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JP2015174416A - 画像形成装置 - Google Patents

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JP2015174416A
JP2015174416A JP2014054347A JP2014054347A JP2015174416A JP 2015174416 A JP2015174416 A JP 2015174416A JP 2014054347 A JP2014054347 A JP 2014054347A JP 2014054347 A JP2014054347 A JP 2014054347A JP 2015174416 A JP2015174416 A JP 2015174416A
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愛乃 長谷川
Yoshino Hasegawa
愛乃 長谷川
史育 金子
Fuminari Kaneko
史育 金子
祐馬 臼井
Yuma Usui
祐馬 臼井
染矢 幸通
Yukimichi Someya
幸通 染矢
竹内 弘司
Koji Takeuchi
弘司 竹内
宏之 山下
Hiroyuki Yamashita
宏之 山下
英臣 佐久間
Hideomi Sakuma
英臣 佐久間
貴彦 松本
Takahiko Matsumoto
貴彦 松本
健 日原
Takeshi Hihara
健 日原
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Abstract

【課題】被記録媒体として普通紙を用いる場合でもフェザリングやブリーディングを抑制でき、高画質の画像を得ることが可能で、かつ、画像形成済み被記録媒体を重ねても被記録媒体同士の付着を防ぐことが可能で、さらに、保管が比較的容易で均一塗布が容易な処理液を用いたインクジェット方式の画像形成装置を提供する。【解決手段】被転写体37に向けて水性記録液を吐出するヘッド61Y、61M、61C、61BK、及び、被転写体に処理液を付与する処理液付与手段73を有する画像形成装置100であって、処理液は、水溶性高分子材料を含む水、該水と非相溶の低極性溶媒、界面活性剤、及び皮膜形成剤を含有し、前記水と低極性溶媒とがW/Oエマルションを形成したものであり、前記水性記録液と前記処理液とを接触させ、前記W/OエマルションをO/Wエマルションに転相させる。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
従来より、複数のノズルからインク等の液を吐出するヘッドを備え、インクジェット記録を行うインクジェットプリンタ等の画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1の特開2003−82265号公報、特許文献2の特開2003−246135号公報、特許文献3の特開2000−343808号公報参照)。
インクジェット記録は、数十μmといった径の微細なノズルからインクを吐出するため、インクの目詰まり等の問題が生じやすいことから、インクの着色剤としては、従来から溶解性の高い染料が用いられてきた。
染料インクは、発色性に優れており、写真プリントにおいて銀塩写真に匹敵する画質を得ることができる。
しかし、その反面、耐水性・耐光性・対ガス性など画像保存性に劣るという問題を有している。これらの問題を補うため、インクの着色剤として顔料の利用が進められ、現在では、工業用の大判プリンタから、パーソナル市場やオフィス市場の小型プリンタまで顔料インクが搭載されるようになっている。
普通紙にカラー画像を印字する際には、2色重ね部分等の色境界での滲み、すなわちブリーディングや、文字や細線の印字部周辺への滲み、すなわちフェザリングが発生しやすい。
これらの滲みを防止するために、処理液や吸水性微粒子を用いることが提案されている。
たとえば、特許文献1の特開2003−82265号公報には、インク中の着色剤と反応し、凝集作用を引き起こす多価金属塩等を含む処理液を用い、該処理液が付着した部分にインクを吐出し、着色剤を凝集させて画像形成を行う技術が提案されている。
また、特許文献2の特開2003−246135号公報には、カチオン性高分子材料と、界面活性剤及び/又は濡れ性促進剤とを、含む処理液を用い、該処理液が付着した部分にインクを吐出し、インク中の着色剤の分散性または溶解性を低下させると共にインクを増粘させて画像形成を行うことが提案されている。
また、特許文献3の特開2000−343808号公報には、中間転写体の表面にポリアクリル酸等の吸水性樹脂微粒子を付与し、吸水性樹脂微粒子層を形成し、中間転写体に付与されるインク中の水分を前記吸水性樹脂微粒子に吸収させた後に、該吸水性樹脂微粒子ごと被記録媒体に転写することが提案されている。
さらには、特許文献4の特開2010−710号公報には、吸水性樹脂粒子とsp値が9〜19以下の硬化性材料とを中間転写体上に供給し、該中間転写体にインクを付与し、転写後に画像を硬化させる技術が提案されている。
特許文献5の特開2013−86310号公報には、吸液粒子と硬化性材料とを含む液を中間転写体に供給し、該中間転写体にインクを付与し転写後に画像を硬化させることで、インクにより形成された画像の変形を抑える技術が提案されている。
しかし、上述の、多価金属塩等を含む処理液を用いる技術は、ブリーディング、フェザリングには効果的であるが、ドット内にムラが発生するという問題がある。
また、上述の、カチオン性高分子材料等を含む処理液を用いる技術は、ブリーディング、フェザリングには効果的である。しかし、カチオン性ポリマーが溶解しているために処理液が高粘度になるため、均一塗布が難しく、塗布ムラが生じると画像が乱れの原因となる。
また、前記処理液は水系処理液であるため、普通紙に付与する場合はカールやコックリングが発生し易い。一方、中間転写体に付与する場合は、上述のように均一塗布が難しいことから転写率が低くなり、画像濃度が低くなってしまうという問題がある。
また、上述の、吸水性樹脂微粒子を用いる技術は、吸水性樹脂微粒子の状態が良好であれば普通紙上でも良好な画像品質が得られる。しかし、保管時の吸湿により吸水性樹脂微粒子が塊状になると、均一な塗布が困難になり、画像の乱れが生じるという問題がある。
また、吸水性樹脂は、保水性が高いため、画像の乾燥性が劣り画像形成済みの被記録媒体同士の付着が生じることがある。
さらに、上述の吸水性樹脂粒子とsp値が9〜19以下の硬化性材料とを用い、中間転写体上に形成した画像を被記録媒体に転写した後に硬化する技術では、インクに炭化水素系溶媒(アイソパー)を用いており、水溶性インクを用いるものではないため、吸水性樹脂との応答性が乏しく、画像形成が困難である。
また、硬化性材料の離型性を上げるために中間転写体上に離型層を設けることが必要になる等、制御が複雑になる。
本発明は、被記録媒体として普通紙を用いる場合でもフェザリングやブリーディングを抑制でき、高画質の画像を得ることが可能で、かつ、画像形成済み被記録媒体を重ねても被記録媒体同士の付着を防ぐことが可能で、さらに、保管が比較的容易で均一塗布が容易な処理液を用いたインクジェット方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明らは、水溶性高分子材料を含む水と該水と非相溶の低極性溶媒とで形成されるW/OエマルションをO/Wエマルションに転相させ、かつ皮膜形成剤を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は、つぎの本発明の(1)「被転写体に向けて水性記録液を吐出するヘッド、前記被転写体に処理液を付与する処理液付与手段、及び、皮膜形成剤を前記被転写体に付与する皮膜形成剤付与手段を有する画像形成装置であって、
前記処理液は、水溶性高分子材料を含む水、該水と非相溶の低極性溶媒、及び、界面活性剤を含有し、前記水と低極性溶媒とがW/Oエマルションを形成したものであり、
皮膜形成剤が付与された被転写体に、前記水性記録液と前記処理液とを付与し、前記W/OエマルションをO/Wエマルションに転相させることを特徴とする画像形成装置。」によって解決される。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、被記録媒体として普通紙を用いる場合でもフェザリングやブリーディングを抑制でき、高画質の画像を得ることが可能で、かつ、画像形成済み被記録媒体を重ねても被記録媒体同士の付着を防ぐことが可能で、さらに、保管が比較的容易で均一塗布が容易な処理液を用いたインクジェット方式の画像形成装置を提供することが提供される。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略正面図である。 同図(a)はW/Oエマルションの模式図であり、同図(b)はO/Wエマルションの模式図である。 本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
なお、本発明は上記(1)に記載の「画像形成装置」に係るものであるが、以下の説明から理解されるように、この「画像形成装置」は、つぎの(2)〜(7)に記載の「画像形成装置」をも包含するものである。
(2)「被転写体に向けて水性記録液を吐出するヘッド、及び、前記被転写体に処理液を付与する処理液付与手段を有する画像形成装置であって、
前記処理液は、水溶性高分子材料を含む水、該水と非相溶の低極性溶媒、界面活性剤、及び皮膜形成剤を含有し、前記水と低極性溶媒とがW/Oエマルションを形成したものであり、
前記水性記録液と前記処理液とを接触させ、前記W/OエマルションをO/Wエマルションに転相させることを特徴とする画像形成装置。」
(3)「前記処理液付与手段は、環境温度及び/または環境湿度に応じて被転写体に付与する処理液量を変化させるものであることを特徴とする前記(1)項または(2)に記載の画像形成装置。」
(4)「前記被転写体は、中間転写体であることを特徴とする前記(1)項1乃至(3)項のいずれかに記載の画像形成装置。」
(5)「前記処理液を被転写体に付与してから前記水性記録液を被転写体に付与するものであることを特徴とする前記(1)項1乃至(4)のいずれかに記載の画像形成装置。」
(6)「前記皮膜形成剤が低極性溶媒と相溶していることを特徴とする前記(2)項乃至(5)項のいずれかに記載の画像形成装置。」
(7)「前記皮膜形成剤が低極性溶媒に分散していることを特徴とする前記(2)項乃至(5)項のいずれかに記載の画像形成装置。」
(処理液)
本発明の処理液は、水溶性高分子材料、水と非相溶の低極性溶媒、第1の界面活性剤及び水を含有し、前記水と低極性溶媒とがW/Oエマルションを形成したものであり、必要に応じて、前記低極性溶媒に相溶または分散可能な皮膜形成剤を含有していてもよい。
前記水溶性高分子材料は、水相に含有され、記録液中の着色成分を増粘、凝集させるものであり、記録液が転写紙Sに転写されたときに記録液中の着色成分等が転写紙Sに滲むことを防止ないし抑制する機能を有するものである。
前記水溶性高分子材料により、ブリーディング、フェザリングが防止ないし抑制された高精細で高画質の画像形成が行われると共に、転写紙のカールやコックリングが防止ないし抑制される。
前記水溶性高分子材料は、インク液との反発応答性が速いものであれば、特に限定されるものではないが、記録液中のイオンと反対の電荷をもつものが好ましい。
