Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP2017036350A - 潜熱蓄冷材 - Google Patents

潜熱蓄冷材 Download PDF

Info

Publication number
JP2017036350A
JP2017036350A JP2015156353A JP2015156353A JP2017036350A JP 2017036350 A JP2017036350 A JP 2017036350A JP 2015156353 A JP2015156353 A JP 2015156353A JP 2015156353 A JP2015156353 A JP 2015156353A JP 2017036350 A JP2017036350 A JP 2017036350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
latent heat
urea
start temperature
dimethylurea
storage material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015156353A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6575859B2 (ja
Inventor
博宣 町田
Hironori Machida
博宣 町田
鈴木 基啓
Motohiro Suzuki
基啓 鈴木
竹口 伸介
Shinsuke Takeguchi
伸介 竹口
健太郎 椎
Kentaro Shii
健太郎 椎
雄章 水藤
Takeaki Mizufuji
雄章 水藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2015156353A priority Critical patent/JP6575859B2/ja
Publication of JP2017036350A publication Critical patent/JP2017036350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6575859B2 publication Critical patent/JP6575859B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Freezing, Cooling And Drying Of Foods (AREA)

Abstract

【課題】冷却に必要な電気エネルギーの削減を目的とした過冷却の小さい冷凍用蓄冷材を提供する。
【解決手段】水、尿素および尿素誘導体を含み、前記尿素誘導体が1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を含み、1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)が2:3〜3:2であり、尿素の含有量が水の重量に対して25〜40wt%であり、尿素誘導体の含有量が尿素の重量に対して10〜75wt%である、潜熱蓄冷材。
【選択図】図1

