JP2017066494A - 熱交換器用アルミニウム合金材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高成形性を有する熱交換器用アルミニウム合金材及びその製造方法を提供する。【解決手段】Si:0.01〜0.90mass%、Fe:0.05〜2.00mass%、Mn:0.5〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、ろう付前の金属組織が亜結晶粒からなり、当該亜結晶粒の円相当径が3.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材及びその製造方法【選択図】なし
Description
本発明は、ラジエータなどの熱交換器における冷媒や高温圧縮空気の通路構成材として好適に使用される高耐食性のアルミニウム合金材及びその製造方法に関する。本発明に係る高成形性のアルミニウム合金材は、自動車用熱交換器のフィンや流路形成部品などに好適に用いられる。
アルミニウム合金は軽量かつ高熱伝導性を備えており、適切な処理により高耐食性が実現できるため、自動車用などの熱交換器、例えば、ラジエータ、コンデンサ、エバポレータ、ヒータ、インタークーラ、オイルクーラなどに用いられている。自動車用熱交換器のチューブ材としては、3003合金などのAl−Mn系合金を心材として、その一方の面に、Al−Si系合金のろう材や、Al−Zn系合金の犠牲陽極材をクラッドした2層クラッド材や、更に他方の面にAl−Si系合金のろう材をクラッドした3層クラッド材などが使用されている。熱交換器は通常、このようなクラッド材とコルゲート成形したフィン材を組み合わせ、600℃程度の高温でろう付することによって接合される。
最近の自動車に使用される新しい熱交換器においては、より一層の高性能化を実現するため、チューブやプレートの形状の複雑化が進んでいる。そのため、材料にはより一層の高成形性が要求されるようになってきている。従来においては、冷間圧延の途中で中間焼鈍を行うH14調質にしたり、冷間圧延の後に仕上焼鈍を行うH24調質にしたり、或いは、材料組織をファイバー状にしたりして、チューブ材の成形性を調整してきた。しかしながら、このようなマクロ的な制御だけでは近年の高成形性に対する要求を満足することは困難となってきており、よりミクロな下部組織を制御する必要性が生じてきている。
具体的には、特許文献1及び2に記載されるクラッド材では、心材を繊維状組織にしたり、再結晶粒のアスペクト比を制御したりすることによって、材料の電縫溶接性を向上させている。しかしながら、それよりミクロな下部組織の制御については何らの記載も示唆も無い。
このように、再結晶粒より更にスケールの小さな組織を制御することによって熱交換器用アルミニウム合金材の成形性を向上させることは、従来技術では提示されていなかった。
上述のように、再結晶粒より更にスケールの小さな組織を制御することによって熱交換器用アルミニウム合金材の成形性を向上させることは、従来技術では提示されていなかった。本発明は、斯かる問題点を解消するべく完成されたものであって、高い成形性を有する熱交換器用アルミニウム合金材及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは上記課題について鋭意研究を重ねた結果、心材が特定の合金組成及び金属組織を有する場合に、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る第1の形態の熱交換器用アルミニウム合金材はベア材の形態を有し、請求項1において、Si:0.01〜0.90mass%、Fe:0.05〜2.00mass%、Mn:0.5〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、ろう付前の金属組織が亜結晶粒からなり、当該亜結晶粒の円相当径が3.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材とした。
本発明は請求項2では請求項1において、前記アルミニウム合金が、Zn:0.5〜5.0mass%、Mg:0.05〜0.50mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとした。
本発明に係る第1の形態の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法は請求項3において、請求項1又は2に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記アルミニウム合金を鋳造する工程と、鋳造した鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方において冷間圧延板を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法とした。
本発明に係る第2の形態の熱交換器用アルミニウム合金材は、クラッド材の形態を有する。その第1の実施態様は請求項4において、アルミニウム合金の心材と、当該心材の片面又は両面にクラッドされたろう材とを備えるアルミニウム合金材において、前記心材が、Si:0.01〜0.90mass%、Fe:0.05〜2.00mass%、Mn:0.5〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記ろう材が、Si:2.5〜13.0mass%、Fe:0.05〜1.20mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、ろう付前における前記心材の金属組織が亜結晶粒からなり、当該亜結晶粒の円相当径が3.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材とした。
本発明は請求項5では請求項4において、前記心材が、Zn:0.5〜5.0mass%、Mg:0.05〜0.50mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明は請求項6では請求項4又は5において、前記ろう材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Mn:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明は請求項7では請求項4〜6のいずれか一項において、前記ろう材が、Na:0.001〜0.050mass%及びSr:0.001〜0.050mass%から選択される1種又は2種を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明の第1の実施態様の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法は請求項8において、請求項4〜7のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用及びろう材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材の鋳塊を所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の片面又は両面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法とした。
本発明に係る第2の形態における第2の実施態様の熱交換器用アルミニウム合金材は請求項9において、アルミニウム合金の心材と、当該心材の一方の面にクラッドされたろう材と、他方の面にクラッドされた犠牲陽極材とを備えるアルミニウム合金材において、前記心材が、Si:0.01〜0.90mass%、Fe:0.05〜2.00mass%、Mn:0.5〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記ろう材が、Si:2.5〜13.0mass%、Fe:0.05〜1.20mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記犠牲陽極材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Si:0.05〜1.50mass%、Fe:0.05〜2.00mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、ろう付前における前記心材の金属組織が亜結晶粒からなり、当該亜結晶粒の円相当径が3.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材とした。
本発明は請求項10では請求項9において、前記心材が、Zn:0.5〜5.0mass%、Mg:0.05〜0.50mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明は請求項11では請求項9又は10において、前記ろう材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Mn:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明は請求項12では請求項9〜11のいずれか一項において、前記ろう材が、Na:0.001〜0.050mass%及びSr:0.001〜0.050mass%から選択される1種又は2種を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明は請求項13では請求項9〜12のいずれか一項において、前記犠牲陽極材が、Mn:0.05〜2.00mass%、Mg:0.5〜3.0mass%、Ni:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.3mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明の第2の実施態様の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法は請求項14において、請求項9〜13のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用、ろう材用及び犠牲陽極材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材及び犠牲陽極材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の一方の面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドし、心材鋳塊の他方の面に熱間圧延により所定厚さとした犠牲陽極材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法とした。
本発明に係る第2の形態における第3の実施態様の熱交換器用アルミニウム合金材は請求項15において、請求項4〜7のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材であって、前記心材の片面又は両面にクラッドされたろう材と心材との間に中間層材が更にクラッドされており、前記中間層材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Si:0.05〜1.50mass%、Fe:0.05〜2.00mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるものとした。
本発明に係る第2の形態における第4の実施態様の熱交換器用アルミニウム合金材は請求項16において、請求項9〜13のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材であって、前記心材の一方の面にクラッドされたろう材と心材との間に中間層材が更にクラッドされており、前記中間層材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Si:0.05〜1.50mass%、Fe:0.05〜2.00mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるものとした。
