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JP2016059900A - 塗膜形成方法 - Google Patents

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JP2016059900A
JP2016059900A JP2014191724A JP2014191724A JP2016059900A JP 2016059900 A JP2016059900 A JP 2016059900A JP 2014191724 A JP2014191724 A JP 2014191724A JP 2014191724 A JP2014191724 A JP 2014191724A JP 2016059900 A JP2016059900 A JP 2016059900A
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paint
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尚志 井坂
Hisashi Isaka
尚志 井坂
幸代 湯澤
Yukiyo Yuzawa
幸代 湯澤
耕 吉田
Ko Yoshida
耕 吉田
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

【課題】各種工業製品、特に自動車外板に適用できる耐候性があり、ハイライトからシェードまで、深み感に優れ、彩度感がないメタリック塗色を呈する塗膜を形成可能の塗膜形成方法を提供することである。【解決手段】本発明は、塗物に鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装し、得られた塗膜上に一次粒子径が5nm以上500nm以下の黒色複合金属酸化物顔料を含むカラーベース塗料を塗装し、さらにカラーベース塗料による塗膜上にクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法及び該黒色複合金属酸化物顔料が銅、マンガン、鉄、コバルト、クロム及びニッケルから選択される二種類以上の金属元素を含むものである塗膜形成方法に関するものである。【選択図】なし

Description

本発明は、耐候性に優れ、ハイライトからシェードまで、深み感に優れ、彩度感がないメタリック塗色を呈する塗膜を形成可能な塗膜形成方法に関するものである。
ハイライト(正反射光近傍)からシェード(斜め方向)に明度が変化するメタリック塗色の中で、全体に明度がやや低いグレー色の場合、鱗片状アルミニウム顔料にカーボンブラック顔料を組み合わせた塗料を塗装することが一般的である。この場合、ハイライトにおいては中明度のグレー、シェードにおいては黒いフリップフロップ性がある塗色が得られるが、塗膜に黄味が感じられるため、カーボンブラック顔料に換えて、黒色複合金属酸化物顔料を使用する方法が知られている(特許文献1)。
特許文献1に記載の塗料組成物を塗装し、さらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法で得られた塗膜は、シェードでの黄味が感じられないメタリック塗色が得られるが、鱗片状アルミニウム顔料と黒色複合金属酸化物顔料とが1層の塗膜に配合されているため、鱗片状アルミニウム顔料による輝度がやや低下する場合がある問題点があった。
特許文献2は、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度且つシェード(斜め方向)においては青みの黒色を呈するスチール調の金属感を発現する塗料組成物及び塗膜形成方法に関するものであり、鱗片状光輝性顔料及び一次粒子径が20nm以上100nm以下のカーボンブラック顔料を含む塗料組成物が記載されている。特許文献2に記載の塗料組成物を塗装し、さらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法で得られた塗膜は、シェードで青みの黒色が感じられる塗色が得られるが、鱗片状アルミニウム顔料と、特定の粒子径のカーボンブラック顔料とが1層の塗膜に配合されているため、鱗片状アルミニウム顔料による輝度がやや低下する場合がある問題点があった。
特開2003−040257号公報 特開2011−127026号公報
本発明の目的は、耐候性に優れ、ハイライトからシェードまで、深み感に優れ、彩度感がないメタリック塗色を呈する塗膜が得られる塗膜形成方法を提供することである。
本発明は、
1.被塗物に鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装し、得られた塗膜上に一次粒子径が5nm以上500nm以下の黒色複合金属酸化物顔料を含むカラーベース塗料を塗装し、さらにカラーベース塗料による塗膜上にクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法、
2.黒色複合金属酸化物顔料が、銅、マンガン、鉄、コバルト、クロム及びニッケルから選択される二種類以上の金属元素を含むものである1項に記載の塗膜形成方法、
3.鱗片状光輝性顔料が鱗片状アルミニウム顔料である1項又は2項に記載された塗膜形成方法、
4.カラーベース塗料を硬化塗膜として15μmとなるように塗装した塗膜の波長400nm〜700nmにおける光線透過率が50〜90%の範囲内である1〜3項のいずれか1項に記載の塗膜形成方法

に関する。
本発明によれば、耐候性に優れ、ハイライトからシェードまで、深み感に優れ、彩度感がないメタリック塗色を呈する塗膜が得られる塗膜を形成可能な塗膜形成方法を得ることができる。
本発明の塗膜形成方法においては、被塗物に鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装する。
被塗物としては、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。これら素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理したもの被塗物とすることができる。さらに、上記素材や成形物表面に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させて被塗物とすることもできる。
