以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.カメラモジュールの第1の実施の形態
2.カメラモジュールの第2の実施の形態
3.カメラモジュールの第3の実施の形態
4.カメラモジュールの第4の実施の形態
5.カメラモジュールの第5の実施の形態
6.第4の実施の形態のカメラモジュールの詳細構成
7.カメラモジュールの第6の実施の形態
8.カメラモジュールの第7の実施の形態
9.レンズ付き基板の詳細構成
10.レンズ付き基板の製造方法
11.レンズ付き基板どうしの接合
12.カメラモジュールの第8及び第9の実施の形態
13.カメラモジュールの第10の実施の形態
14.カメラモジュールの第11の実施の形態
15.他の構造と比較した本構造の効果
16.その他の実施の形態1
17.その他の実施の形態2
18.その他の実施の形態3
19.その他の実施の形態4
20.電子機器への適用例
21.イメージセンサの使用例
22.ソフトウエア
23.その他
<1.カメラモジュールの第1の実施の形態>
図1は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第1の実施の形態を示す図である。
図1のAは、カメラモジュール1の第1の実施の形態としてのカメラモジュール1Aの構成を示す模式図である。図1のBは、カメラモジュール1Aの概略断面図である。
カメラモジュール1Aは、積層レンズ構造体11と受光素子12とを備える。積層レンズ構造体11は、縦横それぞれ5個ずつ、合計25個の光学ユニット13を備える。光学ユニット13は、1本の光軸方向に複数枚のレンズ21を含んで構成される。カメラモジュール1Aは、光学ユニット13を複数個備えた複眼カメラモジュールである。
カメラモジュール1Aが備える複数個の光学ユニット13の光軸は、図1のBに示されるように、モジュールの外側に向かって広がるように配置され、これにより広角の画像の撮影が可能とされている。
なお、図1のBでは、簡単のため、積層レンズ構造体11はレンズ21を3層だけ積層した構造になっているが、より多くのレンズ21を積層して良いことは言うまでもない。
図1のカメラモジュール1Aは、複数個の光学ユニット13を介して撮影した複数枚の画像をつなぎ合わせて、1枚の広角画像を作り出すことができる。複数枚の画像をつなぎ合わせるため、各画像を撮影する各光学ユニット13の形成および配置には、高い精度が要求される。また、特に広角側の光学ユニット13は、レンズ21への光の入射角度が小さいため、光学ユニット13の内での各レンズ21の位置関係と配置にも、高い精度が要求される。
図2は、特許文献1が開示する、樹脂による固着技術を用いた積層レンズ構造体の断面構造図である。
図2に示される積層レンズ構造体500においては、レンズ511を備えた基板512どうしを固着する手段として、樹脂513が用いられている。樹脂513は、UV硬化性などのエネルギー硬化性樹脂である。
基板512どうしを貼り合わせる前に、基板512表面全面に樹脂513の層が形成される。その後、基板512どうしが貼り合わされ、さらに、樹脂513が硬化される。これにより、貼り合わせた基板512どうしが固着される。
しかし、樹脂513を硬化させた際に、樹脂513は硬化収縮する。図2に示される構造の場合、基板512全体に樹脂513の層を形成した後、樹脂513を硬化させるため、樹脂513の変位量が大きくなってしまう。
また、基板512どうしを貼り合わせて形成した積層レンズ構造体500を個片化し、撮像素子を組み合わせてカメラモジュールを形成した後も、カメラモジュールに備わる積層レンズ構造体500は、図2に示されるように、レンズ511を備えた基板512間全体に、樹脂513が存在している。このため、カメラモジュールをカメラの筐体内に搭載し、実使用した際に、機器の発熱による温度上昇により、積層レンズ構造体500の基板間の樹脂が熱膨張する懸念がある。
図3は、図1のカメラモジュール1Aの積層レンズ構造体11のみを示した断面構造図である。
カメラモジュール1Aの積層レンズ構造体11も、レンズ21を備えたレンズ付き基板41を複数枚積層して形成されている。
カメラモジュール1Aの積層レンズ構造体11では、レンズ21を備えたレンズ付き基板41どうしを固定する手段として、図2の積層レンズ構造体500やその他の先行技術文献に示されるものとは全く異なる固定手段が用いられている。
すなわち、積層される2枚のレンズ付き基板41は、一方の基板表面に形成した酸化物や窒化物による表面層と、他方の基板表面に形成した酸化物や窒化物による表面層と、の間の共有結合によって、直接接合される。具体例として、図4に示されるように、積層する2枚のレンズ付き基板41それぞれの表面に、表面層としてシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜が形成され、これに水酸基を結合させた後、2枚のレンズ付き基板41どうしが貼り合わされ、昇温されて脱水縮合される。その結果、2枚のレンズ付き基板41の表面層の間で、シリコン−酸素共有結合が形成される。これにより2枚のレンズ付き基板41が直接接合される。なお、縮合の結果、2枚の表面層に含まれる元素同士が直接共有結合を形成することも起こり得る。
本明細書では、このように、2枚のレンズ付き基板41の間に配置した無機物の層を介して2枚のレンズ付き基板41を固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41の表面にそれぞれ配置した無機物の層どうしを化学結合させることで2枚のレンズ付き基板41を固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41の表面にそれぞれ配置した無機物の層の間に脱水縮合による結合を形成することで2枚のレンズ付き基板41を固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41の表面にそれぞれ配置した無機物の層の間に、酸素を介した共有結合あるいは互いの無機物の層に含まれる元素どうしの共有結合を形成することで2枚のレンズ付き基板41を固定すること、あるいは、2枚のレンズ付き基板41の表面にそれぞれ配置したシリコン酸化物層もしくはシリコン窒化物層の間に、シリコン―酸素共有結合あるいはシリコン―シリコン共有結合を形成することで2枚のレンズ付き基板41を固定すること、を直接接合と呼ぶ。
この貼り合わせと昇温による脱水縮合を行うため、本実施の形態では、半導体装置やフラットディスプレイ装置の製造分野で使用される基板を用いて、基板状態でレンズが形成され、基板状態で貼り合わせおよび昇温による脱水縮合が行われ、基板状態で共有結合による接合が行われる。2枚のレンズ付き基板41の表面に形成した無機物の層の間を、共有結合によって接合させた構造は、特許文献1が開示する図2で説明した技術を用いた場合に懸念される、基板全体に渡る樹脂513の硬化収縮による変形や、実使用時の樹脂513の熱膨張による変形を抑える、という作用または効果をもたらす。
図5及び図6は、積層レンズ構造体11と受光素子12を組み合わせた図1のカメラモジュール1Aを形成する工程を示す図である。
まず、図5に示されるように、各レンズ21(不図示)が平面方向に複数形成されたレンズ付き基板41Wが複数枚用意され、これらが積層される。これにより、基板状態のレンズ付き基板41Wが複数枚積層された、基板状態の積層レンズ構造体11Wが得られる。
次に、図6に示されるように、受光素子12が平面方向に複数形成された基板状態のセンサ基板43Wが、図5に示した基板状態の積層レンズ構造体11Wとは別に作製され、用意される。
そして、基板状態のセンサ基板43Wと、基板状態の積層レンズ構造体11Wが、積層され、貼り合わせた基板のモジュール毎に外部端子を着けることで、基板状態のカメラモジュール44Wが得られる。
最後に、基板状態のカメラモジュール44Wが、モジュール単位またはチップ単位に個片化される。個片化されたカメラモジュール44が、別途用意された筐体(不図示)に封入されることで、最終的なカメラモジュール44が得られる。
なお、本明細書及び図面においては、例えば、レンズ付き基板41Wのように、符号に"W"が付加された部品は、それが基板状態(ウエハ状態)であることを表し、レンズ付き基板41のように"W"が付されていないものは、モジュール単位またはチップ単位に個片化された状態であることを表す。その他、センサ基板43W、カメラモジュール44Wなどについても同様である。
図7は、積層レンズ構造体11と受光素子12を組み合わせた図1のカメラモジュール1Aを形成する別の工程を示す図である。
まず、上述した工程と同様に、基板状態のレンズ付き基板41Wが複数枚積層された、基板状態の積層レンズ構造体11Wが製造される。
次に、基板状態の積層レンズ構造体11Wが、個片化される。
また、基板状態の積層レンズ構造体11Wとは別に、基板状態のセンサ基板43Wが作製され、用意される。
そして、基板状態のセンサ基板43Wの各受光素子12の上に、個片化された積層レンズ構造体11が1個ずつマウントされる。
最後に、個片化された積層レンズ構造体11がマウントされた、基板状態のセンサ基板43Wがモジュール単位またはチップ単位に個片化される。積層レンズ構造体11がマウントされ、個片化されたセンサ基板43が、別途用意された筐体(不図示)に封入され、さらに外部端子が着けられることで、最終的なカメラモジュール44が得られる。
さらに、積層レンズ構造体11と受光素子12を組み合わせた図1のカメラモジュール1Aを形成する別の工程の例として、図7に示した基板状態のセンサ基板43Wを個片化し、その結果得られた個々の受光素子12へ、個片化後の積層レンズ構造体11をそれぞれマウントして、個片化されたカメラモジュール44を得ても良い。
図8は、カメラモジュール1Aにおけるレンズ付き基板41の構成を説明する図である。
図8のAは、図1のAと同様の、カメラモジュール1Aの構成を示す模式図である。
図8のBは、図1のBと同様の、カメラモジュール1Aの概略断面図である。
カメラモジュール1Aは、図8のBに示されるように、複数枚のレンズ21を組み合わせて形成し、1本の光軸を備えた光学ユニット13を、複数個備えた複眼カメラモジュールである。積層レンズ構造体11は、縦横それぞれ5個ずつ、合計25個の光学ユニット13を備える。
カメラモジュール1Aでは、複数個の光学ユニット13の光軸が、モジュールの外側に向かって広がるように配置され、これにより、広角の画像の撮影が可能とされている。図8のBでは、簡単のため、積層レンズ構造体11は、レンズ付き基板41を3層だけ積層した構造になっているが、より多くのレンズ付き基板41を積層して良いことは言うまでもない。
図8のC乃至Eは、積層レンズ構造体11を構成する3層のレンズ付き基板41それぞれの平面形状を示す図である。
図8のCは、3層のうちの最上層のレンズ付き基板41の平面図であり、図8のDは、中層のレンズ付き基板41の平面図であり、図8のDは、最下層のレンズ付き基板41の平面図である。カメラモジュール1は、複眼広角カメラモジュールであるため、上層になるに従って、レンズ21の径が大きくなると共に、レンズ間のピッチが広がっている。
図8のF乃至Hは、図8のC乃至Eに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。
図8のFに示されるレンズ付き基板41Wは、図8のCのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図8のGに示されるレンズ付き基板41Wは、図8のDのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図8のHに示されるレンズ付き基板41Wは、図8のEのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示している。
図8のF乃至Hに示される基板状態のレンズ付き基板41Wは、図8のAに示したカメラモジュール1Aを、基板1枚につき8個得られる構成とされている。
図8のF乃至Hの各レンズ付き基板41Wの間で、モジュール単位のレンズ付き基板41内のレンズ間のピッチは、上層のレンズ付き基板41Wと下層のレンズ付き基板41Wとで異なる一方、各レンズ付き基板41Wにおいて、モジュール単位のレンズ付き基板41を配置するピッチは、上層のレンズ付き基板41Wから下層のレンズ付き基板41Wまで、一定となっていることがわかる。
<2.カメラモジュールの第2の実施の形態>
図9は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第2の実施の形態を示す図である。
図9のAは、カメラモジュール1の第2の実施の形態としてのカメラモジュール1Bの外観を示す模式図である。図9のBは、カメラモジュール1Bの概略断面図である。
カメラモジュール1Bは、2個の光学ユニット13を備える。2個の光学ユニット13は、積層レンズ構造体11の最上層に、絞り板51を備える。絞り板51には、開口部52が設けられている。
カメラモジュール1Bは2個の光学ユニット13を備えるが、これら2つの光学ユニット13の光学パラメータは異なる。すなわち、カメラモジュール1Bは、光学性能が異なる2種類の光学ユニット13を備える。2種類の光学ユニット13は、例えば、近景を撮影するための焦点距離が短い光学ユニット13と、遠景を撮影するために焦点距離が長い光学ユニット13とすることができる。
カメラモジュール1Bでは、2つの光学ユニット13の光学パラメータが異なるため、例えば、図9のBに示されように、2つの光学ユニット13のレンズ21の枚数が異なる。また、2つの光学ユニット13が備える積層レンズ構造体11の同じ層のレンズ21において、径、厚さ、表面形状、体積、または、隣接するレンズとの距離、のいずれかが異なる構成が可能となっている。このため、カメラモジュール1Bにおけるレンズ21の平面形状は、例えば、図9のCに示されるように、2つの光学ユニット13が同じ径のレンズ21を備えていても良いし、図9のDに示すように、 異なる形状のレンズ21を備えていても良いし、図9のEに示すように、一方がレンズ21を備えない空洞21Xとなった構造でも良い。
図9のF乃至Hは、図9のC乃至Eに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。
図9のFに示されるレンズ付き基板41Wは、図9のCのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図9のGに示されるレンズ付き基板41Wは、図9のDのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示し、図9のHに示されるレンズ付き基板41Wは、図9のEのレンズ付き基板41に対応する基板状態を示している。
図9のF乃至Hに示される基板状態のレンズ付き基板41Wは、図9のAに示したカメラモジュール1Bを、基板1枚につき16個得られる構成とされている。
図9のF乃至Hに示されるように、カメラモジュール1Bを形成するために、基板状態のレンズ付き基板41Wの基板全面に同じ形状のレンズを形成することや、異なる形状のレンズを形成することや、レンズを形成したり形成しなかったりすることが可能である。
<3.カメラモジュールの第3の実施の形態>
図10は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第3の実施の形態を示す図である。
図10のAは、カメラモジュール1の第3の実施の形態としてのカメラモジュール1Cの外観を示す模式図である。図10のBは、カメラモジュール1Cの概略断面図である。
カメラモジュール1Cは、光の入射面上に、縦横2個ずつ、合計4個の光学ユニット13を備える。4個の光学ユニット13どうしでは、レンズ21の形状は同じになっている。
4個の光学ユニット13は、積層レンズ構造体11の最上層に、絞り板51を備えるが、その絞り板51の開口部52の大きさが、4個の光学ユニット13の間で異なる。これにより、カメラモジュール1Cは、例えば、以下のようなカメラモジュール1Cを実現することができる。すなわち、例えば防犯用の監視カメラにおいて、昼間のカラー画像監視用に、RGB3種類のカラーフィルタを備えてRGB3種の光を受光する受光画素と、夜間の白黒画像監視用に、RGB用のカラーフィルタを備えない受光画素と、を備えた受光素子12を用いたカメラモジュール1Cにおいて、照度が低い夜間の白黒画像を撮影するための画素だけ絞りの開口の大きさを大きくすることが可能となる。このため、1個のカメラモジュール1Cにおけるレンズ21の平面形状は、例えば図10のCに示されるように、4つの光学ユニット13が備えるレンズ21の径は同じであって、かつ、図10のDに示されるように、絞り板51の開口部52の大きさは、光学ユニット13によっては異なる。
図10のEは、図10のCに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。図10のFは、図10のDに示した絞り板51を得るための、基板状態での絞り板51Wを示す平面図である。
図10のEの基板状態のレンズ付き基板41W、及び、図10のFの基板状態の絞り板51Wでは、図10のAに示したカメラモジュール1Cを、基板1枚につき8個得られる構成とされている。
図10のFに示されるように、基板状態での絞り板51Wでは、カメラモジュール1Cを形成するために、カメラモジュール1Cが備える光学ユニット13毎に、異なる開口部52の大きさを設定することができる。
<4.カメラモジュールの第4の実施の形態>
図11は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第4の実施の形態を示す図である。
図11のAは、カメラモジュール1の第4の実施の形態としてのカメラモジュール1Dの外観を示す模式図である。図11のBは、カメラモジュール1Dの概略断面図である。
カメラモジュール1Dは、カメラモジュール1Cと同様に、光の入射面上に、縦横2個ずつ、合計4個の光学ユニット13を備える。4個の光学ユニット13どうしでは、レンズ21の形状と絞り板51の開口部52の大きさは同じになっている。
カメラモジュール1Dは、光の入射面の縦方向と横方向のそれぞれについて2個ずつ配置した光学ユニット13に備わる光軸が、同じ方向に延びている。図11のBに示される1点鎖線は、光学ユニット13それぞれの光軸を表している。この様な構造のカメラモジュール1Dは、超解像技術を利用して、1個の光学ユニット13で撮影するよりも、解像度が高い画像を撮影することに適している。
カメラモジュール1Dでは、縦方向と横方向のそれぞれについて、光軸が同じ方向を向きながら、異なる位置に配置された複数個の受光素子12で画像を撮影することにより、あるいは1個の受光素子12の中の異なる領域の受光画素で画像を撮影することにより、光軸が同じ方向を向きながら、必ずしも同一ではない複数枚の画像を得ることができる。これら同一ではない複数枚の画像が持っている場所毎の画像データを合わせることで、解像度が高い画像を得ることができる。このため、1個カメラモジュール1Dにおけるレンズ21の平面形状は、図11のCに示されるように、4つの光学ユニット13で同じになっていることが望ましい。
図11のDは、図11のCに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。基板状態のレンズ付き基板41Wは、図11のAに示したカメラモジュール1Dを、基板1枚につき8個得られる構成とされている。
図11のDに示されるように、基板状態のレンズ付き基板41Wでは、カメラモジュール1Dを形成するために、カメラモジュール1Dが複数個のレンズ21を備え、この1個のモジュール用のレンズ群が、基板上に一定のピッチで複数個配置されている。
<5.カメラモジュールの第5の実施の形態>
図12は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第5の実施の形態を示す図である。
図12のAは、カメラモジュール1の第5の実施の形態としてのカメラモジュール1Eの外観を示す模式図である。図12のBは、カメラモジュール1Eの概略断面図である。
カメラモジュール1Eは、1本の光軸を有する光学ユニット13をカメラモジュール1E内に1個備える、単眼のカメラモジュールである。
図12のCは、カメラモジュール1Eにおけるレンズ21の平面形状を示すレンズ付き基板41の平面図である。カメラモジュール1Eは、1個の光学ユニット13を備える。
図12のDは、図12のCに示したレンズ付き基板41を得るための、基板状態のレンズ付き基板41Wの平面図である。基板状態のレンズ付き基板41Wは、図12のAに示したカメラモジュール1Eを、基板1枚につき32個得られる構成とされている。
図12のDに示されるように、基板状態のレンズ付き基板41Wでは、カメラモジュール1E用のレンズ21が、基板上に一定のピッチで複数個配置されている。
<6.第4の実施の形態のカメラモジュールの詳細構成>
次に、図13を参照して、図11に示した第4の実施の形態に係るカメラモジュール1Dの詳細構成について説明する。
図13は、図11のBに示したカメラモジュール1Dの断面図である。
カメラモジュール1Dは、複数のレンズ付き基板41a乃至41eが積層された積層レンズ構造体11と、受光素子12を含んで構成される。積層レンズ構造体11は、 複数個の光学ユニット13を備える。1点鎖線84は、それぞれの光学ユニット13の光軸を表す。受光素子12は、積層レンズ構造体11の下側に配置されている。カメラモジュール1Dにおいて、上方からカメラモジュール1D内へと入射した光は、積層レンズ構造体11を透過し、積層レンズ構造体11の下側に配置された受光素子12で受光される。
積層レンズ構造体11は、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを備える。5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを特に区別しない場合には、単に、レンズ付き基板41と記述して説明する。
積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状は、下側(受光素子12を配置する側)に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となっている
積層レンズ構造体11の上には、絞り板51が配置されている。絞り板51は、例えば、光吸収性もしくは遮光性を有する材料で形成された層を備える。絞り板51には、開口部52が設けられている。
受光素子12は、例えば、表面照射型または裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサで構成される。受光素子12の積層レンズ構造体11側となる上側の面には、オンチップレンズ71が形成されており、受光素子12の下側の面には、信号を入出力する外部端子72が形成されている。
積層レンズ構造体11、受光素子12、絞り板51などは、レンズバレル74に収納されている。
受光素子12の上側には、構造材73が配置されている。その構造材73を介して、積層レンズ構造体11と受光素子12とが固定されている。構造材73は、例えばエポキシ系の樹脂である。
本実施の形態では、積層レンズ構造体11は、積層された5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを備えるが、レンズ付き基板41の積層枚数は2枚以上であれば特に限定されない。
積層レンズ構造体11を構成するそれぞれのレンズ付き基板41は、担体基板81にレンズ樹脂部82が追加された構成である。担体基板81は貫通孔83を有し、貫通孔83の内側に、レンズ樹脂部82が形成されている。レンズ樹脂部82は、上述したレンズ21を含み、担体基板81まで延在してレンズ21を担持する部位も併せて、レンズ21を構成する材料によって一体となった部分を表す。
なお、レンズ付き基板41a乃至41eそれぞれの担体基板81、レンズ樹脂部82、または、貫通孔83を区別する場合には、図13に示されるように、レンズ付き基板41a乃至41eに対応して、担体基板81a乃至81e、レンズ樹脂部82a乃至82e、または、貫通孔83a乃至83eのように記述して説明する。
<レンズ樹脂部の詳細説明>
次に、レンズ付き基板41aのレンズ樹脂部82aを例に、レンズ樹脂部82の形状について説明する。
図14は、レンズ付き基板41aを構成する担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図14に示される担体基板81aとレンズ樹脂部82aの断面図は、平面図に示されているB‐B'線とC‐C'線の断面図である。
レンズ樹脂部82aは、レンズ21を構成する材料によって一体となって形成した部位であり、レンズ部91と担持部92を備える。上述した説明において、レンズ21とは、レンズ部91またはレンズ樹脂部82a全体に相当する。
レンズ部91は、レンズとしての性能を有する部位、言い換えれば、「光を屈折させて集束もしくは発散させる部位」、あるいは、「凸面や凹面や非球面などの曲面を備えた部位、もしくはフレネルレンズや回折格子を利用したレンズで用いる複数個の多角形を連続して配置した部位」である。
担持部92は、レンズ部91から担体基板81aまで延在してレンズ部91を担持する部位である。担持部92は、腕部101と脚部102で構成され、レンズ部91の外周に位置する。
腕部101は、レンズ部91の外側に、レンズ部91に接して配置し、レンズ部91から外側方向へ一定の膜厚で延在する部位である。脚部102は、担持部92のなかで腕部101以外の部分で、かつ貫通孔83aの側壁に接する部分を含む部位である。脚部102は、腕部101よりも樹脂の膜厚が厚いことが好ましい。
担体基板81aに形成された貫通孔83aの平面形状は円形であり、その断面形状は当然直径の方向によらず同じである。レンズ形成時に上型と下型の形によって決まる形状であるレンズ樹脂部82aの形状も、その断面形状が直径の方向によらず同じとなるように形成されている。
図15は、図13のカメラモジュール1Dの一部である積層レンズ構造体11と絞り板51を示す断面図である。
カメラモジュール1Dでは、モジュールに入射される光が絞り板51で絞られた後、積層レンズ構造体11の内部で広げられて、積層レンズ構造体11の下方に配置された受光素子12(図15では不図示)へと入射される。すなわち、積層レンズ構造体11全体について概観すると、モジュールに入射された光は、絞り板51の開口部52から下側に向かって、ほぼ末広がりに広がって進行する。このため、積層レンズ構造体11に備わるレンズ樹脂部82の大きさの一例として、図15の積層レンズ構造体11においては、絞り板51の直下に配置されたレンズ付き基板41aに備わるレンズ樹脂部82aが最も小さく、積層レンズ構造体11の最下層に配置されたレンズ付き基板41eに備わるレンズ樹脂部82eが最も大きくなっている。
仮にレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82の厚さを一定にした場合、大きさが小さなレンズよりも大きなレンズを作る方が難しい。それは例えば、レンズを製造する際にレンズに加わる荷重によってレンズが変形しやすい、大きさが大きいゆえに強度を保つのが難しい、との理由による。このため、大きさが大きなレンズは、大きさが小さなレンズよりも、厚さを厚くすることが好ましい。このため、図15の積層レンズ構造体11においては、レンズ樹脂部82の厚さは、最下層に配置したレンズ付き基板41eに備わるレンズ樹脂部82eが最も厚くなっている。
図15の積層レンズ構造体11は、レンズ設計の自由度を高めるために、さらに以下の特徴の少なくとも一つを備える。
(1) 担体基板81の厚さが、積層レンズ構造体11を構成する少なくとも複数枚のレンズ付き基板41の間で異なる。例えば、担体基板81の厚さが、下層のレンズ付き基板41の方が厚い。
(2) レンズ付き基板41に備わる貫通孔83の開口幅が、積層レンズ構造体11を構成する少なくとも複数枚のレンズ付き基板41の間で異なる。例えば、貫通孔83の開口幅が、下層のレンズ付き基板41の方が大きい。
(3) レンズ付き基板41に備わるレンズ部91の直径が、積層レンズ構造体11を構成する少なくとも複数枚のレンズ付き基板41の間で異なる。例えば、レンズ部91の直径が、下層のレンズ付き基板41のレンズ部91の方が大きい。
(4) レンズ付き基板41に備わるレンズ部91の厚さが、積層レンズ構造体11を構成する少なくとも複数枚のレンズ付き基板41の間で異なる。例えば、レンズ部91の厚さが、下層のレンズ付き基板41のレンズ部91の方が厚い。
(5) レンズ付き基板41に備わるレンズ間の距離が、積層レンズ構造体11を構成する少なくとも複数枚のレンズ付き基板41の間で異なる。
(6) レンズ付き基板41に備わるレンズ樹脂部82の体積が、積層レンズ構造体11を構成する少なくとも複数枚のレンズ付き基板41の間で、異なる。例えば、レンズ樹脂部82の体積が、下層のレンズ付き基板41のレンズ樹脂部82の方が大きい。
(7) レンズ付き基板41に備わるレンズ樹脂部82の材料が、積層レンズ構造体11を構成する少なくとも複数枚のレンズ付き基板41の間で異なる。
一般的に、カメラモジュールに入射される入射光は、垂直入射光と射入射光とを併せて含んでいる。射入射光の多くは絞り板51に当たり、そこで吸収もしくはカメラモジュール1Dの外側へ反射される。絞り板51によって絞りきれなかった射入射光は、その入射角度によっては貫通孔83の側壁に当たってしまい、そこで反射される可能性がある。
射入射光の反射光が進行する方向は、図13において示される、射入射光85の入射角度と、貫通孔83の側壁の角度とによって決まる。貫通孔83の開口幅が、入射側から受光素子12側へ向かって大きくなる、いわゆる、末広がりの形状の場合、絞り板51によって絞りきれなかった特定の入射角度の射入射光85が、貫通孔83の側壁に当たってしまった際には、それが受光素子12方向へと反射されてしまい、これが迷光あるいはノイズ光となる可能性がある。
しかしながら、図13に示した積層レンズ構造体11においては、図15に示されるように、貫通孔83は、下側(受光素子12を配置する側)に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となっている。この形状の場合、貫通孔83の側壁に当たった射入射光85は、下側方向いわゆる受光素子12の方向ではなく、上側方向、いわゆる入射側方向へと反射される。これにより、迷光あるいはノイズ光の発生を抑えるという作用または効果が得られる。
レンズ付き基板41の貫通孔83は、その側壁に当たって反射される光を低減するために、光吸収性の材料を側壁に配置するとなお良い。
