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JP2015232069A - 熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】低熱膨張性に優れ、高弾性であり、積層板のプレス成形時の成形性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供すること。
【解決手段】本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(C)1分子中に1個以上のアミノ基を有するアミノ化合物、及び(D)無機充填剤を配合してなるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板に関する。
近年、電子機器の小型化及び薄型化に伴い、電子機器に内蔵される半導体パッケージにも小型化及び薄型化が望まれている。半導体パッケージとは半導体パッケージ用配線板に半導体素子が搭載されたものを指す。薄型化された半導体パッケージでは、半導体パッケージ用配線板に半導体素子を実装するとき及び半導体パッケージを電子機器に搭載する組立時において、半導体パッケージ用配線板と半導体素子との熱膨張係数の差に起因した反りが大きな課題となっている。このため、半導体パッケージ用配線板向けの、低熱膨張性と高弾性を兼ね備えた材料が求められている。
半導体パッケージの小型化及び薄型化に伴い、半導体パッケージ用配線板等のプリント配線板に用いられる積層板には、高密度実装及び高多層化構成が適用されている。プリント配線板用積層板としては、エポキシ樹脂を主剤とした樹脂組成物とガラスクロスとを硬化して一体成形したものが一般的である。エポキシ樹脂は、絶縁性や耐熱性、コスト等のバランスに優れるが、高密度実装及び高多層化構成において生じる耐熱性向上という課題に応えるには限界があった。
一方、ビスマレイミド樹脂は、エポキシ樹脂に比べて耐熱性が非常に優れているため、このような高密度実装及び高多層化された積層板に広く使用することができる。しかし、ビスマレイミド樹脂は、吸湿性が高く、接着性に難点があった。さらに、エポキシ樹脂の場合180℃以下の温度で硬化可能であるが、ビスマレイミド樹脂を積層する場合は、220℃以上の温度で、硬化までに、エポキシ樹脂よりも長時間を要するため、ビスマレイミド樹脂は、生産性が悪いという欠点もあった。
特許文献1には、マレイミド化合物、酸性置換基を有するシリコーン化合物、及び熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が低熱膨張性に優れることが開示されている。しかしながら、特許文献1のような熱硬化性樹脂組成物は、高弾性化という課題を解決するために、無機充填剤の充填率を上げると、プレス成形が困難になり、生産性や歩留まりに影響することがある。
このように、低熱膨張性と高弾性を兼ね備え、要求された生産性を満足できる熱硬化性樹脂組成物はなかった。
特開2012−149155号公報
本発明は、低熱膨張性に優れ、高弾性であり、そして積層板のプレス成形時の成形性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂と、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物を用いることで、無機充填剤の充填率を上げても、プレス成形時の成形性が良好な熱硬化性樹脂組成物が得られること見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供する。
(1) (A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物、及び(D)無機充填剤を配合してなる熱硬化性樹脂組成物。
(2) (B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が更にフェノキシ基を有する(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3) (C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物が、更に酸性置換基を有する(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(4) (C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物が、少なくとも2個のアミノ基を有する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5) (1)〜(4)のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸又は塗工して製造されるプリプレグ。
(6) (5)に記載のプリプレグを積層成形して得られる積層板。
(7) (6)に記載の積層板を用いて製造されるプリント配線板。
本発明によれば、低熱膨張性に優れ、高弾性であり、そして積層板のプレス成形時の成形性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することができる。
以下、発明について詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂(以下、(A)成分と呼ぶことがある)、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(以下、(B)成分と呼ぶことがある)、(C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物(以下、(C)成分と呼ぶことがある)、及び(D)無機充填剤(以下、(D)成分と呼ぶことがある)を配合してなる熱硬化性樹脂組成物である。
本発明におけるエポキシ樹脂は、150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の(A)成分としては市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂として、DIC株式会社製、商品名:EXA−7311−G4(150℃におけるICI粘度:0.05Pa・s)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂として、DIC株式会社製、商品名:HP−7200L(150℃におけるICI粘度:0.03Pa・s)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂として、DIC株式会社製、商品名:HP−7200(150℃におけるICI粘度:0.06Pa・s)、ナフタレン型エポキシ樹脂として、DIC株式会社製、商品名:HP−5000L、HP−5000(150℃におけるICI粘度:0.06Pa・s)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、DIC株式会社製、商品名:EXA−1514(150℃におけるICI粘度:0.08Pa・s)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、新日鉄住金化学株式会社製、商品名:YSLV−70XY(150℃におけるICI粘度:0.01Pa・s)等が挙げられる。
本発明におけるICI粘度は、ICI粘度計として知られる高せん断速度を測定するもので、コーンプレート粘度計(M.S.T Engineering製、装置名:ICI CONE AND PLATE VISCO METER)で測定される粘度である。
本発明における(B)成分は、N−置換マレイミド基を1分子中に少なくとも2個有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N、N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1、3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド(例えば、大和化成株式会社製、商品名:BMI−2300)等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、有機溶媒への溶解性の点から、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有し、更にフェノキシ基を有するマレイミド化合物が好ましい。このようなマレイミド化合物としては、例えば、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して30〜500質量部が好ましく、75〜200質量部がより好ましい。30質量部以上とすることにより耐薬品性が向上し、500質量部以下とすることにより耐熱性が向上する。