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
また、上記中塗り塗膜とは、素材表面や下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピン
グ性などを付与するために形成されるものであり、素材表面や下塗り塗膜上に、中塗り塗
料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定
されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料
を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
本発明の塗膜形成方法においては、複層塗膜において、ハイライトからシェードへの明度変化を決定付ける鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装する。鱗片状光輝性顔料としては、光反射性顔料及び光干渉性顔料の中から、1種類もしくは複数種類を適宜選択して用いることができる。
光反射性顔料としては、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料、表面を金属酸化物で被覆した鱗片状金属顔料、表面に着色顔料を化学吸着又は結合させた鱗片状金属顔料、表面に酸化反応を起こさせることにより酸化アルミニウム層を形成した鱗片状アルミニウム顔料等を挙げることができるが本発明の塗料組成物においては塗装して得られる粒子感や仕上がり性の点から鱗片状アルミニウム顔料を用いることができる。
鱗片状アルミニウム顔料は、一般にアルミニウムをボールミルやアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造される。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。粉砕媒液としてはミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
鱗片状アルミニウム顔料は、粉砕助剤の種類によって、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプに大別することができる。リーフィングタイプは、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リーフィング)し、金属感の強い仕上がりが得られ、熱反射作用を有し、防錆力を発揮するものであるため、生産設備等のタンク・ダクト・配管類および屋上ルーフィングをはじめ各種建築材料などに利用されることが多い。本発明において、リーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用可能であるが、このタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用した場合には、その配合量にもよるが、塗膜形成過程において、粉砕助剤の表面張力の効果によって、表面を完全に隠蔽してしまい、粒子感が発現しなくなる可能性があるので注意が必要である。この点から、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
本明細書において光干渉性顔料は、具体的には天然マイカ、人工マイカ、アルミナフレーク、シリカフレーク、ガラスフレーク等の半透明の基材を金属酸化物で被覆した顔料を使用することができる。
金属酸化物被覆マイカ顔料は、天然マイカ又は人工マイカを基材とし、基材表面に金属酸化物を被覆した顔料である。天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材であり、人工マイカとは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiF等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさや厚さが均一なものである。具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSi10)、カリウム四ケイ素雲母(KMg25AlSi10)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg25AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSi10)、LiNaテニオライト(LiMgLiSi10)等が知られている。被覆される金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、アルミナフレークを基材とし、基材表面に金属酸化物が被覆した顔料である。アルミナフレークとは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。酸化アルミニウム単一成分である必要はなく、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。被覆される金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、表面が平滑で且つ厚さが均一な基材である鱗片状シリカを、基材とは屈折率が異なる金属酸化物で被覆したものである。被覆される金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料とは、鱗片状のガラス基材に金属酸化物を被覆したものであって、基材表面が平滑なため、強い光の反射が生じて粒子感を発現する。被覆する金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
上記光干渉性顔料は、分散性や耐水性、耐薬品性、耐候性等を向上させるための表面処理が施されたものであってもよい。
