JP2016204283A - 新規な化合物、光塩基発生剤、および新規な化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規な化合物、光塩基発生剤、および新規な化合物の製造方法に関する。
高密度プリント基板などの電子デバイス分野で利用するポリイミドやエポキシなどの樹脂の感光材料として、光酸発生剤が多く用いられてきた。ポリイミドやエポキシなどの樹脂による絶縁処理は、この光酸発生剤を添加することにより、紫外線照射による樹脂の硬化反応を利用して、接続部分と絶縁部分のパターンを形成させることができる。
この光酸発生剤を用いた感光材料からなるフォトレジスト材料としては、高感度・高解像性等を目指し、種々のものが提供されている。しかしながら、この光酸発生剤を、例えば、光の作用により酸を発生させ、酸を触媒とするカチオン重合系の材料として用いた場合、硬化後も酸が残存するため、当該強酸の存在を原因とする金属配線の腐食や樹脂の変性といった問題が生じ、製品に不具合を生じるという問題があった。今後、電子デバイスの配線がさらに微細化することを考慮すると、この問題はさらに顕在化することが予測されている。
このような背景から、解像度及び感度が高く、耐エッチング性の高いパターンを形成できるレジスト材料を得るために、また、活性エネルギー線を照射して液状物を瞬時に固化させる硬化技術をいっそう高性能化するために、上記のような問題を解決した新たな感光システムの開発が望まれていた。
上記問題を解決する方法として、塩基触媒による重合反応や化学反応を用いる方法、例えば、光の作用によって塩基を発生させ、これを触媒として樹脂を化学変性させる方法を用いて、光によって発生する塩基を触媒とする感光性樹脂組成物をフォトレジスト材料や光硬化材料等に応用する手段が検討されている。このような光塩基発生剤としては、例えば、カルバメート系(ウレタン系)の光塩基発生剤(例えば、特許文献1〜5)、α−アミノケトン系の光塩基発生剤(例えば、特許文献6)、4級アンモニウム系の光塩基発生剤(例えば、特許文献7)、O−アシルオキシム系の光塩基発生剤(例えば、特許文献8)、シクロプロぺノン環を有するアミンからなる光塩基発生剤(特許文献9)、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アルキルアミンからなる光塩基発生剤(非特許文献1)などの様々な光塩基発生剤が知られている。
しかしながら、例えば、特許文献1〜6、8、9及び非特許文献1の光塩基発生剤は、紫外線照射によって発生する塩基が1級又は2級アミンであるため塩基性が比較的低く、特に特許文献1〜3、6、8及び9の光塩基発生剤は、塩基発生効率の点で塩基発生剤としての効果を十分に示さないという問題がある。また、特許文献4、5の光塩基発生剤は、パターンを形成させるのに通常用いる紫外線よりも波長の長い、いわゆるh線(波長405nm程度)と呼ばれる光線の波長領域で感応するため、紫外線の領域が特定されるという問題がある。特許文献7の4級アンモニウム塩系の光塩基発生剤は、エポキシ基を硬化させるための触媒活性が十分でなく、また、紫外線照射によって発生する塩基にイオン性成分が含まれるため、絶縁信頼性の点で懸念がある。
さらに、従来の光塩基発生剤においては、塩基発生速度が劣るため、所望のpHに到達するまでに多大な時間を要するという問題もある。
したがって、分子構造を工夫することにより、従来の光塩基発生剤と比較して、塩基発生速度に優れた光塩基発生剤の開発が望まれている。
J. Am. Chem. Soc., 113, 4303-4313 (1991)
本発明は、光塩基発生剤として好適であり、かつ塩基発生速度に優れた、化合物、光塩基発生剤、およびこの化合物の製造方法を提供することを目的とする。
今般、本発明者は、塩基発生速度に優れた化合物に着目し、活性エネルギー線を照射すると、短時間で強塩基を有する化合物を遊離させて、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一の態様によれば、下記式(1)で表される化合物が提供される。
式(1)中、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基または炭化水素オキシ基を表し、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、またはR5とR6とは、それぞれ共同して飽和または不飽和の環構造を形成してもよく、ただし、R1〜R7の一つは−Y−Z基であり、ここでYは二価の連結基を表し、Zは一価の光増感基を表し、Xは−NR8R9、−N=CR10R11又は−N=PR12R13R14(R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R8およびR9は共同して窒素原子を含む環構造を形成してもよく、R10およびR11はそれぞれ独立にアミノ基を表し、R12〜R14は、それぞれ独立に、窒素原子を含む環構造を表す。)を表す。
本発明の他の態様によれば、上記の化合物からなる光塩基発生剤が提供される。
本発明の他の態様によれば、下記式(2)で表される化合物が提供される。
Z−R15−Q1 (2)
式(2)中、Zは上記で定義した通りであり、R15は二価の炭化水素基を表し、Q1は水酸基、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、およびアミノ基からなる群から選択される基を表す。
Z−R15−Q1 (2)
式(2)中、Zは上記で定義した通りであり、R15は二価の炭化水素基を表し、Q1は水酸基、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、およびアミノ基からなる群から選択される基を表す。
