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JP2015160233A - フラックス組成物、はんだ組成物およびプリント配線基板 - Google Patents

フラックス組成物、はんだ組成物およびプリント配線基板 Download PDF

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JP2015160233A JP2014037109A JP2014037109A JP2015160233A JP 2015160233 A JP2015160233 A JP 2015160233A JP 2014037109 A JP2014037109 A JP 2014037109A JP 2014037109 A JP2014037109 A JP 2014037109A JP 2015160233 A JP2015160233 A JP 2015160233A
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Abstract

【課題】はんだ組成物としたときに、連続印刷時の粘度安定性に優れ、かつチップ脇ボールの発生を十分に抑制できるフラックス組成物を提供すること。
【解決手段】本発明のフラックス組成物は、(A)ロジン系樹脂、(B)溶剤、(C)活性剤、(D)チクソ剤および(E)酸化防止剤を含有し、前記(E)成分は、(E1)下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするものである。

(前記一般式(1)中、L、L、LおよびLは、同一でも異なっていてもよく、−C2m−で表される基を示し、mは0〜4の整数を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器のプリント配線基板に部品を実装するはんだ組成物(いわゆるソルダペースト)、このはんだ組成物用のフラックス組成物、および、このはんだ組成物を用いて電子部品を実装したプリント配線基板に関する。
はんだ組成物(ソルダペースト)は、はんだ粉末にフラックス組成物(ロジン系樹脂、活性剤および溶剤など)を混練してペースト状にした混合物である。このはんだ組成物においては、はんだ溶融性やはんだが塗れ広がりやすいという性質(はんだ塗れ広がり)とともに、チップ脇ボールの抑制や印刷性が要求されている。なお、チップ脇ボールとは、通常のはんだボール(リフロー後にパッド間に残留するはんだボール)とは発生要因が異なり、チップ下においてソルダペースト中の溶剤が揮発し、このガスがはんだをはじき、ボールとしてチップ脇に発生したものをいう。これらのチップ脇ボールは、通常のはんだボールと比較して大きい。また、これらの要求特性の中でも、実装基板などの生産性の観点から、特に高度の印刷性(連続印刷時の粘度安定性およびその他の諸特性)が要求される場合がある。また、実装基板の小型化の観点から、チップ脇ボールのより確実な抑制も併せて要求される場合がある。これらの問題を解決するために、フラックス組成物中の活性剤などの検討がされている(例えば、特許文献1)。
特開2006−110580号公報
しかしながら、特許文献1に記載のソルダペーストは、連続印刷時の粘度安定性およびチップ脇ボールの抑制の点で必ずしも十分なものではなかった。
粘度安定性およびチップ脇ボールの抑制の観点からは、活性剤の種類だけでなく、配合量も検討される。また、印刷性の観点からは、フラックス組成物中のチクソ剤の種類や配合量も検討される。しかしながら、これらの検討によっても、連続印刷時の増粘をある程度までしか抑制できずに粘度安定性が不十分であり、また、チップ脇ボールも十分に抑制することはできない。
そこで、本発明は、はんだ組成物としたときに、連続印刷時の粘度安定性に優れ、かつチップ脇ボールの発生を十分に抑制できるフラックス組成物、およびこれを用いたはんだ組成物、並びに、このはんだ組成物を用いたプリント配線基板を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、本発明者らは、フラックス組成物において、活性剤およびチクソ剤と特定の酸化防止剤とを組み合わせて用いた場合には、連続印刷時の粘度安定性を飛躍的に向上でき、チップ脇ボールの発生を十分に抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、以下のようなフラックス組成物、はんだ組成物およびプリント配線基板を提供するものである。
すなわち、本発明のフラックス組成物は、(A)ロジン系樹脂、(B)溶剤、(C)活性剤、(D)チクソ剤および(E)酸化防止剤を含有し、前記(E)成分は、(E1)下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするものである。
前記一般式(1)中、L、L、LおよびLは、同一でも異なっていてもよく、−C2m−で表される基を示し、mは0〜4の整数を示す。
本発明のフラックス組成物においては、前記(E1)成分の分子量が、700以下であることが好ましい。
本発明のフラックス組成物においては、前記(E1)成分の融点が、160℃以上185℃以下であることが好ましい。
本発明のフラックス組成物においては、前記(E1)成分の配合量が、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本発明のフラックス組成物においては、
