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JP2016060061A - 積層微多孔フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ - Google Patents

積層微多孔フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ Download PDF

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順 名田
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亮 古川
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Abstract

【課題】耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、熱寸法安定性及び電気抵抗にも優れた積層微多孔フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータを提供することを目的とする。【解決手段】ポリオレフィンを含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面又は両面に積層された、無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層と、を備え、前記多孔層の厚みが、1.0〜4.0μmであり、前記多孔層の目付量が1.0〜5.0g/m2である、積層微多孔フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、積層微多孔フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータに関する。
非水電解質電池、特に、リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、高エネルギー密度であり、携帯電話、ノートパソコンといった携帯用電子機器の主電源として広範に普及している。このリチウムイオン二次電池は、更なる高エネルギー密度化が求められているが、安全性の確保が技術的な課題となっている。リチウムイオン二次電池の安全性確保においてセパレータの役割は重要であり、シャットダウン機能を有するという観点から、現状ではポリオレフィン、特にポリエチレン微多孔膜が用いられている。ここで、シャットダウン機能とは、電池の温度が上昇したときに、微多孔膜の孔が閉塞し電流を遮断する機能のことを言い、電池の熱暴走を食い止める働きがある。
一方、リチウムイオン二次電池は、年々高エネルギー密度化がなされており、安全性確保のためシャットダウン機能に加えて耐熱性も要求されてきている。しかしながら、シャットダウン機能は、ポリエチレンの溶融による孔の閉塞をその作動原理としているので耐熱性と相反するものである。このため、シャットダウン機能が作動した後、さらに電池が、シャットダウン機能が作動する温度以上に曝され続けることで、セパレータの溶融(いわゆるメルトダウン)が進行してしまう場合がある。このメルトダウンの結果、電池内部で短絡が生じ、これに伴って大きな熱が発生してしまい、電池は発煙・発火・爆発といった危険に曝されることになる。このため、セパレータにはシャットダウン機能に加えて、シャットダウン機能が作動する温度近傍でメルトダウンが生じない程度の、十分な耐熱性が要求される。
この点において、従来、耐熱性とシャットダウン機能を両立させるために、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面(表面と裏面)に耐熱性多孔質層を被覆させたり、耐熱性繊維からなる不織布を積層させるという技術が提案されている。例えば、ポリエチレン微多孔膜の片面又は両面に、湿式塗工法により芳香族アラミド等の耐熱性高分子からなる耐熱性多孔質層を積層した非水電解質電池セパレータが知られている(特許文献1〜4参照)。このような非水電解質電池セパレータは、ポリエチレンの融点近傍(140℃程度)でシャットダウン機能が作動すると共に、耐熱性多孔質層が十分な耐熱性を示すことにより200℃以上においてもメルトダウンが発生しないため、優れた耐熱性及びシャットダウン機能を発揮する。
一方で、短絡防止効果や耐熱性を向上させることを目的に、セパレータの耐熱性多孔質層に無機フィラーを添加することも試みられており、中でも板状フィラーを用いることで、デンドライトや突起に起因するセパレータの突き抜けによる短絡防止と熱収縮防止効果が改善されることも報告されている(特許文献5〜9)。また、下記の特許文献10と11では、板状フィラーと有機バインダで構成された組成物を、シート状物に塗布した電池用セパレータが提案されている。
特開2002−355938号公報 特開2005−209570号公報 特開2005−285385号公報 特許第3175730号公報 特開2007−157723号公報 特開2007−311151号公報 特開2008−4442号公報 特開2008−66094号公報 特開2008−210782号公報 特開2008−123988号公報 特開2008−123996号公報
しかしながら、特許文献5〜9では、セパレータ基材として織布、不織布が用いられており、該基材に由来する不均一性といった問題は解決されていないし、更なる短絡抑制、均一なイオン透過性の向上も必要である。
また、下記の特許文献10と11では、耐熱多孔質層の空孔率が不十分であり、更なるイオン透過性の向上が望まれる。
さらに、リチウムイオン電池の大電流での放電性能や低温における放電性能を向上させるために、セパレータが電解液を保液している状態におけるイオンの抵抗をできるだけ小さくする必要があり、電解液を含ませた状態での電気抵抗が低いセパレータが望まれている。
前述のように、耐熱性、シャットダウン機能、熱寸法安定性、イオン透過性、電気抵抗という機能を全て満足した実用的なセパレータは得られていないのが現状である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、熱寸法安定性及び電気抵抗にも優れた積層微多孔フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の構成を有する積層微多孔フィルムであれば、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
ポリオレフィンを含む微多孔膜と、
前記微多孔膜の片面又は両面に積層された、無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層と、を備え、
前記多孔層の厚みが、1.0〜4.0μmであり、
前記多孔層の目付量が1.0〜5.0g/m2である、積層微多孔フィルム。
〔2〕
前記無機粒子が、ケイ酸アルミニウム化合物を含む、前項〔1〕に記載の積層微多孔フィルム。
〔3〕
前記ケイ酸アルミニウム化合物が、焼成カオリンを含む、前項〔2〕に記載の積層微多孔フィルム。
〔4〕
前記微多孔膜が、
融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の微多孔性フィルムと、
前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の微多孔性フィルムと、を備える積層膜である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルム。
〔5〕
前記第2の樹脂組成物が、ポリエチレンである、前項〔4〕に記載の積層微多孔フィルム。
〔6〕
膜厚が16μm以下である、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルム。
