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JP2015017076A - 高透明アダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物 - Google Patents

高透明アダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物 Download PDF

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祥一 早川
Shoichi Hayakawa
祥一 早川
西村 喜男
Yoshio Nishimura
喜男 西村
古川 喜久夫
Kikuo Furukawa
喜久夫 古川
博康 田中
Hiroyasu Tanaka
博康 田中
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Abstract

【課題】本発明の課題は、工業的に有用な高透明性を有するアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物を、安価に簡便かつ高収率に製造する方法を提供することにある。
【解決手段】 波長400nmにおける光路長1cmの光透過率が80T%以上の一般式(1)で表されるアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物、および、その製造方法。
【化1】
Figure 2015017076

(式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン基を示し、mは0〜3、カルボキシル基は橋頭位炭素に結合し、nは1〜3の整数を示す)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学特性や耐熱性などに優れ、半導体封止剤や、架橋型樹脂、光ファイバや光導波路、光ディスク基板などの光学材料およびその原料、医薬・農薬中間体、その他各種工業製品に好適なアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の製造方法に関する。
アダマンタンは剛直な構造を有し、透明性、耐熱性、高屈折率を有し、その誘導体は特異な機能を示すことから、高機能樹脂材料(例えば特許文献1参照)や医薬中間体、光学材料、フォトレジストなどに有用であることが知られている。
特許文献1では、アダマンタンジカルボン酸と、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物からなる硬化物が、耐熱性エポキシ樹脂硬化物として開示されている。
アダマンタンエステルを構造単位に含む共重合体が、光伝送用ファイバ用材料等に使用可能な、耐熱性、光学特性に優れた光学用樹脂として開示されており(例えば特許文献2参照)、その原料であるアダマンタンジカルボン酸グリシジルエステルの製造方法が開示されている。
このようにアダマンタン骨格を含むエポキシ樹脂硬化物は、優れた高機能樹脂材料としての特性が期待されている。しかしながら、その原料となるアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物は、収率や取り扱いの面で満足のいく製造方法が未だ開発されておらず、さらには光学樹脂として必要な高透明性という面では、いずれも満足のいく製造法ではない。特許文献2には、アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルの製造例が開示されているが、開示の製造例は収率が低く、工業的に未だ満足のいくものではない。またエポキシ樹脂原料としてアダマンタンカルボン酸グリシジルの製造方法が開示されている(例えば非特許文献1参照)。しかしながら開示の製造方法では、出発物質にアダマンタンカルボン酸ナトリウム塩を必要としており、ナトリウム塩が市販されていない場合、別途調製する必要があり、調製不備もしくは吸湿により反応系へ水が混入しやすく、副生成物が生成しやすいといった問題点を有した。さらには精製方法にカラムクロマトグラフィーを用いており、工業的に満足のいくものではない。反応触媒に有機アミン化合物を使用した場合(例えば特許文献3参照)、着色しやすいという問題を有する。
特開昭55−115423号公報 特開2003−321530号公報 特開2008−274159号公報
A.K.Shiryaev et al., Kinetics of the reaction of epichlorohydrin with salts of 1−adamantanecarboxylic acid,Journal of General Chemistry, USSR,1990,60,p2725
