JP2016111891A - 車両用制動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 前後配分比の調整機能を有さない油圧式ブレーキ装置を使用して、所望の前後配分比にて制動力を発生させる。【解決手段】 ブレーキECUは、ステップS13において、要求減速度αと、理想制動力配分特性とに基づいて、前後輪の目標制動力(Ff,Fr)を設定する。ブレーキECUは、ステップS14,S15において、油圧制動減速度を発生させるために必要となる前後輪の目標油圧制動力(Fpf,Fpr)を設定する。ブレーキECUは、ステップS16において、目標制動力と目標油圧制動力との差に基づいて、前後輪の目標モータ制駆動力(Fmf,Fmr)を設定する。【選択図】 図2
Description
本発明は、モータの発電作用により発生する回生制動力と、ブレーキ作動油の油圧制御により発生する油圧制動力との両方によって車輪を制動させる車両用制動力制御装置に関する。
従来から、モータにより車輪に駆動力と制動力(制駆動力と呼ぶ)とを発生させる車両が知られている。こうした車両においては、油圧によりブレーキパッドをディスク(あるいはドラム)に接触させて発生させる制動力と、車輪を駆動するモータを発電機として作用させて発電電力をバッテリに回生して発生させる制動力との両方を使って車輪を制動する。前者の制動力を油圧制動力と呼び、後者の制動力を回生制動力と呼ぶ。
車両を減速させるために要求される要求制動力は、前後輪に配分される。この場合、要求制動力の前輪と後輪とへの配分は、要求制動力が大きくなるほど、前輪側の配分が大きくなるように設定することが望まれる。図5は、車両減速時における、前輪側の制動力と後輪側の制動力との理想的な配分特性の一例を表している。
こうした配分特性を実現させるために、特許文献1に提案された車両用ブレーキ装置では、前輪側と後輪側とでホイールシリンダに供給する油圧を独立して制御できるように構成されている。具体的には、油圧式ブレーキアクチュエータ内に、前輪のホイールシリンダに油圧を供給する前輪油圧回路と、後輪のホイールシリンダに油圧を供給する後輪油圧回路とを独立して設け、前輪油圧回路と後輪油圧回路とのそれぞれにリニア制御弁を設けた構成を採用している。従って、それぞれのリニア制御弁の開度を制御することにより、各リニア制御弁の下流側となる前輪のホイールシリンダの液圧と後輪のホイールシリンダの液圧とを互いに独立して制御することができる。これにより、所望の前後配分比が得られるように前後輪に制動力を発生させることができる。
しかしながら、特許文献1に提案された車両用ブレーキ装置では、所望の前後配分比にて制動力を発生させるために、前後輪で独立した油圧回路、および、それぞれの油圧回路毎にリニア制御弁が必要となる。このため、装置の複雑化、および、コストアップを招いてしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、前後配分比の調整機能を有さない油圧式ブレーキ装置を使用して、所望の前後配分比にて制動力を発生させるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、
ブレーキ作動油の油圧により作動して前後輪(10f,10r)に一定の前後配分比で油圧制動力を発生させる油圧式ブレーキ装置(45,40)と、
前記前後輪に、少なくとも前後輪独立した大きさの駆動トルクおよび回生制動トルクを伝達して前記前後輪に制駆動力を発生させるモータ(30f,30r)と、
前記モータの駆動電力源および電力回生先となるバッテリ(70)と、
車両を減速させるために要求される要求減速度(α)と、前記要求減速度が大きくなるほど前輪側の前後配分比が大きくなる予め設定した理想制動力配分特性(L*)とに基づいて、前記前後輪の理想目標制動力(Ff,Fr)を設定する理想目標制動力設定手段(S13)と、
前記バッテリへの電力回生によって発生させることができる最大制動力を前記モータで発生させた場合に、前記要求減速度で車両を減速させるために前記油圧式ブレーキ装置で発生させる必要がある制動力を前記一定の前後配分比で配分して前記前後輪の目標油圧制動力(Fpf,Fpr)を設定する目標油圧制動力設定手段(S14,S15)と、
前記理想目標制動力と前記目標油圧制動力との差に基づいて、前記モータで発生させる前記前後輪の目標モータ制駆動力(Fmf,Fmr)を設定する目標モータ制駆動力設定手段(S16)と、
前記目標油圧制動力に基づいて前記油圧式ブレーキ装置の作動を制御する油圧制御手段(53,S18)と、
前記目標モータ制駆動力に基づいて前記モータの作動を制御するモータ制御手段(51,52、35f,35r)と
を備えたことにある。
ブレーキ作動油の油圧により作動して前後輪(10f,10r)に一定の前後配分比で油圧制動力を発生させる油圧式ブレーキ装置(45,40)と、
前記前後輪に、少なくとも前後輪独立した大きさの駆動トルクおよび回生制動トルクを伝達して前記前後輪に制駆動力を発生させるモータ(30f,30r)と、
前記モータの駆動電力源および電力回生先となるバッテリ(70)と、
車両を減速させるために要求される要求減速度(α)と、前記要求減速度が大きくなるほど前輪側の前後配分比が大きくなる予め設定した理想制動力配分特性(L*)とに基づいて、前記前後輪の理想目標制動力(Ff,Fr)を設定する理想目標制動力設定手段(S13)と、
