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JP2016044963A - 加湿装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸着、脱離の切替時に、温湿度応答性の改善が図れる加湿装置を提供する。
【解決手段】加湿装置1は、吸着材に供給される空気を加熱する加熱装置3と、吸着材を有し、加熱装置3で加熱された空気に吸着材に吸着されている水分を脱離する吸着材モジュール4と、吸着材モジュール4によって加湿された空気を冷却する冷却装置5と、を備える。加湿装置1では、吸着材から水分を脱離させる脱離時には、加熱装置3によって加熱された空気に対して吸着材から水分を脱離させた後、さらに当該空気を冷却装置5によって冷却してから加湿空気として車室内Rに供給する。また、吸着材に空気の水分を吸着させる吸着時には、冷却装置5によって空気を冷却してから、吸着材で水分を吸着させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、室内に対して加湿空気を提供する加湿装置に関する。
特許文献1は、車室内の乗員に対して加湿された空気を供給する車両用除加湿装置の一形態を開示している。特許文献1に記載の装置は、通気可能なエレメントに吸着材を担持させてなる吸着素子と、吸着素子を直接加熱するように吸着素子の非通気面に設置されたヒータと、正逆回転可能な送風機と、を備えている。
例えば、外気が乾燥している冬季において、ヒータの通電を遮断した状態で、送風機を一方向に回転することにより、室内の空気を吸着素子に導入する。このとき吸着材は常温であるので、吸着素子は吸着機能を発揮し、通過する空気から水分を除去し、除湿された空気が室内に吹き出される。この吸着操作が一定時間行われると、次にヒータに通電を行い、ヒータによって吸着素子が加熱される。ヒータの通電に応じて送風機の回転方向を逆転して逆向きの送風が行われ、吸着素子から脱離した水分が送風に含まれるので、加湿空気が室内に供給される。
まず、吸着素子からの水分脱離は、吸着素子の温度を上昇させる、もしくは吸着素子に相対湿度の低い空気を流入させることが必要である。
このように脱離時には、ヒータに通電を開始して吸着素子を加熱し始めるため、脱離時に吸着素子の温度を速やかに上昇させることができない。したがって、吸着素子を目標とする温度まで上昇させるのに時間を要する。仮に早期に吸着素子の温度を上昇させるには、ヒータの加熱出力を大きくする必要がある。
また、脱離時に時間をかけて温度上昇した吸着素子は、吸着時に切り替わると、ヒータへの通電停止によって、吸着素子は徐々に温度低下するようになる。したがって、吸着材を目標とする温度まで低下させるのに時間を要する。加湿空気及び除湿空気の温度と湿度は、脱離、吸着の切替時に、吸着素子の温度変化と同様にゆるやかに変化する。
特許第5266657号公報
特許文献1の装置は、前述したように、ヒータの通電を開始することによって吸着素子を加熱するため、脱離時に吸着素子を所定温度まで上昇させるのに時間を要する。また、ヒータの通電を遮断することによって、成り行きで吸着素子の温度が低下するため、吸着時に吸着素子を所定温度まで低下させるのに時間を要する。これにより、脱離及び吸着に関する切替時の温度応答性や湿度応答性が悪く、ユーザの快適性を損なうという問題がある。
また、特許文献1の装置では、ヒータによって吸着素子を直接加熱するため、吸着素子から脱離した水分が空気とともに、そのままユーザに供給される。したがって、ユーザに対して暖かい加湿空気が吹き出されるので、ユーザに不快感を与えかねない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、吸着、脱離の切替時に、温湿度応答性の改善が図れる加湿装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
開示された発明のひとつは、吸着材から脱離させた水分によって加湿した加湿空気を加湿対象空間(R)に供給する加湿装置(1)に係る発明であって、吸着材に供給される空気を加熱する加熱手段(3)と、吸着材を有し、加熱手段によって加熱された空気に対して、吸着材に吸着されている水分を脱離する吸着材モジュール(4)と、吸着材モジュールによって加湿された空気を冷却する冷却手段(5)と、を備え、
吸着材から水分を脱離させる脱離時には、加熱手段によって加熱された空気に対して吸着材から水分を脱離させた後、さらに当該空気を冷却手段によって冷却してから加湿空気として加湿空間に供給し、
吸着材に空気の水分を吸着させる吸着時には、冷却手段によって空気を冷却してから、
吸着材で水分を吸着させることを特徴とする。
この発明によれば、脱離時に、吸着材モジュールに供給する前の空気を加熱手段で加熱するため、当該空気を迅速に温度上昇させることができる。さらに、空気温度が迅速に上昇することにより、空気の相対湿度を迅速に下げることができるため、吸着材モジュールでの水分脱離が活発に行われ、吸着材モジュールを流出した後の空気の相対湿度を迅速に高めることができる。
一方、吸着時には、吸着材モジュールに供給する前の空気を冷却手段で冷却するため、当該空気を迅速に温度低下させることができる。さらに、空気温度が迅速に低下することにより、空気の相対湿度を迅速に高めることができるため、吸着材モジュールでの水分吸着が活発に行われ、吸着材モジュールを流出した後の空気の相対湿度を迅速に低下させることができる。このように、脱離時及び吸着時の両方において、従来技術に比較して、吸着材モジュール流出後の空気に関する温度応答性及び湿度応答性を著しく改善することができる。したがって、本発明によれば、吸着及び脱離の切替時に、温湿度応答性の改善が図れる加湿装置を提供できる。
