JP2015156270A - 透明電極パターンの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、透明導電体に対し、安定して透明電極パターン及び引き出し配線を形成することができ、透明性に優れ、表面電気抵抗値が低く、腐食耐性、電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンの形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明の透明電極パターンの形成方法は、透明基板上に、第1高屈折率層と、透明金属層と、第2高屈折率層とをこの順で有する透明導電体を用い、エッチング液により、透明金属層より第2高屈折率層を有する面側に位置するすべて層の所定領域を溶解して、透明金属層の露出部を形成する工程aと、エッチング液により、透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、工程aで露出した透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、明電極パターンを形成することを特徴とする透明電極パターンの形成方法。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の透明電極パターンの形成方法は、透明基板上に、第1高屈折率層と、透明金属層と、第2高屈折率層とをこの順で有する透明導電体を用い、エッチング液により、透明金属層より第2高屈折率層を有する面側に位置するすべて層の所定領域を溶解して、透明金属層の露出部を形成する工程aと、エッチング液により、透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、工程aで露出した透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、明電極パターンを形成することを特徴とする透明電極パターンの形成方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、透明金属層を有する透明導電体に対する透明電極パターンの形成方法に関し、更に詳しくは、透明導電体に、安定して透明電極パターン及び引き出し配線を形成し、透明性及び表面電気抵抗性に優れ、腐食耐性、電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンの形成方法に関する。
近年、タッチパネル材料、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の表示装置、太陽電池等の各種装置に、低抵抗な透明導電膜が求められている。
このような透明導電膜を構成する材料として、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属やIn2O3、CdO、CdIn2O4、Cd2SnO4、TiO2、SnO2、ZnO、ITO(酸化インジウムスズ)等の酸化物半導体が知られている。
ここで、タッチパネル型の表示装置等では、表示素子の画像表示面上に、透明導電膜等からなる配線が配置される。したがって、透明導電膜には、光の透過性が高いことが求められる。このような各種表示装置には、光透過性の高いITOからなる透明導電膜が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電膜の表面電気抵抗をさらに低く、具体的には、50Ω/□以下の抵抗値が強く求められている。しかし、従来、広く用いられているITO膜では、抵抗値としては150Ω/□程度にとどまっており、上記の要望に対しては不十分な特性であった。
このような背景から、近年、ITOに代わる次世代の透明導電膜の開発が盛んになされてきた。
上記課題に対し、例えば、特開2011−138628号公報、特開2011−171292号公報等には、銀メッシュを適用する導電性要素の製造方法が開示されている。しかしながら、これら銀メッシュを用いた方法では、メッシュの径が20μm程度であるため、人間の目で視認できてしまうため、タッチパネル表示装置等への適用は難しいのが現状である。また、一部メーカーより市販されている銀ナノワイヤーでは、肉眼で視認されない程度の微小サイズを有し、膜内での導電性を発現するものの、面抵抗値としては、60Ω/□程度であり、現在のタッチパネル表示装置等で要求されている品質に対しては不十分であった。
そのほかにも、酸化亜鉛等を用いることにより低抵抗化する試みがなされているが、このような方法では、導電膜の膜厚としては、200nm程度まで積層する必要があり、製造過程で形成した導電膜に応力が掛かった際、膜内にクラック等が発生しやすくなるため歩留まりが低下し、生産効率の点で課題を有している。またこのような特性を抱えた導電膜は、近い将来に実用化が予測されているフレキシブルタッチパネルや曲面部材への適用が難しい。
上記問題を踏まえ、近年、銀の蒸着膜を透明導電膜として適用する方法が、例えば、特表2011−508400号公報に記載されている。また、透明導電体の光透過性を高めるため、銀薄膜を、スパッタ法により形成した屈折率の高い金属膜(例えば、酸化ニオブ(Nb2O5)、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物等の膜)で挟持する構成の透明導電膜が、特許文献1〜3あるいは非特許文献1に開示されている。さらに、銀薄膜を硫化亜鉛膜で挟持した構成の透明導電膜が提案されている(例えば、非特許文献2及び3参照)。しかしながら、IZOやa−GIO等で構成される高屈折率の金属層は、ある程度の導電性は有しているが、高温高湿環境下で劣化しやすく、電極接続性に劣るという問題を抱えている。
また、非特許文献2又は非特許文献3で開示されているような、樹脂基材上に、第1高屈折率層、透明金属層、第2高屈折率層を積層した構成の透明導電体、例えば、第1高屈折率層として硫化亜鉛(ZnS)/透明金属層として銀薄膜(Ag)/第2高屈折率層として硫化亜鉛(ZnS)から構成される透明導電体、あるいは、第1高屈折率層として硫化亜鉛・二酸化ケイ素(ZnS・SiO2)/透明金属層として銀薄膜(Ag)/第2高屈折率層として硫化亜鉛・二酸化ケイ素(ZnS・SiO2)等の構成からなる透明導電体においては、以下に示すような2つの問題を抱えていた。
1)第1高屈折率層が含有しているZnSの硫黄成分によって、その上に形成する銀薄膜を構成するAg原子が硫化し、透過率が落ちる。
2)ZnSを含有する第1高屈折率層又は第2高屈折率層は導電性が低く、その構成のままでは、外部回路と接続によることができなかった。
前記1)の原因は、Agを含む透明金属層を、ZnSを含有する第1高屈折率層上に形成する場合、第1高屈折率層表面に存在する活性硫黄成分とわずかに反応、あるいは、例えば、ZnSを含有する第1高屈折率層が、透明金属層の形成に用いるプラズマにより再スパッタされることで、硫黄成分が遊離することで、結果として、透明金属層上で硫化銀を形成し、不正の吸収が生じる。
更に、透明金属層上に、ZnSを含有する第2高屈折率層上に形成する場合、第2高屈折率層形成中に遊離した硫黄成分が生じ、その遊離した硫黄成分が、透明金属層上に付着し、銀成分と反応して硫化銀が形成され、不正な吸収が生じる。加えて、腐食されやすいことが判明した。
前記2)の原因は、透明金属層上に形成するZnSを含有する第2高屈折率層は導電性が低く、その下部に位置している透明金属層に電流が極めて流れにくい構造となっている。そのため、外部回路と接続するための引き出し電極と透明金属層でコンデンサーを形成することになる。その結果、直流では電流が流れにくい状態であり、交流でも周波数によって抵抗値が異なるという現象が発生し、電極の接続性として問題を抱えていた。
従って、上記のような問題、特に、2)に記載した問題を克服し、安定して透明電極のパターン及び引き出し配線を形成することができ、透明性に優れ、表面電気抵抗値が低く、腐食耐性、電極接続性及びその耐久性に優れた透明導電体の透明電極パターンの形成方法の開発が、要望されている。
Transparent Conductive Film Nb2O5/Ag/IZO with an Anti−Reflection Design,Ywh−Tarng Leu, et al., SID 2012 DIGEST p.352−353
Xuanjie Liu,et al, (2003). Thin Solid Films 441, 200−206
Optically transparent IR reflective heat mirror films of ZnS − Ag − ZnS, Bruce W. Smith, May 1989. Rochester Institute Of Technology Center For Imaging Science
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、透明導電体に対し、安定して透明電極のパターン及び引き出し配線を形成することができ、透明性に優れ、表面電気抵抗値が低く、腐食耐性、電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンの形成方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、透明基板上に、少なくとも、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をこの順で有する透明導電体に、透明電極及び引き出し配線を有する透明電極パターンを形成する透明電極パターンの形成方法であって、a)エッチング液により、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、b)エッチング液により、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、透明電極パターンを形成することを特徴とする透明電極パターンの形成方法により、透明導電体に対し、安定して透明電極のパターン及び引き出し配線を形成することができ、透明性に優れ、表面電気抵抗値が低く、腐食耐性、電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンの形成方法を提供することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.透明基板上に、少なくとも、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をこの順で有する透明導電体に、透明電極及び引き出し配線を有する透明電極パターンを形成する透明電極パターンの形成方法であって、
a)エッチング液により、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、
b)エッチング液により、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、
c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、
透明電極パターンを形成することを特徴とする透明電極パターンの形成方法。
a)エッチング液により、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、
b)エッチング液により、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、
c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、
透明電極パターンを形成することを特徴とする透明電極パターンの形成方法。
2.前記工程aが、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法を用いて前記透明金属層を露出させる方法であることを特徴とする第1項に記載の透明電極パターンの形成方法。
3.前記工程aで用いる前記透明金属層を露出させる方法が、フォトリソグラフィー法であることを特徴とする第2項に記載の透明電極パターンの形成方法。
4.前記工程bが、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法を用いて前記透明電極を形成する方法であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
5.前記工程bにおいて、前記透明電極を形成する方法が、フォトリソグラフィー法であることを特徴とする第4項に記載の透明電極パターンの形成方法。
6.前記工程cが、蒸着法又はスクリーン印刷法を用いて引き出し電極を形成する方法であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
7.前記工程cにおいて、前記引き出し電極を形成する方法が、金属ペーストを用いたスクリーン印刷法であることを特徴とする第6項に記載の透明電極パターンの形成方法。
8.前記第1高屈折率層又は第2高屈折率層が、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物により形成することを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
9.前記金属酸化物として、二酸化ケイ素を用いることを特徴とする第8項に記載の透明電極パターンの形成方法。
10.前記透明金属層を、銀を主成分とする銀薄膜として形成することを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
11.前記第1高屈折率層と透明金属層との間、又は前記第2高屈折率層と透明金属層との間に、硫化防止層を形成することを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
12.前記硫化防止層を、亜鉛元素又はガリウム元素を含む材料で形成することを特徴とする第11項に記載の透明電極パターンの形成方法。
本発明の上記手段により、透明導電体に対し、安定して透明電極のパターン及び引き出し配線から構成される透明電極パターンを形成することができ、透明性に優れ、表面電気抵抗値が低く、腐食耐性、電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンの形成方法を提供することができる。
本発明の上記目的効果を達成することができた発現機構・作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の透明電極パターンの形成方法においては、a)エッチング液により、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、b)エッチング液により、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cを経て、透明電極パターンを有する透明導電体を作製する。すなわち、露出させた透明金属層表面に、導電性材料を直接付与して引き出し配線を形成することにより、外部回路と安定かつ確実に接続するができ、更に、高温高湿等の過酷な環境下に長期間さらされた際にも、接点の剥離等を生じることなく、耐久性に優れた透明電極パターンを形成することができる。
加えて、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の少なくとも一層を、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物により形成することが好ましい。硫化亜鉛は良好なバリア性を有しており、例えば、Ag等から構成されている透明金属層の耐湿性を向上させることができる。また、硫化亜鉛が透明金属層、例えば、銀薄膜層近傍に豊富に存在することにより銀原子をグリップし、銀原子のマイグレーション(移動)を防止することができる。その結果、薄膜で均一な銀層を形成することができる。
また、例えば、硫化亜鉛を含有する高屈折率層と、銀等で構成される透明金属層との間に、硫化防止層を設けることにより、透明金属層の硫化を防止し、吸収の増大を防ぐことができる。加えて、硫化防止層として、亜鉛元素又はガリウム元素を含む化合物で構成することにより、透明電極に対しより優れた腐食防止効果を付与することができる。
