(第1実施形態)
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は第1実施形態の食事支援システムの構成の一例を示すブロック図である。食事支援システムは、食事支援装置100、計測装置50などを備える。食事支援装置100は、装置全体を制御する制御部10、第1通信部11、比較部12、生成部13、判定部14、変更部15、第2通信部16、表示部17、操作部18、出力部19、記憶部20などを備える。食事支援装置100は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、パーソナルコンピュータなどである。
計測装置50は、装置全体を制御する制御部51、測距センサ52、加速度センサ53、計測部54、通信部55、判定部56、記憶部57などを備える。計測装置50は、咀嚼時の人体動作を計測し、咀嚼に関する咀嚼データを食事支援装置100へ送信する。以下では、まず計測装置50について説明する。
図2は第1実施形態の計測装置50の人体への装着例を示す説明図であり、図3は第1実施形態の計測装置50の耳裏下部の動きを検出する例を示す説明図である。図2に示すように、計測装置50は、耳裏の形状に沿って湾曲した耳掛部を耳裏、すなわち耳と頭部との間で挟持されるようにして耳に装着することができる。
図3に示すように、耳掛部を耳に装着した状態で、測距センサ52は、耳裏下部の動きを検出する。図3に示すように、ユーザが咀嚼すると、測距センサ52と耳裏下部との距離が変動する。図3中、長寸の矢印は顎を開いた状態での測距センサ52と耳裏下部との距離を示し、短寸の矢印は顎を閉じた状態での測距センサ52と耳裏下部との距離を示す。なお、図3は顎の動きに応じて耳裏下部の動きを模式的に示すものである。
図3に示すように、人が咀嚼する場合、顎の開き始めから開き終わるまでの間、耳裏下部の動きは常に変化し続けるので、咀嚼に伴う顎の変位(測距センサ52と耳裏下部との距離の変位、あるいは測距センサ52で検出される光の強度の変位、あるいは光電変換により得られた電圧又は電流の変位など)を正確に検出することができる。また、顎の動きに比較して、顎の動きに連動する耳裏下部の動きには、あまり個人差が現れない。したがって、耳裏下部を顎とする場合に比べて、所定動作(咀嚼の回数又は時間など)を精度良く計測することができる。
測距センサ52は、人体の耳裏下部に非接触の状態で当該耳裏下部の動きを検出する。すなわち、測距センサ52は、人体の耳裏下部との間の距離の変動を所定のサンプリング周期で電気信号に変換する。また、所定のサンプリング周期は、例えば、0.1秒であるが、これに限定されるものではない。
測距センサ52は、赤外発光ダイオードなどの発光部、フォトトランジスタなどの受光部などを有し、発光部から光を発光させ、耳裏下部で反射した反射光を受光部で検出して、検出した反射光の強度に応じた電気信号(電圧又は電流)を所定のサンプリング周期(例えば、0.1秒)で出力する。咀嚼に応じて顎が動くことにより、測距センサ52と耳裏下部との間の距離が変動する。例えば、耳裏下部との距離が短くなれば、ピーク値の大きい電圧を出力し、耳裏下部との距離が長くなれば、ピーク値の小さい電圧を出力する。なお、本実施の形態では、測距センサ52が検出する耳裏下部の動き、あるいは耳裏下部との間の距離の変動とは、測距センサ52が出力する電圧を含むものとする。
計測部54は、AD変換部を有し、測距センサ52が出力する電圧の変動(電気信号)に基づいて、変動のピークを検出する。そして、計測部54は、検出したピークに基づいて所定動作としての咀嚼の回数又は時間(間隔)を計測する。咀嚼を1回行うと、測距センサ52と耳裏下部との間の距離が最小となるタイミングが1回生じるので、測距センサ52が出力する電圧のピークが1回現れる。したがって、所定のサンプリング周期で取得した電気信号のピークを検出することにより、咀嚼の回数又は咀嚼の間隔を計測することができる。
咀嚼時に顎の開き始めから開き終わるまでの間、耳裏下部は変化し続け、咀嚼を1回行うと、測距センサ52と耳裏下部との間の距離に応じた電気信号のピークが1回現れるので、測距センサ52と耳裏下部との距離がピークになる時点を出力電圧のピークとして検出することにより、咀嚼の回数又は咀嚼の間隔を高精度に計測することができる。
通信部55は、食事支援装置100との通信を行う。通信部55は、制御部51の制御の下、咀嚼データを食事支援装置100へ送信する。
記憶部57は、所定の情報を記憶する。
次に、咀嚼の回数又は時間を計測する方法の詳細について説明する。図4は第1実施形態の計測装置50の測距センサ52が出力する電圧の一例を示すタイムチャートである。図4中、横軸は時間(秒)を示し、縦軸は電圧(V)を示す。測距センサ52が出力する電圧(出力電圧)は、測距センサ52と耳裏下部との距離の変動に応じて変化し、当該距離が小さくなるほど出力電圧のピーク(波高値)は大きくなる。なお、出力電圧を生成する際に反転回路を設けておき、当該距離が大きくなるほど出力電圧のピークが大きくなるようにしてもよい。図4中、丸印で示す点が、サンプリング周期で検出した時点での出力電圧を示す。丸印で示す点をサンプリング点とも称する。
計測部54は、測距センサ52で変換した電気信号に基づいて、変動のピークを検出する。例えば、所定のサンプリング周期(例えば、0.1秒など)で出力する電圧を、A(1)、A(2)、A(3)、…、A(t−1)、A(t)、A(t+1)、…と時系列で表す(tは整数であり、サンプリング時の時刻を表す)。出力電圧A(t)がピークであるか否かの判定は、A(t−1)≦A(t)、かつA(t)>A(t+1)とすることができる。すなわち、任意の時点での出力電圧が、1つ前の出力電圧より大きく、かつ1つ後の出力電圧より大きい場合、出力電圧A(t)をピークであると判定することができる。
次に、計測部54は、ピークを検出した任意の時点の前又は後の少なくとも一方で、測距センサ52が変換した複数回の電気信号に基づいて変動平均を算出する。例えば、ピークを検出した任意の時点をtとし、ピークとして検出した出力電圧をA(t)とする。任意の時点tの前の時点を、例えば、(t-2)、(t-1)とし、そのときの出力電圧をA(t-2)、A(t-1)とする。また、任意の時点tの後の時点を、例えば、(t+1)、(t+2)とし、そのときの出力電圧をA(t+1)、A(t+2)とする。計測部54は、時点tでの変動平均E(t)を、E(t)={A(t-2)+A(t-1)+A(t)+A(t+1)+A(t+2)}/5 という式で算出する。ここで、tは整数であり、変動平均を求める時点を示す。なお、変動平均を求める際の出力電圧の数は5(すなわち、変動平均を求める時点の前後2点)に限定されるものではなく、例えば、前後5点、10点などとしてもよい。計測部54は、任意の時点tで検出したピークA(t)が変動平均E(t)より小さい場合、任意の時点のピークA(t)を除外してピークを検出する。すなわち、A(t)<E(t)の場合、出力電圧A(t)をピークとして検出しない。
