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JP2016164280A - ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物および空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】耐磨耗性およびグリップ性能をともに高いレベルにまで向上せしめ、かつ、加工性においても優れた特性を示す、分枝共役ジエン共重合体を含んでなるタイヤ用ゴム組成物、および、該タイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】ファルネセン1〜99重量%と1,3−ブタジエン0重量%超〜99重量%未満とスチレン0重量%超〜99重量%未満とを共重合して得られる分枝共役ジエン共重合体と、天然ゴムとからなるゴム成分を含んでなるゴム組成物であって、ゴム成分における分枝共役ジエン重合体の配合量が30重量%以上であるゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、分枝共役ジエン共重合体、該共重合体を含んでなるゴム組成物および該ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
レースに使用される競技用タイヤなどの高性能タイヤには、主として高いレベルの耐摩耗性やグリップ性能などが要求される。
タイヤの摩耗性を改良する方法としては、一般に、高分子量ポリマー(例えば、分子量が25万以上や、50万以上や、100万以上のもの)や、充填剤としてカーボンブラックをタイヤ用ゴム組成物に配合する方法などが知られている。また、タイヤのグリップ性能を改良する方法としては、一般に、ガラス転移温度(Tg)の高いゴム(例えば、Tgが−20℃以上のもの)や、表面積の大きいカーボンブラック(例えば、窒素吸着比表面積(N2SA)が110m2/g以上のもの)などをタイヤ用ゴム組成物に配合することが知られている。
しかし、分子量25万以上の高分子ポリマーをタイヤ用ゴム組成物に使用する場合、その分子量の増加に伴いゴム組成物の硬さが増し、加工性が悪化するという問題がある。またタイヤ用ゴム組成物のガラス転移点を高くする方法としては、ポリマー中のスチレン含有量を多くする方法があるが、スチレン含有量が、例えば25%以上など高くなると、ゴム組成物の硬さが増し、加工性の悪化に繋がる。また、カーボンブラックを使用する場合、表面積の大きいカーボンブラックを使用すると分散が悪化する、ゴム組成物の硬さが増し加工性が悪くなるなどの難点がある。
一方、加工性を改善する目的でゴム組成物に、プロセスオイル、粘着レジン、液状スチレンブタジエンゴムなどを添加することが知られているが、これらの添加はゴム組成物の強度低下に繋がるため、使用できる量に限界がある。
これまでのところ、耐磨耗性およびグリップ性能をともに高いレベルにまで向上せしめ、かつ、加工性においても優れた特性を示すタイヤトレッドゴム用ゴム組成物は未だに得られていないのが現状である。
ミルセンは、天然に存在する有機化合物で、モノテルペンに属するオレフィンの一種である。ミルセンには、α−ミルセン(2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン)とβ−ミルセン(7−メチル−3−メチレンオクタ−1,6−ジエン)の2種の異性体が存在する。特許文献1には、ミルセンの重合体が開示されている。
ファルネセンは、イソプレンのオリゴメ化やネロリドールの脱水反応によって化学的に合成されるイソプレノイド化合物の1種であり、主に香料またはその原料として利用されている(特許文献2)。
特開昭63−179908号公報 特開2008−156516公報
本発明は、タイヤ用ゴム組成物のゴム成分として、加工性の改善に有用な新規分枝共役ジエン共重合体、該分枝共役ジエン共重合体を含んでなるタイヤ用ゴム組成物、とりわけ、耐磨耗性およびグリップ性能をともに高いレベルにまで向上せしめ、かつ、加工性においても優れた特性を示すタイヤ用ゴム組成物、および、該タイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤを提供しようとするものである。
本発明は、一般式(1)
Figure 2016164280
(式中、R1は、炭素数6〜11の脂肪族炭化水素を表す。)
で示される分枝共役ジエン化合物(1)と、一般式(2)
Figure 2016164280
(式中、R2およびR3は、同一もしくは異なって、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、またはハロゲン原子を表す。)
で示される共役ジエン化合物と、一般式(3)
Figure 2016164280
(式中、R4は、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。)
で示されるビニル化合物とを共重合して得られる分枝共役ジエン共重合体であって、
分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)が1〜99重量%、共役ジエン化合物(2)の共重合比(m)が99重量%未満、ビニル化合物(3)の共重合比(n)が99重量%未満である分枝共役ジエン共重合体に関する。
分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)は2.5〜75重量%未満、共役ジエン化合物(2)の共重合比(m)は72.5重量%以下、ビニル化合物(3)の共重合比(n)は25〜97.5重量%未満であることが好ましい。
また、本発明は、分枝共役ジエン化合物(1)を共役ジエン化合物(2)で置き換えた同一の重量平均分子量の共重合体との比較において、ムーニー粘度ML1+4(130℃)が低いものである、加工性改善用の、上記分枝共役ジエン共重合体に関する。
上記分枝共役ジエン化合物(1)は、ミルセンおよび/またはファルネセンであることが好ましい。
上記共役ジエン化合物(2)は、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンであることが好ましい。
上記ビニル化合物(3)は、スチレン、α−メチルスチレン、α−ビニルナフタレンおよびβ−ビニルナフタレンからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
また、本発明は、上記分枝共役ジエン共重合体を含んでなるゴム組成物に関する。
さらに、本発明は、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、タイヤ用ゴム成分として、加工性の改善に有用な新規分枝共役ジエン共重合体を提供することができ、該分枝共役ジエン共重合体を使用することにより、耐磨耗性およびグリップ性能をともに高いレベルにまで向上せしめ、かつ、加工性においても優れたタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。
このような本発明のタイヤ用ゴム組成物は、特に、タイヤトレッド用ゴム組成物として、またレースに使用される競技用タイヤ向けのタイヤ用ゴム組成物として有用である。
さらに、本発明によれば、該タイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤを提供することができる。