本発明は請求項17では請求項15又は16において、前記中間層材が、Mn:0.05〜2.00mass%、Ni:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.3mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなるものとした。
本発明の第3の実施態様の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法は請求項18において、請求項15又は17に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用、ろう材用及び中間層材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材及び中間層材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の片面又は両面に熱間圧延により所定厚さとした中間層材をクラッドし、クラッドした中間層材の心材側ではない面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法とした。
本発明の第4の実施態様の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法は請求項19において、請求項16又は17に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用、ろう材用、犠牲陽極材用及び中間層材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材、犠牲陽極材及び中間層材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の一方の面に熱間圧延により所定厚さとした中間層材をクラッドし、クラッドした中間層材の心材側ではない面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドし、心材鋳塊の他方の面に熱間圧延により所定厚さとした犠牲陽極材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法とした。
本発明によれば、高い成形性を有する熱交換器用アルミニウム合金材及びその製造方法が提供される。このアルミニウム合金材は、耐食性とろう付性にも優れ、更に軽量性や良好な熱伝導性も備えることから、自動車用の熱交換器の流路形成部品材等として好適に用いられる。
本発明に係る高成形性のアルミニウム合金材及びその製造方法の好適な実施形態について、以下に詳細に説明する。
1.アルミニウム合金材を構成する層
本発明に係るアルミニウム合金材は、第1の形態として、例えばフィンとして用いてろう材を有するチューブなどと組み合わせる場合には、心材のみからなるベア材とすることができる。また、第2の形態として、例えばチューブとして用いて単層のベアフィンと組み合わせる場合や、フィンとして用いてろう材を有していないチューブと組み合わせる場合には、ろう材、犠牲陽極材、中間層材などとのクラッド材とすることができる。具体的には、その第1の実施態様として、心材の片面又は両面にろう材をクラッドした2層又は3層のクラッド材とすることができる。また、その第2に実施態様として、例えば内面に腐食性の冷却水を流通させるラジエータなどのチューブとして用いる場合には、心材の一方の面にろう材をクラッドし、他方の面に犠牲陽極材をクラッドした3層のクラッド材とすることができる。更に、その第3の実施態様として、第1の実施態様において、心材の片方又は両面のろう材と心材との間に中間層を配置して、3層又は5層のクラッド材とすることができる。更にまた、第4の実施態様として、第2の実施態様において、心材の一方の面のろう材と心材との間に中間層を配置して、4層のクラッド材とすることができる。以下において、上記心材、ろう材、犠牲陽極材及び中間層材の合金成分について説明する。
本発明に係るアルミニウム合金材は、第1の形態として、例えばフィンとして用いてろう材を有するチューブなどと組み合わせる場合には、心材のみからなるベア材とすることができる。また、第2の形態として、例えばチューブとして用いて単層のベアフィンと組み合わせる場合や、フィンとして用いてろう材を有していないチューブと組み合わせる場合には、ろう材、犠牲陽極材、中間層材などとのクラッド材とすることができる。具体的には、その第1の実施態様として、心材の片面又は両面にろう材をクラッドした2層又は3層のクラッド材とすることができる。また、その第2に実施態様として、例えば内面に腐食性の冷却水を流通させるラジエータなどのチューブとして用いる場合には、心材の一方の面にろう材をクラッドし、他方の面に犠牲陽極材をクラッドした3層のクラッド材とすることができる。更に、その第3の実施態様として、第1の実施態様において、心材の片方又は両面のろう材と心材との間に中間層を配置して、3層又は5層のクラッド材とすることができる。更にまた、第4の実施態様として、第2の実施態様において、心材の一方の面のろう材と心材との間に中間層を配置して、4層のクラッド材とすることができる。以下において、上記心材、ろう材、犠牲陽極材及び中間層材の合金成分について説明する。
2.心材
心材には、Si:0.01〜0.90mass%(以下、単に「%」と記す)、Fe:0.05〜2.00%、Mn:0.5〜2.0%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
心材には、Si:0.01〜0.90mass%(以下、単に「%」と記す)、Fe:0.05〜2.00%、Mn:0.5〜2.0%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
また、心材は、Zn:0.5〜5.0%、Mg:0.05〜0.50%、Cu:0.05〜1.50%、Ti:0.05〜0.30%、Zr:0.05〜0.30%、Cr:0.05〜0.30%及びV:0.05〜0.30%から選択される1種又は2種以上を選択的添加元素として更に含有してもよい。更に、心材は、上記必須元素及び選択的添加元素の他に不可避的不純物を、各々0.05%以下、全体で0.15%以下含有していてもよい。
Si:
Siは、Fe、Mnと共にAl−Mn−Si系、Al−Fe―Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により心材の強度を向上させ、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化により強度を向上させる。しかしながら、これらの金属間化合物は比較的粗大であり、比較的微細なAl−Mn系金属間化合物を減少させるので、亜結晶粒の成長を促進して亜結晶粒が粗大となり、成形性を低下させる。Si含有量は、0.01〜0.90%である。0.01%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。0.90%を超えると亜結晶粒が粗大となり、十分な高成形性を得られない。Siの好ましい含有量は、0.01〜0.40%である。
Siは、Fe、Mnと共にAl−Mn−Si系、Al−Fe―Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により心材の強度を向上させ、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化により強度を向上させる。しかしながら、これらの金属間化合物は比較的粗大であり、比較的微細なAl−Mn系金属間化合物を減少させるので、亜結晶粒の成長を促進して亜結晶粒が粗大となり、成形性を低下させる。Si含有量は、0.01〜0.90%である。0.01%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。0.90%を超えると亜結晶粒が粗大となり、十分な高成形性を得られない。Siの好ましい含有量は、0.01〜0.40%である。
Fe:
Feは、Si、Mnと共にAl−Mn−Si系、Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により心材の強度を向上させる。Feの添加量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、2.0%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Feの好ましい含有量は、0.10〜1.50%以下である。
Feは、Si、Mnと共にAl−Mn−Si系、Al−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により心材の強度を向上させる。Feの添加量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、2.0%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Feの好ましい含有量は、0.10〜1.50%以下である。
Mn:
Mnは、Al−Mn系の金属間化合物を形成し、亜結晶粒の成長を抑制する。これによって亜結晶粒が微細となり、成形性を向上させる。Mn含有量は、0.5〜2.0%である。0.5%未満では上記効果が不十分となり、2.0%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mnの好ましい含有量は、0.8〜1.8%である。
Mnは、Al−Mn系の金属間化合物を形成し、亜結晶粒の成長を抑制する。これによって亜結晶粒が微細となり、成形性を向上させる。Mn含有量は、0.5〜2.0%である。0.5%未満では上記効果が不十分となり、2.0%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mnの好ましい含有量は、0.8〜1.8%である。
Zn:
Znは孔食電位を卑にすることができ、例えば本発明のアルミニウム合金材をベアフィンとして用い、チューブとろう付した場合、チューブの心材との電位差を形成することで犠牲防食効果によりチューブの耐食性を向上することができる。Znの含有量は0.5〜5.0%である。0.5%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、5.0%を超えると腐食速度が大きくなり、例えば本発明のアルミニウム合金材をフィンとして用いた場合にそれが早期に消失してしまう。Znの好ましい含有量は、1.0〜4.5%である。
Znは孔食電位を卑にすることができ、例えば本発明のアルミニウム合金材をベアフィンとして用い、チューブとろう付した場合、チューブの心材との電位差を形成することで犠牲防食効果によりチューブの耐食性を向上することができる。Znの含有量は0.5〜5.0%である。0.5%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、5.0%を超えると腐食速度が大きくなり、例えば本発明のアルミニウム合金材をフィンとして用いた場合にそれが早期に消失してしまう。Znの好ましい含有量は、1.0〜4.5%である。
Mg:
Mgは、Mg2Siの析出により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Mg含有量は、0.05〜0.50%である。0.05%未満では上記効果が不十分となり、0.50%を超えるとろう付が困難となる。Mg含有量は、好ましくは0.10〜0.40%である。
Mgは、Mg2Siの析出により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Mg含有量は、0.05〜0.50%である。0.05%未満では上記効果が不十分となり、0.50%を超えるとろう付が困難となる。Mg含有量は、好ましくは0.10〜0.40%である。
Cu:
Cuは、固溶強化により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Cu含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では上記効果が不十分となり、1.50%を超えると鋳造時におけるアルミニウム合金の割れ発生の虞が高くなる。Cu含有量は、好ましくは0.30〜1.00%である。