前記(E1)成分が、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミドであることが好ましい。
本発明のフラックス組成物においては、前記(E)成分は、さらに(E2)下記一般式(2)で表される化合物を含有し、前記(E)成分中における前記(E1)成分と前記(E2)成分との質量比は、1:10〜10:1の範囲であることが好ましい。
前記一般式(2)中、LおよびLは、同一でも異なっていてもよく、−C2m−で表される基を示し、mは0〜4の整数を示し、nは1〜3の整数を示し、pは1〜4の整数を示す。
本発明のフラックス組成物においては、前記(E2)成分の融点が、70℃以上85℃以下であることが好ましい。
本発明のフラックス組成物においては、前記(E2)成分が、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]であることが好ましい。
本発明のはんだ組成物は、前記フラックス組成物と、はんだ粉末とを含有することを特徴とするものである。
本発明のプリント配線基板は、前記はんだ組成物を用いて、電子部品をプリント配線基板に実装したことを特徴とするものである。
本発明によれば、はんだ組成物としたときに、連続印刷時の粘度安定性に優れ、かつチップ脇ボールの発生を十分に抑制できるフラックス組成物、およびこれを用いたはんだ組成物、並びに、このはんだ組成物を用いたプリント配線基板を提供できる。
[フラックス組成物]
まず、本発明のフラックス組成物について説明する。本発明に用いるフラックス組成物は、はんだ組成物におけるはんだ粉末以外の成分であり、(A)ロジン系樹脂、(B)溶剤、(C)活性剤、(D)チクソ剤および(E)酸化防止剤を含有するものである。
[(A)成分]
本発明に用いる(A)ロジン系樹脂としては、ロジン類およびロジン系変性樹脂が挙げられる。ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。ロジン系変性樹脂としては、ディールス・アルダー反応の反応成分となり得る前記ロジン類の不飽和有機酸変性樹脂((メタ)アクリル酸などの脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸などの芳香族環を有する不飽和カルボン酸等の変性樹脂)およびこれらの変性物などのアビエチン酸、並びに、これらの変性物を主成分とするものなどが挙げられる。これらのロジン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(A)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、35質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。(A)成分の配合量が前記下限未満では、はんだ付ランドの銅箔面の酸化を防止してその表面に溶融はんだを濡れやすくする、いわゆるはんだ付性が低下し、はんだボールが生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックス残さ量が多くなる傾向にある。
[(B)成分]
本発明に用いる(B)溶剤としては、公知の溶剤を適宜用いることができる。このような溶剤としては、沸点170℃以上の水溶性溶剤を用いることが好ましい。
このような溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキシルジグリコール、1,5−ペン
タンジオール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、2−エチルヘキシルジグリコール(EHDG)、オクタンジオール、フェニルグリコール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(B)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。溶剤の配合量が前記範囲内であれば、得られるはんだ組成物の粘度を適正な範囲に適宜調整できる。
[(C)成分]
本発明に用いる(C)活性剤としては、有機酸、非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤、アミン系活性剤などが挙げられる。これらの活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸などの他に、その他の有機酸が挙げられる。
モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、グリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、ジグリコール酸などが挙げられる。
その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、ピコリン酸などが挙げられる。