Description

本開示は生鮮食品などの保管・輸送の際に使用される潜熱蓄冷材に関する。この潜熱蓄冷材は蓄冷容器に充填され、予め冷凍庫で冷却して使用されるものである。
生産地から消費地まで一貫して低温・冷蔵・冷凍の状態を保ったまま流通させる仕組みをコールドチェーンという。今や生鮮品、冷凍食品に限らず、切り花、医薬品、電子部品などさまざまな分野で利用されているが、これまでの仕組みにはいくつもの課題があった。特に大きな課題としては、冷却装置にかかるエネルギーコスト、CO2排出量の増大、荷さばき場における作業の過酷さ、異なる温度帯を管理する難しさなどが挙げられる。特に、冷蔵・冷凍トラックは冷却装置を備えている分、輸送コストが高くつくとともに、大型トラックが多く、小口輸送に向かないことが指摘されていた。一方、ドライアイスを使った輸送の場合、常温品との混載が可能でコストも低く抑えられるが、昇華温度であるマイナス79℃で積み込まれるため商品が凍結により劣化してしまうこと、一定温度を保てないこと、1回限りの使い捨てであること、気化する際にCO2を発生させることなどの問題を避けられなかった。
これらの課題を解決する技術として、蓄熱材が期待され、一部実用化が始まっている。蓄熱材とは、熱または冷熱を物質内に蓄積し必要時に有効に熱の出入りを利用する材料である。特に、主に物質の相変化に伴う発熱/吸熱反応を利用したものを潜熱蓄熱材、さらに特に予め冷熱を蓄熱し必要時に放冷する場合を潜熱蓄冷材(以下、単に「蓄冷材」ともいう)と呼ぶが、蓄熱材、蓄冷材の明確な区別はない。潜熱蓄冷材のうち、無機塩、無機水和塩などの無機物系材料を蓄冷媒体としたものは、有機物系材料に比べて熱伝導率が大きい、潜熱量が大、体積変化が小さい、不燃性であるなどの利点があり、なかでも塩化ナトリウム水溶液は、さらに毒性がない、低反応性、入手容易、適度な溶解度があり、共晶温度が冷凍食品保存温度に近いという利点もある。従ってこれらの蓄冷材は、食品の冷蔵、配送時の保冷、化学・医薬品の冷蔵、食品工場などの冷却工程に特に好適に使用することができる。特許文献1には、塩化ナトリウムを利用し、融解温度を望み通りに調節できる潜熱蓄冷材が記載されている。
蓄冷材は使用される温度域に応じて主に冷蔵用と冷凍用に区分されるが、冷凍用蓄冷材を利用すれば、ドライアイスの様に気化する際にCO2を放出することなく、低温やけどの危険もないため扱いが容易で、蓄冷材の冷却時以外は電気エネルギーが不要である。
従来、冷凍用蓄冷材としては複数の電解質を溶解した水溶液があり、具体的には特許文献2に開示される、塩化ナトリウムと塩化アンモニウムの混合水溶液などが使われている。
特開平11−35933号公報 国際公開2014/091938号
本開示は、前記従来の課題を解決するもので、−22℃以上−10℃以下の温度範囲の冷凍保存に適し、冷却に必要な電気エネルギーの削減を目的とした過冷却の小さい冷凍用蓄冷材を提供することを目的とする。
本開示は、
水、尿素および尿素誘導体を含み、
前記尿素誘導体が1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を含み、
1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)が2:3〜3:2であり、
尿素の含有量が水の重量に対して25〜40wt%であり、
尿素誘導体の含有量が尿素の重量に対して10〜75wt%である、
潜熱蓄冷材を提供する。
本開示の潜熱蓄冷材によれば、−22℃以上−10℃以下の温度範囲の冷凍保存に適し、冷却に必要な電気エネルギーの削減を目的とした過冷却の小さい冷凍用蓄冷材を提供することができる。
本開示の実施形態に係る蓄冷材Dの示差走査熱量測定の結果を示す図である。 本開示の実施形態に係る蓄冷材Aの示差走査熱量測定の結果を示す図である。 従来技術の蓄冷材Iの示差走査熱量測定の結果を示す図である。
特許文献1に記載の潜熱蓄冷材は、融解温度が−10℃程度と高いため、吸熱ピークも−10℃よりも高くなり、−10℃以下の冷凍保存には適していない、または過冷却が大きくなり、蓄冷(凝固)するにはおよそ−40℃まで冷却する必要があった。また、特許文献2に開示される、塩化ナトリウムと塩化アンモニウムの混合水溶液の構成では、過冷却が大きいため、蓄冷(凝固)するにはおよそ−40℃まで冷却する必要があった。過冷却とは、液体の冷却過程において、本来、相変化して固体となるべき温度になっても相変化が起こらず、液体のまま温度が下がる現象を指す。
即ち、従来の冷凍用の蓄冷材である塩化ナトリウムに塩化アンモニウムなどを混ぜた系では、冷熱を欲しい温度である−22〜−10℃に対して20〜30Kも過分に冷やす必要があり、冷却にかかる電気エネルギーが過大となる課題があった。
本開示の第1態様は、
水、尿素および尿素誘導体を含み、
前記尿素誘導体が1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を含み、
1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)が2:3〜3:2であり、
尿素の含有量が水の重量に対して25〜40wt%であり、
尿素誘導体の含有量が尿素の重量に対して10〜75wt%である、
