JP2017145370A - シラン架橋樹脂成形体及びシラン架橋性樹脂組成物とそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに、成形品 - Google Patents
シラン架橋樹脂成形体及びシラン架橋性樹脂組成物とそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに、成形品 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合してなる混合物と、エチレン含有量が45〜65質量%であるエチレン−αオレフィンゴム15〜58質量%とポリオレフィン樹脂85〜42質量%とを含有するベース樹脂とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合してシランマスターバッチを調製する工程を有する製造方法、これにより製造されるシラン架橋樹脂成形体及びシラン架橋性樹脂組成物、シランマスターバッチ、並びに、成形品。
【選択図】なし
Description
このような状況下においても、上述の各配線材は、その使用用途が広がり、また使用環境も多種多様に及んでおり、絶縁性の配線材であっても、柔軟性と耐傷付性を両立し、さらに高い耐油性を示すことが求められている。
また、本発明は、このシラン架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、シラン架橋樹脂成形体の製造方法で得られたシラン架橋樹脂成形体を含む成形品を提供することを課題とする。
<1>下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
工程(1):ベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.6質量部と、無機フィラー25〜120質量部と、シランカップリング剤1〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合して混合物を得る工程
工程(2):前記工程(1)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させてシラン架橋樹脂成形体を得る工程
を有するシラン架橋樹脂成形体の製造方法であって、
前記ベース樹脂が、エチレン含有量が45〜65質量%であるエチレン−αオレフィンゴム15〜58質量%と、ポリオレフィン樹脂85〜42質量%とを含有し、
前記工程(1)が、下記工程(a−1)、工程(a−2)及び工程(c)を有し、ただし、下記工程(a−2)でベース樹脂の一部を溶融混合する場合には下記工程(a−1)、工程(a−2)、工程(b)及び工程(c)を有する、
工程(a−1):少なくとも前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):前記混合物と前記ベース樹脂の全部又は一部とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合してシランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記ベース樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを溶融混合する工程
シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<2>前記ベース樹脂が、前記エチレン−αオレフィンゴム25〜58質量%と、前記ポリオレフィン樹脂75〜42質量%とを含有する<1>に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<3>前記エチレン−αオレフィンゴムのエチレン含有量が45〜65質量%であり、かつジエン含有量が0〜4.5質量%である<1>又は<2>に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<4>前記無機フィラーの配合量が、前記ベース樹脂100質量部に対して、30〜100質量部である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<5>前記シランカップリング剤が、ベース樹脂100質量部に対して、3〜12質量部の配合量で混合される<1>〜<4>のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<6>前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである<1>〜<5>のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<7>前記工程(a−1)及び工程(a−2)において、シラノール縮合触媒を実質的に混合しない<1>〜<6>のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<8>ベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.6質量部と、無機フィラー25〜120質量部と、シランカップリング剤1〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合して混合物を得る工程(1)を有するシラン架橋性樹脂組成物の製造方法であって、
前記ベース樹脂が、エチレン含有量が45〜65質量%であるエチレン−αオレフィンゴム15〜58質量%と、ポリオレフィン樹脂85〜42質量%とを含有し、
前記工程(1)が、下記工程(a−1)、工程(a−2)及び工程(c)を有し、ただし、下記工程(a−2)でベース樹脂の一部を溶融混合する場合には下記工程(a−1)、工程(a−2)、工程(b)及び工程(c)を有する、
工程(a−1):少なくとも前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):前記混合物と前記ベース樹脂の全部又は一部とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合してシランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記ベース樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを溶融混合する工程
シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。
<9>上記<8>に記載のシラン架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなるシラン架橋性樹脂組成物。
<10>上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなるシラン架橋樹脂成形体。
<11>上記<10>に記載のシラン架橋樹脂成形体を含む成形品。
<12>前記シラン架橋樹脂成形体が、電線あるいは光ファイバーケーブルの被覆層である<11>に記載の成形品。
<13>エチレン含有量が45〜65質量%であるエチレン−αオレフィンゴム15〜58質量%とポリオレフィン樹脂85〜42質量%とを含有するベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.6質量部と、無機フィラー25〜120質量部と、シランカップリング剤1〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合してなるシラン架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
少なくとも前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物を調製し、得られた混合物と前記ベース樹脂の全部又は一部とを前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して得られるシランマスターバッチ。
したがって、本発明により、柔軟性と耐傷付性を両立し、さらに高い耐油性を示すシラン架橋樹脂成形体及びその製造方法を提供できる。また、このような優れた特性を示すシラン架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ、シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法を提供できる。さらには、優れた特性を示すシラン架橋樹脂成形体を含む成形品を提供できる。
<ベース樹脂>
本発明に用いられるベース樹脂は、エチレン−αオレフィンゴムとポリオレフィン樹脂とを、後述する含有率で、含有する。エチレン−αオレフィンゴム及びポリオレフィン樹脂(樹脂成分ともいう)は、いずれも、後述するシランカップリング剤がグラフト化反応可能な部位を有する。
エチレン−αオレフィンゴムは、エチレンとα−オレフィンと、必要によりジエンとの共重合体であり、共重合体中のエチレン構成成分量(エチレン含有量という)が45〜65質量%のエチレン−αオレフィンゴムである。エチレン含有量が45質量%未満であると、柔軟性が劣ることがある。一方、エチレン含有量が65質量%を超えると、柔軟性及び耐油性の少なくとも一方に劣ることがある。優れた、柔軟性、耐傷付性及び耐油性を兼備する点で、エチレン含有量は45〜62質量%が好ましく、48〜55量%がより好ましい。エチレン含有量はASTM D3900に記載の方法に準拠して測定される値である。
α−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンが好適に挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン又は1−ドデセン等が挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、ブタジエンが好ましい。非共役ジエンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン等が挙げられ、エチリデンノルボルネンが好ましい。共役ジエン化合物及び非共役ジエンの各構成成分は、それぞれ、1種単独で使用され、又は2種以上を併用できる。
ポリオレフィン樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を重合又は共重合して得られる重合体からなる樹脂であれば特に限定されるものではなく、従来、樹脂組成物に使用されている公知のものを使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体、及び、これらのゴム若しくはエラストマー等の重合体等の各樹脂が挙げられる。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明において用い得るポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、直鎖型低密度ポリエチレン又は超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。中でも、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖型低密度ポリエチレンが好ましく、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)がより好ましい。ポリエチレンは1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
ここで、「ランダムポリプロピレン」は、プロピレンとエチレンとの共重合体であって、エチレン成分含有量が1〜5質量%のものをいう。また、「ブロックポリプロピレン」は、ホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体とを含む組成物であって、エチレン成分含有量が5〜15質量%程度で、エチレン成分とプロピレン成分が独立した成分として存在するものをいう。