本発明の他の態様によれば、上記式(1)で表される化合物の製造方法であって、前記式(1)中、Yが−R16−Q2−R15−基であり、ここでR15およびR16は二価の炭化水素基を表し、Q2はエステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を表し、下記式(3)で表される化合物と、上記式(2)で表される化合物とを反応させることを含む、化合物の製造方法が提供される。
式(3)中、R17〜23は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基または炭化水素オキシ基を表し、R17とR18、R18とR19、R19とR20、R20とR21、またはR21とR22とは、それぞれ共同して飽和または不飽和の環構造を形成してもよく、ただし、R17〜R23の一つは−R16−Q3基であり、ここでR16は上記で定義した通りであり、Q3は水酸基、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、およびアミノ基からなる群から選択され、かつQ1とエステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を形成し得る基を表し、Xは上記で定義した通りである。
本発明の一の態様の化合物は、光増感基を含んでいるので、光増感作用によって優れた塩基発生速度を達成することができる。
<化合物>
以下、本発明の式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」ともいう。)について詳細に説明する。
以下、本発明の式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」ともいう。)について詳細に説明する。
炭素原子数1〜5のアルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、s−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基及び1,2−ジメチルプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1〜5のアルコキシ基には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、s−ペンチルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、2−メチルブチルオキシ基及び1,2−ジメチルプロピルオキシ基が挙げられる。
このうち、取り扱い及び入手容易などの点で水素原子、メトキシ基、エトキシ基又はt−ブチル基が好ましい。
上記したように、式(1)においては、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基又は炭化水素オキシ基を表すが、R1〜R7の一つは−Y−Z基である。具体的には、例えば、下記式(1−1)〜(1−7)に示されるような化合物が化合物(1)に含まれる。
R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、又はR5とR6は、それぞれ共同して、飽和又は不飽和の環構造を形成してもよい。飽和又は不飽和の環構造を形成するとは、具体的にR1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、又はR5とR6がそれぞれ共同して、飽和又は不飽和の5員環、6員環又は7員環を形成することをいう。
特にR1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、又はR5とR6は、不飽和の環構造を形成することにより、式(1)中のナフタレン構造と合わせて多環縮合芳香環を形成することが好ましい。具体的には、前記式(1)中には、下記式(5−1)〜(5−9)に示されるような多環縮合芳香環が含まれる。下記式(5−1)〜(5−9)の例では、R7が−Y−Z基となっている。
前記多環縮合芳香環は、本発明の目的を損なわない範囲内で、1個又は2個以上の窒素原子、酸素原子、ケイ素原子等の炭素以外の原子又は該原子を含む置換基を有していてもよく、具体的には、1個又は2個以上のメトキシ基、アミノ基、ニトリル基又はt−ブチル基等の置換基を有していてもよい。
R7は炭素原子数1〜6の脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6〜15の芳香族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基はアルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、s−アミル基、t−アミル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、1,1’−ジメチルブチル基、2,2’−ジメチルブチル基、3,3’−ジメチルブチル基、1−メチルペンチル基、1,2,2’−トリメチルプロピル基等が挙げられる。また、前記脂肪族炭化水素基は、本発明の目的を損なわない範囲内で、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子等の炭素以外の原子又は該原子を含む置換基を有していてもよい。
前記炭素原子数6〜15の芳香族炭化水素は、フェニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、ナフチル基、アセナフテニル基又はアントラセニル基であることが好ましく、本発明の目的を損なわない範囲内で、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子等の炭素以外の原子又は該原子を含む置換基を有していてもよい。
