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JP2016016993A - エレベータの群管理システム - Google Patents

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JP2016016993A JP2014143358A JP2014143358A JP2016016993A JP 2016016993 A JP2016016993 A JP 2016016993A JP 2014143358 A JP2014143358 A JP 2014143358A JP 2014143358 A JP2014143358 A JP 2014143358A JP 2016016993 A JP2016016993 A JP 2016016993A
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Abstract

【課題】可変速エレベータによる速度アップ運転の頻度を増加させることができる。【解決手段】エレベータの群管理システムにおいて、制御装置10は、走行距離及び乗車率が速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータ30を、当該走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行させる速度アップ運転を行わせるために、行先階登録装置20で新たな行先階呼びが登録されたときに、複数台のエレベータ30のそれぞれについて、新たな行先階呼びを仮割当し、仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離を求め、求めた全走行区間の走行距離に基づいて、割当の優先度を示す優先割当性評価値を設定し、優先割当性評価値に基づいて、複数台のエレベータ30のうちのいずれかを新たな行先階呼びに割り当てる。【選択図】図1

Description

本発明は、登録された行先階に基づいて複数台のエレベータのうちのいずれかを割当可能なエレベータの群管理システムに関する。
特許文献1〜3には、かご内荷重や走行距離が所定の条件を満たす場合に、定格速度よりも速い速度で走行可能な可変速エレベータに関する技術が開示されている。
WO2005/102895号公報 特許第4732343号公報 特許第5404394号公報
エレベータが設置されるビルの交通環境によっては乗車率や走行距離が所定の条件を満たす走行区間が生成されにくい場合があり、その場合、可変速エレベータを設置したにもかかわらず、それによる効果を十分に得られないことがある。
本発明は、可変速エレベータにおいて、定格速度よりも速い速度でエレベータを走行させる速度アップ運転の頻度を増加させることが可能なエレベータの群管理システムを提供する。
本発明のエレベータの群管理システムは、利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置と、行先階登録装置で登録された行先階呼びに基づいて複数台のエレベータのうちのいずれかを行先階呼びに割り当てる制御装置と、を備え、走行距離及び乗車率が所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータを、当該走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行させる速度アップ運転を行わせることが可能なエレベータの群管理システムである。
制御装置は、
行先階登録装置で新たな行先階呼びが登録されたときに、
複数台のエレベータのそれぞれについて、新たな行先階呼びを仮割当し、仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離を求め、求めた全走行区間の走行距離に基づいて、割当の優先度を示す評価値を設定し、
評価値に基づいて、複数台のエレベータのうちのいずれかを新たな行先階呼びに割り当てる。
本発明によれば、可変速エレベータにおいて、定格速度よりも速い速度でエレベータを走行させる速度アップ運転の頻度を増加させることができる。
実施形態1に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。 実施形態1に係るエレベータの群管理システムの制御装置の機能を示す機能ブロック図である。 実施形態1に係るエレベータの群管理システムの行先階登録装置の構成を示すブロック図である。 速度アップ運転の概要を説明するための運行線図の一例を示す図である。 実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおける号機の割当動作を示すフローチャートである。 実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおいて、速度アップ可能区間が存在しない号機に新たな行先階呼びを仮割当したときの優先割当性評価値P(i)を算出する動作を示すフローチャートである。 実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおける、目標走行距離区間リスト(i)の一例を示す図である。 実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおける、速度アップ可能区間リスト(i)の一例を示す図である。 実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおいて、速度アップ可能区間が存在する号機に新たな行先階呼びを仮割当したときの優先割当性評価値P(i)を算出する動作を示すフローチャートである。 本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第1の例を示す図である。 本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第2の例を示す図である。 本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第3の例を示す図である。 本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第4の例を示す図である。 本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第5の例を示す図である。
本発明の実施形態に係るエレベータの群管理システムについて図面を参照して説明する。
(実施形態1)
1.構成
図1は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。
