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JP2016099287A - トレッド形状測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のレーザー変位計の光軸を簡便かつ精度よく調整し、測定精度を高めることができるトレッド形状測定方法を提供する。
【解決手段】タイヤ軸方向に間隔を隔てて配される複数のレーザー変位計を用いてタイヤのトレッド表面形状を測定するトレッド形状測定方法であって、各レーザー変位計を較正する較正工程S1と、較正工程S1で較正された各レーザー変位計からトレッド表面までのタイヤ半径方向の距離を測定する測定工程S2と、測定工程S2で測定された距離に基づいてトレッド表面形状を計算する計算工程S3とを含み、較正工程S1は、各レーザー変位計の光軸を、タイヤ軸を含む平面内で互いに平行、かつタイヤ軸に対して垂直に調整する光軸調整工程を含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、レーザー変位計を用いてタイヤのトレッド表面形状を測定するトレッド形状測定方法に関する。
従来、タイヤのトレッド表面形状を計測する装置が、例えば、下記特許文献1で提案されている。しかしながらこの装置は、タイヤの一部を静的に測定することに限られており、タイヤ1周に亘ってトレッド表面形状を測定することができなかった。
特開2006−153555号公報
タイヤの要求特性の1つとして、車両に装着した際の操縦安定性が挙げられ、この操縦安定性とトレッドラジアスとの相関が高いことが理解されている。しかし、内圧によるタイヤの膨張により、トレッドラジアスは周方向の各位置で微妙に変化する。そのため、従来の上記装置では、タイヤ全体としてのトレッドラジアスを測定することができなかった。
このような状況に鑑み、本発明者らは、複数のレーザー変位計を用いて各レーザー変位計とタイヤ軸芯回りで回転するタイヤのトレッド表面とのタイヤ半径方向の距離をタイヤ1周に亘って測定し、そのデータに基づいてトレッドラジアスを求めることを提案した。これによると、測定されたデータにはタイヤのRRO(ラジアルランアウト)の要素も含まれるため、操縦安定性との相関がより高いトレッドラジアスが得られることが判明した。
上述のごとく複数のレーザー変位計を用いてトレッド表面形状を測定する場合、十分な測定精度を得るためには、各レーザー変位計の光軸が適切に調整されていることが必要である。しかしながら、各レーザー変位計の光軸を簡便かつ精度よく調整する技術は確立されておらず、新規な技術の提案が期待されていた。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、複数のレーザー変位計の光軸を簡便かつ精度よく調整し、測定精度を高めることができるトレッド形状測定方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、タイヤ軸方向に間隔を隔てて配される複数のレーザー変位計を用いてタイヤのトレッド表面形状を測定するトレッド形状測定方法であって、各レーザー変位計を較正する較正工程と、前記較正工程で較正された前記各レーザー変位計からトレッド表面までのタイヤ半径方向の距離を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された距離に基づいてトレッド表面形状を計算する計算工程とを含み、前記較正工程は、前記各レーザー変位計の光軸を、タイヤ軸を含む平面内で互いに平行、かつタイヤ軸に対して垂直に調整する光軸調整工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記光軸調整工程は、前記各レーザー変位計から出射されたレーザー光が照射される照射面を有する較正板を前記平面に沿ったタイヤ半径方向に移動させて、前記照射面上でのレーザー光の照射位置のずれ量に基づいて前記各レーザー変位計の光軸を調整することが