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JP2016044035A - フィルムロール - Google Patents

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JP2016044035A
JP2016044035A JP2014169598A JP2014169598A JP2016044035A JP 2016044035 A JP2016044035 A JP 2016044035A JP 2014169598 A JP2014169598 A JP 2014169598A JP 2014169598 A JP2014169598 A JP 2014169598A JP 2016044035 A JP2016044035 A JP 2016044035A
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寺井 智彦
Tomohiko Terai
智彦 寺井
憲一 葛西
Kenichi Kasai
憲一 葛西
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Abstract

【課題】
高度な温度管理を要することなく製造可能であり、ロールに巻き取ったフィルムを巻き出して使用する場合にも、フィルムにシワやタルミが発生せず、かつフィルムの幅方向の厚みが均一なフィルムロールを提供する。
【解決手段】
フィルムを巻き芯コアに巻き取ってなるフィルムロールであって、フィルムロールを幅方向に14等分したときの各部位におけるロール円周長D1〜D14が、下記式(1)を満たし、かつ14等分したフィルムロールの幅方向に一直線上に測定した各部位のフィルム厚みT1〜T14における最大の厚みの差(Tm)は、該T1〜該T14の平均値(Ta)の1.2%以下であることを特徴とするフィルムロールとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、工業用の粘着フィルム(テープ)、看板、自動車等へ意匠性を付与するために貼り付けされるステッカー、ラベル及びマーキングフィルム等の装飾用粘着フィルム(テープ)、化粧シート等に好適に用いられる樹脂製フィルムを巻き取ったフィルムロールに関する。
従来から、工業用の粘着フィルム(テープ)、看板、自動車等へ意匠性を付与するために貼り付けされるステッカー、ラベル及びマーキングフィルム等の装飾用粘着フィルム(テープ)、化粧シート等には、着色性、加工性、耐傷付き性、耐候性等が優れるポリ塩化ビニル樹脂製のフィルムが多用されており、近年、ポリオレフィン系樹脂製のフィルムを用いることも増えている。
これらのフィルムは、加工性や運搬上の利便性からロール状に巻き取られて保管・運用される。しかし、柔軟なフィルムのためロール状に巻き取るときにシワが入りやすく、また長尺巻にすることでフィルムロールの表面にシワやタルミなどの不具合がより顕著に発生することがある。
また、生産後にロール状態で放置しておくとフィルムの巻しまりなどで基材の変形が発生する問題があった。
これらの問題を解決するため、たとえば特許第3368510号公報(特許文献1)には、カレンダー成形法にて製造する塩化ビニル系樹脂フィルムの巻き取り時のフィルム温度を24〜25℃とし、この塩化ビニル系樹脂フィルムの巻取り時のフィルム温度より5〜10℃高い温度で6〜24時間保管する方法が提案されている。
また、特許第3494013号公報(特許文献2)には、フィルムロールの両端部の円周長の平均値より中央部の円周長が大きく、かつフィルム両端部の厚みが中央部の厚みより小さくする方法が提案されている。
しかし、特許文献1の方法では、フィルムを生産する時の温度管理が厳しく、同じ条件で生産するためには、大きな設備投資と温度調節のための多大な電力費用がかかる。また、巻取り時のフィルム温度より5〜10℃高い温度で長い時間、養生する必要があるため、フィルムロールを管理する設備や温度管理のための電力費等が更に必要となる。
また、特許文献2では、フィルムの両端部の厚みを小さくし、中央部の厚みを大きくする必要があるため、巻出したフィルムを使用するときに、幅方向の厚みが不均一であり、精度が要求される用途においては、フィルムのうち製品として使用できない部分が多くなり、歩留まりが悪くなる。更には、フィルムの幅方向で均一な厚さが要求される用途に至っては、使用することができないという問題がある。
特許第3368510号公報 特許第3494013号公報
本発明は、前記の課題を鑑みてなされたもので、高度な温度管理を要することなく製造可能であり、ロールに巻き取ったフィルムを巻き出して使用する場合にも、フィルムにシワやタルミが発生せず、かつフィルムの幅方向の厚みが均一なフィルムロールを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
本発明は、フィルムを巻き芯コアに巻き取ってなるフィルムロールであって、フィルムロールを幅方向に14等分したときの各部位におけるロール円周長D1〜D14が、下記式(1)を満たし、かつ14等分したフィルムロールの幅方向に一直線上に測定した各部位のフィルム厚みT1〜T14における最大の厚みの差(Tm)は、該T1〜該T14の平均値(Ta)の1.2%以下であることを特徴とする。
(D6+D7+D8+D9)/4−(D1+D2+D3+D12+D13+D14)/6>0・・・(1)
本発明のフィルムロールは、さらに、下記式(2)を満たすことが好ましい。
(D5+D10)−(D4+D11)>0・・・(2)
本発明において、T1とT14との差(T1−14)は、上記平均値(Ta)の0.5%以下であることが好ましい。
本発明において、フィルムの引張弾性率は、1500MPa以下であることが好ましい。
