以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の住宅の一例を示す断面図である。図2は、図1の住宅の断面図である。本実施形態の住宅Brは、床下空間2と、複数の居住区画3とを含んで構成されている。なお、本実施形態の住宅Brは、平屋である場合が例示されるが、2階建て以上の住宅であっても良い。
床下空間2は、基礎5と地面6と床7とで囲まれた非居住区画である。床下空間2には、新鮮な外気Aoを導入する取入口8が設けられている。
取入口8から供給された外気Aoは、床下空間2の地面6を介して、地冷熱Hと熱交換される。これにより、床下空間2の空気(以下、単に「床下空気」ということがある)Afは、冬季には外気よりも高く、夏季には外気よりも低い温度を持つことができる。床下空間2の地面6は、例えば、土間コンクリート等で仕上げられている。また、本実施形態の床7の下面には、断熱材9が配置されている。
複数の居住区画3は、床下空間2の上方に設けられている。本実施形態の居住区画3は、例えば、リビング11a、台所11b、廊下11c、洗面室11e、浴室11f、トイレ11g及び和室12aを含んで構成されている。各居住区画3は、例えば、外壁パネル15、間仕切りパネル16、扉(襖を含む)17、窓18、天井19、又は、床7等によって区分されている。
本実施形態の住宅Brは、断熱材21によって囲まれた第1居住区画3Aと、断熱材21で囲まれていない第2居住区画3Bとが隣接して設けられている。
第1居住区画3A及び第2居住区画3Bは、上記居住区画3(例えば、リビング11a等)のうち、少なくとも一つの居住区画3から構成されている。従って、本実施形態の住宅Brは、一部の居住区画3(即ち、第1居住区画3A)のみに断熱材21が増設される、所謂、区画断熱リフォームが施工されている。このような区画断熱リフォームは、例えば、全ての居住区画3を断熱材21で囲む場合に比べて、断熱材21の使用量を抑えることができる。従って、本実施形態の住宅Brは、断熱材21のコストを低減することができる。
ここで、「断熱材によって囲まれた」とは、第1居住区画3Aの周りに、断熱材21が実質的に連続して配置されていることを意味している。なお、断熱材21は、第1居住区画3Aに設けられる窓18や扉17等の開口部を除いて配置されている。従って、「断熱材によって囲まれた」には、第1居住区画3Aの周りに、断熱材21が一部途切れて配置された態様を含んでいる。
本実施形態の第1居住区画3Aには、例えば、既存の住宅構成材22に、断熱材21が増し貼りされる。断熱材21が増し貼りされる住宅構成材22としては、例えば、第1居住区画3Aの外壁パネル15、間仕切りパネル16、天井19及び床7が含まれている。
図3は、断熱材21の一例を示す斜視図である。本実施形態の断熱材21は、例えば、正面視矩形の板状に形成されている。本実施形態の断熱材21の一方の面21aは、住宅構成材22(例えば、第1居住区画3Aの外壁パネル15、間仕切りパネル16、天井19又は床7)への貼り付け面である。断熱材21の他方の面21bは、正面視略矩形の板材23が固定されている。このような板材23は、断熱材21が既存の住宅構成材22に貼り付けられるのと同時に、新たな壁面、床面又は天井面を形成することができるため、リフォームの効率を高めることができる。
断熱材21及び板材23には、種々のものが採用されうる。断熱材21の一例としては、例えば、ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、又は、フェノールホーム等が採用されうる。板材23の一例としては、例えば、石膏ボード、又は、構造用合板等が採用されうる。また、既存の住宅構成材22への断熱材21の固着には、例えば、ビス等の固着具や、接着剤等が用いられる。なお、断熱材21は、板状のものに限定されるわけではなく、例えば気泡状の断熱材を、既存の住宅構成材22に直接吹き付けて形成されるものでもよい。
