JP2016168964A - 車両用サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイドエアバッグの展開挙動の安定化とOOP性能の向上との両立に寄与する。
【解決手段】車両用サイドエアバッグ装置10では、サイドエアバッグ20の前部側が上下に並ぶ複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aに分割されているが、これら複数の分割袋部は、それぞれティアシームS4、S5、S6、S7、S5、S6、S7によって隣同士で互いに連結されている。これにより、サイドエアバッグ20の通常の膨張展開時には、複数の分割袋部を一体的に膨張展開させることができる。一方、膨張展開する複数の分割袋部の全部又は一部が障害物に接触し、複数のティアシームの全部又は一部に対して予め設定された破断予定荷重を超える荷重が作用すると、当該全部又は一部のティアシームが破断する。これにより、障害物と接触した分割袋部が障害物を避けて膨張展開できるようになる。
【選択図】図1
【解決手段】車両用サイドエアバッグ装置10では、サイドエアバッグ20の前部側が上下に並ぶ複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aに分割されているが、これら複数の分割袋部は、それぞれティアシームS4、S5、S6、S7、S5、S6、S7によって隣同士で互いに連結されている。これにより、サイドエアバッグ20の通常の膨張展開時には、複数の分割袋部を一体的に膨張展開させることができる。一方、膨張展開する複数の分割袋部の全部又は一部が障害物に接触し、複数のティアシームの全部又は一部に対して予め設定された破断予定荷重を超える荷重が作用すると、当該全部又は一部のティアシームが破断する。これにより、障害物と接触した分割袋部が障害物を避けて膨張展開できるようになる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用サイドエアバッグ装置に関する。
下記特許文献1に記載された側突用エアバッグ装置では、エアバッグが、複数の分割袋部である腰部保護エアバッグ、胸部保護エアバッグ及び腹部保護エアバッグに分割形成されている。また、腰部及び肩部保護エアバッグの膨張展開速度は、胸部保護エアバッグの膨張展開速度よりも速く設定されている。これにより、乗員の腰部、胸部及び肩部の保護を適正に行うようにしている。
上記構成の側突用エアバッグ装置では、サイドエアバッグが複数の分割袋部に分割形成されているため、非適正位置の乗員に対する加害性を低減する性能(所謂OOP性能)の向上に寄与すると考えられる。つまり、サイドエアバッグの膨張展開領域である非適正位置に乗員が存在する状態でサイドエアバッグが膨張展開した場合、複数の分割袋部のうち、非適正位置の乗員と接触した分割袋部が、当該乗員を避けて膨張展開することにより、当該乗員が受ける影響が少なくなる。
しかしながら、非適正位置に乗員などの障害物が存在しない通常のサイドエアバッグ膨張展開時においても、複数の分割袋部がそれぞれ個別に膨張展開するため、サイドエアバッグの展開挙動が安定しなくなることが考えられる。
本発明は上記事実を考慮し、サイドエアバッグの展開挙動の安定化とOOP性能の向上との両立に寄与する車両用サイドエアバッグ装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る車両用サイドエアバッグ装置は、車両用シートのシートバックの側部に設けられ、インフレータからガス供給を受けて前記側部の車両前方側へ膨張展開すると共に、前端から後端側へ延びる複数のスリットが形成された前部側が、上下に並ぶ複数の分割袋部に分割されたサイドエアバッグと、前記複数の分割袋部を隣同士で互いに連結すると共に、予め設定された解除予定荷重を超える荷重が作用すると前記連結を解除する複数の連結部と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、車両用シートのシートバックの側部に設けられたサイドエアバッグが、インフレータからガス供給を受けて上記側部の車両前方側へ膨張展開する。このサイドエアバッグは、前端から後端側へ延びる複数のスリットが形成された前部側が上下に並ぶ複数の分割袋部に分割されているが、これら複数の分割袋部は、複数の連結部によって隣同士で互いに連結されている。これにより、サイドエアバッグの膨張展開領域である非適正位置に乗員などの障害物が存在しない通常のサイドエアバッグ膨張展開時には、複数の分割袋部を一体的に膨張展開させることができるので、サイドエアバッグの展開挙動の安定化に寄与する。
一方、膨張展開する複数の分割袋部の全部又は一部が、非適正位置に位置する障害物に接触し、複数の連結部の全部又は一部に対して予め設定された解除予定荷重を超える荷重が作用すると、当該全部又は一部の連結部が前記連結を解除する。これにより、障害物と接触した分割袋部が、障害物を避けて膨張展開できるようになるので、OOP性能の向上に寄与する。
請求項2に記載の発明に係る車両用サイドエアバッグ装置は、請求項1において、前記サイドエアバッグは、前後に仕切られた前バッグ部と後バッグ部とを有しており、前記複数の分割袋部には、前記前バッグ部を構成する複数の前バッグ分割部が含まれており、前記後バッグ部内に収容された前記インフレータから発生するガスが、前記複数の前バッグ分割部に対してそれぞれ個別のインナベントホールを通って供給される。
請求項2に記載の発明では、サイドエアバッグの後バッグ部内に収容されたインフレータから発生するガスが、サイドエアバッグの前バッグ部を構成する複数の前バッグ分割部に対して、それぞれ個別のインナベントホールを通って供給される。これにより、複数の前バッグ分割部の内圧を、後バッグ部の内圧よりも低くすることができるので、OOP性能の向上に一層寄与する。また、各前バッグ分割部の内圧を個別に調整することができるので、細かな内圧の調整が可能になり、乗員保護性能の向上に寄与する。
請求項3に記載の発明に係る車両用サイドエアバッグ装置は、請求項2において、前記後バッグ部の上部には、前記前バッグ部の上方に膨張展開し、乗員の肩部を拘束する肩拘束部が設けられており、当該肩拘束部が前記複数の分割袋部の一つを構成している。