本発明によれば、高度な温度管理を要することなく製造可能であり、ロールに巻き取ったフィルムを巻き出して使用する場合にも、フィルムにシワやタルミが発生せず、かつフィルムの幅方向の厚みが均一なフィルムロールを提供することができる。
フィルムロール10におけるロール円周長D1〜D14の測定位置を説明する図である。 フィルムロール10におけるフィルム厚みT1〜T14の測定位置を説明する図である。 実施例1〜3におけるフィルム厚みT1〜T14の測定結果を示す図である。 比較例1〜3におけるフィルム厚みT1〜T14の測定結果を示す図である。 実施例におけるカレンダー成形の様子を示す図である。
以下、本発明のフィルムロールについて詳細を説明する。但し、本発明の範囲は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1に、フィルムロール10におけるロール円周長D1〜D14の測定位置を説明する図を示す。フィルムロール10はフィルム1を巻き芯コア2に巻き取ったものであり、幅方向に14等分された部位[1]〜[14]を有する。図1に表れているように、ロール円周長D1〜D14は、各部位[1]〜[14]の略中央位置において測定した円周長である。
本発明のフィルムロールにおいては、フィルムロールの幅方向に14等分して測定した各部位のロール円周長D1〜D14が、下記式(1)を満たすことが重要である。
(D6+D7+D8+D9)/4−(D1+D2+D3+D12+D13+D14)/6>0・・・(1)
ロール円周長D1〜D14が上記式(1)を満たすように、フィルムロールの形状を設定することで、フィルムを巻き出して使用する場合にも、シワやタルミ等が発生せず、該フィルムを2次加工したりする場合にも品質の良い加工が可能となる。
図2に、フィルムロール10におけるフィルム厚みT1〜T14の測定位置を説明する図を示す。図2は、フィルムロール10の斜視図であり、フィルムロール10からフィルム1が一部展開されている様子を示す図である。図2に表れているように、フィルム厚みT1〜T14は、フィルムロール10の幅方向に一直線(直線L)上に測定した、各部位[1]〜[14]の略中央位置におけるフィルムの厚みである。
本発明のフィルムロールにおいては、14等分したフィルムロールの幅方向に一直線上に測定した厚みにおいて、各部位のフィルム厚みT1〜T14における最大の厚みの差(Tm)は、該T1〜該T14の平均値(Ta)の1.2%以下であることが重要であり、1.1%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。
フィルム厚みT1〜T14における、最大の厚みの差(Tm)を、該T1〜該T14の平均値(Ta)の1.2%以下とすることにより、フィルムロールの状態においてシワやタルミの発生を抑制することができる。また、フィルムの幅方向に安定した厚みを有するフィルムとすることができ、品質に安定したフィルムとすることができる。特に、高い精度が要求される用途においては、巻き出したフィルムを使用する場合も、歩留まりを向上することができ、より安定した加工性能を有するフィルムとすることができる。
なお、フィルム厚みT1〜T14における最大の厚みの差(Tm)とは、フィルムロールの幅方向に一直線上に測定したT1からT14のうち、最大の厚みの値から最少の厚みの値を差し引いたものをいう。
本発明のフィルムロールにおいては、さらに、下記式(2)を満たすことが好ましい。フィルムロールの形状において下記式(2)を満たす形状とすることによって、フィルムロールの巻取り幅に影響されることなく、フィルムを巻き出して使用する場合にシワやタルミ等が発生せず、該フィルムを2次加工したりする場合にも品質の良い加工が可能となる。
(D5+D10)−(D4+D11)>0・・・(2)
本発明のフィルムロールにおいては、フィルム厚みT1とT14との差(T1−14)は、フィルム厚み平均値(Ta)の0.5%以下であることが好ましく、0.4%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることが更に好ましい。該T1と該T14との差を上記とすることで、ロール成形時または、ロールからフィルムを巻き出した時のフィルムのシワが入りにくくなり、タルミの発生をより抑制することができる。
なお、T1とT14との差(T1−14)とは、T1及びT14のうち大きい方の値から小さい方の値を差し引いたものをいう。
本発明のフィルムロールに使用するフィルムの引張弾性率は、1500MPa以下であることが好ましく、1000MPa以下であることがより好ましく、800MPa以下であることが更に好ましい。フィルムの引張弾性率を1500MPa以下とすることで、フィルムのハンドリング性は良好となる。また、引張弾性率の下限値は特に限定することはないが、100MPa以上とすることでフィルムにコシがなくなりハンドリング性が劣ることを抑制することができる。
また、本発明のフィルムロールに使用するフィルムの表面は、微細な凹凸模様(シボ模様)をつけることができる。該フィルムのシボ模様は、フィルムの片面にのみつけることもでき、またフィルムの両面につけることもできる。
前記フィルムの表面のシボ模様は、表面粗さRz10〜75μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが更に好ましい。フィルム表面の表面粗さRzを10μm以上とすることで、フィルムを巻き取る際、フィルムの搬送性が良好となりシワ等が入ることを抑制することができる。また75μm以下とすることで、フィルムの外観が良好となる。
なお、本発明でいう「表面粗さ」とは、JIS B 0601(2001)にて定義されるものをいう。
前記フィルムの厚みは、0.03〜0.6mmであることが好ましく、0.04〜0.5mmであることがより好ましく、0.05〜0.2mmであることが更に好ましい。フィルムの厚みを0.03mm以上とすることでフィルムを巻取る際にシワを生じにくくすることができる。また、0.6mm以下とすることで外観が劣ることを抑制することができる。