また、本発明の透明電極パターンの形成方法においては、高屈折率層を、硫化亜鉛を含有させて形成することにより、弱酸を用い、その濃度及びエッチング時間を適宜調整することにより、所望の膜厚範囲、例えば、第2高屈折率層のみをエッチングさせたり、あるいは第1高屈折率層までエッチングすることが可能となり、任意の配線パターンで、透明金属層手前までエッチングしたり、すべての構成層をエッチングにより除去して、透明電極パターンを形成することができる。さらに、高屈折率層として、硫化亜鉛に、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物を混在化させることにより、硫化亜鉛の結晶性が損なわれる為、エッチングがさらに容易となる。また、硫化亜鉛層の結晶成長を妨げることができ、その結果、硫化亜鉛層はアモルファスとなりフレキシブル性が発現することになる。
本発明の透明電極パターンの形成方法は、透明基板上に、少なくとも、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をこの順で有する透明導電体に、透明電極及び引き出し配線を有する透明電極パターンを形成する透明電極パターンの形成方法であって、a)エッチング液により、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層を、所定の領域範囲で溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、b)エッチング液により、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、透明電極パターンを形成することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項12に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記工程aが、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法を用いて前記透明金属層を露出させる方法であること、更には、当該透明金属層を露出させる方法が、フォトリソグラフィー法であることが、より電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンを形成することができる点で好ましい。
また、前記工程bが、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法を用いて前記金属パターン電極を形成する方法であること、更には、当該金属パターン電極を形成する方法が、フォトリソグラフィー法であることが、より電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンを形成することができる点で好ましい。また、フォトリソグラフィー法を適用することが、より高精細なパターンを描写でき、人間が視認しにくいという利点を有している。
また、前記工程cが、蒸着法又はスクリーン印刷法を用いて引き出し電極を形成する方法であること、更には、当該引き出し電極を形成する方法が、金属ペーストを用いたスクリーン印刷法であることが、より電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンを形成することができる点で好ましい。
また、前記第1高屈折率層又は第2高屈折率層が、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物とにより形成することが好ましい態様である。硫化亜鉛は良好なバリア性を有しており、例えば、Ag等から構成されている透明金属層の耐湿性を向上させることができる。また、硫化亜鉛が透明金属層、例えば、銀薄膜層近傍に豊富に存在することにより銀原子をグリップし、銀原子のマイグレーション(移動)を防止することができる。その結果、極めて薄膜で均一な銀層を安定して形成することができる。また、硫化亜鉛を含む高屈折率層は、弱酸により容易にエッチングすることが可能であり、それを用いて、任意の配線パターンを形成することができる。さらに、硫化亜鉛に第2の成分である金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物を混在させて高屈折率層を形成することにより、硫化亜鉛の結晶性が低下することにより、エッチングがさらに容易となる。また、硫化亜鉛に第2の成分(例えば、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物等)を混在させることにより、硫化亜鉛層の結晶成長を妨げることができ、その結果、硫化亜鉛層はアモルファスとなりフレキシブル性が発現することになる。
また、前記金属酸化物として、二酸化ケイ素を用いることにより、高い透明性を有する屈折率層を形成することができる点から好ましい。
また、前記透明金属層を、銀を主成分とする銀薄膜として形成することが、低抵抗性を備え、均一性の高く、不正吸収のない透明金属層を安定して形成することができる点で好ましい。
また、第1高屈折率層と透明金属層との間、あるいは第2高屈折率層と透明金属層との間に、硫化防止層を形成することが、第1高屈折率層あるいは第2高屈折率層の形成に用いた硫化亜鉛のイオウ成分が、透明金属層の構成成分、具体的には銀が硫化し、硫化銀になることによる変色を防止することにより、高い透明性と安定した色調を有する透明金属層を得ることができる観点から好ましく、更には、亜鉛金属元素を含む材料、例えば、酸化亜鉛等を適用することが好ましい態様である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《透明導電体の基本的な構成》
はじめに、本発明の透明電極パターンの形成方法で用いる透明導電体の基本的な構成について、図を交えて説明する。なお、各構成要素のあとの括弧内に記載の数字は、各図に記載した各構成要素の符号を表す。
はじめに、本発明の透明電極パターンの形成方法で用いる透明導電体の基本的な構成について、図を交えて説明する。なお、各構成要素のあとの括弧内に記載の数字は、各図に記載した各構成要素の符号を表す。
本発明に係る透明導電体は、透明基板上に、少なくとも、第1高屈折率層と、透明金属層と、第2高屈折率層とをこの順で有することを特徴とする。
図1は、本発明で適用する透明導電体の基本的な構成の一例を示す概略断面図である。
図1の(a)に示す透明導電体(1)は、透明基板(2)上に、少なくとも第1高屈折率層(3)と、透明金属層(4)と、第2高屈折率層(5)をこの順で有している。
上記構成の透明導電体(1)において、第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)が、硫化亜鉛(以下、ZnSとも記載する。)と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも1種の化合物とにより形成されていることが好ましい。
図1の(b)示す透明導電体(1)では、透明金属層(4)と第2高屈折率層(5)の間に、第1硫化防止層(6)を形成した構成例を示し、図1の(c)では、第1高屈折率層(3)と透明金属層(4)との間に第1硫化防止層(6A)、及び透明金属層(4)と第2高屈折率層(5)の間に第2硫化防止層(6B)を形成した構成例を示してある。
このように、第1高屈折率層(3)と透明金属層(4)の間に第1硫化防止層(6A)、あるいは第2高屈折率層(5)と透明金属層(4)の間に、第2硫化防止層(6B)を設けることにより、第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)が含有する硫化亜鉛を構成する硫黄原子の透明金属層(4)への移動や混入を防止することができ、好ましい態様である。
すなわち、透明金属層(4)(例えば、銀層)と、少なくともZnSを含む第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)が隣接して形成されると、金属硫化物(例えば、硫化銀)が生成されやすく、透明導電体(1)の光透過性が低下しやすいという問題があり、これらの問題を解消する観点から、硫化防止層(6)、第1硫化防止層(6A)、あるいは第2硫化防止層(6B)を設ける構成とすることが好ましい。
なお、本発明に係る透明導電体の各構成要素の詳細については、後述する。
また、本発明でいう「透明」とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が、70%以上であることをいう。
《透明電極パターンを有する透明導電体の基本的な構成》
本発明の透明電極パターンの形成方法では、上記透明導電体に対し、a)エッチング液により、透明金属層(4)の上部に形成されているすべての構成層(例えば、第2高屈折率層(5)、硫化防止層(6)等)を、所定の領域で溶解して、前記透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する工程aと、b)エッチング液により、透明導電体の透明基板(2)上に構成されているすべての構成層(例えば、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)、第2高屈折率層(5)等)の所定の領域を溶解して、透明電極(M)を形成する工程bと、c)上記工程aで形成した透明金属層の露出部(4S)及び透明基板(2)上に引き出し配線(11)を形成する工程cにより、透明電極パターンを形成すること特徴とする。
本発明の透明電極パターンの形成方法では、上記透明導電体に対し、a)エッチング液により、透明金属層(4)の上部に形成されているすべての構成層(例えば、第2高屈折率層(5)、硫化防止層(6)等)を、所定の領域で溶解して、前記透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する工程aと、b)エッチング液により、透明導電体の透明基板(2)上に構成されているすべての構成層(例えば、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)、第2高屈折率層(5)等)の所定の領域を溶解して、透明電極(M)を形成する工程bと、c)上記工程aで形成した透明金属層の露出部(4S)及び透明基板(2)上に引き出し配線(11)を形成する工程cにより、透明電極パターンを形成すること特徴とする。
本発明に係る工程aは、エッチング液により、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層を露出させる工程であるが、図1の(a)で記載の構成を有する透明導電体(1)では、第2高屈折率層(5)を溶解して、透明金属層(4)の表面を露出させる工程であり、図1の(b)あるいは(c)で示すように、透明金属層(4)上に、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)が形成されている場合に、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)を同時に溶解して、透明金属層を露出させる工程である。
形成方法に関する各工程の詳細については後述するが、図2に、本発明の透明電極パターンの形成方法により形成した透明電極(M)と、透明金属層(4)の露出部(4S)上に形成した引き出し配線(11)を有する透明電極パターンを有する透明導電体の一例の概略図を示す。
図2に示す透明電極パターンを形成した透明導電体(17)は、透明基板(2)上に、横方向に透明電極(M)を複数個配列し、それぞれが接続部で連結して、導通領域(a)が構成されている電極列を、複数ユニット(図2では、一例として、4列構成を示してある)備えている。透明電極のパターンとしては、特に制限はなく、図2に示すような菱型であっても、格子状であってもよい。
それぞれの電極列の両端部には、工程aで、エッチング液により、透明金属層(4)より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層を溶解して、透明金属層の露出部(4S)を形成している。それぞれの電極列端部の透明金属層の露出部(4S)の上部、およびそれに接続している透明基板(2)上に、それぞれ引き出し配線(11)が形成され、透明電極パターンを有する透明導電体(17)を構成している。また、各電極列間には、絶縁領域(b)により絶縁状態になっている。
図3は、図2で示した透明電極パターンを有する透明導電体Pの概略断面図である。
図3においては、図1の(b)に記載した構成の透明導電体を一例として、説明する。
図3の(a)及び(b)で示す概略断面図は、図2に記載のA−A切断面で表される断面図を示している。
図3の(a)は、透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層のみを溶解するエッチング液を用いて、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)を溶解して、透明金属層(4)の端部に露出部(4S)を形成した後、透明導電体を構成するすべての層を溶解するエッチング液を用いて、周辺部の第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)のすべてを溶解して、透明電極(M)を形成する。
次いで、図3の(b)に示すように、例えば、蒸着法あるいはスクリーン印刷法により、引き出し配線(11)のパターンを、透明金属層(4)の露出部(4S)上及び透明基板(2)上に形成する。
図3の(c)で示す断面図は、図2に記載のB−B切断面で表される断面図を示しており、透明基板(2)上に、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)を積層した透明導電層ユニット(EU)から構成される透明電極(M)を複数個配列した構成を示してある。図2に記載の透明電極パターンでは、4列である。それぞれの透明電極(M)により形成されている領域が、電気が導通する導通領域(a)である。一方、透明電極(M)が形成されていない領域が絶縁領域(b)である。
《透明電極パターンの形成方法》
本発明の透明電極パターンの形成方法においては、
a)エッチング液を用いて、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、
b)エッチング液を用いて、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、
c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、
透明導電体に透明電極パターンを形成することを特徴とする。
本発明の透明電極パターンの形成方法においては、
a)エッチング液を用いて、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、
b)エッチング液を用いて、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、
c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、
透明導電体に透明電極パターンを形成することを特徴とする。
本発明の透明電極パターンの形成方法において、上記工程a〜工程cで、透明金属層(4)の露出部(4S)の形成方法、透明電極(M)の形成方法、引き出し配線(11)の形成方法としては、従来公知の形成方法を適用することができ、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、フォトリソグラフィー法等の印刷方式や、蒸着法を適宜選択して適用することができる。
本発明に適用可能な印刷方式としては、一般的に電極パターン形成に使われる方法が、本発明に関しても適用可能である。具体的な形成方法の詳細については、グラビア印刷法に関しては、例えば、特開2009−295980号公報、特開2009−259826号公報、特開2009−96189号公報、特開2009−90662号公報等に記載の方法が、フレキソ印刷法については、特開2004−268319号公報、特開2003−168560号公報等に記載の方法が、スクリーン印刷法については、特開2010−34161号公報、特開2010−10245号公報、特開2009−302345号公報等に記載の方法が挙げられる。また、上記説明したフォトリソグラフィー法については、特開2010−145532号公報、特開2012−118425号公報、特開2013−25447号公報、特開2013−25448号公報等に記載されている方法を参考にすることができる。
また、その他の形成方法としては、真空蒸着法(例えば、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等)、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法を挙げることができる。
