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JP2015160504A - 車両用操舵装置、当該装置の故障判定方法、及び転舵モータの制御方法 - Google Patents

車両用操舵装置、当該装置の故障判定方法、及び転舵モータの制御方法 Download PDF

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JP2015160504A JP2014036630A JP2014036630A JP2015160504A JP 2015160504 A JP2015160504 A JP 2015160504A JP 2014036630 A JP2014036630 A JP 2014036630A JP 2014036630 A JP2014036630 A JP 2014036630A JP 2015160504 A JP2015160504 A JP 2015160504A
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Yasuhiro Yukitake
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Abstract

【課題】転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサ、或いは転舵モータの回転動作に連動する機械的要素等に故障が生じた場合に、簡易な処理により故障の発生を検出する。【解決手段】操作手段の操作に応じた転舵モータ34の駆動により車両の転舵輪を転舵する舵取り機構と、転舵モータ34の回転角を周期的な電気角として検出するモータ角センサ36と、転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサと、検出される電気角及び転舵角の対応関係が予め記憶された記憶手段と、検出した電気角と転舵角との関係と、記憶手段に記憶された電気角及び転舵角の対応関係とを比較することにより故障有無を判定する故障判定手段とを備えた。【選択図】図4

Description

本発明は、車両用操舵装置に関し、特にセンサ等の故障が生じた場合に当該故障の発生を簡易に検出可能であり、さらに故障発生後に車両の操舵を継続して行うことのできる車両用操舵装置、当該装置の故障判定方法、及び転舵モータ制御方法に関する。
車両用操舵装置の一例として、操舵機構と舵取り機構とを機械的に連結していないステア・バイ・ワイヤシステムと称される装置が提案されている。
当該装置は、操舵機構と舵取り機構とが機械的に連結されていない一方で、操舵機構側及び舵取り機構側に設けられた各種センサからの入力に応じて、舵取り機構側に設けられた転舵モータを制御する舵取り制御部を備えている。操舵機構側に設けられるセンサの一例としては、車両の運転手により回転操作される操舵部の操舵角を検出する操舵角センサや、操舵部に加えた操舵トルクを検出するトルクセンサ等が挙げられる。また、舵取り機構側に設けられるセンサの一例としては、転舵モータの回転角を検出するモータ角センサや、転舵モータの駆動により転舵される転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサ等が挙げられる。
特開平10−197238号公報 特開2013−112279号公報
上述のステア・バイ・ワイヤシステムでは、操舵機構と舵取り機構との機械的な連結に替え、各種のセンサからの入力に応じて舵取り制御部が転舵モータを駆動制御することにより、操舵部の回転操作に応じた車両の操舵を可能としている関係上、一部のセンサの不調による故障、或いは転舵モータの回転動作に連動する機械的要素の故障等を検出する必要がある。
本発明は上記課題を解決すべく、一部のセンサ、或いは転舵モータの回転動作に連動する機械的要素等に故障が生じた場合に、簡易な処理により故障の発生を検出可能な車両用操舵装置、及び車両用操舵装置の故障判定方法等を提供する。
上記課題を解決するための車両用操舵装置の構成として、操作手段の操作に応じた転舵モータの駆動により車両の転舵輪を転舵する舵取り機構と、転舵モータの回転角を周期的な電気角として検出するモータ角センサと、転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサと、検出される電気角及び転舵角の対応関係が予め記憶された記憶手段と、検出した電気角と検出した転舵角との関係と、記憶手段に記憶された電気角及び転舵角の対応関係とを比較することにより故障有無を判定する故障判定手段とを備えた構成とした。
本構成によれば、故障判定手段が、モータ角センサで検出した電気角と転舵角センサで検出した転舵角との関係と、記憶手段に記憶された電気角及び転舵角の対応関係とを比較することにより故障有無を判定することから、故障の発生を付加機構を要することなく簡易に検出できる。
また、前述の構成に、操作手段の操舵角を検出する操舵角センサと、モータ角センサから検出した電気角を逐次記憶する逐次記憶手段と、故障判定手段により故障ありとされたとき、逐次記憶手段に記憶された電気角と操舵角センサから検出した操舵角とに基づいて、転舵輪の推定転舵角を算出する推定転舵角算出手段と、操舵角と算出された推定転舵角とに基づいて転舵モータの駆動を制御する舵取り制御手段とを付加すれば、舵取り制御手段が、操舵角と推定転舵角とに基づいて転舵モータを継続して駆動制御できるため、故障の発生後における車両の操舵を継続できる。
また、前述の各構成に係る故障判定手段に関し、モータ角センサから検出した電気角と転舵角センサから検出した転舵角との関係と、記憶手段に記憶された電気角及び転舵角の対応関係とを比較する判定を転舵角が転舵輪の中立位置と対応する角度であるときに実行する構成とすれば、判定回数の減少により処理負荷を軽減できる。
