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JP2016113834A - 化粧シート - Google Patents

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孝史 冨永
Takashi Tominaga
孝史 冨永
一喜 木下
Kazuyoshi Kinoshita
一喜 木下
祐一 南部
Yuichi Nambu
祐一 南部
戸賀崎 浩昌
Hiromasa Togasaki
浩昌 戸賀崎
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Abstract

【課題】清掃時の拭き取り性の軽さ、拭きムラの見えにくさを有し、床材としての優れた清掃性を有する化粧シートを提供する。【解決手段】化粧シート10は、樹脂製の基材シート1上に絵柄模様層2、透明接着層3、透明熱可塑性樹脂層4、表面保護層7がこの順で形成され、前記表面保護層7の少なくとも最外面に位置する層6が、のJIS Z 8741に準拠した60度鏡面光沢が20以上35以下である。【選択図】 図1

Description

本発明は、プラスチックフィルムなどの樹脂製の基材シートを含む化粧シートに関する。特に木質系基材に貼り合わせて床材や、その周辺に用いることのできる、清掃性に優れる化粧シートに関するものである。
化粧シートは住宅建築が産業として発展する過程で開発され、発展をしてきた。特に集合住宅であるアパートやマンション、個人住宅ではプレハブ建築がその牽引役を果たしてきたといえる。
古来、住宅は木材や石材など地域の特性による材料を用い、また固有の文化に根ざした様式が人々の住まいであったが、住宅産業の発展とともに工業化が進み天然素材から人工素材への転換が行われてきた。あるいは近年では、高級な木材や石材を多用することが、森林破壊や環境問題に繋がる恐れがあることも、化粧シートの需要を拡大させる一要因となっている。
例えば近年では合板やMDF(中質繊維版)あるいはパーティクルボード等の木質基材の表面に化粧シートを貼り合わせた、所謂シートフローリング材が床材として広く用いられるようになっている(特許文献1参照)。
またアパートやマンション、個人住宅の室内内装工事完了後には、管理会社や美装業者による室内清掃がある。床面に散り積もった石膏ボードやパテ等接着剤の屑、埃等を水や洗剤を用いて拭き取り清掃を行う。
シートフローリング床材の拭き取り清掃を行う際、水拭き後の乾拭き性が重かったり、拭き取り時にムラになり易い場合は、清掃に手間が掛かるといった問題が発生する場合がある。
特許第5045180号公報
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、清掃時の拭き取り性の軽さ、拭きムラの見えにくさを有し、床材としての優れた清掃性を有する化粧シートを提供することを目的としている。
課題を解決するために、本発明の一態様である化粧シートは、樹脂製の基材シート上に絵柄模様層、透明接着層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層がこの順で形成され、表面保護層の少なくとも最外面に位置する層は、JIS Z 8741に準拠した60度鏡面光沢が20以上35以下であることを特徴とする。
本発明によれば、室内施工時に堆積する石膏ボードや接着剤、パテ等の屑、埃を、拭き取り易く、床材としての清掃性を有する化粧シートを提供することが可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る化粧シートの断面模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明を行う。
本実施形態の化粧シート10は、図1に示すように、樹脂製の基材シート1の表裏両面のうち、一方の面(表面)には絵柄模様層2が設けられており、その上に透明接着層3および透明熱可塑性樹脂層4が積層され、更に表面保護層7が積層されている。本実施形態の表面保護層7は、第1表面保護層5、および第2表面保護層6の2層からなる場合の例である。
また基材シート1における、絵柄模様層2とは反対側の面(裏面)には、樹脂層を構成する裏面樹脂コート層8が設けられている。
樹脂製の基材シート1は、例えば着色した熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。
基材シート1を着色する場合には、化粧シートを貼り合せる基材を隠蔽し、また絵柄模様層2の下地色として色相を適宜、選択することができる。例えば熱可塑性樹脂のシーティングに際して、顔料などの着色剤を混合、練りこむなどしておくことで着色ができる。あるいは絵柄模様層2を設ける前にベタインキ層として、コーティングあるいは印刷の手法を用いて絵柄模様層2の下に着色層を設けることもできる。
絵柄模様層2は、既知の印刷手法を用いて設けることが出来る。基材シート1が巻取りの状態で用意できる場合には、ロールツーロールの印刷装置で絵柄模様層2の形成のための印刷を行うことができる。印刷手法は特に限定するものではないが、生産性や絵柄の品位を考慮すれば、例えばグラビア印刷法を用いることができる。
絵柄模様は、床材としての意匠性を考慮して任意の絵柄模様を採用すればよく、木質系の絵柄であれば各種木目が好んで用いられることが多く、木目以外にもコルクを絵柄模様とすることもできる。例えば大理石などの石材の床をイメージしたものであれば大理石の石目などの絵柄模様として用いられることもある。また天然材料の絵柄模様以外にそれらをモチーフとした人工的絵柄模様や幾何学模様などの人工的絵柄模様も用いることができる。
印刷インキについては、特に限定するものではないが、印刷方式に対応したインキを適宜選ぶことができる。とくに樹脂製の基材シート1に対する密着性や印刷適性また床材としての耐候性を考慮して選択することが好ましい。
また必要な場合には、絵柄模様層2と透明接着層3および透明接着層3と透明熱可塑性樹脂層4との接着性向上を目的として、絵柄模様層2の上に接着層(不図示)を設けても良い。この接着層(不図示)に用いる樹脂は特に限定するものではないが、例えば2液硬化型ウレタン樹脂などを用いることができ、例えばコーティング装置やグラビア印刷装置などを用いて設けることができる。
透明接着層3は、基材シート1および絵柄模様層2と透明熱可塑性樹脂層4の接着を強固にする目的で設けられる。この接着が強固であることによって、化粧シート10に対し曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。
透明熱可塑性樹脂層4は、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる

樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。特に曲げ加工性においては曲げ部の白化や割れが発生しないことを考慮して選択することが重要である。
透明接着層3と透明熱可塑性樹脂層4の形成は、例えば共押し出しで両者を同時に押し出して形成することができる。
透明熱可塑性樹脂層4によって、化粧シートは意匠的に厚みや深みが出る効果を有するほか、化粧シートの耐候性、耐磨耗性能を向上させることができる。
透明熱可塑性樹脂層4の上には表面保護層7を設ける。表面保護層7は単層でも良く、また複数の層を重ねて表面保護層7としても良い。本実施形態の化粧シート10では、図1で示すように、表面保護層7として、第1表面保護層5、および第2表面保護層6の2層が設けられている。
表面保護層7は、曲げ加工性、耐傷付性や清掃性に関してその優劣を左右する重要な役割をもつ。また特に清掃性を考慮して選択することが重要である。われわれはこの点に関して鋭意検討を重ねてきた結果、次の知見を見出すことができた。
すなわち、表面保護層7のうちの最外層に当たる第2表面保護層6の主成分が、紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物とすることで、床に用いた場合の耐傷つき性を満足させると同時に曲げ加工においては表面保護層の白化や割れが発生し難くなるとの知見を得た。
そして、表面保護層7のうち、少なくとも最外層に当たる第2表面保護層6は、紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物からなる。その混合物に適宜他の添加物を付与しても良い。紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂との混合比は、質量比で、7:3〜9:1の範囲となるように設定されている。すなわち、混合物のうち、紫外線硬化型樹脂が70〜90%質量となっており、熱硬化型樹脂が3〜15%質量となっている。上記の主成分とは、例えば紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物の量が全量の85%以上を指す。
このように、表面保護層7のうちの最外層に当たる第2表面保護層6の主成分が、紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物とすることで、床に用いた場合の耐傷つき性を満足させると同時に曲げ加工においては表面保護層の白化や割れが発生し難くなる。
また第2表面保護層6には、シリカその他のマット剤を添加し、その添加するマット剤及びその量の配合を調整することで、第2表面保護層6のJIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が20以上35以下となるように調整した。
このように、第2表面保護層6のJIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値を、20以上35以下にすることにより、後述のように、清掃時における拭き取り後のムラが目立たくなる。
第1表面保護層5および第2表面保護層6からなる表面保護層7を設けるには、それぞれの層を、既知のコーティング装置および熱乾燥装置および紫外線照射装置を用いて塗布および塗膜の硬化を行うことができる。
第1表面保護層5については、最外層の第2表面保護層6と同様の組成の樹脂を用いてもよく、別個に樹脂の種類や組成、比率を変えたものを用いても構わない。
化粧シート10の絵柄模様層2の側に関しては以上のとおりであるが、化粧シート10を木質基材に貼り合わせて化粧板として使用あるいはさらに部材に加工するに当たっては、樹脂製の基材シート1の表裏両面のうち絵柄模様層2の反対側の面に、シリカ粉末を含む樹脂層である裏面樹脂コート層8を設けて、木質基材との接着強度を向上させても良い
。この貼り合わせに用いる接着剤は、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体のエマルジョン型接着剤などを用いることができる。
以上のような材料構成の本実施形態の化粧シートは、清掃性を有し、床材としての耐傷つき性、曲げ加工性を有し、特に床材用の化粧シートとして好適なものである。なお、本実施形態の化粧シート10は、床材への適用に限定されず、階段の踏み板などの床面の周囲に使用される化粧材用の化粧シートにも適用可能である。
以下本発明を実施例によってさらに具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1>
以下の材料構成および手順によって、図1と同様な化粧シートを作成した。
(1)基材シートとして、着色ポリエチレンフィルム(リケンテクノス社製FZ)を用いた。
(2)絵柄模様層として、グラビアインキ(東洋インキ社製ラミスター(登録商標))を用いて木目柄をグラビア印刷機で印刷して設けた。
(3)裏面樹脂コート層として、シリカ粉末を含有する2液ウレタン系プライマー樹脂を乾燥後の厚みが1μmとなるようにグラビア印刷によって層形成した。
(4)接着層(図1では不図示)として、絵柄模様層の上にポリエステルポリオールを主剤としてイソホロンジイソシアネートを硬化剤とする2液ウレタン樹脂接着剤を乾燥後の塗布量が2g/mになるよう塗工した。
(5)透明接着層(厚さ10μm)として、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を使用し、透明熱可塑性樹脂層(厚さ115μm)として、主成分アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン(プライムポリマー社製)を用いた。
このとき、透明接着層と透明熱可塑性樹脂層の積層は、透明接着層が絵柄模様層側になるように、両者を押出し機を用いて共押し出しして積層した。
(6)第1表面保護層として、熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂及びシリカの内添された(DICグラフィックス社製)を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。