このうち、合成及び取り扱い容易などの点でメチル基、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
式(1)中、Xは、−NR8R9、−N=CR10R11又は−N=PR12R13R14で表される基を表し、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R8及びR9は共同して窒素原子を含む環構造を形成してもよく、R10及びR11はそれぞれ独立にアミノ基を表し、R12〜R14は、それぞれ独立に、窒素原子を含む環構造を表す。
炭素原子数1〜5のアルキル基は、R1〜R6の定義の中に挙げたものと同様である。上記アミノ基には、アミノ基、又は炭素原子数1〜6の鎖状若しくは環状の1級、2級若しくは3級のアミノ基、具体的には、シクロヘキシルアミノ基、エチレンイミノ基、アザシクロブチル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ヘキサメチレンイミノ基、ピロリジニル基又はピリダジニル基等が挙げられる。
上記窒素原子を含む環構造には、エチレンイミン、アザシクロブタン、ピロリジン、ピペリジン及びヘキサメチレンイミン等の窒素原子を含む3〜7員環が挙げられる。 上記のうち、Xとしては下記式(6−1)〜(6−6)で表される基が好ましい。ここで、n’及びn’’は1〜5の整数である。
式(1)中、Yは、二価の連結基を表している。Yは、二価の炭化水素基であることが好ましい。二価の炭化水素基は、光増感作用の観点から、炭素原子数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
この二価の炭化水素基は、エステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される少なくとも1種の結合を含んでいてもよい。これらの中でも、安定性の観点から、エステル結合が好ましい。
二価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基を組み合わせた基であってよい。前記脂肪族炭化水素基はアルキレン基であることが好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t-ブチレン基、ペンチレン基、イソペンレン基、s−アミレン基、t−アミレン基、2−メチルブチレン基、ヘキシレン基、1,1’−ジメチルブチレン基、2,2’−ジメチルブチレン基、3,3’−ジメチルブチレン基、1−メチルペンチレン基、1,2,2’−トリメチルプロピレン基等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基は、フェニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、ナフチル基、アセナフテニル基又はアントラセニル基であることが好ましい。
式(1)中、Zは一価の光増感基を表す。Zとしては、光増感作用を示す基であれば特に限定されないが、Zとしては、三重項エネルギーが高い観点から、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アントラキノン、ベンゾフェノン、アクリドン、キノキサリン、ケトクマリンおよびこれらの誘導体のいずれかの化合物から誘導される一価の基が挙げられる。Zとしては、(1)照射光の波長で、ニトロナフタレンより分子吸光係数が大きく、(2)三重項エネルギーがニトロナフタレンの三重項エネルギーよりも大きく、かつ(3)項間交差の量子収率が大きい基が好ましく、ベンゾフェノン誘導体から誘導される一価の基がより好ましい。Zの具体例としては、例えば、下記式(8−1)〜(8−13)の化合物から誘導される一価の基が挙げられる。
これらの中でも、式(8−10)で表される4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(別名:ミヒラーズケトン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン)から誘導される一価の基が好ましい。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、下記式(9)に示されるような化合物が挙げられる。
これらの化合物はいずれも、例えば、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、グアニジン類又はホスファゼン誘導体等の強塩基を短時間で脱離又は生成し、長時間に渡って高い塩基性を示す。
<化合物の製造方法>
化合物(1)の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されるものではないが、例えば、以下の方法により製造することができる。本実施形態では、化合物(1)におけるYが−R16−Q2−R15−基である化合物を製造する例について説明する。R15およびR16は二価の炭化水素基を表し、Q2はエステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を表す。
化合物(1)の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されるものではないが、例えば、以下の方法により製造することができる。本実施形態では、化合物(1)におけるYが−R16−Q2−R15−基である化合物を製造する例について説明する。R15およびR16は二価の炭化水素基を表し、Q2はエステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を表す。