Cuは、固溶強化により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Cu含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では上記効果が不十分となり、1.50%を超えると鋳造時におけるアルミニウム合金の割れ発生の虞が高くなる。Cu含有量は、好ましくは0.30〜1.00%である。
Ti:
Tiは、固溶強化により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が不十分となる。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Ti含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Tiは、固溶強化により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が不十分となる。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Ti含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Zr:
Zrは、固溶強化により心材の強度を向上させると共にAl−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Zrは、固溶強化により心材の強度を向上させると共にAl−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Cr:
Crは、固溶強化により心材の強度を向上させると共にAl−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Cr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Crは、固溶強化により心材の強度を向上させると共にAl−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Cr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
V:
Vは、固溶強化により心材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。V含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Vは、固溶強化により心材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。V含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
これらZn、Mg、Cu、Ti、Zr、Cr及びVは、心材中に必要により少なくとも1種が添加されていればよい。
3.ろう材
ろう材には、Si:2.5〜13.0%、Fe:0.05〜1.20mass%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
ろう材には、Si:2.5〜13.0%、Fe:0.05〜1.20mass%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
また、ろう材は、Zn:0.5〜8.0%、Cu:0.05〜1.50%、Mn:0.05〜2.00%、Ti:0.05〜0.30%、Zr:0.05〜0.30%、Cr:0.05〜0.30%及びV:0.05〜0.30%から選択される1種又は2種以上を第1の選択的添加元素として更に含有してもよい。また、ろう材は、Na:0.001〜0.050%及びSr:0.001〜0.050%から選択される1種又は2種を第2の選択的添加元素として更に含有してもよい。なお、上記必須元素及び第1、2の選択的添加元素の他に不可避的不純物を、各々0.05%以下、全体で0.15%以下含有していてもよい。以下に、各成分について説明する。
Si:
Siを添加することによりろう材の融点が低下して液相を生じさせ、これによってろう付を可能にする。Si含有量は2.5〜13.0%である。2.5%未満では、生じる液相が僅かでありろう付が機能し難くなる。一方、13.0%を超えると、例えばこのろう材をチューブ材に用いた場合に、フィンなどの相手材へ拡散するSi量が過剰となり、相手材の溶融が発生してしまう。Si含有量は、好ましくは3.5〜12.0%である。
Siを添加することによりろう材の融点が低下して液相を生じさせ、これによってろう付を可能にする。Si含有量は2.5〜13.0%である。2.5%未満では、生じる液相が僅かでありろう付が機能し難くなる。一方、13.0%を超えると、例えばこのろう材をチューブ材に用いた場合に、フィンなどの相手材へ拡散するSi量が過剰となり、相手材の溶融が発生してしまう。Si含有量は、好ましくは3.5〜12.0%である。
Fe:
Feは、Al−Fe系やAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し易いために、ろう付に有効となるSi量を低下させてろう付性の低下を招く。Fe含有量は、0.05〜1.20%である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高を招く。一方、1.20%を超えると、ろう付に有効となるSi量を低下させてろう付が不十分となる。Fe含有量は、好ましくは0.10〜0.50%である。
Feは、Al−Fe系やAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し易いために、ろう付に有効となるSi量を低下させてろう付性の低下を招く。Fe含有量は、0.05〜1.20%である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高を招く。一方、1.20%を超えると、ろう付に有効となるSi量を低下させてろう付が不十分となる。Fe含有量は、好ましくは0.10〜0.50%である。
Zn:
Znは孔食電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上することができるので含有させてもよい。Znの含有量は0.5〜8.0%である。0.5%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、8.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲防食層が消失して耐食性が低下する。Znの好ましい含有量は、1.0〜6.0%である。
Znは孔食電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上することができるので含有させてもよい。Znの含有量は0.5〜8.0%である。0.5%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、8.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲防食層が消失して耐食性が低下する。Znの好ましい含有量は、1.0〜6.0%である。
Cu:
Cuは、固溶強化によりろう材の強度を向上させるので含有させてもよい。Cu含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では上記効果が不十分となり、1.50%を超えると鋳造時におけるアルミニウム合金の割れ発生の虞が高くなる。Cu含有量は、好ましくは0.30〜1.00%である。
Cuは、固溶強化によりろう材の強度を向上させるので含有させてもよい。Cu含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では上記効果が不十分となり、1.50%を超えると鋳造時におけるアルミニウム合金の割れ発生の虞が高くなる。Cu含有量は、好ましくは0.30〜1.00%である。
Mn:
Mnは、ろう材の強度と耐食性を向上させるので含有させてもよい。Mnの含有量は、0.05〜2.00%である。0.05%未満では、上記効果が十分得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mn含有量は、好ましくは0.05〜1.80%である。
Mnは、ろう材の強度と耐食性を向上させるので含有させてもよい。Mnの含有量は、0.05〜2.00%である。0.05%未満では、上記効果が十分得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mn含有量は、好ましくは0.05〜1.80%である。
Ti:
Tiは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では、上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Ti含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Tiは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では、上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Ti含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Zr:
Zrは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に、Al−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Zrは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に、Al−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Cr:
Crは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に、Al−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Cr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Crは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に、Al−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Cr含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
V:
Vは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。V含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Vは、固溶強化によりろう材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。V含有量は、好ましくは0.10〜0.20%である。
Na、Sr:
Na、Srは、ろう材中のSi粒子を微細化する効果を発揮する。Na、Srの含有量はそれぞれ、0.001〜0.050%である。それぞれの含有量が0.001%未満では、上記効果が十分に得られない。一方、それぞれの含有量が0.050%を超える場合は、酸化被膜が厚くなり、ろう付性を低下させる。それぞれの好ましい含有量は、いずれも0.003〜0.020%である。
Na、Srは、ろう材中のSi粒子を微細化する効果を発揮する。Na、Srの含有量はそれぞれ、0.001〜0.050%である。それぞれの含有量が0.001%未満では、上記効果が十分に得られない。一方、それぞれの含有量が0.050%を超える場合は、酸化被膜が厚くなり、ろう付性を低下させる。それぞれの好ましい含有量は、いずれも0.003〜0.020%である。
これらZn、Cu、Mn、Ti、Zr、Cr、V、Na及びSrは、ろう材中に必要により少なくとも1種が添加されていればよい。
4.犠牲陽極材
犠牲陽極材には、Zn:0.5〜8.0%、Si:0.05〜1.50%、Fe:0.05〜2.00%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
