JP2015122254A - 透明電極及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
前記導電性層が、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有し、
前記中間層が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、かつ還元性酸化被膜除去剤を副成分として含有することを特徴とする透明電極。
前記導電性層を前記中間層及び前記第2の中間層で挟持した構成であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明電極。
この様な構成とすることにより、中間層上に導電性層を成膜する際には、導電性層を構成する銅原子、金原子、又は白金原子が、中間層に含有されている銅、金、又は白金との親和性化合物である芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物と相互作用を生じることにより、該中間層表面上での銅、金、又は白金原子の拡散距離が減少し、特定箇所での銅、金、又は白金原子の凝集を抑えることができる。
〔透明電極の基本構成〕
本発明の透明電極は、導電性層と、当該導電性層に隣接して設けられる中間層とを有する透明電極であって、前記導電性層が、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有し、前記中間層が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物(以下、単に窒素原子を有する有機化合物ともいう。)を含有し、かつ還元性酸化被膜除去剤を副成分として含有することを特徴とする。上記構成からなる透明電極は、例えば、透明な基板上に本発明に係る中間層及び導電性層を積層して形成される。
次に、このような積層構造の透明電極1を保持するのに用いられる基板11と、透明電極1を構成する中間層3及び導電性層5の順に、更に詳細な構成要件について説明する。
本発明の透明電極1を保持するのに用いられる基板11としては、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基板11は、透明であっても不透明であってもよいが、本発明の透明電極1が、基板11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基板11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板11としては、ガラス、石英、樹脂フィルムを挙げることができる。
本発明に係る中間層3は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を主成分として含有し、かつ還元性酸化被膜除去剤を副成分として含有して構成された層である。このような中間層3を基板11上に成膜する方法として、特に制限はなく、具体的な成膜方法としては、窒素原子を有する有機化合物及び還元性酸化被膜除去剤の両者に対する溶解能を備えた有機溶媒等で溶解して、中間層形成用塗布液を調製し、当該塗布液を用いて、ローラーコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、インクジェット法などのウェットプロセスにより成膜する方法や、蒸着法(抵抗加熱法、EB法(エレクトロンビーム法)など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスで、上記2成分用いて成膜する方法などが挙げられる。なかでも、中間層形成用塗布液を調製し、当該塗布液を用いて成膜する方法が好ましく適用される。
本発明の透明電極1においては、中間層3は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有する。
本発明に係る中間層には、上記説明した芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物とともに、副成分として還元性酸化被膜除去剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る中間層の形成方法としては、ウェットプロセスで形成しても、ドライプロセスで形成してもよい。
本発明に係る導電性層5は、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている層で、中間層3上に形成される。本発明に係る導電性層5の成膜方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。上記成膜方法のなかでも、蒸着法が好ましく適用される。また、導電性層5は、中間層3上に成膜されることにより、導電性層成膜後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を発現することができるが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を施しても良い。
以上説明したように、本発明の透明電極1は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物と、還元性酸化被膜除去剤とを含有して構成された中間層3上に、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている導電性層5を設けた構成である。これにより、中間層3の上部に導電性層5を成膜する際には、導電性層5を構成する銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素が中間層3を構成する芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子と相互作用し、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素の中間層3表面における拡散距離が減少し、銅、金、又は白金の凝集の生成を抑制することができる。
上記構成からなる本発明の透明電極1は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、例えば、タッチパネル、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、LED(light Emitting Diode)、太陽電池等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて、光透過性を必要とされる電極部材として、本発明の透明電極1を用いることができる。
