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JP2017082079A - 無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた電線及びケーブル - Google Patents

無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた電線及びケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】海外の難燃規格(EN、DIN、BSのいずれか1以上の規格)に合格する高難燃性を有し、かつ機械的強度、柔軟性、耐熱性及び耐白化性に優れ、鉄道車両用に適した無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた電線及びケーブルを提供する。【解決手段】電線10は、導体1の外周に被覆された、酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m2/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層2を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた電線及びケーブルに関するものである。
近年、ポリ塩化ビニルやハロゲン系難燃剤を使用しない環境負荷の小さなノンハロゲン難燃性電線・ケーブルが、いわゆるエコ電線・ケーブルとして急速に普及している。
従来のノンハロゲン難燃性電線・ケーブルでは、電線の絶縁体やケーブルのシースとして、ポリオレフィンに水酸化マグネシウムをはじめとするノンハロゲン難燃剤を混和した樹脂組成物を用いることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−287777号公報
しかしながら、水酸化マグネシウムをはじめとするノンハロゲン難燃剤を用いて、海外の難燃規格(例えば、EN、DIN、BS)に合格するような垂直トレイ燃焼試験における高難燃化を実現するためには、多量のノンハロゲン難燃剤を混和する必要がある。これにより、機械的強度、柔軟性、耐熱性、耐白化性などの特性が低下する問題がある。特に鉄道車両用に適した電線・ケーブルを得るために、上記問題を解決できるノンハロゲン難燃性樹脂組成物の開発が望まれている。
一方、赤りんなどの難燃助剤を加え、ノンハロゲン難燃剤を減量する方法もあるが、赤りんなどのリン系難燃助剤は、燃焼時に有害なホスフィンを発生したり、廃却時にりん酸を生成して地下水脈を汚染したりする懸念が指摘されている。このため、最近では赤りんなどの使用は控える傾向にあり、難燃性に優れた無リン系ノンハロゲン難燃電線・ケーブルの開発が要求されていた。
そこで、本発明は、上記したような従来技術の問題点を解消し、海外の難燃規格(EN、DIN、BSのいずれか1以上の規格)に合格する高難燃性を有し、かつ機械的強度、柔軟性、耐熱性及び耐白化性に優れ、鉄道車両用に適した無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた電線及びケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、下記の無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた電線及びケーブルを提供する。
[1]酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させたことを特徴とする無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
[2]酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層を備えたことを特徴とする電線。
[3]酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなるシースを備えたことを特徴とするケーブル。
[4]前記[2]に記載の電線を備えたことを特徴とする前記[3]に記載のケーブル。
本発明によれば、海外の難燃規格(EN、DIN、BSのいずれか1以上の規格)に合格する高難燃性を有し、かつ機械的強度、柔軟性、耐熱性及び耐白化性に優れ、鉄道車両用に適した無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた電線及びケーブルを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る電線の一例を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施の形態に係るケーブルの一例を模式的に示す横断面図である。
〔無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物〕
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させたことを特徴とする。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体>
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、樹脂成分の主成分として所定の酢酸ビニル含有量(VA量)のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有している。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルを含んでおり、組成物が燃焼して熱分解する時に、脱酢酸により吸熱反応を起こすことで燃焼を抑制することができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、VA量が20〜50質量%のものを用いる。好ましくは、VA量が25〜48質量%のものである。垂直燃焼試験(VFT)や垂直トレイ燃焼試験(VTFT)レベルの高度な難燃性を付与するには、熱分解時に脱酢酸反応により、吸熱量が大きい酢酸ビニルの含有量の多いものが好ましい。VA量が20質量%未満では、難燃性が低くなり、50質量%を超えると機械的強度(引張強さ)が低下するためである。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は、樹脂成分中で50〜95質量%とする。好ましくは、60〜95質量%とする。
<マレイン酸変性エチレン共重合体>
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、樹脂成分としてエチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体を含有している。マレイン酸変性エチレン共重合体は、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとの共重合体を無水マレイン酸で変性することで得ることができる。マレイン酸による変性量は、特に限定されるものではない。
マレイン酸変性エチレン共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と脂肪酸処理した水酸化マグネシウムとの界面を密着させて、機械的強度(引張強さ)や耐熱性を向上させる機能を持つ。
エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとの共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレンコポリマ、エチレン−ブテンコポリマ、エチレン−ヘキセンコポリマ、エチレン−オクテンコポリマ等を用いることができる。炭素数が3から8のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらの内、1−ブテン、1−オクテンがより好ましい。