ポリプロピレンは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、エチレン−αオレフィンゴムとともにシラン架橋性樹脂成形体に、優れた、柔軟性、耐傷付性及び耐油性を付与できる点で、さらには電気特性の点で、ポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリプロピレンが好ましく、特に、優れた電気特性と優れた耐油性を付与できる点で、密度が0.91g/cm2以上の直鎖型低密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンが好ましい。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、シランカップリング剤の樹脂成分へのラジカル反応によるグラフト反応を生起させる働きをする。特にシランカップリング剤の反応部位が例えばエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基と樹脂成分とのラジカル反応(樹脂成分からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト化反応を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はなく、例えば、一般式:R1−OO−R2、R3−OO−C(=O)R4、R5C(=O)−OO(C=O)R6で表される化合物が好ましい。ここで、R1〜R6は各々独立にアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。各化合物のR1〜R6のうち、いずれもアルキル基であるもの、又は、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
本発明において、無機フィラーは、その表面に、シランカップリング剤のシラノール基等の反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものであれば特に制限なく用いることができる。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いられるシランカップリング剤は、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で樹脂成分にグラフト反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、無機フィラーの化学結合しうる部位と反応し、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む。例えばシリルエステル基等)とを、少なくとも有するものであればよい。このようなシランカップリング剤として、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
上記シランカップリング剤の中でも、末端にビニル基とアルコキシ基を有するシランカップリング剤がさらに好ましく、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シラノール縮合触媒は、樹脂成分にグラフトしたシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、樹脂成分同士が架橋される。その結果、耐熱性を有するシラン架橋樹脂成形体が得られる。
シラノール縮合触媒は、所望により樹脂に混合されて、用いられる。このような樹脂(キャリア樹脂ともいう)としては、特に限定されないが、ベース樹脂で説明した各樹脂を用いることができる。キャリア樹脂は、シラノール縮合触媒と親和性がよく耐熱性にも優れる点で、ベース樹脂の中でもポリエチレンの樹脂が好ましい。
本発明において、電線、電気ケーブル、電気コード、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で、用いてもよい。このような添加剤として、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、又は、上記無機フィラー以外の充填剤(難燃(助)剤を含む。)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン酸化防止剤、フェノール酸化防止剤又は硫黄酸化防止剤等が挙げられる。アミン酸化防止剤としては、例えば、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等が挙げられる。フェノール酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。硫黄酸化防止剤としては、例えば、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンズイミダゾール及びその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)等が挙げられる。酸化防止剤は、含ハロゲン樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜15.0質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部で加えることができる。
本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法及び本発明のシラン架橋性樹脂組成物の製造方法は、いずれも、少なくとも下記工程(1)を行う。したがって、これらの製造方法を併せて以下に説明する(両製造方法に共通する説明においては、本発明の製造方法ということがある。)。
また、本発明の「シランマスターバッチ」は、下記工程(a−1)及び工程(a−2)(両工程を併せて工程(a)という)により製造される。したがって、本発明の「シランマスターバッチの製造方法」を本発明の製造方法において説明する。
工程(2):工程(1)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた成形体を水と接触させてシラン架橋樹脂成形体を得る工程
工程(a−1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):混合物と、ベース樹脂の全部又は一部とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(b):ベース樹脂の残部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):シランマスターバッチと、シラノール縮合触媒又は触媒マスターバッチとを溶融混合する工程
ここで、混合するとは、均一な混合物を得ることをいう。
また、「ベース樹脂の残部」とは、ベース樹脂のうち工程(a−2)で使用する一部を除いた残りのベース樹脂であって、具体的には、ベース樹脂そのものの残部(ベース樹脂と同一組成を有する)、ベース樹脂を構成する樹脂成分の残部、ベース樹脂を構成する残りの樹脂成分をいう。
ここで、工程(b)でベース樹脂の残部が配合される場合、ベース樹脂は、工程(a−2)において、好ましくは80〜99質量%、より好ましくは94〜98質量%が配合され、工程(b)において、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜6質量%が配合される。