本発明の各工程に適用する形成手段の中で、工程aにおいては、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法を用いて透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する方法が好ましく、更には、工程aで用いる前記透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する方法が、フォトリソグラフィー法であることが好ましい態様である。
また、工程bで透明電極(M)を形成する方法としては、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法が好ましい態様であり、更には、工程bにおける透明電極(M)を形成する方法が、フォトリソグラフィー法であることが好ましい。
また、工程cで引き出し電極(11)を形成する方法としては、蒸着法又はスクリーン印刷法であることが好ましい態様であり、更には、工程cにおける引き出し電極(11)の形成方法が、金属ペーストを用いたスクリーン印刷法であることが好ましい。
以下、図2で例示した構成の透明電極パターンの形成方法について、図4〜図7を用いて、具体的な形成プロセスを説明する。なお、以下の説明においては、図1の(b)に記載の構成の透明導電体を一例として説明する。
図4〜図7に例示する方法では、工程a及び工程bはフォトリソグラフィー法を適用し、工程cにはスクリーン印刷法を適用して、透明電極パターンを形成する方法を示してある。
(透明導電体の作製と前処理)
はじめに、図4の(a)に示すように、樹脂基板(2)上に、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)を積層して、図1の(b)に示す構成の透明導電体(1)を作製する。
はじめに、図4の(a)に示すように、樹脂基板(2)上に、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)を積層して、図1の(b)に示す構成の透明導電体(1)を作製する。
次いで、図4の(b)で示すように、第2高屈折率層(5)上にレジスト膜(7)を形成するが、レジスト膜(7)を形成する前に、透明導電体(1)に超音波洗浄処理を施すことが好ましい。超音波洗浄としては、例えば、花王社製の洗剤クリンスル―3030を用いて超音波洗浄と純水による水洗いを数回行った後、スピンコータで水を飛ばし、オーブンで乾燥させる。
(工程a:透明金属層の露出部を形成する工程)
次いで、図4の(b)で示すように、透明導電体(1)の第2高屈折率層(5)上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜(7)を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物あるいはポジ型感光性樹脂組成物を用いることができ、例えば、東京応化工業社製のOFPR−800LB等を挙げることができる。
次いで、図4の(b)で示すように、透明導電体(1)の第2高屈折率層(5)上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜(7)を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物あるいはポジ型感光性樹脂組成物を用いることができ、例えば、東京応化工業社製のOFPR−800LB等を挙げることができる。
レジスト膜(7)の形成方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどの公知の湿式塗布方法によって、レジスト膜形成材料を透明導電体(1)上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークする。プリベークは、例えば、ホットプレート等を用いて、50℃以上、150℃以下の範囲で30秒〜30分間行うことができる。
次いで、図4の(c)に示す露光工程(図4の(c)は、図2におけるA−A切断面で形成される断面図を示してある)で、所定の透明金属層(4)の露出部(4S)に対応するマスク(8A)を介して、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナーなどの露光機9を用いて、10〜4000J/m2程度(波長365nm露光量換算)の光を、次工程で除去するレジスト膜(7A)に照射する。露光光源に制限はなく、紫外線、電子線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。
次いで、図4の(d)に示す現像工程(図4の(d)には、図2におけるA−A切断面で形成される断面図を示してある)で、露光済みの透明導電体(1)を、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト膜(7A)を溶解する。現像液としては、例えば、レジストとしてポジ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、トクヤマ社製のポジ型フォトレジスト用現像液「トクソーSD」シリーズ(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)等を用いることができる。
現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液などが挙げられる。現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50℃以上150℃以下の範囲で乾燥ベークを行ってもよい。
次いで、図4の(e)に示すように、透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層、図においては、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)のみを溶解する機能を備えたエッチング液(10A)を用いて、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)を溶解して、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する。
本発明に適用可能なエッチング液(10A)としては、比較的マイルドな溶解能を備えた無機酸あるいは有機酸を含有する液が好ましく、シュウ酸、塩酸、ギ酸、クエン酸、アミノ酸等を挙げることができ、特に、シュウ酸が好ましい。また、エッチング液としては市販品を用いることもでき、例えば、林純薬工業社製のPure Etch DE100(シュウ酸濃度5.0質量%以下、)等を用いることができる。
具体的には、例えば、有機酸等を含むエッチング液(10A)に、レジスト膜(7)を有する透明導電体(1)を浸漬し、レジスト膜(7)で保護されていない領域の第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)のみを溶解して、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する。
エッチング操作に際しては、安定して透明金属層(4)を残して、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)を溶解させるためのエッチング液(10A)としては、事前に、有機酸、例えば、シュウ酸の濃度、エッチング液(10A)の温度、エッチング時間等を適宜調整して、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)のみを溶解する条件をあらかじめ設定しておくことが必要である。透明金属層(4)を残して、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)のみが溶解していることを確認する方法としては、各条件下で、透明導電体の断面を電子顕微鏡等で観察して確認することができる。
また、図4の説明では、マスク部材(8A)、レジストを用いたフォトリソグラフィー法による透明金属層(4)の露出部(4S)の形成方法について、一例として説明したが、その他には、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成したい箇所に、溶解能を有する有機酸等を含浸させた部材を直接押し当てて、所定の箇所を溶解させる方法を用いてもよい。
次いで、図4の(f)に示すように、レジスト膜剥離液として、例えば、アセトン、水酸化ナトリウム液、市販品としては、ナガセケムテックス社製のN−300等を用いて、エッチングした透明導電体(1)を浸漬して、レジスト膜(7)を除去して、透明導電体(1)に透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する。
(工程b:透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程)
次いで、工程bについて図5及び図6を用いて説明する。
次いで、工程bについて図5及び図6を用いて説明する。
図5の(a)〜(c)は、工程bの図2で例示したA−A切断面における断面図を示しており、図6の(a)〜(c)は、図5の(a)〜(c)と同様の工程で、図2で例示したB−B切断面における断面図を示してある。
図5の(a)では、図4の(f)で作製した透明導電体(1)について、表面にレジスト膜(7)を付与した後、マスク8B(透明電極(M)で構成される電極列のマスクパターン)を介して、露光機(9)で紫外線照射して、除去するレジスト膜(7A)を形成する。
次いで、現像工程で光照射した領域のレジスト膜(7A)を溶解した後、図5の(b)に示すように、レジスト膜(7)を被覆していない領域に、第1高屈折率層3、透明金属層4、硫化防止層6及び第2高屈折率層5のすべてを溶解する能力を備えたエッチング液(10B)を付与して、全層を溶解する。
工程bで用いるエッチング液(10B)としては、工程aで用いるエッチング液(10A)に対し、相対的に高い溶解能を備えた、無機酸あるいは有機酸を含有する液が好ましく、好ましい酸としてはシュウ酸、塩酸、酢酸、リン酸を挙げることができ、特に、シュウ酸、酢酸、リン酸が好ましい。また、エッチング液(10B)としては市販品を用いることもでき、例えば、関東化学社製の「混液 SEA−5」(リン酸:55質量%、酢酸:30質量%、水その他の成分:15質量%)等を用いることができる。
エッチング操作に際しては、確実に第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)のすべての層を溶解させるため、エッチング液(10B)としては、事前に、有機酸、例えば、シュウ酸の濃度、エッチング液(10B)の温度、エッチング時間等を適宜調整して、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)のすべてが確実に溶解する条件をあらかじめ設定しておくことが必要である。
次いで、図5の(c)で示すように、レジスト膜(7)を取り除いて、透明電極(M)が連結した電極列の端部に、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成した。
図6の(a)〜(c)は、上記説明した図5の(a)〜(c)にそれぞれ対応する工程で、図2で示すB−B切断面における断面図を示してある。
図6の(a)で示すように、マスク(8B)は、透明電極(M)で構成される電極列のパターンで形成されている。
次いで、図6の(b)で示すように、エッチング液(10B)を用いて、所定の領域(絶縁領域(b))の透明導電層ユニット(EU)を溶解する。
最終的な透明電極ユニットを有する透明導電体(17)は、レジスト膜(7)を除去して、図6の(c)で示すように、複数の透明電極(M)で構成される電極列で導通領域(a)を形成し、透明電極(M)間には絶縁領域(b)が形成されている。
(工程c:露出した透明金属層上に引き出し配線を形成する工程)
次いで、工程cとして、形成した透明金属層(4)の露出部(4S)及び透明基板(2)に引き出し配線(11)を形成して、透明電極パターンを有する透明導電体(17)を形成する。
次いで、工程cとして、形成した透明金属層(4)の露出部(4S)及び透明基板(2)に引き出し配線(11)を形成して、透明電極パターンを有する透明導電体(17)を形成する。
図7には、図5及び図6で作製した透明電極(M)及び透明金属層の露出部4Sを形成した透明導電体(1)の透明金属層(4)の露出部(4S)及び透明基板(2)上に、引き出し配線(11)を形成する工程cを示してある。
図7では、引き出し配線(11)の形成方法の一例として、スクリーン印刷法を用いた形成方法について示してある。
図7で示すように、図5の(c)で作製した透明電極(M)を有する透明導電体(1)上にスクリーン印刷用マスク(12)を設置し、オープンスキージ(13)を用いて、引き出し配線形成液(14)をスクリーン印刷して、透明電極(M)の端部に形成した透明金属層(4)の露出部(4S)上及び透明基板(2)上に、図2に示すようなパターンの引き出し配線(11)を形成して、本発明の透明電極(M)と引き出し配線(11)を設けた透明電極パターンを有する透明導電体(17)を作製することができる。
本発明においては、引き出し配線(11)の形成方法として、特に制限はなく、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、フォトリソグラフィー法等の印刷方式や蒸着法により形成することができる。
本発明においては、その中でも、前述のように蒸着法又はスクリーン印刷法を用いて引き出し電極を形成する方法が好ましく、その中でも、図7で説明したようなスクリーン印刷方式がより好ましく、さらには、引き出し配線形成液(14)として銀ペーストや銅ペースト等の金属ペースト、あるいは金属ナノ粒子分散液を用いたスクリーン印刷が好ましい。
金属ペーストとしては、市販されている金属ナノ粒子ペーストである、銀粒子ペースト、銀−パラジウム粒子ペースト、金粒子ペースト、銅粒子ペースト等を適宜選択して用いることができる。上記のような金属ペーストを適用した際は、引き出し配線を形成した後、焼結処理が施される。
金属ペーストとしては、例えば、大研化学社から販売されている有機EL素子基板用銀ペースト(CA−6178、CA−6178B、CA−2500E、CA−2503−4、CA−2503N、CA−271等、比抵抗値:15〜30mΩ・cm、スクリーン印刷法で形成、硬化温度:120〜200℃)、LTCC用ペースト(PA−88(Ag)、TCR−880(Ag)、PA−Pt(Ag・Pt))、ガラス基板用銀ペースト(US−201、UA−302、焼成温度:430〜480℃)等を挙げることができる。
《透明導電体の各構成要素》
本発明に係る透明導電体(1)においては、前述の図1の(a)で説明したように、透明基板(2)上に、少なくとも、第1高屈折率層(3)と、透明金属層(4)及び第2高屈折率層(5)とをこの順で有することを特徴とし、当該第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)が、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物とにより形成すること、あるいは、第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)が、金属酸化物として二酸化ケイ素を含有していること、すなわち、硫化亜鉛・二酸化ケイ素(ZnS・SiO2)で構成されていることが好ましい。また、透明金属層(4)が、銀を主成分とする銀薄膜であることが好ましい。
本発明に係る透明導電体(1)においては、前述の図1の(a)で説明したように、透明基板(2)上に、少なくとも、第1高屈折率層(3)と、透明金属層(4)及び第2高屈折率層(5)とをこの順で有することを特徴とし、当該第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)が、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物とにより形成すること、あるいは、第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)が、金属酸化物として二酸化ケイ素を含有していること、すなわち、硫化亜鉛・二酸化ケイ素(ZnS・SiO2)で構成されていることが好ましい。また、透明金属層(4)が、銀を主成分とする銀薄膜であることが好ましい。
