以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
接合システム1では、図3に示すように例えば2枚の基板としてのウェハWU、WLを接合する。以下、上側に配置されるウェハを、第1の基板としての「上ウェハWU」といい、下側に配置されるウェハを、第2の基板としての「下ウェハWL」という。また、上ウェハWUが接合される接合面を「表面WU1」といい、当該表面WU1と反対側の面を「裏面WU2」という。同様に、下ウェハWLが接合される接合面を「表面WL1」といい、当該表面WL1と反対側の面を「裏面WL2」という。そして、接合システム1では、上ウェハWUと下ウェハWLを接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成する。
本実施の形態においては、上ウェハWUは製品となる半導体ウェハであって、例えば表面WU1に複数の電子回路等を備えたデバイスが形成されている。同様に下ウェハWLも製品となる半導体ウェハであって、例えば表面WL1に複数の電子回路等を備えたデバイスが形成されている。また、上ウェハWUと下ウェハWLには、例えばシリコンウェハが用いられる。
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数のウェハWU、WL、複数の重合ウェハWTをそれぞれ収容可能なカセットCU、CL、CTが搬入出される搬入出ステーション2と、ウェハWU、WL、重合ウェハWTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、水平方向のX方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットCU、CL、CTを搬入出する際に、カセットCU、CL、CTを載置することができる。このように、搬入出ステーション2は、複数の上ウェハWU、複数の下ウェハWL、複数の重合ウェハWTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを異常ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で上ウェハWUと下ウェハWLとの接合に異常が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハWTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCTのうち、1つのカセットCTを異常ウェハの回収用として用い、他のカセットCTを正常な重合ウェハWTの収容用として用いている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットCU、CL、CTと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間でウェハWU、WL、重合ウェハWTを搬送できる。
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
例えば第1の処理ブロックG1には、ウェハWU、WLの表面WU1、WL1を改質する表面改質装置30が配置されている。表面改質装置30では、例えば減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオンが表面WU1、WL1に照射されて、表面WU1、WL1がプラズマ処理され、改質される。
例えば第2の処理ブロックG2には、例えば純水によってウェハWU、WLの表面WU1、WL1を親水化すると共に当該表面WU1、WL1を洗浄する表面親水化装置40、ウェハWU、WLを接合する接合装置41が、搬入出ステーション2側からこの順で水平方向のY方向に並べて配置されている。
表面親水化装置40では、例えばスピンチャックに保持されたウェハWU、WLを回転させながら、当該ウェハWU、WL上に純水を供給する。そうすると、供給された純水はウェハWU、WLの表面WU1、WL1上を拡散し、表面WU1、WL1が親水化される。なお、接合装置41の構成については後述する。
例えば第3の処理ブロックG3には、図2に示すようにウェハWU、WL、重合ウェハWTのトランジション装置50、51が下から順に2段に設けられている。
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置にウェハWU、WL、重合ウェハWTを搬送できる。
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部70が設けられている。制御部70は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1におけるウェハWU、WL、重合ウェハWTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述のウェハ接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部70にインストールされたものであってもよい。
次に、上述した接合装置41の構成について説明する。接合装置41は、図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、ウェハWU、WL、重合ウェハWTの搬入出口101が形成され、当該搬入出口101には開閉シャッタ102が設けられている。