〔7〕
透気度が、10〜5000秒/100ccである、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルム。
〔8〕
融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを形成するフィルム形成工程と、
前記フィルムを乾式法により開孔して微多孔膜を形成する開孔工程と、
前記微多孔膜の表面上に無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層を形成して、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルムを形成する多孔層形成工程と、
をこの順で有する、積層微多孔フィルムの製造方法。
〔9〕
前記フィルム形成工程においては、融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを共押出法により形成する、前項〔8〕に記載の積層微多孔フィルムの製造方法。
〔10〕
前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルムからなる、電池用セパレータ。
本発明によれば、耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、更に、熱寸法安定性及び電気抵抗に優れた積層微多孔フィルムが提供され、得られたセパレータは、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の各種性能と安全性を向上させるのに有効である。
積層微多孔フィルムの電気抵抗測定用セルを示す概略断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本明細書において特に明記されていない限り、「主成分として含む」、「主体とする」とは、特定成分が、該特定成分を含む組成物(マトリックス成分)中に含まれる割合として好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含まれ、100質量%含まれてもよいことを意味する。
〔積層微多孔フィルム〕
本実施形態の積層微多孔フィルムは、ポリオレフィンを含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面又は両面に積層された、無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層と、を備え、前記多孔層の厚みが、1.0〜4.0μmであり、前記多孔層の目付量が1.0〜5.0g/m2である。
本実施形態の積層微多孔フィルムは、上記構成を有することにより、耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、熱寸法安定性及び電気抵抗にも優れる。さらに驚くべきことに、多孔層の目付量が少なくとも、上記性能を発揮することができるため、コスト性が良好な積層微多孔フィルムとなる。
積層微多孔フィルムの膜厚は、好ましくは16μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは12μm以下である。膜厚が16μm以下であることにより、電池の小型化に更に有効となる傾向にある。また、膜厚が5μm以上であると、機械的強度に優れる傾向にあり、積層微多孔性フィルムの膜厚は、各樹脂フィルムの厚さ、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調整することができる。また、積層微多孔性フィルムの膜厚は、実施例に記載の方法により測定することができる。
積層微多孔フィルムの透気度は、好ましくは10〜5000秒/100ccであり、より好ましくは50〜1000秒/100ccであり、さらに好ましくは100〜500秒/100ccである。透気度が10秒/100cc以上であることにより、欠陥のないより均質な膜となる傾向にある。また、透気度が5000秒/100cc以下であることにより、イオン透過性がより向上する傾向にある。なお、本実施形態の積層微多孔性フィルムの透気度は、各層を構成する樹脂組成物の組成、延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調整することができる。また、透気度は、JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計を用いて測定される。
積層微多孔フィルムの気孔率は、好ましくは50%〜70%であり、より好ましくは53%〜65%であり、さらに好ましくは56%〜60%である。気孔率が50%以上であることにより、イオン透過性がより向上する傾向にある。一方、気孔率が70%以下であることにより、機械強度がより向上する傾向にある。積層微多孔フィルムの気孔率は、各層を構成する樹脂組成物の組成、延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより調整することができる。例えば、樹脂組成物の組成を高密度にすること、熱延伸温度を高くすること、あるいは延伸倍率を高くすること等により、気孔率を高めることができる。
積層微多孔性フィルムの気孔率は、そのフィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積と質量とから下記式を用いて算出される。
気孔率(%)=(体積(cm3)−質量(g)/樹脂組成物の密度(g/cm3))/体積(cm3)×100
〔微多孔膜〕
微多孔膜は、ポリオレフィンを含む。ポリオレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体のようなポリオレフィン同士の重合体、及び、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のオレフィン炭化水素と他の単量体との共重合体が挙げられる。ポリオレフィンは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィンは、オレフィンを単量体成分として含む重合体であり、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーである場合、ランダムコポリマーであってもよいし、ブロックコポリマーであってもよい。また、コポリマーである場合、共重合成分に限定はなく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、及びヘキセン等のオレフィン、又は、その他これらと共重合可能な単量体が挙げられる。ポリオレフィンがコポリマーである場合、オレフィンの共重合割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
ポリオレフィンの立体規則性としては、特に限定されないが、アイソタクチック又はシンジオタクチックが挙げられる。
ポリオレフィンは、いかなる結晶性や融点を有するものであってもよい。また、得られる微多孔性フィルムの物性や用途に応じて、異なる結晶性や融点を有する2種以上のポリオレフィンを特定の配合比率で配合したものであってもよい。
ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)(ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kgの荷重下で測定。以下同様。)は、フィルムの成形性の観点から、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.1〜80g/10分である。
ポリオレフィンは、特開昭44−15422号公報、特開昭52−30545号公報、特開平6−313078号公報、特開2006−83294号公報に記載されているような公知の変性ポリプロピレンであってもよい。さらに、ポリオレフィンは、上述のポリプロピレンと該変性ポリプロピレンとの任意の割合の混合物であってもよい。