図2に示されるように、本実施形態の第1居住区画3Aは、例えば、リビング11a、台所11b、廊下11c、洗面室11e、浴室11f、又は、トイレ11g等を含む主要な生活動線上にある居住区画3を含んで構成されている。
第1居住区画3Aの外周を囲む断熱材21は、リビング11a、台所11b、洗面室11e、浴室11f及びトイレ11gを区分する外壁パネル15に、それぞれ貼り付けられている。さらに、断熱材21は、リビング11aと玄関13との間、廊下11cと玄関13との間、廊下11cと和室12aとの間、及び、トイレ11gと和室12aとの間を区分する間仕切りパネル16に貼り付けられている。これにより、断熱材21は、平面視において、第1居住区画3A(本実施形態では、リビング11a、台所11b、廊下11c、洗面室11e、浴室11f、及び、トイレ11g)の周りを囲むことができる。また、図1に示されるように、断熱材21は、第1居住区画3Aを構成する各居住区画3の天井19及び床7にそれぞれ貼り付けられている。これにより、断熱材21は、第1居住区画3Aを囲んで配置される。
このような第1居住区画3Aは、生活動線上にある各居住区画3の温度差を最小限に抑えることができる。従って、本実施形態の住宅Brは、例えば、浴室やトイレ等において、ヒートショックや、屋内熱中症の発生を効果的に防ぐことができる。第1居住区画3Aに配置される窓18には、ペアガラスが採用されるのが望ましい。これにより、第1居住区画3Aの断熱性を、一層高めることができる。
上述したように、第2居住区画3Bは、断熱材21で囲まれていない(即ち、断熱材21が増し貼りされていない)居住区画である。本実施形態の第2居住区画3Bは、和室12aを含む非生活動線内の居住区画3を含んで構成されている。第2居住区画3Bは、第1居住区画3Aに比べて、居住者の滞在時間が少ない。このため、第2居住区画3Bに断熱材21が増し貼りされていなくても、住宅Brの快適性が維持される。
ところで、上記のような区画断熱リフォームが施工された住宅Brでは、冬季において、生活動線上にある第1居住区画3Aが、非生活動線内の第2居住区画3Bに比べて高温かつ高湿となりやすい。他方、断熱材21が増し貼りされていない第2居住区画3Bは、断熱材21が増し貼りされた第1居住区画3Aに比べて、低温かつ低湿となりやすい。従って、第1居住区画3Aの高湿な空気Arが、低温の第2居住区画3Bに流入すると、第2居住区画3B内で結露が発生しやすいという問題がある。
このような結露を防ぐために、本実施形態の住宅Brには、排気手段25と、給気手段26と、間仕切り手段27とが設けられている。
排気手段25は、第1居住区画3Aの空気Arを外部に排出するためのものである。本実施形態の排気手段25は、第1居住区画3Aに設けられた外壁パネル15を開口した排気孔25aと、排気孔25aを開閉する開閉手段25bとを含んで構成されている。このような排気手段25は、第1居住区画3Aに入り込んだ空気Arを外部に排出することができる。本実施形態の排気孔25aは、第1居住区画3Aを構成するリビング11aの外壁パネル15に設けられている。このような排気孔25aは、居住者の滞在時間が最も大きいリビング11aの換気を効果的に行うことができる。
給気手段26(以下、「第2給気手段26B」ということがある。)は、第2居住区画3Bに外気Aoを供給して、第2居住区画3B内を正圧状態とするためのものである。本実施形態の第2給気手段26Bは、第2空気流路31b、第2取出口32b、第2吹出口33b、及び、第2送風手段34bを含んで構成されている。
第2空気流路31bは、間仕切りパネル16の内部を上下にのびている。本実施形態の第2空気流路31bは、和室12aと玄関13との間に配置された間仕切りパネル16に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。
第2取出口32bは、第2空気流路31bの下方に設けられ、第2空気流路31bと床下空間2との間を連通している。第2吹出口33bは、第2空気流路31bの上方に設けられ、第2空気流路31bと第2居住区画3B(本実施形態では、和室12a)との間を連通している。このような第2取出口32b及び第2吹出口33bは、第2空気流路31bを介して、床下空間2と第2居住区画3Bとを連通させることができる。