また、前述の各構成に係るモータ角センサをレゾルバとすれば、モータ電気角に対する信頼性が向上し、転舵角センサ、転舵モータ、或いは転舵モータの回転動作に連動する機械的要素に生じる故障等を簡易に検出することができる。
また、操作手段の操作に応じた転舵モータの駆動により車両の転舵輪を転舵する舵取り機構と、転舵モータの回転角を周期的な電気角として検出するモータ角センサと、転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサと、検出される電気角及び転舵角の対応関係が予め記憶された記憶手段とを備えた車両用操舵装置の故障判定方法として、検出した電気角と検出した転舵角との関係と、記憶手段に記憶された電気角及び転舵角の対応関係とを比較することにより故障有無を判定するステップを備えたものとした。
当該故障判定方法によれば、故障の発生を付加機構を要することなく簡易に検出できる。
また、操作手段の操舵角を検出する操舵角センサと、検出した電気角を逐次記憶する逐次記憶手段と、転舵モータの駆動を制御する舵取り制御手段とを更に備えた車両用操舵装置における転舵モータの制御方法として、故障ありとの判定に基づいて、逐次記憶手段に記憶された電気角を読み出すステップと、読み出した電気角と検出した操舵角とに基づいて、転舵輪の推定転舵角を算出するステップとを備え、舵取り制御手段が操舵角及び推定転舵角に基づいて転舵モータの駆動を制御するものとした。
当該制御方法によっても、舵取り制御手段が、操舵角と推定転舵角とに基づいて転舵モータを継続して駆動制御できるため、故障の発生後における車両の操舵を継続できる。
本発明の実施形態に係る車両用操舵装置の概略図である。 図1に示すECUのブロック図である。 モータ電気角−転舵角対応マップの一例を示す図である。 ECUの機能を示すブロック図である。 ECUの処理を示すメインフローチャートである。 ECUの故障有無判定処理を示すサブフローチャートである。 ECUの故障箇所判定処理を示すサブフローチャートである。 ECUの推定転舵角算出処理を示すサブフローチャートである。 ECUの車両停止処理を示すサブフローチャートである。 ECUのモータ制御処理を示すサブフローチャートである。 操舵角−モータ電気角対応マップの一例を示す図である。
[車両用操舵装置の全体構成について]
図1に示すように、車両用操舵装置1は、車両の運転手によって回転操作される操作手段としてのステアリングホイール14を備えた操舵機構10と、ステアリングホイール14の回転操作に応じて回転駆動する転舵モータ34を備えた舵取り機構30と、ステアリングホイール14の回転角(操舵角)に応じて転舵モータ34を駆動制御する制御手段としてのECU50とを主たる構成として備える。
[操舵機構について]
操舵機構10は、車両の運転席に設けられたコラム12と、運転手によって回転操作可能なステアリングホイール14と、ステアリングホイール14の回転角(操舵角)を検出する操舵角センサ16と、ステアリングホイール14に作用する回転トルクを検出するトルクセンサ18と、ステアリングホイール14に対して運転手の操舵方向とは逆向きの力を付与する反力モータ20とを含んで構成される。
コラム12内には、ステアリングホイール14の回転中心部と連結されたシャフト15が収容される。シャフト15は、コラム12の軸方向に延長する部材であり、コラム12内に配置された図外の軸受けにより正逆方向に回転自在に支持される。
操舵角センサ16は、コラム12内のシャフト15の軸回りに配設され、ECU50と電気的に接続される。操舵角センサ16は、ステアリングホイール14の回転操作と連動して回転するシャフト15の回転角を検出する。操舵角センサ16は、例えば、シャフト15の外周に取り付けられた磁石の磁気をホールセンサで検出し、シャフト15の回転角を操舵角θhとしてECU50側に逐次出力する。
なお、本明細書において操舵角センサ16は、ステアリングホイール14の中立位置を基準として、右方向への回転操作を正の電圧値、左方向への回転操作を負の電圧値として出力するものとする。また、右方向への回転角度が大きくなるに従って漸次大きな電圧値を出力し、左方向への回転角度が大きくなる従って漸次小さな電圧値を出力するものとする。また、「中立位置」とは、車両が直進する位置であり、以下の説明においても同様である。
トルクセンサ18は、操舵角センサ16と同様に、コラム12内のシャフト15の軸周りに配設され、運転手の回転操作によってステアリングホイール14(シャフト15)に作用するトルクThを検出する。トルクセンサ18は、ECU50と電気的に接続され、ステアリングホイール14(シャフト15)に作用するトルクThをECU50に逐次出力する。
反力モータ20は、所定のギア比を有するギア機構を介してシャフト15と連結されている。反力モータ20は、ECU50によって駆動制御される直流モータであり、シャフト15に対して運転手によるステアリングホイール14の回転操作方向とは逆向きのトルク(反力)を付与する。反力モータ20のロータの回転角は、回転角センサ20aにより検出される。回転角センサ20aは、ECU50と電気的に接続されており、反力モータ20のロータの回転角をECU50に逐次出力する。
[舵取り機構について]
舵取り機構30は、筒状のケーシング32と、ECU50によって駆動制御される転舵モータ34と、転舵モータ34の回転角を検出するモータ角センサ36と、転舵モータ34の回転駆動により車両の左右方向に対応して直動動作する転舵軸としてのラック38とを含んで構成される。また、舵取り機構30は、ラック38の両端部に連結されたタイロッド40と、ラック38の直動動作に応じて転舵される転舵輪4の転舵角θwを検出する転舵角センサ42とを具備する。
ケーシング32は、通常、車両の前後方向一方の側に設けられる転舵輪4の位置と対応し、車両に対して不動に取り付けられる。転舵モータ34は、ケーシング32に設けられたモータハウジング32a内に収容されるブラシレスモータである。転舵モータ34は、ECU50から出力される駆動制御信号に基づいて正逆方向に回転可能なロータ34aとステータ34bとを有する。ロータ34aには、ラック38が貫通している。ロータ34aとラック38とは、不図示のボールねじ機構を介して連結されており、ロータ34aの回転動作がラック38の軸方向への直動動作に変換される。
