JP2015140407A - 架橋重合体、その製造方法及びこれを含有する塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】単量体組成物のラジカル重合により、生産性良く(ひいては低生産コストで)高固形分の架橋重合体を提供する。
【解決手段】2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を重合してなる架橋重合体であって、
前記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含む架橋重合体(A)。
【選択図】なし
【解決手段】2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を重合してなる架橋重合体であって、
前記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含む架橋重合体(A)。
【選択図】なし
Description
本発明は、架橋重合体に関し、より詳しくは、単量体組成物のラジカル重合により得られる架橋重合体を含有する架橋重合体に関する。また本発明は、当該架橋重合体の製造方法及び上記架橋重合体を含有する塗料組成物に関する。
(メタ)アクリル系架橋重合体に代表される架橋重合体は、各種塗料組成物(バインダーあるいは充填剤として)、接着剤成分、エレクトロニクス関連材料、医薬組成物の制御放出機構、樹脂複合材料等の様々な用途に用いられている。架橋重合体は、多官能単量体を含む単量体組成物の乳化重合、分散重合、懸濁重合、沈殿重合、溶液重合等の重合方法により、例えばポリマー粒子の形態で調製することが可能である(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、溶液重合によって、重合体が溶剤に溶解した状態である架橋重合体溶液を調製する場合、得られる架橋重合体溶液における架橋重合体の固形分(濃度)を高めることができないという問題があった。すなわち、固形分を高くしようとするとゲル化が起こり、所望の架橋重合体が得られなかったり、所望の用途に使用できなかったりする問題があった。
上記問題を解決し得る手段として、特許文献2には、(メタ)アクリル系架橋重合体からなる架橋ポリマーナノ粒子を溶液重合により調製する方法において、モノマー、架橋剤及び重合開始剤を含む反応物を、加熱した溶媒へパルス的添加法を用いて添加することによって重合反応を行うことが記載されている(請求項1、実施例1及び2等)。パルス的添加法とは、反応物の一部分を添加する時間帯と、反応物の添加を行わない時間帯とを反応物全量の添加が終了するまで交互に繰り返す方法である。
上記特許文献2に記載のパルス的添加法によれば、架橋重合体(ポリマーナノ粒子)溶液の固形分を高めることは可能であるものの、反応物の添加を行わない時間帯を設けながら反応物を断続的に添加する必要があるため、生産効率及び生産コストの面で不利であった。
特許文献3には、(メタ)アクリレート化合物を重合単位として使用した溶液重合により得られ、硬化性部位を有する硬化性流体が開示されている。このような方法により、活性エネルギー線硬化性樹脂の製造は可能である。しかしながら、上述と同様に、固形分(濃度)を高めることができないという問題があった。
特許文献4には、分散安定剤としてのビニル系共重合体を含む有機溶媒中で、単量体混合物を分散重合させる重合体分散液の製造方法を開示しており、上記単量体混合物の配合成分として、アリル基を2個以上有する単量体が挙げられている。しかしながら、分散体を製造することが記載されているのみであり、樹脂溶液を製造することに関する記載は存在しない。また、塗料とした場合の機械的強度や耐溶剤性等の塗膜性能を考慮すると、分散安定剤が存在することは好ましいものではない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、単量体組成物のラジカル重合により、生産性良く(ひいては低生産コストで)高固形分の架橋重合体を提供することにある。また本発明の他の目的は、上記架橋重合体の製造方法及び上記架橋重合体を含有する塗料組成物を提供することにある。
本発明は、2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を重合してなる架橋重合体であって、
上記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含むことを特徴とする架橋重合体(A)に関する。
上記架橋重合体(A)は、重量平均分子量が15000〜200000であることが好ましい。
上記ポリアリル化合物(a1)は、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びイソシアヌル酸トリアリルからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
上記架橋重合体(A)は、水酸基及びカルボキシル基からなる群から選択される1種以上の官能基を有し、上記官能基の含有量が、水酸基価又は酸価で10〜160mgKOH/gであることが好ましい。
上記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含むことを特徴とする架橋重合体(A)に関する。
上記架橋重合体(A)は、重量平均分子量が15000〜200000であることが好ましい。
上記ポリアリル化合物(a1)は、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びイソシアヌル酸トリアリルからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
上記架橋重合体(A)は、水酸基及びカルボキシル基からなる群から選択される1種以上の官能基を有し、上記官能基の含有量が、水酸基価又は酸価で10〜160mgKOH/gであることが好ましい。
本発明は、上記架橋重合体(A)に付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)と、前記架橋重合体(A)とを反応させることにより得られることを特徴とする架橋重合体(B)でもある。
本発明は、2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を、有機溶剤中でラジカル重合開始剤の存在下に重合を行う工程〔I〕を有し、前記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含むことを特徴とする架橋重合体(A)の製造方法でもある。
上記工程(I)終了後の反応液における架橋重合体(A)の濃度が45重量%以上であることが好ましい。
上記有機溶剤が、単量体組成物及び架橋重合体(A)を溶解可能な溶剤であることが好ましい。
上記工程(I)終了後の反応液における架橋重合体(A)の濃度が45重量%以上であることが好ましい。
上記有機溶剤が、単量体組成物及び架橋重合体(A)を溶解可能な溶剤であることが好ましい。
本発明は、上記の製造方法により得られた架橋重合体(A)に、付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)を反応させる工程〔II〕をさらに有することを特徴とする架橋重合体(B)の製造方法でもある。
本発明は、上記架橋重合体(A)又は上記架橋重合体(B)を含有する塗料組成物でもある。
本発明は、上記架橋重合体(A)又は上記架橋重合体(B)を含有する塗料組成物でもある。
本発明に係る架橋重合体は、高固形分(高濃度)の架橋重合体含有液として得ることができるため、保管や運搬、取り扱い性等の面で有利である。また、本発明に係る架橋重合体(又は架橋重合体含有液)を、例えば、塗料組成物の樹脂成分(バインダー樹脂)として用いる場合には、塗料組成物における樹脂成分の高濃度化(溶剤量の低減)を図ることができ、有機溶剤含有量の少ない環境にやさしい塗料組成物を提供することができる。