第2送風手段34bは、例えば、第2取出口32bに設けられている。本実施形態の第2送風手段34bは、床下空間2側から第2空気流路31b側に送風するファンとして構成されている。なお、第2送風手段34bの給気量は、例えば、住宅Brに必要な換気回数(例えば、例えば、0.5回/h)に基づいて設定されるのが望ましい。
このような第2給気手段26Bは、第2送風手段34bが運転されることにより、床下空間2を負圧にして、床下空気Af(即ち、床下空間2に供給された外気Ao)を、第2空気流路31b及び第2吹出口33bを介して、第2居住区画3B(本実施形態では、和室12a)に供給することができる。これにより、第2給気手段26Bは、第2居住区画3B内を正圧状態とすることができる。
間仕切り手段27は、第1居住区画3Aと第2居住区画3Bとを通気可能に連通させるためのものである。本実施形態の間仕切り手段27は、第1居住区画3Aと、第2居住区画3Bとの間に設けられる間仕切りパネル16において、第1居住区画3Aと、第2居住区画3Bとを連通する貫通口27aとして構成されている。このような貫通口27aは、第2居住区画3Bの空気Arを、第1居住区画3Aに入り込ませることができるため、第1居住区画3Aと第2居住区画3Bとを通気可能に連通させることができる。本実施形態の間仕切り手段27は、第1居住区画3Aの廊下11cと、第2居住区画3Bの和室12aとの間に配置された間仕切りパネル16に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。尚、間仕切りパネル16及び貫通口27aに代えて、建具の周囲の隙間やアンダーカットを利用することもできる。
次に、本実施形態の住宅Brの換気方法(以下、単に、「換気方法」ということがある。)について説明する。図4は、本実施形態の換気方法を説明する住宅Brの断面図である。本実施形態の換気方法では、第1ステップS1と、第2ステップS2とが実施される。この実施形態では、第1ステップS1及び第2ステップS2が同時に実施されているが、別々に実施されてもよい。
図1及び図4に示されるように、第1ステップS1では、先ず、第2給気手段26Bの第2送風手段34bが運転される。これにより、第1ステップS1では、第2居住区画3B(本実施形態では、和室12a)に、床下空気Af(即ち、床下空間2に供給された外気Ao)が供給され、第2居住区画3Bを正圧状態にすることができる。また、第2居住区画3Bと第1居住区画3Aとは、間仕切り手段27を介して通気可能に連通されている。このため、正圧状態となった第2居住区画3B内の空気Arを、第1居住区画3Aに入り込ませることができる。
第2ステップS2は、排気手段25の開閉手段25b(図1に示す)が開かれる。これにより、第2居住区画3Bから第1居住区画3A(本実施形態では、リビング11a、台所11b及び廊下11c)に入り込んだ空気Arを、排気手段25を介して、外部に排出することができる。なお、開閉手段25bが予め開いている場合、第2ステップS2の操作は省略される。また、第2居住区画3Bから他の居住区画3(本実施形態では、洗面室11e、浴室11f及びトイレ11g)に入り込んだ空気Arは、各居住区画3に形成された隙間等(図示省略)を介して、外部に排出される。
このように、本実施形態の住宅Br及び換気方法は、居住区画3(本実施形態では、第2居住区画3B)内に外気Ao(床下空気Af)を強制給気し、かつ、居住区画3(本実施形態では、第1居住区画3A)内の空気Arを自然排気する第2種換気として、住宅Brを効果的に換気することができる。なお、第2種換気に限定されるわけではない。
さらに、本実施形態の住宅Br及び換気方法は、第2居住区画3B(本実施形態では、和室12a)内を正圧状態にすることが可能になるため、冬季において、相対的に高湿となりやすい第1居住区画3Aの空気Arが、相対的に低温となりやすい第2居住区画3Bに供給されるのを防ぐことができる。従って、本実施形態の住宅Br及び換気方法は、第1居住区画3Aの断熱性を高めつつ、第2居住区画3Bの結露の発生を防ぐことができる。
