JP2015175588A - エバポレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄冷機能を有するとともに、重量の増大を抑制しうるエバポレータを提供する。【解決手段】エバポレータの隣り合う冷媒流通管12どうしの間の間隙に配置されたコルゲートフィン15の連結部15cに、長手方向を連結部15cの幅方向に向けた複数のルーバ17を通風方向に並んで形成する。全てのルーバ17を、通風方向に連続して並びかつ風下側に向かって同方向に傾斜した複数のルーバ17からなる複数のルーバ群18A,18B,18C,18Dに分ける。隣り合うルーバ群18A,18B,18C,18Dのルーバ17の傾斜方向は異なっている。コルゲートフィン15の連結部15cにおける最風下側ルーバ群18Aが設けられた部分を風下側に向かって上方に傾斜させる。最風下側ルーバ群18Aのルーバ17を風下側に向かって上方に傾斜させる。【選択図】図2
Description
この発明はエバポレータに関する。
この明細書および特許請求の範囲において、各図面の上下を上下というものとする。
近年、環境保護や自動車の燃費向上などを目的として、信号待ちなどの停車時にエンジンを自動的に停止させる自動車が提案されている。
しかしながら、通常のカーエアコンにおいては、エンジンを停止させると、エンジンを駆動源とする圧縮機が停止するので、エバポレータに冷媒が供給されなくなり、冷房能力が急激に低下するという問題がある。
そこで、このような問題を解決するために、エバポレータに蓄冷機能を付与し、エンジンが停止して圧縮機が停止した際に、エバポレータに蓄えられた冷熱を放冷して車室内を冷却することが考えられている。
この種の蓄冷機能を有するエバポレータとして、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で、互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の扁平状冷媒流通管を備えており、隣り合う冷媒流通管どうしの間に形成されたすべての間隙のうち一部の複数の間隙に蓄冷材が封入された蓄冷材容器が配置されるとともに、残りの間隙にコルゲートフィンが配置され、蓄冷材容器が配置された間隙の両側の間隙のうち少なくともいずれか一方の間隙にコルゲートフィンが位置しているエバポレータが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1記載のエバポレータによれば、圧縮機が作動している通常の冷房時には、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱が、蓄冷材容器内の蓄冷材に伝わって蓄冷材に冷熱が蓄えられるようになっている。一方、圧縮機が停止した際には、蓄冷材容器内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が冷媒流通管に伝えられ、冷媒流通管を通って蓄冷材容器が配置された間隙の両隣の間隙に配置されたコルゲートフィンに伝えられ、コルゲートフィンから当該間隙を流れる空気に放冷されるようになっている。
しかしながら、特許文献1記載のエバポレータによれば、蓄冷材が封入された蓄冷材容器を備えているので、全体の重量が増大するという問題がある。
この発明の目的は、上記問題を解決し、蓄冷機能を有するとともに、重量の増大を抑制しうるエバポレータを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)長手方向が上下方向を向くとともに幅方向が通風方向を向いた複数の扁平状冷媒流通管が、冷媒流通管の厚み方向に間隔をおいて並列状に配置され、隣り合う冷媒流通管どうしの間に間隙が形成され、すべての間隙のうちの少なくとも一部の間隙に、通風方向にのびる波頂部、通風方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲートフィンが配置されており、コルゲートフィンの連結部に、長手方向を連結部の幅方向に向けた複数のルーバが通風方向に並んで形成され、全てのルーバが、通風方向に連続して並びかつ風下側に向かって同方向に傾斜した複数のルーバからなる複数のルーバ群に分けられ、隣り合うルーバ群のルーバの傾斜方向が異なっているエバポレータであって、
コルゲートフィンの連結部における最風下側ルーバ群が設けられた部分が風下側に向かって上方に傾斜し、最風下側ルーバ群のルーバが風下側に向かって上方に傾斜しているエバポレータ。
コルゲートフィンの連結部における最風下側ルーバ群が設けられた部分が風下側に向かって上方に傾斜し、最風下側ルーバ群のルーバが風下側に向かって上方に傾斜しているエバポレータ。
2)最風下側ルーバ群のルーバにおける水平面に対する傾斜角度が25〜45度である上記1)記載のエバポレータ。