すなわち、本発明においては、タイヤの磨耗性やグリップ性能を改善すべく、重量平均分子量(Mw)の大きいポリマー(Mwが、例えば、25万以上、50万以上、または100万以上など)や、ビニル化合物(3)の含量の多いポリマー(例えば、25重量%以上、または40重量%以上など)をゴム成分として用いても、該ポリマーの構成成分として分枝共役ジエン化合物(1)を配合することにより、ムーニー粘度の上昇が抑えられた、加工性に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することができる。また、かかる分枝共役ジエン化合物(1)の配合は、ポリマーのガラス転移温度(Tg)に対してはあまり影響を与えないという特長も有し得るものである。
<分枝共役ジエン共重合体>
本発明の分枝共役ジエン共重合体とは、分枝共役ジエン化合物(1)と、共役ジエン化合物(2)と、ビニル化合物(3)とを共重合して得られる共重合体をいう。
本発明の分枝共役ジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、3000以上であれば特に限定はないが、好ましくは25万以上、より好ましくは50万以上、さらに好ましくは100万以上である。Mwが3000未満では流動性の高い液状ポリマーとなる傾向があり、Mwが25万未満ではゴム組成物の硬さが低下して加工性が悪化するという問題に至らない傾向にあるからである。一方、Mwは、300万以下であれば特に限定はないが、好ましくは200万以下である。Mwが300万超ではゴム弾性を持たない固形物となる傾向がある。
分枝共役ジエン共重合体の数平均分子量(Mn)は、3000以上が好ましく、より好ましくは25万以上である。3000未満ではゴム組成物の硬度が増して加工性が悪化するという問題に至らない傾向にあるからである。一方、Mnは300万以下が好ましく、より好ましくは200万以下である。Mnが300万超ではゴム弾性を持たない固形物となるとなる傾向がある。
分枝共役ジエン共重合体において、数平均分子量(Mn)に対するMwの比、すなわち、Mw/Mnの好ましい範囲は、20.0以下、より好ましくは10.0以下である。Mw/Mnが20.0超では、ゴム組成物の硬度低下により加工性が悪化するという問題に至らない傾向がある。一方、Mw/Mnの下限値については、特に制限はなく、1.0以上において特に差し障りはない。
分枝共役ジエン共重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常、−110℃〜110℃の範囲である。例えば、遷移金属触媒で調製されるハイシス−ブタジエンを比較的多く含有する分枝共役ジエン共重合体のTgはハイシス−ブタジエンを多く含有すればするほど低くなり、アニオン重合触媒で調製されるスチレンを比較的多く含有する分枝共役ジエン共重合体のTgはスチレンを多く含有すればするほど高くなる傾向がある。分枝共役ジエン共重合体において、ハイシス−ブタジエンを多く含有する分枝共役ジエン共重合体やスチレンを多く含有する分枝共役ジエン共重合体は、分枝共役ジエン化合物(1)を少量配合し共重合させただけで加工性の改善を示すが、Tgは分枝共役ジエン化合物(1)の配合によってはあまり変化しない場合がほとんどである。
分枝共役ジエン共重合体のムーニー粘度ML1+4(130℃)は、該共重合体を構成する分枝共役ジエン化合物(1)を共役ジエン化合物(2)で置き換えた、同一分子量の共重合体との比較において、低いものである限り、加工性の改善という本願発明の効果を奏し得るので、特に限定はないが、一般には、25以上であることが好ましく、より好ましくは30以上である。ムーニー粘度が25未満では、流動性を持つ傾向がある。一方、ムーニー粘度は160以下が好ましく、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下である。ムーニー粘度が160超では加工する際に軟化剤や加工助剤が多く必要となる傾向がある。
分枝共役ジエン共重合体において、モノマーである分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の共重合比について説明する。
分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)は、1〜99重量%であれば特に限定はないが、下限値としては、2.5重量%以上が好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。1%未満では加工性を改善するという分枝共役ジエン化合物(1)配合の効果が十分に得られない傾向がある。一方、上限値としては、75重量%未満が好ましく、60重量%未満がより好ましく、50重量%未満がさらに好ましく、15重量%未満がさらに好ましい。99重量%超では流動性のある重合体となる傾向があり、また分枝共役ジエン化合物(1)の加工性に対する効果は15重量%も配合すれば十分発揮される傾向があるからである。
本発明の分枝共役ジエン共重合体には、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の双方が含まれる。
分枝共役ジエン共重合体において、共役ジエン化合物(2)の共重合比(m)の好ましい範囲の下限値は、1重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。mが1重量%未満では流動性のある重合体となる傾向がある。一方、上限値は99重量%未満、より好ましくは80重量%未満、さらに好ましくは72.5重量%未満、さらに好ましくは、55重量%未満である。mが99重量%以上では加工性改善のため分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
また、ビニル化合物(3)の共重合比(n)の好ましい範囲の下限値は、10重量%以上、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。nが10重量%未満ではゴムの硬さは加工性が問題となる程高くはなく、加工性改善のため分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向があり、また、nが25重量%以上の場合には、ゴムのグリップ性能の向上に資する上に、共重合体の加工性が悪化するとの問題が生じてくることから、分枝共役ジエン化合物(1)を配合することによる加工性の改善効果が顕著に現れる傾向にあるため好ましく、nが40重量%以上の場合にはさらにその傾向が強い。上限値は99重量%未満、好ましくは97.5重量%未満、より好ましくは95重量%未満、さらに好ましくは80重量%未満、より好ましくは60重量%未満である。nが99重量%以上では共重合体がゴム状とならず樹脂状になり分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
なお、分枝共役ジエン共重合体における、分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の重合比l、m、nは、合計が100重量%であることから、このうち任意の一つの下限値が上記好ましい範囲から選択されれば他の二つについては、それら上限値の取り得る範囲が自ずと定まる。また、任意の二つの下限値が上記好ましい範囲から選択されれば、残りの一つについてはその上限値が自ずと定まる。同様に、重合比l、m、nは、任意の一つの上限値が上記好ましい範囲から選択されれば他の二つについては、それら下限値の取り得る範囲が自ずと定まる。また、任意の二つの上限値が上記好ましい範囲から選択されれば、残りの一つについてはその下限値が自ずと定まる。
<分枝共役ジエン化合物(1)>