次に、計測部54は、任意の時点で検出したピークと、当該時点の前又は後で測距センサ52が変換した電気信号に対応するピークとの差分を算出する。例えば、計測部54でピークを検出した任意の時点をtとし、ピークとして検出した出力電圧をA(t)とする。任意の時点tの前の時点を、例えば、(t-1)とし、そのときの出力電圧をA(t-1)とする。また、任意の時点tの後の時点を、例えば、(t+1)とし、そのときの出力電圧をA(t+1)とする。差分は、|A(t)-A(t-1)|、あるいは|A(t+1)-A(t)|により求めることができる。計測部54は、算出した差分が所定の閾値より小さい場合、当該時点のピークを除外してピークを検出する。
図5は第1実施形態の計測装置50の計測部54による出力電圧のピーク検出の一例を示すタイムチャートである。図5は、前述のようなピーク検出のアルゴリズムにより、最終的に検出されたピークを示す。図5に示す個々ピーク(丸で示すピーク)を、それぞれ1回の咀嚼と判定することができる。ピーク(咀嚼と判定されたピーク)を示す出力電圧の波形を咀嚼波形とも称する。前述のアルゴリズムにより、1回の咀嚼に該当しないような耳裏下部の動きにより生ずる誤差を少なくして咀嚼の回数又は咀嚼の間隔を高精度に計測することができる。
上述のように、測距センサ52は、耳裏下部に非接触の状態にしてあるので、耳裏下部が顎の動き(咀嚼)に伴って動く場合でも、咀嚼を妨げることがない。また、測距センサ52は、耳裏下部に非接触の状態にしてあるので、計測装置50を装着した場合に、違和感や不快感が生じることもない。また、測距センサ52は、比較的安価であり、構造も簡単であり、筋電位計を用いる必要がないのでコストを抑えることができ、耳に装着するという簡単な構造で咀嚼回数又は咀嚼時間などを計測することができる。
加速度センサ53は、耳裏下部との間の距離の変動を生じせしめる人体動作を検出する。人体動作は、例えば、発話、頷き、くしゃみ、飲み込み、首振りなどとすることができる。すなわち、加速度センサ53は、人体動作として発話、頷き、くしゃみ、飲み込み、首振りの少なくとも1つを検出する。
加速度センサ53は、例えば、ピエゾ抵抗型3軸加速度センサ、静電容量型3軸加速度センサ、圧電型3軸加速度センサなどを用いることができ、XYZ軸の3方向の加速度を測定することができる。なお、加速度センサ53は、3軸加速度センサに限定されるものではなく、2軸加速度センサでもよい。
また、加速度センサ53は、計測装置50を耳に装着した場合に、測距センサ52(又は計測装置50自身でもよい)の姿勢を検出する。すなわち、加速度センサ53で地球の重力加速度を計測することにより、測距センサ52の姿勢(傾き)を検出することができる。例えば、予め装着時の測距センサ52の基準の姿勢(基準方向)と重力方向との関係を定めておき、重力方向と基準方向とのずれ(ずれ角度)に応じて、ユーザの身長、体重、年齢などに依存する装着時の個人差を特定することができる。
次に、一口動作について説明する。一口動作は、例えば、所望の量の摂食物を一口分だけ口に入れて摂取する動作である。
判定部56は、計測部54で検出したピーク(すなわち、1回の咀嚼)に基づいて摂食物を一口摂取する一口動作の有無を判定する。例えば、何も咀嚼していない状態から、摂食物を一口分だけ口に入れて咀嚼を始めるとすると、ある時点よりも前においては咀嚼が行われていないので、計測部54はピークを検出しない。すなわち、計測部54でピークを検出しない時間(例えば、数秒程度)が存在する。一方、摂食物を口に入れて咀嚼を始めると計測部54は連続してピークを検出する。このように、計測部54でのピークの検出状態により、一口動作の有無(一口動作の開始時点を含む)を判定することができる。以下、一口動作の判定方法について説明する。
図6は第1実施形態の計測装置50の判定部56による一口動作判定の第1実施例を示すタイムチャートである。判定部56は、計測部54でピークを検出した任意の時点より前の所定時間(例えば、3秒とすることができるが、これに限定されない)の間、計測部54でピークを検出していない場合に、当該時点より後でピークを複数回(例えば、4回以上)検出したとき、一口動作ありと判定する。
図6の例では、矢印が付された「一口動作」の期間では、ピークが複数回検出されており、一口動作が開始する前の期間では、ピークが検出されていないことがわかる。図6に示すように、例えば、何も咀嚼していない状態から、摂食物を一口分だけ口に入れて咀嚼を始めるとすると、ある時点よりも前においては咀嚼が行われていないので、計測部54はピークを検出しない。一方、摂食物を口に入れて咀嚼を始めると計測部54は連続してピークを検出する。これにより、摂食物を一口分だけ口に入れる一口動作の開始及び開始時点を判定することができる。
図7は本実施の形態の計測装置50の判定部56による一口動作判定の第2実施例を示すタイムチャートである。判定部56は、一口動作の有無を判定した時点(すなわち、一口動作の開始時点)から所定回数(例えば、30回)以上、計測部54でピークが検出された場合、一口動作の開始時点以降で、ピークの最も大きい時点を、次の一口動作の開始時点であると判定する。
図7の例では、符号Aで示す時点で一口動作(一口動作の開始)が判定され、符号Aで示す時点以降、所定回数以上のピークが検出されている。この場合、符号Aで示す時点より後であって、ピークが最も大きい時点(符号Bで示す時点)を、次の一口動作の開始時点と判定する。1回の一口動作で繰り返される咀嚼の回数は、30回を超えることはまれである。そこで、ピークが30回以上となる場合には、それまでの間に、次の一口動作を行った可能性が非常に高いので、最大のピークを検出した時点を次の一口動作の開始時点と判定することにより、一口を正しく2口と判定することができ、一口動作の回数を精度良く判定することができる。
一口動作の判定によって計数された一口の数の合計を1食での一口の回数とすることができる。また、例えば、単位時間(例えば、1分間)当たりの一口の回数を咀嚼速度とすることができる。また、一口動作の開始時点から咀嚼の終わりまでの時間、あるいは一口動作の開始時点から次の一口動作の開始時点までの間の時間を一口時間(食べるスピード)として判定することができる。また、最初の一口動作の開始時点から最後の一口動作が終わるまでの時間を1回の食事時間とすることができる。ただし、咀嚼なしと判定される時間が所定時間を超える場合には、当該時間を食時間から除外すればよい。また、1回の食事において、一口動作の時間の合計を噛み時間(噛んでいる時間)として判定することができる。