3)最風上側ルーバ群のルーバが風下側に向かって下方に傾斜している上記1)または2)記載のエバポレータ。
4)コルゲートフィンの連結部における最風上側ルーバ群が設けられた部分が水平である上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
5)コルゲートフィンの連結部における風下側に向かって上方に傾斜した傾斜部に、最風下側ルーバ群を含んで少なくとも2つのルーバ群が設けられており、最風下側ルーバ群と、最風下側ルーバ群に隣り合うルーバ群との間に、上方に開口しかつ長手方向をコルゲートフィンの連結部の幅方向に向けた溝状である凝縮水貯留部が形成されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
6)凝縮水貯留部の溝底部が、ルーバの長手方向と直交する垂直面上において、最風下側ルーバ群のルーバの幅方向の中心を結ぶ直線よりも下方に位置している上記5)記載のエバポレータ。
7)コルゲートフィンの連結部に4つのルーバ群が設けられている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
8)コルゲートフィンの連結部に2つのルーバ群が設けられている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
9)通風方向に間隔をおいて配置された2つの扁平状冷媒流通管からなる管組が、冷媒流通管の厚み方向に間隔をおいて複数配置され、コルゲートフィンの配置された間隙が、冷媒流通管の厚み方向に隣り合う2つの管組どうしの間に形成されており、コルゲートフィンが隣り合う管組の通風方向に並ぶ2つの冷媒流通管に跨って配置され、最風下側ルーバ群が風下側冷媒流通管の位置に設けられ、最風上側ルーバ群が風上側冷媒流通管の位置に設けられている上記1)〜8)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
10)コルゲートフィンの配置された間隙が、冷媒流通管の厚み方向に隣り合う2つの冷媒流通管どうしの間に形成されている上記1)〜8)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
上記1)〜10)のエバポレータによれば、コルゲートフィンの連結部における最風下側ルーバ群が設けられた部分が風下側に向かって上方に傾斜し、最風下側ルーバ群のルーバが風下側に向かって上方に傾斜しているので、圧縮機の作動時にコルゲートフィンの表面に発生した凝縮水は、コルゲートフィンの連結部における最風下側ルーバ群が設けられた部分が風下側に向かって上方に傾斜していること、および最風下側ルーバ群のルーバが風下側に向かって上方に傾斜していることによって、コルゲートフィンの通風方向の中央部側に流れることになり、熱交換コア部外への排水が遅らせられ、コルゲートフィンに比較的長時間保持される。そして、エンジンが停止して圧縮機が停止した際には、コルゲートフィンに保持されている凝縮水の顕熱としての冷熱や、コルゲートフィンにおいて凝縮水が凍結していた場合には、凍結した凝縮水の潜熱としての冷熱および溶融した後の凝縮水の顕熱としての冷熱が、コルゲートフィンが配置された間隙を流れる空気に放冷される。したがって、放冷時間を延長して冷房能力の低下を比較的長時間抑制することができ、蓄冷機能を有することになる。しかも、潜熱蓄熱材を収容した蓄冷材容器を必要とせず、特許文献1記載のエバポレータに比べて軽量化を図ることが可能になる。
上記2)のエバポレータによれば、最風下側ルーバ群のルーバにおける水平面に対する傾斜角度が45度以下であるから、コルゲートフィンの表面に発生した凝縮水に対する重力の影響が、最風下側ルーバ群のルーバに沿って風下側に向かって斜め上方に流れる空気によって低減され、隣り合うルーバ間の隙間を通っての凝縮水の落下を遅延させることができる。また、前記傾斜角度が25度以上であるから、コルゲートフィンの表面に発生した凝縮水に対する隣り合うルーバ間を流れる空気の影響が低減され、凝縮水が熱交換コア部の風下側に排水されることを遅延させることができる。したがって、凝縮水からの放冷時間を延長して冷房能力の低下を比較的長時間抑制することができる。
上記3)のエバポレータによれば、最風上側ルーバ群の隣り合うルーバ間を通って下方に流れる凝縮水が、熱交換コア部の通風方向の中央部側に流れることになり、熱交換コア部外への排水が遅らせられる。したがって、凝縮水からの放冷時間を延長して冷房能力の低下を比較的長時間抑制することができる。
上記5)のエバポレータによれば、コルゲートフィンの表面に発生した凝縮水の一部を凝縮水貯留部に貯留することが可能になり、当該凝縮水の熱交換コア部外への排水を効果的に遅らせることができる。