犠牲陽極材には、Zn:0.5〜8.0%、Si:0.05〜1.50%、Fe:0.05〜2.00%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
また、犠牲陽極材には上記必須元素に加えて、Mg:0.5〜3.0%、Ni:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、Ti:0.05〜0.30%、Zr:0.05〜0.30%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を選択的添加元素として更に含有するアルミニウム合金を用いてもよい。更に、上記必須元素及び選択的添加元素の他に不可避的不純物を、各々0.05%以下、全体で0.15%以下含有していてもよい。以下に、各成分について説明する。
Zn:
Znは孔食電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上することができる。Znの含有量は0.5〜8.0%である。0.50%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、8.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲防食層が消失して耐食性が低下する。Znの好ましい含有量は、1.0〜6.0%である。
Znは孔食電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上することができる。Znの含有量は0.5〜8.0%である。0.50%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、8.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲防食層が消失して耐食性が低下する。Znの好ましい含有量は、1.0〜6.0%である。
Si:
Siは、Feと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはFe、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により犠牲陽極材の強度を向上させ、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化により強度を向上させる。Siは一方で、犠牲陽極層の電位を貴にするため、犠牲防食効果を阻害して耐食性を低下させる。Siの含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、1.50%を超えると犠牲陽極材の孔食電位が貴になって犠牲防食効果を失わせ、耐食性が低下する。Siの好ましい含有量は、0.10〜1.20%である。
Siは、Feと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはFe、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により犠牲陽極材の強度を向上させ、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化により強度を向上させる。Siは一方で、犠牲陽極層の電位を貴にするため、犠牲防食効果を阻害して耐食性を低下させる。Siの含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、1.50%を超えると犠牲陽極材の孔食電位が貴になって犠牲防食効果を失わせ、耐食性が低下する。Siの好ましい含有量は、0.10〜1.20%である。
Fe:
Feは、Siと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはSi、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により犠牲陽極材の強度を向上させる。Feの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Feの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Feは、Siと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはSi、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により犠牲陽極材の強度を向上させる。Feの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Feの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Mg:
Mgは、Mg2Siの析出により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Mg含有量は、0.5〜3.0%である。0.5%未満では上記効果が不十分となり、3.0%を超えると熱間圧延時の圧着が困難となり、製造性が不十分となる。Mg含有量は、好ましくは0.5〜2.5%である。なお、Mgはろう付性を低下させるため、犠牲陽極材を直接ろう材とろう付するような場合には、Mgを含有させることはできない。例えば本発明のアルミニウム合金材をその内面を犠牲陽極材側として電縫溶接によってチューブ状に加工し、熱交換器の流路形成材として用いるような場合には、Mgを含有させることができる。
Mgは、Mg2Siの析出により心材の強度を向上させるので含有させてもよい。Mg含有量は、0.5〜3.0%である。0.5%未満では上記効果が不十分となり、3.0%を超えると熱間圧延時の圧着が困難となり、製造性が不十分となる。Mg含有量は、好ましくは0.5〜2.5%である。なお、Mgはろう付性を低下させるため、犠牲陽極材を直接ろう材とろう付するような場合には、Mgを含有させることはできない。例えば本発明のアルミニウム合金材をその内面を犠牲陽極材側として電縫溶接によってチューブ状に加工し、熱交換器の流路形成材として用いるような場合には、Mgを含有させることができる。
Ni:
Niは、Al−Ni系、或いは、Feと共にAl−Fe−Ni系の金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物はアルミニウムのマトリックスより腐食電位が大きく貴であるため、腐食のカソードサイトとして作用する。そのため、これらの金属間化合物が犠牲陽極材に分散していると、腐食の起点が分散する。その結果、深さ方向への腐食が進行し難くなり、耐食性が向上するので含有させてもよい。Niの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では上記効果が十分に得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Niの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Niは、Al−Ni系、或いは、Feと共にAl−Fe−Ni系の金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物はアルミニウムのマトリックスより腐食電位が大きく貴であるため、腐食のカソードサイトとして作用する。そのため、これらの金属間化合物が犠牲陽極材に分散していると、腐食の起点が分散する。その結果、深さ方向への腐食が進行し難くなり、耐食性が向上するので含有させてもよい。Niの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では上記効果が十分に得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Niの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Mn:
Mnは、犠牲陽極材の強度と耐食性を向上させるので含有させてもよい。Mnの含有量は、0.05〜2.00%である。0.05%未満では、上記効果が十分得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mnの好ましい含有量は、0.05〜1.80%である。
Mnは、犠牲陽極材の強度と耐食性を向上させるので含有させてもよい。Mnの含有量は、0.05〜2.00%である。0.05%未満では、上記効果が十分得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mnの好ましい含有量は、0.05〜1.80%である。
Ti:
Tiは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に、耐食性も向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では、上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Tiの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
Tiは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に、耐食性も向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では、上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Tiの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
Zr:
Zrは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に、Al−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。一方、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zrの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
Zrは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に、Al−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。一方、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zrの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
Cr:
Crは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に、Al−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Crの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
Crは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に、Al−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Crの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
V:
Vは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Vの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
Vは、固溶強化により犠牲陽極材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Vの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
これらMg、Ni、Mn、Ti、Zr、Cr及びVは、犠牲陽極材中に必要により少なくとも1種が添加されていればよい。
5.中間層材