分枝共役ジエン化合物(1)において、炭素数6〜11の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等のノルマル構造のもの、それらの異性体かつ/または不飽和体、並びに、それらの誘導体(例えば、ハロゲン化物および水酸基化物等)が挙げられる。そのうち、特に、4−メチル−3−ペンテニル基、4,8−ジメチル−ノナ−3,7−ジエニル基等、および、それらの誘導体が好ましい。
分枝共役ジエン化合物(1)の具体例としては、例えば、ミルセン、ファルネセンなどが挙げられる。
本発明において、「ミルセン」とは、α−ミルセン(2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン)とβ−ミルセンのいずれをも含むものであるが、このうち、以下の構造を有するβ−ミルセン(7−メチル−3−メチレンオクタ−1,6−ジエン)が好ましい。
Figure 2016164280
一方、「ファルネセン」とは、α−ファルネセン((3E,7E)−3,7,11−トリメチル−1,3,6,10−ドデカテトラエン)やβ−ファルネセンなどいずれの異性体も含むものであるが、このうち、以下の構造を有する(E)−β−ファルネセン(7,11−ジメチル−3−メチレン−1,6,10−ドデカトリエン)が好ましい。
Figure 2016164280
分枝共役ジエン化合物(1)としては、1種または2種以上のものを使用することができる。
<共役ジエン化合物(2)>
共役ジエン化合物(2)において、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、このうち、塩素原子が好ましい。
共役ジエン化合物(2)のR2またはR3は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。共役ジエン化合物(2)の具体例としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が好ましく、このうち、1,3−ブタジエン、イソプレン等が好ましい。
共役ジエン化合物(2)としては、1種または2種以上のものを使用することができる。
<ビニル化合物(3)>
ビニル化合物(3)において、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。炭素数3〜8の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基、シクロへプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられ、このうちシクロプロピル基、シクロブチル基が好ましい。炭素数6〜10の芳香属炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基などが挙げられる。但し、トリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置はオルト−、メタ−もしくはパラ−のいずれの位置も含むものであり、キシリル基におけるメチル基の置換位置も、任意の置換位置のいずれをも含むものである。これらのうち、フェニル基、トリル(tolyl)基、ナフチル基が好ましい。ビニル化合物(3)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−ビニルナフタレン、β−ビニルナフタレンが好ましい。
ビニル化合物(3)としては、1種または2種以上のものを使用することができる。
<製法>
本発明の分枝共役ジエン共重合体は、分枝共役ジエン化合物(1)と、共役ジエン化合物(2)と、ビニル化合物(3)とを、共重合させて得ることができる。
かかる共重合は、共重合させる順序において特に限定はなく、例えば、すべてのモノマーを一度にランダム共重合させてもよいし、あるいは、あらかじめ特定のモノマー(例えば、分枝共役ジエン化合物(1)モノマーのみ、共役ジエン化合物(2)モノマーのみ、ビニル化合物(3)モノマーのみ、あるいは、これらから選ばれる任意の2種のモノマーのみなど)を共重合させた後に、残りのモノマーを加えて共重合させたり、特定のモノマー毎に予め共重合させたものをブロック共重合させてもよい。
かかる共重合は、いずれも常法により実施することができ、例えば、アニオン重合反応、配位重合反応等により実施することができる。
重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれをも用いることができるが、このうち、溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、バッチ式および連続式のいずれであってもよい。
<アニオン重合>
該アニオン重合は、アニオン重合開始剤の存在下、適当な溶媒中で実施することができる。アニオン重合開始剤としては、慣用のものをいずれも好適に使用することができ、そのようなアニオン重合開始剤としては、例えば、一般式RLix(但し、Rは1個またはそれ以上の炭素原子を含む脂肪族、芳香族または脂環式基であり、xは1〜20の整数である。)を有する有機リチウム化合物があげられる。適当な有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウムおよびナフチルリチウムが挙げられる。好ましい有機リチウム化合物はn−ブチルリチウムおよびsec−ブチルリチウムである。アニオン重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。アニオン重合を行う際の重合開始剤の使用量は特に限定はないが、例えば、重合に供する全モノマー100g当り、約0.05〜35mmol用いるのが好ましく、約0.05〜0.2mmol用いるのがより好ましい。重合開始剤の使用量が0.05mmol未満では共重合体がゴム状とならず樹脂状となる傾向があり、35mmolより多い場合には、共重合体が軟らかく加工性に対して分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
また、アニオン重合に用いる溶媒としては、アニオン重合開始剤を失活させたり、重合反応を停止させたりしないものであれば、いずれも好適に用いることができ、極性溶媒または非極性溶媒のいずれも使用することができる。極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒があげられ、非極性溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ペンタンなどの鎖式炭化水素、シクロヘキサンなどの環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これら溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
アニオン重合は、さらに極性化合物の存在下に実施するのが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジフェニルエーテル、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などが挙げられる。極性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。この極性化合物は、ブタジエン部のミクロ構造の制御に関し、1,2−構造の含量を減少させるのに有用である。極性化合物の使用量は、極性化合物の種類および重合条件により異なるが、アニオン重合開始剤とのモル比(極性化合物/アニオン重合開始剤)として0.1以上であることが好ましい。アニオン重合開始剤とのモル比(極性化合物/アニオン重合開始剤)が0.1未満ではミクロ構造を制御することに対する極性物質の効果が十分でない傾向がある。