本実施形態の第2給気手段26Bは、冬季において外気Aoよりも高い温度を持つ床下空気Afを、低温となりやすい第2居住区画3Bに供給している。このため、第2給気手段26Bは、断熱材21で囲まれていない第2居住区画3Bの温度低下を防ぐことができるため、第2居住区画3Bの結露を効果的に防ぐことができる。さらに、外気Aoよりも温度が高い床下空気Afは、第2居住区画3Bを介して、第1居住区画3Aに供給されるため、暖房効率を高めることができる。
本実施形態の第2居住区画3Bは、断熱材21で囲まれていない居住区画である場合が例示されたが、これに限定されるわけではない。第2居住区画3Bは、例えば、第1居住区画3Aを囲む断熱材21よりも性能の低い断熱材(図示省略)で囲まれてもよい。このような第2居住区画3Bは、断熱材21のコストを低減しつつ、住宅Br全体の断熱性を高めることができる。
ところで、冬季以外(例えば、夏季)において、生活動線上にない第2居住区画3Bは、生活動線上にある第1居住区画3Aと比べて、冷房運転が実施される時間が少ない。このため、第2居住区画3Bは、第1居住区画3Aに比べて高温になりやすい。従って、第2居住区画3Bの高温の空気Arが、冷房されている第1居住区画3Aに流入されると、第1居住区画3Aの冷房効率が低下しやすい。また、第2居住区画3Bの湿度が高い場合には、第1居住区画3Aで結露が発生しやすいという問題もある。
このような観点より、本実施形態の換気方法では、冬季に限定して、外気Ao(床下空気Af)が第2居住区画3Bに供給されるのが望ましい。これにより、冬季以外(例えば、夏季)において、高温の第2居住区画3Bの高温の空気Arが、冷房されている第1居住区画3Aに積極的に流入されるのを防ぐことができる。従って、第1居住区画3Aの冷房効率の低下や、第1居住区画3Aで結露の発生を抑制することができる。
さらに、冬季以外(例えば、夏季)では、第1居住区画3A(この実施形態では、リビング11a)に、外気Ao(床下空気Af)が供給されるのが望ましい。これにより、第1居住区画3A内を正圧状態にすることが可能になるため、第2居住区画3Bの高温の空気が、第1居住区画3Aに供給されるのを効果的に防ぐことができる。図5は、本発明の他の実施形態の住宅Brの一例を示す断面図である。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態では、第1居住区画3Aに外気Ao(床下空気Af)を供給して、第1居住区画3A内を正圧状態とするための給気手段26(以下、「第1給気手段26A」ということがある。)が設けられている。この実施形態の第1給気手段26Aは、第1空気流路31a、第1取出口32a、第1吹出口33a、及び、第1送風手段34aを含んで構成されている。
第1空気流路31aは、第2空気流路31bと同様に、間仕切りパネル16の内部を上下にのびている。この実施形態の第1空気流路31aは、リビング11aと玄関13との間に配置された間仕切りパネル16に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。
第1取出口32aは、第1空気流路31aと床下空間2とを連通している。第1吹出口33aは、第1空気流路31aと第1居住区画3A(この実施形態では、リビング11a)とを連通している。このような第1取出口32a及び第1吹出口33aは、第1空気流路31aを介して、床下空間2と第1居住区画3Aとを連通させることができる。
第1送風手段34aは、第1取出口32aに設けられている。この実施形態の第1送風手段34aは、床下空間2側から第1空気流路31a側に送風するファンとして構成されている。なお、第1送風手段34aの給気量は、第1送風手段34aの給気量と同一範囲に設定されるのが望ましい。