上記観点から、シランカップリング剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは3〜12質量部であり、より好ましくは4〜12質量部である。
この工程(1)において、ベース樹脂の全部又は一部、有機過酸化物、無機フィラー、シランカップリング剤及びシラノール縮合触媒の溶融混合は、特定の混合順で、行われる。本発明においては、まず、少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合物を調製する(工程(a−1))。すなわち、シランカップリング剤は、上記のように、無機フィラーと前混合等される。
無機フィラーとシランカップリング剤を混合する方法としては、特に限定されないが、湿式処理、乾式処理等の混合方法が挙げられる。具体的には、アルコールや水等の溶媒に無機フィラーを分散させた状態でシランカップリング剤を加える湿式処理、無処理の無機フィラー中に、又は予めステアリン酸やオレイン酸、リン酸エステル若しくは一部をシランカップリング剤で表面処理した無機フィラー中に、シランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加え混合する乾式処理、及び、その両方が挙げられる。本発明においては、無機フィラー、好ましくは乾燥させた無機フィラー中にシランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加え混合する乾式処理が好ましい。
このようにして前混合されたシランカップリング剤は、無機フィラーの表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合する。これにより、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減できる。また、無機フィラーに吸着又は結合しないシランカップリング剤が縮合して溶融混練が困難になることも防止できる。さらに、押出成形の際に所望の形状を得ることもできる。
工程(a−1)の混合方法においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、ベース樹脂が存在していてもよい。この場合、ベース樹脂とともに無機フィラー及びシランカップリング剤を上記温度で混合した後に、溶融混合することが好ましい。
また、有機過酸化物は、他の成分と混合させたものでもよいし、単体でもよい。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置は、例えば無機フィラーの配合量に応じて適宜に選択される。混練装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。樹脂成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
また、通常、このような無機フィラーがベース樹脂100質量部に対して100質量部を超えて混合される場合、連続混練機、加圧式ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉型ミキサーで混練りするのがよい。
また、ベース樹脂の混合方法も特に限定されない。例えば、予め混合調製されたベース樹脂を用いてもよく、エチレン−αオレフィンゴム及びポリオレフィン樹脂それぞれを別々に混合してもよい。
工程(1)において、上記添加剤、特に酸化防止剤や金属不活性剤は、いずれの工程で又は成分に混合されてもよいが、キャリア樹脂に混合されるのがよい。
工程(1)、特に工程(a−1)及び工程(a−2)において、架橋助剤は実質的に混合されないことが好ましい。架橋助剤が実質的に混合されないと、溶融混合中に樹脂成分同士の架橋が生じにくく、シラン架橋樹脂成形体の外観及び耐熱性が優れる。ここで、実質的に混合されないとは、架橋助剤を積極的に混合しないことを意味し、不可避的に混合することを除外するものではない。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ベース樹脂の溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(a−2)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、80〜250℃、より好ましくは100〜240℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
キャリア樹脂が他の樹脂である場合、工程(a−2)においてグラフト反応を促進させることができるうえ、成形中にブツが生じにくい点で、他の樹脂の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは2〜40質量部である。
この場合、使用可能な無機フィラーとしては、上記無機フィラーが挙げられる。
この触媒MBは、シランMBとともに、工程(1)で調製されるシラン架橋性樹脂組成物の製造に、マスターバッチセットとして、用いられる。
混合方法は、上述のように均一な混合物を得ることができれば、どのような混合方法でもよいが、工程(a−2)の溶融混合と基本的に同様であることが好ましい。DSC等で融点が測定できない樹脂成分、例えばエラストマーもあるが、少なくとも樹脂成分等及び有機過酸化物のいずれかが溶融する温度で混練する。溶融温度は、ベース樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度に応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜240℃である。その他の条件、例えば混合(混練)時間は適宜設定することができる。
上記のように、シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤がシラノール縮合していない未架橋体である。実際的には、工程(c)で溶融混合されると、一部架橋(部分架橋)は避けられないが、得られるシラン架橋性樹脂組成物について、少なくとも工程(2)での成形における成形性が保持されたものとする。