ポリプロピレンを得る際に用いられる重合触媒としても特に制限はなく、例えば、チーグラー・ナッタ系の触媒及びメタロセン系の触媒が挙げられる。
また、微多孔膜(後述する第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物)は、ポリオレフィンの他に、必要に応じて、付加的成分、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機又は有機充填材及び強化材(ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を含んでもよい。
微多孔膜は、単膜であっても、2種以上の膜が積層された積層膜であってもよい。微多孔膜が積層膜である場合には、微多孔膜は、融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の微多孔性フィルムと、融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の微多孔性フィルムと、を備えることが好ましい。このような微多孔膜を用いることにより、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、低融点の樹脂層が溶融しても高融点の樹脂層は溶融することなく保持されやすい傾向にある。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持され、安全性がより向上する傾向にある。
第1の樹脂組成物の融点TmA及び第2の樹脂組成物の融点TmBは、JIS K−7121に準拠した方法で測定することができる。第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物の材質は、同質であっても異質であってもよい。
融点TmAと融点TmBとの差は、好ましくは5.0℃以上であり、より好ましくは10℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上である。融点の差が5.0℃以上であることにより、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、第2の微多孔性フィルムが溶融しても第1の微多孔性フィルムは溶融することなく保持されやすい。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持され、安全性が向上する傾向にある。なお、融点TmAと融点TmBとの差の上限は特に限定されないが、150℃以下が好ましい。
微多孔膜が積層膜である場合、その態様としては、特に限定されないが、例えば、1つの第1の微多孔性フィルムと1つの第2の微多孔性フィルムとからなる積層体、1つの第1の微多孔性フィルムとその両側に積層された第2の微多孔性フィルムとからなる積層体、1つの第2の微多孔性フィルムとその両側に積層された第1の微多孔性フィルムとからなる積層体、第1の微多孔性フィルム−第2の微多孔性フィルム−第1の微多孔性フィルム−第2の微多孔性フィルムというように、それぞれの樹脂フィルムが交互に配置された積層体が挙げられる。このなかでも、本発明の効果をより有効かつ確実に発揮する観点から、上記、1つの第2の微多孔性フィルムとその両側に積層された第1の微多孔性フィルムとからなる積層体の態様が好ましい。
(第1の微多孔性フィルム)
第1の微多孔性フィルムは、融点TmAを有するポリオレフィン第1の樹脂組成物から構成される。第1の微多孔性フィルムは、第1の樹脂組成物を、延伸して多孔化することにより得ることができる。
第1の樹脂組成物は、第2の樹脂組成物よりも高い融点を有する。その融点TmAは、好ましくは150℃〜280℃である。融点TmAが上記範囲内であることにより、破膜温度と成膜性のバランスが良好となる傾向にある。このような第1の樹脂組成物を得るためには、融点が150℃〜280℃の樹脂をその樹脂組成物に含めればよい。
(第1の樹脂組成物)
第1の樹脂組成物に含まれうる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン及びエチレン−プロピレン共重合体のようなポリオレフィン、並びに、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のオレフィン炭化水素を単量体成分として含む重合体が挙げられる。このなかでも、ポリプロピレンが好ましい。
(第2の微多孔性フィルム)
第2の樹脂フィルムは、融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される。第2の微多孔性フィルムは、第2の樹脂組成物を、延伸して多孔化することにより得ることができる。
第2の樹脂組成物は、第1の樹脂組成物よりも高い融点を有する。その融点TmBは、好ましくは100℃〜150℃であり、より好ましくは100℃〜145℃であり、さらに好ましくは100℃〜140℃である。融点TmBが上記範囲内であることにより、電池の安全性が飛躍的に向上する傾向にある。このような第2の樹脂組成物を得るためには、融点が100℃〜150℃の樹脂をその樹脂組成物に含めればよい。
(第2の樹脂組成物)
第2の樹脂組成物に含まれうる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン炭化水素を単量体成分として含む重合体であるポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルが挙げられる。このなかでも、ポリエチレンが好ましく、より具体的には、いわゆる高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが挙げられる。高密度ポリエチレンがより好ましい。このような樹脂を用いることにより、電池の安全性が更に飛躍的に向上する傾向にある。
第2の樹脂組成物のMFRは、好ましくは0.010〜10g/10分であり、より好ましくは0.10〜3.0g/10分であり、さらに好ましくは0.10〜2.0g/10分であり、最も好ましくは0.10〜1.0g/10分である。第2の樹脂組成物のMFRが0.010g/10分以上であることにより、第2の微多孔性フィルムにフィッシュアイが発生し難くなる傾向にある。また、第2の樹脂組成物のMFRが10g/10分以下であることにより、ドローダウンが起こり難くなり、成膜性が良好となる傾向にある。
また、第2の樹脂組成物の密度は、好ましくは945〜970kg/m3であり、より好ましくは955〜970kg/m3であり、さらに好ましくは960〜967kg/m3であり、最も好ましくは963〜967kg/m3である。第2の樹脂組成物の密度が945kg/m3以上であることにより、透気性のより良好な微多孔性フィルムが得られる傾向にある。また、第2の樹脂組成物の密度が970kg/m3以下であることにより、延伸する際に膜が破断し難くなる傾向にある。
〔多孔層〕
多孔層は、微多孔膜の片面又は両面に積層された層であり、無機粒子と樹脂バインダとを含む。特に限定されないが、多孔層は、具体的には、無機粒子同士や、無機粒子と微多孔膜とが樹脂バインダにより結着された層である。
多孔層の厚みは、1.0〜4.0μmであり、好ましくは1.0〜3.5μmであり、より好ましくは1.0〜3.0μmである。多孔層の厚みが1.0μm以上であることにより、耐熱性がより向上する。また、多孔層の厚みが4.0μm以下であることにより、電気抵抗がより向上する。
多孔層の目付量は、1.0〜5.0g/m2であり、好ましくは1.0〜4.5g/m2であり、より好ましくは1.0〜4.0g/m2である。目付量が1.0g/m2以上であることにより、耐熱性がより向上する。また、目付量が5.0g/m2以下であることにより、電気抵抗がより向上する。