次に、咀嚼波形について説明する。図8は第1実施形態の計測装置50で得られた咀嚼波形の第1実施例を示すタイムチャートである。図8に示す咀嚼波形は、咀嚼状態が良い状態の場合を示す。咀嚼の大きさは、例えば、咀嚼と判定された点(ピーク)の振幅の大きさで判定することができ、当該振幅が大きい場合には、よく噛んで食べていること、力強く噛んでいることが分かる。
また、咀嚼速度、咀嚼のリズムは、咀嚼と判定された点(ピーク)の間隔の長短で判定することができ、当該間隔が比較的広い場合には、ゆっくりとよく噛んで食べていると判定することができる。また、図8に示すような咀嚼波形が繰り返し計測される場合には、咀嚼リズムが良いと判定することができる。また、咀嚼のタイミングは、咀嚼と判定されたピークを検出した時点として計測することができる。
図9は第1実施形態の計測装置50で得られた咀嚼波形の第2実施例を示すタイムチャートである。図9に示す咀嚼波形は、咀嚼状態が良くない状態の場合を示す。図9に示すように、咀嚼と判定された点(ピーク)の振幅が比較的小さい場合には、咀嚼の大きさが小さく、よく噛んでいないことが分かる。また、咀嚼と判定された点(ピーク)の間隔が比較的狭い場合には、咀嚼速度が早すぎる、あるいは咀嚼のリズムが良くないと判定することができる。
次に、食事時の姿勢について説明する。図10は第1実施形態の計測装置50による姿勢判定の第1実施例を示すタイムチャートである。図10中、上側の実線は測距センサ52が出力する電圧を示し、下側の3本の細線は、加速度センサ53が出力するXYZ軸の3方向の加速度に対応する電圧を示し、破線は閾値を示す。
図10中、矢印で示す範囲では、加速度センサ53の2軸(Y軸及びZ軸)の電圧が閾値20超えて大きく変位をしている。このことから、食事をしているユーザの頭部の位置が変化していることが分かる。加速度センサ53の取付方向は予め定まっているので、例えば、Y軸を垂直方向、Z軸を前後方向、X軸を顔の横方向に設定した場合、摂食物を口に運ぶときに前方向かつ下方向に頭を動かすとY軸及びZ軸の電圧が大きく変位することになる。閾値を予め定めておくことで、過度な頭の動き、すなわち食事時の姿勢を判定することができる。また、一口動作の検出時と同期することにより、過度に頭(顔)や口を前方、下方に突き出して摂食物を口に入れていることを判定することができる。
図11は第1実施形態の計測装置50による姿勢判定の第2実施例を示すタイムチャートである。図11中、3本の細線は、加速度センサ53が出力するXYZ軸の3方向の加速度に対応する電圧を示し、破線は閾値を示す。食事中に顔、頭又は体を動かした場合、X軸、Y軸又はZ軸のいずれかの電圧が閾値を越えたとき(図11の例では、Y軸の電圧が閾値を越えている)、姿勢が悪いと判定することができる。
また、例えば、Y軸を垂直方向、Z軸を前後方向、X軸を顔の横方向に設定した場合に、前後方向と横方向が姿勢の判定に重要であると判断されるときは、その対応する軸の電圧と閾値とを比較すればよい。また、X軸、Y軸及びZ軸の電圧の合計を指標として、移動平均(例えば、前後2点で合計5点での電圧の平均)を算出し、算出した値が閾値を越えたときに姿勢が悪いと判定することもできる。
図12は第1実施形態の計測装置50による姿勢判定の第3実施例を示すタイムチャートである。図12の例は、食事時の姿勢が良い場合を示す。図12に示すように、X軸、Y軸又はZ軸のいずれかの電圧が閾値を越えない状態が食事中継続される場合には、食事時の姿勢は良いと判定することができる。なお、重要であると判断される軸の電圧を用いてもよく、あるいはX軸、Y軸及びZ軸の電圧の合計を指標として用いてもよい。
なお、初回の食事前に背筋を伸ばした状態で計測装置50の加速度センサ53のキャリブレーションを行うこともできる。これにより、姿勢が良い状態でのX軸、Y軸及びZ軸の電圧が分かり、計測時とキャリブレーション時との差分データを算出することで、姿勢の良し悪しを判定することができる。
次に、食事支援装置100が計測装置50から取得する咀嚼データ(咀嚼情報とも称する)について説明する。図13は第1実施形態の食事支援装置100が取得する咀嚼データの一例を示す説明図である。
第1通信部11は、取得部としての機能を有し、計測装置50から咀嚼に関する咀嚼データを取得する。図13に示すように、咀嚼データは、例えば、咀嚼回数、咀嚼速度、一口動作回数(一口動作は、例えば、摂食物を一口分だけ口に入れて摂取する動作である)、食事開始時刻、食事時間、食事時の姿勢、食事回数、咀嚼波形データなどの少なくとも1つを含む。また、咀嚼波形には、咀嚼リズム、咀嚼の大きさ、咀嚼のタイミング、一口動作のタイミングなどのデータも含まれる。
比較部12は、第1通信部11で取得した咀嚼データ及び記憶部20に予め記憶した所定の閾値データを比較する。
生成部13は、比較部12で比較した結果に基づいて、食事に関する提案情報(アドバイスとも称する)を生成する。以下、アドバイスの詳細を説明する。
まず、食事中のリアルタイムでのアドバイスについて説明する。図14は第1実施形態の食事支援装置100によるアドバイスの第1実施例を示す説明図である。なお、図14に例示するアドバイスは、出力部19で音声により出力してもよく、あるいは表示部17に文字で表示してもよい。また、出力部19で、所定の音又は振動を出力することでも、ユーザにアドバイスを提供できる。また、これらの出力を、少なくとも2つ以上を組み合わせて同時に行ってもよい。また、アドバイスは、食事の途中でもよく、あるいは食事が終了した直後に提供してもよい。
咀嚼回数が閾値より多い場合には、咀嚼状態が良い状態であると判定し、例えば、「良いペースです。」、「よく噛めています。」、「目標達成。」などのアドバイスを行う。一方、咀嚼回数が閾値より少ない場合には、咀嚼状態が良くない(悪い)状態であると判定し、例えば、「もう少し多く噛みましょう。」などのアドバイスを行う。
咀嚼リズムが良い状態である場合には、例えば、「良いリズムです。」、「その調子です。」などのアドバイスを行う。一方、咀嚼リズムが良くない状態である場合には、例えば、「リズムよく噛みましょう。」などのアドバイスを行う。
咀嚼の大きさが良い状態である場合には、例えば、「よく噛めています。」などのアドバイスを行う。一方、咀嚼の大きさが良くない状態である場合には、例えば、「もう少し顎を動かしましょう。」などのアドバイスを行う。
食事時間が良い状態である場合、例えば、食事時間が、満腹中枢が刺激される時間(例えば、20分)を越えた場合には、「ゆっくり噛めています。」、「良い食事ペースです。」、「ゆっくり味わって食べられています。」、「満腹中枢もよく刺激されていますよ。」などのアドバイスを行う。また、食事時間が、例えば、15分を経過した時点で、「あと5分噛みましょう。」「もうちょっとですよ。」などのアドバイスを行うこともできる。一方、食事時間が良くない状態である場合には、例えば、「食べるのが早いですね。」、「もっとゆっくり食事をしましょう。」などのアドバイスを行う。
