JP2016045078A - 重質油のサンプリング装置 - Google Patents
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Description
[1]配管内を流れる重質油をサンプリングする装置であって、前記の重質油のサンプリングを4方弁の流路の切り替えによって行い、この4方弁は、4つの配管接続口を有すると共に、内部に、回動によって流路を切り替えることのできる弁部を有し、この弁部は、その内部を貫通する貫通孔を有し、その貫通孔は、それぞれ、前記4つの配管接続口のうちの2つの配管接続口に接続された2つの配管を連通させて第1流路を構成することができると共に、この弁部を回動させることにより、その貫通孔は、前記4つの配管接続口のうちの他の2つの配管接続口に接続された2つの配管を連通させて第2流路を構成することができ、前記弁部の回動によって、2つの流路が切り替えられる前後において、前記弁部の外面における前記貫通孔の周縁部は、シール材と接することを特徴とする重質油のサンプリング装置。
[3]前記第1流路を構成する2つの配管にそれぞれ開閉バルブを配することにより、前記4方弁をこれら2つの開閉バルブによって挟む構造とすることを特徴とする[1]又は[2]に記載の重質油のサンプリング装置。
[5]前記第1流路に重質油が移送される状態で前記2つの開閉バルブを閉止することにより、サンプリングする重質油がラインから遮断される構造を有し、かつ、サンプリングする重質油の量が1cm3以下であることを特徴とする[4]に記載の重質油のサンプリング装置。
[6]前記2つの開閉バルブを閉止することによって、前記貫通孔内に貯留した重質油を、前記弁部の回動により、前記4方弁の流路を第2流路に切り替え、前記溶剤とともに移送する構造を有することを特徴とする[5]に記載の重質油のサンプリング装置。
[8]重質油としてコールタール、コールタールピッチ、石油系ピッチから選択される何れかを含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の重質油のサンプリング装置。
[9]溶剤がキノリンを含むことを特徴とする[4]〜[8]のいずれか1項に記載の重質油のサンプリング装置。
[10]配管の内径が10mm以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の重質油のサンプリング装置。
この発明は、配管内を流れる高温かつ粘度の高い重質油のサンプリングを4方弁の流路の切り替えにより行う、微少量をより正確にサンプリングするサンプリング装置である。
前記重質油は、一般に重質油と呼ばれるものであれば限定されないが、具体的には、コールタール、コールタール誘導体であるコールタールピッチ類(ソフトピッチ、中ピッチ、硬ピッチ等の各種工程から得られるピッチを含む)、石油精製工程から発生する石油系ピッチ類が挙げられ、さらには、前記コールタール、コールタールピッチ類、石油系ピッチ類にコールタール精製工程又は石油精製工程から発生する軽質油(重質油以外の留分)を混合したものも含まれる。前記のコールタールとしては、好ましくは、粗鋼用コークス炉で生成するコークス炉ガスを段階的に冷却し、沸点の高いものを凝縮して得たコールタールがあげられる。また、前記のコールタールピッチ類は、コールタール、好ましくは上述のコークス炉から得たコールタールを蒸留により軽質な芳香族成分を除去したものである。
また、測定試料としては、ピッチ類等と溶剤以外の任意の化合物や単体を含有していてもよい。
重質油の粘度は限定されないが、配管の閉塞を防止するため、100℃における粘度が好ましくは15000 mPa・s以下、より好ましくは13000mPa・s以下、更に好ましくは10000mPa・s以下であることが望ましい。ここで重質油の粘度は、B型粘度計で測定した値をいう。
本発明のサンプリング装置は、前記の重質油をサンプリングするに際し、溶剤を使用することが出来る。ここで「溶剤」とは、重質油が均一に溶解されるものである必要は無く、重質油との混合状態において懸濁液となるものであってもよいが、重質油を構成する成分のうち少なくとも一部を溶解するものであることが好ましい。
この溶剤としては、例えば、キノリン、トルエン、N−メチルピロリドン、ピリジン、アセトン、ヘキサン、ニトロベンゼン、モルホリン、クロロホルム、アルコールなどが挙げられるが、好ましくはキノリン、トルエン、ピリジン、N−メチルピロリドンであり、重質油に対して、高い溶解性を持つという観点から、キノリンがより好ましい。
本発明のサンプリング装置において溶剤を使用する方法は限定されず、サンプリングする重質油自体を予め希釈するために用いてもよいし、後述する通り、配管内や弁内部の重質油を押し出す(洗い流す)ために用いてもよい。更には、サンプリング装置内部を洗浄するために用いてもよい。