〔無機粒子〕
無機粒子としては、合成品及び天然産物のいずれでも、特に限定なく用いることができる。天然産物としては、特に限定されないが、例えば、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、オーディナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト、サポナイト、ソーコナイト、スインホルダイト、バーミキュライト、バーチェリン、アメサイト、ケリアイト、フレイポナイト、ブリンドリアイト、黒雲母、金雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、鱗雲母、ポリリシオナイト、白雲母、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、砥部雲母、ソーダ雲母、クリントナイト、木下、ビテ雲母、アナンダ石、真珠雲母、クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、ベイリクロア、ドンバサイト、クッケアイト、スドーアイトなどが挙げられる。
このなかでも、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライトなどのケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。このようなイオン交換能を持たない無機粒子を用いることにより、リチウムイオンの移動が阻害されにくく、また電気化学的安定性がより高いため、より高品質な積層微多孔フィルムが得られる傾向にある。
さらに、カオリナイト等のカオリン鉱物で主に構成されているカオリン、及びパイロフィライトで主に構成されている蝋石は、安価で入手も容易なため、より好ましい。
カオリンとしては、特に限定されないが、例えば、湿式カオリン及びこれを焼成処理した焼成カオリンが挙げられる。焼成カオリンとは、カオリナイト等のカオリン鉱物で主に構成されているカオリン又はパイロフィライトで主に構成されている蝋石を焼成処理したものである。焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、他のカオリンなどと比較して、電池内での化学安定性、特に電気化学的安定性がより高い。そのため、焼成カオリンを用いることにより、より高品質な積層微多孔フィルムが得られる傾向にある。また、焼成カオリンを用いることにより、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層を実現できる上に、より薄い多孔層厚でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。焼成カオリンを用いることで、軽量性に優れ、且つ透気度上昇率が抑制されたセパレータを実現することができる。
また、合成品としては、特に限定されないが、例えば、合成ゼオライトが挙げられる。
ケイ酸アルミニウム化合物の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下である。ケイ酸アルミニウム化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
0.20μmより大きく1.4μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは2.0体積%以上であり、より好ましくは3.0体積%以上であり、さらに好ましくは5.0体積%以上である。また、0.2μmより大きく1.4μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは90体積%以下であり、より好ましくは80体積%以下である。0.2μmより大きく1.4μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量が上記範囲内であることにより、多孔層厚がより薄い(例えば、7.0μm以下)場合でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
0.20μmより大きく1.0μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは1体積%以上であり、より好ましくは2体積%以上である。また、0.20μmより大きく1.0μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは80体積%以下であり、より好ましくは70体積%以下である。0.20μmより大きく1.0μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量が上記範囲内であることにより、多孔層厚がより薄い(例えば、7.0μm以下)場合でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
また、0.50μmより大きく2.0μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは8.0体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。また、0.50μmより大きく2.0μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。0.50μmより大きく2.0μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量が上記範囲内であることにより、多孔層厚がより薄い(例えば、7.0μm以下)場合でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
更に、0.60μmより大きく1.4μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは1.0体積%以上、より好ましくは3.0体積%以上である。また、0.60μmより大きく1.4μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量は、無機粒子の総量に対して、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。0.60μmより大きく1.4μm以下の粒径を有する無機粒子の含有量が上記範囲内であることにより、多孔層厚がより薄い(例えば、7.0μm以下)場合でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
なお、このような粒径の割合を調整する方法としては、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いて無機粒子を粉砕し、粒径を小さくする方法等を挙げることができる。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは0.10μm〜15μmであり、より好ましくは0.10μm〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.10μm〜4.0μmであり、さらにより好ましくは0.14μm〜3.9μmであり、特に好ましくは0.14μm〜3.0μm以下である。無機粒子の平均粒径が上記範囲であると、より薄い多孔層厚(例えば、7μm以下)でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。なお、「平均粒径」とは、粒度分布の算術平均粒径をいう。