請求項3に記載の発明では、前バッグ部(すなわち複数の分割袋部)よりも内圧が高くなる後バッグ部の上部に設けられた肩拘束部が、前バッグ部の上方に膨張展開し、乗員の肩部を拘束する。このように、乗員の身体の中で相対的に荷重耐性が高い肩部が、前バッグ部よりも高圧の肩拘束部によって拘束されるので、乗員拘束性能の向上に寄与する。しかも、この肩拘束部は、複数の分割袋部の一つを構成しているため、非適正位置の障害物に接触した場合には、前述したように障害物を避けて膨張展開する。これにより、OOP性能を向上させる効果を確保することができる。
請求項4に記載の発明に係る車両用サイドエアバッグ装置は、請求項2又は請求項3において、前記サイドエアバッグは、前記前バッグ部及び前記後バッグ部と仕切られた下バッグ部を有しており、当該下バッグ部は、前記インフレータからのガスが供給されて膨張展開し、前記前バッグ部よりも内圧が高くなり、乗員の腰部を拘束すると共に、前部側が前記複数の分割袋部の一つを構成する下側分割部とされている。
請求項4に記載の発明によれば、サイドエアバッグは、前バッグ部及び後バッグ部と仕切られた下バッグ部が、インフレータからのガス供給を受けて膨張展開する。この下バッグ部は、前バッグ部よりも内圧が高くなり、乗員の腰部を拘束する。このように、乗員の身体の中で相対的に荷重耐性が高い腰部が、前バッグ部よりも高圧の下バッグ部によって拘束されるので、乗員拘束性能の向上に寄与する。しかも、この下バッグ部の前部側を構成する下側分割部は、複数の分割袋部の一つを構成しているため、非適正位置の障害物に接触した場合には、障害物を避けて膨張展開する。これにより、OOP性能を向上させる効果を確保することができる。
請求項5に記載の発明に係る車両用サイドエアバッグ装置は、請求項3を引用する請求項4において、前記肩拘束部に隣接する前記前バッグ分割部、及び前記下側分割部に隣接する前記前バッグ分割部のうち少なくとも一方には、アウタベントホールが形成されている。
請求項5に記載の発明では、後バッグ部の肩拘束部に隣接する前バッグ分割部、及び下側分割部に隣接する前バッグ分割部のうちの少なくとも一方の内圧を、アウタベントホールからのガスの排気によって低下させることができる。その結果、前バッグ部よりも高圧になる肩拘束部及び下側分割部(腰拘束部)のうちの少なくとも一方が、非適正位置の障害物と接触した際に、当該少なくとも一方の拘束部が障害物を避けて膨張展開し易くなる。
以上説明したように、本発明に係る車両用サイドエアバッグ装置では、サイドエアバッグの展開挙動の安定化とOOP性能の向上との両立に寄与する。
<第1の実施形態>
本発明の第1実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置10について、図1〜図7を用いて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両の前方向(進行方向)、上方向、車両幅方向の外方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
本発明の第1実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置10について、図1〜図7を用いて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両の前方向(進行方向)、上方向、車両幅方向の外方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
(構成)
図1及び図2に示されるように、本第1実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置10は、車両用シート12のシートバック14(図2では図示省略)における車両幅方向外側のサイド部14A(車両幅方向外側の側部:以下、単に「外側サイド部14A」と称する)に搭載されている。この車両用シート12は、ここでは自動車の左側に配置されている。シートバック14の下端部は、シートクッション16の後端部に周知のリクライニング機構(図示省略)を介して傾倒可能に連結されており、シートバック14の上端部にはヘッドレスト18が連結されている。
図1及び図2に示されるように、本第1実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置10は、車両用シート12のシートバック14(図2では図示省略)における車両幅方向外側のサイド部14A(車両幅方向外側の側部:以下、単に「外側サイド部14A」と称する)に搭載されている。この車両用シート12は、ここでは自動車の左側に配置されている。シートバック14の下端部は、シートクッション16の後端部に周知のリクライニング機構(図示省略)を介して傾倒可能に連結されており、シートバック14の上端部にはヘッドレスト18が連結されている。
なお、本実施形態では、車両用シート12の前後方向、左右方向(幅方向)及び上下方向は、自動車の前後方向、左右方向(幅方向)及び上下方向と一致している。また、図1では、車両用シート12には実際の乗員の代わりに、衝突試験用のダミーPが着座している。このダミーPは、例えば、WorldSID(国際統一側面衝突ダミー;World Side Impact Dummy)のAM50(米国人成人男性の50パーセンタイル)である。以下、説明をわかり易くするため、ダミーPを「乗員P」と称する。
図1〜図3に示されるように、サイドエアバッグ装置10は、サイドエアバッグ20と、サイドエアバッグ20内でガスを発生させるインフレータ(ガス発生装置)22と、インフレータ22から発生するガスを整流する整流布24とを備えている。先ず、車両用サイドエアバッグ装置10の全体構成の概略について説明し、次いで、本実施形態の要部について説明する。
サイドエアバッグ20は、通常時には、折り畳まれてインフレータ22等と共にモジュール化された状態で外側サイド部14Aの内部に収納(格納)されている。このサイドエアバッグ20は、インフレータ22が作動した際には、インフレータ22から発生するガスの圧力で乗員Pと車体側部(ここではサイドドア26のドアトリム28)との間に膨張展開する(図1〜図3の図示状態)。この膨張展開の際には、外側サイド部14Aに配設されたシートバックパッド及びシート表皮がサイドエアバッグ20の膨張圧を受けて破断される構成になっている。なお、以下の説明に記載するサイドエアバッグ20の前後上下の方向は、特に断りのない限り、サイドエアバッグ20が膨張展開した状態での方向を示すものであり、シートバック14の前後上下の方向と略一致している。