転舵モータ34内には、モータ角センサ36がロータ34aと同軸上に配置される。モータ角センサ36は、ロータ34aと同期して回転するロータと、ステータとで構成されるレゾルバである。当該レゾルバのロータは、転舵モータ34の極数と一致する極数の磁極を有する。モータ角センサ36は、ECU50と電気的に接続されている。モータ角センサ36は、転舵モータ34(ロータ34a)の回転角(機械角)を周期的なモータ電気角θtとしてECU50に逐次出力する。なお、本明細書では説明の便宜上、ラック38が中立位置にあるときのモータ角センサ36のモータ電気角θtは0°であるものとする。
ラック38は、ケーシング32の軸方向(車両の左右方向)に延長する部材である。ラック38は、ロータ34aとボールねじ機構を介して連結されているため、ロータ34aの正逆方向への回転動作に応じてケーシング32内を車両の左右方向に移動する。ラック38の左右方向への直動動作は、ラック38の両端側に接続されたタイロッド40を介して転舵輪4に伝達される。
タイロッド40は、一端部がラック38に接続され、他端部が図外のナックルに接続される部材であり、ラック38の直動動作に応じてナックルを押し引きする。ナックルがタイロッド40を介して押し引き動作されることにより、ナックルに組み付けられたホイールに装着された転舵輪(タイヤ)4が同期して車両の左右方向に自在に転舵される。
転舵輪4の転舵角θw(実転舵角)は、転舵角センサ42により検出される。転舵角センサ42は、例えばケーシング32の一端部側に配設されている。転舵角センサ42は、転舵輪4の転舵に応じて変位するナックルとの距離、或いは、ラック38のストローク量に基づいて、転舵輪4の転舵角θwを検出する。転舵角センサ42は、他のセンサ類と同様にECU50と電気的に接続されており、転舵輪4の転舵角θwをECU50に逐次出力する。
以上の通り、舵取り機構30は、ECU50の駆動制御により回転動作する転舵モータ34を含んで構成される。そして、転舵モータ34の回転動作がラック38の直動動作に変換され、ラック38の直動動作がタイロッド40を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪4を自在に転舵させる構成である。そして、図示のとおり、操舵機構10と舵取り機構30とは、互いを結合する機械的要素を介することなく、換言すれば、ステアリングホイール14と連動して回転するシャフト15と、転舵輪4を転舵させるラック38及びタイロッド40とは、機械的連結がない状態で独立して設けられている。一方で、操舵機構10及び舵取り機構30の動作は、各種センサからの入力に基づいて必要な処理を実行するECU50を中心とする駆動制御により実現される。
[ECUについて]
図2は、ECU50の機能を説明するためのブロック図である。ECU50は、演算手段としてのCPU、駆動制御に要する基本プログラムや後述のモータ電気角−転舵角対応マップM1等を記憶するROM、及び各種センサからの入力値や演算結果を一時的に記憶するRAM等の記憶手段を含むマイクロコンピュータ52を備える。
マイクロコンピュータ52は、その機能ごとに、舵取り機構30において生じる故障を検出する故障判定手段52Aと、舵取り機構30の転舵モータ34の駆動制御を実行する舵取り制御手段52Bと、操舵機構10の反力モータ20を駆動制御を実行する反力制御手段52Cとを備える。なお、説明の便宜上、先に故障判定手段52A、及び舵取り制御手段52Bについて詳説し、反力制御手段52Cについては後述する。
故障判定手段52Aは、逐次検出されるモータ電気角θt及び転舵角θwの値と、モータ電気角−転舵角対応マップM1とを参照して故障の有無を判定する。判定結果が、「故障無し」である場合には、操舵モードを正常モードに維持する。一方、判定結果が、「故障有り」である場合には操舵モードを通常モードから故障モードに切り替える。
図3は、ROMの記憶領域に予め格納されたデータであるモータ電気角−転舵角対応マップM1の概要を示す図である。同図に示すように、モータ電気角−転舵角対応マップM1には、転舵モータ34の回転に応じてモータ角センサ36から検出されるモータ電気角θtと、転舵輪4の転舵に応じて転舵角センサ42から検出される転舵角θwとの対応関係が関数として規定されている。
同図に示すように、本実施形態においては、転舵輪4が最大左転舵角(−50°)から最大右転舵角(50°)まで移動する間に、モータ角センサ36から例えば10周期分(360°×10)のモータ電気角θtが繰り返し検出される。また、本実施形態では、中立位置における転舵輪4の転舵角(0°)とモータ電気角(0°)とが対応し、転舵角θwが10°変化するごとに、同じモータ電気角θtが周期的に繰り返し検出されるものとする。また、モータ角センサ36からのモータ電気角θtに係る信号は、図外の変換回路によりデジタル信号として変換されるものとする。なお、転舵角θwとモータ電気角θtとの関係は、図3に示すものに限定されるものではない。
舵取り制御手段52Bは、現在の操舵モードが正常モード又は故障モードであるかに応じて、転舵モータ34の目標回転角θkを算出する演算処理を切り替えて転舵モータ34を制御駆動する。舵取り制御手段52Bは、操舵モードが正常モードである場合、操舵角θh、及び転舵角θwに基づいて転舵モータ34の目標回転角θkを算出し、転舵モータ駆動回路56を介して転舵モータ34を制御駆動する。
一方、舵取り制御手段52Bは、操舵モードが故障モードである場合、故障箇所に応じて、操舵角θh及び故障判定手段52Aにより算出される推定転舵角θzに基づいて転舵モータ34の目標回転角θkを算出し、故障時における車両の操舵を確保すべく転舵モータ34を駆動制御する。以上を前提として、故障判定手段52A及び舵取り制御手段52Bの具体的処理、及びその関係性について説明する。