また、吸着時に用いる冷却手段は、脱離時には、吸着素子を通過して加湿された空気を冷却するため、ユーザに対して涼しい加湿空気が吹き出されるので、ユーザに快適感を提供することができる。
第1実施形態に係る加湿装置が車両に搭載される位置を示す概要図である。 第1実施形態の加湿装置の概要構成を示す断面図である。 第1実施形態の装置と従来の装置とについて、吸着素子を流出した後の空気の温度変化と相対湿度変化を示すグラフである。 第2実施形態に係る加湿装置の概要構成を示す断面図である。 第3実施形態に係る加湿装置の概要構成を示す断面図である。 第4実施形態に係る、送風機及び風向変更装置の構成と、吸着時の各部の作動とを示す断面図である。 第4実施形態に係る、送風機及び風向変更装置の構成と、脱離時の各部の作動とを示す断面図である。 図6中のケーシングの片側半分、送風機、第1ガイド部、第2ガイド部に関する斜視図である。 第4実施形態の送風機についてファン回転軸に平行な断面図である。 第4実施形態について、吸着時の送風機の作動を説明するための拡大図である。 第4実施形態について、脱離時の送風機の作動を説明するための拡大図である。 第5実施形態に係る加湿装置において、吸着時の状態を示した断面図である。 第5実施形態の加湿装置において、脱離時の状態を示した断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
(第1実施形態)
開示する発明に含まれる加湿装置は、室内の内装部材に装着される装置であり、室内を加湿対象空間とする装置である。以下の各実施形態では、加湿装置の一例として、図1に図示するように車両に適用した場合を説明する。したがって、車両に搭載される加湿装置1は、車室内Rを加湿対象空間とする。さらに、加湿装置1を備える車両は、車室内Rの温度調整を行う車両用空調装置を備える。
図1及び図2に示すように、加湿装置1は、車両の天井に配置される。図1及び図2に記載した上下前後の各矢印は、加湿装置1を車両に搭載した状態における各方向を示している。したがって、上側、下側、前側、後側は、それぞれ、車両上方、車両下方、車両前方、車両後方である。加湿装置1は、その外殻を形成するケーシング6の内部に、送風機2、加熱装置3、吸着材モジュール4、冷却装置5等を収容して構成されている。
図2に示すように、加湿装置1においては、吸着素子から水分が脱離する脱離時に空気が流れる方向A2に、加熱装置3、吸着材モジュール4、冷却装置5の順に並ぶように設置されている。したがって、脱離時に、第1開口部60から導入された車室内空気は、加熱装置3で加熱されてから、吸着材モジュール4を通過して水分が加えられ、さらに冷却装置5で冷却された後、第2開口部61から車室内へ吹き出される。この脱離時の空気の流れは、図2において実線の矢印で示されている。
加湿装置1には、吸着素子に水分が吸着される吸着時に空気が流れる方向A1に、冷却装置5、吸着材モジュール4、加熱装置3の順に並ぶように設置されている。したがって、吸着時に、第2開口部61から導入された車室内空気は、冷却装置5で冷却されてから、吸着材モジュール4を通過して水分を放出し、さらに加熱装置3で加熱された後、第1開口部60から車室内へ吹き出される。この吸着時の空気の流れは、図2において破線の矢印で示されている。
送風機2は、図2に示す例では、他の装置よりも第1開口部60に近い位置に設置されているが、送風機2の設置位置は、この位置に限定されない。したがって、送風機2は、第1開口部60と第2開口部61との間に形成される天井裏の空気通路62において、任意の位置に設置することができる。
送風機2は、軸流のファン20を電動モータにて回転駆動する電動送風機である。送風機2は、制御装置から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち回転数や送風空気量が制御される送風手段である。さらに、送風機2は、制御装置によって電動モータの回転方向が切り替えられることで送風空気の流れ方向を相反する向きに切り替えることができるように構成されている。
例えば、制御装置が電動モータを正転させると、送風空気は、図2の実線矢印に示すように流れる。車室内の空気は、第1開口部60からケーシング6の空気通路62へ吸い込まれ、加熱装置3、吸着材モジュール4、冷却装置5の順に流れ、加湿空気となって第2開口部61から車室内の前席に着座している乗員の上半身側へ吹き出される。
一方、制御装置が電動モータを反転させると、送風空気は、図2の破線矢印に示すように流れる。車室内の空気は、第2開口部61からケーシング6の空気通路62へ吸い込まれ、冷却装置5、吸着材モジュール4、加熱装置3の順に流れ、除湿空気となって第1開口部60から車室内の後部座席側へ吹き出される。
ケーシング6は、樹脂または金属によって箱状に形成され、内部に送風機2から送風された送風空気を流通させる空気通路62を形成している。ケーシング6は、上下方向の厚み寸法が車両天板11の車室内側に取り付けられた内装部材12の厚み寸法と同程度となっているとともに、車両天板11に沿って広がる薄形の直方体状に形成されている。
ケーシング6の下面、すなわち車室内側の面には、車室内Rと空気通路62との間で送風空気を流入出させる少なくとも2つの開口部が形成されている。これらの開口部のうち、車両前方側に配置された第2開口部61は、車両前席に着座している乗員の上半身に向かって開口している。車両後方側に配置された第1開口部60は、後部座席側に向かって開口している。例えば、第1開口部60、第2開口部61には、通風抵抗の比較的小さい網状のフィルタが配置され、ケーシング6内の空気通路62に異物が流入してしまうことを抑制することができる。