中間層材は、心材とろう材の間に配置される。中間層材は、ろう付によってZnの拡散領域を形成させ、犠牲防食機能を発現させ耐食性を向上させる作用を有する。中間層材には、Zn:0.5〜8.0%、Si:0.05〜1.50%、Fe:0.05〜2.00%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
中間層材は、心材とろう材の間に配置される。中間層材は、ろう付によってZnの拡散領域を形成させ、犠牲防食機能を発現させ耐食性を向上させる作用を有する。中間層材には、Zn:0.5〜8.0%、Si:0.05〜1.50%、Fe:0.05〜2.00%を必須元素として含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられる。
また、中間層材には上記必須元素に加えて、Ni:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、Ti:0.05〜0.30%、Zr:0.05〜0.30%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を選択的添加元素として更に含有するアルミニウム合金を用いてもよい。更に、上記必須元素及び選択的添加元素の他に不可避的不純物を、各々0.05%以下、全体で0.15%以下含有していてもよい。以下に、各成分について説明する。
Zn:
Znは孔食電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上することができる。Znの含有量は0.5〜8.0%である。0.50%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、8.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲防食層が消失して耐食性が低下する。Znの好ましい含有量は、1.0〜6.0%である。
Znは孔食電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上することができる。Znの含有量は0.5〜8.0%である。0.50%未満では、犠牲防食効果による耐食性向上の効果が十分に得られない。一方、8.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲防食層が消失して耐食性が低下する。Znの好ましい含有量は、1.0〜6.0%である。
Si:
Siは、Feと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはFe、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により中間層材の強度を向上させ、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化により強度を向上させる。一方でSiは、犠牲陽極層の電位を貴にするため、犠牲防食効果を阻害して耐食性を低下させる。Siの含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、1.50%を超えると中間層材の孔食電位が貴になって犠牲防食効果を失わせ、耐食性が低下する。Siの好ましい含有量は、0.10〜1.20%である。
Siは、Feと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはFe、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により中間層材の強度を向上させ、或いは、アルミニウム母相中に固溶して固溶強化により強度を向上させる。一方でSiは、犠牲陽極層の電位を貴にするため、犠牲防食効果を阻害して耐食性を低下させる。Siの含有量は、0.05〜1.50%である。0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、1.50%を超えると中間層材の孔食電位が貴になって犠牲防食効果を失わせ、耐食性が低下する。Siの好ましい含有量は、0.10〜1.20%である。
Fe:
Feは、Siと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはSi、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により中間層材の強度を向上させる。Feの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Feの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Feは、Siと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、またMnを同時に含有している場合にはSi、Mnと共にAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物を形成し、分散強化により中間層材の強度を向上させる。Feの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では、高純度アルミニウム地金を使用しなければならずコスト高となる。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Feの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Ni:
Niは、Al−Ni系、或いは、Feと共にAl−Fe−Ni系の金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物はアルミニウムのマトリックスより腐食電位が大きく貴であるため、腐食のカソードサイトとして作用する。そのため、これらの金属間化合物が中間層材に分散していると、腐食の起点が分散する。その結果、深さ方向への腐食が進行し難くなり、耐食性が向上するので含有させてもよい。Niの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では上記効果が十分に得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Niの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Niは、Al−Ni系、或いは、Feと共にAl−Fe−Ni系の金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物はアルミニウムのマトリックスより腐食電位が大きく貴であるため、腐食のカソードサイトとして作用する。そのため、これらの金属間化合物が中間層材に分散していると、腐食の起点が分散する。その結果、深さ方向への腐食が進行し難くなり、耐食性が向上するので含有させてもよい。Niの含有量は、0.05〜2.00%である。含有量が0.05%未満では上記効果が十分に得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Niの好ましい含有量は、0.10〜1.50%である。
Mn:
Mnは、中間層材の強度と耐食性を向上させるので含有させてもよい。Mnの含有量は、0.05〜2.00%である。0.05%未満では、上記効果が十分得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mnの好ましい含有量は、0.05〜1.80%である。
Mnは、中間層材の強度と耐食性を向上させるので含有させてもよい。Mnの含有量は、0.05〜2.00%である。0.05%未満では、上記効果が十分得られない。一方、2.00%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成され易くなり、塑性加工性を低下させる。Mnの好ましい含有量は、0.05〜1.80%である。
Ti:
Tiは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では、上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Tiの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
Tiは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。Ti含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では、上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Tiの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
Zr:
Zrは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共にAl−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。一方、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zrの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
Zrは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共にAl−Zr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Zr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。一方、0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Zrの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
Cr:
Crは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共にAl−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Crの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
Crは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共にAl−Cr系の金属間化合物を析出させてろう付加熱後の結晶粒を粗大化する作用を有するので含有させてもよい。Cr含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Crの好ましい含有量は、0.10〜0.20%である。
V:
Vは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Vの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
Vは、固溶強化により中間層材の強度を向上させると共に耐食性も向上させるので含有させてもよい。V含有量は、0.05〜0.30%である。0.05%未満では上記効果が得られない。0.30%を超えると巨大金属間化合物を形成し易くなり、塑性加工性を低下させる。Vの好ましい含有量は、0.05〜0.20%である。
これらNi、Mn、Ti、Zr、Cr及びVは、中間層材中に必要により少なくとも1種が添加されていればよい。
6.金属組織
本発明に係るアルミニウム合金材は、第1の形態のベア材においては、ろう付前の金属組織が亜結晶粒からなり、第2の形態のクラッド材においては、ろう付前の心材の金属組織が亜結晶粒からなり、いずれにおいても亜結晶粒の円相当径を3.0μm以下に規定する。なお亜結晶粒とは、隣接する結晶粒との結晶方位差が2度以上15度未満のものを指す。以下に、金属組織を亜結晶粒とすること、ならびに、亜結晶粒の円相当径を3.0μm以下に限定する理由について説明する。
本発明に係るアルミニウム合金材は、第1の形態のベア材においては、ろう付前の金属組織が亜結晶粒からなり、第2の形態のクラッド材においては、ろう付前の心材の金属組織が亜結晶粒からなり、いずれにおいても亜結晶粒の円相当径を3.0μm以下に規定する。なお亜結晶粒とは、隣接する結晶粒との結晶方位差が2度以上15度未満のものを指す。以下に、金属組織を亜結晶粒とすること、ならびに、亜結晶粒の円相当径を3.0μm以下に限定する理由について説明する。