上記、鱗片状光輝性顔料の大きさは、平均粒子径が5〜30μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性や明度変化の点から好ましい。本また、厚さは0.01〜7.0μmの範囲内のものを使用することが好ましく、特に好ましくは0.05〜5.0μmの範囲内のものである。ここでいう粒子径及び厚さは、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
本発明の塗膜形成方法におけるメタリックベース塗料においては、複層塗膜のハイライトにおける明度や、隠蔽性の点から、上記光反射性顔料の中でも特に鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
本発明のメタリックベース塗料における鱗片状光輝性顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性や粒子感の点から、塗料中の樹脂組成物100固形分質量部に対して、合計で0.05〜20質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.01〜15質量部の範囲内である。
本発明のメタリックベース塗料には、塗装して得られる塗膜の色相や明度を微調整することを目的として、着色顔料を配合することができる。該着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、例えば、酸化鉄顔料、チタンイエロー等の複合酸化物顔料、微粒子酸化チタンを含む酸化チタン顔料、カーボンブラック顔料等の無機顔料や、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
該着色顔料は、粉体としてメタリックベース塗料に配合することができるが、着色顔料をメタリックベース塗料のビヒクル形成成分である樹脂組成物の一部と混合分散して予め顔料分散体を調製し、これを残りの樹脂成分や他の成分と共に混合することにより塗料化することもできる。顔料分散体の調製にあたっては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、表面調整剤等の慣用の塗料添加剤を使用することができる。
本発明のメタリックベース塗料に着色顔料を配合せしめる場合、その配合量は、複層塗膜の明度等の観点から、塗料中の樹脂組成物100固形分質量部に対して、通常0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましく、特に0.01〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
本発明のメタリックベース塗料には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、必要に応じてメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
さらに、メタリックベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤等の各種添加剤、艶調整剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
本発明のメタリックベース塗料は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適正な粘度に調整した後に、回転霧化塗装、エアスプレー、エアレススプレー等の公知の方法で塗装することができ、その膜厚は、基材の隠蔽性、塗膜の平滑性等の観点から、硬化塗膜に基づいて通常10〜150μm、好ましくは20〜100μmの範囲内とすることができる。
本発明の塗膜形成方法においては、複層塗膜の明度を調整し、深み感を付与することを目的として、上記メタリックベース塗料による硬化又は未硬化の塗膜上に黒色複合金属酸化物顔料を含むカラーベース塗料を塗装する。
複合金属酸化物顔料とは、2種以上の元素の金属酸化物の複合体から成る焼成顔料で、色を発現する金属元素として、(a)Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Cr等を必須とし、(b)Ti、Sb、As、Bi等を条件により色を発現する金属元素として、(c)Al、Si、Ca、Mg、Ba等を補助金属元素として用い、これらの金属元素の酸化物の組み合わせと配合比率を変えることにより所望の焼成顔料を得ることができる。これらの複合金属酸化物顔料は、上記の金属元素から成る金属酸化物を金属塩に沈殿剤としてアルカリ水溶液を過剰に加えて、共沈物を生成せしめ、この生成物を析出と同時又は析出後に液相中で酸化処理し、微粒子顔料の前駆体を得た後、水洗、ろ過及び乾燥後、焼成することで得られたものである。黒色複合金属酸化物顔料は、金属元素として銅、マンガン及び鉄を含むものであり、具体的には、Black25:Co−Ni、Black26:Cu−Mn−Fe、Black27:Co−Cr−Fe、Black28:Cu−Crなどを挙げることができる。
カラーベース塗料においては、得られた複層塗膜の深み感の点から、黒色複合金属酸化物顔料として、一次粒子径の平均が5〜100nmの範囲内のものが好ましく、より好ましくは10〜80nmの範囲内のものである。
本発明のカラーベース塗料における黒色複合金属酸化物顔料の含有量は、塗膜のハイライトにおける明度から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.2〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
本発明において、カラーベース塗料には、上記黒色複合金属酸化物顔料以外にも、複層塗膜の色相を微調整することを目的として、その他の着色顔料を配合することができる。着色顔料としては特に制限されるものではないが、具体的には、例えば、酸化鉄顔料、微粒子酸化チタンを含む酸化チタン顔料、カーボンブラック顔料等の無機顔料や、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。配合量は、後述するビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して、0.01〜150質量部の範囲内とすることが好ましく、特に好ましくは、1〜90質量部の範囲内である。