また、本発明に係る透明導電体(1)の構成として、図1の(b)、(c)で示したように、第1高屈折率層(3)と透明金属層(4)との間、又は第2高屈折率層(5)と透明金属層(4)との間に、硫化防止層(6、6A、6B)を有していることが好ましい。
〔透明基板〕
本発明に係る透明導電体(1)に適用可能な透明基板(2)としては、各種表示デバイスの透明基板に適用されている材料を用いることができる。
本発明に係る透明導電体(1)に適用可能な透明基板(2)としては、各種表示デバイスの透明基板に適用されている材料を用いることができる。
透明基板(2)としては、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース(略称:TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えば、パンライト、マルチロン(以上、帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えば、ゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(略称:PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN))、ポリエーテルスルホン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:ABS樹脂)/アクリロニトリル・スチレン樹脂(略称:AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:MBS樹脂)、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/エチレンビニルアルコール樹脂(略称:EVOH)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板(2)が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
高い透明性を達成することができる観点から、本発明に適用する透明基板(2)としては、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等の樹脂成分から構成されるフィルム状基板であることが好ましい。
透明基板(2)は、可視光に対する透明性が高いことが好ましく、波長450〜800nmの光の平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明基板2の光の平均透過率が70%以上であると、透明導電体(1)の光透過性が高まり、好ましい。また、透明基板(2)の波長450〜800nmの光の平均吸収率は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
透明基板(2)の波長570nmの光の屈折率は、1.40〜1.95の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75の範囲内であり、さらに好ましくは1.45〜1.70の範囲内である。透明基板(2)の屈折率は、通常、透明基板(2)を構成する材質によって定まる。透明基板(2)の屈折率は、エリプソメーターを用い、25℃の環境下で測定することにより求めることができる。
透明基板(2)のヘイズ値は、0.01〜2.5の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2の範囲内である。透明基板のヘイズ値が2.5以下であると、透明導電体としてのヘイズ値を抑制することができ、好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーターを用いて測定することができる。
透明基板(2)の厚さは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmの範囲内である。透明基板の厚さが1μm以上であれば、透明基板(2)の強度が高まり、第1高屈折率層(3)の作製時に割れたり、裂けたりすることを防止することができる。一方、透明基板(2)の厚さが20mm以下であれば、透明導電体(1)として十分なフレキシブル性を得ることができる。さらに、透明電極パターンを有する透明導電体(17)を具備した電子デバイス機器等の厚さを薄くできる。また、透明電極パターンを有する透明導電体(17)を用いた電子デバイス機器等を軽量化することもできる。
本発明においては、使用する透明基板(2)は、透明導電体の各構成層を形成する前に、透明基板(2)中に含まれている水分や残留している溶媒を、クライオポンプ等を用いてあらかじめ除いたのち、形成工程で使用することが好ましい。
また、本発明に適用する透明基板(2)上には、そのあとに形成する第1高屈折率層(3)の平滑性を得る観点から、公知の構成からなるクリアハードコート層(平滑層ともいう。)を設けてもよい。
〔第1高屈折率層〕
第1高屈折率層(3)は、透明導電体の導通領域(a)、すなわち、透明金属層(4)が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層であり、少なくとも透明導電体(1)の導通領域(a)に形成される。第1高屈折率層(3)は、透明導電体(1)の絶縁領域(b)に形成されていてもよいが、導通領域(a)及び絶縁領域(b)からなるパターンを視認され難くするとの観点から、図3に例示するように導通領域(a)のみに形成されていることが好ましい。
第1高屈折率層(3)は、透明導電体の導通領域(a)、すなわち、透明金属層(4)が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層であり、少なくとも透明導電体(1)の導通領域(a)に形成される。第1高屈折率層(3)は、透明導電体(1)の絶縁領域(b)に形成されていてもよいが、導通領域(a)及び絶縁領域(b)からなるパターンを視認され難くするとの観点から、図3に例示するように導通領域(a)のみに形成されていることが好ましい。
本発明に係る第1高屈折率層(3)は、前記説明した透明基板(2)の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料で構成されていることが好ましい。当該誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、透明基板(2)の波長570nmの光の屈折率より0.1〜1.1程度大きいことが好ましく、0.4〜1.0程度大きいことがより好ましい。本発明でいう屈折率とは、25℃、50%RHの環境下で測定した屈折率の値を用いる。また、屈折率は、市販のエリプソメーターを用いて測定して求めることができる。
一方、第1高屈折率層(3)に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は、1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5の範囲内である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第1高屈折率層(3)によって、透明導電体(1)の導通領域(a)の光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第1高屈折率層(3)の屈折率は、第1高屈折率層(3)に含まれる材料の屈折率や、第1高屈折率層(3)に含まれる材料の密度により調整することができる。
本発明においては、第1高屈折率層(3)及び後述する第2高屈折率層(5)の少なくとも一層が、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも1種の化合物とで形成されていることが好ましい態様である。
硫化亜鉛と共に用いることができる金属酸化物としては、例えば、TiO2、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、(酸化インジウム・酸化亜鉛)、AZO(AlドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、ATO(SbドープSnO)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、Bi2O3、Ga2O3、GeO2、SiO2、Al2O3、HfO2、SiO、MgO、Y2O3、WO3、a−GIO(ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物)等が含まれる。上記金属酸化物の中でも、特に、二酸化ケイ素(SiO2)が好ましい。
また、金属フッ化物としては、例えば、LaF3、BaF2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、CeF3、NdF3、YF3等を挙げることができる。
また、金属窒化物としては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ケイ素、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウム、窒化チタン等を挙げることができる。
本発明に係る第1高屈折率層(3)又は後述する第2高屈折率層(5)では、誘電性材料として、少なくともZnSを含有することが好ましい態様であるが、第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)にZnSを共存させることにより、透明基板2側から水分が透過し難くなり、透明金属層(4)の腐食が抑制される。
本発明においては、第1高屈折率層(3)等で、硫化亜鉛と共に、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させることにより、第1高屈折率層(3)が非晶質状態になりやすく、透明導電体(1)や透明電極パターンを有する透明導電体(17)のフレキシブル性が高まりやすい。
第1高屈折率層(3)において、硫化亜鉛の平均含有量は、第1高屈折率層(3)を構成する材料の総モル数に対して、0.5〜99質量%の範囲内であることが好ましく、50〜95質量%の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは60〜85質量%の範囲内である。硫化亜鉛の比率が高いと屈折率が高くなり、Agの吸収を低減することができる。一方、硫化亜鉛以外の成分が多く含まれると、第1高屈折率層(3)の非晶質性が高まり、第1高屈折率層(3)の割れ(クラック)の発生が抑制される。
第1高屈折率層(3)の層厚は、10〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜80nmの範囲内である。第1高屈折率層(3)の層厚が10nm以上であると、第1高屈折率層(3)によって、透明導電体(1)の導通領域(a)の光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、第1高屈折率層(3)の層厚が150nm以下であれば、第1高屈折率層(3)を有する領域(主には、導通領域(a))の光透過性が低下することを回避することができる。第1高屈折率層(3)の層厚は、エリプソメーターで測定することができる。
第1高屈折率層(3)は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法等により形成することができるが、その中でも、スパッタ法又は蒸着法を用いることが好ましい。本発明に適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
〔硫化防止層〕
本発明に係る第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)では、硫化亜鉛を含有することが好ましい態様であるが、例えば、第2高屈折率層(5)が硫化亜鉛を含有する層である場合には、図1の(b)に示すように、第2高屈折率層(5)と透明金属層(4)との間に硫化防止層(6)を形成すること、あるいは第1高屈折率層(3)及び第2高屈折率層(5)が硫化亜鉛を含有する層である場合には、図1の(c)に示すように、第1高屈折率層(3)と透明金属層(4)との間に硫化防止層(6A)を、第2高屈折率層(5)と透明金属層(4)との間に硫化防止層(6B)をそれぞれ設けることが好ましい態様である。
本発明に係る第1高屈折率層(3)又は第2高屈折率層(5)では、硫化亜鉛を含有することが好ましい態様であるが、例えば、第2高屈折率層(5)が硫化亜鉛を含有する層である場合には、図1の(b)に示すように、第2高屈折率層(5)と透明金属層(4)との間に硫化防止層(6)を形成すること、あるいは第1高屈折率層(3)及び第2高屈折率層(5)が硫化亜鉛を含有する層である場合には、図1の(c)に示すように、第1高屈折率層(3)と透明金属層(4)との間に硫化防止層(6A)を、第2高屈折率層(5)と透明金属層(4)との間に硫化防止層(6B)をそれぞれ設けることが好ましい態様である。
硫化防止層(6)、(6A)及び(6B)(以下、総称して硫化防止層(6)と称する場合がある。)は、透明導電体(1)の絶縁領域(b)に形成されていてもよいが、導通領域(a)及び絶縁領域(b)からなるパターンを視認され難くするとの観点から、図3に示すように導通領域(a)のみに形成されていることが好ましい。
本発明に係る硫化防止層(6)は、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物等、又はZnを含む層として構成することができる。硫化防止層(6)には、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよいが、亜鉛元素又はガリウム元素を含む化合物を含有することが特に好ましい。ただし、第2高屈折率層(5)と、硫化防止層(6)と、透明金属層(4)とが連続的に形成される場合には、金属酸化物としては、硫黄と反応可能、もしくは硫黄を吸着可能な化合物であることが好ましい。金属酸化物が、硫黄と反応する化合物である場合、金属酸化物と硫黄との反応物としては、可視光の透過性が高いことが好ましい。
本発明に係る硫化防止層(6)に適用可能な金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物としては、上記第1高屈折率層(3)の説明で記載した金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物と同様の化合物を挙げることができる。本発明においては、特に、Zn、ZnO、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープの酸化亜鉛)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛の酸化物)であることが好ましい。
ここで、硫化防止層(6)の層厚は、後述する透明金属層(4)の形成時の衝撃から、第1高屈折率層(3)の表面を保護することが可能な層厚であることが好ましい。一方で、第1高屈折率層(3)に含まれるZnSは、透明金属層(4)に含まれる金属との親和性が高い。そのため、硫化防止層(6)の厚さが非常に薄く、第1高屈折率層(3)の一部が僅かに露出していると、当該露出部分を中心に透明金属層(4)が成長して緻密になりやすい。つまり、硫化防止層(6)は比較的薄い層であることが好ましく、層厚としては0.1〜15nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10nmの範囲内であり、さらに好ましくは1〜5nmの範囲内である。硫化防止層(6)の層厚は、エリプソメーターを用いて測定することができる。
硫化防止層(6)は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相形成法で形成することができるが、特に、スパッタ法又は真空蒸着法を適用することが好ましい。
〔透明金属層〕
透明金属層(4)は、透明導電体(1)において電気を導通させるための層である。透明金属層(4)は、透明導電体(1)としては図1に記載の様に透明基板(2)の全面に形成されているが、本発明の透明電極パターンの形成方法により作製した透明電極パターンを有する透明導電体(17)においては、透明電極(M)として所望の形状にパターニングされている。