エレベータの群管理システムは、制御装置10、及び行先階登録装置20を有する。エレベータの群管理システムは、複数台のエレベータ30の走行を統合的に制御する。また、エレベータの群管理システムは、行先階登録装置20で登録された行先階呼びに対して、複数台のエレベータ30(以下、実施形態において適宜「号機」という)のうちのいずれかを割当てる制御を行う。本実施形態では、行先階登録装置20は、少なくともビルのロビー階(1階)に配備されているものとする。なお、行先階登録装置20は各階の乗場あるいは乗場近傍に複数台配備されていてもよい。
エレベータ30は、一例として6台設けられている。各エレベータ30(各号機)は、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり、制御部等を有する。各エレベータ30の制御部は、制御装置10からの制御信号に基づいて、巻上機(モータ)等の動作を制御することにより、かごの上昇、下降、停止、走行速度等を制御する。本実施形態において、各エレベータ30(各号機)は可変速エレベータである。可変速エレベータは、かご(利用者(乗客)を含む)と釣合おもりとの重量差が小さい場合において、走行距離が所定距離以上であれば、定格速度よりも速い走行速度で走行可能なエレベータである。定格速度とは、かごに定格積載量に相当する積載荷重を作用させて上昇するときの最高速度である。かごと釣合おもりとの重量差が小さいときとは、例えば乗車率が40%〜60%程度のときであり、このとき、定格速度でかごを昇降させるために要する巻上機の出力は、当該重量差が大きいときよりも小さくてよい。つまり、かごを定格速度で走行させた場合でも巻上機の出力に余裕がある。そのため、定格速度以上に走行速度をアップさせることが可能である。例えば、定格速度が45m/分であれば、走行速度を60m/分にアップすることができる。エレベータ30の制御部は、所定の速度アップ運転条件が成立したときに、制御装置10からの制御信号に基づいて巻上機の回転速度等を制御することにより、定格速度よりも速い走行速度でかご(エレベータ30)を走行させる。以下適宜、各エレベータ30を定格速度よりも速い走行速度で走行させることを「速度アップ運転」という。
制御装置10は、制御部11、記憶部12、及び入出力インタフェース13を備える。記憶部12は、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。制御部11は、演算処理を行う。制御装置10は、制御部11が上記プログラムに基づいて種々のデータ等に対して演算処理を行うことにより、後述する各種の機能を実現する。制御部11は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。制御装置10の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
入出力インタフェース13は、行先階登録装置20及び複数のエレベータ30との間で信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース13は、行先階登録装置20及び複数台のエレベータ30から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
図2は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの制御装置10の機能を示す機能ブロック図である。
本制御装置10は、行先階呼び割当部11A、及び速度切替指令部11Bの各機能を実現する。行先階呼び割当部11Aは、入出力インタフェース13を介して行先階登録装置20から、行先階呼びに対する号機の割当依頼信号を受信すると、割当号機を決定し、割当号機に関する情報を、入出力インタフェース13を介して行先階登録装置20に送信する。また、行先階呼び割当部11Aは、割当号機が速度アップ可能であるか否かを判断し、速度アップ可能である場合は、速度切替指令部11Bに速度切替信号を出力する。速度切替信号が入力されると、速度切替指令部11Bは、入出力インタフェース13を介して割当号機に速度切替信号を送信する。速度切替信号を受信すると、割当号機は、巻上機(モータ)の回転速度の上昇等を行う。これにより、号機のかごの走行速度がアップする。
図3は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの行先階登録装置20の構成を示すブロック図である。
行先階登録装置20は、制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、表示部24、及び操作部25を有する。記憶部22は、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。制御部21は、演算処理を行う。行先階登録装置20は、制御部21が上記プログラムに基づいて種々のデータ等に対して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。制御部21は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。行先階登録装置20の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
入出力インタフェース23は、制御装置10との間で信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース23は、制御部21から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース23は、制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部21に出力する。
表示部24は、制御部21から出力される表示信号に基づく表示を行う。
操作部25は、利用者が行先階を入力するためのインタフェースである。本実施形態では、操作部25として、例えば、図1等に示すように、テンキーを採用している。操作部25は、操作部25の操作内容に対応する信号を制御部21に出力する。
2.動作
本実施形態のエレベータ30は、号機のかごの走行速度を走行距離や乗車率に応じて定格速度よりも速い速度で走行可能な可変速エレベータである。制御装置10は、速度アップ運転条件を満たす走行区間(以下、適宜「速度アップ可能区間」という)が存在する号機について、当該速度アップ可能区間において、速度アップ運転を行う。速度アップ運転条件は、(1)走行区間の走行距離が目標走行距離以上であり、かつ(2)当該走行区間の乗車率が目標乗車率の範囲内にあることである。乗車率とは、かごへの乗車定員に対する乗車人数の比率であり、乗車人数は行先階呼びの登録個数から求めることができる。目標乗車率の範囲とは、速度アップ運転が可能となる乗車率の範囲である。目標乗車率の範囲は、かご(利用者を含む)と釣合おもりとの重量差が速度アップ運転を可能とする所定量以下となる範囲に基づいて設定される。走行距離とは、エレベータの上昇運転または下降運転時の上下方向の距離である。エレベータは、階間で走行するので、走行距離は、出発階と行先階との間の階間距離として求めることができる。目標走行距離とは、速度アップ運転を行った場合に所望の走行時間短縮効果が得られる予め設定した走行距離である。目標走行距離は、目標とする走行時間短縮量に応じて任意の値に設定すればよい。