図4は、故障判定手段52A及び舵取り制御手段52Bの構成を処理機能ごとに示すブロック図である。図5は、故障判定手段52A及び舵取り制御手段52Bを構成するECU50により実行される処理を説明するメインフローである。同図に示すように、EUC50は、モータ電気角記憶処理(ステップS100)、故障有無判定処理(ステップS110)、操舵モード判定処理(ステップS111)、故障箇所判定処理(ステップS120)、及びモータ制御処理(ステップS160)をイグニッションスイッチがONであることを条件として繰り返し実行する。以下、各処理の流れに従って故障判定手段52A及び舵取り制御手段52Bについて説明する。
[故障判定手段について]
図4に示すように、故障判定手段52Aは、モータ電気角記憶部80と、モータ電気角−転舵角比較判定部82と、モータ故障判定部83と、操舵モード切替部84と、故障箇所特定部85と、推定転舵角算出部86と、駆動源停止部88と、車両停止表示出力部90とを有する。
<モータ電気角記憶処理>
[ステップS100]
モータ電気角記憶部80は、モータ角センサ36から逐次検出されるモータ電気角θtをRAMの記憶領域に逐次更新して記憶させるモータ電気角記憶処理を実行して処理を移す。詳細については後述するが、モータ電気角記憶部80によって更新記憶されたモータ電気角θtは、故障モード時において読み出される。また、本例においては、モータ電気角θtを更新記憶するとしたが、モータ電気角θtの履歴を一定期間保持してもよい。
<故障有無判定処理>
図6は、図5に示す故障有無判定処理(ステップS110)を説明するサブフローチャートである。
[ステップS112]
モータ電気角−転舵角比較判定部82は、モータ角センサ36から検出されたモータ電気角θtと転舵角センサ42から検出された転舵角θwとの関係と、図3に示すモータ電気角−転舵角対応マップM1に規定されたモータ電気角θtと転舵角θwとの対応関係とを比較して故障の有無を判定する。
具体的には、転舵角θwとモータ電気角θtの双方の値(関係)と、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された双方の値(対応関係)とを比較し、検出されたモータ電気角θt及び転舵角θwが、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致するかを判定する。例えば、モータ角センサ36から検出されたモータ電気角θtが360°であり、転舵角センサ42から検出された転舵角θwが10°である場合、双方の値は、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致し、モータ電気角−転舵角比較判定部82は、故障無しと判定する。一方、例えば、モータ角センサ36から検出されたモータ電気角θtが360°であり、転舵角センサ42から検出された転舵角θwが5°である場合、転舵角θwの値が、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致しないため、モータ電気角−転舵角比較判定部82は、故障有りと判定する。
上記判定の結果、モータ電気角θtと転舵角θwとが、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致する(故障無し判定)場合、モータ電気角−転舵角比較判定部82は、モータ故障判定部83に転舵角θwを出力してステップS114に処理を移す。
一方、上記判定の結果、モータ電気角θtと転舵角θwとのいずれかがモータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致しない(故障有り判定)場合、モータ電気角−転舵角比較判定部82は、ステップS118に処理を移し、操舵モード切替部84に故障検出信号Piを出力して処理を終了する。
[ステップS114]
モータ故障判定部83は、ステップS112の判定結果が、故障無しとの結果であることに基づいて、転舵モータ34自体に故障が生じているかを判定するモータ故障判定処理を実行する。当該処理は、モータ電気角θtと転舵角θwとがモータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致する場合であっても、転舵モータ34自体に故障が生じている可能性が残ることを考慮して実行される処理である。また、ここで転舵モータ34自体の故障とは、転舵モータ34がモータ制御部62から出力される駆動制御信号に対応した回転動作を行わない場合を想定している。
モータ故障判定部83は、モータ電気角−転舵角比較判定部82より入力する転舵角θwと、後述するモータ制御処理(ステップS160)において前回算出,記憶された目標回転角θkとを比較する。そして、転舵角θwが目標回転角θkと対応しない場合、転舵モータ34自体に故障ありと判定し、ステップS115に処理を移す。一方、モータ故障判定部83は、転舵角θwが目標回転角θkと対応する場合、転舵モータ34自体に故障無しと判定し、ステップS116に処理を移す。
このように、モータ故障判定処理は、モータ電気角θtと転舵角θwとが、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致すること、換言すればモータ角センサ36及び転舵角センサ42に故障が生じていないことを前提として実行されるため、転舵モータ34自体に生じた故障を簡易に検出できる。
[ステップS115]
モータ故障判定部83は、ステップS114の判定結果が、転舵モータ34自体に故障有りとの結果であることに基づいて、駆動源停止部88及び車両停止表示出力部90に対して車両停止信号Pkを出力して処理を終了する。なお、駆動源停止部88及び車両停止表示出力部90については後述する。
[ステップS116]
モータ故障判定部83は、ステップS114の判定結果が、転舵モータ34自体に故障無しとの結果であることに基づいて、転舵角θwを舵取り制御手段52Bの目標回転角算出部60に出力する。