このような第1給気手段26Aは、第1送風手段34aが運転されることにより、床下空間2を負圧にして、床下空気Af(即ち、床下空間2に供給された外気Ao)を、第1空気流路31a及び第1吹出口33aを介して、第1居住区画3A(この実施形態では、リビング11a)に供給することができる。これにより、第1給気手段26Aは、第1居住区画3A内を正圧状態とすることができる。
次に、第1給気手段26Aを用いたこの実施形態の換気方法について説明する。図6は、本発明の他の実施形態の換気方法を説明する住宅の断面図である。この実施形態の換気方法では、冬季以外(例えば、夏季)において、第3ステップS3と、第4ステップS4とが実施される。この実施形態では、第3ステップS3及び第4ステップS4が同時に実施されているが、別々に実施されてもよい。
図5及び図6に示されるように、第3ステップS3では、先ず、第1給気手段26Aの第1送風手段34aが運転される。これにより、第3ステップS3では、第1居住区画3A(この実施形態では、リビング11a及び台所11b)に、床下空気Af(即ち、床下空間2に供給された外気Ao)が供給されるため、第1居住区画3Aを正圧状態にすることができる。また、第1居住区画3A内の空気Arは、第1居住区画3Aを構成する他の居住区画3(この実施形態では、廊下11c、洗面室11e、浴室11f及びトイレ11g)や、間仕切り手段27を介して第2居住区画3Bに入り込ませることができる。なお、この実施形態の換気方法では、第2給気手段26Bの第2送風手段34bが停止されている。
第4ステップS4では、排気手段25の開閉手段25bが開かれる。これにより、排気手段25は、第1居住区画3A(この実施形態では、リビング11a及び台所11b)の空気Arを、排気手段25を介して外部に排出することができる。また、第1居住区画3Aを構成する他の居住区画3(この実施形態では、廊下11c、洗面室11e、浴室11f及びトイレ11g)に入り込んだ空気Ar、及び、第2居住区画3Bに入り込んだ空気Arは、各居住区画3に形成された隙間等(図示省略)を介して、外部に排出される。
このように、この実施形態の住宅Br及び換気方法は、居住区画3(この実施形態では、第1居住区画3A)内に外気Ao(床下空気Af)を強制給気し、かつ、各居住区画3内の空気Arを自然排気する第2種換気として、住宅Brを効果的に換気することができる。さらに、この実施形態の住宅Br及び換気方法は、冬季以外(例えば、夏季)において、第1居住区画3A内を正圧状態にすることが可能になるため、第2居住区画3Bの高温の空気Arが、第1居住区画3Aに供給されるのを効果的に防ぐことができる。従って、この実施形態では、第1居住区画3Aの冷房効率の低下を効果的に抑制することができる。
しかも、第1居住区画3A内の冷却された空気Arを、間仕切り手段27を介して、第2居住区画3Bに入り込ませることができる。これにより、第2居住区画3Bでの屋内熱中症を防ぐことができる。
また、この実施形態の住宅Br及び換気方法は、第2居住区画3Bの高湿の空気Arが、冷房されている第1居住区画3Aに流入するのを防ぐことができるため、第1居住区画3Aで結露が生じるのを防ぐことができる。さらに、この実施形態の第1給気手段26Aは、夏季において外気Aoよりも低い温度を持つ床下空気Afを、第1居住区画3Aに供給している。このため、第1給気手段26Aは、第1居住区画3Aの冷房効率を高めることができる。
第1給気手段26Aの第1送風手段34a、及び、第2給気手段26Bの第2送風手段34bの運転の切り換えは、居住者によって実施されてもよいが、制御手段等によって自動で行われるのが望ましい。
この実施形態の住宅Brには、現在が冬季であるか否かを判断する判断部37、及び、給気手段26(第1給気手段26A又は第2給気手段26B)を運転する制御部38が設けられている。図7は、判断部37及び制御部38のブロック図である。
判断部37及び制御部38は、一つの筐体39に格納され、例えば、リビング11aの間仕切りパネル16(図5に示す)に固定されている。判断部37及び制御部38は、例えば、演算部(CPU)、データやプログラム等が記憶される記憶部、及び、作業用メモリを含んで構成され、それぞれ独立して処理することができる。