上記6)のエバポレータによれば、凝縮水貯留部の内容積が大きくなり、凝縮水貯留部に貯留する凝縮水の量が多くなって、当該凝縮水の熱交換コア部外への排水を効果的に遅らせることができる。
上記10)のエバポレータによれば、コルゲートフィンのルーバが存在する部分には、冷媒流通管の通風方向の端部が位置することはなく、凝縮水の熱交換コア部外への排水を遅らせることができる。コルゲートフィンのルーバが存在する部分に冷媒流通管の通風方向の端部が位置していると、凝縮水が、キャピラリ効果により冷媒流通管の端部に引き込まれて冷媒流通管に沿って流下しやすくなるおそれがある。
以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。
以下の説明において、通風方向下流側(図面に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとし、通風方向下流側から見た際の左右(図1の左右)を左右というものとする。
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1はこの発明によるエバポレータの全体構成を示し、図2および図3はその要部の構成を示す。
図1において、エバポレータ(1)は、長手方向を左右方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製上ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製下ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
上ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する風下側上ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ風下側上ヘッダ部(5)に一体化された風上側上ヘッダ部(6)とを備えている。風下側上ヘッダ部(5)の右端部に冷媒入口(7)が設けられ、風上側上ヘッダ部(6)の右端部に冷媒出口(8)が設けられている。下ヘッダタンク(3)は、前側に位置する風下側下ヘッダ部(9)と、後側に位置しかつ風下側下ヘッダ部(9)に一体化された風上側下ヘッダ部(11)とを備えている。
熱交換コア部(4)には、長手方向が上下方向を向くとともに幅方向が通風方向(前後方向)を向いた複数のアルミニウム押出形材製扁平状冷媒流通管(12)が、左右方向(冷媒流通管(12)の厚み方向)に間隔をおいて並列状に配置されている。ここでは、前後方向に間隔をおいて配置された2つの冷媒流通管(12)からなる複数の組(13)が左右方向に間隔をおいて配置されており、前後の冷媒流通管(12)よりなる組(13)の隣り合うものどうしの間に間隙(14)が形成されている。風下側の冷媒流通管(12)の上端部は風下側上ヘッダ部(5)に接続されるとともに、同下端部は風下側下ヘッダ部(9)に接続されている。また、風上側の冷媒流通管(12)の上端部は風上側上ヘッダ部(6)に接続されるとともに、同下端部は風上側下ヘッダ部(11)に接続されている。冷媒は、冷媒入口(7)を通ってエバポレータ(1)の風下側上ヘッダ部(5)内に入り、全冷媒流通管(12)を通って風上側上ヘッダ部(6)の冷媒出口(8)から流出するようになっている。
熱交換コア部(4)の間隙(14)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ波頂部(15a)、波底部(15b)、および波頂部(15a)と波底部(15b)とを連結する連結部(15c)とからなるコルゲートフィン(15)が、前後両冷媒流通管(12)に跨るように配置されて間隙(14)を形成する左右両側の管組(13)の前後両冷媒流通管(12)にろう付されている。また、左右両端の冷媒流通管(12)の管組(13)の外側にも両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるコルゲートフィン(15)が配置されて前後両冷媒流通管(12)にろう付され、さらに左右両端のコルゲートフィン(15)の外側にアルミニウム製サイドプレート(16)が配置されてコルゲートフィン(15)にろう付されている。
図2に示すように、コルゲートフィン(15)の連結部(15c)には、長手方向を連結部(15c)の幅方向に向けた複数の短冊状のルーバ(17)が通風方向に並んで形成されている。全てのルーバ(17)は、通風方向に連続して並びかつ幅方向が風下側に向かって同方向に傾斜した複数のルーバ(17)からなる複数のルーバ群、ここでは4つのルーバ群(18A)(18B)(18C)(18D)に分けられている。4つのルーバ群(18A)(18B)(18C)(18D)を風下側から風上側に向かって第1〜第4ルーバ群というものとする。コルゲートフィン(15)の連結部(15c)は、全体が風下側に向かって上方に傾斜しており、コルゲートフィン(15)の連結部(15c)、すなわち連結部(15c)における風下側に向かって上方に傾斜した傾斜部に、第1ルーバ群(最風下側ルーバ群(18A))を含んで少なくとも2つのルーバ群が設けられていることになる。