更に、第2表面保護層として、紫外線硬化型多官能ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス社製)および熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)を7:3の混合比率になるように調製し、乾燥後の厚さ6μmで塗工した。
その際、JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が20になるように、第1表面保護層にシリカからなるマット剤を内添した熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂及び第2表面保護層にシリカからなるマット剤を内添した紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂を添加した。
(7)続いて紫外線照射により、紫外線硬化型多官能ウレタンアクリレート樹脂を硬化させ化粧シートを得た。
<実施例2>
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が27になるように、第1表面保護層及び第2表面保護層の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の化粧シートを作成した。
<実施例3>
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が35になるように、第1表面保護層及び第2表面保護層の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の化粧シートを作成した。
<比較例1>
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が8になるように、第1表面保護層及び第2表面保護層の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の化粧シートを作成した。
<比較例2>
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が40になるように、第1表面保護層及び第2表面保護層の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の化粧シートを作成した。
<評価用床用化粧板の作成>
実施例1〜実施例3、比較例1、比較例2で作成した化粧シートを厚み3mmのMDF(広葉樹)の表面に貼り合わせて評価用の床材とした。
貼り合わせのための接着剤として、2液水性エマルジョン接着剤(中央理化工業社製リカボンド(登録商標)BA−10L/BA−11B=100:2.5)を用いて、ウエット状態で100g/mの塗工量で貼り合わせた。次いで24時間養生して床用化粧板(評価用の床材)とした。
<評価項目および評価方法>
実施例1〜実施例3、比較例1および比較例2の材料構成、手順によって作成した化粧シートをもちいた床用化粧板を下記の評価項目および評価方法によって試験、評価した。
(1)60度鏡面光沢値測定
試験方法はJIS Z 8741に準拠して行った。
(2)拭き取り性試験
吉野石膏製「タイガーパテ120」(下地、仕上げ兼用)を各床材に手塗りし、1時間養生後、水を硬く絞ったモップで拭き取り、更に乾拭きにて拭き取った。
そして、拭きムラ確認 10人の試験員に対し官能試験を実施した。
評価の指標は次の通りである。
○:良いとした人 7人〜10人
△:良いとした人 1人〜6人
×:良いとした人 0人
(3)意匠性試験
床材としての光沢意匠性を、10人の試験員に対し官能試験を実施した。
評価の指標は次の通りである。
○:良いとした人 7人〜10人
△:良いとした人 1人〜6人
×:良いとした人 0人
<評価結果>
評価結果を表1に示す。
Figure 2016113834
実施例1〜実施例3においては、いずれの評価項目においても、「○」評価であり、第
2表面保護層の60度鏡面光沢値は、20〜35の範囲において良好な結果を示していた。
相対的に第2表面保護層の60度鏡面光沢値が8の比較例1においては、拭き取り後のムラが目立ち易いことが確認された。これは光沢値が、拭きムラの目立ちやすさに効果があることを示している。
第2表面保護層の60度鏡面光沢値が40の比較例2においては、耐拭き取り性に優れる反面、光の反射によって柄が見えにくくなる傾向があり、意匠性が不合格となっており、意匠性を満足させるためには60度光沢値35以下で効果があることがわかる。
これらの結果を総合すると、最外面の60度光沢値が、20以上35以下であることによって、床材としての清掃性と意匠性を有する化粧シートを提供することが可能になることがわかる。とくに実施例2の60度鏡面光沢が27の場合が清掃性、意匠性のバランスが良いものと思われる。
以上の結果から、本発明によれば、清掃性を有し、床材としての意匠性を有する化粧シートを提供することが可能であることを検証することができた。
1・・・基材シート
2・・・絵柄模様層
3・・・透明接着層
4・・・透明熱可塑性樹脂層
5・・・第1表面保護層
6・・・第2表面保護層
7・・・表面保護層
8・・・裏面樹脂コート層(樹脂層)
10・・・化粧シート

Claims (3)

  1. 樹脂製の基材シート上に絵柄模様層、透明接着層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層がこの順で形成され、
    前記表面保護層の少なくとも最外面に位置する層は、JIS Z 8741に準拠した60度鏡面光沢が20以上35以下であることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記表面保護層の少なくとも最外面に位置する層は、紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂の混合物を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載した化粧シート。
  3. 前記基材シートの絵柄模様層とは反対側の面に、シリカ粉末を含む樹脂層を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
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