アニオン重合の際の反応温度は、好適に反応が進行する限り特に限定はないが、通常−10℃〜100℃であることが好ましく、25℃〜70℃であることがより好ましい。また、反応時間は、仕込み量、反応温度、その他条件により異なるが、通常、例えば、3時間程度行えば十分である。
上記アニオン重合は、この分野で通常使用する反応停止剤の添加により、停止させることができる。そのような反応停止剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールまたは酢酸などの活性プロトンを有する極性溶媒およびこれらの混液、またはそれらの極性溶媒とヘキサン、シクロヘキサンなどの無極性溶媒との混液が挙げられる。反応停止剤の添加量は、通常、アニオン重合開始剤に対し、同モル量もしくは2倍モル量程度で十分である。
重合反応停止後、分枝共役ジエン共重合体は、重合溶液から常法により溶媒を除去することにより、または、重合溶液をその1倍量以上のアルコールに注ぎ、分枝共役ジエン共重合体を沈殿させることにより、容易に単離することができる。
<配位重合>
配位重合は、上記アニオン重合におけるアニオン重合開始剤に代えて、配位重合開始剤を用いることにより、実施することができる。配位重合開始剤としては、慣用のものをいずれも好適に用いることができ、そのような配位重合開始剤としては、例えば、ランタノイド化合物、チタン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等の遷移金属含有化合物である触媒が挙げられる。また、所望により、さらにアルミニウム化合物、ホウ素化合物を助触媒として使用することができる。
ランタノイド化合物は、原子番号57〜71の元素(ランタノイド)のいずれかを含むものであれば特に限定されないが、これらランタノイドのうち、とりわけネオジウムが好ましい。ランタノイド化合物としては、例えば、これら元素のカルボン酸塩、β−ジケトン錯体、アルコキサイド、リン酸塩または亜リン酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。これらの内、取り扱いの容易性から、カルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体が好ましい。チタン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換シクロペンタジエニル基または置換インデニル基を1つを含み、かつハロゲン、アルコキシシル基、アルキル基の中から選ばれる置換基を3つ有するチタン含有化合物などが挙げられるが、触媒性能の点から、アルコキシシリル基を1つ有する化合物が好ましい。コバルト化合物としては、例えば、コバルトのハロゲン化物、カルボン酸塩、β−ジケトン錯体、有機塩基錯体、有機ホスフィン錯体などが挙げられる。ニッケル化合物としては、例えば、ニッケルのハロゲン化物、カルボン酸塩、β−ジケトン錯体、有機塩基錯体などが挙げられる。配位重合開始剤として用いる触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。配位重合を行う際の重合開始剤としての触媒の使用量は特に限定はないが、例えば、好ましい使用量としては、アニオン重合の場合の触媒の使用量と同様である。
助触媒として用いるアルミニウム化合物としては、例えば、有機アルミノキサン類、ハロゲン化有機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物、水素化有機アルミニウム化合物などが挙げられる。有機アルミノキサン類としては、例えば、アルキルアルミノキサン類(メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、オクチルアルミノキサン、へキシルアルミノキサンなど)が、ハロゲン化有機アルミニウム化合物としては、例えば、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物(ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド)が、有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルキルアルミニウム化合物(トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム)が、水素化有機アルミニウム化合物としては、例えば、水素化アルキルアルミニウム化合物(ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、)が挙げられる。また、ホウ素化合物としては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート等のアニオン種を含む化合物が挙げられる。これら助触媒も、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
配位重合に関し、溶媒および極性化合物としては、アニオン重合で説明したものを同様に使用することができる。また、反応時間および反応温度もアニオン重合で説明したものと同様である。重合反応の停止および分枝共役ジエン共重合体の単離も、アニオン重合の場合と同様にして行うことができる。
分枝共役ジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、常法により制御することができ、例えば、重合時に仕込む分枝共役ジエン化合物(1)およびその他のモノマー量を調節することにより制御することができる。例えば、全モノマー/アニオン重合触媒比を大きくすればMwを大きくすることができ、逆に小さくすればMwを小さくすることができる。分枝共役ジエン共重合体の数平均分子量(Mn)についても同様である。
分枝共役ジエン共重合体のTgは、常法により制御することができ、例えば、重合時に仕込む共役ジエン化合物(2)とビニル化合物(3)の仕込比を調節することによりにより制御することができる。例えば、ビニル化合物(3)の仕込比を大きくすればTgを高くすることができ、反対に、ビニル化合物(3)の仕込比を小さくすればTgを小さくすることができる。
分枝共役ジエン共重合体のムーニー粘度は、常法により制御することができ、例えば、重合時に仕込む分枝共役ジエン化合物(1)モノマーの量を調節することによりにより制御することができる。例えば、分枝共役ジエン化合物(1)モノマーの仕込量を少なくすればムーニー粘度は大きくなり、反対に分枝共役ジエン化合物(1)モノマーの仕込量を多くすればムーニー粘度は小さくなる。
こうして得られる本発明の分枝共役ジエン共重合体は、ゴム工業の分野で通常使用される他の成分を適宜配合することによりタイヤ用ゴム組成物とすることができる。
本発明のゴム組成物に配合すべき成分としては、例えば、分枝共役ジエン共重合体以外の他のゴム成分、充填剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分における分枝共役ジエン共重合体の配合量は、約3重量%以上であり、好ましくは約5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。分枝共役ジエン共重合体の配合量が3重量%未満では加工性に対して分枝共役ジエン化合物(1)共重合を配合させることによる効果が小さくなる傾向がある。一方、分枝共役ジエン共重合体の配合量の上限値は特に制限はなく、100重量%でもよい。