前記の重質油のサンプリング方法としては、一般に、定量ポンプによる送液や、3方弁を組み合わせて重質油と溶剤の流路を切替えてサンプリングする方法があるが、定量ポンプによる送液では、重質油の粘度が高いため、少量の重質油を安定して送液することが困難である。さらに重質油に含まれるスラッジが、定量性を支配するシリンダー部に噛み込むため、故障に至る確率が高いという問題点がある。3方弁を用いたサンプリングでは、2つの3方弁を接続している配管の長さと径に依存し、サンプリング量が決まる。このため、サンプリング量を減らすためには、配管の長さを短くする必要があるが、3方弁と配管の接続部の距離が必要となるため、ある一定の長さ以下にはならない。また、配管径を小さくすることでサンプリング量を減らすことも可能であるが、配管径を小さくするとピッチ類のスラッジにより配管が閉塞するという問題がある。従って、サンプリング量は1cm3を超えるため、サンプリングした重質油を分析する際には、希釈を行う必要があり、少量のサンプリングとは言えない。
これに対し、4方弁を用いて重質油と溶剤の流路を切替えてサンプリングする方法が挙げられる。4方弁を用いたサンプリングでは、4方弁の弁部(ボール)の容積がサンプリング容積となるため、1cm3以下の少量サンプリングが可能となり、望ましい。
ところで、この4方弁1は、図1(a)や図2(a)(b)に示すように、4つの配管接続口5a、5b、5c、5dを有し、4つの配管5a’、5b’、5c’、5d’と連結される。また、4方弁1のハウジング2内部に、回動によって流路(配管5a’から配管5b’へ流れる第1流路Fと、配管5c’から配管5d’へ流れる第2流路S)を切り替えることのできる弁部(ボール)3を有し、また、この弁部3は、その内部を貫通する貫通孔3aを有する。そして、その貫通孔3aは、それぞれ、前記4つの配管接続口5a、5b、5c、5dのうちの2つの配管接続口5a、5bにつなげ、配管5a’と配管5b’とを連通させて第1流路Fを構成することができると共に、この弁部3を回動させることにより、その貫通孔3aは、前記4つの配管接続口のうちの他の2つの配管接続口5c、5dにつなげ、配管5c’と配管5d’とを連通させて第2流路Sを構成する。
また、4方弁における弁の形状や構造に制限は無い。弁の構造としては、図1(a)に示すようにボール状の内部に貫通孔を形成した弁部3であってもよいし、円板状の弁が操作軸4によって回動するものであってもよい。但し、本発明においては、弁の内部に貯留した重質油を、流路を切り替えることによって押し流すことが可能な構造であることが好ましいため、ボール状の弁が好適である。
4方弁を流れる重質油の温度は、粘度を下げる目的で、100〜300℃であることが望ましいが、配管通液時の抵抗を低減させ、さらに配管内を流れる重質油の蒸気圧を低くする目的で、好ましくは、120〜260℃、より好ましくは、130〜200℃である。
4方弁に重質油を流す際、そのときの温度における重質油の粘度は、限定されないが、配管の閉塞を防止するため、好ましくは15000 mPa・s以下、より好ましくは13000mPa・s以下、更に好ましくは10000mPa・s以下であることが望ましい。ここで粘度の測定はB型粘度計で測定した値をいうが、4方弁内を流れる重質油の粘度を直接測定することは困難であるので、温度、流速等の諸条件を4方弁内と同一条件としてB型粘度計で測定すればよい。
本発明のサンプリング装置によってサンプリングされた重質油は、通常、測定試料として何らかの分析(測定)に供される。
前記溶剤と前記重質油とを混合させる方法は特に限定されないが、重質油は粘性が高いので、撹拌しながら混合することが好ましい。
また、その撹拌で得られた溶液の一部を抜き出し、その抜き出した溶液をさらに希釈した溶液を測定試料としてもよい。ここで「溶液」とは、溶剤によって均一に溶解されたものに限らず、懸濁液も包含する。
前記測定試料は、実施する分析方法に応じて、そのままで、又は溶解若しくは溶剤除去を目的とした蒸留及び/若しくはろ過を行い、分析に供される。この測定方法の例としては、吸光度を測定する方法を例として挙げることができる。
この吸光光度計としては、2つ以上の波長領域における測定波長での吸光度を同時に測定するセンサーを備えることが好ましい。
また、前記の測定試料に、可視光の波長から近赤外光の波長領域の光と、赤外光とを照射し、それぞれの波長における吸光度を計測し、吸光度の比率から溶剤不溶分の含有割合を算出することができる。