本発明に係る架橋重合体(又は架橋重合体含有液)は、高固形分であり得ることに加え、その製造方法に起因して、各種用途に好適な特性を備えている。例えば、塗料組成物の樹脂成分(バインダー樹脂)としての本発明に係る架橋重合体(又は架橋重合体含有液)は、被塗物との密着性や、隣接する塗膜との密着性、耐水性、強度に優れる塗膜を形成することができる。本発明に係る架橋重合体はまた、硬化剤を用いて硬化させる場合における硬化性や、架橋重合体が活性エネルギー線硬化性である場合における活性エネルギー線硬化性に優れている。更に、本発明に係る架橋重合体を使用して製造された塗料組成物は、光沢や色調においても良好な性能を有するものとすることができる。
また、本発明の製造方法によれば、所望の架橋重合体を高固形分で、かつ生産性良く(ひいては低生産コストで)製造することができる。すなわち、上記特許文献2に記載のパルス的添加法を必ずしも用いる必要がないため、短時間で効率良く架橋重合体を製造することができる。
架橋重合体(A)
本発明の架橋重合体(A)は、多官能単量体及び単官能単量体からなる単量体組成物を重合させて得られた架橋重合体である。
ここで、「多官能単量体」とは、分子内にラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体を意味し、「単官能単量体」とは、分子内にラジカル重合性二重結合を1個有する単量体を意味する。また、ここでいう「単量体組成物」とは、単量体成分(すなわち、多官能単量体及び単官能単量体)のみを含むものとする。
本発明の架橋重合体(A)は、多官能単量体及び単官能単量体からなる単量体組成物を重合させて得られた架橋重合体である。
ここで、「多官能単量体」とは、分子内にラジカル重合性二重結合を2個以上有する単量体を意味し、「単官能単量体」とは、分子内にラジカル重合性二重結合を1個有する単量体を意味する。また、ここでいう「単量体組成物」とは、単量体成分(すなわち、多官能単量体及び単官能単量体)のみを含むものとする。
(1)2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)
上記単量体組成物は、2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)(以下、単に「多官能単量体(a)」ともいう。)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有し、上記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)(以下、単に「ポリアリル化合物(a1)」ともいう。)40重量%以上を含むものである。
上記単量体組成物は、2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)(以下、単に「多官能単量体(a)」ともいう。)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有し、上記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)(以下、単に「ポリアリル化合物(a1)」ともいう。)40重量%以上を含むものである。
本発明は、上記ポリアリル化合物(a1)を特定割合で使用することによって、上述の問題を改善し、所望の架橋重合体を高固形分で、かつ生産性良く得ることができることを見出すことによって完成したものである。これによって、塗料組成物などにおいて好適に使用することができる好適な性能を有する架橋重合体液を得ることができる。
このように本発明では多官能単量体(a)として、ポリアリル化合物(a1)を用いることが肝要である。多官能単量体(a)が多官能アクリレートのみからなる場合には、高固形分の架橋重合体(A)を得ようとすると、重合反応液にゲル化が生じてしまう。これに対して、ポリアリル化合物(a1)を用いることにより、ゲル化を効果的に防止することができる。これは、重合により生成するポリマー粒子同士の重合反応による合一化が、何らかの要因により抑制されるためであると推定される。
上記ポリアリル化合物(a1)としては特に限定されず、アジピン酸ジアリル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、N,N−ジアリルメラミン、リン酸トリアリル等を挙げることができる。なかでも、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、イソシアヌル酸トリアリルが好ましい。
上記ポリアリル化合物(a1)は、多官能単量体(a)100重量%に対して40重量%以上含有されるものである。40重量%未満であると、重合中にゲル化しやすいためである。上記含有量は、50重量%以上であることがより好ましく、全量がポリアリル化合物(a1)であってもよい。
上記多官能単量体(a)は、上記ポリアリル化合物(a1)以外の多官能単量体を併用してもよい。その他の多官能単量体としては特に限定されないが、官能基数2〜4の多官能(メタ)アクリレート(以下、単に「多官能(メタ)アクリレート」ともいう。)を挙げることができる。「官能基数2〜4の多官能(メタ)アクリレート」とは、分子内にメタクリロイル基を2〜4個有する化合物をいう。
官能基数2の(メタ)アクリレートの例は、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等を含む。なかでも、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができる。
官能基数3の(メタ)アクリレートの例は、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を含む。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができる。
官能基数4の(メタ)アクリレートの例は、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を含む。なかでも、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができる。多官能(メタ)アクリレート(a)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体組成物100重量%における多官能単量体(a)の含有率は、2〜30重量%であり、好ましくは3〜28重量%であり、より好ましくは5〜25重量%である(単量体組成物全体を100重量%とする。)。多官能単量体(a)の含有率をこの範囲内に調整することにより、ゲル化を生じることなく、高固形分で好適な物性を有する架橋重合体(A)を得ることができる。多官能単量体(a)の含有率が30重量%を超える場合には、高固形分の架橋重合体(A)を得ようとすると、重合反応液にゲル化が生じてしまう。多官能単量体(a)の含有率が2重量%未満であると、架橋点が少ないために、架橋重合体としての好ましい物性が得られにくい。
(2)単官能ビニル単量体(b)
上述の単官能ビニル単量体(b)とは、1の不飽和結合を有するビニル基含有単量体である。上記単官能ビニル単量体(b)としては特に限定されず、例えば、単官能(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単官能単量体、単官能(メタ)アクリルアミド化合物、ビニル系芳香族化合物、(メタ)アクリロニトリル、マレイミド、マレイミド誘導体の他、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等の他のビニル系単量体及びこれらの変性物(誘導体)等を挙げることができる。
上述の単官能ビニル単量体(b)とは、1の不飽和結合を有するビニル基含有単量体である。上記単官能ビニル単量体(b)としては特に限定されず、例えば、単官能(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単官能単量体、単官能(メタ)アクリルアミド化合物、ビニル系芳香族化合物、(メタ)アクリロニトリル、マレイミド、マレイミド誘導体の他、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等の他のビニル系単量体及びこれらの変性物(誘導体)等を挙げることができる。