本発明において、分枝共役ジエン共重合体と共に使用する他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムが挙げられる。これらのジエン系ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、分枝共役ジエン共重合体との併用の下グリップ性能および耐摩耗性がバランスよく得られるという理由からNR、BR、SBRを使用することが好ましく、NRを使用することがより好ましい。該NRとしては特に限定されず、タイヤ製造において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20などが挙げられる。
充填剤としては、カーボンブラック、シリカなどこの分野で通常使用される充填剤を挙げることができる。
カーボンブラックとしては、タイヤ製造において一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、SAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPFなどが挙げられ、これらのカーボンブラックを単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、約80m2/g以上であり、好ましくは、約110m2/g以上である。N2SAが80未満ではグリップ性能、耐磨耗性能ともに悪くなる傾向があり、110m2/g未満では加工性改善のため分枝共役ジエン共重合体を使用することによる効果が小さくなる傾向にある。一方、カーボンブラックのN2SAは約270m2/g以下であり、好ましくは、約260m2/g以下である。カーボンブラックのN2SAが270より大きい場合には、カーボンブラックの分散が悪くなる傾向がある。
カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、約1重量%以上であり、約3重量%以上であることが好ましい。カーボンブラックの配合量が1重量%未満では耐磨耗性が低下する傾向がある。一方、カーボンブラックの配合量は、約200重量%以下であり、150以下であることがより好ましい。カーボンブラックの配合量が200重量%を超えると加工性が悪化する傾向がある。
シリカとしては、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)などが挙げられる。なかでも、表面のシラノール基が多く、シランカップリング剤との反応点が多いという理由から、湿式法により調製されたシリカが好ましい。シリカのN2SAは、約50m2/g以上であり、好ましくは、約80m2/g以上である。N2SAが50未満では補強効果が小さく耐摩耗性が低下するとなる傾向がある。一方、シリカのN2SAは約300m2/g以下であり、好ましくは、約250m2/g以下である。N2SAが300m2/gより大きい場合には、分散が低下し加工性が低下する傾向がある。
シリカの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、約1重量部以上であり、約10重量部以上であることが好ましい。シリカの配合量が1重量部未満では耐磨耗性が十分でない傾向がある。一方、シリカの配合量は、約150重量部以下であり、100重量部以下であることがより好ましい。シリカの配合量が150重量部を超えるとシリカの分散性が悪化し加工性が悪化する傾向がある。
前記ゴム組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、加工性が良好である点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを含有することが好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合、その配合量は、シリカ100重量部に対して、1重量部以上であることが好ましく、2重量部以上であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が1重量部未満では、分散性の改善等の効果が十分に得られない傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が20重量部を超える場合は、充分なカップリング効果が得られず、補強性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、前記の成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、他の補強用充填剤、老化防止剤、オイル、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等を適宜配合することができる。
こうして得られる本発明のゴム組成物は、タイヤの各種部材として使用することができるが、耐磨耗性およびグリップ性能をともに高いレベルにまで向上させることができるものであるため、特に、タイヤトレッドとして、とりわけ、競技用タイヤなどの高性能タイヤのタイヤトレッドとして好適に使用することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの製造に使用され、通常の方法により、タイヤとすることができる。すなわち、必要に応じて前記成分を適宜配合した混合物を混錬りし、未加硫の段階でタイヤの各部剤の形状に合わせて押出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得ることができ、これに空気を入れ、空気入りタイヤとすることができる。
本明細書において、MwおよびMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定され、標準ポリスチレンより換算される。
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)により測定される。
ムーニー粘度は、JIS K6300に準じて測定される。
単に、「1〜99重量%」というときは、両端の値を含むものである。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例のジエン系共重合体の合成、並びに、ゴム組成物の製造に用いた各種薬品をまとめて示す。各種薬品は必要に応じて常法に従い精製を行った。
<分枝共役ジエン共重合体の合成に用いた各種薬品>
ヘキサン:関東化学(株)製のノルマルヘキサン(特級)
イソプロパノール:関東化学(株)製のイソプロパノール(特級)
TMEDA:関東化学(株)製のテトラメチルエチレンジアミン(試薬)
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3−ブタジエン
スチレン:和光純薬(株)のスチレン(試薬)
ミルセン:和光純薬(株)のβ−ミルセン(試薬)
ファルネセン:日本テルペン化学(株)の(E)−β−ファルネセン(試薬)
<ゴム組成物の製造に用いた各種薬品>
NR:天然ゴム(TSR 20)
共重合体:本明細書の記載に従い合成したもの
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(チッ素吸着比表面積(N2SA):125m2/g)
シリカ:テグッサ社製のウルトラシルVN3(チッ素吸着比表面積(N2SA):175m2/g)
シランカップリング剤:テグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
オイル:出光興産(株)製のミネラルオイルPW−380