一例として、カメラモジュール1Dをカメラとして使用する際に受光したい波長の光(例えば可視光)を、第1の光とし、その第1の光とは波長が異なる光(例えばUV光)を、第2の光とした場合、第2の光(UV光)によって硬化する樹脂に、第1の光(可視光)の吸収材料としてカーボン粒子を分散させたものを、担体基板81の表面に塗布または噴射し、貫通孔83の側壁部の樹脂のみに第2の光(UV光)を照射して硬化させ、これ以外の領域の樹脂を除去することで、貫通孔83の側壁に、第1の光(可視光)に対する光吸収性を有する材料の層を形成して良い。
図15に示した積層レンズ構造体11は、積層した複数枚のレンズ付き基板41の一番上に、絞り板51を配置した構造の例である。絞り板51は、積層した複数枚のレンズ付き基板41の一番上ではなく、中間のレンズ付き基板41のどこかに挿入して配置しても良い。
さらに別の例として、板状の絞り板51をレンズ付き基板41と別に備えるのではなく、レンズ付き基板41の表面に、光吸収性を有する材料の層を形成して、これを絞りとして機能させても良い。例えば、上記第2の光(UV光)によって硬化する樹脂に、上記第1の光(可視光)の吸収材料としてカーボン粒子を分散させたものを、レンズ付き基板41の表面に塗布または噴射し、絞りとして機能させる際に光を透過させたい領域を除いて、それ以外の領域の樹脂へ第2の光(UV光)を照射して、上記樹脂を硬化させて残し、硬化させなかった領域、すなわち絞りとして機能させる際に光を透過させたい領域、の樹脂を除去することで、レンズ付き基板41の表面に絞りを形成しても良い。
なお、上記表面に絞りを形成するレンズ付き基板41は、積層レンズ構造体11の最上層に配置されたレンズ付き基板41であって良いし、あるいは、積層レンズ構造体11の内層となるレンズ付き基板41であっても良い。
図15に示した積層レンズ構造体11は、レンズ付き基板41を積層した構造を備える。
別の実施形態として、積層レンズ構造体11は、レンズ付き基板41を複数枚と、レンズ樹脂部82を備えない担体基板81を少なくも1枚、併せて備えた構造であっても良い。この構造において、レンズ樹脂部82を備えない担体基板81は、積層レンズ構造体11の最下層もしくは最上層に配置しても良いし、積層レンズ構造体11における内側の層として配置しても良い。この構造は、例えば、積層レンズ構造体11が備える複数枚のレンズ間の距離や、積層レンズ構造体11の最下層のレンズ樹脂部82と積層レンズ構造体11の下側に配置される受光素子12との距離を、任意に設定し得る、と言う作用または効果をもたらす。
あるいはまた、この構造は、レンズ樹脂部82を備えない担体基板81の開口幅を適切に設定し、かつ、開口部を除いた領域に光吸収性を有する材料を配置することによって、これを絞り板として機能させ得る、と言う作用または効果をもたらす。
<7.カメラモジュールの第6の実施の形態>
図16は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第6の実施の形態を示す図である。
図16において、図13に示した第4の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、図13のカメラモジュール1Dと異なる部分に注目して説明する。
図16に示されるカメラモジュール1Fにおいても、図13に示したカメラモジュール1Dと同様に、入射した光が、絞り板51で絞られた後、積層レンズ構造体11の内部で広がり、積層レンズ構造体11の下方に配置された受光素子12へと入射される。すなわち、積層レンズ構造体11全体について概観すると、光は、絞り板51の開口部52から下側に向かって、末広がりに広がって進行する。
図16のカメラモジュール1Fは、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41の貫通孔83の断面形状が、下側(受光素子12を配置する側)に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となっている点が、図13に示したカメラモジュール1Dと異なる。
カメラモジュール1Fの積層レンズ構造体11は、入射した光が、絞り板51の開口部52から下側に向かって末広がりに広がって進行する構造であるため、貫通孔83の開口幅が下側向かって大きくなる末広がり形状は、貫通孔83の開口幅が下側に向かって小さくなる下すぼみ形状よりも、例えば、担体基板81が光路の邪魔になりにくい。これにより、レンズ設計の自由度が高いという作用をもたらす。
また、担持部92を含めたレンズ樹脂部82の基板平面方向の断面積は、貫通孔83の開口幅が下側に向かって小さくなる下すぼみ形状の場合、レンズ樹脂部82の下面においては、レンズ21に入射した光線を透過させるために特定の大きさとなり、かつ、レンズ樹脂部82の下面から上面に向かって、その断面積が大きくなって行く。
これに対して、貫通孔83の開口幅が下側向かって大きくなる末広がり形状の場合、レンズ樹脂部82の下面における断面積は、下すぼみ形状の場合と概ね同じとなるが、レンズ樹脂部82の下面から上面に向かって、その断面積が小さくなって行く。
これにより、貫通孔83の開口幅が下側に向かって大きくなる構造は、担持部92を含めたレンズ樹脂部82の大きさを、小さく抑えることができるという作用または効果をもたらす。また、これにより、先に述べたレンズが大きい場合に生じるレンズ形成の難しさを、低減できるという作用または効果をもたらす。
<8.カメラモジュールの第7の実施の形態>
図17は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第7の実施の形態を示す図である。
図17においても、図13と対応する部分については同一の符号を付してあり、図13に示したカメラモジュール1Dと異なる部分に注目して説明する。
図17のカメラモジュール1Gは、やはり、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の形状が、図13に示したカメラモジュール1Dと異なる。
カメラモジュール1Gの積層レンズ構造体11は、貫通孔83の形状が、下側(受光素子12を配置する側)に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となったレンズ付き基板41と、貫通孔83の形状が、下側に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となったレンズ付き基板41と、の双方を備える。
貫通孔83が、下側に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となったレンズ付き基板41は、先に述べたように、貫通孔83の側壁に当たった射入射光85が、上側方向いわゆる入射側方向へと反射され、これにより迷光あるいはノイズ光の発生を抑える、という作用または効果をもたらす。
そこで、図17の積層レンズ構造体11においては、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41のうち、特に上側(入射側)の複数枚において、貫通孔83が、下側に向かって開口幅が小さくなる、いわゆる下すぼみの形状となったレンズ付き基板41が用いられている。
貫通孔83が、下側に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となったレンズ付き基板41は、先に述べたように、レンズ付き基板41に備わる担体基板81が光路の邪魔となりにくく、これによって、レンズ設計の自由度が増す、あるいは、レンズ付き基板41に備わる担持部92を含めたレンズ樹脂部82の大きさを小さく抑える、という作用または効果をもたらす。
図17の積層レンズ構造体11においては、光は絞りから下側に向かって、末広がりに広がって進行するため、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41のうち、下側に配置した何枚かのレンズ付き基板41に備わるレンズ樹脂部82の大きさが大きい。このような大きいレンズ樹脂部82において、末広がりの形状の貫通孔83を用いると、レンズ樹脂部82の大きさを抑制する作用が大きく現れる。
そこで、図17の積層レンズ構造体11においては、積層レンズ構造体11を構成する複数枚のレンズ付き基板41のうち、特に下側の複数枚において、貫通孔83が、下側に向かって開口幅が大きくなる、いわゆる末広がりの形状となったレンズ付き基板41を用いている。
<9.レンズ付き基板の詳細構成>
次に、レンズ付き基板41の詳細構成について説明する。
図18は、レンズ付き基板41の詳細構成を示す断面図である。
なお、図18では、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eのうちの、最上層のレンズ付き基板41aが図示されているが、その他のレンズ付き基板41も同様に構成されている。
レンズ付き基板41の構成としては、図18のA乃至Cのいずれかの構成をとることができる。
図18のAに示されるレンズ付き基板41には、担体基板81に設けられた貫通孔83に対して、上面からみて貫通孔83を塞ぐようにレンズ樹脂部82が形成されている。レンズ樹脂部82は、図14を参照して説明したように、中央部のレンズ部91(不図示)と、その周辺部の担持部92(不図示)で構成される。
レンズ付き基板41の貫通孔83となる側壁には、光反射を起因とするゴーストやフレアを防止するために光吸収性もしくは遮光性を有する膜121が成膜されている。これらの膜121を便宜的に遮光膜121と呼ぶ。
担体基板81とレンズ樹脂部82の上側表面には、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む上側表面層122が形成されており 、担体基板81とレンズ樹脂部82の下側表面には、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む下側表面層123が形成されている。
上側表面層122は、一例として、低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した反射防止膜を構成している。反射防止膜は、例えば、低屈折膜と高屈折膜を交互に合計4層積層して構成することができる。低屈折膜は、例えば、SiOx(1≦x≦2)、SiOC、SiOFなどの酸化膜、高屈折膜は、例えば、TiO、TaO、Nb2O5などの金属酸化膜で構成される。
なお、上側表面層122の構成は、例えば、光学シミュレーションを用いて所望の反射防止性能が得られるように設計されていればよく、低屈折膜及び高屈折膜の材料、膜厚、積層数などは特に限定されない。本実施の形態では、上側表面層122の最表面は、低屈折膜となっており、その膜厚は、例えば20乃至1000nm、密度は、例えば2.2乃至2.5g/cm3、平坦度が、例えば1nm以下程度の二乗平均粗さRq(RMS)となっている。また、詳細は後述するが、この上側表面層122は、他のレンズ付き基板41と接合される際の接合膜にもなっている。
上側表面層122は、一例として、低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した反射防止膜であって良く、そのなかでも無機物の反射防止膜であって良い。上側表面層122は、別の例として、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む単層膜であっても良く、そのなかでも無機物の膜であっても良い。
下側表面層123も、一例として、低屈折膜と高屈折膜を交互に複数層積層した反射防止膜であって良く、そのなかでも無機物の反射防止膜であって良い。下側表面層123は、別の例として、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む単層膜であっても良く、そのなかでも無機物の膜であっても良い。
図18のB及びCのレンズ付き基板41については、図18のAに示したレンズ付き基板41と異なる部分についてのみ説明する。
図18のBに示されるレンズ付き基板41においては、担体基板81とレンズ樹脂部82の下側表面に形成されている膜が、図18のAに示したレンズ付き基板41と異なる。
図18のBのレンズ付き基板41では、担体基板81の下側表面には、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む下側表面層124が形成されている一方、レンズ樹脂部82の下側表面には、下側表面層124が形成されていない。下側表面層124は、上側表面層122と同一材料でもよいし、異なる材料でもよい。
このような構造は、例えば、レンズ樹脂部82を形成する前に、担体基板81の下側表面に下側表面層124を形成しておき、その後、レンズ樹脂部82を形成する製法により、形成し得る。あるいは、レンズ樹脂部82を形成した後に、レンズ樹脂部82にマスクを形成し、担体基板81上にはマスクを形成しない状態で、下側表面層124を構成する膜を、例えばPVDにより、担体基板81の下側表面に堆積させることで、形成し得る。
図18のCのレンズ付き基板41においては、担体基板81の上側表面に、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む上側表面層125が形成されている一方、レンズ樹脂部82の上側表面には、上側表面層125が形成されていない。
同様に、レンズ付き基板41の下側表面においても、担体基板81の下側表面に、酸化物もしくは窒化物あるいはその他の絶縁物を含む下側表面層124が形成されている一方、レンズ樹脂部82の下側表面には、下側表面層124が形成されていない。
このような構造は、例えば、レンズ樹脂部82が形成される前に、担体基板81に上側表面層125と下側表面層124を形成しておき、その後、レンズ樹脂部82を形成する製法により、形成し得る。あるいは、レンズ樹脂部82を形成した後に、レンズ樹脂部82にマスクを形成し、担体基板81上にはマスクを形成しない状態で、上側表面層125および下側表面層124を構成する膜を、例えばPVDにより、担体基板81の表面に堆積させることで、形成し得る。下側表面層124と上側表面層125は、同一材料でもよいし、異なる材料でもよい。
レンズ付き基板41は、以上のように構成することができる。
<10.レンズ付き基板の製造方法>
次に、図19乃至図29を参照して、レンズ付き基板41の製造方法を説明する。
初めに、複数の貫通孔83が形成された基板状態の担体基板81Wが用意される。担体基板81Wは、例えば、通常の半導体装置に用いる、シリコンの基板を用いることができる。担体基板81Wの形状は、例えば図19のAに示されるような円形で、その直径は、例えば200mmや300mmなどとされる。担体基板81Wは、シリコンの基板ではなく、例えば、ガラスの基板、樹脂の基板、あるいは金属の基板であっても良い。
また、貫通孔83の平面形状は、本実施の形態では、図19のAに示されるように円形であるとするが、図19のBに示されるように、貫通孔83の平面形状は、例えば四角形などの多角形であっても良い。
貫通孔83の開口幅は、例えば、100μm程度から20mm程度まで採り得る。この場合、担体基板81Wには、例えば100個程度から500万個程度まで配置し得る。
本明細書においては、レンズ付き基板41の平面方向における貫通孔83の大きさを、開口幅と呼ぶ。開口幅は、特に断り書きがが無い限り、貫通孔83の平面形状が四角形である場合は一辺の長さ、貫通孔83の平面形状が円形である場合は直径を意味する。
貫通孔83は、図20に示されるように、担体基板81Wの第1の表面における第1の開口幅131よりも、第1の表面と対向する第2の表面における第2の開口幅132の方が、小さくなっている。
第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さい貫通孔83の3次元形状の例として、貫通孔83は、図20のAに示される円錐台の形状であって良いし、多角形の角錐台の形状であっても良い。貫通孔83の側壁の断面形状は、図20のAに示されるような直線であって良いし、図20のBに示されるような曲線であってもよい。あるいはまた、図20のCに示されるように、段差があっても良い。
第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さい形状である貫通孔83は、貫通孔83内に樹脂を供給し、この樹脂を、第1と第2の表面のそれぞれから対向する方向へ型部材で押すことでレンズ樹脂部82を形成する際に、レンズ樹脂部82となる樹脂が、対向する2つの型部材からの力を受けて、貫通孔83の側壁に押し付けられる。これにより、レンズ樹脂部82となる樹脂と担体基板との密着強度が高くなるという作用をもたらし得る。
なお、貫通孔83の他の実施の形態として、第1の開口幅131と第2の開口幅132が等しい形状、すなわち貫通孔83の側壁の断面形状が垂直となる形状であっても良い。
<ウェットエッチングを用いた貫通孔の形成方法>
担体基板81Wの貫通孔83は、担体基板81Wをウェットエッチングにより、エッチングすることによって形成することができる。具体的には、担体基板81Wをエッチングする前に、担体基板81Wの非開口領域がエッチングされることを防ぐためのエッチングマスクが、担体基板81Wの表面に形成される。エッチングマスクの材料には、例えばシリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜などの絶縁膜が用いられる。エッチングマスクは、エッチングマスク材料の層を担体基板81Wの表面に形成し、この層に貫通孔83の平面形状となるパターンを開口することで、形成される。エッチングマスクが形成された後、担体基板81Wをエッチングすることにより、担体基板81Wに貫通孔83が形成される。
担体基板81Wとして、例えば、基板表面方位が(100)の単結晶シリコンを使用する場合、貫通孔83を形成するためには、KOHなどのアルカリ性の溶液を用いた結晶異方性ウェットエッチングを採用することができる。
基板表面方位が(100)の単結晶シリコンである担体基板81Wに、KOHなどのアルカリ性の溶液を用いた結晶異方性ウェットエッチングを行うと、開口側壁に(111)面が現れるようにエッチングが進行する。その結果、エッチングマスクの開口部の平面形状が円形もしくは四角形のどちらであっても、平面形状が四角形であって、貫通孔83の開口幅は第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さく、貫通孔83の3次元形状が角錐台もしくはこれに類似の形状となる貫通孔83が得られる。角錐台となる貫通孔83の側壁の角度は、基板平面に対して、約55°の角度となる。
貫通孔形成のためのエッチングは、別の実施の例として、国際公開第2011/010739号などに開示された、結晶方位の制約を受けずに任意の形状にシリコンをエッチング可能な薬液を用いたウェットエッチングによって行っても良い。この薬液としては、例えば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液に、界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの少なくとも1つを加えた薬液、もしくは、KOH水溶液にイソプロピルアルコールを加えた薬液、などを採用することができる。
基板表面方位が(100)の単結晶シリコンである担体基板81Wに、上述したいずれかの薬液を用いて貫通孔83形成のためのエッチングを行うと、エッチングマスクの開口部の平面形状が円形である場合は、平面形状が円形であって、第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さく、3次元形状が円錐台もしくはこれに類似の形状、となる貫通孔83が得られる。
エッチングマスクの開口部の平面形状が四角形である場合には、平面形状が四角形であって、開口幅は第1の開口幅131よりも第2の開口幅132の方が小さく、3次元形状が角錐台もしくはこれに類似の形状、となる貫通孔83が得られる。上記円錐台もしくは角錐台となる貫通孔83の側壁の角度は、基板平面に対して、約45°の角度となる。
<ドライエッチングを用いた貫通孔の形成方法>
また、貫通孔83形成のエッチングには、上述したウェットエッチングではなく、ドライエッチングを用いることも可能である。
図21を参照して、ドライエッチングを用いた貫通孔83の形成方法について説明する。
図21のAに示されるように、担体基板81Wの一方の表面に、エッチングマスク141が形成される。エッチングマスク141は、貫通孔83を形成する部分が開口されたマスクパターンとなっている。
次に、図21のBに示されるように、エッチングマスク141の側壁を保護するための保護膜142が形成された後、図21のCに示されるように、ドライエッチングにより担体基板81Wが所定の深さでエッチングされる。ドライエッチング工程により、担体基板81W表面とエッチングマスク141表面の保護膜142は除去されるが、エッチングマスク141側面の保護膜142は残存し、エッチングマスク141の側壁は保護される。エッチング後、図21のDに示されるように、側壁の保護膜142が除去され、エッチングマスク141が、開口パターンのパターンサイズを大きくする方向に後退される。
そして、再び、図21のB乃至Dの保護膜形成工程、ドライエッチング工程、エッチングマスク後退工程が、複数回繰り返し行われる。これにより、図21のEに示されるように、担体基板81Wは、周期性のある段差を持つ階段形状(凹凸形状)となるようにエッチングされる。
最後に、エッチングマスク141が除去されると、図21のFに示されるように、階段形状の側壁をもつ貫通孔83が、担体基板81Wに形成される。貫通孔83の階段形状の平面方向の幅(1段の幅)は、例えば、400nm乃至1μm程度とされる。
以上のようにドライエッチングを用いて貫通孔83を形成する場合には、保護膜形成工程、ドライエッチング工程、エッチングマスク後退工程が繰り返し実行される。
貫通孔83の側壁が周期性のある階段形状(凹凸形状)であることにより、入射光の反射を抑制することができる。また、仮に、貫通孔83の側壁がランダムな大きさの凹凸形状である場合には、貫通孔83内に形成されるレンズと側壁との間の密着層にボイド(空隙)が発生し、そのボイドが原因でレンズとの密着性が低下する場合がある。しかしながら、上述した形成方法によれば、貫通孔83の側壁は周期性のある凹凸形状となるので、密着性が向上し、レンズ位置ずれによる光学特性の変化を抑制することができる。
各工程で使用される材料の一例としては、例えば、担体基板81Wは単結晶シリコン、エッチングマスク141はフォトレジスト、保護膜142は、C4F8やCHF3などのガスプラズマを用いて形成するフロカーボンポリマー、エッチング処理は、SF6/O2、C4F8/SF6などFを含むガスを用いたプラズマエッチング、マスク後退工程は、O2ガス、CF4/O2などO2を含むプラズマエッチングとすることができる。
あるいはまた、担体基板81Wは単結晶シリコン、エッチングマスク141はSiO2、エッチングは、Cl2を含むプラズマ、保護膜142は、O2プラズマを用いてエッチング対象材を酸化させた酸化膜、エッチング処理は、Cl2を含むガスを用いたプラズマエッチングマスク後退工程は、CF4/O2などFを含むガスを用いたプラズマエッチングとすることができる。
以上のように、ウェットエッチング、または、ドライエッチングにより、担体基板81Wに、複数の貫通孔83を同時形成することができるが、担体基板81Wには、図22のAに示されるように、貫通孔83を形成していない領域に貫通溝151を形成しても良い。
図22のAは、貫通孔83に加えて貫通溝151を形成した担体基板81Wの平面図である。
貫通溝151は、例えば、図22のAに示されるように、行列状に配置された複数個の貫通孔83を避けて、行方向と列方向のそれぞれの貫通孔83の間の一部にだけ配置される。
また、担体基板81Wの貫通溝151は、積層レンズ構造体11を構成する各レンズ付き基板41どうしで、同一の位置に配置することができる。この場合には、積層レンズ構造体11として複数枚の担体基板81Wが積層された状態では、図22のBの断面図のように、複数枚の担体基板81Wの貫通溝151が、複数枚の担体基板81Wの間で貫通した構造となる。
レンズ付き基板41の一部としての担体基板81Wの貫通溝151は、例えば、レンズ付き基板41を変形させる応力がレンズ付き基板41の外部から働く場合に、応力によるレンズ付き基板41の変形を緩和する作用または効果をもたらし得る。
あるいは、貫通溝151は、例えば、レンズ付き基板41を変形させる応力がレンズ付き基板41の内部から発生する場合に、応力によるレンズ付き基板41の変形を緩和する作用または効果をもたらし得る。
<レンズ付き基板の製造方法>
次に、図23を参照して、基板状態のレンズ付き基板41Wの製造方法について説明する。
初めに、図23のAに示されるように、貫通孔83が複数形成された担体基板81Wが用意される。貫通孔83の側壁には遮光膜121が成膜されている。図23では、紙面の制約上、2個の貫通孔83のみが示されているが、実際には、図19で示したように、担体基板81Wの平面方向に、多数の貫通孔83が形成されている。また、担体基板81Wの外周に近い領域には、位置合わせのためのアライメントマーク(不図示)が形成されている。
担体基板81W上側の表側平坦部171と、下側の裏側平坦部172は、後の工程で行われるプラズマ接合が可能な程度に平坦に形成された平坦面となっている。担体基板81Wの厚みは、最終的にレンズ付き基板41として個片化され、他のレンズ付き基板41と重ねられた際に、レンズ間距離を決定するスペーサとしての役割も担っている。
担体基板81Wには、熱膨張係数が10ppm/℃以下の低熱膨張係数の基材を用いるのが好ましい。
次に、図23のBに示されるように、凹形状の光学転写面182が一定の間隔で複数配置された下型181の上に、担体基板81Wが配置される。より詳しくは、凹形状の光学転写面182が担体基板81Wの貫通孔83の内側に位置するように、担体基板81Wの裏側平坦部172と下型181の平坦面183とが重ね合わされる。下型181の光学転写面182は、担体基板81Wの貫通孔83と1対1に対応するように形成されており、対応する光学転写面182と貫通孔83の中心が光軸方向で一致するように、担体基板81Wと下型181の平面方向の位置が調整される。下型181は、硬質の型部材で形成されており、例えば、金属やシリコン、石英、ガラスで構成される。
次に、図23のCに示されるように、重ね合わされた下型181と担体基板81Wの貫通孔83の内側に、エネルギー硬化性樹脂191が充填(滴下)される。レンズ樹脂部82は、このエネルギー硬化性樹脂191を用いて形成される。そのため、エネルギー硬化性樹脂191は、気泡を含まないようにあらかじめ脱泡処理されていることが好ましい。脱泡処理としては、真空脱泡処理、または、遠心力による脱泡処理であることが好ましい。また、真空脱泡処理は充填後に行うことが好ましい。脱泡処理を行うことにより、気泡を抱き込むことなく、レンズ樹脂部82の成形が可能となる。
次に、図23のDに示されるように、重ね合わされた下型181と担体基板81Wの上に、上型201が配置される。上型201には、凹形状の光学転写面202が一定の間隔で複数配置されており、下型181を配置したときと同様に、貫通孔83の中心と光学転写面202の中心が光軸方向で一致するように、精度良く位置決めされた上で、上型201が配置される。
紙面上の縦方向となる高さ方向については、上型201と下型181との間隔を制御する制御装置により、上型201と下型181との間隔が予め定めた距離となるように、上型201の位置が固定される。このとき、上型201の光学転写面202と下型181の光学転写面182とで挟まれる空間は、光学設計によって計算されたレンズ樹脂部82(レンズ21)の厚みと等しくなる。
あるいはまた、図23のEに示されるように、下型181を配置したときと同様に、上型201の平坦面203と、担体基板81Wの表側平坦部171とを、重ね合わせても良い。この場合、上型201と下型181との距離は、担体基板81Wの厚みと同値となり、平面方向及び高さ方向の高精度な位置合わせが可能となる。
上型201と下型181との間隔が予め設定した距離となるように制御したとき、上述した図23のCの工程において、担体基板81Wの貫通孔83の内側に滴下されたエネルギー硬化性樹脂191の充填量は、担体基板81Wの貫通孔83と、その上下の上型201及び下型181とで囲まれる空間から溢れないようにコントロールされた量となっている。これにより、エネルギー硬化性樹脂191の材料を無駄にすることなく、製造コストを削減することができる。
続いて、図23のEに示される状態において、エネルギー硬化性樹脂191の硬化処理が行われる。エネルギー硬化性樹脂191は、例えば、熱またはUV光をエネルギーとして与え、所定の時間放置することで、硬化する。硬化中には、上型201を下方向に押し込んだり、アライメントをすることにより、エネルギー硬化性樹脂191の収縮による変形を最小限に抑制することができる。
エネルギー硬化性樹脂191の代わりに、熱可塑性樹脂を用いても良い。その場合には、図23のEに示される状態において、上型201と下型181を昇温することでエネルギー硬化性樹脂191がレンズ形状に成形され、冷却することで硬化する。
次に、図23のFに示されるように、上型201と下型181の位置を制御する制御装置が、上型201を上方向、下型181を下方向へ移動させて、上型201と下型181を担体基板81Wから離型する。上型201と下型181が担体基板81Wから離型されると、担体基板81Wの貫通孔83の内側に、レンズ21を含むレンズ樹脂部82が形成されている。
なお、担体基板81Wと接触する上型201と下型181の表面をフッ素系またはシリコン系等の離型剤でコーティングしてもよい。そのようにすることにより、上型201と下型181から担体基板81Wを容易に離型することができる。また、担体基板81Wとの接触面から容易に離型する方法として、フッ素含有DLC(Diamond Like Carbon)等の各種コーティングを行ってもよい。
次に、図23のGに示されるように、担体基板81Wとレンズ樹脂部82の表面に上側表面層122が形成され、担体基板81Wとレンズ樹脂部82の裏面に、下側表面層123が形成される。上側表面層122及び下側表面層123の成膜前後において、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)等を行うことで、担体基板81Wの表側平坦部171と裏側平坦部172を平坦化してもよい。
以上のように、担体基板81Wに形成された貫通孔83に、エネルギー硬化性樹脂191を上型201と下型181を用いて加圧成型(インプリント)することで、レンズ樹脂部82を形成し、レンズ付き基板41を製造することができる。
光学転写面182及び光学転写面202の形状は、上述した凹形状に限定されるものではなく、レンズ樹脂部82の形状に応じて適宜決定される。図15に示したように、レンズ付き基板41a乃至41eのレンズ形状は、光学系設計により導出された様々な形状をとることができ、例えば、両凸形状、両凹形状、平凸形状、平凹形状、凸メニスカス形状、凹メニスカス形状、更には高次非球面形状などでもよい。