処理容器100の内部は、内壁103によって、搬送領域T1と処理領域T2に区画されている。上述した搬入出口101は、搬送領域T1における処理容器100の側面に形成されている。また、内壁103にも、ウェハWU、WL、重合ウェハWTの搬入出口104が形成されている。なお、処理領域T2の内部の雰囲気は所定の温度、例えば25℃に維持されている。
搬送領域T1のX方向正方向側には、図4及び図5に示すようにウェハWU、WL、重合ウェハWTを一時的に載置するためのトランジション110と、ウェハWU、WLの温度を温度調節機構120とが積層されて設けられている。トランジション110は、例えば2段に形成され、ウェハWU、WL、重合ウェハWTのいずれか2つを同時に載置することができる。
温度調節機構120は、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122とを有している。これら第1の温度調節部121と第2の温度調節部122は、トランジション110上に積層して設けられている。なお、本実施の形態では、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122はそれぞれ1つずつ設けられていたが、これらの数はこれに限定されず、2つ以上設けられていてもよい。
第1の温度調節部121は、上ウェハWUを第1の温度に調節する第1の温度調節板123を有している。第1の温度調節板123には、例えばペルチェ素子(図示せず)などが内蔵されている。なお、第1の温度調節板123の温度は例えば制御部70により制御され、第1の温度調節板123上の上ウェハWUが第1の温度に調節される。
第1の温度調節板123上には、上ウェハWUの外周部を保持するギャップピン124が複数、例えば3つ設けられている。上ウェハWUは、後述するように反転機構150によってその表裏面が反転されて、すなわち表面WU1が下方を向いた状態で第1の温度調節部121に搬送される。第1の温度調節部121では、ギャップピン124によって上ウェハWUの表面WU1の外周部が保持されるので、すなわち表面WU1においてデバイスが形成されていない外周部が保持されるので、当該デバイスが損傷を被るのを回避できる。
第2の温度調節部122は、下ウェハWLを第2の温度に調節する第2の温度調節板125を有している。第2の温度調節板125は上記第1の温度調節板123と同様の構成を有し、第2の温度調節板125には例えばペルチェ素子(図示せず)などが内蔵されている。また第2の温度調節板125上には、下ウェハWLの裏面WL2の全面が載置される。なお、第2の温度調節板125の温度は例えば制御部70により制御され、第2の温度調節板125上に載置された下ウェハWLが第2の温度に調節される。
第1の温度調節部121における上ウェハWUの第1の温度と、第2の温度調節部122における下ウェハWLの第2の温度は、制御部70において異なる温度に設定される。
具体的には、接合装置41において事前にウェハWU、WLを接合し、その接合された重合ウェハWTを撮像して、当該重合ウェハWTにおけるウェハWU、WLの水平方向の相対位置を検査する。ウェハWU、WLがそれぞれ伸縮し、その伸縮量が異なる場合には、ウェハWU、WLの相対位置がずれる。検査においては、この水平方向の位置ずれ量、すなわち伸縮量の差分が測定される。ここで、上ウェハWUや下ウェハWLは、温度が変化するとその形状が変化する。例えばシリコンウェハの場合、温度が1℃上昇すると、熱膨張により直径が数ミクロン大きくなる。そこで、上記検査結果に基づいて、ウェハWU、WLの伸縮量の差分がゼロになるように第1の温度と第2の温度の温度差が設定される。本実施の形態では、この温度差は1℃に設定される。
また、第1の温度又は第2の温度のいずれか一方を処理領域T2の雰囲気と同じ温度に設定する。このように温度調節されたウェハWU又はウェハWLは、処理領域T2において温度変化により伸縮することがない。本実施の形態では、第1の温度を処理領域T2の雰囲気と同じ温度に設定する。こうして、例えば第1の温度が25℃に設定され、第2の温度が26℃に設定される。
なお、これら第1の温度と第2の温度を設定する際に用いられるウェハWU、WLには、検査用のウェハを用いてもよいし、製品用のウェハを用いてもよい。製品用のウェハを用いる場合には、後述する工程S16及びS17を行って第1の温度と第2の温度が設定される。
搬送領域T1には、ウェハ搬送機構130が設けられている。ウェハ搬送機構130は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、ウェハ搬送機構130は、搬送領域T1内、又は搬送領域T1と処理領域T2との間でウェハWU、WL、重合ウェハWTを搬送できる。
搬送領域T1のX方向負方向側には、ウェハWU、WLの水平方向の向きを調節する位置調節機構140が設けられている。位置調節機構140は、図6に示すように基台141と、ウェハWU、WLをピンチャック方式で保持し、且つ回転させる保持部142と、ウェハWU、WLのノッチ部の位置を検出する検出部143と、を有している。なお、保持部142のピンチャック方式は、後述する上チャック160と下チャック161におけるピンチャック方式と同様であるので説明を省略する。そして、位置調節機構140では、保持部142に保持されたウェハWU、WLを回転させながら検出部143でウェハWU、WLのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節してウェハWU、WLの水平方向の向きを調節している。