本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法において、得られた混合物を成形して成形体を得る工程(2)を行う。この工程(2)は、混合物を成形できればよく、本発明の製品の形態に応じて、適宜に成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた押出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。押出成形は、本発明の製品が電線又は光ファイバーケーブルである場合に、好ましい。
このようにして、シラン架橋性樹脂組成物の成形体が得られる。この成形体はシラン架橋性樹脂組成物と同様に、一部架橋は避けられないが、工程(2)で成形可能な成形性を保持する部分架橋状態にある。したがって、この発明のシラン架橋樹脂成形体は、工程(3)を実施することによって、架橋又は最終架橋された成形体とされる。
この工程(3)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は、常温で保管するだけで進行する。したがって、工程(3)において、成形体を水に積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、成形体を水分と接触させることもできる。例えば、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
すなわち、ベース樹脂との混練り前及び/又は混練り時に、無機フィラー及びシランカップリング剤を用いる(混合する)ことにより、シランカップリング剤は、化学結合しうる基で無機フィラーと結合し、もう一方の末端に存在する、グラフト反応しうる基で樹脂成分の未架橋部分と結合して、保持される。又は、シランカップリング剤は、化学結合しうる基により、無機フィラーと結合することなく、無機フィラーの穴や表面に物理的又は化学的に吸着し、かつ、グラフト反応しうる基で樹脂成分の未架橋部分と結合して、保持される。このように、無機フィラーに対して強い結合で結びつくシランカップリング剤(その理由は、例えば、無機フィラー表面の水酸基等との化学結合の形成が考えられる)と弱い結合で結びつくシランカップリング剤(その理由は、例えば、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用、吸着による作用等が考えられる)を形成できる。この状態で、有機過酸化物を加えてベース樹脂と混練りを行うと、上述のようにシランカップリング剤がほとんど揮発することなく、またシランカップリング剤同士の縮合が抑えられ、無機フィラーとの結合が異なるシランカップリング剤が樹脂成分にグラフト反応したシラン架橋性樹脂が形成される。
無機フィラーと強い結合を有するシランカップリング剤は、このシラノール縮合触媒による水存在下での縮合反応が生じにくく、無機フィラーとの結合が保持される。シラノール縮合反応が生じにくい理由は無機フィラーとシランカップリング剤の結合エネルギーが非常に高く、シラノール縮合触媒下にあっても、縮合反応が起こらないからであると考えられる。このように、樹脂成分と無機フィラーの結合が生じ、シランカップリング剤を介した樹脂成分の架橋が生じる。これにより樹脂成分と無機フィラーの密着性が強固になり、機械強さ及び耐摩耗性が良好で、傷付きにくい成形体が得られる。特に、1つの無機フィラー粒子表面に複数のシランカップリング剤を複数結合でき、高い機械強さを得ることができる。このように、無機フィラーに対して強い結合で結合したシランカップリング剤は、耐傷付性、機械特性、場合によっては耐摩耗性の発現ないしは向上等に寄与すると考えられる。
すなわち、上述の特定の樹脂成分を特定の割合で併用すると、樹脂成分の結晶性が低下し、また、結晶性低下により、樹脂成分中の、シランカップリング剤のグラフト化反応部位とグラフト反応可能な部位が多くなる。しかも、結晶性低下による立体障害の低下によって、樹脂成分とシランカップリング剤とがグラフト反応する際に必要な反応エネルギーが小さくなる。これらにより、シランカップリング剤が樹脂成分にグラフト反応しやすくなり、樹脂成分の架橋密度が高くなる。そのため、樹脂成分の自由度が低下し、油が侵入若しくは混入しにくくなり、たとえ高温においても、高い耐油性を発現すると考えられる。
また、ベース樹脂として特定のエチレン含有量を持つエチレン−αオレフィンゴムとポリオレフィン樹脂とを特定の割合で併用することにより、エチレン−αオレフィンゴムの柔軟性を維持することができる。
しかも、ベース樹脂として、特定のエチレン−αオレフィンゴム及びポリオレフィン樹脂を特定量含む樹脂を用いると、無機フィラーと強い結合を有するシランカップリング剤による、上述の耐傷付性向上効果が高くなると考えられる。
本発明においては、これらがバランスよく発揮されることにより、シラン架橋樹脂成形体に優れた柔軟性及び耐傷付性と高い耐油性とを付与できる。
本発明の成形品として、例えば、絶縁電線等の電線又は耐熱ケーブルの被覆材料、ゴム電線・ケーブルの材料、その他、耐熱電線部品、耐熱シート、耐熱フィルム等が挙げられる。また、電源プラグ、コネクター、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、パッキン、クッション材、防震材、電気・電子機器の内部配線及び外部配線に使用される配線材、特に電線や光ファイバーケーブルが挙げられる。
本発明の成形品が電線又はケーブル等の押出成形品である場合、好ましくは、成形材料を押出機(押出被覆装置)内で溶融混練してシラン架橋性樹脂組成物を調製しながら、このシラン架橋性樹脂組成物を導体等の外周に押し出して、導体等を被覆する等により、製造できる。このような成形品は、無機フィラーを大量に加えてもシラン架橋性樹脂組成物を電子線架橋機等の特殊な機械を使用することなく汎用の押出被覆装置を用いて、導体の周囲に、又は抗張力繊維を縦添え若しくは撚り合わせた導体の周囲に押出被覆することにより、成形することができる。例えば、導体としては軟銅の単線又は撚り線等を用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いることもできる。導体の周りに形成される絶縁層(本発明のシラン架橋樹脂成形体からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが、通常、0.15〜5mm程度である。
表1及び表2において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
<樹脂成分>
(エチレン−αオレフィンゴム)