本発明における(C)成分は、1個以上のアミノ基を有する化合物で特に限定されるものではないが、1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物としては、更に酸性置換基を有するものや、少なくとも2個のアミノ基を有するものが好ましく、これらを併用することが特に好ましい。
1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物であり、更に酸性置換基を有する化合物としては、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられる。
これらの中で、溶解性や合成の収率の点から、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、及び3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましい。また、耐熱性の点から、m−アミノフェノール及びp−アミノフェノールがより好ましい。さらに、低熱膨張性の点から、p−アミノフェノールが特に好ましい。
1分子中に少なくとも2個のアミノ基を有するアミノ化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、m−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノデュレン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、3−ビス(3−アミノベンジル)ベンゼン、4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、ビス(4−メチルアミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス[(4−アミノフェニル)−2−プロピル]1,4−ベンゼン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル、5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3−(2’,4’−ジアミノフェノキシ)プロパンスルホン酸、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−2,2’−ジスルホン酸、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル−6,6’−ジスルホン酸、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール、1,5−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−2,7−ジスルホン酸、9,9’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)フルオレン、ジアミノアントラキノン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェンスルホン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂肪族アミン類、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アリル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジンのグアナミン化合物類などが挙げられる。
これらの中でも、良好な反応性や耐熱性を有する芳香族アミン類であるm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール、及びグアナミン化合物類であるベンゾグアナミンが好ましい。
これらのうち安価である点から、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンゾグアナミンがより好ましい。毒性や溶剤への溶解性の点から、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが特に好ましい。
上記の(C)成分は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、(C)成分の使用量は、−NH2基当量の総和と、(B)成分のC=C基当量との関係が、次式に示す範囲になることが好ましい。
0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦10.0
さらに好ましくは、この関係が次式に示す範囲になることである。
1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦9.0
特に好ましくは、この関係が次式に示す範囲になることである。
2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦8.0
該当量比を0.1以上とすることにより、熱硬化性樹脂組成物のゲル化が抑制される傾向にあり、熱硬化性樹脂組成物の良好な耐熱性が得られる。また、該当量比を10.0以下とすることにより、(C)成分の有機溶剤への溶解性の低下が抑制される傾向にあり、熱硬化性樹脂組成物の良好な耐熱性が得られる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物では、(B)成分と(C)成分とを、必要により反応させてもよい。当該反応で得られる、アミノ基、イミド基及びN−置換マレイミド基を有する化合物を、本発明の熱硬化性樹脂組成物に配合させてもよい。
この反応の際の(B)成分の使用量は、上記式を満たす範囲であることが好ましい。
また、反応条件は特に限定されるものではなく、当該反応温度は70〜200℃とすることが好ましく、反応時間は0.5〜10時間とすることが好ましい。
以上の反応で使用される有機溶媒は、特に制限されないが、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤などが挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、及びジメチルアセトアミドが好ましく、低毒性であることや揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジメチルアセトアミドが特に好ましい。
有機溶媒の使用量は、溶解性と反応時間の観点から、(B)成分と(C)成分との合計量100質量部に対して、25〜1000質量部とすることが好ましく、40〜700質量部とすることがより好ましい。
また、上記反応には、必要により反応触媒を使用することができる。反応触媒としては、特に限定されないが、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
(D)無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスやTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズなどが挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
(D)無機充填剤としては、誘電特性、耐熱性、低熱膨張性の点からシリカが特に好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられる。乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカが挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