また、搬送領域T1には、図4に示すように上ウェハWUの表裏面を反転させる反転機構150が設けられている。反転機構150は、図7〜図9に示すように上ウェハWUを保持する保持アーム151を有している。保持アーム151は、水平方向(図7及び図8中のY方向)に延伸している。また保持アーム151には、上ウェハWUを保持する保持部材152が例えば4箇所に設けられている。保持部材152は、図10に示すように保持アーム151に対して水平方向に移動可能に構成されている。また保持部材152の側面には、上ウェハWUの外周部を保持するための切り欠き153が形成されている。そして、これら保持部材152は、上ウェハWUを挟み込んで保持することができる。
保持アーム151は、図7〜図9に示すように例えばモータなどを備えた第1の駆動部154に支持されている。この第1の駆動部154によって、保持アーム151は水平軸周りに回動自在である。また保持アーム151は、第1の駆動部154を中心に回動自在であると共に、水平方向(図7及び図8中のY方向)に移動自在である。第1の駆動部154の下方には、例えばモータなどを備えた第2の駆動部155が設けられている。この第2の駆動部155によって、第1の駆動部154は鉛直方向に延伸する支持柱156に沿って鉛直方向に移動できる。このように第1の駆動部154と第2の駆動部155によって、保持部材152に保持された上ウェハWUは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。また、保持部材152に保持された上ウェハWUは、第1の駆動部154を中心に回動して、位置調節機構140から後述する上チャック160との間を移動できる。
処理領域T2には、図4及び図5に示すように上ウェハWUを下面で吸着保持する第1の保持部としての上チャック160と、下ウェハWLを上面で載置して吸着保持する第2の保持部としての下チャック161とが設けられている。下チャック161は、上チャック160の下方に設けられ、上チャック160と対向配置可能に構成されている。すなわち、上チャック160に保持された上ウェハWUと下チャック161に保持された下ウェハWLは対向して配置可能となっている。
図4、図5及び図11に示すように上チャック160は、当該上チャック160の上方に設けられた上チャック支持部170に支持されている。上チャック支持部170は、処理容器100の天井面に設けられている。すなわち、上チャック160は、上チャック支持部170を介して処理容器100に固定されて設けられている。
上チャック支持部170には、下チャック161に保持された下ウェハWLの表面WL1を撮像する上部撮像部171が設けられている。すなわち、上部撮像部171は上チャック160に隣接して設けられている。
上部撮像部171は、図12に示すように赤外線カメラ172と可視光カメラ173を有している。赤外線カメラ172は、赤外線画像を取得するカメラである。具体的には、赤外線カメラ172は、センサ174と、センサ174に接続されるレンズ175と、センサ174とレンズ175との間に設けられるシャッタ176とを有している。可視光カメラ173は、可視光画像を取得するカメラである。具体的には、可視光カメラ173は、センサ177と、センサ177に接続されるレンズ175と、センサ177とレンズ175との間に設けられるシャッタ178とを有している。なお、レンズ175は、赤外線カメラ172と可視光カメラ173に共通に設けられている。
上部撮像部171では、シャッタ176、178を開閉させることで、赤外線カメラ172を用いた撮像と、可視光カメラ173を用いた撮像とをそれぞれ行うことができる。
図4、図5及び図11に示すように下チャック161は、当該下チャック161の下方に設けられた第1の下チャック移動部180に支持されている。第1の下チャック移動部180は、後述するように下チャック161を水平方向(X方向)に移動させるように構成されている。また、第1の下チャック移動部180は、下チャック161を鉛直方向に移動自在、且つ鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
第1の下チャック移動部180には、上チャック160に保持された上ウェハWUの表面WU1を撮像する下部撮像部181が設けられている。すなわち、下部撮像部181は下チャック161に隣接して設けられている。
下部撮像部181は、図13に示すように可視光カメラ182を有している。具体的には、可視光カメラ182は、センサ183と、センサ183に接続されるレンズ184とを有している。
図4、図5及び図11に示すように第1の下チャック移動部180は、当該第1の下チャック移動部180の下面側に設けられ、水平方向(X方向)に延伸する一対のレール185、185に取り付けられている。そして、第1の下チャック移動部180は、レール185に沿って移動自在に構成されている。
一対のレール185、185は、第2の下チャック移動部186に配設されている。第2の下チャック移動部186は、当該第2の下チャック移動部186の下面側に設けられ、水平方向(Y方向)に延伸する一対のレール187、187に取り付けられている。そして、第2の下チャック移動部186は、レール187に沿って移動自在に構成され、すなわち下チャック161を水平方向(Y方向)に移動させるように構成されている。なお、一対のレール187、187は、処理容器100の底面に設けられた載置台188上に配設されている。
次に、接合装置41の上チャック160と下チャック161の詳細な構成について説明する。