上記単官能(メタ)アクリレートの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びこれらの変性物(誘導体)〔例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトン又はε−カプロラクトン付加物〕、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサンマクロマー、γ‐(メタ)クリロキシプロピルトリメトキシシラン等を含む。
上記ビニル系芳香族化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。上記カルボキシル基含有単官能単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等を挙げることができる。
上記単官能(メタ)アクリルアミド化合物の例は、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、tert−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの変性物(誘導体)等を含む。マレイミド誘導体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等が挙げられる。
単量体組成物100重量%における単官能ビニル単量体(b)の含有率は、98〜70重量%であり、好ましくは97〜72重量%であり、より好ましくは95〜75重量%である(単量体組成物全体を100重量%とする。)。
上記単官能ビニル単量体(b)として、水酸基含有(メタ)アクリレートを使用する場合は、得られた樹脂の水酸基価が10〜160mgKOH/gとなる割合で配合することが好ましい。塗料用樹脂として使用する場合は、当該範囲内とすることで硬化反応を好適に行うことができる。更に、得られた樹脂を以下で詳述する工程(II)に供する場合の反応性官能基とすることができる。
上記単官能ビニル単量体(b)としてカルボキシル基含有単量体を使用する場合、得られた樹脂の酸価が10〜160mgKOH/gとなる割合で配合することが好ましい。塗料用樹脂として使用する場合は、当該範囲内とすることで硬化反応を好適に行うことができる。更に、得られた樹脂を以下で詳述する工程(II)に供する場合の反応性官能基とすることができる。
上記単官能ビニル単量体(b)としてエポキシ基含有(メタ)アクリレートを使用する場合は、得られた樹脂のエポキシ等量が200〜3000となる割合で配合することが好ましい。塗料用樹脂として使用する場合は、当該範囲内とすることで硬化反応を好適に行うことができる。更に、得られた樹脂を以下で詳述する工程(II)に供する場合の反応性官能基とすることができる。
上述のような単量体組成物を重合して得られる本発明の架橋重合体(A)は、重量平均分子量が15000〜200000であることが好ましい。上記分子量を有する架橋重合体(A)は、塗料等の用途に使用した場合に、硬化性能が良好で耐久性にも優れた樹脂とすることができる。重量平均分子量が15000未満であると、膜強度、耐薬品性、耐候性などが不充分であるという点で好ましいものではなく、200000を超えると、塗料が高粘度化して取り扱いが困難になるという点で好ましくない。上記上限は、17500であることがより好ましく、15000であることが更に好ましい。上記下限は、20000であることがより好ましく、25000であることが更に好ましい。
上記架橋重合体(A)には、その用途に応じて各種の官能基を付与することができる。官能基の例は、カルボキシル基、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、グリシジル基、シアノ基、ピリジン基、イソシアナート基、ハロゲン基等を含む。例えば架橋重合体(A)を塗料組成物のバインダー樹脂として使用する場合、被塗物との密着性や、隣接する塗膜との密着性を改善するために、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ピリジン基等の極性官能基を付与することが好ましい場合がある。架橋重合体(A)は、官能基を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい(勿論、上記のような官能基を有していなくてもよい。)。
また、硬化剤の併用によって硬化性組成物を調製する場合には、当該硬化性組成物の樹脂成分としての架橋重合体(A)は、硬化剤と反応し得る反応性官能基を有している必要がある。反応性官能基は、硬化剤の種類に応じてカルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、エポキシ基、グリシジル基等のなかから適宜選択される。なかでも、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、グリシジル基が好ましく、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基がより好ましい。反応性官能基を有する架橋重合体(A)は、硬化剤を用いて硬化させる場合における硬化性に優れており、上記硬化性組成物において、従来と比較して硬化剤の含有量を低減し得る。
後述するように、架橋重合体(A)にラジカル重合性二重結合を有する化合物を付加させることにより、活性エネルギー線硬化性の架橋重合体(B)とすることができる。このような付加反応に供される架橋重合体(A)は、当該付加反応に関与できる反応性官能基、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、エポキシ基、グリシジル基等を有している必要があり、当該反応性官能基の好ましい例は、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、グリシジル基である。
架橋重合体(A)のカルボキシル基を反応させて活性エネルギー線硬化性の架橋重合体(B)を得る場合、架橋重合体(A)はカルボキシル基含有量が酸価で、5〜200mgKOH/g−solidであることが好ましく、より好ましくは10〜160mgKOH/g−solidである。架橋重合体(A)の水酸基を反応させて活性エネルギー線硬化性の架橋重合体(B)を得る場合、含有する架橋重合体(A)は水酸基価で、5〜200mgKOH/g−solidであることが好ましく、より好ましくは10〜160mgKOH/g−solidである。
本発明の架橋重合体(A)は、上述した特許文献4に記載されたような高分子安定剤存在下で重合を行った非水分散体ではなく、いわゆる「ポリマーナノ粒子」の形態で存在(有機溶剤中に溶解)していることが望ましい。このような形態のものとすることで、塗料中に配合した場合の塗膜性能が向上したものとすることができる点で好ましい。また、このような状態のものとするためには、高分子安定剤を含有しないものであることが好ましい。
架橋重合体(A)への上記官能基の導入は、原料となる単量体組成物に上記官能基を有する多官能(メタ)アクリレート(a)及び/又は上記官能基を有する単官能単量体(b)を含有させればよい。通常は、上記官能基を有する単官能単量体(b)を用いる。このような単官能単量体(b)の例を挙げれば、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単官能単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトン又はε−カプロラクトン付加物等の水酸基含有単官能単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単官能単量体である。上記官能基を有する単官能単量体(b)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋重合体(B)
本発明の架橋重合体(A)に付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)と、上記架橋重合体(A)とを反応させることにより得られることを特徴とする架橋重合体(B)も本発明の一つである。上記架橋重合体(B)は、活性エネルギー線硬化性に優れており、重合開始剤の使用量や露光量(照射光量)を低減し得る点で有利である。
