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JP2016102513A - 縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根 - Google Patents

縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根 Download PDF

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JP2016102513A JP2014239897A JP2014239897A JP2016102513A JP 2016102513 A JP2016102513 A JP 2016102513A JP 2014239897 A JP2014239897 A JP 2014239897A JP 2014239897 A JP2014239897 A JP 2014239897A JP 2016102513 A JP2016102513 A JP 2016102513A
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庸人 日下部
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晴彦 奥山
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Abstract

【課題】 縦置円筒形低温貯槽の外槽屋根部材の簡素化、および外槽屋根板の製作、組立て、構築作業に掛かる負担を軽減し、施工性と経済性に優れた縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根を提供するものである。
【解決手段】 縦置円筒形低温貯槽において、外槽屋根板9は、最上部分に位置する天頂部屋根板9aと、当該天頂部屋根板9aを囲む残余の環状部分に位置する外周部屋根板9bとからなり、当該外周部屋根板9bは、長手一方向に沿って円弧状に曲げ加工した截頭略三角形状の曲板9b2で、複数の当該曲板9b2の隣接部が前記環状部分の曲率R2に沿う位置となるように溶接接合9bWして前記外周部屋根板9b全体を多角形の環状体となるよう形成し、前記天頂部屋根板9aの下部外周縁部と前記外周部屋根板9bの上部外周縁部を溶接接合18aWすることにより、外槽屋根板9全体を多角形の傘形の外殻体に形成したことを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

この発明は、液体窒素、液体酸素、LNG等の低温液化ガス等を貯蔵する縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根に関するものである。
従来の縦置円筒形低温貯槽について、図12と図13に基づいて説明する。
図12は、従来の縦置円筒形低温貯槽の第1事例で、内槽1は半球形状の内槽鏡板6と円筒形状の内槽胴板7を有し、保冷層3を介して、外槽2は半球形状の外槽屋根板9と円筒形状の外槽側板10を有する構造である。
図13は、従来の縦置円筒形低温貯槽の第2事例で、内槽1は半球形状の内槽鏡板6と円筒形状の内槽胴板7を有し、保冷層3を介して、外槽2は欠球形状の外槽屋根板9と円筒形状の外槽側板10を有する構造である。
従来の縦置円筒形低温貯槽の発明には、例えば、本特許出願人に係る「縦置二重殻円筒形低温貯槽」特許第5013358号公報(特許文献1参照)の発明がある。
この特許文献1の発明(従来例の図12に一部を紹介)は、半球形状の内槽鏡板と円筒形状の内槽胴板を有し、保冷層を介して、半球形状の外槽屋根板と円筒形状の外槽側板を有し、円筒形状のスカートで内槽及び外槽を基礎上に支持するとともに、半球形状の外槽屋根板の頂部中央部のセンターマンホールの周囲にのみ屋根散水装置をリング状に配置したものである。
また、本特許出願人に係る「縦置二重殻円筒形低温貯槽の外槽取付構造」特許第5354517号公報(特許文献2参照)の発明がある。