透明金属層(4)は、透明導電体(1)において電気を導通させるための層である。透明金属層(4)は、透明導電体(1)としては図1に記載の様に透明基板(2)の全面に形成されているが、本発明の透明電極パターンの形成方法により作製した透明電極パターンを有する透明導電体(17)においては、透明電極(M)として所望の形状にパターニングされている。
透明金属層(4)に含まれる金属は、導電性の高い金属であれば特に制限されず、例えば、銀、銅、金、白金族、チタン、クロム等を挙げることができる。透明金属層(4)には、これらの金属が1種のみ含まれていても、あるいは2種以上含まれていてもよい。
導電性が高いという観点から、透明金属層(4)を構成する金属元素としては銀、又は銀が90原子%以上含まれる合金からなることが好ましい。銀と組み合わされる金属としては、例えば、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデン等を挙げることができる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、透明金属層(4)の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。
透明金属層(4)のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5%以下である。波長400〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電体(1)の導通領域(a)の透過光が着色しやすくなる。
透明金属層(4)の層厚は10nm以下であることが好ましく、より好ましくは3〜9nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜8nmの範囲内である。本発明に係る透明金属層(4)の層厚が10nm以下であると、透明金属層(4)に金属本来の反射が生じ難い。さらに、透明金属層(4)の層厚が10nm以下であると、第1高屈折率層(3)及び第2高屈折率層(5)によって、透明導電体(1)の光学アドミッタンスが調整されやすく、導通領域(a)表面での光の反射が抑制されやすい。透明金属層(4)の層厚は、エリプソメーターを用いて測定して求めることができる。
本発明において、透明金属層(4)は、いずれの形成方法で形成された層でもよいが、スパッタ法又は蒸着法で形成された層であることが好ましい。蒸着法であれば、高温環境に透明基板をさらすことがなく、平面性の高い透明金属層を、極めて早い形成速度で形成することができる。
一方、透明金属層(4)が後述する下地層上に形成された層である場合、透明金属層(4)の形成時に下地層が成長核となるため、透明金属層(4)が平滑な膜になりやすい。その結果、透明金属層(4)が薄くとも、プラズモン吸収が生じ難くなる。
〔第2高屈折率層〕
第2高屈折率層(5)は、透明導電体(1)の導通領域(a)、つまり透明金属層(4)が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整するための層であり、少なくとも透明導電体(1)の導通領域(a)に形成されるが、透明金属層(4)の引き出し電極(11)との接点である透明金属層(4)の露出部(4S)には、存在しない。
第2高屈折率層(5)は、透明導電体(1)の導通領域(a)、つまり透明金属層(4)が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整するための層であり、少なくとも透明導電体(1)の導通領域(a)に形成されるが、透明金属層(4)の引き出し電極(11)との接点である透明金属層(4)の露出部(4S)には、存在しない。
前述の第1高屈折率層(3)が硫化亜鉛を含まない層である場合には、第2高屈折率層(5)は、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する高屈折率層であることが、好ましい。また、第1高屈折率層(3)と第2高屈折率層(5)が、共に、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する層であることが、特に好ましい。
本発明に係る第2高屈折率層(5)は、先に説明した第1高屈折率層(3)と同様の構成材料を用い、同様の方法及び条件で形成することができる。
〔その他の構成層〕
(下地層)
本発明の透明導電体(1)においては、必要に応じて、透明金属層(4)の形成時に成長核となる下地層が含まれてもよい。下地層は、透明金属層(4)より透明基板(2)側で、かつ透明金属層(4)に隣接して形成された層でることが好ましく、第1高屈折率層(3)と透明金属層(4)との間、もしくは硫化防止層(6A)と透明金属層(4)との間に形成されること好ましい。下地層は、少なくとも透明導電体(1)の導通領域(a)に形成されていることが好ましく、透明導電体(1)の絶縁領域(b)に形成されていてもよい。
(下地層)
本発明の透明導電体(1)においては、必要に応じて、透明金属層(4)の形成時に成長核となる下地層が含まれてもよい。下地層は、透明金属層(4)より透明基板(2)側で、かつ透明金属層(4)に隣接して形成された層でることが好ましく、第1高屈折率層(3)と透明金属層(4)との間、もしくは硫化防止層(6A)と透明金属層(4)との間に形成されること好ましい。下地層は、少なくとも透明導電体(1)の導通領域(a)に形成されていることが好ましく、透明導電体(1)の絶縁領域(b)に形成されていてもよい。
透明導電体(1)が下地層を有すると、透明金属層(4)の厚さが薄くとも、透明金属層(4)の表面の平滑性が高まる。その理由は以下の通りである。
一般的な真空蒸着法で透明金属層(4)の形成材料を、例えば、第1高屈折率層(3)上に蒸着させると、形成初期には、第1高屈折率層(3)上に付着した原子がマイグレート(移動)し、原子が寄り集まって塊(海島状構造)を形成する。そして、この塊にまとわりつきながら膜が成長する。そのため、形成初期の膜では、塊同士の間に隙間があり、導通しない。この状態からさらに塊が成長すると、塊同士の一部が繋がり、かろうじて導通する。しかし、塊同士の間に未だ隙間があるため、プラズモン吸収が生じる。そして、さらに形成が進むと、塊同士が完全に繋がって、プラズモン吸収が少なくなる。しかしその一方で、金属本来の反射が生じ、膜の光透過性が低下する。
これに対し、第1高屈折率層(3)上に、マイグレートし難い金属からなる下地層が形成されていると、当該下地層を成長核として、透明金属層(4)が成長する。つまり、透明金属層(4)の材料がマイグレートし難くなり、前述の島状構造を形成せずに膜が成長する。その結果、厚さが薄くとも平滑な透明金属層(4)が得られやすくなる。
下地層には、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウム、あるいはこれらの金属と他の金属との合金や、これらの金属の酸化物や硫化物(例えば、ZnS)が含まれることが好ましい。下地層には、これらが一種のみ含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。
下地層に含まれるパラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムの量は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。下地層に上記金属が20質量%以上含まれると、下地層と透明金属層4との親和性が高まり、下地層と透明金属層4との密着性が高まりやすい。下地層にはパラジウム又はモリブデンが含まれることが特に好ましい。
一方、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムと合金を形成する金属は特に制限されないが、例えばパラジウム以外の白金族、金、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム、クロム等でありうる。
下地層の厚さは3nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以下であり、特に好ましくは単原子膜である。下地層は、透明基板2上に金属原子が互いに離間して付着している膜でもありうる。下地層の付着量が3nm以下であれば、下地層が透明導電体1の光透過性や光学アドミッタンスに影響を及ぼし難い。下地層の有無はICP−MS法で確認される。また、下地層の厚さは、形成速度と形成時間との積から算出される。
下地層は、蒸着法で形成された層であることが好ましい。蒸着法には、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着時間は、所望の下地層の厚さ、及び形成速度に合わせて適宜選択される。蒸着速度は、好ましくは0.01〜1.5nm/秒であり、より好ましくは0.01〜0.7nm/秒である。
下地層が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。下地層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相形成法でパターン状に形成された層であってもよく;公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
(低屈折率層)
本発明に係る透明導電体(1)には、第2高屈折率層(5)上に、透明導電体(1)の導通領域(a)の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する低屈折率層(図示せず)を有していてもよい。低屈折率層は、透明導電体(1)の導通領域(a)にのみ形成されていてもよく、透明導電体(1)の導通領域(a)及び絶縁領域(b)の両方に形成されていてもよい。
本発明に係る透明導電体(1)には、第2高屈折率層(5)上に、透明導電体(1)の導通領域(a)の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する低屈折率層(図示せず)を有していてもよい。低屈折率層は、透明導電体(1)の導通領域(a)にのみ形成されていてもよく、透明導電体(1)の導通領域(a)及び絶縁領域(b)の両方に形成されていてもよい。
低屈折率層には、第1高屈折率層(3)及び第2高屈折率層(5)に含まれる誘電性材料又は酸化物半導材料の波長570nmの光の屈折率より、波長570nmの光の屈折率が低い誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれる。低屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の屈折率は、第1高屈折率層(3)及び第2高屈折率層(5)に含まれる上記材料の波長570nmの光の屈折率より、それぞれ0.2以上低いことが好ましく、0.4以上低いことがより好ましい。
《透明導電体の適用分野》
本発明の透明電極パターンの形成方法により作製される透明電極パターンを有する透明導電体は、液晶方式、プラズマ方式、有機エレクトロルミネッセンス方式、フィールドエミッション方式など各種ディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
本発明の透明電極パターンの形成方法により作製される透明電極パターンを有する透明導電体は、液晶方式、プラズマ方式、有機エレクトロルミネッセンス方式、フィールドエミッション方式など各種ディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
このとき、透明導電体の表面(例えば、透明基板と反対側の表面)は、接着層等を介して、他の部材と貼り合わせられてもよい。この場合には、前述のように、透明導電体の表面の等価アドミッタンス座標と、接着層のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と接着層との界面での反射が抑制される。
一方、透明導電体の表面が空気と接するような構成で使用される場合には、透明導電体の表面のアドミッタンス座標と、空気のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と空気との界面での光の反射が抑制される。
以下、本発明の透明電極パターンの形成方法により作製した透明電極パターンを有する透明導電体をタッチパネルに適用した一例を示す。
図8は、透明電極パターンを有する透明導電体を具備したタッチパネルの構成の一例を示す斜視図である。
図8に示すタッチパネル(101)は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル(101)は、図2で示したような構成で、本発明の透明電極パターンの形成方法により作製した第1の透明電極パターンを有する透明導電体(17−1)及び、第2の透明電極パターンを有する透明導電体(17−2)がこの順に配置され、この上部が前面板(102)で覆われている。
第1の透明電極パターンを有する透明導電体(17−1)及び第2の透明電極パターンを有する透明導電体(17−2)は、それぞれの透明基材(2−1)、(2−2)上に、図2〜図7で説明した透明電極パターンの形成方法により、透明電極(M−1、M−2)及び引き出し配線(11−1、11−2)が形成されている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。また、以下の説明で、各構成要件の後の括弧内に記載した数字及び符号は、各図に示した符号を表す。
実施例1
《透明導電体Aの作製》
透明基板(2)として、両面に易接着加工された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、以下、PETフィルムと略記する。)を用い、PETフィルム上に、下記の方法(スパッタ法)に従って、第1高屈折率層(3)(ITO、層厚:40nm)/透明金属層(4)(Ag、層厚:7.8nm)/硫化防止層(6)(ZnO、層厚:1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS−SiO2、層厚:40nm)をこの順に積層して、透明導電体Aを作製した。なお、各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
《透明導電体Aの作製》
透明基板(2)として、両面に易接着加工された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、以下、PETフィルムと略記する。)を用い、PETフィルム上に、下記の方法(スパッタ法)に従って、第1高屈折率層(3)(ITO、層厚:40nm)/透明金属層(4)(Ag、層厚:7.8nm)/硫化防止層(6)(ZnO、層厚:1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS−SiO2、層厚:40nm)をこの順に積層して、透明導電体Aを作製した。なお、各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
(第1高屈折率層(ZnS−SiO2)の形成)
アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、O2:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.15nm/sで、ZnS−SiO2をRFスパッタして、層厚が40nmの第1高屈折率層(3)を形成した。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、O2:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.15nm/sで、ZnS−SiO2をRFスパッタして、層厚が40nmの第1高屈折率層(3)を形成した。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
なお、第1高屈折率層(3)におけるZnSとSiO2の体積比率は、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用いて測定した結果、ZnSとSiO2の体積比率が80:20であることを確認した。
(透明金属層(Ag)の形成)
次いで、アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.7nm/sで、第1高屈折率層(3)を形成したPETフィルム上に、AgをRFスパッタして、層厚が7.8nmの透明金属層(4)を形成した。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