例えば、記録液中のイオン性着色剤及び/又はイオン性樹脂がアニオン性の場合は、処理液に用いる水溶性高分子材料はカチオン性が好ましい。
また、記録液中のイオン性着色剤及び/又はイオン性樹脂がイオン性着色剤及び/又はイオン性樹脂がカチオン性の場合は、処理液に用いる水溶性高分子材料はアニオン性が好ましい。
しかし、これに限定されることはなく、インク液との反発応答性が速いものはにじみのない画像を得ることが可能であり、ノニオン性の水溶性高分子材料であってもよい。
前記カチオン性の水溶性高分子材料としては、分子中にカチオン性基を有するのであれば特に限定されるものではない。
カチオン性の水溶性高分子材料の具体例としては、ポリアリルアミン及びその塩、ポリビニルアミン及びその塩、ポリエチレンイミン及びその塩、ポリアクリルアミド及びその塩、カチオンエポキシ、カチオンエマルジョン、アリルアミン−マレイン酸共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム及びその塩、塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体及びその塩、ビニルピロリドンN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体及びその塩、N−ビニルピロリドンN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体及びその塩、特殊変性ポリアクリル酸エステル及びその塩、ポリアクリル酸エステル及びその塩、ポリメタクリル酸エステル及びその塩、ポリジシアンジアミド及びその塩、ポリアミン縮合物及びその塩、等が挙げられる。
アニオン性の水溶性高分子材料としては、分子中にアニオン性基を有するのであれば特に限定されるものではない。
アニオン性の水溶性高分子材料の具体例としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
ノニオン性の水溶性高分子材料としては、例えばポリアクリルアミド等が挙げられる。
水溶性高分子材料は、一種または複数を混合して用いてもよい。
前記低極性溶媒は、水と非相溶であれば使用することができ、具体例としては、ジメチコン、イソドデカン、シリコーンオイル、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、アセチレン系炭化水素、又、オリーブオイル、パームオイル、菜種油、胡麻油、等の植物油、牛脂等の動物油、等の有機溶媒が挙げられ、これらは混合して用いてもよい。
前記第1の界面活性剤は、前記低極性溶媒と水溶性高分子材料が溶解した水とを乳化させ、W/Oエマルションを形成させるものであり、親油性の高い界面活性剤が好適に用いられる。
第1の界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、等が挙げられ、これらは混合して用いてもよい。
前記第1の界面活性剤のHLB値は、8以上12未満であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。HLB値が12未満であるとW/Oエマルションを安定化でき、保管が容易でかつ均一塗布が可能になる。HLB値が8未満であると水性記録液と混合したときにO/Wエマルションに転相し難くなることがある。
保管状態でW/Oエマルションを安定に存在させ、水性記録液と混合したときにO/Wエマルションに転相させるには、低極性溶媒や界面活性剤や温度にもよるが、例えば10℃〜30℃の範囲では、水15〜30質量%、低極性溶媒15〜30質量%、水溶性高分子材料30〜60質量%、界面活性剤2〜20質量%であることが好ましい。
前記W/Oエマルションとしては、市販品を用いてもよく、例えば、SEPIPLUS400、SIMULGEL A、SOLAGUM SF−306等(いずれもセピック社製)を挙げることができる。
前記皮膜形成剤は、処理液の低極性溶媒に対して分散または相溶可能なものを使用でき、低極性溶媒中に溶解していてもよく、また、低極性溶媒中にエマルション樹脂として分散していてもよい。
皮膜形成剤としては、例えばシリコーン変性アクリル樹脂、アクリル酸アルキルジメチコンコポリマー、トリメチルシロキシケイ酸などが挙げられる。
これらの皮膜形成剤は、低極性溶媒と相溶性を持つものは相溶し、また、相溶せずエマルション樹脂として分散している形態をとるものもあるが、どちらも本発明の処理液の低極性溶媒と混合して用いることが可能であり、これらは混合して用いてもよい。
る。
前記皮膜形成剤は、処理液中に含まれなくてもよく、処理液の前処理として、皮膜形成剤付与手段により、中間転写体に皮膜形成剤を塗工し用いることも可能である。
皮膜形成剤は、低極性溶媒にあらかじめ分散または相溶させ、W/Oエマルションを調整後に添加したり、W/Oエマルションを調整した後に加えることも可能である。
皮膜形成剤の含有量は、皮膜形成剤を含むW/Oエマルションにおいて1〜50質量%含有していることが好ましく、3〜20質量%含有していることがより好ましい。
本発明の処理液は、水92に水溶性高分子材料91を溶解させた水溶液を、界面活性剤94を用いて低極性溶媒93中に分散させたものであり、図2(a)に示すように、水溶性高分子材料91を含む水92が水滴となって分散相となるとともに、低極性溶媒93が連続相となっている。
なお、図2(a)に示されているように低極性溶媒93による油相中に水滴が分散している状態をW/Oエマルションという。
これに対し、図2(b)に示すように水92による水相中に低極性溶媒93による油滴が乳化している状態をO/Wエマルションという。
本発明の処理液は、後述する記録液と接触・混合することで、図2(a)に示したW/Oエマルションが図2(b)に示したO/Wエマルションに転相する。
W/Oエマルションの状態では、水溶性高分子材料が分散相である水滴中にまとまって内包され、処理液全体に広がることはないが、O/Wエマルションに転相すると水が分散媒となって連続相となるため、水溶性高分子材料は処理液全体に分散する。
したがって、転相前の状態においては、水溶性高分子材料がW/Oエマルションの状態で水滴中に内包されているため、W/Oエマルションの状態では処理液の粘度が抑制されているが、転相後においては、水溶性高分子材料が増粘作用を発揮する。
W/OエマルションからO/Wエマルションに転相したか否かは、導電率を測定することで確認できる。すなわち、W/Oエマルションは電気伝導度が小さいまたは測定されないが、記録液を滴下して攪拌することで転相して水相が繋がり、電気伝導度が増加する。
また、画像上においては、転相せずにW/Oエマルションのままであると水性記録液が処理液にはじかれるため、転相の有無を確認できる。
このような処理液の塗布量は、50mg/A4〜100mg/A4であることが好ましい。
(水性記録液)
水性記録液について説明する。
本発明の記録液は、水性記録液であり、水系媒体及び着色剤を含むものである。
(着色剤)
イエロー、マゼンタ、シアン、黒に対応した記録液の着色剤、すなわち色剤としては、アニオン性染料、カチオン性染料、又、アニオン性分散剤、又はカチオン性分散剤で分散された顔料、その他、着色エマルションが挙げられる。
アニオン性染料としては、特に分子中に3個以上のカルボキシル基、スルホン酸基を含むものであると、処理液中の水溶性高分子材料との反応性が高く、水溶性高分子材料との反応による増粘、凝集によって転写紙Sに転写されたときの滲みが防止ないし抑制されるため好ましい。
また、分子中に3個以上のカルボキシル基、スルホン酸基を含むと、記録液の保存安定性、耐目詰まり特性が確保される点でも好ましい。
前記アニオン性染料の具体例としては、たとえば、カラーインデックスにおいて酸性染料、食用染料、直接性染料、反応性染料に分類される染料が挙げられる。
より具体的には、酸性染料及び食用染料として、C.I.アシッドイエロー 17、23、42、44、79、142 C.I.アシッドレッド 1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289 C.I.アシッドブルー 9、29、45、92、249 C.I.アシッドブラック 1、2、7、24、26、94 C.I.フードイエロー 3、4 C.I.フードレッド 7、9、14 C.I.フードブラック 1、2等が挙げられる。
また、直接性染料として、C.I.ダイレクトイエロー 1、12、24、26、33、44、50、86、120、132、142、144 C.I.ダイレクトレッド 1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227 C.I.ダイレクトオレンジ 26、29、62、102 C.I.ダイレクトブルー 1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202 C.I.ダイレクトブラック 19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168、171等が挙げられ。
反応性染料として、C.I.リアクティブ.ブラック3、4、7、11、12、17、C.I.リアクティブ.イエロー1、5、11、13、14、20、21、22、25、40、47、51、55、65、67、C.I.リアクティブ.レッド1、14、17、25、26、32、37、44、46、55、60、66、74、79、96、97、C.I.リアクティブ.ブルー1、2、7、14、15、23、32、35、38、41、63、80、95等が挙げられる。
この反応性染料は、溶解性の高さ、色調の良好さ、及び画像形成装置100における転相を用いた記録方法による場合の耐水性の良さから好ましく用いることができる。
前記カチオン性染料としては塩基性染料、カチオン染料が挙げられる。
より具体的には、塩基性染料として、C.I.ベーシックブルー9、12、26、C.I.ベーシックレッド2、5、9、C.I.ベーシックブラック2等が挙げられる。
また、カチオン染料として、G.Yellow GL 200、Red BL 200 R−46、Blue GRL−NB41等が挙げられる。
前記顔料としては、無機顔料、有機顔料が挙げられる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の白色顔料や酸化鉄等の黒色顔料等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(たとえば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。
また、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等の着色剤を顔料として用いてもよい。
より具体的には、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(ベンガラ)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
着色剤として顔料を含む記録液を用いる場合には、たとえば、酸化反応によりカルボキシル基が導入されたカーボンブラック、カルボキシル基やスルホン酸基を含むジアゾニウム塩から生成されるラジカルとカーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン等の顔料を反応させてなる自己分散性の顔料、カルボキシル基やスルホン酸基を含むラジカル開始剤とカーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン等の顔料を反応させてなる自己分散性の顔料、顔料の官能基とカルボン酸の無水物を反応させてなる自己分散性顔料等、イオン性の基、特にカルボキシル基が共有結合で結合している顔料が好ましく用いられる。