前記非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤としては、ハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。このハロゲン化化合物としては、塩素化物、臭素化物、フッ化物のように塩素、臭素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよいが、塩素、臭素およびフッ素の任意の2つまたは全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。これらの化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールやハロゲン化カルボキシルのように水酸基やカルボキシル基などの極性基を有することが好ましい。ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3−ジブロモブタンジオール、トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコールなどの臭素化アルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノールなどの塩素化アルコール、3−フルオロカテコールなどのフッ素化アルコール、その他これらに類する化合物が挙げられる。ハロゲン化カルボキシルとしては、2−ヨード安息香酸、3−ヨード安息香酸、2−ヨードプロピオン酸、5−ヨードサリチル酸、5−ヨードアントラニル酸などのヨウ化カルボキシル、2−クロロ安息香酸、3−クロロプロピオン酸などの塩化カルボキシル、2,3−ジブロモプロピオン酸、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモ安息香酸などの臭素化カルボキシル、その他これらに類する化合物が挙げられる。
前記アミン系活性剤としては、アミン類(エチレンジアミンなどのポリアミンなど)、アミン塩類(トリメチロールアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミンなどのアミンやアミノアルコールなどの有機酸塩や無機酸塩(塩酸、硫酸、臭化水素酸など))、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリンなど)、アミド系化合物などが挙げられる。具体的には、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩(塩酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩など)、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、これらのアミンの臭化水素酸塩などが挙げられる。
前記(C)成分の配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上8質量%以下であることが特に好ましい。(C)成分の配合量が前記下限未満では、チップ脇ボールが生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フラックス組成物の絶縁性が低下する傾向にある。
[(D)成分]
本発明に用いる(D)チクソ剤としては、硬化ひまし油、アミド類、カオリン、コロイダルシリカ、有機ベントナイト、ガラスフリットなどが挙げられる。これらのチクソ剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(D)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。配合量が前記下限未満では、チクソ性が得られず、ダレが生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、チクソ性が高すぎて、塗布不良となりやすい傾向にある。
[(E)成分]
本発明に用いる(E)酸化防止剤は、(E1)下記一般式(1)で表される化合物を含有するものである。
前記一般式(1)において、L、L、LおよびLは、同一でも異なっていてもよく、−C2m−で表される基を示す。また、mは0〜4(好ましくは、1〜3、より好ましくは2)の整数を示す。
前記(E1)成分の分子量は、700以下であることが好ましく、650以上700以下であることがより好ましい。分子量が前記上限を超えると、フラックス中から析出しやすくなる傾向にある。
前記(E1)成分の融点は、160℃以上185℃以下であることが好ましく、170℃以上180℃以下であることがより好ましい。融点が前記範囲内であれば、無鉛のはんだ粉末のように高融点(例えば200℃以上240℃以下)のはんだ粉末を用いた場合におけるはんだ溶融性を更に向上できる。
前記(E1)成分としては、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミドなどが挙げられる。これらの中でも、下記構造式(3)に示すN,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミドが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(E1)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上4質量%以下であることが特に好ましい。(E1)成分の配合量が前記下限未満では、連続印刷時に増粘する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、印刷性が悪化する傾向にある。
前記(E)成分は、前記(E1)成分の他に、(E2)下記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
