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JP2017143121A - コイル部品 - Google Patents

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Hitohiro Kawasaki
仁寛 川崎
瞬 芦澤
Shun Ashizawa
瞬 芦澤
裕文 麻生
Hirofumi Aso
裕文 麻生
信雄 ▲高▼木
信雄 ▲高▼木
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Abstract

【課題】より薄い磁性天板を提供することによって、コイル部品のさらなる低背化を実現する。
【解決手段】巻芯部21及びその両端に設けられた鍔部22,23を有するドラムコア20と、巻芯部21に巻回されたワイヤWと、鍔部22,23にそれぞれ設けられワイヤWの端部が継線される端子電極E1〜E4と、鍔部22,23に固定され、扁平形状を有する金属軟磁性粉をバインダ樹脂に混合してなる磁性粉含有樹脂からなる磁性天板30とを備える。本発明によれば、磁性粉として扁平形状を有する金属軟磁性粉を用いていることから、磁性天板の厚みを従来よりも薄くした場合であっても、高い磁気特性とシールド効果を確保することができる。これにより、コイル部品のさらなる低背化を実現することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明はコイル部品に関し、特に、ドラムコアを用いたコイル部品に関する。
ドラムコアを用いたコイル部品は、トロイダルコアを用いたコイル部品とは異なり、プリント基板上に表面実装が可能であることから、スマートフォンなどの携帯型電子機器に広く使用されている。また、ドラムコアを用いたコイル部品は低背であることから、携帯型電子機器の薄型化にも寄与する。
しかしながら、近年においては、携帯型電子機器にさらなる薄型化が求められており、これを実現するためドラムコアを用いたコイル部品にもさらなる低背化が求められている。コイル部品を低背化する方法の一つとして、通常はドラムコアに接着される磁性天板を削除するという方法が考えられるが、この場合、磁束の漏れが多くなることから、アンテナなど他の回路に悪影響を与えるおそれがあった。一方、フェライトからなる磁性天板は脆いことから、その厚みを薄くすると強度が不足し、実装時や実使用時に破損するおそれがある。
このような問題を解決するためには、磁性天板の材料としてフェライトではなく可撓性を有する磁性粉含有樹脂を用いればよい。磁性粉含有樹脂は薄くしてもある程度の強度が保たれることから、磁性天板の材料として磁性粉含有樹脂を用いれば、低背化を実現しつつ、磁束の漏れを抑制することが可能となる。磁性天板の材料として磁性粉含有樹脂を用いた例としては、特許文献1及び2に記載されたコイル部品が挙げられる。
特開平9−219318号公報 特開2004−363178号公報
磁性粉含有樹脂は、バインダ樹脂に磁性粉を混合した混合溶液をベースフィルムなどの基材に塗布することによって作製することができる。しかしながら、一般的な磁性粉は球形またはこれに近い形状を有しているため、十分な磁気特性を得るためにはある程度の厚みが必要となる。このため、磁性粉含有樹脂からなる磁性天板の厚みを大幅に薄くすることは困難であり、十分な低背化を達成することは難しかった。
したがって、本発明は、より薄い磁性天板を提供することによって、コイル部品のさらなる低背化を実現することを目的とする。
本発明によるコイル部品は、巻芯部及び前記巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有するドラムコアと、前記巻芯部に巻回されたワイヤと、前記第1及び第2の鍔部にそれぞれ設けられ、前記ワイヤの端部が継線される端子電極と、前記第1及び第2の鍔部に固定され、扁平形状を有する金属軟磁性粉をバインダ樹脂に混合してなる磁性粉含有樹脂からなる磁性天板と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、磁性粉として扁平形状を有する金属軟磁性粉を用いていることから、磁性天板の厚みを従来よりも薄くした場合であっても、高い磁気特性を確保とシールド効果を確保することができる。これにより、コイル部品のさらなる低背化を実現することが可能となる。
本発明において、前記磁性天板は、厚み方向から見て前記金属軟磁性粉が存在する領域の割合は、厚み方向から見た全体面積の80%以上であることが好ましい。これによれば、磁性天板を薄くした場合であっても、磁束の漏れを十分に抑制することが可能となる。