これらの顔料は、水を主体とする液媒体中で、極めて安定な分散状態が保たれ、記録液の保存性、耐目詰まり性に優れる。また、これらの顔料は、処理液中の水溶性高分子材料との反応性が高く、水溶性高分子材料との反応による増粘、凝集によって混色の発生防止効果が大きい。
前記顔料は、アニオン性の高分子分散剤、又はカチオン性の高分子分散剤で分散される。
アニオン性の高分子分散剤の例として、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体及びその塩、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩、スチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、スチレン−メタクリル酸共重合体及びその塩、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩、スチレン−マレイン酸共重合体及びその塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体及びその塩、酢酸ビニル−エチレン共重合体及びその塩、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体及びその塩、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体及びその塩、βナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。
これらのアニオン性の高分子分散剤は、酸の形で用いてもよいが、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩を用いてもよい。
これらのアニオン性高分子分散剤は処理液中の水溶性高分子材料と反応して、混色の発生防止効果が大きい点で、特に好ましい。
また、これらのアニオン性高分子分散剤は、着色剤の接着機能を有するため、転写工程における中間転写体37から転写紙Sへの転写率を向上させるという利点が得られる。
カチオン性基を有する高分子分散剤の例としては、脂肪族アミン塩、等が挙げられる。
また、アニオン性の界面活性剤も顔料分散剤として好ましく使用できる。
アニオン性の界面活性剤としては、具体的には、オレイン酸及びその塩、ラウリン酸及びその塩、ベヘン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、又その様な脂肪酸及びその塩、ドデシルスルホン酸及びその塩、デシルスルホン酸及びその塩、又その様なアルキルスルホン酸及びその塩、ラウリル硫酸塩、オレイル硫酸塩等のアルキル硫酸エステル類、ドデシルベンゼンスルホン酸及びその塩、ラウリルベンゼンスルホン酸及びその塩、又その様なアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、ジオクチルスルホ琥珀酸及びその塩、ジヘキシルスルホ琥珀酸及びその塩、又その様なジアルキルスルホ琥珀酸及びその塩、ナフチルスルホン酸及びその塩、ナフチルカルボン酸及びその塩、又その様な芳香族アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、フッ素化アルキルカルボン酸及びその塩、フッ素化アルキルスルホン酸及びその塩等のフッ素系アニオン性界面活性剤等が顔料を分散する分散剤として挙げられる。
これらの界面活性剤を顔料の分散剤として用いる場合、アルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩等のカルボキシル基を含む界面活性剤を用いることが、処理液中の水溶性高分子材料との反応性が高く、混色の発生防止効果が大きい点で、特に好ましい。
顔料を分散させた記録液中の顔料の粒径は、特に制限はないが、最大個数換算で最大頻度が20〜150nmの粒径の顔料インクを用いることが好ましい。
粒径が150nmを超えると、記録液としての顔料分散安定性が低下するばかりでなく、記録液の吐出安定性も低下し、画像濃度等の画像品質も低くなり好ましくない。
一方、粒径が20nm未満では、記録液の保存安定性、ヘッドからの噴射特性は安定し、処理液を用いる場合には、高い画像品質も得られる。しかし、そのように細かな粒径にまで分散せしめるのは、分散操作や、分級操作が複雑となり、記録液を低廉化することが困難となるため好ましくない。
また、記録液に用いる着色剤としては、着色樹脂微粒子が懸濁された、所謂、着色エマルジョンを使用できる。
着色樹脂微粒子としては、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を油性染料、分散染料又は顔料等により着色したものを使用できる。
たとえば、微粒子の殻に当たる部分をポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の親水性を有する樹脂で形成ことにより、アニオン性の着色微粒子が水を主体とする液媒体に懸濁された記録液が得られる。また、微粒子の殻に当たる部分を、反応性の界面活性剤等イオン性を有する界面活性剤で懸濁しても同様の記録液が得られる。
着色エマルジョンを用いた記録液を用いる場合にも、前述のアニオン性界面活性剤で乳化し重合したものや、外殻がポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の親水性を有する樹脂で形成したエマルジョンを用いることが、処理液中の水溶性高分子材料との反応性が高く、混色の発生防止効果が大きい点で、特に好ましい。
また、これらの着色樹脂微粒子は最低造膜温度にもよるが、転写工程における中間転写体37から転写紙Sへの転写効率が向上する利点がある。転写工程で最低造膜温度以上に加熱すれば、高い転写率と良好な光沢性、耐光性、耐水性、耐擦過性を持つ印刷物が得られる。
以上、着色剤として、染料、顔料、着色エマルションを用いた記録液について説明した。これらの着色剤はイオン性着色剤であるが、たとえば着色エマルションはノニオン性であってもよい。
(水系媒体)
本発明の記録液は水を主な液溶媒として使用するが、記録液を所望の物性にするため、あるいは記録液の乾燥によるヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tのノズルの詰まりを防止するため、湿潤剤として水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。
水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
これらの溶媒は、水と共に単独若しくは複数混合して用いられる。これらの水溶性有機溶媒の含有量について特に制限はないが、好ましくは記録液全体の1〜60質量%、更に好ましくは5〜30質量%の範囲で用いる。
(第2の界面活性剤)
記録液と処理液とが接触・混合した際に、処理液と記録液との混合液中の水溶性高分子材料の分散状態の変化、すなわち、W/OエマルションからO/Wエマルションに転相させるために、水性記録液には、親水性の高い界面活性剤を添加することが好ましい。
この親水性の高い界面活性剤を水性記録液に添加することで、記録液と処理液とが混合する際に効率よく分散状態が変化するため好適である。
親水性の高い界面活性剤としては、Hydrophile−Lipophile BalanceすなわちHLB値が8以上である界面活性剤を用いることが望ましい。
但し、HLB値が高すぎる際には、ヘッド内で記録液に気泡が生じやすくなる傾向がある、HLB値は8〜15であることが最も望ましい。
なお、前記第2の界面活性剤は、上述した、水性記録液と処理液との接触による、W/OエマルションからO/Wエマルションへの転相に必須のものではないことが分かっている。
(親水性高分子材料)
本発明の記録液には、必要に応じて親水性高分子材料を添加することができる。
記録液には、親水性高分子材料を添加することで、処理液中の水溶性高分子材料との反応により記録液の増粘作用、凝集作用を強め、画像品位が向上するという利点が得られる。
なお、以下において親水性高分子材料として説明するイオン性樹脂は、増粘作用、凝集作用を発揮するため、画質の向上及び転写紙Sのカールを防止ないし抑制する利点を得る上で好ましい。しかしこのイオン性樹脂は必須ではなく、また、イオン性樹脂でなくノニオン性樹脂を用いても同様の利点が得られる場合がある。
かかる親水性高分子材料としては、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子材料、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子材料、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子材料、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子材料又はセラック等、半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子材料、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子材料、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子材料、純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子材料、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、アクリル酸エステル、水溶性スチレン−アクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレン−アクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレン−マレイン酸樹脂、βナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩等が挙げられる。
水溶性高分子材料を記録液に用いる場合にも、カルボン酸をアニオン基として含むものを使用することが、処理液中の水溶性高分子材料との反応性が高く、混色発生防止効果が大きい点で、特に好ましい。また、前述のアニオン性高分子材料や樹脂エマルジョンと同様に、転写工程における中間転写体37から転写紙Sへの転写率が向上する利点が得られる。
記録液は、処理液中の水溶性高分子材料と反応する親水性高分子材料として、糖類、特に多糖類を含むことも好ましい。糖類化合物の例としては、アルギン酸及びその塩、ウロン酸及びその塩、アルドン酸及びその塩等が挙げられる。
記録液には、処理液中の水溶性高分子材料と反応する成分として、着色剤を含まない樹脂エマルジョン、ラテックスを添加することも好ましい。
特に、樹脂エマルジョンは、処理液中の水溶性高分子材料との反応により記録液の増粘作用、凝集作用を強め、画像品質を向上させるため好ましい。また、樹脂エマルジョンの種類によっては、樹脂エマルジョンが被転写体である中間転写体37上で皮膜を形成し、印刷物の耐光性、耐水性、耐擦過性をも向上させる利点を有する。
また、特に、着色エマルジョンと同様に、アニオン系界面活性剤で乳化、分散された樹脂を用いることが好ましい。また、外殻がアクリル酸、メタクリル酸等により構成されたカプセル型の樹脂エマルジョンを用いることも好ましい。