アルミニウム合金材は、成形により強い加工を受けると、転位組織が導入される。本発明者らは鋭意研究を行った結果、この転位組織が導入され易いか否かは、各結晶粒の面方位に影響されることを見出した。すなわち、結晶粒が粗大であればあるほど、一つの結晶粒に転位組織の導入が集中し易く、そこを起点として割れが発生し易くなる。そこで、ろう付前におけるベア材又はクラッド材の心材における金属組織を、再結晶粒よりも微細な亜結晶粒とすることにより転位組織の導入が集中し難くなり、その結果、割れが発生し難くい高成形性を達成することが可能になる。更に、この亜結晶粒径が円相当径(円相当直径)で3.0μm以下である場合に、微細な亜結晶組織による成形性向上の効果を十分に発揮することができる。亜結晶粒の円相当径が3.0μmを超える場合は、微細な亜結晶組織による成形性向上の効果を十分に発揮することはできない。このような亜結晶粒の円相当径は、好ましくは2.0μm以下である。なお、亜結晶粒の円相当径の下限値は、アルミニウム合金材の合金組成や製造条件に依存するが、本発明では0.1μm程度である。
7.アルミニウム合金材の製造方法
7−1.各製造工程
本発明に係る第1の形態のアルミニウム合金材である心材用などのベア材の製造方法は、アルミニウム合金を鋳造する工程と、鋳造した鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方において冷間圧延板を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含む。なお、鋳造した鋳塊を均質化処理する均質化処理工程を追加することも可能である。また、本発明に係る第2の形態のアルミニウム合金材であるクラッド材の製造方法は、心材用、ならびに、必要な各皮材(ろう材、犠牲陽極材及び中間層材)用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造した各皮材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材と熱間圧延により所定厚さとした皮材とをクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含む。なお、第2の形態において、鋳造した心材用鋳塊については、均質化処理する均質化処理工程を追加することも可能である。
7−1.各製造工程
本発明に係る第1の形態のアルミニウム合金材である心材用などのベア材の製造方法は、アルミニウム合金を鋳造する工程と、鋳造した鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方において冷間圧延板を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含む。なお、鋳造した鋳塊を均質化処理する均質化処理工程を追加することも可能である。また、本発明に係る第2の形態のアルミニウム合金材であるクラッド材の製造方法は、心材用、ならびに、必要な各皮材(ろう材、犠牲陽極材及び中間層材)用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造した各皮材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材と熱間圧延により所定厚さとした皮材とをクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含む。なお、第2の形態において、鋳造した心材用鋳塊については、均質化処理する均質化処理工程を追加することも可能である。
本発明に係るアルミニウム合金材は、第1の形態のベア材においては、ろう付前の金属組織を、第2の形態のクラッド材においては、ろう付前の心材の金属組織を制御することにより、優れた成形性を実現する。本発明者らは鋭意研究の結果、金属組織制御に及ぼす影響が最も大きい製造工程は、冷間圧延工程と焼鈍工程であることを見出した。以下において、これらの工程の制御方法について詳述する。なお、冷間圧延工程と焼鈍工程以外の各工程については、一般的に実施されている条件を採用することができる。
7−2.冷間圧延工程
本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法では、冷間圧延工程に特徴を有する。この冷間圧延工程においては、冷間圧延が施されている冷間圧延板の温度を120℃以下に規定する。この理由を以下に説明する。
本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法では、冷間圧延工程に特徴を有する。この冷間圧延工程においては、冷間圧延が施されている冷間圧延板の温度を120℃以下に規定する。この理由を以下に説明する。
既に述べた亜結晶組織は冷間圧延工程の後工程である焼鈍工程中に生成するが、その際に亜結晶の核生成の駆動力となるものは、冷間圧延中において冷間圧延板に加えられた加工ひずみである。しかしながら、冷間圧延中においても圧延加工によって発熱が生じるため、単に冷間圧延を行っただけではこの加工発熱によって材料温度が上昇する。その結果、加えられた加工ひずみが材料温度の上昇によって回復してしまうため、十分な加工ひずみを得ることができない。本発明者らはこのことに着目して鋭意研究を重ねた結果、冷間圧延工程中の冷間圧延板の温度が120℃以下であれば、加工発熱による加工歪の回復が抑制されて十分な加工ひずみが得られ、その結果、後工程である焼鈍工程中において亜結晶の核生成が多くなって、目的とする微細な亜結晶粒組織が得られることを見出した。
冷間圧延工程中の冷間圧延板の温度が120℃を超える場合は、加えた加工ひずみが回復してしまい、亜結晶の核生成が少なくなり、亜結晶粒の円相当径が3.0μmを超えてしまう。冷間圧延工程中の冷間圧延板の温度は、好ましくは100℃以下である。なお、加工ひずみの観点からは、冷間圧延工程中の冷間圧延板の温度の下限は限定されるものではないが、加工発熱を完全に無くすことはできないため、冷間圧延工程中の冷間圧延板の温度を60℃以下とすることは困難である。また、冷間圧延工程中の冷間圧延板の温度を制御する方法は特に限定されるものではないが、例えば冷間圧延出側の温度を測定して、冷間圧延の速度にフィードバックすることなどにより制御することができる。
なお、冷間圧延工程の途中で1回又は2回以上の焼鈍を行なう場合は、最後の焼鈍を行った後の最終の冷間圧延工程において、上述のような温度制御を行えばよい。
7−3.焼鈍工程
本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法では、焼鈍工程にも特徴を有する。この焼鈍工程では、加熱段階と保持段階と冷却段階を含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度を80℃/h以下、保持段階における保持温度を200〜300℃、保持時間を0.5時間以上に規定する。以下において、この理由を説明する。
本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法では、焼鈍工程にも特徴を有する。この焼鈍工程では、加熱段階と保持段階と冷却段階を含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度を80℃/h以下、保持段階における保持温度を200〜300℃、保持時間を0.5時間以上に規定する。以下において、この理由を説明する。
焼鈍工程においては、その前工程である冷間圧延工程により冷間圧延材に大きな加工が加えられており、加工組織を起点とした核生成により微細な析出物が生成し易い。この微細な析出物の密度が高い程、亜結晶粒の成長が抑制されて亜結晶粒は微細となる。本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、焼鈍工程中の昇温速度を小さくすることにより、この微細な析出物の密度を高くでき、その結果、微細な亜結晶粒が得られることを見出した。加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であれば、微細な析出物の密度が十分高くなり、目的とする微細な亜結晶粒を得ることができる。この昇温速度が80℃/hを超える場合は、微細な析出物の密度が低くなり、目的とする微細な亜結晶粒を得ることができない。なお、微細な析出物密度を高くするという観点から、昇温速度に下限は無いが、10℃/h未満の場合は昇温に要する時間が長くなり過ぎるため、生産性が著しく損なわれる。
また、焼鈍工程の保持段階における保持温度が200〜300℃、保持時間が0.5時間以上であれば、焼鈍工程後における圧延板の金属組織は亜結晶粒からなる。保持温度が200℃未満又は保持時間が0.5時間未満の場合は亜結晶粒が形成されず、保持温度が300℃を超えると再結晶粒となってしまう。なお、亜結晶粒を形成させる観点から保持時間の上限は無いが、20時間を超える保持時間では長過ぎて生産性が著しく損なわれる。また、焼鈍工程の回数の上限は特に限定されるものではないが、工程数の増加によるコスト増加を回避するために、上限は3回とするのが好ましい。
7.クラッド率及び板厚
本発明に係るアルミニウム合金材において第2の形態のクラッド材では、ろう材、犠牲陽極材及び中間層材のクラッド率(片面)は、各々3〜25%とするのが好ましい。これら各クラッド率が3%未満ではクラッドされる材料が薄過ぎるため、熱間クラッド圧延中において心材全体にわたってこれを被覆することができない場合がある。これら各クラッド率が25%を超えると、熱間クラッド圧延時に反りが生じ、クラッド材を製造できない場合がある。これら各クラッド率は、より好ましくは5〜20%である。
本発明に係るアルミニウム合金材において第2の形態のクラッド材では、ろう材、犠牲陽極材及び中間層材のクラッド率(片面)は、各々3〜25%とするのが好ましい。これら各クラッド率が3%未満ではクラッドされる材料が薄過ぎるため、熱間クラッド圧延中において心材全体にわたってこれを被覆することができない場合がある。これら各クラッド率が25%を超えると、熱間クラッド圧延時に反りが生じ、クラッド材を製造できない場合がある。これら各クラッド率は、より好ましくは5〜20%である。
本発明に係るアルミニウム合金材である第1の形態のベア材及び第2の形態のクラッド材の板厚は共に特に限定されるものではないが、例えば熱交換器の流路形成部品として用いられる場合、通常0.15〜0.6mmのものが用いられる。また、熱交換器のフィンとして用いられる場合、通常0.03〜0.2mmのものが用いられる。更に、板厚を0.6〜3mm程度として、ヘッダプレートなどに用いることも可能である。
次に、本発明例と比較例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
表1に示す合金組成を有する心材合金、表2に示す合金組成を有するろう材合金、表3に示す合金組成を有する犠牲陽極材合金、表4に示す合金組成を有する中間層材合金をそれぞれDC鋳造により鋳造した。心材合金については、A2合金以外には560℃で5時間の均質化処理に供し、A2合金は均質化処理を省略した。その後、各々の鋳塊両面を面削して仕上げた。面削後の鋳塊厚さは、いずれも400mmとした。ろう材、犠牲陽極材及び中間層材については、最終板厚でクラッド率10%となるよう計算し、それに必要な合わせ時の厚さとなるよう、480℃で3時間の加熱に供した後に熱間圧延工程に供した。