本発明のフィルムロールのフィルムの成形方法は、特に限定されることは無く公知の成形方法を使用することができる。例えば、カレンダー成形法、溶融押出成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、溶液流延伸法等の従来から知られている方法を使用することができる。
カレンダー成形法により本発明のフィルムロールのフィルムを成形する場合、カレンダーロールの最下流側に配置されるボトムロールとボトムロール手前のロール(例えば、カレンダーロールが4つのロールを有する場合には、4番ロールと3番ロール)との左右のギャップを調整することによりフィルムの厚さを調整することができる。得られるフィルムの全体の厚さが略均一となるように、ボトムロールとボトムロール手前のロールとの左右のギャップを適宜調整することにより、均一な厚さのフィルムを得ることができる。左右のギャップの調整は、例えば、ロールの左右端付近に設置したロール間隙を調整する装置によりロールの左側、右側の隙間をそれぞれ調整することにより行うことができる。これにより、成形されるフィルムを巻き芯コアに巻き取って得られるフィルムロールにおいて、フィルム厚さT1〜T14における厚みの差の最大値(Tm)を、T1〜T14の平均値(Ta)の1.2%以下にし易く、また、T1とT14との差(T1−14)を、フィルム厚みT1〜T14の平均値(Ta)の0.5%以下にし易くなる。
また、カレンダー成形法により本発明のフィルムロールのフィルムを成形する場合、上記ボトムロールとボトムロール手前のロールとの間の圧力(プレロード圧力)は、6〜12MPaであることが好ましく、7〜12MPaであることがより好ましく、9〜12MPaであることが更に好ましい。プレロード圧力が6MPa以上であることにより、成形されるフィルムを巻き芯コアに巻き取って得られるフィルムロールにおいて、フィルム厚さT1〜T14における厚みの差の最大値(Tm)を、T1〜T14の平均値(Ta)の1.2%以下にし易く、また、T1とT14との差(T1−14)を、フィルム厚みT1〜T14の平均値(Ta)の0.5%以下にし易くなる。また、プレロード圧力が12MPa以下であることにより、成形されるフィルムを巻き芯コアに巻き取って得られるフィルムロールにおいて、本発明の式(2)の条件を満たす形状とし易く、また、フィルム厚さT1〜T14における厚みの差の最大値(Tm)をT1〜T14の平均値(Ta)の1.2%以下にし易くなる。
<フィルムの巻取り方法>
本発明のフィルムロールの巻取り方法は、フィルムを巻き取った状態で、本発明に規定する形状となれば特に限定することは無いが、巻取り条件について説明する。
本発明に使用する巻き芯コアは、特に限定することは無く市販の巻き芯コアを適宜選定して使用することができる。たとえば、紙製、FRP製、樹脂製、金属製の巻き芯コアを使用することができる。
また、巻き芯コアの外径も市販のものを使用することができる。たとえば3インチ、4インチ、6インチなどの外径の巻き芯コアを使用することができる。巻き芯コアの外径はフィルムの幅方向に均一な外径の巻き芯コアを使用することができる。
本発明のフィルムロールにおいて、フィルムを巻取る際のタッチロールの圧力(以降、タッチ圧力という場合もある。)は、500N以下が好ましく、400N以下がより好ましい。タッチ圧力を500N以下とすることで、後に説明する巻取り張力とのバランスが良くなり、巻き取るフィルムの層間に適度な空気を含ますことができる。
また、本発明のフィルムロールにおいて、フィルムを巻取る際の巻取り張力は、200N以下であることが好ましく、100N以下であることがより好ましい。巻取り張力を200N以下とすることで、前述するタッチ圧力とのバランスが良くなり、巻き取るフィルムの層間に適度な空気を含ますことができ、さらにフィルムロールの両端側においては、フィルムの層間にある空気を抜けにくい状態とすることができ、本発明の式(1)の条件を満たす形状とすることができる。
本発明のフィルムロールは、フィルムの巻き取り時及び巻き取り後の保管時において、高度な温度管理を行うことを要さない。例えば、フィルムの巻き取り及び巻き取り後の保管は、10℃〜35℃の条件下で行うことが可能である。従って、細かい温度管理を行う必要がなく電力費用を抑えることが可能となる。
<フィルムの材料>
本発明のフィルムロールの使用するフィルムの材質は、特に限定することはなく公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等を使用することができる。中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を好ましく使用することができ、とりわけ、ポリ塩化ビニル系樹脂を好ましく使用することができる。
<ポリ塩化ビニル系樹脂>
本発明に使用できるポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体または塩化ビニルとこれに共重合可能なコモノマーとの重合体及びこれらの重合体の混合物のことをいう。塩化ビニル系樹脂は、懸濁重合法、塊状重合法、微細懸濁重合法または乳化重合法等の公知の製造方法のうち、いずれの方法に製造されたものであってもよい。コモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、ジブチルマレエート、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマール酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、エチレン、プロピレン、スチレン等のα−オレフィン類、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の塩化ビニル以外のハロゲン化ビニル類またはハロゲン化ビニリデン類、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体があげられる。