懸濁相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。
また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
市販の樹脂エマルジョンの例としては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)等が挙げられる。
記録液中の樹脂エマルジョンは、その樹脂成分が記録液の0.1〜40質量%となるよう添加するのが好ましく、より好ましくは1〜25質量%の範囲である。
(その他の添加剤)
記録液は、その他、必要に応じて、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、硼酸、硝酸、硫酸、酢酸等が挙げられる。
記録液の物性の好適な範囲は、25℃付近でpHが6〜12、表面張力が10〜60mN/m、粘度が1〜20mPa・sである。
なお、後述するヘッド61Tにおいて用いる記録液は、以上説明した組成の記録液において着色剤を非含有とした記録液である。
(画像形成装置)
図1に本発明を適用した画像形成装置の一例の概略を示す。画像形成装置100は、インクジェットプリンタであり、フルカラーの画像形成を行うことが可能なものである。
画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。
画像形成装置100は、インク吐出装置60、給紙ユニット20、搬送ユニット10、クリーニング装置40、処理液を付与する処理液付与手段73、排紙台25、及び、画像形成装置100の動作全般を制御する制御部98を有する。
前記インク吐出装置60と、搬送ユニット10と、クリーニング装置40と、制御部98に備えられた、ヘッド61の図示しない制御基板とで、印字ユニットを構成する。
(インク吐出装置)
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、用いる記録液の色、組成が異なる他は、互いに略同様の構成となっている。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、それぞれ、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tがそれぞれ複数、主走査方向に並設されたフルライン型であってもよい。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、複数のヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tに供給される当該色の記録液を収容したインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK、81Tを有している。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に分解された、それぞれの色に対応する画像を形成可能な記録ヘッドとしてのヘッド61Y、61M、61C、61BKを有している。
また、インク吐出装置60は、無色透明のインクとしての記録液を吐出する記録液吐出体としてのインクヘッドである記録ヘッドとしてのヘッド61Tを有している。
なお、図1において各符号の数字の後に付されたY、M、C、BK、Tは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒、無色透明用の部材であることを示している。
記録ヘッド手段としてのヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、画像形成装置100の本体99の略中央部に配設された中間転写体37としての中間転写ローラの外周面に対向する位置に配設される。
このように、画像形成装置100は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKが中間転写体37に対向し、かつ、図1に示すA1方向に並設したタンデム構造となっている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、中間転写体37の移動方向の上流側から、すなわち、図1のA1に示す時計回り方向に順に並んで配設される。
なお、各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、図1の紙面に垂直な方向に複数が並設された態様のラインヘッドであってもよい。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するインク吐出装置60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
また、ヘッド61Tは、無色透明(T)の画像を形成するための画像形成手段としての記録液吐出装置であるインク吐出装置60Tに備えられている。
中間転写体37は、図1に示すA1方向に回転しながら、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向する領域において、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKから、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒の記録液が吐出され、順次重ね合わされる態様で付与される。
また、中間転写体37は、図1に示すA1方向に回転しながら、ヘッド61Tに対向する領域において、前記イエロー、マゼンタ、シアン、黒の記録液が付与された領域である第1の領域と異なる第2の領域に、ヘッド61Tから無色透明の記録液が吐出されて付与される。
このようにして、中間転写体37表面の一次画像形成面上に、一次画像である画像が形成され、中間転写体37が被転写体として機能する。
ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tによる中間転写体37に対する記録液の吐出、すなわち記録液の付与は、図1に示すA1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
これにより、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の画像領域が、中間転写体37上の同じ位置に重なって第1の領域に画像が形成されるとともに、無色透明の画像領域が第2の領域に形成される。
本発明において、第1の領域とは、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tによって記録液を付与され得る画像形成可能領域のうち、ユーザーが形成を所望する画像を構成する画像部である。
第2の領域とは、かかる画像形成領域のうち、ユーザーが形成を所望する画像の反転画像を構成する非画像部である。
なお、ヘッド61Tによって吐出される記録液は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKによって吐出される記録液によって形成される画像の妨げとならなければよいため、無色透明でなく、たとえば白色等の色がついていてもよい。
前記ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、ヘッド支持体としてのキャリッジ62に一体に支持される。
キャリッジ62は、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tと一体で、本体99に対して着脱可能となっている。
着脱可能であることにより、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tに劣化等が生じたときに、これらを新規のものに交換可能になり、また、メンテナンスが容易になる。
また、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、それぞれに劣化等が生じたときに、それぞれを新規のものに交換可能にするため、また、メンテナンスを容易にするために、それぞれが独立して本体99に対して着脱可能となっていてもよい。これによって、交換作業、メンテナンス作業が容易化されている。
また、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、記録液を各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tに向けて圧送し給送するための供給ポンプとしての図示しないポンプを有している。
また、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、前記供給ポンプによって供給されてきた記録液を各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tに分配して供給する図示しないディストリビュータタンクを有している。
また、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、前記ディストリビュータタンク内の記録液量の不足を検出するために同記録液量を検知する記録液量検知手段であるインク量検知手段としての図示しないインク量検知センサを有している。
また、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK、81Tとディストリビュータタンクとの間の記録液の給送路をポンプとともに形成する図示しないパイプを有している。
また、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、60Tは、ディストリビュータタンクと各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tとの間の記録液の給送路を形成する図示しないパイプを有している。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK、81Tは、本体99に対して着脱可能となっている。着脱可能であることにより、内部の記録液が消費されて残り少なくなったとき、あるいは、なくなったとき等に新規のものに交換可能であり、また、メンテナンスは容易になる。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK、81Tは、メインタンクとしての記録液カートリッジとして機能する。
前記ポンプは、制御部98によって作動を制御され、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK、81T内に収容された記録液を各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tに供給する。
具体的には、ポンプは、インク量検知センサによってディストリビュータタンク内の記録液量の不足が検出されたことを条件として、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tによる記録液の吐出が停止されているときに駆動される。
この駆動により、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK、81T内の記録液が、記録液供給部であるインク供給部としてのディストリビュータタンクに供給される。この駆動は前記液量の不足が検出されなくなるまで継続される。