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記光軸調整工程は、前記較正板の移動距離を被測定タイヤの外径の10〜30%としたとき、前記ずれ量が2mm以下となるように、前記各レーザー変位計の光軸を調整することが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記照射面は、ゴムを含む材料からなることが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記較正工程は、前記光軸調整工程で光軸が調整された各レーザー変位計の原点を調整する原点調整工程をさらに含むことが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記原点調整工程は、タイヤの支持軸に支持される基部に、支持軸の軸芯から半径方向に既知の距離F1を隔たる第1反射板に前記各レーザー変位計からレーザー光を出射することにより行なわれることが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記原点調整工程で原点が調整された前記各レーザー変位計のゲインを調整するゲイン調整工程をさらに含むことが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記ゲイン調整工程は、前記第1反射板から半径方向の内側又は外側に既知の距離F2を隔たる第2反射板に前記各レーザー変位計からレーザー光を出射することにより行なわれることが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記計算工程は、3つ以上の前記各レーザー変位計によって測定された距離に基づいて、タイヤのトレッドラジアスを計算することが望ましい。
本発明に係る前記トレッド形状測定方法において、前記較正工程は、既に前記測定工程を終えたタイヤでの前記計算工程と同時に行なわれることが望ましい。
本発明のトレッド形状測定方法は、タイヤ軸方向に間隔を隔てて配される複数のレーザー変位計を用いてタイヤのトレッド表面形状を測定する方法であって、各レーザー変位計を較正する較正工程と、較正工程で較正された各レーザー変位計からトレッド表面までのタイヤ半径方向の距離を測定する測定工程と、測定工程で測定された距離に基づいてトレッド表面形状を計算する計算工程とを含む。
較正工程は、光軸調整工程を含む。光軸調整工程では、各レーザー変位計の光軸が、タイヤ軸を含む平面内で互いに平行に調整される。これにより、タイヤ軸を含むタイヤ子午線断面上で、トレッド表面の形状、例えば、トレッドラジアスが測定可能となる。
さらに、光軸調整工程では、各レーザー変位計の光軸が、タイヤ軸に対して垂直に調整される。これにより、各レーザー変位計から照射されるレーザー光がタイヤ半径方向を向くこととなり、各レーザー変位計からトレッド表面までのタイヤ半径方向の距離が正確に測定可能となる。
本発明のトレッド形状測定方法に使用されるトレッド形状測定装置の一実施例を示す斜視図である。 その主要部を上方から見た平面図である。 レーザー測定装置の内部構造を側方から見た概念図である。 幅広のレーザー光による効果を説明する部分斜視図である。 本発明のトレッド形状測定方法の処理手順を示すフローチャートである。 図5の較正工程S1の処理手順を示すフローチャートである。 図6の光軸調整工程S11の概要を示す斜視図である。 レーザー変位計5c、5s、5sの光軸を調整する具体的な方法を示す斜視図である。 (A)、(B)は、図7の原点調整工程S12及びゲイン調整工程S13を説明する概念図である。 トレッドラジアスTRsを測定する工程と、トレッドラジアスTRmとを測定する工程を示す概念図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1,2に示されるように、本発明のトレッド形状測定方法に使用されるトレッド形状測定装置1は、タイヤ保持機2と、レーザー測定装置3とを具える。前記タイヤ保持機2は、内圧を充填したタイヤTをタイヤ軸j回りで回転可能に支持する支持軸4を有する。前記レーザー測定装置3は、回転するタイヤTのトレッド表面Tsまでの半径方向の距離を測定する複数のレーザー変位計5を有する。