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックスN
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
1.ミルセン共重合体
実施例1
(1)(共重合体1の合成)
乾燥し窒素置換した3Lの耐圧ステンレス容器に、ヘキサン 2000ml、ミルセン 10g、ブタジエン 140g、スチレン 50gとともにTMEDA 0.22mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)1.17mmolを加えた後、50℃で3時間重合反応を行った。3時間後、1Mイソプロパノール/ヘキサン溶液を1.15ml滴下し、反応を終了させた。得られた重合溶液を送風乾燥して溶媒を除去したのち内圧0.1kPa以下/温度50℃の減圧条件にて恒量に達するまで乾燥して、共重合体1を200g(乾燥重量)得た。重合転化率(「乾燥重量/仕込量」の百分率)はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物1の製造)
表2記載の配合に従い、上記で得た共重合体1と、上記ゴム組成物製造用の各種薬品(不溶性硫黄および加硫促進剤を除く)を、バンバリーミキサーにて、150℃で5分間混錬りし、混練り物を得た。得られた混錬物に、硫黄ならびに加硫促進剤を添加して、オープンロールを用いて、170℃で12分間混錬りし、未加硫ゴム組成物1を得た。
(3)(加硫ゴム組成物1の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物を、170℃で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物1を得た。
実施例2
(1)(共重合体2の合成)
ミルセンを20g、ブタジエンを130gとした以外は、実施例1(1)と同様に処理して、共重合体2を200g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物2の製造)
共重合体1に代えて共重合体2を使用した以外は、実施例1(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物2を得た。
(3)(加硫ゴム組成物2の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物を、実施例1(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物2を得た。
実施例3
(1)(共重合体3の合成)
ミルセンを40g、ブタジエンを110gとした以外は、実施例1(1)と同様に処理して、共重合体3を200g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物3の製造)
共重合体1に代えて共重合体3を使用した以外は、実施例1(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物3を得た。
(3)(加硫ゴム組成物3の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物を、実施例1(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物3を得た。
実施例4
(1)(共重合体4の合成)
ミルセンを90g、ブタジエンを60gとした以外は、実施例1(1)と同様に処理して、共重合体4を200g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物4の製造)
共重合体1に代えて共重合体4を使用した以外は、実施例1(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物4を得た。
(3)(加硫ゴム組成物4の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物を、実施例1(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物4を得た。
比較例1
(1)(共重合体5の合成)
ミルセンを0g、ブタジエンを150gとした以外は、実施例1(1)と同様に処理して、共重合体5を200gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物5の製造)
共重合体1に代えて共重合体5を使用した以外は、実施例1(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物5を得た。
(3)(加硫ゴム組成物5の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物を、実施例1(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物5を得た。
<共重合体に関する測定>
上記で得た共重合体1〜5について、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、ガラス転移温度Tg、ムーニー粘度および分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)を、以下方法に従い測定した。結果を、表1に示す。
(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnの測定)
Mw、Mnは、東ソー(株)製GPC−8000シリーズの装置、検知器として示差屈折計を用いて測定し、標準ポリスチレンにより校正した。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
各共重合体について、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分にて開始温度−150℃から最終温度150℃までを測定しTgを算出した。
(共重合体のムーニー粘度の測定)
各共重合体について、JIS K 6300「未加硫ゴムの試験方法」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、大ローターを回転させ、4分間経過した時点でのムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。なお、ムーニー粘度が小さいほど、加工性に優れることを示している。
(分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l))
該共重合比(l)(重量%)は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PGC)による定法によって測定した。すなわち、精製した分枝共役ジエン化合物(1)についての検量線を作製し、PGCによって得られる分枝共役ジエン化合物(1)由来の熱分解物の面積比から共重合体中の分枝共役ジエン化合物(1)の重量%を算出した。熱分解クロマトグラフィーは(株)島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計GCMS−QP5050Aと日本分析工業(株)製の熱分解装置JHP−330から構成されるシステムを使用した。
Figure 2016164280
表1に示すとおり、本発明の共重合体1または2は、ミルセンを共役ジエン化合物(2)で置き換えた、同一Mw(26万)の共重合体5と比較して、ムーニー粘度ML1+4(130℃)が低く、加工性に優れている。また、共重合体3または4は、共重合体5と比較して、Mwが大きいにもかかわらず、加工性に優れている。