また、光学転写面182及び光学転写面202の形状は、形成後のレンズ形状がモスアイ構造となる形状とすることもできる。
上述した製造方法によれば、エネルギー硬化性樹脂191の硬化収縮によるレンズ樹脂部82どうしの平面方向の距離の変動を、担体基板81Wの介在によって断ち切ることができるので、レンズ距離間精度を高精度に制御することができる。また、強度の弱いエネルギー硬化性樹脂191を、強度の強い担体基板81Wによって補強する効果がある。これにより、ハンドリング性の良いレンズを複数配置したレンズアレイ基板を提供することができるとともに、レンズアレイ基板の反りを抑制できる効果を有する。
<貫通孔形状が多角形の例>
図19のBに示したように、貫通孔83の平面形状は、例えば四角形などの多角形であっても良い。
図24は、貫通孔83の平面形状が四角形である場合の、レンズ付き基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図24におけるレンズ付き基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
B‐B'線断面図とC‐C'線断面図を比較して判るように、貫通孔83aが四角形の場合、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの上部外縁までの距離、および、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの下部外縁までの距離は、四角形である貫通孔83aの辺方向と対角線方向とで異なり、対角線方向の方が大きい。このため、貫通孔83aの平面形状が四角形の場合、レンズ部91を円形にすると、レンズ部91外周から貫通孔83a側壁までの距離、言い換えれば、担持部92の長さを、四角形の辺方向と対角線方向とで異なる長さにする必要がある。
そこで、図24に示されるレンズ樹脂部82aは、以下の構造を備える。
(1)レンズ部91の外周に配置した腕部101の長さは、四角形の辺方向と対角線方向とで同じである。
(2)腕部101の外側に配置し、貫通孔83a側壁まで延在する脚部102の長さは、四角形の辺方向の脚部102の長さよりも対角線方向の脚部102の長さの方を、長くしている。
図24に示されるように、脚部102は、レンズ部91に直接は接していない一方、腕部101は、レンズ部91に直接接している。
図24のレンズ樹脂部82aでは、レンズ部91に直接接している腕部101の長さと厚さを、レンズ部91の外周全体に渡って一定にすることで、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支える、という作用または効果をもたらし得る。
さらに、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支えることにより、例えば、貫通孔83aを取り囲む担体基板81aから、貫通孔83aの外周全体に渡って応力が加わるような場合には、これをレンズ部91全体に偏りなく伝えることで、レンズ部91の特定の部分だけに偏って応力が伝わることを抑える、という作用または効果をもたらし得る。
図25は、平面形状が四角形である貫通孔83のその他の例について示す、レンズ付き基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図25におけるレンズ付き基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
図25においても、図22と同様に、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの上部外縁までの距離、および、貫通孔83aの中心から貫通孔83aの下部外縁までの距離は、四角形である貫通孔83aの辺方向と対角線方向とで異なり、対角線方向の方が大きい。このため、貫通孔83aの平面形状が四角形の場合、レンズ部91を円形にすると、レンズ部91外周から貫通孔83a側壁までの距離、言い換えれば、担持部92の長さを、四角形の辺方向と対角線方向とで異なる長さにする必要がある。
そこで、図25に示されるレンズ樹脂部82aは、以下の構造を備える。
(1)レンズ部91の外周に配置した脚部102の長さを、貫通孔83aの四角形の4つの辺に沿って、一定にしている。
(2)上記(1)の構造を実現するために、腕部101の長さは、四角形の辺方向の腕部の長さよりも対角線方向の腕部の長さの方を、長くしている。
図25に示されるように、脚部102は腕部101よりも、樹脂の膜厚が厚い。このため、レンズ付き基板41aの平面方向の単位面積当たりの体積も、脚部102は腕部101よりも大きい。
図25の実施例では、脚部102の体積をできるだけ小さくし、かつ、貫通孔83aの四角形の4辺に沿って一定にすることで、例えば樹脂の膨潤のような変形が発生するような場合には、これによる体積変化をできるだけ抑え、かつ体積変化がレンズ部91の外周全体に渡ってできるだけ偏らないようにする、という作用または効果をもたらし得る。
図26は、レンズ付き基板41のレンズ樹脂部82と貫通孔83の他の実施形態を示す断面図である。
図26に示されるレンズ樹脂部82と貫通孔83は、以下の構造を備える。
(1)貫通孔83の側壁は、段付き部221を備える段付き形状である。
(2)レンズ樹脂部82の担持部92の脚部102が、貫通孔83の側壁上方に配置されるだけでなく、貫通孔83に備わる段付き部221の上にも、レンズ付き基板41の平面方向に延在している。
図27を参照して、図26に示した段付き形状の貫通孔83の形成方法について説明する。
初めに、図27のAに示されるように、担体基板81Wの一方の面に、貫通孔開口の際のウェットエッチングに対する耐性を有するエッチングストップ膜241が形成される。エッチングストップ膜241は、例えば、シリコン窒化膜とすることができる。
次いで、担体基板81Wのもう一方の面に、貫通孔開口の際のウェットエッチングに対する耐性を有するハードマスク242が形成される。ハードマスク242も、例えばシリコン窒化膜とすることができる。
次に、図27のBに示されるように、ハードマスク242の所定の領域が、1回目のエッチングのために開口される。1回目のエッチングでは、貫通孔83の段付き部221の上段となる部分がエッチングされる。このため、1回目のエッチングのためのハードマスク242の開口部は、図26に記載のレンズ付き基板41の上側基板表面における開口に対応した領域となる。
次に、図27のCに示されるように、ウェットエッチングにより、ハードマスク242の開口部に応じて、担体基板81Wが所定の深さ分だけエッチングされる。
次に、図27のDに示されるように、エッチング後の担体基板81Wの表面に、ハードマスク243が改めて形成され、貫通孔83の段付き部221の下側となる部分に対応してハードマスク243が開口される。2回目のハードマスク243も、例えばシリコン窒化膜を採用することができる。
次に、図27のEに示されるように、ウェットエッチングにより、ハードマスク243の開口部に応じて、エッチングストップ膜241に到達するまで担体基板81Wがエッチングされる。
最後に、図27のFに示されるように、担体基板81Wの上側表面のハードマスク243と、下側表面のエッチングストップ膜241が除去される。
以上のように、ウェットエッチングによる貫通孔形成のための担体基板81Wのエッチングを2回に分けて行うことで、図26に示した段付き形状の貫通孔83が得られる。
図28は、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83aの平面形状が円形である場合の、レンズ付き基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図28におけるレンズ付き基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
貫通孔83aの平面形状が円形である場合、貫通孔83aの断面形状は当然直径の方向によらず同じである。これに加えて、レンズ樹脂部82aの外縁、腕部101、及び脚部102の断面形状も、直径の方向によらず同じとなるように形成されている。
図28の段付き形状を有する貫通孔83aは、貫通孔83a内に段付き部221を備えない図14の貫通孔83aと比較して、レンズ樹脂部82の担持部92の脚部102が、貫通孔83aの側壁と接触する面積を大きくできる、という作用または効果をもたらす。また、これにより、レンズ樹脂部82と貫通孔83aの側壁との密着強度、言い換えれば、レンズ樹脂部82aと担体基板81Wとの密着強度を増加させる、という作用または効果をもたらす。
図29は、貫通孔83aが段付き部221を有し、かつ、貫通孔83aの平面形状が四角形である場合の、レンズ付き基板41aの担体基板81aとレンズ樹脂部82aの平面図と断面図である。
図29におけるレンズ付き基板41aの断面図は、平面図のB‐B'線とC‐C'線における断面図を示している。
図29に示されるレンズ樹脂部82と貫通孔83は、以下の構造を備える。
(1)レンズ部91の外周に配置した腕部101の長さは、四角形の辺方向と対角線方向とで同じである。
(2)腕部101の外側に配置し、貫通孔83aの側壁まで延在する脚部102の長さは、四角形の辺方向の脚部102の長さよりも、対角線方向の脚部102の長さが長い。
図29に示されるように、脚部102は、レンズ部91に直接は接していない一方、腕部101は、レンズ部91に直接接している。
図29のレンズ樹脂部82aでは、図24に記載のレンズ樹脂部82aと同様に、レンズ部91に直接接している腕部101の長さと厚さを、レンズ部91の外周全体に渡って一定にすることで、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支える、という作用または効果をもたらし得る。
さらに、レンズ部91全体を偏りなく一定の力で支えることにより、例えば、貫通孔83aを取り囲む担体基板81aから、貫通孔83aの外周全体に渡って応力が加わるような場合には、これをレンズ部91全体に偏りなく伝えることで、レンズ部91の特定の部分だけに偏って応力が伝わることを抑える、という作用または効果をもたらし得る。
さらに、図29の貫通孔83aの構造は、貫通孔83a内に段付き部221を備えない図24等の貫通孔83aと比較して、レンズ樹脂部82aの担持部92の脚部102が、貫通孔83aの側壁と接触する面積を大きくできる、という作用または効果をもたらす。これにより、レンズ樹脂部82aと貫通孔83aの側壁部との密着強度、言い換えれば、レンズ樹脂部82aと担体基板81aとの密着強度が増加する、という作用または効果をもたらす。
<11.レンズ付き基板どうしの直接接合>
次に、複数のレンズ付き基板41が形成された基板状態のレンズ付き基板41Wどうしの直接接合について説明する。
以下の説明では、図30に示されるように、複数のレンズ付き基板41aが形成された基板状態のレンズ付き基板41Wを、レンズ付き基板41W−aと記述し、複数のレンズ付き基板41bが形成された基板状態のレンズ付き基板41Wを、レンズ付き基板41W−bと記述する。その他のレンズ付き基板41c乃至41eについても同様に表す。
図31を参照して、基板状態のレンズ付き基板41W−aと、基板状態のレンズ付き基板41W−bとの直接接合について説明する。
なお、図31では、レンズ付き基板41W−aの各部と対応するレンズ付き基板41W−bの部分には、レンズ付き基板41W−aと同じ符号を付して説明する。
レンズ付き基板41W−aとレンズ付き基板41W−bの上側表面には、上側表面層122または125が形成されている。レンズ付き基板41W−aとレンズ付き基板41W−bの下側表面には、下側表面層123または124が形成されている。そして、図31のAに示されるように、レンズ付き基板41W−aと41W−aの接合される面となる、レンズ付き基板41W−aの裏側平坦部172を含む下側表面全体、及び、レンズ付き基板41W−bの表側平坦部171を含む上側表面全体に、プラズマ活性処理が施される。プラズマ活性処理に使用されるガスは、O2、N2、He、Ar、H2などプラズマ処理可能なガスであれば何でもよい。ただし、プラズマ活性処理に使用されるガスとして、上側表面層122及び下側表面層123の構成元素と同じガスを使用すると、上側表面層122及び下側表面層123の膜自体の変質を抑制することができるので、好ましい。
そして、図31のBに示されるように、活性化された表面状態のレンズ付き基板41W−aの裏側平坦部172と、レンズ付き基板41W−bの表側平坦部171とを貼り合わせる。
このレンズ付き基板どうしの貼り合わせ処理により、レンズ付き基板41W−aの下側表面層123または124の表面のOH基の水素とレンズ付き基板41W−bの上側表面層122または125の表面のOH基の水素との間に水素結合が生じる。これにより、レンズ付き基板41W−aとレンズ付き基板41W−bとが固定される。このレンズ付き基板どうしの貼り合わせ処理は、大気圧の条件下で行い得る。
上記貼り合わせ処理を行ったレンズ付き基板41W−aとレンズ付き基板41W−bに、アニール処理を加える。これによりOH基どうしが水素結合した状態から脱水縮合が起きて、レンズ付き基板41W−aの下側表面層123または124と、レンズ付き基板41W−bの上側表面層122または125との間に、酸素を介した共有結合が形成される。あるいは、レンズ付き基板41W−aの下側表面層123または124に含まれる元素と、レンズ付き基板41W−bの上側表面層122または125に含まれる元素とが共有結合する。これらの結合により、2枚のレンズ付き基板が強固に固定される。このように、上側に配置したレンズ付き基板41Wの下側表面層123または124と、下側に配置したレンズ付き基板41Wの上側表面層122または125との間に共有結合が形成され、これによって2枚のレンズ付き基板41Wが固定されることを、本明細書では直接接合と呼ぶ。特許文献1が開示する複数枚のレンズ付き基板を基板全面に渡って樹脂によって固着する方法は、樹脂の硬化収縮や熱膨張とこれによるレンズの変形の懸念がある。これに対して、本技術の直接接合は、複数枚のレンズ付き基板41Wを固定する際に樹脂を用いないため、これによる硬化収縮や熱膨張を起こすことなく、複数枚のレンズ付き基板41Wを固定することができる、という作用または効果をもたらす。
上記アニール処理も、大気圧の条件下で行い得る。このアニール処理は、脱水縮合を行うため、100℃以上または150℃以上もしくは200℃以上で行い得る。一方、このアニール処理は、レンズ樹脂部82を形成するためのエネルギー性硬化樹脂191を熱から保護する観点やエネルギー性硬化樹脂191からの脱ガスを抑える観点から、400℃以下または350℃以下もしくは300℃以下で行い得る。
上記レンズ付き基板41Wどうしの貼り合わせ処理あるいは上記レンズ付き基板41Wどうしの直接接合処理を、仮に大気圧以外の条件下で行った場合には、接合されたレンズ付き基板41W−aとレンズ付き基板41W−bを大気圧の環境に戻すと、接合されたレンズ樹脂部82とレンズ樹脂部82との間の空間と、レンズ樹脂部82の外部との圧力差が生じてしまう。この圧力差により、レンズ樹脂部82に圧力が加わり、レンズ樹脂部82が変形してしまう懸念がある。
上記レンズ付き基板41Wどうしの貼り合わせ処理あるいは上記レンズ付き基板どうしの直接接合処理の双方を、大気圧の条件下で行うことは、接合を大気圧以外の条件下で行った場合に懸念されるレンズ樹脂部82の変形を回避することができる、という作用または効果をもたらす。
プラズマ活性処理を施した基板を直接接合する、言い換えればプラズマ接合することで、例えば、接着剤として樹脂を用いた場合のような流動性、熱膨張を抑制することができるので、レンズ付き基板41W−aとレンズ付き基板41W−bを接合する際の位置精度を向上させることができる。
レンズ付き基板41W−aの裏側平坦部172と、レンズ付き基板41W−bの表側平坦部171には、上述したように、上側表面層122または下側表面層123が成膜されている。この上側表面層122及び下側表面層123は、先に行ったプラズマ活性処理により、ダングリングボンドが形成されやすくなっている。即ち、レンズ付き基板41W−aの裏側平坦部172に成膜した下側表面層123と、レンズ付き基板41W−bの表側平坦部171に成膜した上側表面層122は、接合強度を増加させる役割も有している。
また、上側表面層122または下側表面層123が酸化膜で構成されている場合には、プラズマ(O2)による膜質変化の影響を受けないため、レンズ樹脂部82に対しては、プラズマによる腐食を抑制する効果も有する。
以上のように、複数のレンズ付き基板41aが形成された基板状態のレンズ付き基板41W−aと、複数のレンズ付き基板41bが形成された基板状態のレンズ付き基板41W−が、プラズマによる表面活性化処理を施したうえで直接接合される、言い換えれば、プラズマ接合を用いて接合される。
図32は、図31を参照して説明した基板状態のレンズ付き基板41Wどうしの接合方法を用いて、図13の積層レンズ構造体11に対応する5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを基板状態で積層する第1の積層方法を示している。
最初に、図32のAに示されるように、積層レンズ構造体11において最下層に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−eが用意される。
次に、図32のBに示されるように、積層レンズ構造体11において下から2層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−dが、基板状態のレンズ付き基板41W−eの上に接合される。
次に、図32のCに示されるように、積層レンズ構造体11において下から3層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−cが、基板状態のレンズ付き基板41W−dの上に接合される。
次に、図32のDに示されるように、積層レンズ構造体11において下から4層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−bが、基板状態のレンズ付き基板41W−cの上に接合させる。
次に、図32のEに示されるように、積層レンズ構造体11において下から5層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−aが、基板状態のレンズ付き基板41W−bの上に接合される。
最後に、図32のFに示されるように、積層レンズ構造体11においてレンズ付き基板41aの上層に位置する絞り板51Wが、基板状態のレンズ付き基板41W−aの上に接合される。
以上のように、基板状態の5枚のレンズ付き基板41W-a乃至41W-eを、積層レンズ構造体11における下層のレンズ付き基板41Wから、上層のレンズ付き基板41Wへと、1枚ずつ順番に積層していくことで、基板状態の積層レンズ構造体11Wが得られる。
図33は、図31を参照して説明した基板状態のレンズ付き基板41Wどうしの接合方法を用いて、図13の積層レンズ構造体11に対応する5枚のレンズ付き基板41a乃至41eを基板状態で積層する第2の積層方法を示している。
最初に、図33のAに示されるように、積層レンズ構造体11においてレンズ付き基板41aの上層に位置する絞り板51Wが用意される。
次に、図33のBに示されるように、積層レンズ構造体11において最上層に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−aが、上下を反転させたうえで、絞り板51Wの上に接合される。
次に、図33のCに示されるように、積層レンズ構造体11において上から2層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−bが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41W−aの上に接合される。
次に、図33のDに示されるように、積層レンズ構造体11において上から3層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−cが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41W−bの上に接合される。
次に、図33のEに示されるように、積層レンズ構造体11において上から4層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−dが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41W−cの上に接合される。
最後に、図33のFに示されるように、積層レンズ構造体11において上から5層目に位置する基板状態のレンズ付き基板41W−eが、上下を反転させたうえで、基板状態のレンズ付き基板41W−dの上に接合される。
以上のように、基板状態の5枚のレンズ付き基板41W-a乃至41W-eを、積層レンズ構造体11における上層のレンズ付き基板41Wから、下層のレンズ付き基板41Wへと、1枚ずつ順番に積層していくことで、基板状態の積層レンズ構造体11Wが得られる。
図32または図33で説明した積層方法により積層した基板状態の5枚のレンズ付き基板41W-a乃至41W-eは、ブレード若しくはレーザなどを用いてモジュール単位またはチップ単位に個片化されることで、5枚のレンズ付き基板41a乃至41eが積層された積層レンズ構造体11となる。
<12.カメラモジュールの第8及び第9の実施の形態>
図34は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第8の実施の形態を示す図である。
図35は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第9の実施の形態を示す図である。
図34及び図35の説明では、図13に示したカメラモジュールEと異なる部分についてのみ説明する。
図34のカメラモジュール1Hと図35のカメラモジュール1Jは、図13に示したカメラモジュールEにおける構造材73の部分が異なる構造に置き換えられている。
図34のカメラモジュール1Hでは、カメラモジュール1Jにおける構造材73の部分が、構造材301a及び301bと、光透過性基板302に置き換えられている。
具体的には、受光素子12の上側の一部に、構造材301aが配置されている。その構造材301aを介して、受光素子12と光透過性基板302が固定されている。構造材301aは、例えばエポキシ系の樹脂である。
光透過性基板302の上側には、構造材301bが配置されている。その構造材301bを介して、光透過性基板302と積層レンズ構造体11が固定されている。構造材301bは、例えばエポキシ系の樹脂である。
これに対して、図35のカメラモジュール1Jでは、図34のカメラモジュール1Hの構造材301aの部分が、光透過性を有する樹脂層311に置き換えられている。
樹脂層311は、受光素子12の上側全面に配置されている。その樹脂層311を介して、受光素子12と光透過性基板302が固定されている。受光素子12の上側全面に配置された樹脂層311は、光透過性基板302の上方から光透過性基板302に応力が加わった場合に、これが受光素子12の一部の領域に集中して印加されることを防ぎ、受光素子12全面に応力を分散させて受け止める作用または効果をもたらす。
光透過性基板302の上側には、構造材301bが配置されている。その構造材301bを介して、光透過性基板302と積層レンズ構造体11が固定されている。
図34のカメラモジュール1Hと図35のカメラモジュール1Jは、受光素子12の上側に光透過性基板302を備える。光透過性基板302は、例えば、カメラモジュール1Hまたは1Jを製造する途中で、受光素子12に傷が着くことを抑える、という作用または効果をもたらす。
<13.カメラモジュールの第10の実施の形態>
図36は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第10の実施の形態を示す図である。
図36に示されるカメラモジュール1Jにおいて、積層レンズ構造体11は、レンズバレル74に収納されている。レンズバレル74は、シャフト331に沿って移動する移動部材332と、固定部材333で固定されている。レンズバレル74が不図示の駆動モータによってシャフト331の軸方向に移動されることにより、積層レンズ構造体11から受光素子12の撮像面までの距離が調整される。
レンズバレル74、シャフト331、移動部材332、及び、固定部材333は、ハウジング334に収納されている。受光素子12の上部には保護基板335が配置され、保護基板335とハウジング334が、接着剤336により接続されている。
上記の積層レンズ構造体11を移動させる機構は、カメラモジュール1Jを用いたカメラが、画像を撮影する際に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。
<14.カメラモジュールの第11の実施の形態>
図37は、本技術を適用した積層レンズ構造体を用いたカメラモジュールの第11の実施の形態を示す図である。
図37のカメラモジュール1Lは、圧電素子による焦点調節機構を追加したカメラモジュールである。
即ち、カメラモジュール1Lでは、図34のカメラモジュール1Hと同様に、受光素子12の上側の一部に、構造材301aが配置されている。その構造材301aを介して、受光素子12と光透過性基板302が固定されている。構造材301aは、例えばエポキシ系の樹脂である。
光透過性基板302の上側には、圧電素子351が配置されている。その圧電素子351を介して、光透過性基板302と積層レンズ構造体11が固定されている。
カメラモジュール1Lでは、積層レンズ構造体11の下側に配置した圧電素子351へ電圧を印加および遮断することで、積層レンズ構造体11を上下方向に移動させることができる。積層レンズ構造体11を移動する手段としては、圧電素子351に限らず、電圧の印加および遮断によって形状が変化する他のデバイスを用いることができる。例えばMEMSデバイスを用いることができる。
上記の積層レンズ構造体11を移動させる機構は、カメラモジュール1Lを用いたカメラが、画像を撮影する際に、オートフォーカス動作を行うことを可能にする、という作用または効果をもたらす。
<15.他の構造と比較した本構造の効果>
積層レンズ構造体11は、レンズ付き基板41どうしを直接接合により固着させた構造(以下、本構造という。)である。本構造の作用及び効果について、レンズが形成されたレンズ付き基板のその他の構造と比較して説明する。
<比較構造例1>
図38は、本構造と比較するための第1の基板構造(以下、比較構造例1という。)であって、特開2011−138089号公報(以下、比較文献1という。)において図14(b)として開示されたウエハレベル積層構造の断面図である。
図38に示されるウエハレベル積層構造1000は、ウエハ基板1010上にイメージセンサ1011が複数配列されているセンサアレイ基板1012の上に、2枚のレンズアレイ基板1021が、柱状のスペーサ1022を介して積層された構造を有する。各レンズアレイ基板1021は、レンズ付き基板1031と、そのレンズ付き基板1031に複数形成された貫通孔部分に形成されているレンズ1032とで構成される。
<比較構造例2>
図39は、本構造と比較するための第2の基板構造(以下、比較構造例2という。)であって、特開2009−279790号公報(以下、比較文献2という。)において図5(a)として開示されたレンズアレイ基板の断面図である。
図39に示されるレンズアレイ基板1041では、板状の基板1051に設けられた複数の貫通孔1052それぞれに、レンズ1053が設けられている。各レンズ1053は、樹脂(エネルギー硬化性樹脂)1054で形成されており、その樹脂1054は、基板1051の上面にも形成されている。
図40を参照して、図39のレンズアレイ基板1041の製造方法について簡単に説明する。
図40のAは、複数個の貫通孔1052が形成された基板1051が、下型1061の上に置かれた状態を示している。下型1061は、この後の工程で、樹脂1054を下方から上方へ押す金型である。
図40のBは、複数個の貫通孔1052内部と基板1051上面に樹脂1054を塗布した後、上型1062を基板1051の上に配置し、上型1062と下型1061を用いて、加圧成型している状態を示している。上型1062は、樹脂1054を上方から下方へ押す金型である。図40のBに示される状態で、樹脂1054の硬化が行われる。
図40のCは、樹脂1054が硬化した後、上型1062と下型1061を離形させ、レンズアレイ基板1041が完成した状態を示している。
このレンズアレイ基板1041は、(1)基板1051の貫通孔1052の位置に形成された樹脂1054がレンズ1053となり、このレンズ1053が基板1051に複数個形成され、かつ、(2)これら複数個のレンズ1053の間に位置する基板1051の上側表面全体に、樹脂1054の薄い層が形成されている、ことが特徴である。
このレンズアレイ基板1041を複数積層した構造体を形成する場合、基板1051の上側表面全体に形成された樹脂1054の薄い層が、基板どうしを接着する接着剤としての作用または効果をもたらす。
また、レンズアレイ基板1041を複数積層した構造体を形成する場合、比較構造例1として示した図38のウエハレベル積層構造1000と比較して、基板どうしを接着する面積を大きくすることができるので、基板どうしをより強い力で接着することができる。
<比較構造例2において樹脂がもたらす作用>
比較構造例2である図39のレンズアレイ基板1041が開示されている比較文献2では、レンズ1053となる樹脂1054の作用として、以下のことが開示されている。
比較構造例2では、樹脂1054としてエネルギー硬化性樹脂が使用されている。そして、エネルギー硬化性樹脂の一例として、光硬化性樹脂が使用されている。エネルギー硬化性樹脂として光硬化性樹脂を使用した場合、UV光が樹脂1054に照射されると、樹脂1054が硬化する。この硬化により、樹脂1054では、硬化収縮が起きる。
しかし、図39のレンズアレイ基板1041の構造によれば、樹脂1054の硬化収縮が起きても、複数個あるレンズ1053の間には基板1051が介在するので、樹脂1054の硬化収縮によるレンズ1053間の距離の変動を断ち切ることができ、これにより、複数個のレンズ1053を配置したレンズアレイ基板1041の反りを抑制することができるとしている。
<比較構造例3>
図41は、本構造と比較するための第3の基板構造(以下、比較構造例3という。)であって、特開2010−256563号公報(以下、比較文献3という。)において図1として開示されたレンズアレイ基板の断面図である。