図4は、速度アップ運転の概要を説明するための運行線図の一例を示す図である。図4に示す例では、目標走行距離はロビー階から所定階(F階)までの階間距離であり、目標乗車率は40%〜60%である。上昇過程における区間Aにおいて、走行距離は目標走行距離以上であり、乗車率は50%で目標乗車率の範囲内である。そのため、区間Aにおいて、速度アップ運転を行うことができる。しかし、区間Bにおいては、乗車率が目標乗車率の範囲内にあるが、走行距離が目標走行距離よりも短い。そのため、速度アップ運転を行うことはできない。また、区間Cにおいては、乗車率が目標乗車率の範囲内になく、また走行距離が目標走行距離よりも短い。そのため、速度アップ運転を行うことはできない。
ここで、区間Aの途中において所定階(F階)よりも下の階に新たな行先階呼びが割り当てられると、走行距離が目標走行距離以上の区間がなくなり、速度アップ運転をしても走行時間短縮効果は得られない。本実施形態では、このような状況が生じるのを極力抑制するために、以下のような構成を採用している。以下、詳しく説明する。
図5は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおける号機の割当動作を示すフローチャートである。
行先階登録装置20において、操作部25に対して利用者により行先階の指定操作が行われると、操作部25は指定操作に対応する行先階呼びの信号を行先階登録装置20の制御部21に出力する。制御部21は、指定操作に対応する行先階呼びの信号に所定の処理を施した後、当該処理後の信号を入出力インタフェース23を介して制御装置10に出力する(S10)。
行先階登録装置20からの行先階呼びの信号を受信すると、制御装置10は、号機番号iとして1を設定する(S11)。なお、号機番号iの号機を以下適宜「i号機」という。
制御装置10は、i号機において、現状で、つまり新たな行先階呼びを仮割当する前に、現在割り当てられている行先階呼びにより生成されている区間(走行区間)の中に、速度アップ運転が可能な区間が存在するか否かを判定する(S12)。具体的に、制御装置10は、号機毎に記憶している速度アップ可能区間リストを参照して、速度アップ運転が可能な区間が存在するか否かを判定する。
速度アップ可能区間が存在する場合(S12でYes)、制御装置10は、速度アップ可能区間が存在する号機用のアルゴリズムを用いて、新たな行先階呼びを仮割当したときの優先割当性評価値P(i)を算出する(S13)。
これに対し、速度アップ可能区間が存在しない場合(S12でNo)、制御装置10は、速度アップ可能区間が存在しない号機用のアルゴリズムを用いて、新たな行先階呼びを仮割当したときの優先割当性評価値P(i)を算出する(S14)。
制御装置10は、i号機の最終割当性評価値E(i)を式(1)に基づいて算出し、算出したi号機の最終割当性評価値E(i)を記憶部12に記憶する(S15)。

式(1) E(i)=a×S(i)+b×P(i)

ここで、S(i)はサービス性評価値、P(i)は優先割当性評価値P(i)、a、bは、経験則やシミュレーション結果などに基づいて予め定められた定数である。サービス性評価値S(i)は、例えば、乗客全員の待ち時間の合計値の逆数である。サービス性評価値S(i)は、値が大きいほど、例えば待ち時間が短く、サービス性がよいことを示す。サービス性評価値S(i)、及び優先割当性評価値P(i)は、今制御周期で算出された値が利用される。サービス性評価値S(i)は、例えば、最終割当性評価値E(i)を求める前に、本ステップで求めてもよい。
制御装置10は、全号機について、最終割当性評価値E(i)を求める処理(ステップS12〜S15)が完了したか否かを判断する(S16)。
全号機についての判定処理が完了していない場合(S16でNo)、制御装置10は、次の号機についての判定処理を行うため、号機番号iに1を加算して(S17)、ステップS12に戻り、ステップS12以後の処理を繰り返す。
制御装置10は、上記ステップで算出した各号機の最終割当性評価値E(i)が最も大きい号機を、割当号機として決定する(S18)。
次に、図5のステップS14において、優先割当性評価値P(i)を算出する動作について説明する。図6は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおいて、速度アップ可能区間が存在していない号機に新たな行先階呼びを仮割当したときの優先割当性評価値P(i)を算出する動作を示すフローチャートである。
制御装置10は、i号機の優先割当性評価値P(i)を初期化する、つまり0に設定する(S31)。
制御装置10は、新たな行先階呼びをi号機に仮割当する(S32)。
制御装置10は、新たな行先階呼びをi号機に仮割当した場合に、走行距離が目標走行距離以上の区間が存在するか否かを判定する(S33)。
走行距離が目標走行距離以上の区間が存在する場合(S33でYes)、制御装置10は、当該区間を目標走行距離区間リスト(i)に登録し(S34)、優先割当性評価値P(i)に1を加算する(S35)。目標走行距離区間リスト(i)は、号機毎に設けられている。図7は、目標走行距離区間リスト(i)の一例を示す図である。本図は、1号機の目標走行距離区間リスト(i)の例を示している。目標走行距離区間リストには、号機番号、出発階、行先階が記録されている。なお、目標走行距離区間リストには、本項目以に加え他の項目を記録されてもよい。1号機の目標走行距離区間リスト(i)には、2つの区間が登録されている。1つ目の区間は、出発階が1階、行先階が10階、2つ目の区間は、出発階が12階、行先階が21階であることを示している。
制御装置10は、目標走行距離区間リスト(i)に含まれるいずれかの区間の乗車率が目標乗車率に近づくか否かを判定する(S36)。なお、「近づく」とは、目標乗車率の範囲内に入らない範囲で乗車率が大きくなることであり、次ステップで判定を行う目標乗車率の範囲内に入ることは含まれない、
いずれかの区間の乗車率が目標乗車率に近づく場合(S36でYes)、制御装置10は、優先割当性評価値P(i)に1を加算し(S37)、近づかない場合(S36でNo)、優先割当性評価値P(i)に対する加算は行わない。
制御装置10は、目標走行距離区間リスト(i)に含まれるいずれかの区間の乗車率が目標乗車率の範囲内に入るか否かを判定する(S38)。