トレッド表面Tsの形状測定は、タイヤの生産工程の一環として行なわれるのが望ましい。トレッド表面Tsの異常を発見した場合、直ちに前工程にさかのぼって対策を施せるためである。従って、トレッド形状測定装置1は、タイヤの生産ライン上例えば、加硫装置の後工程側に設置される。
本例のタイヤ保持機2は、リム組みされたタイヤTを水平に支持する支持軸4と、該支持軸4を所定の回転速度で回転させるモータ等の駆動手段(図示しない)とを具える。しかし支持軸4がタイヤTを垂直に支持するごとく構成することもでき、駆動手段として、トレッド部に圧接してタイヤTを直接駆動するロードホイールを用いることもできる。本例では、タイヤTとして、トレッド表面Tsにタイヤ周方向にのびる5本の周方向陸部R、具体的には、中央のセンター陸部Rcと、その両側のミドル陸部Rm、Rmと、その外側のショルダー陸部Rs、Rsとが配されるリブパターンの乗用車用タイヤが例示されている。
前記レーザー測定装置3は、移動台6と、この移動台6に配される本例では5つのレーザー変位計5と、このレーザー変位計5によって測定された半径方向距離データyに基づいてトレッドラジアスTRを算出する演算手段7とを含む。演算手段7には、CPU、メモリ等を備えたコンピューター装置が適用される。
具体的には、本例のレーザー測定装置3は、架台8と、この架台8にガイド手段9を介してタイヤ軸方向Xとは直角なZ方向に移動可能に支持される第1移動台10と、この第1移動台10にガイド手段11を介してタイヤ軸方向Xに移動可能に支持される第2移動台12とを具える。そして第2移動台12が前記移動台6を構成している。
前記ガイド手段9、11としては、周知の種々の構造のものが使用でき、本例では、図2に示されるように、直線状にのびるガイドレールと、それに案内されるガイド溝とを具えるものが示される。なおガイド手段9には、前記架台8に固定されかつZ方向にのびるシリンダー9Aが含まれるとともに、そのロッド端は第1移動台10に連結される。従って、第1移動台10は、シリンダー9Aの伸縮により、待機位置Q1と測定位置Q2との間をZ方向に移動しうる。ガイド手段11は、第1移動台10に枢支されてタイヤ軸方向Xにのびるボールネジ軸11Aと、移動台6(本例では第2移動台12)に取り付きかつ前記ボールネジ軸11Aに螺合するナット部11Bとを含む。従って、モータMcによるボールネジ軸11Aの回転により、移動台6はタイヤ軸方向Xに自在に移動しうる。
図3に示されるように、前記5つのレーザー変位計5は、タイヤ軸方向Xに互いに間隔を有して配されており、本例では、中央のレーザー変位計5cと、その両側に配される中間のレーザー変位計5m、5mと、そのさらに両側に配される外のレーザー変位計5s、5sとから構成されている。
前記中央のレーザー変位計5cは、移動台6に固定され、従って、移動台6とは一体にタイヤ軸方向Xに移動しうる。各前記中間のレーザー変位計5m、5mは、それぞれガイド手段13を介してタイヤ軸方向Xに移動可能に移動台6に支持される。すなわち、中間のレーザー変位計5mは、中央のレーザー変位計5cに対してタイヤ軸方向Xに相対移動可能である。各前記外のレーザー変位計5s、5sは、それぞれガイド手段14を介してタイヤ軸方向Xに移動可能に移動台6に支持される。すなわち、外のレーザー変位計5sは、中央のレーザー変位計5c及び中間のレーザー変位計5mに対してタイヤ軸方向Xに相対移動可能である。
従って、前記ガイド手段11による移動台6自体の移動により、例えば、中央のレーザー変位計5cをタイヤ赤道Co上の基準位置に位置合わせすることができる。ガイド手段13、14により、タイヤサイズやトレッドパターンに応じて、各前記中間のレーザー変位計5m及び外のレーザー変位計5sを、中央のレーザー変位計5cを基準とした適宜の測定位置に移動させることができる。
なお図2に示されるように、前記測定位置Q2においては、各レーザー変位計5は、照射側の光軸Liがタイヤ軸jからのびる1つの放射面上で並列するように配置される。