本発明の架橋重合体(A)に付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)と、上記架橋重合体(A)とを反応させることにより得られることを特徴とする架橋重合体(B)も本発明の一つである。上記架橋重合体(B)は、活性エネルギー線硬化性に優れており、重合開始剤の使用量や露光量(照射光量)を低減し得る点で有利である。
架橋重合体(A)に付加させる化合物(d)は、ラジカル重合性二重結合を有するとともに、架橋重合体(A)に付加反応可能な反応性官能基を有するものである。当該反応性官能基は、架橋重合体(A)が有する当該付加反応に関与する官能基の種類に応じて、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、エポキシ基、グリシジル基等のなかから適宜選択される。なかでも、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、グリシジル基が好ましく、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基がより好ましい。
化合物(d)の例を挙げれば、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトン又はε−カプロラクトン付加物等の水酸基含有化合物;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物である。化合物(c)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋重合体(A)の製造法
本発明は、2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を、有機溶剤中でラジカル重合開始剤の存在下に重合を行う工程〔I〕を有し、上記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含むことを特徴とする架橋重合体(A)の製造方法でもある。
本発明は、2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を、有機溶剤中でラジカル重合開始剤の存在下に重合を行う工程〔I〕を有し、上記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含むことを特徴とする架橋重合体(A)の製造方法でもある。
本発明の架橋重合体の製造方法において、上記単量体組成物のラジカル重合は、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤の存在下に行われる(工程〔I〕)。具体的には、特に制限されないが、任意の温度領域に調整された反応容器内の有機溶剤に、単量体組成物、ラジカル重合開始剤及び任意で添加される有機溶剤からなる混合物を添加する方法を好適に採用することができる。添加は連続的な添加(滴下等)であってもよいし、特許文献2のようなパルス的な添加法であってもよいが、生産効率及び生産コストの観点から、好ましくは連続的に添加される。
上記ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、tert−アミルパーオキシピバレート、AIBNの他、一般的に用いられるラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシオクトエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−アミルパーオキシネオデカノエート、tert−アミルパーオキシオクトエート、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−アミルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、使用する単量体組成物100重量%に対して、通常0.5〜10重量%程度であり、好ましくは1〜8重量%である。
有機溶剤としては特に制限されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロペンタン、オクタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ホワイトスピリット等の炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ブタノール、プロピルアルコール等のアルコールを挙げることができる。有機溶剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも有機溶剤としては、単量体組成物を溶解可能な溶剤であることが好ましく、単量体組成物及び生成する架橋重合体(A)の双方を溶解可能な溶剤、すなわち溶液重合を実現可能な溶剤であることがより好ましい。溶液重合により、高固形分の架橋重合体(A)の溶液を得ることができる。このような有機溶剤として、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルイソブチルケトン等を好ましく用いることができる。単量体組成物の使用量に対する有機溶剤の使用量は、少なくとも単量体組成物の全量又はほぼ全量を溶解できる量であることが好ましく、単量体組成物及び生成する架橋重合体(A)の全量又はほぼ全量を溶解できる量であることがより好ましい。
本発明の製造方法によれば、得られる架橋重合体(A)の固形分を高くすることが可能であるので、ラジカル重合反応終了後の反応液における架橋重合体(A)の濃度を高くすることができ、従って、従来と比較して有機溶剤の使用量を削減することができる。具体的には、有機溶剤の使用量は、ラジカル重合反応終了後の反応液における架橋重合体(A)の濃度が40重量%以上となるような量であることができ、45重量%以上、さらには50重量%以上、なおさらには55重量%以上(60重量%以上等)となるような量であることができる。
ラジカル重合の反応時間は、通常0.5〜10時間程度であり、より典型的には1〜8時間程度、好ましくは1〜6時間程度である。
本発明の製造方法において所望の架橋重合体(A)は、上記工程〔I〕を経て、架橋重合体(A)と有機溶剤とを含有する液(ラジカル重合反応終了後の反応液)として得ることができる。当該液は、典型的には、架橋重合体(A)が有機溶剤に溶解した溶液である。当該液における架橋重合体(A)の濃度(固形分)については上述したとおりである。当該液は、後述する工程〔II〕にそのまま供することができ、また、塗料組成物を代表とする各種用途の組成物の一成分としてそのまま供することもできる。当該液に対して、再沈殿、脱溶剤等の適宜の操作を施して架橋重合体(A)を単離することもできる。
上記工程〔I〕を経て得られる架橋重合体(A)を含有する液において架橋重合体(A)は、いわゆる「ポリマーナノ粒子」の形態で存在(有機溶剤中に溶解)していると考えられる。ただし、架橋重合体(A)からなる粒子は、ポリマービーズのような、すなわち乳化重合や分散重合によって得られるような、粒子内部に水や溶剤をほとんど含有しない、ほぼ重合体のみからなる粒子ではなく、複数の架橋点を有して粒子様の形状となった、粒子内部を溶剤が自由に移動できる糸毬状のものであると推定される。
本発明の架橋重合体(A)の製造方法においては、上述した「ポリマーナノ粒子」の形態で存在(有機溶剤中に溶解)した重合体を得るものである。このため、高分子安定剤不存在下で重合を行うことが好ましい。
架橋重合体(B)の製造方法
本発明は、上記製造方法により得られた架橋重合体(A)に、付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)を反応させる工程〔II〕をさらに有することを特徴とする架橋重合体(B)の製造方法でもある。