これらの合金を用い、ベア材としての心材のみの1層構造<第1の形態>;皮材1(ろう材)/心材の2層構造<第2の形態の第1の実施態様>;皮材1(ろう材)/心材/皮材2(ろう材)の3層構造<第2の形態の第1の実施態様>;皮材1(ろう材)/心材/皮材2(犠牲陽極材)の3層構造<第2の形態の第2の実施態様>;皮材1(ろう材)/皮材2(中間層材)/心材/皮材3(ろう材)の4層構造<第2の形態の第3の実施態様>;皮材1(ろう材)/皮材2(中間層材)/心材/皮材3(犠牲陽極材)の4層構造<第2の形態の第4の実施態様>;皮材1(ろう材)/皮材2(中間層材)/心材/皮材3(中間層材)/皮材4(ろう材)の5層構造<第2の形態の第3の実施態様>;のいずれかの組み合わせで、クラッド工程にかけた。これらを、480℃で3時間の加熱に供した後に、厚さ3mmまで熱間クラッド圧延工程にかけた。その後、表5の冷間圧延工程以降に示す、工程組合せ1:冷間圧延工程→最終焼鈍の順、工程組合せ2:冷間圧延→中間焼鈍→最終冷間圧延→最終焼鈍の順のいずれかで、最終板厚0.4mmの圧延板としてアルミニウム合金材試料を作製した。冷間圧延中における冷間圧延板の温度及び焼鈍の条件を表5に示す。なお、工程組合せ2においては、冷間圧延工程温度は最終冷間圧延におけるものであり、中間焼鈍と最終焼鈍の条件は同じである。また、心材のみの1層の試料については、上記熱間クラッド圧延と同様に厚さ3mmまで熱間圧延した後に、表5のE1の条件にて冷間圧延工程と焼鈍工程にかけて、厚さ0.1mmのベア材(心材)試料とし、更に、このベア材を用いて後述のフィン材試料も作製した。なお、それぞれのアルミニウム合金材の層の組み合わせを表6〜8に示す。
以上の製造工程において問題が発生せず、0.4mm又は0.1mmの最終板厚まで圧延できた場合は製造性を「○」とし、鋳造時や圧延時に割れが生じて0.4mm又は0.1mmの最終板厚まで圧延できなかったり、熱間クラッド圧延工程前の加熱段階や焼鈍工程で溶融が生じたり、熱間クラッド圧延段階での圧着不良が生じたりして、ベア材やクラッド材を製造できなかった場合は製造性を「×」として表6〜8に示す。
上記アルミニウム合金材試料を下記の各評価に供した結果を、表6〜8に示す。なお、表7における製造性「×」のものについては試料を製造できなかったため、下記評価は行うことができなかった。
(成形性の評価)
各アルミニウム合金材試料を、JIS Z 2247に準拠してエリクセン試験に供した。その結果、エリクセン値が5.0以上の場合を成形性優秀(◎)、4.0以上5.0未満の場合を成形性合格(○)、4.0未満の場合を成形性不合格(×)とした。
各アルミニウム合金材試料を、JIS Z 2247に準拠してエリクセン試験に供した。その結果、エリクセン値が5.0以上の場合を成形性優秀(◎)、4.0以上5.0未満の場合を成形性合格(○)、4.0未満の場合を成形性不合格(×)とした。
(亜結晶粒径の評価)
各アルミニウム合金材試料を樹脂埋めし、L−LT断面を面出し後、研磨により鏡面とした。これに対して(クラッド材では心材)EBSDを用い、10μm×10μmの範囲にて結晶方位のマッピング行った。この測定視野に存在する亜結晶粒(隣接する結晶粒との結晶方位差が2度以上15度未満のもの)の平均円相当径を求め、その値を記載した。また、再結晶組織(隣接する結晶粒との結晶方位差が15度以上のもの)のみとなってしまい亜結晶粒が存在しなかったものについては「再結晶」と記載し、亜結晶粒が形成されず加工組織となっていたものについては「加工組織」と記載した。
各アルミニウム合金材試料を樹脂埋めし、L−LT断面を面出し後、研磨により鏡面とした。これに対して(クラッド材では心材)EBSDを用い、10μm×10μmの範囲にて結晶方位のマッピング行った。この測定視野に存在する亜結晶粒(隣接する結晶粒との結晶方位差が2度以上15度未満のもの)の平均円相当径を求め、その値を記載した。また、再結晶組織(隣接する結晶粒との結晶方位差が15度以上のもの)のみとなってしまい亜結晶粒が存在しなかったものについては「再結晶」と記載し、亜結晶粒が形成されず加工組織となっていたものについては「加工組織」と記載した。
(ろう付性の評価)
厚さ0.07mm、調質H14、心材合金成分は3003合金に1.0%のZnを添加した成分であり、心材のみのベア材又は両面にA4045合金を10%クラッドしたクラッド材をフィン材として用意し、これらをコルゲート成形して熱交換器フィンとした。アルミニウム合金材試料のうち、心材のみのベア材に対してはクラッド材のフィンを、それ以外のものに対してはろう材面にベア材のフィンを組み合わせ、5%のフッ化物フラックス水溶液中に浸漬し、600℃で3分のろう付加熱に供して、ミニコア試料を作製した。このミニコア試料のフィン接合率が95%以上であり、かつ、クラッド材試料及びフィンに溶融が生じていない場合をろう付性が合格(○)とし、一方、(1)フィン接合率が95%未満の場合と、(2)クラッド材試料及びフィンの少なくともいずれかに溶融が生じた場合とにおいて、(1)及び(2)、或いは、(1)又は(2)をろう付性が不合格(×)とした。
厚さ0.07mm、調質H14、心材合金成分は3003合金に1.0%のZnを添加した成分であり、心材のみのベア材又は両面にA4045合金を10%クラッドしたクラッド材をフィン材として用意し、これらをコルゲート成形して熱交換器フィンとした。アルミニウム合金材試料のうち、心材のみのベア材に対してはクラッド材のフィンを、それ以外のものに対してはろう材面にベア材のフィンを組み合わせ、5%のフッ化物フラックス水溶液中に浸漬し、600℃で3分のろう付加熱に供して、ミニコア試料を作製した。このミニコア試料のフィン接合率が95%以上であり、かつ、クラッド材試料及びフィンに溶融が生じていない場合をろう付性が合格(○)とし、一方、(1)フィン接合率が95%未満の場合と、(2)クラッド材試料及びフィンの少なくともいずれかに溶融が生じた場合とにおいて、(1)及び(2)、或いは、(1)又は(2)をろう付性が不合格(×)とした。
(耐食性の評価)
各アルミニウム合金材試料を単板にて600℃で3分のろう付相当の加熱に供し、評価対象ではない方の面を絶縁樹脂によってマスキングしたものを、腐食性試験サンプルとした。このサンプルを、JIS−H8502に基づいて500時間及び1000時間のCASS試験に供した。その結果、1000時間でクラッド材に腐食貫通の生じなかったものをCASSの耐食性優秀合格(◎)とし、1000時間ではクラッド材に腐食貫通が生じたものの500時間ではクラッド材に腐食貫通の生じなかったものをCASSの耐食性合格(○)とし、500時間で腐食貫通が生じたものをCASSの耐食性不合格(×)とした。なお、評価対象は犠牲陽極材、Znを含有するろう材、中間層材のいずれかがクラッドされている面とし、それら以外は評価対象外とした。
各アルミニウム合金材試料を単板にて600℃で3分のろう付相当の加熱に供し、評価対象ではない方の面を絶縁樹脂によってマスキングしたものを、腐食性試験サンプルとした。このサンプルを、JIS−H8502に基づいて500時間及び1000時間のCASS試験に供した。その結果、1000時間でクラッド材に腐食貫通の生じなかったものをCASSの耐食性優秀合格(◎)とし、1000時間ではクラッド材に腐食貫通が生じたものの500時間ではクラッド材に腐食貫通の生じなかったものをCASSの耐食性合格(○)とし、500時間で腐食貫通が生じたものをCASSの耐食性不合格(×)とした。なお、評価対象は犠牲陽極材、Znを含有するろう材、中間層材のいずれかがクラッドされている面とし、それら以外は評価対象外とした。
また、1層のみのベア材試料については、前述の厚さ0.1mmとしたフィン材試料をコルゲート成形して熱交換器フィンとした。このフィンを、A3003合金心材にA4045合金を10%クラッドした板厚0.3mmのチューブ相当材のろう材面と組み合わせ、5%のフッ化物フラックス水溶液中に浸漬し600℃で3分のろう付加熱に供して、ミニコア試料を作製した。ASTM−G85に基づいてSWAAT試験に供し、1000時間でチューブ相当材に腐食貫通の生じなかったものをミニコア耐食性合格(○)とし、腐食貫通の生じたものをミニコア耐食性不合格(×)とした。
本発明例1〜16、51〜58では、本発明で規定する条件を満たしており、製造性、成形性、ろう付性及び耐食性のいずれも合格であった。
これに対して、比較例17では、心材のSi成分が多過ぎたため、心材の亜結晶粒の円相当径が大き過ぎ、成形性が不合格であった。
比較例18では、心材のMg成分が多過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)のろう付性が不合格であった。
比較例19では、心材のFe成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例20では、心材のTi、Zr、Cr及びV成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例21では、心材のMn成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例22では、心材のCu成分が多過ぎたため、鋳造時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例23では、心材のMn成分が少な過ぎたため、心材の亜結晶粒の円相当径が大き過ぎ、成形性が不合格であった。
比較例24では、心材のZn成分が少な過ぎたため、本発明のアルミニウム合金材をベアフィンとして用いた場合の耐食性が不合格であった。
比較例25では、心材のZn成分が多過ぎたため、本発明のアルミニウム合金材をベアフィンとして用いた場合の耐食性が不合格であった。
比較例26では、ろう材のSi成分が少な過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)におけるろう付性が不合格であった。
比較例27では、ろう材のSi成分が多過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)におけるろう付性が不合格であった。
比較例28では、ろう材のFe成分が多過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)におけるろう付性が不合格であった。
比較例29では、ろう材のCu成分が多過ぎたため、鋳造時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例30では、ろう材のMn成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例31では、ろう材のTi、Zr、Cr及びV成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例32では、ろう材のNa成分が多過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)におけるろう付性が不合格であった。
比較例33では、ろう材のSr成分が多過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)におけるろう付性が不合格であった。
比較例34では、ろう材のZn成分が少な過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)の耐食性が不合格であった。
比較例35では、ろう材のZn成分が多過ぎたため、皮材1側表面(ろう材)の耐食性が不合格であった。
比較例36では、中間層材のSi成分が多過ぎたため、皮材1側表面(中間層材)におけるろう付性が不合格であった。
比較例37では、中間層材のFe成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例38では、中間層材のTi、Zr、Cr及びV成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例39では、中間層材のZn成分が少な過ぎたため、皮材1側表面(中間層材)の耐食性が不合格であった。
比較例40では、中間層材のZn成分が多過ぎたため、皮材1側表面(中間層材)の耐食性が不合格であった。
比較例41では、中間層材のNi成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例42では、中間層材のMn成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例43では、犠牲陽極材のSi成分が多過ぎたため、皮材3側表面(犠牲陽極材)における耐食性が不合格であった。
比較例44では、犠牲陽極材のFe成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例45では、犠牲陽極材のTi、Zr、Cr及びV成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例46では、犠牲陽極材のZn成分が少な過ぎたため、皮材3側表面(犠牲陽極材)の耐食性が不合格であった。
比較例47では、犠牲陽極材のZn成分が多過ぎたため、皮材3側表面(犠牲陽極材)の耐食性が不合格であった。