無機粒子の少なくとも一部として焼成カオリンをもちぃいる場合、焼成カオリンの平均粒径は、好ましくは0.10μm〜4.0μmであり、より好ましくは0.20μm〜3.5μmであり、さらに好ましくは0.40μm〜3.0μmである。焼成カオリンの平均粒径が上記範囲内であることにより、多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
無機粒子の含有量は、多孔層の総量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%未満であり、より好ましくは70質量%以上99.99質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以上99.9質量%以下であり、特に好ましくは95質量%以上99質量%以下である。無機粒子の含有量が上記範囲内であることにより、無機粒子の結着性、積層微多孔フィルムの透過性、耐熱性がより向上する傾向にある。
〔樹脂バインダ〕
樹脂バインダとしては、特に限定されないが、積層微多孔フィルムをリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する場合には、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。
このような樹脂バインダとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。このなかでも、結着性の観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
樹脂バインダとしてポリビニルアルコールを使用する場合、そのケン化度は、好ましくは85%以上100%以下であり、より好ましくは90%以上100%以下であり、さらに好ましくは95%以上100%以下であり、特に好ましくは99%以上100%以下である。ケン化度が85%以上であることにより、短絡する温度(ショート温度)がより向上し、良好な安全性能が得られる傾向にあるため好ましい。
また、ポリビニルアルコールの重合度は、好ましくは200以上5000以下であり、より好ましくは300以上4000以下であり、さらに好ましくは500以上3500以下である。重合度が200以上であることにより、少量のポリビニルアルコールで無機粒子を強固に結着でき、多孔層の力学的強度を維持しながら多孔層形成による積層微多孔フィルムの透気度増加がより抑制される傾向にある。また、重合度が5000以下であることにより、塗布液を調製する際のゲル化等を防止できる傾向にある。
〔積層微多孔フィルムの製造方法〕
本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法は、
融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを形成するフィルム形成工程と、
前記フィルムを乾式法により開孔して微多孔膜を形成する開孔工程と、
前記微多孔膜の表面上に無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層を形成して、上記積層微多孔フィルムを形成する多孔層形成工程と、
をこの順で有する。
〔フィルム形成工程〕
フィルム形成工程は、融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを形成する工程である。
積層フィルムの形成方法としては、Tダイやサーキュラーダイを用いて、押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形した後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(a);Tダイやサーキュラーダイを用いて、各樹脂フィルムを別々に押出成形した後、ラミネート法により各樹脂フィルムを貼り合せて積層した積層フィルムを形成し、その後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(b);Tダイやサーキュラーダイを用いて、各樹脂フィルムを別々に押出成形して更に延伸してそれぞれ多孔化した微多孔化フィルムを得た後にそれらの微多孔化フィルムを貼合する方法(c)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法においては、得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性やイニシャル/ランニングコストの観点から、方法(a)が好ましい。一方、透気性に関しては(a)の方法よりは若干劣るものの、積層微多孔性フィルムの熱収縮率を小さくできるという観点からは(c)の方法も好ましい。
なお、本明細書において「樹脂フィルム」とは、樹脂組成物をフィルム状に成形したものを示し、これを延伸して多孔化することにより微多孔性フィルムを得ることができる。
方法(a)〜(c)のいずれの製造方法においても、押し出し後のドロー比(フィルムの巻取速度(単位はm/分である)/樹脂組成物の押出速度(ダイリップを通過する溶融樹脂の流れ方向の線速度であり、単位はm/分である))は、好ましくは10〜500であり、より好ましくは100〜400であり、さらに好ましくは150〜350である。
また、フィルムの巻取速度は、好ましくは2.0〜400m/分であり、より好ましくは10〜200m/分である。
〔アニール工程〕
本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法は、得られた積層フィルムに対し、熱処理(アニール)を施すアニール工程を有することが好ましい。アニールの方法としては、例えば、積層フィルムを加熱ロール上に接触させる方法;積層フィルムを加熱気相中に曝す方法;積層フィルムを芯体上に巻き取り加熱気相若しくは加熱液相中に曝す方法;及びこれらを組み合わせて行う方法等が挙げられる。これらの熱処理の条件は、フィルムを構成する材料の種類等により適宜決定される。
積層フィルムをアニールする場合の加熱温度は、気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスの観点から、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下であり、より好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2)℃以下である。加熱時間は、10秒間〜100時間が好ましく、より好ましくは1分間〜10時間である。
〔開孔工程〕
開孔工程は、積層フィルムを乾式法により開孔して微多孔膜を形成する工程である。「乾式法」とは、溶剤を用いない延伸開孔方法をいう。乾式法を用いることにより、比較的得られる孔径が小さくなり、かつ、直通孔構造を形成しやすい傾向にある。
開孔工程は、特に限定されないが、積層フィルムを少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程と、積層フィルムを少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に熱延伸する熱延伸工程と、を有することが好ましい。冷延伸工程と熱延伸工程は、いずれを先に行ってもよいが、冷延伸工程を行ってから熱延伸工程を行うことが好ましい。これにより得られる積層微多孔性フィルムの透気性がより向上する傾向にある。
上記(a)、(b)の方法のように、予め第1の微多孔性フィルムと、第2の微多孔性フィルムと、を積層した積層フィルムを形成する場合、その積層フィルムに対して第1の延伸を施して延伸積層フィルムを得る冷延伸工程を含むことが好ましい。また、上記(c)の方法のように、第2の微多孔性フィルムと、第1の微多孔性フィルムと、を別々に多孔化した後にそれらを積層する場合、各フィルムに対して第1の延伸を施して延伸積層フィルムを得る冷延伸工程を含むことが好ましい。
(冷延伸工程)