以上のステップS112の処理を実行する故障判定手段52Aによれば、モータ角センサ36から検出されるモータ電気角θtと、転舵角センサ42から検出される転舵角θwとの関係と、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された対応関係とを比較し、モータ電気角θtと転舵角θwとが、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致するかに基づいて故障の有無を判定するため、故障の発生を付加機構を要することなく簡易に検出できる。
操舵モード切替部84は、モータ電気角−転舵角比較判定部82から故障検出信号Piが入力された場合、操舵モードを正常モードから故障モードに切り替える。具体的には、故障箇所特定部85に対して故障箇所判別開始信号Pjを出力する。また、操舵モードが故障モードとなった場合、操舵モード判定処理(ステップS111)の判定がYESとなり、以後、モータ電気角−転舵角比較判定部82の判定結果に基づく故障箇所判別開始信号Pjの出力を契機として、以下に説明する故障モード時における故障箇所判定処理(S120)が実行される。一方、操舵モードが正常モードである場合、操舵モード判定処理の判定がNOとなり、後述のモータ制御処理(ステップS160)に移行する。
<故障箇所判定処理>
図7は、図5に示す故障箇所判定処理(ステップS120)を説明するサブフローチャートである。当該故障箇所判定処理では、前述の故障有無判定処理によって検出された故障の状況を解析し、故障が発生した箇所を特定するとともに、故障箇所に応じて車両の走行の可否を判定する。
[ステップS122]
故障箇所特定部85は、操舵モード切替部84からの故障箇所判別開始信号Pjの入力に基づいて、推定転舵角算出部86に対して故障時転舵継続信号Pwを出力し、故障箇所特定処理を実行する。詳細については後述するが、推定転舵角算出部86は、モータ電気角記憶部80から読み出されるモータ電気角θtに基づいて推定転舵角θzを算出する。算出された推定転舵角θzは、後述の目標回転角算出部60に出力される。目標回転角算出部60は、操舵角θh及び推定転舵角θzに基づいて目標回転角θkを算出し、モータ制御部62は、目標回転角θkに基づいて転舵モータ34を制御する。故障箇所特定部85は、故障時転舵継続信号Pwを出力して転舵モータ34を一時的に駆動させることにより、以下のように故障が発生した箇所を特定する。
<モータ角センサ36が故障の場合>
まず、故障箇所特定部85は、故障箇所がモータ角センサ36であるかを特定する。ここで、モータ角センサ36の故障とは、転舵モータ34の回転角に対してモータ電気角θtが異なる場合を想定している。
故障箇所特定部85は、故障時転舵継続信号Pwの出力後に記憶される転舵モータ34のモータ電気角θtを読み出し、読み出し前後のモータ電気角θtの変化量と目標回転角θkとが対応するかを判定する。
判定の結果、両者が対応する場合、故障箇所がモータ角センサ36でないことが特定され、両者が相違する場合、故障箇所がモータ角センサ36であることが特定される。また、故障箇所がモータ角センサ36でないことが特定された場合、残る故障箇所が転舵角センサ42、又は転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素であることが特定される。
<転舵角センサ42が故障の場合>
次に、故障箇所特定部85は、故障箇所が転舵角センサ42であるかを特定する。ここで、転舵角センサ42の故障とは、転舵輪4の実転舵角に対して、出力される転舵角θwが異なる場合を想定している。
故障箇所特定部85は、前述の故障時転舵継続信号Pwの出力後に転舵モータ34から出力されるモータ電気角θtの変化傾向と、転舵動作によって転舵角センサ42から出力される転舵角θwの変化傾向とが対応関係にあるかを判定する。変化傾向が対応関係にあるとは、例えば、モータ電気角θtの変化が右方向への操舵を示しているときに転舵角θwの変化も右方向への操舵を示すように、モータ電気角θw及び転舵角θwが同じ方向に変化していることをいう。
判定の結果、モータ電気角θtの変化傾向と、転舵角θwの変化傾向とが対応関係にある場合、故障箇所が転舵角センサ42でないことが特定され、同時に故障箇所が転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素であることが特定される。モータ電気角θtの変化傾向と、転舵角θwの変化傾向とが対応関係にない場合、故障箇所が転舵角センサ42であることが特定される。
<回転動作に連動する機械的要素が故障の場合>
上記モータ角センサ36、及び転舵角センサ42に対する一連の処理が実行され、故障箇所がモータ角センサ36でなく、かつ、転舵角センサ42でないことが特定された場合、故障箇所が転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素であることが特定される。
[ステップS124]
故障箇所特定部85は、ステップS122で特定された故障箇所がモータ角センサ36であるかを判定する。判定の結果、故障箇所がモータ角センサ36でない場合、ステップS126に処理を移す。判定の結果、故障箇所がモータ角センサ36である場合、ステップS130に処理を移す。
[ステップS126]
故障箇所特定部85は、ステップS122で特定された故障箇所が転舵角センサ42であるかを判定する。判定の結果、故障箇所が転舵角センサ42である場合、ステップS128に処理を移す。判定の結果、故障箇所が転舵角センサ42でない場合、換言すれば故障箇所が転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素である場合、故障箇所がモータ角センサ36である場合と同様に、ステップS130に処理を移す。
[ステップS128]