吸着材モジュール4は、吸着材を担持させた複数の金属製の板状部材40を間隔をあけて積層配置し、板状部材40の間に送風空気を通過させる通路を備えている。この実施形態の吸着材モジュール4では、このように吸着材を担持させた複数の板状部材40を積層配置することで、送風空気と吸着材との接触面積を増加させることができる。吸着材モジュール4では、吸着材として、シリカゲル等の高分子吸着材、ゼラチン質の軟泥が乾燥して多面体を作ったものであるゼロライト等の吸湿材料を採用している。
加熱装置3は、ケーシング6内の空気通路62を流通する空気を加熱可能な加熱手段である。加熱装置3は、空気を加熱可能な構成であれば、その加熱方法として各種の方法を採用できる。加熱装置3には、通電によって発熱する発熱体を有する装置、室内の空気よりも高温の媒体と空気とを熱交換することによって室内空気を加熱する装置を用いることができる。加熱装置3は、例えば、ニクロム線ヒータ、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを有する装置、熱交換器等である。熱交換器に用いる空気よりも高温の媒体には、温水、冷媒、エンジン冷却水、車両において発熱する電子部品等の発熱体を採用することができる。
冷却装置5は、ケーシング6内の空気通路62を流通する空気を冷却可能な冷却手段である。冷却装置5は、空気を冷却可能な構成であれば、その冷却方法として各種の方法を採用できる。冷却装置5には、通電によって吸熱するペルチェ素子を有する装置、室内の空気よりも低温の媒体と空気とを熱交換することによって室内空気を冷却する装置を用いることができる。冷却装置5は、例えば、ペルチェ素子を有するサーモモジュール、熱交換器等である。熱交換器に用いる空気よりも低温の媒体には、外気、空調空気、空調装置に用いられる冷凍サイクルを流れる冷媒等を採用することができる。
低温の媒体として外気を用いる熱交換器には、ヒートシンクがある。ヒートシンクは、伝熱性に優れる金属、例えば、アルミニウム、銅で形成された複数のフィンを有する伝熱部材である。ヒートシンクは、例えば、車両天板11に取り付けられる。ヒートシンクは、車室外の外気の温度をケーシング6内の空気通路62に伝熱する機能を果たす。ヒートシンクは、車室外の外気とケーシング6内の空気通路62を流通する送風空気とを熱交換させることができる。このヒートシンクは、外気の有する冷熱を車室内の送風空気に放冷することによって送風空気を冷却する冷却手段、または、送風空気の有する熱を外気に放熱させることによって送風空気を冷却する冷却手段を構成する。
制御装置は、CPU、ROM及びRAM等を含むマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されており、その出力側に接続された送風機2の作動を制御する。また、制御装置は、加熱装置3や冷却装置5による加熱作用や冷却作用を制御するものであってもよい。
制御装置の入力側には、車室内Rの空気温度を検出する内気温検出手段としての内気センサ、車室外温度(外気温)を検出する外気温検出手段としての外気センサ等が接続されており、これらのセンサの検出信号が入力される。さらに、制御装置の入力側には、加湿装置10を作動させる作動スイッチ等が接続されており、これらのスイッチの操作信号が入力される。
また、この制御装置は、例えば、車両用空調装置の各構成機器の作動を制御する空調用制御装置等と一体的に構成されるものでもよい。また、この制御装置は、空調用制御装置と別体で、制御対象とする装置の制御状態に関する情報を互いに通信するものであってもよい。
次に、上記構成における加湿装置1の作動について説明する。加湿装置1は、例えば、車室内が車両用空調装置によって温度調整された状態で、乗員の操作によって作動スイッチがONされると作動する。
例えば、加湿装置1は、冬季のように比較的外気温が低く、車室内Rが乾燥しやすいときに作動させる。したがって、以下の作動説明では、加湿装置1の作動時に、外気温が5℃となっており、車室内Rの空気温度が25℃に温度調整されており、さらに、車室内Rの相対湿度が20%RH程度となっている状態を前提として説明する。
加湿装置1では、作動スイッチが投入されると、制御装置が送風機2の電動モータを正転させる状態と反転させる状態とを、例えば所定時間毎に交互に切り替える。これにより、送風空気が図2の実線矢印に示すように流れる通風経路と、図2の破線矢印に示すように流れる通風経路とが所定時間毎に切り替えられることになる。
まず、制御装置が送風機2の電動モータを正転させた状態を、図3の作動説明図を用いて説明する。また、図3に示した空気温度と相対湿度は、吸着材モジュール4を流出した後の値であり、冷却装置5で冷却される前の値である。制御装置が送風機2の電動モータを正転させると、25℃に温度調整されている車室内Rの空気が、第1開口部60を介して、加湿装置1のケーシング6内の空気通路62へ吸い込まれる。空気通路62に吸い込まれた送風空気は、まず加熱装置3を通過するときに加熱される。
この際、加熱装置3を通過後の送風空気の温度が車室内Rの空気温度よりも所定温度(例えば、5℃)分高くなるように、制御装置が加熱装置3を一定出力で作動させる、もしくは空気の温度変化に応じて加熱装置3の出力を制御する。したがって、加熱装置3を通過後の送風空気の温度が30℃程度に上昇する。
加熱装置3を通過後の送風空気は、吸着材モジュール4に流入する。この際、加熱装置3を通過後の温度上昇した送風空気の相対湿度は、車室内Rの空気の相対湿度よりも低下している。したがって、加熱装置3を通過後の、相対湿度が下がった送風空気を吸着材モジュール4の吸着材に接触させることで、吸着材に吸着している水分が空気に脱離しやすい状況となる。つまり、加熱装置3によって相対湿度が下げられた空気は、吸着材が保持している水分を含みやすく、吸着材モジュール4を流出後の空気は、十分に加湿された加湿空気となる。