上チャック160には、図14及び図15に示すようにピンチャック方式が採用されている。上チャック160は、平面視において少なくとも上ウェハWUより大きい径を有する本体部190を有している。本体部190の下面には、上ウェハWUの裏面WU2に接触する複数のピン191が設けられている。また本体部190の下面には、上ウェハWUの裏面WU2の外周部を支持する外壁部192が設けられている。外壁部192は、複数のピン191の外側に環状に設けられている。
本体部190の下面には、外壁部192の内側の領域193(以下、吸引領域193という場合がある。)において、上ウェハWUを真空引きするための吸引口194が形成されている。吸引口194は、例えば吸引領域193の外周部に2箇所に形成されている。吸引口194には、本体部190の内部に設けられた吸引管195が接続されている。さらに吸引管195には、継手を介して真空ポンプ196が接続されている。
そして、上ウェハWU、本体部190及び外壁部192に囲まれて形成された吸引領域193を吸引口194から真空引きし、吸引領域193を減圧する。このとき、吸引領域193の外部の雰囲気が大気圧であるため、上ウェハWUは減圧された分だけ大気圧によって吸引領域193側に押され、上チャック160に上ウェハWUが吸着保持される。
かかる場合、複数のピン191の高さが均一なので、上チャック160の下面の平面度を小さくすることができる。このように上チャック160の下面を平坦にして(下面の平面度を小さくして)、上チャック160に保持された上ウェハWUの鉛直方向の歪みを抑制することができる。また上ウェハWUの裏面WU2は複数のピン191に支持されているので、上チャック160による上ウェハWUの真空引きを解除する際、当該上ウェハWUが上チャック160から剥がれ易くなる。
本体部190の中心部には、当該本体部190を厚み方向に貫通する貫通孔197が形成されている。この本体部190の中心部は、上チャック160に吸着保持される上ウェハWUの中心部に対応している。そして貫通孔197には、後述する押動部材200の押動ピン201が挿通するようになっている。
上チャック160の上面には、上ウェハWUの中心部を押圧する押動部材200が設けられている。押動部材200は、シリンダ構造を有し、押動ピン201と、当該押動ピン201が昇降する際のガイドとなる外筒202とを有している。押動ピン201は、例えばモータを内蔵した駆動部(図示せず)によって、貫通孔197を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。そして、押動部材200は、後述するウェハWU、WLの接合時に、上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部とを当接させて押圧することができる。
下チャック161には、図14及び図16に示すように上チャック160と同様にピンチャック方式が採用されている。下チャック161は、平面視において少なくとも下ウェハWLより大きい径を有する本体部210を有している。本体部210の上面には、下ウェハWLの裏面WL2に接触する複数のピン211が設けられている。また本体部210の上面には、下ウェハWLの裏面WL2の外周部を支持する外壁部212が設けられている。外壁部212は、複数のピン211の外側に環状に設けられている。
本体部210の上面には、外壁部212の内側の領域213(以下、吸引領域213という場合がある。)において、下ウェハWLを真空引きするための吸引口214が複数形成されている。吸引口214には、本体部210の内部に設けられた吸引管215が接続されている。吸引管215は、例えば2本設けられている。さらに吸引管215には、真空ポンプ216が接続されている。
そして、下ウェハWL、本体部210及び外壁部212に囲まれて形成された吸引領域213を吸引口214から真空引きし、吸引領域213を減圧する。このとき、吸引領域213の外部の雰囲気が大気圧であるため、下ウェハWLは減圧された分だけ大気圧によって吸引領域213側に押され、下チャック161に下ウェハWLが吸着保持される。
かかる場合、複数のピン211の高さが均一なので、下チャック161の上面の平面度を小さくすることができる。また例えば処理容器100内にパーティクルが存在する場合でも、隣り合うピン211の間隔が適切であるため、下チャック161の上面にパーティクルが存在するのを抑制することができる。このように下チャック161の上面を平坦にして(上面の平面度を小さくして)、下チャック161に保持された下ウェハWLの鉛直方向の歪みを抑制することができる。また下ウェハWLの裏面WL2は複数のピン211に支持されているので、下チャック161による下ウェハWLの真空引きを解除する際、当該下ウェハWLが下チャック161から剥がれ易くなる。
本体部210の中心部付近には、当該本体部210を厚み方向に貫通する貫通孔217が例えば3箇所に形成されている。そして貫通孔217には、第1の下チャック移動部180の下方に設けられた昇降ピンが挿通するようになっている。
本体部210の外周部には、ウェハWU、WL、重合ウェハWTが下チャック161から飛び出したり、滑落するのを防止するガイド部材218が設けられている。ガイド部材218は、本体部210の外周部に複数個所、例えば4箇所に等間隔に設けられている。
なお、接合装置41における各部の動作は、上述した制御部70によって制御される。