前記バッテリへの電力回生によって発生させることができる最大制動力を前記モータで発生させた場合に、前記要求減速度で車両を減速させるために前記油圧式ブレーキ装置で発生させる必要がある制動力を前記一定の前後配分比で配分して前記前後輪の目標油圧制動力(Fpf,Fpr)を設定する目標油圧制動力設定手段(S14,S15)と、
前記理想目標制動力と前記目標油圧制動力との差に基づいて、前記モータで発生させる前記前後輪の目標モータ制駆動力(Fmf,Fmr)を設定する目標モータ制駆動力設定手段(S16)と、
前記目標油圧制動力に基づいて前記油圧式ブレーキ装置の作動を制御する油圧制御手段(53,S18)と、
前記目標モータ制駆動力に基づいて前記モータの作動を制御するモータ制御手段(51,52、35f,35r)と
を備えたことにある。
本発明の車両用制動力発生装置は、油圧式ブレーキ装置とモータとバッテリとを備えている。油圧式ブレーキ装置は、ブレーキ作動油の油圧により作動して前後輪に一定の前後配分比で油圧制動力を発生させる。モータは、前後輪に、少なくとも前後輪独立した大きさの駆動トルクおよび回生制動トルクを伝達して前後輪に制駆動力を発生させる。例えば、車両用制動力発生装置は、左右前輪を共通に駆動するモータと、左右後輪を共通に駆動するモータとを備えた構成でもよいし、左右前後輪をそれぞれ独立して駆動する4つのモータを備えた構成であってもよい。また、前後輪の一方を共通に駆動するモータと、他方を左右輪独立して駆動する2つのモータとを備えた構成であってもよい。
モータはバッテリに接続され、車輪に駆動トルクを伝達する場合には、バッテリから駆動電力が供給される。また、車輪に回生制動トルクを伝達する場合には、発電電力をバッテリに供給する。
本発明の車両用制動力発生装置は、油圧式ブレーキ装置とモータの制御量を設定するために、理想目標制動力設定手段、目標油圧制動力設定手段、および、目標モータ制駆動力設定手段を備えている。理想目標制動力設定手段は、車両を減速させるために要求される要求減速度と、要求減速度が大きくなるほど前輪側の前後配分比が大きくなる予め設定した理想制動力配分特性とに基づいて、前後輪の理想目標制動力を設定する。
理想目標制動力をモータによる回生制動力のみで発生させる場合には、理想制動力配分特性に従って回生制動トルクを制御することができる。しかし、バッテリへの電力回生によって発生させることができる制動力には限界があるため、車両を要求減速度にて減速させるためには、油圧制動力が必要とされることがある。そこで、本発明においては、回生制動力と油圧制動力とによって理想目標制動力を発生させる。
そのために、目標油圧制動力設定手段は、バッテリへの電力回生によって発生させることができる最大制動力をモータで発生させた場合に、要求減速度で車両を減速させるために油圧式ブレーキ装置で発生させる必要がある制動力を一定の前後配分比で配分して前後輪の目標油圧制動力を設定する。目標モータ制駆動力設定手段は、理想目標制動力と目標油圧制動力との差に基づいて、モータで発生させる前後輪の目標モータ制駆動力を設定する。
油圧制御手段は、目標油圧制動力に基づいて油圧式ブレーキ装置の作動を制御する。モータ制御手段は、目標モータ制駆動力に基づいてモータの作動を制御する。こうして、油圧式ブレーキ装置の作動により発生した油圧制動力と、モータの作動により発生した制駆動力とを合わせた合成力が車輪に発生する。尚、目標モータ制駆動力は、モータで発生させるトータルの力は制動力として働くが、個々のモータで発生させる力は駆動力として働く場合もあり得る。
従って、制動力の前後配分比の調整機能を有さない油圧式ブレーキ装置を搭載した車両であっても、理想制動力配分にて制動力を発生させることができる。この結果、油圧式ブレーキ装置の複雑化、及び/あるいは、コストアップを抑えつつ、所望の前後配分による制動力が得られる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定させるものではない。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の車両用制駆動力制御装置が搭載される車両1の構成を概略的に示している。
車両1は、左前輪10fl、右前輪10fr、左後輪10rl、右後輪10rrを備えている。左前輪10fl、右前輪10fr、左後輪10rl、右後輪10rrは、それぞれ図示しないサスペンションにより車体に懸架されている。
本実施形態の車両1は、4輪駆動車両であって、左前輪10fl、右前輪10frの駆動源としての前輪モータ30fと、左後輪10rl、右後輪10rrの駆動源としての後輪モータ30rとを備えている。前輪モータ30fと後輪モータ30rとは、例えば、ブラシレスモータが使用される。前輪モータ30fの出力トルクは、プロペラシャフト15fに伝達される。プロペラシャフト15fのトルクは、差動装置16f、ドライブシャフト17fl,17frを介して左前輪10fl,右前輪10frに伝達される。後輪モータ30rの出力トルクは、プロペラシャフト15rに伝達される。プロペラシャフト15rのトルクは、差動装置16r、ドライブシャフト17rl、17rrを介して左後輪10rl,右後輪10rrに伝達される。