サイドエアバッグ20は、例えばナイロン系又はポリエステル系の布材を切り出して形成された1枚の基布30が二つ折りにされると共に、縫製部S1(図2、図4〜7では図示省略)において周縁部を縫製されることにより袋状に形成されている。このサイドエアバッグ20は、図1及び図3に示されるように膨張展開状態を側方から視た場合に、シートバック14の上下方向に沿って長尺な略長円形状を成すように形成されている。このサイドエアバッグ20は、乗員Pの肩部S、胸部C、腹部B及び腰部Lを拘束可能な大きさに設定されている。なお、図1、図2、図5、図6等においては、乗員Pの上腕部に符号Aを付している。
インフレータ22及び整流布24は、サイドエアバッグ20内の後端部に収容されている。整流布24は、ディフューザ又はインナチューブとも称されるものであり、基布30と同様の布材によって筒状に縫製されている。この整流布24は、軸線方向がシートバック14の上下方向に沿う姿勢でサイドエアバッグ20内の後端部に配置されている。インフレータ22は、所謂シリンダータイプのインフレータであり、円柱状に形成されている。このインフレータ22は、軸線方向がシートバック14の上下方向に沿う姿勢でサイドエアバッグ20内に配設されており、整流布24の内側に収容されている。
インフレータ22の外周部からは、車両用シート12の幅方向内側へ向けて上下一対のスタッドボルト(図示省略)が突出している。これらのスタッドボルトは、サイドエアバッグ20の基布30及び整流布24を貫通すると共に、シートバックフレーム15のサイドフレーム15Aを貫通しており、先端側にナット(図示省略)が螺合している。これにより、インフレータ22がサイドエアバッグ20及び整流布24と共にサイドフレーム15Aに締結固定(所謂側面締め)されている。なお、インフレータ22の外周部から車両後方側へ突出した上下のスタッドボルトが、サイドフレーム15Aに固定されたブラケットを貫通してナットに螺合される構成(所謂背面締め)にしてもよい。
インフレータ22には、図1に示されるように、車両に搭載された側突ECU32が電気的に接続されている。この側突ECU32には、側面衝突を検知する側突センサ34が電気的に接続されている。側突ECU32は、側突センサ34からの信号に基づいて側面衝突(の不可避)を検知した際にインフレータ22を作動(起動)させる構成とされている。なお、側突ECU32に側面衝突を予知(予測)するプリクラッシュセンサが電気的に接続されている場合には、プリクラッシュセンサからの信号に基づいて側突ECU32が側面衝突を予知した際にインフレータ22が作動される構成にしてもよい。
インフレータ22が作動すると、インフレータ22の軸線方向一端部(ここでは下端部)に設けられたガス噴出部22Aからガスが噴出される。ガス噴出部22Aから噴出されたガスは、整流布24の上端開口24A及び下端開口24Bからサイドエアバッグ20内に噴出される。これにより、サイドエアバッグ20が外側サイド部14Aの車両前方側へ膨張展開する構成になっている。次に、本実施形態の要部について説明する。
(本実施形態の要部)
本実施形態では、サイドエアバッグ20の前部側が、暖簾状に形成されており、複数の独立チャンバー(分割袋部)に分割されている。具体的には、図1〜図3に示されるように、上述したサイドエアバッグ20の前部側には、複数のスリットとしての第1〜第4スリット36、38、40、42が形成されている。これら第1〜第4スリット36、38、40、42は、サイドエアバッグ20の前端から後端側へ延びており、サイドエアバッグ20の上下方向に並んでいる。これらのスリット36、38、40、42の縁部は、前述した縫製部S1によって縫製されている。
本実施形態では、サイドエアバッグ20の前部側が、暖簾状に形成されており、複数の独立チャンバー(分割袋部)に分割されている。具体的には、図1〜図3に示されるように、上述したサイドエアバッグ20の前部側には、複数のスリットとしての第1〜第4スリット36、38、40、42が形成されている。これら第1〜第4スリット36、38、40、42は、サイドエアバッグ20の前端から後端側へ延びており、サイドエアバッグ20の上下方向に並んでいる。これらのスリット36、38、40、42の縁部は、前述した縫製部S1によって縫製されている。
上記第1〜第4スリット36、38、40、42が形成されることにより、サイドエアバッグ20の前部側が、サイドエアバッグ20の膨張展開状態で上下に並ぶ複数の分割袋部(後述する肩拘束部48A、第1前バッグ分割部46A、第2前バッグ分割部46B、第3前バッグ分割部46C、及び下側分割部50A)に分割されている。
一番上の第1スリット36は、サイドエアバッグ20の前後方向(シートバック14の前後方向)に対して前上がりに傾斜している。上から2番目と3番目の第2スリット38及び第3スリット40は、サイドエアバッグ20の前後方向に沿って延びている。一番下の第4スリット42は、サイドエアバッグ20の前後方向に対して僅かに前下がりに傾斜している。
また、上記の第1〜第4スリット36、38、40、42の各後端部は、サイドエアバッグ20の膨張展開状態において、外側サイド部14Aの前端ライン(所謂カマチ部)の付近に位置するように、サイドエアバッグ20の前後方向中央付近に設定されている。サイドエアバッグ20の前後方向中央部には、サイドエアバッグ20の上下方向に延びる縫製部S2が設定されている。この縫製部S2は、第1〜第4スリット36、38、40、42の各後端部をサイドエアバッグ20の上下方向に結ぶように延びている。この縫製部S2によって二つ折りにされた基布30が縫製されている。この縫製部S2と第1スリット36とによって、サイドエアバッグ20が前バッグ部46と後バッグ部48とに仕切られている。
さらに、第4スリット42の後端部と、整流布24の下端部との間には、縫製部S3が設定されている。この縫製部S3は、第4スリット42をサイドエアバッグ20の後端側へ延長するように延びている。この縫製部S3によって二つ折りにされた基布30が縫製されている。この縫製部S3と第4スリット42とによって、サイドエアバッグ20が前バッグ部46及び後バッグ部48と、下バッグ部50とに仕切られている。