EPゴム1:EPT0045(商品名)、三井化学社製、エチレン−プロピレンゴム、エチレン含有量51質量%、ジエン含有量0質量%
EPゴム2:ノーデル3640(商品名)、ダウ・ケミカル社製、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム、エチレン含有量60質量%、ジエン含有量1.8質量%
EPゴム3:ノーデル3670(商品名)、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム、ダウ・ケミカル社製、エチレン含有量70質量%、ジエン含有量0.5質量%
EPゴム4:ノーデル4520(商品名)、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム、ダウ・ケミカル社製、エチレン含有量50質量%、ジエン含有量4.9質量%
(ポリオレフィン樹脂)
PO1:NUC7641(商品名)、日本ユニカ社製、直鎖状低密度ポリエチレン
PO2:UBEC180(商品名)、宇部丸善ポリエチレン社製、低密度ポリエチレン
PO3:PB222A(商品名)、サンアロマー社製、ポリプロピレン
炭酸カルシウム:ソフトン1200(商品名)、備北粉化工業社製
シリカ:クリスタライト5X(商品名)、龍森社製
水酸化マグネシウム:キスマ5(商品名、表面未処理水酸化マグネシウム)、協和化学社製
<シランカップリング剤>
「KBM1003」(商品名、信越シリコーン社製、ビニルトリメトキシシラン)
<有機過酸化物>
「Perkadox BC−FF」(商品名):化薬アクゾ社製、ジ−α−クミルパーオキサイド(分解温度151℃)
<酸化防止剤(ヒンダードフェノール酸化防止剤)>
「イルガノックス1010」(商品名、BASF社製、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート])
<シラノール縮合触媒>
「アデカスタブOT−1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウレート)
実施例1〜13及び比較例1〜6において、ベース樹脂の5質量%(PO1)を触媒MBのキャリア樹脂として用いた。
次いで、得られたドライブレンド物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径40mmのスクリューを備えた押出機(送り出し部スクリュー温度160℃、圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に投入した。この押出機内でドライブレンド物を溶融混合しながら、1/0.8TA導体(導体径0.8mm)の外周に被覆厚さ0.8mmとなるように線速5m/分で押し出して、外径2.4mmの被覆導体を得た(工程(c)及び工程(2))。上記ドライブレンド物を押出機内で押出成形前に溶融混合することにより、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物を調製した。
このようにして、上記導体の外周面に、シラン架橋樹脂成形体からなる被覆層を有する電線を製造した。被覆層としてのシラン架橋樹脂成形体は上述のシラン架橋樹脂を有している。
製造した各電線から導体を抜き取って作製した管状片(被覆層)について、引張試験を行って、100%モジュラスに基づき、管状片の柔軟性を評価した。
この引張試験において、JIS C 3005に準じて、標線間20mm、引張速度200mm/分の条件で、100%伸張時の引張強度を測定し、得られた値を100%モジュラス(単位:MPa)とした。柔軟性の評価は、100%モジュラスが、10MPa以下であったものを優れたレベルとして「A」で表し、10MPaを超え、12MPa以下であったものを「B」で表し、12MPaを超えたものを本試験の不合格レベルとして「C」で表した。
JASO D 618に準拠して、製造した各電線について、スクレープ磨耗試験を行った。条件は、ニードル径を0.45mm、試験荷重を10Nとした。ニードルが導体に達するまでの回数を計数した。耐傷付性の評価は、ニードルが導体に達するまでの回数が、100回以上であったものを優れたレベルとして「A」で表し、100回未満であったもの本試験の不合格レベルとして「C」で表した。
製造した各電線について、JIS C 3005に記載の「耐油試験」を行った。耐油試験(A)においては、浸油温度を100℃、浸油時間を18時間とし、油としてASTM2号油を使用した。
耐油試験(A)の評価は、耐油試験前後の残率が、強度及び伸びのいずれについても70%以上であったものを「A」とし、60%以上、70%未満であったものを「B」とし、強度及び伸びのいずれかについて60%未満であったものを「C」とした。評価「B」以上が本試験の合格レベルである。
上記耐油試験(A)において、油としてASTM2号油を使用し、浸油温度を120℃に変更したこと以外は、上記耐油試験(A)と同様にして、耐油試験(B)を行った。
耐油試験(B)の評価は、耐油試験前後の残率が、強度及び伸びのいずれについても70%以上であったものを「A」とし、60%以上、70%未満であったものを「B」とし、強度及び伸びのいずれかについて60%未満であったものを「C」とした。本試験は参考試験であるが、合格レベルは評価「B」以上である。
各電線の製造において得られたドライブレンド物をプレス成形(170℃、10分)して、厚さ1mmのシートサンプルを得た。そのシートをJIS K 6271に準拠し、500Vを電極間に印加し、1分後の体積抵抗率を測定した。
体積抵抗率の評価は、測定された体積抵抗率が、1×1015(Ω・cm)以上であるものを合格として「A」で表し、1×1014(Ω・cm)以上1×1015(Ω・cm)未満であるものを「B」、1×1014(Ω・cm)未満であるものを不合格として「C」で表した。
製造した各電線から導体を抜き取って作製した管状片を用いて、ホットセット試験を行った。ホットセット試験は、IEC60811−2−1に記載の方法に準拠して、行った。試験条件は200℃、加熱時間は15分、荷重は20N/cm2とし、加熱後の伸びが100%以下、かつ、加熱及び荷重除去後の伸びが25%以下であった場合を、本試験の合格レベルとして「A」で表し、それ以外を本試験の不合格レベルとして「C」で表した。ホットセット試験は、シラン架橋樹脂成形体の耐熱性を評価及び確認する試験であり、本発明においては参考試験である。
さらに、実施例1〜13は、いずれも、体積固有抵抗試験及びホットセット試験にも合格していた。本発明によれば、上記優れた特性に加えて、さらに絶縁性及び/又は耐熱性にも優れたシラン架橋樹脂成形体を被覆層として有する電線を製造できた。