いずれかの区間の乗車率が目標乗車率の範囲内に入る場合(S38でYes)、制御装置10は、優先割当性評価値P(i)に1を加算し(S39)、当該目標乗車率の範囲内に入る区間を速度アップ可能区間として速度アップ可能区間リスト(i)に登録する(S40)。図8は、速度アップ可能区間リスト(i)の一例を示す図である。本図は、1号機の速度アップ可能区間リスト(i)の例を示す。速度アップ可能区間リスト(i)には、号機番号、出発階、行先階、優先割当性評価値P(i)が記録されている。本例の1号機の速度アップ可能区間リスト(i)には、1つの区間が登録されている。当該区間は、出発階が1階、行先階が10階、優先割当性評価値P(i)が2であることを示している。
これに対し、いずれの区間の乗車率も目標乗車率の範囲内に入らない場合(S38でNo)、制御装置10は、優先割当性評価値P(i)に対する加算は行わず、速度アップ可能区間リスト(i)への区間の登録も行わない。
次に、図5のステップS13において、優先割当性評価値P(i)を算出する動作について説明する。
図9は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムにおいて、速度アップ可能区間が存在する号機に新たな行先階呼びを仮割当したときの優先割当性評価値P(i)を算出する動作を示すフローチャートである。
制御装置10は、i号機の速度アップ可能区間リスト(i)から、速度アップ可能区間の出発階、行先階、及び優先割当性評価値P(i)を読み込む(S51)。
制御装置10は、新たな行先階呼びをi号機に仮割当する(S52)。
制御装置10は、新たな行先階呼びをi号機に仮割当した場合に、速度アップ可能区間の走行距離を目標走行距離以上に維持できるか否かを判定する(S53)。具体的に、制御装置10は、新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重なるか否かを判定する。そして、制御装置10は、(1)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重ならないと判定した場合と、(2)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重なると判定した場合とで、異なる方法で、速度アップ可能区間の走行距離を目標走行距離以上に維持できるか否かを判定する。
より具体的に、(1)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重ならない場合、新たな行先階呼びを当該号機に割り当てても走行距離に変動がない。そのため、制御装置10は、速度アップ可能区間の走行距離を目標走行距離以上に維持できると判定する。
これに対し、(2)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重なる場合、新たな行先階呼びをi号機に仮割当すると、速度アップ可能区間が複数の区間に分割されることとなる。この場合、制御装置10は、分割により生成される複数の区間の中に、走行距離が目標走行距離以上の走行区間が存在するか否かを判定し、走行距離が目標走行距離以上の走行区間が1つでも存在するときは、速度アップ可能区間の走行距離を目標走行距離以上に維持できると判定し、走行距離が目標走行距離以上の走行区間が全く存在しないときは、速度アップ可能区間の走行距離を目標走行距離以上に維持できないと判定する。
速度アップ可能区間の走行距離を目標走行距離以上に維持できないと判定した場合(S53でNoのとき)、制御装置10は、優先割当性評価値P(i)から3を減算する(S56)。これにより、優先割当性評価値P(i)の大きさが大きく減少し、その結果、前記ステップS15で算出される最終割当性評価値E(i)の大きさも大きく減少する。そのため、前記ステップS18において、割当号機として選択される可能性が大きく減少する。
これに対し速度アップ可能区間の走行距離を目標走行距離以上に維持可能であると判定した場合(S53でYesのとき)、制御装置10は、新たな行先階呼びをi号機に仮割当した場合に、速度アップ可能区間の乗車率を目標乗車率の範囲内に維持できるか否かを判定する(S54)。制御装置10は、(1)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重ならないと判定した場合と、(2)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重なると判定した場合とで、異なる方法で、速度アップ可能区間の乗車率を目標乗車率の範囲内に維持できるか否かを判定する。
より具体的に、(1)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重ならない場合、新たな行先階呼びを当該号機に割り当てても速度アップ可能区間の乗車率に変動がないので、制御装置10は、速度アップ可能区間の乗車率を目標乗車率の範囲内に維持できると判定する。
これに対し、(2)新たな行先階呼びに係る走行区間(出発階と行先階との間の区間)と速度アップ可能区間とが重なる場合、新たな行先階呼びをi号機に仮割当すると、前述の通り、速度アップ可能区間が複数の区間に分割されることとなる。この場合、制御装置10は、分割により生成される複数の区間のうち、走行距離が目標走行距離以上の走行区間の乗車率が目標乗車率の範囲内にある場合に、速度アップ可能区間の乗車率を目標乗車率の範囲内に維持できると判定する。
そして、(1)または(2)において、速度アップ可能区間の乗車率を目標乗車率の範囲内に維持できると判定した場合(S54でYesのとき)、制御装置10は、優先割当性評価値P(i)に3を加算する(S56)。これにより、優先割当性評価値P(i)の値が大きく増加し、その結果、前記ステップS15で算出される最終割当性評価値E(i)が大きく増加する。そのため、前記ステップS18において、割当号機として選定される可能性が大きく増加する。
これに対し、速度アップ可能区間の乗車率を目標乗車率の範囲内に維持できないと判定した場合(S54でNoのとき)、制御装置10は、前記ステップS56において、優先割当性評価値P(i)から3を減算する。これにより、優先割当性評価値P(i)の大きさが大きく減少し、その結果、前記ステップS15で算出される最終割当性評価値E(i)の大きさも大きく減少する。そのため、前記ステップS18において、割当号機として選択される可能性が大きく減少する。
3.速度アップ運転の具体例
ビルにおいては、ロビー階で行先階呼びが発生する場合、途中階で行先階呼びが発生する場合、途中階に食堂等が設けられてロビー階的に運用される場合等がある。また、高層ビル等においては、最上階までの上昇過程において複数の目標走行距離区間を生成可能な場合もある。以下、図10〜図14を参照して、本実施形態の記割当制御により速度アップ可能となる具体例を説明する。