この実施形態の判断部37は、予め記憶されている冬季の期間に基づいて、現在が冬季であるか否かを判断している。冬季の期間については、住宅Brが建てられた地域の気候に応じて、適宜設定されうる。この実施形態の冬季の期間は、例えば、12月9日〜2月20日である。
冬季の期間は、筐体39(図5に示す)に設けられたボタン等によって、適宜変更可能であるのが望ましい。図7に示されるように、判断部37は、ケーブル41を介して、制御部38に接続されている。これにより、判断部37は、現在が冬季であるか否かの判断結果(信号)を、制御部38に伝達することができる。
この実施形態の判断部37は、予め記憶されている冬季の期間(例えば、12月9日〜2月20日)に基づいて、現在が冬季であるか否かの判断が実施されるものが示されたが、このような態様に限定されるわけではない。判断部37は、例えば、外気の温度が予め定められた温度よりも低いか否かで判断してもよい。このような判断部37は、外気の温度に基づいて、冬季であるか否かを柔軟に判断することができるため、第2居住区画3Bの結露を効果的に防ぐことができる。
制御部38は、判断部37から伝達された判断結果(信号)に基づいて、第1給気手段26Aの第1送風手段34a、及び、第2給気手段26Bの第2送風手段34bの運転を制御する。制御部38は、ケーブル42aを介して、第1給気手段26Aの第1送風手段34aに接続されている。さらに、制御部38は、ケーブル42bを介して、第2給気手段26Bの第2送風手段34bに接続されている。
この実施形態の制御部38は、判断部37の信号(現在が冬季であると判断した信号)を受け取ることにより、第2送風手段34bに信号を伝達して運転させるとともに、第1送風手段34aに信号を伝達して停止させている。制御部38は、判断部37の信号(現在が冬季以外であると判断した信号)を受け取ることにより、第1送風手段34aに信号を伝達して運転させるとともに、第2送風手段34bに信号を伝達して停止させている。これにより、制御部38は、第1送風手段34a及び第2送風手段34bの運転又は停止を切り換えることができる。
また、この実施形態の制御部38は、ケーブル42cを介して、排気手段25の開閉手段25bに接続されている。開閉手段25bは、制御部38から伝達される信号によって開閉が制御される。
図8は、本発明のさらに他の実施形態の換気方法の手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態の換気方法では、先ず、判断部37によって、現在が冬季であるか否かが判断される(第5ステップS5)。上述したように、判断部37は、予め記憶されている冬季の期間に基づいて、現在が冬季であるか否かを判断している。判断部37による判断結果(信号)は、制御部38に伝達される。
判断部37によって、現在が冬季であると判断された場合(第5ステップS5で「Y」)、前実施形態と同様に、第1ステップS1及び第2ステップS2が実施される。第1ステップS1では、図7に示した制御部38の信号に基づいて、第2給気手段26Bの第2送風手段34bが運転され、第1給気手段26Aの第1送風手段34aが停止される。さらに、第1ステップS1では、制御部38に基づいて、排気手段25の開閉手段25bが開かれる。
これにより、この実施形態の住宅Br及び換気方法では、図1及び図4に示されるように、第1居住区画3A及び第2居住区画3Bを換気しつつ、冬季において、相対的に高湿となりやすい第1居住区画3Aの空気Arが、相対的に低温となりやすい第2居住区画3Bに供給されるのを防ぐことができる。従って、この実施形態の住宅Br及び換気方法は、第1居住区画3Aの断熱性を高めつつ、第2居住区画3Bの結露の発生を防ぐことができる。
他方、判断部37によって、現在が冬季以外であると判断された場合(第5ステップS5で「N」)、前実施形態と同様に、第3ステップS3及び第4ステップS4が実施される。第3ステップS3では、図7に示した制御部38の信号に基づいて、第1給気手段26Aの第1送風手段34aが運転され、第2給気手段26Bの第2送風手段34bが停止される。さらに、第4ステップS4では、制御部38の信号に基づいて、排気手段25の開閉手段25bが開かれる。