Claims (13)
- 下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
工程(1):ベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.6質量部と、無機フィラー25〜120質量部と、シランカップリング剤1〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合して混合物を得る工程
工程(2):前記工程(1)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記工程(2)で得られた成形体を水と接触させてシラン架橋樹脂成形体を得る工程
を有するシラン架橋樹脂成形体の製造方法であって、
前記ベース樹脂が、エチレン含有量が45〜65質量%であるエチレン−αオレフィンゴム15〜58質量%と、ポリオレフィン樹脂85〜42質量%とを含有し、
前記工程(1)が、下記工程(a−1)、工程(a−2)及び工程(c)を有し、ただし、下記工程(a−2)でベース樹脂の一部を溶融混合する場合には下記工程(a−1)、工程(a−2)、工程(b)及び工程(c)を有する、
工程(a−1):少なくとも前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):前記混合物と前記ベース樹脂の全部又は一部とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合してシランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記ベース樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを溶融混合する工程
シラン架橋樹脂成形体の製造方法。 - 前記ベース樹脂が、前記エチレン−αオレフィンゴム25〜58質量%と、前記ポリオレフィン樹脂75〜42質量%とを含有する請求項1に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記エチレン−αオレフィンゴムのエチレン含有量が45〜65質量%であり、かつジエン含有量が0〜4.5質量%である請求項1又は2に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラーの配合量が、前記ベース樹脂100質量部に対して、30〜100質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記シランカップリング剤が、ベース樹脂100質量部に対して、3〜12質量部の配合量で混合される請求項1〜4のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである請求項1〜5のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記工程(a−1)及び工程(a−2)において、シラノール縮合触媒を実質的に混合しない請求項1〜6のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- ベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.6質量部と、無機フィラー25〜120質量部と、シランカップリング剤1〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合して混合物を得る工程(1)を有するシラン架橋性樹脂組成物の製造方法であって、
前記ベース樹脂が、エチレン含有量が45〜65質量%であるエチレン−αオレフィンゴム15〜58質量%と、ポリオレフィン樹脂85〜42質量%とを含有し、
前記工程(1)が、下記工程(a−1)、工程(a−2)及び工程(c)を有し、ただし、下記工程(a−2)でベース樹脂の一部を溶融混合する場合には下記工程(a−1)、工程(a−2)、工程(b)及び工程(c)を有する、
工程(a−1):少なくとも前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):前記混合物と前記ベース樹脂の全部又は一部とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合してシランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記ベース樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを溶融混合する工程
シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項8に記載のシラン架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなるシラン架橋性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなるシラン架橋樹脂成形体。
- 請求項10に記載のシラン架橋樹脂成形体を含む成形品。
- 前記シラン架橋樹脂成形体が、電線あるいは光ファイバーケーブルの被覆層である請求項11に記載の成形品。
- エチレン含有量が45〜65質量%であるエチレン−αオレフィンゴム15〜58質量%とポリオレフィン樹脂85〜42質量%とを含有するベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.6質量部と、無機フィラー25〜120質量部と、シランカップリング剤1〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合してなるシラン架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
少なくとも前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物を調製し、得られた混合物と前記ベース樹脂の全部又は一部とを前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して得られるシランマスターバッチ。
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