前記一般式(2)において、LおよびLは、同一でも異なっていてもよく、−C2m−で表される基を示し、mは0〜4(好ましくは、1〜3、より好ましくは2)の整数を示す。nは1〜3(好ましくは、2〜3、より好ましくは2)の整数を示し、pは1〜4(好ましくは、2〜3、より好ましくは2)の整数を示す。
このような(E2)成分と前記(E1)成分との組み合わせにより、連続印刷時の粘度安定性やはんだ溶融性に相乗的な効果が達成される。この理由は定かではないが、(i)低融点の(E2)成分が低温での活性に寄与し、高融点の(E1)成分が高温での活性に寄与することによる作用や、(ii)(E1)成分が下記構造式(S1)で示すヒンダードフェノール構造を有し、(E2)成分が下記構造式(S2)で示すハーフヒンダードフェノール構造を有することによる作用などにより上記効果が達成されるものと本発明者らは推察する。
前記(E2)成分としては、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシプロピレン)]、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)酢酸][エチレンビス(オキシエチレン)]などが挙げられる。これらの中でも、下記構造式(4)に示すビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(E)成分中における前記(E1)成分と前記(E2)成分との質量比は、連続印刷時の粘度安定性やはんだ溶融性の観点から、1:10〜10:1の範囲であることが好ましく、1:3〜3:1の範囲であることがより好ましい。
前記(E)成分の配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることが特に好ましい。(E)成分の配合量が前記下限未満では、連続印刷時に増粘する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、はんだ組成物の保存安定性が悪化する傾向にある。
[他の成分]
本発明に用いるフラックス組成物には、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分および前記(E)成分の他に、必要に応じて、その他の添加剤、更には、その他の樹脂を加えることができる。その他の添加剤としては、消泡剤、改質剤、つや消し剤、発泡剤などが挙げられる。その他の樹脂としては、アクリル系樹脂などが挙げられる。
[はんだ組成物]
次に、本発明のはんだ組成物について説明する。本発明のはんだ組成物は、前記本発明のフラックス組成物と、以下説明する(F)はんだ粉末とを含有するものである。
[(F)成分]
本発明に用いる(F)はんだ粉末は、無鉛のはんだ粉末のみからなることが好ましいが、有鉛のはんだ粉末であってもよい。このはんだ粉末におけるはんだ合金としては、スズを主成分とする合金が好ましい。また、この合金の第二元素としては、銀、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。さらに、この合金には、必要に応じて他の元素(第三元素以降)を添加してもよい。他の元素としては、銅、銀、ビスマス、アンチモン、アルミニウム、インジウムなどが挙げられる。
なお、前記本発明のフラックス組成物は、無鉛のはんだ粉末のように融点が高いものの場合に、前記本発明の効果を顕著に発揮する。そのため、(F)成分の融点は、200℃以上240℃以下であることが好ましい。
無鉛のはんだ粉末としては、具体的には、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Ag/Bi、Sn/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Sbや、Sn/Zn/Bi、Sn/Zn、Sn/Zn/Al、Sn/Ag/Bi/In、Sn/Ag/Cu/Bi/In/Sb、In/Agなどが挙げられる。
前記はんだ粉末の平均粒子径は、1μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上35μm以下であることがより好ましく、15μm以上25μm以下であることが特に好ましい。平均粒子径が上記範囲内であれば、はんだ付けランドのピッチの狭くなってきている最近のプリント配線基板にも対応できる。なお、平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
[はんだ組成物の製造方法]
本発明のはんだ組成物は、上記説明したフラックス組成物と上記説明した(F)はんだ粉末とを上記所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
[プリント配線基板]
次に、本発明のプリント配線基板について説明する。本発明のプリント配線基板は、以上説明したはんだ組成物を用いて電子部品をプリント配線基板に実装したことを特徴とするものである。そのため、本発明のプリント配線基板では、はんだ付け後のフラックス残さ下の銅箔の変色を十分に抑制できる。
ここで用いる塗布装置としては、スクリーン印刷機、メタルマスク印刷機、ディスペンサー、ジェットディスペンサーなどが挙げられる。
また、前記塗布装置にて塗布したはんだ組成物上に電子部品を配置し、リフロー炉により所定条件にて加熱して、前記電子部品を前記配線基板に実装するリフロー工程により、電子部品をプリント配線基板に実装できる。