この点、制御部98は記録液供給制御手段であるインク供給制御手段として機能する。
その他、制御部98は、画像形成装置100において駆動される構成については、特に説明しない場合であっても、その駆動を制御するようになっている。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、図示を省略するが、中間転写体37を向く記録液吐出側において、ノズル板と、ノズル板に形成された微小なノズルとを有している。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、また、図示を省略するが、ノズルから記録液を液滴化して吐出させ中間転写体37に着弾させるための、画像信号に基づいて駆動されるアクチュエータとして、ピエゾ方式の可動アクチュエータを有している。
この可動アクチュエータは、ピエゾ素子の変位で液室内の記録液に圧力を加えてノズルから記録液を吐出させる。ただし、可動アクチュエータは他の方式の可動アクチュエータであってもよい。
その他、各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、ヒータ加熱で発生するバブルで液室内の記録液に圧力を加えてノズルから記録液を吐出させるサーマル方式等の加熱膜沸騰方式を用いてもよい。
何れにしても、各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tは、画像信号に応じて駆動され、中間転写体37を介して転写紙Sに記録液を付与して画像を形成する。ノズルは各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tに多数備えられている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKから吐出する記録液は着色剤を含有しており、ヘッド61Tから吐出する記録液は着色剤を非含有である。このように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、着色剤を含有した水性記録液を吐出する第1のヘッドとして機能し、ヘッド61Tは、着色剤を非含有の水性記録液を吐出する第2のヘッドとして機能する。
(給紙ユニット)
給紙ユニットは、転写紙Sを搬送ユニット10に向けて給送する。
給紙ユニット20は、転写紙Sを多数枚積載可能な給紙トレイ21と、給紙トレイ21に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する送り出しローラとしての給紙ローラ22とを有している。
前記給紙トレイ21及び給紙ローラ22は、筐体23によりを支持される。
また、給紙ユニット20は、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tでの記録液の吐出タイミングに合わせて給紙ローラ22を回転駆動し、転写紙Sを給送させる図示しない駆動手段としてのモータ等を有している。
(搬送ユニット)
搬送ユニットは、図1に示すA1方向への中間転写体37の回転に伴って転写紙Sを搬送する。
搬送ユニット10は、中間転写体37、該中間転写体37に対向して配置され、中間転写体37との間の転写部31を転写紙Sが通過するときに中間転写体37上に担持された記録液による一次画像を転写紙Sに転写する転写装置36を有している。
(中間転写体)
前記中間転写体37は、支持体37aと、支持体37a上に形成された弾性を有する表面層37bからなっている。
支持体37aとしては、機械的強度があればよく、金属、合金等によって形成される。
具体的には、アルミニウム、ニッケル、ニッケル合金、熱硬化性樹脂、セラミック等によって形成してもよい。
表面層37bとしては、表面エネルギーが低く転写紙Sへの追従性が高く、記録液の剥離性が高い材料であれば使用できる。
表面層37bは、弾性を有することが必要であり、表面層37bが転写紙Sの繊維に沿って変形することで接触面積が向上し高い転写率が達成される。
低い圧力での転写を可能にするには表面層37bの材料としてある程度柔らかい材料を選択することが好ましい。
このような表面層としては、例えば、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム等によって形成することができる。
また、表面層37bの厚みは、0.1〜1mmが好ましく、0.2〜0.6mmであることがより好ましい。
(転写装置)
転写装置36は、転写ローラ38、接離装置77、及び転写ローラクリーニング装置78を有するものである。
転写ローラ38は、中間転写体37に従動回転し、中間転写体37との間で転写紙Sを挟み、中間転写体37上の画像を転写紙Sに転写するものである。
また、転写ローラ38が中間転写体37に対向する位置でA1方向と同じ方向に回転するように駆動するモータ等の駆動源を備えていてもよい。
転写ローラ38は、記録液、処理液による汚れ防止の観点から、表面エネルギーの低い撥水性部材を表面に配設されていることが好ましい。
転写ローラ38表面に配設される撥水性部材としては、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム材料が挙げられ、樹脂、金属、ゴム等の表面にフッ素処理をしたものが好ましい。
転写ローラ38の表面物性は、撥水性が水の後退接触角が60°以上であることが好ましく、80°以上であることがより好ましい。
また、硬度がJIS−Aで60以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。
また、表面層の厚みは0.1〜1mmが好ましく、0.2〜0.6mmがより好ましい。
前記接離装置77は、前記転写ローラ38を中間転写体37に近接させあるいは中間転写体37から離間させるものである。
転写ローラ38は、接離装置77により転写紙があるときに中間転写体37に近接するため、転写ローラ38が、中間転写体37に直接当接することが防止され、中間転写体37表面上の処理液や記録液が付着することが防止されている。
接離装置77は、転写ローラ38を中間転写体37に向けて近接するように変位させ、中間転写体37と転写ローラ38との間に転写紙Sを挟持させる。
変位させるタイミングは、レジストローラ34によって転写部31に向けて給送される転写紙Sの先端が、転写部31に進入するタイミングである。
転写ローラ38は、中間転写体37との間に転写紙Sを挟持した挟持状態で中間転写体37に向けて押圧され、転写紙Sを中間転写体37に加圧する加圧部材としての加圧ローラとして機能するようになっている。
そして、接離装置77は、中間転写体37と転写ローラ38との間に挟持され、中間転写体37の回転によって転写部31を搬送されている転写紙Sの後端が、転写部31を抜けるタイミングで、転写ローラ38を中間転写体37から離間するように変位させる。
接離装置77による転写ローラ38のこのようなタイミングでの駆動は、制御部98によって制御される。この点、制御部98は、転写制御手段として機能する。
接離装置77は、処理液、記録液の転写ローラ38への付着が画像形成や転写紙Sの汚れ、カールなどに影響を与えない場合、あるいはかかる影響が無視できる程度である場合などには省略可能である。ただし、接離装置77を省略した場合、中間転写体37上の処理液、記録液の転写ローラ38への付着量が多量になる可能性があるため、この場合は転写ローラクリーニング装置78を有することが望ましい。
転写ローラクリーニング装置78は、転写紙Sに当接することによって付着した紙粉、何らかの原因で中間転写体37から転移した処理液や記録液を転写ローラ38から除去することで転写ローラ38をクリーニングする。
図1に示す転写ローラクリーニング装置78は、定位置に固定されているが、接離装置77によって転写ローラ38と共に変位するようになっていてもよい。
転写ローラクリーニング装置78は、紙粉、中間転写体37上の処理液、記録液の転写ローラ38への付着が、画像形成や転写紙Sの汚れ、カールなどに影響を与えない場合、あるいはかかる影響が無視できる程度である場合などには省略可能である。
制御部98は、転写制御手段として機能する接離装置77の他、かかる駆動源等、転写装置36における駆動を制御する。
また、搬送ユニット10は、給紙ユニット20から給送されてきた転写紙Sを転写部31に向けて搬送する搬送ローラ32を有している。
また、搬送ユニットは、搬送ローラ32によって搬送されてきた転写紙Sを一旦停止させると共に、後述する所定のタイミングに応じて一旦停止させた転写紙Sを転写部31に給送するレジストローラ34を有している。
レジストローラ34は、中間転写体37上に形成された画像が中間転写体37の図1に示すA1方向への回転に伴って転写部31に至るタイミングで、転写紙Sを転写部31に給送する。
また、搬送ユニット10は、給紙ユニット20から給送されてきた転写紙Sを転写部31に案内するとともに、転写部31を通過した転写紙Sを排紙台25に案内するガイド板39を有している。
また、搬送ユニット10は、中間転写体37をA1方向に回転駆動する図示しない駆動手段としてのモータ等を有している。
(クリーニング装置)
クリーニング装置40は、図1に示すA1方向の転写部31の下流側、かつ処理液付与手段73上流側に中間転写体37に対向して設けられる。
クリーニング装置40により、記録液が転写紙Sに転写された後の中間転写体37は、表面、すなわち、一次画像形成面上に残留している記録液が除去される。
クリーニング装置40は、中間転写体37に当接し、中間転写体37上の記録液をクリーニングするための絶縁性のクリーニング部材としての図示しないクリーニングブレードを有している。
前記クリーニングブレードとしては、中間転写体37にその一部すなわち先端を当接することで、中間転写体37表面の記録液、具体的には転写後に残留している記録液を掻き取るような機能があればよく、耐磨耗性を有するものであることが好ましい。
(処理液付与手段)
処理液付与手段73は、中間転写体37に当接して中間転写体37に処理液を塗布する処理液塗布手段として機能する。
処理液付与手段73は、図1に示すA1方向のクリーニング装置40の下流側で、かつヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tの上流側に、中間転写体37に対向して設けられる。
処理液付与手段73は、中間転写体37に当接して処理液を塗布する処理液塗布部材としての処理液塗布ローラ74、処理液を収容すると共に、前記塗布ローラ74に処理液を供給する処理液タンク75、さらに、中間転写体37に対する塗布ローラ74の位置を変化させ、塗布ローラ74による中間転写体37に対する処理液の塗布量を変化させる塗布量調整装置76を有する。
前記塗布ローラ74は、少なくとも外周面が弾性部材によって形成されており、処理液タンク75に収容されている処理液に一部が浸漬された状態で設けられる。
塗布ローラ74は、主走査方向、すなわち、図1の紙面に垂直な方向に、すでに述べた画像形成可能領域に対応する幅で中間転写体37に当接する。
前記塗布量調整装置76は、塗布ローラ74を中間転写体37に当接させたまま、中間転写体37に対する塗布ローラ74の位置を変化させ、塗布ローラ74の中間転写体37に対する当接力を変化させる。
当接力が変化することにより、塗布ローラ74の表面に付着している処理液が中間転写体37に転移する量、すなわち塗布量が変化する。具体的には、中間転写体37に対する塗布ローラ74の位置が近く、中間転写体37に対する塗布ローラ74の当接力が強いほど、処理液の塗布量が多くなる。