また、左前輪10fl、右前輪10fr、左後輪10rl、右後輪10rrには、油圧式摩擦ブレーキ機構(単に摩擦ブレーキ機構と呼ぶ)40fl,40fr,40rl,40rrが設けられている。摩擦ブレーキ機構40fl,40fr,40rl,40rrは、左前輪10fl、右前輪10fr、左後輪10rl、右後輪10rrとともに回転するブレーキディスクロータ41fl,41fr,41rl,41rrと、ブレーキ作動液の油圧により図示しないホイールシリンダが作動してブレーキパッドをブレーキディスクロータ41fl,41fr,41rl,41rrに押し付けるブレーキキャリパ42fl,42fr,42rl,42rrとを備えている。
尚、車輪毎に設けられる構成については、その符号の末尾に、左前輪についてはfl、右前輪についてはfr、左後輪についてはrr、右後輪についてはrlを付しているが、以下の説明においては、車輪位置を特定する必要がない場合には、末尾の符号を省略する。従って、左前輪10fl、右前輪10fr、左後輪10rl、右後輪10rrについては、車輪10と呼び、摩擦ブレーキ機構40fl,40fr,40rl,40rrについては、摩擦ブレーキ機構40と呼ぶ。また、前輪側の構成と後輪側の構成とを区別する必要がある場合には、左前輪10fl、右前輪10frについては前輪10fと呼び、左後輪10rl、右後輪10rrについては後輪10rと呼ぶ。
前輪モータ30fは、前輪モータドライバ35fに接続され、後輪モータ30rは、後輪モータドライバ35rに接続される。各モータドライバ35f,35rは、例えば、インバータが使用される。前輪モータドライバ35fは、バッテリ70から供給される直流電力を交流電力に変換して、その交流電力を前輪モータ30fに供給する。後輪モータドライバ35rは、バッテリ70から供給される直流電力を交流電力に変換して、その交流電力を後輪モータ30rに供給する。従って、前輪モータ30fと後輪モータ30rとは互いに独立に駆動制御されて駆動トルクを発生し、前輪10f,後輪10rに対して互いに独立した駆動力を付与する。このように、モータ30f,30rに電力供給して駆動トルクを発生させることを力行と呼ぶ。
また、前輪モータ30f、後輪モータ30rは、発電機としても機能する。前輪モータ30fは、前輪10fの回転エネルギーにより発電して、発電電力を前輪モータドライバ35fを介してバッテリ70に回生することができる。後輪モータ30rは、後輪10rの回転エネルギーにより発電して、発電電力を後輪モータドライバ35rを介してバッテリ70に回生することができる。従って、前輪モータ30fと後輪モータ30rとは、独立に回生制御されて制動トルクを発生し、前輪10f,後輪10rに対して独立した制動力を付与する。
従って、バッテリ70は、2つのモータ30r,30fにおける共通の駆動電力源となり、かつ、共通の電力回生先となる。
以下、前輪モータ30fと後輪モータ30rとについては、それらの一方を特定する必要が無い場合には、単にモータ30と呼ぶ。前輪モータドライバ35fと後輪モータドライバ35rとについても同様に、それらの一方を特定する必要が無い場合には、単にモータドライバ35と呼ぶ。
また駆動力と制動力とに関して、両者を区別する必要が無い場合には、それらを制駆動力と呼び、駆動力であることを特定する必要がある場合には駆動力、制動力であることを特定する必要がある場合には制動力と呼ぶ。
各摩擦ブレーキ機構40は、ブレーキアクチュエータ45に接続される。ブレーキアクチュエータ45は、各摩擦ブレーキ機構40に内蔵されたホイールシリンダに供給するブレーキ作動油の油圧を制御するアクチュエータである。このブレーキアクチュエータ45は、4輪のホイールシリンダの油圧を共通のリニア制御弁にて制御するタイプである。こうしたブレーキアクチュエータ45は、周知であるため、詳細については説明しないが、例えば、各摩擦ブレーキ機構40のホイールシリンダに共通の油圧を供給する油圧回路、ブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧するマスタシリンダ、昇圧ポンプとアキュムレータを備えブレーキペダル踏力とは無関係に高圧の油圧を発生する動力油圧発生装置、動力油圧発生装置から4輪のホイールシリンダに通じる共通の油圧回路に設けられて4輪のホイールシリンダの油圧を調整する1組のリニア制御弁(増圧用リニア制御弁、減圧用リニア制御弁)、油圧回路の油圧を検出する油圧センサ等を備える。
こうした、1組のリニア制御弁で4輪のホイールシリンダ圧を共通に制御するタイプのブレーキアクチュエータ45は、例えば、特開2013−256253号公報等に詳細に記載されている。従って、ブレーキアクチュエータ45は、こうした周知のものを適用することができる。尚、4輪のホイールシリンダ圧を独立して制御できるタイプ、あるいは、前輪10fと後輪10rのホイールシリンダ圧を独立して制御できるタイプのブレーキアクチュエータも知られているが、そうしたタイプのものは、高コストとなるため、本実施形態への適用は不向きとなる。