図10は、本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第1の例を示す図である。第1の例は、ロビー階での行先階呼び(乗り込み)により目標乗車率となり速度アップ可能となる例である。図10(a)は、新規行先階呼びを割り当てる前の状態を示している。本例では、ロビー階からFa階までの区間A、Fa階からFb階までの区間B、Fb階からFc階までの区間Cの3つの区間が存在する。区間Aにおいて、走行距離は目標走行距離以上であるが、乗車率は30%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件は満たされていない。区間Bにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は20%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件は満たされていない。区間Cにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は5%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされていない。
図10(b)は、新規行先階呼びを割り当てた後の状態を示している。具体的に、本図は、区間Aと重なる区間であるロビー階からFc階までの新規行先階呼びを仮割当した場合を示している。本例では、区間Aにおいて、走行距離は目標走行距離以上で維持されるので、優先割当性評価値P(i)は1が加算されて1となる。さらに、乗車率は40%に増加して目標乗車率の範囲内になり、優先割当性評価値P(i)は1が加算されて2となる。また、速度アップ運転条件が満たされる。区間Bにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は30%に増加するが目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Cにおいて、新たな行先階呼びの割当前と変化はない。つまり、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は15%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。
このように、第1の例においては、区間Aにおいて、速度アップ運転条件が満たされることにより、優先割当性評価値P(i)は2となる。ここで、速度アップ運転条件が満たされていない場合、優先割当性評価値P(i)は0や1である。したがって、号機の最終割当において利用される最終割当性評価値E(i)は、速度アップ運転条件が満たされていない場合よりも大きくなる可能性が高くなり、その結果、新たな行先階呼びに対して当該号機が割り当てられやすくなる。
図11は、本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第2の例を示す図である。第2の例は、途中階での行先階呼び(乗り込み)により目標乗車率となり速度アップ可能となる例である。図11(a)は、新規行先階呼びを割り当てる前の状態を示している。本例では、ロビー階からFa階までの区間A、Fa階からFb階までの区間B、Fb階からFc階までの区間Cの3つの区間が存在する。区間Aにおいては、走行距離は目標走行距離以上であるが、乗車率は30%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Bにおいては、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は20%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Cにおいては、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は5%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。
図11(b)は、新規行先階呼びを割り当てた後の状態を示している。具体的に、本図は、区間Aの途中に存在するFd階からFb階までの新規行先階呼びを仮割当した場合を示している。本例では、区間Aは、区間A1、区間A2の2つに分割される。この場合、区間A1において、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は30%のままであり目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。これに対し、区間A2において、走行距離は目標走行距離以上で維持されるので、優先割当性評価値P(i)は1が加算されて1となる。さらに、乗車率は40%に増加して目標乗車率の範囲内になるので、優先割当性評価値P(i)は1が加算されて2となる。また、速度アップ運転条件が満たされる。区間Bにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は30%に増加するが目標乗車率の範囲内にない。そのため、速度アップ運転条件が満たされない。区間Cにおいて、新たな行先階呼びの割当前と変化はない。つまり、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は5%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。
このように、第2の例においては、区間Aが2つの区間A1、A2に分割されるものの、区間A2において、速度アップ運転条件が満たされることにより、優先割当性評価値P(i)は2となる。ここで、速度アップ運転条件が満たされていない場合、優先割当性評価値P(i)は0や1である。したがって、号機の最終割当において利用される最終割当性評価値E(i)は、速度アップ運転条件が満たされていない場合よりも大きくなる可能性が高くなり、その結果、新たな行先階呼びに対して割り当てられやすくなる。
図12は、本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第3の例を示す図である。第3の例は、既に速度アップ可能である走行区間へ新規呼びを割り当てた後においても速度アップ可能である例である。図12(a)は、新規行先階呼びを割り当てる前の状態を示している。本例では、ロビー階からFa階までの区間A、Fa階からFb階までの区間B、Fb階からFc階までの区間Cの3つの区間が存在する。区間Aにおいて、走行距離は目標走行距離以上で、かつ乗車率は60%で目標乗車率の範囲内にあり、速度アップ運転条件が満たされる。そのため、区間Aは、既に速度アップ運転可能リストに(i)に登録されており、優先割当性評価値P(i)は少なくとも2以上の値となっている。区間Bにおいて、乗車率は50%で目標乗車率の範囲内にあるが、走行距離は目標走行距離よりも小さく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Cにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は25%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。