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われるウェハWU、WLの接合処理方法について説明する。図17は、かかるウェハ接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の上ウェハWUを収容したカセットCU、複数枚の下ウェハWLを収容したカセットCL、及び空のカセットCTが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットCU内の上ウェハWUが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。
次に上ウェハWUは、ウェハ搬送装置61によって第1の処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30では、所定の減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオンが上ウェハWUの表面WU1に照射されて、当該表面WU1がプラズマ処理される。そして、上ウェハWUの表面WU1が改質される(図17の工程S1)。
次に上ウェハWUは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された上ウェハWUを回転させながら、当該上ウェハWU上に純水を供給する。そうすると、供給された純水は上ウェハWUの表面WU1上を拡散し、表面改質装置30において改質された上ウェハWUの表面WU1に水酸基(シラノール基)が付着して当該表面WU1が親水化される。また、当該純水によって、上ウェハWUの表面WU1が洗浄される(図17の工程S2)。
次に上ウェハWUは、ウェハ搬送装置61によって第2の処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウェハWUは、トランジション110を介してウェハ搬送機構130により位置調節機構140に搬送される。そして位置調節機構140によって、上ウェハWUの水平方向の向きが調節される(図17の工程S3)。
その後、位置調節機構140から反転機構150の保持アーム151に上ウェハWUが受け渡される。続いて搬送領域T1において、保持アーム151を反転させることにより、上ウェハWUの表裏面が反転される(図17の工程S4)。すなわち、上ウェハWUの表面WU1が下方に向けられる。
その後、反転機構150によって上ウェハWUは第1の温度調節部121に搬送される。第1の温度調節部121では、上ウェハWUがギャップピン124上に保持され、第1の温度調節板123によって第1の温度、例えば25℃に調節される(図17の工程S5)。
その後、反転機構150によって上ウェハWUは上チャック160の下方に搬送される。そして、反転機構150から上チャック160に上ウェハWUが受け渡される。上ウェハWUは、上チャック160にその裏面WU2が吸着保持される(図17の工程S6)。具体的には、真空ポンプ196を作動させ、吸引領域193を吸引口194から真空引きし、上ウェハWUが上チャック160に吸着保持される。
このように上チャック160に保持される上ウェハWUは、上述したように工程S5において例えば25℃に調節されている。すなわち、上ウェハWUは、処理領域T2の雰囲気温度と同じ温度に調節されている。このため、上ウェハWUが温度変化によって伸縮することがなく、その形状と寸法が変化しない。
上ウェハWUに上述した工程S1〜S6の処理が行われている間、当該上ウェハWUに続いて下ウェハWLの処理が行われる。先ず、ウェハ搬送装置22によりカセットCL内の下ウェハWLが取り出され、処理ステーション3のトランジション装置50に搬送される。
次に下ウェハWLは、ウェハ搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、下ウェハWLの表面WL1が改質される(図17の工程S7)。なお、工程S7における下ウェハWLの表面WL1の改質は、上述した工程S1と同様である。
その後、下ウェハWLは、ウェハ搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、下ウェハWLの表面WL1が親水化される共に当該表面WL1が洗浄される(図17の工程S8)。なお、工程S8における下ウェハWLの表面WL1の親水化及び洗浄は、上述した工程S2と同様である。
その後、下ウェハWLは、ウェハ搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウェハWLは、トランジション110を介してウェハ搬送機構130により位置調節機構140に搬送される。そして位置調節機構140によって、下ウェハWLの水平方向の向きが調節される(図17の工程S9)。
その後、ウェハ搬送機構130によって下ウェハWLは第2の温度調節部122に搬送される。第2の温度調節部122では、上ウェハWUが第2の温度調節板125上に載置され、第2の温度、例えば26℃に調節される(図17の工程S10)。
その後、下ウェハWLは、ウェハ搬送機構130によって下チャック161に搬送され、下チャック161にその裏面WL2が吸着保持される(図17の工程S11)。具体的には、真空ポンプ216を作動させ、吸引領域213を吸引口214から真空引きし、下ウェハWLが下チャック161に吸着保持される。
このように下チャック161に保持される下ウェハWLは、上述したように工程S10において例えば26℃に調節されている。すなわち、下ウェハWLは、処理領域T2の雰囲気温度且つ上ウェハWUの第1の温度(25℃)と異なる温度に調節されている。このように下ウェハWLの第2の温度が上ウェハWUの第1の温度より1℃高いため、下ウェハWLは上ウェハWUより数μm大きく膨張する。そうすると、上述したように温度調節前の上ウェハWUと下ウェハWLの伸縮量が異なる場合でも、上ウェハWUと下ウェハWLの寸法が同じになる。