図41に示されるレンズアレイ基板1081では、板状の基板1091に設けられた複数の貫通孔1092それぞれに、レンズ1093が設けられている。各レンズ1093は樹脂(エネルギー硬化性樹脂)1094で形成されており、その樹脂1094は、貫通孔1092が設けられていない基板1091の上面にも形成されている。
図42を参照して、図41のレンズアレイ基板1081の製造方法について簡単に説明する。
図42のAは、複数個の貫通孔1092が形成された基板1091が、下型1101の上に置かれた状態を示している。下型1101は、この後の工程で、樹脂1094を下方から上方へ押す金型である。
図42のBは、複数個の貫通孔1092内部と基板1091上面に樹脂1094を塗布した後、上型1102を基板1091の上に配置し、上型1102と下型1101を用いて、加圧成型している状態を示している。上型1102は、樹脂1094を上方から下方へ押す金型である。図42のBに示される状態で、樹脂1094の硬化が行われる。
図42のCは、樹脂1094が硬化した後、上型1102と下型1101を離形させ、レンズアレイ基板1081が完成した状態を示している。
このレンズアレイ基板1081は、(1)基板1091の貫通孔1092の位置に形成された樹脂1094がレンズ1093となり、このレンズ1093が基板1091に複数個形成され、かつ、(2)これら複数個のレンズ1093の間に位置する基板1091の上側表面全体に、樹脂1094の薄い層が形成されている、ことが特徴である。
<比較構造例3において樹脂がもたらす作用>
比較構造例3である図41のレンズアレイ基板1081が開示されている比較文献3では、レンズ1093となる樹脂1094の作用として、以下のことが開示されている。
比較構造例3では、樹脂1094としてエネルギー硬化性樹脂が使用されている。そして、エネルギー硬化性樹脂の一例として、光硬化性樹脂が使用されている。エネルギー硬化性樹脂として光硬化性樹脂を使用した場合、UV光が樹脂1094に照射されると、樹脂1094が硬化する。この硬化により、樹脂1094では、硬化収縮が起きる。
しかし、図41のレンズアレイ基板1081の構造によれば、樹脂1094の硬化収縮が起きても、複数個あるレンズ1093の間には基板1091が介在するので、樹脂1094の硬化収縮によるレンズ1093間の距離の変動を断ち切ることができ、これにより、複数個のレンズ1093を配置したレンズアレイ基板1081の反りを抑制することができるとしている。
以上のように、比較文献2及び3では、光硬化性樹脂が硬化する際、硬化収縮が起きることが開示されている。なお、光硬化性樹脂が硬化する際、硬化収縮が起きることは、比較文献2及び3以外にも、例えば、特開2013−1091号公報などでも開示されている。
また、樹脂をレンズの形状に成型し、成型後の樹脂を硬化させると、樹脂に硬化収縮が起きて問題となるのは、光硬化性樹脂に限ったことではない。例えば、光硬化性樹脂と同様にエネルギー硬化性樹脂の一種である熱硬化性樹脂においても、硬化の際に硬化収縮が起きることが問題となる。このことは、例えば、比較文献1や3、特開2010−204631号公報などにおいても開示されている。
<比較構造例4>
図43は、本構造と比較するための第4の基板構造(以下、比較構造例4という。)であって、上述した比較文献2において図6として開示されたレンズアレイ基板の断面図である。
図43のレンズアレイ基板1121は、図39に示したレンズアレイ基板1041と比較すると、貫通孔1042部分以外の基板1141の形状が、上側だけでなく下側にも突出した形状となっている点、及び、基板1141の下側表面の一部にも、樹脂1144が形成されている点が異なる。レンズアレイ基板1121のその他の構成は、図39に示したレンズアレイ基板1041と同様である。
図44は、図43のレンズアレイ基板1121の製造方法を説明する図であって、図40のBに対応する図である。
図44は、複数個の貫通孔1142内部と基板1141上面に樹脂1144を塗布した後、上型1152と下型1151を用いて、加圧成型している状態を示している。樹脂1144は、基板1141下面と下型1151との間にも注入されている。図44に示される状態で、樹脂1144の硬化が行われる。
このレンズアレイ基板1121は、(1)基板1141の貫通孔1142の位置に形成された樹脂1144がレンズ1143となり、このレンズ1143が基板1141に複数個形成され、かつ、(2)これら複数個のレンズ1143の間に位置する基板1141の上側表面全体に、樹脂1144の薄い層が形成されているだけでなく、基板1141の下側表面の一部にも、樹脂1144の薄い層が形成されている、ことが特徴である。
<比較構造例4において樹脂がもたらす作用>
比較構造例4である図43のレンズアレイ基板1121が開示されている比較文献2では、レンズ1143となる樹脂1144の作用として、以下のことが開示されている。
比較構造例4である図43のレンズアレイ基板1121においても、樹脂1144として、エネルギー硬化性樹脂の一例である光硬化性樹脂が使用されている。そして、UV光が樹脂1144に照射されると、樹脂1144が硬化する。この硬化により、比較構造例2および3と同様に、樹脂1144では、硬化収縮が起きる。
しかし、比較構造例4のレンズアレイ基板1121では、複数個のレンズ1143の間に位置する基板1141の上側表面全体だけでなく、基板1141の下側表面の一定の領域にも、樹脂1144の薄い層が形成されている。
このように、基板1141の上側表面と下側表面の双方に樹脂1144を形成した構造とすることにより、レンズアレイ基板1121全体の反りの方向を相殺することができる。
これに対して、比較構造例2として図39に示したレンズアレイ基板1041では、複数個のレンズ1053の間に位置する基板1051の上側表面全体には樹脂1054の薄い層が形成されているが、基板1051の下側表面には、樹脂1054の薄い層が一切形成されていない。
従って、図43のレンズアレイ基板1121では、図39のレンズアレイ基板1041と比較して、反り量をより小さくしたレンズアレイ基板を提供することができる。
<比較構造例5>
図45は、本構造と比較するための第5の基板構造(以下、比較構造例5という。)であって、上述した比較文献2において図9として開示されたレンズアレイ基板の断面図である。
図45のレンズアレイ基板1161は、図39に示したレンズアレイ基板1041と比較すると、基板1171に形成された貫通孔1172近傍の基板裏面に、樹脂はみだし領域1175を有している点が異なる。レンズアレイ基板1161のその他の構成は、図39に示したレンズアレイ基板1041と同様である。
なお、図45のレンズアレイ基板1161は、個片化された後の状態を示している。
このレンズアレイ基板1161は、(1)基板1171の貫通孔1172の位置に形成された樹脂1174がレンズ1173となり、このレンズ1173が基板1171に複数個形成され、かつ、(2)これら複数個のレンズ1173の間に位置する基板1171の上側表面全体に、樹脂1174の薄い層が形成されているだけでなく、基板1171の下側表面の一部にも、樹脂1174の薄い層が形成されている、ことが特徴である。
<比較構造例5において樹脂がもたらす作用>
比較構造例5である図45のレンズアレイ基板1161が開示されている比較文献2では、レンズ1173となる樹脂1174の作用として、以下のことが開示されている。
比較構造例5である図45のレンズアレイ基板1161においても、樹脂1174として、エネルギー硬化性樹脂の一例である光硬化性樹脂が使用されている。そして、UV光が樹脂1174に照射されると、樹脂1174が硬化する。この硬化により、比較構造例2および3と同様に、樹脂1174では、硬化収縮が起きる。
しかし、比較構造例5のレンズアレイ基板1171では、複数個のレンズ1173の間に位置する基板1171の上側表面全体だけでなく、基板1171の下側表面の一定の領域にも、樹脂1174の薄い層(樹脂はみだし領域1175)が形成されている。これにより、レンズアレイ基板1171全体の反りの方向を相殺し、反り量をより小さくしたレンズアレイ基板を提供することができる。
<比較構造例2乃至5において樹脂がもたらす作用の比較>
比較構造例2乃至5において樹脂がもたらす作用についてまとめると、次のようになる。
(1)比較構造例2及び3のように、レンズアレイ基板の上面全体に樹脂の層を配置した構造の場合、複数個のレンズを配置した基板に、反りが発生してしまう。
図46は、比較構造例2及び3のように、レンズアレイ基板の上面全体に樹脂の層を配置した構造を模式的に表した図であり、レンズとなる樹脂がもたらす作用を説明する図である。
図46のA及びBに示されるように、レンズアレイ基板1211(レンズ及び貫通孔の図示は省略)の上面に配置された光硬化性樹脂1212の層では、硬化のためのUV光の照射により、硬化収縮が生じる。これにより、光硬化性樹脂1212の層内では、光硬化性樹脂1212に起因した収縮方向の力が発生する。
一方、レンズアレイ基板1211自体は、UV光を照射しても、収縮も膨張もしない。すなわち、レンズアレイ基板1211自体には、基板に起因した力は発生しない。その結果、レンズアレイ基板1211は、図46のCに示されるように、下に凸の形状に反ってしまう。
(2)しかし、比較構造例4および5のように、レンズアレイ基板の上面と下面の双方に樹脂の層を配置した構造の場合、レンズアレイ基板の反りの方向が相殺されるので、比較構造例2及び3よりも、レンズアレイ基板の反り量を小さくすることができる。
図47は、比較構造例4及び5のように、レンズアレイ基板の上面と下面の双方に樹脂の層を配置した構造を模式的に表した図であり、レンズとなる樹脂がもたらす作用を説明する図である。
図47のA及びBに示されるように、レンズアレイ基板1211の上面に配置した光硬化性樹脂1212の層では、硬化のためのUV光の照射により、硬化収縮が生じる。これにより、レンズアレイ基板1211の上面に配置した光硬化性樹脂1212の層内では、光硬化性樹脂1212に起因した収縮方向の力が発生する。このため、レンズアレイ基板1211の上面側では、レンズアレイ基板1211を下に凸の形状に反らせようとする力が働く。
これに対して、レンズアレイ基板1211自体は、UV光を照射しても、収縮も膨張もしない。すなわち、レンズアレイ基板1211自体には、基板に起因した力は発生しない。
一方、レンズアレイ基板1211の下面に配置した光硬化性樹脂1212の層では、硬化のためのUV光の照射により、硬化収縮が生じる。これにより、レンズアレイ基板1211の下面に配置した光硬化性樹脂1212の層内では、光硬化性樹脂1212に起因した収縮方向の力が発生する。このため、レンズアレイ基板1211の下面側では、レンズアレイ基板1211を上に凸の形状に反らせようとする力が働く。
レンズアレイ基板1211の上面側における、レンズアレイ基板1211を下に凸の形状に反らせようとする力と、レンズアレイ基板1211の下面側における、レンズアレイ基板1211を上に凸の形状に反らせようとする力は、相殺されるように働く。
その結果、図47のCに示されるように、比較構造例4及び5におけるレンズアレイ基板1211の反り量は、図46のCに示した比較構造例2及び3における反り量よりも低減される。
以上のように、レンズアレイ基板を反らせる力およびレンズアレイ基板の反り量は、
(1)当該レンズアレイ基板の上面において当該レンズアレイ基板に作用する力の方向および大きさと、
(2)当該レンズアレイ基板の下面において当該レンズアレイ基板に作用する力の方向および大きさと、
の相対関係の影響を受ける。
<比較構造例6>
そこで、例えば、図48のAに示されるように、レンズアレイ基板1211の上面に配置する光硬化性樹脂1212の層及び面積と、レンズアレイ基板1211の下面に配置する光硬化性樹脂1212の層及び面積とを、同一にするレンズアレイ基板構造が考えられる。このレンズアレイ基板構造を、本構造と比較するための第6の基板構造(以下、比較構造例6という。)と呼ぶ。
比較構造例6では、レンズアレイ基板1211の上面に配置された光硬化性樹脂1212の層では、光硬化性樹脂1212に起因した収縮方向の力が発生する。レンズアレイ基板1211自体は、基板に起因した力が発生しない。このため、レンズアレイ基板1211の上面側では、レンズアレイ基板1211を下に凸の形状に反らせようとする力が働く。
一方、レンズアレイ基板1211の下面に配置された光硬化性樹脂1212の層では、光硬化性樹脂1212に起因した収縮方向の力が発生する。レンズアレイ基板1211自体は、基板に起因した力が発生しない。このため、レンズアレイ基板1211の下面側では、レンズアレイ基板1211を上に凸の形状に反らせようとする力が働く。
レンズアレイ基板1211を反らせようとする上記2つの力が、図47のAに示した構造よりもさらに相殺する方向に働く。その結果、レンズアレイ基板1211を反らせる力およびレンズアレイ基板1211の反り量は、比較構造例4および5よりもさらに低減される。
<比較構造例7>
ところで、実際には、カメラモジュールに組み込まれる積層レンズ構造体を構成するレンズ付き基板の形状は全て同じではない。より具体的には、積層レンズ構造体を構成する複数のレンズ付き基板どうしは、例えば、レンズ付き基板の厚さや貫通孔の大きさが異なっていたり、貫通孔に形成されるレンズの厚みや形状、体積などが異なる場合がある。さらに言えば、レンズ付き基板の上面及び下面に形成される光硬化性樹脂の膜厚なども、各レンズ付き基板で異なる場合もある。
図49は、第7の基板構造(以下、比較構造例7という。)としての、3枚のレンズ付き基板の積層で構成される積層レンズ構造体の断面図である。この積層レンズ構造体では、図48で示した比較構造例6と同様に、各レンズ付き基板の上面及び下面に配置された光硬化性樹脂の層及び面積が同一に形成されているものとする。
図49に示される積層レンズ構造体1311は、3枚のレンズ付き基板1321乃至1323で構成される。
以下では、3枚のレンズ付き基板1321乃至1323のうち、真ん中のレンズ付き基板1321を、第1のレンズ付き基板1321、最上層のレンズ付き基板1322を、第2のレンズ付き基板1322、最下層のレンズ付き基板1323を、第3のレンズ付き基板1323という。
最上層に配置された第2のレンズ付き基板1322と、最下層に配置された第3のレンズ付き基板1323は、基板の厚さ、及び、レンズの厚さが異なる。
より具体的には、レンズの厚さが、第2のレンズ付き基板1322よりも第3のレンズ付き基板1323の方が厚く形成されており、それに伴い、基板の厚さも、第2のレンズ付き基板1322よりも第3のレンズ付き基板1323の方が厚く形成されている。
第1のレンズ付き基板1321と第2のレンズ付き基板1322との接触面、及び、第1のレンズ付き基板1321と第3のレンズ付き基板1323との接触面には、樹脂1341が全面に渡って形成されている。
3枚のレンズ付き基板1321乃至1323の貫通孔の断面形状は、基板上面よりも基板下面の方が広い、いわゆる末広がり形状である。
図50を参照して、形状の異なる3枚のレンズ付き基板1321乃至1323がもたらす作用について説明する。
図50のA乃至Cは、図49に示した積層レンズ構造体1311を模式的に表した図である。
この積層レンズ構造体1311のように、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面に、基板の厚さが異なる第2のレンズ付き基板1322と第3のレンズ付き基板1323を配置した場合、3枚のレンズ付き基板1321乃至1323の接触面全面に渡って存在する樹脂1341の層が、積層レンズ構造体1311の厚さ方向のどの位置に存在するかによって、この積層レンズ構造体1311を反らせる力、及び、積層レンズ構造体1311の反る量が、変わる。
3枚のレンズ付き基板1321乃至1323の接触面全面に渡って存在する樹脂1341の層が、積層レンズ構造体1311の中心線、即ち、積層レンズ構造体1311の厚さ方向の中点を通って、基板平面方向に走る線に対して対称に配置されていないと、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面に配置された樹脂1341の硬化収縮によって発生する力の作用を、図48のCに示したように、完全に相殺することはできない。その結果、積層レンズ構造体1311はどちらかの方向へ反ってしまう。
例えば、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面の2層の樹脂1341が、積層レンズ構造体1311の厚さ方向の中心線よりも上側方向にずれて配置される場合、2層の樹脂1341が硬化収縮を起こすと、積層レンズ構造体1311は、図50のCに示されるように、下に凸の形状に反ってしまう。
さらに、第2のレンズ付き基板1322と第3のレンズ付き基板1323のうち、厚さが薄い方の基板の貫通孔の断面形状が、第1のレンズ付き基板1321の方向に向かって大きくなる形状である場合には、レンズの欠損あるいは破損、となる懸念が増加する。
図49に示した例では、第2のレンズ付き基板1322と第3のレンズ付き基板1323のうち、厚さが薄い方の第2のレンズ付き基板1322の貫通孔の断面形状が、第1のレンズ付き基板1321の方向に向かって大きくなる末広がり形状である。このような形状において、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面の2層の樹脂1341が硬化収縮した際には、積層レンズ構造体1311には、図50のCに示したように下に凸の形状に反る力が作用し、この力は、図50のDに示されるように、第2のレンズ付き基板1322において、レンズと基板が離間する方向の力として作用する。この作用により、第2のレンズ付き基板1322のレンズ1332が、欠損あるいは破損、となる懸念が増加する。
次に、樹脂が熱膨張する場合について考える。
<比較構造例8>
図51は、第8の基板構造(以下、比較構造例8という。)としての、3枚のレンズ付き基板の積層で構成される積層レンズ構造体の断面図である。この積層レンズ構造体では、図48で示した比較構造例6と同様に、各レンズ付き基板の上面及び下面に配置された光硬化性樹脂の層及び面積が同一に形成されているものとする。
図51の比較構造例8は、3枚のレンズ付き基板1321乃至1323の貫通孔の断面形状が、基板上面よりも基板下面の方が狭い、いわゆる下すぼみ形状である点のみが、図49の比較構造例7と異なる。
図52のA乃至Cは、図51に示した積層レンズ構造体1311を模式的に表した図である。
ユーザがカメラモジュールを実使用する際、動作に伴う消費電力の増大によりカメラの筐体内の温度が上昇し、カメラモジュールの温度も上昇する。この温度上昇により、図51の積層レンズ構造体1311において、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面に配置された樹脂1341が熱膨張する。
第1のレンズ付き基板1321の上面と下面に配置する樹脂1341の面積と厚さを、図48のAのように同一にしたとしても、3枚のレンズ付き基板1321乃至1323の接触面全面に渡って存在する樹脂1341の層が、積層レンズ構造体1311の中心線、即ち、積層レンズ構造体1311の厚さ方向の中点を通って、基板平面方向に走る線に対して対称に配置されていないと、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面に配置された樹脂1341の熱膨張によって発生する発生する力の作用を、図48のCに示したように、完全に相殺することはできない。その結果、積層レンズ構造体1311はどちらかの方向へ反ってしまう。
例えば、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面の2層の樹脂1341が、積層レンズ構造体1311の厚さ方向の中心線よりも上側方向にずれて配置される場合、2層の樹脂1341が熱膨張を起こすと、積層レンズ構造体1311は、図52のCに示されるように、上に凸の形状に反ってしまう。
さらに、図51に示した例では、第2のレンズ付き基板1322と第3のレンズ付き基板1323のうち、厚さが薄い方の第2のレンズ付き基板1322の貫通孔の断面形状が、第1のレンズ付き基板1321の方向に向かって小さくなる下すぼみ形状である。このような形状において、第1のレンズ付き基板1321の上面と下面の2層の樹脂1341が熱膨張した際には、積層レンズ構造体1311には、上に凸の形状に反る力が作用し、この力は、図52のDに示されるように、第2のレンズ付き基板1322において、レンズと基板が離間する方向の力として作用する。この作用により、第2のレンズ付き基板1322のレンズ1332が、欠損あるいは破損、となる懸念が増加する。
<本構造>
図53は、本構造を採用した3枚のレンズ付き基板1361乃至1363からなる積層レンズ構造体1371を示す図である。
図53のAは、図49の積層レンズ構造体1311に対応した構造であり、貫通孔の断面形状が、いわゆる末広がり形状の構造である。一方、図53のBは、図51の積層レンズ構造体1311に対応した構造であり、貫通孔の断面形状が、いわゆる下すぼみ形状の構造である。
図54は、本構造がもたらす作用を説明するため、図53の積層レンズ構造体1371を模式的に示した図である。
積層レンズ構造体1371は、真ん中の第1のレンズ付き基板1361の上方に第2のレンズ付き基板1362を配置し、第1のレンズ付き基板1361の下方に第3のレンズ付き基板1363を配置した構造である。
最上層に配置された第2のレンズ付き基板1362と、最下層に配置された第3のレンズ付き基板1363は、基板の厚さ、及び、レンズの厚さが異なる。より具体的には、レンズの厚さが、第2のレンズ付き基板1362よりも第3のレンズ付き基板1363の方が厚く形成されており、それに伴い、基板の厚さも、第2のレンズ付き基板1362よりも第3のレンズ付き基板1363の方が厚く形成されている。
本構造の積層レンズ構造体1371では、レンズ付き基板どうしを固着する手段として、基板どうしの直接接合が用いられる。言い換えれば、固着させるレンズ付き基板へプラズマ活性処理が施され、固着させる2つのレンズ付き基板がプラズマ接合される。さらに言い換えれば、積層する2枚のレンズ付き基板それぞれの表面に、シリコン酸化膜を形成し、これに水酸基を結合させた後、2枚のレンズ付き基板どうしを貼り合わせ、これを昇温して脱水縮合させる。こうして、2枚のレンズ付き基板が、シリコン−酸素共有結合により、直接接合されている。
したがって、本構造の積層レンズ構造体1371においては、レンズ付き基板どうしを固着する手段として、樹脂による接着は用いられていない。このため、レンズ付き基板とレンズ付き基板との間に、レンズ形成用の樹脂もしくは基板を接着するための樹脂が配置されない。また、レンズ付き基板の上面や下面に樹脂が配置されないため、レンズ付き基板の上面や下面において、樹脂が熱膨張したり、硬化収縮することはない。
従って、積層レンズ構造体1371では、第1のレンズ付き基板1351の上層及び下層に、レンズの厚さ、及び、基板の厚さが異なる第2のレンズ付き基板1362と第3のレンズ付き基板1363が配置されても、上述した各比較構造例1乃至8のような、硬化収縮に起因した基板の反り、及び、熱膨張に起因した基板の反りは発生しない。
即ち、レンズ付き基板どうしを直接接合により固着させた本構造は、上方と下方に、レンズの厚さ、及び、基板の厚さが異なるレンズ付き基板を積層した場合でも、上述した各比較構造例1乃至8よりも、基板の反りを大きく抑制することができる、という作用及び効果をもたらす。
<16.その他の実施の形態1>
<ウエハレベルレンズ>
ところで、従来のウエハレベルレンズとしては、ガラス基板上にレンズを形成するハイブリッド(hybrid)型や、樹脂材料のみで形成されるモノリシック(monolithic)型等が存在する。これに対して特許文献1において、シリコン基板の貫通孔にレンズを形成する方法が提案された。さらに、ゴーストやフレア等に対する対策として、貫通孔の側壁の表面をブラスト加工することで、凹凸を形成することも提案された。
しかしながら、この方法の場合、ブラスト加工するだけでは、貫通孔の側壁における光の反射を十分に抑制することができない可能性があった。したがって、特許文献1に記載の方法を用いても、ゴーストやフレアの発生を十分に抑制することができず、画質が低減する可能性があった。
また、特許文献1においては、レンズの保持安定性を向上させるため、側壁表面を微細凹凸加工したり、樹脂と基板との接触面積を広げるように開口断面の形状を工夫したりすることが提案されている(テーパー形状他)。しかしながら、レンズ材と基材の材質によっては接触性が悪く、この方法では、十分に安定的な形状保持の実現が困難な場合があった。または、レンズ材によって、基材の選択肢が限定される可能性があった。
また、この方法の場合、レンズの樹脂と基板との接触面積を極力広げるようにすることが望ましく、そのため、樹脂の厚さが増大し、レンズ部分が基板よりも厚くなってしまう可能性があった。そのため、積層レンズ化の際は、基板同士を、スペーサー基板等を介して貼り合せる必要性があり、貼り合せ回数の増加によるレンズモジュールとしての光軸ズレの悪化(解像度低下)や、反射面の増加によるフレア悪化等が想定される。
そこで、レンズ付き基板において、貫通孔が形成されており、その貫通孔の側壁に遮光膜が成膜されている基板と、その基板の貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部とを備えるようにする。
<積層レンズ構造体の概要>
図55は、積層レンズ構造体の主な構成の例を説明するための概略的な断面図である。図55に示される積層レンズ構造体2012は、他の実施の形態において上述した積層レンズ構造体11に対応する。つまり、積層レンズ構造体2012は、積層レンズ構造体11と同様のデバイスであり、上述した積層レンズ構造体11についての説明は、基本的に、積層レンズ構造体2012にも適用することができる。例えば、積層レンズ構造体2012は、受光素子12に積層されてカメラモジュール1の構成として利用される。受光素子12への入射光(例えば被写体からの光)は、積層レンズ構造体2012を図中上方向から下方向に通過する。
図55に示されるように、積層レンズ構造体2012は、互いに積層されたレンズ付き基板2011A乃至レンズ付き基板2011Eを有する。レンズ付き基板2011A乃至レンズ付き基板2011Eは、それぞれ、他の実施の形態において上述したレンズ付き基板41a乃至レンズ付き基板41eに対応する。以下においてレンズ付き基板2011A乃至レンズ付き基板2011Eを区別して説明する必要が無い場合、レンズ付き基板2011と称する。つまり、レンズ付き基板2011は、レンズ付き基板41と同様のデバイスであり、上述したレンズ付き基板2011についての説明は、基本的に、レンズ付き基板2011にも適用することができる。
図55の積層レンズ構造体2012の各レンズ付き基板2011の貫通孔の側壁には、遮光膜が成膜されている。各レンズ付き基板2011のより詳細な構成を図56および図57に示す。
<レンズ付き基板2011Aの構成>
図56Aは、レンズ付き基板2011Aの主な構成の例を説明するための概略的な断面図である。図56Aに示されるように、レンズ付き基板2011Aは、担体基板2040Aおよびレンズ樹脂部2042Aにより構成される。担体基板2040Aは、他の実施の形態において上述した担体基板81aに対応する。レンズ樹脂部2042Aは、他の実施の形態において上述したレンズ樹脂部82aに対応する。担体基板2040Aには貫通孔2041Aが形成されており、その貫通孔2041Aの内側に、その貫通孔2041Aの側壁2051Aに接触するようにレンズ樹脂部2042Aが形成されている。
貫通孔2041Aの側壁2051Aは、光入射側(図中上側)から光出射側(図中下側)に向かって広がるようなテーパー形状に形成されている。その側壁2051Aには、遮光膜2043が成膜されている。遮光膜2043は、光を吸収し、遮光性を有し、光の反射を抑制する性質の材料からなる薄膜である。遮光膜2043の膜厚は任意であるが、例えば、1μm程度としてもよい。例えば、遮光膜2043は、黒色材料により構成される。この黒色材料は、任意であるが、例えば、カーボンブラックやチタンブラック等の顔料であってもよい。また、遮光膜2043は、例えば、金属により構成される金属膜としてもよい。この金属は、任意であるが、例えば、タングステン(W)やクロム(Cr)等であってもよい。さらに、遮光膜2043は、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)により成膜されるCVD膜であってもよい。例えば、カーボンナノチューブ等を用いたCVD膜であってもよい。また、複数の材料を積層するようにしてもよい。
遮光膜2043の成膜方法は任意である。例えば、黒色の顔料等の黒色材料を遮光膜2043の材料として用いる場合、スピンやスプレー塗布等により成膜するようにしてもよい。さらに、必要に応じてパターニングして除去する等のリソグラフィを行うようにしてもよい。また、インクジェットにより遮光膜2043を成膜するようにしてもよい。また、例えば、遮光膜2043の材料としてタングステン(W)やクロム(Cr)等といった金属を用いる場合、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法)により成膜し、表面を研磨加工するようにしてもよい。さらに、例えば、遮光膜2043の材料としてカーボンナノチューブ等を用いる場合、CVDにより成膜し、表面を研磨加工するようにしてもよい。
貫通孔2041Aの側壁2051Aにこのような遮光膜2043を成膜することにより、側壁2051Aにおける光の反射や透過を抑制することができ、ゴーストやフレアの発生を抑制することができる。つまり、レンズ付き基板2011A(積層レンズ構造体2012)による画質の低減を抑制することができる。
また、この遮光膜2043に、側壁2051Aとレンズ樹脂部2042Aとの接触性を向上させる密着助剤が添加されているようにしてもよい。この密着助剤の材料は、任意である。例えばレンズ樹脂部2042Aの材料(の特性)に応じた材料が用いられるようにしてもよい。例えばレンズ樹脂部2042Aが親水性の材料(例えばOH基を多く有する材料)よりなる場合、添加する密着助剤にも親水性の材料が用いられるようにしてもよい。また、例えばレンズ樹脂部2042Aが疎水性の材料よりなる場合、添加する密着助剤にも疎水性の材料が用いられるようにしてもよい。例えば、シランカップリング剤が密着助剤として用いられるようにしてもよい。