隣り合うルーバ群(18A)(18B)(18C)(18D)のルーバ(17)の幅方向の傾斜方向は異なっているとともに、第1ルーバ群(18A)のルーバ(17)は風下側に向かって上方に傾斜しており、第2ルーバ群(18B)および第4ルーバ群(18D)(最風上側ルーバ群)のルーバ(17)は風下側に向かって下方に傾斜し、第3ルーバ群(18C)のルーバ(17)は、第1ルーバ群(18A)と同様に、風下側に向かって上方に傾斜している。
ここで、最風下側ルーバ群(18A)のルーバ(17)における水平面(P)に対する傾斜角度αは25〜45度であることが好ましい。上記傾斜角度αが25度未満であると、コルゲートフィン(15)の表面に発生した凝縮水が、最風下側ルーバ群(18A)の隣り合うルーバ(17)間を流れる空気の影響により熱交換コア部(4)の風下側に排水されやすくなるおそれがあり、45度を超えると、コルゲートフィン(15)の表面に発生した凝縮水が、重力の影響により隣り合うルーバ(17)間の空隙から下方に落下しやすくなる。
図2および図3に示すように、コルゲートフィン(15)の連結部(15c)、すなわち連結部(15c)における風下側に向かって上方に傾斜した傾斜部における第1ルーバ群(18A)と第2ルーバ群(18B)との間、および第3ルーバ群(18C)と第4ルーバ群(18D)との間に、それぞれ上方に開口しかつ長手方向をコルゲートフィン(15)の連結部(15c)の幅方向に向けた溝状である凝縮水貯留部(19)が形成されている。凝縮水貯留部(19)の溝底部(19a)は幅広の平坦状となっており、第1ルーバ群(18A)のルーバ(17)における幅方向の中心線、すなわち連結部(15c)が位置する平面上に位置している。
上述したエバポレータ(1)は、車両のエンジンを駆動源とする圧縮機、圧縮機から吐出された冷媒を冷却するコンデンサ(冷媒冷却器)、コンデンサを通過した冷媒を減圧する膨張弁(減圧器)とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両、たとえば自動車に搭載される。そして、圧縮機が作動している場合には、圧縮機で圧縮されてコンデンサおよび膨張弁を通過した低圧の気液混相の2相冷媒が、冷媒入口(7)を通ってエバポレータ(1)の風下側上ヘッダ部(5)内に入り、全冷媒流通管(12)を通って風上側上ヘッダ部(6)の冷媒出口(8)から流出する。冷媒が冷媒流通管(12)内を流れる間に、間隙(14)を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。間隙(14)を通過する空気は、第4ルーバ群(18D)においては隣り合うルーバ(17)間を風下側に向かって斜め下方に流れ、第3ルーバ群(18C)においては隣り合うルーバ(17)間を風下側に向かって斜め上方に流れ、第2ルーバ群(18B)においては隣り合うルーバ(17)間を風下側に向かって斜め下方に流れ、第1ルーバ群(18A)においては隣り合うルーバ(17)間を風下側に向かって斜め上方に流れる。
圧縮機の作動時には、冷媒流通管(12)内を流れる冷媒により冷却されて、コルゲートフィン(15)の表面に凝縮水が発生し、当該凝縮水は、間隙(14)を通過する空気に押されて風下側に流れ、各ルーバ群(18A)(18B)(18C)(18D)において隣り合うルーバ(17)間の隙間を通って下方に落下する。また、コルゲートフィン(15)の表面に発生した凝縮水は、ルーバ(17)を伝って冷媒流通管(12)側に流れ、コルゲートフィン(15)と冷媒流通管(12)とのろう付部に沿って風下側に流れ、この流れの間にも隣り合うルーバ(17)間の隙間を通って下方に落下する。
しかしながら、コルゲートフィン(15)の連結部(15c)の全体が風下側に向かって上方に傾斜しているので、第4ルーバ群(18D)および第2ルーバ群(18B)においては、水平面(P)に対するルーバ(17)の傾斜角度が、連結部(15c)に対する傾斜角度よりも小さくなり、隣り合うルーバ(17)間を斜め下方に流れる空気の影響が低減され、隣り合うルーバ(17)間の隙間を通っての凝縮水の落下が遅らせられる。また、第3ルーバ群(18C)および第1ルーバ群(18A)においては、水平面(P)に対するルーバ(17)の傾斜角度αが、連結部(15c)に対する傾斜角度よりも大きくなるが、隣り合うルーバ(17)間を斜め上方に流れる空気によって重力の影響が低減され、隣り合うルーバ(17)間の隙間を通っての凝縮水の落下が遅らせられる。