次に、上チャック160に保持された上ウェハWUと下チャック161に保持された下ウェハWLとの水平方向の位置調節を行う。
なお、図18に示すように上ウェハWUの表面WU1には予め定められた複数、例えば3点の基準点A1〜A3が形成され、同様に下ウェハWLの表面WL1には予め定められた複数、例えば3点の基準点B1〜B3が形成されている。基準点A1、A3とB1、B3はそれぞれウェハWU、WLの外周部の基準点であり、基準点A2とB2はそれぞれウェハWU、WLの中心部の基準点である。なお、これら基準点A1〜A3、B1〜B3としては、例えばウェハWL、WU上に形成された所定のパターンがそれぞれ用いられる。また、本実施の形態はウェハWL、WU上の基準点は3点であるが、基準点の数はこれに限定されず任意に設定できる。
先ず、図18に示すように上部撮像部171と下部撮像部181の水平方向位置の調節を行う。具体的には、下部撮像部181が上部撮像部171の略下方に位置するように、第1の下チャック移動部180と第2の下チャック移動部186によって下チャック161を水平方向(X方向及びY方向)に移動させる。そして、上部撮像部171の可視光カメラ173と下部撮像部181の可視光カメラ182で共通のターゲットTを確認し、上部撮像部171と下部撮像部181の水平方向位置が一致するように、下部撮像部181の水平方向位置が微調節される。
次に、図19に示すように第1の下チャック移動部180によって下チャック161を鉛直上方に移動させた後、上チャック160と下チャック161の水平方向位置の調節を行う。具体的には、第1の下チャック移動部180と第2の下チャック移動部186によって下チャック161を水平方向(X方向及びY方向)に移動させながら、上部撮像部171の可視光カメラ173を用いて下ウェハWLの表面WL1の基準点B1〜B3を順次撮像する。同時に、下チャック161を水平方向に移動させながら、下部撮像部181の可視光カメラ182を用いて上ウェハWUの表面WU1の基準点A1〜A3を順次撮像する。なお、図19は上部撮像部171によって下ウェハWLの基準点B1を撮像する共に、下部撮像部181によって上ウェハWUの表面WU1の基準点A1を撮像する様子を示している。撮像された可視光画像は、制御部70に出力される。制御部70では、上部撮像部171で撮像された可視光画像と下部撮像部181で撮像された可視光画像に基づいて、上ウェハWUの基準点A1〜A3と下ウェハWLの基準点B1〜B3がそれぞれ合致するように、第1の下チャック移動部180と第2の下チャック移動部186によって下チャック161の水平方向位置を調節させる。こうして上チャック160と下チャック161の水平方向位置が調節され、上ウェハWUと下ウェハWLの水平方向位置が調節される(図17の工程S12)。
なお、上記水平方向位置の調節は、上述のように下チャック161を水平方向(X方向及びY方向)に移動させると共に、第1の下チャック移動部180によって下チャック161を回転させて、当該下チャック161の向きも調節される。
その後、図20に示すように第1の下チャック移動部180によって下チャック161を鉛直上方に移動させて、上チャック160と下チャック161の鉛直方向位置の調節を行い、当該上チャック160に保持された上ウェハWUと下チャック161に保持された下ウェハWLとの鉛直方向位置の調節を行う(図17の工程S13)。このとき、下ウェハWLの表面WL1と上ウェハWUの表面WU1との間の間隔は所定の距離、例えば80μm〜200μmになっている。
次に、上チャック160に保持された上ウェハWUと下チャック161に保持された下ウェハWLの接合処理が行われる。
先ず、図21に示すように押動部材200の押動ピン201を下降させることによって、上ウェハWUの中心部を押圧しながら当該上ウェハWUを下降させる。このとき、押動ピン201には、上ウェハWUがない状態で当該押動ピン201が70μm移動するような荷重、例えば200gがかけられる。そして、押動部材200によって、上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部を当接させて押圧する(図17の工程S14)。このとき、上チャック160の吸引口194は吸引領域193の外周部に形成されているので、押動部材200で上ウェハWUの中心部を押圧する際にも、上チャック160によって上ウェハWUの外周部を保持することができる。
そうすると、押圧された上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部との間で接合が開始する(図21中の太線部)。すなわち、上ウェハWUの表面WU1と下ウェハWLの表面WL1はそれぞれ工程S1、S7において改質されているため、先ず、表面WU1、WL1間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該表面WU1、WL1同士が接合される。さらに、上ウェハWUの表面WU1と下ウェハWLの表面WL1はそれぞれ工程S2、S8において親水化されているため、表面WU1、WL1間の親水基が水素結合し(分子間力)、表面WU1、WL1同士が強固に接合される。