(D)無機充填剤として溶融球状シリカを用いる場合、その平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましい。該溶融球状シリカの平均粒子径を0.1μm以上にすることで、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、さらに10μm以下にすることで、粗大粒子の混入確率を減らし粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径であり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。また、異なる粒径のシリカを組み合わせて充填することで、さらなる充填化が可能となり、流動性を維持したまま充填率の向上が可能となる。
(D)無機充填剤の配合量は、固形分換算の(A)〜(C)成分の総和100質量部当たり10〜300質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることがより好ましい。無機充填剤の含有量を樹脂成分の総和100質量部当たり10〜300質量部にすることで、樹脂組成物の成形性と低熱膨張性を良好に保つことができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、硬化促進剤を配合してもよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、並びに第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、その他の成分として、例えば、熱可塑性樹脂、エラストマー、有機充填材、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、接着性向上剤等を配合してもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
エラストマーの例としては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリル等が挙げられる。
有機充填材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる樹脂フィラー、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラー等が挙げられる。
難燃剤の例としては、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤の例としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化防止剤の例としてはヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系酸化防止剤、光重合開始剤の例としてはベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤、蛍光増白剤の例としてはスチルベン誘導体の蛍光増白剤、接着性向上剤の例としては尿素シラン等の尿素化合物やシラン系、チタネート系、アルミネート系等のカップリング剤が挙げられる。
また、無機充填剤を配合する際に、無機充填剤をシラン系、チタネート系等のカップリング剤、シリコーンオリゴマー等の表面処理剤で前処理、あるいはインテグラルブレンド処理することも好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、通常、希釈溶媒として有機溶媒を使用し、各成分が有機溶媒中に溶解又は分散されたワニスの状態で使用される。該有機溶媒は特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メチルセロソルブ等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族系溶媒が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
最終的に得られるワニス中の樹脂組成物は、ワニス全体の40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。ワニス中の樹脂組成物の含有量を40〜90質量%にすることで、塗工性を良好に保ち、適切な樹脂組成物付着量のプリプレグを得ることができる
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工して製造されるものである。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は、吹付け、押出し等の方法で塗工した後、加熱等により半硬化の状態(Bステージ状態)にして本発明のプリプレグを製造することができる。以下、本発明のプリプレグについて詳述する。
本発明のプリプレグに用いられる基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物などが挙げられる。
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択される。これらは、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmのものを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化の状態(Bステージ状態)にすることで、本発明のプリプレグを製造することができる。
本発明の積層板は、本発明のプリプレグを積層成形して得られるものである。例えば、前述のプリプレグを、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより積層板を製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用積層板で用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、昇温速度1〜10℃/分、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
本発明のプリント配線板は、本発明の積層板を用いて製造されるものである。例えば、本発明の積層板の導体層を通常のエッチング法によって配線加工し、前述のプリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化した後、ドリル加工又はレーザ加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て多層プリント配線板を製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
実施例において使用した各成分は、以下の通りである。
(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂
A−1:ナフタレン型エポキシ樹脂〔DIC株式会社製、商品名:EXA−7311−G4〕、150℃におけるICI粘度:0.05Pa・s
A−2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂〔新日鉄住金化学株式会社製、商品名:YSLV−70XY〕、150℃におけるICI粘度:0.01Pa・s
(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物
B−1:2,2−ビス[(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)]プロパン〔大和化成工業株式会社製;商品名BMI−4000〕
(C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミン化合物
C−1:p−アミノフェノール〔関東化学株式会社製〕
C−2:3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン〔日本化薬株式会社製;商品名:KAYAHARD A−A〕
(D)無機充填剤
D−1:シリカ:SO−G1(商品名、株式会社アドマテックス製)700gを、7gのKBM−903(商品名、信越化学工業株式会社製)を加えた300gのメチルイソブチルケトン溶液に攪拌しながら加え、メチルイソブチルケトンのシリカ分散液を作製した。
(E)硬化促進剤
E−1:イソシアネートマスクイミダゾール〔第一工業製薬株式会社製〕
(F)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・sを超えるエポキシ樹脂