この加湿空気は、さらに冷却装置5によって冷却されるため、加熱装置3によって温度上昇された加湿空気の温度が低下することになる。これにより、加湿空気を涼風にした状態で、第2開口部61から乗員に向けて提供できる。したがって、加湿装置1によれば、脱離時に、加熱装置3による加熱によって十分に加湿された空気を、冷却装置5によって涼風にすることで、乗員の快適性を向上する加湿風を提供することができる。
この脱離時には、吸着材モジュール4に供給する前の空気を加熱装置3で加熱するため、当該空気を迅速に温度上昇させることができる。さらに、空気温度が迅速に上昇したことにより、空気の相対湿度を迅速に下げることができるため、吸着材モジュール4での水分脱離が活発に行われ、吸着材モジュール4を流出後の空気の相対湿度を迅速に高めることができる。これに対して、前述した従来技術では、吸着材モジュールを加熱する方式のため、吸着材モジュールは徐々に温度上昇するようになる。このため、吸着材モジュールでの水分脱離が活発に行われないので、吸着材モジュール4を流出後の空気の相対湿度は徐々にしか上昇しない(以上図3参照)。
次に、制御装置が送風機2の電動モータを反転させた状態を、図3の作動説明図を用いて説明する。制御装置が送風機2の電動モータを反転させると、25℃に温度調整されている車室内Rの空気が、第2開口部61を介して、加湿装置1のケーシング6内の空気通路62に吸い込まれる。空気通路62に吸い込まれた送風空気は、まず冷却装置5を通過するときに冷却される。
冷却装置5を通過後の送風空気は、吸着材モジュール4に流入する。この際、冷却装置5を通過後の温度低下した送風空気の相対湿度は、車室内Rの空気の相対湿度よりも上昇している。これにより、車室内Rの空気に対して相対湿度が高まった送風空気を吸着材に接触させることができるので、空気の水分が吸着材に吸着しやすい状況となる。つまり、冷却装置5によって相対湿度が上げられた空気は、吸着材に水分を吸着させやすく、吸着材モジュール4を流出後の空気は、十分に除湿された除湿空気となる。
さらに、吸着材モジュール4を流出した送風空気は、加熱装置3を通過する際に加熱され、第1開口部60を介して、乗員の上半身を向いていない、後部座席側や車室内の下方に吹き出される。
この吸着時には、吸着材モジュール4に供給する前の空気を冷却装置5で冷却するため、当該空気を迅速に温度低下させることができる。さらに、空気温度が迅速に低下したことにより、空気の相対湿度を迅速に高めることができるため、吸着材モジュール4での水分吸着が活発に行われ、吸着材モジュール4を流出後の空気の相対湿度を迅速に低下させることができる。これに対して、前述した従来技術では、吸着時にヒータを停止して吸着材モジュール4の加熱を止める方式のため、吸着材モジュールは成り行きで徐々にしか温度低下しないので、吸着材モジュールにおいて活発な吸着は行われない。したがって、吸着材モジュールを流出後の空気の相対湿度は徐々にしか低下しない(以上図3参照)。
次に、第1実施形態の加湿装置1がもたらす作用効果について説明する。加湿装置1は、吸着材から脱離させた水分によって加湿した加湿空気を加湿対象空間(車室内R)に供給する。加湿装置1は、吸着材に供給される空気を加熱する加熱手段と、吸着材を有し、加熱手段によって加熱された空気に対して吸着材に吸着されている水分を脱離する吸着材モジュール4と、吸着材モジュール4によって加湿された空気を冷却する冷却手段とを備える。吸着材から水分を脱離させる脱離時には、加熱手段によって加熱された空気に対して吸着材から水分を脱離させた後、さらに当該空気を冷却手段によって冷却してから加湿空気として加湿空間に供給する。吸着材に空気の水分を吸着させる吸着時には、冷却手段によって空気を冷却してから、吸着材で水分を吸着させる。
この構成によれば、脱離時に、吸着材モジュール4に供給する前の空気を加熱手段で加熱するため、当該空気を迅速に温度上昇させることができる。さらに、空気温度が迅速に上昇することにより、空気の相対湿度を迅速に下げることができる。これにより、吸着材モジュール4での水分脱離が活発に行われ、吸着材モジュール4を流出後の空気の相対湿度を迅速に高めることができる。
一方、吸着時には、吸着材モジュール4に供給する前の空気を冷却手段で冷却するため、当該空気の迅速な温度低下が得られる。さらに、空気温度が迅速に低下することにより、空気の相対湿度を迅速に高めることができる。これにより、吸着材モジュール4での水分吸着が活発に行われ、吸着材モジュール4を流出後の空気の相対湿度を迅速に低下させることができる。以上のように、脱離時及び吸着時の両方において、前述した従来技術に比較して、吸着材モジュール4を流出後の空気の温度応答性及び湿度応答性を著しく改善することができる加湿装置1を提供できる。この加湿装置1は、室内にいる人の快適性を損なわずに、効果的な加湿及び除湿を実現することができる。
また、加湿装置1によれば、吸着材モジュール4を流出後の空気について、脱離時の迅速な温湿度の上昇と吸着時の迅速な温湿度の低下とを両立できる装置を、簡素な構成で提供することができる。
また、加熱手段、吸着材モジュール4、冷却手段は、吸着時、脱離時にそれぞれ空気が流通する空気通路62に設けられる。送風手段は、空気通路62において脱離時と吸着時とで、互いに逆向きの空気の流れ方向を発生させる。加熱手段、吸着材モジュール4及び冷却手段は、空気通路62において、脱離時に空気が流れる方向に、加熱手段、吸着材モジュール4、冷却手段の順に並んで設けられる。この構成によれば、送風手段による送風方向の向きを変更することにより、脱離時、吸着時を容易に切り替えることが可能な加湿装置1を提供できる。また、通風経路を切り替える通風経路切替手段を設ける必要がないため、加湿装置1全体として、より一層、小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