これにより、この実施形態の住宅Br及び換気方法では、図5及び図6に示されるように、第1居住区画3A及び第2居住区画3Bを換気しつつ、冬季以外(例えば、夏季)において、第2居住区画3Bの高温の空気Arが、冷房されている第1居住区画3Aに流入するのを防ぐことができる。従って、この実施形態の住宅Br及び換気方法は、第1居住区画3Aの冷房効率の低下を防ぎつつ、第2居住区画3Bでの屋内熱中症を防ぐことができる。
このように、この実施形態の住宅Br及び換気方法では、現在が冬季であるか否かが判断に基づいて、第1給気手段26A及び第2給気手段26Bの運転が自動的に切り換えられるため、冬季に生じがちな第2居住区画3Bの結露の発生、及び、夏季に生じがちな第1居住区画3Aの冷房効率の低下を確実に防ぐことができる。
次に、図8に示されるように、この実施形態の換気方法では、終了命令の有無が判断される(第6ステップS6)。終了命令は、例えば、筐体39に設けられている操作部(図示省略)を介して、居住者等によって行われる。第6ステップS6では、終了命令がある場合(第6ステップS6で、「Y」)、この実施形態の一連の処理が終了する。他方、終了命令がない場合(第6ステップS6で、「N」)は、第1ステップS1〜第5ステップS5が再度実施される。これにより、この実施形態の換気方法は、季節に応じて、住宅Brを効率よく換気することができる。
これまでの実施形態の第1給気手段26A及び第2給気手段26Bは、床下空気Afを供給するものが例示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、外壁パネル15に設けられた送風手段(図示省略)により、第1居住区画3A又は第2居住区画3Bに、外気Aoが直接供給されるものでもよい。このような第1給気手段26A及び第2給気手段26Bは、それらの構造を簡略化することができるため、リフォームコストを低減することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1及び図2に示す基本構造を有する建物(実施例1、実施例2及び比較例)が、コンピュータで取り扱い可能なモデルとして、コンピュータに入力された。実施例1及び実施例2は、第2居住区画に外気を供給する給気手段と、第1居住区画の空気を排気する排気手段とにより換気が行われた。実施例1は、外気が直接供給された。実施例2は、床下空間の空気が供給された。他方、比較例は、トイレの空気を外部に積極的に排出する排気手段と、第1居住区画に外気を自然給気する給気手段とによって換気が行われた。
そして、実施例1、実施例2及び比較例において、第2居住区画に結露が生じるか否かを計算するシミュレーションが実施された。シミュレーション条件は次のとおりである。
・ソフトウェア:建築環境ソリューションズ社製の「温熱環境シミュレーションプログラム(SMASH)」
・気象データ:SMASH気象データ(大阪府)
・気象データ:2月3日(平均外気温:0.3℃)
・プラン:居室の床面積:123m2
・第1居住区画(リビング):
・設定温度:20℃
・相対湿度:40%RH
・第2居住区画(和室)
・初期設定温度:5℃
・温度20℃かつ相対湿度40%RHの空気の露点温度:6.0℃
・実施例1の給気手段:
・給気量:150m3/h
・実施例2の給気手段:
・給気量:150m3/h
・床下空間の空気の温度:7℃
・比較例の排気手段:
・排気量:150m3/h
テストの結果、比較例では、第1居住区画の高湿な空気が、低温の第2居住区画に流入し、第2居住空間内で結露が発生した。他方、実施例1及び実施例2は、第2居住区画内を正圧にすることできたため、第1居住区画の高湿な空気が、低温の第2居住区画に供給されるのを防ぐことができた。従って、実施例1及び実施例2は、第2居住区画の結露の発生を防ぐことができた。また、実施例2は、第2居住区画に床下空間の空気が供給されたため、外気が直接供給された実施例1よりも+2℃高めることができた。