潜熱蓄冷材を提供する。
第1態様の潜熱蓄冷材によれば、−22℃以上−10℃以下の冷凍保存に適した蓄冷材を−32℃以上で蓄冷(凝固)することができる。すなわち、蓄冷のための冷却温度(凝固開始温度)の下限を−40℃近辺から−32℃近辺まで上昇させ、結果として冷却に必要な電気エネルギーを大幅に削減することができる。また、第1態様の尿素水系蓄冷材は、従来の塩化ナトリウムに塩化アンモニウムなどを混ぜた系に比して腐食性が低いため、蓄冷容器の材料の選択肢が広がり、かつ信頼性が向上する。
本開示の第2態様は、例えば、第1態様に加えて、尿素誘導体が1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素のみからなる、潜熱蓄冷材を提供する。第2態様によれば、凝固開始温度と融解開始温度の差を小さくすることができる。
本開示の第3態様は、例えば、第1または第2態様に加えて、尿素誘導体の含有量が尿素の重量に対して16〜73wt%である、潜熱蓄冷材を提供する。第3態様によれば、融解開始温度をより下げることができる。
本開示の第4態様は、例えば、第1〜第3態様のいずれか1つに加えて、融解開始温度が−25℃以上−19℃以下の範囲にあり、融解時の吸熱ピークが−22℃以上−10℃以下の範囲にあり、かつ凝固開始温度が−32℃以上の範囲にある、潜熱蓄冷材を提供する。第4態様によれば、凝固開始温度と融解開始温度の差をより小さくすることができ、結果として冷却に必要な電気エネルギーを大幅に削減することができる。
本開示の第5態様は、例えば、第1〜第4態様のいずれか1つに加えて、融解開始温度と凝固開始温度の差が12℃以内である、潜熱蓄冷材を提供する。第5態様によれば、冷却に必要な電気エネルギーをより削減することができる。
本開示の第6態様は、例えば、第1〜第5態様のいずれか1つに加えて、1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)が4:5〜5:4である、潜熱蓄冷材を提供する。第6態様によれば、凝固開始温度と融解開始温度の差をより小さくすることができる。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本開示の一例に関するものであり、本開示はこれらによって限定されるものではない。
本開示の潜熱蓄冷材は、水、尿素および尿素誘導体を含み、前記尿素誘導体が1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を含み、1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)が2:3〜3:2であり、尿素の含有量が水の重量に対して25〜40wt%であり、尿素誘導体の含有量が尿素の重量に対して10〜75wt%である。融点調整剤兼過冷却防止剤として使用される1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素は、尿素と化学的に不活性で、比重が尿素と大差がない、購入が安価で取り扱いが容易、などの利点がある。融点調整剤兼過冷却防止剤の成分は尿素誘導体のみからなるものであってもよい。
本開示の潜熱蓄冷材において、尿素の含有量(総量)は、潜熱蓄冷材に含まれる水の総重量(100wt%)に対して、25〜40wt%であり、望ましくは27〜38wt%であり、より望ましくは30〜35wt%である。尿素水溶液の濃度が25〜40wt%であると、潜熱量が大きくなり、蓄冷材として望ましいものとなる。尿素の純度は特に限定されないが、通常90%以上が用いられる。
尿素の含有量(総量)は、潜熱蓄冷材全体に対して、20wt%以上35wt%以下が望ましく、21wt%以上34wt%以下がより望ましく、23wt%以上33wt%以下がさらに望ましい。
本開示の潜熱蓄冷材は、尿素と尿素誘導体を含み、融点調整剤兼過冷却防止剤である尿素誘導体は1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を含む。尿素誘導体は1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素のみからなることが望ましい。1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)は、2:3〜3:2であり、望ましくは4:5〜5:4であり、より望ましくは6:7〜7:6であり、さらに望ましくは略等量である。本明細書において、「略等量」の語は、1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の量(wt%)が完全に一致する場合も含め、ある程度の誤差(望ましくは1.5wt%未満)を許容する意味で用いる。1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素の純度は特に限定されないが、通常90%以上が用いられる。
本開示の潜熱蓄冷材において、尿素誘導体の含有量(総量)は、潜熱蓄冷材に含まれる尿素の総重量(100wt%)に対して10〜75wt%であり、望ましくは15〜75wt%であり、より望ましくは20〜75wt%であり、さらに望ましくは46〜73wt%である。