また、加湿対象空間は車室内Rである。加熱手段は、吸着時に、吸着材で水分が吸着された後の空気を加熱し、当該加熱後の空気は、車室内に着座する乗員の上半身へ送風されないように車室内に供給される。例えば、吸着時の空気が車室内に向けて吹き出される第1開口部60を車室内の後部座席側に向けたり、送風空気が天井の内装部材12に沿うように第1開口部60が開口する方向を向けたりすることができる。また、第1開口部60を車室内の下部、例えば床面付近に向けたりして送風空気が乗員に当たりにくようにすることができる。この構成によれば、脱離時だけでなく、吸着時にも加熱手段による加熱を行うため、例えば、加熱装置3を常に運転させておくことができる。これにより、加熱装置3による加熱や冷却装置5による冷却のタイミングを制御する必要が無いため、制御用の回路や、運転タイミングを切り替えるための制御装置を備える必要がなく、加湿装置1のコスト低減が図れる。
冷却装置5は、空気通路62を流通する空気と外気とを熱交換することにより、当該空気を冷却する熱交換器である。これによれば、冬季の低温である外気を冷却用の媒体として利用できるため、冷却のための動力が不要であり、省エネルギで低コストの冷却装置を構成できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について図4を参照して説明する。第2実施形態において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品及び説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
第2実施形態の加湿装置1は、送風機2の位置が第1実施形態と相違する。第2実施形態の加湿装置1によれば、空気通路62において、脱離時に空気が流れる方向A2に、第1開口部60側から、加熱装置3、送風機2、吸着材モジュール4、冷却装置5の順に並んで設けられる。つまり、送風機2は、加熱装置3と吸着材モジュール4との間に位置する。
(第3実施形態)
第3実施形態について図5を参照して説明する。第3実施形態において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品及び説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
第3実施形態の加湿装置1は、送風機2の位置が第1実施形態と相違する。第3実施形態の加湿装置1によれば、空気通路62において、脱離時に空気が流れる方向A2に、第1開口部60側から、加熱装置3、吸着材モジュール4、冷却装置5、送風機2の順に並んで設けられる。つまり、送風機2は、これらの装置の中で、最も第2開口部61の近くに位置する。
(第4実施形態)
第4実施形態について図6〜図11を参照して説明する。第4実施形態では、ファンの回転方向を変更することなく、ガイドの機能によって風向を逆向きに変更可能な送風機102について説明する。
第4実施形態の送風機102は、ケーシング6と、ファン20と、第1ガイド部21と、第2ガイド部22と、を備える。送風機102は、送風機能と、ガイドの機能によって風向を逆向きに変更可能な風向変更機能と、を有する。すなわち、送風機102は、風向変更装置を備える。ケーシング6、ファン20、第1ガイド部21及び第2ガイド部22は合成樹脂製である。
ケーシング6は、空気流路を形成するとともに、ファン20、第1ガイド部21及び第2ガイド部22を内部に収容する。ケーシング6は、屈曲した曲がり部6aを有し、曲がり部6aの内周壁6b近傍にファン20を収容する。
ファン20は、貫流式、すなわちクロスフロータイプのものである。ファン20は、図8に示すように、ファン回転軸20aを中心に回転する羽根車で構成される。羽根車は、回転軸線の周りに配置された多数枚の翼20bを有する。羽根車の回転により、空気が羽根車内に流入し、羽根車内を貫流して、羽根車から流出する。ファン20は、ファン回転軸20a方向の幅が長く、径方向の幅が短い形状である。ファン20は、ケーシング6に設けられた電動モータによって回転駆動される。
第1ガイド部21、第2ガイド部22は、ファン20の周囲に配置されている。以下、第1ガイド部21、第2ガイド部22のそれぞれに共通する説明については、各ガイド部21、22と表現することがある。各ガイド部21、22は、羽根車の回転により、空気が羽根車内に流入し、羽根車内を貫流して、羽根車から流出させるためのものである。換言すると、各ガイド部21、22は、ファン20の送風方向を定めるのに必要なガイド部である。
第1ガイド部21は、一般的にスタビライザーと呼ばれる部分であり、図6、図7に示されるように、ファン20の内部に循環流B1及び循環流B2を安定的に形成するためのものである。第1ガイド部21は、ファン20に近接している。ここでは、第1ガイド部21は断面V字形状であり、その先端部21aがファン20に近接している。
第2ガイド部22は、ファン20から流出する空気をスムーズに送り出すためのものである。第2ガイド部22は、ファン20の外周に沿って湾曲した形状であって、大部分がファン20の径方向での幅が均一な形状である。第2ガイド部22は、ファン20から無駄なく空気を送り出すように、ファン20の回転方向に向かってファン20との間隔が徐々に大きくなるように設けられる。第2ガイド部22は、ファン20を挟んだ第1ガイド部21の反対側に配置されている。また、第2ガイド部22は、その大部分が第1ガイド部21の反対側に位置していればよい。
各ガイド部21、22は、回転可能に構成されており、図6の停止位置と図7の停止位置との間を回転移動する。図8に示すように、第1ガイド部21と第2ガイド部22は、回転軸方向端部に位置する円板形状の第1連結部25と、回転軸方向中央に位置するリング状の第2連結部26と、によって連結された一体構造である。