図12(b)は、新規行先階呼びを割り当てた後の状態を示している。具体的に、本図は、ロビー階から区間Aの途中に存在するFd階までの区間の新規行先階呼びを仮割当した場合を示している。本例では、区間Aは、区間A1、区間A2の2つに分割される。本例では、区間A1において、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は70%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされていない。しかし、区間A2においては、走行距離は目標走行距離以上で維持され、かつ乗車率は60%で維持され目標乗車率の範囲内にある。そのため、速度アップ運転条件が満たされる。つまり、区間Aを2つの区間A1、A2に分割しても、区間A2において、速度アップ運転条件が満たされる。そのため、優先割当性評価値P(i)は3が加算されて5となる。区間B、Cにおいては、区間Aの途中に新規行先階呼びが仮割当されても、走行距離及び乗車率に変化はない。つまり、速度アップ運転条件が満たされていない状態が継続する。
このように、第3の例においては、区間Aが2つの区間A1、A2に分割されるものの、区間A2において、速度アップ運転条件が満たされることにより、優先割当性評価値P(i)が少なくとも5以上の値に増加する。したがって、第1の例の場合と比較しても、優先割当性評価値P(i)がより大きくなる。したがって、号機の最終割当において利用される最終割当性評価値E(i)は、速度アップ運転条件が満たされていない場合よりもより一層大きくなり、その結果、新たな行先階呼びに対してより一層割り当てられやすくなる。
図13は、本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第4の例を示す図である。第4の例は、ロビー階からの行先階呼び(乗り込み)により、途中階からの区間が目標乗車率となり速度アップ可能となる例である。図13(a)は、新規行先階呼びを割り当てる前の状態を示している。本例では、ロビー階からFd階までの区間D、Fd階からFa階までの区間A、Fa階からFb階までの区間B、Fb階からFc階までの区間Cの4つの区間が存在する。区間Dにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は20%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Aにおいて、走行距離は目標走行距離以上であるが、乗車率は30%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Bにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は20%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Cにおいて、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率が5%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされていない。
図13(b)は、新規行先階呼びを割り当てた後の状態を示している。具体的に、本図は、ロビー階からFb階までの区間の新規行先階呼びを仮割当した場合を示している。本例では、区間Dにおいて、乗車率は30%に増加するが目標乗車率の範囲内になく、また走行距離は目標走行距離よりも小さく、速度アップ運転条件が満たされていない。区間Aにおいて、走行距離は目標走行距離以上で維持され、優先割当性評価値P(i)は1が加算されて1となる。さらに、乗車率は40%に増加して目標乗車率の範囲内になるので、優先割当性評価値P(i)は1が加算されて2となる。また、速度アップ運転条件が満たされる。区間Bにおいて、乗車率は30%に増加するが目標乗車率の範囲内になく、また走行距離は目標走行距離よりも小さく、速度アップ運転条件が満たされない。区間Cにおいて、新たな行先階呼びの割当前と変化はない。つまり、走行距離は目標走行距離よりも小さく、また乗車率は5%で目標乗車率の範囲内になく、速度アップ運転条件が満たされない。
このように、第4の例においては、区間Aにおいて、速度アップ運転条件が満たされることにより、優先割当性評価値P(i)が2となる。ここで、速度アップ運転条件が満たされていない場合、優先割当性評価値P(i)は0や1である。したがって、号機の最終割当において利用される最終割当性評価値E(i)は、速度アップ運転条件が満たされていない場合よりも大きくなる可能性が高くなり、その結果、新たな行先階呼びに対して割り当てられやすくなる。
上記第1〜第4の例では、上昇運転中において速度アップ可能区間が生成される場合について説明した。しかし、上昇運転中のみならず、下降運転中に速度アップ運転を行ってもよい。また、速度アップ可能区間が1区間のみ生成される場合について説明した。しかし、速度アップ可能区間が複数区間生成される場合もあり、その場合、各速度アップ可能区間において、速度アップ運転を行ってもよい。以下、その例について説明する。
図14は、本実施形態の割当制御により速度アップ可能となる第5の例を示す図である。第5の例においては、ビルの中間階のFe階に食堂等が設けられている。このようなビルの場合、ロビー階からFe階への上昇運転中だけでなく、図14(a)に示すように、Fe階からロビー階(区間A)への下降運転中に、乗車率が目標乗車率を満たし、かつ走行距離が目標走行距離を満たす場合がある。つまり、速度アップ条件を満たす場合がある。このような場合、区間Aの下降運転中に、速度アップ運転を実行してもよい。
また、このようなビルの場合、図14(b)に示すように、ロビー階からFe階(区間B)への上昇運転中及びFe階からFf階(区間C)への上昇運転中のそれぞれにおいて、乗車率が目標乗車率を満たし、かつ走行距離が目標走行距離を満たす場合がある。つまり、ロビー階からFf階への上昇運転中、区間B、Cのそれぞれにおいて速度アップ条件を満たす場合がある。このような場合、区間B、Cのそれぞれにおいて速度アップ運転を実行してもよい。
4.まとめ
本実施形態のエレベータの群管理システムは、利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置20と、行先階登録装置20で登録された行先階呼びに基づいて複数台のエレベータ30のうちのいずれかを行先階呼びに割り当てる制御装置10と、を備え、走行距離及び乗車率が速度アップ運転条件(所定の速度アップ運転条件)を満たす走行区間が存在するエレベータ30を、当該走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行させる速度アップ運転を行わせることが可能である。