積層フィルムに対して冷延伸を施す場合、好ましくは−20℃以上(TmB−60)℃以下であり、より好ましくは0℃以上50℃以下である。冷延伸の延伸温度が−20℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、冷延伸の延伸温度が(TmB−60)℃以下であることにより、気孔率、透気度がより向上する傾向にある。ここで、冷延伸の延伸温度は冷延伸工程におけるフィルムの表面温度を意味する。フィルムの表面温度は、接触式温度計により測定することができる。
冷延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍〜2.0倍であり、より好ましくは1.1倍〜2.0倍である。冷延伸は、少なくとも一方向に行うが、フィルムの押出し方向(以下、「MD方向」という。)及びフィルムの幅方向(以下、「TD方向」という。)の両方向に行ってもよい。好ましくは、フィルムの押出し方向にのみ一軸延伸を行うことが好ましい。
(熱延伸工程)
積層フィルムに対して熱延伸を施す場合、熱延伸工程の延伸温度は、好ましくは(TmB−60)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2.0)℃以下である。熱延伸の延伸温度が(TmB−60)℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、熱延伸の延伸温度が(TmB−2.0)℃以下であることにより、気孔率、透気度がより向上する傾向にある。ここで、熱延伸工程の延伸温度とはフィルムの表面温度を意味する。
熱延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍〜5.0倍であり、より好ましくは1.1倍〜5.0倍であり、さらに好ましくは2.0倍〜5.0倍である。熱延伸は、少なくとも一方向に対して行い、MD、TD両方向に行ってもよいが、冷延伸の延伸方向と同じ方向に行うことが好ましく、より好ましくは冷延伸の延伸方向と同じ方向にのみ一軸延伸を行うことである。
〔熱固定工程〕
本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法は、開孔工程の後に、微多孔膜に熱固定を施す熱固定工程を有することが好ましい。熱固定工程を行うことにより、開孔工程の延伸時に作用した応力残留による積層微多孔フィルムの延伸方向への収縮を抑制でき、得られる積層微多孔フィルムの層間剥離強度もより向上できる傾向にある。
熱固定方法としては、特に限定されないが、例えば、熱固定後の積層微多孔性フィルムの長さが3〜50%減少する程度熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」という。)、延伸方向の寸法が変化しないように固定する方法等が挙げられる。
微多孔膜に対して熱固定を施す場合、熱固定温度は、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下であり、より好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2)℃以下である。ここで、熱固定温度とは、フィルムの表面温度を意味する。
上記冷延伸工程、熱延伸工程、その他の延伸工程及び熱固定を施す工程においては、ロール、テンター、オートグラフ等により、1段階又は2段階以上で、1軸方向及び/又は2軸方向に延伸、熱固定する方法を採用し得る。これらの中でも、本実施形態で得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の1軸延伸、熱固定を施すことが好ましい。
〔多孔層形成工程〕
多孔層形成工程は、微多孔膜の表面上に無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層を形成して、上記積層微多孔フィルムを形成する工程である。
多孔層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、無機粒子と樹脂バインダを含む塗布液を微多孔膜の表面上に塗布する方法が挙げられる。
(塗布液)
塗布液に含まれる無機粒子と樹脂バインダについては、上記したものと同様のものが挙げられる。また、塗布液は、溶媒などのその他の成分を含んでもよい。
塗布液において用い得る溶媒としては、特に限定されないが、例えば、無機粒子、及び樹脂バインダを均一かつ安定に分散又は溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
塗布液には、分散安定化や塗工性の向上のために、界面活性剤等の分散剤;増粘剤;湿潤剤;消泡剤;酸、アルカリを含むPH調製剤等の各種添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、溶媒除去の際に除去できるものが好ましいが、リチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で、電池反応を阻害せず、かつ200℃程度まで安定なものであれば多孔層内に残存してもよい。
無機粒子と樹脂バインダとを塗布液の溶媒に溶解又は分散させる方法については、塗布工程に必要な塗布液の溶解又は分散特性を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を多孔膜に塗布する方法については、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
さらに、塗布に先立ち、微多孔膜表面に表面処理をすると、塗布液を塗布し易くなると共に、多孔層と微多孔膜表面との接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、微多孔膜の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、微多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、微多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、樹脂バインダに対する貧溶媒に浸漬して樹脂バインダを凝固させると同時に溶媒を抽出する方法等が挙げられる。
〔用途〕
本実施形態の積層微多孔フィルムは、非水系二次電池用セパレータのような電池用セパレータ、より具体的にはリチウム二次電池用セパレータとして好適に用いられる。また、その他、各種分離膜としても好適に用いられる。
なお、本明細書中の各物性は、特に明記しない限り、以下の実施例に記載された方法に
準じて測定することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態
はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における各種特性の評価方法は以下のとおりである。
(1)融点
樹脂組成物の融点は、JIS K−7121に準拠した方法により測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
樹脂組成物のMFRは、JIS K7210に準拠して測定した。なお、ポリプロピレンは230℃、2.16kgの条件で、ポリエチレンは190℃、2.16kgの条件で測定した。MFRの単位はg/10分である。
(3)密度
樹脂組成物の密度は、JIS K7112に準拠して測定した。密度の単位はkg/m3である。
(4)膜厚(μm)
積層微多孔フィルムの膜厚は、ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)にて測定した。
(5)気孔率(%)
積層微多孔フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積と質量とから下記式を用いて気孔率を算出した。
気孔率(%)=(体積(cm3)−質量(g)/樹脂組成物の密度(g/cm3))/体積(cm3)×100
