と第2透明基板との間に光媒体部31として、誘電率が長軸方向には大きく長軸に垂直な方向には小さい棒状の液晶分子31aを有するポジ型の液晶を真空注入法で注入した。液晶としては、常光屈折率(no)が1.5で、異常光屈折率(ne)が1.7のものを用いた。
なお、液晶分子31aは、凹凸構造部32の形状に沿って配向することが知られている。このため、第2電極50の表面に配向膜を形成してラビング処理を行うとよい。これにより、第2基板20の全領域において、液晶分子31aを第2基板20の主面に対して水平配向にすることができる。
このように構成された光学デバイス1を窓に設置した場合、図4A及び図4Bに示すように、30°〜60°の太陽高度で光学デバイス1に入射する光は、配光層30で配光されて室内の天井面に照射される。このとき、例えば30°の入射角で光学デバイス1に入射した光は、仰角15°〜30°で天井面に向かって配光される。
[まとめ]
以上、本実施の形態における光学デバイス1によれば、第1基板10と第2基板20との間には、複屈折材料を含む光媒体部31と凹凸構造部32とを有する配光層30が配置されており、凹凸構造部32を構成する複数の凸部32aの各々の一方の側面に32a1は、入射した光を反射する反射層33が形成されている。
以上、本実施の形態における光学デバイス1によれば、第1基板10と第2基板20との間には、複屈折材料を含む光媒体部31と凹凸構造部32とを有する配光層30が配置されており、凹凸構造部32を構成する複数の凸部32aの各々の一方の側面に32a1は、入射した光を反射する反射層33が形成されている。
これにより、室内から室外の景色を見ることを可能としつつ、偏光方向が異なる複数の偏光のいずれについても配光することができる。したがって、窓本来の外が見えるという機能(透明性)を失わせることなく室内を明るくすることができつつ、窓際にいる人が眩しく感じることを抑制できる。また、複数の偏光のいずれについても配光することで、天井面に配光する光の光量を十分確保でき、室内照度を向上させることができる。
しかも、同一の光路で光学デバイス1に入射した光のS偏光とP偏光とを異なる方向に配光させることができる。これにより、天井面の広い範囲を照らすことができるので机上の照度分布を均一化することができる。また、季節や時間によって太陽高度が異なる場合でも室内の広い範囲にムラなく太陽光を室内に取り入れることもできる。
さらに、本実施の形態では、配光層30を挟むように配置された第1電極40及び第2電極50を備えており、配光層30の光媒体部31が、第1電極40及び第2電極50に電圧が印加されることで屈折率が変化する。
これにより、第1電極40及び第2電極50に印加する電圧を制御することによって光媒体部31の屈折率を変化させることができるので、光学デバイス1を第1光学モード(図3A)と第2光学モード(図3B)とに切り替えることができる。つまり、第1光学モードだけではなく、透明性のより高い第2光学モードに切り替えることができるので、より窓本来の機能を確保して室内から室外の景色をより一層クリアに見ることを可能としつつ、室内の明るさの確保と窓際にいる人の眩しさ抑制とを実現することができる。
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1に係る光学デバイス1Aについて、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態1の変形例1に係る光学デバイス1Aの拡大断面図である。
次に、実施の形態1の変形例1に係る光学デバイス1Aについて、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態1の変形例1に係る光学デバイス1Aの拡大断面図である。
上記実施の形態1における光学デバイス1では、第1電極40及び第2電極50が設けられていたが、本変形例では、図5に示すように、第1電極40及び第2電極50が設けられていない。
つまり、上記実施の形態1における光学デバイス1は、第1電極40及び第2電極50による電圧制御によって光学作用を変化させるアクティブ型の光学制御デバイスであったが。本変形例における光学デバイス1Aは、光学作用が変化しないパッシブ型の光学制御デバイスである。
したがって、本変形例では、配光層30には電界が与えられないので、光媒体部31(液晶)の液晶分子31aの配向状態が変化しない。つまり、光媒体部31の屈折率が変化しない。
このため、本変形例では、S偏光に対する凹凸構造部32(凸部32a)の屈折率と光媒体部31(液晶)の屈折率との屈折率差が常に存在するように、凹凸構造部32(凸部32a)と光媒体部31(液晶)の材料が選択されている。これにより、本変形例における光学デバイス1Aは、常に、図3Aに示される第1光学モードとなる。