勿論、コモノマーは、上述のものに限定されるものではない。コモノマーは、塩化ビニル系樹脂の構成成分中30重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲にするのがよい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、平均重合度が700〜2500の範囲であることが好ましく、800〜1300であることがより好ましい。また、異なる平均重合度のものを2種以上混合して用いてもよい。混合方法としては、フィルム製膜加工時に2種類以上の樹脂を混合する方法が一般的であるが、ポリ塩化ビニル系樹脂の重合時に重合条件をコントロールすることによって、見掛け上2種類以上の平均重合度の異なるポリ塩化ビニル系樹脂が混合されたことになる方法であってもよい。
本発明に使用できるポリ塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて、成型用の合成樹脂に通常配合される公知の樹脂添加剤、例えば可塑剤、耐候助剤、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、防菌防黴剤及び着色剤等の各種添加剤を配合することができる。
(可塑剤)
本発明に使用できる可塑剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、15〜100質量部配合することが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。用途に応じてこの範囲から適宜適当な量を選定すれば、優れた柔軟性と機械的性質を付与させることができる。
使用しうる可塑剤としては、ポリ塩化ビニル系樹脂に通常使用されるものなら特に限定されるものではなく、例えば、ジーn−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体;トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘導体;グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;トリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系高分子可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、液体エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤等があげられ、これらを単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。その他、エポキシ化大油、エポキシ樹脂系可塑剤等があげられる。
また、樹脂フィルムに柔軟性を付与するために、上述の可塑剤に限られるものでなく、例えば熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル等を使用することもできる。
(耐候助剤)
また、本発明に使用できるポリ塩化ビニル系樹脂には、有機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩が配合されることが好ましい。有機リン酸エステルとしては、トリイソプロピルフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等があるが中でもトリクレジルホスフェート、およびトリキシレニルホスフェートが特に好ましい。上記の有機リン酸エステルは、単独さらに複合物にしても使用できる。例えば、有機リン酸エステルと有機亜リン酸エステルの複合物があげられ、有機リン酸エステルには、ジフェニルホスフェートのようなホスホネート系化合物も含まれる。
有機リン酸金属塩としては、一般式(I)又は(II)で示されるものがあげられる。
(式中、Mは、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム、コバルト又は、ストロンチウムを意味する。また、R〜Rは各々、アルキル、アリーリ、アリールアルキル、アルキルアリール又はエーテル結合を有するアルキル基を意味する。)
〜Rで表されるアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミン、ネオペンチル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、デシル、イソデシル、ラウリル、トリデシル、C12〜C13混合アルキル、ステアリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、4−メチルシクロヘキシル基等をあげることができる。
アリール基の例としては、フェニル、ナフチル基等をあげることができる。アリールアルキル基の例としては、ベンジル、β−フェニルエチル、α−フェニルプロピル、β−フェニルプロピル基等をあげることができる。アリールアルキル基の例としては、ベンジル、β−フェニルエチル、α−フェニルプロピル、β−フェニルプロピル基等をあげることができる。アルキルアリール基の例としては、トリル、キシリル、エチルフェニル、ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、オクチルフェニル、イソオクチルフェニル、t−オクチルフェニル、ノニルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基等があげられる。