比較例48では、犠牲陽極材のNi成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例49では、犠牲陽極材のMn成分が多過ぎたため、圧延時に割れが生じ、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例50では、犠牲陽極材のMg成分が多過ぎたため、熱延時に心材と犠牲陽極材が圧着されず、クラッド材を作製することができず製造性が不合格であった。
比較例59では、冷間圧延時の温度が高過ぎたため、心材の亜結晶粒の円相当径が大き過ぎ、成形性が不合格であった。
比較例60では、焼鈍工程の加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が大き過ぎたため、心材の亜結晶粒の円相当径が大き過ぎ、成形性が不合格であった。
比較例61では、焼鈍工程の保持温度が低過ぎたため、心材において亜結晶粒が形成されず加工組織となってしまい、成形性が不合格であった。
比較例62では、焼鈍工程の保持温度が高過ぎたため、心材が再結晶組織となってしまい、成形性が不合格であった。
比較例63では、焼鈍の保持時間が短過ぎたため、心材において亜結晶粒が形成されず加工組織となってしまい、成形性が不合格であった。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金材は、成形性、耐食性及びろう付性に優れ、更に軽量性や良好な熱伝導性も備えるので、例えば自動車用の熱交換器の流路形成部品材等として好適に用いられる。
Claims (19)
- Si:0.01〜0.90mass%、Fe:0.05〜2.00mass%、Mn:0.5〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、ろう付前の金属組織が亜結晶粒からなり、当該亜結晶粒の円相当径が3.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記アルミニウム合金が、Zn:0.5〜5.0mass%、Mg:0.05〜0.50mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有する、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 請求項1又は2に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記アルミニウム合金を鋳造する工程と、鋳造した鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方において冷間圧延板を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法。
- アルミニウム合金の心材と、当該心材の片面又は両面にクラッドされたろう材とを備えるアルミニウム合金材において、前記心材が、Si:0.01〜0.90mass%、Fe:0.05〜2.00mass%、Mn:0.5〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記ろう材が、Si:2.5〜13.0mass%、Fe:0.05〜1.20mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、ろう付前における前記心材の金属組織が亜結晶粒からなり、当該亜結晶粒の円相当径が3.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記心材が、Zn:0.5〜5.0mass%、Mg:0.05〜0.50mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項4に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記ろう材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Mn:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項4又は5に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記ろう材が、Na:0.001〜0.050mass%及びSr:0.001〜0.050mass%から選択される1種又は2種を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 請求項4〜7のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用及びろう材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材の鋳塊を所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の片面又は両面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法。
- アルミニウム合金の心材と、当該心材の一方の面にクラッドされたろう材と、他方の面にクラッドされた犠牲陽極材とを備えるアルミニウム合金材において、前記心材が、Si:0.01〜0.90mass%、Fe:0.05〜2.00mass%、Mn:0.5〜2.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記ろう材が、Si:2.5〜13.0mass%、Fe:0.05〜1.20mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記犠牲陽極材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Si:0.05〜1.50mass%、Fe:0.05〜2.00mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、ろう付前における前記心材の金属組織が亜結晶粒からなり、当該亜結晶粒の円相当径が3.0μm以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記心材が、Zn:0.5〜5.0mass%、Mg:0.05〜0.50mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項9に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記ろう材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Cu:0.05〜1.50mass%、Mn:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.30mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項9又は10に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記ろう材が、Na:0.001〜0.050mass%及びSr:0.001〜0.050mass%から選択される1種又は2種を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記犠牲陽極材が、Mn:0.05〜2.00mass%、Mg:0.5〜3.0mass%、Ni:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.3mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項9〜12のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 請求項9〜13のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用、ろう材用及び犠牲陽極材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材及び犠牲陽極材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の一方の面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドし、心材鋳塊の他方の面に熱間圧延により所定厚さとした犠牲陽極材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法。
- 前記心材の片面又は両面にクラッドされたろう材と心材との間に中間層材が更にクラッドされており、前記中間層材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Si:0.05〜1.50mass%、Fe:0.05〜2.00mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる、請求項4〜7のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記心材の一方の面にクラッドされたろう材と心材との間に中間層材が更にクラッドされており、前記中間層材が、Zn:0.5〜8.0mass%、Si:0.05〜1.50mass%、Fe:0.05〜2.00mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる、請求項9〜13のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記中間層材が、Mn:0.05〜2.00mass%、Ni:0.05〜2.00mass%、Ti:0.05〜0.30mass%、Zr:0.05〜0.30mass%、Cr:0.05〜0.30mass%及びV:0.05〜0.3mass%から選択される1種又は2種以上を更に含有するアルミニウム合金からなる、請求項15又は16に記載の熱交換器用アルミニウム合金材。
- 請求項15又は17に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用、ろう材用及び中間層材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材及び中間層材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の片面又は両面に熱間圧延により所定厚さとした中間層材をクラッドし、クラッドした中間層材の心材側ではない面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法。
- 請求項16又は17に記載の熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法であって、前記心材用、ろう材用、犠牲陽極材用及び中間層材用のアルミニウム合金をそれぞれ鋳造する工程と、鋳造したろう材、犠牲陽極材及び中間層材の鋳塊をそれぞれ所定の厚さまで熱間圧延する熱間圧延工程と、心材鋳塊の一方の面に熱間圧延により所定厚さとした中間層材をクラッドし、クラッドした中間層材の心材側ではない面に熱間圧延により所定厚さとしたろう材をクラッドし、心材鋳塊の他方の面に熱間圧延により所定厚さとした犠牲陽極材をクラッドするクラッド工程と、クラッド材を熱間圧延する熱間クラッド圧延工程と、熱間クラッド圧延したクラッド材を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延工程の途中及び冷間圧延工程の後の一方又は両方においてクラッド材を焼鈍する1回以上の焼鈍工程とを含み、前記焼鈍工程が加熱段階と保持段階と冷却段階とを含み、加熱段階において、150℃到達時から保持段階の保持温度到達時までの昇温速度が80℃/h以下であり、保持段階における保持温度が200〜300℃であり保持時間が0.5時間以上であり、前記冷間圧延工程において、冷間圧延板の温度が120℃以下となるよう制御することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金材の製造方法。
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