以下、本発明の透明電極を適用した電子デバイスの一例として、本発明の透明電極にフォトリソグラフィー法による電極パターンを形成したのち、それをタッチパネルへの適用する例について説明する。
図1の(a)で示した基板11上に、中間層3と当該中間層3に隣接して、銅、金、又は白金を主成分とする導電性層5を有する本発明の透明電極1は、例えば、フォトリソグラフィー法により、例えば、有機溶媒を含有するエッチング液を用いて、図3〜図5に示すような電極パターンを形成することができる。
本発明において、エッチング液としては、少なくとも有機溶媒を含有していることが好ましく、有機溶媒として、特に制限はないが、中間層に対する溶解能を備えた有機溶媒であることが好ましく、より好ましくは、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種である。
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
次いで、本発明の透明電極を適用することができるタッチパネルの構成について、代表的な実施形態の詳細について説明する。
図3は、上述した本発明の透明電極を用い、後述の図7で示す構成からなるタッチパネル21aの概略構成を示す斜視図である。また、図4は、タッチパネル21の電極構成を示す2枚の透明電極1−1及び1−2の平面図である。
図3及び図5に示す透明基板11−1、11−2は、先の透明電極1で説明した基板11(以下、透明基板ともいう。)である。
第1の中間層3−1は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、基板11上に成膜されている。ここでは一例として、第1の中間層3−1は、透明基板11−1に導電性層5−1と同一形状にパターニングされている。
第1の導電性層5−1は、先の透明電極で説明した導電性層5であり、第1の中間層3−1上においてパターニングされた複数のx電極パターン5x1、5x2、(中略)等として構成されている。各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、例えば、x方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近において、x方向に直線状に連結した形状であることとする。
第2の中間層3−2は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、透明基板11−2上に成膜されていて、第2の電極層5−2と同一形状にパターニングされている。
第2の電極層5−2は、先の透明電極1で説明した導電性層5であり、第2の中間層3−2上においてパターニングされた複数のy電極パターン5y1、5y2、(中略)等として構成されている。各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、それぞれがx電極パターン5x1、5x2、(中略)等と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、例えば、y方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
図3に図示した前面板13は、タッチパネル21において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板13は、光透過性を有する板材であって、透明基板11と同様のものが用いられる。またこの前面板13は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いても良い。このような前面板13は、例えば接着剤15に(図6参照。)よって第2の透明電極1−2側に張り合わせられていることとする。この接着剤15は、光透過性を有するものであれば、特に材料が限定されることはない。
以上のようなタッチパネル21を動作させる場合、x配線17x及びy配線17yに接続させたフレキシブルプリント基板などから、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等に対して電圧を印加しておく。この状態で、前面板13の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル21内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等でアドレスされた位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
以上のようなタッチパネル21は、2層の透明電極1−1及び1−2として、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えた透明電極を用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、タッチパネル用の透明電極を大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル21の大型化をすることが可能となる。
図6は、実施形態のタッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図6に示すタッチパネル21は、透明基板11上に第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
次いで、電子デバイスとして液晶表示装置への本発明の透明電極を組み入れた例を説明する。
以下に示す方法に従って、透明電極1〜64を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなる条件で作製した。透明電極1〜3は、導電性層のみの構造の透明電極として作製し、透明電極4〜61は、中間層3と導電性層5との積層構造からなる透明電極を作製し、透明電極62〜64は、中間層3A、導電性層5及び第2の中間層3Bの3層の積層構造からなる透明電極を作製した。
下記に示す方法に従って、導電性層のみ構造からなる比較例の透明電極1を作製した。
上記透明電極1の作製において、導電性層の構成金属元素を銅に代えて、それぞれ金(Au)、白金(Pt)を用いた以外は同様にして、単膜の導電性層から構成される透明電極2及び3を作製した。
以下の実施例において中間層は湿式塗布法により形成した。
また、還元性酸化被膜除去剤として以下の化合物を用いた。
チオグリコール酸アンモニウム
チオリンンゴ酸
〔透明電極4の作製〕
〈中間層形成用塗布液の調製〉
芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物:例示化合物(27) 1.0質量%
メチルエチルケトン 99.0質量%