Yが−R16−Q2−R15−基である化合物(1)を製造するためには、まず、下記式(10)の化合物を用意する。
式(10)中、R17〜R23は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基または炭化水素オキシ基を表し、R17とR18、R18とR19、R19とR20、R20とR21、またはR21とR22とは、それぞれ共同して飽和または不飽和の環構造を形成してもよく、ただし、R17〜R23の一つは−R16−Q3基である。R17〜R23における炭化水素基または炭化水素オキシ基は、R1〜R7において説明した炭化水素基または炭化水素オキシ基と同様であり、また飽和または不飽和の環構造もR1〜R7において説明した飽和または不飽和の環構造と同様であるので、説明を省略するものとする。R16は上記で定義した通りであり、Q3は水酸基、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、およびアミノ基からなる群から選択され、かつ後述するQ1とエステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を形成し得る基を表す。
式(10)に示される化合物は、例えば、以下のようにして製造することができる。以下の例は、式(10)に示される化合物のうち、Q3がカルボキシル基である化合物について説明する。まず、1−ナフトアルデヒドを濃硝酸が入ったフラスコに投入し、反応させて、8−ニトロ−1−ナフトアルデヒドを得る。次いで、テトラヒドロフラン、4−ブロモ安息香酸エチル、1,2−ジブロモエタン、マグネシウムが入ったフラスコに、8−ニトロ−1−ナフトアルデヒドを投入し、反応させる。そして、メタノールおよび水酸化ナトリウム溶液が入ったフラスコに、生成物を投入して、反応させると、式(10)に示される化合物が得られる。
式(10)に示される化合物を用意した後、トルエンが入ったフラスコに、式(10)に示される化合物を投入し、さらに水素化ナトリウムを投入する。そして、この溶液に炭酸ガスを吹き込んだ後、メシルクロライドを投入し、さらにHXを投入し、反応させて、下記式(3)に示される化合物を得る。
式(3)中、R17〜R23、R16、Q3およびXは上記で定義した通りである。
式(3)に示される化合物をジクロロメタンに溶解させ、塩化チオニルを加え、還流させる。その後、溶液を全て濃縮し、残留している塩化チオニルを除去する。そして、残渣に新しいジクロロメタンを投入し、溶解させた後、式(2)に示される化合物を投入し、反応させて、Yが−R16−Q2−R15−基である化合物(1)を得る。
Z−R15−Q1 (2)
式(2)中、R15およびZは上記で定義した通りであり、Q1は水酸基、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、およびアミノ基からなる群から選択される基を表す。
Z−R15−Q1 (2)
式(2)中、R15およびZは上記で定義した通りであり、Q1は水酸基、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、およびアミノ基からなる群から選択される基を表す。
なお、上記反応例は、化合物(1)の製造方法の一例を示すものであり、上記製造方法に限らず、種々の公知の方法を使って製造することができる。
上記式(1)で表される化合物を、例えば、ジクロロメタンに溶解させた溶液に、波長250〜350nmの紫外線を照射すると、HXで表される化合物が生成する。例えば、上記式(1)で表される化合物として、式(9)で表される化合物を用いた場合には、紫外線照射によってテトラメチルグアニジンが生成する。また、HXとしてピペリジンを用いた場合には、紫外線照射によってピペリジンが発生する。
化合物(1)に活性エネルギー線を照射すると、光増感基Zが励起して、HXの光化学的な遊離が短時間かつ容易に起こる。
本実施形態においては、化合物(1)が光増感基Zを有しているので、光増感基Zの光増感作用によって塩基発生速度を高めることができる。これにより、光増感基を有さない光塩基発生剤に比べて、優れた塩基発生速度を得ることができる。ここで、光増感基を有さない光塩基発生剤と、光増感剤とを混合して用いることも考えられるが、この場合においては、光増感剤が励起するが、他の物質である光塩基発生剤にエネルギーを伝播させる必要があるので、光塩基発生剤にエネルギーを伝播させるまでの時間を要する。これに対し、本実施形態においては、光増感基Zが励起すると化合物(1)中で内部反応が起こり、塩基であるHXで表される化合物を発生させるので、光増感基を有さない光塩基発生剤と、光増感剤とを混合して用いる場合よりも、塩基発生速度が優れると考えられる。
上記HXで表される化合物は、pH値11〜13という高い塩基性を示し、大気雰囲気下で安定に存在することができる。
本発明において、化合物(1)を溶解させる溶媒には、ジクロロメタンの他に、例えば、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノール、トルエン及びアセトニトリル等の極性のある有機溶媒が挙げられる。また、例えば、アセトン及び水を3:1の体積比で混合した混合溶媒であってもよい。
上記したように、化合物(1)は、量子収率が高く、波長250〜350nmの紫外線を照射することにより、HXで表される化合物が極めて容易に生成する。HXで表される化合物のうち、特にホスファゼン類はpH値が12付近である強塩基であるため、塩基発生効率の点で塩基発生剤としての効果を充分に発揮する。