このように、遮光膜2043の材料に密着助剤が添加されるようにすることにより、側壁2051Aとレンズ樹脂部2042Aとの接触性を向上させることができる。これによりレンズ樹脂部2042Aの保持安定性が向上するため、側壁2051Aとレンズ樹脂部2042Aとの接触面積が小さくても十分な安定性を得ることができる。つまり、両矢印2061Aで示される「側壁2051Aの長さ(遮光膜2043の幅)」よりも、両矢印2062Aで示される「側壁2051A(遮光膜2043)とレンズ樹脂部2042Aとが接触する部分の幅」を狭く(短く)することができる。したがって、レンズ樹脂部2042Aの厚さの増大を抑制することができ、例えば担体基板2040Aの厚さよりも薄くすることができる。そのため、レンズ付き基板2011を積層化する際に、スペーサー基板等を介さずにレンズ付き基板2011同士を貼り合せることができる。これにより、光軸ズレの悪化(解像度低下)や、フレア悪化等を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
なお、上述したように密着助剤の材料は、レンズ樹脂部2042Aの材料に応じたものを用いるようにすることができるので、より多様な材料のレンズ樹脂部2042Aに対して接触性を向上させることができる。したがって、レンズ樹脂部2042Aの材料によって担体基板2040Aの材料の選択肢が限定されることを抑制することができる。
また、図56Aに示されるように、最も光入射側に積層されるレンズ付き基板2011Aの場合、レンズ樹脂部2042Aの担持部92の光入射側表面(図中上側の表面)2052Aに、遮光膜2043が成膜されているようにしてもよい。この遮光膜2043は絞りとして作用する。
さらに、レンズ樹脂部2042Aのレンズ部91の光入射側表面2053Aに、上側表面層2044が成膜されているようにしてもよい。この上側表面層2044は、他の実施の形態において上述した上側表面層122に対応する。この上側表面層2044は、例えば反射防止膜等として成膜される。
また、レンズ樹脂部2042Aの光出射側表面(図中下側の表面)2054Aに、下側表面層2045が成膜されているようにしてもよい。この下側表面層2045は、他の実施の形態において上述した下側表面層123に対応する。この下側表面層2045は、例えば反射防止膜等として成膜される。
さらに、担体基板2040Aの光入射側表面2055Aに、上側表面層2044が成膜されているようにしてもよい。また、担体基板2040Aの光出射側表面2056Aに、下側表面層2045が成膜されているようにしてもよい。
<レンズ付き基板2011Bの構成>
図56Bは、レンズ付き基板2011Bの主な構成の例を説明するための概略的な断面図である。レンズ付き基板2011Bの構成は、基本的にレンズ付き基板2011Aの場合と同様である。図56Bに示されるように、レンズ付き基板2011Bは、担体基板2040Bおよびレンズ樹脂部2042Bにより構成される。担体基板2040Bは、他の実施の形態において上述した担体基板81bに対応する。レンズ樹脂部2042Bは、他の実施の形態において上述したレンズ樹脂部82bに対応する。担体基板2040Bには貫通孔2041Bが形成されており、その貫通孔2041Bの内側に、その貫通孔2041Bの側壁2051Bに接触するようにレンズ樹脂部2042Bが形成されている。
貫通孔2041Bの側壁2051Bは、光入射側から光出射側に向かって広がるようなテーパー形状に形成されている。その側壁2051Bには、遮光膜2043が成膜されている。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、レンズ付き基板2011B(積層レンズ構造体2012)による画質の低減を抑制することができる。
また、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この遮光膜2043に、例えばシランカップリング剤等の、側壁2051Bとレンズ樹脂部2042Bとの接触性を向上させる密着助剤が添加されているようにしてもよい。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、側壁2051Bとレンズ樹脂部2042Bとの接触面積が小さくても十分な安定性を得ることができる。つまり、両矢印2061Bで示される「側壁2051Bの長さ(遮光膜2043の幅)」よりも、両矢印2062Bで示される「側壁2051B(遮光膜2043)とレンズ樹脂部2042Bとが接触する部分の幅」を狭く(短く)することができる。したがって、レンズ樹脂部2042Bの厚さの増大を抑制することができ、例えば担体基板2040Bの厚さよりも薄くすることができる。そのため、積層レンズ構造体2012において、光軸ズレの悪化(解像度低下)や、フレア悪化等を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
そして、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この密着助剤の材料は、レンズ樹脂部2042Bの材料に応じたものを用いるようにすることができるので、より多様な材料のレンズ樹脂部2042Bに対して接触性を向上させることができる。したがって、レンズ樹脂部2042Bの材料によって担体基板2040Bの材料の選択肢が限定されることを抑制することができる。
また、図56Bに示されるように、レンズ樹脂部2042Bの担持部92の光入射側表面2052B、レンズ樹脂部2042Bのレンズ部91の光入射側表面2053B、および、担体基板2040Bの光入射側表面2055Bに、上側表面層2044が成膜されているようにしてもよい。
さらに、レンズ樹脂部2042Bの光出射側表面2054B、および担体基板2040Bの光出射側表面2056Bに、下側表面層2045が成膜されているようにしてもよい。
<レンズ付き基板2011Cの構成>
図56Cは、レンズ付き基板2011Cの主な構成の例を説明するための概略的な断面図である。レンズ付き基板2011Cの構成は、基本的にレンズ付き基板2011Aの場合と同様である。図56Cに示されるように、レンズ付き基板2011Cは、担体基板2040Cおよびレンズ樹脂部2042Cにより構成される。担体基板2040Cは、他の実施の形態において上述した担体基板81cに対応する。レンズ樹脂部2042Cは、他の実施の形態において上述したレンズ樹脂部82cに対応する。担体基板2040Cには貫通孔2041Cが形成されており、その貫通孔2041Cの内側に、その貫通孔2041Cの側壁2051Cに接触するようにレンズ樹脂部2042Cが形成されている。
貫通孔2041Cの側壁2051Cは、光入射側から光出射側に向かって広がるようなテーパー形状に形成されている。その側壁2051Cには、遮光膜2043が成膜されている。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、レンズ付き基板2011C(積層レンズ構造体2012)による画質の低減を抑制することができる。
また、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この遮光膜2043に、例えばシランカップリング剤等の、側壁2051Cとレンズ樹脂部2042Cとの接触性を向上させる密着助剤が添加されているようにしてもよい。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、側壁2051Cとレンズ樹脂部2042Cとの接触面積が小さくても十分な安定性を得ることができる。つまり、両矢印2061Cで示される「側壁2051Cの長さ(遮光膜2043の幅)」よりも、両矢印2062Cで示される「側壁2051C(遮光膜2043)とレンズ樹脂部2042Cとが接触する部分の幅」を狭く(短く)することができる。したがって、レンズ樹脂部2042Cの厚さの増大を抑制することができ、例えば担体基板2040Cの厚さよりも薄くすることができる。そのため、積層レンズ構造体2012において、光軸ズレの悪化(解像度低下)や、フレア悪化等を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
そして、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この密着助剤の材料は、レンズ樹脂部2042Cの材料に応じたものを用いるようにすることができるので、より多様な材料のレンズ樹脂部2042Cに対して接触性を向上させることができる。したがって、レンズ樹脂部2042Cの材料によって担体基板2040Cの材料の選択肢が限定されることを抑制することができる。
また、図56Cに示されるように、レンズ樹脂部2042Cの担持部92の光入射側表面2052C、レンズ樹脂部2042Cのレンズ部91の光入射側表面2053C、および、担体基板2040Cの光入射側表面2055Cに、上側表面層2044が成膜されているようにしてもよい。
さらに、レンズ樹脂部2042Cの光出射側表面2054C、および担体基板2040Cの光出射側表面2056Cに、下側表面層2045が成膜されているようにしてもよい。
<レンズ付き基板2011Dの構成>
図57Aは、レンズ付き基板2011Dの主な構成の例を説明するための概略的な断面図である。レンズ付き基板2011Dの構成は、基本的にレンズ付き基板2011Aの場合と同様である。図57Aに示されるように、レンズ付き基板2011Dは、担体基板2040Dおよびレンズ樹脂部2042Dにより構成される。担体基板2040Dは、他の実施の形態において上述した担体基板81dに対応する。レンズ樹脂部2042Dは、他の実施の形態において上述したレンズ樹脂部82dに対応する。担体基板2040Dには貫通孔2041Dが形成されており、その貫通孔2041Dの内側に、その貫通孔2041Dの側壁2051Dに接触するようにレンズ樹脂部2042Dが形成されている。
貫通孔2041Dの側壁2051Dは、光入射側から光出射側に向かって広がるようなテーパー形状に形成されている。その側壁2051Dには、遮光膜2043が成膜されている。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、レンズ付き基板2011D(積層レンズ構造体2012)による画質の低減を抑制することができる。
また、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この遮光膜2043に、例えばシランカップリング剤等の、側壁2051Dとレンズ樹脂部2042Dとの接触性を向上させる密着助剤が添加されているようにしてもよい。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、側壁2051Dとレンズ樹脂部2042Dとの接触面積が小さくても十分な安定性を得ることができる。つまり、両矢印2061Dで示される「側壁2051Dの長さ(遮光膜2043の幅)」よりも、両矢印2062Dで示される「側壁2051D(遮光膜2043)とレンズ樹脂部2042Dとが接触する部分の幅」を狭く(短く)することができる。したがって、レンズ樹脂部2042Dの厚さの増大を抑制することができ、例えば担体基板2040Dの厚さよりも薄くすることができる。そのため、積層レンズ構造体2012において、光軸ズレの悪化(解像度低下)や、フレア悪化等を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
そして、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この密着助剤の材料は、レンズ樹脂部2042Dの材料に応じたものを用いるようにすることができるので、より多様な材料のレンズ樹脂部2042Dに対して接触性を向上させることができる。したがって、レンズ樹脂部2042Dの材料によって担体基板2040Dの材料の選択肢が限定されることを抑制することができる。
また、図57Aに示されるように、レンズ樹脂部2042Dの担持部92の光入射側表面2052D、レンズ樹脂部2042Dのレンズ部91の光入射側表面2053D、および、担体基板2040Dの光入射側表面2055Dに、上側表面層2044が成膜されているようにしてもよい。
さらに、レンズ樹脂部2042Dの光出射側表面2054D、および担体基板2040Dの光出射側表面2056Dに、下側表面層2045が成膜されているようにしてもよい。
<レンズ付き基板2011Eの構成>
図57Bは、レンズ付き基板2011Eの主な構成の例を説明するための概略的な断面図である。レンズ付き基板2011Eの構成は、基本的にレンズ付き基板2011Aの場合と同様である。図57Bに示されるように、レンズ付き基板2011Eは、担体基板2040Eおよびレンズ樹脂部2042Eにより構成される。担体基板2040Eは、他の実施の形態において上述した担体基板81eに対応する。レンズ樹脂部2042Eは、他の実施の形態において上述したレンズ樹脂部82eに対応する。担体基板2040Eには貫通孔2041Eが形成されており、その貫通孔2041Eの内側に、その貫通孔2041Eの側壁2051Eに接触するようにレンズ樹脂部2042Eが形成されている。
貫通孔2041Eの側壁2051Eは、光入射側から光出射側に向かって広がるようなテーパー形状に形成されている。その側壁2051Eには、遮光膜2043が成膜されている。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、レンズ付き基板2011E(積層レンズ構造体2012)による画質の低減を抑制することができる。
また、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この遮光膜2043に、例えばシランカップリング剤等の、側壁2051Eとレンズ樹脂部2042Eとの接触性を向上させる密着助剤が添加されているようにしてもよい。これにより、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、側壁2051Eとレンズ樹脂部2042Eとの接触面積が小さくても十分な安定性を得ることができる。つまり、両矢印2061Eで示される「側壁2051Eの長さ(遮光膜2043の幅)」よりも、両矢印2062Eで示される「側壁2051E(遮光膜2043)とレンズ樹脂部2042Eとが接触する部分の幅」を狭く(短く)することができる。したがって、レンズ樹脂部2042Eの厚さの増大を抑制することができ、例えば担体基板2040Eの厚さよりも薄くすることができる。そのため、積層レンズ構造体2012において、光軸ズレの悪化(解像度低下)や、フレア悪化等を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
そして、レンズ付き基板2011Aの場合と同様に、この密着助剤の材料は、レンズ樹脂部2042Eの材料に応じたものを用いるようにすることができるので、より多様な材料のレンズ樹脂部2042Eに対して接触性を向上させることができる。したがって、レンズ樹脂部2042Eの材料によって担体基板2040Eの材料の選択肢が限定されることを抑制することができる。
また、図57Bに示されるように、レンズ樹脂部2042Eの担持部92の光入射側表面2052E、レンズ樹脂部2042Eのレンズ部91の光入射側表面2053E、および、担体基板2040Eの光入射側表面2055Eに、上側表面層2044が成膜されているようにしてもよい。
さらに、レンズ樹脂部2042Eの光出射側表面2054E、および担体基板2040Eの光出射側表面2056Eに、下側表面層2045が成膜されているようにしてもよい。
以下において、担体基板2040A乃至担体基板2040Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、担体基板2040と称する。また、貫通孔2041A乃至貫通孔2041Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、貫通孔2041と称する。さらに、レンズ樹脂部2042A乃至レンズ樹脂部2042Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、レンズ樹脂部2042と称する。また、側壁2051A乃至側壁2051Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、側壁2051と称する。さらに、光入射側表面2052A乃至光入射側表面2052Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、光入射側表面2052と称する。また、光入射側表面2053A乃至光入射側表面2053Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、光入射側表面2053と称する。さらに、光出射側表面2054A乃至光出射側表面2054Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、光出射側表面2054と称する。また、光入射側表面2055A乃至光入射側表面2055Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、光入射側表面2055と称する。さらに、光出射側表面2056A乃至光出射側表面2056Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、光出射側表面2056と称する。また、両矢印2061A乃至両矢印2061Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、両矢印2061と称する。さらに、両矢印2062A乃至両矢印2062Eを互いに区別して説明する必要が無い場合、両矢印2062と称する。
<積層レンズ構造体の構成>
以上のような構成のレンズ付き基板2011A乃至レンズ付き基板2011Eが積層されて貼り合わせされて図55の積層レンズ構造体2012が形成される。このレンズ付き基板2011同士の貼り合わせの方法は任意である。例えば、プラズマ接合によりレンズ付き基板2011同士を接合するようにしてもよいし、接着剤を用いてレンズ付き基板2011同士を貼り合わせるようにしてもよい。
図56および図57に示されるような構成のレンズ付き基板2011を用いることにより、積層レンズ構造体2012は、上述したレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる。
例えば、積層レンズ構造体2012は、貫通孔2041内における光の反射等の発生を抑制することができ、ゴーストやフレアの発生を十分に抑制し、画質の低減を抑制することができる。また、例えば、積層レンズ構造体2012は、レンズ樹脂部2042の保持安定性を向上させることができる。さらに、スペーサー基板などを用いずにレンズ付き基板同士を貼り合わせることができ、光軸ズレの悪化(解像度低下)や、フレア悪化等を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。また、担体基板204やレンズ樹脂部2042としてより多様な材料を用いることができる。
なお、積層レンズ構造体2012を構成するレンズ付き基板2011の数(層数)は任意である。また、積層レンズ構造体2012を構成するレンズ付き基板2011の内、一部のレンズ付き基板2011のみが、図56や図57を参照して説明したような構成を有するようにしてもよい。つまり、積層レンズ構造体において、貫通孔が形成されており、その貫通孔の側壁に遮光膜が成膜されている基板と、その基板の貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部とを備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されているようにしてもよい。
<側壁の形状例>
なお、レンズ樹脂部2042の保持安定性を向上させることができるので、レンズ付き基板2011(積層レンズ構造体2012)は、側壁2051の形状を上述したテーパー形状以外の形状にすることもできる。
例えば、図58に示されるように、各レンズ付き基板2011の貫通孔2041の側壁2051が、光出射側から光入射側に向かって広がるような逆テーパー形状に形成されているようにしてもよい。また、例えば、図59に示されるように、各レンズ付き基板2011の貫通孔2041の側壁2051が、光出射側から光入射側まで垂直な垂直形状に形成されているようにしてもよい。
さらに、例えば、図60に示されるように、各レンズ付き基板2011の貫通孔2041の側壁2051が、貫通孔2041の中央部から光出射側と光入射側との両方に向かって広がるような両テーパー形状に形成されているようにしてもよい。このように側壁2051の形状を両テーパー形状にすることにより、遮光膜2043をより容易に成膜することができるようになる。また、この場合、側壁2051のレンズ樹脂部2042との接触部分が突起形状となるので、レンズ樹脂部2042の保持安定性を向上させることができる。また、この場合、担体基板2040の両面からエッチングを行って貫通孔2041を形成するので、側壁2051が他の形状の場合よりも、そのエッチングの処理時間を短くすることができる。
また、例えば、図61に示されるように、各レンズ付き基板2011の貫通孔2041の側壁2051が、貫通孔2041の途中で段差が形成されるような段差形状に形成されているようにしてもよい。
もちろん、側壁2051の形状は任意であり、これらの例に限定されない。例えば、図62において点線円2071乃至点線円2074に示されるように、レンズ樹脂部2042を成型する際に生じる余分なレンズ樹脂部2042の材料(樹脂)の退避場所となり得るスペースを、側壁2051に設けるようにしてもよい。このスペースの形状は任意である。また、このスペースは、積層レンズ構造体2012を構成する全てのレンズ付き基板2011に設けられるようにしてもよいし、一部のレンズ付き基板2011にのみ設けられるようにしてもよい。
このような側壁2051の形状に応じて遮光膜2043の成膜方法(および材料)を選択するようにしてもよい。例えば、例えば、側壁2051が垂直形状の場合、スピンやスプレー塗布では、レジストを塗ることが困難であることがあるので、CVDを採用するようにしてもよい。
また、例えば、積層レンズ構造体2012が、側壁2051の形状が異なるレンズ付き基板2011を有するようにしてもよい。つまり、積層レンズ構造体2012を構成する全てのレンズ付き基板2011において、側壁2051の形状が統一されていなくてもよい。例えば、テーパー形状の側壁2051を有するレンズ付き基板2011と逆テーパー形状の側壁2051を有するレンズ付き基板とを積層するようにしてもよい。
<カメラモジュールの構成>
以上のような積層レンズ構造体2012を用いてカメラモジュール1を構成するようにしてもよい。すなわち、カメラモジュールにおいて、貫通孔が形成されており、その貫通孔の側壁に遮光膜が成膜されている基板と、その基板の貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部とを備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されている積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とが積層されているようにしてもよい。
このような構成とすることにより、カメラモジュール1は、上述したレンズ付き基板2011や積層レンズ構造体2012と同様の効果を得ることができる。
なお、以上においては、光学ユニット13が1つの例について説明したが、光学ユニット13が複数の場合も同様に本技術を適用することができる。
<レンズ付き基板の製造>
次に、上述したようなレンズ付き基板2011の製造について説明する。図63は、本技術を適用した製造装置の一実施の形態であるレンズ付き基板を製造する製造装置の主な構成例を示すブロック図である。図63に示される製造装置2100は、制御部2101およびレンズ付き基板製造部2102を有する。
制御部2101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を有し、レンズ付き基板製造部2102の各部を制御し、レンズ付き基板の製造に関する制御処理を行う。例えば、制御部2101のCPUは、ROMに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。また、そのCPUは、記憶部2113からRAMにロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMにはまた、CPUが各種の処理を実行するにあたって必要なデータなども適宜記憶される。
レンズ付き基板製造部2102は、制御部2101に制御されて、レンズ付き基板の製造に関する処理を行う。レンズ付き基板製造部2102は、担体基板加工部2131、レンズ形成部2132、表面層成膜部2133、および遮光膜成膜部2134を有する。
担体基板加工部2131は、担体基板2040の加工に関する処理を行う。レンズ形成部2132は、レンズ樹脂部2042の形成に関する処理を行う。表面層成膜部2133は、上側表面層2044や下側表面層2045の成膜に関する処理を行う。遮光膜成膜部2134は、遮光膜2043の成膜に関する処理を行う。これらの処理部は、制御部2101に制御されてそれぞれの処理を行う。
また、製造装置2100は、入力部2111、出力部2112、記憶部2113、通信部2114、およびドライブ2115を有する。
入力部2111は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、および外部入力端子などよりなり、ユーザ指示や外部からの情報の入力を受け付け、制御部2101に供給する。出力部2112は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ、スピーカ、並びに外部出力端子などよりなり、制御部2101から供給される各種情報を画像、音声、若しくは、アナログ信号やデジタルデータとして出力する。
記憶部2113は、例えばフラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の任意の記憶媒体を有し、制御部2101から供給される情報を記憶したり、制御部2101からの要求に従って、記憶している情報を読み出して供給したりする。通信部2114は、例えば、有線LAN(Local Area Network)や無線LANのインタフェースやモデムなどよりなり、インターネットを含むネットワークを介して、外部の装置との通信処理を行う。例えば、通信部2114は、制御部2101から供給される情報を通信相手に送信したり、通信相手から受信した情報を制御部2101に供給したりする。
ドライブ2115は、必要に応じて制御部401に接続される。そして、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア2121がそのドライブ2115に適宜装着される。そして、そのドライブ2115を介してリムーバブルメディア2121から読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部2113にインストールされる。
図64は、担体基板加工部2131の主な構成例を示すブロック図である。図64に示されるように、担体基板加工部2131は、ハードマスク成膜部2151、ハードマスク加工部2152、貫通孔形成部2153、および遮光膜成膜部2154を有する。
ハードマスク成膜部2151は、ハードマスクの成膜に関する処理を行う。ハードマスク加工部2152は、ハードマスクの加工に関する処理を行う。貫通孔形成部2153は、貫通孔の形成に関する処理を行う。遮光膜成膜部2154は、遮光膜の成膜に関する処理を行う。これらの処理部は、制御部2101に制御されてそれぞれの処理を行う。
以上のような構成の製造装置2100は、レンズ付き基板製造処理を実行することにより、レンズ付き基板を製造する。このレンズ付き基板製造処理の流れの例を、図65のフローチャートを参照して説明する。必要に応じて図66を参照して説明する。
レンズ付き基板製造処理が開始されると、担体基板加工部2131は、ステップS2001において、貫通孔遮光膜形成処理を実行し、製造装置2100の外部から供給された、個片化されていない担体基板2161に貫通孔2041を形成し、その貫通孔2041の側壁2051に遮光膜2043を成膜する。この処理の詳細については、後述する。
これ以降の各処理は、「10.レンズ付き基板の製造方法」において、図23を参照する等して上述した方法と基本的に同様の方法で行われる。
ステップS2002において、レンズ形成部2132は、下型181の上に担体基板2161を配置する。ステップS2003において、レンズ形成部2132は、担体基板2161に形成された貫通孔2041にレンズ樹脂部2042の材料として、例えば、エネルギー硬化性樹脂191を充填する。ステップS2004において、レンズ形成部2132は、その担体基板2161の上に上型201を配置する。ステップS2005において、レンズ形成部2132は、エネルギー硬化性樹脂191の硬化処理を行う。ステップS2006において、レンズ形成部2132は、上型201と下型181とを担体基板2161から離型する。
例えば、レンズ形成部2132は、側壁2051の長さ(遮光膜2043の幅)よりも、側壁2051(遮光膜2043)とレンズ樹脂部2042とが接触する部分の幅を狭く(短く)するように、レンズ樹脂部2042を形成するようにしてもよい。
ステップS2007において、表面層成膜部2133は、図66Aに示される例のように、担体基板2161とその担体基板2161に形成されたレンズ樹脂部2042の光入射側表面に上側表面層2044を成膜し、光出射側表面に下側表面層2045を成膜する。成膜する上側表面層2044と下側表面層2045は、酸化物、例えばSiOx、もしくは窒化物、例えばSiNx、あるいはその他の絶縁物、例えばDVS-bisBCB(ジビニルテトラメチルシロキサンビスベンゾシクロブテン)などである。
ステップS2008において、遮光膜成膜部2134は、積層レンズ構造体2012において最も光入射側に積層されるレンズ付き基板2011を製造する場合、図66Bに示される例のように、レンズ樹脂部2042の担持部92の光入射側表面2052に、遮光膜2043を成膜する。積層レンズ構造体2012のその他の層として用いられるレンズ付き基板2011を製造する場合、遮光膜成膜部2134は、この処理を省略する。
ステップS2008の処理が終了すると、レンズ付き基板製造処理が終了する。このようにして製造されたレンズ付き基板を個片化することにより、レンズ付き基板2011が製造される。
次に、図65のステップS2001において実行される貫通孔遮光膜形成処理の流れの例を、図67のフローチャートを参照して説明する。必要に応じて図68を参照して説明する。
貫通孔遮光膜形成処理が開始されると、ハードマスク成膜部2151は、ステップS2021において、図68Aに示されるような個片化されていない担体基板2161に対して、図68Bのように、ハードマスク2171を成膜する。このハードマスク2171は、他の実施の形態において上述したハードマスク242に対応する。ステップS2022において、ハードマスク加工部2152は、図68Cのように、ハードマスク2171を加工し、所定の部分2172のハードマスク2171を除去する。