したがって、本変形例では、図3Aに示すように、太陽光等の光学デバイス1に対して斜め方向から入射する光L1については、S偏光だけではなくP偏光も反射層33で反射して室内の天井に照射させることができる。また、景色光等の光学デバイス1に対して垂直に入射する光L2については、S偏光は屈折するがP偏光は屈折されずに直進透過する。
以上、本変形例における光学デバイス1Aにおいても、配光層30の光媒体部31は、複屈折材料を含んでいる。具体的には、光媒体部31は、複屈折材料として液晶を含んでいる。
したがって、本変形例における光学デバイス1Aにおいても、室内から室外の景色を見ることを可能としつつ、S偏光及びP偏光のいずれについても配光することができる。
なお、本変形例は、後述する実施の形態2、3にも適用することができる。
(実施の形態1の変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2に係る光学デバイス1Bについて、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態1の変形例2に係る光学デバイス1Bの拡大断面図である。
次に、実施の形態1の変形例2に係る光学デバイス1Bについて、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態1の変形例2に係る光学デバイス1Bの拡大断面図である。
上記実施の形態1における光学デバイス1では、配光層30の凹凸構造部32を構成する複数の凸部32aは、互いに分離して形成されていたが、本変形例における光学デバイス1Bでは、図6に示すように、配光層30Bの凹凸構造部32Bを構成する複数の凸部32aは、互いに連結されていてもよい。
具体的には、凹凸構造部32Bは、第1基板10側(密着層60側)に形成された薄膜層32bと当該薄膜層32bから突出する複数の凸部32aとによって構成されている。なお、薄膜層32bは、意図的に形成してもよいし、複数の凸部32aを形成する際の残渣膜として形成されていてもよい。この場合、薄膜層32b(残渣膜)の厚さとしては、例えば1μm以下である。
以上、本変形例における光学デバイス1Bでも、上記実施の形態1における光学デバイス1と同様の効果を奏する。
なお、本変形例は、後述する実施の形態2、3にも適用することができる。
(実施の形態1の変形例3)
次に、実施の形態1の変形例3に係る光学デバイス1Cについて、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態1の変形例3に係る光学デバイス1Cの拡大断面図である。
次に、実施の形態1の変形例3に係る光学デバイス1Cについて、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態1の変形例3に係る光学デバイス1Cの拡大断面図である。
上記実施の形態1における光学デバイス1では、配光層30の凹凸構造部32を構成する複数の凸部32aの各々は、断面形状が略台形の長尺状の略四角柱形状であったが、本変形例における光学デバイス1Cでは、図7に示すように、配光層30Cの凹凸構造部32Cを構成する複数の凸部32aの各々は、断面形状が略三角形の長尺状の略三角柱形状である。
この場合、各凸部32aは、断面形状(三角形)における高さが100nm〜100μmで、アスペクト比(高さ/底辺)が1〜5程度である。また、隣り合う凸部32a同士の頂点の間隔(ピッチ)は、例えば100nm〜100μmである。
なお、凸部32aの高さやアスペクト比、ピッチは、これらの範囲に限定されるものではない。また、本変形例において、隣り合う2つの凸部32aは、根元で接触するように構成されているが、上記実施の形態1と同様に、隣り合う2つの凸部32aは、接触することなく所定の間隔をあけて形成されていてもよい。さらに、凸部32aの断面形状は、三角形及び台形に限るものではない。
以上、本変形例における光学デバイス1Cでも、上記実施の形態1における光学デバイス1と同様の効果を奏する。
なお、本変形例は、後述する実施の形態2、3にも適用することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る光学デバイス2について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態2に係る光学デバイス2の拡大断面図である。
次に、実施の形態2に係る光学デバイス2について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態2に係る光学デバイス2の拡大断面図である。
図8に示すように、本実施の形態における光学デバイス2は、実施の形態1における光学デバイス1に対して、さらに、光吸収層34を有する。光吸収層34は、配光層30の凹凸構造部32を構成する複数の凸部32aの各々の側面32a1と反射層33との間に形成されている。具体的には、光吸収層34は、各凸部32aの鉛直上方側の側面32a1の表面に形成されている。