化合物(1)の溶液に、紫外線を照射して生成したHXで表される化合物は、例えば、以下に述べる方法を用いて確認する。化合物(1)をジクロロメタンなどに溶解させた溶液を準備し、室温におけるpH値を測定する。次いで、その溶液に紫外線(波長254nm;照度614μW/cm2)を照射し、その後のpH値を測定する。
紫外線照射前後でpHの変化がみられ、紫外線照射前後でpH値が増大した場合、具体的にはpH値7.0未満からpH値7.0より高い数値となった場合には塩基が発生したと認められ、光照射前のpH値が7.0以上であって照射後により高い数値となった場合、塩基性が増大したと認められる。
本実施形態においては、式(2)で表される化合物を用いるので、容易に光増感基Zを有する化合物を製造することができる。
ところで、化合物(1)は、アルカリ水溶液に対する溶解阻害剤としての作用を有する。溶解阻害剤とは、アルカリ可溶性化合物と混合することにより、該アルカリ可溶性化合物のアルカリに対する溶解性を低減する作用を有する物質をいう。化合物(1)は、波長250〜350nmの紫外線を照射することにより上式のように分解し、塩基であるHXで表される化合物を生成し、これに伴い溶解阻害性が消失し、かつアルカリ可溶性重合体単独の系よりも溶解性が上昇する。これは生成したHXで表される化合物が溶解促進剤として作用するためと考えられる。
化合物(1)は、アルカリ可溶性重合体と共に使用することができる。ここでアルカリ可溶性重合体としては、具体的には、ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ビニル安息香酸)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、スチレン・メタクリル酸共重合体及びノボラック樹脂などが用いられるが、これらに限定されることはない。
ただし、後述するが、ネガ型レジストの作成方法においては、アルカリ可溶性重合体として、特にカルボキシル基含有アルカリ可溶性重合体が用いられる。このようなカルボキシル基含有アルカリ可溶性重合体としては、例えば、ポリ(p−ビニル安息香酸)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体及びスチレン・メタクリル酸共重合体などが用いられる。
レジストパターン形成材料中のアルカリ可溶性重合体(以下、単に「A」ともいう。)と、光塩基発生剤(以下、単に「B」ともいう。)との配合比は、A/B(重量比)で通常100/50〜100/5、好ましくは100/35〜100/5程度である。
また、上記レジストパターン形成材料には、上記光塩基発生剤及びアルカリ可溶性重合体の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、希釈剤、増感剤又は染料などを配合してもよい。
上記レジストパターン形成材料からは、ポジ型又はネガ型の両方のレジストパターンを作成することができる。ポジ型レジストの作成方法においては、上記レジストパターン形成材料を、Si、Ga又はAsなどからなる被処理基板上に塗布・乾燥し、塗膜を作成する。塗膜の厚さは、通常0.5〜10μm程度であり、好ましくは0.5〜5μm程度であり、特に好ましくは0.5〜2μm程度である。次いで、この塗膜に波長250〜350nmの紫外線を所望のパターン状に照射する。紫外線の照射は、例えば、マスクなどを介して行われる。紫外線露光量は、通常0.5J/cm2以上、好ましくは1〜100J/cm2である。紫外線が照射された部分の塗膜(以下「紫外線照射部」という。)においては、前述したように化合物(1)が分解し、塩基を発生させるとともに溶解阻害性が消失し、かつ、アルカリ可溶性が上昇する。一方、紫外線が照射されていない部分の塗膜(以下「紫外線非照射部」という。)においては、溶解阻害性が残存するため、アルカリ可溶性が低下したままである。したがって、この状態で塗膜をアルカリ水溶液で現像すると、紫外線照射部が洗い流され、紫外線非照射部が残存することになり、ポジ型レジストが得られる。
ネガ型レジストの作成方法においては、上記ポジ型レジストの作成方法と同様にして、塗膜の作成及び露光を行うが、アルカリ可溶性重合体として、特に前述したカルボキシル基含有アルカリ可溶性重合体が用いられ、かつ現像に先立ち、通常は塗膜に熱処理を施す。熱処理は通常80〜180℃、好ましくは110〜150℃、特に好ましくは115〜140℃にて、1〜30分間程度行われる。熱処理を行うことにより、紫外線照射部において、上記光塩基発生剤の分解により発生した塩基と、カルボキシル基アルカリ可溶性重合体のカルボキシル基とが反応し、カルボキシル基が脱離する。カルボキシル基が脱離する結果、該重合体はアルカリ可溶性を喪失する。したがって、紫外線照射部はアルカリに対して不溶化する。一方、紫外線非照射部は、化合物(1)のためにアルカリに対する溶解性が低減しているものの、アルカリ可溶性を完全に消失しているわけではないので、現像液又は現像時間を適宜に設定することで除去できる。具体的には、現像液として、強アルカリ性のトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2〜4%水溶液などを使用するか、あるいは現像時間を、例えば60秒以上にするなど、長くすることにより、紫外線非照射部を除去することができる。このような処置により紫外線非照射部が洗い流され、紫外線照射部が残存することとなり、ネガ型レジストが得られる。
上記においては、化合物(1)をレジストパターン形成材料に用いているが、レジストパターン形成材料に限られず、接着剤や液晶を封止する際の封止剤に化合物(1)を用いてもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。反応生成物の同定及び塩基性評価の方法は、以下に示す通りである。