尿素誘導体の含有量(総量)は、潜熱蓄冷材全体に対して、1wt%以上20wt%以下が望ましく、2wt%以上19wt%以下がより望ましく、3wt%以上18wt%以下がさらに望ましい。
本開示の潜熱蓄冷材には、尿素誘導体以外の過冷却防止剤を添加してもよい。使用される過冷却防止剤は、特に限定されないが、ゼオライト、シリカゲルなどの多孔体などの、安価で入手容易な工業製品が望ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、本開示の潜熱蓄冷材は、公知の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、粘度調整剤、整泡剤、酸化防止剤、脱泡剤、砥粒、充填剤、顔料、染料、着色剤、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、粘着付与剤、硬化触媒、安定剤、シランカップリング剤、ワックス等の公知のものが使用できる。増粘剤としては、漏洩時の安全性向上の点から、ポリビニルアルコール系増粘剤、セルロース系増粘剤、多糖類系増粘剤などが挙げられ、これらは単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの各種添加剤は、本開示の目的を阻害しない限り、特にその種類及び使用量を限定するものではない。
本実施形態に係る潜熱蓄冷材における融解開始温度(以下、融解開始点ともいう)、吸熱ピーク、凝固開始温度(以下、凝固開始点ともいう)は、JIS K 7121(2012)に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって測定できる。示差走査熱量測定には、公知の示差走査熱量計を使用できる。示差走査熱量計としては、例えば、Perkin Elmer Japan社の入力補償型ダブルファーネスDSC8500を使用できる。測定条件は、後記する実施例に記載のとおりである。測定結果から、図1に示されるように、凝固開始点103、融解開始点104、吸熱ピーク105を特定することができる。吸熱ピークとは、示差走査熱量測定(DSC)の測定結果において、熱量変化によりベースラインから下に凸の形状の下至点として現れるピークのことを意味し、ピークが複数ある場合はすべてのピークの平均値を意味する。図1では、示差走査熱量測定の降温曲線101を破線で示し、示差走査熱量測定の昇温曲線102を実線で示す。
本実施形態に係る潜熱蓄冷材における融解開始温度は、−25℃以上−19℃以下の範囲にあることが望ましい。本実施形態に係る潜熱蓄冷材における融解時の吸熱ピークは、−22℃以上−10℃以下の範囲にあることが望ましい。本実施形態に係る潜熱蓄冷材における凝固開始温度は、−32℃以上融解開始温度未満の範囲にあることが望ましい。
本実施形態に係る潜熱蓄冷材において、融解開始温度と凝固開始温度の差は、12℃以内であることが望ましく、11℃以内であることがより望ましく、10℃以内であることがさらに望ましい。
本実施形態に係る潜熱蓄冷材としては、冷却(蓄冷)時には−32℃以上で結晶(固相)化し、放熱(放冷)時には−25℃以上−19℃以下に融解開始温度を持つものが特に望ましい。
本実施形態に係る潜熱蓄冷材において、潜熱量は、210J/g以上が望ましく、213J/g以上がより望ましく、220J/g以上がさらに望ましい。上限は、特に限定されないが、330J/g以下であってもよい。潜熱量は、JIS K 7122(2012)に準じて示差走査熱量測定(DSC)により測定できる。示差走査熱量測定には、公知の示差走査熱量計を使用できる。示差走査熱量計としては、例えば、Perkin Elmer Japan社の入力補償型ダブルファーネスDSC8500を用いて測定できる。測定条件は、後記する実施例に記載のとおりである。
潜熱蓄冷材の製造方法は特に限定されないが、例えば、容器に入れた純水またはイオン交換水に、尿素を徐々に攪拌しながら所定量まで投入し、十分混合した後、本実施形態に係る尿素誘導体を徐々に攪拌しながら所定量まで投入し、他の添加剤もこれと同時またはこの前後で添加し、混合および/または攪拌する方法、予め尿素や添加剤を混合しておき、純水またはイオン交換水に注入し、最後に増粘剤を添加する方法、などがある。なお、尿素、尿素誘導体、及び他の添加剤の投入順序は任意であり、かつ、溶解を促進するために40℃程度まで水溶液を加熱することも可能である。但し、60〜80℃の範囲において長時間加熱すると、尿素が分解してアンモニアが発生する可能性があるため、加熱温度は60℃未満が望ましい。
蓄冷材の形態は特に限定されないが、通常は、上述で作製した蓄冷材を耐食性に優れた金属または樹脂材料に封入する形態となる。また形状としては、塊状、板状、シート状などがある。内容積に対して表面積の割合を増やした方が、蓄冷、放冷の応答性は向上する。冷凍庫で蓄冷した後に蓄冷材が配置される場所としては、輸送・保管用のボックスやコンテナなどの容器内などが考えられる。
使用環境としては、常温以下を保つことが望ましい。冷凍用であるため、一般的には冷凍庫と常温の間を周期的に繰り返すことになり、40℃以上の高温環境下に長時間曝されることはまずないが、仮に50℃以上に長時間放置されると、尿素の一部が分解されてアンモニアが発生する可能性がある。