本発明のカラーベース塗料において、着色顔料を使用する場合、塗装して得られる塗膜の粒子感の点から、一次粒子径が200nm以下である透明性の顔料を使用することが好ましい。
本発明のカラーベース塗料において、黒色複合金属酸化物顔料や必要に応じて配合されるその他の着色顔料は、粉体として塗料中に配合することができるが、着色顔料を、カラーベース塗料のビヒクル形成成分である樹脂組成物の一部と混合分散して予め顔料分散体を調製し、これを残りの樹脂成分や他の成分と共に混合することにより塗料化することもできる。顔料分散体の調製にあたっては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、表面調整剤等の慣用の塗料添加剤を使用することができる。
本発明のカラーベース塗料には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、必要に応じてメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
さらに、カラーベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤等の各種添加剤、艶調整剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
本発明のカラーベース塗料において、上記黒色複合金属酸化物顔料や、必要に応じて配合される着色顔料の種類や量は、硬化塗膜として膜厚15μmとなるように塗装して得られた塗膜の波長400〜700nmの範囲内における光線透過率が50〜90%の範囲内、好ましくは60〜85%とするように調整せしめるものとすることが、塗装して得られる塗膜の明度変化の点から好ましい。
本発明において、上記光線透過率は、硬化塗膜厚が15μmとなるように平滑なPTFE板に塗装し、硬化、剥離した塗膜を分光光度計MPSー2450(商品名、島津製作所製)にて測定した数値で定義するものとする。なお、光線透過率はJIS K7136に規定された積分球を備えた測定装置に試料フィルムを装着し、前方から光を当て、フィルムを透過した光を積分球で補足して測定することができる数値である。
本発明のカラーベース塗料は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適正な粘度に調整した後に、回転霧化塗装、エアスプレー、エアレススプレー等の公知の方法で塗装することができ、その膜厚は、基材の隠蔽性、塗膜の平滑性等の観点から、硬化塗膜に基づいて通常10〜150μm、好ましくは20〜100μmの範囲内とすることができる。
本発明の塗膜形成方法においては、上記カラーベース塗料による硬化又は未硬化の塗膜上にトップクリヤー塗料を塗装して、トップクリヤー塗膜を形成する。
トップクリヤー塗膜は、トップクリヤー塗料を塗装して乾燥、硬化してなる1層の塗膜であっても、あるいはトップクリヤー塗料の塗装から乾燥、硬化の工程を複数回繰り返すことによって形成される2層以上の塗膜であってもよい。トップクリヤー塗膜を2層以上の塗膜として形成せしめることによって、複層塗膜の仕上がり性や鮮映性を向上させることができる。
トップクリヤー塗膜を2層以上の塗膜とする場合、1層目のトップクリヤー塗膜と2層目以降のトップクリヤー塗膜とは、同一の材質のものであってもよく、あるいは異なる材質であってもよい。
本発明の塗膜形成方法において使用されるトップクリヤー塗料は、ビヒクル形成成分として基体樹脂及び架橋剤を含有し、さらに溶剤その他の塗料用添加剤等を適宜配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状塗料であり、それ自体既知のものを制限なく使用することができる。該基体樹脂の例としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基等の架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂等が挙げられる。上記架橋剤としては、上記基体樹脂の官能基と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、水や有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、表面調整剤、艶調整剤等の塗料添加剤を適宜配合することができる。
上記トップクリヤー塗料には、透明性を損なわない範囲内において、着色顔料を適宜配合することができる。着色顔料としては、インク用、塗料用としてそれ自体既知の顔料をそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて配合することができる。その添加量は、塗膜の透明性を実質的に害さない範囲において適宜決定することができ、顔料を配合する場合、具体的には、トップクリヤー塗料中の基体樹脂と架橋剤の合計固形分100質量部に対して、通常15質量部以下、好ましくは0.01〜5質量部の範囲内とすることができる。
上記トップクリヤー塗料は、水や有機溶媒等を加えて、塗装に適した粘度に調整した後、回転霧化塗装、エアスプレー、エアレススプレー等のそれ自体既知の方法で塗装することができ、その膜厚は、硬化塗膜に基づいて通常5〜40μm、特に20〜35μmの範囲内とするのが好ましい。トップクリヤー塗料の塗膜それ自体は常温〜約150℃の範囲内の温度で架橋硬化させることができる。
トップクリヤー塗膜を2層以上の塗膜として形成せしめる場合、1層目のトップクリヤー塗膜を乾燥、硬化せしめた塗膜上に2層目以降のトップクリヤー塗膜を形成せしめることができるが、1層目のトップクリヤー塗料を塗装後、その未硬化の塗膜上に2層目のトップクリヤー塗膜を形成せしめてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
実施例,比較例