中間転写体37への処理液の塗布量を調整するための中間転写体37と塗布ローラ74との間のギャップ、すなわち、中間転写体37に対する塗布ローラ74の位置を調整する塗布量調整装置76の駆動は、制御部98によって制御される。
このように、制御部98は、処理液付与手段73を制御する処理液塗布制御手段、とくにギャップ制御手段である処理液量制御手段としても機能する。
処理液量制御手段として機能する制御部98は、環境検知センサ35によって検知された環境温度及び環境湿度に基づき、塗布量調整装置76を駆動し、中間転写体37に付与される処理液の量を制御する。
処理液量制御手段として機能する制御部98には、予め、環境検知センサ35によって検知される環境温度及び環境湿度に対応したテーブルが記憶されており、このテーブルにしたがって塗布量調整装置76を駆動する。
たとえば、前記テーブルには、後述する転相反応が生じ易い、環境温度及び/または環境湿度が高いほど、中間転写体37と塗布ローラ74とのギャップを小さくして、処理液の塗布量を少なくすることが記憶されている。
このようにして処理液の塗布量を制御することで、外部環境変化によって前記するW/OエマルションからO/Wエマルションへの転相条件が変わることに対応して転相反応を確実に生じさせる。
塗布量調整装置76は、環境温度及び環境湿度が前記する転相反応に影響を与えない場合、あるいは転相反応に対する影響が無視できる程度である場合などには省略可能である。
塗布量調整装置76を省略する場合は、環境検知センサ35、処理液量制御手段として機能する制御部98も省略可能である。
ただし、環境温度及び環境湿度の何れか一方が転相反応に影響を与えない場合、あるいは転相反応に対する影響が無視できる程度である場合などには、環境温度又は環境湿度を検知するセンサを省略し、他方を検知する環境検知センサを有することが好ましい。
この場合、環境検知センサは、環境温度を検知する場合には温度検知センサとして備えられ、環境湿度を検知する場合には湿度検知センサとして備えられる。
また、処理液量制御手段として機能する制御部98には、環境温度と環境湿度のうち、検知される方についてのテーブルが記憶される。環境温度と環境湿度とでは、環境温度の方が転相反応に影響を与えやすいため、環境検知センサは少なくとも環境温度センサとしての機能を有することが好ましい。
前記処理液タンク75は、定位置に固定されているが、塗布量調整装置76によって塗布ローラ74とともに変位するようになっていてもよい。
処理液付与手段73は、塗布ローラ74が中間転写体37に対向する位置でA1方向と同じ方向に回転するように駆動するモータ等の駆動源を備えていてもよい。
処理液塗布制御手段として機能する制御部98は、塗布量調整装置76の他、処理液付与手段73において駆動を必要とする装置を制御する。
処理液塗布部材は、中間転写体37に当接して処理液を付与するものであれば、塗布ローラ74のようなローラ状をなしローラ塗布を行う部材に限らず、ワイヤーバー、フレードコータ、処理液を含浸した発泡体等であってもよい。
(排紙台)
排紙台は、搬送ユニット10によって搬送されてきた画像形成済み、すなわちプリント済みの転写紙Sを多数積載する。
(制御部)
画像形成装置100は、画像形成装置100の動作全般を制御する、図示しないCPU、メモリ等を含む制御手段としての制御部98を有している。
画像形成装置100は、上記のように、画像形成装置100において画像形成が行われる環境温度及び環境湿度を検知し、検知した環境温度及び環境湿度を制御部98に入力する環境検知センサ35を有している。
次に、画像形成装置の動作について説明する。
画像形成装置100は、画像形成開始信号の入力により、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向する中間転写体37が、図1に示すA1方向に回転を開始する。
中間転写体37の回転に塗布ローラ74が従動回転し、この従動回転する塗布ローラ74によって、中間転写体37の表面の画像形成可能領域に対応する領域に、処理液が塗布される。
処理液が塗布された中間転写体37の表面は、図1に示すA1方向に移動して、ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向する領域に至る。そして、中間転写体37がA1方向に回転している状態で、第1のヘッドとして機能するヘッド61Y、61M、61C、61BKから、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の記録液が吐出され、中間転写体37上に一時的に画像が担持される。
このとき、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の画像領域が、中間転写体37の同じ位置に重なるよう、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして順次重ね合わされる態様で記録液の吐出が行われる。この各色の記録液の重ね併せによって形成された画像領域が第1の領域である画像部となる。
さらに、第1の領域の画像部の反転領域である非画像部である第2の領域に、第2のヘッドとして機能するヘッド61Tから、無色透明の記録液が吐出される。
このようにして、中間転写体37の画像形成可能領域全体に記録液が付着した状態となる。したがって、画像形成可能領域全体において、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tから吐出された記録液が、中間転写体37上に形成された処理液層上に着弾し、処理液と接触、混合され、処理液のW/Oエマルションが、O/Wエマルションに転相する。
この転相に伴って、分散相中の水溶性高分子材料が分散媒中に解放され、記録液と処理液との混合液が増粘すると共に、水相に解放された水溶性高分子材料と着色剤成分等との反応による増粘及び/又は凝集が生ずる。
前記処理液は、このような増粘及び/又は凝集が生じる前の、粘度が比較的低いW/Oエマルションの状態で中間転写体37に塗布されるため、塗布量調整装置76による塗布量の調整が良好に行われ、中間転写体37表面上における塗布状態も均一である。
また、W/Oエマルションの状態は比較的安定であるため、中間転写体37に塗布され増粘及び/又は凝集が生じるまで変質が少なく、処理液タンク75内あるいは塗布ローラ74上における保管状態が良好であり、記録液の着弾によって前記増粘及び/又は凝集反応が得られる。
したがって、増粘及び/又は凝集反応が均一に生じ、ムラが少なく、画像乱れが防止ないし抑制され、また、画像濃度及び色再現性が確保され、高精細で高画質の画像形成が行われる。
また、非画像部である第2の領域にも記録液が付与されるため、処理液が付与された画像形成可能領域の全体に転相したO/Wエマルションの層(以下、反応層ということがある)が形成される。このO/Wエマルションの層は、記録液が処理液の表面に着弾することによって生じるため、中間転写体37表面上の処理液による層、すなわち、処理液層を覆うように、処理液層の表面上に位置する。
ここで、記録液の着弾による反応後に処理液層が残るか否かは、記録液の着弾前に中間転写体37に塗布された処理液の層厚、言い換えると処理液の塗布量にもよる。
中間転写体37を用いる場合は、前記O/Wエマルションへの転相反応後においても処理液層が残る程度に、塗布量調整装置76によって中間転写体37表面に形成する処理液の層厚を制御することで、処理液層の中間転写体37と接する側が増粘及び/又は凝集せず、転写効率が向上する。
中間転写体37上に担持された画像の先端が転写部31に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ34によって給紙ユニット20から給送された一枚の転写紙Sが転写部31に供給される。この転写紙Sの先端が転写部31に進入するタイミングで、中間転写体37から離間していた転写ローラ38が中間転写体37に向けて移動し、中間転写体37との間にかかる転写紙Sを挟んだ状態となる。転写紙Sを挟んだ状態で、転写ローラ38は、中間転写体37に連れ回りしながら、転写部31を通過する転写紙Sに圧力をかけて中間転写体37に密着させ、中間転写体37上に担持されている画像を転写紙Sの表面に転写させ、転写紙Sに画像が形成される。
前記転写工程は、記録液が付与され、画像部と非画像部とからなる転相したO/Wエマルションの層が、転相していない中間転写体37側の処理液層から分離することで転写紙Sに付着して行われる。
したがって、転写ローラ38は、転相反応によって粘度が高く変化した記録液(画像)を中間転写体37から転写紙Sに転写させることができる。
前記転写工程によれば、像流れが生じることがなく、転写紙Sとして普通紙等を用いる場合であっても、フェザリングやブリーディング、カール、コックリングが防止ないし抑制される。
また、転写工程が行われる状態で、処理液層は反応層(O/Wエマルションの層)によってマスクされた状態であり、転写紙Sに向けてW/Oエマルションの処理液層が露出していないため、転写工程においてW/Oエマルションの処理液が転写紙Sに付着することがない。したがって、処理液が転写紙Sに付着することによるべたつきが防止される。
なお、処理液が転写紙Sに付着したとしても、W/Oエマルションの処理液は低極性溶媒が分散媒となっているため、カール、コックリングが防止ないし抑制される。
さらに、転相反応によって粘度が高くなった反応層(O/Wエマルションの層)が、低極性溶媒が分散媒の処理液層から剥離するため、中間転写体37から転写紙Sへの記録液(画像)の転写率が高い。
したがって、クリーニング装置40による中間転写体37のクリーニングは、常時行うことが必須でない場合がある。
この場合にはクリーニング部材を、適時、中間転写体37に接離させるように構成すれば、クリーニング部材、中間転写体37の耐久性が向上する。
また、この構成によれば、クリーニングによる処理液の除去量が減じられ、これに伴って処理液付与手段73による中間転写体37への処理液の供給量が少なくてよくなるため、処理液の消費量が節減される。
なお、中間転写体37から転写紙Sへの記録液の転写率が、クリーニング装置40による中間転写体37のクリーニングを要しないほど高い場合には、クリーニング装置40を省略してもよい。
転相反応後にもW/Oエマルションの処理液層が残る程度に、塗布量調整装置76によって中間転写体37表面に形成する処理液の層厚を制御するが、層厚の制御はこれに限られるものではない。
転写によって画像が形成された転写紙Sは、中間転写体37及び転写ローラ38の回転によって送られて排紙台25に案内され排紙台25上に積載される。このとき、カールやコックリングが防止ないし抑制されているため、排紙台25条における転写紙Sの積載状態は良好であり、またその後の取り扱いも容易化している。
さらに、転写ローラ38によって、記録液の転写紙Sへの浸透性が向上しているため、排紙台25にスタックする際に、他の転写紙Sの裏面への記録液の転写が防止ないし抑制される。
一方、塗布ローラ74による中間転写体37への処理液の塗布量は、反応層が転写紙Sに転写されて消費される処理液の消費量、クリーニング装置40によって除去される処理液の除去量に応じて塗布・供給される。
また、高速の画像形成を行うには、速乾性の記録液を用いることを要するため、一般に記録液は転写紙Sへの浸み込みが速いが、この場合には記録液が転写紙Sの奥深くまで浸透する。したがって、速乾性の記録液を用いると、いわゆる裏移りを生じ、両面画像形成に不向きとなる。