前バッグ部46は、第2スリット38及び第3スリット40によって、複数の前バッグ分割部としての第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46Cに分割されている。これら第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46Cは、前述した「複数の分割袋部」に含まれている。
第3前バッグ分割部46Cの前端部においては、縫製部S1が一部で省略(上下に分割)されている。これにより、第3前バッグ分割部46Cの前端部にアウタベントホール52が形成されている。このアウタベントホール52によって第3前バッグ分割部46C内とサイドエアバッグ20外とが相互に連通されている。
また、図3に示されるように、前バッグ部46と後バッグ部48との間に設定された縫製部S2は、第1〜第4縫製部S21、S22、S23、S24(図1、図4、図5では符号省略)に分割されている。第1縫製部S21と第2縫製部S22との間には、第1インナベントホール54が形成されている。この第1インナベントホール54によって第1前バッグ分割部46A内と後バッグ部48内とが相互に連通されている。
また、第2縫製部S22と第3縫製部S23との間には、第2インナベントホール56が形成されている。この第2インナベントホール56によって第2前バッグ分割部46B内と後バッグ部48内とが相互に連通されている。同様に、第3縫製部S23と第4縫製部S24との間には、第3インナベントホール58が形成されている。この第3インナベントホール58によって第3前バッグ分割部46C内と後バッグ部48内とが相互に連通されている。
後バッグ部48内の後端部には、インフレータ22及び整流布24が収容されている。整流布24の上端開口24Aは、後バッグ部48内の上部で開口している。後バッグ部48の上部には、サイドエアバッグ20の膨張展開状態で車両前方側へ延びる肩拘束部(前延肩拘束部)48Aが設けられている。この肩拘束部48Aは、複数の前バッグ分割部の一つである第1前バッグ分割部46Aと隣接している。この肩拘束部48Aは、第1スリット36によって第1前バッグ分割部46Aと分割されており、前バッグ部46の上方へ膨張展開する。この肩拘束部48Aは、前述した「複数の分割袋部」の一つを構成している。
また、整流布24の下端部は、下バッグ部50内に突出しており、整流布24の下端開口24Bを介して整流布24内と下バッグ部50内とが連通されている。この整流布24において、下バッグ部50内に突出した部分は、逆止弁25を構成している。
また、下バッグ部50の前部側は、複数の前バッグ分割部の一つである第3前バッグ分割部46Cと隣接しており、第4スリット42によって第3前バッグ分割部46Cと分割された下側分割部50Aとされている。この下側分割部50Aは、前述した「複数の分割袋部」の一つを構成している。以下、必要に応じて、肩拘束部48A、第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46C、及び下側分割部50Aを、複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aと称する。
上記複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aは、複数の連結部としての複数(ここでは4つ)のティアシームS4、S5、S6、S7によって、各前端部(各先端部)が隣同士で互いに連結(縫製)されている。これらのティアシームS4、S5、S6、S7は、脆弱な縫製部であり、予め設定された解除予定荷重(以下、「破断予定荷重」と称する)を超える荷重が作用すると破断し、上記の連結を解除する構成になっている。
具体的には、複数のティアシームS4、S5、S6、S7は、サイドエアバッグ20が通常通りに膨張展開する際には破断しない程度の強度を備えている。一方、サイドエアバッグ20の膨張展開領域に障害物が存在し、膨張展開する複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aの全部又は一部が上記の障害物に干渉した際には、複数のティアシームS4、S5、S6、S7のうち、破断予定荷重を超える荷重を受けたものが破断されるように構成されている。
なお、連結部は、ティアシームS4、S5、S6、S7に限らず、適宜変更することができる。例えば、第1〜第4スリット36、38、40、42を跨いだ状態で基布30に縫製された複数の脆弱な布片が、複数の連結部とされた構成にしてもよい。また例えば、前記複数の布片が基布30の一部とされた(基布30と一体とされた)構成にしてもよい。また例えば、複数の連結部としての複数の面ファスナーによって、複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aを隣接同士で互いに連結する構成してもよい。
上記構成のサイドエアバッグ20では、インフレータ22のガス噴出部22Aから噴出されるガス(図3の矢印G1参照)が、整流布24の上端開口24Aから後バッグ部48内の上部側へ噴出される。また、ガス噴出部22Aから噴出されるガス(図3の矢印G2参照)は、整流布24の下端開口24Bから下バッグ部50内に噴出される。さらに、後バッグ部48内に噴出されたガスは、第1〜第3インナベントホール54、56、58を通って、第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46C内(すなわち前バッグ部46内)に供給される(図3の矢印G3、G4、G5参照)。
これにより、前バッグ部46、後バッグ部48及び下バッグ部50(すなわちサイドエアバッグ20)が乗員Pとドアトリム28との間へ膨張展開する。この膨張展開状態では、縫製部S2が乗員Pの胸部C及び腹部Bの前後方向中央部に沿ってシートバック上下方向に延在する。これにより、前バッグ部46によって乗員Pの胸部C及び腹部Bの前部(前半部)が拘束され、後バッグ部48によって乗員Pの胸部C及び腹部Bの後部(後半部)が拘束される。