この特許文献2の発明(従来例の図13に一部を紹介)は、円筒形状のスカートで内槽及び外槽を基礎上に支持するとともに、荷重と伝熱の集中化を排除するために、側板下部の外槽胴板の取付位置を外槽底板の取付位置より下方位置にずらして接続固定したものである。
「鋼製サイロ及びタンクの屋根形状」特許第2675283号公報(特許文献3参照)の従来技術の発明は、円筒状の側壁を有する鋼製のサイロ及びタンクにおいて、前記側壁の上端に保持される屋根形状が、前記側壁の水平断面に対して傾斜を有するように形成され、且つ、平面部材から構成されているものである。
「タンク球面部の製造方法」特許第3707102号公報(特許文献4参照)の発明があり、この特許文献4の発明は、平板状の鋼板にロールで球面状の反りを与えてから、鉄骨梁の上に配置して互いに溶接することにより、タンクの球面部を形成するものである。
特許第5013358号公報 特許5354517号公報 特許第2675283号公報 特許第3707102号公報
図12に示した従来第1事例の縦置円筒形低温貯槽の外槽屋根板9は、鋼板をプレス加工し、曲率が一定の半球板に成形する作業に手間と費用を要していた。
また、図13に示した従来第2事例の縦置円筒形低温貯槽の外槽屋根板9は、鋼板をプレス加工し、曲率が一定でない欠球板に成形する作業に手間と費用を要していた。
特許文献1「縦置二重殻円筒形低温貯槽」の発明は、前記従来例の図12に示すように、半球形状の外槽屋根板と円筒形状の外槽側板を有するもので、外槽屋根板の形状が半球形状であり、外槽屋根から外槽側板にわたって均一に散水することを目的とした構造である。
特許文献2「縦置二重殻円筒形低温貯槽の外槽取付構造」の発明は、前記従来例の図13に示すように、外槽屋根板の形状が欠球形状であり、外槽屋根板の構造や構築法に関するものでもない。
特許文献3「鋼製サイロ及びタンクの屋根形状」の発明は、屋根形状が側壁の水平断面に対して傾斜を有するように形成され、且つ平面部材から構成されているものであるが、屋根の形状が球面ではなく、縦置円筒形低温貯槽の外槽屋根に関するものでもない。
特許文献4「タンク球面部の製造方法」の発明は、平板状の鋼板にロールで球面状の反りを与えてから、鉄骨梁の上に配置して互いに溶接することにより、タンクの球面部を形成するものであるが、プレス加工せずに成形する縦置円筒形低温貯槽の外槽屋根板の構造に関するものではない。
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、縦置円筒形低温貯槽の外槽屋根部材の簡素化、および外槽屋根板の製作、組立て、構築作業に掛かる負担を軽減し、施工性と経済性に優れた縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根を提供するものである。
請求項1の発明に係る縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、上部鏡板と中間胴板と下部鏡板とからなる内槽と、当該内槽の外側に位置する保冷層を介して囲繞する外槽屋根板と外槽側板と外槽底板とからなる外槽を有し、上記内槽及び外槽をスカートで基礎上に支持する縦置円筒形低温貯槽において、上記外槽屋根板は、最上部分に位置する天頂部屋根板と、当該天頂部屋根板を囲む残余の環状部分に位置する外周部屋根板とからなり、当該外周部屋根板は、長手一方向に沿って円弧状に曲げ加工した截頭略三角形状の曲板で、複数の当該曲板の隣接部が前記環状部分の曲率に沿う位置となるように溶接接合して前記外周部屋根板全体を多角形の環状体となるよう形成し、前記天頂部屋根板の下部外周縁部と前記外周部屋根板の上部外周縁部を溶接接合することにより、外槽屋根板全体を多角形の傘形の外殻体に形成したことを特徴とする。
請求項2記載の縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、請求項1記載の多角形環状体の外周部屋根板を形成する截頭略三角形状の曲板を、截頭略三角形状の平板を長手一方向に沿って曲げ加工することによって、内槽を囲繞するのに必要な曲率を持つ円孤状の曲板に成形してなることを特徴とする。