次いで、アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.7nm/sで、第1高屈折率層(3)を形成したPETフィルム上に、AgをRFスパッタして、層厚が7.8nmの透明金属層(4)を形成した。ターゲット−基板間距離は86mmであった。
(硫化防止層(ZnO)の形成)
次いで、アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、O2:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.06nm/sで、ZnOをRFスパッタして、透明金属層(4)上に、層厚が1nmの硫化防止層(6)を形成した。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
次いで、アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、O2:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.06nm/sで、ZnOをRFスパッタして、透明金属層(4)上に、層厚が1nmの硫化防止層(6)を形成した。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
(第2高屈折率層(ZnS−SiO2)の形成)
次いで、アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、O2:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.15nm/sで、ZnS−SiO2をRFスパッタして、硫化防止層(6)上に層厚が40nmの第2高屈折率層(5)を形成し、透明導電体Aを作製した。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
次いで、アネルバ社製のL−430S−FHSを用い、Ar:20sccm、O2:0sccm、スパッタ圧0.25Pa、成膜環境:25℃、成膜レート0.15nm/sで、ZnS−SiO2をRFスパッタして、硫化防止層(6)上に層厚が40nmの第2高屈折率層(5)を形成し、透明導電体Aを作製した。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
《透明電極パターンを有する透明導電体の作製》
〔作製例1:透明電極パターンを有する透明導電体1の作製〕
上記作製した透明導電体Aを用い、図4〜図7に記載の透明電極パターンの形成工程、及び図9に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体(1)を作製した。なお、図9においては、主要なプロセス及び構成部材のみを記載し、その他の詳細な工程及び構成要素については、図4〜図7に記載した形成プロセスに従って行った。また、図9においては、一部の構成部材の符号の記載を省略してある。また、各構成要素のあとの括弧内に記載の数字は、各図における符号を示してある。
〔作製例1:透明電極パターンを有する透明導電体1の作製〕
上記作製した透明導電体Aを用い、図4〜図7に記載の透明電極パターンの形成工程、及び図9に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体(1)を作製した。なお、図9においては、主要なプロセス及び構成部材のみを記載し、その他の詳細な工程及び構成要素については、図4〜図7に記載した形成プロセスに従って行った。また、図9においては、一部の構成部材の符号の記載を省略してある。また、各構成要素のあとの括弧内に記載の数字は、各図における符号を示してある。
また、図9において、(a−1)〜(f−1)は、各工程における上面図であり、(a−2)〜(f−2)はそれぞれに対応するA−A切断面で表される断面図を示してある。ただし、A−A切断面で表す断面図には、第2列目の透明電極群の断面図と、当該透明電極群の端部に形成した引き出し配線(11)のみを記載し、その外側に存在している他列の透明電極群に接続されている引き出し配線(11)の断面部の記載は省略している。以降の図10〜図14についでも、同様に記載してある。
(透明導電体の前処理)
図4の(b)に示すレジスト層(7)を形成する前に、上記作製した透明導電体Aについて、超音波洗浄処理を行った。洗浄液として、花王社製の洗剤「クリンスル―3030(10%)」を用いて、超音波洗浄処理を、25℃で4分間行った。次いで、25℃の純水で水洗を5回行った後、25℃の純水にて超音波洗浄を4分間で2回行った。最後に、スピンコータで水を飛散させたのち、オーブンで乾燥させた。
図4の(b)に示すレジスト層(7)を形成する前に、上記作製した透明導電体Aについて、超音波洗浄処理を行った。洗浄液として、花王社製の洗剤「クリンスル―3030(10%)」を用いて、超音波洗浄処理を、25℃で4分間行った。次いで、25℃の純水で水洗を5回行った後、25℃の純水にて超音波洗浄を4分間で2回行った。最後に、スピンコータで水を飛散させたのち、オーブンで乾燥させた。
(工程a:第2高屈折率層及び硫化防止層を溶解して、透明金属層の露出部を形成する工程(フォトリソグラフィー法))
上記洗浄した透明導電体A上に、レジストとして、東京応化工業社製のOFPR−800LBをスピンコーティング法により、2000rpmで30秒間の塗布、乾燥を行い、厚さ1μmのレジスト層(7)を形成した。
上記洗浄した透明導電体A上に、レジストとして、東京応化工業社製のOFPR−800LBをスピンコーティング法により、2000rpmで30秒間の塗布、乾燥を行い、厚さ1μmのレジスト層(7)を形成した。
次いで、図4の(c)及び図9の(a−1)及び(a−2)で示すように、マスク(8A)を介して、露光機(9)より60mJの条件で紫外線を照射した後、現像液として、トクヤマ社製のポジ型フォトレジスト用現像液「トクソーSD−1」(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を用いて現像した。
次いで、エッチング液(10A)として、林純薬工業社製のPure Etch DE100(シュウ酸濃度5.0質量%以下)を用い、図4の(e)で示すように、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)のみを溶解させる条件でエッチングして、図4の(f)及び図9の(b−1)及び(b−2)に示すように、透明金属層の露出面(4S)を形成した。
なお、図9の各図の下段に記載の断面図は、それぞれA−A切断面における概略断面図を示してある。
(工程b:第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層を溶解して、金属パターン電極を形成する工程(フォトリソグラフィー法))
次いで、透明導電体Aの第2高屈折率層(5)上に、レジストとして、東京応化工業社製のOFPR−800LBをスピンコーティング法により、2000rpmで30秒間の塗布、乾燥を行い、厚さ1μmのレジスト層(7)を形成した。
次いで、透明導電体Aの第2高屈折率層(5)上に、レジストとして、東京応化工業社製のOFPR−800LBをスピンコーティング法により、2000rpmで30秒間の塗布、乾燥を行い、厚さ1μmのレジスト層(7)を形成した。
次いで、図5の(a)、図6の(a)、図9の(c−1)及び(c−2)で示すように、マスク(8B)を介して、露光機(9)より60mJの条件で紫外線を照射し、現像液として、トクヤマ社製のポジ型フォトレジスト用現像液「トクソーSD−1」(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を用いて現像した。
次いで、エッチング液(10B)として、関東化学社製の「混液 SEA−5」(リン酸:55質量%、酢酸:30質量%、水その他の成分:15質量%)を用い、図5の(b)、図6の(b)、図9の(d−1)及び(d−2)で示すように、第1高屈折率層(3)〜第2高屈折率層(5)までを溶解させる条件でエッチングして、図4の(c)、(f)に示すような、透明基板(2)のみで構成される絶縁領域(b)と、透明電極(M)を有する通電領域(a)からなる透明電極パターンを形成した。最後に、アセトンを用いて、残留しているレジスト層(7)を剥離して、透明電極(M)及び配接続部(透明金属層の露出面(4S))を有する透明電極パターンを形成した透明導電体を作製した。
(工程c:露出した透明金属層上に引き出し配線を形成する工程(スクリーン印刷法))
次いで、図7、図9の(e−1)及び(e−2)に記載のスクリーン印刷法により、透明金属層(4)の露出面(4S)及び透明基板(2)上に引き出し配線(11)を形成し、透明基板(2)上に透明導電層ユニット(EU)から構成される透明電極(M)と、引き出し配線(11)とを配置した透明電極パターンを有する透明導電体(17)1を作製した。
次いで、図7、図9の(e−1)及び(e−2)に記載のスクリーン印刷法により、透明金属層(4)の露出面(4S)及び透明基板(2)上に引き出し配線(11)を形成し、透明基板(2)上に透明導電層ユニット(EU)から構成される透明電極(M)と、引き出し配線(11)とを配置した透明電極パターンを有する透明導電体(17)1を作製した。
スクリーン印刷法としては、市販のコンタクト印刷方式のスクリーン印刷機を用い、オープンスキージ(13)により、引き出し配線形成液(14)として、市販の銀粒子ペースト(大研化学社製、銀ペーストCA−2500E、比抵抗値:30mΩ・cm)を用い、図7の(b)に示す構造の引き出し配線(11)を形成した後、120℃で乾燥させた。
〔作製例2:透明電極パターンを有する透明導電体2の作製〕
図10に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体2を作製した。
図10に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体2を作製した。
透明電極パターンを有する透明導電体2は、上記透明電極パターンを有する透明導電体1の作製方法に対し、第1ステップとして、図10の(a−1)、(a−2)、(b−1)及び(b−2)で示ように、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)を溶解して、透明電極(M)を形成する工程b(フォトリソグラフィー法)を行った後、第2ステップとして、図10の(c−1)、(c−2)、(d−1)及び(d−2)で示すように、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)を溶解して、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する工程a(フォトリソグラフィー法))を行った以外は同様にして、透明電極パターンを有する透明導電体(17)2を作製した。
〔作製例3:透明電極パターンを有する透明導電体3の作製〕
図11に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体3を作製した。
図11に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体3を作製した。
図11に記載の透明電極パターンを有する透明導電体3の形成フローは、上記透明電極パターンを有する透明導電体2の作製方法に対し、第1ステップとして、図11の(a−1)、(a−2)、(b−1)及び(b−2)で示すように、マスク(12B)によりマスキングインク(MI)を付与した後、エッチング液(10B)により、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)を溶解して、透明電極(M)を形成する工程bをスクリーン印刷法で行った後、第2ステップとして、図11の(c−1)、(c−2)、(d−1)及び(d−2)で示すように、マスク(12A)によりマスキングインク(MI)を付与した後、エッチング液(10A)を付与して、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)を溶解して、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成する工程aもスクリーン印刷法で行った以外は同様にして、透明電極パターンを有する透明導電体(17)3を作製した。
工程b(図11の(a−1)、(a−2)、(b−1)及び(b−2))におけるスクリーン印刷法としては、図7に記載のスクリーン印刷機を用い、マスキングインク(MI)としては、紫外線硬化型マスキングインクを用いた。図11には示していないが、スクリーン印刷機で、マスク(12B)を介して、マスキングインク(MI)を第2高屈折率層(5)上に所定のパターンで付与し、紫外線を照射して硬化した後、エッチング液(10B)を付与して、第1高屈折率層(3)、透明金属層(4)、硫化防止層(6)及び第2高屈折率層(5)を溶解した。次いで、マスキングインク(MI)を除去して、図11の(b−1)及び(b−2)に示す透明電極(M)を形成した。
同様に、工程a(図11の(c−1)、(c−2)、(d−1)及び(d−2))でも、同様の操作で、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成した。
〔作製例4:透明電極パターンを有する透明導電体4の作製〕
図12に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体4を作製した。
図12に記載の透明電極パターンの形成フローに従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体4を作製した。
図12に記載の透明電極パターンを有する透明導電体の形成方法は、上記図10に示す透明電極パターンを有する透明導電体2の作製方法に対し、下記の方法で透明金属層(4)の露出部(4S)を形成した以外は同様にして、透明電極パターンを有する透明導電体(17)4を作製した。
(透明金属層(4)の露出部(4S)の形成:有機酸接触方式)
透明金属層の露出部を形成する工程a(図12の(c−1)及び(c−2))として、耐酸性を備えたテフロン(登録商標)部材(15A)の先端部に、透明金属層(4)の露出部(4S)の形状と同サイズの保湿部材(15B)を装着し、当該保湿部材(15B)に、エッチング液として、林純薬工業社製のPure Etch DE100(シュウ酸濃度5.0質量%以下)を含浸させ、この保湿部材(15B)を、透明導電体(1)表面に押し当て、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)のみを溶解して、透明電極(M)群の両端部に透明金属層(4)の露出部(4S)を形成した。
透明金属層の露出部を形成する工程a(図12の(c−1)及び(c−2))として、耐酸性を備えたテフロン(登録商標)部材(15A)の先端部に、透明金属層(4)の露出部(4S)の形状と同サイズの保湿部材(15B)を装着し、当該保湿部材(15B)に、エッチング液として、林純薬工業社製のPure Etch DE100(シュウ酸濃度5.0質量%以下)を含浸させ、この保湿部材(15B)を、透明導電体(1)表面に押し当て、第2高屈折率層(5)及び硫化防止層(6)のみを溶解して、透明電極(M)群の両端部に透明金属層(4)の露出部(4S)を形成した。
〔作製例5:透明電極パターンを有する透明導電体5の作製〕
図13に記載の透明電極パターンの形成工程に従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体5を作製した。
図13に記載の透明電極パターンの形成工程に従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体5を作製した。
図13に記載の透明電極パターンを有する透明導電体5の形成方法は、上記説明した図10に記載の透明電極パターンを有する透明導電体2の形成方法(工程a及び工程bが、共にフォトリソグラフィー法)において、工程aを、図11の(c−1)及び(c−2)に記載のスクリーン印刷法に変更した以外は同様にして、透明電極パターンを有する透明導電体(17)5を作製した。
〔作製例6:透明電極パターンを有する透明導電体6の作製〕
図14に記載の透明電極パターンの形成工程に従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体6を作製した。