前記ガイド手段13、14として、周知の種々の構造のものが使用できる。本例では、図3に示されるように、移動台6の側板間に架け渡されるガイド軸15Aとボールネジ軸16A、及びレーザー変位計取付板17に取り付きかつ前記ガイド軸15Aに案内されるガイド孔15Bとボールネジ軸16Aに螺合するナット部16Bとを含む。従って、モータMm、Msによるボールネジ軸16Aの回転により、中間のレーザー変位計5mと外のレーザー変位計5sとを、それぞれ独立してタイヤ軸方向Xに自在に移動させることができる。
各レーザー変位計5として、図4に示されるように、レーザー光Lの幅Wを5mm以上としたものが採用される。このようなレーザー変位計5では、例えばレーザー光Lの照射部分La内に局部的に存在するトレッド表面Tsの凹凸18(例えばサイプ18aや切欠き18b等に起因する凹凸)に対しては、レーザー変位計5自体が有するフィルタリング機能によって除去される。そのため、局部的な凹凸18に起因するノイズデータの発生を抑制できるという利点がある。これに対して、横溝19などレーザー光の照射部分La全体が凹凸内に落ち込む場合には、ノイズデータとなってしまう。しかしこのノイズデータは、演算手段7による後述するスムージング処理によって検出され削除されることとなる。
以下、本発明のトレッド形状測定方法について説明する。図5は、トレッド形状測定方法の処理手順を示すフローチャートである。
トレッド形状測定方法は、各レーザー変位計5を較正する較正工程S1と、較正工程S1で較正された各レーザー変位計5からトレッド表面Tsまでのタイヤ半径方向の距離を測定する測定工程S2と、測定工程S2で測定された距離に基づいてトレッド表面形状を計算する計算工程S3とを含んでいる。
本発明のトレッド形状測定方法では、複数のレーザー変位計5を同時に使用するため、各レーザー変位計5により高い正確さが要求される。そのため、測定工程S2及び計算工程S3に先駆けて、較正工程S1が実行され、各レーザー変位計5が較正される。較正工程S1は、個々のタイヤについて測定工程S2の前に必ず実行される必要はないが、トレッド形状を精度よく測定するためには、定期的に各レーザー変位計5を較正するのが望ましい。
図6は、較正工程S1の処理手順を示すフローチャートである。較正工程S1は、各レーザー変位計5の光軸を調整する光軸調整工程S11と、各レーザー変位計の原点を調整する原点調整工程S12と、各レーザー変位計5のゲインを調整するゲイン調整工程S13とを含んでいる。全ての較正工程S1について光軸調整工程S11は実行される必要はないが、トレッド形状を精度よく測定するためには、定期的に各レーザー変位計5の光軸を調整するのが望ましい。
図7は、光軸調整工程S11の概要を示している。同図では、3つのレーザー変位計5c、5s、5sの光軸調整について示されているが、他のレーザー変位計5m、5mの光軸調整についても同様である。
光軸調整工程S11では、各レーザー変位計5c、5s、5sの光軸Lc、Ls、Lsが、タイヤ軸jを含む平面PL(タイヤ軸jから放射状にのびる平面)内で互いに平行に調整される。これにより、タイヤ軸jを含む平面PLすなわちタイヤ子午線断面上で、トレッド表面Tsの形状、例えば、陸部Rc、Rs、Rs上の三点を結ぶ円弧の半径、すなわちトレッドラジアスTRが測定可能となる。
光軸調整工程S11では、各レーザー変位計5c、5s、5sの光軸Lc、Ls、Lsが、タイヤ軸jに対して垂直に調整される。これにより、各レーザー変位計5c、5s、5sから照射されるレーザー光がタイヤ半径方向を向くこととなり、各レーザー変位計5c、5s、5sからトレッド表面Tsまでのタイヤ半径方向の距離Y1、Y2、Y3が正確に測定可能となる。トレッドラジアスTRは、後述するように距離Y1、Y2、Y3を用いて計算可能である。