以下に、実施例により本開示の蓄熱材組成物をより詳細に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されない。
本開示の潜熱蓄冷材の評価基準を以下に示す。潜熱蓄冷材について、冷凍用途として−22℃以上−10℃以下の冷熱が必要なため、潜熱蓄冷材には、吸熱ピークは−22℃以上−10℃以下であることが求められる。また、吸熱ピークとの関係から、融解開始温度は−25℃以上−19℃以下であることが望ましい。さらに、蓄冷のために必要な電気エネルギー、引いては冷却コストを抑制するため、凝固開始温度は−40℃よりもできるだけ高いことが求められ、−32℃以上が望ましい。さらにまた、潜熱量は、実用性の観点から、210J/g以上が求められる。融解開始温度、吸熱ピーク、凝固開始温度、および潜熱量の測定にはPerkin Elmer Japan社の入力補償型ダブルファーネスDSC8500を用いた。
<凝固開始温度の評価基準>
○:−32.0℃以上
×:−32.0℃未満
<吸熱ピークの評価基準>
○:−22.0℃以上−10.0℃以下
×:−22.0℃未満または−10.0℃より高い
<融解開始温度の評価基準>
○:−25.0℃以上−19.0℃以下
×:−25.0℃未満または−19.0℃より高い
<潜熱量の評価基準>
○:210J/g以上
×:210J/g未満
以上の評価結果を総合的に評価し、凝固開始温度と融解開始温度と差が12℃以内であり、冷凍用蓄冷材として適合するものについては総合評価として「○」とし、適合しないものについては「×」とした。
[実施例1〜4および比較例1〜4]
32.5wt%尿素水溶液に対して、尿素誘導体として1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を下記表1に示す量で添加し、攪拌均一混合し、潜熱蓄冷材を得た。
得られた蓄冷材A〜H(実施例1〜4および比較例1〜4)について、融解開始温度、吸熱ピーク、凝固開始温度、および潜熱量を、示差走査熱量計(入力補償型ダブルファーネスDSC8500、Perkin Elmer Japan社)を用いて以下の条件で測定した。AからHの結果を表1に示す。また、蓄冷材DのDSC結果を図1に、蓄冷材AのDSC結果を図2に示す。
DSCのプログラム:降温速度1℃/分→−50℃で5分保持→昇温速度1℃/分→10℃
Figure 2017036350
表1の潜熱蓄冷材AとBは、1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素の両方の尿素誘導体を等量含み、尿素の含有量が水の重量に対して32.5wt%であり、尿素誘導体の総量が尿素の重量に対して16〜38wt%であり、吸熱ピークが約−10.3〜14.4℃の範囲にあり、凝固開始温度が−28.0〜−31.0℃の範囲にあり、また、潜熱量が233〜235J/gであることから、−12℃程度の冷凍温度向けの用途に望ましい。
潜熱蓄冷材CとDは、1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素の両方の尿素誘導体を等量含み、尿素の含有量が水の重量に対して32.5wt%であり、尿素誘導体の総量が尿素の重量に対して54〜65wt%であり、全ての評価基準に適合しており望ましいが、潜熱量の観点からはCの方が冷凍用蓄冷材としてより望ましい。
潜熱蓄冷材において、−12℃程度に蓄冷したい場合には潜熱蓄冷材A・B(好適には尿素誘導体の総量が尿素の重量に対して16wt%以上46wt%以下)、−15℃程度に蓄冷したい場合にはC・D(好適には尿素誘導体の総量が尿素の重量に対して47wt%以上〜75wt%)が望ましい。
潜熱蓄冷材EとFは、尿素誘導体の総量が尿素の重量に対して87〜108wt%であり、凝固開始温度が−40〜−39℃と低く、さらに、潜熱量も193J/g以下であり、望ましくない。
潜熱蓄冷材GとHは、尿素誘導体の総量が尿素の重量に対して130〜152wt%の潜熱蓄冷材であり、凝固開始温度が−50〜−40℃と低く、さらに、潜熱量も174J/g以下であり、望ましくない。
[比較例5]
従来の蓄冷材組成である塩化ナトリウム15wt%および塩化アンモニウム10wt%を含む水溶液Iの融解開始温度と吸熱ピーク、凝固開始温度、潜熱量をDSCで測定した。Iの結果を下記表2および図3に示す。
Figure 2017036350
潜熱蓄冷材Iは、塩化ナトリウム15wt%および塩化アンモニウム10wt%の混合水溶液である従来の蓄冷材組成であり、凝固開始温度が−40℃のため、望ましくない。
以上の評価から、蓄冷材組成としてはA〜Dが望ましく、吸熱ピークの位置から、−12℃程度に蓄冷したい場合には蓄冷材AとB、−15℃程度に蓄冷したい場合には、蓄冷材CとDが望ましい結果を示した。
[比較例6、7]
水に対して、尿素誘導体として1,3−ジメチル尿素または1,1,3,3−テトラメチル尿素を下記表3に示す量で添加し、攪拌均一混合し、尿素を含まない潜熱蓄冷材JおよびKを得た。
Figure 2017036350