食事時の姿勢が良い状態である場合には、例えば、「姿勢良く食事できています。」などのアドバイスを行う。一方、食事時の姿勢が良くない状態である場合には、例えば、「姿勢良く噛みましょう。」、「もっと背筋を伸ばして食事しましょう。」、「口に含むとき前傾姿勢になりすぎています。」などのアドバイスを行う。
図15は第1実施形態の食事支援装置100によるアドバイスの第2実施例を示す説明図である。図15に示すように、食事が終了した直後に、例えば、咀嚼回数を表示するとともに、予め設定した目標を越えた場合には、「目標達成!」なる文字を表示することもできる。なお、咀嚼回数と「目標達成」を音声で出力してもよい。図14、図15に示すように、生成したアドバイス(提案情報)を音声で出力又は文字で表示することにより、咀嚼指導を含む食事に関する提案を提供することができる。また、食事中にアドバイスをすることにより、ユーザの自律的な改善(咀嚼改善、食事改善)を促すこともできる。
また、制御部10は、特定部としての機能を有し、第1通信部11で取得した咀嚼データに基づいて嚥下のタイミングを特定する。嚥下のタイミングは、2回目以降に計測された一口動作の開始時点又は当該開始時点の直前とすることができる。嚥下のタイミングが良い状態である場合には、例えば、「よく噛んだ後に飲み込めています。」などのアドバイスを行う。また、嚥下のタイミングが良くない状態である場合には、例えば、「もっとよく噛んだ方が、胃への負担が少ないですよ。」などのアドバイスを行う。
また、操作部18は、ユーザの入力操作を受け付ける。ユーザは、例えば、食事内容に関する情報を入力することができる。食事支援装置100は、ユーザが入力した食事内容に応じて、アドバイスを行うことができる。例えば、「カレーの前にサラダを食べると消化促進されますよ。」、「カレーの時は野菜ジュースを飲むと血糖値があがりにくくなりますよ。」、「焼肉前にはキムチを食べると脂肪燃焼効果が期待できます。」、「トマトときゅうりを一緒に食べるとトマトのビタミンが酸化してしまいます。マヨネーズや酢が入ったドレッシングを一緒に食べましょう。」などの食事内容に合わせた食べ合わせのアドバイス又は食べる順番を指導することができる。なお、アドバイスを行うための判断情報は記憶部20に記憶しておくことができるが、外部のサーバに記憶することもできる。
次に、食事終了後に食事の評価結果をフィードバックし、アドバイスする場合について説明する。図16は第1実施形態の食事支援装置100によるアドバイスの第3実施例を示す説明図である。図16は、評価項目、評価条件、評価点の一例を示す。図16に示すように、目標値に対する咀嚼回数の割合である咀嚼達成率が、90%以上であれば評価点を3点付与し、60〜89%であれば2点、60%未満であれば1点付与する。
また、リズムよく噛めた咀嚼回数の平均値であるコンボ平均が、20回以上であれば評価点を3点付与し、10〜19であれば2点、10未満であれば1点付与する。また、食事時間が、20分以上であれば評価点を3点付与し、10〜19分であれば2点、10分未満であれば1点付与する。総合評価は、評価点の合計が8点以上であればA評価とし、評価点の合計が5〜7点であればB評価とし、評価点の合計が5点未満であればC評価とする。図16に示すような評価結果は音声で出力してもよく、文字で表示してもよい。
咀嚼回数の目標をユーザに与えることにより、何回噛めばよいかを明確化することができ、また目標を達成することにより、更なる咀嚼回数の増加が見込まれる。咀嚼回数の目標値は、ユーザの年齢、性別、体重などの個人情報から算出してもよく、食事内容により目標回数が異なるため、操作部18から入力された食事内容に応じて設定してもよい。例えば、カレーは800回、定食メニューは1000回などとすることができる。目標回数は、記憶部20に記憶してよく、あるいは外部のサーバ(クラウド)に記憶してもよい。サーバに記憶することにより、多くのユーザからの実際の咀嚼回数と比較して、さらに精度の高い目標回数を設定することが可能となる。
なお、図16には例示していないが、朝食、昼食、夕食毎に食事開始時刻について時間帯毎に評価点を定めておき、ユーザが実際に食事を開始した時刻に応じて評価するようにしてもよい。また、頭や体の傾き度合に応じて評価点を定めておき、食事時の姿勢について評価するようにしてもよい。また、評価結果のフィードバックは、1回の食事の都度行ってもよく、1日の食事について行ってもよく、あるいは数日、1週間、1か月などの所要の期間に亘っての食事の平均的な結果を評価してフィードバックすることもできる。上述のような食事の評価結果をフィードバックすることにより、ユーザが自分の食事状況を把握することができる。
図17は第1実施形態の食事支援装置100によるアドバイスの第4実施例を示す説明図である。図17は、食事終了後に、今回の食事の評価を示す表示画面の一例である。図17の例では、今回の食事の咀嚼回数が692回であり、咀嚼回数達成率が69%であることを示す。また、1日の食事としては、咀嚼回数が1429回で達成率が48%であることを示し、コンボ平均が15回であることを示す。また、表示画面上で「692回、達成率69%です。もっとがんばろう!」と表示されている。これにより、ユーザが現在の咀嚼状況、食事状況を把握することができ、食事を改善しようとする意欲を掻き立てることができる。
次に、色による食欲コントロールについて説明する。図18及び図19は第1実施形態の食事支援装置100によるアドバイスの第5実施例を示す説明図である。図18は、例えば、食事開始直後の表示部17の表示画面の一例を示し、図19は、食事時間が、例えば、20分を経過した時点の表示画面の一例を示す。なお、図中の数字は咀嚼回数であり、達成率を棒グラフで示している。
判定部14は、第1通信部11で取得した咀嚼データに基づいて食欲を増進させるか又は抑制させるかを判定する。例えば、食事開始からの経過時間が、満腹中枢が刺激されるまでの所定時間(例えば、20分)以内である場合には、食欲を増進させると判定し、経過時間が当該所定時間を過ぎた場合には、食欲を抑制させると判定する。
変更部15は、判定部14の判定結果に応じて表示部17の表示色を変更する。例えば、図18に示すように、食事開始から満腹中枢が刺激されるまでの間は、食欲を増進させるべく表示部17の色を暖色(例えば、オレンジ色、赤色など)にする。これにより、ユーザの食欲を増進させる。また、図19に示すように、満腹中枢が刺激される段階では、表示部17の色を暖色から寒色(例えば、水色、青色など、図19では、模様を付して寒色を示す)に変更する。これにより、食べ過ぎの防止を図る。上述のように、食事の状況に応じて表示画面の色を変えて、ユーザの食欲をコントロールし、ユーザの食欲が適切になるようなアドバイスを提供することができる。
また、操作部18から入力されたユーザの食事内容(食事量)又は食事時間に基づいて、食事量が多いと判定された場合には、音声又は文字で注意を促すことができ、さらに食欲を減衰させるように表示部17の表示画面を青色などの寒色にすること、あるいは青色の光を出力することによりユーザの食欲を抑えることができる。