その後、図22に示すように押動部材200によって上ウェハWUの中心部と下ウェハWLの中心部を押圧した状態で真空ポンプ196の作動を停止して、吸引領域193における上ウェハWUの真空引きを停止する。そうすると、上ウェハWUが下ウェハWL上に落下する。このとき、上ウェハWUの裏面WU2は複数のピン191に支持されているので、上チャック160による上ウェハWUの真空引きを解除した際、当該上ウェハWUが上チャック160から剥がれ易くなっている。そして上ウェハWUの中心部から外周部に向けて、上ウェハWUの真空引きを停止し、上ウェハWUが下ウェハWL上に順次落下して当接し、上述した表面WU1、WL1間のファンデルワールス力と水素結合による接合が順次拡がる。こうして、図23に示すように上ウェハWUの表面WU1と下ウェハWLの表面WL1が全面で当接し、上ウェハWUと下ウェハWLが接合される(図17の工程S15)。
その後、図24に示すように押動部材200の押動ピン201を上チャック160まで上昇させる。また、真空ポンプ216の作動を停止し、吸引領域213における下ウェハWLの真空引きを停止して、下チャック161による下ウェハWLの吸着保持を停止する。このとき、下ウェハWLの裏面WL2は複数のピン211に支持されているので、下チャック161による下ウェハWLの真空引きを解除した際、当該下ウェハWLが下チャック161から剥がれ易くなっている。
次に、図25及び図26に示すように上ウェハWUと下ウェハWLが接合された重合ウェハWTの検査を行う(図17の工程S16)。なお、重合ウェハWT中のウェハWU、WLの接合面において、上ウェハWUの基準点A1〜A3と下ウェハWLの基準点B1〜B3がそれぞれ当接した基準点をC1〜C3とする。
工程S16では、第1の下チャック移動部180と第2の下チャック移動部186によって下チャック161を水平方向(X方向及びY方向)に移動させながら、上部撮像部171の赤外線カメラ172を用いて重合ウェハWTの内部の基準点C1〜C3を順次撮像する。このとき、赤外線は重合ウェハWTを透過するので、赤外線カメラ172によって重合ウェハWTの内部の基準点C1〜C3を撮像することができる。なお、図25は上部撮像部171によって重合ウェハWTの基準点C1を撮像する様子を示し、図26は上部撮像部171によって重合ウェハWTの基準点C2を撮像する様子を示している。撮像された赤外線画像は、制御部70に出力される。制御部70では、赤外線カメラ172で撮像された赤外線画像に基づいて、重合ウェハWTの検査が行われる。すなわち、基準点C1〜C3において、基準点A1〜A3と基準点B1〜B3が合致しているか否かの検査が行われる。こうして重合ウェハWTにおいて、上ウェハWUと下ウェハWLの水平方向の相対位置の検査が行われる。
なお、この工程S16における重合ウェハWTの検査において、基準点A1〜A3と基準点B1〜B3が合致するとは、完全に合致する場合に加えて、それぞれの基準点の位置ずれが所望の範囲内である場合も含む。
その後、工程S16における検査結果に基づいて、第1の温度調節部121における上ウェハWUの第1の温度と、第2の温度調節部122における下ウェハWLの第2の温度の調節が行われる(図17の工程S17)。すなわち、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122がフィードバック制御される。
工程S17では、検査結果が正常な場合、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122の温度調節は行われない。一方、検査結果が異常な場合、すなわち上ウェハWUと下ウェハWLが水平方向にずれて接合されている場合、当該水平方向の位置ずれが解消するように、第1の温度調節部121における上ウェハWUの第1の温度と、第2の温度調節部122における下ウェハWLの第2の温度がそれぞれ設定される。そうすると、以後行われるウェハWU、WLの接合処理を適切に行うことができる。なお、工程S17における温度調節は、工程S5及びS10における温度調節と同様であるので説明を省略する。
その後、検査が終了した重合ウェハWTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCTに搬送される。こうして、一連のウェハWU、WLの接合処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、ウェハWU、WLの接合前の工程S5及び工程S10において、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122によってそれぞれ上ウェハWUと下ウェハWLを異なる温度に調節することができる。そうすると、例えば温度調節前の上ウェハWUと下ウェハWLがそれぞれ伸縮し、その伸縮量が異なる場合であっても、本実施の形態のように上ウェハWUと下ウェハWLを異なる温度に調節することによって、上ウェハWUと下ウェハWLを異なる寸法に伸縮させることができ、上記伸縮量の差分を吸収することができる。すなわち、上ウェハWUと下ウェハWLの伸縮量の差分を、上ウェハWUと下ウェハWLの温度差で吸収することができる。これにより、工程S12において上ウェハWUと下ウェハWLの水平方向位置を適切に調節することができ、工程S14及びS15において上ウェハWUと下ウェハWLの接合処理を適切に行うことができる。
なお、本実施の形態においては、上ウェハWUの第1の温度と下ウェハWLの第2の温度の温度差を1℃としたが、当該温度差はこれに限定されず、例えば2℃や3℃等、任意に設定できる。上述したように温度調節前の上ウェハWUと下ウェハWLの伸縮量の差分を吸収するように、この温度差は設定される。