潜熱蓄冷材Jは、融解開始温度が−30℃であり、凝固開始温度が−36℃であり、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。潜熱蓄冷材Kは、融解開始温度が−32℃であり、吸熱ピークが−26℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超える上、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。
[比較例8、9]
水、尿素、および下記表4に記載の尿素誘導体を、下記表4に示す量で添加し、攪拌均一混合し、潜熱蓄冷材LおよびMを得た。
Figure 2017036350
尿素誘導体として1,1−ジメチル尿素のみを含む潜熱蓄冷材Lは、凝固開始温度が−38℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超える上、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。尿素誘導体として1,3−ジメチル尿素のみを含む潜熱蓄冷材Mは、凝固開始温度が−36℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超えるため、望ましくない。
[比較例10〜15]
水、尿素、および下記表5に記載の尿素誘導体を、下記表5に示す量で添加し、攪拌均一混合し、潜熱蓄冷材N、O、P、Q、RおよびSを得た。
Figure 2017036350
尿素誘導体として1,1,3,3−テトラメチル尿素のみを含む潜熱蓄冷材Nは、凝固開始温度が−35℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。尿素誘導体としてヒドロキシ尿素のみを含む潜熱蓄冷材Oは、融解開始温度が−13℃と高く、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、吸熱ピークが−10℃より高いため、望ましくない。尿素誘導体として2−ヒドロキシエチル尿素のみを含む潜熱蓄冷材Pは、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。尿素誘導体としてN−エチル尿素のみを含む潜熱蓄冷材Qは、凝固開始温度が−36℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、十分な潜熱も得られないため、望ましくない。尿素誘導体として1,3−ジエチル尿素のみを含む潜熱蓄冷材Rは、融解開始温度が−13.5℃と高く、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、吸熱ピークが−10℃より高いため、望ましくない。尿素誘導体としてチオ尿素のみを含む潜熱蓄冷材Sは、融解開始温度が−12℃と高く、吸熱ピークが−10℃より高いため、望ましくない。
[比較例16、17]
水、尿素、および下記表6に記載の化合物を、下記表6に示す量で添加し、攪拌均一混合し、潜熱蓄冷材TおよびUを得た。
Figure 2017036350
尿素とカルバミン酸エチルを含む潜熱蓄冷材Tは、融解開始温度が−13.5℃と高く、凝固開始温度が−35℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、吸熱ピークが−10℃より高いため、望ましくない。尿素とアセトアミドを含む潜熱蓄冷材Uは、凝固開始温度が−38℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。
[比較例18〜22]
水、尿素、および下記表7に記載の尿素誘導体を、下記表7に示す量で添加し、攪拌均一混合し、潜熱蓄冷材V、W、XおよびYを得た。また、水、1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を、下記表7に示す量で添加し、攪拌均一混合し、潜熱蓄冷材Zを得た。
Figure 2017036350
潜熱蓄冷材Vは、凝固開始温度が−37.5℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。潜熱蓄冷材Wは、融解開始温度が−18℃と高く、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。潜熱蓄冷材Xは、融解開始温度が−9℃と高く、吸熱ピークが−10℃より高く、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。潜熱蓄冷材Yは、融解開始温度が−29℃であり、凝固開始温度が−34℃である上、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。尿素を含まない潜熱蓄冷材Zは、凝固開始温度が−36℃であり、凝固開始温度と融解開始温度の差が12℃を超え、吸熱ピークが−10℃より高く、十分な潜熱が得られないため、望ましくない。
本開示に係る潜熱蓄冷材は、生鮮品の輸送・保管の際の冷凍に必要な冷熱を、潜熱として蓄冷し、かつ−10℃以下の一定温度で取り出せる潜熱蓄冷材として広く利用可能である。この蓄冷材は、蓄冷容器に充填され、予め冷凍機で冷凍して使用されるものである。
101 示差走査熱量測定の降温曲線
102 示差走査熱量測定の昇温曲線
103 凝固開始点
104 融解開始点
105 吸熱ピーク