図8は、レーザー変位計5c、5s、5sの光軸を上述のごとく調整するための具体的な方法を示している。本実施形態の光軸調整工程S11では、各レーザー変位計5c、5s、5sから出射されたレーザー光Lが照射される照射面61を有する較正板60が用いられる。較正板60は、照射面61をレーザー変位計5c、5s、5sに向けて、支持軸4とレーザー変位計5c、5s、5sとの間に、出没自在に配置されている。
較正板60は、照射面61とタイヤ軸jから放射状にのびる平面とが互いに垂直となる姿勢で、支持軸4とレーザー変位計5c、5s、5sとの間に設けられている。較正板60は、平面PL(図7参照)に沿ったタイヤ半径方向に移動可能に設けられる。較正板60は、例えば、シリンダー(図示せず)等の駆動手段によって駆動され、上記タイヤ半径方向に移動する。較正板60の駆動には、他の駆動手段が用いられてもよい。
照射面61には、例えば、タイヤ軸jを含む平面PLとの交差部を示す直線62が描かれている。各レーザー変位計5c、5s、5sから出射されたレーザー光が直線上62に照射されるように、各レーザー変位計5c、5s、5sの位置及び姿勢が微調整される。各レーザー変位計5c、5s、5sの位置及び姿勢は、例えば、図3に示されるレーザー変位計取付板17と各レーザー変位計5c、5s、5sとの間にシムを挟み込むことにより微調整されうる。これにより、各レーザー変位計5c、5s、5sの光軸Lc、Ls、Lsが、平面PL内に位置される。
次いで、較正板60がタイヤ半径方向に移動される。較正板60の移動方向は、タイヤ半径方向の内方又は外方のいずれであってもよい。このとき、各レーザー変位計5c、5s、5sの光軸Lc、Ls、Lsが、タイヤ軸jに対して垂直である場合、照射面61上での各レーザー光の照射位置Pc、Ps、Psは、不変である。従って、較正板60がタイヤ半径方向に移動されたとき、照射位置Pc、Ps、Psのずれ量が十分に小さくなるように、各レーザー変位計5c、5s、5sの位置及び姿勢が微調整される。これにより、各レーザー変位計5c、5s、5sの光軸Lc、Ls、Lsが、平面PL内で互いに平行、かつタイヤ軸jに対して垂直に調整される。
較正板60のタイヤ半径方向への移動距離Dがトレッド形状が測定されるタイヤTの外径の10〜30%とした場合、照射位置Pc、Ps、Psのずれ量の好ましい範囲は、2mm以下であり、より好ましい範囲は1mm以下である。照射位置Pc、Ps、Psのずれ量が2mm以下の場合、各レーザー変位計5c、5s、5sの測定誤差が小さく、トレッドラジアスTRに及ぼす影響が小さい。なお、照射位置Pc、Ps、Psのずれ量は、例えば、較正板60を移動させる前の照射面61上での照射位置Pc、Ps、Psをマーキング等することにより、目視等によって容易に確認できる。
本実施形態では、照射面61は、ゴム(例えば、シリコンゴム等)を含む材料からなる。このような材料からなる照射面61は、レーザー光Lの乱反射を抑制でき、光軸調整が容易かつ効率的に行えるようになる。レーザー光Lの乱反射を抑制する観点から、照射面61を黒色に着色したり、粗加工することも有効である。
図9は、原点調整工程S12及びゲイン調整工程S13で用いられる較正治具30を概念的に示している。較正治具30は、支持軸4に支持される円筒状の基部31と、この基部31に一体に取り付く反射板32とを具える。前記反射板32は、支持軸4の軸芯4i(タイヤ軸jに相当する)から半径方向に既知の距離F1を隔たる第1反射板32aと、前記第1反射板32aから半径方向内外に既知の距離F2を隔たる第2反射板32b、32cとを具える。距離F1は、例えば、トレッド形状が測定されるタイヤTの半径に近似する値が望ましい。距離F2は、例えば、トレッド表面Tsのタイヤ赤道位置とトレッド接地端とのタイヤ半径方向距離であるキャンバー量に近似する値が望ましい。各反射板32a、32b、32cは、周方向に互いに間隔を隔てて配される。
原点調整工程S12(図6参照)では、まず第1反射板32aを用いて、各レーザー変位計5で距離を測定するための基準位置である原点の調整が行なわれる。原点調整は、各レーザー変位計5の仕様に基づいて行なわれる。