また、この膨張展開状態では、第1スリット36が乗員Pの脇の下辺りから車両前方斜め上方へ延びる。これにより、後バッグ部48の肩拘束部48Aによって乗員Pの肩部Sが拘束される。さらに、この膨張展開状態では、第4スリット42と縫製部S3とが乗員Pのウエスト付近に沿って車両前後方向に延在する。これにより、下バッグ部50によって乗員Pの腰部Lが拘束される。
また、サイドエアバッグ20が膨張展開する際には、上記のように後バッグ部48内のガスが第1〜第3インナベントホール54、56、58を通って、第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46C内に供給される。これにより、サイドエアバッグ20の膨張展開初期には、後バッグ部48の内圧が、前バッグ部46の内圧(第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46Cの各内圧)よりも高くなる。
また、インフレータ22がガス案内手段である整流布24内に収容されていること、及び、インフレータ22のガス噴出部22Aがインフレータ22の下端部に設けられていることにより、整流布24の下端開口24Bから下バッグ部50内にガスが優先的に供給される。これにより、サイドエアバッグ20の膨張展開初期において、下バッグ部50の内圧が後バッグ部48の内圧よりも高くなる。つまり、本実施形態では、前バッグ部46の内圧P1が低圧、後バッグ部48の内圧P2が中圧、下バッグ部50の内圧P3が高圧になるように構成されている(P1<P2<P3)。
さらに、下バッグ部50内にガスが供給されることにより、下バッグ部50の内圧が予め設定された値以上になると、整流布24の下端部によって構成された逆止弁25が下バッグ部50の内圧によって押し潰されるようになっている。これにより、下バッグ部50内から後バッグ部48内へのガスの流れが制限される。その結果、乗員Pの拘束初期から拘束後期にかけて、下バッグ部50の内圧が前バッグ部46及び後バッグ部48の内圧よりも高い状態に維持されるようになっている。
なお、上記の前バッグ部46、後バッグ部48、及び下バッグ部50の各内圧の関係は、各内圧の最大値を比較した場合の関係である。また、下バッグ部50と後バッグ部48との各内圧の関係は上記に限るものではなく、下バッグ部50の内圧が後バッグ部48の内圧と同等になる構成にしてもよいし、後バッグ部48の内圧が下バッグ部50の内圧よりも高くなる構成にしてもよい。
(作用及び効果)
次に、本第1実施形態の作用及び効果について説明する。
次に、本第1実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の車両用サイドエアバッグ装置10では、側突ECU32が側突センサ34からの信号により側面衝突を検知すると、当該側突ECU32によってインフレータ22が作動される。すると、インフレータ22から噴出されるガスがサイドエアバッグ20内に供給され、サイドエアバッグ20が外側サイド部14Aの車両前方側へ膨張展開する。
このサイドエアバッグ20は、前端から後端側へ延びる第1〜第4スリット36、38、40、42が形成された前部側が、上下に並ぶ複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aに分割されている。そして、これら複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aの前端部が、複数のティアシームS4、S5、S6、S7によって隣同士で互いに連結されている。このため、サイドエアバッグ20の膨張展開領域である非適正位置に乗員などの障害物が存在しない通常のサイドエアバッグ膨張展開時には、複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aを一体的に膨張展開させることができる。これにより、サイドエアバッグ20の展開挙動の安定化に寄与する。
一方、膨張展開する複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aの全部又は一部が、非適正位置に位置する障害物62(図4参照)に接触し、複数のティアシームS4、S5、S6、S7の全部又は一部に対して予め設定された破断予定荷重を超える荷重が作用すると、ティアシームS4、S5、S6、S7の全部又は一部のが破断する。これにより、障害物62と接触した分割袋部(図4に示される例では、第2前バッグ分割部46B及び第3前バッグ分割部46C)が、障害物62を避けて上方又は下方に膨張展開できるようになる。これにより、OOP性能の向上に寄与する。
このように、本実施形態では、サイドエアバッグ20の展開挙動の安定化と、OOP性能の向上との両立に寄与する。しかも、本実施形態では、OOP性能が向上するため、インフレータ22の出力を増加させた場合でも、OOP性能を確保することが可能になる。その結果、サイドエアバッグ20の拘束性能及び展開性能の向上に寄与する。
つまり、図8に示される車両用サイドエアバッグ装置70(以下、比較例70と称する)のように、サイドエアバッグ72の前部側が、上下に並ぶ複数の分割袋部に分割されていない構成の場合、高出力のインフレータを用いると、OOP性能が低下してしまう。このため、高出力のインフレータを用いることにより、サイドエアバッグ72の圧縮拘束力(圧縮反力;図8の矢印RF2参照)を高めてエネルギ吸収量を増加させることや、サイドエアバッグ72の展開速度を高めることが困難になる。これに対し、本実施形態では、上述のようにインフレータ22の高出力化が可能であるため、サイドエアバッグ20の圧縮拘束力(図2の矢印RF1参照)を比較例70と同等以上に確保することができると共に、サイドエアバッグ20の展開速度を高めることができる。その結果、乗員保護性能の向上に寄与する。
特に、側面衝突の相手車両が所謂SUVのようにバンパーが高い位置にある車両であり、且つ側面衝突の衝突速度が速い場合(例えば、時速60キロメートル程度である場合)などには、サイドドア等の車体側部が車両内側へ侵入してくる速度が速くなる。このため、インフレータの高出力化やサイドエアバッグの大型化によって、乗員保護性能を向上させることが必要になる。この点、上記の比較例70では、インフレータの高出力化がOOP性能の低下にダイレクトにつながってしまうが、本実施形態ではインフレータの高出力化に伴うOOP性能の低下を回避することができる。その結果、上記のようにSUVが高速度で側面衝突してきた場合などにおいても、良好な乗員保護性能を得ることが可能になる。