本発明は、上記製造方法により得られた架橋重合体(A)に、付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)を反応させる工程〔II〕をさらに有することを特徴とする架橋重合体(B)の製造方法でもある。
工程〔II〕で用いられる架橋重合体(A)はどのような形態であってもよいが、工程〔I〕によって得られる架橋重合体(A)と有機溶剤とを含有する液(ラジカル重合反応終了後の反応液)それ自体を好適に用いることができる。
化合物(d)との付加反応は、従来公知の方法によって行うことができ、例えば、触媒及び重合禁止剤の存在下に行うことができる。反応温度は、好ましくは50〜150℃、より好ましくは70〜120℃である。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の3級アミン;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロミド等の有機オニウムのハロゲン化物;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン等の3価の有機リン化合物;ナフテン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸又はオクトエン酸のリチウム、クロム、ジルコニウム、カリウム又はナトリウム塩等の有機酸金属塩が挙げられる。触媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、tert−ブチルカテコール、カテコール、α−ナフトール、ニトロフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、ジ−tert−ブチルニトロキシル、1−オキシル−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−2−エチルヘキサノエート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−ステアレート、ピロガロール、フェノチアジン等が挙げられる。重合禁止剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋重合体(A)を含有する溶液を用いて付加反応を行うことにより得られる架橋重合体(B)を含有する反応液は、典型的には、架橋重合体(B)が有機溶剤に溶解又はほぼ溶解した溶液である。高固形分の架橋重合体(A)含有液を用いた場合には、同様に、高固形分の架橋重合体(B)含有液を得ることができる。架橋重合体(B)含有液における架橋重合体(B)の濃度(固形分)は、例えば40重量%以上であり、ゲル化を生じることなく、45重量%以上、さらには50重量%以上、なおさらには55重量%以上(60重量%以上又は65重量%以上等)となり得る。
上記工程〔II〕を経て得られる架橋重合体(B)を含有する液において架橋重合体(B)は、架橋重合体(A)を含有する液と同じく「ポリマーナノ粒子」の形態で存在(有機溶剤中に溶解)していると考えられる。ただし、架橋重合体(B)からなる粒子は、ポリマービーズのような粒子ではなく、複数の架橋点を有して粒子様の形状となった、粒子内部を溶剤が自由に移動できる糸毬状のものであると推定される。
架橋重合体(B)を含有する液は、塗料組成物を代表とする各種用途の組成物の一成分としてそのまま供することができる。当該液に対して、再沈殿、脱溶剤等の適宜の操作を施して架橋重合体(B)を単離することもできる。
塗料組成物
本発明に係る架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)を含有する液はいずれも、従来の架橋重合体の用途に好適に適用できるものであるが、とりわけ塗料組成物の樹脂成分(バインダー樹脂)として好適であり、塗料組成物における樹脂成分の高濃度化(溶剤量の低減)を図ることができ、有機溶剤含有量の少ない環境にやさしい塗料組成物を提供することができる。上述の架橋重合体の製造方法により得られる架橋重合体(A)含有液又は架橋重合体(B)含有液を用いて塗料組成物を調製する場合、これらの液に含まれる有機溶剤を塗料組成物の溶剤成分の少なくとも一部とすることができる。
本発明に係る架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)を含有する液はいずれも、従来の架橋重合体の用途に好適に適用できるものであるが、とりわけ塗料組成物の樹脂成分(バインダー樹脂)として好適であり、塗料組成物における樹脂成分の高濃度化(溶剤量の低減)を図ることができ、有機溶剤含有量の少ない環境にやさしい塗料組成物を提供することができる。上述の架橋重合体の製造方法により得られる架橋重合体(A)含有液又は架橋重合体(B)含有液を用いて塗料組成物を調製する場合、これらの液に含まれる有機溶剤を塗料組成物の溶剤成分の少なくとも一部とすることができる。
架橋重合体(A)を含有する塗料組成物は、例えばラッカー型の塗料や、1液硬化型又は2液硬化型の硬化型塗料等として用いることができる。架橋重合体(A)を含有する塗料組成物は、被塗物との密着性や、隣接する塗膜との密着性、耐水性、強度に優れる塗膜を形成することができる。また、硬化性に優れた硬化型塗料となり得る。架橋重合体(A)と併用する硬化剤には、イソシアネート系硬化剤、メラミン樹脂系硬化剤等の従来公知の硬化剤を用いることができる。
上記架橋重合体(A)を含有する塗料組成物においては、同時に線状ポリマーを併用するものであってもよい。すなわち、従来の塗料組成物において汎用されている線状アクリル系ポリマーと上記架橋重合体(A)とを併用することによって、機械的強度、耐擦傷性、耐候性等の特性に優れ、隣接する塗膜との混層を抑制することができるという点で好ましい効果が得られるものである。
上記線状アクリル系ポリマーは、上述した架橋重合体(A)の製造に使用することができるものとして記載した各種の単官能不飽和単量体を組み合わせた単量体組成物を重合させることによって得ることができる。上記架橋重合体(A)と上記線状アクリル系ポリマーとの混合比は、固形分重量比で100:0〜20:80であることが好ましい。
架橋重合体(B)を含有する塗料組成物は、活性エネルギー線硬化型塗料として用いられる。架橋重合体(B)を含有する塗料組成物は、被塗物との密着性や、隣接する塗膜との密着性、耐水性、強度に優れる塗膜を形成することができ、また、活性エネルギー線硬化性に優れている。架橋重合体(B)を含有する塗料組成物には、光重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては従来公知のものを用いることができる。
光重合開始剤としては、光照射により、架橋重合体(B)の光重合性基に基づく光重合を開始させ得るものであれば、いずれのものも使用できる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができる。これらは1種または2種以上の混合系で使用することができる。
上記光重合開始剤は、塗料組成物の固形分含有量中、0.5〜7.5重量%とすることが好ましい。このような範囲にすることで、良好に塗料の硬化を行うことができる。
また、架橋重合体(B)を含有する塗料組成物においては、その他の光重合性化合物を併用するものであってもよい。この場合、併用できる光重合性化合物としては、公知の単官能及び/又は多官能(メタ)アクリレートを使用することができる。架橋重合体(B)と公知の単官能及び/又は多官能(メタ)アクリレートとを併用する場合は、塗料組成物中の固形分配合比で(架橋重合体(B):(公知の単官能及び/又は多官能(メタ)アクリレート)が100:0〜20:80であることが好ましい。
塗料組成物における架橋重合体(A)又は(B)の含有量は、塗料組成物の固形分100重量%中、通常10〜90重量%であり、好ましくは20〜80重量%である。塗料組成物は、上述の硬化剤や光重合開始剤以外の他の添加剤を含むことができる。他の添加剤の例は、架橋重合体(A)又は(B)以外の樹脂(アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂のような熱可塑性樹脂等)、顔料、溶剤(トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、可塑剤、水結合剤、タレ止め剤、色分かれ防止剤、沈降防止剤、消泡剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、粘性制御剤、レベリング剤、顔料分散剤などを挙げることができる。添加剤は複数組み合わせて添加することもできる。