また、フローセルを分光器に設置し、ここに試料を連続的に通過させて試料中の溶剤不溶分を連続的に測定することも可能である。セルの幅を調整することにより、フローセルを用いる場合にも測定試料がセル中に滞留することなく連続的に循環させることができる。また、連続分析時においてしばしば必要となる高温高圧条件下において耐え得るセルを用いることも比較的簡単である。フローセルとしては従来用いられているものが何れも好適に使用される。
次に、サンプリング装置の構成を示す図3を用いて測定方法の一例について詳細に説明する。
図3において、重質油aの輸液(プロセス)ライン又はそのラインから取り出されたサンプルラインは、開閉バルブV1を介して分岐管11に接続される。この分岐管11の分岐の一方のプロセスライン11aは、熱交換器12に接続され、他方のプロセスライン11bは、開閉バルブV2、V10を介して廃液工程Wに連結されるか、開閉バルブV2、V11を介して輸液(プロセス)ラインに戻される。
この開閉バルブV1から開閉バルブV11までの重質油の流路は、特に限定されないが、4方弁1の流路に気泡溜りを発生させない目的で垂直に設置することが望ましい。
さらに、前記プロセスライン11cには、4方弁1をバイパスして直接排出ライン11dに接続するバイパスライン11eが設けられ、開閉バルブV5によって、バイパスライン11eの流量が調整される。
ところで、4方弁1を挟む構造である開閉バルブV3とV4との距離は、操作に悪影響がでない範囲で、できる限り近づけることが、操作上望ましい。また、流路に気泡溜りを発生させない目的で、開閉バルブV3、4方弁1及び開閉バルブV4を垂直に設置することが望ましい。
このとき、第1流路が連通するように、4方弁1の弁部3が回動され、開閉バルブV3、V4を開放し、開閉バルブV3、V4の間を重質油aが移送できるようにし、重質油aを4方弁1内の貫通孔3aに導入する。そして、開閉バルブV3、V4を閉止することにより、サンプリングされる重質油aがラインから遮断されることとなり、一定量の重質油aを4方弁1内の貫通孔3aに貯留させる。この4方弁1を用いた場合、サンプリングされるのは、貫通孔3a内の重質油aとなるので、その容量を、1cm3以下、好ましくは0.3cm3以下、より好ましくは0.2cm3以下と微量化することができる。
サンプリングのみを実施する場合は、送液する溶剤bの量は、サンプリングした重質油aを押し流し、サンプリング容器等に回収できる量であれば特に限定はされないが、サンプリング後の分析を考慮すると400ml以下が望ましい。
図3に示す測定プロセスに準じたサンプリング方法を採用し、5a’、5b’、5c’、5d’の配管内径は4mmとした。
重質油としてコールタールピッチ(100℃における粘度:500mPa・s)を使用し、これを140℃に調整した容器に入れて濃度が変化しないよう撹拌を行い、次いで図3における11c、4方弁、11dの回路で循環させた。
重質油のサンプリングは、以下の手順で行った。
(1)4方弁の流路を溶剤側(第2流路)にして、溶剤(キノリン)を流し、4方弁までの配管を溶剤(キノリン)で満たす。
(2)次いで、4方弁の流路を重質油側(第1流路)に切り替える。
(3)4方弁に140℃に温度を調整したコールタールピッチを通液させ、貫通孔3a内部のキノリンを押し流すとともに、コールタールピッチの流路をコールタールピッチで満たす。
(4)4方弁の前後の開閉バルブV3、V4を閉める。
(5)4方弁の流路を溶剤(キノリン)側(第2流路)へ切替える。
(6)ポンプP1、P2にて溶剤(キノリン)を120cm3/minで50秒間、4方弁に送液し、コールタールピッチとキノリンを希釈溶解槽15の位置に配したビーカーに全量回収する。
(A)上記の方法で回収した溶液を75℃のオイルバスに入れ、ビーカーを撹拌しながら、30分間加熱し、試料を溶解させる。
(B)あらかじめ精秤しておいたろ過器(W2)に(A)の溶液を注ぎ、吸引ろ過を行う。
(C)ろ過残渣に75℃の溶剤(キノリン)10cm3を注ぎ、溶解、洗浄する。この操作を3回繰り返す。
(D)ろ過残渣の乗ったろ過器を110℃の乾燥機に入れ、60分間乾燥させる。
(E)ろ過残渣の乗ったろ過器を乾燥機から取り出し、デシケーター内で30分放冷した後、その重量を精秤する(W3)。
(F)溶剤不溶分を以下の式により計算する。
溶剤不溶分(重量%)=(溶解後残渣重量/サンプリング重量)×100=((W3−W2)/W1)×100
サンプリング重量(W1)=4方弁貫通孔容積×重質油の密度(140℃)
(重質油の密度はJIS K2425に基づいて測定した。)
図1(b)に示す形状のシール材を有する4方弁のボールバルブ(図1(a))を用いて、上記[重質油のサンプリング]に記載したサンプリングを行った。
サンプリングは、以下の2通りの方法で行い、それぞれ平均値、標準偏差、変動係数(標準偏差を平均値で除して100を掛けた値)を算出した。
<サンプリング1>