光吸収層34は、可視光を吸収できる材料によって構成されており、例えば黒色材料を用いて形成することができる。光吸収層34の材料は、樹脂材料又は金属材料である。本実施の形態において、光吸収層34は、黒色めっき膜であり、例えば無電解めっき法によるって形成することができる。なお、光吸収層34の形成方法は、無電解めっき法に限るものではなく、塗布等であってもよい。
以上、本実施の形態における光学デバイス2によれば、実施の形態1における光学デバイス1と同様に、凸部32aの一方の側面32a1に反射層33が形成されている。
これにより、実施の形態1と同様に、窓本来の外が見えるという機能(透明性)を失わせることなく室内を明るくすることができつつ、窓際にいる人が眩しく感じることを抑制できる。また、実施の形態1と同様に、S偏光及びP偏光のいずれについても配光できるので、天井面に配光する光の光量を十分確保でき、室内照度を向上させることができる。しかも、この場合、同一の光路で光学デバイス1に入射した光のS偏光とP偏光とを異なる方向に配光できるので、天井面の広い範囲を照らすことができる。
さらに、本実施の形態における光学デバイス2では、凸部32aの側面32a1と反射層33との間に光吸収層34が形成されている。
これにより、実施の形態1における光学デバイス1と比べて、床面に向かって直進透過する光をさらに少なくできる。つまり、上記の実施の形態1では、凸部32aに形成された反射層33で反射した光のうち上隣りの凸部32aに入射する光は、上隣りの凸部32aの反射層33の凸部32a側の面で反射して下方に向かうことなる。これに対して、本実施の形態では、図8に示すように、凸部32aに形成された反射層33で反射した光のうち上隣りの凸部32aに入射する光は、上隣りの凸部32aに形成された光吸収層34で吸収されるので、下側(床側)に向かう光を少なくすることができる。したがって、室内の窓際にいる人が眩しく感じることを一層抑制できる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る光学デバイス3について、図9を用いて説明する。図9は、実施の形態3に係る光学デバイス3の拡大断面図である。
次に、実施の形態3に係る光学デバイス3について、図9を用いて説明する。図9は、実施の形態3に係る光学デバイス3の拡大断面図である。
図9に示すように、本実施の形態における光学デバイス3は、実施の形態1における光学デバイス1において、凹凸構造部32を構成する複数の凸部32aの側面32a1が複数の斜面を有する。
具体的には、各凸部32aにおいて、反射層33が形成された一方の側面32a1(鉛直上方側の側面)とは反対側の他方の側面32a1(鉛直下方側の側面)が、少なくとも2以上の異なる角度の斜面により形成されている。本実施の形態では、図9に示すように、凸部32aの鉛直下方側の側面32a1は、異なる傾斜角の2つの傾斜面によって構成されている。各傾斜面は、凸部32aと光媒体部31との界面で屈折した光が反射層33にできるだけ多く入射するような形状及び組み合わせ等によって形成されているとよい。
以上、本実施の形態における光学デバイス3によれば、実施の形態1における光学デバイス1と同様に、凸部32aの一方の側面32a1に反射層33が形成されている。
これにより、実施の形態1と同様に、窓本来の外が見えるという機能(透明性)を失わせることなく室内を明るくすることができつつ、窓際にいる人が眩しく感じることを抑制できる。また、実施の形態1と同様に、S偏光及びP偏光のいずれについても配光できるので、天井面に配光する光の光量を十分確保でき、室内照度を向上させることができる。しかも、この場合、同一の光路で光学デバイス1に入射した光のS偏光とP偏光とを異なる方向に配光できるので、天井面の広い範囲を照らすことができる。
さらに、本実施の形態における光学デバイス3では、複数の凸部32aの各々の他方の側面32a1は、少なくとも2以上の異なる角度の斜面により形成されている。
これにより、反射層33に入射させる光の量を多くすることができるので、太陽高度が高い場合でも低い場合でも、光学デバイス3に入射した光を天井面に向けて一定の方向で配光することが可能となる。
(その他変形例等)
以上、本発明に係る光学デバイスについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
以上、本発明に係る光学デバイスについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