[1]反応生成物の同定
(1)核磁気共鳴法(1H−および13C−NMR)
装置:JNM−AL400 FT−NMR(日本電子(株)製)
測定条件
内部基準:テトラメチルシラン(TMS)
1H共鳴周波数:400MHz
(2)紫外・可視(UV−Vis)分光法
装置:SLUV−4(アズワン(株)製)
測定条件
波長:254nm
光量:614μW/cm2
(1)核磁気共鳴法(1H−および13C−NMR)
装置:JNM−AL400 FT−NMR(日本電子(株)製)
測定条件
内部基準:テトラメチルシラン(TMS)
1H共鳴周波数:400MHz
(2)紫外・可視(UV−Vis)分光法
装置:SLUV−4(アズワン(株)製)
測定条件
波長:254nm
光量:614μW/cm2
[2]塩基性評価
装置:pH メーター(東亜ディーケーケー(株)製、製品名「PHM−103」)
測定方法:ガラス電極法
国際公開第2008/072651号公報に記載された方法に従って、以下のように確認した。
装置:pH メーター(東亜ディーケーケー(株)製、製品名「PHM−103」)
測定方法:ガラス電極法
国際公開第2008/072651号公報に記載された方法に従って、以下のように確認した。
化合物(1)をジクロロメタン、アセトン又はアセトニトリルに溶解させた溶液の室温におけるpH値を測定する。次いで、その溶液に紫外線を照射し、その後のpH値を30分後に測定する。
光照射前後でpHの変化がみられ、光照射前後でpH値が増大した場合、具体的にはpH値7.0未満からpH値7.0より高い数値となった場合には、塩基が発現したと認められ、光照射前のpH値が7.0以上であって照射後により高い値となった場合には、塩基性が増大したと認められる。
<実施例>
4−[テトラメチルグアニジルカーバモイロキシ−(8−ニトロ−1−ナフチル)メチル]安息香酸−N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N’N’−ジメチル−4,4’−アミノベンゾフェノンエステルの合成
濃硝酸をフラスコに60g計り取り、スターラーで攪拌しながら氷浴で0℃以下まで冷却し、そこに、下記式(14)に示される1−ナフトアルデヒド12.7g(81.3mmol)を5回に分けて投入した。30分程激しく攪拌し、溶液量と同量の氷水を用意し、攪拌しながらゆっくり反応液を投入した。
4−[テトラメチルグアニジルカーバモイロキシ−(8−ニトロ−1−ナフチル)メチル]安息香酸−N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N’N’−ジメチル−4,4’−アミノベンゾフェノンエステルの合成
濃硝酸をフラスコに60g計り取り、スターラーで攪拌しながら氷浴で0℃以下まで冷却し、そこに、下記式(14)に示される1−ナフトアルデヒド12.7g(81.3mmol)を5回に分けて投入した。30分程激しく攪拌し、溶液量と同量の氷水を用意し、攪拌しながらゆっくり反応液を投入した。
この水溶液と同量のジエチルエーテルで3回生成物を抽出した。有機層を同量の水道水および飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮してエーテルを留去した。得られたシロップ状の物質の30質量倍のシリカゲル・トルエン・クロロホルムでシリカゲルクロマトグラフィーを行い、目的スポットを取り出した。そして、目的スポットからの流出液を濃縮して、14.7gの下記式(15)で示される化合物を得た。
次いで、フラスコに、テトラヒドロフラン(THF)100g、4−ブロモ安息香酸エチル18.5g(81.0mmol)、1,2−ジブロモエタン(触媒量)、マグネシウム片1.96gを投入し、0℃付近まで冷却し、1時間攪拌した。その後、このフラスコに、上記で得られた式(15)の化合物を50gのテトラヒドロフランに溶解させた溶液をゆっくり滴下した。反応終了後、反応液を氷水に投入し、同量の酢酸エチルで抽出した。その後有機層を同量の水道水、飽和重曹水、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮により酢酸エチルを留去して、18.7gの下記式(16)で示される化合物を得た。
次いで、フラスコに、メタノール200mlと4規定の水酸化ナトリウム水溶液を投入し、攪拌した。そこに、上記で得られた式(16)の化合物を3回に分けて投入し、1時間程攪拌した。反応終了を確認した後、クロロホルムを150ml加えて抽出した。その後有機層を4規定の塩酸水、飽和重曹水、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮により溶媒を除去して、下記式(17)で示される化合物を得た。
フラスコに、トルエン100gを量り取り、水酸化ナトリウム(60%oilディスパージョン)2.3gを投入し、さらに、式(17)の化合物を3回に分けて投入し、外温を80℃に設定し、3時間程攪拌した。その後、容器を室温まで冷却した後、氷浴にて5℃以下まで冷却した。この溶液に、炭酸ガスを形状がゼリー状になるまで十分吹き込んだ。その後、メシルクロライド5.67gを加え、30分攪拌した後、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン5.7g(49.5mmol)を投入し、5時間程攪拌した。反応が完了した後、溶媒と同量の水道水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒を濃縮により留去して、シロップ状の下記式(18)で示される化合物を得た。