さらに、第3ルーバ群(18C)および第1ルーバ群(18A)の隣り合うルーバ(17)間を通って下方に流下する凝縮水は冷媒流通管(12)の幅方向の中央部側に向かって流れ、第4ルーバ群(18D)および第2ルーバ群(18B)の隣り合うルーバ(17)間を通って下方に流下する凝縮水は、冷媒流通管(12)の幅方向の中央部側に向かって流れる。しかも、凝縮水は、凝縮水貯留部(19)内にも溜められる。したがって、凝縮水の熱交換コア部(4)外への排水が遅らせられ、コルゲートフィンに比較的長時間保持される。その結果、圧縮機のオフ時に、コルゲートフィン(15)に保持された凝縮水の顕熱としての冷熱や、コルゲートフィン(15)の表面において凝縮水が凍結した場合には、氷の潜熱としての冷熱および溶融した後の凝縮水の顕熱としての冷熱が、間隙(14)を流れる空気に放冷される放冷時間を延長することが可能になり、エバポレータ(1)を通過した風の温度が上昇したとしても、当該風は冷却されることになって、冷房能力の急激な低下が比較的長時間にわたって抑制される。
上述したエバポレータ(1)においては、全ての間隙(14)にコルゲートフィン(15)が配置されているが、これに限定されるものではなく、一部の間隙(14)に蓄冷材が封入された蓄冷材容器が配置される場合もある。この場合、蓄冷材容器のみを有する特許文献1記載のエバポレータに比べて、蓄冷材容器の数を低減することができる。
また、上述したエバポレータ(1)においては、上下ヘッダタンク(2)(3)に、これとは別個に作られた冷媒流通管(12)が接続されたものであるが、これに代えて、この発明によるエバポレータは、1対の皿状プレートを対向させて周縁部どうしをろう付してなる複数の扁平中空体が並列状に配置されてなり、前後方向に並んで配置された風下側上ヘッダ部および風上側上ヘッダ部と、両ヘッダ部の下方に間隔をおいて配置された風下側下ヘッダ部および風上側下ヘッダ部と、風下側上ヘッダ部と風下側下ヘッダ部とを連通させる複数の冷媒流通管と、風上側上ヘッダ部と風上側下ヘッダ部とを連通させる複数の冷媒流通管とを備えており、隣り合う冷媒流通管どうしの間にコルゲートフィンが配置されている形式の所謂積層型エバポレータにも適用可能である。
図4および図5はコルゲートフィンの連結部に設けられた凝縮水貯留部の変形例を示す。
図4に示す凝縮水貯留部(21)は、上方に開口しかつ長手方向をコルゲートフィン(15)の連結部(15c)の幅方向に向けたV溝状であり、その溝底部(21a)は幅狭の平坦状となっている。凝縮水貯留部(21)の溝底部(21a)は、第1ルーバ群(18A)のルーバ(17)の長手方向と直交する垂直面上において、ルーバ(17)の幅方向の中心を結ぶ直線よりも下方に位置している。
図4に示す凝縮水貯留部(21)は、図5(a)に示すように、溝底部(21b)が丸みを有していてもよく、あるいは図5(b)に示すように、溝底部(21c)が角張っていてもよい。
図6〜図8はこの発明によるエバポレータの他の実施形態を示す。
図6において、熱交換コア部(4)には、熱交換コア部(4)の通風方向の幅とほぼ同一幅のアルミニウム製扁平状冷媒流通管(25)が左右方向に間隔をおいて配置されており、左右方向に隣り合う2つの冷媒流通管(25)間に形成された間隙(14)に、コルゲートフィン(15)が配置されている。
なお、図示は省略したが、上下両ヘッダタンク(2)(3)には、それぞれ冷媒流通管(25)の上下両端部が接続される1つのヘッダ部が設けられており、いずれか一方のヘッダタンク(2)または(3)のヘッダ部に冷媒入口が設けられ、同他方のヘッダタンク(3)または(2)のヘッダ部に冷媒出口が設けられている。そして、冷媒は、冷媒入口を通っていずれか一方のヘッダタンク(2)または(3)のヘッダ部内に入り、全冷媒流通管(25)を通って同他方のヘッダタンク(3)または(2)のヘッダ部の冷媒出口から流出するようになっている。
その他の構成は、図1〜図3に示すエバポレータと同様である。
図6に示すエバポレータの場合、コルゲートフィン(15)のルーバ(17)が存在する部分には冷媒流通管(25)の端部が位置することはなく、コルゲートフィン(15)の表面に発生した凝縮水は、冷媒流通管(25)の通風方向の範囲内において下方に流下するので、凝縮水の熱交換コア部(4)外への排水が遅らせられ、コルゲートフィン(15)に比較的長時間保持される。その結果、圧縮機のオフ時の冷房能力の急激な低下が、比較的長時間にわたって効果的に抑制される。コルゲートフィン(15)のルーバ(17)が存在する部分に冷媒流通管(25)の端部が位置していると、凝縮水が、キャピラリ効果により冷媒流通管(25)の端部に引き込まれて冷媒流通管(25)に沿って流下しやすくなるおそれがある。