また、上記のようにサイドドア等の車体側部が車両内側へ侵入してくる速度が速い場合、乗員と車体側部との間の隙間が衝突初期に狭くなるため、当該狭い隙間にサイドエアバッグを膨張展開させることが困難になる場合がある。例えば、上記の比較例70では、図9〜図11に示されるように、膨張展開するサイドエアバッグ72の一部が、車両内側へ侵入してくるドアトリム28のアームレスト部28Aの後端部に引っ掛かる可能性がある。そのような場合、サイドエアバッグ72の全体に展開不良が生じてしまう。
これに対し、本実施形態では、サイドエアバッグ20が膨張展開する際に、複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aのうちの一部がアームレスト部28Aの後端部に干渉した場合、当該一部の分割袋部と隣の分割袋部とを連結したティアシームが破断される。図5〜図7に示される例では、第2前バッグ分割部46Bがアームレスト部28Aの後端部に干渉することにより、ティアシームS5、S6が破断される。これにより、第2前バッグ分割部46Bが、アームレスト部28Aを避けて車両幅方向内側へ膨張展開できるようになり、他の分割袋部48A、46A、46C、50Aが、通常通りに膨張展開可能になる。これにより、比較例70のようなサイドエアバッグ72の展開不良を防止することができる。なお、図6では、第2前バッグ分割部46Bを認識し易くするために、第2前バッグ分割部46Bにドットを付しており、図7では、Bピラーに符号29を付している。
また、本実施形態では、サイドエアバッグ20の複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aを隣同士で互いに連結した複数の連結部が、ティアシームS4、S5、S6、S7とされている。これにより、複数の連結部を簡単な構成にすることができる。
また、本実施形態では、サイドエアバッグ20は、前後に仕切られた前バッグ部46と後バッグ部48とを有しており、複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aには、前バッグ部46を構成する第1〜第3の前バッグ分割部46A、46B、46Cが含まれている。これら第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46Cには、後バッグ部48内に収容されたインフレータ22から発生するガスが、それぞれ個別のインナベントホール54、56、58を通って供給される。これにより、第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46Cの内圧を、後バッグ部48の内圧よりも低くすることができるので、OOP性能の向上に一層寄与する。また、各前バッグ分割部46A、46B、46Cの内圧を個別に調整することができるので、細かな内圧の調整が可能になり、乗員拘束性能の向上に寄与する。
さらに、本実施形態では、前バッグ部46(すなわち第1〜第3前バッグ分割部46A、46B、46C)よりも内圧が高くなる後バッグ部48の上部に設けられた肩拘束部48Aが、前バッグ部46の上方に膨張展開し、乗員Pの肩部Sを拘束する。このように、乗員Pの身体の中で相対的に荷重耐性が高い肩部Sが、前バッグ部46よりも高圧の肩拘束部48Aによって拘束されるので、乗員拘束性能の向上に寄与する。しかも、この肩拘束部48Aは、複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aの一つを構成しているため、非適正位置の障害物62に接触した場合には、前述したように障害物62を避けて膨張展開する。これにより、OOP性能を向上させる効果を確保することができる。
また、本実施形態では、サイドエアバッグ20は、前バッグ部46及び後バッグ部48と仕切られた下バッグ部50が、インフレータ22からのガス供給を受けて膨張展開する。この下バッグ部50は、前バッグ部46よりも内圧が高くなり、乗員Pの腰部Lを拘束する。このように、乗員Pの身体の中で相対的に荷重耐性が高い腰部Lが、前バッグ部46よりも高圧の下バッグ部50によって拘束されるので、乗員拘束性能の向上に寄与する。しかも、この下バッグ部50の前部側を構成する下側分割部50Aは、複数の分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aの一つを構成しているため、非適正位置の障害物62に接触した場合には、障害物62を避けて膨張展開する。これにより、OOP性能を向上させる効果を確保することができる。
さらに、本実施形態では、乗員Pの胸部C及び腹部Bの前部を拘束する前バッグ部46の内圧P1と、乗員Pの肩部Sと胸部C及び腹部Bの後部とを拘束する後バッグ部48の内圧P2と、乗員Pの腰部Lを拘束する下バッグ部50の内圧P3とにおいて、P1<P2<P3の関係が成立している。これにより、人体の荷重耐性値に適した拘束力により、乗員Pの肩部Sから腰部Lまでを適切に拘束することができる。
また、本実施形態では、下側分割部50Aに隣接する第3前バッグ分割部46Cに、アウタベントホール52が形成されている。これにより、このアウタベントホール52から第3前バッグ分割部46内のガスが排気されることにより(図3の矢印G6参照)、第3前バッグ分割部46Cの内圧を低下させる(極低圧にする)ことができる。その結果、高圧の下側分割部50Aが非適正位置の障害物62と接触した際に、当該下側分割部50Aが障害物62を避けて膨張展開し易くなる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
<第2の実施形態>
図12には、本発明の第2実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置80が図1に対応した側面図にて示されている。また、図13には、図12のF13−F13線に沿った切断面が断面図にて示されている。この車両用サイドエアバッグ装置80では、前記第1実施形態に係るアウタベントホール52が省略されている。その代わりに、第1前バッグ分割部46Aの前端部にアウタベントホール82が形成されている。このアウタベントホール82によって第1前バッグ分割部46A内と、サイドエアバッグ20外とが相互に連通されている。上記以外の構成は第1実施形態と同様である。なお、図13では、第1前バッグ分割部46Aを認識し易くするために、第1前バッグ分割部46Aにドットを付している。