また、過度な食事を防止することは、1回の食事の食事量が多い場合に限らず、例えば、お菓子などの間食を防ぐこともできる。例えば、ユーザが間食をしようとしたときに、表示部17の表示画面を青色などの寒色にすること、あるいは青色の光を出力することによりユーザの食欲を抑えることができる。また、「炭酸水を飲みましょう。」、「ガムを噛みましょう。」、あるいはツボの位置を表示しながら「このツボを押しましょう。」などのアドバイスを行うことにより、間食を控えるように提案することもできる。
また、食欲がないユーザに対しては、表示部17の表示画面をオレンジ色又は赤色などの暖色にすること、オレンジ色の光を出力すること、あるいは食欲をわきたてる音(例えば、食材が煮える音、肉が焼ける音など)又は映像を出力するようにしてよい。
次に、音又は振動による咀嚼促進方法について説明する。出力部19は、咀嚼又は嚥下のタイミングに同期させて音又は振動(例えば、リズム良い音又はメロディーなど)を出力する。咀嚼又は嚥下のタイミングは、予め定めた適切なタイミングとすることができる。これにより、ユーザは、音又は振動により、適切なタイミングで咀嚼又は嚥下することができるように自分の咀嚼を調整することができる。
また、第1通信部11で取得した咀嚼データに基づいて、ユーザが噛む都度(咀嚼のタイミング)、あるいは摂食物を飲み込む都度(嚥下のタイミング)音又は振動を出力する。これにより、ユーザの噛む感覚を刺激して咀嚼を促すことができる。
また、第1通信部11で取得した咀嚼データに基づいて、適切な嚥下のタイミング(例えば、所要の時間幅を有する時間帯)で音又は振動を出力することにより、あまり噛まずに飲み込むことを防止することができる。
また、咀嚼波形の変化(例えば、咀嚼の振幅が小さくなる、あるいは咀嚼の間隔が長くなる等)があった場合にも音又は振動を出力することにより、咀嚼リズムを良くして適切な咀嚼指導を行うことができる。
次に、ユーザの状態(例えば、健康状態、食事状態など)をキャラクターで表現する方法について説明する。まず、ユーザのログデータを用いる場合について説明する。図20は第1実施形態の食事支援装置100によるユーザのログデータに基づく状態判定の一例を示す説明図である。記憶部20は、収集部としての機能を有し、第1通信部11で取得した咀嚼データを収集する。収集した咀嚼データは、ユーザのログデータとなる。図20には、ユーザのログデータとして、咀嚼回数、一口回数、咀嚼速度、食事時間、食事開始時刻と回数、食事時の姿勢を示す。ログデータは、1回の食事におけるデータではなく、複数回の食事、例えば、1週間、1か月、2か月、3か月等の比較的長い期間で収集された咀嚼データを統計処理等により、例えば、平均化した数値である。
図20に示すように、ユーザの状態は、健康な状態、不健康(太り過ぎ)な状態、不健康(痩せすぎ)な状態に区分されている。なお、ログデータ、ユーザの状態は図20の例に限定されるものではない。
健康な状態は、例えば、咀嚼回数が多い(例えば、一口当たり30回以上、1食当たり1000回以上)、一口回数が多い(例えば、1食当たり35口以上)、食事時間が長い(例えば、20分以上)、食事開始時刻と回数が適切である(例えば、5−8時に1食目、11−13時に2食目、17−20時に3食目)場合とすることができる。
また、不健康(太りすぎ)は、例えば、咀嚼回数が少ない(例えば、一口当たり20回以下、1食当たり200回以下)、咀嚼速度が速い(例えば、1分間の一口回数が10回以上)、食事時間が短い(例えば、10分以下)、食事開始時刻が遅く(例えば、23−2時)回数が多い(例えば、1日当たり6回以上)、食事時の姿勢が悪い(例えば、直立時に比べて45°以上傾いている)場合とすることができる。
また、不健康(痩せすぎ)は、例えば、一口回数が少ない(例えば、1食当たり10口以下)、食事回数が少ない(例えば、1日当たり2回以下)場合とすることができる。なお、ログデータのすべてが該当する場合に健康又は不健康な状態と判定してもよく、あるいはログデータの一部が該当すれば健康又は不健康な状態であると判定してもよい。
制御部10は、収集した咀嚼データ(ユーザのログデータ)に基づいて表示体の体型又は表情を異ならせる。表示体は、例えば、人の顔、体を模式的に模った図柄であり、本実施の形態では、便宜上、キャラクターと称する。すなわち、制御部10は、キャラクターを成長させる。
制御部10は、操作部18でユーザが成長記録の表示要求操作を行った場合に、キャラクターの成長度合いを表示するようにしてもよい。
図21は第1実施形態の食事支援装置100によるキャラクターの表示の第1実施例を示す説明図である。図21は、ユーザの状態が健康である場合の表示部17での表示例を示す。図21に示すように、ユーザの状態が健康である場合、キャラクターは、例えば、元気な様子、あるいは表情が笑顔になっている(成長する)。
図22は第1実施形態の食事支援装置100によるキャラクターの表示の第2実施例を示す説明図である。図22は、ユーザの状態が不健康(太りすぎ)である場合の表示部17での表示例を示す。図22に示すように、ユーザの状態が太っていて不健康である場合、キャラクターの体型は、例えば、太った様子又はぽっちゃりとした様子となり(成長する)、直感的に不健康であることが分かる。
図23は第1実施形態の食事支援装置100によるキャラクターの表示の第3実施例を示す説明図である。図23は、ユーザの状態が不健康(痩せすぎ)である場合の表示部17での表示例を示す。図23に示すように、ユーザの状態が痩せて不健康である場合、キャラクターの体型は、例えば、痩せている様子又はげっそりとした様子となり(成長する)、直感的に不健康であることが分かる。
ユーザのログの状況に応じてキャラクターの体型又は表情を変化させて成長度合を変えることにより、ユーザの状態を反映したキャラクターを表示することができる。これにより、直感的に現在のユーザの状態を把握することができ、健康的な状態を保てるように咀嚼又は食事、健康に対する意識向上を促すことができる。
次に、食事中のユーザの状態をリアルタイムで反映したキャラクターを表示する場合について説明する。図24は第1実施形態の食事支援装置100によるユーザのリアルタイムの状態判定の一例を示す説明図である。食事中のユーザの状態を判定するための咀嚼データは、例えば、咀嚼回数、咀嚼速度、食事時間、食事時の姿勢などを用いることができる。なお、食事中のユーザの状態を判定するための咀嚼データは、図24の例に限定されるものではない。
図24に示すように、ユーザの状態は、良い状態と悪い状態に区分されている。良い状態は、例えば、咀嚼回数が多い(例えば、一口当たり30回以上)、咀嚼速度がゆっくり(例えば、咀嚼波形が30秒以上連続する)、食事時間が長い(例えば、20分以上)場合とすることができる。また、悪い状態は、例えば、咀嚼回数が少ない(例えば、一口当たり20回以上)、咀嚼速度が速い(例えば、1分間の1口回数が10回以上)、食事時の姿勢が悪い(例えば、直立時と比べて45°傾いている)場合とすることができる。