請求項3記載の縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、請求項1記載の多角形環状体の外周部屋根板を形成する截頭略三角形状の曲板を、截頭略三角形状の平板を曲率を有する成型架台上へ押し当て、かつ曲率を有す形鋼材等の外枠材を前記平板の長手一方向に沿って取付けることによって、内槽を囲繞するのに必要な曲率を持つ円孤状の曲板に成形してなることを特徴とする。
請求項1の発明に係る縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、上部鏡板と中間胴板と下部鏡板とからなる内槽と、当該内槽の外側に位置する保冷層を介して囲繞する外槽屋根板と外槽側板と外槽底板とからなる外槽を有し、上記内槽及び外槽をスカートで基礎上に支持する縦置円筒形低温貯槽において、上記外槽屋根板は、最上部分に位置する天頂部屋根板と、当該天頂部屋根板を囲む残余の環状部分に位置する外周部屋根板とからなり、当該外周部屋根板は、長手一方向に沿って円弧状に曲げ加工した截頭略三角形状の曲板で、複数の当該曲板の隣接部が前記環状部分の曲率に沿う位置となるように溶接接合して前記外周部屋根板全体を多角形の環状体となるよう形成し、前記天頂部屋根板の下部外周縁部と前記外周部屋根板の上部外周縁部を溶接接合することにより、外槽屋根板全体を多角形の傘形の外殻体に形成したので、
隣接する曲板相互の位置が内槽と中心点を同じくする外槽屋根板の環状部分の曲率に沿う位置となるため、曲板相互の距離が過大になることなく、適切な条件で溶接を行うことが可能となり、施工性や継手の品質が向上する。
また、プレス加工無で外槽屋根板を成形することが可能であり、従来の半球形状や欠球形状の外槽屋根板と比較して薄板を採用することが可能となるため、外槽屋根板の製作費と材料費を削減することが可能となる。
このように、外槽屋根板に薄板を採用することにより、スカートへの荷重負担が低減され、貯槽全体の軽量化に加えて補強構造も簡素化することが可能となる。
さらに、外槽屋根に傾斜があるため雪が滑り落ちやすく、積雪による荷重に対しても有利である。
請求項2記載の縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、請求項1記載の多角形環状体の外周部屋根板を形成する截頭略三角形状の曲板を、截頭略三角形状の平板を長手一方向に沿って曲げ加工することによって、内槽を囲繞するのに必要な曲率を持つ円孤状の曲板に成形するので、
プレス加工無しで曲げ加工による製作が可能であり、半球屋根や欠球屋根と比べて、薄い板厚の屋根板で製作することが可能となるため、外槽屋根板の製作費と材料費をコストダウンすることが可能となる。
請求項3記載の縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、請求項1記載の多角形環状体の外周部屋根板を形成する截頭略三角形状の曲板を、截頭略三角形状の平板を曲率を有する成型架台上へ押し当て、かつ曲率を有す形鋼材等の外枠材を前記平板の長手一方向に沿って取付けることによって、内槽を囲繞するのに必要な曲率を持つ円孤状の曲板に成形するので、
外槽屋根板と同等の曲率半径を持つよう加工した成型架台を縦置円筒形低温貯槽の近傍に設置して截頭略三角形状の平板を搬入し、前記成型架台上へ前記平板を載置し、アングルやチャンネル等の外枠材を前記平板に押し当てて曲げ加工を施すことにより、貯槽近傍で容易に平板を曲板に加工することが可能となるため、工場のロール等の作業が削減され、貯槽構築現場への板材の搬入も容易となる。
この発明に係る縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根の実施形態例を示す全体縦断面説明図である。 図1の外槽屋根を示す平面説明図である。 図1の外槽屋根を示す斜視説明図である。 図3のA部を示す斜視図である。 図3のB部を示す斜視図である。 図3のC部を示す斜視図である。 外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する手順の第1事例で、長方形の平板から截頭略三角形状の平板を裁断する事例の斜視説明図である。 外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する手順の第1事例で、截頭略三角形状の平板を曲板に加工する事例の斜視説明図である。 