制御装置10は、
行先階登録装置20で新たな行先階呼びが登録されたときに、
複数台のエレベータ30のそれぞれについて、新たな行先階呼びを仮割当し、仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離を求め、求めた全走行区間の走行距離に基づいて、割当の優先度を示す優先割当性評価値P(i)(評価値)を設定し、
優先割当性評価値P(i)に基づいて、複数台のエレベータ30のうちのいずれかを新たな行先階呼びに割り当てる。
これにより、行先階登録装置20で新たな行先階呼びが登録された場合、割当の優先度を示す優先割当性評価値P(i)に基づいて、複数台のエレベータ30のうちのいずれかが前記新たな行先階呼びに割り当てられる。割当の優先度を示す優先割当性評価値P(i)は、新たな行先階呼びを仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離に基づいて求められる。従来においては、走行距離を考慮することなく割当を行っていたため、例えば、走行距離が速度アップ運転のための走行距離条件を満たす走行区間がもともと存在しているエレベータ30に対して新たな行先階呼びを割り当てた結果、当該エレベータ30において走行距離が速度アップ運転のための走行距離条件を満たす走行区間が消失することがあった。しかし、本発明では、仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離に基づいて新たな行先階呼びを割り当てることにより、このようなことが解消される。したがって、速度アップ運転可能なエレベータ30が生成されやすくなる。つまり、可変速エレベータにおいて、定格速度よりも速い速度でエレベータを走行させる速度アップ運転の頻度を増加させることができる。
本実施形態のエレベータの群管理システムにおいて、
制御装置10は、
複数台のエレベータ30のそれぞれについて、新たな行先階呼びを仮割当したときに存在する全走行区間の乗車率をさらに求め、求めた全走行区間の乗車率と走行距離とに基づいて、割当の優先度を示す優先割当性評価値P(i)を設定する。
これにより、割当の優先度を示す優先割当性評価値P(i)は、新たな行先階呼びを仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離と乗車率に基づいて求められる。従来においては、走行距離及び乗車率を考慮することなく割当を行っていたため、例えば、乗車率が速度アップ運転のための乗車率条件を満たす走行区間がもともと存在しているエレベータ30に新たな行先階呼びを割り当てた結果、当該エレベータ30において速度アップ運転のための乗車率条件を満たす走行区間が消失することがあった。しかし、本発明では、仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離と乗車率に基づいて新たな行先階呼びを割り当てることにより、このようなことが解消される。したがって、速度アップ運転可能なエレベータ30がより生成されやすくなる。つまり、可変速エレベータにおいて速度アップ運転の頻度をより増加させることができる。
本実施形態のエレベータの群管理システムにおいて、
速度アップ運転条件は、走行区間の走行距離が目標走行距離以上であり、かつ当該走行区間の乗車率が目標乗車率の範囲内にあることである。
これにより、走行距離が目標走行距離以上であり、かつ乗車率が目標乗車率の範囲内にあるときに、速度アップ運転が可能となる。
本実施形態のエレベータの群管理システムにおいて、
制御装置10は、
新たな行先階呼びを仮割当した場合において、走行距離が目標走行距離以上である走行区間が存在するエレベータ30に対して、当該走行区間が存在しないエレベータ30に対してよりも割当の優先度が高いことを示す優先割当性評価値P(i)を設定する、
これにより、仮割当の結果、走行距離が目標走行距離以上である走行区間が存在するエレベータ30の方が、当該区間が存在しないエレベータ30よりも、新たな行先階呼びに対して割り当てられやすくなる。換言すれば、走行距離が目標走行距離以上である走行区間が生成されやすくなる。したがって、速度アップ運転可能なエレベータ30が生成されやすくなる。つまり、可変速エレベータにおいて速度アップ運転の頻度を増加させることができる。
本実施形態のエレベータの群管理システムにおいて、
制御装置10は、
新たな行先階呼びを仮割当した場合において、走行距離が目標走行距離以上であり、かつ乗車率が目標乗車率の範囲に近づくまたは当該範囲内に入るという条件を満たす走行区間が存在するエレベータ30に対して、走行距離が目標走行距離以上であるという条件のみを満たす走行区間が存在するエレベータ30に対してよりも割当の優先度が高いことを示す優先割当性評価値P(i)を設定する。
これにより、仮割当の結果、走行距離が目標走行距離以上であり、かつ乗車率が目標乗車率の範囲に近づくまたは当該範囲内に入るという条件を満たす走行区間が存在するエレベータ30の方が、走行距離が目標走行距離以上であるという条件のみを満たす走行区間が存在するエレベータ30よりも、新たな行先階呼びに対してより割り当てられやすくなる。換言すれば、走行距離が目標走行距離以上であり、かつ乗車率が目標乗車率の範囲に近づくまたは当該範囲内に入るという条件を満たす走行区間、つまり速度アップ運転可能な走行区間がより生成されやすくなる。したがって、速度アップ運転可能なエレベータ30がより生成されやすくなる。つまり、可変速エレベータにおいて速度アップ運転の頻度をより増加させることができる。
本実施形態のエレベータの群管理システムにおいて、
制御装置10は、
新たな行先階呼びを仮割当する前に既に速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータ30については、速度アップ運転条件を満たすこととなったときの優先割当性評価値P(i)を記憶しており、
当該エレベータ30に対して新たな行先階呼びを仮割当した場合に、当該走行区間の走行距離が目標走行距離以上で維持され、かつ当該走行区間の乗車率が目標乗車率の範囲内で維持されるときは、当該エレベータ30における優先割当性評価値P(i)を、速度アップ運転条件を満たすこととなったときの優先割当性評価値P(i)が示す割当の優先度よりもさらに割当の優先度が高いことを示す値に変更する。
これにより、仮割当の前に既に速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータ30が、他のエレベータ30に比較して、新たな行先階呼びに対してさらに優先して割り当てられやすくなる。そのため、可変速エレベータにおいて速度アップ運転の頻度をより増加させることができる。