そして、上記で得られた式(18)の化合物をジクロロメタンに溶解させ、8.7gの塩化チオニルを加えて、攪拌した。このとき、外部から熱を加えて還流させた。所定時間攪拌した後、溶液を全て濃縮して、残留している塩化チオニルを除去した後、残渣に新しいジクロロメタン100gを投入し、溶解させた。さらに、そこへN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N’N’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン12g(42.5mmol)を加えて攪拌した。反応の完結を確認した後、溶液と同量の水道水および飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮により溶媒を除去した。得られた粗体を30倍の重量のシリカゲルと、ヘキサン:酢酸エチルを1:1の体積比で混合した溶媒でカラムクロマトグラフィーを行い、目的物を単離して、式(9)の化合物である14.1gの4−[テトラメチルグアニジルカーバモイロキシ−(8−ニトロ−1−ナフチル)メチル]安息香酸−N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N’N’−ジメチル−4,4’−アミノベンゾフェノンエステルを得た。
この化合物の構造を、核磁気共鳴分光法で分析したところ、図1および図2に示される結果が得られた。なお、ピークは以下のようであった。
1HNMR(400MHz、CDCl3)δ:2.73(テトラメチルグアニジン-メチル、12H、S)、3.05-3.14(トリメチルベンゾフェノン、9H、S)、3.81-3.83(メチレン水素、2H、T)、4.50-4.53(メチレン水素、2H、T)、7.14(ナフチル位メチン、1H、S)、6.67-8.06(ナフタレン、ベンゼン、10H)
13CNMR(400MHz、CDCl3)δ:39.0-40.08(ベンゾフェノンメチル基)、50.8(メチレン)、δ61.9(メチレン)、74.2(ナフチルα位)、110.55(ベンゾフェノン2及び6位)、122.92-136.08(ナフタレン、ベンゼン、ベンゾフェノン)、146.99(ベンゼン環1位)、148.66(ナフタレン8位)、151.30(ベンゾフェノン1位)、152.70(ベンゾフェノン8位)、158.40(カーバメートケトン)、166.37(グアニジン炭素)、166.67(エステル炭素)、193.85(ベンゾフェノンケトン)
1HNMR(400MHz、CDCl3)δ:2.73(テトラメチルグアニジン-メチル、12H、S)、3.05-3.14(トリメチルベンゾフェノン、9H、S)、3.81-3.83(メチレン水素、2H、T)、4.50-4.53(メチレン水素、2H、T)、7.14(ナフチル位メチン、1H、S)、6.67-8.06(ナフタレン、ベンゼン、10H)
13CNMR(400MHz、CDCl3)δ:39.0-40.08(ベンゾフェノンメチル基)、50.8(メチレン)、δ61.9(メチレン)、74.2(ナフチルα位)、110.55(ベンゾフェノン2及び6位)、122.92-136.08(ナフタレン、ベンゼン、ベンゾフェノン)、146.99(ベンゼン環1位)、148.66(ナフタレン8位)、151.30(ベンゾフェノン1位)、152.70(ベンゾフェノン8位)、158.40(カーバメートケトン)、166.37(グアニジン炭素)、166.67(エステル炭素)、193.85(ベンゾフェノンケトン)
化合物(9)において、UV−Vis分光分析法で分析したところ、図3に示されるように吸収極大(λmax)が350nm付近に観測された。また、化合物(9)において、マススペクトルを測定したところ、図4に示されるような結果が得られた。
塩基発生効率の評価
上記式(9)で示される化合物774mgをジクロロメタン1mLに溶解させた。前記ジクロロメタン溶液をUV測定用の石英セルに入れ、遮光・大気雰囲気下において、波長254nmの紫外線を照射した。紫外線を照射したときのpH値の経時変化の結果を表1に示す。
上記式(9)で示される化合物774mgをジクロロメタン1mLに溶解させた。前記ジクロロメタン溶液をUV測定用の石英セルに入れ、遮光・大気雰囲気下において、波長254nmの紫外線を照射した。紫外線を照射したときのpH値の経時変化の結果を表1に示す。
なお、比較対照のため、ジクロロメタン(ブランク)のpH値を測定したところ、pH値は6.82であった。
表1の結果から、上記式(9)で示される化合物774mgをジクロロメタン1mLに溶解させた溶液は、紫外線照射前はpHが7.37であったのが、40分経過後にpH値が12以上という高い塩基性を得られていることが分かる。
また、上記式(9)の化合物を重水素化ベンゼンに溶解させ、該溶液をNMR測定用サンプルチューブに入れ、遮光・大気雰囲気下において、該サンプルチューブと高圧水銀灯(東芝(株)製、300〜400nm、100W)との間に、硫酸ニッケル水溶液のスライド(硫酸ニッケル水溶液が充填された光透過性の容器)を置いて、400nm以上の波長の活性エネルギー線をカットしながら、高圧水銀灯を用いて活性エネルギー線を照射し、0.5時間毎に1HNMR測定を行って以下のスキームに示す分解反応を追跡した。
<比較例>
α−メチル−8−ニトロナフタレニルオキシカルボニルテトラメチルグアニジンの合成
100mlの4口フラスコに、1,1’−カルボジイミダゾール1.64mg(10.12mmol)、トリエチルアミン563mg(5.5mmol)及びジメチルホルムアミド(DMF)5mLを入れて攪拌し、ここに、α−メチル−8−ニトロナフタレニルアルコール1.1g(5.06mmol)をDMF5mLに溶解させた溶液を滴下した。
α−メチル−8−ニトロナフタレニルオキシカルボニルテトラメチルグアニジンの合成