外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する手順の第1事例で、截頭略三角形状の曲板の内面に内枠材を設ける事例の斜視説明図である。 外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する手順の第2事例で、截頭略三角形状の平板を成型架台上で曲げ加工して外面に外枠材を取付けて吊上げ移動する事例の正面説明図である。 外周部屋根板を吊り上げて貯槽上部で外槽屋根を組立構築する事例を示す正面説明図である。 従来の縦置円筒形低温貯槽の第1事例を示す一部を欠如した縦断面説明図である。 従来の縦置円筒形低温貯槽の第2事例を示す一部を欠如した縦断面説明図である。
この発明に係る縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根の実施形態について、図1乃至図11を参照して説明する。
図1は縦置円筒形低温貯槽の全体縦断面を示し、図2乃至図6は外槽屋根部を示す。
図7から図9は外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する手順の事例で、図7は長方形の平板から截頭略三角形状の平板を裁断する段階、図8は截頭略三角形状の平板を曲板に加工する段階、図9は截頭略三角形状の曲板の内面に内枠材を設ける段階を示す。
図10は外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する事例で、截頭略三角形状の平板を成型架台上で曲げ加工して外面に外枠材を取付けて吊上げ移動する状況を示す。
図11は外周部屋根板を1枚ずつ吊り上げて貯槽上部で外槽屋根を組立構築する状況を示す。
図1は、低温液体を貯蔵する内槽1を設け、この内槽1を囲繞するように外槽2を設け、この内槽1と外槽2との間に保冷層3を設けた、二重殻構造の縦置円筒形低温貯槽の事例である。
図1の事例では、内槽1の側面下端部から垂直下方に延出して外槽2の外槽底板11を貫通する円筒形状のスカート4で、基礎5の上に内槽1及び外槽2を支持している。
内槽1は、曲率半径R1を持つ半球形状の上部鏡板6と、円筒形状の中間胴板7と、半球形状の下部鏡板8とで形成する。
外槽2は、保冷層3を介して上部鏡板6を覆うように設ける、半球殻状で平面形状が多角形の傘形の外槽屋根板9と、円筒形状の外槽側板10と、水平円板形状の外槽底板11とで形成する。
また、上記内槽1と中心点を同じくする外槽屋根板9の環状部分の曲率半径をR2、天頂部を除いた外槽屋根板9自体の曲率半径をR3とする。
図2は、図1の外槽屋根を上方から見た平面説明図である。
外槽屋根板9は、最上部分に位置する天頂部屋根板9aと、当該天頂部屋根板9aを囲む残余の環状部分に位置する外周部屋根板9bとからなり、外周部屋根板9bは、天頂部屋根板9aを囲む残余の環状部を同心円状に複数分割した截頭略三角形状の曲板の隣接する長辺を、内槽と中心点を同じくする前記外槽屋根板9の環状部分の曲率に沿う位置となるように溶接9bWで接合して、多角形体になるように形成する。
外槽屋根板9は、屋根中心部に天頂部屋根板9aを設け、その下部外周縁部に所定の曲率を有す外周部屋根板9bの上部外周縁部を溶接18aWで取り付け、上記外周部屋根板9b下部の直線状外周縁部を外槽側板10のトップアングル10a上面に搭載し、溶接18bWで接合することにより形成する。
図2は、天頂部屋根板9aを多角形状に形成し、天頂部屋根板9aの下部外周縁部と外周部屋根板9bの上部外周縁部を突合せ溶接18aWで接合する事例であるが、天頂部屋根板9aを円形状とし、天頂部屋根板9aと外周部屋根板9bを重ねすみ肉溶接18aWで接合することも可能である。
天頂部屋根板9aは、円錐形状、平板形状、欠球形状等とし、種々の形状を採用可能である。
また、溶接9bW、18aW、18bWの溶接方法についても、突合せ溶接や重ねすみ肉溶接等、種々の方法を採用可能である。
図3は、図1の外槽屋根の斜視説明図である。
外槽屋根板9は、天頂部屋根板9a下部の外周縁部と所定の曲率を有す複数の外周部屋根板9bの直線状の上部外周縁部を溶接18aWで接合するとともに、外周部屋根板9b下部の直線状外周縁部を外槽側板10のトップアングル10a上面に搭載して溶接18bWで接合し、平面形状が多角形の傘形に形成する。