しかし、本発明の画像形成装置によれば、前記転相反応による増粘等により、記録液の転写紙Sへの吸収性が低減されるため、前記裏移りが防止ないし抑制されることから、本発明に係る画像形成方法は、両面画像形成にも適している。
また、上述した、転写紙Sのコックリングやカールなどの変形の防止ないし抑制は、記録液の転写紙Sへの吸収性が低減されることとともに、転写ローラ38の圧力によって増粘した記録液を紙繊維孔中に押し込めることによっても得られている。
本発明の画像形成装置100では、記録液が増粘するため、粘度変化がない場合と比べて、記録液は転写紙S内部に浸透しにくくなり、速乾性が低下するとも考えられる。
しかし、転写ローラ38は、中間転写体37から記録液を転写紙Sに転写すると同時に、記録液と転写紙Sとに中間転写体37との間で圧力を印加することで、転写紙S内部への記録液の浸透性を向上している。
この点、転写ローラ38と中間転写体37とは、記録液と転写紙Sとに圧力を印加する圧力印加手段として機能するようになっている。
このように、定着工程における圧力の印加は、速乾性の担保と共に、中間転写体37と転写紙Sとの押圧・シアリングにより、転写紙Sに対する増粘した記録液とくに記録液中の着色剤の定着性を向上するために行われるものである。
転写ローラ38と中間転写体37とが圧力印加手段を兼ねていることにより、画像形成装置100の構造が簡易となり、小型化、低廉化に寄与している。
以上述べた画像形成装置100は、被転写体として中間転写体37を用いた間接方式の画像形成装置であるが、被転写体は、次に述べるように、普通紙等の、最終的に画像形成を行うべき被転写体であってもよい。
図3に被転写体として普通紙等の記録紙である用紙Sを用いる本発明の画像形成装置の一例の概略を示す。
この画像形成装置100については、図1に示した画像形成装置100に備えられているものと同様の構成については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、図1に示した画像形成装置100と異なる点について主に説明する。
図3に示す画像形成装置100は、図1に示した画像形成装置100が備えている中間転写体37、転写ローラ38を備えていない。また、図3に示す画像形成装置100は、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tとガイド板39とが対向した記録液の吐出部53において用紙Sへの画像形成を直接的に行う。このように、図3に示す画像形成装置100は、直接方式の画像形成装置となっている。
図3に示す画像形成装置100は、図1に示した画像形成装置100が備えている中間転写体37、転写ローラ38を備えていないことに伴って、圧力印加手段として、圧力印加部70を備えている。
ただし、この圧力印加部70は省略可能である。なお、図1に示した画像形成装置100は、用紙Sの搬送方向において転写部31の下流側且つ排紙台25の上流側に、圧力印加部70を備えていてもよい。
圧力印加部70は、用紙Sの搬送方向において、吐出部53の下流側且つ排紙台25の上流側に配設されている。圧力印加部70は、互いに圧接された加圧ローラ71、72と、加圧ローラ71を回転駆動し、加圧ローラ72を加圧ローラ71に従動回転させる図示しないモータとを有している。圧力印加部70は、これら加圧ローラ71、72の間に、吐出部53において記録液を付与された用紙Sを通過させるようになっている。加圧ローラ71、72相互間の圧力は、転写ローラ38と中間転写体37とが圧接した状態におけるこれらの間の圧力と同じである。
このような構成の画像形成装置100においては、画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、給紙ユニット20から給送された一枚の用紙Sが処理液付与手段73に向けて給送される。この用紙Sは、搬送ローラ32を経た後、吐出部53において記録液を付与される側の面の画像形成可能領域に、処理液付与手段73によって処理液を塗布される。
次いで、この用紙Sは、レジストローラ34によってタイミングを計られて吐出部53に供給される。そして、用紙Sは、吐出部53を通過する過程で、処理液が塗布されている画像形成可能領域に、図1に示した画像形成装置100と同様に、各ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tから記録液を吐出される。
記録液が処理液層に着弾することにより、上述した転相反応が生じ、用紙S上に、画像を有する反応層が形成される。処理液付与手段73は、塗布量調整装置76により、転相反応を生じさせるのに必要十分な量の処理液を用紙Sに付与する。これが制御上難しい場合には、転相反応を確実に生じさせるため、十分な量の処理液よりも多くの量の処理液を用紙Sに付与する。この場合には、用紙SにW/Oエマルションの処理液が直接触れることとなるが、すでに述べたように、W/Oエマルションの処理液が転写紙Sに付着したとしても、前記処理液は低極性溶媒がベースとなっているため、カール、コックリングは防止ないし抑制される。また、画像についても、すでに述べたように、転相反応に伴う増粘等により、用紙Sが普通紙等であっても、フェザリングやブリーディングが防止ないし抑制される。
その他、図1に示した画像形成装置と同様の利点が、たとえば次のように得られる。すなわち、記録液の増粘により記録液の転写紙Sへの吸収性が低減されるため、かかる裏移りが防止ないし抑制され、両面画像形成にも適しているという利点である。
また、増粘した記録液を紙繊維孔中に押し込めるように加圧を行うことにより、用紙Sのコックリングやカールなどの変形も抑制ないし防止されるという利点である。
さらに、この利点によって画像を担持した転写紙Sの搬送性が向上し、ジャムが防止ないし抑制されるなど、転写紙Sの取り扱いが容易化するという利点である。
加えて、吐出部53において画像が形成された用紙Sが、圧力印加部70を通過するときに、記録液とともに圧力を印加されることで、内部への記録液の浸透性が向上しているという利点である。
さらに加えて、前記圧力の印加は、速乾性の担保のみならず、転写紙Sに対する記録液とくに記録液中の着色剤の定着性を向上させるとともに、記録液のドットの平滑性を向上させることが可能となり、画像の光沢性を改善させるという利点である。また、圧力印加部70を通過した用紙Sは、圧力印加部70によって記録液の浸透性が向上しているため、排紙台25へのスタックの際の、他の転写紙Sの裏面への記録液の転写が防止ないし抑制されるという利点である。
以上述べた各画像形成装置100においては、被転写体である中間転写体37または用紙Sに、処理液付与手段73によって処理液を付与してからヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tにより記録液を吐出させ、着弾させる、先塗りの構成を採用している。
この先塗りの構成は、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、61Tにより中間転写体37または用紙Sに記録液を吐出させ、着弾させてから、処理液付与手段73によって処理液を付与する後塗りの構成と比べて、画像の乱れが生じにくく、高画質となる利点がある。
すなわち、中間転写体を用いる間接方式において、後塗りとすると、被転写体である中間転写体37に記録液を着弾させた後に処理液を付与することとなり、処理液の付与の際に中間転写体37上で画像の乱れが生じ得る。
また、中間転写体を用いず直接被記録媒体に画像を形成する直接方式において、後塗りとすると、被転写体である用紙Sに記録液を着弾させた際に記録液の滲みによる画像の乱れが生じ得るとともに、その後、処理液を付与する際にも画像の乱れが生じ得る。
ただし、たとえば、処理液付与手段73において、処理液をヘッドで吐出する構成を採用すれば、処理液の付与の際の画像の乱れが抑制され得る。また、被転写体が記録液の滲みが生じ難い専用紙等である場合、あるいは被転写体がフィルム等の記録液が滲まないものである場合には画像の乱れが抑制され得る。
したがって、後塗りでも画像の乱れが十分に抑制される技術との組み合わせが行われる場合には、後塗りの構成を採用してもよい。
処理液をヘッドで吐出する構成を採用すると、次の利点も得られる。
すなわち、第1の領域にのみ処理液を付与すること、処理液の塗布量を厳密に制御することが可能となり、処理液の消費量が低減されるという利点が得られる。
また、第1の領域にのみ処理液を付与することにより、第2の領域の処理液に記録液を着弾させるための第2のヘッドが不要となり、第2のヘッドの省略による装置の小型化、制御の容易化、低廉化という利点が得られる。また、第2のヘッド用の記録液が不要となることにより、ランニングコストも低減されるという利点が得られる。
その他、第1の領域にのみ処理液を付与することにより、非画像部における処理液によるべたつきが防止ないし抑制されるという利点が得られる。
他にも、転相反応後に残るW/Oエマルションの量、面積を抑制することが可能となり、仮に、W/Oエマルションが転写紙S、用紙Sに付着するとカールやコックリングが生じるとしても、これらカールやコックリングが抑制される。
なお、処理液をヘッドで吐出するためには、吐出される液滴の大きさにおいてW/Oエマルションの状態が保たれるようにするなどの適宜の配慮が必要である。
処理液をヘッドで吐出する構成を採用しない場合であっても、第2のヘッドは省略可能である。この場合、反応層は、画像部すなわち第1の領域にのみ形成され、非画像部には処理液層が存在することとなる。この場合、処理液が転写紙S、用紙Sに付着することとなるが、処理液は低極性溶媒がベース(分散媒)となっているため、カール、コックリングは防止ないし抑制される。
本発明の画像形成装置は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の被転写体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。
また、図1、図3に示す画像形成装置は、被転写体である記録用紙としての転写紙Sの片面に画像形成可能な片面画像形成装置であるが、本発明の画像形成装置は、転写紙Sの両面に画像形成可能な両面画像形成装置であってもよい。
<水性記録液>
(ブラック記録液)
・スルホン酸基結合型カーボンブラック顔料分散液 35.0質量%
(CAB−O−JET−200、固形分20質量%、キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク製)
・2−ピロリドン 10.0質量%
・グリセリン 14.0質量%
・プロピレングリコールモノブチルエーテル 0.9質量%
・デヒドロ酢酸ソーダ 0.1質量%
・蒸留水 残量

上記の材料を混合した後、水酸化リチウムの5質量%水溶液によりpH9.1に調整し、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて加圧濾過しブラック記録液を得た。
(イエロー記録液)
・スルホン酸基結合型イエロー顔料分散液 40.0質量%
(CAB−O−JET−270Y、固形分10質量%、キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク製)
・トリエチレングリコール 15.0質量%
・グリセリン 25.0質量%
・プロピレングリコールモノブチルエーテル 6.0質量%
・デヒドロ酢酸ソーダ 0.1質量%
・蒸留水 残量

上記の材料を混合した後、水酸化リチウムの5質量%水溶液によりpH9.1に調整し、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて加圧濾過しイエロー記録液を得た。