ステップS2023において、貫通孔形成部2153は、そのハードマスク2171が施された担体基板2161をウェットエッチングする等して、ハードマスク2171が除去された所定の部分2172に、側壁2051が所定の形状(例えばテーパー形状等)となるように貫通孔2041を形成する。貫通孔2041を形成すると、貫通孔形成部2153は、図68Dのように、ハードマスク2171を除去する。
ステップS2024において、遮光膜成膜部2154は、図68Eのように、貫通孔2041の側壁2051に、図56や図57等を参照して上述した遮光膜2043を成膜する。
例えば、遮光膜成膜部2154が、黒色材料を用いて遮光膜2043を成膜するようにしてもよい。さらに、遮光膜成膜部2154が、その黒色材料として、例えば、カーボンブラックやチタンブラック等の顔料を用いるようにしてもよい。また、例えば、遮光膜成膜部2154が、金属膜を用いて遮光膜2043を成膜するようにしてもよい。さらに、遮光膜成膜部2154が、その金属膜として、例えば、タングステン(W)やクロム(Cr)等を用いるようにしてもよい。さらに、例えば、遮光膜成膜部2154が、CVD膜を用いて遮光膜2043を成膜するようにしてもよい。さらに、遮光膜成膜部2154が、そのCVD膜として、例えば、カーボンナノチューブ等を用いるようにしてもよい。
また、例えば、遮光膜成膜部2154が、貫通孔2041の側壁2051とレンズ樹脂部2042との接触性を向上させる密着助剤を添加した材料を用いて遮光膜2043を成膜するようにしてもよい。さらに、遮光膜成膜部2154が、その密着助剤として、例えば、シランカップリング剤を用いるようにしてもよい。
ステップS2024の処理が終了すると、貫通孔遮光膜形成処理が終了し、処理は図65に戻る。
以上のようにレンズ付き基板を製造することにより、上述したような効果を得ることができるレンズ付き基板を製造することができる。
<担体基板加工の他の例>
なお、担体基板2161の加工方法は、上述した例に限定されない。例えば、担体基板2161を加工する際に、他の基板(支持基板)を担体基板2161に貼り合わせて行うようにしてもよい。
図69は、その場合の担体基板加工部2131の主な構成例を示すブロック図である。図69に示されるように、この場合の担体基板加工部2131は、図64に示される構成(ハードマスク成膜部2151乃至遮光膜成膜部2154)に加え、支持基板接合部2181および支持基板剥離部2182を有する。
支持基板接合部2181は、支持基板と担体基板との接合に関する処理を行う。支持基板剥離部2182は、支持基板と担体基板との剥離に関する処理を行う。
この場合の、図65のステップS2001において実行される貫通孔遮光膜形成処理の流れの例を、図70のフローチャートを参照して説明する。必要に応じて図71を参照して説明する。
図71Aに示されるように、この場合に用いられる支持基板2191は、その表面にエッチストップ膜2192が成膜されている。貫通孔遮光膜形成処理が開始されると、支持基板接合部2181は、ステップS2041において、支持基板2191のエッチストップ膜2192が成膜された面に、個片化されていない担体基板2161を積層して貼り合わせる。この貼り合わせの方法は任意である。例えば、支持基板接合部2181が、担体基板2161と支持基板2191とを、プラズマ接合により接合するようにしてもよいし、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。後述するように、支持基板2191は後で担体基板2161から剥離するため、支持基板接合部2181は、容易に剥離することができる方法で担体基板2161と支持基板2191とを貼り合わせるようにしてもよい。
ステップS2042において、ハードマスク成膜部2151は、その担体基板2161と支持基板2191が積層された積層基板に対して、図71Bのように、ハードマスク2171を成膜する。ステップS2043において、ハードマスク加工部2152は、図71Cのように、ハードマスク2171を加工し、所定の部分2172のハードマスク2171を除去する。
ステップS2044において、貫通孔形成部2153は、そのハードマスク2171が施された積層基板をウェットエッチングする等して、担体基板2161のハードマスク2171が除去された所定の部分2172に、側壁2051が所定の形状(例えばテーパー形状等)となるように貫通孔2041を形成する。担体基板2161と支持基板2191との間にはエッチストップ膜2192が成膜されているので、担体基板2161のみがエッチングされる。貫通孔2041を形成すると、貫通孔形成部2153は、図71Dのように、積層基板からハードマスク2171を除去する。
ステップS2045において、遮光膜成膜部2154は、図71Eのように、貫通孔2041の側壁2051に、図56や図57等を参照して上述した遮光膜2043を成膜する。すなわち、遮光膜成膜部2154は、図67のフローチャートを参照して説明した場合と同様に遮光膜2043を成膜する。
ステップS2046において、支持基板剥離部2182は、担体基板2161から支持基板2191(およびエッチストップ膜2192)を剥離する。
ステップS2046の処理が終了すると、貫通孔遮光膜形成処理が終了し、処理は図65に戻る。
以上のようにレンズ付き基板を製造することにより、上述したような効果を得ることができるレンズ付き基板を製造することができる。
<積層レンズ構造体の製造>
次に、上述したような積層レンズ構造体2012の製造について説明する。図72は、本技術を適用した製造装置の一実施の形態である積層レンズ構造体を製造する製造装置の主な構成例を示すブロック図である。図72に示される製造装置2200は、制御部2201および積層レンズ構造体製造部2202を有する。
制御部2201は、例えば、CPU、ROM、およびRAM等を有し、積層レンズ構造体製造部2202の各部を制御し、積層レンズ構造体の製造に関する制御処理を行う。例えば、制御部2201のCPUは、ROMに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。また、そのCPUは、記憶部2213からRAMにロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMにはまた、CPUが各種の処理を実行するにあたって必要なデータなども適宜記憶される。
積層レンズ構造体製造部2202は、制御部2201に制御されて、積層レンズ構造体の製造に関する処理を行う。積層レンズ構造体製造部2202は、レンズ付き基板製造部2231およびレンズ付き基板接合部2232を有する。
レンズ付き基板製造部2231は、レンズ付き基板の製造に関する処理を行う。レンズ付き基板製造部2231は、製造装置2100のレンズ付き基板製造部2102(図63)と同様の機能を有する。すなわち、レンズ付き基板製造部2231は、担体基板加工部2131乃至遮光部成膜部2134の各処理部を有し、レンズ付き基板製造部2102と同様の処理を行う。
レンズ付き基板接合部2232は、レンズ付き基板同士の貼り合わせに関する処理を行う。レンズ付き基板製造部2231およびレンズ付き基板接合部2232は、制御部2201に制御されてそれぞれの処理を行う。
また、製造装置2200は、入力部2211、出力部2212、記憶部2213、通信部2214、およびドライブ2215を有する。ドライブ2215には、リムーバブルメディア2221が適宜装着される。入力部2211乃至ドライブ2215は、それぞれ、図63の製造装置2100における入力部2111乃至ドライブ2115と同様の処理部であり、同様の機能を有する。また、リムーバブルメディア2221は、リムーバブルメディア2121と同様の記録媒体であり、コンピュータプログラム等が記録される。
以上のような構成の製造装置2200は、積層レンズ構造体製造処理を実行することにより、積層レンズ構造体を製造する。この積層レンズ構造体製造処理の流れの例を、図73のフローチャートを参照して説明する。
積層レンズ構造体製造処理が開始されると、レンズ付き基板製造部2231は、ステップS2061において、図63乃至図71を参照して上述したようにレンズ付き基板を製造する。ステップS2062において、レンズ付き基板製造部2231は、積層レンズ構造体を構成する全てのレンズ付き基板を製造したか否かを判定し、全てのレンズ付き基板を製造するまでステップS2061の処理を繰り返す。つまり、レンズ付き基板製造部2231は、レンズ付き基板製造処理(図65)を繰り返し実行することにより、積層レンズ構造体を構成する全てのレンズ付き基板を製造する。
全てのレンズ付き基板が製造されると、処理はステップS2063に進む。ステップS2063において、レンズ付き基板接合部2232は、レンズ付き基板製造部2231により製造された各レンズ付き基板を積層して貼り合わせる。この貼り合わせの方法は任意である。例えば、レンズ付き基板接合部2232が、プラズマ接合によりレンズ付き基板同士を接合するようにしてもよいし、接着剤を用いてレンズ付き基板同士を接着するようにしてもよい。
ステップS2063の処理が終了すると、積層レンズ構造体製造処理が終了する。このようにして製造された積層レンズ構造体を個片化することにより、積層レンズ構造体2012が製造される。
以上のように積層レンズ構造体を製造することにより、上述したような効果を得ることができる積層レンズ構造体を製造することができる。
<カメラモジュールの製造>
次に、上述したようなカメラモジュール1の製造について説明する。図74は、本技術を適用した製造装置の一実施の形態であるカメラモジュール1を製造する製造装置の主な構成例を示すブロック図である。図74に示される製造装置2300は、制御部2301およびカメラモジュール製造部2302を有する。
制御部2301は、例えば、CPU、ROM、およびRAM等を有し、カメラモジュール製造部2302の各部を制御し、カメラモジュール1の製造に関する制御処理を行う。例えば、制御部2301のCPUは、ROMに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。また、そのCPUは、記憶部2313からRAMにロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMにはまた、CPUが各種の処理を実行するにあたって必要なデータなども適宜記憶される。
カメラモジュール製造部2302は、制御部2301に制御されて、カメラモジュール1の製造に関する処理を行う。カメラモジュール製造部2302は、積層レンズ構造体製造部2331、センサ基板製造部2332、接合部2333、個片化部2334、およびモジュール化部2335を有する。
積層レンズ構造体製造部2331は、積層レンズ構造体の製造に関する処理を行う。積層レンズ構造体製造部2331は、製造装置2200の積層レンズ構造体製造部2202(図72)と同様の機能を有する。すなわち、積層レンズ構造体製造部2331は、レンズ付き基板製造部2231およびレンズ付き基板接合部2232を有し、積層レンズ構造体製造部2202と同様の処理を行う。
センサ基板製造部2332は、センサ基板43Wの製造に関する処理を行う。接合部2333は、積層レンズ構造体とセンサ基板との貼り合わせに関する処理を行う。個片化部2334は、積層レンズ構造体とセンサ基板とを貼り合わせた積層基板の個片化に関する処理を行う。モジュール化部2335は、個片化された積層基板のモジュール化に関する処理を行う。これらの処理部は、制御部2301に制御されてそれぞれの処理を行う。
また、製造装置2300は、入力部2311、出力部2312、記憶部2313、通信部2314、およびドライブ2315を有する。ドライブ2315には、リムーバブルメディア2321が適宜装着される。入力部2311乃至ドライブ2315は、それぞれ、図63の製造装置2100における入力部2111乃至ドライブ2115と同様の処理部であり、同様の機能を有する。また、リムーバブルメディア2321は、リムーバブルメディア2121と同様の記録媒体であり、コンピュータプログラム等が記録される。
以上のような構成の製造装置2300は、カメラモジュール製造処理を実行することにより、カメラモジュール1を製造する。このカメラモジュール製造処理の流れの例を、図75のフローチャートを参照して説明する。
カメラモジュール製造処理が開始されると、積層レンズ構造体製造部2331は、ステップS2081において、図63乃至図73を参照して上述したように積層レンズ構造体を製造する。ステップS2082において、センサ基板製造部2332は、受光素子等のセンサが形成されるセンサ基板43Wを製造する。例えば、センサ基板43Wに形成されるセンサ等、このセンサ基板の構成は任意である。また、センサ基板43Wの製造方法も任意である。
ステップS2083において、接合部2333は、製造された積層レンズ構造体とセンサ基板43Wとを貼り合わせる。この貼り合わせの方法は任意である。例えば、接合部2333は、プラズマ接合により積層レンズ構造体とセンサ基板43Wとを接合するようにしてもよいし、接着剤を用いて積層レンズ構造体とセンサ基板43Wとを接着するようにしてもよい。
ステップS2084において、個片化部2334は、積層レンズ構造体とセンサ基板43Wとが積層されて貼り合わせられた積層基板を個片化する。
ステップS2085において、モジュール化部2335は、例えば個片化された積層基板に絞り板51やレンズバレル74を設ける等して、個片化された積層基板をモジュール化し、カメラモジュール1を生成する。このモジュール化の際に行われる処理は任意である。
ステップS2085の処理が終了すると、カメラモジュール製造処理が終了する。
以上のようにカメラモジュール1を製造することにより、上述したような効果を得ることができるカメラモジュール1を製造することができる。
<17.その他の実施の形態2>
<ウエハレベルレンズ>
ところで、上述したように、特許文献1記載のように、貫通孔の側壁の表面をブラスト加工する方法では、貫通孔の側壁における光の反射を十分に抑制することができない可能性があった。したがって、特許文献1に記載の方法を用いても、ゴーストやフレアの発生を十分に抑制することができず、画質が低減する可能性があった。
そこで、レンズ付き基板において、貫通孔が形成されており、光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜が成膜されている基板と、その基板の貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部とを備えるようにする。
<レンズ付き基板の構成>
図76は、この場合の積層レンズ構造体2012の主な構成の例を説明するための概略的な断面図である。図76に示されるようにこの場合、レンズ付き基板2011Aの担体基板2040Aの光入射側表面2055Aの全面に遮光膜2043が成膜されている。また、光出射側表面2056Aの全面にも遮光膜2043が成膜されている。レンズ付き基板2011B乃至レンズ付き基板2011Eも同様に構成される。つまり、各レンズ付き基板2011において、担体基板2040の光入射側表面2055および光出射側表面2056の全面に遮光膜2043が成膜されている。
この遮光膜2043の材料は上述した通りである。また、この遮光膜2043の膜厚は任意である。例えば、1μm程度としてもよい。
以上のように遮光膜2043を成膜することにより、この部分における光の反射や透過を抑制することができ、ゴーストやフレアの発生を抑制し、レンズ付き基板2011(積層レンズ構造体2012)による画質の低減を抑制することができる。
例えば、担体基板2040の材料が石英の場合、光を透過する。そのため、担体基板2040の内部を光が通過し、ゴーストやフレアが発生しやすい。これに対して、上述したように、担体基板2040の光入射側表面2055および光出射側表面2056の全面に遮光膜2043が成膜されているようにすることにより、レンズ付き基板2011は、このような光の反射や透過を抑制してゴーストやフレアの発生を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
例えば、図76の場合、積層レンズ構造体2012のようにレンズ付き基板2011が積層された状態においては、光学ユニット13を形成する各レンズ付き基板2011の貫通孔2041が繋がって、積層レンズ構造体2012の光入射側表面(すなわち、レンズ付き基板2011Aの光入射側表面)から光出射側表面(すなわち、レンズ付き基板2011Eの光出射側表面)までの1つの貫通孔2401が形成される。センサ基板の受光素子は、この積層レンズ構造体2012の貫通孔2401を通過して入射する被写体からの光を受光する。
レンズ付き基板2011の貫通孔2041の形状(側壁2051の形状)によっては、このように積層された状態において、レンズ付き基板2011の担体基板2040の光入射側表面2055、若しくは光出射側表面2056、またはその両方の一部が貫通孔2401に露出することになる。例えば、図76の場合、各レンズ付き基板2011の貫通孔2041の側壁2051は、逆テーパー形状に形成されている。そのため、各レンズ付き基板2011の担体基板2040の光出射側表面2056の一部が、貫通孔2401に露出している。
上述したように、担体基板2040の光入射側表面2055および光出射側表面2056の全面に遮光膜2043を成膜することにより、各レンズ付き基板2011の担体基板2040の光出射側表面2056の貫通孔2401に露出する部分に、遮光膜2043が形成されていることになる。したがって、レンズ付き基板2011は、積層された状態において、貫通孔2401を通過する光の、この部分での反射や透過を抑制することができる。つまり、画質の低減を抑制することができる。
図76の例の場合、各レンズ付き基板2011の貫通孔2041の側壁2051にも遮光膜2043が成膜されている。したがって、レンズ付き基板2011は、積層された状態において、貫通孔2401を通過する光の反射や透過をより抑制することができる。つまり、ゴーストやフレアの発生をより抑制し、画質の低減をより抑制することができる。
なお、担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056の一方のみの前面に遮光膜を成膜するようにしてもよい。なお、複数のレンズ付き基板が積層された状態において、担体基板2040の光入射側表面2055が貫通孔2401に露出するか否か、並びに、担体基板2040の光出射側表面2056が貫通孔2401に露出するか否かは、側壁2051の形状や各レンズ付き基板の貫通孔2041の大きさ等に依存する。遮光膜2043は、担体基板2040の光入射側表面2055および光出射側表面2056の内、少なくとも、その一部が貫通孔2401に露出する方の面に成膜されていればよい。
なお、積層される複数のレンズ付き基板2011の内、一部のレンズ付き基板2011においてのみ、担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の全面に、遮光膜2043が形成されているようにしてもよい。
また、担体基板2040の光入射側表面2055に遮光膜2043が形成されているレンズ付き基板2011、担体基板2040の光出射側表面2056に遮光膜2043が形成されているレンズ付き基板2011、担体基板2040の光入射側表面2055と光出射側表面2056との両方に遮光膜2043が形成されているレンズ付き基板2011、並びに、担体基板2040の光入射側表面2055と光出射側表面2056との両方に遮光膜2043が形成されていないレンズ付き基板2011の内、少なくとも2種類以上のレンズ付き基板2011が混在して積層されるようにしてもよい。つまり、積層される複数のレンズ付き基板2011において、遮光膜2043が形成されている面が統一されていなくてもよい。
ただし、一般的に、遮光膜2043の範囲が広い程、光の反射や透過をより抑制することができる。また、遮光膜2043の数が多い程、光の反射や透過をより抑制することができる。
<積層レンズ構造体の構成>
図76に示されるように、積層レンズ構造体2012は、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されているようにすることができる。このような構成とすることにより、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
<カメラモジュールの構成>
また、カメラモジュール1は、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されている積層レンズ構造体2012とセンサ基板とが積層されているようにすることができる。このような構成とすることにより、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
<レンズ付き基板の製造>
このような場合のレンズ付き基板2011を製造する場合、上述した製造装置2100(図63、図64、図69)が、上述したレンズ付き基板製造処理(図65)を実行する際に、ステップS2008の遮光膜成膜処理を以下のように実行するようにすればよい。
この場合のステップS2008において製造装置2100が実行する遮光膜成膜処理の流れの例を、図77のフローチャートを参照して説明する。
遮光膜成膜処理が開始されると、遮光膜成膜部2134は、ステップS2101において、レンズ樹脂部2042の担持部92の光入射側表面2052に遮光膜を成膜する。なお、この処理は、最も光入射側に積層されるレンズ付き基板2011を製造する場合のみ行われるようにし、その他のレンズ付き基板を製造する場合は省略されるようにしてもよい。
ステップS2102において、遮光膜成膜部2134は、担体基板2161の光入射側表面2055の全面に遮光膜2043を成膜する。なお、ステップS2101の処理を行う場合、ステップS2101の処理とステップS2102の処理とが1つの処理として行われるようにしてもよい。
ステップS2103において、遮光膜成膜部2134は、担体基板2161の光出射側表面2056の全面に遮光膜2043を成膜する。
担体基板2161の光入射側表面2055および光出射側表面2056の全面に遮光膜2043が成膜されると、遮光膜成膜処理が終了する。このようにすることにより、上述したような効果を得ることができるレンズ付き基板を製造することができる。
なお、担体基板2161の光入射側表面2055に遮光膜2043を成膜しない場合、遮光膜成膜部2134がステップS2102の処理を省略するようにすればよい。また、担体基板2161の光出射側表面2056に遮光膜2043を成膜しない場合、遮光膜成膜部2134がステップS2103の処理を省略するようにすればよい。
<積層レンズ構造体の製造>
製造装置2200(図72)は、このように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)積層レンズ構造体2012を製造することができる。したがってその説明は省略する。
<カメラモジュールの製造>
製造装置2300(図74)は、このように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)カメラモジュール1を製造することができる。したがってその説明は省略する。
<レンズ付き基板の他の構成>
なお、レンズ付き基板2011において、担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の、複数のレンズ付き基板が積層された状態において貫通孔2401に露出する部分に遮光膜2043が成膜されているようにしてもよい。
換言するに、レンズ付き基板2011において、担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の、複数のレンズ付き基板が積層された状態において貫通孔2401に露出しない部分に遮光膜2043が成膜されていないようにしてもよい。
例えば、担体基板2040の材料がシリコンである場合、光を透過しないので、貫通孔2401に露出しない部分の遮光膜2043は不要であり、省略することができる。また、このような構成とすることにより、レンズ付き基板2011同士をプラズマ接合する場合における遮光膜2043の影響を抑制し、接合強度の低減を抑制することができる。
そして、この場合のレンズ付き基板2011も、上述した担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の全面に遮光膜2043が成膜されている場合(図76の例の場合)と同様に、積層された状態において、貫通孔2401を通過する光の、この部分(担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の、複数のレンズ付き基板が積層された状態において貫通孔2401に露出する部分)での反射や透過を抑制することができる。つまり、画質の低減を抑制することができる。
例えば、図78の場合、各レンズ付き基板2011の貫通孔2041の側壁2051が逆テーパー形状に形成されている。したがって、この場合、複数のレンズ付き基板が積層された状態において、各レンズ付き基板2011の担体基板2040の光出射側表面2056の一部(点線円2402により囲まれている部分)が貫通孔2401に露出しており、この部分に遮光膜2043が成膜されている。そして、各レンズ付き基板2011の担体基板2040の光入射側表面2055や、光出射側表面2056の、貫通孔2401に露出しない部分(他のレンズ付き基板2011と接触する部分)には、遮光膜2043が成膜されていない。
このようにすることにより、遮光膜2043によるレンズ付き基板2011同士の接合強度の低減を抑制するとともに、各レンズ付き基板2011の担体基板2040の光出射側表面2056の一部(点線円2402により囲まれている部分)における、貫通孔2401を通過する光の反射や透過を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
なお、この場合であっても、積層レンズ構造体2012のように、複数のレンズ付き基板2011が積層された状態において、最も光入射側に積層されるレンズ付き基板2011の担体基板2040の光入射側表面2055と、最も光出射側に積層されるレンズ付き基板2011の担体基板2040の光出射側表面2056とに、遮光膜2043が成膜されるようにしてもよい。例えばシリコンのように担体基板2040の材料が光を透過しない場合であっても、これらの面で反射した光が受光素子に届く可能性があり、それによって画質が低減してしまう可能性がある。このようにすることにより、不要な光の反射を抑制することができ、画質の低減を抑制することができる。
また、この場合のレンズ付き基板2011も、上述した担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の全面に遮光膜2043が成膜されている場合(図76の例の場合)と同様に、貫通孔2041の側壁2051にも遮光膜2043が形成されるようにしてもよい。このようにすることにより、レンズ付き基板2011は、積層された状態において、貫通孔2401を通過する光の反射や透過をより抑制することができる。つまり、ゴーストやフレアの発生をより抑制し、画質の低減をより抑制することができる。
なお、複数のレンズ付き基板が積層された状態において、担体基板2040の光入射側表面2055が貫通孔2401に露出するか否か、並びに、担体基板2040の光出射側表面2056が貫通孔2401に露出するか否かは、側壁2051の形状や各レンズ付き基板の貫通孔2041の大きさ等に依存する。したがって、遮光膜2043がどの面のどの部分に成膜されるかは、側壁2051の形状や各レンズ付き基板の貫通孔2041の大きさ等に応じて決定される。
なお、積層される複数のレンズ付き基板2011の内、一部のレンズ付き基板2011においてのみ、上述したように遮光膜2043が形成されているようにしてもよい。また、積層される複数のレンズ付き基板2011において、遮光膜2043が形成されている面やその部分が統一されていなくてもよい。
ただし、一般的に、遮光膜2043の範囲が広い程、光の反射や透過をより抑制することができる。また、遮光膜2043の数が多い程、光の反射や透過をより抑制することができる。
<積層レンズ構造体の構成>
図78に示されるように、積層レンズ構造体2012は、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されているようにすることができる。このような構成とすることにより、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
<カメラモジュールの構成>
また、カメラモジュール1は、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されている積層レンズ構造体2012とセンサ基板とが積層されているようにすることができる。このような構成とすることにより、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
<レンズ付き基板の製造>
このような場合のレンズ付き基板2011を製造する場合、上述した製造装置2100(図63、図64、図69)が、上述したレンズ付き基板製造処理(図65)を実行する際に、ステップS2008の遮光膜成膜処理を以下のように実行するようにすればよい。
この場合のステップS2008において製造装置2100が実行する遮光膜成膜処理の流れの例を、図79のフローチャートを参照して説明する。
遮光膜成膜処理が開始されると、遮光膜成膜部2134は、ステップS2121において、レンズ樹脂部2042の担持部92の光入射側表面2052に遮光膜を成膜する。なお、この処理は、最も光入射側に積層されるレンズ付き基板2011を製造する場合のみ行われるようにし、その他のレンズ付き基板を製造する場合は省略されるようにしてもよい。
ステップS2122において、遮光膜成膜部2134は、担体基板2161の光入射側表面2055の、貫通孔2401に露出する部分に遮光膜2043を成膜する。なお、光入射側表面2055に露出する部分が存在しない場合、この処理が省略される。また、ステップS2121の処理とステップS2122の処理との両方が行われる場合、ステップS2121の処理とステップS2102の処理とが1つの処理として行われるようにしてもよい。
ステップS2123において、遮光膜成膜部2134は、担体基板2161の光出射側表面2056の、貫通孔2401に露出する部分に遮光膜2043を成膜する。なお、光出射側表面2056に露出する部分が存在しない場合、この処理が省略される。
担体基板2161の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の、貫通孔2401に露出する部分に遮光膜2043が成膜されると、遮光膜成膜処理が終了する。このようにすることにより、上述したような効果を得ることができるレンズ付き基板を製造することができる。