(6)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて透気度を測定した。なお、積層微多孔フィルムの膜厚を20μmに換算した値を透気度とした。
(7)120℃熱収縮率(%)
積層微多孔フィルムをMD方向に100mm、TD方向に100mmに切り取り、150℃のオーブン中に1時間静置した。このとき、温風が直接サンプルにあたらないよう、サンプルを2枚の紙にはさんだ。サンプルをオーブンから取り出し冷却した後、長さ(mm)を測定し、以下の式にてMD及びTDの熱収縮率を算出した。
MD熱収縮率(%)=(100―加熱後のMDの長さ)/100×100
TD熱収縮率(%)=(100―加熱後のTDの長さ)/100×100
(8)突刺強度(N)
(株)カトーテック社製のハンディー圧縮試験器KES−G5型に、直径1mm、先端の曲率半径0.5mmの針を装着し、温度23±2℃、針の移動速度0.2cm/secで突刺試験を行った。これを膜厚みの測定値を元に20μ厚みに換算し、突刺強度とした。
突刺強度(N)=測定突刺強度×20/膜厚
(9)電気抵抗(Ω・cm2
図1に示すSUS製のセルを準備した。ここで、図1中の符号1はセル本体、符号2はポリテトラフルオロエチレンシール、符号3はばね、符号4は電解液を含浸した積層微多孔フィルムを示す。
円形状に切り出した積層微多孔フィルムのサンプルに電解液を含浸させ、図1に示すセル1内に設置して、このセル1を−30℃に設定したオーブン内に収容し、十分に時間が経過してオーブン内の温度が−30℃で安定した後、まず、フィルムサンプル1枚当たりの電気抵抗(Rs1)を測定した。
次いでオーブンからセル1を取り出し、電解液を含浸させたフィルムサンプルをセル内にさらに5枚、図1の下から上に向かって積層させて収容し、このセルを−30℃のオーブン内に収容し、十分に時間が経過してオーブン内の温度が−30℃で安定した後、フィルムサンプル計6枚当たりの電気抵抗(Rs6)を測定した。
フィルムサンプルの電気抵抗は、上記のRs1、Rs6から次式により算出した。
電気抵抗(Ω・cm2)={[Rs6(Ω)−Rs1(Ω)]/5}×2.00(cm2
この測定を少なくとも5回実施し、その平均値を電気抵抗の値とした。なお、電解液には、富山薬品工業株式会社製LIPASTE−EP2BL/FSI1T(商品名)を用いた。電気抵抗は日置電機株式会社製HIOKI3532−80ケミカルインピーダンスメータ(商品名)を用いて測定し、100kHzにおけるインピーダンスの実数部分(レジスタンス)を電気抵抗の値とした。また、図1に示した電極の有効面積は2.00cm2とした。
(10)シャットダウン温度、ショート温度
a.正極の作製
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を92.2質量部、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量部、樹脂バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を3.2質量部用意し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて、正極活物質塗布量が250g/m2となるように塗布した。130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機を用いて、正極活物質かさ密度が3.00g/cm3となるように圧縮成形し、正極とした。
b.負極の作製
負極活物質として人造グラファイトを96.6質量部、樹脂バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量部とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量部を用意し、これらを精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターを用いて負極活物質塗布量が106g/m2となるように塗布した。120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機を用いて、負極活物質かさ密度が1.35g/cm3となるように圧縮成形し、負極とした。
c.非水電解液の調製
プロピレンカーボネート:エチレンカーボネート:γ−ブチルラクトン=1:1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiBF4を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させ、非水電解液を調製した。
d.シャットダウン温度、ショート温度の測定
65mm×20mmに切り出して非水電解液に1分以上浸漬した負極、中央部に直径16mmの穴をあけた9μm(厚さ)×50mm×50mmのアラミドフィルム、65mm×20mmに切り出して非水電解液に1時間以上浸漬した積層微多孔フィルム、65mm×20mmに切り出して非水電解液に1分以上浸漬した正極、カプトンフィルム、厚さ約4mmのシリコンゴムを用意し、熱電対を接続したセラミックプレート上に、この順で積層した。この積層体をホットプレート上にセットし、油圧プレス機にて4.1MPaの圧力をかけた状態で15℃/minの速度で昇温し、正負極間のインピーダンス変化を交流1V、1kHzの条件下で200℃まで測定した。
インピーダンスが1000Ωに達した時点の温度をシャットダウン温度とし、シャットダウン後、再びインピーダンスが1000Ωを下回った時点の温度をショート温度とした。
(11)塗工目付量
微多孔膜及び積層微多孔フィルムからMD100mm×TD100mmのサンプルを各3箇所ずつ切り出し、電子天秤を用いてそれぞれの重量を測定し、各々3枚の平均値を微多孔膜及び積層微多孔フィルムの目付(g/m2)とした。また、このように測定された微多孔膜及び積層微多孔フィルムの目付の差を塗工目付量(g/m2)とした。
尚、使用した樹脂は以下の通りである。
ポリプロピレン(a−1):融点165℃、MFR0.5g/10分
ポリプロピレン(a−2):融点165℃、MFR0.5g/10分
ポリエチレン(b−1):融点136℃、MFR0.25g/10分
ポリエチレン(b−2):融点137℃、MFR0.22g/10分
ポリエチレン(b−3):融点135℃、MFR0.76g/10分
また、無機粒子としては、カオリナイト(Al2Si25(OH)4)を主成分とするアルミノケイ酸塩鉱物であり、カオリナイトを主成分とするカオリンを高温焼成処理したもので、焼成カオリンをビーズミルにて湿式粉砕したものを使用した。
[実施例1]
ポリプロピレン(a−1)を、口径20mm、L/D(L:押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:押出機の内径(m)。以下、同じ。)=30、220℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、ポリエチレン(b−1)を、口径20mm、L/D=30、200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmの共押Tダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200倍、巻き取り速度15m/分の条件で巻き取り、外層が第1の微多孔性フィルム(A−1)、内層が第2の微多孔性フィルム(B−1)の構造を有する3層積層フィルム(Af−1)を成形した(共押出工程)。この積層フィルム(Af−1)に対して130℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で6時間アニールを施した(アニール工程)。