図7において、熱交換コア部(4)の間隙(14)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ波頂部(図示略)、波底部(図示略)、および波頂部と波底部とを連結する連結部(30a)からなるコルゲートフィン(30)が配置されている。
コルゲートフィン(30)の連結部(30c)における第1ルーバ群(18A)(最風下側ルーバ群)および第2ルーバ群(18B)が設けられた部分は風下側に向かって上方に傾斜しており、同じく第3ルーバ群(18C)および第4ルーバ群(18D)(最風上側ルーバ群)が設けられた部分は水平となっている。すなわち、コルゲートフィン(30)の連結部(30a)における風下側に向かって上方に傾斜した傾斜部に、第1ルーバ群(最風下側ルーバ群(18A))を含んで少なくとも2つのルーバ群が設けられている。
その他の構成は、図1〜図3に示すエバポレータと同様である。
図8において、熱交換コア部(4)の間隙(14)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ波頂部(図示略)、波底部(図示略)、および波頂部と波底部とを連結する連結部(35a)からなるコルゲートフィン(35)が配置されている。
コルゲートフィン(35)の連結部(35a)には、長手方向を連結部(35a)の幅方向に向けた複数のルーバ(17)が通風方向に並んで形成されており、全てのルーバ(17)は、通風方向に連続して並びかつ風下側に向かって同方向に傾斜した複数のルーバ(17)からなる複数のルーバ群、ここでは2つのルーバ群(36A)(36B)に分けられている。コルゲートフィン(35)の連結部(35a)は、全体が風下側に向かって上方に傾斜しており、コルゲートフィン(35)の連結部(35a)、すなわち連結部(35a)における風下側に向かって上方に傾斜した傾斜部に、最風下側ルーバ群(36A)を含んで少なくとも2つのルーバ群が設けられていることになる。
隣り合うルーバ群(36A)(36B)のルーバ(17)の傾斜方向は異なっているとともに、最風下側ルーバ群(36A)のルーバ(17)は風下側に向かって上方に傾斜しており、最風上側ルーバ群(36B)のルーバ(17)は風下側に向かって下方に傾斜している。
ここで、最風下側ルーバ群(36A)のルーバ(17)における水平面(P)に対する傾斜角度αは25〜45度であることが好ましい。上記傾斜角度αが25度未満であると、コルゲートフィン(15)の表面に発生した凝縮水が、最風下側ルーバ群(18A)の隣り合うルーバ(17)間を流れる空気の影響により熱交換コア部(4)の風下側に排水されやすくなるおそれがあり、45度を超えると、コルゲートフィン(15)の表面に発生した凝縮水が、重力の影響により隣り合うルーバ(17)間の空隙から下方に落下しやすくなる。
コルゲートフィン(35)の連結部(35a)、すなわち連結部(35a)における風下側に向かって上方に傾斜した傾斜部における最風下側ルーバ群(36A)と最風上側ルーバ群(36B)との間に、上方に開口しかつ長手方向をコルゲートフィン(35)の連結部(35a)の幅方向に向けた溝状である凝縮水貯留部(19)が形成されている。
その他の構成は、図1〜図3に示すエバポレータと同様である。
図6〜図8に示すエバポレータにおいても、1対の皿状プレートを対向させて周縁部どうしをろう付してなる複数の扁平中空体が並列状に配置されてなり、上ヘッダ部と、上ヘッダ部の下方に間隔をおいて配置された下ヘッダ部と、上ヘッダ部と下ヘッダ部とを連通させる複数の冷媒流通管とを備えており、隣り合う冷媒流通管どうしの間にコルゲートフィンが配置されている形式の所謂積層型エバポレータにも適用可能である。
この発明によるエバポレータは、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンを構成する冷凍サイクルのエバポレータに好適に用いられる。
(1):エバポレータ
(12)(25):冷媒流通管
(13):管組
(14):間隙
(15)(30)(35):コルゲートフィン
(15a):波頂部
(15b):波底部
(15c)(30a)(35a):連結部
(17):ルーバ
(18A)(18B)(18C)(18D)(36A)(36B):ルーバ群
(19)(21):凝縮水貯留部
(21a)(21b)(21c):溝底部
(12)(25):冷媒流通管
(13):管組
(14):間隙
(15)(30)(35):コルゲートフィン
(15a):波頂部
(15b):波底部
(15c)(30a)(35a):連結部
(17):ルーバ
(18A)(18B)(18C)(18D)(36A)(36B):ルーバ群
(19)(21):凝縮水貯留部
(21a)(21b)(21c):溝底部
Claims (10)