この場合、磁性天板は、前記全体面積の10%の割合を占める外周領域と、前記外周領域に囲まれた中央領域を含み、前記中央領域のうち、厚み方向から見て前記金属軟磁性粉が存在する領域の割合は、前記中央領域の面積の95%以上であることがより好ましい。磁性天板の外周領域は、主に加工時において金属軟磁性粉の脱落が発生するため、金属軟磁性粉の存在割合が低下する傾向があるが、この場合であっても、中央領域の95%以上が金属軟磁性粉で覆われていれば、磁束の漏れを十分に抑制することが可能となる。
本発明によれば、磁性天板を従来よりも薄くしても高い磁気特性を確保することができることから、コイル部品のさらなる低背化を実現することが可能となる。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品10の上面を斜め方向から見た斜視図である。 図2は、コイル部品10を実装面から見た平面図である。 図3は、磁性天板30の構造を説明するための模式的な断面図である。 図4は、磁性天板30に含まれる金属軟磁性粉35の形状を説明するための模式図である。 図5は、磁性天板30をz方向から見た透過図である。 図6は、磁性天板30の外周領域30Aと中央領域30Bを説明するための平面図である。 図7は、ベースフィルムFの表面に磁性粉含有樹脂Rが塗布されたシートSを作製する方法を説明するための模式図である。 図8は、コイル部品10の製造方法を説明するための工程図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品10の外観を示す図であり、図1は上面を斜め方向から見た斜視図、図2は実装面から見た平面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態によるコイル部品10は、ドラムコア20及び磁性天板30を備えている。ドラムコア20は、x方向を軸方向とする巻芯部21と、巻芯部21のx方向における両端に設けられた第1及び第2の鍔部22,23とを有する。ドラムコア20はフェライトなど透磁率の高いセラミック材料からなり、巻芯部21と鍔部22,23が一体化された構成を有している。
巻芯部21には2本のワイヤWが巻回されており、これらワイヤWの両端は鍔部22,23に設けられた端子電極E1〜E4に継線されている。本実施形態においては、一方の鍔部22に端子電極E1,E2が形成され、他方の鍔部23に端子電極E3,E4が形成されている。端子電極E1〜E4は、実装面を構成する鍔部22,23のxy面と、実装面とは反対側に位置し上面を構成する鍔部22,23のxy面と、外側面を構成する鍔部22,23のyz面に連続的に形成されている。本実施形態においては、鍔部22,23の上面に設けられた端子電極E1〜E4にワイヤWが継線されているが、鍔部22,23の実装面に設けられた端子電極E1〜E4にワイヤWを継線しても構わない。この場合、鍔部22,23の上面に端子電極E1〜E4を設ける必要はない。
本実施形態によるコイル部品10の用途については特に限定されず、インダクタンス用の汎用コイル部品であっても構わないし、特定の用途、例えば、コモンモードフィルタ用、パルストランス用、バルントランス用などのコイル部品であっても構わない。したがって、巻芯部21に巻回されるワイヤWの本数、巻回数、巻回方向、巻回方法などについては特に限定されるものではない。コイル部品10のサイズについても特に限定されないが、x方向における長さは1.6mm程度、y方向における幅は1.0mm程度、z方向における高さは0.55mm〜0.65mm程度である。
図1に示すように、鍔部22,23の上面を構成するxy面には、接着剤40を介して磁性天板30が固定されている。磁性天板30は、扁平形状を有する金属軟磁性粉をバインダ樹脂に混合してなる磁性粉含有樹脂からなり、通常の樹脂よりも高い透磁率を有している。そして、磁性天板30は、巻芯部21を跨ぐようにして鍔部22,23の上面に固定されていることから、ドラムコア20及び磁性天板30によって閉磁路が構成される。このため、樹脂のみからなる天板を用いた場合と比べて磁束の漏れが少なくなり、他の回路、例えばアンテナ回路などへの磁気的な影響を低減することが可能となる。また、磁性天板30は、プリント基板への実装時において、ハンドリング用の吸着面としても利用される。
上記の通り、磁性天板30を構成する磁性粉含有樹脂は、扁平形状を有する金属軟磁性粉をバインダ樹脂に混合してなるものである。このうち、バインダ樹脂は、アクリル酸エステル共重合体を主鎖とし、且つ、ウレタン結合による架橋構造を含むことが好ましい。一方、金属軟磁性粉は扁平形状を有し、その主平面がxy面を成すようバインダ樹脂に混合される。換言すれば、扁平形状を有する金属軟磁性粉の厚み方向がz方向となるよう、バインダ樹脂に混合される。これによれば、磁性天板30の厚みを薄くしても、磁性天板30を通る磁束の方向であるx方向における透磁率が高められるとともに、扁平形状を有する金属軟磁性粉が電磁シールドとしても機能する。