故障箇所特定部85は、ステップS122で特定された故障箇所が転舵角センサ42であることに応じて、以後、推定転舵角算出部86に対して故障時転舵継続信号Pwを継続的に出力して処理を終了する。推定転舵角算出部86は、故障時転舵継続信号Pwの入力に基づいて、推定転舵角算出処理(ステップS140)を実行する。
[ステップS130]
故障箇所特定部85は、ステップS122で特定された故障箇所がモータ角センサ36、或いは、転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素であることに応じて、駆動源停止部88及び車両停止表示出力部90に対して車両停止信号Pkを出力して処理を終了する。駆動源停止部88及び車両停止表示出力部90は、車両停止信号Pkの入力に基づいて、車両停止処理(ステップS150)を実行する。
<推定転舵角算出処理>
図8は、図7に示す推定転舵角算出処理(ステップS140)を説明するサブフローチャートである。当該推定転舵角算出処理は、故障箇所特定処理(ステップS122)が実行される場合、又は当該故障箇所判定処理の結果、故障箇所が転舵角センサ42であると特定された場合(ステップS128)に実行される。
[ステップS142]
推定転舵角算出部86は、故障時転舵継続信号Pwの入力に基づいて、モータ電気角記憶部80によって記憶されたモータ電気角θtを読み出して処理を移す。なお、故障時転舵継続信号Pwは、前述の故障箇所特定処理(ステップS122)、及び故障箇所が転舵角センサ42であることが特定された場合に入力される(ステップS128)。
[ステップS144]
推定転舵角算出部86は、ステップS142で読み出したモータ電気角θtと、操舵角センサ16から検出される操舵角θhとに基づいて、推定転舵角θzを算出して処理を移す。ここで、推定転舵角θzは、正常モード時において転舵角センサ42から検出される転舵角θwに代わる転舵輪4の転舵角(実転舵角)に関する情報である。
図11は、操舵角θhとモータ電気角θtとの対応関係が関数として規定された操舵角−モータ電気角対応マップM2の一例を示す図である。推定転舵角θzは、図3に示すモータ電気角−転舵角対応マップM1と、図11に示す操舵角−モータ電気角対応マップM2とを参照することにより算出される。即ち、モータ電気角−転舵角対応マップM1に示すとおり、同一のモータ電気角θtには、複数の転舵角θwが対応する関係にあるため(例えばθt=360°に対してθw=−40°,−30°,−20°・・・)、取得したモータ電気角θtから推定転舵角θzを直接算出することはできない。
そこで、操舵角−モータ電気角対応マップM2を併せて参照することにより、推定転舵角θzを算出する。具体的には、まず操舵角−モータ電気角対応マップM2を参照し、操舵角θhに対応するモータ電気角θtの周期Tnを特定する。次に、モータ電気角−転舵角対応マップM1を参照し、特定された周期Tnにおけるモータ電気角θtに対応する転舵角を推定転舵角θzとして算出する。
[ステップS146]
推定転舵角算出部86は、ステップS144で算出した推定転舵角θzを舵取り制御手段52Bの目標回転角算出部60に出力して処理を終了する。
以上のとおり、推定転舵角算出処理では、故障有無判定処理(ステップS110)によって何らかの故障(転舵モータ34自体以外の故障)が検出され、故障箇所特定処理(ステップS122)によって故障箇所を特定する場合、或いは、故障箇所特定処理の結果、故障箇所が転舵角センサ42であると特定された場合に、モータ電気角記憶部80に記憶されているモータ電気角θtと操舵角θhとに基づいて、転舵角θwに代わる推定転舵角θzが算出される。
このような処理が実行されることにより、故障箇所を特定できるとともに、故障箇所が転舵角センサ42であり、当該転舵角センサ42から検出される転舵角θwに対する信頼性が失われる故障が生じた場合であっても、後述の舵取り制御手段52Bが、転舵角θwに代わる推定転舵角θzにより転舵モータ34の駆動制御を継続できる。よって、転舵角センサ42の故障発生後においても車両の操舵を確保することができる。
<車両停止処理>
図9は、車両停止処理(ステップS150)を説明するフローチャートである。当該車両停止処理は、故障箇所が転舵モータ34自体である場合、モータ角センサ36である場合、又は転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素である場合に実行される。
[ステップS152]
駆動源停止部88は、モータ故障判定部83又は故障箇所特定部85から入力される車両停止信号Pkに基づいて、車両の駆動輪と接続された図外のモータやエンジン等の駆動源を停止させる駆動源停止処理を実行して処理を移す。
[ステップS154]
車両停止表示出力部90は、モータ故障判定部83又は故障箇所特定部85から入力される車両停止信号Pkに基づいて、車両の運転席の周囲に設けられた図外の表示器やランプ等の報知手段により、駆動源が停止する旨、及び車両を停止させるべき旨を運転手に報知する駆動源停止表示出力処理を実行する。これら駆動源停止部88及び車両停止表示出力部90による車両停止処理が実行されることにより、転舵モータ34自体、モータ角センサ36、又は転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素に故障が生じた車両を速やかに停車させることができる。
[舵取り制御手段について]
図4に示すように、舵取り制御手段52Bは、目標回転角算出部60と、モータ制御部62とを有する。図10は、舵取り制御手段52Bを構成するECU50により実行されるモータ制御処理(ステップS160)を説明するフローチャートである。
<モータ制御処理>
[ステップS162]
目標回転角算出部60は、操舵角センサ16から検出される操舵角θhに応じた目標転舵角θfを算出し、処理を移す。目標転舵角θfは、操舵角θhと目標転舵角θfとの対応関係が予め規定されたマップや、所定の関数に基づいて算出される。
例えば、マップにより目標転舵角θfを算出するには、操舵角センサ16の操舵角θhを検出可能な分解能に応じて所定の目標転舵角θfを算出するマップを記憶させておき、当該マップを参照することにより、操舵角θhと対応する目標転舵角θfを算出できる。