また、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122は、上チャック160と下チャック161とは別途設けられるので、上ウェハWUと下ウェハWLの温度調節を行っても、上ウェハWUと下ウェハWLの位置調節を開始するタイミングへの影響がない。このため、接合処理のスループットを向上させることができる。
また、工程S16において重合ウェハWTの検査を行う際、赤外線が重合ウェハWTを透過するので、上部撮像部171の赤外線カメラ172によって重合ウェハWTの内部の基準点C1〜C3を撮像することができる。そうすると、その後の工程S17において、検査結果に基づき、重合ウェハWTにおいて上ウェハWUの基準点A1〜A3と下ウェハWLの基準点B1〜B3が合致するように第1の温度調節部121と第2の温度調節部122をフィードバック制御することができる。したがって、第1の温度調節部121の第1の温度と第2の温度調節部122の第2の温度を適切に調節することができ、以後行われるウェハWU、WLの接合処理を適切に行うことができる。
また、このように接合装置41内で重合ウェハWTの検査を行うことができ、接合装置41の外部に別途検査装置を設ける必要がないため、装置の製造コストを低廉化できる。また、ウェハWU、WL同士を接合した直後に重合ウェハWTを検査できるので、検査結果を後続の接合処理に適切なタイミングでフィードバックすることができ、これにより接合処理の精度が向上する。
また、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122はトランジション110に積層されて設けられており、すなわち従来の特許文献1に記載された接合装置における空きスペースに第1の温度調節部121と第2の温度調節部122を配置している。このため、これら第1の温度調節部121と第2の温度調節部122を設けても、接合装置41の専有面積を小さく維持することができる。
また接合システム1は、接合装置41に加えて、ウェハWU、WLの表面WU1、WL1を改質する表面改質装置30と、表面WU1、WL1を親水化すると共に当該表面WU1、WL1を洗浄する表面親水化装置40も備えているので、一のシステム内でウェハWU、WLの接合を効率よく行うことができる。したがって、ウェハ接合処理のスループットをより向上させることができる。
以上の実施の形態の接合装置41において、第1の温度調節部121と第2の温度調節部122はトランジション110に積層されて設けられていたが、これに限定されず、任意の場所に設置し得る。例えば第1の温度調節部121と第2の温度調節部122を処理領域T2内に設けてもよいし、或いは反転機構150やウェハ搬送機構130に設けてもよい。
また、位置調節機構140の保持部142内に、例えば第1の温度調節部121と第2の温度調節部122を備えた温度調節機構を設けてもよい。かかる場合、上ウェハWUと下ウェハWLは、位置調節機構140による水平方向の向きを調節中、或いは水平方向の向きを調節直後に温度調節される。
以上のいずれの場合でも、上記実施の形態と同様の効果を享受することができ、すなわち上ウェハWUと下ウェハWLをそれぞれ適切な温度に調節して、当該ウェハWU、WLの接合処理を適切且つ迅速に行うことができる。
また、以上の実施の形態の第1の温度調節部121は、第1の温度調節板123とギャップピン124を有していたが、これに限定されず、種々の構成を取り得る。例えば第1の温度調節板123とギャップピン124に代えて、上記上チャック160と同様の構成のチャックに、例えばペルチェ素子(図示せず)などを内蔵してもよい。
また、以上の実施の形態の接合装置41において、赤外線カメラ172は上部撮像部171に設けられていたが、当該赤外線カメラ172を下部撮像部181に設けてもよい。さらに上部撮像部171と下部撮像部181の両方に赤外線カメラ172をそれぞれ設けてもよい。上部撮像部171と下部撮像部181の両方に赤外線カメラ172を設けた場合、上チャック160と下チャック161のいずれも、複数のウェハが積層された重合ウェハWTを保持することができ、接合処理の自由度が向上する。
以上の実施の形態では、上ウェハWUと下ウェハWLが共に製品ウェハである場合である場合について説明したが、本発明は、例えば上ウェハWUが製品ウェハであり、下ウェハWLが支持ウェハである場合や、上ウェハWUが支持ウェハであり、下ウェハWLは製品ウェハである場合にも適用できる。但し、ウェハWU、WLが共に製品ウェハである場合には、例えばウェハWU、WL間の貫通電極の導通を図る必要がある等、特にウェハWU、WLの水平方向の位置調節を厳密に行う必要がる。かかる場合、ウェハWU、WLの水平方向の位置ずれの問題が顕著に生じるため、本発明は特に有用となる。
以上の実施の形態の接合装置41では、上チャック160を処理容器100に固定し、且つ下チャック161を水平方向及び鉛直方向に移動させていたが、反対に上チャック160を水平方向及び鉛直方向に移動させ、且つ下チャック161を処理容器100に固定してもよい。或いは、上チャック160と下チャック161を共に水平方向及び鉛直方向に移動させてもよい。
以上の実施の形態の接合システム1において、接合装置41でウェハWU、WLを接合した後、さらに接合された重合ウェハWTを所定の温度で加熱(アニール処理)してもよい。重合ウェハWTにかかる加熱処理を行うことで、接合界面をより強固に結合させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。