メチルエチルケトンに例示化合物(27)を添加し、加熱しながら溶解して、1.0質量%の中間層形成用塗布液を調製した。
透明な無アルカリガラス製の基板上に、上記調製した中間層形成用塗布液を、スピンコート法により湿式塗布を行い、薄膜を形成した。次いで、90℃で1時間加熱乾燥し、層厚が35nmの中間層を形成した。
次に、中間層を形成した基板を第1真空槽に移し、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、層厚が8nmの銅単独からなる導電性層を蒸着して、透明電極4を得た。
上記透明電極4の作製において、導電性層の構成金属元素を銅に代えて、それぞれ金(Au)、白金(Pt)を用いた以外は同様にして、中間層及び導電性層から構成される透明電極5及び6を作製した。
〈中間層形成用塗布液の調製〉
チオグリコール酸(還元性酸化被膜除去剤) 1.0質量%
メチルエチルケトン 99.0質量%
メチルエチルケトンにチオグリコール酸を添加し、加熱しながら溶解して、1.0質量%の中間層形成用塗布液を調製した。
透明な無アルカリガラス製の基板上に、上記調製した中間層形成用塗布液を、スピンコート法により湿式塗布を行い、薄膜を形成した。次いで、90℃で1時間加熱乾燥し、層厚が35nmの中間層を形成した。
次に、中間層を形成した基板を第1真空槽に移し、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、層厚が8nmの銅単独からなる導電性層を蒸着して、透明電極7を得た。
〈中間層形成用塗布液の調製〉
芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物:例示化合物(27) 0.95質量%
チオグリコール酸(還元性酸化被膜除去剤) 0.05質量%
メチルエチルケトン 99.00質量%
メチルエチルケトンに各化合物を添加し、加熱しながら溶解して、1.0質量%の中間層形成用塗布液を調製した。
透明な無アルカリガラス製の基板上に、上記調製した中間層形成用塗布液を、スピンコート法により湿式塗布を行い、薄膜を形成した。次いで、90℃で1時間加熱乾燥し、層厚が35nmの中間層を形成した。
次に、あらかじめ用意した、第2真空槽に移し中間層を形成した基板を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅に代えて、銀の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、層厚が8nmの銀単独からなる導電性層を蒸着し、中間層とこの上部に銀からなる導電性層を積層した透明電極8を得た。
上記透明電極8の作製において、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物と還元反応による酸化被膜除去材のそれぞれの種類と含有比率、導電性層の材料と層厚、及び基板の種類を表1〜表3のようにそれぞれ変えて、透明電極8と同様にして透明電極9〜61を作製した。
上記透明電極12(導電性層:銅)、透明電極13(導電性層:金)、透明電極14(導電性層:白金)の作製において、各導電性層を形成したのち、導電性層上に、中間層3Aと同様の内容で、第2の中間層3Bを形成し、導電性層5を中間層3A及び第2の中間層3Bで挟持した構成とした以外は同様にして、透明電極62〜64を作製した。
化合物(R):還元性酸化被膜除去剤
R1:チオグリコール酸
R2:チオグリコール酸アンモニウム
R3:チオリンンゴ酸
比較1:比較化合物1
比較2:比較化合物2
比較3:比較化合物3
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム
比較化合物1〜3の構造式を以下に示す。
上記作製した透明電極1〜64について、下記の方法に従って、光透過率、シート抵抗値及び経時耐久性(酸素環境下での電極寿命)の測定及び評価を行った。
上記作製した各透明電極について、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、各透明電極の作製に用いた基板をリファレンスとして、波長590nmにおける光透過率(%)を測定した。
上記作製した各透明電極について、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。
作製した各透明電極に、酸素雰囲気下(温度:23℃、酸素濃度:100体積%の環境)で、10Aの電流を流し続け、シート抵抗値が初期値の2倍となるに要する時間を測定した。
3、3A、3B、3−1、3−2 中間層
5、5−1、5−2 導電性層
5x1、5x2、5x3等 x電極パターン(第1の導電性層)
5y1,5y2、5y3等 y電極パターン(第2の導電性層)
6 レジスト膜
7 マスク
8 露光機
9 エッチング液
11 透明基板
13 前面板
15 接着剤
17、17x,17y 配線
21、21a タッチパネル
100 液晶表示装置
101A、101B 偏光フィルター
102A、102B ガラス基板
103 カラーフィルター
104A、104B 配向膜
105 液晶
106 スペーサー
Claims (6)
- 導電性層と、当該導電性層に隣接して設けられる中間層とを有する透明電極であって、
前記導電性層が、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有し、
前記中間層が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、かつ還元性酸化被膜除去剤を副成分として含有することを特徴とする透明電極。 - 前記導電性層が、銅を主成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
- 前記中間層が、前記還元性酸化被膜除去剤を、当該中間層の全質量に対して0.5〜10.0質量%の範囲内で含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
- 前記中間層が、前記還元性酸化被膜除去剤を、当該中間層の全質量に対して1.0〜5.0質量%の範囲内で含有していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明電極。
- 前記導電性層を介して、更に前記中間層に対向する第2の中間層を有し、
前記導電性層を前記中間層及び前記第2の中間層で挟持した構成であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明電極。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
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