天頂部屋根板9aは、外槽屋根板9の天頂部を形成する板であり、円錐形状、平板形状、欠球形状等とし、種々の形状を採用可能である。
外周部屋根板9bは、上記天頂部屋根板9aの下部外周縁部に所定の曲率を有す外周部屋根板9b上部外周縁部を溶接18aWで取り付け、截頭略三角形状の平板を曲げ加工した複数の截頭略三角形状の曲板の両側の長辺が内槽と中心点を同じくする外槽屋根板9の環状部分の曲率に沿う位置となるように溶接9bWで接合して平面形状が多角形の傘形になるように形成し、外槽側板10のトップアングル10a上面に搭載し、溶接18bWで接合する。
図3は、天頂部屋根板9aを円形状に形成し、天頂部屋根板9aの下部外周縁部と外周部屋根板9bの上部外周縁部を重ねすみ肉溶接18aWで接合する事例であるが、天頂部屋根板9aを多角形状とし、天頂部屋根板9aと外周部屋根板9bを突合せ溶接18aWで接合することも可能である。
溶接9bW、18aW、18bWの溶接方法は、突合せ溶接や重ねすみ肉溶接等とし、種々の方法を採用可能である。
上記の通り形成した外槽屋根板9は、欠球形状の屋根等と比べて傾斜があるため、雪が滑り落ちやすく、積雪しないため荷重に対しても有利である。
図4は、図3のA部を拡大して示す斜視図であり、天頂部屋根板9a下部外周縁部と外周部屋根板9b上部外周縁部を溶接接合する状況を示す。
図4は、外槽屋根板9の天頂部屋根板9a下部の外周縁部と外周部屋根板9b上部外周縁部相互を重ねすみ肉溶接18aWで接合する事例を示すが、天頂部屋根板9aと外周部屋根板9bは突合せ溶接等で接合することも可能である。
図5の上図は、図3のB部を拡大して示す斜視図であり、隣接する外周部屋根板9bの長辺相互を溶接9bWで接合する状況を示す。
図5は、隣接する外周部屋根板9bの長辺相互を突合せ溶接9bWで接合した事例を示し、外周部屋根板9bは、工場あるいは現場で所定の曲率を持たせるための曲げ加工を施し、該外周部屋根板9bの長辺は、隣接する外周部屋根板9bの長辺と突き合わせた際に、開先が内槽と中心点を同じくする外槽屋根の環状部分の曲率に沿う位置となり、ルート間隔Gが零または零に限りなく近い値となるように、上記外周部屋根板9bの上辺と下辺の同じ側の各一点を結んだ直線9bSよりも外側に膨らみを設けた形状とする。
外周部屋根板9bを上記形状にすることにより、外周部屋根板9b相互を適正な条件で突合せ溶接9bWすることが可能となり、突合せ継手の品質が向上する。また、外周部屋根板9b相互は、十分な重ね代が確保できるのであれば重ねすみ肉溶接で接合することも可能である。
また、プレス加工せずに外槽屋根板9を形成することが可能であり、従来の半球形状や欠球形状の外槽屋根板と比較して薄板を採用することが可能となるため、外槽屋根板の製作費と材料費を削減することが可能となる。
このように、外槽屋根板に薄板を採用することにより、外槽屋根板全体の重量が軽くなり、スカートへの荷重負担が低減され、貯槽全体の軽量化に加えて補強構造も簡素化することが可能となる。
図5のX-Y断面図は、上図をX-Y線上で切断した際の断面を示す図で、隣接する外周部屋根板9bの長辺相互を突合せ溶接9bWで接合する事例を示す。
X-Y断面図は、所定の曲率を持つ外周部屋根板9b相互の長辺を突合せた際に、開先のルート間隔Gが零のV形開先となり、当該V形開先部を突合せ溶接9bWすることによって、外周部屋根板9b相互を接合している状況を示す。
X-Y断面図に示す通り、外周部屋根板9b相互は円弧状に接合せず、所定の角度を持つように接合する。
図6は、図3のC部を拡大して示す斜視図である。
外周部屋根板9b下部の直線状の縁部を、外槽側板10の上端に位置する幅広のトップアングル10a上面に搭載し、溶接18bWで接合する。
図7から図9は、外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する手順の第1事例を示す。
図7は、長方形の平板9b0から截頭略三角形状の平板9b1を裁断する事例の斜視説明図である。