次にゲイン調整工程S13(図6参照)では、第2反射板32b、32cを用い、各レーザー変位計5のゲイン調整が行われる。ゲイン調整も、各レーザー変位計5の仕様に基づいて行なわれる。ゲイン調整工程S13では、第1反射板32aと第2反射板32b又は32cとを用いて、各レーザー変位計5のゲイン調整が行なわれてもよい。
前記第1、2反射板32a、32b、32cの反射面は、それぞれ前記軸芯4iからの距離と等しい曲率半径r1、r2、r3を有する凸円筒面からなることが好ましい。すなわちr1=F1、r2=F1+F2、r3=F1−F2である。これにより、各反射板32a、32b、32cを軸芯4i廻りで位置替えする際、反射板32a、32b、32cの位置替えの角度が多少ずれている場合にも、レーザー光Lを正確に反射でき、較正工程を迅速化することができる。
原点調整工程S12によって各レーザー変位計5の原点調整が、ゲイン調整工程S13によって各レーザー変位計5のゲイン調整が適切になされることにより、各レーザー変位計5の測定精度を高めることができる。本実施形態では、原点調整工程S12に先駆けて、光軸調整工程S11で各レーザー変位計5の光軸が正確に調整されているので、各レーザー変位計5の原点調整及びゲイン調整の精度がより一層高められる。
以下、図5に示される測定工程S2及び計算工程S3について説明する。本例では、図10に示されるように、タイヤ赤道上をタイヤ周方向にのびるセンター陸部Rc、センター陸部Rcの両側をタイヤ周方向にのびる一対のミドル陸部Rm、各ミドル陸部Rcのタイヤ軸方向外側をタイヤ周方向にのびる一対のショルダー陸部Rsを有するタイヤのトレッド形状が測定される。
例えば、測定工程S2では、5本の周方向陸部Rのうちのセンター陸部Rc上の一点とショルダー陸部Rs、Rs上の各一点の各レーザー変位計5からのタイヤ半径方向距離が測定される。そして、計算工程S3では、上記3点を結ぶトレッドラジアスTRsが計算される。また、測定工程S2では、5本の周方向陸部Rのうちのセンター陸部Rc上の一点とミドル陸部Rm、ms上の各一点の各レーザー変位計5からのタイヤ半径方向距離が測定されてもよい。この場合、計算工程S3では、上記3点を結ぶトレッドラジアスTRmが計算される。
2つのトレッドラジアスTRs、TRmを測定する理由は、例えばA国の使用条件(空気圧、荷重等)では、トレッドラジアスTRsと操縦安定性との相関が強く、B国の使用条件では、トレッドラジアスTRmと操縦安定性との相関が強くなるなど、タイヤの使用条件等によって操縦安定性との相関性が変化するためである。従って、2つのトレッドラジアスTRs、TRmを測定することで、操縦安定性をより的確に評価することが可能になる。
以下に、トレッドラジアスTRsを算出する場合の測定工程S2及び計算工程S3について説明する。
測定工程S2では、5つのレーザー変位計5のうちの3つのレーザー変位計5から、それぞれタイヤ軸回りで回転するタイヤTのトレッド表面Tsにレーザー光Lが照射され、各レーザー変位計5からトレッド表面Tsまでの半径方向の距離Y1、Y2、Y3が測定される。これにより、レーザー変位計5毎の半径方向距離データy1、y2、y3がタイヤ1周当たりm個取得される。
トレッドラジアスTRsを算出する場合には、中央のレーザー変位計5cによりセンター陸部Rcまでの半径方向距離データy1がタイヤ1周当たりm個取得される。すなわち、m個の半径方向距離データy11〜y1mが取得される。また、両外側のレーザー変位計5s、5sにより、それぞれショルダー陸部Rs、Rsまでの半径方向距離データy2、y3がタイヤ1周当たりm個取得される。すなわち、それぞれm個の半径方向距離データy21〜y2m、データy31〜y3mが取得される。各半径方向距離データy11〜y1m、y21〜y2m、データy31〜y3mは、演算手段7に転送され、記憶される。
演算手段7は、計算工程S3を実行する。計算工程S3では、各m個の半径方向距離データy1、y2、y3に対してスムージング処理が施され、横溝19に起因するノイズデータが除去される。そして、ノイズデータを除去した後の半径方向距離データy1、y2、y3がそれぞれ平均され平均値y1N、y2N、y3Nが求められる。