図8、図9に示すように、第1連結部25には、ファン回転軸20aを支持するファン軸受け部24が設けられている。ファン軸受け部24は開口部を有し、この開口部にファン回転軸20aが挿入されている。第1連結部25には、ファン回転軸20aと同軸状に配置された円筒状のガイド回転軸23が設けられている。ケーシング6には、ガイド回転軸23を支持するガイド軸受け部63が設けられている。ガイド軸受け部63は開口部を有し、この開口部にガイド回転軸23が挿入されている。
このように、ガイド回転軸23が、ケーシング6のガイド軸受け部63に回転可能に支持されることにより、各ガイド部21、22が回転可能となっている。さらに、ファン回転軸20aがファン軸受け部24に回転可能に支持されることで、ファン20が回転する際に発生する回転トルクが各ガイド部21、22に伝達される構造となっている。
図10、図11に示すように、ガイド回転軸23にはストッパピン70が設けられ、ケーシング6にはストッパ7が設けられている。ストッパピン70及びストッパ7は、各ガイド部21、22の回転を停止させるとともに、各ガイド部21、22の停止位置を切り替える機構をなす。
ストッパピン70は、図8に示されるように、円筒状のガイド回転軸23の一部が軸方向に突出した突出部である。ストッパ7は、ストッパピン70に当接して各ガイド部21、22の回転を停止させる第1当接部71、第2当接部72を有している。ストッパ7はC字形状であり、C字形状の2つの先端部が第1当接部71、第2当接部72を構成している。
また、ストッパ7は、図10、図11中の上下方向に移動可能となっている。例えば、金属製のストッパ7が用いられるとともに、ストッパ7の駆動源として、2つの電磁石74、75と、電源76と、2つの電磁石74、75の一方と電源76との接続を切り替えるスイッチ77とが用いられる。スイッチ77によって、2つの電磁石74、75の一方と電源76との接続を切り替えることで、ストッパ7の一部73が、図中下側の電磁石74に引き寄せられたり、図中上側の電磁石75に引き寄せられたりする。
図10に示すように、ストッパ7が下側位置のとき、第1当接部71がストッパピン70に当接することで、各ガイド部21、22が図6の停止位置となる。一方、図11に示すように、ストッパ7が上側位置のとき、第2当接部72がストッパピン70に当接することで、各ガイド部21、22が図7の停止位置となる。このように、各ガイド部21、22の停止位置が図6、図7の停止位置のいずれかに切り替え可能に構成されている。
次に、このように構成した送風機102の作動について説明する。まず、図6の矢印の方向A1に示すように、ファン20の送風方向を左下方向、すなわち、吸着時の送風方向とする場合、各ガイド部21、22の停止位置を図6の停止位置とする。これは、ストッパ7を図10の下側位置として、ファン20を回転させることで実現される。すなわち、ストッパピン70が第1当接部71に当接する図10の位置になければ、ファン20の回転トルクによって、各ガイド部21、22が回転する。そして、ストッパピン70が第1当接部71に当接することによって、各2ガイド部21、22の回転が停止する。これにより、各ガイド部21、22が図6の停止位置となる。この結果、ファン20の右側から空気が流入し、ファン20の左下側へ空気が送り出される。すなわち、第2開口部61から吸い込まれた室内の空気は、第1開口部60から室内に吹き出される吸着時の送風流れを形成する。
一方、図7の矢印の方向A2に示すように、ファン20の送風方向を右方向とする場合、各ガイド部21、22の停止位置を図7の停止位置とする。これは、ストッパ7を図11の上側位置として、ファン20を回転させることで実現される。すなわち、ストッパピン70が第2当接部72に当接する図11の位置になければ、ファン20の回転トルクによって、各ガイド部21、22が回転する。そして、ストッパピン70が第2当接部72に当接して、各ガイド部21、22の回転が停止する。これにより、各ガイド部21、22が図7の停止位置となる。この結果、ファン20の左下側から空気が流入し、ファンの右側へ空気が送り出される。すなわち、第1開口部60から吸い込まれた室内の空気は、第2開口部61から室内に吹き出される脱離時の送風流れを形成する。
第4実施形態の送風機102は、送風方向の切り替えに必要なガイド部として、ファン20の周囲に回転可能な第1ガイド部21及び第2ガイド部を採用している。一対の第1ガイド部21、第2ガイド部22は、ケーシング6の空気流路を構成する壁から離れて設けられる。このため、固定リアガイドのような第1ガイド部21、第2ガイド部22に連続するガイド部をケーシング6に設置する必要がない。この理由は、第1ガイド部21、第2ガイド部22に連続するガイド部を設けなくても、ファン20の送風方向を定めることが可能だからである。
従来技術の一つは、ファンの送風方向を正逆の2方向に変更するガイドとして、ファンに対称に配置された一対のスタビライザーと、各スタビライザーから開口部を隔てて配置された一対の固定リアガイドと、それらの開口部に対応する回転リアガイドとを備える。これによれば、回転リアガイドを一対の固定リアガイドの一方に回転させ、一方の固定リアガイドと回転リアガイド分とが連続した状態となり、他方の固定リアガイドに開口部が生じることにより、送風方向を変更することができる。
第4実施形態では、一対のガイド部21、22をケーシング6に設置している。このように、従来のように、スタビライザーと固定リアガイドとを、ファンの送風方向と同じ数設置する必要がないので、従来技術よりもケーシング6の小型化が可能である。特に、2つの固定リアガイドをケーシングに設ける必要がないことによるケーシング6の小型化の効果が大きい。