図25は第1実施形態の食事支援装置100によるキャラクターの表示の第4実施例を示す説明図である。図25は、ユーザのリアルタイムの状態が良い状態である場合の表示部17での表示例を示す。図25に示すように、ユーザの状態が良い状態である場合、キャラクターは、例えば、表情が笑顔になっている。
また、ユーザのリアルタイムの状態が悪い状態である場合、図23に示すようなキャラクターを表示させてもよい。図23に示すように、ユーザの状態が悪い状態である場合、キャラクターは、例えば、つらい顔又は喉を詰まらせるような表情となっている。
図26は第1実施形態の食事支援装置100によるキャラクターの表示の第5実施例を示す説明図である。図26は、ユーザのリアルタイムの状態が悪い状態である場合の表示部17での表示例を示す。図26に示すように、ユーザの状態が悪い状態である場合、キャラクターは、例えば、食事をこぼす動作を示す。
上述のように、食事中のユーザの咀嚼状況又は食事状況によってキャラクターの動作、表情をリアルタイムに変化させることにより、現在の食事の状況を直感的に把握することができ、良い咀嚼又は食事状態に即時に改善することができるようにユーザの意識向上を図ることができる。また、ユーザが咀嚼状況又は食事状況を改善しようとする意識を向上させることができる。
また、ユーザの咀嚼回数が増える都度、キャラクターの口が閉じるようにキャラクターを変化させて表示することにより、噛むことに対する意識を向上させ、ユーザに対する咀嚼指導を行うことができる。
また、咀嚼波形に応じてキャラクターの表情又は動作を変化させることにより、噛むことに対する意識を向上させ、ユーザに対する咀嚼指導を行うことができる。例えば、同じような咀嚼波形が連続して計測され、咀嚼リズムが良い場合、表示部17の全体又は一部、あるいはキャラクター全体又は一部の色を徐々に変化させようにすることができ、また、キャラクターの表情を笑顔にすることができる。これにより、ユーザにとって良い状態に保ちたいと思わせる表現を行ってリズム良く噛めるように意識を向上させることができる。
また、ユーザが咀嚼するときに、キャラクターに咀嚼動作をさせるようにしてもよい。また、ユーザの食事内容又は食事の量に応じてキャラクターを成長させてもよい。例えば、操作部17から入力されたユーザの食事内容が太りやすいものである場合、あるいは食事の量が多い場合には、太っているキャラクターに成長させる。また、食事内容が野菜を中心とした栄養価の高いものであれば、健康的で元気なキャラクターに成長させる。ユーザは、そのキャラクターの成長を見ることで、将来の自分の健康状態を推測することができ、食事内容を改善する動機とすることができる。
キャラクターの成長判定に必要な情報は、予め記憶部20に記憶しておくこともでき、あるいは外部のサーバに記憶しておくこともできる。また、成長度合の判定は、例えば、食事内容に健康又は不健康度合に応じたポイントを設定しておき、任意の時点でもポイント(例えば、ポイントが多いほど元気で健康的とすることができる)に応じてキャラクターの成長度合を判定すればよい。
また、キャラクターの初期状態は、予め所定の状態に設定しておくことができる。また、ユーザの個人情報(例えば、身長、体重、年齢、性別など)やユーザの状態に応じてユーザ毎に設定するようにしてもよい。これにより、例えば、ユーザが太っている場合には、初期のキャラクターもユーザの状態に合わせて太った体型となるので、ユーザは自分が太っていることを強く気づかされることになり、現状の状態を改善しようとする意識を高めることができる。
なお、キャラクターの成長は、咀嚼データだけでなく、運動又は睡眠に関するデータに基づいて行うこともできる。なお、運動又は睡眠に関するデータは、計測装置50から取得するようにしてもよく、あるいは操作部18からユーザが入力するようにしてもよい。
次に、第1実施形態の食事支援装置100の動作について説明する。図27は第1実施形態の食事支援装置100の処理手順の第1実施例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、簡便のため処理の主体を制御部10とする。制御部10は、咀嚼データを取得し(S11)、取得した咀嚼データと閾値データとを比較する(S12)。制御部10は、比較結果に応じてアドバイスを生成し(S13)、生成したアドバイスを出力する(S14)。
制御部10は、食事時間が所定時間を経過したか否かを判定する(S15)。所定時間は、例えば、満腹中枢が刺激されるまでの所定時間(例えば、20分)とすることができる。食事時間が所定時間経過していない場合(S15でNO)、制御部10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。
食事時間が所定時間経過した場合(S15でYES)、制御部10は、食事が終了したか否かを判定し(S16)、食事が終了していない場合(S16でNO)、表示部17の表示画面の色を変更し(S17)、ステップS11以降の処理を繰り返す。この場合、制御部10は、表示画面の色を、例えば、暖色から寒色へ変更する。
食事が終了した場合(S16でYES)、制御部10は、食事の評価を行い(S18)、評価結果を出力し(S19)、処理を終了する。
図28は第1実施形態の食事支援装置100の処理手順の第2実施例を示すフローチャートである。制御部10は、咀嚼データを取得し(S31)、取得した咀嚼データに基づいて、咀嚼のタイミングで音を出力する(S32)。制御部10は、取得した咀嚼データと閾値データとを比較する(S33)。
制御部10は、咀嚼状況は良い状態であるか否かを判定し(S34)、良い状態である場合(S34でYES)、良い状態のキャラクターを表示し(S35)、良い状態でない場合(S34でNO)、悪い状態のキャラクターを表示する(S36)。
制御部10は、食事が終了したか否かを判定し(S37)、食事が終了していない場合(S37でNO)、ステップS31以降の処理を繰り返す。食事が終了した場合(S37でYES)、制御部10は、ユーザからの成長記録の表示要求操作の有無を判定する(S38)。
成長記録の表示要求操作がある場合(S38でYES)、制御部10は、キャラクターの成長度合を表示し(S39)、処理を終了する。成長記録の表示要求操作がない場合(S38でNO)、制御部10は、処理を終了する。
本実施の形態の食事支援装置100は、CPU(プロセッサ)、RAMなどを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図27及び図28に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAMにロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上で食事支援装置100を実現することができる。