車両1は、パワーマネジメントECU51(以下、パワーECU51と呼ぶ)と、モータECU52と、ブレーキECU53とを備えている。パワーECU51は、モータECU52およびブレーキECU53と相互に通信可能に接続されている。各ECU51,52,53は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要部として備え、各種プログラムを実行する。尚、「ECU」は、Electric Controll Unitの略称である。
パワーECU51には、アクセルペダルの踏み込み量(あるいは、角度や圧力など)からドライバーのアクセル操作量を検出するアクセルセンサ61、および、バッテリ70の状態を検出するバッテリセンサ63が接続されている。バッテリセンサ63は、バッテリ70の充電状態(SOC:State Of Charge)、バッテリ70の端子電圧、バッテリ70に流れる電流、バッテリ70の温度等を表す検出信号を出力する。
ブレーキECU53には、ブレーキアクチュエータ45に設けられた図示しない油圧センサ、各種制御弁、ポンプが接続されている。また、ブレーキECU53には、ブレーキペダルの踏み込み量(あるいは、角度や圧力など)からドライバーのブレーキ操作量を検出するブレーキセンサ62、および、4輪の車輪速をそれぞれ検出する4つの車輪速センサ64が接続されている。
モータECU52には、2つのモータドライバ35f,35rが接続されている。また、モータECU52には、モータドライバ35f,35rに設けられた図示しない電流センサ、モータ30f,30rに設けられた図示しない回転角センサが接続されている。
パワーECU51は、アクセルペダル操作時における2つのモータ30の目標モータ駆動力を演算する処理、ブレーキECU53から送信された2つのモータ30の目標モータ制駆動力を表す信号を受信する処理、および、上記の目標モータ駆動力あるいは目標モータ制駆動力をモータ30のトルクに変換した目標モータトルクを表す指令信号をモータECU52に送信する処理を行う。また、パワーECU51は、バッテリ70の状態と車速等に基づいて、バッテリ70に回生可能な電力を演算し、その演算結果を表す回生可能パワー情報をブレーキECU53に送信する処理を行う。
ブレーキECU53は、ブレーキペダル操作時における前後輪10f,10rの目標油圧制動力と、2つのモータ30の目標モータ制駆動力とを演算する処理、演算した目標モータ制駆動力を表す信号をパワーECU51に送信する処理、および、演算した目標油圧制動力に基づいてブレーキアクチュエータ45の作動を制御する処理を行う。また、ブレーキECU53は、車輪速センサ64により検出される4輪の車輪速に基づいて車速(車体速)を演算し、演算した車速を表す車速情報を通信ネットワーク(図示略)を介してパワーECU51を含む複数の車載ECUに送信する処理を行う。
モータECU52は、パワーECU51から指令された指令信号に従って、2つのモータ30f,30rが目標モータトルクを出力するように、モータドライバ35f,35rに制御信号(例えば、PWM制御信号)を供給する。
ここで、ドライバーのアクセルペダル操作時における処理について簡単に説明する。ドライバーがアクセルペダル操作を行うと、パワーECU51は、アクセル操作量に基づいてドライバー要求駆動力を演算する。ドライバー要求駆動力は、ドライバーの要求している車両全体で発生させるべき車両前後方向の駆動力、つまり、走行用の駆動力(車輪10の回転速度を増加させる向きの力)である。パワーECU51は、アクセル操作量からドライバー要求駆動力を導くマップ等の関係付けデータを記憶しており、この関係付けデータを使ってドライバー要求駆動力を演算する。例えば、ドライバー要求駆動力は、アクセル操作量(アクセル開度等)が大きくなるに従って増加する値に設定される。
パワーECU51は、ドライバー要求駆動力を予め設定された配分比(例えば、1/2)にて前後輪10f,10rに配分した前後輪10f,10rの目標モータ駆動力を演算し、それぞれの目標モータ駆動力を目標モータトルクに変換し、目標モータトルクを表す駆動指令信号をモータECU52に送信する。これにより、モータECU52は、それぞれの目標モータトルクに従って、2つのモータ30f,30rが目標モータトルクを発生するように生成した制御信号をモータドライバ35f,35rに出力する。こうして、モータドライバ35f,35rのスイッチング素子のデューティ比が制御されて、目標モータトルクに対応した電流がモータ30f,30rに流れ、車輪10f,10rに駆動力が発生する。
次に、ドライバーのブレーキペダル操作時における処理について説明する。上述したように、車両減速時における、前輪10fの制動力と後輪10rの制動力と関係は、図5(a)に示すように、ドライバー要求制動力が大きくなるほど、前輪10fの配分比が大きくなるように設定されることが望まれる。一方、本実施形態のブレーキアクチュエータ45は、4輪のホイールシリンダの油圧を共通のリニア制御弁にて制御するタイプである。このため、図5(b)に示すように、前輪10fの油圧制動力と後輪10rの油圧制動力との配分比は、ブレーキアクチュエータ45の出力する油圧の大きさにかかわらず常に一定となる。
そこで、本実施形態においては、図5(a)に示す理想制動力配分特性と、図5(b)に示す実制動力配分特性(ブレーキアクチュエータ45,摩擦ブレーキ機構40からなるブレーキ装置の配分特性)との相違を補償するための制駆動力をモータ30で発生させる。つまり、摩擦ブレーキ機構40による油圧制動力とモータ30による制駆動力とを合わせた合力により、理想制動力配分特性が得られるようにしている。