各ガイド部21、22は、ファン20に対して同軸状に配置され、ファン回転軸20aの位置を中心として回転可能に構成されている。そして、ファン20の径方向におけるファン20の回転中心から各ガイド部21、22の最外周部までの距離が、ファン20の半径の2倍以下となるように、各ガイド部21、22がファン20の周囲に配置されている。このように、ファン20の回転中心から各ガイド部21、22の最外周部までの距離が短くなるように、各ガイド部21、22の形状及び配置を設計することで、ケーシング6の小型化が図れる。
従来技術では、ファンに近接する2つのスタビライザーが、回転リアガイドに連続するように配置されているため、回転リアガイドの回転移動を妨害する位置にある。このため、これを回避するための機構、例えば、スタビライザーを回転移動させる機構が必要であった。これに対して、第4実施形態では、各ガイド部21、22は、空気流路を構成するケーシング6の壁から離れて配置されており、各ガイド部21、22の回転移動を妨害する部材が存在しないので、これを回避するための機構を設ける必要がない。
また、従来技術では、ファンの送風方向の切り替えの手順として、スタビライザーを回転移動させる工程と、回転リアガイドを回転移動させる工程と、スタビライザーを元の位置に戻す工程とが必要であった。
これに対して、第4実施形態では、各ガイド部21、22を回転移動させる運転を実施することで、ファン20の回転方向が一定方向のままでも、送風方向の切り替えが可能である。また、各ガイド部21、22の回転移動の前後に、各ガイド部21、22の回転移動を妨害する他の部材を移動させる運転が不要である。このため、送風方向の切り替えを従来技術よりも容易に行うことができる。
第4実施形態では、各ガイド部21、22の第1連結部25にファン軸受け部24を設け、ケーシング6にガイド軸受け部63を設けている。このため、ファン20が回転する際に発生する回転トルクが各ガイド部21、22に伝達されることで、第1ガイド部21及び第2ガイド部22が回転する。
さらに、第4実施形態では、ファン20の送風の際では、ストッパピン70をストッパ7に当てることにより、各ガイド部21、22の回転を停止させる。ファン20の送風方向の切り替えの際では、ストッパ7の位置を上側位置と下側位置とに切り換えることで、各ガイド部21、22の停止位置を切り換え可能としている。
これらにより、第4実施形態によれば、各ガイド部21、22の位置を切り換えるために、各ガイド部21、22を回転駆動させる専用の駆動装置が不要となる。なお、第4実施形態では、ストッパ7の駆動源が必要となるが、これは、各ガイド部21、22を回転駆動させる専用の駆動装置と比較して、必要な駆動力が小さく、体格を小さく抑えられる。よって、第4実施形態によれば、専用の駆動装置を用いる場合と比較して、送風機全体の小型化が可能である。
(第5実施形態)
第5実施形態について図12及び図13を参照して説明する。第5実施形態において、第1実施形態及び第4実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品及び説明しない構成は、前述の実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第5実施形態では、第1実施形態及び第4実施形態と異なる部分のみ説明する。
第5実施形態の加湿装置1は、送風機102が第1実施形態と相違する。送風機102は、ガイドの機能によって風向を逆向きに変更可能な風向変更機能を有する。送風機102は、第4実施形態で説明するように、ケーシング、ファン20、第1ガイド部21及び第2ガイド部22を備える。
各ガイド部21、22が図12の停止位置に設定されると、ストッパピン70が第1当接部71に当接して、各ガイド部21、22の回転が停止する。この状態でファン20が回転すると、車室内の空気が第2開口部61から空気通路62に流入し、第1開口部60から車室内に吹き出される吸着時の送風流れ(方向A1)を形成する。このとき、ファン20の外周に沿って湾曲する内側面を有する第2ガイド部22は、図12のように、その少なくとも一部が第1開口部60に位置するため、空気は第2ガイド部22の内側面に沿う方向に車室内に吹き出される。これにより、吸着時は、車室内の天井に沿うように流れるので、乾燥した空気が乗員に向けて吹き出されることを抑制することができる。
各ガイド部21、22が図13の停止位置に設定されると、ストッパピン70が第2当接部72に当接して、各ガイド部21、22の回転が停止する。この状態でファン20が回転すると、車室内の空気が第1開口部60から空気通路62に流入し、第2開口部61から車室内に吹き出される脱離時の送風流れ(方向A2)を形成する。
第5実施形態の加湿装置1によれば、吸着時の吹出し口近傍に貫流式ファンを備えるため、吸込み角度と吹出し角度が異なる特性を有するとともに、第1ガイド部21及び第2ガイド部22の機能によって、乾燥空気を乗員に吹きつけない送風を提供できる。したがって、第5実施形態の加湿装置1は、車室内を加湿する装置にとって有利な構造を提供できる。
(他の実施形態)
以上、開示された発明の好ましい実施形態について説明したが、開示された発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、開示された発明の技術的範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。開示された発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
前述の実施形態では、送風機2、加熱装置3、吸着材モジュール4、冷却装置5等は、間隔をあけて配置されている。しかしながら、加湿装置1は、送風機2、加熱装置3、吸着材モジュール4、冷却装置5のうち少なくとも2つの装置を一体にした複数機能を有する装置を備える構成でもよい。この場合でも、加湿装置1においては、脱離時に空気が流れる方向に、加熱装置3、吸着材モジュール4、冷却装置5の順に並ぶように設置されている。