本実施形態のエレベータの群管理システムにおいて、
制御装置10は、
新たな行先階呼びを仮割当する前に既に速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータ30については、速度アップ運転条件を満たすこととなったときの優先割当性評価値P(i)を記憶しており、
当該エレベータ30に対して新たな行先階呼びを仮割当した場合に、当該走行区間の走行距離が目標走行距離よりも小さくなり、及び/または当該走行区間の乗車率が目標乗車率の範囲外になるときは、当該エレベータ30における優先割当性評価値P(i)を、走行距離が目標走行距離以上の走行区間が存在しないエレベータ30よりも割当の優先度が低いことを示す値に変更する。
これにより、仮割当の前に既に速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータ30に対して、速度アップ運転条件を満たさなくなるような行先階呼びが割り当てられるのが防止される。そのため、可変速エレベータにおいて速度アップ運転の頻度をより増加させることができる。
10 制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 入出力インタフェース
20 行先階登録装置
21 制御部
22 記憶部
23 入出力インタフェース
24 表示部
25 操作部
30 エレベータ

Claims (8)

  1. 利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置と、前記行先階登録装置で登録された行先階呼びに基づいて複数台のエレベータのうちのいずれかを前記行先階呼びに割り当てる制御装置と、を備え、走行距離及び乗車率が所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータを、当該走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行させる速度アップ運転を行わせることが可能なエレベータの群管理システムであって、
    前記制御装置は、
    前記行先階登録装置で新たな行先階呼びが登録されたときに、
    前記複数台のエレベータのそれぞれについて、前記新たな行先階呼びを仮割当し、仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離を求め、求めた全走行区間の走行距離に基づいて、割当の優先度を示す評価値を設定し、
    前記評価値に基づいて、前記複数台のエレベータのうちのいずれかを前記新たな行先階呼びに割り当てる、
    エレベータの群管理システム。
  2. 前記制御装置は、
    前記複数台のエレベータのそれぞれについて、前記新たな行先階呼びを仮割当したときに存在する全走行区間の乗車率をさらに求め、求めた全走行区間の乗車率と走行距離とに基づいて、前記割当の優先度を示す評価値を設定する、
    請求項1記載のエレベータの群管理システム。
  3. 前記所定の速度アップ運転条件は、走行区間の走行距離が目標走行距離以上であり、かつ当該走行区間の乗車率が目標乗車率の範囲内にあることである、
    請求項2に記載のエレベータの群管理システム。
  4. 前記制御装置は、
    前記新たな行先階呼びを仮割当した場合において、走行距離が目標走行距離以上である走行区間が存在するエレベータに対して、存在しないエレベータに対してよりも割当の優先度が高いことを示す評価値を設定する、
    請求項3に記載のエレベータの群管理システム。
  5. 前記制御装置は、
    前記新たな行先階呼びを仮割当した場合において、走行距離が目標走行距離以上であり、かつ乗車率が前記目標乗車率の範囲に近づくまたは当該範囲内に入るという条件を満たす走行区間が存在するエレベータに対して、走行距離が目標走行距離以上であるという条件のみを満たす走行区間が存在するエレベータに対してよりも割当の優先度が高いことを示す評価値を設定する、
    請求項3に記載のエレベータの群管理システム。
  6. 前記制御装置は、
    前記新たな行先階呼びを仮割当する前に既に前記所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータについては、前記所定の速度アップ運転条件を満たすこととなったときの評価値を記憶しており、
    当該エレベータに対して前記新たな行先階呼びを仮割当した場合に、当該走行区間の走行距離が前記目標走行距離以上で維持され、かつ当該走行区間の乗車率が前記目標乗車率の範囲内で維持されるときは、当該エレベータにおける評価値を、前記所定の速度アップ運転条件を満たすこととなったときの評価値が示す割当の優先度よりもさらに割当の優先度が高いことを示す値に変更する、
    請求項3に記載のエレベータの群管理システム。
  7. 前記制御装置は、
    前記新たな行先階呼びを仮割当する前に既に前記所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータについては、前記所定の速度アップ運転条件を満たすこととなったときの評価値を記憶しており、
    当該エレベータに対して前記新たな行先階呼びを仮割当した場合に、当該走行区間の走行距離が前記目標走行距離よりも小さくなり、及び/または当該走行区間の乗車率が前記目標乗車率の範囲外になるときは、当該エレベータにおける評価値を、走行距離が目標走行距離以上の走行区間が存在しないエレベータよりも割当の優先度が低いことを示す値に変更する、
    請求項3に記載のエレベータの群管理システム。
  8. 利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置で登録された行先階呼びに基づいて複数台のエレベータのうちのいずれかを前記行先階呼びに割り当て、かつ、走行距離及び乗車率が所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間が存在するエレベータを、当該走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行させる速度アップ運転を行わせることが可能なエレベータの群管理方法であって、
    前記行先階登録装置で新たな行先階呼びが登録されたときに、
    前記複数台のエレベータのそれぞれについて、前記新たな行先階呼びを仮割当し、仮割当したときに存在する全走行区間の走行距離を求め、求めた全走行区間の走行距離に基づいて、割当の優先度を示す評価値を設定し、
    前記評価値に基づいて、前記複数台のエレベータのうちのいずれかを前記新たな行先階呼びに割り当てる、
    エレベータの群管理方法。
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