上記截頭略三角形状の平板9b1は、截頭略三角形状の平板9b1の上辺と下辺の同じ側の各一点を結んだ直線9bSの外側に膨らみを持たせた形状とする。この截頭略三角形状の平板9b1の長辺9bLの膨らみ寸法は、該截頭略三角形状の平板9b1を長手一方向に曲げ加工した後、この2枚の截頭略三角形状の平板9b1の長辺9bL相互の位置が内槽と中心点を同じくする外槽屋根板の環状部分の曲率に沿う位置になり、適切な条件で溶接が可能になる寸法とする。
上記平板9b1の各長辺9bLの膨らみは、図7の事例で示す通り、上記平板9b0を長手方向にn等分し、平板9b1の上辺または下辺と水平なn個の直線L1からLnの長さを調整することにより形成することが可能である。また、図示はしないが、自在定規等を用いて平板9b1の各長辺9bLが所定の膨らみを持つよう罫書くことも可能である。
平板9b0から截頭略三角形状の平板9b1を製作する方法は、上記方法に限らず、種々の方法を採用することが可能である。
図8は、図7の截頭略三角形状の平板を曲板に加工する事例の斜視説明図である。
図8の截頭略三角形状の曲板9b2は、図7の截頭略三角形状の平板を曲率半径R3で長手一方向に沿って円弧状に曲げ加工して成形する。
上記曲板9b2の加工方法は、ベンディングロールによるロール曲げ等、種々の加工方法を採用可能である。
図9は、図8の截頭略三角形状の曲板の内面に内枠材を設ける事例の斜視説明図である。
図9は、図8の截頭略三角形状の曲板9b2内側の長手一方向中央部に曲板9b2の所定の曲率を保持する内枠材12を取付けた状態を示す。この内枠材12は、運搬時、組立時および完成後に截頭略三角形状の曲板9b2の形状を保持する目的で取り付け、アングル材やチャンネル材等の成型鋼材で形成し、曲板9b2の内側に設ける。
曲板9b2の外側に外枠材を設けても良く、板の曲率保持や補強が更に必要な場合は、複数の枠材を曲板9b2の内側または外側に配設しても良い。
上記図8および図9の截頭略三角形状の曲板9b2は、プレス加工せずに製作可能であるため、従来の半球屋根や欠球屋根と比べて、薄い板厚の鋼板で製作することが可能となり、施工費や材料費をコストダウンすることが可能である。
このように、外槽屋根板に薄板を採用することにより、スカートへの荷重負担が低減され、貯槽全体の軽量化に加えて補強構造も簡素化することが可能となる。
図10は、外槽傘形屋根の外周部屋根板を製作する手順の第2事例で、地盤15上の成型架台13上で截頭略三角形状の平板9b1を曲げ加工し、所定の曲率を維持するための外枠材14を取付けて吊り上げる状況を示す。
13は外周部屋根板と同等の曲率半径R3を有する成型架台で、縦置円筒形低温貯槽近傍の地盤15上に設置する。この成型架台13の上に截頭略三角形状の平板9b1を載置し、予め曲率半径R3に曲げ加工したアングル材やチャンネル材等の成型鋼材で形成する外枠材14を成型架台13上の前記平板9b1の上から押し当て、成型架台13上に沿わせて、前記平板9b1から円弧状の曲板9b2へ曲げ加工する。
その後、上記成型鋼材よりなる外枠材14を上記曲板9b2の外面へ溶接等で接合し、曲率半径R3を保持した上記曲板9b2を、吊り具16によって吊上げ移動し、縦置円筒形低温貯槽の外槽側板上部のトップアングル上面へ移設する。
上記施工方法は、貯槽近傍で容易に平板を曲板に加工することが可能であり、工場のロール等の作業を削減し、貯槽構築現場への板材の搬入が容易である。
外槽傘形屋根の外周部屋根板は、図7から図9に示した第1事例や図10に示した第2事例の方法、手順に限らず、種々の方法、手順で製作が可能である。
図11は、外周部屋根板を吊り上げて貯槽上部で外槽屋根を組立構築する事例を示す。
内槽の上部鏡板6の天頂部に破線で示す支持部材17を載置し、外周部屋根板9bを構成する截頭略三角形状の曲板9b2を、吊り具16によって縦置円筒形低温貯槽の外槽側板10上部に一枚ずつ吊り込み、外槽側板10のトップアングル10a上部と支持部材17上部の間にアーチ状に設置する。外周部屋根板9b全体を構築後、当該外周部屋根板9b頂部に天頂部屋根板9aを載置し、天頂部屋根板9aと外周部屋根板9bを溶接接合して外槽屋根板9全体を構築する。
このように、支持部材17を上部鏡板6上部に設けることにより、外周部屋根板9bを吊り上げて、支持部材17上部とトップアングル10a上部間に載置する際の位置合わせ