図2は、ブレーキECU53により実施されるブレーキ制御ルーチンを表すフローチャートである。ブレーキECU53は、ブレーキペダル操作が行われているあいだ、メインブレーキ制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実施する。この説明にあたって、ブレーキ制御に必要なパラメータを以下のように定義する。括弧内は、単位を表す。
車両重量:W(N)
前軸重量:Wf(N)
後軸重量:Wr(N)
ホイールベース:L(m)
車両重心高さ:H(m)
前輪制動力配分比:x(−)
回生可能パワー:P(w)
車速:V(m/s)
前軸重量:Wf(N)
後軸重量:Wr(N)
ホイールベース:L(m)
車両重心高さ:H(m)
前輪制動力配分比:x(−)
回生可能パワー:P(w)
車速:V(m/s)
ブレーキ制御ルーチンが起動すると、ブレーキECU53は、ステップS11において、ブレーキセンサ62から出力されるセンサ信号に基づいてブレーキ操作量を検出する。続いて、ブレーキECU53は、ステップS12において、ブレーキ操作量に基づいて車両の要求減速度αを演算する。この要求減速度αは、重力加速度に対する要求減速加速度の比(減速加速度/重力加速度)にて表される値としている。ブレーキECU53は、ブレーキ操作量から要求減速度α(−)を導く関係付けデータを記憶しており、この関係付けデータに基づいて要求減速度αを演算する。例えば、要求減速度αは、ブレーキ操作量が大きくなるに従って増加する値に設定される。
続いて、ブレーキECU53は、ステップS13において、前輪10fの目標制動力Ff(N)と、後輪10rの目標制動力Fr(N)とを次式にて演算する。
Ff=α(Wf+α・W・H/L)
Fr=α(Wr−α・W・H/L)
Ff=α(Wf+α・W・H/L)
Fr=α(Wr−α・W・H/L)
続いて、ブレーキECU53は、ステップS14において、油圧制動減速度α’(−)を次式にて演算する。
α’=α−P/(W・V)
ここで、油圧制動減速度α’は、要求減速度αから、バッテリ70への電力回生によって発生させることができる最大制動力によって得られる減速度を差し引いた減速度を表す。つまり、4輪のトータルの目標制動力から、バッテリ70へ可能な限り電力回生したときに得られる回生制動力を差し引いた、油圧制動力で発生させる減速度を表す。バッテリ70への回生可能な電力は、パワーECU51から回生可能パワー情報としてリアルタイムでブレーキECU53に送信されている。ブレーキECU53は、パワーECU51から送信された回生可能パワー情報によって回生可能パワーP(w)を取得して、油圧制動減速度α’を演算する。
α’=α−P/(W・V)
ここで、油圧制動減速度α’は、要求減速度αから、バッテリ70への電力回生によって発生させることができる最大制動力によって得られる減速度を差し引いた減速度を表す。つまり、4輪のトータルの目標制動力から、バッテリ70へ可能な限り電力回生したときに得られる回生制動力を差し引いた、油圧制動力で発生させる減速度を表す。バッテリ70への回生可能な電力は、パワーECU51から回生可能パワー情報としてリアルタイムでブレーキECU53に送信されている。ブレーキECU53は、パワーECU51から送信された回生可能パワー情報によって回生可能パワーP(w)を取得して、油圧制動減速度α’を演算する。
続いて、ブレーキECU53は、ステップS15において、前輪10fの目標油圧制動力Fpf(N)と、後輪10rの目標油圧制動力Fpr(N)とを次式にて演算する。
Fpf=W(α−P/(W・V)x=(W・α−P/V)x
Fpr=W(α−P/(W・V)(1−x)=(W・α−P/V)(1−x)
ここで、xは、前後輪10f,10rの摩擦ブレーキ機構40f,40rの特性によって決定される前輪制動力配分比を表す。従って、(1−x)は、前後輪10f,10rの摩擦ブレーキ機構40f,40rの特性によって決定される後輪制動力配分比を表す。
Fpf=W(α−P/(W・V)x=(W・α−P/V)x
Fpr=W(α−P/(W・V)(1−x)=(W・α−P/V)(1−x)
ここで、xは、前後輪10f,10rの摩擦ブレーキ機構40f,40rの特性によって決定される前輪制動力配分比を表す。従って、(1−x)は、前後輪10f,10rの摩擦ブレーキ機構40f,40rの特性によって決定される後輪制動力配分比を表す。
続いて、ブレーキECU53は、ステップS16において、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf(N)と、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr(N)とを次式にて演算する。
Fmf=Ff−Fpf=α(Wf+α・W・H/L)−(W・α−P/V)x
Fmr=Fr−Fpr=α(Wr−α・W・H/L)−(W・α−P/V)(1−x)
Fmf=Ff−Fpf=α(Wf+α・W・H/L)−(W・α−P/V)x
Fmr=Fr−Fpr=α(Wr−α・W・H/L)−(W・α−P/V)(1−x)