また、関数により目標転舵角θfを算出するには、操舵角θhの大きさに対応して目標転舵角θfを算出可能な線形関数、又は、非線形関数により目標転舵角θfを算出すれば良い。
また、車両走行速度に応じて操舵角θhに対する目標転舵角θfが変化するように操舵比を変えるためには、予め走行速度に応じた複数のマップを記憶させておき、走行速度に対応するマップを読み出して目標転舵角θfを算出すれば良い。また、関数により目標転舵角θfを算出するに際し、操舵比を変えるためには、例えば、走行速度に応じて同一の操舵角θhであっても、異なる目標転舵角θfを算出可能な線形関数、又は、非線形関数を複数記憶させておき、走行速度に対応する関数を読み出して目標転舵角θfを算出すれば良い。
[ステップS164]
目標回転角算出部60は、現在の操舵モードが正常モードであるかを判定する。判定の結果、正常モードである場合、ステップS166に処理を移し、故障モードである場合、ステップS168に処理を移す。
[ステップS166]
目標回転角算出部60は、現在の操舵モードが正常モードであることに応じて、ステップS162で算出した目標転舵角θfと、転舵角センサ42から検出される転舵角θwとの差分に基づいて、目標回転角θkを算出する。目標回転角算出部60は、算出した目標回転角θkをモータ制御部62に出力して処理を移す。
[ステップS168]
一方、目標回転角算出部60は、現在の操舵モードが故障モードであることに応じて、ステップS162で算出した目標転舵角θfと、推定転舵角算出部86から入力した推定転舵角θzとの差分に基づいて、目標回転角θkを算出する。目標回転角算出部60は、算出した目標回転角θkをモータ制御部62に出力して処理を移す。
[ステップS170]
モータ制御部62は、例えばPWM制御により転舵モータ34を制御する。モータ制御部62は、ステップS166又はステップS168で算出された目標回転角θkに対応する回転角、及び転舵輪4を転舵させるトルクが得られるように転舵モータ駆動回路56に駆動制御信号を出力し、処理を終了する。転舵モータ駆動回路56は、モータ制御部62から入力された駆動制御信号に応じて転舵モータ34を回転駆動させるよう制御する。
以上のとおり、モータ制御処理においては、操舵モードが正常モードであるか、故障モードであるかに応じて、目標回転角θkを異なる処理により算出する。そして、特に故障モードである場合(故障箇所が転舵角センサ42である場合)、推定転舵角算出処理(ステップS140)によって、転舵角θwに代えて算出される推定転舵角θzに基づいて目標回転角θkを算出することから、転舵角センサ42の故障後においても、転舵モータ34の駆動による車両の操舵を確保することができる。
次に、反力制御手段52Cについて概説する。反力制御手段52Cは、操舵角センサ16から検出される操舵角θhと、トルクセンサ18から検出されるトルクThに基づいて、運転手によるステアリングホイール14の回転操作方向とは逆向きのトルク(反力)が生じるように反力モータ20を駆動制御する。反力制御手段52Cからの駆動制御信号は、反力モータ駆動回路58に出力される。反力モータ駆動回路58は、反力制御手段52Cから入力した駆動制御信号に応じて反力モータ20に所定の電流を出力し、反力モータ20を回転駆動させる。反力制御手段52Cによる反力モータ20の駆動制御により、運転手はステアリングホイール14の回転操作時に回転操作方向とは逆向きの手ごたえを感じながら車両を操舵することができる。なお、反力モータ20及び反力制御手段52Cについては、車両の特性に応じて省略することも可能である。また、反力モータ20及び反力制御手段52Cと共に、或いはこれらに代えてシャフト15の端部に図外の捩ればねを配設し、ステアリングホイール14の回転操作に応じた反力を付与する構成としてもよい。
本実施形態においては、モータ角センサ36として構造的な特性により耐久性に優れ、転舵モータ34の回転角を周期的な電気角として出力するレゾルバを採用することにより、転舵モータ34の回転角に対応するモータ電気角θtへの信頼性を向上させている。これにより、転舵角センサ42で検出される転舵角θwへの信頼性が失われるような故障等を簡易に検出できる。
また、本実施形態においては、モータ電気角−転舵角比較判定部82による処理(ステップS112)をモータ電気角θt及び転舵角θwが入力するたびに逐次実行するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、転舵角θwが中立位置と対応する値(0°)である場合に限ってモータ電気角θtとの関係を判定するものとしてもよい。
具体的には、ステップS112の前段に転舵角θwが中立位置と対応する角度であるかを判定する処理を設け、転舵角θwが中立位置と対応する場合にのみ、ステップS112に移行する処理を実行すればよい。このような構成とすることにより、ステップS112の処理回数(サンプリング回数)が減少し、ECU50に掛かる処理負荷を軽減できる。
また、車両の走行時において最も頻度の高い中立位置と対応する転舵角θwの入力を条件に判定を実行することから、他の位置と対応する転舵角θwの入力を条件とする場合に比べ、故障検出に求められる精度を十分に確保することができる。
また、モータ電気角−転舵角比較判定部82による処理(ステップS112)においては、モータ電気角θtと転舵角θwとが、モータ電気角−転舵角対応マップM1に規定された値と一致するかに基づいて故障有無を判定するものとしたが、所定の閾値を設定し、値の相違が閾値内であれば一致すると見做して故障無しの判定を行ってもよい。
また、本実施形態においては、ラック38が中立位置にあるときのモータ角センサ36のモータ電気角θtが0°であるとして説明したが、これに限られるものではなく、ラック38の中立位置に対して、モータ電気角θtに位相差があっても良い。この場合、ECU50において位相差を0°に補正するなどの処理を実行すれば良い。