本発明の課題は、工業的に有用な高透明性を有するアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物を、安価に簡便かつ高収率に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を行った結果、実質的に有機アミン化合物を含まない条件下において、アダマンタンカルボン酸化合物とエピクロロヒドリン及び/又はエピブロモヒドリン(以下、エピクロロ(ブロモ)ヒドリンとする)を、アルカリ金属水酸化物を触媒として反応させたのち、得られた反応生成物の混合物を、アルカリ金属水酸化物の水溶液により精製することにより、高透明性を有する高純度のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物が簡便かつ高収率に得られることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、(1)(グリシジル化工程)一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物と、エピクロロ(ブロモ)ヒドリンとを、アルカリ金属水酸化物を触媒として反応させて、ハロヒドリン基を有する中間体と目的物からなる、茶褐色の混合物を製造したのち、(2)(アルカリ精製工程)該混合物をアルカリ金属水酸化物塩の水溶液と接触させ、中間体のハロヒドリン基を閉環させるとともに、グリシジル化工程で生成した茶褐色着色成分を除去し高純度、高透明な目的物を製造することを特徴とする、一般式(II)で表されるアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の製造方法である。
Figure 2015017076
(式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン基を示し、mは0〜3、カルボキシル基は橋頭位炭素に結合し、nは1〜3の整数を示す)
Figure 2015017076
(式中、R、m及びnは一般式(I)と同じ。)
本発明によれば、半導体封止材料や、光伝送用ファイバ用材料、光導波路、光ディスク基板、架橋型樹脂等に使用可能な、耐熱性、光学特性に優れた光学用樹脂原料として工業的に有用な高透明性を有するアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の、安価かつ高収率で簡便な製造方法が提供される。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。まずここでグリシジル化工程について説明する。本発明に用いられるアダマンタンカルボン酸化合物は、一般式(I)で表される。アダマンタン骨格の橋頭位炭素にカルボキシル基が1〜3個結合している事を特徴とする。具体的には、1−アダマンタンカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,3,5−アダマンタントリカルボン酸、3−メチル−1−アダマンタンカルボン酸、3−エチル−1−アダマンタンカルボン酸、5−メチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、5−エチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、3−ブロモ−1−アダマンタンカルボン酸、5−ブロモ−1,3−アダマンタンジカルボン酸、3−メトキシ−1−アダマンタンカルボン酸、3−エトキシ−1−アダマンタンカルボン酸、3−プロポキシ−1−アダマンタンカルボン酸、3−ブトキシ−1−アダマンタンカルボン酸が挙げられる。
本発明において、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンは、いずれも好適に使用できる。エピクロロ(ブロモ)ヒドリンの量は、一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物のカルボキシ基に対して、1〜20当量、好ましくは2〜10当量、さらに好ましくは3〜7当量である。1当量以上であれば二量体などの副生物が生成しにくくなる。20当量以下であれば経済的であると同時に、精製工程に要する手間が少なくて済み、好ましい。減圧蒸留などの精製工程から回収したエピクロロ(ブロモ)ヒドリンも再利用可能である。
本発明に用いられるアルカリ金属水酸化物塩触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムが挙げられる。添加するアルカリ金属水酸化物触媒の量は、一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物のカルボキシ基に対して、1.0〜1.8当量、好ましくは1.1〜1.4当量が望ましい。1.0当量を下回ると、未反応物が生成し、1.8当量を超えると副反応が生起しやすくなる。
本発明のグリシジル化工程に用いられる反応溶媒は、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノールなどの有機溶剤と水を使用する。有機溶剤の中では、2−プロパノールは反応が速やかに進行するとともに、反応終了後、液相が分離し、簡便に水層を除去することが可能であることから、製造プロセスの面でも望ましい。これらの溶媒は単独でも2種以上の溶媒を混合した系でも使用できる。有機溶剤の量は、アダマンタンカルボン酸化合物に対して、0.1〜100質量部好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは1〜5の割合で使用する。添加する水は副生成するハロゲン化アルカリ金属塩が溶解する量が望ましく、一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物のカルボキシ基に対して、8〜10当量が望ましい。