エーテル結合を有するアルキル基としては、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、5−メチルフルフリルおよびα−メチルフルフリル基、又は、メチル−、エチル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチル−、ヘキシル−、シクロヘキシル−、フェニルセロソルブ残基;メチル−、エチル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチルカルビトール残基;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、−モノエチルエーテル、−モノブチルエーテル残基;グリセリン1、2−ジメチルエーテル、−モノエチルエーテル、−モノブチルエーテル残基;グリセリン1、2−ジメチルエーテル、−1,3−ジエチルエーテル、−1−エチル−2−プロピルエーテル残基;ノニルフェノキシポリエトキシエチル、ラウロキシポリエトキシエチル残基等があげられる。
また、Mで表される金属は、亜鉛、カルシウムおよびバリウムが特に好ましい。これら有機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩は、1種又は2種以上配合することができる。
有機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩の配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部の範囲であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましく、0.2〜8質量部であることが更に好ましい。配合量が0.1質量部以上とすることで、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルムの耐候性は向上することができる。また、15質量部以下とすることでフィルムが変色したりフィルムの透明性が劣ってしまうことを抑制することができる。
(安定剤)
熱安定剤としては、例えば、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、有機錫メルカプチド等の錫系安定剤、三塩基性硫酸鉛、二塩基性フタル酸鉛等の鉛系安定剤、トリフェニルホスファイト、ジオクチルフェニルフォスファイト等のキレータ、ヒンダードフェノール等のフェノール誘導体、ジベンゾイルメタン、メトキシベンゾイル・ベンゾイルメタン等のβ−ジケトン化合物、ハイドロタルサイト化合物などがあげられる。
ハイドロタルサイト化合物は次の一般式(III)で表される、マグネシウムとアルミニウムまたは亜鉛、マグネシウム及びアルミニウムからなる複塩化合物であり、結晶水を除去したものであってもよい。
これらの熱安定剤は単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。熱安定剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。配合部数を0.01質量部以上とすることにより、加工時の耐熱性を付与することができる。また、5質量部以下とすることで、加工時の耐熱性を付与しつつ、フィルム表面の噴き出しが起こることを抑制することができる。
この他に熱安定剤として、可塑剤としての効果もあるエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、液体エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤も使用することができる。エポキシ系可塑剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部配合することが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましく配合することができる。
また、滑剤としては、例えば、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、エステル系滑剤、ポリエチレンワックス、流動パラフィン等各種の滑剤があげられる。滑剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.01〜3質量部配合することが好ましく、0.05〜1質量部であることがより好ましく配合することができる。
また、季節変化等の温度変化による硬さの変化を少なくするため、ポリ塩化ビニル系樹脂に、アクリル系共重合体を添加することもできる。
アクリル系共重合体としては、メタクリル酸メチル20〜60質量%、アクリル酸エステル10〜60質量%及びスチレン系単量体1〜20質量%を構成成分として含有する共重合体を用いることができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、アクリル系共重合体を10〜200質量部配合することが好ましい。アクリル系共重合体の配合量を上記とすることで、温度変化による成形品の硬さの変化の抑制効果が得られ、また成形品の延びやフィルムの印刷等の加工時に、フィルムが破断することを抑制することができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂に各種添加剤等を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、スーパーミキサー、バンバリーミキサーその他従来から知られる配合機、混合機を使用すればよい。
<ポリオレフィン系樹脂>
本発明に使用できるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体(低密度ポリエチレン(LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(メタロセン系ポリエチレン)等)及びこれらの混合物等が例示できる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンの共重合体、リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物等が例示できる。