スムージング処理は、取得した各m個の半径方向距離データy1、y2、y3に対し、それぞれ時系列的に得たi番目のデータyiと、それよりも先行して得た直近のk個のデータの平均値である移動平均yNとが比較される。そして、その差|yi−yN|が閾値より大きい場合、前記データyiはノイズデータとして半径方向距離データy1、y2、y3から削除される。
具体的には、i番目のデータyiよりも先行して得た直近のk個のデータとは、yi−1〜yi−kを意味する。前記直近のk個のデータの平均値である移動平均yNとは、(yi−1+yi−2+・・・+yi−k)/kを意味する。
半径方向距離データy1の場合、i番目のデータyiとはy1iであり、直近のk個のデータyi−1〜yi−kとはy1i−1〜y1i−kである。移動平均yNは、(y1i−1+y1i−2+・・・+y1i−k)/kを意味する。半径方向距離データy2、y3についても同様である。
そして、演算手段7は、この移動平均yNとデータyiとの差|yi−yN|を閾値と比較し、差|yi−yN|が閾値より大きい場合、前記データyiをノイズデータとして削除する。演算手段7は、この操作をi=1からi=mまで順に行う。なおk≧iの場合、直近のk個のデータとしては、yi−1、yi−2、〜y1、ym、ym−1、〜ym−(k−i)を採用する。ここで、閾値としては、想定されるRR0よりも大きな値、かつ測定する周方向陸部Rに配される横溝19の溝深さよりも小な値が選択される。通常3.0mm程度に設定される。
その後、演算手段7は、各平均値y1N、y2N、y3Nと、タイヤ軸方向の基準位置(任意に設定できる。)Xから各レーザー変位計5までのタイヤ軸方向の距離x1、x2,x3とからトレッドラジアスTRを算出する。具体的には、次式(1)に3点P(x1、y1N)、P(x2、y2N)、P(x3、y3N)を代入することで、曲率半径であるトレッドラジアスTRを求めることができる。
(x−a)+(y−b)=TR −−−(1)
レーザー変位計5c、5m、5mを用いてトレッドラジアスTRmを算出する場合の測定工程S2及び計算工程S3についても上記と同様である。なお、トレッドラジアスTRsを算出する場合の測定工程S2及び計算工程S3とトレッドラジアスTRmを算出する場合の測定工程S2及び計算工程S3とは同時に行うことができる。このとき中央のレーザー変位計5cによって取得される半径方向距離データy1、及びこの半径方向距離データy1をスムージング処理した後の平均値y1N等は、共通に使用できる。
上記計算工程S3は、移動平均等の煩雑な計算のスムージング処理を伴うため、半径方向距離データの取得の数m及び移動平均の数kによっては扱うデータ量が膨大となり、相応の時間を要する場合がある。このような場合、較正工程S1は、既に測定工程S2を終えたタイヤでの計算工程S3と同時に行なわれるのが望ましい。
半径方向距離データの取得の数mは、500個以上であることが好ましく、これより少ないと、トレッドラジアスと操縦安定性との相関が低下する傾向となる。なお数mの上限は特に規制されないが、多すぎると処理が煩雑となって時間の無駄を招く。そのため、数mの上限は2000個以下が好ましい。
移動平均の数kは、好ましくは100〜200000であり、より好ましくは1000〜20000である。上記数kが100未満の場合、スムージング処理の精度が低下するおそれがある。一方、上記数kが200000を超える場合、スムージング処理が煩雑となって時間の無駄を招く。さらに、スムージング処理の精度を高めるために、タイヤTの回転数を20〜300rpmの範囲とするのが好ましく、20rpmを下回ると精度が低下する。また、300rpmを超えると、1周当たり500個以上の半径方向距離データの取得が難しくなる。