図12には、本発明の第2実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置80が図1に対応した側面図にて示されている。また、図13には、図12のF13−F13線に沿った切断面が断面図にて示されている。この車両用サイドエアバッグ装置80では、前記第1実施形態に係るアウタベントホール52が省略されている。その代わりに、第1前バッグ分割部46Aの前端部にアウタベントホール82が形成されている。このアウタベントホール82によって第1前バッグ分割部46A内と、サイドエアバッグ20外とが相互に連通されている。上記以外の構成は第1実施形態と同様である。なお、図13では、第1前バッグ分割部46Aを認識し易くするために、第1前バッグ分割部46Aにドットを付している。
この実施形態では、肩拘束部48Aに隣接する第1前バッグ分割部46Aの内圧を、アウタベントホール82からのガスの排気によって低下させる(極低圧にする)ことができる。その結果、前バッグ部46よりも高圧の肩拘束部48Aが、非適正位置の障害物と接触した際に、肩拘束部48Aが障害物を避けて膨張展開し易くなる。
しかも、この実施形態では、乗員Pの上腕部Aの高さに膨張展開する第1前バッグ分割部46Aの内圧を、極低圧にすることができるので、第1前バッグ分割部46Aの圧縮反力が上腕部Aを介して胸部Cに伝わることを抑制できる。これにより、胸部Cが受ける負荷を軽減することができる。
また、この実施形態では、第2スリット38の高さを調整することにより、第2前バッグ分割部46Bによる上腕部Aの押し上げ効果を促進することができる。つまり、膨張展開した第2前バッグ分割部48Bの上部に形成される湾曲面が、上腕部Aの下面に接するように第2スリット38の高さを設定すれば、上記湾曲面との摺接によって上腕部Aを上方へ押し上げることが可能になる。それにより、第1前バッグ分割部46Aと胸部Cとの間に上腕部Aが介在しないようにすることができるので、胸部Cの負荷軽減に寄与する。
<第3の実施形態>
図14には、本発明の第3実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置90が図2に対応した側面図にて示されている。この実施形態では、前記第1実施形態に係る整流布24が省略されている。その代わりに、後バッグ部48には、上下一対のガス案内縫製部S8、S9が設けられている。これらのガス案内縫製部S8、S9によって二つ折りにされた基布30が縫製されている。
図14には、本発明の第3実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置90が図2に対応した側面図にて示されている。この実施形態では、前記第1実施形態に係る整流布24が省略されている。その代わりに、後バッグ部48には、上下一対のガス案内縫製部S8、S9が設けられている。これらのガス案内縫製部S8、S9によって二つ折りにされた基布30が縫製されている。
上側のガス案内縫製部S8は、インフレータ22の上端部の前方近傍からサイドエアバッグ20の前方側かつ上方側へ延びており、前端部が肩拘束部48Aの下端部の後方近傍に位置している。下側のガス案内縫製部S9は、インフレータ22の下端部の前方近傍からサイドエアバッグ20の前方側かつ下方側へ延びており、前端部が前バッグ部46の下端部の後方近傍に位置している。これらのガス案内縫製部S8、S9によって、インフレータ22からのガスが、肩拘束部48A及び下バッグ部50に案内される構成になっている。つまり、これらのガス案内縫製部S8、S9は、整流布24の代わりにガス案内手段として機能し、肩拘束部48A及び下バッグ部50にガスを優先的に案内する。
これらのガス案内縫製部S8、S9は、ティアシーム(脆弱な縫製部)であり、インフレータ22から発生するガスによって、後バッグ部48の内圧が予め設定された値以上に上昇すると破断される。そして、これらのガス案内縫製部S8、S9が破断されることにより、後バッグ部48の車両幅方向の膨張厚が拡大される構成になっている。
この実施形態では、上記のように、インフレータ22から噴出されるガスが、ガス案内縫製部S8、S9によって後バッグ部48の肩拘束部48A及び下バッグ部50に案内される。これにより、整流布24が省略された構成であっても、肩拘束部48A及び下バッグ部50(腰拘束部)を、乗員Pの肩部S及び腰部Lの側方へ早期に展開させることができるので、製造コストの低コスト化が図れる。
しかも、これらのガス案内縫製部S8、S9によって後バッグ部48の車両幅方向の膨張が抑制されるため、後バッグ部48の展開初期の膨張速度を向上させることができると共に、肩部S及び腰部Lとドアトリム28との間の狭い隙間への後バッグ部48の展開性能を向上させることができる。さらに、ガス案内縫製部S8、S9が後バッグ部の内圧上昇によって破断されることにより、後バッグ部48の車両幅方向の膨張厚が拡大される。これにより、後バッグ部48の衝撃吸収ストロークを良好に確保することができる。
<実施形態の補足説明>
前記各実施形態では、サイドエアバッグ20は、一枚の基布30が二つ折りにされて周縁部を縫製された構成にしたが、本発明はこれに限らず、サイドエアバッグの製造方法は適宜変更可能である。例えば、二枚の基布が重ね合わされて周縁部を縫製される構成にしてもよい。また、所謂OPW(One Piece Woven)によってサイドエアバッグが製造される構成にしてもよい。
前記各実施形態では、サイドエアバッグ20は、一枚の基布30が二つ折りにされて周縁部を縫製された構成にしたが、本発明はこれに限らず、サイドエアバッグの製造方法は適宜変更可能である。例えば、二枚の基布が重ね合わされて周縁部を縫製される構成にしてもよい。また、所謂OPW(One Piece Woven)によってサイドエアバッグが製造される構成にしてもよい。
また、前記各実施形態において、縫製部S2、S3の代わりに、サイドエアバッグ20にテザー(仕切布;隔壁)を設けてもよい。それにより、サイドエアバッグ20の車両幅方向の膨張厚を拡大することができるので、サイドエアバッグ20の衝撃吸収ストロークを増加させることができる。