尚、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmrは、回生制動力として働く場合と、駆動力として働く場合がある。勿論、目標モータ制駆動力Fmfと目標モータ制駆動力Fmrとを合わせた合力については、バッテリ70に電力回生可能な最大の回生制動力として働くものである。
続いて、ブレーキECU53は、ステップS17において、前後輪10f,10rごとの目標モータ制駆動力Fmf,Fmrを表す信号をパワーECU51に送信する。これにより、パワーECU51は前後輪10f,10rごとの目標モータ制駆動力Fmf,Fmrをモータ30f,30rを駆動するための目標モータトルクに変換し、目標モータトルクを表す制駆動指令信号をモータECU52に送信する。これにより、モータECU52は、目標モータトルクに従って、モータドライバ35f,35rに駆動信号を出力する。目標モータトルクが駆動トルクを表している場合には、モータ30が力行制御されてモータドライバ35からモータ30に電流が流れる。目標モータトルクが制動トルクを表している場合には、モータ30が回生制御されてモータ30からモータドライバ35を介してバッテリ70に電流が流れる。こうして、前後輪10f,10rごとに独立した制駆動力が発生する。
続いて、ブレーキECU53は、ステップS18において、目標油圧制動力Fpf,Fprに基づいてブレーキアクチュエータ45の作動を制御する。前輪10fの目標油圧制動力Fpfと後輪10rの目標油圧制動力Fprとの割合は、一定の関係(x:(1−x))を有するため、ブレーキECU53は、何れか一方の目標油圧制動力Fpf(Fpr)に基づいてホイールシリンダの目標制御油圧を設定する。ブレーキECU53は、目標油圧制動力Fpf(Fpr)から目標制御油圧を導くマップ等の関係付けデータを記憶しており、この関係付けデータを使って目標制御油圧を演算する。目標制御油圧は、目標油圧制動力Fpf(Fpr)が大きくなるに従って増加する値に設定される。
ブレーキECU53は、油圧センサにより検出される4輪のホイールシリンダの油圧(4輪共通の油圧)が目標制御油圧に追従するようにリニア制御弁の通電を制御する。これにより、4輪の摩擦ブレーキ機構40が作動して、各車輪10を摩擦力によって制動する。尚、目標制御油圧は、油圧制動減速度α’から算出する構成であってもよい。この場合には、ブレーキECU53は、油圧制動減速度α’と目標制御油圧との関係を設定した関係付けデータを記憶し、この関係付けデータを使って目標制御油圧を演算する。
この結果、前輪10fには、目標油圧制動力Fpfと目標モータ制駆動力Fmfとを合わせた合成制動力(Fpf+Fmf)が発生し、後輪10rには、目標油圧制動力Fprと目標モータ制駆動力Fmrとを合わせた合成制動力(Fpr+Fmr)が発生する。
ブレーキECU53は、ステップS18の処理を実施するとブレーキ制御ルーチンを一旦終了する。そして、所定の演算周期にてブレーキ制御ルーチンを繰り返す。
ここで、ブレーキ制御ルーチンにより設定される油圧制動力と回生制動力との関係について図3を用いて説明する。図3において、理想特性ラインL*は、車両減速時における前輪10fの制動力と後輪10rの制動力との理想的な配分関係を表す理想制動力配分特性を表す。この理想制動力配分特性は、ブレーキECU53がステップS13において演算した前後輪10f,10rの目標制動力Ffと目標制動力Frとの関係を表すもので、要求減速度αが大きくなるほど(前後輪10f,10rの目標制動力が大きくなるほど)、前輪10fの前後配分比(Ff/(Ff+Fr))が大きくなる特性を有している。従って、ブレーキECU53がステップS13において演算する前後輪10f,10rの目標制動力Ff,Frは、この理想制動力配分特性に沿ったものであり、本発明の理想目標制動力に相当する。
一方、図3において、油圧特性ラインLpは、油圧制動力の前後配分特性を表す。本実施形態においては、各輪のホイールシリンダ油圧が共通の油圧に制御されることから、油圧制動力の前後配分特性は、前後輪10f,10rにおける摩擦ブレーキ装置40f,40rの特性によって決定され、一定の前後配分比となる。
図3において示した破線は、等減速度ラインを表す。ここでは、一例として4本の等減速度ラインL1a,L1b,L2a,L2bを示している。等減速度ライン上の任意のポイントで指定される制動力を前後輪10f,10rで発生させた場合には、同じ減速度が得られる。従って、要求減速度α(目標制動力)が決まれば、その要求減速度αに対応する等減速度ラインと理想特性ラインL*との交点で表される理想ポイントにて、目標制動力を前後輪10f,10rに配分すれば、理想制動力特性にそった前後配分が可能となる。
例えば、図3に示すように、要求減速度αに対応して設定される等減速度ラインL1aが決まれば、等減速度ラインL1aと理想特性ラインL*との交点で表される理想ポイントP1によって目標制動力(Ff1,Fr1)を設定することにより、理想の制動力配分が可能となる。
目標制動力を回生制動力のみで発生させる場合には、前輪モータ30fと後輪モータ30rとの回生制動トルクを独立して制御すれば、理想ポイントP1で表される前後配分比にて回生制動力を発生させることができる。しかし、発生可能な回生制動力は、車速、バッテリ70の状態等によって制限されるため、要求減速度αを得るためには油圧制動力が必要とされることがある。