(第2実施形態)
図29は第2実施形態の食事支援システムの構成の一例を示すブロック図である。食事支援システムは、第1実施形態1と同様、食事支援装置100、計測装置50などを備える。第2実施形態では、インターネット又は電話回線などの通信ネットワーク1に接続されるユーザデータサーバ200、情報提供サーバ210、家電制御サーバ220などを備える。また、ユーザの住宅には、照明装置301、エアコンなどの空調装置302、炊飯器、電子レンジ、オーブンなどの調理機器303を備える。
第2通信部16は、通信ネットワーク1を介してユーザデータサーバ200、情報提供サーバ210などとの間で情報の授受を行うことができる。
各ユーザの咀嚼データ、食事内容に関する食事情報が、ユーザ毎の食事支援装置100からユーザデータサーバ200へ送信される。ユーザデータサーバ200は、受信した咀嚼データ及び食事情報を、ユーザの年代、性別、食事量などで分類化された指標に伴ってランキング形式のフィードバックを各ユーザの食事支援装置100へ送信する。
例えば、第2通信部16は、受信部としての機能を有し、外部装置としてのユーザデータサーバ200から他のユーザの咀嚼データを受信する。そして、第1通信部11で取得した咀嚼データ及び第2通信部16で受信した咀嚼データを表示部17に表示する。例えば、自身(ユーザ)の咀嚼回数と、他のユーザの咀嚼回数とを表示することにより、ユーザの競争心をわきたたせ咀嚼回数が増加するように支援することができる。なお、比較の対象は、学校などのグループとしてもよい。この場合には、食事の内容が同等であるので、より明確に比較することができる。また、競争単位は、1つの表示装置に複数の計測装置50を接続させてユーザ毎に競争する形式でもよく、クラウドを用いることにより、各グループ対抗(例えば、学校のクラス対抗、学校対抗など)で競争するようにしてもよい。また、リアルタイムで競争する形式でもよく、リアルタイムではなく、食事後に集計してフィードバックする方式でもよい。また、その集計は、咀嚼回数を合計してもよく、あるいはグループ内の人数(構成人員数)で平均化してもよい。各ユーザは、例えば、自分の咀嚼回数が他人に比べて多いか少ないかを判断することができ、咀嚼回数を増やすように意識することができる。
また、ユーザデータサーバ200において、各ユーザの咀嚼回数を含む食事情報を特定のグループで一括管理することにより、例えば、学校の生徒、老人ホームの入居者が毎日の食事でどの程度咀嚼しているかを明確にすることができる。
ユーザの咀嚼回数をユーザデータサーバ200又は記憶部20に保存しておくことにより、各ユーザへ適切な食事内容を提案することができる。例えば、ユーザの咀嚼回数が少ない場合には、より噛み応えのある食事が望まれるので、例えば、大豆やこんにゃく、いかなどの食材を料理に使用することを提案し、あるいは大豆とひじきの煮物や白米から玄米に変える食事レシピを提案することができる。このような提案は、食事支援装置100で行うこともでき、あるいは情報提供サーバ210から提案を取得するようにしてもよい。また、ユーザが調理機器303を使用する際に、調理機器303が家電制御サーバ220から提案に関する情報を取得し、取得した提案を表示し、あるいは音声で出力してもよい。
また、ユーザの食事状況に応じて、例えば、図18及び図19で例示したように表示部17の色を変える構成に代えて、部屋の照明装置301の発光色を変えることができ、あるいは空調装置302の温度を調整して、食欲をコントロールすることもできる。この場合、照明装置301、空調装置302の制御は、家電制御サーバ220により行うようにしてもよく、あるいは食事支援装置100に近距離無線通信機能を具備しておき、食事支援装置100が制御するようにしてもよい。
上述のように、食事支援装置100と、咀嚼時の人体動作を計測する計測装置50とを備えることにより、咀嚼指導を含む食事に関する提案を提供することができる食事支援システムを実現することができる。
本実施の形態の食事支援装置(100)は、咀嚼時の人体動作を計測する計測装置(50)から咀嚼に関する咀嚼データを取得する取得部(11)と、該取得部で取得した咀嚼データ及び所定の閾値データを比較する比較部(12)と、該比較部で比較した結果に基づいて、食事に関する提案情報を生成する生成部(13)とを備えることを特徴とする。
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、食事支援をさせるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、取得した咀嚼に関する咀嚼データ及び所定の閾値データを比較する比較部と、比較した結果に基づいて、食事に関する提案情報を生成する生成部として機能させることを特徴とする。
本実施の形態の食事支援方法は、咀嚼時の人体動作を計測する計測装置から咀嚼に関する咀嚼データを取得部が取得するステップと、取得された咀嚼データ及び所定の閾値データを比較部が比較するステップと、比較した結果に基づいて、食事に関する提案情報を生成部が生成するステップとを含むことを特徴とする。
本実施の形態にあっては、取得部(11)は、咀嚼時の人体動作を計測する計測装置(50)から咀嚼に関する咀嚼データを取得する。咀嚼データは、例えば、咀嚼回数、咀嚼速度、一口動作回数(一口動作は、例えば、摂食物を一口分だけ口に入れて摂取する動作である)、食事開始時刻、食事時間、食事時の姿勢、食事回数、咀嚼波形データなどの少なくとも1つを含む。比較部(12)は、取得部で取得した咀嚼データ及び所定の閾値データを比較する。生成部(13)は、比較部で比較した結果に基づいて、食事に関する提案情報を生成する。
例えば、咀嚼回数が所定の閾値以上である場合には、「よく噛めています。その調子です。」の如く提案情報を生成し、咀嚼回数が所定の閾値未満である場合には、「もっとよく噛みましょう。」の如く提案情報を生成する。また、食事時間が所定の閾値以上である場合には、「いい食事ペースです。」の如く提案情報を生成し、食事時間が所定の閾値未満である場合には、「食べるのが早いですね。もっとゆっくり食べましょう。」の如く提案情報を生成する。生成した提案情報を音声で出力又は文字で表示することにより、咀嚼指導を含む食事に関する提案を提供することができる。
本実施の形態の食事支援装置は、前記取得部(11)で取得した咀嚼データに基づいて食欲を増進させるか又は抑制させるかを判定する判定部(14)と、該判定部の判定結果に応じて表示部(17)の表示色を変更する変更部(15)とを備えることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、判定部(14)は、取得部(11)で取得した咀嚼データに基づいて食欲を増進させるか又は抑制させるかを判定する。例えば、食事開始からの経過時間が、満腹中枢が刺激されるまでの所定時間(例えば、20分)以内である場合には、食欲を増進させると判定し、経過時間が当該所定時間を過ぎた場合には、食欲を抑制させると判定する。