(マゼンタ記録液)
・スルホン酸基結合型マゼンタ顔料分散液 40.0質量%
(CAB−O−JET−260M、固形分10質量%、キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク製)
・ジエチレングリコール 20.0質量%
・プロピレングリコールモノブチルエーテル 3.0質量%
・デヒドロ酢酸ソーダ 0.1質量%
・蒸留水 残量

上記の材料を混合した後、水酸化リチウムの5質量%水溶液によりpH9.1に調整し、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて加圧濾過しマゼンタ記録液を得た。
(シアン記録液)
・スルホン酸基結合型シアン顔料分散液 40.0質量%
(CAB−O−JET−250C、固形分10質量%、キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク製)
・エチレングリコール 4.0質量%
・トリエチレングリコール 14.0質量%
・プロピレングリコールモノブチルエーテル 6.0質量%
・デヒドロ酢酸ソーダ 0.1質量%
・蒸留水 残量

上記の材料を混合した後、水酸化リチウムの5質量%水溶液によりpH9.1に調整し、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて加圧濾過しシアン記録液を得た。
[実施例1]
<処理液1>
・W/Oエマルション 60質量%
(ポリアクリレートー13・水−ポリイソブテン、オレイン酸ソルビタン、ポリソルベート20含有エマルション、SEPIPLUS400、セピック社製)
・皮膜形成剤 40質量%
(アクリル酸アルキル・ジメチコンコポリマーのイソドデカン溶液、固形分40質量%、KP−550、信越化学工業株式会社製)
上記材料を混合して処理液1を得た。
上記イエロー記録液、マゼンタ記録液、シアン記録液、及びブラック記録液を、市販のインクジェットプリンタ(リコー製GX−5000)の、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと同等の各ヘッドにそれぞれ充填した。無色透明の記録液の吐出は省略した。 処理液1を普通紙(マイペーパー、リコー製)に、塗布量が70mg/A4となるようにローラ塗布した上で、上記水性記録液を用いて評価用の画像を形成した。
(W/OエマルションからO/Wエマルションへの転相の確認)
前記画像は、水性記録液が処理液にはじかれることなく、粘度上昇により滲みが抑えられたことから、W/OエマルションからO/Wエマルションに転相したことが確認された。
また、処理液と水性記録液を等量混合したところ、導電性が上昇した。
[実施例2]
処理液1を下記処理液2に替える他は実施例1と同様にして評価用の画像を形成した。
実施例2では、W/OエマルションからO/Wエマルションへの転相が確認された。
<処理液2>
・W/Oエマルション 90質量%
(ポリアクリル酸アンモニウム・水−イソヘキサデカン、オレイン酸ソルビタン、PEG−40ひまし油、含有エマルション、SIMULGEL A、セピック社製)
・皮膜形成剤 10質量%
(アクリル酸アルキルジメチコンコポリマーのジメチコン溶液、固形分40質量%、信越シリコーン製)
[実施例3]
処理液1を下記処理液3に替える他は実施例1と同様にして評価用の画像を形成した。
実施例3ではW/OエマルションからO/Wエマルションへの転相が確認された。
<処理液3>
・W/Oエマルション 50質量%
(ポリアクリルアミド、水−イソパラフィンW/Oエマルション、SOLAGUM SF−306、セピック社製)
・皮膜形成剤 50質量%
(シリコンアクリル非水エマルションシリコンオイル溶液、固形分55質量%、8HV、大成ファインケミカル製)
[実施例4]
表面に厚み0.5mmのシリコーンゴムシートを有する中間転写体上に、塗布量が70mg/A4となるように、処理液1をローラ塗布し、実施例1で用いた記録液により画像を形成し、中間転写体を30kg重で押圧し、外周線速50mm/sで回転する転写ローラを用いて、前記画像を普通紙に転写して評価用画像を形成した。
実施例4ではW/OエマルションからO/Wエマルションへの転相が確認された。
[実施例5]
処理液1を処理液2に替える他は実施例4と同様にして評価用の画像を形成した。
実施例5ではW/OエマルションからO/Wエマルションへの転相が確認された。
[実施例6]
処理液3で用いた皮膜形成剤を、あらかじめ中間転写体表面のシリコーンゴムシートに塗布し乾燥させた後、皮膜形成剤を含まない処理液3のW/Oエマルションを、塗布量が70mg/A4となるようにローラ塗布する他は実施例4と同様にして評価用の画像を形成した。
実施例6ではW/OエマルションからO/Wエマルションへの転相が確認された。
[比較例1]
処理液1の皮膜形成剤を混合しないW/Oエマルションを用いる他は実施例1と同様にして評価用の画像を形成した。
比較例1ではW/OエマルションからO/Wエマルションへの転相が確認された。
[比較例2]
処理液1の皮膜形成剤を混合しないW/Oエマルションを用いる他は実施例4と同様にして評価用の画像を形成した。
比較例2ではW/OエマルションからO/Wエマルションへの転相が確認された。
上記実施例1〜6及び比較例1,2の画像を以下の基準により評価した。
実施例4〜6については転写性も評価した。
<判定基準>
上記項目(1)〜(4)の判定基準は次のとおりである。
(1)文字品質
ブラックの文字を評価対象とし、フェザリングを目視にて評価した。

○:フェザリングが目立たない。
△:フェザリングがあまり目立たない。
×:フェザリングが目立つ。
(2)ブリーディング
ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色をベタで隣接させた画像を目視にて評価した。

○:各色の境界部分でのブリーディングが目立たない。
△:各色の境界部分でのブリーディングがあまり目立たない。
×:各色の境界部分でのブリーディングが目立つ。
(3)転写性
上記項目(2)で用いたブラックのベタ画像を転写した後の中間転写体上に残った画像を市販のプリンタックC(日東電工製)で剥がし取り、数枚重ねた紙の上に貼り付けた。
この画像濃度を、プリンタックCの基材面を反射濃度計(X−rite 939、X−rite製)測定した。

○:画像濃度が0.2未満。
×:画像濃度が0.2以上。
(4)スタッキング
画像を転写した紙を重ねて紙同士の付着の有無を確認した。

○:紙が付着しない。
×:紙が付着した。
<評価結果>
実施例1〜6、比較例1〜2についての評価結果を表1に示す。
Figure 2015174416
同表から、本発明に係る水性記録液と処理液とを用いて画像形成を行う画像形成方法により、上記項目(1)〜(4)についてほぼ良い結果が得られることが確かめられた。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、本発明を適用する画像形成装置は、上述のタイプの画像形成装置に限らず、他のタイプの画像形成装置であってもよい。すなわち、複写機、ファクシミリの単体、あるいはこれらの複合機、これらに関するモノクロ機等の複合機、その他、電気回路形成に用いられる画像形成装置であってもよい。また、バイオテクノロジー分野において所定の画像を形成するのに用いられる画像形成装置であってもよい。
中間転写体はローラ状でなく、無端ベルト状であってもよい。
直接方式の画像形成装置において、被転写体の搬送を無端ベルト状の部材で行うようにしてもよい。
ヘッドの数は画像形成装置の用途に応じて増減されるものであり、複数であっても、1つであってもよい。ヘッドの数が複数である場合、上述の構成例のように4つに限らず、さらに多種類の記録液、たとえばライトシアン、ライトマゼンタといった淡い色の記録液を吐出するヘッドを備えていて良い。画像形成装置の機能に応じて、第1のヘッドと第2のヘッドとのうちの少なくとも一方が備えられていればよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
10 搬送ユニット
20 給紙ユニット
21 給紙トレイ
22 給紙ローラ
23 筐体
25 排紙台
31 転写部
32 搬送ローラ
34 レジストローラ
35 環境検知センサ
36 転写装置
37 被転写体、中間転写体
37a 支持体
37b 表面層
38 転写ローラ
39 ガイド板
40 クリーニング装置
53 吐出部
61Y、61M、61C、61BK、61T ヘッド
61Y、61M、61C、61BK 第1のヘッド
61T 第2のヘッド
70 圧力印加部
71 加圧ローラ
72 加圧ローラ
73 付与手段
74 塗布ローラ
75 処理液タンク
76 塗布量調整装置
77 接離装置
78 転写ローラクリーニング装置
81Y、81M、81C、81BK、81T インクカートリッジ
91 水溶性高分子材料
92 水
93 低極性溶媒
94 第1の界面活性剤
98 処理液量制御手段
99 本体
100 画像形成装置
A1 時計回り方向
S 被転写体、記録紙
特開2003−82265号公報 特開2003−246135号公報 特開2000−343808号公報 特開2010−710号公報 特開2013−86310号公報

Claims (7)

  1. 被転写体に向けて水性記録液を吐出するヘッド、前記被転写体に処理液を付与する処理液付与手段、及び、皮膜形成剤を前記被転写体に付与する皮膜形成剤付与手段を有する画像形成装置であって、
    前記処理液は、水溶性高分子材料を含む水、該水と非相溶の低極性溶媒、及び、界面活性剤を含有し、前記水と低極性溶媒とがW/Oエマルションを形成したものであり、
    皮膜形成剤が付与された被転写体に、前記水性記録液と前記処理液とを付与し、前記W/OエマルションをO/Wエマルションに転相させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 被転写体に向けて水性記録液を吐出するヘッド、及び、前記被転写体に処理液を付与する処理液付与手段を有する画像形成装置であって、
    前記処理液は、水溶性高分子材料を含む水、該水と非相溶の低極性溶媒、界面活性剤、及び皮膜形成剤を含有し、前記水と低極性溶媒とがW/Oエマルションを形成したものであり、
    前記水性記録液と前記処理液とを接触させ、前記W/OエマルションをO/Wエマルションに転相させることを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記処理液付与手段は、環境温度及び/または環境湿度に応じて被転写体に付与する処理液量を変化させるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記被転写体は、中間転写体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記処理液を被転写体に付与してから前記水性記録液を被転写体に付与するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記皮膜形成剤が低極性溶媒と相溶していることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記皮膜形成剤が低極性溶媒に分散していることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
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