そこで、本実施形態においては、2つのモータ30によって回生可能な最大回生制動力を発生させつつ、目標制動力(要求減速度α)が得られるように、摩擦ブレーキ機構40によって油圧制動力を発生させる。この場合、前後輪10f,10rの制動力配分が理想制動力配分特性となるように前後輪10f,10rの目標モータ制駆動力を設定する。例えば、図3において、理想ポイントP1にて目標制動力(Ff1,Fr1)が設定される場合を考える。図3に示すように、等減速度ラインL1aから、バッテリ70への電力回生によって発生させることができる最大制動力によって得られる減速度分だけシフトした等減速度ラインL1bを描くことができる。この等減速度ラインL1bと等減速度ラインL1aとの範囲が回生可能範囲(回生制動力による減速度調整範囲)を表している。
2つのモータ30によって回生制動力を最大限に発生させる場合には、等減速度ラインL1bと油圧特性ラインLpとの交点である油圧ポイントPp1によって、前輪10fの目標油圧制動力Fpf1と、後輪10rの目標油圧制動力Fpr1とを設定し、理想ポイントP1と油圧ポイントPp1とにおける差分(Ff1−Fpf1,Fr1−Fpr1)を、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf1、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr1に設定すれば、理想ポイントP1にて前後輪10f,10rを制動することができる。従って、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf1は、Fmf1=(Ff1−Fpf1)で表され、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr1は、Fmr1=(Fr1−Fpr1)で表される。この場合、目標モータ制駆動力Fmf1、目標モータ制駆動力Fmr1は、ともに制動方向に働く力となる。
もう一つの例として、理想ポイントP2にて目標制動力(Ff2,Fr2)が設定される場合を考える。図3に示すように、等減速度ラインL2aから、バッテリ70への電力回生によって発生させることができる最大制動力によって得られる減速度分だけシフトした等減速度ラインL2bを描くことができる。この等減速度ラインL2bと等減速度ラインL2aとの範囲が回生可能範囲を表している。
この場合、等減速度ラインL2bと油圧特性ラインLpとの交点である油圧ポイントPp2によって、前輪10fの目標油圧制動力Fpf2と、後輪10rの目標油圧制動力Fpr2とを設定し、理想ポイントP2と油圧ポイントPp2とにおける差分(Ff2−Fpf2,Fr2−Fpr2)を、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf2、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr2に設定すれば、理想ポイントP2にて前後輪10f,10rを制動することができる。従って、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf2は、Fmf2=(Ff2−Fpf2)で表され、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr2は、Fmr2=(Fr2−Fpr2)で表される。この場合、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf2は、制動方向に働く力となるが、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr2は、駆動方向に働く力となる。
また、バッテリ70に電力回生できない状況である場合(回生可能パワーP=0)においても、同様に考えることができる。例えば、図4に示すように、理想ポイントP3にて目標制動力(Ff3,Fr3)が設定される場合、理想ポイントP3を通る等減速度ラインL3と油圧特性ラインLpとの交点である油圧ポイントPp3によって、前輪10fの目標油圧制動力Fpf3と、後輪10rの目標油圧制動力Fpr3とを設定し、理想ポイントP3と油圧ポイントPp3とにおける差分(Ff3−Fpf3,Fr3−Fpr3)を、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf3、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr3に設定すれば、理想ポイントP3にて前後輪10f,10rを制動することができる。この場合、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr3は、駆動方向に働く力となる。
また、図4における理想ポイントP4(Ff4,Fr4)にて制動力を発生させる場合については、理想ポイントP4を通る等減速度ラインL4と油圧特性ラインLpとの交点である油圧ポイントPp4によって、前輪10fの目標油圧制動力Fpf4と、後輪10rの目標油圧制動力Fpr4とを設定し、理想ポイントP4と油圧ポイントPp4とにおける差分(Ff4−Fpf4,Fr4−Fpr4)を、前輪10fの目標モータ制駆動力Fmf4、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr4に設定すれば、理想ポイントP4にて前後輪10f,10rを制動することができる。この場合、後輪10rの目標モータ制駆動力Fmr4は、駆動方向に働く力となる。