Claims (6)

  1. 水、尿素および尿素誘導体を含み、
    前記尿素誘導体が1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素を含み、
    1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)が2:3〜3:2であり、
    尿素の含有量が水の重量に対して25〜40wt%であり、
    尿素誘導体の含有量が尿素の重量に対して10〜75wt%である、
    潜熱蓄冷材。
  2. 尿素誘導体が1,1−ジメチル尿素および1,3−ジメチル尿素のみからなる、請求項1に記載の潜熱蓄冷材。
  3. 尿素誘導体の含有量が尿素の重量に対して16〜73wt%である、請求項1または2に記載の潜熱蓄冷材。
  4. 融解開始温度が−25℃以上−19℃以下の範囲にあり、融解時の吸熱ピークが−22℃以上−10℃以下の範囲にあり、かつ凝固開始温度が−32℃以上の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潜熱蓄冷材。
  5. 融解開始温度と凝固開始温度の差が12℃以内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の潜熱蓄冷材。
  6. 1,1−ジメチル尿素と1,3−ジメチル尿素の配合比(重量比)が4:5〜5:4である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の潜熱蓄冷材。
JP2015156353A 2015-08-06 2015-08-06 潜熱蓄冷材 Active JP6575859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015156353A JP6575859B2 (ja) 2015-08-06 2015-08-06 潜熱蓄冷材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015156353A JP6575859B2 (ja) 2015-08-06 2015-08-06 潜熱蓄冷材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017036350A true JP2017036350A (ja) 2017-02-16
JP6575859B2 JP6575859B2 (ja) 2019-09-18