上記顔料としては、沈降性バリウム、タルク、クレー、白亜、シリカ、アルミナ、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミニウム粉(又はペースト)等の体質顔料;酸化チタン、酸化ジルコン、塩基性硫酸鉛、酸化スズ、カーボンブラック、白鉛、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、アゾ系赤・黄色顔料、クロムイエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ウルトラマリンブルー、キナクリドン等の着色顔料等を挙げることができる。
塗料組成物は、ボールミル、ペブルミル、ロールミル、サンドグラインドミル、ディスパー等を用いて、配合成分を混練、分散する等の公知の方法によって調製することができる。
塗料組成物は、種々の被塗物、例えば、プラスチック、金属、ガラス、発泡体及びこれらの成形品等に用いることができるが、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ABS樹脂系等のプラスチック成形品(例えば、自動車用部材)に好適に用いることができる。塗料組成物は、被塗物の表面に直接塗装されてもよいし、塗膜と被塗物表面との密着性を向上させるために、被塗物表面にプライマーを塗装し、その上に塗料組成物を塗装してもよい。また、その上にさらにクリアー塗料等の上塗り塗料を塗装してもよい。また本発明の塗料組成物をクリアー塗料等の上塗り塗料として用いることもできる。塗装方法は特に限定されず、スプレー塗装、ロールコーター法等の公知の方法を用いることができる。
架橋重合体(A)及び架橋剤を含有する塗料組成物からなる塗膜は、塗装した層を焼き付ける(加熱する)ことにより形成することができる。焼き付け温度は、通常60〜100℃程度であり、焼き付け時間は3〜30分程度である。複層塗膜を形成する場合、各層ごとに焼き付けを行ってもよいし、すべての層の塗装を終えた後に焼き付けを1回のみ行うようにしてもよい。
架橋重合体(B)及び光重合開始剤を含有する塗料組成物からなる塗膜は、塗装した層に対してエネルギー線照射することにより形成することができる。エネルギー線照射の方法に関しては特に限定されず、通常の方法によって行うことができる。
本発明によって得られる架橋重合体は、耐衝撃性、耐擦傷性や耐摩耗性を改良するための充填剤としても用いることができる。また、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミド結合、ウレタン結合等を適宜導入することにより、顔料分散剤、沈降防止剤、粘性付与剤等の用途に用いることが可能である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1
攪拌羽根、温度調節計、還流管、窒素導入口、滴下ロートを装着したガラス製セパラブルフラスコに酢酸ブチル400gを仕込んで温度を80℃に保った。そこに、メタアクリル酸メチル29.2g、n−ブチルアクリレート199.5g、n−ブチルメタクリレート63.8g、ヒドロキシエチルメタアクリレート103.1g、メタアクリル酸4.4g、トリメチロールプロパンジアリルエーテル100.0g、酢酸ブチル50g、アゾビスイソブチロニトリル25.0gからなる混合液を3時間かけて連続的に添加した。その後1時間反応を継続し、酢酸ブチル50.0gアゾビスイソブチロニトリル2.0gの混合液を30分かけて添加し、添加終了後、60分を経過した後に冷却を開始した。
合成例1
攪拌羽根、温度調節計、還流管、窒素導入口、滴下ロートを装着したガラス製セパラブルフラスコに酢酸ブチル400gを仕込んで温度を80℃に保った。そこに、メタアクリル酸メチル29.2g、n−ブチルアクリレート199.5g、n−ブチルメタクリレート63.8g、ヒドロキシエチルメタアクリレート103.1g、メタアクリル酸4.4g、トリメチロールプロパンジアリルエーテル100.0g、酢酸ブチル50g、アゾビスイソブチロニトリル25.0gからなる混合液を3時間かけて連続的に添加した。その後1時間反応を継続し、酢酸ブチル50.0gアゾビスイソブチロニトリル2.0gの混合液を30分かけて添加し、添加終了後、60分を経過した後に冷却を開始した。
(合成例2〜11、比較合成例1〜4)
以下の合成例2〜11、比較合成例1〜4は同様に反応を行った。
モノマー配合、特数値などを表1表2に示す。
以下の合成例2〜11、比較合成例1〜4は同様に反応を行った。
モノマー配合、特数値などを表1表2に示す。
なお、表中の各モノマーは以下のものを示す。
MEK:メチルエチルケトン
IPA:イソプロピルアルコール
AcBu:酢酸ブチル
MMA:メチルメタアクリレート
nBA:n−ブチルアクリレート
nBMA:n−ブチルメタアクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタアクリレート
FM2D:ポリカプロラクトンマクロマー((株)ダイセル製)
FM5:ポリカプロラクトンマクロマー((株)ダイセル製)
GMA:グリシジルメタアクリレート
MAA:メタアクリル酸
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタアクリレート
TMPDAE:トリメチロールプロパンジアリルエーテル
PETAE:ペンタエリスリトールトリアリルエーテル
TAIC:イソシアヌル酸トリアリル
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
MEK:メチルエチルケトン
IPA:イソプロピルアルコール
AcBu:酢酸ブチル
MMA:メチルメタアクリレート
nBA:n−ブチルアクリレート
nBMA:n−ブチルメタアクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタアクリレート
FM2D:ポリカプロラクトンマクロマー((株)ダイセル製)
FM5:ポリカプロラクトンマクロマー((株)ダイセル製)
GMA:グリシジルメタアクリレート
MAA:メタアクリル酸
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタアクリレート
TMPDAE:トリメチロールプロパンジアリルエーテル
PETAE:ペンタエリスリトールトリアリルエーテル
TAIC:イソシアヌル酸トリアリル
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
合成例12(重合性二重結合の付与)
合成例10と同じ反応を行った後、温度を120℃に上げて3時間保った。温度を100℃に下げた後、メトキシハイドロキノン0.3g、トリフェニルホスフィン2.1gを加えた。次いで、アクリル酸55.2g、酢酸ブチル92.2gの混合液を2時間かけて添加し、更に6時間反応を継続した。酸価は0.5mgKOH/gにまで低下していた。
合成例10と同じ反応を行った後、温度を120℃に上げて3時間保った。温度を100℃に下げた後、メトキシハイドロキノン0.3g、トリフェニルホスフィン2.1gを加えた。次いで、アクリル酸55.2g、酢酸ブチル92.2gの混合液を2時間かけて添加し、更に6時間反応を継続した。酸価は0.5mgKOH/gにまで低下していた。
合成例13(重合性二重結合の付与)
合成例11と同じ反応を行った後、温度を120℃に上げて3時間保った。温度を100℃に下げた後、メトキシハイドロキノン0.3g、テトラブチルホスホニウムブロマイド2.6gを加えた。次いでグリシジルメタアクリレート177.6g、酢酸ブチル214.6gの混合液を2時間かけて添加し、更に6時間反応を継続した。酸価は14mgKOH/gにまで低下していた。