図3は、磁性天板30の構造を説明するための模式的な断面図である。
図3に示すように、磁性天板30は、鍔部22,23に接着される下面31と、下面31とは反対側に位置する上面32とを有する。磁性天板30の内層部においては、バインダ樹脂34内に扁平形状を有する金属軟磁性粉35がほぼ均一に分布している。金属軟磁性粉35は厚み方向がz方向である扁平形状を有しているため、いくつかの金属軟磁性粉35がz方向に重なる。このため、磁性天板30の厚みを薄くしても、z方向から見た全体面積のほぼ全てが金属軟磁性粉35で覆われることになる。
図4は、磁性天板30に含まれる金属軟磁性粉35の形状を説明するための模式図である。
図4に示すように、金属軟磁性粉35はxy方向に扁平した形状を有している。図4に示す金属軟磁性粉35は、x方向を長手方向とする形状を有しているが、金属軟磁性粉35の形状がこれに限定されるものではない。このように、金属軟磁性粉35としてxy方向に扁平した金属軟磁性粉を用いれば、磁性天板30を通る磁束の方向であるx方向に高い透磁率を得ることができる。
図5は、磁性天板30をz方向から見た透過図であり、金属軟磁性粉35が存在しない部分を黒く塗りつぶしてある。
図5に示すように、磁性天板30をz方向から透過的に見ると、全体面積のほぼ全てが金属軟磁性粉35で覆われていることが分かる。但し、バインダ樹脂中における金属軟磁性粉35の位置はランダムであることから、磁性天板30の厚みや金属軟磁性粉35の密度によっては、z方向から見て金属軟磁性粉35が存在しない領域(図5に示す黒い領域)が僅かに存在しうる。この場合であっても、z方向から見て金属軟磁性粉35が存在する領域の割合が全体面積の80%以上であれば、十分な磁気特性とシールド効果を確保することができる。
磁性天板30中における金属軟磁性粉35の密度は、平面位置によって変化することがある。例えば、図6に示すように、磁性天板30の外周端から所定の距離範囲に属し、全体面積の10%の割合を占める領域を外周領域30Aと定義し、外周領域30Aに囲まれた領域を中央領域30Bと定義した場合、外周領域30Aにおける金属軟磁性粉35の密度は、中央領域30Bにおける金属軟磁性粉35の密度よりも低くなることがある。これは、主に加工時において金属軟磁性粉35の一部が磁性天板30の外周領域30Aから脱落するためである。このような金属軟磁性粉35の偏在により、z方向から見て金属軟磁性粉35が存在する領域の割合が低下することがあるが、このような場合であっても、中央領域30Bの95%以上が金属軟磁性粉で覆われていれば、十分な磁気特性とシールド効果を確保することができる。
特に限定されるものではないが、磁性天板30のz方向における厚さは100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、60μm程度であることが特に好ましい。磁性天板30の厚さを100μm以下とすれば、コイル部品10全体のz方向における高さを低背化することが可能となる。磁性天板の厚みを100μm以下まで薄くした場合、フェライトを用いると強度不足によって破損が生じるおそれがあるが、バインダ樹脂34に扁平な金属軟磁性粉35を混合させた磁性天板30を用いれば、厚みを100μm以下まで薄くしても破損などが生じることがない。また、厚みを100μm以下まで薄くしても、球形またはこれに近い形状を有する磁性粉を用いた場合と比べて高い磁気特性を確保することも可能となる。磁性天板30の厚さの下限については特に限定されないが、30μm以上であることが好ましい。これは、磁性天板30の厚みを30μm未満まで薄くすると、強度が不足するとともに、十分な磁気特性を確保することが困難となるからである。磁束の漏れを十分に抑制するためには、磁性天板30の透磁率は30以上であることが好ましい。
磁性天板30に用いるバインダ樹脂には、所定の可撓性、耐熱性及び強度が求められる。可撓性及び強度が必要である理由は、磁性天板30の厚さを例えば100μm以下まで薄くした場合であっても破損を生じさせないためであり、耐熱性が必要である理由は、リフロー時に変形などを生じさせないためである。したがって、強度が高くても可撓性の低い材料や、可撓性が高くても耐熱性の低い材料は適切ではない。リフロー温度は260℃程度であることから、少なくとも、当該温度において変形が生じないバインダ樹脂を用いる必要がある。