また、レーザー変位計5によるフィルタリング精度を高めるためには、図5に示されるように、レーザー光Lの幅Wが、測定する周方向陸部Rの幅WRの10〜70%の範囲であるのが好ましい。レーザー光Lの幅Wが5mmを下回る、或いは幅WRの10%を下回る場合、照射部分Laに占めるサイプ18aや切欠き18b等の割合が大きくなって、フィルタリング機能が十分発揮されなくなる。逆に70%を超えると、レーザー光Lが周方向陸部Rからはみ出すおそれを招く。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示される測定装置を用い、本発明の測定方法に従い、空気入りタイヤ(195/65R15)20本のトレッドラジアスTRsが表1の仕様にてそれぞれ測定され、その平均値及び標準偏差σが計算された。トレッドパターンは5リブパターンである。
比較のため、較正板を用いることなく測定されたデータを比較例1としている。
Figure 2016099287
表1から明らかなように、本発明のトレッド形状測定方法は、比較例と比べてトレッドラジアスTRsを精度よく測定できることが確認された。
1 トレッド形状測定装置
3 レーザー測定装置
4 支持軸
5 レーザー変位計
7 演算手段
30 較正治具
31 基部
32a 第1反射板
32b 第2反射板
32c 第3反射板
60 較正板
61 照射面
j タイヤ軸
L レーザー光
Lc、Ls 光軸
R 周方向陸部
Rc センター陸部
Rs ショルダー陸部
Rm ミドル陸部
S1 較正工程
S2 測定工程
S3 計算工程
S11 光軸調整工程
S12 原点調整工程
S13 ゲイン調整工程
T タイヤ
TR トレッドラジアス
Ts トレッド表面

Claims (10)

  1. タイヤ軸方向に間隔を隔てて配される複数のレーザー変位計を用いてタイヤのトレッド表面形状を測定するトレッド形状測定方法であって、
    各レーザー変位計を較正する較正工程と、前記較正工程で較正された前記各レーザー変位計からトレッド表面までのタイヤ半径方向の距離を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された距離に基づいてトレッド表面形状を計算する計算工程とを含み、
    前記較正工程は、前記各レーザー変位計の光軸を、タイヤ軸を含む平面内で互いに平行、かつタイヤ軸に対して垂直に調整する光軸調整工程を含むことを特徴とするトレッド形状測定方法。
  2. 前記光軸調整工程は、前記各レーザー変位計から出射されたレーザー光が照射される照射面を有する較正板を前記平面に沿ったタイヤ半径方向に移動させて、前記照射面上でのレーザー光の照射位置のずれ量に基づいて前記各レーザー変位計の光軸を調整する請求項1記載のトレッド形状測定方法。
  3. 前記光軸調整工程は、前記較正板の移動距離を被測定タイヤの外径の10〜30%としたとき、前記ずれ量が2mm以下となるように、前記各レーザー変位計の光軸を調整する請求項2記載のトレッド形状測定方法。
  4. 前記照射面は、ゴムを含む材料からなる請求項2又は3に記載のトレッド形状測定方法。
  5. 前記較正工程は、前記光軸調整工程で光軸が調整された各レーザー変位計の原点を調整する原点調整工程をさらに含む請求項1乃至4のいずれかに記載のトレッド形状測定方法。
  6. 前記原点調整工程は、タイヤの支持軸に支持される基部に、支持軸の軸芯から半径方向に既知の距離F1を隔たる第1反射板に前記各レーザー変位計からレーザー光を出射することにより行なわれる請求項5記載のトレッド形状測定方法。
  7. 前記原点調整工程で原点が調整された前記各レーザー変位計のゲインを調整するゲイン調整工程をさらに含む請求項5又は6に記載のトレッド形状測定方法。
  8. 前記ゲイン調整工程は、前記第1反射板から半径方向の内側又は外側に既知の距離F2を隔たる第2反射板に前記各レーザー変位計からレーザー光を出射することにより行なわれる請求項7記載のトレッド形状測定方法。
  9. 前記計算工程は、3つ以上の前記各レーザー変位計によって測定された距離に基づいて、タイヤのトレッドラジアスを計算する請求項1乃至8のいずれかに記載のトレッド形状測定方法。
  10. 前記較正工程は、既に前記測定工程を終えたタイヤでの前記計算工程と同時に行なわれる請求項1乃至9のいずれかに記載のトレッド形状測定方法。
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