合成例11と同じ反応を行った後、温度を120℃に上げて3時間保った。温度を100℃に下げた後、メトキシハイドロキノン0.3g、テトラブチルホスホニウムブロマイド2.6gを加えた。次いでグリシジルメタアクリレート177.6g、酢酸ブチル214.6gの混合液を2時間かけて添加し、更に6時間反応を継続した。酸価は14mgKOH/gにまで低下していた。
比較合成例5(非架橋重合体への重合性二重結合の付与)
合成例1と同様の反応器に酢酸ブチル440gを仕込んで温度を75℃に保った。そこに、メタアクリル酸メチル82.0g、n−ブチルアクリレート224.5g、n−ブチルメタアクリレート72.6g、メタアクリル酸120.9g、アゾビスイソブチロニトリル25.0g、酢酸ブチル30.0gからなる混合液を3時間かけて連続的に添加した。その後1時間反応を継続し、酢酸ブチル30.0g、アゾビスイソブチロニトリル2.0gの混合液を30分かけて添加し、添加終了後、30分を経過した後に、温度を120℃に上げて3時間保った。
温度を100℃に下げた後、メトキシハイドロキノン0.3g、リフェニルホスフィン2.6gを加えた。次いでグリシジルメタアクリレート177.6g、酢酸ブチル214.6gの混合液を2時間かけて添加し、更に6時間反応を継続した。酸価は14mgKOH/gにまで低下していた。
合成例1と同様の反応器に酢酸ブチル440gを仕込んで温度を75℃に保った。そこに、メタアクリル酸メチル82.0g、n−ブチルアクリレート224.5g、n−ブチルメタアクリレート72.6g、メタアクリル酸120.9g、アゾビスイソブチロニトリル25.0g、酢酸ブチル30.0gからなる混合液を3時間かけて連続的に添加した。その後1時間反応を継続し、酢酸ブチル30.0g、アゾビスイソブチロニトリル2.0gの混合液を30分かけて添加し、添加終了後、30分を経過した後に、温度を120℃に上げて3時間保った。
温度を100℃に下げた後、メトキシハイドロキノン0.3g、リフェニルホスフィン2.6gを加えた。次いでグリシジルメタアクリレート177.6g、酢酸ブチル214.6gの混合液を2時間かけて添加し、更に6時間反応を継続した。酸価は14mgKOH/gにまで低下していた。
製造例1
樹脂粒子の調製
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管およびデカンターを備えた反応容器に、ビスヒドロキシエチルタウリン213部、ネオペンチルグリコール208部、無水フタル酸296部、アゼライン酸376部、及びキシレン30部を仕込み昇温した。反応により生成した水はキシレンと共沸させて除去した。還流開始より約3時間かけて反応液温を210℃とし、カルボン酸相当の酸価が135mgKOH/g(固形分)になるまで攪拌と脱水とを継続して反応させた。液温を140℃まで冷却した後、カージュラーE10(商品名;シェル社製のバーサティック酸グリシジルエステル)500部を30分で滴下し、その後、約2時間攪拌を継続して反応を終了した。固形分の酸価55mgKOH/g、ヒドロキシル価91mgKOH/g、および数平均分子量1250の両性イオン基含有ポリエステル樹脂を得た。
この両性イオン含有ポリエステル樹脂10部、脱イオン水140部、ジメチルエタノールアミン1部、スチレン50部及びエチレングリコールジメタクリレート50部をステンレス製ビーカー中で激しく攪拌することによりモノマー懸濁液を調製した。また、アゾビスシアノ吉草酸0.5部、脱イオン水40部およびジメチルエタノールアミン0.32部を混合することにより開始剤水溶液を調製した。
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管および冷却管を備えた反応容器に上記両性イオン基含有ポリエステル樹脂5部、脱イオン水280部およびジメチルエタノールアミン0.5部を仕込み、80℃に昇温した。
ここに、モノマー懸濁液251部と開始剤水溶液40.82部とを同時に60分かけて滴下し、更に、60分反応を継続した後、反応を終了させた。
動的光散乱法で測定した粒子径55nmを有する架橋性樹脂粒子エマルジョンを得た。この架橋性樹脂粒子エマルジョンにキシレンを加え、減圧下共沸蒸留により水を除去し、媒体をキシレンに置換して、固形分含有量20重量%の架橋性樹脂粒子のキシレン溶液を得た。
樹脂粒子の調製
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管およびデカンターを備えた反応容器に、ビスヒドロキシエチルタウリン213部、ネオペンチルグリコール208部、無水フタル酸296部、アゼライン酸376部、及びキシレン30部を仕込み昇温した。反応により生成した水はキシレンと共沸させて除去した。還流開始より約3時間かけて反応液温を210℃とし、カルボン酸相当の酸価が135mgKOH/g(固形分)になるまで攪拌と脱水とを継続して反応させた。液温を140℃まで冷却した後、カージュラーE10(商品名;シェル社製のバーサティック酸グリシジルエステル)500部を30分で滴下し、その後、約2時間攪拌を継続して反応を終了した。固形分の酸価55mgKOH/g、ヒドロキシル価91mgKOH/g、および数平均分子量1250の両性イオン基含有ポリエステル樹脂を得た。
この両性イオン含有ポリエステル樹脂10部、脱イオン水140部、ジメチルエタノールアミン1部、スチレン50部及びエチレングリコールジメタクリレート50部をステンレス製ビーカー中で激しく攪拌することによりモノマー懸濁液を調製した。また、アゾビスシアノ吉草酸0.5部、脱イオン水40部およびジメチルエタノールアミン0.32部を混合することにより開始剤水溶液を調製した。
攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管および冷却管を備えた反応容器に上記両性イオン基含有ポリエステル樹脂5部、脱イオン水280部およびジメチルエタノールアミン0.5部を仕込み、80℃に昇温した。
ここに、モノマー懸濁液251部と開始剤水溶液40.82部とを同時に60分かけて滴下し、更に、60分反応を継続した後、反応を終了させた。
動的光散乱法で測定した粒子径55nmを有する架橋性樹脂粒子エマルジョンを得た。この架橋性樹脂粒子エマルジョンにキシレンを加え、減圧下共沸蒸留により水を除去し、媒体をキシレンに置換して、固形分含有量20重量%の架橋性樹脂粒子のキシレン溶液を得た。
製造例2
リン酸基含有アクリル樹脂の合成
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにスチレン4部、n−ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解した溶液40部、及びアゾビスイソブチロニトリル1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。
リン酸基含有アクリル樹脂の合成
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにスチレン4部、n−ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解した溶液40部、及びアゾビスイソブチロニトリル1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。
実施例1〜12 比較例1〜4
下表の配合のベース塗料を作成した。
<テストピースの作成>
イソプロピルアルコールでワイプしたポリプロピレン基材に、日本ビー・ケミカル(株)製プライマー:R−357CD−1 U−AJ3を乾燥膜厚が5〜10μmになるように塗装し、次いで下記配合のベース塗料を乾燥膜厚が30〜35μmになるように塗装した。更に、日本ビー・ケミカル(株)製クリアー塗料:R−2500−1を乾燥膜厚が20〜25μmになるように塗装し、10分室温にて静置後、90℃で20分焼き付けた。
下表の配合のベース塗料を作成した。
<テストピースの作成>
イソプロピルアルコールでワイプしたポリプロピレン基材に、日本ビー・ケミカル(株)製プライマー:R−357CD−1 U−AJ3を乾燥膜厚が5〜10μmになるように塗装し、次いで下記配合のベース塗料を乾燥膜厚が30〜35μmになるように塗装した。更に、日本ビー・ケミカル(株)製クリアー塗料:R−2500−1を乾燥膜厚が20〜25μmになるように塗装し、10分室温にて静置後、90℃で20分焼き付けた。