<ゴム組成物の評価>
上記で得た未加硫ゴム組成物1〜5、および、加硫ゴム組成物1〜5を用いて、下記の試験を行った。結果を表2に示す。
(加工性)
前記未加硫ゴム組成物から所定のサイズの試験片を作成し、JIS K 6300「未加硫ゴムの試験方法」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、大ローターを回転させ、10分間経過した時点でのムーニー粘度ML1+10(130℃)を測定した。なお、ムーニー粘度指数が小さいほど、加工性に優れることを示している。
(ゴム強度)
前記加硫ゴム組成物からからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を実施し、破断時の引張強さTB(MPa)および伸びEB(%)を測定した。TBが大きいほどゴム強度が優れることを示し、同様にEBが大きいほどゴム強度が優れることを示す。
(グリップ性能)
未加硫ゴムシートをトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材と貼りあわせ、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、カート用タイヤ(タイヤサイズ:11×1.10−5)を作成した。該カート用タイヤをカートに装着し、1周2kmのテストコースを8週走行して、実車走行試験を行った。比較例1のタイヤグリップ性能を100点とし、200点満点でテストドライバーが官能評価した。なお、初期グリップ性能は1〜4周目のグリップ性能、後半グリップ性能は5〜8周目のグリップ性能を示す。値が大きいほど、グリップ特性が優れていることを示す。
(耐摩耗性)
上記実車走行試験後のタイヤについて、比較例1のタイヤの摩耗外観を100点とし、各配合の摩耗外観を、200点満点で相対評価した。値が大きいほど耐摩耗性が優れていることを示す。
Figure 2016164280
表2に示すとおり、比較例1はムーニー粘度が高く加工性に劣るが、ミルセンを配合した実施例1〜4は、いずれもムーニー粘度が低く加工性が改善されている。また、比較例1に比べ、実施例1〜4は、引張強さおよび破断時伸び、グリップ性能、並びに耐摩耗性においても優れており、ゴムとしての強度ないし性能を保持したまま加工性の改善が達成されている。
2.ファルネセン共重合体
実施例5
(1)(共重合体6の合成)
乾燥し窒素置換した3Lの耐圧ステンレス容器に、ヘキサン 2000ml、ファルネセン10g、ブタジエン 140g、スチレン 50gとともにTMEDA 0.22mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)1.17mmolを加えた後、50℃で3時間重合反応を行った。3時間後、1Mイソプロパノール/ヘキサン溶液を1.15ml滴下し、反応を終了させた。得られた重合溶液を送風乾燥して溶媒を除去したのち内圧0.1kPa以下/温度50℃の減圧条件にて恒量に達するまで乾燥して、共重合体6を200g得た。重合転化率(「乾燥重量/仕込量」の百分率)はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物6の製造)
表4記載の配合に従い、上記で得た共重合体6と、上記ゴム組成物製造用の各種薬品(不溶性硫黄および加硫促進剤を除く)を、バンバリーミキサーにて、150℃で5分間混錬りし、混練り物を得た。得られた混錬物に、硫黄ならびに加硫促進剤を添加して、オープンロールを用いて、170℃で12分間混錬りし、未加硫ゴム組成物6を得た。
(3)(加硫ゴム組成物6の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物6を、170℃で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物6を得た。
実施例6
(1)(共重合体7の合成)
ファルネセンを20g、ブタジエンを130gとした以外は、実施例5(1)と同様に処理して、共重合体7を200g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物7の製造)
共重合体6に代えて共重合体7を使用した以外は、実施例5(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物7を得た。
(3)(加硫ゴム組成物7の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物7を、実施例5(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物7を得た。
実施例7
(1)(共重合体8の合成)
ファルネセンを40g、ブタジエンを110gとした以外は、実施例5(1)と同様に処理して、共重合体8を200g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物8の製造)
共重合体6に代えて共重合体8を使用した以外は、実施例5(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物8を得た。
(3)(加硫ゴム組成物8の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物8を、実施例5(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物8を得た。
実施例8
(1)(共重合体9の合成)
ファルネセンを90g、ブタジエンを60gとした以外は、実施例5(1)と同様に処理して、共重合体9を200g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物9の製造)
共重合体6に代えて共重合体9を使用した以外は、実施例5(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物9を得た。
(3)(加硫ゴム組成物9の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物9を、実施例5(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物9を得た。
比較例2
(1)(共重合体10の合成)
ファルネセンを0g、ブタジエンを150gとした以外は、実施例5(1)と同様に処理して、共重合体10を200g得た。重合転化率はほぼ100%であった。
(2)(未加硫ゴム組成物10の製造)
共重合体6に代えて共重合体10を使用した以外は、実施例5(2)と同様に処理して、未加硫ゴム組成物10を得た。
(3)(加硫ゴム組成物10の製造)
上記(2)で得た未加硫ゴム組成物10を、実施例5(3)と同様に処理して、加硫ゴム組成物10を得た。
<共重合体に関する測定>
上記で得た共重合体6〜10について、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、ガラス転移温度Tg、ムーニー粘度および分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)を、以下方法に従い測定した。
(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnの測定)