また、本実施形態においては、故障箇所がモータ角センサ36である場合に、車両停止処理(ステップS150)に移行するものとしたが、当該処理を実行することなく、モータ制御処理(ステップS160)を実行し、正常モードの場合と同様の処理(ステップS166)により目標回転角θkを算出し、車両の操舵を確保する構成としてもよい。なお、この際には車両を停止させるべき旨を運転手に報知することが望ましい。
<モータ電気角θt信号消失の場合>
また、本実施形態におけるモータ電気角記憶処理(ステップS100)においてモータ角センサ36からの入力信号(モータ電気角θt)が消失している場合、モータ角センサ36の断線が疑われるため、故障有無判定処理(ステップS110)、及び故障箇所判定処理(ステップS120)を行うことなく、直ちに車両停止処理(ステップS150)に移行するものとしてもよい。また、上述の場合と同様に、直ちにモータ制御処理(ステップS160)を実行し、正常モードの場合と同様の処理により目標回転角θkを算出し、車両の操舵を確保する構成としてもよい。なお、車両を停止させるべき旨の報知についても同様である。
<転舵角θw信号消失の場合>
また、本実施形態における故障有無判定処理(ステップS110)において転舵角センサ42からの入力信号(θw)が消失している場合、転舵角センサ42の断線が疑われるため、故障箇所判定処理(ステップS120)を行うことなく、直ちに推定転舵角算出処理(ステップS140)を実行し、推定転舵角θzに基づく転舵モータ34の制御(ステップS168)により車両の操舵を確保する構成としてもよい。
<転舵角θwが変化しない場合>
また、本実施形態における故障箇所特定処理(ステップS122)において、故障箇所が転舵角センサ42、又は転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素であると特定された場合であっても、故障時転舵継続信号Pw出力前後の転舵角θwが変化しない場合には、故障箇所が転舵角センサ42及び転舵モータ34の回転動作に連動する機械的要素のいずれであるかを特定できないため、直ちに車両停止処理(ステップS150)に移行する構成としてもよい。
上述の実施形態においては、転舵輪4が前方に位置する車両を例として説明したが、車両用操舵装置1は、例えばフォークリフト等の車両に代表されるように、転舵輪4が後方に位置する場合でも同様に適用できる。そしてこの場合、ステアリングホイール14の回転操作方向と転舵輪4の転舵方向との関係が逆となる。
1 車両用操舵装置,4 転舵輪,10 操舵機構,14 ステアリングホイール,
15 シャフト,16 操舵角センサ,18 トルクセンサ,20 反力モータ,
30 舵取り機構,34 転舵モータ,36 モータ角センサ,38 ラック,
40 タイロッド,42 転舵角センサ,50 ECU,52A 故障判定手段,
52B 舵取り制御手段,52C 反力制御手段

Claims (6)

  1. 操作手段の操作に応じた転舵モータの駆動により車両の転舵輪を転舵する舵取り機構と、
    前記転舵モータの回転角を周期的な電気角として検出するモータ角センサと、
    前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサと、
    前記検出される電気角及び転舵角の対応関係が予め記憶された記憶手段と、
    前記検出した電気角と前記検出した転舵角との関係と、前記記憶手段に記憶された電気角及び転舵角の対応関係とを比較することにより故障有無を判定する故障判定手段と、
    を備えた車両用操舵装置。
  2. 前記操作手段の操舵角を検出する操舵角センサと、
    前記検出した電気角を逐次記憶する逐次記憶手段と、
    前記故障判定手段により故障ありとされたとき、前記逐次記憶手段に記憶された電気角と前記検出した操舵角とに基づいて、前記転舵輪の推定転舵角を算出する推定転舵角算出手段と、
    前記操舵角と算出された推定転舵角とに基づいて前記転舵モータの駆動を制御する舵取り制御手段と、
    を備えた請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 前記故障判定手段による判定を、前記転舵角が前記転舵輪の中立位置と対応する角度であるときに実行する請求項1又は請求項2に記載の車両用操舵装置。
  4. 前記モータ角センサがレゾルバである請求項1乃至請求項3いずれかに記載の車両用操舵装置。
  5. 操作手段の操作に応じた転舵モータの駆動により車両の転舵輪を転舵する舵取り機構と、
    前記転舵モータの回転角を周期的な電気角として検出するモータ角センサと、
    前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角センサと、
    前記検出される電気角及び転舵角の対応関係が予め記憶された記憶手段と、
    を備えた車両用操舵装置の故障判定方法であって、
    前記検出した電気角と前記検出した転舵角との関係と、前記記憶手段に記憶された電気角及び転舵角の対応関係とを比較することにより故障有無を判定するステップを備えたことを特徴とする故障判定方法。
  6. 前記操作手段の操舵角を検出する操舵角センサと、
    前記検出した電気角を逐次記憶する逐次記憶手段と、
    前記転舵モータの駆動を制御する舵取り制御手段と、
    を備えた請求項5記載の車両用操舵装置における前記転舵モータの制御方法であって、
    故障ありとの判定に基づいて、前記逐次記憶手段に記憶された電気角を読み出すステップと、
    読み出した電気角と前記検出した操舵角とに基づいて、前記転舵輪の推定転舵角を算出するステップと、
    を備え、
    前記舵取り制御手段が前記操舵角及び推定転舵角に基づいて前記転舵モータの駆動を制御することを特徴とする転舵モータの制御方法。
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