<初期評価>
作成したテストピースを24時間放置後、下記手順に沿って評価した。
(1)カッターナイフを用いて試験片に2mm間隔で縦11本の切り込みを入れ、それと垂直に交わるように2mm間隔で横11本切り込みを入れ、100マスの正方形を描く。
(2)切り込み上にセロハンテープを貼って密着させ、手前に斜め45°の角度で急激に引っ張りテープを試験片から剥がす。
(3)(2)の操作を3回実施する。
剥離箇所が0の場合を○、1〜10箇所を△、11箇所以上を×とした。
作成したテストピースを24時間放置後、下記手順に沿って評価した。
(1)カッターナイフを用いて試験片に2mm間隔で縦11本の切り込みを入れ、それと垂直に交わるように2mm間隔で横11本切り込みを入れ、100マスの正方形を描く。
(2)切り込み上にセロハンテープを貼って密着させ、手前に斜め45°の角度で急激に引っ張りテープを試験片から剥がす。
(3)(2)の操作を3回実施する。
剥離箇所が0の場合を○、1〜10箇所を△、11箇所以上を×とした。
<耐水性評価>
テストピースを45℃の温水に240時間浸漬し、温水から取り出して2時間以内に前記と同様の剥離試験を行った。結果を表3、表4に示す。
テストピースを45℃の温水に240時間浸漬し、温水から取り出して2時間以内に前記と同様の剥離試験を行った。結果を表3、表4に示す。
実施例12−17 比較例5−7
下表の配合の光硬化性塗料を作成した。
ポリカーボネート基材に光硬化性塗料を乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装し、50℃で10分乾燥後、空気中で高圧水銀灯を用いて光照射した。
照射量は波長340〜380nmの積算光量がオーク製作所製紫外線光量計(ORC−UV−351)にて測定した場合に400または800mJ/cm2のエネルギーとなるように調節した。
鉛筆硬度はJIS K5600に準じて測定した。
下表の配合の光硬化性塗料を作成した。
ポリカーボネート基材に光硬化性塗料を乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装し、50℃で10分乾燥後、空気中で高圧水銀灯を用いて光照射した。
照射量は波長340〜380nmの積算光量がオーク製作所製紫外線光量計(ORC−UV−351)にて測定した場合に400または800mJ/cm2のエネルギーとなるように調節した。
鉛筆硬度はJIS K5600に準じて測定した。
上述した実施例の結果より、本発明の架橋重合体を使用して得られた塗料組成物は、各種物性において優れていることが明らかである。
本発明の架橋重合体は、塗料組成物における塗膜形成成分として好適に使用することができる。
Claims (10)
- 2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を重合してなる架橋重合体を含有する架橋重合体であって、
前記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含むことを特徴とする架橋重合体(A)。 - 重量平均分子量が15000〜200000である請求項1記載の架橋重合体(A)。
- ポリアリル化合物(a1)は、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びイソシアヌル酸トリアリルからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1又は2記載の架橋重合体(A)。
- 水酸基及びカルボキシル基からなる群から選択される1種以上の官能基を有し、
前記官能基の含有量が、水酸基価又は酸価で10〜160mgKOH/gである請求項1、2又は3記載の架橋重合体(A)。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋重合体(A)中の架橋重合体に付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)と、前記架橋重合体(A)とを反応させることにより得られることを特徴とする架橋重合体(B)。
- 2〜4個のラジカル重合性基を有する多官能単量体(a)2〜30重量%、及び、単官能ビニル単量体(b)98〜70重量%を含有する単量体組成物を、
有機溶剤中でラジカル重合開始剤の存在下に重合を行う工程〔I〕を有し、
前記多官能単量体(a)は、多官能単量体(a)100重量%に対して、2〜4個のアリル基を有するポリアリル化合物(a1)40重量%以上を含むことを特徴とする架橋重合体(A)の製造方法。 - 工程(I)終了後の反応液における架橋重合体(A)の濃度が45重量%以上である請求項6に記載の架橋重合体(A)の製造方法。
- 有機溶剤が、単量体組成物及び架橋重合体(A)を溶解可能な溶剤である請求項6又は7に記載の架橋重合体(A)の製造方法。
- 請求項6〜8の製造方法により得られた架橋重合体(A)に、付加反応可能な反応性官能基及びラジカル重合性二重結合を有する化合物(d)を反応させる工程〔II〕をさらに有することを特徴とする
架橋重合体(B)の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋重合体(A)又は請求項5に記載の架橋重合体(B)を含有する塗料組成物。
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CN108287453A (zh) * | 2017-01-10 | 2018-07-17 | 东友精细化工有限公司 | 光固化性组合物及由该光固化性组合物形成的光固化膜 |
KR101963170B1 (ko) * | 2018-11-16 | 2019-03-29 | 주식회사 에스엠방재산업 | Pet 필름이 적층된 판재의 고광택 방염 처리 방법 및 이에 의해 제조된 고광택 방염 판재 |
KR101970814B1 (ko) * | 2018-11-16 | 2019-04-24 | 주식회사 에스엠방재산업 | 판재의 고광택 방염 처리 방법 및 이에 의해 제조된 고광택 방염 판재 |
CN114031718A (zh) * | 2021-09-29 | 2022-02-11 | 上海金仕迈树脂有限公司 | 一种高固含涂料用溶剂型分散体树脂及其制备方法 |
JPWO2022044678A1 (ja) * | 2020-08-27 | 2022-03-03 |
-
2014
- 2014-01-29 JP JP2014014784A patent/JP2015140407A/ja active Pending
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JP2018111813A (ja) * | 2017-01-10 | 2018-07-19 | 東友ファインケム株式会社Dongwoo Fine−Chem Co., Ltd. | 光硬化性組成物及びそれから形成された光硬化膜 |
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KR101970814B1 (ko) * | 2018-11-16 | 2019-04-24 | 주식회사 에스엠방재산업 | 판재의 고광택 방염 처리 방법 및 이에 의해 제조된 고광택 방염 판재 |
JPWO2022044678A1 (ja) * | 2020-08-27 | 2022-03-03 | ||
WO2022044678A1 (ja) * | 2020-08-27 | 2022-03-03 | 東京応化工業株式会社 | 表面処理液、及び表面処理方法 |
CN116096505A (zh) * | 2020-08-27 | 2023-05-09 | 东京应化工业株式会社 | 表面处理液及表面处理方法 |
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