100mlの4口フラスコに、1,1’−カルボジイミダゾール1.64mg(10.12mmol)、トリエチルアミン563mg(5.5mmol)及びジメチルホルムアミド(DMF)5mLを入れて攪拌し、ここに、α−メチル−8−ニトロナフタレニルアルコール1.1g(5.06mmol)をDMF5mLに溶解させた溶液を滴下した。
30分位攪拌したところで、薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応の進行を確認し、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン1.74g(15.18mmol)を滴下した。
さらに20分位攪拌した後、再びTLCにより反応が進行しているのを確認した。1,1’−カルボジイミダゾールとα−メチル−8−ニトロナフタレニルアルコールとの中間体が消失しているのを確認したら攪拌を止め、200mlの分液漏斗に反応液を投入し、酢酸エチル15ml、水45mlを加え、激しく振って分液した。
水層を抽出した後、有機層に飽和食塩水を20ml加え、再び分液した。有機層を取り出し、芒硝で乾燥後、溶液を減圧濃縮し、粗体1.2gを得た。この粗体の15倍量の重量のシリカゲルを用い、ヘキサン:酢酸エチルを1:1の体積比で混合した溶離液で薄層クロマトグラフィーを行い、下記式(21)に示されるα−メチル−8−ニトロナフタレニルオキシカルボニルテトラメチルグアニジンを得た。
塩基発生効率の評価
上記式(21)に示される化合物358.93mgをジクロロメタン1mLに溶解させた。前記ジクロロメタン溶液をUV測定用の石英セルに入れ、遮光・大気雰囲気下において、波長254nmの紫外線を照射した。紫外線を照射したときのpH値の経時変化の結果を表2に示す。
上記式(21)に示される化合物358.93mgをジクロロメタン1mLに溶解させた。前記ジクロロメタン溶液をUV測定用の石英セルに入れ、遮光・大気雰囲気下において、波長254nmの紫外線を照射した。紫外線を照射したときのpH値の経時変化の結果を表2に示す。
表2の結果から、上記式(21)に示される化合物358.93mgをジクロロメタン1mLに溶解させた溶液は、紫外線照射前はpHが7.0〜7.5であり、またpHが12以上となるには2時間以上要していた。この結果から、比較例に係るα−メチル−8−ニトロナフタレニルオキシカルボニルテトラメチルグアニジンは、実施例に係る上記式(9)に示される化合物に比べて、塩基発生速度が劣ることが理解できる。
Claims (11)
- 下記式(1)で表される化合物。
Xは−NR8R9、−N=CR10R11又は−N=PR12R13R14(R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、R8およびR9は共同して窒素原子を含む環構造を形成してもよく、R10およびR11はそれぞれ独立にアミノ基を表し、R12〜R14は、それぞれ独立に、窒素原子を含む環構造を表す。)を表す。) - 前記式(1)中、Zが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アントラキノン、ベンゾフェノン、アクリドン、キノキサリン、ケトクマリンおよびこれらの誘導体のいずれかの化合物から誘導される一価の基である、請求項1に記載の化合物。
- 前記式(1)中、Zが、ベンゾフェノン誘導体から誘導される一価の基である、請求項2に記載の化合物。
- 前記式(1)中、Yが、エステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される少なくとも1種の結合を含んでいてもよい二価の炭化水素基である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物。
- 前記式(1)中、Yが、エステル結合を含む二価の炭化水素基であり、かつZが、ベンゾフェノン誘導体から誘導される一価の基である、請求項1に記載の化合物。
- 前記式(1)中、R1〜R6が、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、R7が−Y−Z基である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物。
- 前記式(1)中、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、またはR5とR6とが、不飽和の環構造を形成することにより、多環縮合芳香環を形成する、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物。
- 前記多環縮合芳香環が、アセナフテン環、アントラセン環、ナフタセン環、ペンタセン環、クリセン環、ピレン環、ベンゾピレン環又はフェナントレン環である請求項6に記載の化合物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物からなる光塩基発生剤。
- 下記式(2)で表される化合物。
Z−R15−Q1 (2)
(式(2)中、Zは上記で定義した通りであり、R15は二価の炭化水素基を表し、Q1は水酸基、カルボキシル基、ハロゲン化アルキル基、およびアミノ基からなる群から選択される基を表す。) - 請求項1に記載の式(1)で表される化合物の製造方法であって、
前記式(1)中、Yが−R16−Q2−R15−基であり、ここでR15およびR16は二価の炭化水素基を表し、Q2はエステル結合、エーテル結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を表し、
下記式(3)で表される化合物と、請求項10に記載の式(2)で表される化合物とを反応させることを含む、化合物の製造方法。
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