前記プロピレンの共重合体としては、プロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。前記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。通常、α−オレフィンの混合割合はプロピレンに対して1〜10質量%程度である。
リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマーとしては、結晶融解熱(ΔH)が100g/J以下である低結晶性プロピレン単独重合体((株)プライムポリマー社製(商品名=プライムTPO))や、多段重合法により製造されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(サンアロマー(株)社製(商品名=キャタロイ)、三菱化学(株)社製(商品名=ゼラス))等が挙げられる。
また、多段重合法とは、重合が1回で終了するのではなく、2段階以上の多段重合を行うことにより、複数の種類のポリマーを連続して製造することができる重合法を意味し、機械的な手法を用いて異種類のポリマーからなる混合樹脂を得るところの、所謂、通常のポリマーブレンド法とは全く異なる手法である。当該方法により、分子レベルでのブレンドタイプの共重合樹脂を生成することが可能である。このような重合法を採用すれば、例えばポリプロピレンに対して、第2成分を約80〜95質量%まで含有させることが可能となり、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂と同等の物性を持たせることが可能となる。
多段重合法によって得られるポリプロピレン系熱可塑性エラストマーは、反応器中で(i)ハードセグメントと、(ii)ソフトセグメントとが2段階以上で多段重合されてなる共重合体である。
(i)ハードセグメントとしては、プロピレン単独重合体ブロックや、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体ブロック、例えば、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン等の2元又は3元共重合体ブロックが挙げられる。また、(ii)ソフトセグメントとしては、エチレン単独重合体ブロックや、あるいはエチレンとα−オレフィンとの共重合体ブロック、例えば、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン等の2元又は3元共重合体ブロックが挙げられる。このような特定の重合法により共重合されたポリオレフィン系樹脂は、例えば特開平4−224809号公報に開示されているが、実際の市販品として、サンアロマー社製(商品名=キャタロイ)、三菱化学(株)製(商品名=ゼラス)等が挙げられる。
また、ポリエチレン系樹脂及び/またはポリプロピレン系樹脂に他の合成樹脂を混合することもできる。混合する他の樹脂として、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びアクリロニトリル−イソプレンゴム等のジエン系ゴム(エラストマー)、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合ゴム等の上記リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー以外のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)やスチレン−ブタジエンブロック共重合体等のスチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー及びスチレン−イソプレン共重合ゴム等のスチレン系熱可塑性エラストマー(これらの水素添加物を含む)が挙げられる。
これらエラストマー成分等他の合成樹脂は、ポリエチレン系樹脂及び/またはポリプロピレン系樹脂100〜40質量部に対し0〜60質量部配合することができる。
本発明のフィルムは単層でもよく、2層以上の層を有する多層であってもよく、たとえば内層、中間層及び外層を有する3層、またはそれ以上の多層とすることもできる。フィルムが多層である場合、内層の引張り弾性率(E1)と、内層を除いた層の引張り弾性率(E2)とが、E1≧E2の関係を有する層(これは、3以上の層からなるフィルムから内層のみを取り出すことを想定した場合、内層のみから構成されるフィルムの引張り弾性率(E1)と、内層を除いた層から構成されるフィルムの引張り弾性率(E2)とが、E1≧E2の関係にあることを意味する)であることが好ましい。なお、本発明でいう「引張り弾性率」とはJIS K 7127に従って得られたものをいう。
また、フィルムが少なくとも内層、中間層及び外層を有する多層である場合、中間層の厚さが該フィルム全体の厚さの50%以上であるものが好ましい。
本発明のフィルムは、内層と中間層の間及び外層と中間層の間に、少なくとも1つの別の層を有していてもよい。この場合、該別の層は、ポリオレフィン系樹脂を含有していてもよいが、それ以外の樹脂、例えば、内層(及び/又は外層)と中間層との接着性を高めるような樹脂、を含有していてもよい。
<その他の添加剤>
本発明のフィルムに使用できる熱可塑性樹脂には、耐候性を向上させる目的で、紫外線吸収剤や光安定剤などを添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、熱可塑性樹脂に通常配合されるものであれば何れでもよく、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、ハイドロキノン系、シアノアクリレート系等各種の紫外線吸収剤があげられ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。