- 長手方向が上下方向を向くとともに幅方向が通風方向を向いた複数の扁平状冷媒流通管が、冷媒流通管の厚み方向に間隔をおいて並列状に配置され、隣り合う冷媒流通管どうしの間に間隙が形成され、すべての間隙のうちの少なくとも一部の間隙に、通風方向にのびる波頂部、通風方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲートフィンが配置されており、コルゲートフィンの連結部に、長手方向を連結部の幅方向に向けた複数のルーバが通風方向に並んで形成され、全てのルーバが、通風方向に連続して並びかつ風下側に向かって同方向に傾斜した複数のルーバからなる複数のルーバ群に分けられ、隣り合うルーバ群のルーバの傾斜方向が異なっているエバポレータであって、
コルゲートフィンの連結部における最風下側ルーバ群が設けられた部分が風下側に向かって上方に傾斜し、最風下側ルーバ群のルーバが風下側に向かって上方に傾斜しているエバポレータ。 - 最風下側ルーバ群のルーバにおける水平面に対する傾斜角度が25〜45度である請求項1記載のエバポレータ。
- 最風上側ルーバ群のルーバが風下側に向かって下方に傾斜している請求項1または2記載のエバポレータ。
- コルゲートフィンの連結部における最風上側ルーバ群が設けられた部分が水平である請求項1〜3のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
- コルゲートフィンの連結部における風下側に向かって上方に傾斜した傾斜部に、最風下側ルーバ群を含んで少なくとも2つのルーバ群が設けられており、最風下側ルーバ群と、最風下側ルーバ群に隣り合うルーバ群との間に、上方に開口しかつ長手方向をコルゲートフィンの連結部の幅方向に向けた溝状である凝縮水貯留部が形成されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
- 凝縮水貯留部の溝底部が、ルーバの長手方向と直交する垂直面上において、最風下側ルーバ群のルーバの幅方向の中心を結ぶ直線よりも下方に位置している請求項5記載のエバポレータ。
- コルゲートフィンの連結部に4つのルーバ群が設けられている請求項1〜6のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
- コルゲートフィンの連結部に2つのルーバ群が設けられている請求項1〜6のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
- 通風方向に間隔をおいて配置された2つの扁平状冷媒流通管からなる管組が、冷媒流通管の厚み方向に間隔をおいて複数配置され、コルゲートフィンの配置された間隙が、冷媒流通管の厚み方向に隣り合う2つの管組どうしの間に形成されており、コルゲートフィンが隣り合う管組の通風方向に並ぶ2つの冷媒流通管に跨って配置され、最風下側ルーバ群が風下側冷媒流通管の位置に設けられ、最風上側ルーバ群が風上側冷媒流通管の位置に設けられている請求項1〜8のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
- コルゲートフィンの配置された間隙が、冷媒流通管の厚み方向に隣り合う2つの冷媒流通管どうしの間に形成されている請求項1〜8のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014054860A JP2015175588A (ja) | 2014-03-18 | 2014-03-18 | エバポレータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014054860A JP2015175588A (ja) | 2014-03-18 | 2014-03-18 | エバポレータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015175588A true JP2015175588A (ja) | 2015-10-05 |
Family
ID=54254932
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014054860A Pending JP2015175588A (ja) | 2014-03-18 | 2014-03-18 | エバポレータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015175588A (ja) |
-
2014
- 2014-03-18 JP JP2014054860A patent/JP2015175588A/ja active Pending
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