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した反応容器内に1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレート17部、n−ブチルアクリレート17部、ヒドロキシエチルメタクリレート7部、ラウリルメタクリレート20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
(製造例2〜4)メタリックベース塗料1〜3の調製
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、鱗片状光輝性顔料及び着色顔料を表1に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調製し、実施例及び比較例に使用するメタリックベース塗料1〜3を調製した。
Figure 2016059900
(製造例5〜10)メタリックベース塗料1〜6の調製
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、鱗片状光輝性顔料及び着色顔料を表2に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調製し、実施例及び比較例に使用するカラーベース塗料1〜6を調製した。
Figure 2016059900
(試験板の作成)
(1)基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
得られた電着塗面に、中塗り塗料「ルーガベーク中塗りグレー」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗り塗膜を形成した塗板を基材とした。
(2)塗装
(実施例1〜6,比較例4〜8)上記基材に、表3に示すメタリックベース塗料を、エアスプレーを用いて、硬化塗膜として10μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後に表3に示すカラーベース塗料をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として5μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、クリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(比較例1〜3)上記基材に、表3に示すメタリックベース塗料を、エアスプレーを用いて、硬化塗膜として12μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後にクリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(カラーベース塗料の光線透過率測定)
カラーベース塗料1〜3を各々エアスプレーを用いて、5μmの膜厚となるように平滑なPTFE板に塗装後、乾燥硬化させたものを剥離した塗膜を分光光度計「MPS−2450」(商品名:島津製作所製)にて可視光領域(波長400nm〜700nm)における光線透過率を測定し、結果を表3に示した。
(複層塗膜のL*,a*,b*,c*測定)
L*a*b*表色系における明度(L*)、色度(a*、b*)及びL*C*h表色系における彩度(C*)を、MA−68II(商品名、多角度分光光度計、ビデオジェット エックスライト社製)を使用して測定し、結果を表3に示した。
L*15:塗膜に対して45度の角度から照射した光を、正反射光に対して15度の角度で受光した場合の分光反射率から計算した明度を示す。以下末尾の数値は正反射光に対する角度を表す。
(フリップフロップ値)
塗膜に45度から照射した光を正反射光に対して15度で受光したときのXYZ表色系におけるY15と、45度で受光したときのY45をMA−68II(商品名、多角度分光光度計、ビデオジェット エックスライト社製)を使用して得られた分光反射率から計算によって求め、得られたY15及びY45から、式:FF=2×(Y15−Y45)/(Y15+Y45)によって計算して得られたFF値を表3に示した。
(深み感)
自動車外板用塗料の開発に5年以上の経験を有する技術者及びデザイナー5名が、直射日光が当たらない屋外において、試験板の角度を変えながら観察し、深み感の程度を以下に示す基準で評価し、結果を表3に示した。
4:深み感に優れる
3:深み感が認められる
2:わずかに深み感が認められる
1:深み感が認められない
(耐候性)
スーパーキセノンウェザオメーター(スガ試験機株式会社製)で1200時間の促進耐候性試験を行った後、塗膜の変色を目視評価し、併せてb*25を前記と同様に測定し、試験前後の値の変化Δb*25を求め、結果を表3に記載した。
4:塗膜に変色が認められない。
3:塗膜に変色が僅かに認められる。
2:塗膜が変色している。
1:塗膜が大きく変色している。
Figure 2016059900
本発明の目的は、耐候性に優れ、ハイライトからシェードまで、深み感に優れ、彩度感がないメタリック塗色を呈する塗膜を形成可能の塗膜形成方法を提供することである。

Claims (4)

  1. 被塗物に鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装し、得られた塗膜上に一次粒子径が5nm以上500nm以下の黒色複合金属酸化物顔料を含むカラーベース塗料を塗装し、さらにカラーベース塗料による塗膜上にクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法。
  2. 黒色複合金属酸化物顔料が、銅、マンガン、鉄、コバルト、クロム及びニッケルから選択される二種類以上の金属元素を含むものである請求項1に記載の塗膜形成方法。
  3. 鱗片状光輝性顔料が鱗片状アルミニウム顔料である請求項1又は2に記載された塗膜形成方法。
  4. カラーベース塗料を硬化塗膜として15μmとなるように塗装した塗膜の波長400nm〜700nmにおける光線透過率が50〜90%の範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜形成方法。
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