具体的には、以下のようなものがあげられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシー4ーメトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸ブチルエステルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5,6−ジクロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ステアリルオキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−カルボン酸フェニル)ベンゾトリアゾールエチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジメチルフェニル)−5−カルボン酸ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールブチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−エチルスルホベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸エステルベンゾトリアゾール、2−(2’−アセトキシ−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール。
上記紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.02〜8質量部の範囲があることが好ましく、0.1〜3質量部とすることがより好ましい。0.02質量部以上とすることで、本発明のフィルムに耐候性を付与することができる。また、8質量部以下とすることで、フィルム使用時に他の添加剤とともにフィルム表面に噴き出したりすることを抑制することができる。
光安定剤としては、一般式(IV)で表される構造単位を一分子中に1個以上含有するヒンダードアミン系化合物が適当である。
(式中、R〜R10は炭素数1〜4のアルキル基、R11は水素または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)具体的には例えば一般式(V)で表されるヒンダードアミン系化合物が代表的なものである。
(式中、Rはリン又は、1〜4価のカルボン酸から誘導されるモノ〜テトラアシル基、mは1〜4の整数を各々示す。)上記一般式(IV)に含まれるものとしては具体的には例えば特公昭63−51458号公報に例示されている、4−シクロヘキシノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等があげられる。
ヒンダードアミン系化合物の好ましい配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.2〜1.0質量部の範囲である。上記の配合量とすることで、フィルムに耐候性を付与することができ、フィルム表面の噴き出しが起こることを抑制することができる。
また、難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、ほう酸亜鉛、メタほう酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、アルミン酸カルシウム、赤燐、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、モリブデン酸塩、ポリリン酸アンモニウム塩等があげられる。難燃剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部配合することができる。
帯電防止剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリグリコールエーテル、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等があげられる。帯電防止剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部配合することが好ましく、0.05〜1質量部とすることがより好ましく配合することができる。
防菌防黴剤としては、例えば、フェノールエーテル系、リン酸カルシウム−銀系、第4級アンモニウム塩、ピリジン系、ベンゾイミダゾール系、ハロアルキルチオ系、トリアジン系、ヨウ素系防菌防黴剤があげられる。防菌防黴剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.05〜2質量部配合することが好ましく、0.1〜1.5質量部とすることがより好ましく部配合することができる。
着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリザリンレーキ、酸化チタン、亜鉛華、パーマネントレッド、キナクリドン、カーボンブラック等をあげることができる。これらの着色剤は単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明のフィルムには、その他必要に応じて、着色剤、充填材、スリップ剤(滑剤)、アンチブロッキング剤等をその目的・性能を損なわない範囲内で添加することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フィルム厚み測定>