F−1:α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔日本化薬株式会社製、商品名:NC−7000L〕、150℃におけるICI粘度:0.25Pa・s
実施例1
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容器2リットルの反応容器に、p−アミノフェノール(C−1成分)15.6gと、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(C−2成分)49.4gと、2,2−ビス[(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)]プロパン(B−1成分)708.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(有機溶媒)1160.0gを入れ、115℃で4時間反応させた後、固形分60質量%になるまで濃縮した。その後、ナフタレン型エポキシ樹脂(A−1成分)173g、メチルイソブチルケトンのシリカ分散液(D−1成分)225.5g、イソシアネートマスクイミダゾール(E−1成分)0.3gを2時間混合して樹脂分65質量%のワニスを作製した。次に、上記ワニスを厚さ0.1mmのSガラスクロスに含浸し、160℃で3分30秒加熱乾燥して樹脂含有量47質量%のプリプレグを得た。このプリプレグを2枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、成形温度240℃、昇温速度3℃/分、4.5℃/分、6℃/分の各条件で60分間プレスを行って、実施例1の銅張積層板(大きさ250mm×250mm)を得た。
実施例2
D−1のメチルイソブチルケトンのシリカ分散液を344.9gに変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例3
D−1のメチルイソブチルケトンのシリカ分散液を417.5gに変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例4
A−1成分のナフタレン型エポキシ樹脂をA−2成分のビスフェノールF型エポキシ樹脂173gに変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例5
D−1のメチルイソブチルケトンのシリカ分散液を344.9gに変えた以外は、実施例4と同様にして作製した。
実施例6
D−1のメチルイソブチルケトンのシリカ分散液を417.5gに変えた以外は、実施例4と同様にして作製した。
比較例1
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容器2リットルの反応容器に、p−アミノフェノール(C−1成分)15.6gと、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(C−2成分)49.4gと、2,2−ビス[(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)]プロパン(B−1成分)708.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(有機溶媒)1160.0gを入れ、115℃で4時間反応させた後、固形分60質量%になるまで濃縮した。その後、α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(F−1成分)173g、メチルイソブチルケトンのシリカ分散液(D−1成分)225.5g、イソシアネートマスクイミダゾール(E−1成分)0.3gを2時間混合して樹脂分65質量%のワニスを作製した。次に、上記ワニスを厚さ0.1mmのSガラスクロスに含浸塗工し、160℃で3分30秒加熱乾燥して樹脂含有量47質量%のプリプレグを得た。このプリプレグを2枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、成形温度240℃、昇温速度3℃/分、4.5℃/分、6℃/分の各条件で60分間プレスを行って、比較例1の銅張積層板(大きさ250mm×250mm)を得た。
比較例2
D−1のメチルイソブチルケトンのシリカ分散液を344.9gに変えた以外は、比較例1と同様にして作製した。
比較例3
D−1のメチルイソブチルケトンのシリカ分散液を417.5gに変えた以外は、比較例1と同様にして作製した。
実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られた銅張り積層板を以下の方法で評価した。第1表に評価結果を示す。
(1)熱膨張率の測定
成形温度240℃、昇温速度6℃/分で成形した銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(TA Instruments製、TMAQ400EM)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。熱膨張率が5.8ppm/℃以下であれば、実用上許容できる。
(2)曲げ弾性率の測定
成形温度240℃、昇温速度6℃/分で成形した銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた25×40mm角の評価基板を作製し、曲げ弾性率試験装置(株式会社オリエンテック製、5トンテンシロン)を用いて、クロスヘッド速度1mm/分スパン間距離20mmで測定した。
(3)成形性の確認
成形温度240℃、昇温速度3℃/分、4.5℃/分、6℃/分で得られた銅張積層板(大きさ250mm×250mm)の成形性を確認し、成形温度限界を観察した。また、成形性の確認法は銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除き、中心部分と端から10mmの部分の厚みの差で評価し、その差が0.05mm以下のとき成形できているとした。成形できた場合には○、できない場合には×とした。
Figure 2015232069
実施例1と4、比較例1の比較から、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物によれば、熱膨張率、曲げ弾性率を維持しながら成形性を向上できることがわかる。また、実施例2,3,5,及び6のように、(D)無機充填剤の充填率を増やしても、昇温速度4.5℃/分以上であれば、十分な成形性が得られることがわかる。以上のことから、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物によれば、成形低熱膨張性と高弾性を兼ね備え、要求される生産性に応えることができる。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸、又は塗工して得たプリプレグ、及び該プリプレグを積層成形することにより製造した積層板、及び該積層板を用いて製造されたプリント配線板は、低熱膨張性に優れ、高弾性であり、そしてプレス成形性が良好なことから、高集積化された電子機器用プリント配線板に有用である。

Claims (7)

  1. (A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物、及び(D)無機充填剤を配合してなる熱硬化性樹脂組成物。
  2. (B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が更にフェノキシ基を有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. (C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物が、更に酸性置換基を有する請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. (C)1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ化合物が、少なくとも2個のアミノ基を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸又は塗工して製造されるプリプレグ。
  6. 請求項5に記載のプリプレグを積層成形して得られる積層板。
  7. 請求項6に記載の積層板を用いて製造されるプリント配線板。
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