図2に示すブレーキ制御ルーチンは、こうした原理にて前後輪10f,10rの目標制動力(Fpf,Fpr,Fmf,Fmr)を設定する処理を演算式にて表したものである。尚、上記の目標油圧制動力Fpf1,Fpf2,Fpf3,Fpf4は、ステップS15における前輪10fの目標油圧制動力Fpfの値として設定されるものであり、上記の目標油圧制動力Fpr1,Fpr2,Fpr3,Fpr4は、ステップS15における後輪10rの目標油圧制動力Fprの値として設定されるものである。また、上記の目標モータ制駆動力Fmf1,Fmf2,Fmf3,Fmf4は、ステップS16における前輪10fの目標モータ制駆動力Fmfの値として設定されるものであり、上記の目標モータ制駆動力Fmr1,Fmr2,Fmr3,Fmr4は、ステップS16における後輪10rの目標モータ制駆動力Fmrの値として設定されるものである。
これにより、摩擦ブレーキ機構40による油圧制動力とモータ30による制駆動力とを合わせた合力により、理想制動力配分特性が得られる。
以上説明した本実施形態の車両用制動力制御装置によれば、要求減速度αから、バッテリ70への電力回生によって発生させることができる最大制動力によって得られる減速度を差し引いた油圧制動減速度α’で車両を減速させるために必要となる目標油圧制動力Fpf,Fprが設定される。つまり、バッテリ70への電力回生によって発生させることができる最大制動力をモータ30f,30rで発生させた場合に、要求減速度αで車両を減速させるために油圧式ブレーキ装置で発生させる必要がある制動力を一定の前後配分比で配分して目標油圧制動力Fpf,Fprが設定される。
また、理想制動力配分特性に沿って設定される目標制動力Ff,Frと目標油圧制動力Fpf,Fprとの差に基づいて、モータ30f,30rで発生させる目標モータ制駆動力Fmf,Fmrが設定される。従って、制動力の前後配分特性を調整できない油圧式ブレーキ装置(ブレーキアクチュエータ45、摩擦ブレーキ機構40)を搭載した車両1であっても、前後輪10f,10rにおけるモータ30f,30rで発生させる制駆動力を制御することにより、理想制動力配分にて制動力を発生させることができる。この結果、油圧式ブレーキ装置の複雑化、及び/あるいは、コストアップを抑えつつ、所望の前後配分による制動力が得られる。
以上、本実施形態にかかる車両用制動力制御装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、左右前輪10fを共通に駆動する前輪モータ30fと、左右後輪10rを共通に駆動するモータ30rとからなる2つのモータを備えた形式の車両に適用しているが、4つのモータによって左右前後輪をそれぞれ独立して駆動する形式の車両に適用することもできる。また、その場合には、車輪10にモータを組み込んだインホイールモータ方式の車両であってもよい。また、前後輪10f,10rの一方を共通に駆動するモータと、他方を左右輪独立して駆動する2つのモータとからなる合計3つのモータを備えた形式の車両に適用することもできる。
1…車両、10…車輪、10f…前輪、10r…後輪、30…モータ、30f…前輪モータ、30r…後輪モータ、35…モータドライバ、40…摩擦ブレーキ機構、45…ブレーキアクチュエータ、51…パワーマネジメントECU、52…モータECU、53…ブレーキECU、61…アクセルセンサ、62…ブレーキセンサ、63…バッテリセンサ、70…バッテリ、L*…理想特性ライン、Lp…油圧特性ライン。
Claims (1)
- ブレーキ作動油の油圧により作動して前後輪に一定の前後配分比で油圧制動力を発生させる油圧式ブレーキ装置と、
前記前後輪に、少なくとも前後輪独立した大きさの駆動トルクおよび回生制動トルクを伝達して前記前後輪に制駆動力を発生させるモータと、
前記モータの駆動電力源および電力回生先となるバッテリと、
車両を減速させるために要求される要求減速度と、前記要求減速度が大きくなるほど前輪側の前後配分比が大きくなる予め設定した理想制動力配分特性とに基づいて、前記前後輪の理想目標制動力を設定する理想目標制動力設定手段と、
前記バッテリへの電力回生によって発生させることができる最大制動力を前記モータで発生させた場合に、前記要求減速度で車両を減速させるために前記油圧式ブレーキ装置で発生させる必要がある制動力を前記一定の前後配分比で配分して前記前後輪の目標油圧制動力を設定する目標油圧制動力設定手段と、
前記理想目標制動力と前記目標油圧制動力との差に基づいて、前記モータで発生させる前記前後輪の目標モータ制駆動力を設定する目標モータ制駆動力設定手段と、
前記目標油圧制動力に基づいて前記油圧式ブレーキ装置の作動を制御する油圧制御手段と、
前記目標モータ制駆動力に基づいて前記モータの作動を制御するモータ制御手段と
を備えた車両用制動力制御装置。
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