<積層レンズ構造体の製造>
製造装置2200(図72)は、このように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)積層レンズ構造体2012を製造することができる。したがってその説明は省略する。
<カメラモジュールの製造>
製造装置2300(図74)は、このように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)カメラモジュール1を製造することができる。したがってその説明は省略する。
<レンズ付き基板の他の構成>
なお、レンズ付き基板2011において、担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056、またはその両方の、複数のレンズ付き基板が積層された状態において貫通孔2401に露出する部分に遮光膜2043が成膜されているようにする場合、その担体基板2040の光入射側表面2055若しくは光出射側表面2056が、貫通孔2401に露出する部分と貫通孔2401に露出しない部分とにより、遮光膜2043の膜厚よりも高い段差が形成されているようにしてもよい。
図80は、図78の点線円2402で囲まれた部分を、このように形成する場合の例を示す拡大図である。
図80の例の場合、担体基板2040Aの光出射側表面2056の一部(両矢印2411で示される範囲)が貫通孔2401に露出し、その他の部分(両矢印2412で示される範囲)が担体基板2040Bに接合されている(貫通孔2401に露出していない)。また、貫通孔2401に露出している部分(両矢印2411で示される範囲)には、遮光膜2043が成膜されている。
そして、担体基板2040Aの光出射側表面2056の、貫通孔2401に露出している部分(両矢印2411で示される範囲)は、削られて、その他の部分(両矢印2412で示される範囲)よりも低く(図中上側)なされている。つまり、貫通孔2401に露出している部分(両矢印2411で示される範囲)と、その他の部分(両矢印2412で示される範囲)とで段差が形成されている。
そして、両矢印2421で示されるこの段差の高さは、両矢印2422で示される遮光膜2043の膜厚よりも高く形成されている。
このような構成にすることにより、担体基板2040Aの光出射側表面2056に遮光膜2043を成膜する際に、遮光膜2043が貫通孔2401に露出していない部分(両矢印2412で示される範囲)に成膜されるのを抑制することができる。つまり、より容易に、貫通孔2401に露出している部分(両矢印2411で示される範囲)にのみ遮光膜2043を成膜することができる。これにより、遮光膜2043が、レンズ付き基板同士の接合面に成膜されることによる、レンズ付き基板2011同士の接合強度の低減を抑制することができる。
また、この段差の高さを遮光膜2043の膜厚よりも高くすることにより、遮光膜2043が、光出射側表面2056の貫通孔2401に露出しない部分(両矢印2412で示される範囲)より突出しない(図中下側に遮光膜2043が突き出さない)。そのため、レンズ付き基板2011の製造工程における搬送時等において、遮光膜2043が設置台等に接触するのを抑制することができる。したがって、遮光膜2043の欠損等の発生を抑制することができる。
なお、以上においては、担体基板2040の光出射側表面2056が貫通孔2401に露出する場合について説明したが、担体基板2040の光入射側表面2055が貫通孔2401に露出する場合は、その光入射側表面2055に同様の段差が形成されているようにすればよい。同様に、担体基板2040の光入射側表面2055と光出射側表面2056との両方が貫通孔2401に露出する場合は、光入射側表面2055と光出射側表面2056とに同様の段差が形成されているようにすればよい。
<積層レンズ構造体の構成>
積層レンズ構造体2012は、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されているようにすることができる。このような構成とすることにより、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
<カメラモジュールの構成>
また、カメラモジュール1は、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されている積層レンズ構造体2012とセンサ基板とが積層されているようにすることができる。このような構成とすることにより、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
<レンズ付き基板の製造>
担体基板2040Aの光出射側表面2056の、貫通孔2401に露出している部分(両矢印2411で示される範囲)がこのような形状のレンズ付き基板2011を製造する場合、上述した製造装置2100(図63、図64、図69)が、上述した貫通孔遮光膜形成処理(図67、図70)を実行する際に、ステップS2023若しくはステップS2044の貫通孔形成処理を以下のように実行するようにすればよい。
この場合のステップS2023若しくはステップS2044において製造装置2100が実行する貫通孔形成処理の流れの例を、図81のフローチャートを参照して説明する。
貫通孔形成処理が開始されると、貫通孔形成部2153は、ステップS2141において、エッチング等により、担体基板2161に貫通孔を形成する。ステップS2142において、貫通孔形成部2153は、担体基板2161の光出射側表面2056を加工して、貫通孔2041周辺の、複数のレンズ付き基板を積層した状態において貫通孔2401に露出する部分を削り込み、その他の部分との間で段差を形成する。
ステップS2142の処理が終了すると、貫通孔形成処理が終了する。このようにすることにより、上述したような効果を得ることができるレンズ付き基板を製造することができる。
なお、以上においては、担体基板2040の光出射側表面2056が貫通孔2401に露出する場合について説明したが、担体基板2040の光入射側表面2055が貫通孔2401に露出する場合は、その光入射側表面2055に同様の段差を形成するようにすればよい。同様に、担体基板2040の光入射側表面2055と光出射側表面2056との両方が貫通孔2401に露出する場合は、光入射側表面2055と光出射側表面2056とに同様の段差を形成するようにすればよい。
<積層レンズ構造体の製造>
製造装置2200(図72)は、このように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)積層レンズ構造体2012を製造することができる。したがってその説明は省略する。
<カメラモジュールの製造>
製造装置2300(図74)は、このように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)カメラモジュール1を製造することができる。したがってその説明は省略する。
<遮光膜の成膜>
なお、図82Aに示されるように、担体基板2040(担体基板2161)に遮光膜2043を成膜する場合、その遮光膜2043の表面が、図82Aの例のように平面でなく、粗面である(凹凸が形成されている)ようにしてもよい。
このように、遮光膜2043の表面を粗面化することにより、レンズ付き基板2011は、遮光膜2043の表面における反射光を拡散させることができ、ゴーストやフレアの発生を抑制することができる。すなわち、画質の低減を抑制することができる。
また、遮光膜2043の表面を粗面化することにより、遮光膜2043の表面積が増大する。したがって、側壁2051に形成される遮光膜2043の表面を粗面化することにより、レンズ樹脂部2042との接合強度を向上させることができ、レンズ樹脂部2042の保持安定性を向上させることができる。さらに、接着剤を用いてレンズ付き基板2011同士を接着する場合、その接着面に形成される遮光膜2043を粗面化することにより、その接合強度を向上させることができる。
この遮光膜2043表面の粗面化の方法は任意である。例えば、図82Bのように、遮光膜2043が、担体基板2040の粗面な表面(例えば、側壁2051、光入射側表面2055、光出射側表面2056等)に成膜されていることにより、その遮光膜2043の表面が粗面化しているようにしてもよい。例えば、遮光膜成膜部2134(図63)や遮光膜成膜部2154(図64、図69)が、担体基板2161の表面の、遮光膜2043が成膜される部分を、エッチング若しくはモスアイ加工を含む処理により粗面化し、その粗面化した部分に遮光膜2043を成膜するようにしてもよい。
また、例えば、図82Cのように、成膜された遮光膜2043の表面が加工されて粗面化されているようにしてもよい。例えば、遮光膜成膜部2134や遮光膜成膜部2154が、担体基板2040の表面に遮光膜2043を成膜し、その成膜した遮光膜2043の表面をエッチング等により加工して粗面化するようにしてもよい。
なお、遮光膜2043の材料が凝集することにより、その遮光膜2043の表面が粗面化しているようにしてもよい。例えば、遮光膜成膜部2134や遮光膜成膜部2154が、担体基板2040の表面に、凝集する材料を用いて遮光膜2043を成膜するようにし、この材料の凝集により遮光膜2043の表面に凹凸が形成されるようにしてもよい。
また、遮光膜2043の材料に含まれる固形分により、その遮光膜2043の表面が粗面化しているようにしてもよい。例えば、遮光膜成膜部2134や遮光膜成膜部2154が、担体基板2040の表面に、固形成分が添加された材料を用いて遮光膜2043を成膜するようにし、この固形成分により遮光膜2043の表面に凹凸が形成されるようにしてもよい。
さらに、これらの例を組み合わせてもよい。例えば、図82Dのように、遮光膜成膜部2134や遮光膜成膜部2154が、担体基板2040の粗面な表面に、遮光膜2043を成膜し、さらにその遮光膜2043の表面を加工して、より粗面化するようにしてもよい。また、例えば、遮光膜成膜部2134や遮光膜成膜部2154が、担体基板2040の粗面な表面に、凝集する材料を用いて遮光膜2043を成膜するようにし、この材料の凝集により遮光膜2043の表面にさらに凹凸が形成されるようにしてもよい。さらに、例えば、例えば、遮光膜成膜部2134や遮光膜成膜部2154が、担体基板2040の粗面な表面に、固形成分が添加された材料を用いて遮光膜2043を成膜するようにし、この固形成分により遮光膜2043の表面にさらに凹凸が形成されるようにしてもよい。
<18.その他の実施の形態3>
<側壁の遮光膜>
ところで、図69のフローチャートを参照して説明した貫通孔遮光膜形成処理の様子の例について、再度、図83を参照して説明する。
支持基板2191のエッチストップ膜2192が形成されている面に担体基板2161を貼り合わせた積層基板は、ハードマスク2171が成膜されて加工された後、図83Aのように、アルカリエッチング等が行われて、担体基板2161に貫通孔2041が形成される。
そして、図83Bのように、その貫通孔2041が形成された積層基板に遮光膜2043が成膜される。ハードマスク2171やハードマスク2171に成膜された遮光膜2043が不要である場合は、除去するようにしてもよい。また、遮光膜2043を成膜する前にハードマスク2171を除去するようにしてもよい。
そして支持基板剥離部2182が、支持基板2191やエッチストップ膜2192を担体基板2161から剥離する。その際、例えば、図83Cのように、エッチストップ膜2192と支持基板2191との界面で剥離が生じ、エッチストップ膜2192が担体基板2161に張り合わされたままとなってしまう場合がある。
本来、貫通孔2041の底部(図83Cの点線円2431内)の遮光膜2043は、不要であり、支持基板2191を剥離する際に、エッチストップ膜2192とともに担体基板2161から剥離される。
しかしながら、上述したようにエッチストップ膜2192が担体基板2161から剥離されないと、この貫通孔2041の底部の遮光膜2043も、エッチストップ膜2192とともに残ってしまう可能性があった。
また、図83Dのように、支持基板2191の剥離の際に、担体基板2161とエッチストップ膜2192との界面で剥離が生じ、エッチストップ膜2192の剥離に成功したとしても、点線円2432内と点線円2433内に示されるように、貫通孔2041の底部の遮光膜2043に、所謂「引きちぎれ」が生じ、貫通孔2041の底部の遮光膜2043の一部が担体基板2161に残ったままとなる可能性があった。
さらに、点線円2434内に示されるように、所謂「持っていかれ」が生じ、貫通孔2041の側壁2051の遮光膜2043の一部が、貫通孔2041の底部の遮光膜2043とともに担体基板2161から剥離してしまう可能性があった。
さらに、貫通孔を図83の例のように逆テーパー形状に形成する場合、貫通孔2041の側壁2051の光出射側の端部に鋭角形状が形成されてしまう。そのため、搬送やその後の処理等において、この部分にチッピング(欠け)が発生する可能性が、他の部分よりも高かった。
これらにより、貫通孔2041の底部周辺の側壁2051や遮光膜2043の形成精度が低減する可能性があった。そして。形成精度が低減することにより、レンズ付き基板2011の歩留まりが低減する可能性があった。
そこで、レンズ付き基板において、貫通孔が形成されており、その貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状(窪み)が形成されている基板と、その基板の貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部とを備えるようにしてもよい。
<レンズ付き基板の製造>
この場合もレンズ付き基板2011は、製造装置2100により製造することができる。この場合の、担体基板加工部2131の主な構成例を、図84に示す。図84に示されるように、この場合、担体基板加工部2131は、ハードマスク成膜部2151乃至遮光膜成膜部2154、支持基板接合部2181、並びに、支持基板剥離部2182の他に、さらに、ノッチ形状形成部2451とハードマスクエッチストップ膜除去部2452とを有する。
ノッチ形状形成部2451は、ノッチ形状の形成に関する処理を行う。また、ハードマスクエッチストップ膜除去部2452は、ハードマスクやエッチストップ膜の除去に関する処理を行う。
各処理部は、制御部2101に制御されたそれぞれの処理を行う。
この場合の貫通孔遮光膜形成処理の流れの例を、図85のフローチャートを参照して説明する。必要に応じて、図86および図87を参照して説明する。
貫通孔遮光膜形成処理が開始されると、支持基板接合部2181は、ステップS2161において、支持基板2191のエッチストップ膜2192が成膜された面に、個片化されていない担体基板2161を積層して貼り合わせる。この貼り合わせの方法は任意である。例えば、支持基板接合部2181が、担体基板2161と支持基板2191とを、プラズマ接合により接合するようにしてもよいし、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。後述するように、支持基板2191は後で担体基板2161から剥離するため、支持基板接合部2181は、容易に剥離することができる方法で担体基板2161と支持基板2191とを貼り合わせるようにしてもよい。
なお、エッチストップ膜2192は、例えば窒化シリコン(SiN)等よりなり、例えば低圧CVD等により支持基板2091に成膜されている。
ステップS2162において、ハードマスク成膜部2151は、その担体基板2161と支持基板2191が積層された積層基板に対してハードマスク2171を成膜する。このハードマスク2171は、例えば窒化シリコン(SiN)等よりなり、例えば低圧CVD等により積層基板に成膜される。
ステップS2163において、ハードマスク加工部2152は、ハードマスク2171を加工し、所定の部分2172のハードマスク2171を除去する。
ステップS2164において、貫通孔形成部2153は、図86Aに示されるように、そのハードマスク2171が施された積層基板に対して(111)面がでるようにアルカリエッチングを行い、担体基板2161のハードマスク2171が除去された所定の部分2172に、貫通孔2041を形成する。これにより側壁2051は、例えば54°乃至55°程度の傾斜をつけて形成される。なお、貫通孔形成部2153がドライエッチングにより貫通孔2041を形成するようにしてもよい。
ステップS2165において、ノッチ形状形成部2451は、図86Bに示されるように、貫通孔2041に対してドライエッチングを行う等して、貫通孔2041の側壁2051の光出射側の端部付近(換言するに、貫通孔2041の底部周辺の側壁2051)に、ノッチ形状(窪み)を形成する。
側壁2051が逆テーパー形状に形成された貫通孔2041に対してさらにドライエッチングを行うと、側壁2051である斜面は全体的に深くなる。これに対して貫通孔2041の底部においては、エッチストップ膜2192によりプラズマの行き場所がなくなり、側壁2051が水平方向に削られ、ノッチ形状が形成される。このノッチ形状の大きさは任意である。例えば、担体基板2161の厚さが200μm乃至725μm程度である場合、ノッチ形状の大きさを1μm程度としてもよい。
ステップS2166において、ハードマスクエッチストップ膜除去部2452は、図86Cに示されるように、不要なハードマスク2171を除去する。また、ハードマスクエッチストップ膜除去部2452は、貫通孔2041の底部付近のエッチストップ膜2192を除去する。その際、ハードマスクエッチストップ膜除去部2452は、エッチストップ膜2192を、貫通孔2041の底部よりも広い範囲において除去するように、サイドエッチングを行う。
このようにノッチ形状を形成することにより、図86Cの点線円2461内に示されるように、貫通孔2041の側壁2051の光出射側の端部の形状が鋭角形状でなくなる。そのため、上述したチッピングの発生を抑制することができる。
ステップS2167において、遮光膜成膜部2154は、図87Aのように、遮光膜2043を成膜する。図87Aに示されるように、側壁2051のノッチ形状の部分は、傾斜がマイナスである(図中下側を向く面である)ため、遮光膜2043は成膜されない。すなわち、遮光膜2043は、貫通孔2041の側壁2051のノッチ形状の部分以外の部分に成膜される。
このとき、図87Aの点線円2462内に示されるように、側壁2051に成膜された遮光膜2043と、貫通孔2041の底部(すなわち、支持基板2191)に成膜された遮光膜2043との間に、所謂「段切れ」が形成され、それらが互いにかい離する。
ステップS2168において、支持基板剥離部2182は、支持基板2191を担体基板2161から剥離する。上述したように、遮光膜2043に「段切れ」が生じているので、図87Bの例のように、支持基板2191とエッチストップ膜2192との界面で剥離を生じさせる場合であっても、「引きちぎれ」や「持っていかれ」の発生を抑制することができる。
また、図87Cの例のように、担体基板2161とエッチストップ膜2192との界面で剥離を生じさせる場合であっても、同様に「引きちぎれ」や「持っていかれ」の発生を抑制することができる。
ステップS2168の処理が終了すると、貫通孔遮光膜形成処理が終了し、処理は図65に戻る。
以上のように、貫通孔2041の底部周辺の側壁2051にノッチ形状を形成することにより、「チッピング」、「引きちぎれ」、「持っていかれ」等の発生を抑制することができる。これにより、貫通孔2041の底部周辺における側壁2051や遮光膜2043の形成精度を向上させることができる。これにより、レンズ付き基板2011の歩留まりの低減を抑制することもできる。
<積層レンズ構造体>
このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されているようにすることにより、積層レンズ構造体2012は、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
また、製造装置2200(図72)は、以上のように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)積層レンズ構造体2012を製造することができる。
<カメラモジュール>
また、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されている積層レンズ構造体2012とセンサ基板とが積層されているようにすることにより、カメラモジュール1は、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる
また、製造装置2300(図74)は、以上のように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)カメラモジュール1を製造することができる。
<19.その他の実施の形態4>
<貫通孔底部の遮光膜の除去方法>
なお、貫通孔2041の底部の遮光膜2043を除去する他の方法として、例えば、光を透過する透明支持基板を担体基板2161に貼り合わせ、その透明支持基板側から、貫通孔2041の底部の遮光膜2043に向けて紫外光(UV光)を照射して、除去するようにしてもよい。
<レンズ付き基板の製造>
この場合もレンズ付き基板2011は、製造装置2100により製造することができる。この場合の、担体基板加工部2131の主な構成例を、図88に示す。図88に示されるように、この場合、担体基板加工部2131は、ハードマスク成膜部2151乃至遮光膜成膜部2154の他に、さらに、透明支持基板接合部2501、遮光膜除去部2502、ハードマスク除去部2503、および透明支持基板剥離部2504とを有する。
透明支持基板接合部2501は、透明支持基板と担体基板との貼り合わせに関する処理を行う。遮光膜除去部2502は、貫通孔の底部に成膜された遮光膜2043の除去に関する処理を行う。ハードマスク除去部2503は、ハードマスク2171の除去に関する処理を行う。透明支持基板剥離部2504は、担体基板からの透明支持基板の剥離に関する処理を行う。
各処理部は、制御部2101に制御されたそれぞれの処理を行う。
この場合の貫通孔遮光膜形成処理の流れの例を、図89のフローチャートを参照して説明する。必要に応じて、図90および図91を参照して説明する。
貫通孔遮光膜形成処理が開始されると、透明支持基板接合部2501は、ステップS2181において、透明支持基板2511のエッチストップ膜2192が成膜された面に、個片化されていない担体基板2161を積層して貼り合わせる(図90A)。この貼り合わせの方法は任意である。例えば、透明支持基板接合部2501が、担体基板2161と透明支持基板2511とを、プラズマ接合により接合するようにしてもよいし、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。後述するように、透明支持基板2511は後で担体基板2161から剥離するため、透明支持基板接合部2501は、容易に剥離することができる方法で担体基板2161と透明支持基板2511とを貼り合わせるようにしてもよい。
なお、この場合、担体基板2161は、紫外光を透過しない性質の材料により形成されている。例えば、担体基板2161は、シリコンを用いて形成されている。
ステップS2182において、ハードマスク成膜部2151は、その担体基板2161と透明支持基板2511が積層された積層基板に対してハードマスク2171を成膜する(図90A)。ステップS2183において、ハードマスク加工部2152は、ハードマスク2171を加工し、所定の部分のハードマスク2171を除去する。ステップS2184において、貫通孔形成部2153は、図90Aに示されるように、担体基板2161のハードマスク2171が除去された部分に、貫通孔2041を形成する。ステップS2185において、遮光膜成膜部2154は、図90Bのように、遮光膜2043を成膜する。
ステップS2186において、遮光膜除去部2502は、図90Cのように、透明支持基板2511の裏面(図90において下側)側から紫外光(UV光)2512を照射する。つまり、遮光膜除去部2502は、透明支持基板2511を介して、貫通孔2041の底部に成膜された遮光膜2043に対して、その紫外光2512を照射する。この紫外光が照射されると、遮光膜2043は、その紫外光2512によって劣化し、溶解液に溶解しやすくなる。
遮光膜除去部2502は、紫外光2512を照射後、貫通孔2041に所定の溶解液を流入させる。貫通孔2041の底部の遮光膜2043はこの溶解液に溶解されて除去される。これに対して、担体基板2161が紫外光2512を透過しないので、貫通孔2041の底部以外に成膜されている遮光膜2043は、その溶解液に溶解しない。
したがって、遮光膜除去部2502は、図91Aに示されるように、貫通孔2041の底部の遮光膜2043のみ除去することができる。
ステップS2187において、ハードマスク除去部2503は、図90Bに示されるように、不要なハードマスク2171を除去する。その際、貫通孔2041以外に成膜されている不要な遮光膜2043も除去される。
ステップS2188において、透明支持基板剥離部2504は、図90Cに示されるように、透明支持基板2511を担体基板2161から剥離する。上述したように貫通孔2041の底部の遮光膜2043は、既に除去されているので、この透明支持基板2511を剥離する際に、遮光膜2043の「引きちぎれ」や「持っていかれ」の発生を抑制することができる。
ステップS2188の処理が終了すると、貫通孔遮光膜形成処理が終了し、処理は図65に戻る。
以上のように貫通孔2041の底部の遮光膜2043を除去することにより、「引きちぎれ」、「持っていかれ」等の発生を抑制することができる。これにより、貫通孔2041の底部周辺における側壁2051や遮光膜2043の形成精度を向上させることができる。これにより、レンズ付き基板2011の歩留まりの低減を抑制することもできる。
<積層レンズ構造体>
このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されているようにすることにより、積層レンズ構造体2012は、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる。
また、製造装置2200(図72)は、以上のように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)積層レンズ構造体2012を製造することができる。
<カメラモジュール>
また、このような構成のレンズ付き基板2011を含む複数のレンズ付き基板2011が積層されている積層レンズ構造体2012とセンサ基板とが積層されているようにすることにより、カメラモジュール1は、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができ、画質の低減を抑制することができる
また、製造装置2300(図74)は、以上のように製造されたレンズ付き基板2011を用いて、「16.その他の実施の形態1」において上述した場合と同様にして、上述したようなレンズ付き基板2011と同様の効果を得ることができる(すなわち、画質の低減を抑制することができる)カメラモジュール1を製造することができる。
<20.電子機器への適用例>
上述したカメラモジュール1は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像装置を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像装置を用いる電子機器に組み込んだ形で使用することが可能である。
図92は、本技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図92の撮像装置3000は、カメラモジュール3002、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路3003を備える。また、撮像装置3000は、フレームメモリ3004、表示部3005、記録部3006、操作部3007、および電源部3008も備える。DSP回路3003、フレームメモリ3004、表示部3005、記録部3006、操作部3007および電源部3008は、バスライン3009を介して相互に接続されている。
カメラモジュール3002内のイメージセンサ3001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。このカメラモジュール3002として、上述したカメラモジュール1が採用されており、イメージセンサ3001は、上述した受光素子12に対応する。
表示部3005は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、イメージセンサ3001で撮像された動画または静止画を表示する。記録部3006は、イメージセンサ3001で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
操作部3007は、ユーザによる操作の下に、撮像装置3000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部3008は、DSP回路3003、フレームメモリ3004、表示部3005、記録部3006および操作部3007の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
上述したように、カメラモジュール3002として、高精度に位置決めされて接合(積層)された積層レンズ構造体11を搭載したカメラモジュール1を用いることで、高画質化及び小型化を実現することができる。従って、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置3000においても、半導体パッケージの小型化と、撮像画像の高画質化の両立を図ることができる。
<21.イメージセンサの使用例>
図93は、カメラモジュール1として構成されたイメージセンサを使用する使用例を示す図である。
カメラモジュール1として構成されたイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像装置への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像装置や、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像装置(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
<22.ソフトウエア>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