一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物と、エピクロロ(ブロモ)ヒドリンとを、アルカリ金属水酸化物触媒共存下で反応させるグリシジル化工程において、アダマンタンカルボン酸化合物とエピクロロ(ブロモ)ヒドリン、有機溶剤、水、それぞれを混合する順番に制限はない。好適にはアダマンタンカルボン酸化合物とエピクロロ(ブロモ)ヒドリン、有機溶剤、水を混合したのち、40〜100℃、好ましくは60〜90℃に加熱する。この反応液にアルカリ金属水酸化物触媒を水に溶解させ添加する。この時、滴下速度が速いと急激に反応が進行し、反応液が突沸する危険があることから、アルカリ触媒水溶液の滴下には30分以上かけることが望ましい。滴下終了後、30分〜5時間かけ反応を十分進行させる。ただし反応時間は反応温度、溶媒量に依存するので、上記の範囲に限定されるものではない。また、反応圧力は特に制限されず、常圧または加圧下、減圧下でも行なうことができる。
反応が十分に進行したことを確認したら、反応液温を下げ、水層を除去する。続いて有機層をリン酸二水素ナトリウム水溶液などの酸性水溶液で中和洗浄し、さらに純水で洗浄する。洗浄が終了したら、有機溶剤と余剰のエピクロロ(ブロモ)ヒドリンを真空下で留去する。このようにして、アダマンタンカルボン酸化合物のグリシジル化を行うが、ここで得られる粘調液体は茶褐色を呈し、ハロヒドリン基を有する中間体を10%程度含む。
高透明性を有するアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物を得るためには、グリシジル化工程で、実質的に有機アミン化合物を含まない条件下において反応させる。有機アミン化合物の含有量は反応液中1%以下が望ましい。
続いてアルカリ精製工程について説明する。ここでは茶褐色成分の除去、ハロヒドリン体の閉環反応、残留エピクロロ(ブロモ)ヒドリンの除去を行う。本発明のアルカリ精製工程に用いられる反応溶媒としては、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル系有機溶媒や、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族系有機溶媒が使用可能である。なかでもジイソプロピルエーテルは、基質を十分に溶解し、耐アルカリ性を有するとともに、反応温度を適度にあげられることから望ましい。有機溶剤の量は、グリシジル化工程で得られた混合物1質量部に対して、0.1〜100質量部、好ましくは1〜10質量部の割合で使用する。アルカリ精製工程は二相系の反応であることから、反応溶媒の量はできる限り少ないほうが、効率良くアルカリ金属水酸化物塩水溶液との接触し望ましいが、グリシジル化工程で得られた混合物と目的物が溶解する溶媒量が必要である。
本発明のアルカリ精製工程に用いられるアルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムが挙げられる。添加するアルカリ金属水酸化物塩の量は、一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物のカルボキシ基に対して、0,5〜5当量、好ましくは1〜2当量添加する。これより少ないと反応、脱色が十分に行われず、これより多いと経済的でない。添加方法は、10〜50質量%の水溶液で添加するのが好ましい。
本発明におけるアルカリ精製工程において、グリシジル化工程で得られた混合物、有機溶媒、アルカリ金属水酸化塩水溶液にそれぞれを混合する順番に制限はないが、グリシジル化工程で得られた混合物を有機溶媒に溶解させたのち、アルカリ金属水酸化物塩水溶液を添加する混合順序が、取扱上好ましい。グリシジル化工程で得られた混合物は粘性液体である場合が多く、有機溶媒に溶解せずに、アルカリ金属水酸化物塩水溶液を添加した場合、反応容器壁面に付着し、十分に反応が進行しない可能性がある。グリシジル化工程で得られた混合物、有機溶媒、アルカリ金属水酸化塩水溶液を反応容器に仕込んだのち、40〜100℃、好ましくは60〜90℃に加熱する。これより低いと反応、脱色が十分に行われない。温度に特に上限はなく、温度が高いほど脱色に要する時間が短くなるが、添加する溶剤の沸点が上限温度となる。
本発明におけるアルカリ精製工程は、グリシジル化工程で得られた混合物の有機溶媒溶液とアルカリ金属水酸化物塩水溶液の二相系反応であり、液の撹拌は激しく行ったことが好ましい。反応時間は、10分〜10時間、好ましくは20分〜2時間である。反応時間は反応温度、溶媒量撹拌能力に依存するので、上記の範囲に限定されるものではない。反応圧力は特に制限されず、常圧または加圧下で行なうことができる。精製回数は二回以上行うことが望ましい。一回しか行わない場合、十分な脱塩、脱色が進行せず、得られるアダマンタングリシジル化合物の透明性が損なわれる。
時間の経過とともに、有機層の色味が抜け水層が茶褐色を呈し、アダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の脱色が進行する。十分に脱色が進行したら、反応液温を下げ、水層を除去する。続いて有機層をリン酸二水素ナトリウム水溶液などの酸性水溶液で中和洗浄、さらに純水で洗浄したのち、有機溶剤を真空下で留去する。このようにして、高透明性を有する高純度のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物が簡便かつ高収率に得られる。透明性は、400nmにおける透過率(光路長1cm)が好ましくは80T%以上であり、さらに好ましくは90T%以上である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