次に、アニール後の積層フィルムを25℃の温度で縦方向に1.3倍で一軸延伸して、延伸積層フィルムを得た(冷延伸工程)。次いで、延伸積層フィルムを120℃の温度で縦方向に3.0倍で一軸延伸(歪速度:0.5/秒)して微多孔膜を得た(熱延伸工程)。その後、130℃の温度で0.8倍に緩和させて熱固定を施した。得られた微多孔膜について、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、熱収縮率、電気抵抗、シャットダウン/ショート温度を測定した。その結果を表1に示す(乾式微多孔膜)。
次に、焼成カオリンを97.0質量部とポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記することがある。平均重合度1700、ケン化度99%以上)3.0質量部とを150質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、上記微多孔膜の表面にグラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、微多孔膜上に厚さ1.6μmの多孔層を形成した積層微多孔フィルムを得た。得られた積層微多孔フィルムについて、膜厚、透気度、突刺強度、熱収縮率、電気抵抗、シャットダウン/ショート温度を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
微多孔膜上に厚さ3.0μmの多孔層を形成した以外、実施例1と同様にして積層微多孔フィルムを得た。
[比較例1]
微多孔膜上に厚さ4.6μmの多孔層を形成した以外、実施例1と同様にして積層微多孔フィルムを得た。
[比較例2]
微多孔膜上に厚さ5.9μmの多孔層を形成した以外、実施例1と同様にして積層微多孔フィルムを得た。
[比較例3]
ポリエチレン樹脂(b−2)47.5質量部とポリエチレン樹脂(b−3)47.5質量部とホモポリマーのポリプロピレン(a−2)5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量%に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また、可塑剤として流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が65質量%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数240rpm、吐出量12kg/hで行った。続いて、溶融混練物を、Tダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚さ1300μmのシート状のポリオレフィン組成物を得た。
次に同時二軸テンター延伸機へ導き、MD方向に7倍、TD方向に6.4倍に同時二軸延伸を行った。この時、同時二軸テンターの設定温度は118℃であった。次にメチルエチルケトン槽に導き、流動パラフィンを抽出除去した後、メチルエチルケトンを乾燥除去した。
さらにTDテンター熱固定機に導き、熱固定を行った。熱固定温度は122℃、TD緩和率0.80とし、ポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、熱収縮率、電気抵抗、シャットダウン/ショート温度を測定した。その結果を表1に示す(湿式微多孔膜)。
次に、焼成カオリンを97.0質量部とポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記することがある。平均重合度1700、ケン化度99%以上)3.0質量部とを150質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、上記ポリオレフィン樹脂多孔膜の表面にグラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、ポリオレフィン樹脂多孔膜上に厚さ5.5μmの多孔層を形成した積層微多孔フィルムを得た。得られた積層微多孔フィルムについて、膜厚、透気度、突刺強度、熱収縮率、電気抵抗、シャットダウン/ショート温度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2016060061
特定の多孔層厚み及び目付量で作製した実施例1〜2の積層微多孔性フィルムが、耐熱性、シャットダウン機能等に加えて、優れた熱寸法安定性及び電気抵抗を備えており、また、多孔層の厚みが薄く、目付量が少ない実施例1の微多孔性フィルムが、熱寸法安定性及び電気抵抗が極めて良好であることを見出した。
さらに驚くべきことに、理由は定かではないが、塗工目付量が湿式膜より少なくてよい、すなわちコスト性が良好な積層微多孔フィルムを得ることができた。
本実施形態の積層微多孔フィルムは耐熱性に優れているので、高温下での各種物質の分離や浄化等に好適に用いることができる。
本実施形態の積層微多孔フィルムは、非水系二次電池用セパレータ等の電池用セパレータ、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとしての産業上利用可能性を有する。
1…セル、2…シール材、3…ばね、4…電解液を含浸した非水系二次電池用セパレータ。

Claims (10)

  1. ポリオレフィンを含む微多孔膜と、
    前記微多孔膜の片面又は両面に積層された、無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層と、を備え、
    前記多孔層の厚みが、1.0〜4.0μmであり、
    前記多孔層の目付量が1.0〜5.0g/m2である、積層微多孔フィルム。
  2. 前記無機粒子が、ケイ酸アルミニウム化合物を含む、請求項1に記載の積層微多孔フィルム。
  3. 前記ケイ酸アルミニウム化合物が、焼成カオリンを含む、請求項2に記載の積層微多孔フィルム。
  4. 前記微多孔膜が、
    融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の微多孔性フィルムと、
    前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の微多孔性フィルムと、を備える積層膜である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルム。
  5. 前記第2の樹脂組成物が、ポリエチレンである、請求項4に記載の積層微多孔フィルム。
  6. 膜厚が16μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルム。
  7. 透気度が、10〜5000秒/100ccである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルム。
  8. 融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを形成するフィルム形成工程と、
    前記フィルムを乾式法により開孔して微多孔膜を形成する開孔工程と、
    前記微多孔膜の表面上に無機粒子と樹脂バインダとを含む多孔層を形成して、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルムを形成する多孔層形成工程と、
    をこの順で有する、積層微多孔フィルムの製造方法。
  9. 前記フィルム形成工程においては、融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを共押出法により形成する、請求項8に記載の積層微多孔フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層微多孔フィルムからなる、電池用セパレータ。
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