図14に記載の透明電極パターンの形成工程に従って、図2に記載の透明電極パターンを有する透明導電体6を作製した。
図14に記載の透明電極パターンを有する透明導電体6の形成方法は、上記説明した図10に記載の透明電極パターンを有する透明導電体2の形成方法において、工程aをフォトリソグラフィー法で形成し、次いで工程cである引き出し配線(11)の形成を真空蒸着法に変更した以外は同様にして、透明電極パターンを有する透明導電体(17)6を作製した。
具体的には、図14に示すように、図14の(a−1)、(a−2)、(b−1)及び(b−2)で示す工程aは、透明導電体2の工程aと同様にして透明電極(M)を形成した後、図14の(c−1)及び(c−2)で示すように、フォトリソグラフィー法により、レジスト膜(7)を、透明金属層(4)の露出部(4S)の形成部及び引き出し配線(11)の形成部を除く領域に付与した。
次いで、図14の(d−1)及び(d−2)で示すように、エッチング液10Aを付与して、透明金属層(4)の露出部(4S)を形成した。
次いで、レジスト膜(7)を形成した状態で、図14の(e−1)及び(e−2)で示すように、真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製の抵抗加熱ボート(18)にCuを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した。次いで、抵抗加熱ボート(18)に通電加熱し、層厚が100nmのCuの引き出し電極(11)を形成した。
最後に、レジスト膜(7)を剥離して、図14の(f−1)及び(f−2)で示すような透明電極パターンを有する透明導電体(17)6を作製した。
〔作製例7:透明電極パターンを有する透明導電体7の作製(比較例)〕
上記透明電極パターンを有する透明導電体1の作製において、図9の(a−1)、(a−2)、(b−1)及び(b−2)で示す工程a(透明金属層(4)の露出部(4S)の形成)を省略し、引き出し配線(11)を、第2高屈折率層(5)上に直接形成した以外は同様にして、透明導電体7を作製した。
上記透明電極パターンを有する透明導電体1の作製において、図9の(a−1)、(a−2)、(b−1)及び(b−2)で示す工程a(透明金属層(4)の露出部(4S)の形成)を省略し、引き出し配線(11)を、第2高屈折率層(5)上に直接形成した以外は同様にして、透明導電体7を作製した。
〔作製例8:透明電極パターンを有する透明導電体8の作製(比較例)〕
特開2002−15623号公報の実施例2に記載の方法に従って、透明導電体8を作製した。
特開2002−15623号公報の実施例2に記載の方法に従って、透明導電体8を作製した。
透明導電体8の構成は、透明基材であるPETフィルム上に、第1透明高屈折率層(ITO、層厚:40nm)/透明金属薄膜層(Ag/Au、層厚:9nm)/第2透明高屈折率層(ITO、層厚:40nm)を積層した構成である。シート抵抗値は9.0Ω/□であり、平均透過率は86%であった。
〔作製例9:透明電極パターンを有する透明導電体9の作製(比較例)〕
特開2008−226581号公報の実施例1に記載の方法に従って、透明導電体9を作製した。
特開2008−226581号公報の実施例1に記載の方法に従って、透明導電体9を作製した。
透明導電体9の構成は、透明基材であるガラス基板上に、第1透明高屈折率層(a−GIO、層厚:50nm)/透明金属薄膜層(Ag、層厚:10nm)/第2透明高屈折率層(a−GIO(*)、層厚:50nm)を積層した構成である。シート抵抗値は8Ω/□であり、平均透過率は90%であった。
(*)a−GIO:ガリウム、インジウム、及び酸素からなる非晶質酸化物
《透明電極パターンを有する透明導電体の評価》
(平均透過率の測定)
上記作製した各透明電極ユニットと、引き出し配線から構成される透明電極パターンを有する透明導電体について、第2高屈折率層側の表面に、マッチングオイル(ニコン社製 屈折率=1.515)を塗布した。そして、透明導電体とコーニング社製無アルカリガラス基板(EAGLE XG(厚さ7mm×縦30mm×横30mm)とを貼り合わせた。そして、無アルカリガラス基板側から、透明導電体の450〜800nmの波長範囲における平均透過率(%)を測定した。このとき、無アルカリガラス基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から、導通領域に測定光(波長450nm〜800nmの光)を入射させ、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて、透過率を測定した。
《透明電極パターンを有する透明導電体の評価》
(平均透過率の測定)
上記作製した各透明電極ユニットと、引き出し配線から構成される透明電極パターンを有する透明導電体について、第2高屈折率層側の表面に、マッチングオイル(ニコン社製 屈折率=1.515)を塗布した。そして、透明導電体とコーニング社製無アルカリガラス基板(EAGLE XG(厚さ7mm×縦30mm×横30mm)とを貼り合わせた。そして、無アルカリガラス基板側から、透明導電体の450〜800nmの波長範囲における平均透過率(%)を測定した。このとき、無アルカリガラス基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から、導通領域に測定光(波長450nm〜800nmの光)を入射させ、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて、透過率を測定した。
なお、上記無アルカリガラス基板と大気との界面での反射、及び透明導電体の透明基板と大気との界面での反射を考慮し、透過率の測定値に8%足した値を透明導電体の各平均透過率とした。
(シート抵抗値の測定)
各透明導電体の導電領域(a)に、三菱化学アナリテック社製の抵抗率計「ロレスタEP MCP−T360」を接触させて、導電領域(a)のシート抵抗値(Ω/□)を測定した。
各透明導電体の導電領域(a)に、三菱化学アナリテック社製の抵抗率計「ロレスタEP MCP−T360」を接触させて、導電領域(a)のシート抵抗値(Ω/□)を測定した。
(電極接点接続性の評価)
図2に記載の透明電極パターン(電極接点8か所)を有する各透明導電体を、それぞれ10枚作製し、80か所の電極における通電性を、テスターを用いて確認し、80か所のすべてで良好な通電性を確認できれば「○」、通電性が低いあるいは接続不良が一か所でも発生していれば「×」と判定した。
図2に記載の透明電極パターン(電極接点8か所)を有する各透明導電体を、それぞれ10枚作製し、80か所の電極における通電性を、テスターを用いて確認し、80か所のすべてで良好な通電性を確認できれば「○」、通電性が低いあるいは接続不良が一か所でも発生していれば「×」と判定した。
(透明電極の耐久性の評価)
図2に記載の透明電極パターン(電極接点8か所)を有する各透明導電体をそれぞれ10枚準備し、これを、65℃、95%RHの環境下で、1週間保管した後、上記と同様に80か所の電極部における通電性を、テスターを用いて確認し、80か所のすべてで良好な通電性が確認できれば「○」、通電性が低いあるいは接続不良が一か所でも発生していれば「×」と判定した。
図2に記載の透明電極パターン(電極接点8か所)を有する各透明導電体をそれぞれ10枚準備し、これを、65℃、95%RHの環境下で、1週間保管した後、上記と同様に80か所の電極部における通電性を、テスターを用いて確認し、80か所のすべてで良好な通電性が確認できれば「○」、通電性が低いあるいは接続不良が一か所でも発生していれば「×」と判定した。
(腐食耐性の評価)
図2に記載の透明電極パターン(電極接点8か所)を有する各透明導電体の各透明電極の計30mm×30mmの面積範囲を、100倍のルーペを用いて観察し、直径が20μm以上の腐食総数を計測し、下記の基準に従って、腐食耐性を評価した。
図2に記載の透明電極パターン(電極接点8か所)を有する各透明導電体の各透明電極の計30mm×30mmの面積範囲を、100倍のルーペを用いて観察し、直径が20μm以上の腐食総数を計測し、下記の基準に従って、腐食耐性を評価した。
◎:全面積範囲で、腐食の発生が認められない
○:全面積範囲で、腐食の発生数が1個以上、5個未満である
△:全面積範囲で、腐食の発生数が5個以上、10個未満である
×:全面積範囲で、腐食の発生数が10個以上である
(各評価結果)
上記作製した本発明の透明電極パターンを有する透明導電体1〜6について、各評価を行った結果、いずれの透明電極パターンを有する透明導電体も、平均透過率は93〜95%の範囲内であり、シート抵抗値も7〜9Ω/□の範囲内であった。また、電極接点接続性及び透明電極の耐久性もすべて「〇」であった。
○:全面積範囲で、腐食の発生数が1個以上、5個未満である
△:全面積範囲で、腐食の発生数が5個以上、10個未満である
×:全面積範囲で、腐食の発生数が10個以上である
(各評価結果)
上記作製した本発明の透明電極パターンを有する透明導電体1〜6について、各評価を行った結果、いずれの透明電極パターンを有する透明導電体も、平均透過率は93〜95%の範囲内であり、シート抵抗値も7〜9Ω/□の範囲内であった。また、電極接点接続性及び透明電極の耐久性もすべて「〇」であった。
また、腐食耐性もすべて「◎」であった。
これに対し、比較例である透明電極パターンを有する透明導電体7は、透明金属層の露出部4Sがなく、引き出し配線11を第2高屈折率層5上に直接形成した構成であるため、導電性が低く、外部回路とのコンタクトができなかった。
また、比較例である透明導電体8及び透明導電体9では、電極接点接続性は「○」であったが、高温高湿環境下で保存した後の接点の劣化が大きく、耐久性(耐湿性)として、劣る結果であり、加えて、銀の凝集に起因する斑点模様の発生があった。また、透明導電体7は腐食耐性は「○」であったが、透明導電体8及び透明導電体9は、いずれも腐食耐性が「×」
実施例2
(透明導電体Bの作製:真空蒸着法による透明導電体の作製)
下記の真空蒸着法に従って、透明導電体Bを作製した。
実施例2
(透明導電体Bの作製:真空蒸着法による透明導電体の作製)
下記の真空蒸着法に従って、透明導電体Bを作製した。
透明基板(2)として、両面に易接着加工された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、以下、PETフィルムと略記する。)を用い、PETフィルム上に、下記の方法(真空蒸着法)に従って、第1高屈折率層(3)(ZnS−SiO2、層厚:40nm)/透明金属層(4)(Ag、層厚:7.8nm)/硫化防止層(6)(ZnO、層厚:1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS−SiO2、層厚:40nm)をこの順に積層して、透明導電体Aを作製した。なお、各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
(第1高屈折率層(ZnS−SiO2)の形成)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを、第2のモリブデン製抵抗加熱ボートにSiO2を装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボート及び第2の抵抗加熱ボートに通電加熱し、両抵抗加熱ボートの通電加熱条件真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、を適宜調整して、ZnSとSiO2の体積比率が80:20となる条件で、形成速度0.33nm/秒、形成時間120秒の条件でPETフィルム上に共蒸着して、層厚が40nmの第1高屈折率層(3)を形成した。
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを、第2のモリブデン製抵抗加熱ボートにSiO2を装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボート及び第2の抵抗加熱ボートに通電加熱し、両抵抗加熱ボートの通電加熱条件真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、を適宜調整して、ZnSとSiO2の体積比率が80:20となる条件で、形成速度0.33nm/秒、形成時間120秒の条件でPETフィルム上に共蒸着して、層厚が40nmの第1高屈折率層(3)を形成した。
なお、第1高屈折率層(3)におけるZnSとSiO2の体積比率は、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用いて測定した結果、ZnSとSiO2の体積比率が80:20であることを確認した。
(透明金属層(Ag)の形成)
次いで、第1高屈折率層(3)を形成したPETフィルムを、上記と同様の真空蒸着装置に固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートにAgを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した。次いで、抵抗加熱ボートに通電加熱し、PETフィルムの第1高屈折率層(3)上に真空蒸着して、層厚が7.8nmの透明金属層(4)を形成した。
次いで、第1高屈折率層(3)を形成したPETフィルムを、上記と同様の真空蒸着装置に固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートにAgを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した。次いで、抵抗加熱ボートに通電加熱し、PETフィルムの第1高屈折率層(3)上に真空蒸着して、層厚が7.8nmの透明金属層(4)を形成した。
(硫化防止層(ZnO)の形成)
次いで、第1高屈折率層(3)及び透明金属層(4)を形成したPETフィルムを、上記と同様の真空蒸着装置に固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートにZnOを装填し、真空蒸着室内の圧力を1×10−4Paまで減圧した。次いで、抵抗加熱ボートを通電加熱し、層厚が1nmの硫化防止層(6)を形成した。
次いで、第1高屈折率層(3)及び透明金属層(4)を形成したPETフィルムを、上記と同様の真空蒸着装置に固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートにZnOを装填し、真空蒸着室内の圧力を1×10−4Paまで減圧した。次いで、抵抗加熱ボートを通電加熱し、層厚が1nmの硫化防止層(6)を形成した。
(第2高屈折率層(ZnS−SiO2)の形成)
次いで、硫化防止層(6)まで形成したPETフィルムを、上記と同様の真空蒸着装置に固定し、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを、第2のモリブデン製抵抗加熱ボートにSiO2を装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボート及び第2の抵抗加熱ボートに通電加熱し、両抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調整して、ZnSとSiO2の体積比率が80:20となる条件で、形成速度0.33nm/秒、形成時間120秒の条件でPETフィルム上に共蒸着して、層厚が40nmの第2高屈折率層(5)を形成して、透明導電体Aを作製した。
次いで、硫化防止層(6)まで形成したPETフィルムを、上記と同様の真空蒸着装置に固定し、第1のモリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを、第2のモリブデン製抵抗加熱ボートにSiO2を装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、第1の抵抗加熱ボート及び第2の抵抗加熱ボートに通電加熱し、両抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調整して、ZnSとSiO2の体積比率が80:20となる条件で、形成速度0.33nm/秒、形成時間120秒の条件でPETフィルム上に共蒸着して、層厚が40nmの第2高屈折率層(5)を形成して、透明導電体Aを作製した。
(透明導電体C〜Lの作製)
実施例1で用いた透明導電体Aの構成において、層構成及び各構成層の形成材料を下記のように変更した以外は同様にして、スパッタ法により、透明導電体C〜Lを作製した。