が容易になる。
支持部材17は、外槽屋根板9構築後に外槽屋根板9の補強材として使用するか、あるいは、外槽屋根板9構築後に解体・撤去しても良く、その場合はセンターマンホール(図示せず)等から搬出する。
このように、外周部屋根板9bに内枠材12または外枠材14を溶接等で接合することにより、外周部屋根板9bの運搬、吊り上げ時において、外周部屋根板9bの所定の曲率を保持することが可能となる。
外槽屋根板9構築後に上記内枠材12または外枠材14を解体撤去せずに内外槽間または外槽外面に残した場合は、上記内枠材12または外枠材14を外槽屋根板9の補強材とすることが可能となる。
また、外槽屋根の構築方法は上記工法に限らず、外槽屋根板9を地盤上で一体化形成し、吊り上げる工法等を採用することも可能である。
この発明に係る縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根だけでなく、種々サイズの貯槽や建築物の屋根に適用することが可能である。
1 内槽
2 外槽
3 保冷層
4 スカート
5 基礎
6 上部鏡板
7 中間胴板
8 下部鏡板
9 外槽屋根板
9a 天頂部屋根板
9b 外周部屋根板
9b0 平板
9b1 截頭略三角形状の平板
9b2 截頭略三角形状の曲板
9bW 外周部屋根板9b相互の溶接
9bS 平板9b1の上辺と下辺の同じ側の各一点を結んだ直線
9bL 平板9b0または曲板9b1の長辺
n 平板9b1の長手方向の等分数
L 平板9b1の上辺または下辺と水平な直線
S 長辺9bLを構成する直線
10 外槽側板
10a トップアングル
11 外槽底板
12 内枠材
13 成型架台
14 外枠材
15 地盤
16 吊り具
17 支持部材
18aW 天頂部屋根板9aの下部外周縁部と外周部屋根板9bの上部外周縁部との溶接
18bW トップアングル10a上部と外周部屋根板9b下部外周縁部との溶接

R1 内槽1の曲率半径
R2 内槽1と中心点を同じくする外槽屋根板9の環状部分の曲率半径
(隣接する外周部屋根板9bの長辺9bL相互の位置の曲率半径)
R3 外周部屋根板9b自体の曲率半径
G 外周部屋根板9b相互の突合せ継手の開先のルート間隔

Claims (3)

  1. 請求項1の発明に係る縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根は、上部鏡板と中間胴板と下部鏡板とからなる内槽と、当該内槽の外側に位置する保冷層を介して囲繞する外槽屋根板と外槽側板と外槽底板とからなる外槽を有し、上記内槽及び外槽をスカートで基礎上に支持する縦置円筒形低温貯槽において、上記外槽屋根板は、最上部分に位置する天頂部屋根板と、当該天頂部屋根板を囲む残余の環状部分に位置する外周部屋根板とからなり、当該外周部屋根板は、長手一方向に沿って円弧状に曲げ加工した截頭略三角形状の曲板で、複数の当該曲板の隣接部が前記環状部分の曲率に沿う位置となるように溶接接合して前記外周部屋根板全体を多角形の環状体となるよう形成し、前記天頂部屋根板の下部外周縁部と前記外周部屋根板の上部外周縁部を溶接接合することにより、外槽屋根板全体を多角形の傘形の外殻体に形成したことを特徴とする縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根。
  2. 上記多角形環状体の外周部屋根板を形成する截頭略三角形状の曲板は、截頭略三角形状の平板を長手一方向に沿って曲げ加工することによって、内槽を囲繞するのに必要な曲率を持つ円孤状の曲板に成形してなることを特徴とする請求項1記載の縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根。
  3. 上記多角形環状体の外周部屋根板を形成する截頭略三角形状の曲板は、截頭略三角形状の平板を曲率を有する成型架台上へ押し当て、かつ曲率を有す形鋼材等の枠材を前記平板の長手一方向に沿って取付けることによって、内槽を囲繞するのに必要な曲率を持つ円孤状の曲板に成形してなることを特徴とする請求項1記載の縦置円筒形低温貯槽の外槽傘形屋根。

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