変更部(15)は、判定部の判定結果に応じて表示部(17)の表示色を変更する。例えば、食欲を増進させると判定した場合には、表示部を暖色で表示させることにより、ユーザの食欲を増進させる。また、食欲を抑制させると判定した場合には、表示部を寒色に変更することにより、食べ過ぎの防止を図る。これにより、食事の状況に応じてユーザの食欲が適切になるようなアドバイスを色で提供することができる。
本実施の形態の食事支援装置は、動作、体型及び表情の少なくとも1つの違いを異なる態様で表す表示体を前記表示部(17)に表示すべく制御する制御部(10)を備え、該制御部は、前記取得部(12)で取得した咀嚼データに基づいて前記表示体の態様を異ならせるようにしてあることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、制御部(10)は、動作、体型及び表情の少なくとも1つの違いを異なる態様で表す表示体を表示部に表示すべく制御する。表示体は、例えば、人の顔、体を模式的に模った図柄(キャラクターとも称する)である。動作は、例えば、食事を食べる動作、喉を詰まらせる動作、食事をこぼす動作などである。体型は、例えば、スリムな体型、太った体型、痩せた体型などである。表情は、例えば、笑顔の表情、ぽっちゃりした表情、げっそりした表情、つらい顔の表情などである。
制御部は、取得部(11)で取得した咀嚼データに基づいて表示体の態様を異ならせる。例えば、咀嚼回数が多い場合には、キャラクターの表情を笑顔にして表示し、咀嚼回数が少ない場合には、キャラクターの表情をつらい顔にして表示する。このように、食事中のユーザの咀嚼状況によってキャラクターの動作、表情をリアルタイムに変化させることにより、現在の食事の状況を直感的に把握することができ、良い咀嚼又は食事状態に即時に改善することができるようにユーザの意識向上を図ることができる。
本実施の形態の食事支援装置は、前記取得部(12)で取得した咀嚼データを収集する収集部(20)を備え、前記制御部(10)は、前記収集部で収集した咀嚼データに基づいて前記表示体の体型又は表情を異ならせるようにしてあることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、収集部(20)は、取得部(11)で取得した咀嚼データを収集する。制御部(10)は、収集部で収集した咀嚼データに基づいて表示体の体型又は表情を異ならせる。例えば、収集した咀嚼データは、ユーザのログとなる。ユーザのログの状況に応じてキャラクターの体型又は表情を変えることにより、ユーザの状態を反映したキャラクターを表示することができる。これにより、直感的に現在のユーザの状態を把握することができ、健康的な状態を保てるように咀嚼又は食事、健康に対する意識向上を促すことができる。
本実施の形態の食事支援装置は、外部装置(200)から他のユーザの咀嚼データを受信する受信部(16)を備え、前記取得部(11)で取得した咀嚼データ及び前記受信部で受信した咀嚼データを前記表示部(17)に表示するようにしてあることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、受信部(16)は、外部装置(200)から他のユーザの咀嚼データを受信する。そして、取得部(11)で取得した咀嚼データ及び受信部で受信した咀嚼データを表示部に表示する。例えば、自身(ユーザ)の咀嚼回数と、他のユーザの咀嚼回数とを表示することにより、ユーザの競争心をわきたたせ咀嚼回数が増加するように支援することができる。
本実施の形態の食事支援装置は、前記取得部(11)は、咀嚼回数、咀嚼速度、咀嚼の大きさ、咀嚼リズム、食事中の姿勢及び食事時間の少なくとも1つを前記咀嚼データとして取得するようにしてあることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、取得部(11)は、咀嚼回数、咀嚼速度、咀嚼の大きさ、咀嚼リズム、食事中の姿勢及び食事時間の少なくとも1つを咀嚼データとして取得する。咀嚼回数は、一口動作(一口とも称する)当たりの咀嚼回数、1回の食事当たりの咀嚼回数などである。咀嚼速度は、例えば、1分間の一口回数などである。咀嚼の大きさは、咀嚼に伴う変動の振幅であり、咀嚼リズムは、咀嚼の間隔と咀嚼の振幅を含む咀嚼波形がどの程度同じであるかを示すものである。これらの咀嚼データを取得することにより、咀嚼指導を行うことができる。
本実施の形態の食事支援装置は、咀嚼又は嚥下のタイミングに同期させて音又は振動を出力する出力部(19)を備えることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、出力部(19)は、咀嚼又は嚥下のタイミングに同期させて音又は振動を出力する。咀嚼又は嚥下のタイミングは、予め定めた適切なタイミングとすることができる。これにより、ユーザは、音又は振動により、適切なタイミングで咀嚼又は嚥下することができるように自分の咀嚼を調整することができる。また、咀嚼又は嚥下のタイミングは、取得部で取得した咀嚼データに基づくものでもよい。これにより、ユーザの噛む感覚を刺激して咀嚼を促すことができる。
本実施の形態の食事支援装置は、前記取得部(11)で取得した咀嚼データに基づいて嚥下のタイミングを特定する特定部(10)を備え、前記出力部(19)は、前記特定部で特定したタイミングに同期させて音又は振動を出力するようにしてあることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、特定部(10)は、取得部(11)で取得した咀嚼データに基づいて嚥下のタイミングを特定する。嚥下のタイミングは、2回目以降に計測された一口動作の開始時点又は当該開始時点の直前とすることができる。出力部(19)は、特定部で特定したタイミングに同期させて音又は振動を出力する。これにより、適切な嚥下タイミングを通知することができ、あまり噛まずに飲み込むことを防止することができる。
本実施の形態の食事支援システムは、前述の発明のいずれか1つに係る食事支援装置(100)と、咀嚼時の人体動作を計測する計測装置(50)とを備え、前記食事支援装置は、前記計測装置から咀嚼に関する咀嚼データを取得するようにしてあることを特徴とする。
本実施の形態にあっては、食事支援装置(100)と、咀嚼時の人体動作を計測する計測装置(50)とを備え、食事支援装置は、計測装置から咀嚼に関する咀嚼データを取得する。これにより、咀嚼指導を含む食事に関する提案を提供することができる食事支援システムを実現することができる。