上記共重合体は、メタロセン触媒を用いて、エチレンと、炭素数が3から8のα−オレフィンとを重合させて得られたものであることが好ましい。これにより、分子量分布の狭い高強度で柔軟な共重合体が得られる。
上記マレイン酸変性エチレン共重合体(例えば、マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体)の含有量は、樹脂成分中で5〜30質量%とする。好ましくは、5〜20質量%とする。5質量%未満ではエチレン−酢酸ビニル共重合体と脂肪酸処理した水酸化マグネシウムとの密着が弱く、十分な耐熱性が得られないためである。30質量%を超えるとエチレン−酢酸ビニル共重合体と脂肪酸処理した水酸化マグネシウムとの密着が強く、柔軟性が低下するためである。
<脂肪酸処理した水酸化マグネシウム>
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、難燃性を向上させるため、上記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部含有する。好ましくは、130〜200質量部含有する。100質量部未満では難燃性が不十分であり、250質量部を超えると機械的強度が低下し、柔軟性も劣るためである。
<シリコーンゴム及びカーボンブラック>
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、耐白化性を向上させるため、シリコーンゴム及び表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを含有する。
脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを多量に添加した樹脂組成物を被覆した電線は、表面がこすられた時、白化現象を生じやすい。これは、こすられた時に、樹脂と水酸化マグネシウムの間に微小な隙間が発生し、乱反射を生じやすくなるため、白く見えると考えられる。
この隙間を生じさせないために、例えば、シラン処理した水酸化マグネシウムを用いると、樹脂と水酸化マグネシウムの密着が良くなるため、ある程度白化は抑制されるが、柔軟性が著しく低下する。
乱反射を抑えるため、色味の強い表面積が大きいカーボンブラックを用いると、ある程度白化は抑制されるが、まだ十分ではない。
シリコーンゴムは摩擦力を低減させる効果があることから、こすられた時に電線表面が滑りやすくなり、樹脂と水酸化マグネシウムの間の微小な隙間が生じにくくなるが、まだ十分ではない。
カーボンブラックの効果とシリコーンゴムの効果を合わせて初めて耐白化性が良好となり、これは従来にない新しい知見である。
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、上記樹脂成分100質量部に対し、シリコーンゴムを1〜15質量部含有する。好ましくは、2〜12質量部含有する。1質量部未満では耐白化性が不十分であり、15質量部を超えると押出機内で滑りが生じ、成型困難となるためである。
シリコーンゴムは、ジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなど一般的なものを用いてよく、特に限定はない。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、上記樹脂成分100質量部に対し、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有する。好ましくは、3〜15質量部含有する。2質量部未満では耐白化性が不十分であり、20質量部を超えると柔軟性が低下するためである。
カーボンブラックは、表面積が11〜99m/gのものを用いる。表面積が11m/g未満のものは耐白化性が不十分であり、99m/gを超えるものは柔軟性が低下するためである。表面積が上記範囲内のカーボンブラックを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<その他の成分>
本発明の実施の形態においては、上記成分以外に、他のポリマ、無機充填剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、架橋剤、架橋助剤等の添加剤を種々配合することが可能である。
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、電線の絶縁層やケーブルシースに成形された後に架橋が施されることが好ましい。架橋の方法は、従来公知の方法を使用でき、特に限定はされない。化学架橋(有機過酸化物架橋)、放射線架橋、シラン架橋等の方法を用いることができる。
〔電線〕
本発明の実施形態に係る電線は、導体と、導体の外周に被覆された、本発明の実施形態に係る上記無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層とを備えたことを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る電線の一例を模式的に示す横断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る電線10は、導体1と、導体1の外周に被覆された絶縁層2とを備える。被覆される導体1としては、例えば外径0.15〜7mmφ程度の導体を使用することができる。錫メッキ軟銅線を撚り合わせた導体などを好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。導体1は、図1のように1本である場合に限られず、複数本であってもよい。
絶縁層2は、本発明の実施の形態に係る上記の無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物から構成されている。押出被覆等の成形手段により絶縁層として被覆した後、電子線照射等の方法により無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物を架橋することにより無リン系ノンハロゲン難燃性の電線10を得ることができる。なお、押出被覆は、架橋前の無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物をロール、バンバリー、押出機などで混練し、得られたペレットコンパウンドと導体とをクロスヘッドダイを付設した従来公知の電線用押出機で電線被覆押出成形することなどにより行うことができる。
本実施の形態においては、絶縁層を、図1のように単層で構成するほか、多層構造とすることもできる。さらに、必要に応じて、セパレータ、編組等を施してもよい。
〔ケーブル〕
本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る上記無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物を被覆材料(シースないし絶縁層及びシース)として使用したことを特徴とする。
図2は、本発明の実施の形態に係るケーブルの一例を模式的に示す横断面図である。
図2に示すように、本実施の形態に係るケーブル20は、導体1に絶縁層2を被覆した電線10、2本を紙等の介在3と共に撚り合わせた二芯撚り線と、その外周に押出被覆されたシース4とを備える。二芯撚り線に限らず、電線1本(単芯)でもよく、二芯以外の多芯撚り線であってもよい。二芯撚り線の外周に押え巻きテープを施した後に、その外周にシース4を押出被覆してもよい。