また、前記各実施形態では、サイドエアバッグ20が前バッグ部46と後バッグ部48と下バッグ部50とに仕切られた構成にしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、縫製部S2、S3の一方又は両方が省略された構成にしてもよい。
また、前記各実施形態では、第3前バッグ分割部46C又は第1前バッグ分割部46Aにアウタベントホール52又は82が設けられた構成にしたが、本発明はこれに限らず、アウタベントホールが、第3前バッグ分割部46及び第1前バッグ分割部46Aの両方に設けられた構成にしてもよい。また、アウタベントホールが第2前バッグ分割部46Bに形成された構成にしてもよいし、アウタベントホールが後バッグ部及び下バッグ部の少なくとも一方に形成された構成にしてもよい。
また、前記各実施形態では、サイドエアバッグ20の前部側が5つの分割袋部48A、46A、46B、46C、50Aに分割された構成にしたが、本発明はこれに限らず、分割袋部の数は適宜変更可能である。但し、分割袋部の数が多い場合には、車両幅方向の膨張厚を確保し難くなり、分割袋部の数が少ない場合には、OOP性能を向上させる効果が少なくなる。このため、分割袋部の数は、4つから6つの範囲が好ましく、5つが最も好ましい。
また、前記各実施形態では、車両用サイドエアバッグ装置10、80、90が、シートバック14の外側サイド部14A(車両幅方向外側の側部)に搭載された構成にしたが、これに限るものではない。本発明に係る車両用サイドエアバッグ装置が、シートバックの車両幅方向中央側の側部に搭載された構成にしてもよい。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
10 車両用サイドエアバッグ装置
12 車両用シート
14 シートバック
14A 外側サイド部(側部)
20 サイドエアバッグ
22 インフレータ
36 第1スリット
38 第2スリット
40 第3スリット
42 第4スリット
46 前バッグ
46A 前バッグ分割部(分割袋部)
46B 前バッグ分割部(分割袋部)
46C 前バッグ分割部(分割袋部)
48 後バッグ部
48A 肩拘束部(分割袋部)
50 下バッグ部
50A 下側分割部(分割袋部)
52 アウタベントホール
54 第1インナベントホール
56 第2インナベントホール
58 第3インナベントホール
S4、S5、S6、S7 ティアシーム(連結部)
80 車両用サイドエアバッグ装置
82 アウタベントホール
90 車両用サイドエアバッグ装置
12 車両用シート
14 シートバック
14A 外側サイド部(側部)
20 サイドエアバッグ
22 インフレータ
36 第1スリット
38 第2スリット
40 第3スリット
42 第4スリット
46 前バッグ
46A 前バッグ分割部(分割袋部)
46B 前バッグ分割部(分割袋部)
46C 前バッグ分割部(分割袋部)
48 後バッグ部
48A 肩拘束部(分割袋部)
50 下バッグ部
50A 下側分割部(分割袋部)
52 アウタベントホール
54 第1インナベントホール
56 第2インナベントホール
58 第3インナベントホール
S4、S5、S6、S7 ティアシーム(連結部)
80 車両用サイドエアバッグ装置
82 アウタベントホール
90 車両用サイドエアバッグ装置
Claims (5)
- 車両用シートのシートバックの側部に設けられ、インフレータからガス供給を受けて前記側部の車両前方側へ膨張展開すると共に、前端から後端側へ延びる複数のスリットが形成された前部側が、上下に並ぶ複数の分割袋部に分割されたサイドエアバッグと、
前記複数の分割袋部を隣同士で互いに連結すると共に、予め設定された解除予定荷重を超える荷重が作用すると前記連結を解除する複数の連結部と、
を備えた車両用サイドエアバッグ装置。 - 前記サイドエアバッグは、前後に仕切られた前バッグ部と後バッグ部とを有しており、
前記複数の分割袋部には、前記前バッグ部を構成する複数の前バッグ分割部が含まれており、
前記後バッグ部内に収容された前記インフレータから発生するガスが、前記複数の前バッグ分割部に対してそれぞれ個別のインナベントホールを通って供給される請求項1に記載の車両用サイドエアバッグ装置。 - 前記後バッグ部の上部には、前記前バッグ部の上方に膨張展開し、乗員の肩部を拘束する肩拘束部が設けられており、
当該肩拘束部が前記複数の分割袋部の一つを構成している請求項2に記載の車両用サイドエアバッグ装置。 - 前記サイドエアバッグは、前記前バッグ部及び前記後バッグ部と仕切られた下バッグ部を有しており、
当該下バッグ部は、前記インフレータからのガスが供給されて膨張展開し、前記前バッグ部よりも内圧が高くなり、乗員の腰部を拘束すると共に、前部側が前記複数の分割袋部の一つを構成する下側分割部とされている請求項2又は請求項3に記載の車両用サイドエアバッグ装置。 - 前記肩拘束部に隣接する前記前バッグ分割部、及び前記下側分割部に隣接する前記前バッグ分割部のうち少なくとも一方には、アウタベントホールが形成されている請求項3を引用する請求項4に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015051024A JP2016168964A (ja) | 2015-03-13 | 2015-03-13 | 車両用サイドエアバッグ装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018144593A (ja) * | 2017-03-03 | 2018-09-20 | 三菱自動車工業株式会社 | センターエアバッグ装置 |
JP2018149992A (ja) * | 2017-03-14 | 2018-09-27 | 三菱自動車工業株式会社 | センターエアバッグ装置 |
-
2015
- 2015-03-13 JP JP2015051024A patent/JP2016168964A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018144593A (ja) * | 2017-03-03 | 2018-09-20 | 三菱自動車工業株式会社 | センターエアバッグ装置 |
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