Mw、Mnは、東ソー(株)製GPC−8000シリーズの装置、検知器として示差屈折計を用いて測定し、標準ポリスチレンにより校正した。結果を、表3に示す。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
各共重合体について、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分にて開始温度−150℃から最終温度150℃までを測定しTgを算出した。
(共重合体のムーニー粘度の測定)
各共重合体について、JIS K 6300「未加硫ゴムの試験方法」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、大ローターを回転させ、4分間経過した時点でのムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。なお、ムーニー粘度が小さいほど、加工性に優れることを示している。結果を、表3に示す。
(分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l))
該共重合比(l)(重量%)は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PGC)による定法によって測定した。すなわち、精製した分枝共役ジエン化合物(1)についての検量線を作製し、PGCによって得られる分枝共役ジエン化合物(1)由来の熱分解物の面積比から共重合体中の分枝共役ジエン化合物(1)の重量%を算出した。熱分解クロマトグラフィーは(株)島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計GCMS−QP5050Aと日本分析工業(株)製の熱分解装置JHP−330から構成されるシステムを使用した。
Figure 2016164280
表3に示すとおり、本発明の共重合体6〜9は、Mwが42万〜62万であるにもかかわらず、共役ジエン化合物(2)とビニル化合物(3)とからのみなる、Mw26万の共重合体10よりも、ムーニー粘度ML1+4(130℃)が低くなっている。したがって、本発明の共重合体は、ファルネセンを共役ジエン化合物(2)で置き換えた、同一のMwの共重合体よりも、ムーニー粘度ML1+4(130℃)が低いものであることが明らかであり、このことから、加工性に優れたものであるといえる。
<ゴム組成物の評価>
上記で得た未加硫ゴム組成物6〜10、および、加硫ゴム組成物6〜10を用いて、下記の試験を行った。結果を表4に示す。
(加工性)
前記未加硫ゴム組成物から所定のサイズの試験片を作成し、JIS K 6300「未加硫ゴムの試験方法」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、大ローターを回転させ、10分間経過した時点でのムーニー粘度ML1+10(130℃)を測定した。なお、ムーニー粘度指数が小さいほど、加工性に優れることを示している。
(ゴム強度)
前記加硫ゴム組成物からからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を実施し、破断時の引張強さTB(MPa)および伸びEB(%)を測定した。TBが大きいほどゴム強度が優れることを示し、同様にEBが大きいほどゴム強度が優れることを示す。
(グリップ性能)
未加硫ゴムシートをトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材と貼りあわせ、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、カート用タイヤ(タイヤサイズ:11×1.10−5)を作成した。該カート用タイヤをカートに装着し、1周2kmのテストコースを8週走行して、実車走行試験を行った。比較例2のタイヤグリップ性能を100点とし、200点満点でテストドライバーが官能評価した。なお、初期グリップ性能は1〜4周目のグリップ性能、後半グリップ性能は5〜8周目のグリップ性能を示す。値が大きいほど、グリップ特性が優れていることを示す。
(耐摩耗性)
上記実車走行試験後のタイヤについて、比較例2のタイヤの摩耗外観を100点とし、各配合の摩耗外観を、200点満点で相対評価した。値が大きいほど耐摩耗性が優れていることを示す。
Figure 2016164280
表4に示すとおり、比較例2はムーニー粘度が高く加工性に劣るが、ファルネセンを配合した実施例5〜8は、いずれもムーニー粘度が低く加工性が改善されている。また、比較例2に比べ、実施例5〜8は、引張強さおよび破断時伸び、グリップ性能、並びに耐摩耗性においても優れており、ゴムとしての強度ないし性能を保持したまま加工性の改善が達成されている。
本発明によれば、タイヤ用ゴム組成物のゴム成分として、加工性の改善に有用な新規分枝共役ジエン共重合体、該分枝共役ジエン共重合体を含んでなるタイヤ用ゴム組成物、とりわけ、耐磨耗性およびグリップ性能をともに高いレベルにまで向上せしめ、かつ、加工性においても優れた特性を示すタイヤ用ゴム組成物、および、該タイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤを提供することができる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    Figure 2016164280
    (式中、R1は、炭素数6〜11の脂肪族炭化水素を表す。)
    で示される分枝共役ジエン化合物と、一般式(2)
    Figure 2016164280
    (式中、R2およびR3は、同一もしくは異なって、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、またはハロゲン原子を表す。)
    で示される共役ジエン化合物と、一般式(3)
    Figure 2016164280
    (式中、R4は、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。)
    で示されるビニル化合物とを共重合して得られる分枝共役ジエン共重合体と天然ゴムとからなるゴム成分を含んでなるゴム組成物であって、
    分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)が1〜99重量%、共役ジエン化合物(2)の共重合比(m)が0重量%超〜99重量%未満、ビニル化合物(3)の共重合比(n)が0重量%超〜99重量%未満であり、
    分枝共役ジエン化合物(1)がファルネセンであり、共役ジエン化合物(2)が1,3−ブタジエンであり、ビニル化合物(3)がスチレンであり、
    ゴム成分における分枝共役ジエン共重合体の配合量が30重量%以上であるゴム組成物。
  2. 分枝共役ジエン共重合体のガラス転移温度が−110℃〜110℃である、請求項1記載のゴム組成物。
  3. 分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)が2.5〜75重量%未満、共役ジエン化合物(2)の共重合比(m)が72.5重量%以下、ビニル化合物(3)の共重合比(n)が25〜97.5重量%未満である、請求項1または2記載のゴム組成物。
  4. 分枝共役ジエン化合物(1)を共役ジエン化合物(2)で置き換えた同一の重量平均分子量の共重合体との比較において、ムーニー粘度ML1+4(130℃)が低いものである、加工性改善用の分枝共役ジエン共重合体を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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