これらの点を考慮し、本実施形態においては、アクリル酸エステル共重合体を主鎖とし、且つ、ウレタン結合による架橋構造を含むバインダ樹脂を用いている。組成については特に限定されないが、アクリル酸エステル共重合体は、少なくともアクリル酸エチルの共重合構造及びアクリル酸ブチルの共重合構造を含むことが好ましい。これは、アクリル酸エチルの共重合構造によって高い強度を確保しつつ、アクリル酸ブチルの共重合構造によって可撓性を付加するためである。また、アクリル酸エステル共重合体は、アクリロニトリルの共重合構造をさらに含むことが好ましい。これは、アクリロニトリルの共重合構造を含むことによって耐熱性及び強度が高められるからである。
磁性天板30は、次の方法によって作製することが可能である。まず、官能基として水酸基またはカルボキシル基を有するアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリロニトリルを主モノマーとする溶質をメチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶かしたバインダ溶液を用意し、このバインダ溶液に扁平な金属軟磁性粉及び硬化剤を混合して混合溶液を調製する。硬化剤としては、イソシアネートを使用することが好ましい。イソシアネートとしては、例えば芳香族イソシアネートやトリアジン環を構造中に含むイソシアネート等を用いることが好ましく、1分子中に複数のイソシアネート基を有していることがより好ましい。これにより、アクリル酸エステル共重合体が官能基として有する水酸基またはカルボキシル基とイソシアネートが反応して架橋構造が形成される。また、磁性粉以外のフィラー、例えばとしてタルク、マイカ等をさらに混合させても構わない。
次に、図7に示すように、上記の混合溶液をベースフィルムFに塗布し、加熱して混合溶液中の溶剤の乾燥及びバインダ樹脂の硬化を行いながらロールで巻き取る。混合溶液をベースフィルムFに塗布する際に磁場を印加することによって磁性粉を所定方向に配向させてもよい。これにより、ベースフィルムFの表面に磁性粉含有樹脂Rが塗布されたシートSが得られる。ベースフィルムFとしては、PETフィルムを用いることができる。ここで、硬化後の磁性粉含有樹脂における磁性粉の含有比率は50〜90重量%であることが好ましい。磁性粉の含有比率が50重量%未満であると十分な透磁率が得られず、90重量%を超えると、磁性天板30の切断面から磁性粉が脱落するおそれが高まるからである。このような塗布方法を用いれば、扁平な金属軟磁性粉の主平面は、自然にベースフィルムFの主面と平行となる。
次に、図8(a)に示すように金型によってシートSを磁性天板30の平面形状に型抜きする。次に、図8(b)に示すように型抜きされた部分にエポキシ系の接着剤40を塗布した後、図8(c)に示すようにワイヤWが巻回されたドラムコア20を接着する。そして、磁性天板30が接着されたドラムコア20をシート本体から分離し、ベースフィルムF1を剥離すれば、本実施形態によるコイル部品10が完成する。
以上説明したように、本実施形態によるコイル部品10は、磁性天板30の材料として扁平形状を有する金属軟磁性粉35をバインダ樹脂に混合してなる磁性粉含有樹脂を用いていることから、磁性天板30の厚みを薄くした場合であっても、高い磁気特性とシールド効果を確保することが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
10 コイル部品
20 ドラムコア
21 巻芯部
22,23 鍔部
30 磁性天板
30A 外周領域
30B 中央領域
31 磁性天板の下面
32 磁性天板の上面
34 バインダ樹脂
35 金属軟磁性粉
40 接着剤
E1〜E4 端子電極
F ベースフィルム
R 磁性粉含有樹脂
S シート
W ワイヤ

Claims (3)

  1. 巻芯部及び前記巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有するドラムコアと、
    前記巻芯部に巻回されたワイヤと、
    前記第1及び第2の鍔部にそれぞれ設けられ、前記ワイヤの端部が継線される端子電極と、
    前記第1及び第2の鍔部に固定され、扁平形状を有する金属軟磁性粉をバインダ樹脂に混合してなる磁性粉含有樹脂からなる磁性天板と、を備えることを特徴とするコイル部品。
  2. 前記磁性天板は、厚み方向から見て前記金属軟磁性粉が存在する領域の割合は、厚み方向から見た全体面積の80%以上であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記磁性天板は、前記全体面積の10%の割合を占める外周領域と、前記外周領域に囲まれた中央領域を含み、前記中央領域のうち、厚み方向から見て前記金属軟磁性粉が存在する領域の割合は、前記中央領域の面積の95%以上であることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
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