30分毎に繰り返してサンプリングを行い、これを4時間継続して計8回行った。
<サンプリング2>
1日1回の頻度でサンプリングを行い、これを8日間繰り返し行った。
サンプリングした各々の試料を、上記[重質油のキノリン不溶分測定]に記載した方法でキノリン不溶分の測定を行った結果を表1に示す。
図4(a)に示す形状のシール材を有する4方弁のボールバルブ(図4(b)(c))を用いる以外は実施例1と同様にして上記[重質油のサンプリング]を行い、実施例1と同様にして上記[重質油のキノリン不溶分測定]を行った結果を表1に示す。
なお、比較例1で使用した重質油は、実施例1で使用した重質油と同一のものではない。
表1から明らかな通り、図4(a)に示す形状のシール材を有する4方弁を用いた比較例1に較べ、図1(b)に示す形状のシール材を有する4方弁を用いた実施例1においては、繰返しサンプリングした際の誤差が有意に小さいことが明らかである。
2 ハウジング
3 弁部(ボール)
3a 貫通孔
4 操作軸
5a、5b、5c、5d 配管接続口
5a’、5b’、5c’、5d’ 配管
6 シール材
7 シール材
11 分岐管
11a、11b、11c、11f、11g、11h プロセスライン
11d 排出ライン
11e バイパスライン
12 熱交換器
15 希釈溶解槽
16 測定部
a 重質油
b 溶剤
V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12 開閉バルブ
P1、P2、P3 ポンプ
D1、D2 タンク
F 第1流路
S 第2流路
W 廃液工程
Claims (10)
- 配管内を流れる重質油をサンプリングする装置であって、
前記の重質油のサンプリングを4方弁の流路の切り替えによって行い、
この4方弁は、4つの配管接続口を有すると共に、内部に、回動によって流路を切り替えることのできる弁部を有し、
この弁部は、その内部を貫通する貫通孔を有し、その貫通孔は、それぞれ、前記4つの配管接続口のうちの2つの配管接続口に接続された2つの配管を連通させて第1流路を構成することができると共に、この弁部を回動させることにより、その貫通孔は、前記4つの配管接続口のうちの他の2つの配管接続口に接続された2つの配管を連通させて第2流路を構成することができ、
前記弁部の回動によって、2つの流路が切り替えられる前後において、前記弁部の外面における前記貫通孔の周縁部は、シール材と接することを特徴とする重質油のサンプリング装置。 - 前記シール材は、前記弁部を収納するハウジングと前記弁部との間の空間を埋める部材であり、かつ、前記4方弁の4つの配管接続口、及び前記弁部を回動させるための操作軸が通る部分に孔が開けられた部材であることを特徴とする請求項1に記載の重質油のサンプリング装置。
- 前記第1流路を構成する2つの配管にそれぞれ開閉バルブを配することにより、前記4方弁をこれら2つの開閉バルブによって挟む構造とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の重質油のサンプリング装置。
- 前記第1流路を前記重質油が移送されるとともに、前記第2流路を溶剤が移送される構造を有することを特徴とする請求項3に記載の重質油のサンプリング装置。
- 前記第1流路に重質油が移送される状態で前記2つの開閉バルブを閉止することにより、サンプリングする重質油がラインから遮断される構造を有し、かつ、サンプリングする重質油の量が1cm3以下であることを特徴とする請求項4に記載の重質油のサンプリング装置。
- 前記2つの開閉バルブを閉止することによって、前記貫通孔内に貯留した重質油を、前記弁部の回動により、前記4方弁の流路を第2流路に切り替え、前記溶剤とともに移送する構造を有することを特徴とする請求項5に記載の重質油のサンプリング装置。
- 100℃における粘度が15000mPa・s以下である重質油のサンプリングに用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重質油のサンプリング装置。
- 重質油としてコールタール、コールタールピッチ、石油系ピッチから選択される何れかを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の重質油のサンプリング装置。
- 溶剤がキノリンを含むことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の重質油のサンプリング装置。
- 配管の内径が10mm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の重質油のサンプリング装置。
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