前述の実施形態では、吸着材モジュール4として、吸着材を担持させた複数の金属製の板状部材40を間隔を開けて積層配置することによって構成されたものを採用した例を説明したが、吸着材モジュール4は、これに限定されない。例えば、波状に折り曲げられたコルゲート板に吸着材を担持させて、このコルゲート板を間隔を開けて積層配置して構成したものを採用してもよいし、断面六角形に形成された通路を有するハニカム部材に吸着材を担持させたものを採用してもよい。
前述の第1実施形態では、制御装置が送風機2の電動モータを正転あるいは逆転させることによって、通風経路を切り替える構成について説明したが、通風経路の切り替えはこれに限定されない。
また、前述の実施形態では、加湿装置1は、車両の天井材の裏側に設置されているが、この設置場所に限定されない。例えば、加湿装置1は、例えば、インストルメントパネル、ドアトリム、ステアリングコラム、トランクルームと連通する内装部材等の裏側に搭載することができる。
また、前述の実施形態では、吸着時に加湿装置に導入される空気として車室内Rの空気を採用した例を説明したが、車室外の空気、例えば、外気を導入するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、加湿空気が車両の前席側に供給されるように第2開口部61が前席側に位置し、除湿空気が車両の後席側に供給されるように第1開口部60が後席側に位置しているが、この位置関係に限定するものではない。
また、前述の実施形態では、第2開口部61を、車両前席に着座している乗員の上半身側に向かって開口させるように配置し、第1開口部60を後部座席側に向かって開口させるように配置しているが、各開口部の配置はこれに限定さない。
また、前述の第1実施形態では、吸着時に吸着材モジュール4から流出した除湿された送風空気を、加熱手段である加熱装置3にて加熱した例を説明している。しかしながら、吸着時に吸着材モジュール4から流出した送風空気を、加熱手段にて加熱することなく加湿対象空間に吹き出すようにしてもよい。
1…加湿装置
2…送風機(送風手段)
3…加熱装置(加熱手段)
4…吸着材モジュール
5…冷却装置(冷却手段)
62…空気通路

Claims (5)

  1. 吸着材から脱離させた水分によって加湿した加湿空気を加湿対象空間(R)に供給する加湿装置(1)であって、
    前記吸着材に供給される空気を加熱する加熱手段(3)と、
    前記吸着材を有し、前記加熱手段によって加熱された空気に対して、前記吸着材に吸着されている水分を脱離する吸着材モジュール(4)と、
    前記吸着材モジュールによって加湿された空気を冷却する冷却手段(5)と、
    を備え、
    前記吸着材から水分を脱離させる脱離時には、前記加熱手段によって加熱された空気に対して前記吸着材から水分を脱離させた後、さらに当該空気を前記冷却手段によって冷却してから前記加湿空気として前記加湿対象空間に供給し、
    前記吸着材に空気の水分を吸着させる吸着時には、前記冷却手段によって空気を冷却してから、前記吸着材で水分を吸着させることを特徴とする加湿装置。
  2. 前記加熱手段、前記吸着材モジュール、前記冷却手段は、前記吸着時、前記脱離時にそれぞれ空気が流通する空気通路(62)に設けられ、
    前記空気通路において前記脱離時と前記吸着時とで、互いに逆向きの空気の流れ方向を発生させる送風手段(2)を備え、
    前記加熱手段、前記吸着材モジュール及び前記冷却手段は、前記空気通路において、前記脱離時に空気が流れる方向に、前記加熱手段、前記吸着材モジュール、前記冷却手段の順に並んで設けられることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
  3. 前記加湿対象空間は車室内であり、
    前記加熱手段は、前記吸着時に、前記吸着材で水分が吸着された後の空気を加熱し、当該加熱後の空気は、前記車室内に着座する乗員の上半身へ送風されないように前記車室内に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加湿装置。
  4. 前記送風手段は、
    ケーシング(6)の内部に配置され、ファン回転軸(20a)を中心として回転する貫流式のファン(20)と、
    前記ケーシング内の前記ファンの周囲に配置され、前記ファンの内部に循環流(B1、B2)を形成する第1ガイド部(21)と、
    前記ケーシング内の前記ファンの周囲に配置され、前記ファンから流出した空気を送り出す第2ガイド部(22)と、
    を備え、
    前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部は、前記ファンに対して同軸状に配置され、前記ファン回転軸の位置を中心として回転可能に構成され、
    前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部は、前記空気通路を構成する壁と離れており、
    前記ファンの回転方向が一定方向であっても、前記第1及び前記第2ガイド部が回転移動することによって前記ファンによる送風方向が切り替えられることを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
  5. 前記冷却手段は、前記吸着時、前記脱離時にそれぞれ空気が流通する空気通路(62)を流通する空気と外気とを熱交換することにより、当該空気を冷却する熱交換器であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の加湿装置。
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