シース4は、本発明の実施の形態に係る上記の無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物から構成されている。絶縁層2も上記の無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物から構成されている実施形態に限られるものではなく、その他の絶縁層用樹脂組成物(無リン系ノンハロゲン難燃性であることが好ましい)から構成されていてもよい。押出被覆等の成形手段により絶縁層やシース層として被覆した後、電子線照射等の方法により無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物を架橋することにより無リン系ノンハロゲン難燃性のケーブル20を得ることができる。
本実施の形態においては、シースを、図2のように単層で構成するほか、多層構造とすることもできる。さらに、必要に応じて、セパレータ、編組等を施してもよい。
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1の構造の電線10を下記の通りの方法で製造し、評価を行なった。
(1)無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物の作製
表1〜2に示す各材料を記載された割合で配合し、100℃に加熱したオープンロールミキサーで混練混合してペレット化し、各実施例及び比較例の樹脂組成物を作製した。用いた材料は、表3に示す通りである。
(2)電線の作製
上記(1)で作製した樹脂組成物を、100℃に保持した40mm押出機(L/D=22)を用いて、導体径2.3mmの錫めっき銅撚線導体上に厚さ1.1mmとなるように押出速度40m/minで被覆した。その後、13kg/cmのスチームにて3分間架橋を行ない、電線を得た。
(3)評価
上記のようにして製造した電線を用い、機械的強度(引張強さ、伸び)、柔軟性(100%モジュラス)、耐熱性(引張強さ残率、伸び残率)、難燃性(VTFT)、及び耐白化性を以下のようにして評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(機械的強度)
製造した電線から導体を引き抜き、チューブ形状とした各サンプルの引張強さ及び引張伸びをJIS C3005に準拠して引張試験を行なうことにより測定した。引張強さは7MPa以上、伸びは350%以上を目標とした。目標値以上のものを合格とし、目標値未満のものを不合格とした。
(柔軟性)
上記引張試験において100%モジュラスを測定した。100%モジュラスは6MPa以下を目標とした。目標値以下のものを合格とし、目標値を超えるものを不合格とした。
(耐熱性)
上記機械的強度の測定を終えた各サンプルを150℃で96時間、熱老化試験機に入れた後、取出し、上記引張試験を再度実施して機械的強度(引張強さ及び伸び)を測定し、初期値(熱老化試験前の値)と比較した。具体的には、引張強さ残率(%)=(熱老化試験後の引張強さ/熱老化試験前の引張強さ)×100、伸び残率(%)=(熱老化試験後の伸び/熱老化試験前の伸び)×100を求めた。引張強度残率、引張伸び残率のいずれも80%以上を目標とした。目標値以上のものを合格とし、目標値未満のものを不合格とした。
(難燃性)
難燃性は、BS6853規格、BS EN60332Part3−21試験法に準拠し、垂直トレイ燃焼試験(VTFT)を行った。全長3.5mの電線を7本撚りの1束とし、11束を等間隔で垂直に並べ、20分間燃焼させた。海外の難燃規格(EN、DIN、BSのいずれか1以上の規格)に合格する高難燃性を有する目安として、自己消炎後の炭化長が下端部より2.5m以下を目標とした。目標値以下のものを合格(○)とし、目標値を超えるものを不合格(×)とした。
(耐白化性)
耐白化性は、電線の上にφ2mmのSUS棒を乗せ、荷重100gでSUS棒を10往復させた時の白化性を目視により評価した。白化しなかったものを合格(○)とし、白化したものを不合格(×)とした。
Figure 2017082079
Figure 2017082079
Figure 2017082079
実施例1〜10は、機械的強度、柔軟性、耐熱性、難燃性、耐白化性のいずれも良好であり、合格であった。
これに対し、比較例1は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のVA量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、機械的強度(引張強さ)が劣る。
比較例2は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のVA量が本発明の規定する範囲より少ないものであり、機械的強度(伸び)、柔軟性、難燃性が劣る。
比較例3は、マレイン酸変性エチレン共重合体の添加量が本発明の規定する範囲より少ない(含有していない)ものであり、耐熱性が劣る。
比較例4は、マレイン酸変性エチレン共重合体の添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、柔軟性が劣る。
比較例5は、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムの添加量が本発明の規定する範囲より少ないものであり、難燃性が劣る。
比較例6は、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムの添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、機械的強度、柔軟性、耐熱性、耐白化性が劣る。
比較例7は、本発明で規定しないシラン処理した水酸化マグネシウムを添加したものであり、機械的強度(伸び)と柔軟性が劣る。
比較例8は、シリコーンゴムの添加量が本発明の規定する範囲より少ない(含有していない)ものであり、耐白化性が劣る。
比較例9は、シリコーンゴムの添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、押出成型ができない。
比較例10は、カーボンブラックの添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、機械的強度(伸び)、柔軟性が劣る。
比較例11は、カーボンブラックの表面積が本発明の規定する範囲より小さいものであり、耐白化性が劣る。
比較例12は、カーボンブラックの表面積が本発明の規定する範囲より大きいものであり、機械的強度(伸び)、柔軟性が劣る。
なお、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず種々に変形実施が可能である。
1:導体、2:絶縁層、3:介在、4:シース
10:電線、20:ケーブル

Claims (4)

  1. 酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、
    前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、
    前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させたことを特徴とする無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物。
  2. 酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層を備えたことを特徴とする電線。
  3. 酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなるシースを備えたことを特徴とするケーブル。
  4. 請求項2に記載の電線を備えたことを特徴とする請求項3に記載のケーブル。
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