実施例1
<1,3−アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルの製造>
撹拌機、温度計を備えた2L三口フラスコに、1、3−アダマンタンジカルボン酸134.86g(0.60mol)、エピクロロヒドリン555.10g(6.0mol)、イソプロプルアルコール324g、イオン交換水200gを仕込み、80℃に昇温し、激しく撹拌した。ここに水酸化ナトリウム57.65g(1.44mol)をイオン交換水115.2gに溶解させた水酸化ナトリウム水溶液を30分かけ滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続けた。反応終了後、反応液を氷冷し温度を40℃以下まで落としたところで、分液ロートに移し、水層を除去した。ここに10質量%リン酸水素二ナトリウム水溶液400gを加え、撹拌洗浄し、水層を除去した。さらにイオン交換水400g加え撹拌洗浄し、油層を回収、溶媒を減圧留去すると、黄色粘調液体が227.49g得られた。得られた黄色粘調液体を撹拌機、温度計を備えた2L三口フラスコに移し、ジイソプロピルエーテル800gに溶解させた。ここに40質量%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え、80℃に昇温し、激しく撹拌した。30分間撹拌を続けた後、反応液を氷冷し温度を40℃以下まで落としたところで、イオン交換水400g加えた。反応溶液を分液ロートに移し、水層を除去、油層を反応容器に戻した。この精製操作をさらに二回を行った。50w/v%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を終えた油層に、10質量%リン酸水素二ナトリウム水溶液400g加え撹拌洗浄し、水層を除去した。さらにイオン交換水400g加え撹拌洗浄し、油層を回収、溶媒を真空留去することにより、目的物の1,3−アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルを透明粘調液体として147.21g得た(収率73%)。Hおよび13C−NMR、より構造を確認した(チャート1〜2参照)。H−NMRスペクトル:δ1.6〜2.2ppm(14H、アダマンタン)、2.6ppm、2,8ppm(4H、グリシジル基3位)、3.2ppm(2H、グリシジル2位)、3.9ppm、4.4ppm(4H、グリシジル1位)。13C−NMRスペクトル:27〜41ppm(アダマンタン)、44ppm(グリシジル基3位)、49ppm(グリシジル基2位)、64ppm(グリシジル基1位)、176ppm(カルボニル)。得られた粘調液体の400nmにおける透過率(光路長1cm)を測定したところ、91T%であった。
実施例2
<5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルの製造>
撹拌機、温度計を備えた300mL三口フラスコに、5、7−ジメチル−1、3−アダマンタンジカルボン酸12.62g(0.05mol)、エピクロロヒドリン46.26g(0.5mol)、イソプロプルアルコール27g、イオン交換水17gを仕込み、80℃に昇温し、激しく撹拌した。ここに水酸化ナトリウム4.8g(0.12mol)をイオン交換水9.6gに溶解させた水酸化ナトリウム水溶液を30分かけ滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続けた。反応終了後、反応液を氷冷し温度を40℃以下まで落としたところで、分液ロートに移し、水層を除去した。ここに10%リン酸水素二ナトリウム水溶液50gを加え、撹拌洗浄し、水層を除去した。さらにイオン交換水50g加え撹拌洗浄し、油層を回収、溶媒を減圧留去すると、黄色粘調液体が20.21g得られた。得られた黄色粘調液体を撹拌機、温度計を備えた500mL三口フラスコに移し、ジイソプロピルエーテル100gに溶解させた。ここに50w/v%水酸化ナトリウム水溶液10gを加え、80℃に昇温し、激しく撹拌した。30分間撹拌を続けた後、反応液を氷冷し温度を40℃以下まで落としたところで、イオン交換水50g加えた。反応溶液を分液ロートに移し、水層を除去、油層を反応容器に戻した。この精製操作をさらに二回を行った。水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を終えた油層に、10%リン酸水素二ナトリウム水溶液50g加え撹拌洗浄し、水層を除去した。さらにイオン交換水50g加え撹拌洗浄し、油層を回収、溶媒を真空留去することにより、目的物の5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルを透明粘調液体として12.74g得た(収率70%)。Hおよび13C−NMR、より構造を確認した(チャート3〜4参照)。H−NMRスペクトル:δ0.9ppm(6H、メチル基)、1.1〜1.9ppm(12H、アダマンタン)、2.6、2.8ppm(4H、グリシジル基3位)、3.2ppm(2H、グリシジル2位)、3.9ppm、4.4ppm(4H、グリシジル1位)。13C−NMRスペクトル:30ppm(メチル基)31〜44ppm、49ppm(アダマンタン)、44ppm(グリシジル基3位)、49ppm(グリシジル基2位)、64ppm(グリシジル基1位)、176ppm(カルボニル)。得られた粘調液体の400nmにおける透過率(光路長1cm)を測定したところ、92T%であった。