リフロー工程においては、前記はんだ組成物上に前記電子部品を配置し、リフロー炉により所定条件にて加熱する。このリフロー工程により、電子部品および配線基板の間に十分なはんだ接合を行うことができる。その結果、前記電子部品を前記配線基板に実装することができる。
リフロー条件は、はんだの融点に応じて適宜設定すればよい。例えば、Sn−Ag−Cu系のはんだ合金を用いる場合には、プリヒートを温度150〜190℃で60〜120秒行い、ピーク温度を240〜270℃に設定すればよい。
また、本発明のはんだ組成物およびプリント配線基板は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、前記プリント配線基板では、リフロー工程により、配線基板と電子部品とを接着しているが、これに限定されない。例えば、リフロー工程に代えて、レーザー光を用いてはんだ組成物を加熱する工程(レーザー加熱工程)により、配線基板と電子部品とを接着してもよい。この場合、レーザー光源としては、特に限定されず、金属の吸収帯に合わせた波長に応じて適宜採用できる。レーザー光源としては、例えば、固体レーザー(ルビー、ガラス、YAGなど)、半導体レーザー(GaAs、InGaAsPなど)、液体レーザー(色素など)、気体レーザー(He−Ne、Ar、CO、エキシマーなど)が挙げられる。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた材料を以下に示す。
((A)成分)
ロジン系樹脂:水添酸変性ロジン、商品名「パインクリスタルKE−604」、荒川化学工業社製
((B)成分)
溶剤:2−エチルヘキシルジグリコール(EHDG)
((C)成分)
活性剤A:グルタル酸
活性剤B:アジピン酸
活性剤C:ピコリン酸
((D)成分)
チクソ剤A:商品名「スリパックスZHH」、日本化成社製
チクソ剤B:硬化ヒマシ油、商品名「ヒマ硬」、KFトレーディング社製
((E1)成分)
酸化防止剤A:下記構造式(3)で表される酸化防止剤、融点170〜180℃
((E2)成分)
酸化防止剤B:下記構造式(4)で表される酸化防止剤、融点76〜79℃
((F)成分)
はんだ粉末:平均粒子径20μm、はんだ融点216〜220℃、はんだ組成Sn/Ag/Cu
(他の成分)
酸化防止剤C:下記構造式(5)で表される酸化防止剤、融点260〜267℃
酸化防止剤D:下記構造式(6)で表される酸化防止剤、融点104℃
酸化防止剤E:ハイドロキノン
[実施例1]
ロジン系樹脂41質量%、溶剤38質量%、活性剤A5質量%、活性剤B2質量%、活性剤C1質量%、チクソ剤A6質量%、チクソ剤B3質量%、酸化防止剤A3質量%、および酸化防止剤B1質量%を容器に投入し、プラネタリーミキサーを用いて混合してフラックス組成物を得た。
その後、得られたフラックス組成物12質量%およびはんだ粉末88質量%(合計で100質量%)を容器に投入し、プラネタリーミキサーにて混合することではんだ組成物を調製した。
[実施例2〜8]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。
[比較例1〜6]
表2に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。
<はんだ組成物の評価>
はんだ組成物の評価(ローリング試験、印刷性、溶融性、塗れ広がり、チップ脇ボール)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1および表2に示す。
(1)ローリング試験(連続印刷時の粘度安定性)
印刷機(パナソニック社製の「SP−70」)を用い、はんだ組成物をパターンを有さない版の上にのせ、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で24時間繰り返し印刷動作を行うローリング試験を行った。このローリング試験の前後における粘度の変化率(増粘率)を測定し、以下の基準に従って、連続印刷時の増粘を評価した。
◎:増粘率が±3%以内である。
○:増粘率が±3%以内ではないが、±10%以内である。
△:増粘率が±10%以内ではないが、±15%以内である。
×:増粘率が±15%の範囲外である。
(2)印刷性
直径0.2mmφの開穴が49個設けられ、厚みが0.12mmの版を用い、はんだ組成物を基板上に、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で印刷した。そして、印刷後の版を目視にて観察して、穴抜けした箇所の比率(抜け率)を測定し、以下の基準に従って、印刷性を評価した。
◎:抜け率が90%以上である。
○:抜け率が80%以上90%未満である。
△:抜け率が60%以上80%未満である。
×:抜け率が60%未満である。
(3)溶融性
直径0.2mmφの開穴が49個設けられ、厚みが0.12mmの版を用い、はんだ組成物を基板上に、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で印刷した。その後、プリヒート180℃を60秒間とピーク温度260℃を10秒間の条件でリフローを行い、試験基板を作製した。試験基板の印刷箇所(49個)のうち、はんだが溶融した溶融箇所を測定し、以下の基準に従って、溶融性を評価した。
◎:溶融箇所が40個以上である。
○:溶融箇所が35個以上40個未満である。
△:溶融箇所が25個以上35個未満である。
×:溶融箇所が25個未満である。
(4)塗れ広がり