例えば図63の製造装置2100の場合、この記録媒体は、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されているリムーバブルメディア2121により構成される。このリムーバブルメディア2121には、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)や光ディスク(CD-ROMやDVDを含む)が含まれる。さらに、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)や半導体メモリ等も含まれる。その場合、例えば、リムーバブルメディア2121をドライブ2115に装着することにより、そのリムーバブルメディア2121に記憶されているこのプログラムを読み出させ、記憶部2113にインストールさせることができる。
また例えば図72の製造装置2200の場合、この記録媒体は、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されているリムーバブルメディア2221により構成される。このリムーバブルメディア2221には、磁気ディスクや光ディスクが含まれる。さらに、光磁気ディスクや半導体メモリ等も含まれる。その場合、例えば、リムーバブルメディア2221をドライブ2215に装着することにより、そのリムーバブルメディア2221に記憶されているこのプログラムを読み出させ、記憶部2213にインストールさせることができる。
さらに例えば図74の製造装置2300の場合、この記録媒体は、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されているリムーバブルメディア2321により構成される。このリムーバブルメディア2321には、磁気ディスクや光ディスクが含まれる。さらに、光磁気ディスクや半導体メモリ等も含まれる。その場合、例えば、リムーバブルメディア2321をドライブ2315に装着することにより、そのリムーバブルメディア2321に記憶されているこのプログラムを読み出させ、記憶部2313にインストールさせることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。例えば図63の製造装置2100の場合、プログラムは、通信部2114で受信し、記憶部2113にインストールすることができる。また例えば図72の製造装置2200の場合、プログラムは、通信部2214で受信し、記憶部2213にインストールすることができる。さらに例えば図74の製造装置2300の場合、プログラムは、通信部2314で受信し、記憶部2313にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、記憶部やROM等に、あらかじめインストールしておくこともできる。例えば63の製造装置2100の場合、プログラムは、記憶部2113や制御部2101に内蔵されるROM等に予めインストールしておくこともできる。また、例えば図72の製造装置2200の場合、プログラムは、記憶部2213や制御部2201に内蔵されるROM等に予めインストールしておくこともできる。さらに、例えば図74の製造装置2300の場合、プログラムは、記憶部2313や制御部2301に内蔵されるROM等に予めインストールしておくこともできる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、上述した各ステップの処理は、上述した各装置、若しくは、上述した各装置以外の任意の装置において、実行することができる。その場合、その処理を実行する装置が、上述した、その処理を実行するのに必要な機能(機能ブロック等)を有するようにすればよい。また、処理に必要な情報を、適宜、その装置に伝送するようにすればよい。
<23.その他>
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
また、本技術は、これに限らず、このような装置またはシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
また、本技術は、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を組み合わせた形態を採用することができる。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 貫通孔が形成されており、前記貫通孔の側壁に遮光膜が成膜されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板。
(2) 前記遮光膜は、黒色材料により構成される
(1)に記載のレンズ付き基板。
(3) 前記黒色材料は、カーボンブラック若しくはチタンブラックの顔料である
(2)に記載のレンズ付き基板。
(4) 前記遮光膜は、金属膜である
(1)に記載のレンズ付き基板。
(5) 前記金属膜は、タングステン若しくはクロムである
(4)に記載のレンズ付き基板。
(6) 前記遮光膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)膜である
(1)に記載のレンズ付き基板。
(7) 前記CVD膜は、カーボンナノチューブである
(6)に記載のレンズ付き基板。
(8) 前記遮光膜には、前記貫通孔の側壁と前記レンズ樹脂部との接触性を向上させる密着助剤が添加されている
(1)乃至(7)のいずれかに記載のレンズ付き基板。
(9) 前記密着助剤は、シランカップリング剤である
(8)に記載のレンズ付き基板。
(10) 前記遮光膜と前記レンズ樹脂部との接触幅は、前記遮光膜の幅よりも狭い
(8)または(9)に記載のレンズ付き基板。
(11) 前記レンズ樹脂部は、レンズ部以外の部分である担持部の光入射側表面に前記遮光膜が成膜されている
(1)乃至(10)のいずれかに記載のレンズ付き基板。
(12) 貫通孔が形成されており、前記貫通孔の側壁に遮光膜が成膜されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されている
積層レンズ構造体。
(13) 貫通孔が形成されており、前記貫通孔の側壁に遮光膜が成膜されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されている積層レンズ構造体と、
基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とが積層されている
カメラモジュール。
(14) 基板に形成されている貫通孔の側壁に遮光膜を成膜する第1の成膜部と、
前記貫通孔の内側に、前記第1の成膜部により前記遮光膜が成膜された前記貫通孔の前記側壁に接触するレンズ樹脂部を形成するレンズ形成部と
を備える製造装置。
(15) 前記第1の成膜部は、黒色材料を用いて前記遮光膜を成膜する
(14)に記載の製造装置。
(16) 前記第1の成膜部は、前記黒色材料として、カーボンブラック若しくはチタンブラックの顔料を用いる
(15)に記載の製造装置。
(17) 前記第1の成膜部は、金属膜を用いて前記遮光膜を成膜する
(14)に記載の製造装置。
(18) 前記第1の成膜部は、前記金属膜として、タングステン若しくはクロムを用いる
(17)に記載の製造装置。
(19) 前記第1の成膜部は、CVD(Chemical Vapor Deposition)膜を用いて前記遮光膜を成膜する
(14)に記載の製造装置。
(20) 前記第1の成膜部は、前記CVD膜として、カーボンナノチューブを用いる
(19)に記載の製造装置。
(21) 前記第1の成膜部は、前記貫通孔の側壁と前記レンズ樹脂部との接触性を向上させる密着助剤を添加した材料を用いて前記遮光膜を成膜する
(14)乃至(20)のいずれかに記載の製造装置。
(22) 前記第1の成膜部は、前記密着助剤として、シランカップリング剤を用いる
(21)に記載の製造装置。
(23) 前記レンズ形成部は、前記遮光膜と前記レンズ樹脂部との接触幅が前記遮光膜の幅よりも狭くなるように、前記レンズ樹脂部を形成する
(21)または(22)に記載の製造装置。
(24) 前記レンズ樹脂部のレンズ部以外の部分である担持部の光入射側表面に遮光膜を成膜する第2の成膜部をさらに備える
(14)乃至(23)のいずれかに記載の製造装置。
(25) 前記基板に前記貫通孔を形成する貫通孔形成部をさらに備える
(14)乃至(24)のいずれかに記載の製造装置。
(26) 前記貫通孔形成部は、
前記基板にハードマスクを成膜し、
成膜した前記ハードマスクを加工して前記貫通孔を形成する部分の前記ハードマスクを除去し、
前記基板に前記貫通孔を形成する
(25)に記載の製造装置。
(27) 前記貫通孔形成部は、
前記基板にエッチストップ膜が成膜された支持基板を積層し、
前記基板と前記支持基板とが積層された積層基板にハードマスクを成膜し、
成膜した前記ハードマスクを加工して前記貫通孔を形成する部分の前記ハードマスクを除去し、
前記基板に前記貫通孔を形成する
(25)に記載の製造装置。
(28) 基板に形成されている貫通孔の側壁に遮光膜を成膜し、
前記貫通孔の内側に、前記遮光膜が成膜された前記貫通孔の前記側壁に接触するレンズ樹脂部を形成する
製造方法。
(29) 基板に形成されている貫通孔の側壁に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記貫通孔の内側に、前記成膜部により前記遮光膜が成膜された前記貫通孔の前記側壁に接触するレンズ樹脂部を形成するレンズ形成部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する接合部と
を備える製造装置。
(30) 基板に形成されている貫通孔の側壁に遮光膜を成膜し、前記貫通孔の内側に、前記遮光膜が成膜された前記貫通孔の前記側壁に接触するレンズ樹脂部を形成することにより、レンズ付き基板を製造し、
製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する
製造方法。
(31) 基板に形成されている貫通孔の側壁に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記貫通孔の内側に、前記成膜部により前記遮光膜が成膜された前記貫通孔の前記側壁に接触するレンズ樹脂部を形成するレンズ形成部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する第1の接合部と
を備える積層レンズ構造体製造部と、
前記積層レンズ構造体製造部により製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する第2の接合部と
を備える製造装置。
(32) 基板に形成されている貫通孔の側壁に遮光膜を成膜し、前記貫通孔の内側に、前記遮光膜が成膜された前記貫通孔の前記側壁に接触するレンズ樹脂部を形成することにより、レンズ付き基板を製造し、製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合することにより、積層レンズ構造体を製造し、
製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する
製造方法。
(33) 貫通孔が形成されており、光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜が成膜されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板。
(34) 前記遮光膜は、黒色材料により構成される
(33)に記載のレンズ付き基板。
(35) 前記遮光膜は、前記基板の前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面の全面に成膜されている
(33)または(34)のいずれかに記載のレンズ付き基板。
(36) 前記遮光膜は、前記基板の前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面の、複数の前記レンズ付き基板が積層された状態において前記貫通孔に露出する部分に成膜されている
(33)または(34)に記載のレンズ付き基板。
(37) 前記基板の前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面は、前記貫通孔に露出する部分と前記貫通孔に露出しない部分とにより、前記遮光膜の膜厚よりも高い段差が形成されている
(36)に記載のレンズ付き基板。
(38) 前記遮光膜は、表面が粗面である
(33)乃至(37)のいずれかに記載のレンズ付き基板。
(39) 前記遮光膜は、成膜された状態で加工されて表面が粗面化している
(38)に記載のレンズ付き基板。
(40) 前記遮光膜は、材料が凝集することにより表面が粗面化している
(38)または(39)に記載のレンズ付き基板。
(41) 前記遮光膜は、材料に含まれる固形分により表面が粗面化している
(38)乃至(40)のいずれかに記載のレンズ付き基板。
(42) 前記遮光膜は、前記基板の粗面な前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面に成膜されることにより表面が粗面化している
(38)乃至(41)のいずれかに記載のレンズ付き基板。
(43) 前記基板は、さらに、前記貫通孔の側壁に前記遮光膜が成膜されている
(33)乃至(42)のいずれかに記載のレンズ付き基板。
(44) 貫通孔が形成されており、光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜が成膜されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されている
積層レンズ構造体。
(45) 貫通孔が形成されており、光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜が成膜されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されている積層レンズ構造体と、
基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とが積層されている
カメラモジュール。
(46) 貫通孔が形成されている基板の光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記基板の前記貫通孔の内側にレンズ樹脂部を形成するレンズ形成部と
を備える製造装置。
(47) 前記成膜部は、黒色材料を用いて前記遮光膜を成膜する
(46)に記載の製造装置。
(48) 前記成膜部は、前記遮光膜を、前記基板の前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面の全面に成膜する
(46)または(47)に記載の製造装置。
(49) 前記成膜部は、前記遮光膜を、前記基板の前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面の、複数の前記レンズ付き基板が積層された状態において前記貫通孔に露出する部分に成膜する
(46)または(47)に記載の製造装置。
(50) 前記基板の前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面を加工して、前記貫通孔に露出する部分と前記貫通孔に露出しない部分とにより、前記遮光膜の膜厚よりも高い段差を形成する加工部をさらに備える
(49)に記載の製造装置。
(51) 前記成膜部は、成膜した前記遮光膜の表面を加工して粗面化する
(46)乃至(50)のいずれかに記載の製造装置。
(52) 前記成膜部は、凝集する材料を用いて前記遮光膜を成膜する
(46)乃至(51)のいずれかに記載の製造装置。
(53) 前記成膜部は、固形分を含む材料を用いて前記遮光膜を成膜する
(46)乃至(52)のいずれかに記載の製造装置。
(54) 前記基板の前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面の、前記成膜部により前記遮光膜が成膜される部分を、エッチング若しくはモスアイ加工を含む処理により粗面化する粗面化部をさらに備え、
前記成膜部は、前記粗面化部により粗面化された前記光入射側表面若しくは前記光出射側表面に前記遮光膜を成膜する
(46)乃至(53)のいずれかに記載の製造装置。
(55) 前記成膜部は、さらに、前記基板の前記貫通孔の側壁に前記遮光膜を成膜する
(46)乃至(54)のいずれかに記載の製造装置。
(56) 貫通孔が形成されている基板の光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜を成膜し、
前記基板の前記貫通孔の内側にレンズ樹脂部を形成する
製造方法。
(57) 貫通孔が形成されている基板の光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記基板の前記貫通孔の内側にレンズ樹脂部を形成するレンズ形成部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する接合部と
を備える製造装置。
(58) 貫通孔が形成されている基板の光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜を成膜し、前記基板の前記貫通孔の内側にレンズ樹脂部を形成することにより、レンズ付き基板を製造し、
製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する
製造方法。
(59) 貫通孔が形成されている基板の光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記基板の前記貫通孔の内側にレンズ樹脂部を形成するレンズ形成部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する第1の接合部と
を備える積層レンズ構造体製造部と、
前記積層レンズ構造体製造部により製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する第2の接合部と
を備える製造装置。
(60) 貫通孔が形成されている基板の光入射側表面若しくは光出射側表面に遮光膜を成膜し、前記基板の前記貫通孔の内側にレンズ樹脂部を形成することにより、レンズ付き基板を製造し、製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合することにより、積層レンズ構造体を製造し、
製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する
製造方法。
(61) 貫通孔が形成されており、前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状が形成されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板。
(62) 前記貫通孔の前記側壁の前記ノッチ形状の部分以外の部分に遮光膜が成膜されている
(61)に記載のレンズ付き基板。
(63) 貫通孔が形成されており、前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状が形成されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されている
積層レンズ構造体。
(64) 貫通孔が形成されており、前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状が形成されている基板と、
前記基板の前記貫通孔の内側に形成されたレンズ樹脂部と
を備えるレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板が積層されている積層レンズ構造体と、
基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とが積層されている
カメラモジュール。
(65) 基板に支持基板を接合する接合部と、
前記接合部により前記支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成する貫通孔形成部と、
前記貫通孔形成部により前記基板に形成された前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状を形成するノッチ形状形成部と、
前記ノッチ形状形成部により前記側壁に前記ノッチ形状が形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記成膜部により前記貫通孔の前記側壁の前記ノッチ形状の部分以外の部分に前記遮光膜が成膜された前記基板から、前記支持基板を剥離する剥離部と
を備える製造装置。
(66) 前記ノッチ形状形成部は、ドライエッチングにより前記ノッチ形状を形成する
(65)に記載の製造装置。
(67) 前記接合部は、表面にエッチストップ膜が成膜された前記支持基板を前記基板に接合し、
前記貫通孔形成部は、前記エッチストップ膜まで前記基板をエッチングして前記貫通孔を形成し、
前記ノッチ形状形成部は、前記貫通孔の前記側壁の前記エッチストップ膜近傍に前記ノッチ形状を形成する
(65)または(66)に記載の製造装置。
(68) 前記ノッチ形状形成部により前記ノッチ形状が形成された後、前記貫通孔の底部および前記底部周辺の前記エッチストップ膜を除去するエッチストップ膜除去部をさらに備える
(67)に記載の製造装置。
(69) 前記接合部は、前記基板に前記支持基板をプラズマ接合する
(65)乃至(68)のいずれかに記載の製造装置。
(70) 基板に支持基板を接合し、
前記支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成し、
前記基板に形成された前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状を形成し、
前記側壁に前記ノッチ形状が形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜し、
前記貫通孔の前記側壁の前記ノッチ形状の部分以外の部分に前記遮光膜が成膜された前記基板から、前記支持基板を剥離する
製造方法。
(71) 基板に支持基板を接合する接合部と、
前記接合部により前記支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成する貫通孔形成部と、
前記貫通孔形成部により前記基板に形成された前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状を形成するノッチ形状形成部と、
前記ノッチ形状形成部により前記側壁に前記ノッチ形状が形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記成膜部により前記貫通孔の前記側壁の前記ノッチ形状の部分以外の部分に前記遮光膜が成膜された前記基板から、前記支持基板を剥離する剥離部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する接合部と
を備える製造装置。
(72) 基板に支持基板を接合し、前記支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成し、前記基板に形成された前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状を形成し、前記側壁に前記ノッチ形状が形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜し、前記貫通孔の前記側壁の前記ノッチ形状の部分以外の部分に前記遮光膜が成膜された前記基板から、前記支持基板を剥離することにより、レンズ付き基板を製造し、
製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する
製造方法。
(73) 基板に支持基板を接合する第1の接合部と、
前記接合部により前記支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成する貫通孔形成部と、
前記貫通孔形成部により前記基板に形成された前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状を形成するノッチ形状形成部と、
前記ノッチ形状形成部により前記側壁に前記ノッチ形状が形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記成膜部により前記貫通孔の前記側壁の前記ノッチ形状の部分以外の部分に前記遮光膜が成膜された前記基板から、前記支持基板を剥離する剥離部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する第2の接合部と
を備える積層レンズ構造体製造部と、
前記積層レンズ構造体製造部により製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する第3の接合部と
を備える製造装置。
(74) 基板に支持基板を接合し、前記支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成し、前記基板に形成された前記貫通孔の側壁の光出射側の端部にノッチ形状を形成し、前記側壁に前記ノッチ形状が形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜し、前記貫通孔の前記側壁の前記ノッチ形状の部分以外の部分に前記遮光膜が成膜された前記基板から、前記支持基板を剥離することにより、レンズ付き基板を製造し、製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合することにより、積層レンズ構造体を製造し、
製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する
製造方法。
(75) 基板に光を透過する透明支持基板を接合する接合部と、
前記接合部により前記透明支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成する貫通孔形成部と、
前記貫通孔形成部により前記基板に形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記透明支持基板を介して前記貫通孔の底部に光を照射することにより、前記貫通孔の前記底部に成膜された前記遮光膜を除去する遮光膜除去部と、
前記遮光膜除去部により前記貫通孔の前記底部の前記遮光膜が除去された前記基板から、前記透明支持基板を剥離する剥離部と
を備える製造装置。
(76) 前記遮光膜除去部は、紫外光を照射する
(75)に記載の製造装置。
(77) 前記接合部は、前記基板に前記透明支持基板をプラズマ接合する
(75)または(76)に記載の製造装置。
(78) 基板に光を透過する透明支持基板を接合し、
前記透明支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成し、
前記基板に形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜し、
前記透明支持基板を介して前記貫通孔の底部に光を照射することにより、前記貫通孔の前記底部に成膜された前記遮光膜を除去し、
前記貫通孔の前記底部の前記遮光膜が除去された前記基板から、前記透明支持基板を剥離する
製造方法。
(79) 基板に光を透過する透明支持基板を接合する接合部と、
前記接合部により前記透明支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成する貫通孔形成部と、
前記貫通孔形成部により前記基板に形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記透明支持基板を介して前記貫通孔の底部に光を照射することにより、前記貫通孔の前記底部に成膜された前記遮光膜を除去する遮光膜除去部と、
前記遮光膜除去部により前記貫通孔の前記底部の前記遮光膜が除去された前記基板から、前記透明支持基板を剥離する剥離部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する接合部と
を備える製造装置。
(80) 基板に光を透過する透明支持基板を接合し、前記透明支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成し、前記基板に形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜し、前記透明支持基板を介して前記貫通孔の底部に光を照射することにより、前記貫通孔の前記底部に成膜された前記遮光膜を除去し、前記貫通孔の前記底部の前記遮光膜が除去された前記基板から、前記透明支持基板を剥離することにより、レンズ付き基板を製造し、
製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する
製造方法。
(81) 基板に光を透過する透明支持基板を接合する第1の接合部と、
前記接合部により前記透明支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成する貫通孔形成部と、
前記貫通孔形成部により前記基板に形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜する成膜部と、
前記透明支持基板を介して前記貫通孔の底部に光を照射することにより、前記貫通孔の前記底部に成膜された前記遮光膜を除去する遮光膜除去部と、
前記遮光膜除去部により前記貫通孔の前記底部の前記遮光膜が除去された前記基板から、前記透明支持基板を剥離する剥離部と
を備えるレンズ付き基板製造部と、
前記レンズ付き基板製造部により製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合する第2の接合部と
を備える積層レンズ構造体製造部と、
前記積層レンズ構造体製造部により製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する第3の接合部と
を備える製造装置。
(82) 基板に光を透過する透明支持基板を接合し、前記透明支持基板が接合された前記基板に貫通孔を形成し、前記基板に形成された前記貫通孔の内側に遮光膜を成膜し、前記透明支持基板を介して前記貫通孔の底部に光を照射することにより、前記貫通孔の前記底部に成膜された前記遮光膜を除去し、前記貫通孔の前記底部の前記遮光膜が除去された前記基板から、前記透明支持基板を剥離することにより、レンズ付き基板を製造し、製造されたレンズ付き基板を含む複数のレンズ付き基板を積層して接合することにより、積層レンズ構造体を製造し、
製造された積層レンズ構造体と、基板上に光学センサが形成されるセンサ基板とを積層して接合する
製造方法。