Family

ID=58047632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015156353A Active JP6575859B2 (ja) 2015-08-06 2015-08-06 潜熱蓄冷材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6575859B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6997851B1 (ja) 2020-12-04 2022-01-18 シャープ株式会社 潜熱蓄熱材、保冷具、物流梱包容器及び食品保冷用具

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60101168A (ja) * 1983-11-07 1985-06-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 蓄熱材
JPH01103684A (ja) * 1987-09-10 1989-04-20 Eszakmagyar Vegyimuevek 凍結抵抗性冷却用流体
JPH11181416A (ja) * 1997-10-15 1999-07-06 Mitsubishi Chemical Corp 蓄熱材組成物
JP2000256659A (ja) * 1999-03-10 2000-09-19 Mitsubishi Chemicals Corp 蓄熱材組成物
JP2001031958A (ja) * 1999-07-23 2001-02-06 Mitsubishi Chemicals Corp 熱輸送媒体の使用方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60101168A (ja) * 1983-11-07 1985-06-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 蓄熱材
JPH01103684A (ja) * 1987-09-10 1989-04-20 Eszakmagyar Vegyimuevek 凍結抵抗性冷却用流体
JPH11181416A (ja) * 1997-10-15 1999-07-06 Mitsubishi Chemical Corp 蓄熱材組成物
JP2000256659A (ja) * 1999-03-10 2000-09-19 Mitsubishi Chemicals Corp 蓄熱材組成物
JP2001031958A (ja) * 1999-07-23 2001-02-06 Mitsubishi Chemicals Corp 熱輸送媒体の使用方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6997851B1 (ja) 2020-12-04 2022-01-18 シャープ株式会社 潜熱蓄熱材、保冷具、物流梱包容器及び食品保冷用具
WO2022118765A1 (ja) * 2020-12-04 2022-06-09 シャープ株式会社 潜熱蓄熱材、保冷具、物流梱包容器及び食品保冷用具
JP2022089579A (ja) * 2020-12-04 2022-06-16 シャープ株式会社 潜熱蓄熱材、保冷具、物流梱包容器及び食品保冷用具

Also Published As

Publication number Publication date
JP6575859B2 (ja) 2019-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6598076B2 (ja) 潜熱蓄冷材
WO2006132322A1 (ja) 蓄熱性物質、蓄熱剤、蓄熱材、熱輸送媒体、保冷剤、保冷材、蓄熱剤用融点調整剤、蓄熱剤用過冷却防止剤、及び蓄熱剤と熱輸送媒体と保冷剤のうちいずれかの主剤の製造方法
KR101457727B1 (ko) 제4급 암모늄염을 게스트 화합물로 하는 포접 수화물
WO2016204284A1 (ja) 蓄冷材組成物、蓄冷材及び輸送容器
KR101123425B1 (ko) 포접 수화물 생성용 수용액, 축열제, 포접 수화물 또는 그 슬러리의 제조 방법, 축방열 방법 및 잠열 축열제 또는 그 주성분을 생성하기 위한 수용액의 조제 방법
JP6575859B2 (ja) 潜熱蓄冷材
JP4816053B2 (ja) 蓄熱剤、熱輸送媒体、蓄熱剤用融点調整剤、蓄熱剤用過冷却防止剤、蓄熱剤または熱輸送媒体の主剤の製造方法及び塩化トリnブチルnペンチルアンモニウム水和物
JP6864742B2 (ja) 蓄冷材および蓄冷パック
JP6745287B2 (ja) 蓄熱材、これを用いた蓄熱パック、恒温容器および輸送用容器
JP6500152B1 (ja) 潜熱蓄熱材組成物
JPH1135933A (ja) 潜熱蓄冷材
GB2587070A (en) Phase change material
US20230265332A1 (en) Phase change material
JP2009079159A (ja) 包接水和物生成用の水溶液、蓄熱剤、包接水和物又はそのスラリーの製造方法、蓄放熱方法並びに潜熱蓄熱剤又はその主成分を生成するための水溶液の調製方法
JP2009051905A (ja) 包接水和物を生成する性質を有する水溶液、第四級アンモニウム塩をゲスト化合物とする包接水和物及び当該包接水和物のスラリ並びに、包接水和物の生成方法、包接水和物が生成又は成長する速度を増加させる方法及び包接水和物が生成又は成長する際に起こる過冷却現象を防止又は抑制する方法
JPH1135930A (ja) 潜熱蓄冷材
US20240076537A1 (en) Cold storage material
CN108219754A (zh) 一种冷冻型低温蓄冷剂
CN102732226A (zh) 一种低温无机储能材料组合物
JP6682712B1 (ja) 潜熱蓄熱材組成物
JP2002030279A (ja) 潜熱蓄冷材
JPWO2019013161A1 (ja) 蓄熱材、保冷容器および冷蔵庫
GB2600510A (en) Phase change material
JPH1135931A (ja) 潜熱蓄冷材
WO2022158484A1 (ja) 無機系潜熱蓄熱材組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190808

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6575859

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151