実施例1で用いた透明導電体Aの構成において、層構成及び各構成層の形成材料を下記のように変更した以外は同様にして、スパッタ法により、透明導電体C〜Lを作製した。
透明導電体C:第1高屈折率層(3)(ZnS・TiO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(ZnO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・TiO2、40nm)
透明導電体D:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/第1硫化防止層(6A)(ZnO、1nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2硫化防止層(6B)(ZnO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体E:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/第1硫化防止層(6A)(GZO、1nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2硫化防止層(6B)(GZO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体F:第1高屈折率層(3)(GZO、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2高屈折率層(5)(GZO、40nm)
透明導電体G:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/第1硫化防止層(6A)(IGZO、1nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2硫化防止層(6B)(IGZO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体H:第1高屈折率層(3)(IGZO、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2高屈折率層(5)(IGZO、40nm)
透明導電体I:第1高屈折率層(3)(ZnS・SnO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(ZnO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SnO2、40nm)
透明導電体J:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(TiO2、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体K:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(SiO2、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体L:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(MgF2、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
GZO:ガリウム添加酸化亜鉛
IGZO:インジウム・ガリウム・亜鉛で構成される酸化物
(透明電極パターンを有する透明導電体10〜20)
実施例1に記載の透明電極パターンを有する透明導電体1の作製において、透明導電体Aに代えて、上記作製した透明導電体B〜Lを用いた以外は同様にして、透明電極パターンを有する透明導電体10〜20を作製した。
透明導電体D:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/第1硫化防止層(6A)(ZnO、1nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2硫化防止層(6B)(ZnO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体E:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/第1硫化防止層(6A)(GZO、1nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2硫化防止層(6B)(GZO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体F:第1高屈折率層(3)(GZO、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2高屈折率層(5)(GZO、40nm)
透明導電体G:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/第1硫化防止層(6A)(IGZO、1nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2硫化防止層(6B)(IGZO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体H:第1高屈折率層(3)(IGZO、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/第2高屈折率層(5)(IGZO、40nm)
透明導電体I:第1高屈折率層(3)(ZnS・SnO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(ZnO、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SnO2、40nm)
透明導電体J:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(TiO2、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体K:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(SiO2、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
透明導電体L:第1高屈折率層(3)(ZnS・SiO2、40nm)/透明金属層(4)(Ag、7.8nm)/硫化防止層(6)(MgF2、1nm)/第2高屈折率層(5)(ZnS・SiO2、40nm)
GZO:ガリウム添加酸化亜鉛
IGZO:インジウム・ガリウム・亜鉛で構成される酸化物
(透明電極パターンを有する透明導電体10〜20)
実施例1に記載の透明電極パターンを有する透明導電体1の作製において、透明導電体Aに代えて、上記作製した透明導電体B〜Lを用いた以外は同様にして、透明電極パターンを有する透明導電体10〜20を作製した。
(透明電極パターンを有する透明導電体の評価)
上記作製した透明電極パターンを有する透明導電体10〜20について、実施例1に記載の方法と同様にして、各評価を行った結果、いずれの透明電極パターンを有する透明導電体も、平均透過率は93〜95%の範囲内であり、シート抵抗値も7〜9Ω/□の範囲内であった。また、電極接点接続性及び透明電極の耐久性もすべて「〇」であった。また、銀の斑点状の凝集の発生も認められなかった。
上記作製した透明電極パターンを有する透明導電体10〜20について、実施例1に記載の方法と同様にして、各評価を行った結果、いずれの透明電極パターンを有する透明導電体も、平均透過率は93〜95%の範囲内であり、シート抵抗値も7〜9Ω/□の範囲内であった。また、電極接点接続性及び透明電極の耐久性もすべて「〇」であった。また、銀の斑点状の凝集の発生も認められなかった。
一方、実施例1に記載の方法に従って評価した腐食耐性においては、硫化防止層に亜鉛元素又はガリウム元素を含む化合物で形成した透明導電体では「◎」であったが、硫化防止層をTiO2で形成した透明導電体J、硫化防止層をSiO2で形成した透明導電体K、硫化防止層をMgF2で形成した透明導電体Lで形成した各透明電極パターンを有する透明導電体では、わずかに透明電極における腐食が観察され、評価ランクはいずれも「○」であった。
以上の結果より、本発明の透明電極パターンの形成方法により形成された透明導電パターンは、安定して透明電極パターン及び引き出し配線を形成することができ、透明性に優れ、表面電気抵抗値が低く、腐食耐性、電極接続性及びその耐久性に優れた透明電極パターンであること確認することができた。
1 透明導電体
2、2−1、2−2 透明基板
3 第1高屈折率層
4 透明金属層
4S 透明金属層の露出部
5 第2高屈折率層
6、6A、6B 硫化防止層
7 レジスト膜
7A 除去するレジスト膜
8A、8B、8C マスク
9 露光機
10A、10B エッチング液
11、11−1、11−2 引き出し配線
12、16 スクリーン印刷用マスク
12A 引きさし配線形成部
13 オープンスキージ
14 引き出し配線形成液
15A テフロン(登録商標)部材
15B 保湿部材
17、17−1、17−2 透明電極パターンを有する透明導電体
18 抵抗加熱ボート
101 タッチパネル
102 前面板
a 導通領域
b 絶縁領域
M、M−1、M−2 透明電極
EU 透明導電層ユニット
MI マスキングインク
2、2−1、2−2 透明基板
3 第1高屈折率層
4 透明金属層
4S 透明金属層の露出部
5 第2高屈折率層
6、6A、6B 硫化防止層
7 レジスト膜
7A 除去するレジスト膜
8A、8B、8C マスク
9 露光機
10A、10B エッチング液
11、11−1、11−2 引き出し配線
12、16 スクリーン印刷用マスク
12A 引きさし配線形成部
13 オープンスキージ
14 引き出し配線形成液
15A テフロン(登録商標)部材
15B 保湿部材
17、17−1、17−2 透明電極パターンを有する透明導電体
18 抵抗加熱ボート
101 タッチパネル
102 前面板
a 導通領域
b 絶縁領域
M、M−1、M−2 透明電極
EU 透明導電層ユニット
MI マスキングインク
Claims (12)
- 透明基板上に、少なくとも、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層をこの順で有する透明導電体に、透明電極及び引き出し配線を有する透明電極パターンを形成する透明電極パターンの形成方法であって、
a)エッチング液により、前記透明金属層より前記第2高屈折率層を有する面側に位置するすべての構成層の所定の領域を溶解して、前記透明金属層の露出部を形成する工程aと、
b)エッチング液により、前記透明導電体を構成するすべての層の所定の領域を溶解して、透明電極を形成する工程bと、
c)上記工程aで露出した前記透明金属層の露出部上に引き出し配線を形成する工程cにより、
透明電極パターンを形成することを特徴とする透明電極パターンの形成方法。 - 前記工程aが、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法を用いて前記透明金属層を露出させる方法であることを特徴とする請求項1に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記工程aで用いる前記透明金属層を露出させる方法が、フォトリソグラフィー法であることを特徴とする請求項2に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記工程bが、フォトリソグラフィー法又はスクリーン印刷法を用いて前記透明電極を形成する方法であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記工程bにおいて、前記透明電極を形成する方法が、フォトリソグラフィー法であることを特徴とする請求項4に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記工程cが、蒸着法又はスクリーン印刷法を用いて引き出し電極を形成する方法であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記工程cにおいて、前記引き出し電極を形成する方法が、金属ペーストを用いたスクリーン印刷法であることを特徴とする請求項6に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記第1高屈折率層又は第2高屈折率層が、硫化亜鉛と、金属酸化物、金属フッ化物及び金属窒化物から選ばれる少なくとも一種の化合物とにより形成することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記金属酸化物として、二酸化ケイ素を用いることを特徴とする請求項8に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記透明金属層を、銀を主成分とする銀薄膜として形成することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記第1高屈折率層と透明金属層との間、又は前記第2高屈折率層と透明金属層との間に、硫化防止層を形成することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の透明電極パターンの形成方法。
- 前記硫化防止層を、亜鉛元素又はガリウム元素を含む材料で形成することを特徴とする請求項11に記載の透明電極パターンの形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014030147A JP2015156270A (ja) | 2014-02-20 | 2014-02-20 | 透明電極パターンの形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014030147A JP2015156270A (ja) | 2014-02-20 | 2014-02-20 | 透明電極パターンの形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=54775490
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2014030147A Pending JP2015156270A (ja) | 2014-02-20 | 2014-02-20 | 透明電極パターンの形成方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2015156270A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107310250A (zh) * | 2017-07-28 | 2017-11-03 | 张家港康得新光电材料有限公司 | 用于制作触摸屏的印刷网版与触摸屏的制作方法 |
CN108878586A (zh) * | 2018-06-27 | 2018-11-23 | 北京铂阳顶荣光伏科技有限公司 | 太阳能芯片组件的透光处理系统和透光处理方法 |
CN113439338A (zh) * | 2020-01-23 | 2021-09-24 | 京东方科技集团股份有限公司 | 显示基板及其制备方法 |
US11968865B2 (en) | 2020-01-23 | 2024-04-23 | Chengdu Boe Optoelectronics Technology Co., Ltd. | Display substrate and display device |
-
2014
- 2014-02-20 JP JP2014030147A patent/JP2015156270A/ja active Pending
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CN113439338A (zh) * | 2020-01-23 | 2021-09-24 | 京东方科技集团股份有限公司 | 显示基板及其制备方法 |
US11968865B2 (en) | 2020-01-23 | 2024-04-23 | Chengdu Boe Optoelectronics Technology Co., Ltd. | Display substrate and display device |
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