例えば、上記の各実施の形態及び各変形例において、凸部32aの長手方向がX軸方向となるように光学デバイスを窓に配置したが、これに限らない。例えば、凸部32aの長手方向がZ軸方向となるように光学デバイスを窓に配置してもよい。
また、上記の各実施の形態及び各変形例において、凹凸構造部32、32B及び32Cを構成する複数の凸部32aの各々は、長尺状であったが、これに限るものではない。例えば、各凸部32aは、マトリクス状等に点在するように配置されていてもよい。つまり、各凸部32aを、ドット状に点在するように配置してもよい。
また、上記の各実施の形態及び各変形例において、複数の凸部32aの各々は、同じ形状としたが、これに限るものではなく、例えば、面内において異なる形状であってもよい。例えば、光学デバイス1におけるZ軸方向の上半分と下半分とで複数の凸部32aの側面32a1の傾斜角を異ならせてもよい。
また、上記の各実施の形態及び各変形例において、複数の凸部32aの高さは、一定としたが、これに限るものではない。例えば、複数の凸部32aの高さは、ランダムに異なっていてもよい。このようにすることで、光学デバイスを透過する光が虹色に見えてしまうことを抑制できる。つまり、複数の凸部32aの高さをランダムに異ならせることで、凹凸界面での微小な回折光や散乱光が波長で平均化されて出射光の色付きが抑制される。
また、上記の各実施の形態及び各変形例において、配光層30、30B及び30Cの光媒体部31の材料として、液晶材料以外にポリマー構造等の高分子を含むものを用いてもよい。ポリマー構造は、例えば、網目状の構造であり、ポリマー構造(網目)の間に液晶分子が配置されることによって屈折率の調整が可能となる。高分子を含む液晶材料としては、例えば高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)又はポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)を用いることができる。
また、上記の各実施の形態及び各変形例において、光学デバイスに入射する光として太陽光を例示したが、これに限るものではない。例えば、光学デバイスに入射する光は、照明装置等の発光装置が発する光であってもよい。
また、上記の各実施の形態及び各変形例において、光学デバイスは、窓110の室内側の面に貼り付けたが、窓110の屋外側の面に貼り付けてもよい。ただし、光学素子の劣化を抑制するには、光学デバイスは、窓110の室内側の面に貼り付けた方がよい。また、光学デバイスを窓に貼り付けたが、光学デバイスを建物100の窓そのものとして用いてもよい。また、光学デバイスは、建物の窓に設置する場合に限るものではなく、例えば車の窓等に設置してもよい。
なお、その他、上記実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の各実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1、1A、1B、1C、2、3 光学デバイス
10 第1基板
20 第2基板
30、30B、30C 配光層
31 光媒体部
31a 液晶分子
32、32B、32C 凹凸構造部
32a 凸部
32a1 側面
33 反射層
34 光吸収層
40 第1電極
50 第2電極
10 第1基板
20 第2基板
30、30B、30C 配光層
31 光媒体部
31a 液晶分子
32、32B、32C 凹凸構造部
32a 凸部
32a1 側面
33 反射層
34 光吸収層
40 第1電極
50 第2電極
Claims (5)
- 透光性を有する第1基板と、
前記第1基板に対向し、透光性を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、入射した光を配光する配光層とを備え、
前記配光層は、複屈折材料を含む光媒体部と、複数の凸部によって構成された凹凸構造部とを有し、
前記複数の凸部の各々の一方の側面には、入射した光を反射する反射層が形成されている、
光学デバイス。 - さらに、前記配光層を挟むように配置された第1電極及び第2電極を備え、
前記光媒体部は、前記第1電極及び前記第2電極に電圧が印加されることで屈折率が変化する、
請求項1に記載の光学デバイス。 - 前記複数の凸部の各々の側面と前記反射層との間には、光を吸収する光吸収層が形成されている、
請求項1又は2に記載の光学デバイス。 - 前記複数の凸部の各々の他方の側面は、少なくとも2以上の異なる角度の斜面により形成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学デバイス。 - 前記複屈折材料は、液晶である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学デバイス。
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