比較例1
<1,3−アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルの製造>
撹拌機、温度計を備えた1Lジャケット付セパラブル三口フラスコに、1、3−アダマンタンジカルボン酸22.41g(0.10mol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン48.71g(0.32mol)、エピブロモヒドリン109.58g(0.8mol)、アセトニトリル100mlを仕込み、20℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム200mlを加え、イオン交換水200mlを用いた洗浄操作を三回、0.5%硫酸ナトリウム水溶液を用いた洗浄操作を三回実施した。硫酸ナトリウム10gを加え脱水、5Cろ紙によりろ過後、溶媒および余剰のエピブロモヒドリンを窒素気流下、2mmHg、100℃の条件で真空留去し、黄色粘調液体35.74gを得た。得られた粘調液体の420nmにおける透過率(光路長1cm)を測定したところ、17T%であった。
比較例2
比較例1で得られた黄色透明粘調液体35.74gを撹拌機、温度計を備えた2L三口フラスコに移し、ジイソプロピルエーテル200gに溶解させた。ここに50w/v%水酸化ナトリウム水溶液25gを加え、80℃に昇温し、激しく撹拌した。30分間撹拌を続けた後、反応液を氷冷し温度を40℃以下まで落としたところで、イオン交換水100g加えた。反応溶液を分液ロートに移し、水層を除去、油層を反応容器に戻した。この精製操作をさらに二回を行った。50w/v%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を終えた油層に、10%リン酸水素二ナトリウム水溶液100g加え撹拌洗浄し、水層を除去した。さらにイオン交換水100g加え撹拌洗浄し、油層を回収、溶媒を真空留去することにより、目的物を透明粘調液体として29.66g得た(製造例1からの収率88.2%)。得られた粘調液体の400nmにおける透過率(光路長1cm)を測定したところ、77T%であった。

Claims (8)

  1. 波長400nmにおける光路長1cmの光透過率が80T%以上の一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物。
    Figure 2015017076
    (式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン基を示し、mは0〜3、グリシジル基は橋頭位炭素に結合し、nは1〜3の整数を示す)
  2. 一般式(I)で表わされるアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物が、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルである、請求項1記載のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物。
  3. 一般式(I)で表わされるアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物が、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸ジグリシジルである、請求項1記載のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物。
  4. 一般式(II)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物と、エピクロロヒドリン及び/又はエピブロモヒドリンとを、アルカリ金属水酸化物塩触媒との共存下で反応させた後、アルカリ金属水酸化物塩水溶液と接触させる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の製造方法。
    Figure 2015017076
    (式中、R、m及びnは一般式(I)と同じ。)
  5. アルカリ金属水酸化物塩が水酸化ナトリウムである請求項4記載のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の製造方法。
  6. アルカリ金属水酸化物塩触媒が水酸化ナトリウムである請求項4または5記載のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の製造方法。
  7. 反応温度が20〜100℃である請求項4〜6のいずれかに記載のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載のアダマンタンカルボン酸グリシジルエステル化合物を含有する光半導体封止材。
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