JIS Z 3197 はんだ広がり法に準拠した方法により、塗れ広がりを評価した。そして、以下の基準に従って、塗れ広がりを評価した。
◎:塗れ広がり率が80%以上である。
○:塗れ広がり率が70%以上80%未満である。
△:塗れ広がり率が50%以上70%未満である。
×:塗れ広がり率が50%未満である。
(5)チップ脇ボール
チップ(大きさ:1.6mm×0.8mm)を実装できる電極(大きさ:0.5mm×0.8mm)を有する基板上に、対応するパターンを有するメタルマスクを用い、はんだ組成物を、印刷速度50mm/sec、印圧0.2Nの条件で印刷した。その後、はんだ組成物上にチップ(大きさ:1.6mm×0.8mm)を搭載して、プリヒート180℃を60秒間とピーク温度260℃を10秒間の条件でリフローを行い、試験基板を作製した。試験基板を目視にて観察して、チップ脇にあるはんだボールの数(チップ脇ボール数)を測定し、以下の基準に従って、チップ脇ボールを評価した。
◎:10個のチップ当たり、チップ脇ボール数が2個以下である。
○:10個のチップ当たり、チップ脇ボール数が2個超5個以下である。
△:10個のチップ当たり、チップ脇ボール数が5個超8個以下である。
×:10個のチップ当たり、チップ脇ボール数が8個超である。
表1および表2に示す結果からも明らかなように、本発明のはんだ組成物(実施例1〜8)は、ローリング試験、印刷性、溶融性、塗れ広がりおよびチップ脇ボールの評価が全て良好であることが確認された。従って、本発明のはんだ組成物は、連続印刷時の粘度安定性に優れ、かつチップ脇ボールの発生を十分に抑制できることが確認された。
これに対し、(E1)成分を含有しないはんだ組成物を用いた場合(比較例1〜6)には、ローリング試験およびチップ脇ボールの評価のうちのいずれかが不十分となることが分かった。
また、実施例1と実施例8の結果を比較すると、これらは共に酸化防止剤同士を組み合わせて用いて例であるが、実施例1の評価結果が格段に優れていることが分かった。このことから、(E1)成分および(E2)成分の組み合わせには、相乗的な効果があることが分かった。
本発明のフラックス組成物およびはんだ組成物は、電子機器のプリント配線基板に部品を実装するための技術として好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. (A)ロジン系樹脂、(B)溶剤、(C)活性剤、(D)チクソ剤および(E)酸化防止剤を含有し、
    前記(E)成分は、(E1)下記一般式(1)で表される化合物を含有する
    ことを特徴とするフラックス組成物。

    (前記一般式(1)中、L、L、LおよびLは、同一でも異なっていてもよく、−C2m−で表される基を示し、mは0〜4の整数を示す。)
  2. 請求項1に記載のフラックス組成物において、
    前記(E1)成分の分子量が、700以下である
    ことを特徴とするフラックス組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物において、
    前記(E1)成分の融点が、160℃以上185℃以下である
    ことを特徴とするフラックス組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフラックス組成物において、
    前記(E1)成分の配合量が、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上10質量%以下である
    ことを特徴とするフラックス組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフラックス組成物において、
    前記(E1)成分が、N,N’−ビス[2−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミドである
    ことを特徴とするフラックス組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフラックス組成物において、
    前記(E)成分は、さらに(E2)下記一般式(2)で表される化合物を含有し、
    前記(E)成分中における前記(E1)成分と前記(E2)成分との質量比は、1:10〜10:1の範囲である
    ことを特徴とするフラックス組成物。

    (前記一般式(2)中、LおよびLは、同一でも異なっていてもよく、−C2m−で表される基を示し、mは0〜4の整数を示し、nは1〜3の整数を示し、pは1〜4の整数を示す。)
  7. 請求項6に記載のフラックス組成物において、
    前記(E2)成分の融点が、70℃以上85℃以下である
    ことを特徴とするフラックス組成物。
  8. 請求項6または請求項7に記載のフラックス組成物において、
    前記(E2)成分が、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]である
    ことを特徴とするフラックス組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のフラックス組成物と、はんだ粉末とを含有することを特徴とするはんだ組成物。
  10. 請求項9に記載のはんだ組成物を用いて、電子部品をプリント配線基板に実装したことを特徴とするプリント配線基板。
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