フィルムロールを幅方向に14等分し、フィルムロールの幅方向に略同一線上に位置する箇所において、14等分した各々のサンプルの幅方向の中心部付近の厚みを測定する。測定は、横河電気社製WEBFREXIIを用い、ベータ線により厚みを測定した。なお、Ta、Tm、T1−14は下記の方法で算出した。フィルム厚みT1〜T14の実測値を、実施例1〜3については図3に、比較例1〜3については図4に示す。なお、図3、4において、横軸の1〜14は、14等分されたフィルムロールの各部位(図1、2における[1]〜[14])を示し、縦軸は厚み(μm)を示す。また、各々の測定された数値を使用し、算出した結果を表1に示す。
Ta=T1〜T14の平均厚み
Tm=T1〜T14における、最大厚みと最小厚みの差
1−14=T1とT14との厚みの差
<フィルムロール円周長測定>
フィルムロールを幅方向に14等分し、14等分した各々のサンプルの幅方向の中心部付近の円周長をメジャーを用いて測定した。各々の測定された数値を、式(1)、(2)に代入し、式(1)、(2)の条件(不等号)を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として、結果を表1に示す。
<引張弾性率>
株式会社 島津製作所製 オートグラフAGS−Xを用い、JIS K 7127に従い、1号ダンベル型試験片を使用し、引張り速度50mm/minの条件で測定した。評価は、n=5のサンプルの平均値を値とした。得られた結果を表1に示す。
<表面粗さ(Rz)測定>
キーエンス社製レーザ顕微鏡VK−X100を使用し、表面観察画像を撮影し、得られた画像を解析して測定した。得られた結果を表1に示す。
<フィルムロールシワ>
得られたフィルムロールのロール表面の状態を目視にて、シワの有り、無しを判断した。評価は以下の基準で実施し、その結果を表1に示す。
○:シワ無し
△:わずかにシワ有り
×:シワ有り
<フィルムタルミ>
得られたフィルムロールからフィルムを巻出し、巻出したフィルム先端側を2インチの紙芯に巻きつけ、フィルムロールと紙芯の間を2mとして間のフィルムに発生するタルミを観察し判断した。評価は以下の基準で実施し、その結果を表1に示す。
○:タルミ無し
△:わずかにタルミ有り
×:タルミ有り
<使用した材料>
・熱可塑性樹脂:ポリ塩化ビニル系樹脂(大洋塩ビ社製「大洋PVC TH」)(重合度:1000)
・可塑剤:ポリエステル系可塑剤(ジェイ・プラス社製「D645」)
・安定剤:Mg−Zn系安定剤(ADEKA社製「アデカスタブ SP−2005」)
<フィルムロールの作製>
ポリ塩化ビニル系樹脂を100質量部、ポリエステル系可塑剤を28質量部、Mg−Zn系安定剤を3質量部の割合で、ブレンダーを使用して混合し、バンバリーで溶融させ、カレンダー成形にてフィルムを成形した。カレンダー成形の様子を図5に示す。
カレンダーの成形条件は、カレンダーボトムロールギャップを0.8mmに調整し、タッチ圧力350N、巻取テンション90Nの巻取り条件にて、設計厚み90μmのフィルムを紙製の巻き芯コアに巻き取り、フィルムロールを作製した。
実施例1〜3、比較例1〜3で作製したフィルムロールについて、ロール円周長、フィルム厚み、フィルムの表面の表面粗さ(Rz)の条件は表1、図3、図4に示す。
<実施例1〜3>
3番ロールと4番ロールの左右のギャップを、本発明のフィルム厚みの規定を満たすように調整し、3番ロールと4番ロール間の圧力(プレロード圧力)を6〜11MPaに調整し、実施例1〜3のフィルムロールを作製した。
<比較例1>
プレロード圧力を5MPaとした以外は、実施例1〜3と同様の条件でフィルムロールを作製した。
<比較例2>
3番ロールと4番ロールの左右のギャップの内、ロールの片側のギャップのみをフィルムの寸法規格の範囲内で変更した以外は実施例1〜3と同様の条件でフィルムロールを作製した。
<比較例3>
プレロード圧力を13MPaとした以外は、実施例1〜3と同様の条件でフィルムロールを作製した。
<評価結果>
表1、図3、図4より、実施例1、2、3は、フィルムロールの外周長の形状、フィルムの厚みが良好であり、得られたフィルムロールのシワが無く、またフィルムロールからフィルムを巻出した際においても、フィルムにタルミが無く良好なフィルムの保管を可能とするフィルムロールであることが確認された。
一方、比較例1、2は、フィルムロールの外周長の形状は式(1)、式(2)を満たすものの、フィルム厚みの条件であるTm/TaおよびT1−14/Taを満たさないため、フィルムロールにシワが発生し、また巻出したフィルムにタルミが発生した、また、比較例3はフィルムロールの外周長の形状である式(2)も満たさず、フィルムロールにシワが発生し、巻出したフィルムにもタルミが発生し、明らかに劣ることが確認された。
1 フィルム
2 巻き芯コア
10 フィルムロール

Claims (4)

  1. フィルムを巻き芯コアに巻き取ってなるフィルムロールであって、
    前記フィルムロールを幅方向に14等分したときの各部位におけるロール円周長D1〜D14が、下記式(1)を満たし、
    かつ前記14等分した前記フィルムロールの幅方向に一直線上に測定した前記各部位のフィルム厚みT1〜T14における最大の厚みの差(Tm)は、該T1〜T14の平均値(Ta)の1.2%以下であることを特徴とするフィルムロール。
    (D6+D7+D8+D9)/4−(D1+D2+D3+D12+D13+D14)/6>0・・・(1)
  2. さらに、下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のフィルムロール。
    (D5+D10)−(D4+D11)>0・・・(2)
  3. 前記T1と前記T14との差(T1−14)は、前記平均値(Ta)の0.5%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルムロール。
  4. 前記フィルムの引張弾性率は、1500MPa以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムロール。
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